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1. (WO2015141379) 偏光板用粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板
Document

明 細 書

発明の名称 偏光板用粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

実施例

0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 偏光板用粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板

技術分野

[0001]
 本発明は、偏光板用粘着剤組成物に関する。

背景技術

[0002]
 液晶セルは、液晶層が2枚の基板(例:ガラス板)間に挟まれた構造を有しており、前記基板の表面には粘着剤層を介して偏光板が貼付されている。偏光板は、高温・高湿熱環境下において、熱収縮しやすいことから寸法安定性に欠け、液晶セルに反りが発生することがある。近年、液晶セルの薄型化(例:液晶セルを構成する基板の薄型化)および偏光板の薄型化に伴い、高温・高湿熱環境下での液晶セルの反りがより大きな問題となっている。液晶セルの反りの原因としては、例えば、偏光板の熱収縮(寸法変化)に粘着剤層が追従することができないこと、粘着剤層の応力緩和特性が低いことが挙げられる。
[0003]
 また、高温・高湿熱環境下では、偏光板と基板との界面での発泡や、粘着剤層の断裂、偏光板の剥がれ等の不具合も生じやすい。したがって、偏光板用粘着剤には、高い耐久性が要求される。
[0004]
 一般的に、液晶セルの反りを抑制する手段として、偏光板の寸法変化に対応することができる柔軟性の高い粘着剤層を使用する方法が挙げられる。しかしながら、このような粘着剤層では凝集力が不足し、耐久性の悪化および加工性の悪化等の問題が生じる。
[0005]
 例えば特許文献1では、特定の(メタ)アクリル系ポリマーと、過酸化物およびイソシアネート系化合物とを含有する光学フィルム用粘着剤を、架橋反応させて、粘着剤層を形成する方法が開示されている。特許文献1には、過酸化物による熱分解架橋反応を利用した架橋方法と、イソシアネート系化合物によるウレタン結合の形成を利用した架橋方法とを併用することで、光学フィルムの寸法変化に伴う応力に対して充分な応力緩和特性を維持しつつ、高い耐久性を保持できることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2006-183022号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明の課題は、液晶セルの反り(ベンディング)を抑制でき、かつ耐久性に優れた粘着剤層を形成することが可能な偏光板用粘着剤組成物、前記組成物から形成された粘着剤層を有する偏光板用粘着シート、および前記粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、分岐度が特定の範囲にある(メタ)アクリル系共重合体を用い、かつ架橋剤としてイソシアネート化合物を使用した場合に、液晶セルの反り(ベンディング)を抑制でき、かつ耐久性に優れた粘着剤層を形成することができることを見出した。上述の特許文献1には、このような分岐度に関して何ら言及されていない。すなわち、本発明者らは、以下の特定の構成を有する偏光板用粘着剤組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0009]
 本発明は、例えば以下の[1]~[8]である。
 [1](A)アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマーを含むモノマー成分を共重合して得られ、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALS)により測定される分岐度が0.55以下である(メタ)アクリル系共重合体と、(B)イソシアネート化合物とを含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
[0010]
 [2]前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、過酸化物系重合開始剤の存在下で前記共重合により得られた共重合体である、前記[1]記載の偏光板用粘着剤組成物。
[0011]
 [3]前記(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、20万~150万である、前記[1]または[2]記載の偏光板用粘着剤組成物。
[0012]
 [4]前記(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC-MALSにより測定される分岐度が、0.10~0.54である、前記[1]~[3]のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[0013]
 [5]過酸化物の含有量が、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以下である、前記[1]~[4]のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[0014]
 [6]前記偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤のゲル分率が、20~70質量%である、前記[1]~[5]のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[0015]
 [7]前記[1]~[6]のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有することを特徴とする偏光板用粘着シート。
[0016]
 [8]偏光板と、前記偏光板の少なくとも一方の面に、前記[1]~[6]のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層とを有することを特徴とする粘着剤層付き偏光板。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、液晶セルの反り(ベンディング)を抑制でき、かつ耐久性に優れた粘着剤層を形成することが可能な偏光板用粘着剤組成物、前記組成物から形成された粘着剤層を有する偏光板用粘着シート、および前記粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明の偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を説明する。以下では、本発明の偏光板用粘着剤組成物を単に「粘着剤組成物」ともいい、本発明の偏光板用粘着シートを単に「粘着シート」ともいう。
[0019]
  〔偏光板用粘着剤組成物〕
 本発明の偏光板用粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B)とを含有する。前記粘着剤組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤(C)、帯電防止剤(D)および有機溶媒(E)から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
[0020]
