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1. (WO2015141442) シール部材及びその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 シール部材及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

実施例

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2A   2B   3   4A   4B   5A   5B  

明 細 書

発明の名称 : シール部材及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、油圧機器に用いられるシール部材及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 油圧式の無段変速機などの各種油圧機器が搭載された自動車が知られている。これらの油圧機器には、オイルをシールするためのシールリングが用いられる。シールリングは、例えば、ハウジングに挿通されるシャフトに嵌め込まれ、ハウジングとシャフトとの間を封止する。
[0003]
 シールリングは、ハウジングとシャフトとの間の高いシール特性を実現するために、ハウジング及びシャフトに隙間なく密着可能であることが好ましい。このため、シールリングは、ゴム弾性を有するエラストマーで形成される場合がある。特許文献1,2には、エラストマーで形成されたシールリングが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2012-255495号公報
特許文献2 : 特開2013-194884号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 油圧機器が搭載された自動車では、燃費向上のため、油圧機器の駆動損失の低減が望まれている。
[0006]
 シールリングは、油圧機器の駆動時に、ハウジングやシャフトに対して往復摺動する。このため、油圧機器には、シールリングとハウジングとの間の摩擦力や、シールリングとシャフトとの間の摩擦力による駆動損失である摩擦損失(フリクションロス)が生じる。したがって、シールリングは、油圧機器の摩擦損失を低減するために、高い摺動特性を有することが好ましい。
[0007]
 しかしながら、エラストマーは、一般的に、ゴム弾性に富むものの、摩擦係数が高い。このため、エラストマーにより形成されたシールリングでは、高いシール特性が得られやすいものの、高い摺動特性が得られにくい。
[0008]
 以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、シール特性及び摺動特性に優れるシール部材及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るシール部材は、フッ素系エラストマーとフッ素樹脂とを含む複合材料から成る。
 上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)とのうちの少なくとも1つを有する。
 上記シール部材の150℃における圧縮永久歪みが90%以下である。
 この構成により、シール特性及び摺動特性に優れるシール部材を提供することができる。
[0010]
 上記複合材料が20重量%以上40重量%以下の上記フッ素樹脂を含んでもよい。
 この構成により、シール特性と摺動特性とのバランスが良好なシール部材を提供することができる。
[0011]
 上記フッ素樹脂の粒径が10μm以下であってもよい。
 この構成により、更に摺動特性に優れるシール部材を提供することができる。
[0012]
 上記シール部材はリング状に成形されていてもよい。
 この構成により、シール特性及び摺動特性に優れるシールリングを提供することができる。
[0013]
 また、本発明の一形態に係るシール部材の製造方法では、150℃における圧縮永久歪みが20%以下のフッ素系エラストマーと、フッ素樹脂とを用意する。
 上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)とのうちの少なくとも1つを有する。
 上記フッ素系エラストマーと上記フッ素樹脂との混練を行う。
 上記混練により得られる材料を成形する。
 この構成により、シール特性及び摺動特性に優れるシール部材の製造方法を提供することができる。

発明の効果

[0014]
 シール特性及び摺動特性に優れるシール部材及びその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] シールリングの圧縮永久歪みを示したグラフである。
[図2A] シールリングの静摩擦係数を示したグラフである。
