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1. (WO2015141398) ステントデリバリーシステムおよびステントデリバリー方法
Document

明 細 書

発明の名称 ステントデリバリーシステムおよびステントデリバリー方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121  

符号の説明

0122  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : ステントデリバリーシステムおよびステントデリバリー方法

技術分野

[0001]
 本発明は、生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部等にステントを留置して管腔の開存状態を維持するためのステントデリバリーシステムおよびステントデリバリー方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、例えば心筋梗塞や狭心症の治療では、冠動脈の病変部(狭窄部)にステントを留置して、冠動脈内の空間を確保する方法が行われており、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の生体管腔内に生じた狭窄部の改善についても同様の方法が行われることがある。ステントは、機能および留置方法によって、バルーン拡張型ステントと、自己拡張型ステントとに区別される。
[0003]
 バルーン拡張型ステントは、ステント自体に拡張機能はなく、目的部位に挿入後、バルーンにより拡張し、塑性変形させることにより管腔内に密着固定するものである。これに対し、自己拡張型ステントは、ステント自体が拡張機能を有し、カテーテル内に予め縮径した状態で収容し、目的部位に到達した後、縮径状態を解放して拡張させることにより管腔内に密着固定するものである。例えば特許文献1には、筒状のステント収納部の内側に縮径させた自己拡張型のステントを収容し、ステントと接することが可能なステント係止部を備えたチューブ体をステント収納部の内側に挿通させ、生体管腔内の目的部位でステント係止部によりステントの基端方向への移動を規制した状態でステント収納部を基端方向へ移動させることにより、ステントをステント収納部から押し出して拡張させる方法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平11-313893号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上述のようなステントデリバリーシステムでは、目的部位へ留置するステントの軸線方向への長さが、実際よりも短くなる現象(ショートニング)が生じる可能性がある。この現象は、ステントを押し出す際に生じるステント収納部とステントとの間の摩擦力により、ステントデリバリーシステム全体が基端方向へ押し戻された後、ステントがステント収納部から徐々に押し出されるに伴って、ステント収納部とステントとの間の接触面積が減少して摩擦力が減少し、ステントデリバリーシステムが再び先端方向へ移動しつつステントが放出されることで発生する。特に、ステントがステント収納部から完全に押し出される際に、ステントデリバリーシステムを基端方向へ押し戻す力が一気に解消されて、ステントの長さが大きく減少する現象(ジャンピング)が生じやすい。
[0006]
 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、自己拡張ステントの軸線方向への長さが短くなる現象を抑制しつつステントを拡張させて、適切な状態で留置可能なステントデリバリーシステムおよびステントデリバリー方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成する本発明に係るステントデリバリーシステムは、ガイドワイヤルーメンを有するチューブ体と、前記チューブ体の先端側を被包しかつ当該チューブ体の基端方向に摺動可能であるステント収納部と、前記ステント収納部内に中心軸方向に圧縮された状態で収納されて前記ステント収納部から放出されることで径方向外側へ自己拡張力により拡張可能な略円筒形状のステントと、前記ステント収納部に一端部が固定され、基端方向へ移動することにより前記ステント収納部を前記チューブ体に対して基端方向へ牽引するための牽引シャフトと、を備え、前記チューブ体に、前記ステント収納部内に収納された前記ステントの基端と当接して当該ステントの基端方向への移動を規制するステント係止部が設けられるステントデリバリーシステムであって、前記チューブ体に一端部が固定されて前記チューブ体の先端方向への伸長を抑制する伸長抑制シャフトと、前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられ、前記牽引シャフトの基端部が連結されて当該牽引シャフトを基端方向へ移動させる第1牽引部と、前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられ、前記伸長抑制シャフトの基端部が連結されて当該伸長抑制シャフトを基端方向へ移動させる第2牽引部と、を有する。

発明の効果

[0008]
 上記のように構成したステントデリバリーシステムは、チューブ体の先端方向への伸長を抑制する伸長抑制シャフトが設けられているため、伸長抑制シャフトによって、基端方向へ撓んだ状態のチューブ体が再び先端方向へ延びようとする力を受け止めることができ、ステントを放出する際のチューブ体の先端方向への延びを抑制して、ステントの長さが短くなる現象を抑制しつつステントを拡張させて適切な状態で留置することができる。
[0009]
 前記ステントデリバリーシステムが、前記第1牽引部および第2牽引部を連動して作動させるとともに連動を解除可能な連動部を有するようにすれば、第1牽引部および第2牽引部を連動して作動させることで作業性が向上するとともに、一方のみを作動させたい場合や別々に作動させたい場合には、連動を解除することができる。
[0010]
 前記連動部により前記第1牽引部および第2牽引部が連動した状態において、前記第2牽引部により基端方向へ移動する前記伸長抑制シャフトの移動量は、前記第1牽引部により基端方向へ移動する前記牽引シャフトの移動量以下であるようにすれば、ステント係止部の基端方向への移動量が、ステントが移動しようとする長さ以下となるため、ステント係止部がステントから離れず、ステントを放出する際にステントの移動をステント係止部によって良好に規制でき、適切な放出が可能となる。
[0011]
 前記第1牽引部は、前記牽引シャフトの先端方向への移動を規制する第1移動規制部を有し、前記第2牽引部は、前記伸長抑制シャフトの先端方向への移動を規制する第2移動規制部を有するようにすれば、第1牽引部および第2牽引部を基端方向へ移動させた状態を良好に維持することができ、操作性が向上する。
[0012]
 また、本発明に係るステントデリバリー方法は、ガイドワイヤルーメンを有するチューブ体と、前記チューブ体の先端側を被包しかつ当該チューブ体の基端方向に摺動可能であるステント収納部と、前記ステント収納部内に中心軸方向に圧縮された状態で収納されて前記ステント収納部から放出されることで径方向外側へ自己拡張力により拡張可能な略円筒形状のステントと、前記ステント収納部に一端部が固定され、基端方向へ移動することにより前記ステント収納部を前記チューブ体に対して基端方向へ牽引するための牽引シャフトと、を備え、前記チューブ体に、前記ステント収納部内に収納された前記ステントの基端と当接して当該ステントの基端方向への移動を規制するステント係止部が設けられるステントデリバリーシステムにより前記ステントを搬送させるためのステントデリバリー方法であって、前記ステント係止部により前記ステントの基端方向への移動を規制しつつ前記ステント収納部を前記牽引シャフトにより基端方向へ移動させる第1のステップと、前記第1のステップと同時または後に、前記チューブ体に一端部が固定される伸長抑制シャフトにより前記チューブ体を基端方向へ牽引して前記チューブ体に対する固定部位に基端方向への引っ張り力を作用させる第2のステップと、前記第2のステップの後に、前記ステント係止部により前記ステントの基端方向への移動を規制しつつ前記ステント収納部を前記牽引シャフトにより基端方向へ移動させて前記ステントを前記ステント収納部の先端方向へ放出して自己拡張力により拡張させる第3のステップと、を有する。上記のように構成したステントデリバリー方法は、第2のステップにおいて、伸長抑制シャフトによりチューブ体を基端方向へ牽引してチューブ体に対する固定部位に基端方向への引っ張り力を作用させるため、伸長抑制シャフトによって、基端方向へ撓んだ状態のチューブ体が再び先端方向へ延びようとする力を受け止めることができる。このため、第3のステップにおいてステントを放出する際に、チューブ体の先端方向への延びを抑制でき、ステントの長さが短くなる現象を抑制しつつステントを拡張させて、適切な状態で留置することができる。
[0013]
