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1. (WO2015141764) ピペット装置及び液体処理システム
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明 細 書

発明の名称 ピペット装置及び液体処理システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : ピペット装置及び液体処理システム

技術分野

[0001]
 本発明は、ピペット装置及び液体処理システムに関する。より詳しくはロボット装置に把持されるピペット装置等に関する。

背景技術

[0002]
 液体を計量して分注等を行うための器具として、生物学、化学等の分野では、各種ピペットが用いられている。特に、手動又は電動で内部のプランジャーを動かして所定量の液体を吸引又は吐出するピペット装置は、液体の計量が簡便であるため液体の分注操作において好適に用いられている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、「ピペットケースと、押ボタン操作により上下動するスライドシャフトと、該スライドシャフトの下方に配置されたプランジャーと、該プランジャーを上方へ付勢する少なくとも1つのばねと、該スライドシャフトに同軸的に嵌合され、前記ケース側の穴に対して少なくとも上下動可能に挿通された係合体と、前記スライドシャフトの軸心とは異なる軸心位置に設けられ、係合体に対して作動的に連結係合された電動モータとを具備したピペット装置」が開示されている。当該ピペット装置では、手動操作時には、押ボタンの操作により、スライドシャフト及びプランジャーが上下動して液体の吸入及び吐出を行い、又電動操作時には、モータの駆動により、係合体が駆動されて上下動し、これによりプランジャーが上下動して液体の吸入及び吐出を行うことにより、手動操作と電動操作の両方を切り替えて行うことができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2002-113373号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、上述した液体の分注作業も含め、液体の処理作業を行うロボット装置が開発されてきている。このようなロボット装置の中には、人が使う実験器具をアーム部分で操作することができるものもある。しかし、ロボット装置のアーム部は、物を挟むことや物を押す動作によってピペット装置を扱うことができても、ピペット装置に設けられた操作ボタンを的確な時に押すことは困難な場合があった。
[0006]
 そこで、本発明は、ロボット装置による液体の処理操作において、簡便に液体の吐出又は吸引を行うことができるピペット装置を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題解決のため、本発明は、ロボット装置に把持されるピペット装置であって、液体の吸引及び/又は吐出を行う駆動部と、前記ロボット装置からの信号を受信する受信部と、前記駆動部を前記信号に応じて制御する制御部と、
を有するピペット装置を提供する。
 前記ピペット装置は、前記液体と接触するチップを接続させるチップ接続部と、前記チップ接続部と接続した状態における前記チップの位置情報、及び前記駆動部の状態に関する情報を得る情報取得部と、前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を前記ロボット装置へ送信する送信部と、を有していてもよい。
 前記駆動部はプランジャーを備え、前記駆動部の状態に関する情報は前記プランジャーの位置情報を含んでいてもよい。
 前記チップの位置情報は、前記ロボット装置によって前記チップが移動できる範囲内に存在する物のうち何れか一以上と前記チップとの距離に基づいていてもよい。
 前記情報取得部は前記チップの内側へ加えられる圧力を検知する内圧センサーを備えることができ、また、前記情報取得部は前記チップ接続部の前記チップと接する面へ加えられる圧力を検知する圧力センサーを備えることもできる。
 前記情報取得部は前記液体の状態に関する情報を取得し、前記送信部は前記液体に関する情報を前記ロボット装置へ送信するものとすることができる。
 また、前記信号及び前記駆動部の状態に関する情報に基づき前記液体を前記チップに吸引する速度及び/又は前記チップに保持されていた前記液体を前記チップから吐出する速度が制御されていてもよい。
 さらに、前記信号によって前記液体の吸引及び/又は吐出のタイミングが制御されていてもよい。
 前記制御部は無線通信によって前記駆動部を制御するものとすることもできる。
[0008]
 本発明はまた、ロボット装置と該ロボット装置に把持されるピペット装置と、を備え、前記ピペット装置は、液体の吸引及び/又は吐出を行う駆動部と、
前記ロボット装置からの信号を受信する受信部と、前記駆動部を前記信号に応じて制御する制御部と、を有する液体処理システムを提供する。
 前記ピペット装置は、前記液体と接触するチップを接続させるチップ接続部と、前記チップ接続部と接続した状態における前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を得る情報取得部と、前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を前記ロボット装置へ送信する送信部と、を有し、前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報に基づき前記ロボット装置の動作が制御されていてもよい。
 また、前記ロボット装置は、アーム部を備え、該アーム部は複数の関節を有していてもよい。
 更に、前記ロボット装置は、制御盤及びコンピューターを備えていてもよい。
 前記コンピューターは、入力部、送信部、受信部、表示部、制御部及び記憶部からなる群から選択される部を含むことができる。

発明の効果

[0009]
 本発明により、ロボット装置による液体の処理操作において、簡便に液体の吐出又は吸引を行うことができるピペット装置等が提供される。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の第1実施形態に係る液体処理システムの構成の概要を示す図である。
[図2] 第1実施形態のロボット装置の構成例を示す模式図である。
[図3] 第1実施形態のピペット装置の構成例を示す模式図である。
[図4] 第1実施形態の液体処理システムによる液体処理方法の概要を示すフローチャートである。
[図5] 液体処理システムにおけるチップの位置決め工程の概要を示すフローチャートである。
[図6] 液体処理システムにおける液体の吸引工程の概要を示すフローチャートである。
[図7] 液体処理システムにおける液体の吐出工程の概要を示すフローチャートである。
[図8] 第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システムに備えられるピペット装置の構成例を示す模式図である。
[図9] 第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システムによる液体処理方法の概要を示すフローチャートである。
[図10] 液体処理システムにおけるチップ接続工程の概要を示すフローチャートである。
[図11] 第2実施形態に係る液体処理システムにおける液体の吸引工程の概要を示すフローチャートである。
[図12] 第3実施形態に係る液体処理システムの概要を示す図である。
[図13] 第3実施形態のピペット装置の構成例を示す模式図である。
[図14] 第3実施形態の液体処理システムによる液体処理方法の概要を示すフローチャートである。
[図15] 第3実施形態の液体処理システムによる、液体の状態に関する情報の取得工程の概要を示すフローチャートである。
[図16] 液体処理システムにおけるエラー処理方法の一例を示すフローチャートである。
[図17] 本発明の液体処理システムの構成の概要を示す図である。
[図18] 本発明のピペット装置の構成例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
[0012]
1.本発明の第1実施形態に係る液体処理システム
 図1は、本発明の第1実施形態である液体処理システムの概要を示す図である。図1中符号D1で示す液体処理システムは、大別すると、ロボット装置1aと、ロボット装置1aに把持されるピペット装置2aを備える。これらの液体処理システムD1の構成について、図1~図3を参照しながら順に説明する。
[0013]
<ロボット装置>
 先ず、ロボット装置1aについて説明する。本実施形態の液体処理システムD1に備えられるロボット装置1aは、後述するピペット装置2aによる液体の吸引又は吐出において、ピペット装置2aを把持して、ピペット装置2aを所望の位置へ移動させるための構成である。図2は、ロボット装置1aの構成の一例を模式的に示す。図2に示すように、本実施形態のロボット装置1aは、把持したピペット装置2aを移動させるための構成として、アーム部11を備えていてもよい。さらに、ロボット装置1aは、アーム部11を支持する胴体部14を有していてもよい。なお、図2において、後述する受信部12、送信部13及び制御部15の各構成は図示していない。