  [(メタ)アクリル系共重合体(A)]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマーを含むモノマー成分を共重合して得られた共重合体である。共重合体(A)のモノマー成分としては、その他、水酸基含有モノマー以外の極性基含有モノマー、これら以外のその他のモノマーが挙げられる。
[0021]
 本明細書において、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」とも記載する。また、重合体に含まれる、あるモノマーaに由来する構成単位を「モノマーa単位」とも記載する。
[0022]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALS)により測定される分岐度が、0.55以下であり、好ましくは0.10~0.54、より好ましくは0.20~0.53、特に好ましくは0.30~0.53である。分岐度の測定条件の詳細は、実施例に記載する。
[0023]
 分岐度は、0.55以下の場合に分岐状ポリマーであり、0.55を超える場合に直線状ポリマーであることを示す指標である。また、分岐状ポリマーにおいて、分岐度の値が小さい場合はポリマー分子の枝分かれが多く、高分岐鎖を有することを示し、分岐度の値が大きい場合はポリマー分子の枝分かれが少なく、低分岐鎖を有することを示す。
[0024]
 分岐度が上記範囲にある(メタ)アクリル系共重合体(A)は、(1)室温程度ではポリマー分子相互の分岐鎖に起因する絡み合いが多く発生し、結果として、ポリマーの分子量および粘着剤層のゲル分率が低い設計においても、ポリマーの凝集性が維持され、粘着特性、粘着剤層を打ち抜く等の加工性、粘着剤層の変形およびはみ出しが少ない等の保管性に優れる粘着剤層が得られ;(2)高温(例:60℃)ではポリマー分子相互の前記絡み合いが一部緩むため、粘着剤層が優れた柔軟性を示し、偏光板の反り(ベンディング)抑制に優れるとともに、一部残存している前記絡み合いに起因して、粘着剤層が優れた耐久性を示す。
[0025]
 偏光板の反りが抑制される点については、以下の理由によるものと推測される。例えば偏光板/粘着剤層/被着体という構成において、被着体としてガラス板を使用する場合を例にとって説明する。偏光板およびガラス板はそれぞれ熱収縮率が異なり、偏光板はガラス板に比べて熱収縮率(寸法変化)が通常大きい。粘着剤層が高温・高湿熱環境下での柔軟性に欠ける場合、偏光板の寸法変化に対して粘着剤層が追従することができず、粘着剤層で応力を緩和することが出来ず、応力がガラス板に集中し、これによってガラス板に反りが発生する。一方本発明の粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層は高分岐鎖ポリマーを含有し、高温・高湿熱環境下において上記絡み合いが一部緩むため、偏光板の寸法変化に対して粘着剤層が追従することができるため、応力が発生せず、ガラス板に応力が集中することがない。また、偏光板も異方性なく均一に熱収縮することができ、偏光板の複屈折を誘発することがない。以上のように、本発明では、偏光板の寸法変化に伴う応力を粘着剤層が吸収・緩和することができ、よってガラス板に対して過度の応力(負荷)がかかることがないため、ガラス板の反り抑制へとつながると推測される。
[0026]
 本発明の粘着剤組成物は、以上の特性を有することから、液晶セルを構成する基板と偏光板との貼り合わせ用途に好適である。特に、薄型化された液晶セルを構成するガラス板の厚さが0.1~1.0mm程度と小さい場合においても、当該基板と偏光板との貼り合わせ用途に好適である。
[0027]
  《(メタ)アクリル酸アルキルエステル》
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH 2=CR 1-COOR 2;R 1は水素原子またはメチル基であり、R 2は炭素数4~18のアルキル基である)が用いられ、ここで前記アルキル基の炭素数は4~12がより好ましい。
[0028]
 アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0029]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量%中、アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの合計量は、良好な粘着力および耐久性発現の観点から、好ましくは99.8~20質量%、より好ましくは99.5~30質量%、さらに好ましくは99~50質量%である。
[0030]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)のモノマー成分として、アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH 2=CR 3-COOR 4;R 3は水素原子またはメチル基であり、R 4は炭素数1~3のアルキル基である)を使用することも可能である。
[0031]
 アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0032]
 アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、応力緩和特性の観点から、モノマー成分100質量%中、60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
[0033]
  《水酸基含有モノマー》
 水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでのヒドロキシアルキル基の炭素数は、通常2~8、好ましくは2~6である。
[0034]
 水酸基含有モノマーに含まれる当該水酸基は、イソシアネート化合物(B)に含まれるイソシアネート基との架橋性官能基として機能する。水酸基含有モノマーの使用量は、モノマー成分100質量%中、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.05~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%である。水酸基含有モノマーの使用量が前記上限値以下であると、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B)とにより形成される架橋密度が高くなりすぎず、応力緩和特性に優れる粘着剤層が得られる。水酸基含有モノマーの使用量が前記下限値以上であると、架橋構造が有効に形成され、常温において適切な強度を有する粘着剤層が得られる。
[0035]
  《極性基含有モノマー》
 (メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分は、上記モノマーの他に、さらに極性基含有モノマーを含むことができる。極性基含有モノマーとしては、イソシアネート化合物(B)が有するイソシアネート基と反応することが可能な極性基(架橋性官能基)を有するモノマーを用いることが好ましい。
[0036]
 極性基含有モノマーとしては、例えば、酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーが挙げられる。本明細書において酸基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、硫酸基が挙げられる。
[0037]
 カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。酸無水物基含有モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、側鎖にリン酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、硫酸基含有モノマーとしては、側鎖に硫酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