[図2B] シールリングの動摩擦係数を示したグラフである。
[図3] シールリングのショアA硬度を示したグラフである。
[図4A] シールリングの引っ張り強度を示したグラフである。
[図4B] シールリングの伸び率を示したグラフである。
[図5A] 摩耗試験前のシールリングの表面を示した写真である。
[図5B] 摩耗試験後のシールリングの表面を示した写真である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[0017]
 本発明は、油圧機器に用いられるシール部材全般に適用可能である。したがって、シール部材の形状は任意であるが、本実施形態では、シール部材の一例として、リング状のシール部材であるシールリングについて説明する。
[0018]
 [シールリング]
 本実施形態に係るシールリングは、ベース材料であるフッ素系エラストマーと、充填材料であるフッ素樹脂とを含む複合材料から成る。
[0019]
 フッ素系エラストマーは、小さい圧縮永久歪みと、エラストマーとしては低い摩擦係数とを両立可能な点においてシールリング用の材料として有利である。ベース材料として用いるフッ素系エラストマーの圧縮永久歪みはなるべく小さいことが好ましい。具体的には、150℃における圧縮永久歪みが20%以下であるフッ素系エラストマーを用いることができる。
[0020]
 本実施形態に係るフッ素系エラストマーは、成形前にフッ素樹脂との混練が可能であれば特に限定されない。このようなフッ素系エラストマーとしては、例えば、熱硬化性ペースト(液体)や、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
[0021]
 本実施形態で採用可能なフッ素系エラストマーとしては、例えば、信越化学工業株式会社の「SIFEL3000シリーズ」や、ダイキン工業株式会社の「Diel G-101」や、セントラルガラス株式会社の「セフラルソフト」や、住友スリーエム株式会社の「THV」や、旭硝子株式会社の「AFLAS」が挙げられる。
[0022]
 特に信越化学工業株式会社のSIFEL3000シリーズは、ガラス転移点が低く、―50℃~200℃程度の広い温度範囲において安定した性能が維持される点で好ましい。
[0023]
 充分に高い摺動特性を有するシールリングを得るために、シールリングを形成する材料にはフッ素系エラストマーよりも更に低い摩擦係数が要求される。そこで、本実施形態では、ベース材料であるフッ素系エラストマーに充填する充填材料として、低摩擦係数であるフッ素樹脂が用いられる。
[0024]
 フッ素樹脂としては、フッ素系エラストマーの摩擦係数を低減させるように、つまりフッ素系エラストマーに潤滑性を付与するように作用する材料が選択される。フッ素系樹脂は、1種類の材料により構成されていても、複数種類の材料を含んでいてもよい。
[0025]
 本実施形態で採用可能なフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
[0026]
 特に、PTFE、PFA、FEP、及びETFEのうちの少なくとも1つを有するフッ素樹脂を用いた場合に、シールリングの摺動特性が向上することが確認されている。
[0027]
 また、フッ素樹脂は、フッ素系エラストマーに対する分散性を向上させるため、粉末状であることが好ましい。更に、フッ素樹脂は、フッ素系エラストマーにより高い潤滑性を付与するために、平均粒径が10μm以下の微粉末状であることが好ましく、各粒子の粒径が10μm以下であることが更に好ましい。具体的には、フッ素樹脂における各粒子の粒径を10μm以下とし、平均粒径を4~8μmとすることができる。
[0028]
 更に、フッ素樹脂は、低分子量であることが好ましい。低分子量のフッ素樹脂は、微粉末化に有利であるとともに、粘つきが発生しにくく、かつ、線維化しにくいためフッ素系エラストマーに対する高い分散性が得られる。以下、フッ素樹脂としてPTFEを用いた例について説明するが、PTFEを他のフッ素樹脂に代えた場合についても、以下に示すPTFEの場合と同様の結果が得られる。
[0029]
 本実施形態では、低分子量のPTFEを用い、フッ素系エラストマーにPTFEを充填(添加)することにより、フッ素系エラストマー単体よりも低い摩擦係数の複合材料が得られた。この複合材料では、PTFEの量が20重量%以上の場合に、より顕著な摩擦係数の低下が得られている。
[0030]
 この複合材料では、PTFEの量が多いほど、摩擦係数が低下するものの、圧縮永久歪みが増大してしまう。本実施形態では、シールリングとして充分なシール特性が得られる圧縮永久歪みの範囲内で、複合材料におけるPTFEの量が決定される。
[0031]
 具体的には、シールリングの150℃における圧縮永久歪みが90%以下である場合に、シールリングの高いシール特性を確保することができる。したがって、シールリングの150℃における圧縮永久歪みが90%以下となるように、複合材料におけるPTFEの量を決定することが可能である。