 前記ステントデリバリー方法は、前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられるとともに前記牽引シャフトの基端部が連結されて当該牽引シャフトを基端方向へ移動させる第1牽引部、および、前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられるとともに前記伸長抑制シャフトの基端部が連結されて当該伸長抑制シャフトを基端方向へ移動させる第2牽引部を連動して作動させて前記第2のステップを第1のステップと同時に行い、前記第2のステップの後、前記第1牽引部および第2牽引部の連動を解除するステップをさらに有するようにすれば、第1牽引部および第2牽引部を連動して作動させて作業性を向上させることができるとともに、一方のみを作動させたい場合や別々に作動させたい場合には、連動を解除することができる。
[0014]
 前記第1牽引部により基端方向へ牽引される前記牽引シャフトの移動量は、前記第2牽引部により基端方向へ牽引される前記伸長抑制シャフトの移動量以上であるようにすれば、ステント係止部の基端方向への移動量が、ステントが移動しようとする長さ以下となるようにすれば、ステント係止部がステントから離れず、ステントを放出する際にステントの移動をステント係止部によって良好に規制でき、適切な放出が可能となる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 実施形態に係るステントデリバリーシステムを示す平面図である。
[図2] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの先端部を示す断面図である。
[図3] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの先端部を示す断面図である。
[図4] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作部の内部構造を説明するための説明図である。
[図5] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作部の内部構造を説明するための一部切り欠き断面図である。
[図6] 自己拡張型のステントが拡張した状態の平面図である。
[図7] 自己拡張型のステントが縮径した状態の展開図である。
[図8] 実施形態に係るステントデリバリーシステムを生体内へ挿入する際を説明するための説明図である。
[図9] 実施形態に係るステントデリバリーシステムを生体内へ挿入した際のステントデリバリーシステムの先端部を示す断面図である。
[図10] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作用回転ローラを押し込む状態を説明するための説明図である。
[図11] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1牽引部および第2牽引部を連動させた状態を説明するための説明図である。
[図12] 第1牽引部および第2牽引部を連動させた状態で操作用回転ローラを回転させた際のステントデリバリーシステムの先端部を示す断面図である。
[図13] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1牽引部および第2牽引部の連動を解除した状態を説明するための説明図である。
[図14] 実施形態に係るステントデリバリーシステムによりステントを留置した際のステントデリバリーシステムの先端部を示す断面図である。
[図15] 実施形態に係るステントデリバリーシステムの変形例における操作部の内部構造を説明するための説明図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
[0017]
 本発明の実施形態に係るステントデリバリーシステム1は、血管、胆管、気管、食道、尿道、またはその他の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部等にステント3を留置して管腔の開存状態を維持するためのものである。なお、本明細書では、管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
[0018]
 本実施形態に係るステントデリバリーシステム1は、図1~3に示すように、ガイドワイヤルーメン21を有するチューブ体と、チューブ体の先端側を被包しかつチューブ体の基端方向へ摺動可能である筒状のステント収納部5と、ステント収納部5内に収納されたステント3と、ステント収納部5の基端に近接するように配置されたスライドチューブ7と、ステント収納部5に先端部が固定されてステント収納部5を牽引するための牽引ワイヤ6(牽引シャフト)と、チューブ体に先端部が固定されてチューブ体に引っ張り力をさせるための伸長抑制ワイヤ9(伸長抑制シャフト)と、ステントデリバリーシステム1の基端部に設けられて操作を行うための操作部10と、を備えている。
[0019]
 まず、チューブ体について説明する。チューブ体は、ガイドワイヤルーメン21を有する先端側チューブ2と、先端側チューブ2の基端部に、先端部が固定された基端側チューブ4と、先端側チューブ2の基端部および基端側チューブ4の先端部が固定されるとともにガイドワイヤルーメン21と連通する開口23を備える固定チューブ8と、を備えている。
[0020]
 先端側チューブ2は、図2,3に示すように、先端から基端まで貫通するガイドワイヤルーメン21が形成される管体である先端側チューブ本体20と、先端側チューブ本体20の先端に固定される先端部材25と、ステント3の先端部を係止するためのステント先端部係止部26と、ステント3の基端部を係止するためのステント基端部係止部22(ステント係止部)とを備えている。
[0021]
 先端側チューブ2は、外径が0.3~2.0mm、好ましくは0.5~1.5mmであり、内径が0.2~1.5mm、好ましくは0.3~1.2mm、長さが、20~600mm、好ましくは30~450mmである。
[0022]
 先端部材25は、図1~3に示すように、先端側チューブ2の先端部を構成し、この先端部材25の先端に、ガイドワイヤルーメン21が開口する先端開口部25aが形成されている。なお、先端部材25は、先端側チューブ本体20と一体的に形成されてもよい。先端側チューブ本体20は、基端部が固定チューブ8に固定されている。また、先端側チューブ本体20のガイドワイヤルーメン21は、固定チューブ8に設けられた開口23と連通している。
[0023]
 先端部材25は、ステント収納部5の先端より先端側に位置し、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成されることにより、狭窄部への挿入が容易となる。また、先端部材25は、ステント収納部5の先端方向への移動を阻止するストッパーとしても機能している。
[0024]
 先端部材25の最先端部の外径は、0.5mm~1.8mmであることが好ましい。また、先端部材25の最大径部の外径は、0.8~4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0~20.0mmであることが好ましい。
[0025]
 ステント基端部係止部22(ステント係止部)は、ステント3の基端側への移動を規制する部位であり、図2,3に示すように、先端側チューブ2の先端より所定距離基端側となる位置に設けられる。ステント基端部係止部22は、径方向外側へ突出する環状突出部であることが好ましい。そして、このステント基端部係止部22より先端側が、ステント収納部位となっている。このステント基端部係止部22の外径は、圧縮されたステント3の基端と当接可能な大きさとなっている。そして、ステント収納部5が、基端側に移動しても、ステント基端部係止部22によりステント3はその位置を維持するため、ステント収納部5より、結果的に放出される。
[0026]
 ステント先端部係止部26は、ステント3の先端側への移動を規制する部位であり、図2,3に示すように、ステント基端部係止部22より所定長(ほぼステント3の軸方向長)先端側となる位置に設けられる。ステント先端部係止部26は、径方向外側へ突出する環状突出部であることが好ましい。ステント収納部5の先端より、若干基端側に位置している。ステント先端部係止部26は、環状突出部であることが好ましい。そして、このステント先端部係止部26およびステント基端部係止部22の間が、ステント収納部位となっている。このステント先端部係止部26の外径は、圧縮されたステント3の先端と当接可能な大きさとなっている。また、ステント先端部係止部26は、基端面が基端方向に向かって縮径するテーパー面となっている。このため、ステント3の放出時において、ステント先端部係止部26が障害となることがなく、また、ステント3の放出後のステントデリバリーシステム1の回収(具体的には、ガイディングカテーテルあるいはシース内への収納)が容易となる。
[0027]