[0038]
 アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
[0039]
 極性基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
 上記共重合における極性基含有モノマーの全使用量は、モノマー成分100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。また、(メタ)アクリル系共重合体(A)の酸価は、好ましくは10.0mgKOH/g以下、より好ましくは5.0mgKOH/g以下である。
[0040]
  《その他のモノマー》
 (メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性を損なわない範囲で、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレートなどの、その他の(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。
[0041]
 アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
[0042]
 アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
[0043]
 脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
[0044]
 上記共重合における、上記その他の(メタ)アクリル酸エステルの全使用量は、モノマー成分100質量%中、60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
[0045]
 また、(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性を損わない範囲で、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレン等のアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニルなどの、共重合性モノマーを用いることもできる。
[0046]
 上記共重合における、上記共重合性モノマーの全使用量は、モノマー成分100質量%中、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
 その他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0047]
  《(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件》
 (メタ)アクリル系共重合体(A)は、過酸化物系重合開始剤の存在下で前記共重合により得られた共重合体であることが好ましい。すなわち、重合開始剤として、過酸化物系重合開始剤を用いることで、分岐度が上記範囲にある共重合体が得られる傾向にある。
[0048]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の従来公知の重合法により製造することができ、これらの中でも溶液重合法が好ましい。具体的には、反応容器内に重合溶媒およびモノマー成分を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を通常40~100℃、好ましくは50~80℃に設定し、通常50~90℃、好ましくは70~90℃の温度に反応系を維持して、4~20時間反応させる。
[0049]
 過酸化物系重合開始剤としては、例えば、
 ジ(2-tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類(例:R-O-O-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基置換アルキル基である;R-O-O-A-O-O-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基置換アルキル基であり、Aは2価の炭化水素基である);
 ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類(例:R-COO-OCO-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基である);
 ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート(例:R-OCO-O-O-COO-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基またはシクロアルキル基である);
 クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシ-3-メチルベンゾエート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類(例:R 1-O-O-CO-R 2で表される化合物、式中のR 1はアルキル基またはアリール基置換アルキル基であり、R 2はアルキル基、アリール基またはアリール基置換アルキル基である;R-CO-O-O-A-O-O-CO-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基であり、Aは2価の炭化水素基である);
 tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート等のパーオキシモノカーボネート類(例:R-O-O-COO-Rで表される化合物、式中のRはそれぞれ独立にアルキル基である);
が挙げられる。
[0050]
 過酸化物系重合開始剤の中でも、高分岐鎖の(メタ)アクリル系共重合体が得られることから、パーオキシエステル類が好ましく、下記式(1)で表される過酸化物系重合開始剤がより好ましい。
[0051]
[化1]


 式(1)中、R A~R Fはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基であり、高分岐鎖の共重合体が得られることから、好ましくは炭素数1~10のアルキル基、フェニル基であり、より好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基、特に好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
[0052]
 式(1)で表される過酸化物系重合開始剤の中でも、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエートが好ましく、高分岐鎖の共重合体が得られることから、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが特に好ましい。
[0053]
 過酸化物系重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、重合中に、過酸化物系重合開始剤を複数回添加することも制限されない。