[0014]
 また、ピペット装置2aを把持するための構成として、アーム部11の端部には、例えば、爪部111を有していてもよい。さらに、アーム部11は、複数の関節112a,112bを有することが好ましい。複数の関節112a,112bによって、アーム部11に、より複雑な動作を行わせることが可能となる。なお、図2に示すロボット装置1aは、関節112a,112bが2つ設けられたアーム部11を有しているが、本実施形態に係るロボット装置1aにおいて、アーム部11に設けられる関節112a,112bの数は、複数であればその数は限定されず、ロボット装置1aが行う動作等の複雑さに応じて、適宜設計することができる。
[0015]
 ロボット装置1aが有するアーム部11の数は1以上であれば良いが、ロボット装置1aは、複数のアーム部11を備えていることが好ましい。複数のアーム部11を備える場合には、一のアーム部11がピペット装置2aを把持した状態においても、同時に他の器具の操作を行うことが可能となる。このため、例えば、ピペット装置2aによって液体を吸引するときに、液体が収容されている容器を他のアーム部11によって傾けることが可能となる。なお、ロボット装置1aが有するアーム部11が複数である場合、複数のアーム部11の形状は各々異なっていてもよい。各々のアーム部11は、そのアーム部11が行う動作に応じて、適宜設計することができる。
[0016]
 ロボット装置1aはまた、後述するピペット装置2aからの信号を受信する受信部12と、ピペット装置2aへ信号を送信する送信部13と、を有する(図1参照)。受信部12及び送信部13としては、例えば、通信用デバイスを用いることができる。
[0017]
 この他、ロボット装置1aには、ロボット装置1a全体を制御するための制御部15や、ユーザがロボット装置1aの動作プログラム等を入力する入力部や、動作プログラムの内容を表示する表示部などが設けられていてもよい(図1において、入力部及び表示部は不図示)。
[0018]
 制御部15については、ロボット装置1aの構造や設置場所等に合わせて、公知の構成の中から適宜選択することができる。制御部15は、例えば、マイコンやマイクロプロセッサ、シーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)、又はリレー制御盤とすることもできる。また、ロボットコントローラや汎用コンピューターを制御部15として用いることもできる。
 このように、制御部15は、1つの機器で構成されてもよいが、複数の機器で構成されてもよい。複数の機器の例としては、例えば、ロボットコントローラとシーケンサと汎用コンピューターとで構成されてもよい。この場合、複数の機器は、相互に連携して、あるいは独立して、ロボット装置1a自体とピペット装置2aとの制御に必要な処理を行うことになる。ただし、これらの処理の複数の機器での分担等は特に限定されない。
[0019]
 入力部及び表示部についても、ロボット装置1aの構造や設置場所等に合わせて、公知の構成の中から適宜選択することができる。入力部については、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー又は教示操作端末であるティーチングペンダントとすることもできる。表示部は、例えば、ディスプレー又はプリンターとすることもできる。
[0020]
 さらに、ロボット装置1aには、動作プログラムやピペット装置2aによる吸引量又は吐出量に関するデータを格納するために、記憶部16が設けられていてもよい。記憶部16には、公知の記憶媒体の中から、ロボット装置1aの構造や設置場所等に合わせて適宜選択することができる。記憶媒体としては、例えば、磁気記憶媒体、光記憶媒体、光磁気記憶媒体等が挙げられる。また、これらの記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等が挙げられる。この他、ロボット装置1aの動作プログラムや吸引量又は吐出量等の設定値等は、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)などの磁気ディスク、コンパクトディスク(CD:Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気ディスク等に記憶されて、これらのディスクをドライブに装着して当該ドライブを制御部15と接続することにより、制御部15に読み込まれるように構成することもできる。
 前記受信部、送信部、制御部、入力部、表示部及び記憶部は、1つの部又は複数の部を組み合わせて汎用コンピューターにその機能を行わせることができる。例えば、本発明は、図17に示した構成をとることができる。ここで、ロボット装置1a、制御盤1b、汎用コンピューター1dをまとめてロボット部1とする。該ロボット部は、ピペット装置と無線で接続してもよい。すなわち、ロボット1b及びコンピューター1dは、ピペット装置2aと無線によるネットワークを介して接続することができる。
 また、前記制御盤1bは、ロボット装置1aに組み込まれていてもよい。
[0021]
<ピペット装置>
 次に、ピペット装置2aについて、図1及び図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態のピペット装置2aの構成例を示す模式図である。ピペット装置2aは、少なくとも、液体の吸引及び/又は吐出を行う駆動部21と、ロボット装置1aからの信号を受信する受信部22と、駆動部21を制御する制御部23と、を有する。また、ケース24a,24b,24cは、これらの構成や後述する情報取得部26a等を収容するための筐体である。図3において、制御部23はケース24aに収容されているが、制御部23は、ケース24a,24b,24cの外に設けることもできる。また、ピペット装置2aは、液体と接触するチップTを接続させるチップ接続部25aと、チップ接続部25aと接続した状態におけるチップTの位置情報及び駆動部21の状態に関する情報を得る情報取得部26aと、チップTの位置情報及び駆動部21の状態に関する情報をロボット装置1aへ送信する送信部27と、を有していることが好ましい(図1参照)。この他、ピペット装置2aには、ロボット装置1aが爪部111等によってピペット装置2aを把持するために、把持部281が設けられていてもよい(図3参照)。
 なお、ピペット装置2aは、例えば、0.1μlから1ml程度の少量の液体の吸引及び/又は吐出を行うことを想定したものであるが、図18のように、メスピペット用のピペット装置2dに適用してもよい。ピペット装置2dは、把持部281でロボット装置1aに把持され、メスピペット311はケース24aと接続され、吸引ボタン283を押すことで液体が吸引され、吐出ボタン284を押すことで液体が吐出される。
 以下、ピペット装置2aの各構成について、詳細に説明する。
[0022]
<駆動部>
 駆動部21は、ピペット装置2aにおいて、容器等に収容されている液体の、チップT内への吸引と、チップT内からチップT外への吐出と、を行うための構成である。駆動部21は、プランジャー211を備え、プランジャー211によりシリンダー内の空気を出し入れすることにより、後述するチップ接続部25aに接続したチップTへ所定の量の液体を吸引、又はチップTから所定の量の液体を吐出する。また、プランジャー211を移動させる動力源としては、ケース24a,24b,24c内に搭載可能な動力源であればよく、その構成は限定されない。動力源としては、例えば、ステッピングモータが挙げられる。駆動部21には、この他、モータ等の動力源からの動力をプランジャー211へ伝える伝達機構が備えられている。この他、駆動部21の構成については、ピペット装置2aの大きさや処理する液体の性質等に合わせて、公知の手動又は電動ピペット装置に備えられている構成から自由に設計することができる。
[0023]
 本発明において、液体とは液状のものであればよく、その成分は特に限定されない。液体としては、例えば、蒸留水、細胞培養液、生理食塩水、プライマーや抗体等の各種試薬が溶解した液体などが挙げられる。また、液体には、血液、血清、血漿、骨髄液、尿等の液状の生体試料も含まれる。この他、液体にはゲル状のものも含まれる。
[0024]
<受信部>
 ピペット装置2aにおいて、受信部22は、ロボット装置1aからの信号を受信するためのインターフェースである。この信号は、例えば、ピペット装置2aによる液体の吸引又は吐出のタイミングを制御する信号である。この他、ロボット装置1aから送られる、チップTへの液体の吸引量やチップTからの吐出量、液体をチップTに吸引する速度、チップTに保持されていた液体をチップTから吐出する速度に関するデータ等も受信することができる。
[0025]
<制御部>