 ステント基端部係止部22およびステント先端部係止部26の外径は、0.8~4.0mmであることが好ましい。なお、ステント基端部係止部22およびステント先端部係止部26は、図示するような環状突出部が好ましいが、ステント3の移動を規制し、かつ、押出可能であればよく、例えば、先端側チューブ2に一体にあるいは別部材で設けられた1つまたは複数の突起であってもよい。また、ステント基端部係止部22およびステント先端部係止部26は、X線造影性材料からなる別部材により形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステント3の位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。X線造影性材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナ-イリジウム合金、銀、ステンレス、白金、あるいはそれらの合金等が好適である。そして、ステント基端部係止部22およびステント先端部係止部26は、X線造影性材料によりワイヤを形成し先端側チューブ2の外面に巻きつけること、もしくはX線造影性材料によりパイプを形成しかしめる又は接着することにより取り付けられる。
[0028]
 スライドチューブ係止部24は、スライドチューブ7の基端側への移動を規制する部位であり、図2,3に示すように、固定チューブ8内において、先端側チューブ本体20の外周面に固定されている。スライドチューブ係止部24は、径方向外側へ突出する環状突出部であることが好ましい。また、図3に示すように、スライドチューブ係止部24には、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を通過させるための通路24aが形成されている。このスライドチューブ係止部24の外径は、固定チューブ8内を基端方向へ移動したスライドチューブ7の基端と当接可能な大きさとなっている。
[0029]
 先端側チューブ本体20の形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。特に、上記の樹脂のうち、熱可塑性を有する樹脂が好ましい。なお、先端側チューブ2の露出する外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA-St-HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
[0030]
 先端部材25を先端側チューブ本体20と別部材により構成する場合には、先端部材25としては、柔軟性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、オレフィン系エラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレンブチレン-スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの合成樹脂エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックスゴムなどの天然ゴムなどのゴム類が使用される。
[0031]
 特に、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1では、先端側チューブ本体20および先端部材25は、別部材にて形成されているとともに、先端側チューブ本体20は、先端部に、ストッパー部材27が固定されている。ストッパー部材27は、先端側チューブ2に固定された筒状部とこの筒状部より、テーパー状に広がるスカート部を備えている。そして、ストッパー部材27は、先端部材25内に埋設された状態となっており、先端部材25の離脱および先端側への移動を防止している。ストッパー部材27は、金属(例えば、ステンレス鋼)により形成することが好ましい。
[0032]
 固定チューブ8は、図1~3に示すように、外径の大きい先端側固定チューブ81と、この先端側固定チューブ81の基端部に固定された基端側固定チューブ82とを備えている。先端側固定チューブ81は、先端縮径部81aを備えており、先端縮径部81aの内面は、スライドチューブ7の基端部の外周面に接触している。そして、スライドチューブ7は、先端側固定チューブ81に固定されておらず、基端側に摺動することにより、先端側固定チューブ81内に侵入して収納可能である。
[0033]
 基端側固定チューブ82の先端部は、図2,3に示すように、先端側固定チューブ81の基端内に侵入し、固定部81bにより固定されている。
[0034]
 先端側固定チューブ81は、そのほぼ全体にわたり補強層85を備えている。補強層としては、網目状のもの、螺旋状のものなどが好ましい。特に、網目状補強層であることが好ましい。網目状補強層としては、金属細線により網状に形成されたものが好適である。金属細線としては、ステンレス鋼が好ましい。さらに、基端側固定チューブ82との接続部となる部分には、補強層が存在しないものとすることが好ましい。
[0035]
 先端側チューブ2の基端部には、その基端部を収納した筒状固着部材83が設けられており、また、基端チューブ4の先端には、筒状固定部材84が設けられている。そして、基端側固定チューブ82に、筒状固着部材83および筒状固定部材84が固着されている。
[0036]
 基端側チューブ4は、図1~3に示すように、先端から基端まで貫通した管体であり、基端に操作部10が固定されている。基端側チューブ4の先端部は、固定チューブ8に、筒状固定部材84によって接合されている。基端側チューブ4は、内部に牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を挿通可能な牽引ワイヤ用ルーメンを備えている。
[0037]
 基端側チューブ4は、長さが300mm~1500mm、より好ましくは、1000~1300mmであり、外径が0.5~1.5mm、好ましくは0.6~1.3mmであり、内径が0.3~1.4mm、好ましくは0.5~1.2mmである。
[0038]
 基端側チューブ4の中心軸と先端側チューブ本体20の中心軸とのずれの距離としては、0.1~2.0mmが好ましく、特に、0.5~1.5mmが好ましい。
[0039]
 基端側チューブ4の形成材料としては、硬度があってかつ柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。なお、基端側チューブの外面には、生体適合性、特に抗血栓性を有する樹脂をコーティングしてもよい。抗血栓性材料としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA-St-HEMAブロック共重合体)などが使用できる。また、基端側チューブ4の形成材料としては、比較的剛性の高い材質を用いることが好ましい。例えばNi-Ti、真鍮、ステンレス鋼、アルミ等の金属、さらには、比較的剛性の高い樹脂、例えば、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネート等を用いることもできる。
[0040]
 次に、ステント収納部5について説明する。ステント収納部5は、図2,3に示すように、先端側チューブ2の先端側を被包しかつ先端側チューブ2の基端方向へ摺動可能である。ステント収納部5は、所定長を備える管状体であり、先端および後端が開口している。先端開口部は、ステント3を管腔内の狭窄部に留置する際に、ステント3の放出口として機能する。ステント3は、図14に示すように、この先端開口部より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し、圧縮前の形状に復元する。
[0041]
 ステント収納部5の長さとしては、20mm~400mm程度が好ましく、特に、30mm~300mmが好ましい。また、外径としては、1.0~4.0mm程度が好ましく、特に、1.5~3.0mmが好ましい。また、ステント収納部5の内径としては、1.0~2.5mm程度が好ましい。
[0042]
 そして、ステント収納部5は、基端部に設けられた小径部51aを備える筒状部材本体部51と、この小径部51aを被包するように設けられた筒状部52を備えている。なお、小径部51aの基端部は、筒状部52より基端方向へ突出している。筒状部52は、筒状部材本体部51の基端部に固定されている。そして、牽引ワイヤ6の先端部である固定点61が、小径部51aと筒状部52間に形成された空隙内に侵入し、空隙に充填された固定剤53により、ステント収納部5に固定されている。固定剤53は、筒状部材本体部51と筒状部52とを一体化している。小径部51aは、外径が基端側に向かって縮径するテーパー部とこのテーパー部より基端側に延びる短い円筒部を備えている。そして、筒状部材本体部51の小径部51aを被包する筒状部52は、筒状部材本体部51の基端部に固定されている。固定剤としては、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、シアノアクリレート系樹脂などの接着剤を用いることが好ましいが、熱融着であってもよい。
[0043]
 そして、本実施形態におけるステント収納部5では、小径部51aを除く筒状部材本体部51および筒状部52は、ほぼ同じ外径を有している。筒状部材本体部51のステント収納部位の外径としては、1.0~4.0mm程度が好ましく、特に、1.5~3.0mmが好ましい。また、ステント収納部5の長さとしては、20~400mm程度が好ましく、特に、30mm~300mmが好ましい。また、筒状部材本体部51の長さとしては、10~200mm程度が好ましく、特に、15mm~150mmが好ましく、筒状部52の長さとしては、10~200mm程度が好ましく、特に、15mm~150mmが好ましい。