 重合開始剤として、分岐度が上記範囲にある限り、過酸化物系開始剤とともにアゾ系開始剤を用いることもできる。アゾ系開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕、2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2'-アゾビス(2-シアノプロパノール)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0054]
 過酸化物系重合開始剤は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量部に対して、通常0.001~5質量部、好ましくは0.005~3質量部の範囲内の量で使用される。また、アゾ系開始剤は使用しないことが好ましく、その使用量は、過酸化物系重合開始剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、さらに好ましくは0質量部である。ただし、反応後半に残存モノマーを減少させる目的で用いることは制限されない。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
[0055]
 溶液重合に用いる重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類等が挙げられる。これらの重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[0056]
 本発明の粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造する際に重合開始剤として好ましく用いられる過酸化物系重合開始剤のt時間反応後の残存率(%)は、以下の式により求めることができる。
 残存率(%)=exp(-k dt)×100(%)
 式中、k dは熱分解速度定数であり、アレニウスの式:k d=A×exp(-ΔE/RT)で表され、ここでAは頻度因子であり、ΔEは重合開始剤の熱分解反応における活性化エネルギーであり、Rは気体定数(8.314J/mol・K)であり、Tは絶対温度(K)であり;tは反応時間である。
[0057]
 上記過酸化物系重合開始剤について、頻度因子(A)および活性化エネルギー(ΔE)は求められており、例えば日油株式会社 有機過酸化物カタログ(第10版)に記載されている値を使用することができる。例えば、tert-ブチルパーオキシピバレートではΔE=119.1kJ/mol、A=6.93×10 17hr -1であり、tert-ヘキシルパーオキシピバレートではΔE=118.5kJ/mol、A=6.45×10 17hr -1であり、クミルパーオキシネオデカノエートではΔE=105.3kJ/mol、A=3.94×10 16hr -1である。
[0058]
 したがって、所定温度でのk dを算出できることから、所定温度でt時間反応後の過酸化物系重合開始剤の残存率(%)を上記式に従って算出することができる。よって、粘着剤組成物に含まれる過酸化物系重合開始剤の残存量は、上記共重合で使用した過酸化物系重合開始剤の量×残存率(%)により、算出することができる。
[0059]
  《(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性および含有量》
 (メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC法により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、通常20万~150万であり、好ましくは40万~130万、より好ましくは50万~110万である。共重合体(A)は、Mwが前記範囲にあっても高分岐鎖を有しているので、共重合体(A)鎖同士が相互に適度に絡み合うことができ、粘着剤層の耐久性や加工性が悪化することがない。特にMwが40万以上であると、凝集性の高い粘着剤層が得られる。
[0060]
 (メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC法により測定される分子量分布(Mw/Mn)は、通常50以下であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
 (メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、当該重合体を構成するモノマー単位およびその含有割合から、Foxの式により算定することができる。例えば、Foxの式により求めたガラス転移温度(Tg)が通常-70~0℃、好ましくは-60~-30℃となるように、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成することができる。このようなガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いることにより、常温で粘着性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
 Foxの式:1/Tg=(W 1/Tg 1)+(W 2/Tg 2)+…+(W m/Tg m
 W 1+W 2+…+W m=1
 式中、Tgは(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度であり、Tg 1,Tg 2,…,Tg mは各モノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度であり、W 1,W 2,…,W mは各モノマー由来の構成単位の前記共重合体(A)における重量分率である。
[0061]
 前記Foxの式における各単量体からなるホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、Polymer Handbook Fourth Edition(Wiley-Interscience 1999)記載の値を用いることができる。
[0062]
 本発明の粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有量は、当該組成物中の有機溶媒(E)を除く固形分100質量%中、通常50~99.99質量%、より好ましくは60~99.95質量%、特に好ましくは80~99.90質量%である。(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有量が前記範囲にあると、粘着剤としての性能のバランスがとれ、粘着特性に優れる。
[0063]
  [イソシアネート化合物(B)]
 イソシアネート化合物(B)としては、1分子中のイソシアネート基数が2以上のイソシアネート化合物が通常用いられる。イソシアネート化合物(B)により(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋することで、架橋体(ネットワークポリマー)を形成することができる。
[0064]
 イソシアネート化合物(B)のイソシアネート基数は、通常2以上であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは3~6である。イソシアネート基数が前記範囲にあると、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B)との架橋反応効率の点、および粘着剤層の柔軟性を保つ点で好ましい。
[0065]
 1分子中のイソシアネート基数が2のジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数4~30の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の炭素数7~30の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート等の炭素数8~30の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