 制御部23は、上記受信部22が受信した信号に応じて、駆動部21の動作を制御して液体の吸引又は吐出を行うための構成である。この他、制御部23は、ピペット装置2a全体を制御するための構成として用いることもできる。制御部23については、公知の構成の中から適宜採用することができる。制御部23としては、例えば、マイコンやマイクロプロセッサ、シーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)等が挙げられる。また、制御部23と、上述した受信部22と後述する送信部27は、例えば、CPU、メモリ、ハードディスク及び通信デバイスなどを備える汎用のコンピューターによって構成することもできる。
[0026]
 制御部23は、無線通信によって駆動部21を制御することが好ましい。ケース24a,24b,24cの外に設けられている制御部23と駆動部21が無線通信を行うことで、制御部23と駆動部21との間をケーブル等で接続する必要がなくなる。このため、アーム部11がピペット装置2aの把持部281を把持して移動するときに、ケーブルによる移動距離の制限やケーブルがアーム部11やアーム部11周辺に設置されている物品に接触するおそれがなくなる。無線通信は、例えば、無線LAN(Local Area Network)や、WUSB(Wireless USB)用の通信カード等を用いて行うことができる。また、ケース24a,24b,24c内には、駆動部21等の電源となるバッテリーが備えられていることが好ましい。電源がケース24a,24b,24c内に収めされていることによって、電源と駆動部21等を接続するケーブルが不要となり、ロボット装置1aによるピペット装置2aの操作性が向上する。なお、ケース24a,24b,24c内にバッテリーが備えられている場合には、バッテリーの残量に関する情報についても、ピペット装置2aからロボット装置1aへ送信するように構成してもよい。
[0027]
<チップ接続部>
 チップ接続部25aは、液体を吸引又は吐出する際に液体と接触するチップTを接続するための構成である。また、チップ接続部25aにおいて、チップTは着脱可能に接続している。チップ接続部25aは、チップTを接続できれば、その構成は特に限定されず、その形状は、採用するチップTに合わせて適宜設計できる。例えば、管状に形成されたチップ接続部25aの外径をチップTの内径より小さくすることにより、チップ接続部25aをチップTへ嵌め込んで、チップTをチップ接続部25aに装着することもできる。
[0028]
 なお、チップ接続部25aへ接続されるチップTには、合成樹脂等により形成されている公知のピペットチップを採用することができる。また、チップTについては、ディスポーザブルユーズ(使い捨て)とすることにより、組成等の異なる複数種類の液体の処理を1台のピペット装置2aで行う場合であっても、これらの液体が互いに汚染されることが防止される。
[0029]
<情報取得部>
 情報取得部26aは、少なくとも、上記チップ接続部25aと接触した状態における「チップTの位置情報」と、「駆動部21の状態に関する情報」を得るための構成である。本実施形態に係る液体処理システムD1では、これら2種類の情報がピペット装置2aの送信部27からロボット装置1aへ送信されることにより、これら2種類の情報に基づきロボット装置1aの動作が制御されることが好ましい。即ち、ピペット装置2aから送信される情報によって、ロボット装置1aがフィードバック制御されることが好ましい。
[0030]
 チップTの位置情報とは、例えば、ロボット装置1aがピペット装置2aの把持部281を把持した状態における、チップTの先端の位置に関する情報であり、X軸、Y軸、Z軸等の座標軸などで表わすこともできる。駆動部21の状態に関する情報とは、駆動部21の状態を表わす情報であれば何れの情報であってもよいが、例えば、プランジャーの位置情報や、プランジャーの加速度の情報などが挙げられる。また、上述した駆動部21がステッピングモータを有する場合には、ステッピングモータのパルス数やステッピングモータを備えるアクチュエータの回転数等も、駆動部21の状態に関する情報とすることができる。情報取得部26aが取得する駆動部21の状態に関する情報には、後述する理由により、少なくともプランジャー211の位置情報を含むことが好ましい。プランジャー211の位置情報とは、例えば、プランジャー211を収容するシリンダーに対する、プランジャー211の位置の情報とすることもできる。
[0031]
 情報取得部26aは、少なくとも上記の2種類の情報を取得できるように構成されていればよく、その構成は特に限定されない。例えば、情報取得部26aは、これらの情報を取得するためにセンサーを備えていることが好ましい。情報取得部26aに備えられるセンサーには、公知のセンサーの中から、ピペット装置2aの大きさや取り扱う液体の種類等に応じて、適切なものを採用できる。また、情報取得部26aに検出対象又は検出方法の異なるセンサーを複数採用することもできる。情報取得部26aに複数のセンサーが設けられている場合には、取得する情報に応じて、利用するセンサーを切り替えることもできる。また、1種類の情報を取得するために、複数のセンサーを同時に用いてもよい。
[0032]
 情報取得部26aは、例えば、センサーが検知した圧力等の値などをそのまま情報として送信部27へ送ることもできる。また、情報取得部26aは、センサーが検知した値等が予め定められた基準値を超えているか否か判定し、その判定結果を情報とすることもできる。
[0033]
 駆動部21の状態に関する情報を得るためのセンサーとしては、例えば、画像センサー、距離センサー、加速度センサー等が挙げられる。距離センサーとしては、例えば、光電レーザーを利用するセンサー、超音波を利用するセンサー、静電気量を利用するセンサー等の各センサーが挙げられる。また、上記センサーのうち、複数のセンサーが情報取得部26aに設けられていてもよい。
[0034]
 チップTの位置情報を得るためのセンサーとしては、例えば、圧力センサー、画像センサー、距離センサー等が挙げられる。距離センサーとしては、例えば、光電レーザーを利用するセンサー、超音波を利用するセンサー、静電気量を利用するセンサー等の各センサーが挙げられる。また、上記センサーのうち、複数のセンサーが情報取得部26aに設けられていてもよい。
[0035]
 情報取得部26aが取得するチップTの位置情報とは、ロボット装置によってチップ接続部25aに接続されたチップTが移動できる範囲内に存在する物のうち何れか一以上とチップTとの距離に基づくものとすることもできる。チップTが移動できる範囲内に存在する物とは、例えば、ロボット装置1aの周辺の床や作業台等に載置されている物であり、具体的には、例えば、実験器具や実験装置等が挙げられる。また、液体を収容した容器や液体を分注するチューブやバイアルも、これらの物に含まれる。
[0036]
 本実施形態のロボット装置では、ピペット装置2aはロボット装置1aのアーム部11に固定されていないため、ピペット装置2aを把持していないときには、他の実験機器を操作することも可能である。このような場合、他の実験機器もアーム部11周辺に置かれていることとなる。また、複数の実験機器等を精度高く所定の位置に配置することは、ユーザにとって負担が大きい。本実施形態の液体処理システムD1では、チップTの位置情報をロボット装置1aに送信してロボット装置1aの動作を制御することにより、例えば、他の実験機器が予め設定した位置に配置されていなかった場合であっても、チップTと他の実験機器等との接触を防止できる。また、チップTが他の実験機器等に接触したことを情報としてロボット装置1aへ送信することにより、接触後のチップTが容器内の液体と接触して液体が汚染されることを防止するようにロボット装置1aを設定しておくこともできる。
[0037]
 また、情報取得部26aは、例えば、チップTの内側へ加えられる圧力を検知する内圧センサーを備えていることが好ましい。内圧センサーによって、液体が収容された容器内で、圧力の変化に基づき、チップTの位置情報を取得することができる。この場合、チップTの位置情報は、例えば、容器内の液体の液面とチップTの先端との距離に基づく情報とすることもできる。また、内圧センサーによってチップTの内圧をモニターすることで、液体の吸引時等において、チップ接続部25aへのチップTの接続状態が適切であるか否かを検出することができる。さらに、内圧センサーによって、後述する液体の状態に関する情報をも取得することができる。
[0038]
<送信部>
 ピペット装置2aにおいて、送信部27は、ロボット装置へデータを送信するためのインターフェースである。このデータには、情報取得部26aが取得した、チップ接続部25aと接触した状態におけるチップTの位置情報と駆動部21の状態に関する情報とを含む。例えば、ロボット装置1aにおいては、これらの情報に基づき、制御部15がアーム部11等の動作を制御することができる。
[0039]
2.第1実施形態に係る液体処理システムによる液体の処理