[0032]
 本実施形態では、150℃における圧縮永久歪みが20%以下であるフッ素系エラストマーを用いることにより、複合材料におけるPTFEの量を40重量%まで増加させた場合にも、シールリングの150℃における圧縮永久歪みを90%以下に抑えることができている。なお、複合材料におけるPTFEの量を50重量%まで増加させた場合には、シールリングの150℃における圧縮永久歪みが95%まで増大した。
[0033]
 また、本実施形態に係る複合材料では、150℃における圧縮永久歪みが40%以下であることが特に好ましい。フッ素系エラストマーにPTFEを添加した複合材料では、一般的に、フッ素系エラストマーに対するPTFEの量の増加に伴い、圧縮永久歪みが増加し、摩擦係数が低下する傾向が見られる。その点、本実施形態において、PTFEの量に対する圧縮永久歪みの変化は、圧縮永久歪みが40%以下である場合に緩やかとなることが確認されている。つまり、圧縮永久歪みが40%以下である場合に、摩擦係数の低下が良好に得られる一方で、圧縮永久歪みの増加による悪影響が生じにくい。この現象は、フッ素系エラストマーに対してPTFEが高分散していることに起因するものと考えられる。
[0034]
 本実施形態においてフッ素系エラストマーに対するPTFEの高分散が得られた理由としては、例えば、平均粒径が10μm以下で、かつ、低分子量のPTFE粉末を用いたことなどが考えられる。つまり、PTFE粉末が小さいことにより、フッ素系エラストマー内において凝集しにくくなる。また、PTFEが低分子量であると、初期粘性と初期弾性率が低くなるため、高分子量である場合に比べて混合中に発生する回転熱による粘性及び弾性率の増大が生じにくくなる。これらの複合作用によって、PTFEがフッ素系エラストマーに高分散したものと考えられる。
[0035]
 更に、フッ素系エラストマーにPTFEを添加した複合材料では、圧縮永久歪みが40%以下の場合には伸び率がほとんど変化しないのに対し、圧縮永久歪みが40%超えると、圧縮永久歪みの増大に伴って伸び率が低下してしまう。この現象は、圧縮永久歪みが40%を超える程度にまでPTFEの量を増加させると、フッ素系エラストマーにおけるPTFEの量の限界を超え、PTFEの凝集が開始することに起因するものと考えられる。
[0036]
 以上述べたように、本実施形態に係る複合材料では、PTFEの量を圧縮永久歪みが40%以下となる量に抑えることにより、圧縮永久歪みの増大及び伸び率の低下を効果的に抑制しつつ、摩擦係数を良好に向上させることが可能である。
[0037]
 このような複合材料で形成したシールリングでは、静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれも充分に低く、優れた摺動特性が得られている。
[0038]
 [シールリングの製造方法]
 (熱硬化)
 ベース材料として熱硬化性フッ素系エラストマーを用いる場合、まず硬化前のフッ素系エラストマーペースト(液体)にPTFE粉末を添加し、フッ素系エラストマーとPTFE粉末とを充分に混練して混練体を得る。そして、得られた混練体を金型に注入し、金型を加熱することにより金型内の混練体を硬化させる。金型を冷却した後に、金型内からシールリングが得られる。
[0039]
 (射出成形)
 ベース材料として熱可塑性フッ素系エラストマーを用いる場合、まずフッ素系エラストマーにPTFE粉末を添加し、フッ素系エラストマーとPTFE粉末とを充分に混練して混練体を得る。そして、得られた混練体を加熱し、軟化した混練体を金型に充填する。金型を冷却した後に、金型内からシールリングが得られる。
実施例
[0040]
 [シールリングの作製]
 本実施例では、フッ素系エラストマーとして、ショアA硬度が高く、耐圧性に優れる信越化学工業株式会社の「SIFEL3705A/B」を用いた。このフッ素系エラストマーは、二液タイプの熱硬化性ペーストである。PTFE粉末の平均粒径は4μmとした。PTFEの量は、0,10,20,25,30,35,40重量%の7通りとした。
[0041]
 まず、フッ素系エラストマーの一液と、フッ素系エラストマーの二液と、PTFE粉末との混練を行った。この混練は、フッ素系エラストマーとPTFE粉末とが良好に混ざり合えばよく、混練機を用いて行っても、手作業で行ってもよい。次に、混練により得られた混練体をシールリング用の金型に充填し、金型の加熱を行った。金型の加熱では、150℃にて5~10分保持した。これにより、外径25.0mm、内径19.6mm、厚さ3.2mmの、PTFEの量が異なる7種類のシールリングが得られた。
[0042]
 [PTFEの量の検討]
 シールリングにおけるPTFEの量について、圧縮永久歪み及び摩擦係数の観点から検討した。具体的には、各シールリングについて、150℃における圧縮永久歪み、静摩擦係数、及び動摩擦係数の測定を行った。