[0066]
 1分子中のイソシアネート基数が3以上のイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、4,4',4"-トリフェニルメタントリイソシアネートが挙げられる。
[0067]
 また、イソシアネート化合物(B)としては、例えば、イソシアネート基数が2または3以上の上記イソシアネート化合物の、多量体(例えば2量体または3量体、ビウレット体、イソシアヌレート体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上のジイソシアネート化合物との付加反応生成物)、重合物が挙げられる。前記誘導体における多価アルコールとしては、低分子量多価アルコールとして、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上のアルコールが挙げられ;高分子量多価アルコールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールが挙げられる。
[0068]
 このようなイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの3量体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートのビウレット体またはイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートの3分子付加物)、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの3分子付加物)、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートが挙げられる。
[0069]
 イソシアネート化合物(B)の中でも、エージング性および光漏れ性能を向上させることができる点で、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートとの反応生成物(綜研化学社製L-45、綜研化学社製TD-75等)、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(旭化成工業社製TSE-100、日本ポリウレタン社製2050等)が好ましい。
[0070]
 イソシアネート化合物(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
 本発明の粘着剤組成物において、イソシアネート化合物(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常0.01~5質量部、より好ましくは0.05~2.5質量部、さらに好ましくは通常0.1~1質量部である。この含有量が前記範囲にあると、耐久性と応力緩和特性のバランスが取りやすい点で好ましい。
[0071]
  [シランカップリング剤(C)]
 本発明の偏光板用粘着剤組成物は、さらにシランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。シランカップリング剤(C)は、粘着剤層をガラス板等の被着体に対して強固に接着させ、高湿熱環境下で剥がれを防止する点に寄与する。
[0072]
 シランカップリング剤(C)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有シランカップリング剤;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤が挙げられる。
[0073]
 本発明の偏光板用粘着剤組成物におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常1質量部以下、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.05~0.5質量部である。含有量が前記範囲にあると、高湿熱環境下における偏光板の剥がれや、高温環境下におけるシランカップリング剤(C)のブリードが防止される傾向にある。
[0074]
  [帯電防止剤(D)]
 帯電防止剤(D)は、例えば、本発明の偏光板用粘着剤組成物の表面抵抗値を低下させるために使用することができる。帯電防止剤(D)としては、例えば、界面活性剤、イオン性化合物、導電性ポリマーが挙げられる。
[0075]
 界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩類、アミド4級アンモニウム塩類、ピリジウム塩類、第1級~第3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性界面活性剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類、アルキルアミンオキサイド類、アミノ酸硫酸エステル類等の両性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類、N-ヒドロキシエチル-N-2-ヒドロキシアルキルアミン類、アルキルジエタノールアミド類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
[0076]
 また、界面活性剤として重合性基を有する反応型乳化剤も挙げられ、上記の界面活性剤または反応性乳化剤を含むモノマー成分を高分子量化したポリマー系界面活性剤を用いることもできる。
[0077]
 イオン性化合物は、カチオン部とアニオン部とから構成され、室温下(23℃/50%RH)では固体状でも液体状のいずれであってもよい。
 イオン性化合物を構成するカチオン部としては、無機系カチオンまたは有機系カチオンのいずれか一方であっても双方であってもよい。無機系カチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンが好ましく、帯電防止性が優れたLi +、Na +およびK +がより好ましい。有機系カチオンとしては、例えば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピロリンカチオン、ピロールカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
[0078]
 イオン性化合物を構成するアニオン部としては、カチオン部とイオン結合してイオン性化合物を形成し得るものであれば特に制限されない。具体的には、F -、Cl -、Br -、I -、AlCl 4 -、Al 2Cl 7 -、BF 4 -、PF 6 -、SCN -、ClO 4 -、NO 3 -、CH 3COO -、CF 3COO -、CH 3SO 3 -、CF 3SO 3 -、(CF 3SO 2) 2-、(F 2SO 2) 2-、(CF 3SO 2) 3-、AsF 6 -、SbF 6 -、NbF 6 -、TaF 6 -、F(HF) n -、(CN) 2-、C 49SO 3 -、(C 25SO 2) 2-、C 37COO -および(CF 3SO 2)(CF 3CO)N -が挙げられる。これらの中では、フッ素原子を含むアニオンは、低融点のイオン性化合物を与えるので好ましく、(F 2SO 2) 2-および(CF 3SO 2) 2-がとりわけ好ましい。
[0079]