 本実施形態の液体処理システムD1の動作について説明する。即ち、液体処理システムD1による液体の処理方法について説明する。図4は、液体処理システムD1による液体の処理についての全体動作の概要を示すフローチャートである。図4に示すように、液体の処理方法では、チップの位置決め工程S11、液体の吸引工程S12、チップの位置決め工程S13、液体の吐出工程S14の各工程を有する。なお、本実施形態の液体処理システムD1は、所定量の液体を吸引して吐出することにより、液体の分注操作に好適に用いられ得るが、例えば、液体の吸引と吐出とを繰り返して液体を撹拌する操作や、容器に収容された液体から特定の層のみを吸引して、容器から取り除く操作などに用いることも可能である。従って、本実施形態の液体処理システムD1の用途は、液体の分注に限定されるものではない。
[0040]
 図5は、液体処理システムD1におけるチップの位置決め工程S11の概要を示すフローチャートである。図5を参照しながら、チップTの位置決め工程S11について詳細に説明する。
[0041]
 液体処理システムD1では、先ず、ロボット装置1aはピペット装置2aと接続したチップTの位置決めを開始する信号を送信する(図5、S1111)。ピペット装置2aでは、信号を受信すると情報取得部26aを起動させ(図5、S1121)、起動したことをロボット装置1aへ送信する。ロボット装置1aが信号を受信すると、チップの位置決めを開始して、予め設定されている所定の位置(設定座標軸)へチップTが移動するようにピペット装置2aを移動させる(図5、S1112)。設定座標軸については、例えば、X軸、Y軸、Z軸の各座標軸を記憶部16等に保存しておくことができる。
[0042]
 チップTが設定位置へ移動される間、情報取得部26aは、継続的にチップTの位置情報をロボット装置1aへ送信してもよい。この場合、チップTの位置情報は、ロボット装置1aによってチップTが移動できる範囲内に存在する物のうち何れか一以上とチップTとの距離に基づくものとすることができる。これらの物品については、上述した通りである。また、工程S1112において、チップTと物品との接触を回避するために、情報取得部26aは、距離センサー又は画像センサーを有していることが好ましい。
[0043]
 ロボット装置1aにおいて予め設定されている座標軸へのチップTの移動が完了すると、ロボット装置1aは、チップTの位置情報の取得の開始をピペット装置2aへ送信する(図5、S1113)。信号を受信したピペット装置2aでは、情報取得部26aによってチップTの位置情報を取得し、その情報をロボット装置1aへ送信する(図5、S1122)。
[0044]
 この時、工程S1112において、情報取得部26aがチップTの位置情報を取得し、ロボット装置1aへ送信している場合には、情報取得部26aは、工程S1113の初めにチップTの位置情報の内容を切り替えることもできる。具体的には、チップTの位置情報を、チップTが移動できる範囲内に存在する物との距離に基づくものから、容器に収容された液体の液面や、容器の底面との距離に基づくものへ切り替えることができる。また、例えば、情報取得部26aが複数種類のセンサーを有している場合、工程S1112と工程S1113の各々で送信される信号に応じて、使用するセンサーを切り替えることもできる。例えば、工程S1113の信号を受信したピペット装置2aの情報取得部26aは、使用するセンサーを画像センサーから距離センサーへ切り替えることもできる。
[0045]
 チップTの位置情報については、ロボット装置1aにおいて、予め定められた基準を満たすか否か判定され(図5、S1114)、基準を満たす場合には、チップの位置情報の取得を終了する信号をピペット装置2aへ送信し(図5、S1116)、ピペット装置2aは、チップの位置情報の取得を終了して(図5、S1123)、チップTの位置決め動作は完了する。
[0046]
 一方、基準に満たない場合には、ロボット装置1aは、チップTの位置について補正する(図5、S1115)。具体例としては、情報取得部26aに備えられている距離センサーによって測定されるチップTの先端と容器内の液面との距離が基準より長ければ、その距離が基準を満たすようにアーム部11を駆動させて、チップTの位置を下方へ移動させる。また、上記距離が基準値よりも短ければ、その距離が基準を満たすように、チップTの位置を上方へ移動させる。
[0047]
 液体処理システムD1では、チップTの位置情報の取得開始信号の送信(S1113)、チップTの位置情報の取得(S1122)、基準との比較(S1114)、チップT位置の補正(S1115)の各工程を繰り返すことにより、次の工程である液体の吸引(図4、S12)において、最適な位置にチップTを位置付けることができる。
[0048]
 図6は、液体処理システムD1における液体の吸引工程S12の概要を示すフローチャートである。図6を参照しながら、液体の吸引工程S12について詳細に説明する。
[0049]
 液体処理システムD1では、先ず、ロボット装置1aは、ピペット装置2aへ液体の吸引を開始する信号を送信する(図6、S1211)。本工程S1211で送信される信号と共に、液体の吸引量に関する情報がロボット装置1aからピペット装置2aへ送信されることが好ましい。加えて、液体の吸引速度に関する情報についても、ロボット装置1aからピペット装置2aへ送信されることが好ましい。ピペット装置2aでは、信号を受信すると情報取得部26aを起動させて(図6、S1221)、駆動部21の状態に関する情報をロボット装置1aへ送信する(図6、S1222)。また、ピペット装置2aでは、信号に応じて液体の吸引を行うため、駆動部21において、プランジャー211の移動を開始する(図6、S1223)。
[0050]
 駆動部21の状態に関する情報を取得したロボット装置1aでは、アーム部11の駆動を開始する(図6、S1212)。このピペット装置2aからの情報の取得は、ピペット装置2aからの吸引完了信号(図6、S1226)を受信するまで継続される。例えば、ロボット装置1aは、駆動部21に関する情報として、プランジャー211の位置情報をピペット装置2aから受信する。この情報に基づき、ロボット装置1aでは、アーム部11を駆動させ、ピペット装置2aを把持していない他のアーム部11によって、液体の吸引速度に合わせて、液体が収容されている容器を傾けることもできる。また、チップTへの液体の吸引速度に合わせて、チップTの位置を下方へ移動させることもできる。このように、液体処理システムD1では、ロボット装置1aとピペット装置2aとを同期させて、液体の吸引工程S12を行うことができる。
[0051]
 一方、ピペット装置2aでは、駆動部21の状態に関する情報に基づき、制御部23は、例えば、プランジャー211の位置が設定された値に達するまで(図6、S1224)、プランジャー211の移動を継続する。設定値は、例えば、液体の吸引量に相当するプランジャー211の移動量等に対応する値とすることができる。ロボット装置1aからの吸引開始の信号と同様に、設定値がロボット装置1aからピペット装置2a側へ送信されることにより、ピペット装置2aにおいて、液体の吸引量を決めることができる。
[0052]
 プランジャー211の移動量が設定値に達すると、ピペット装置2aでは、プランジャー211の移動を終了する(図6、S1225)。その後、ピペット装置2aからロボット装置1aへ液体の吸引完了の信号が送信され(図6、S1226)、信号を受信したロボット装置1aでは、アーム部11の駆動が終了して(図6、S1213)、液体処理システムD1による液体の吸引動作は完了する。
[0053]
 液体を吸引した後、液体処理システムD1では、所望の容器等へ液体を吐出するために、再びチップTの位置決め工程S13を行う。チップTの位置決め動作については、上述した液体の吸引工程S12の前の工程であるチップTの位置決め工程S11と同様である。このため、チップの位置決め工程S13については、説明を省略する。
[0054]
 図7は、液体処理システムD1による液体の吐出工程S14の概要を示すフローチャートである。図7を参照しながら、液体の吐出工程S14について詳細に説明する。
[0055]
 液体処理システムD1では、先ず、ロボット装置1aは、ピペット装置2aへ吐出を開始する信号を送信する(図7、S1411)。本工程S1411で送信される信号と共に、液体の吐出量に関する情報がロボット装置1aからピペット装置2aへ送信されることが好ましい。加えて、液体の吐出速度に関する情報についても、ロボット装置1aからピペット装置2aへ送信されることが好ましい。ピペット装置2aでは、信号を受信すると情報取得部26aを起動させて(図7、S1421)、駆動部21の状態に関する情報をロボット装置1aへ送信する(図7、S1422)。また、ピペット装置2aでは、信号に応じて液体の吐出を行うため、駆動部21において、プランジャー211の移動を開始する(図7、S1423)。
[0056]