[0044]
 なお、ステント収納部5としては、上述したような筒状部材本体部51と基端側筒状部52からなるものに限定されるものではなく、一体物であってもよい。
[0045]
 次に、スライドチューブ7について説明する。スライドチューブ7は、図2,3に示すように、牽引ワイヤ6の牽引によりステント収納部5とともに基端方向へ移動可能であり、かつ、ステント収納部5に固定されていないものとなっている。スライドチューブ7は、スライドチューブ本体71と、スライドチューブ本体71の先端部に固定され、スライドチューブ本体71の先端を覆い、かつスライドチューブ本体71の先端よりステントデリバリーシステム1の先端側に延びる先端側筒状部材72とを備えている。
[0046]
 そして、先端側筒状部材72は、先端側筒状部材72の先端と基端間に位置しかつ少なくとも内径が縮径した縮径部73を有する一体成形された筒状体となっている。
[0047]
 スライドチューブ7は、その先端が、ステント収納部5の基端に近接するように配置されている。また、スライドチューブ7は、その基端側より固定チューブ8内に収納可能である。なお、スライドチューブ7は、基端側より固定チューブ8に被さる構造であってもよい。
[0048]
 縮径部73の内径は、スライドチューブ本体71の内径とほぼ等しいかまたは若干大きいもしくは若干小さいものとなっている。さらに、先端側筒状部材72は、少なくとも縮径部73以外の部分の外径および内径が、スライドチューブ本体71より大きいものとなっている。そして、縮径部73は、先端側筒状部材72の先端と基端間に位置している。
[0049]
 そして、スライドチューブ本体71の先端と先端側筒状部材72の縮径部73との間に、リング状部材75が収納されている。そして、牽引ワイヤ6は、リング状部材75に固定されている。そして、先端側筒状部材72の縮径部73の内径は、先端側チューブ本体20の外径より大きい。このため、先端側筒状部材72は、先端側チューブ本体20に接触することなく、基端側に移動可能となっている。また、先端側筒状部材72の縮径部73の内径は、リング状部材75の外径より小さい。このため、縮径部73は、リング状部材75の先端方向への移動を規制する。そして、牽引ワイヤ6が基端側に牽引されることにより、スライドチューブ7は、リング状部材75とともに基端側に移動する。また、リング状部材75は、スライドチューブ本体71および先端側筒状部材72のいずれにも固定されておらず、スライドチューブ本体71の先端と先端側筒状部材72の縮径部73間に回動可能に収納されている。しかし、スライドチューブ7内における軸方向への移動は、クリアランスを除き不能となっている。リング状部材75としては、金属リングが好適である。牽引ワイヤ6の固定は、溶接、接着剤などにより行うことが好ましい。スライドチューブ7の先端側筒状部材72は、リング状部材75の回動を許容し、かつリング状部材75の軸方向への大きな移動を縮径部73とスライドチューブ本体71の先端により、実質的に阻止している。このように、リング状部材75が、スライドチューブ7に対して、回動可能であることにより、先端側筒状部材72(スライドチューブ7)の回動に対して、リング状部材75、牽引ワイヤの固定部および牽引ワイヤ自体が追従しにくいものとなる。また、リング状部材75と、スライドチューブ本体71の先端間には、樹脂リング76を配置してもよい。このような樹脂リング76を配置することにより、リング状部材75の回動がより容易なものとなる。樹脂リング76としては、摩擦抵抗の少ないものが好ましい。樹脂リングとしては、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドなどが好適に使用できる。
[0050]
 また、先端側筒状部材72の基端部は、接着剤77により、スライドチューブ本体71の先端部に固定されている。そして、リング状部材75と、スライドチューブ本体71の先端間には、樹脂リング76を配置し、接着剤77のリング状部材75への流入を防止してもよい。
[0051]
 また、スライドチューブ7の先端側筒状部材72は、その先端部74が、ステント収納部5の小径部51aの基端部を被包していることが好ましい。また、スライドチューブ7の先端側筒状部材72とステント収納部5は、接合されていないことが好ましい。先端側筒状部材72とステント収納部5、実質的に接触することなく、スライドチューブ7の先端側筒状部材72の先端部は、ステント収納部5の小径部51aの基端部を被包している。
[0052]
 さらに、スライドチューブ本体71は、全体にわたって補強層78を備えている。このような補強層を設けることにより、耐キンク性が向上し、スライドチューブ7のスライドが良好なものとなる。補強層は、網目状の補強層であることが好ましい。網目状の補強層は、ブレード線で形成することが好ましい。例えば、ワイヤブレードであり、線径0.01~0.2mm、好ましくは0.03~0.1mmのステンレス、弾性金属、超弾性合金、形状記憶合金等の金属線で形成することができる。または、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維で形成してもよい。
[0053]
 ステント収納部5(筒状部材本体部51、筒状部52)、スライドチューブ7(スライドチューブ本体71、先端側筒状部材72)、固定チューブ8(先端側固定チューブ81、基端側固定チューブ82)の形成材料としては、これらの部材やチューブに求められる物性(柔軟性、硬度、強度、滑り性、耐キンク性、伸縮性)を考慮して、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、PTFE、ETFE等のフッ素系ポリマー、さらには、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ナイロン系(例えば、ポリアミドエラストマー)、ウレタン系(例えば、ポリウレタンエラストマー)、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレートエラストマー)、オレフィン系(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)の中から適宜選択される。
[0054]
 さらに、ステント収納部5の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、ステント収納部5の内面に、ステント3の摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
[0055]
 また、ステント収納部5は、上記のようなポリマーの2層構造(例えば、外面はナイロン、内面はPTFE)の組み合わせで形成してもよい。
[0056]
 次に、牽引ワイヤ6について説明する。また、牽引ワイヤ6は、図2~5に示すように、1本以上(本実施形態では、2本)設けられている。牽引ワイヤ6は、上述した筒状部材5が備える空隙部にて、固定点61が、固定剤53によってステント収納部5の小径部51aの外側に固定されている。そして、牽引ワイヤ6は、固定点61から基端方向へ延び、ステント収納部5の基端を越え、スライドチューブ7、固定チューブ8、基端側チューブ4内を貫通している。そして、この牽引ワイヤ6を基端方向へ牽引することにより、ステント収納部5およびスライドチューブ7が、基端方向へ移動する。
[0057]
 さらに、牽引ワイヤ6は、上述したように、スライドチューブ7が備えるリング状部材75にも固定されている。このため、ステントデリバリーシステム1では、牽引ワイヤ6が基端方向へ牽引されることにより、リング状部材75も基端側に牽引され、このリング状部材75にスライドチューブ7が当接することにより、スライドチューブも基端側に牽引される。したがって、ステント収納部5とスライドチューブ7とは、それぞれが別個に牽引される構造となっており、牽引時に、ステント収納部5とスライドチューブ7が当接しない。また、牽引ワイヤ6の牽引時の力は、固定点61と牽引により移動する部材であるリング状部材75の固定部とに分散されるため、固定点61における牽引ワイヤ6とステント収納部5の間の固定が解除されることを確実に防止する。
[0058]
 次に、伸長抑制ワイヤ9について説明する。伸長抑制ワイヤ9は、チューブ体の先端方向への伸長を抑制する部材であり、図2~5に示すように、操作部10より延び、基端側チューブ4、スライドチューブ7、ステント収納部5内を通って、先端91が、ステント基端部係止部22に固定されている。伸長抑制ワイヤ9の先端91は、ステント基端部係止部22の形成材料に埋設することにより固定される。または、伸長抑制ワイヤ9の先端91は、ステント基端部係止部22に対して溶接、接着剤などにより固定されてもよい。
[0059]
 牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9としては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9の太さは、特に限定されないが、通常、0.01~1.5mm程度が好ましく、0.1~1.0mm程度がより好ましい。
[0060]
 牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9の構成材料としては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、牽引ワイヤの線径は、特に限定されないが、通常、0.01~0.55mm程度が好ましく、0.1~0.3mm程度がより好ましい。
[0061]
 また、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni-Ti合金、Cu-Zn合金、Ni-Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。
[0062]
 また、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9の側面に滑性を増加させる低摩擦性樹脂を被覆してもよい。低摩擦性樹脂としては、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン、パーフロロアルコキシ樹脂等が挙げられる。またシリコンや各種親水性樹脂によるコーティングであってもよい。
[0063]
 次に、ステント3について説明する。ステント3は、略円筒形状に形成され、図2,3に示すように、中心軸方向に圧縮された状態にてステント収納部5内に収納され、ステント収納部5からの放出時には、径方向外側に拡張して圧縮前の形状に復元するものである。
[0064]
 ステント3としては、いわゆる自己拡張型ステントであればどのようなものであってもよい。例えば、ステント3は、図6に示すように、拡張して圧縮前の形状に復元した状態において、折れ曲がりながら環状に形成される環状部31が軸線方向に複数並び、軸線方向に隣接する環状部31同士が接続部32によって接続されて、1つの略円筒形状を構成している。ステント3は、図7に示す展開図のように、中心軸方向に圧縮された状態で、ステント収納部5内に収納される。
[0065]
 ステント3は、例えば、留置される生体内の部位に適合した外径を有する後述する超弾性合金製パイプを準備し、パイプの側面を、切削加工(例えば、機械的切削、レーザ切削)、化学エッチングなどにより部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成することにより作製される。
[0066]
 ステント3は、拡張した状態において、外径が2.0~30mm、好ましくは、2.5~20mm、内径が1.4~29mm、好ましくは1.6~28mmのものであり、軸線方向の長さは、10~150mm、より好ましくは15~100mmである。
[0067]
 なお、ステント3の形状は、図6,7に示すものに限定されるものではない。ステント3の形状は、挿入時に縮径可能であり、かつ、体内放出時に拡径(復元)可能なものであればよく、上述の形状に限定されるものではない。例えば、コイル状のもの、円筒状のもの、ロール状のもの、異形管状のもの、高次コイル状のもの、板バネコイル状のもの、カゴまたはメッシュ状のものでもよい。
[0068]
 ステント3を形成する材料としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49~53原子%NiのTi-Ni合金、38.5~41.5重量%ZnのCu-Zn合金、1~10重量%XのCu-Zn-X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36~38原子%AlのNi-Al合金等の超弾性金属が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTi-Ni合金である。また、Ti-Ni合金の一部を0.01~10.0%Xで置換したTi-Ni-X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi-Ni合金の一部を0.01~30.0%原子で置換したTi-Ni-X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi-Ni-X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
[0069]
 次に、操作部10について説明する。操作部10は、図1,4,5に示すように、ハウジング110と、牽引ワイヤ6の牽引操作を行う第1牽引部120と、伸長抑制ワイヤ9の牽引を行う第2牽引部130と、シール機構140と、を備えている。
[0070]
 第1牽引部120は、図4,5に示すように、牽引ワイヤ6を牽引操作するための操作用回転ローラ121と、第1付勢部材150とを備えている。
[0071]
 操作用回転ローラ121は、操作者が操作するローラ部122と、牽引ワイヤ6を巻き取る第1巻取シャフト部123と、第1回転軸124と、第1歯車部125とを備えている。
[0072]
 ローラ部122は、操作者が回転操作する部位であり、円盤状に形成され、部分的にハウジング110から露出するようにハウジング110内に配置されている。ローラ部122のハウジング110から露出する部位が、操作者が操作する部位となる。ローラ部122を操作する際に操作者が触れる可能性のある表面部位は、滑りにくい表面となっていることが好ましい。例えば、ローラ部122の外周面に、ローレット処理、エンボス処理、高摩擦材料被覆などを行うことが好ましい。
[0073]
 第1回転軸124は、ローラ部122と同軸的に、ローラ部122の両側面から突出して形成されている。第1回転軸124は、ハウジング110に形成される溝状の第1軸受部111に回転可能に収容されており、かつ第1軸受部111内で溝に沿って移動可能となっている。第1回転軸124が第1軸受部111内で溝に沿って移動可能であることで、操作者が操作用回転ローラ121をハウジング110の開口部112から押圧することにより、操作用回転ローラ121がハウジング110内に押し込まれる方向へ移動可能となっている。
[0074]
 第1巻取シャフト部123は、牽引ワイヤ6の基端部を保持して牽引ワイヤ6を巻き取る部位であり、ローラ部122と同軸的かつ一体的に設けられるとともに、ローラ部122より小径で形成されている。第1巻取シャフト部123には、牽引ワイヤ6を収納可能なスリット123aが形成されており、このスリット123aに、牽引ワイヤ6の基端部に径が大きく形成されたアンカー部62が収納されている。なお、牽引ワイヤ6の第1巻取シャフト部123への固定方法は、上述の方法に限定されない。
[0075]
 牽引ワイヤ6の巻き取られる基端部は、巻取を容易なものとするために、柔軟なものとなっていることが好ましい。このような柔軟なものとする方法としては、牽引ワイヤ6の基端部を柔軟な材料により形成する方法、牽引ワイヤ6の基端部を細径とする方法などにより行うことができる。
[0076]
 第1巻取シャフト部123は、ローラ部122と同軸的かつ一体的に設けられているため、ローラ部122を回転操作することでローラ部122とともに回転し、外周面に牽引ワイヤ6を巻き取ることができる。そして、ローラ部122の回転操作量に比べて、牽引ワイヤ6の巻取量が少ないことが好ましい。これにより、牽引ワイヤ6をゆっくり巻き取ることができ、ステント収納部5を基端側へゆっくり移動させて、ステント3の状態を確認しつつステント3をステント収納部5から適切に放出することができる。本実施形態では、第1巻取シャフト部123の外径は、ローラ部122より小径となっているため、ローラ部122の回転操作量に比べて、牽引ワイヤ6の巻取量が少ないものとなっている。
[0077]
 第1巻取シャフト部123の外径としては、1~60mm程度が好適であり、特に、3~30mmが好ましく、ローラ部122の外径としては、第1巻取シャフト部123の外径の1~20倍程度が好適であり、特に、1~10倍が好ましい。また、ローラ部122の外径としては、10~60mm程度が好適であり、特に、15~50mmが好ましい。
[0078]
 なお、ローラ部122および第1巻取シャフト部123は、このような一体的なものに限定されるものではなく、ローラ部122が回転することにより、追従して回転する別部材により構成したものであってもよい。ローラ部122の回転の伝達方式としては、ギヤ形式のもの、ベルト形式などどのようなものであってもよい。
[0079]
 第1歯車部125は、ローラ部122の第1巻取シャフト部123が設けられた面と反対側の面に設けられており、外周面に、複数の歯125aが周方向に並んで形成されている。第1歯車部125の各々の歯125aは、一方側の歯面の外周面に対する傾斜角が、他方側の歯面の傾斜角よりも大きくなっている。第1歯車部125は、ローラ部122と同軸的かつ一体的に設けられている。第1歯車部125は、後述する第2歯車部160と噛み合い、かつ第1付勢部材150の第1噛合部151と噛み合っている。このため、第1歯車部125が回転することで、第2歯車部160が追従して回転する。第1歯車部125および第2歯車部160は、第1牽引部120および第2牽引部130を連動して作動させる連動部として機能する。
[0080]
 第1歯車部125は、ローラ部122より小径のものとなっており、第1歯車部125の外径としては、10~60mm程度が好適であり、特に、15~50mmが好ましく、歯数としては、4~200程度が好適であり、特に、4~70が好ましい。
[0081]