 イオン性化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、1-エチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-オクチルピリジニウムフルオロスホニウムイミド、1-オクチル-3-メチルピリジニウム、トリフルオロスルホニウムイミドが好ましい。
[0080]
 導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体が挙げられる。
 本発明の偏光板用粘着剤組成物における帯電防止剤(D)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常3質量部以下、好ましくは0.01~3質量部、より好ましくは0.05~2.5質量部である。
[0081]
  [有機溶媒(E)]
 本発明の粘着剤組成物は、その塗布性を調製するため、有機溶媒(E)を含有することが好ましい。有機溶媒としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の欄で説明した重合溶媒が挙げられる。例えば、上記共重合で得られた、(メタ)アクリル系共重合体(A)および重合溶媒を含むポリマー溶液と、イソシアネート化合物(B)とを混合して、粘着剤組成物を調製することができる。本発明の粘着剤組成物において、有機溶媒の含有量は、通常50~90質量%、好ましくは60~85質量%である。
[0082]
 なお、本明細書において「固形分」とは、粘着剤組成物中の含有成分のうち上記有機溶媒(E)を除いた全成分をいい、「固形分濃度」とは、粘着剤組成物100質量%に対する前記固形分の割合をいう。
[0083]
  [過酸化物]
 本発明の粘着剤組成物には、架橋剤としての過酸化物(過酸化物系架橋剤)を配合しないことが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体(A)の合成時に使用した過酸化物系重合開始剤の残存量も含めて、過酸化物の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以下、さらに好ましくは0.01質量部以下である。架橋剤としてイソシアネート化合物(B)を用い、過酸化物系架橋剤を用いないことで、残留した過酸化物に基づく粘着剤層の経時劣化を抑制することができる。
[0084]
  [添加剤]
 本発明の粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、金属腐蝕防止剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋促進剤、前記(A)以外の(メタ)アクリル系重合体およびリワーク剤から選択される1種または2種以上を含有してもよい。
[0085]
  [偏光板用粘着剤組成物の調製]
 本発明の偏光板用粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B)と、必要に応じて他の成分とを、従来公知の方法により混合することで調製することができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成する際に得られた、当該ポリマーを含むポリマー溶液に、イソシアネート化合物(B)と必要に応じて他の成分とを配合することが挙げられる。
[0086]
 本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤のゲル分率は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは24~60質量%、さらに好ましくは30~55質量%である。前記ゲル分率は、例えば実施例記載の条件により採取された粘着剤について測定される値である。
[0087]
  〔粘着剤層〕
 本発明の粘着剤層は、例えば、上述の粘着剤組成物中の架橋反応を進めることにより、具体的には(メタ)アクリル系共重合体(A)をイソシアネート化合物(B)で架橋することにより得られる。
[0088]
 粘着剤層の形成条件は、例えば以下のとおりである。本発明の粘着剤組成物を支持体上に塗布し、溶媒の種類によっても異なるが、通常50~150℃、好ましくは60~100℃で、通常1~10分間、好ましくは2~7分間乾燥して溶媒を除去し、塗膜を形成する。乾燥塗膜の膜厚は、通常5~75μm、好ましくは10~50μmである。
[0089]
 粘着剤層は、以下の条件で形成することが好ましい。本発明の粘着剤組成物を支持体上に塗布し、上記条件で形成された塗膜上にカバーフィルムを貼付した後、通常3日以上、好ましくは7~10日間、通常5~60℃、好ましくは15~40℃、通常30~70%RH、好ましくは40~70%RHの環境下で養生する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体(ネットワークポリマー)の形成が可能である。
[0090]
 粘着剤組成物の塗布方法としては、公知の方法、例えばスピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、所定の厚さになるように塗布・乾燥する方法を用いることができる。
[0091]
 支持体およびカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
[0092]
 本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、偏光板の歪み抑制、凝集力、接着力、再剥離性の観点から、ゲル分率が、好ましくは20~70質量%、より好ましくは24~60質量%、さらに好ましくは30~55質量%である。ゲル分率が前記範囲にあっても(メタ)アクリル系共重合体(A)が高分岐鎖を有しているので、共重合体(A)の分岐鎖同士が相互に適度に絡み合うことができ、粘着剤層の耐久性や加工性が悪化することがない。特にゲル分率が30質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤層が得られる。ゲル分率が前記範囲を超えると、高温・高湿熱環境下での偏光板の寸法変化に起因する応力を、粘着剤層が充分に吸収・緩和できないことがある。
[0093]
  〔偏光板用粘着シート〕
 本発明の偏光板用粘着シートは、上述の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する。粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみを有する両面粘着シート、基材と、基材の両面に形成された上記粘着剤層とを有する両面粘着シート、基材と、基材の一方の面に形成された上記粘着剤層を有する片面粘着シート、およびそれら粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面に剥離処理されたカバーフィルムが貼付された粘着シートが挙げられる。
[0094]
 基材およびカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
[0095]
 粘着剤層の形成条件は、〔粘着剤層〕の欄に記載した条件と同様である。
 粘着剤層の膜厚は、粘着性能維持の観点から、通常5~75μm、好ましくは10~50μmである。基材およびカバーフィルムの膜厚は、特に限定されないが、通常10~125μm、好ましくは25~75μmである。
[0096]
  〔粘着剤層付き偏光板〕
 本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光板と、前記偏光板の少なくとも一方の面に、本発明の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層とを有することを特徴とする。なお、本明細書では、「偏光板」は「偏光フィルム」を包含する意味で用いる。