 駆動部21の状態に関する情報を取得したロボット装置1aでは、アーム部11の駆動を開始する(図7、S1412)。このピペット装置2aからの情報の取得は、ピペット装置2aからの吐出完了信号(図7、S1426)を受信するまで継続される。例えば、ロボット装置1aは、駆動部21に関する情報として、プランジャー211の位置情報をピペット装置2aから受信する。この情報に基づき、ロボット装置1aでは、アーム部11を駆動させ、ピペット装置2aを把持していない他のアーム部11によって、液体の吐出速度に合わせて、液体が収容される容器を動かすこともできる。また、チップTからの液体の吐出速度に合わせて、チップTの位置を上方へ移動させることもできる。このように、液体処理システムD1では、ロボット装置1aとピペット装置2aとを同期させて、液体の吐出工程S14を行うことができる。
[0057]
 一方、ピペット装置2aでは、駆動部21の状態に関する情報に基づき、制御部23は、例えば、プランジャー211の位置が設定された値に達するまで(図7、S1424)、プランジャー211の移動を継続する。設定値とは、例えば液体の吐出量に相当するプランジャー211の移動量等に対応する値とすることができる。ロボット装置1aからの吐出開始の信号と同様に、設定値がロボット装置1aからピペット装置2a側へ送信されることにより、ピペット装置2aにおいて、液体の吐出量を決めることができる。
[0058]
 プランジャー211の移動量が設定値に達すると、ピペット装置2aでは、プランジャー211の移動を終了する(図7、S1425)。その後、ピペット装置2aからロボット装置1aへ液体の吐出完了の信号が送信され(図7、S1426)、信号を受信したロボット装置1aでは、アーム部11の駆動が終了して(図6、S1413)、液体処理システムD1による液体の吐出動作は完了する。
[0059]
 上述した液体の吐出工程S14では、液体を1回吐出する場合を説明したが、例えば、液体の吐出動作は、複数の容器へ液体を連続して分注するように設定されていてもよい。この場合にも、ロボット装置1aからの液体の吐出開始の信号をピペット装置2aが受信することにより、ピペット装置2aにおける液体の分注が開始される。さらに、液体を1回吐出する動作と液体の連続分注動作を切替えるための信号がロボット装置1aからピペット装置2aへ送信されてもよい。
[0060]
 本実施形態の液体処理システムD1では、上述したように、液体の吸引の開始及び/又は吐出の開始の信号がロボット装置1aからピペット装置2aへ送られる。この結果、ピペット装置2の制御部23は、信号に応じて液体の吸引及び/又は吐出を開始することができる。即ち、ロボット装置1aから送信される信号によって液体の吸引及び/又は吐出のタイミングが制御される。このため、本実施形態の液体処理システムD1では、ロボット装置1aのアーム部11や爪部111が、液体の吸引及び/又は吐出のために、プランジャー211を駆動させるためのボタンやレバーなどを操作する必要がない。従って、アーム部11に複雑な動作を設定しなくても、ロボット装置1aが把持するピペット装置2aによって、簡便に液体の吸引及び/又は吐出を行うことができる。また、複雑な動作が不要となることにより、アーム部11の爪部111等の構成を単純化することもできる。
[0061]
 本実施形態の液体処理システムD1において、液体の吸引量及び吐出量の設定値がロボット装置1aからピペット装置2aに送信される場合には、公知の手動又は電動ピペットのように、液量の設定を、ピペット側を操作して入力する必要が不要となる。このため、アーム部11が、ピペットへ設定値を入力するための複雑な動作を行う必要がなくなり、液体処理システムD1の動作プログラムをより単純化できる。
[0062]
 さらに、液体処理システムD1において、液体の吸引速度及び吐出速度の設定値がロボット装置1aからピペット装置2aに送信される場合には、公知の手動ピペットを用いる場合と異なり、爪部111等よって、ピペットに設けられたボタン等を所定の速度で押し下げる動作や、前記ボタンを押し下げた状態から所定の速度で元の位置に戻す動作を行う必要がない。このため、アーム部11が複雑な動作を行う必要がなくなり、液体処理システムD1の動作プログラムをより単純化できる。
[0063]
 本実施形態の液体処理システムD1では、チップTの位置情報を取得する情報取得部26aを有することにより、ロボット装置1aによるチップTの位置決めの精度が高まる。このため、例えば、検体ごとに液量が異なる場合であっても、予め定められたチップの位置と実際の液面との誤差を補正することで、所望の液量を確実に吸引することができる。また、例えば、ユーザが容器等を設置する位置についても予め定められた位置と実際の位置との誤差について、許容範囲が広がる。
[0064]
 さらに、本実施形態の液体処理システムD1では、情報取得部26aは、駆動部21の状態に関する情報を取得することにより、液体の吸引及び/又は吐出の際、液体の流速等に合わせてアーム部11を駆動させることができる。このため、例えば、人の手によって行われるピペット操作において、液面とピペットチップ先端との間の適切な距離を保ちながら液体を吸引又は吐出する動作等を、複雑なプログラムを作成することなく、ロボット装置1aに行わせることができる。
[0065]
3.第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システム
 第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システムD11について、図8にピペット装置2bの構成を示す。ピペット装置2bは、情報取得部26bに設けられた外圧センサー261以外の構成は第1実施形態に係る液体処理システムD1のピペット装置2aと同一であるため、同一の構成についての説明は省略する。また、ロボット装置についても第1実施形態のロボット装置1aと同一の構成であるため、説明は省略する。
[0066]
 図8に示すように、情報取得部26bは、少なくとも、チップ接続部25aのチップTと接する面へ加えられる圧力を検知する圧センサーを備える。本実施形態及び後述する実施形態では、当該圧力センサーは、チップ接続部25aの外面においてチップTと接触するため、これを便宜的に外圧センサー261と称する。外圧センサー261によって、後述するチップ接続部25aへのチップTの接続をより確実に行うことができる。外圧センサーとしては、例えば、ロードセル等を採用することができる。
[0067]
 特に、情報取得部26bは、外圧センサー261に加えて上述した内圧センサーを備えていることが好ましい。内圧センサーと外圧センサー261の両方が情報取得部26bに備えられることにより、チップTをより適切にチップ接続部25aへ接続することができる。
[0068]
4.第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システムによる液体の処理
 図9は、第1実施形態の変形実施形態に係る液体処理システムD11の動作の概要を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施形態では、チップの位置決め工程S11の前に、チップ接続工程S10を有する。チップ接続工程S10は、ピペット装置2bのチップ接続部25aへチップTを接続する工程である。チップTは上述したように、例えば、ディスポーザブルユーズのものを用いることもできる。以下、チップ接続工程S10について、図10を参照しながら説明する。なお、チップの位置決め工程S11から液体の吐出工程S14までは、上述した各工程と同一であるため、ここでは説明を省略する。
[0069]
 チップ接続工程S10においては、先ず、ロボット装置1aがピペット装置2bへチップTの接続を開始する信号を送信する(図10、S1011)。ピペット装置2bでは、信号を受信すると情報取得部26bを起動させる(図10、S1021)。また、ロボット装置1aは、把持しているピペット装置2bを、チップ接続部25aが予め定められた位置(設定位置)へ位置付けられるように移動させる(図10、S1012)。
[0070]
 ピペット装置2bの移動が完了すると、ロボット装置1aは、チップTの位置情報の取得を開始する信号を送信する(図10、S1013)。この信号を受けて、ピペット装置2bは、チップTの位置情報をロボット装置1aへ送信する(図10、S1022)。ここで述べるチップTの位置情報とは、チップ接続部25aに接続している状態におけるチップTの位置情報ではなく、例えば、チップケース等に収容された状態にあるチップTの位置情報である。また、工程S1022において、情報取得部26bが用いるセンサーは、距離センサー又は画像センサーが好ましい。距離センサー又は画像センサーによって、チップTに対するピペット接続部25aの距離を測定することができる。
[0071]
 チップTの位置情報を取得したロボット装置1aでは、位置情報が基準を満たすか否か判定する(図10、S1014)。基準を満たしている場合、ロボット装置1aは、把持しているピペット装置2bを押し下げる動作を開始する(図10、S1015)。
[0072]