 第1付勢部材150は、ハウジング110内に配置されて、操作用回転ローラ121をハウジング110の開口部112方向に付勢するとともに、操作用回転ローラ121の回転を規制する部材である。第1付勢部材150は、ハウジング110へ装着されて固定される第1装着部152と、弾性的に変形して付勢力を発生させる第1弾性変形可能部153と、第1弾性変形可能部153を挟んで第1装着部152と反対側に形成されて第1歯車部125と噛合可能な第1噛合部151とを備えている。第1噛合部151は、第1歯車部125と接触することで、第1弾性変形可能部153により生じる付勢力によって第1歯車部125をハウジング110の開口部112方向に付勢する。また、第1噛合部151は、第1歯車部125が一方側へ回転しようとする際に傾斜角の小さい歯面と接して第1歯車部125の回転を許容し、反対側へ回転しようとする際に傾斜角の大きい歯面と接して第1歯車部125の回転を規制する。第1歯車部125が回転可能な方向は、第1巻取シャフト部123によって牽引ワイヤ6を巻き取り可能な巻取方向と一致し、巻取方向と逆方向への回転が規制される。したがって、第1付勢部材150および第1歯車部125は、牽引ワイヤ6の移動方向を規制する第1移動規制部として機能する。
[0082]
 第2牽引部130は、図4,5に示すように、第1歯車部125と噛合可能な第2歯車部160と、第2回転軸162と、伸長抑制ワイヤ9を巻き取る第2巻取シャフト部163と、第2付勢部材170とを備えている。
[0083]
 第2歯車部160は、操作用回転ローラ121が第1付勢部材150によりハウジング110の開口部112方向に付勢された初期状態で、第1歯車部125と噛み合う位置に配置されている。第2歯車部160の各々の歯161は、一方側の歯面の外周面に対する傾斜角が、他方側の歯面の傾斜角よりも大きくなっている。
[0084]
 第2歯車部160の外径としては、10~60mm程度が好適であり、特に、15~50mmが好ましく、歯数としては、4~200程度が好適であり、特に、4~70が好ましい。
[0085]
 第2回転軸162は、第2歯車部160と同軸的に、第2歯車部160の両側面から突出して形成されている。第2回転軸162は、ハウジング110に形成される第2軸受部113に回転可能に収容されている。
[0086]
 第2巻取シャフト部163は、伸長抑制ワイヤ9の基端部を保持して伸長抑制ワイヤ9を巻き取る部位であり、第2歯車部160と同軸的かつ一体的に設けられている。第2巻取シャフト部163には、伸長抑制ワイヤ9を収納可能なスリット163aが形成されており、このスリット163aに、伸長抑制ワイヤ9の基端部に径が大きく形成されたアンカー部92が収納されている。なお、伸長抑制ワイヤ9の第2巻取シャフト部163への固定方法は、上述の方法に限定されない。第2歯車部160が回転すると、第2巻取シャフト部163が回転し、第2巻取シャフト部163の外周面に伸長抑制ワイヤ9が巻き取られる。第2巻取シャフト部163による伸長抑制ワイヤ9の巻取量(移動量)は、第1巻取シャフト部123による牽引ワイヤ6の巻取量(移動量)以下であることが好ましい。
[0087]
 伸長抑制ワイヤ9の巻き取られる基端部は、巻取を容易なものとするために、柔軟なものとなっていることが好ましい。このような柔軟なものとする方法としては、伸長抑制ワイヤ9の基端部を柔軟な材料により形成する方法、伸長抑制ワイヤ9の基端部を細径とする方法などにより行うことができる。
[0088]
 第2巻取シャフト部163の外径としては、1~60mm程度が好適であり、特に、3~30mmが好ましい。
[0089]
 第2付勢部材170は、ハウジング110内に配置されて、第2歯車部160の回転を規制する部材である。第2付勢部材170は、ハウジング110へ装着されて固定される第2装着部171と、弾性的に変形して付勢力を発生させる第2弾性変形可能部172と、第2弾性変形可能部172を挟んで第2装着部171と反対側に形成されて第2歯車部160と噛合可能な第2噛合部173とを備えている。第2噛合部173は、第2弾性変形可能部172により生じる付勢力によって第2歯車部160に押し付けられている。また、第2噛合部173は、第2歯車部160が一方側へ回転しようとする際に傾斜角の小さい歯面と接して第2歯車部160の回転を許容し、反対側へ回転しようとする際に傾斜角の大きい歯面と接して第2歯車部160の回転を規制する。第2歯車部160が回転可能な方向は、第2巻取シャフト部163によって伸長抑制ワイヤ9を巻き取り可能な巻取方向と一致し、巻取方向と逆方向への回転が規制される。また、第2歯車部160が回転可能な方向は、第1歯車部125が回転可能な方向と逆方向となる。これにより、第1歯車部125の回転力によって、第1歯車部125に追従して第2歯車部160が逆方向へ回転可能となる。第2付勢部材170および第2歯車部160は、伸長抑制ワイヤ9の移動方向を規制する第2移動規制部として機能する。
[0090]
 ハウジング110は、図1,4,5に示すように、基端側が屈曲しかつ丸みを帯びた形状となっており、把持しやすく、かつ、把持した状態における操作用回転ローラ121の操作を容易なものとしている。ハウジング110の先端部には、筒状コネクタ41が固定され、この筒状コネクタ41の先端部に、基端側チューブ4の基端部が固定されている。
[0091]
 ハウジング110は、図4,5に示すように、第1歯車部125の歯125aと係合するロック用リブ(図示せず)、ローラ部122を部分的に露出させるための開口部112、第1回転軸124を収納する第1軸受部111、第2回転軸162を収納する第2軸受部113、第1付勢部材150を固定するための第1支柱114および第1突出部115、並びに、第2付勢部材170を固定するための第2支柱116および第2突出部117を備えている。
[0092]
 ロック用リブは、操作用回転ローラ121の第1歯車部125に形成された歯125aの間に侵入可能な形状となっている。
[0093]
 第1軸受部111は、操作用回転ローラ121の第1回転軸124を回転可能に収納するとともに、上述の開口部112と離間する方向に延びる溝状のものとなっている。なお、第1軸受部111は溝状に限定されるものではなく、第1回転軸124が回転可能かつ移動可能であればよい。例えば、第1軸受部111の形状は、長円、矩形、楕円状などであってもよい。また、溝状に延びる第1軸受部111の凹部の向かい合う内側面(内壁面)には、向かい合って対をなす2つのリブ118が2組形成されている。第1回転軸124を、2組のリブ118を順次乗り越えさせるように移動させることにより、操作用回転ローラ121が回転不能な初期状態(図4,10を参照)、操作用回転ローラ121が回転可能となって牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を牽引可能な状態(図11を参照)、および、操作用回転ローラ121が回転可能で牽引ワイヤ6のみを牽引可能な状態(図13を参照)へ順次移行させることができる。
[0094]
 第2軸受部113は、図4,5に示すように、第2歯車部160の第2回転軸162を回転可能に収納している。
[0095]
 第1支柱114は、第1付勢部材150の第1弾性変形可能部153内に配置されるとともに、第1弾性変形可能部153の内面形状に対応した外面を有する円柱形状で形成されている。第1突出部115は、板状に形成されている。そして、第1付勢部材150の第1装着部152は、ハウジング110に形成された第1支柱114および第1突出部115間に装着可能な形状となっている。
[0096]
 第2支柱116は、第2付勢部材170の第2弾性変形可能部172内に配置されるとともに、第2弾性変形可能部172の内面形状に対応した外面を有する円柱形状で形成されている。第2突出部117は、板状に形成されている。そして、第2付勢部材170の第2装着部171は、ハウジング110に形成された第2支柱116および第2突出部117間に装着可能な形状となっている。
[0097]
 シール機構140は、図4に示すように、基端側チューブ4および筒状コネクタ41から基端方向へ延びる牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を、軸線方向への移動を許容しつつ液密状態を維持して、ハウジング110内に導入するためのものである。シール機構140は、筒状コネクタ41の後端部に固定される先端部を備える筒状本体部材141と、筒状本体部材141の基端に固定されたキャップ部材142と、筒状本体部材141とキャップ部材142間に配置されたシール部材143とを備えている。筒状本体部材141およびキャップ部材142は、貫通する開口部を備えている。シール部材143は、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を液密状態かつ摺動可能に貫通させるための孔部もしくはスリットを備えている。
[0098]