[0097]
 偏光板としては、従来公知の偏光フィルムを使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムに偏光成分を含有させて延伸することにより得られる延伸フィルムと、前記延伸フィルム上に配置された保護フィルムとを有する多層フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、エチレン・酢酸ビニル共重合体の鹸化物が挙げられる。偏光成分としては、例えば、ヨウ素または二色性染料が挙げられる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルムが挙げられる。
[0098]
 偏光板の厚さは、通常30~250μm、好ましくは50~200μmである。
 偏光板表面に粘着剤層を形成する方法に特に制限はなく、偏光板表面に直接バーコーター等を用いて上記粘着剤組成物を塗布し乾燥させる方法、本発明の偏光板用粘着シートが有する粘着剤層を偏光板表面に転写し熟成させる方法が挙げられる。乾燥および熟成の条件やゲル分率の範囲等は、〔粘着剤層〕の欄に記載した条件と同様である。
[0099]
 偏光板上に形成される粘着剤層の厚さは、乾燥膜厚で通常5~75μm、好ましくは10~50μmである。なお、粘着剤層は、偏光板の少なくとも一方の面に形成されていればよく、偏光板の片面のみに粘着剤層が形成される態様、偏光板の両面に粘着剤層が形成される態様が挙げられる。
[0100]
 また、上記偏光板には、例えば保護層、防眩層、位相差層、視野角向上層等の他の機能を有する層が積層されていてもよい。
 上記のようにして得られる本発明の粘着剤層付き偏光板を液晶セルの基板表面に設けることにより液晶素子が製造される。ここで液晶セルは、液晶層が2枚の基板間に挟まれた構造を有している。
[0101]
 液晶セルが有する基板としては、例えばガラス板が挙げられる。基板の厚さとしては、通常0.1~1mm、好ましくは0.15~0.8mmである。特に本発明では、上記粘着剤組成物を用いることで偏光板および基板の反りを抑制することができる。このため、基板の厚さが小さい場合(例:0.8mm以下、好ましくは0.15~0.7mm)にも、偏光板と基板との貼り合わせに、上記粘着剤組成物は好適に用いることができる。
実施例
[0102]
 以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
[0103]
  〔GPCおよびGPC-MALS〕
 (メタ)アクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、下記条件で、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALS)により、下記条件で、分岐度を求めた。
・測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー(株)製)
(1)TSKgel HxL-H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:DAWN HELEOS(MALS検出器)+Optilab rEX(RI検出器)
・標準ポリスチレン換算(MwおよびMnを測定する場合)
[0104]
  [合成例1]
 撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、n-ブチルアクリレート99部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1部、および酢酸エチル溶媒100部を仕込み、窒素ガスを導入しながら80℃に昇温した。次いで、tert-ブチルパーオキシピバレート0.1部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体Aの重量平均分子量(Mw)は40万であり、分子量分布(Mw/Mn)は7.2であり、分岐度は0.52であり、酸価は0mgKOH/gであった。
[0105]
  [合成例2~10]
 重合反応に用いたモノマー成分および重合開始剤を表1に記載したとおりに変更したこと以外は合成例1と同様に行い、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。結果を表1に示す。
[0106]
[表1]


[0107]
  [実施例1]
  (1)粘着剤組成物の調製
 合成例1で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液(固形分濃度30質量%)と、当該溶液に含まれる(メタ)アクリル系ポリマー100部(固形分量)に対して、イソシアネート化合物として綜研化学(株)製「TD-75」(固形分75質量%、酢酸エチル溶液)0.19部(固形分量)と、シランカップリング剤として信越化学工業(株)製「KBM-403」(固形分100%)0.2部と、帯電防止剤として第一工業製薬(株)製「AS-804」(固形分100%)1部とを混合して、粘着剤組成物を得た。
[0108]
  (2)粘着シートの作製
 泡抜け後、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物をドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。塗膜の前記PETフィルムの貼付面とは反対面に、剥離処理されたPETフィルムをさらに貼り合わせ、23℃/50%RH環境下で7日間静置して熟成させて、2枚のPETフィルムに挟まれた厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。
[0109]
  (3)粘着剤層付き偏光板の作製
 泡抜け後、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物をドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を有するシートを得た。前記シートと偏光板(厚さ:110μm、層構成:トリアセチルセルロースフィルム/ポリビニルアルコールフィルム/トリアセチルセルロースフィルム)とを、前記塗膜と偏光板とが接するように貼り合わせ、23℃/50%RHの条件で7日間静置して熟成させて、PETフィルムと厚さ20μmの粘着剤層と偏光板とを有する粘着剤層付き偏光板を得た。
[0110]
  [実施例2~9、比較例1]
 実施例1において、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を合成例2~10で得られたポリマー溶液に変更し、配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を得た。
[0111]
  [評価]
  〔ゲル分率〕
 実施例・比較例で得られた粘着シートから、粘着剤約0.1gをサンプリング瓶に採取し、酢酸エチル30mLを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定した。次式により、粘着剤のゲル分率を求めた。
・ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100(%)
[0112]
  〔Creep値〕