 前記位置情報が基準を満たしていない場合、ロボット装置1aは、アーム部11を駆動させることにより、対応できるか否か判定する(図10、S1018)。この判定についても、基準を設けて、基準を満たすか否かによって判定することができる。対応可能と判定された場合、ロボット装置1aはアーム部11を駆動させて(図10、S1019)、再び、チップTの位置情報の取得の開始信号をピペット装置2bへ送信して、チップTの位置情報が基準を満たすまで、工程S1013と工程S1014とを繰り返す。なお、工程S1018において、アーム部11の駆動では対応できないと判定された場合には、ロボット装置1aは、チップ接続工程S10を終了する。
[0073]
 工程S1014において、チップTの位置情報が基準を満たし、ピペット装置2bの押し下げが開始された後、ピペット装置2bでは、情報取得部26bによって、チップ装着部25aのチップTと接する面へ加えられる圧力に関する情報を取得し、ロボット装置1aへ送信する(図10、S1023)。また、圧力に関する情報とは具体的な圧力値であってもよく、圧力値を予め定められた規則等に基づき変換した値でもよく、外圧センサー261が検知した圧力値に基づく情報であれば、いずれであってもよい。
[0074]
 ロボット装置1aでは、ピペット装置2bから送信された圧力に関する情報が基準を満たすか否か判定する(図10、S1016)。基準を満たしている場合には、ロボット装置1aは、チップ接続完了の信号をピペット装置2bへ送信して(図10、S1017)、チップの接続工程S10が完了する。
[0075]
 一方、工程S1016において、圧力に関する情報が基準を満たさなかった場合には、ロボット装置1aは、再びピペットの押し下げを継続して、基準を満たすまで、工程S1015と工程S1016とを繰り返す。
[0076]
 本実施形態に係る液体処理システムD11では、情報取得部26bに外圧センサー261を備えることにより、チップ接続部25aのチップTと接する面へ加えられる圧力の変化に基づき、チップ接続部25aとチップTとの接続状態を確認できる。このため、液体の吸引や吐出の過程でチップTがチップ接続部25aから外れてしまい、液体を汚染することなどを防止することができる。
[0077]
 また、情報取得部26bに距離センサー又は画像センサーが備えられている場合には、チップTの接続において予め設定されている位置の情報と、ピペット装置2bから送信されるチップTの位置情報の両方に基づいて、アーム部11を駆動させることができる。このため、予め設定されている位置の情報のみでチップTを接続する場合に比べて、より確度高くチップTをチップ接続部25aへ接続することができる。本実施形態に係る液体処理システムD11の他の効果は、上述した第1実施形態に係る液体処理システムD1と同様である。
[0078]
 なお、チップTをチップ接続部25aから外す場合については、チップTの廃棄用容器等に対するチップTの位置決めを、図5に示すチップ位置決め工程S11に従い行うこともできるが、廃棄用容器の開口部が十分な大きさを有していれば、アーム部11によって予めチップTの廃棄の位置として設定されている地点までピペット装置2bを移動させて、精緻な位置決めを行うことなく、チップTを取り外してもよい。また、チップTの取り外しについては、ピペット装置2bに、チップ取り外し用のエジェクターボタン282を設け、アーム部11に設けられた爪部111等で、エジェクターボタン282を押して、チップTをチップ接続部25aから外してもよい。
[0079]
5.本発明の第2実施形態に係る液体処理システム
 本発明の第2実施形態に係る液体処理システムD2の動作について、図11を参照して説明する。なお、液体処理システムD2の構成は、第1実施形態に係る液体処理システムD1と同一であるため、各構成の説明は省略する。
[0080]
 図11は、第2実施形態に係る液体処理システムD2における液体の吸引動作の概要を示すフローチャートである。液体処理システムD2では、ロボット装置1aからの信号及び駆動部21の状態に関する情報に基づき液体をチップTに吸引する速度及び/又はチップTに保持されていた液体をチップTから吐出する速度が制御される。
[0081]
 液体処理システムD2では、先ず、ロボット装置1aは、ピペット装置2aへ吸引を開始する信号を送信する(図11、S2211)。また、液体の吸引量と吸引速度の設定値についても、併せてピペット装置2aへ送信される。ピペット装置2aでは、信号を受信すると情報取得部26aを起動させて(図11、S2221)、駆動部21の状態に関する情報をロボット装置1aへ送信する(図11、S2222)。また、ピペット装置2aでは、信号に応じて液体の吸引を行うために、駆動部21において、プランジャー211の移動を開始する(図11、S2223)。
[0082]
 駆動部21の状態に関する情報を取得したロボット装置1aでは、アーム部11の駆動を開始する(図11、S2212)。このアーム部11の駆動に関しては、図6に示す液体の吸引工程のうち工程S1212と同様である。
[0083]
 一方、ピペット装置2aでは、駆動部21の状態に関する情報に基づき、制御部23は、例えば、プランジャー211の位置が設定された値に達する(図11、S2225)までプランジャー211の移動を継続する。また、本実施形態に係る液体処理システムD2では、情報取得部26aが取得する駆動部21の状態に関する情報に基づき、制御部23は液体の吸引速度が設定値に一致しているか否か判定し(図11、S2224)、一致していない場合には、駆動部21の駆動を制御して、予め定められた液体の吸引速度となるように、吸引速度の再調整を行う(図11、S2226)。
[0084]
 プランジャー211の移動量が設定値に達すると、ピペット装置2aでは、プランジャー211の移動を終了する(図11、S2227)。その後、ピペット装置2aからロボット装置1aへ液体の吸引完了の信号が送信され(図11、S2228)、アーム部11の駆動が終了して(図11、S2213)、液体処理システムD2による液体の吸引動作は完了する。
[0085]
 液体の吐出についても、上述した吸引と同様に、ロボット装置1aから液体の吐出量と吐出速度の設定値がピペット装置2aへ送信される。また、情報取得部26aが、駆動部21の状態に関する情報を取得することにより、設定値と一致していない場合には、制御部23が駆動部21を制御して吐出速度の設定値に一致させることもできる。
[0086]
 本実施形態に係る液体処理システムD2では、上述したように、駆動部21の状態に関する情報を情報取得部26aが取得することにより、液体の吸引速度及び吐出速度について、フィードバック制御を行うことができる。このため、より確実に、予め設定された流速で液体を吸引して吐出することができる。本実施形態に係る液体処理システムD2の他の効果は、上述した第1実施形態に係る液体処理システムD1と同様である。
[0087]
6.本発明の第3実施形態に係る液体処理システム
 図12に、本発明の第3実施形態に係る液体処理システムD3の構成の概要を示す。液体処理システムD3に備えられたロボット装置1cの構成において、解析部17以外の構成は、第1実施形態に係る液体処理システムD1に備えられるロボット装置1aと同一であるため、同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
[0088]
 図12に示す解析部17は、後述する液体の状態に関する情報を解析するための構成である。解析部17には、例えば、CPUやメモリ等を備える汎用コンピューターを採用することもでき、また、制御部15に汎用コンピューターを採用している場合には、制御部15と解析部17とを一台の汎用コンピューターで構成してもよい。
[0089]
 図13にピペット装置2cの構成例を示す。図13に示す各構成のうち、第1実施形態に係る液体処理システムD1に備えられているピペット装置2aと同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
[0090]
 液体処理システムD3において、ピペット装置2cに備えられた情報取得部26cは、液体に関する情報を取得することができる。図13に示すように、情報取得部26cは、上述した情報に加えて、液体の状態に関する情報を取得するためのセンサーを備えていることが好ましい。当該センサーについては、液体の状態に関する情報を取得できれば、その構成については公知のセンサーの中から適宜採用することができる。例えば、圧力センサー、温度センサー、pHセンサー、光センサー、吸光度センサー、濁度センサー、画像センサー、距離センサー等が挙げられる。また、センサーは一種類であってもよく、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
[0091]
 液体の状態に関する情報とは、例えば、液体における気泡の有無、液体における異物の混入、液体の粘度、液体の濁度、液体の温度、液体のpH、液体の吸光度、液体の蛍光強度等である。また、液体が例えば、細胞培養液であれば、液体の状態に関する情報に、培養液中の細胞数を含めることもできる。情報取得部26cは、このような液体の状態に関する情報のうち、1項目のみの取得を行ってもよく、複数の項目の取得を行ってもよい。
[0092]