 そして、上述したように、操作用回転ローラ121が回転不能な初期状態(図4,10を参照)において、操作用回転ローラ121を押圧すると、第1回転軸124が第1軸受部111の1組目のリブ118を乗り越え、第1付勢部材150が撓みつつ操作用回転ローラ121が移動し、第1歯車部125および第2歯車部160が噛み合った状態が維持されつつ、ロック用リブが第1歯車部125に形成された歯の間から離脱し、操作用回転ローラ121が回転可能となる(図11を参照)。しかし、操作用回転ローラ121は、牽引ワイヤ6を巻き取り可能な巻取方向への回転は可能であるが、巻取方向と逆方向に操作用回転ローラ121を回転させようとすると、第1歯車部125の1つの歯125aの傾斜角が大きい歯面と第1付勢部材150の第1噛合部151とが係合し、その回転を阻止する。これにより、牽引ワイヤ6の巻取方向と逆方向への操作用回転ローラ121の回転が規制される。
[0099]
 そして、操作用回転ローラ121をさらに押圧すると、第1回転軸124が第1軸受部111の2組目のリブ118を乗り越え、第1付勢部材150が撓みつつ操作用回転ローラ121が移動し、第1歯車部125が第2歯車部160から離れて噛み合い状態が解除され、第1歯車部125の回転力が第2歯車部160へ伝わらない状態となる(図13を参照)。
[0100]
 次に、本発明のステントデリバリーシステム1の使用方法を説明する。
[0101]
 始めに、セルジンガー法によりカテーテルイントロデューサー200(図8を参照)を経皮的に血管に穿刺する。次に、ルーメン内にガイドワイヤ210を挿入したガイディングカテーテル220を、カテーテルイントロデューサー200に挿入し、ガイドワイヤ210を先行させ、ガイディングカテーテル220の先端をカテーテルイントロデューサー200のシース201の先端開口から血管内へ挿入する。この後、ガイドワイヤ210を先行させつつ、ガイディングカテーテル220を目的部位まで徐々に押し進める。
[0102]
 次に、図9に示すように、ステントデリバリーシステム1の先端部材25の先端開口部25aに、ガイドワイヤ210の末端を挿入し、開口23よりガイドワイヤ210を出す。次に、図8に示すように、生体内に挿入されているガイディングカテーテル220内にステントデリバリーシステム1を先端部材25から挿入し、ガイドワイヤ210に沿わせてステントデリバリーシステム1を押し進め、ガイディングカテーテル220から突出させて、目的とする狭窄部内にステント収納部5のステント収納部位を位置させる。
[0103]
 操作部10は、初期状態では、図10に示すように、ロック用リブ(図示せず)が第1歯車部125に形成された歯の間に係合しているため、ローラ部122を回転させることができない。このため、ローラ部122の誤操作を抑制できる。
[0104]
 次に、操作部10のローラ部122を押圧すると、図11に示すように、第1回転軸124が第1軸受部111の1組目のリブ118を乗り越え、ローラ部122が移動してロック用リブが第1歯車部125に形成された歯125aの間から離脱し、操作用回転ローラ121が回転可能となる。この状態で、ローラ部122を巻取方向へ回転させると、第1牽引部120の第1巻取シャフト部123が回転し、第1巻取シャフト部123の外周面に牽引ワイヤ6が巻き取られて、牽引ワイヤ6の先端部が基端方向へ移動する(第1のステップ)。なお、第1巻取シャフト部123は、第1付勢部材150によって巻取方向と逆方向への回転が規制されているため、牽引ワイヤ6の巻取状態を良好に維持することができる。
[0105]
 また、操作用回転ローラ121が回転すると、第1歯車部125と噛み合っている第2歯車部160も回転し、第2歯車部160と同軸的に設けられる第2巻取シャフト部163の外周面に伸長抑制ワイヤ9が巻き取られて、伸長抑制ワイヤ9の先端部が基端方向へ移動する(第2のステップ)。なお、図11に示すように、第2巻取シャフト部163は、第2付勢部材170によって巻取方向と逆方向への回転が規制されているため、伸長抑制ワイヤ9の巻取状態を良好に維持することができる。
[0106]
 牽引ワイヤ6が巻き取られると、図12に示すように、牽引ワイヤ6の固定点61がステント収納部5に固定されているため、ステント収納部5およびスライドチューブ7が、基端方向へ移動する。そして、伸長抑制ワイヤ9が巻き取られると、伸長抑制ワイヤ9の先端91がステント基端部係止部22に固定されているため、チューブ体の先端部が、基端方向へ移動する。このとき、ステント3はその後端面が先端側チューブ2のステント基端部係止部22の先端面に当接し係止されるため、ステント収納部5の移動に伴って、ステント収納部5に対して先端方向へ移動する。そして、ステント3を押し出す際に生じるステント収納部5とステント3との間の摩擦力により、先端側チューブ2、基端側チューブ4および固定チューブ8とを含むチューブ体が、基端方向へ撓みつつ押し戻され、押し戻された長さ分が、伸長抑制ワイヤ9により巻き取られる。このとき、第2巻取シャフト部163による伸長抑制ワイヤ9の巻取量(移動量)が、第1巻取シャフト部123による牽引ワイヤ6の巻取量(移動量)以下であることで、ステント基端部係止部22の基端方向への移動量が、ステント3が移動しようとする長さ以下となるため、ステント基端部係止部22がステント3の基端と接した状態から離れない。このため、ステント3を放出する際にステント3の移動をステント基端部係止部22によって良好に規制でき、適切な放出が可能となる。
[0107]
 チューブ体の基端方向への撓みの変化が収束し、ステント基端部係止部22の位置が変化しなくなった状態で、操作者が、ステントデリバリーシステム1の長さの変化に応じてステント収納部5の位置を狭窄部に対して再調整し、操作部10のローラ部122をさらに押圧すると、図13に示すように、第1回転軸124が第1軸受部111の2組目のリブ118を乗り越え、第1付勢部材150が撓みつつ操作用回転ローラ121が移動し、第1歯車部125が第2歯車部160から離れて噛み合い状態が解除され、第1歯車部125の回転力が第2歯車部160へ伝わらない状態となる。これにより、第2歯車部160は回転不能となり、伸長抑制ワイヤ9によって、撓んだ状態のチューブ体のステント基端部係止部22が設けられる部位に基端方向への引っ張り力が作用し、チューブ体が再び先端方向へ延びようとする力を受け止めた状態が維持される。
[0108]
 次に、操作部10のローラ部122を巻取方向へ回転させると、第2巻取シャフト部163が回転しないために伸長抑制ワイヤ9は巻き取られず、牽引ワイヤ6のみが第1巻取シャフト部123に巻き取られ、ステント収納部5およびスライドチューブ7が、軸線方向に沿って基端側に移動する。このとき、ステント3はその後端面が先端側チューブ2のステント基端部係止部22の先端面に当接し係止されるため、ステント収納部5の移動に伴って、ステント収納部5の先端開口より放出される(第3のステップ)。この放出により、ステント3は、図14に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。
[0109]
 ところで、ステント3を放出する際には、ステント3がステント収納部5から徐々に押し出されるに伴って、ステント収納部5とステント3との間の接触面積が減少して摩擦力が減少し、撓んだ状態のチューブ体が再び先端方向へ延びようとする力が生じる。特に、ステント3がステント収納部5から完全に押し出される際に、チューブ体を基端方向へ押し戻す力が一気に解消されて、ステント3の長さが大きく減少する現象(ジャンピング)が生じやすい。しかしながら、本実施形態では、伸長抑制ワイヤ9によって、撓んだ状態のチューブ体が再び先端方向へ延びようとする力を受け止めた状態が維持されているため、ステント3を放出する際にチューブ体が先端方向へ延びず、したがってステント3の長さが短くならず、ステント3を適切な状態で生体内へ留置することができる。
[0110]
 ステント3を放出した後には、ステントデリバリーシステム1およびガイドワイヤ210を、ガイディングカテーテル220を介して抜去し、ガイディングカテーテル220をカテーテルイントロデューサー200から抜去した後、カテーテルイントロデューサー200を生体から抜去して、手技が完了する。
[0111]
 以上のように、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1は、チューブ体の先端方向への伸長を抑制する伸長抑制ワイヤ9(伸長抑制シャフト)が設けられているため、伸長抑制ワイヤ9によって、基端方向へ撓んだ状態のチューブ体が再び先端方向へ延びようとする力を受け止めることができ、ステント3を放出する際のチューブ体の先端方向への延びを抑制して、ステント3の長さが短くなる現象を抑制しつつ拡張させて、ステント3を適切な状態で留置することができる。
[0112]
 なお、伸長抑制ワイヤ9の先端91が固定される部位は、ステント3の基端面と接するステント基端部係止部22であることが最も好ましいが、必ずしもステント基端部係止部22でなくてもよい。伸長抑制ワイヤ9の先端91が固定される部位は、チューブ体のステント基端部係止部22の近傍であることが好ましく、ステント基端部係止部22と一体的に移動するチューブ体の、ステント基端部係止部22から基端方向へ0mm~300mmの範囲内、より好ましくは0~100mmの範囲内、さらに好ましくは0~10mmの範囲内で固定される。このような範囲であれば、ステント3が短くなる現象を抑制する効果を、伸長抑制ワイヤ9によって十分に発揮できる。
[0113]