[0043]
 (圧縮永久歪みの測定)
 本測定の測定サンプルとしては、射出成型により得られた、長さ5mm、幅15mm、厚さ2mmの試験片を用いた。
[0044]
 本測定では、まず、スペーサにより挟んだ測定サンプルを、スペーサ間に加圧力を加えることにより25%圧縮し、150℃で100時間保持した。その後、スペーサ間の加圧力を解除し、測定サンプルを室温で30分間静置した。150℃における圧縮永久歪みを、以下の式により算出した。
 (150℃における圧縮永久歪み)=[(t -t )/t -t ]×100 [%]
 (ここで、t :試験前の測定サンプルの厚さ(mm)、t :スペーサの厚さ(mm)、t :試験後(室温で30分静置した後)の測定サンプルの厚さ(mm)である。)
[0045]
 図1は各シールリングの圧縮永久歪みを示すグラフである。図1の横軸はPTFEの量を示している。図1から、150℃における圧縮永久歪みは、PTFEの量の増加に伴って増大することがわかる。
[0046]
 一方で、150℃における圧縮永久歪みが90%を超える場合には、シールリングにおいて充分なシール特性が得られない場合がある。図1を参照すると、PTFEの量が40重量%以下の場合に、150℃における圧縮永久歪みが90%以下となることがわかる。
[0047]
 また、150℃における圧縮永久歪みが60%以下である場合に、シールリングにおいてより良好なシール特性が得られる。図1を参照すると、PTFEの量が35重量%以下の場合に、150℃における圧縮永久歪みが60%以下となることがわかる。
[0048]
 更に、150℃における圧縮永久歪みが45%以下である場合に、シールリングにおいて特に良好なシール特性が得られる。図1を参照すると、PTFEの量が30重量%以下の場合に、150℃における圧縮永久歪みが45%以下となることがわかる。
[0049]
 (静摩擦係数及び動摩擦係数の測定)
 本測定では、各シールリングをそのまま測定サンプルとし、縦型摩擦摩耗試験機を用いた。
[0050]
 本測定では、測定サンプルを摺動させる相手材として平均粗さRzが6.3μmの炭素鋼S45Cを用いた。本測定は、測定サンプルの相手材に対する面圧を0.65MPaとし、測定サンプルの外周の周速を0.50m/sとし、PV値を0.33(MPa・m/s)として、油中で成り行き温度にて行った。
[0051]
 図2Aは各シールリングの静摩擦係数を示すグラフであり、図2Bは各シールリングの動摩擦係数を示すグラフである。図2A及び図2Bの横軸はPTFEの量を示している。なお、図2A及び図2Bにおいて、PTFEの量が40重量%である測定サンプルは、150℃における圧縮永久歪みが本実施例の許容範囲外であるため省略されている。
[0052]
 図2A及び図2Bから、静摩擦係数及び動摩擦係数はいずれも、PTFEの量の増加に伴って低下することがわかる。特に、静摩擦係数は、PTFEの量が20重量%以上の領域において顕著に減少することがわかり、動摩擦係数は、PTFEの量が25重量%以上の領域において顕著に低下することがわかる。
[0053]
 また、静摩擦係数及び動摩擦係数がいずれも0.45以下である場合に、シールリングにおいて特に良好な摺動特性が得られる。図2A及び図2Bを参照すると、PTFEの量が20%以上の場合に、静摩擦係数及び動摩擦係数がいずれも0.45以下となることがわかる。
[0054]
 (PTFEの量についての考察)
 150℃における圧縮永久歪みの測定結果から、シールリングにおけるPTFEの量は、40重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることが更に好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。また、静摩擦係数及び動摩擦係数の測定結果から、シールリングにおけるPTFEの量は、20重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることが更に好ましい。
[0055]
 [シールリングの評価]
 各シールリングについて、圧縮永久歪み及び摩擦係数以外観点から評価を行った。具体的には、各シールリングについて、ショアA硬度、引っ張り強度、伸び率、及び摩耗量の測定を行った。
[0056]
 (ショアA硬度の測定)
 本測定の測定サンプルは、各シールリングを適当な形状に切り出すことにより作製した。各測定サンプルについて、タイプAデュロメータを用い、JIS K7215に基づき、ショアA硬度を測定した。
[0057]
 図3はショアA硬度の測定結果を示すグラフである。図4の横軸はPTFEの量を示している。ショアA硬度は、PTFEの量が0重量%であるフッ素系エラストマーのみから成る測定サンプルでも71と充分に高い。更に、ショアA硬度は、PTFEの量の増加に伴って向上することがわかる。つまり、全ての測定サンプルについて充分に高いショアA硬度が得られた。