 図13は、情報取得部26cの一例として、チップ接続部25cのチップTと接する面へ加えられる圧力を検知するための圧力センサー(外圧センサー261)、チップTの内側へ加えられる圧力を検知するための内圧センサー262、画像センサー263及び距離センサー264の4種類のセンサーが設けられた構成を示す。なお、各センサーの配置は、図13に示す配置に限定されるものではなく、ピペット装置2cの大きさや取り扱う液体の性質、ロボット装置1cの爪部111の形状等に応じて、適宜設計することができる。
[0093]
 また、液体の状態に関する情報を取得するためのセンサーは、上述したチップTの位置情報や駆動部21の状態に関する情報を取得するためのセンサーと併用されていてもよい。センサーが併用される場合、ロボット装置1cは、動作に応じて、センサーの検出する対象などを切り替える信号をピペット装置2cに送るように設定されていてもよい。
[0094]
 また、ピペット装置2cでは、チップ接続部25cのうち少なくともチップTと接触する部分Eは、導電性を有する材料で構成されている。導電性を有する材料としては、例えば、金、白金、窒化チタン等の金属やカーボンなどが挙げられる。また、チップ接続部25cに接続されるチップTについても、後述する液体の状態に関する情報を取得するために、導電性を有するチップTを用いることが好ましい。また、使用するチップTの種類を変えることにより、後述する液体の状態に関する情報のうち、取得する情報を変えることもできる。導電性を有するチップTとしては、例えば、カーボン製チップが挙げられる。これらのチップTを用いることにより、液体の状態に関する情報を、液体の吸引工程や液体の吐出工程において、液体の吸引や吐出と併せて取得することもできる。
[0095]
7.第3実施形態に係る液体処理システムによる液体の処理
 図14は、液体処理システムD3による液体の処理方法の概要を示すフローチャートである。図14に示すように、液体の処理方法は、チップ接続工程S31、チップの位置決め工程S32、液体の吸引工程S33、液体の状態に関する情報の取得工程S34、チップの位置決め工程S35、液体の吐出工程S36の各工程を有する。これらの工程のうち、液体の状態に関する情報の取得工程S34以外については、第1実施形態の液体処理システムD1における液体処理工程の同一名称の工程と同様である。そのため、これらの工程の説明は省略する。なお、液体の状態に関する情報の取得工程S34は、後述する液体の状態に関する情報取得が可能であれば、液体の処理方法において、図14に示す順序に限定されるものではない。例えば、液体の吸引工程S33の前に液体の状態に関する情報の取得工程S34を行ってもよい。
[0096]
 図15は、液体の状態に関する情報の取得工程S34の概要を示すフローチャートである。本工程S34では、ロボット装置1cは、液体の状態に関する情報の取得開始の信号をピペット装置2cへ送信する(図15、S3411)。ピペット装置2cにおいて制御部23は、情報取得部26cを起動させる(図15、S3421)。ピペット装置2cは、液体の状態に関する情報を取得して、送信部27は、液体の状態に関する情報をロボット装置1cへ送信する(図15、S3422)。
[0097]
 情報取得部26cに備えられているセンサーのうち、例えば、内圧センサー262によって、チップT内の圧力変化を検知することができる。例えば、液体に気泡が含まれている場合、チップT内の圧力は、気泡が存在しない場合と比べて変化するため、内圧の変化を検知することにより、液体における気泡の有無についての情報を取得することができる。また、粘度の高い液体を吸引する場合や吐出する場合にも、チップT内の圧力の変化が粘度の低い液体と比べて異なる。このため、チップTの内圧の変化を検知することにより、液体の粘度についての情報を取得することもできる。また、画像センサー263によって、液体の濁度や液体の吸光度、液体の蛍光強度、液体における異物の混入の有無を検出することもできる。
[0098]
 さらに、液体処理システムD3では、チップ接続部25cの少なくとも一部を、導電性を有する材料で構成し、チップTに導電性を有するものを採用することにより、チップTが電極として機能することで、液体の温度、pH等を測定することもできる。液体に関する情報については、上述したセンサーが検出した値自体を情報としてロボット装置1cへ送信することもできるが、情報取得部26cにおいて検出値等を気泡の有無や異物の有無など、別の情報に変換した上で、ロボット装置1cへ送信することもできる。
[0099]
 情報を受信したロボット装置1cでは、解析部17によって、液体の状態に関する情報が解析される(図15、S3412)。解析部17は、液体の状態に関する情報のうち、例えば濁度等一つの項目の情報のみを解析することもでき、また、濁度と温度等、複数の項目の情報を組み合わせて解析することもできる。解析部17が行う解析には公知の解析手法を用いることができる。また、解析部17による解析に用いられるプログラムは、記憶部16に格納されていてもよい。
[0100]
 解析部17における解析が終了すると、ロボット装置1cは、解析完了信号をピペット装置2cへ送信して(図15、S3413)、ピペット装置2cの制御部23は、情報取得部26cを停止させる(図15、S3423)。
[0101]
 液体処理システムD3では、解析結果は、例えば、記憶部16等に保存しておき、ユーザが適切な時に解析結果を利用することもできる。また、液体処理システムD3による液体の処理において、複数の工程の中に液体の状態に関する情報の取得工程S34を複数回組み込むことにより、液体の状態をモニターして、各解析結果を履歴として保存することもできる。
[0102]
 さらに、液体処理システムD3では、ロボット装置1cの制御部15が実行するプログラムについて、解析結果に合わせてロボット装置1cの動作を変更するように設定しておくこともできる。例えば、解析の結果、液体が基準を超えて気泡を含むと判定された場合には、チップT内に吸引された液体を廃棄して、再度、液体の吸引工程S33を行うように設定できる。また、例えば、取り扱う複数の液体試料のうち、いずれかの試料に異物が検知された場合には、液体の状態に関する情報の取得工程S34の次の工程以降、その試料を液体処理の対象から除外するように液体処理システムD3の動作を変更する。
[0103]
 また、液体処理システムD3では、上述した1種類又は複数種類のセンサーを用いて取得される、液体の状態に関する情報を利用することにより、液体処理システムによる液体の処理の際に生じた異常を検知して、ロボット装置1cにエラー処理の動作を実行させることもできる。図16は、液体処理システムD3におけるエラー処理方法の一例を示すフローチャートである。図16を参照しながら、エラー処理方法について説明する。
[0104]
 図16に示すように、先ず、ピペット装置2cにおいて異常値を検知すると(図16、S4201)、ピペット装置2cは、エラー信号を送信する(図16、S4202)。また、このエラー信号と共に、異常値に関する情報がロボット装置1cへ送信される(図16、S4203)。異常値に関する情報とは、例えば、異常値が検出された項目とその値、さらに異常値が検出された時点のピペット装置2cの状態等である。具体的には、例えば、液体の温度、濁度、pH、粘度等、上述した各種センサーによって測定される項目とその値等である。また、この異常値の検知には、上述した各種センサーが検出する値などを予め定められた基準と比較することにより行うことができる。ロボット装置1cへ送信された異常値に関する情報は、例えば、記憶部16に保存することもできる。また、ロボット装置1cにおいては、図16に例示されるエラー処理動作に関するログが記憶部16等に保存されてもよい。
[0105]
 エラー信号を受信したロボット装置1cでは、制御部15がエラー処理の動作を開始する(図16、S4101)。制御部15は、受信した異常値に関する情報について判定を開始する(図16、S4102)。判定においては、先ず、エラーの重篤度が判定される(図16、S4103)。例えば、気泡の混入が基準内であれば、エラーは軽微と判定する。一方、気泡の混入が基準を満さなれければ、エラーは重篤と判定する。エラーが重篤と判定された場合には、ロボット装置1cは、ユーザへ異常の通知処理を行い(図16、S4113)、ロボット装置1cは待機状態となる(図16、S4114)。
[0106]
 エラーを軽微と判定した場合、ロボット装置1cは、異常が発生した時のピペット装置2cの状態について判定する(図16、S4104)。判定の結果、異常発生時が液体の処理時でなければ、ロボット装置1cは、ピペット装置2cを液体廃棄場所まで移動させる(図16、S4106)。一方、異常が発生した時のピペット装置2cが液体の処理中であれば、ロボット装置1cは、扱う液体が希少なものであるか否かを判定する(図16、S4105)。液体が希少なものであるか否かなどの情報は、例えば、記憶部16などに保存されていてもよい。扱う液体を希少なものと判定すれば、ロボット装置1cは、ユーザへ異常の通知処理を行い(図16、S4113)、ロボット装置1cは待機状態となる(図16、S4114)。液体が、希少なものではないと判定されれば、ロボット装置1cは、ピペット装置2cを液体廃棄場所まで移動させる(図16、S4106)。
