国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現在ご利用になれません。
この状況が続く場合は、次のお問い合わせ先までご連絡ください。フィードバック & お問い合わせ
1. (WO2015141330) 電解水を用いた多相構造の氷
Document

明 細 書

発明の名称 電解水を用いた多相構造の氷

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010  

課題を解決するための手段

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

符号の説明

0090  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2A   2B   3   4   5   6A   6B   7   8   9   10   11A   11B   11C   11D   11E   12   13   14A   14B   14C   14D   14E   14F   14G   14H   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 電解水を用いた多相構造の氷

技術分野

[0001]
 本発明の実施形態は、電解水を用いた多相構造の氷に関する。

背景技術

[0002]
 生鮮品などの保存には一般的に氷が使われている。
[0003]
 この氷による低温鮮度保存に加えて、氷に使われる水に殺菌性を有した電解水を用いる技術がある。
[0004]
 これは、氷を形成する水自体に塩水を分解して得られる次亜塩素酸や次亜塩素酸ナトリウムを含んだ水を用い、次亜塩素酸や次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌効果あるいは除臭効果を持たせたものである。
[0005]
 また、別の生鮮品などの保存方法として生鮮品に水を噴霧して表層だけ氷結させる技術が一般的に使われている。
[0006]
 ここでも、使用する水に殺菌性を有した電解水を用いる技術がある。
[0007]
 しかしながら、従来の氷では次亜塩素酸などにより殺菌機能や除臭機能を付与することができるが、次亜塩素酸や次亜塩素酸ナトリウムは塩素臭を伴う問題があった。
[0008]
 また、溶解した水のpHにより生鮮品や容器が変質する問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2002-277118号公報
特許文献2 : 特開2005―333922号公報
特許文献3 : 特開2003-254652号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 本発明の実施形態は、電解水と、電解水とは組成が異なる水溶液とを必要に応じて適用し得る多相構造の氷を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 実施形態にかかる多相構造の氷は、電解水を用いて形成された第1の相、及び第1の相の組成とは異なる組成を有する第2の相を含むことを特徴とする。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 図1は、第1の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[図2A] 図2Aは、第1の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図2B] 図2Bは、第1の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図3] 図3は、第1の実施形態に係る多相構造を有する氷の有効塩素濃度変化を示す図である。
[図4] 図4は、次亜塩素酸とアスコルビン酸と有効塩素濃度との関係を表すグラフ図である。
[図5] 図5は、第2の実施形態にかかる多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[図6A] 図6Aは、第2の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図6B] 図6Bは、第2の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図7] 図7は、第2の実施形態に用いられる氷の溶解水のpH変化を示す図である。
[図8] 図8は、第2の実施形態に用いられる電解水の生成装置を表す図である。
[図9] 図9は、第3の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を示す図である。
[図10] 図10は、第4の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を示す図である。
[図11A] 図11Aは、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図11B] 図11Bは、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図11C] 図11Cは、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図11D] 図11Dは、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図11E] 図11Eは、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を表す図である。
[図12] 図12は、第4の実施形態に係る氷の他の一例の断面を表す図である。