 また、ステントデリバリーシステム1が、第1牽引部120および第2牽引部130を連動して作動させるとともに連動を解除可能な連動部(第1歯車部125および第2歯車部160)を有するため、第1牽引部120および第2牽引部130を連動して作動させて作業性が向上するとともに、第1牽引部120のみを作動させたい場合には、連動を解除することができる。
[0114]
 また、連動部(第1歯車部125および第2歯車部160)により第1牽引部120および第2牽引部130が連動した状態において、第2牽引部130により基端方向へ移動する伸長抑制ワイヤ9の移動量が、第1牽引部120により基端方向へ移動する牽引ワイヤ6の移動量以下であるため、ステント基端部係止部22(ステント係止部)の基端方向への移動量が、ステント3が移動しようとする長さ以下となるため、ステント基端部係止部22がステント3から離れず、ステント3を放出する際にステント3の移動をステント基端部係止部22によって良好に規制でき、適切な放出が可能となる。
[0115]
 また、第1牽引部120は、牽引ワイヤ6の先端方向への移動を規制する第1移動規制部(第1付勢部材150および第1歯車部125)を有し、第2牽引部130は、伸長抑制ワイヤ9の先端方向への移動を規制する第2移動規制部(第2付勢部材170および第2歯車部160)を有するため、第1牽引部120および第2牽引部130を基端方向へ移動させた状態を良好に維持することができ、操作性が向上する。
[0116]
 なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、本実施形態では、連動部(第1歯車部125および第2歯車部160)が設けられて、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を連動して牽引することができるが、連動させずに、第2牽引部130にも回転操作可能なローラ部を設けて、牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を別々に操作可能とすることもできる。この場合、伸長抑制ワイヤ9によりチューブ体を牽引する第2のステップは、牽引ワイヤ6によりステント収納部5を牽引する第1のステップと同時に行うのみならず、第1のステップの後に行うこともできる。
[0117]
 また、第1牽引部120および第2牽引部130は、回転操作によって牽引ワイヤ6および伸長抑制ワイヤ9を巻き取る構造となっているが、巻き取る構造でなくてもよく、例えば、スライド移動する構造であってもよい。
[0118]
 また、上述した実施形態に係るステントデリバリーシステム1は、先端側の側部にガイドワイヤを挿入する開口23を有するいわゆるラピッドエクスチェンジタイプのものとなっているが、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤルーメンが、チューブ体の先端から基端まで延びるいわゆるオーバーザワイヤタイプのものであってもよい。
[0119]
 また、図15に示すように、第2歯車部180の歯181を、一周未満に形成してもよい。このようにすれば、第1歯車部125および第2歯車部180を構造的に離間させることなしに、第2歯車部180が回転して第1歯車部125と噛み合わなくなった状態で、第2歯車部180が回転不能となり、第1歯車部125および第2歯車部180の連動が解除される。
[0120]
 また、ステント収納部を牽引するための牽引シャフトは、ワイヤ状でなくてもよく、例えば、ベルトなどの帯状体でもよく、ステント収納部から連続して形成される管体であってもよい。また、チューブ体の伸長を抑制する伸長抑制シャフトも、牽引シャフトと同様にワイヤ状でなくてもよい。
[0121]
 さらに、本出願は、2014年3月17日に出願された日本特許出願番号2014-52928号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

符号の説明

[0122]
  1  ステントデリバリーシステム、
  3  ステント、
  5  ステント収納部、
  6  牽引ワイヤ(牽引シャフト)、
  9  伸長抑制ワイヤ(伸長抑制シャフト)、
  21  ガイドワイヤルーメン、
  22  ステント基端部係止部(ステント係止部)、
  120  第1牽引部、
  125  第1歯車部(連動部)、
  130  第2牽引部、
  150  第1付勢部材(第1移動規制部)、
  160,180  第2歯車部(連動部)、
  170  第2付勢部材(第2移動規制部)。

請求の範囲

[請求項1]
 ガイドワイヤルーメンを有するチューブ体と、前記チューブ体の先端側を被包しかつ当該チューブ体の基端方向に摺動可能であるステント収納部と、前記ステント収納部内に中心軸方向に圧縮された状態で収納されて前記ステント収納部から放出されることで径方向外側へ自己拡張力により拡張可能な略円筒形状のステントと、前記ステント収納部に一端部が固定され、基端方向へ移動することにより前記ステント収納部を前記チューブ体に対して基端方向へ牽引するための牽引シャフトと、を備え、前記チューブ体に、前記ステント収納部内に収納された前記ステントの基端と当接して当該ステントの基端方向への移動を規制するステント係止部が設けられるステントデリバリーシステムであって、
 前記チューブ体に一端部が固定されて前記チューブ体の先端方向への伸長を抑制する伸長抑制シャフトと、
 前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられ、前記牽引シャフトの基端部が連結されて当該牽引シャフトを基端方向へ移動させる第1牽引部と、
 前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられ、前記伸長抑制シャフトの基端部が連結されて当該伸長抑制シャフトを基端方向へ移動させる第2牽引部と、を有するステントデリバリーシステム。
[請求項2]
 前記第1牽引部および第2牽引部を連動して作動させるとともに連動を解除可能な連動部を有する請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
[請求項3]
 前記連動部により前記第1牽引部および第2牽引部が連動した状態において、前記第2牽引部により基端方向へ移動する前記伸長抑制シャフトの移動量は、前記第1牽引部により基端方向へ移動する前記牽引シャフトの移動量以下である請求項2に記載のステントデリバリーシステム。
[請求項4]
 前記第1牽引部は、前記牽引シャフトの先端方向への移動を規制する第1移動規制部を有し、
 前記第2牽引部は、前記伸長抑制シャフトの先端方向への移動を規制する第2移動規制部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステム。
[請求項5]
 ガイドワイヤルーメンを有するチューブ体と、前記チューブ体の先端側を被包しかつ当該チューブ体の基端方向に摺動可能であるステント収納部と、前記ステント収納部内に中心軸方向に圧縮された状態で収納されて前記ステント収納部から放出されることで径方向外側へ自己拡張力により拡張可能な略円筒形状のステントと、前記ステント収納部に一端部が固定され、基端方向へ移動することにより前記ステント収納部を前記チューブ体に対して基端方向へ牽引するための牽引シャフトと、を備え、前記チューブ体に、前記ステント収納部内に収納された前記ステントの基端と当接して当該ステントの基端方向への移動を規制するステント係止部が設けられるステントデリバリーシステムにより前記ステントを搬送させるためのステントデリバリー方法であって、
 前記ステント係止部により前記ステントの基端方向への移動を規制しつつ前記ステント収納部を前記牽引シャフトにより基端方向へ移動させる第1のステップと、
 前記第1のステップと同時または後に、前記チューブ体に一端部が固定される伸長抑制シャフトにより前記チューブ体を基端方向へ牽引して前記チューブ体に対する固定部位に基端方向への引っ張り力を作用させる第2のステップと、
 前記第2のステップの後に、前記ステント係止部により前記ステントの基端方向への移動を規制しつつ前記ステント収納部を前記牽引シャフトにより基端方向へ移動させて前記ステントを前記ステント収納部の先端方向へ放出して自己拡張力により拡張させる第3のステップと、を有するステントデリバリー方法。
[請求項6]
 前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられるとともに前記牽引シャフトの基端部が連結されて当該牽引シャフトを基端方向へ移動させる第1牽引部、および、前記ステントデリバリーシステムの基端部に設けられるとともに前記伸長抑制シャフトの基端部が連結されて当該伸長抑制シャフトを基端方向へ移動させる第2牽引部を連動して作動させて前記第2のステップを第1のステップと同時に行い、
 前記第2のステップの後、前記第1牽引部および第2牽引部の連動を解除するステップをさらに有する請求項5に記載のステントデリバリー方法。
[請求項7]
 前記第1牽引部により基端方向へ牽引される前記牽引シャフトの移動量は、前記第2牽引部により基端方向へ牽引される前記伸長抑制シャフトの移動量以上である請求項6に記載のステントデリバリー方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]