[0107]
 ロボット装置1cは、ピペット装置2cを液体廃棄場所まで移動させると、ピペット装置2cにおいて、吐出と吸引を繰り返してチップT内の液体を排出させる「パージ」を実行させるために、信号を送信する(図16、S4107)。ピペット装置2cは、ロボット装置1cから信号を受信すると駆動部21を駆動させてパージを行う(図16、S4204)。パージを行った後、ピペット装置2cは、パージが完了しているか否か判定する(図16、S4205)。パージが完了しているか否かは、情報取得部26cに備えられた各種センサーが検知する値等に基づいて判定することができる。
[0108]
 ピペット装置2cにおいて、制御部23が、パージが完了していると判定した場合には、ピペット装置2cは、ロボット装置1cへパージ完了の信号を送信する(図16、S4206)。一方、パージが完了していないと判定した場合には、ピペット装置2cは、ロボット装置1cへパージ異常の信号を送信して(図16、S4207)、ピペット装置2cは待機状態となる(図16、S4208)。
[0109]
 ロボット装置1cは、ピペット装置2cから送信される信号が、パージ完了信号とパージ異常信号の何れであるかによって、動作を変更する(図16、S4108)。ロボット装置1cは、パージ異常信号を受信した場合には、ユーザへ異常の通知処理を行い(図16、S4113)、ロボット装置1cは待機状態となる(図16、S4114)。ロボット装置1cは、パージ完了信号を受信した場合には、チップ接続部25cに接続しているチップTの取り外し動作を行い(図16、S4109)、ピペット装置2cを液体の処理動作の開始時の位置に戻す(図16、S4110)。
[0110]
 ロボット装置1cは、液体の処理の動作の再開が可能であるか否か判定する(図16、S4111)。その結果、再開が可能と判定すれば、ロボット装置1cは、液体の処理の動作を再開する(図16、S4112)。一方、再開は不可能と判定すれば、ロボット装置1cは、ユーザへ異常の通知処理を行い(図16、S4113)、ロボット装置1cは待機状態となる(図16、S4114)。
[0111]
 上述したエラー方法では、液体の状態に関して異常を検出した場合を例に説明しているが、ピペット装置2cは、情報取得部26cによって、例えば、プランジャー211の位置のずれや、駆動部21の動作異常等を検知した場合に、エラー信号をロボット装置1cへ送信してもよい。また、ピペット装置2cは、情報取得部26cにおいて取得した駆動部21における異常動作の回数をロボット装置1cへエラーの情報として送信してもよい。液体処理システムD3においては、これらのエラー信号やエラーの情報に応じて、エラー処理動作を行うようにロボット装置1c及びピペット装置2cの動作を、予めプログラムしておくこともできる。
[0112]
 上述した本発明の第3実施形態に係る液体処理システムD3では、情報取得部26cに複数種類のセンサーを備えることにより、液体の状態に関する情報を取得することができる。また、液体の状態に関する情報を利用することで、ロボット装置1cは、ピペット装置2cと協働して液体の処理動作の際に生じたエラーの処理を行うこともできる。このようなエラー処理は、複雑な動作を行うロボット装置1cを用いた液体の処理においては、試料等の液体の処理の精度を上げるために有用である。本実施形態に係る液体処理システムD3の他の効果は、上述した第1実施形態に係る液体処理システムD1と同様である。
[0113]
 本技術によれば、ピペット装置に指示を与えると直ちに、少量の液体であっても、高精度なピペット操作を、大量に高速で行うことができる。また、無線を利用することにより、ピペット操作を人から隔離した場所で行うことができるので、過酷な環境下でのピペット操作や、危険な検体の取り扱いが可能となる。ピペット操作を無人化することもできる。
[0114]
 本技術は、容器の移動・開閉や、検体・培養液等の撹拌などの、研究室で行われる様々な操作を行うことに応用できる。また、従来から研究室にある様々な装置も、本技術を適用することにより活用することができる。

符号の説明

[0115]
D1,D11,D2,D3:液体処理システム
T:チップ
1:ロボット部
1a,1c:ロボット装置
1b:制御盤
1d:汎用コンピューター
11:アーム部
111:爪部
112a,112b:関節
12:(ロボット装置)受信部
13:(ロボット装置)送信部
14:胴体部
15:(ロボット装置)制御部
16:記憶部
17:解析部
18:入力部
19:表示部
2a,2b,2c,2d:ピペット装置
21:駆動部
211:プランジャー
22:(ピペット装置)受信部
23:(ピペット装置)制御部
24a,24b,24c:ケース
25a,25c:チップ接続部
26a,26b,26c:情報取得部
261:外圧センサー
262:内圧センサー
263:画像センサー
264:距離センサー
27:(ピペット装置)送信部
281:把持部
282:エジェクターボタン
283:吸引ボタン
284:吐出ボタン
311:メスピペット

請求の範囲

[請求項1]
 ロボット装置に把持されるピペット装置であって、
 液体の吸引及び/又は吐出を行う駆動部と、
 前記ロボット装置からの信号を受信する受信部と、
 前記駆動部を前記信号に応じて制御する制御部と、
を有するピペット装置。
[請求項2]
 前記液体と接触するチップを接続させるチップ接続部と、
前記チップ接続部と接続した状態における前記チップの位置情報、及び前記駆動部の状態に関する情報を得る情報取得部と、
前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を前記ロボット装置へ送信する送信部と、
を有する請求項1に記載のピペット装置。
[請求項3]
 前記駆動部はプランジャーを備え、
前記駆動部の状態に関する情報は前記プランジャーの位置情報を含む
請求項2に記載のピペット装置。
[請求項4]
 前記チップの位置情報は、前記ロボット装置によって前記チップが移動できる範囲内に存在する物のうち何れか一以上と前記チップとの距離に基づく
請求項2又は3に記載のピペット装置。
[請求項5]
 前記情報取得部は前記チップの内側へ加えられる圧力を検知する内圧センサーを備える
請求項2~4のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項6]
 前記情報取得部は前記チップ接続部の前記チップと接する面へ加えられる圧力を検知する圧力センサーを備える
請求項2~5のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項7]
 前記情報取得部は前記液体の状態に関する情報を取得し、
前記送信部は前記液体に関する情報を前記ロボット装置へ送信する
請求項2~6のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項8]
 前記信号及び前記駆動部の状態に関する情報に基づき前記液体を前記チップに吸引する速度及び/又は前記チップに保持されていた前記液体を前記チップから吐出する速度が制御される
請求項2~7のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項9]
 前記信号によって前記液体の吸引及び/又は吐出のタイミングが制御される
請求項1~8のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項10]
 前記制御部は無線通信によって前記駆動部を制御する
請求項1~9のいずれか一項に記載のピペット装置。
[請求項11]
 ロボット装置と該ロボット装置に把持されるピペット装置と、を備え、
前記ピペット装置は、
液体の吸引及び/又は吐出を行う駆動部と、
前記ロボット装置からの信号を受信する受信部と、
前記駆動部を前記信号に応じて制御する制御部と、
を有する液体処理システム。
[請求項12]
 前記ピペット装置は、
前記液体と接触するチップを接続させるチップ接続部と、
前記チップ接続部と接続した状態における前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を得る情報取得部と、
前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報を前記ロボット装置へ送信する送信部と、を有し、
 前記チップの位置情報及び前記駆動部の状態に関する情報に基づき前記ロボット装置の動作が制御される
請求項11に記載の液体処理システム。
[請求項13]
 前記ロボット装置は、アーム部を備え、
該アーム部は複数の関節を有する
請求項11又は12に記載の液体処理システム。
[請求項14]
 前記ロボット装置は、制御盤及びコンピューターを備える、請求項13に記載の液体処理システム。
[請求項15]
 前記コンピューターは、入力部、送信部、受信部、表示部、制御部及び記憶部からなる群から選択される部を含む、請求項14に記載の液体処理システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]