 実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光板からなる積層体)を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたPETフィルムを剥がして、アルカリ処理ガラス板上に、前記粘着剤層が前記ガラス板に接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて、評価用粘着加工偏光板試験片を得た。
[0113]
 評価用粘着加工偏光板試験片について、オートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置した。次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットした。引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、当該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り、前記試験片における前記ガラス板と偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(μm)をクリープ値として測定した。
[0114]
  〔粘着力の測定〕
 実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光板からなる積層体)を70mm×25mmの大きさに裁断して試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光板からなる積層体を厚さ2mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持した。次いで23℃/50%RH環境下に1時間放置した後、ガラス板面に対して90°方向に300mm/minの速度で偏光板端部を引っ張り、粘着力(剥離強度)を測定した。
[0115]
  〔ベンディング(反り)〕
 実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光板からなる積層体)を35mm×400mm(延伸軸方向)の大きさに裁断して試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光板からなる積層体を厚さ0.7mm、40mm×410mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、23℃/50%RH環境下に24時間放置した後、60℃のオーブン中に72時間保持した。片方の末端を床面に対して垂直な壁面に固定し、逆側末端の浮き上がり量を定規で測定した。オーブンから取り出し直後、および24時間後に測定を実施した。
[0116]
  〔耐久性試験〕
 実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光板からなる積層体)を150mm×250mmの大きさに裁断して試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光板からなる積層体を厚さ2mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持して、試験板を作成した。同様の試験板を2枚作成した。前記試験板を、温度80℃の条件下(耐熱性)または温度60℃/湿度90%RHの条件下(耐湿熱性)で500時間放置し、以下の基準で発泡および断裂の発生を観察して評価した。発泡は凝集力不足の場合に発生し、断裂は応力緩和不足の場合に発生する。
[0117]
 (発泡)
・AA:発泡が全く見られない。
・BB:発泡の面積が全体の1%未満である。
・CC:発泡の面積が全体の1%以上5%未満である。
・DD:発泡の面積が全体の5%以上である。
[0118]
 (断裂)
・AA:断裂が全く見られない。
・BB:断裂の面積が全体の1%未満である。
・CC:断裂の面積が全体の1%以上5%未満である。
・DD:断裂の面積が全体の5%以上である。
[0119]
[表2]


 表2において、過酸化物系重合開始剤量は、以下のようにして算出した。上述した残存率の式:exp(-k dt)×100(%)から、例えば実施例1では、k d=A×exp(-ΔE/RT)、A=6.93×10 17hr -1、ΔE=119.1kJ/mol、R=8.314J/mol・K、T=353K、反応時間t=6hから、上記共重合で使用した過酸化物系重合開始剤の量×残存率(%)により、5×10 -3質量部と算出した。
[0120]
 比較例1では、分岐度が0.59の(メタ)アクリル系共重合体を用いているため、24時間後のベンディング評価が悪く(5.0mm以上)、また耐久性評価において発泡は認められなかったものの、断裂が多く発生した。比較例1での共重合体は直鎖型ポリマーであるため、凝集力発現は、架橋剤と共重合体中の官能基との結合のみに依存する。そのため、ゲル分率を高く設定することが、凝集力維持のために必要となる。しかし、ゲル分率が高いと、比較例1の系では応力緩和特性が低くなるため、ベンディングおよび耐久性(耐断裂)の悪化が見られている。
[0121]
 一方実施例では、分岐度が0.55以下の(メタ)アクリル系共重合体を用いているため、24時間後のベンディング評価が高く(3.0mm以下)、また耐久性評価において発泡・断裂の発生は許容できる範囲にあった。また、実施例1~8では、分岐度が0.54以下の(メタ)アクリル系共重合体を用いているため、24時間後のベンディング評価がより優れていた(1.0mm以下)。

請求の範囲

[請求項1]
(A)アルキル基の炭素数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマーを含むモノマー成分を共重合して得られ、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー法/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALS)により測定される分岐度が0.55以下である(メタ)アクリル系共重合体と、
(B)イソシアネート化合物と
を含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
[請求項2]
 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、過酸化物系重合開始剤の存在下で前記共重合により得られた共重合体である、請求項1記載の偏光板用粘着剤組成物。
[請求項3]
 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、20万~150万である、請求項1または2記載の偏光板用粘着剤組成物。
[請求項4]
 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC-MALSにより測定される分岐度が、0.10~0.54である、請求項1~3のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[請求項5]
 過酸化物の含有量が、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[請求項6]
 前記偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤のゲル分率が、20~70質量%である、請求項1~5のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有することを特徴とする偏光板用粘着シート。
[請求項8]
 偏光板と、前記偏光板の少なくとも一方の面に、請求項1~6のいずれか1項記載の偏光板用粘着剤組成物より形成された粘着剤層とを有することを特徴とする粘着剤層付き偏光板。