[0058]
 (引っ張り強度及び伸び率の測定)
 本測定では、測定サンプルとして、射出成型により得られた、長さ75mm、幅5mm、厚さ2mmのダンベル片を用いた。引っ張り試験は、チャック間距離が20mmで、テストスピードが50mm/minである条件で行った。引っ張り強度(破断強度)は引っ張り試験における最大の応力を示し、伸び率(破断伸度)は引っ張り試験における破断時の伸び率を示す。
[0059]
 図4Aは引っ張り強度の測定結果を示すグラフであり、図4Bは伸び率の測定結果を示すグラフである。図4A及び図4Bの横軸はPTFEの量を示している。
[0060]
 図4Aから、引っ張り強度は、PTFEの量が50重量%の測定サンプルでは大きく低下していることがわかる。一方、PTFEの量が40重量%以下の領域では、いずれも良好な引っ張り強度が得られている。特に、PTFEの量が35重量%以下の測定サンプルでは特に良好な引っ張り強度が得られた。
[0061]
 図4Bから、伸び率は、PTFEの量が35~50質量%の測定サンプルで大きく低下していることがわかる。つまり、PTFEの量が30重量%以下の領域では、いずれも良好な伸び率が得られている。PTFEの量が35重量%の測定サンプル及びPTFEの量が40重量%の測定サンプルの伸び率は、許容範囲内であった。また、図1においてPTFEの圧縮永久歪みが40%以下となる、PTFEの量が約29重量%以下の領域において、特に良好な伸び率が得られることが確認された。
[0062]
 (磨耗量の測定)
 本測定では、PTFEの量が25重量%であるシールリングをそのまま測定サンプルとし、縦型摩擦摩耗試験機を用いた。
[0063]
 本測定では、測定サンプルを摺動させる相手材として平均粗さRzが6.3μmの炭素鋼S45Cを用いた。本測定は、測定サンプルの相手材に対する面圧を0.65MPaとし、測定サンプルの外周の周速を0.50m/sとし、PV値を0.33(MPa・m/s)として、油中で成り行き温度にて1時間の摩耗試験を行った。
[0064]
 図5Aは摩耗試験前における測定サンプルの表面(摺動面)の写真であり、図5Bは摩耗試験後における測定サンプルの表面(摺動面)の写真である。図5Bでは、目立った摺動痕が観察されず、摩耗試験において測定サンプルが相手材に対してスムーズに摺動していることが確認された。
[0065]
 また、摩耗試験前の測定サンプルの厚さと摩耗試験後の測定サンプルの厚さとの差で求められるシールリングの摩耗量は13μmであり、非常に少なかった。このように、本実施形態に係るシールリングでは、優れた摺動特性により摩耗による劣化が抑制されることが確認された。
[0066]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
[0067]
 例えば、本実施形態に係るシールリングはフッ素系エラストマー及びフッ素樹脂のみから成る。しかし、シールリングの主成分がフッ素系エラストマー及びフッ素樹脂であれば、シールリングに各種添加物などの副成分が含まれていても本発明の目的を達成することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 フッ素系エラストマーと、
 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)とのうちの少なくとも1つを有するフッ素樹脂と
 を含む複合材料から成り、
 150℃における圧縮永久歪みが90%以下である
 シール部材。
[請求項2]
 請求項1に記載のシール部材であって、
 150℃における圧縮永久歪みが40%以下である
 シール部材。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載のシール部材であって、
 前記複合材料が20重量%以上40重量%以下の前記フッ素樹脂を含む
 シール部材。
[請求項4]
 請求項1から3のいずれか1項に記載のシール部材であって、
 前記フッ素樹脂は粒径が10μm以下である
 シール部材。
[請求項5]
 請求項1から4のいずれか1項に記載のシール部材であって、
 リング状に成形されている
 シール部材。
[請求項6]
  150℃における圧縮永久歪みが20%以下のフッ素系エラストマーと、
  ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)とのうちの少なくとも1つを有するフッ素樹脂と
 を用意し、
 前記フッ素系エラストマーと前記フッ素樹脂との混練を行い、
 前記混練により得られる混練体を成形する
 シール部材の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5A]

[ 図 5B]