[図13] 図13は、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[図14A] 図14Aは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14B] 図14Bは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14C] 図14Cは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14D] 図14Dは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14E] 図14Eは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14F] 図14Fは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14G] 図14Gは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図14H] 図14Hは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。
[図15] 図15は、第6の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[図16] 図16は、第6の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を表す図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 実施形態に係る多相構造の氷は、第1の組成を有する第1の相と、第1の組成とは異なる第2の組成を有する第2の相とを含む多相構造の氷であって、第1の相は電解水を用いて形成されている。
[0014]
 電解水としては、例えば、次亜塩素酸水(酸性電解水)、あるいはアルカリ性電解水を用いることができる。
[0015]
 電解水が酸性電解水であるとき、第2の相は、アスコルビン酸水溶液を用いて形成するか、あるいはアルカリ性電解水を用いて形成することができる。
[0016]
 第1の相は第2の相よりも外側に配置することができる。
[0017]
 また、上記多相構造の氷を、生鮮品に直接氷結させることができる。
[0018]
 生鮮品の保存方法として、上記多相構造の氷を生鮮品に直接氷結させることができる。
[0019]
 以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
[0020]
(第1の実施形態)
 図1は、第1の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[0021]
 氷10は100gの重さがあり、中心部の第2の相2と、表層の第1の相1との2相構成となっている。第2の相2は1リットルあたり0.5gのアスコルビン酸を含んだアスコルビン酸水溶液50gで形成され、第1の相1は50ppmの有効塩素濃度を示す次亜塩素酸水50gで形成されている。
[0022]
 図2A及び図2Bは、第1の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を説明するための模式図である。
[0023]
 まず、図2Aに示すように、アスコルビン酸水溶液2’を縦16mm、横16mm、及び高さ20mmの製氷皿11に流して製氷する。
[0024]
 次に、製氷皿11内の氷2を製氷皿11より大きい縦20mm、横20mm、及び高さ25mmの製氷皿12に移し、氷2の周囲を支持部材3によって支持して、次亜塩素酸水を流し、さらに、支持部材3が設けられた蓋体4により製氷皿12を覆うことにより深さ方向の位置を固定して製氷し、中心部にアスコルビン酸水溶液を用いて形成された第2の相2と、表面層として電解水を用いて形成された第1の相1とからなる積層構造の氷10を形成することができる。得られた氷10の第1の相1には、支持部材3を用いて固定された箇所に溝6が形成されている。
[0025]
 図3は、氷10を自然溶融させたときの溶解水の有効塩素濃度変化を示したものである。
[0026]
 また、図4は、50ppmの次亜塩素酸を含有する水1リットルに溶解したアスコルビン酸の量と、有効塩素濃度との関係を表すグラフ図である。
[0027]
 次亜塩素酸水は塩水などの電解により酸性電解水として生成される。次亜塩素酸には強い殺菌機能や除臭機能があるが、一方で独特の塩素臭が発生する。次亜塩素酸水を用いた氷では次亜塩素酸により殺菌や除臭をすることができるが、次亜塩素酸は中和しても安定で分解されないため溶解した水は長期に渡り塩素臭を発生してしまう。
[0028]
 一方、例えば生鮮品の保存の際、次亜塩素酸による殺菌除臭機能は、所望の期間作用させた後、低下しても問題ない場合が多く、むしろ、塩素臭は消失した方がよい。
[0029]
 細菌以外で効果的に次亜塩素酸を分解する物質としてアスコルビン酸があげられる。
[0030]
 図4のグラフ102は、アスコルビン酸を50ppmの濃度を持つ次亜塩素酸水に投入して1分間攪拌した後の有効塩素濃度変化を示している。図示するように、次亜塩素酸分解に必要なアスコルビン酸は分子数で同等とはなっていないが、時間をかければ基本的に1つのアスコルビン酸で1つの次亜塩素酸を分解できると思われる。これは、アスコルビン酸が次亜塩素酸に酸化されることで次亜塩素酸を分解しているものと考えている。
[0031]
 また、アスコルビン酸は人体に対して安全でありいやな臭いも出ないため、実施形態では1リットル中に0.5gと次亜塩素酸分子数より多めに投入して氷の中心部を形成した。
[0032]
 このため、図3のグラフ101に示すように、表層が溶解した水は次亜塩素酸水通りの有効塩素濃度50ppmを示すが、中心部が溶融し始めると有効塩素濃度が低下し、実験では時間T1経過後、中心部を残したまま有効塩素濃度はゼロとなった。
[0033]
 この実験では、氷10を大気圧で温度25℃、湿度50%の環境で発砲スチロール箱に氷を24時間放置した。時間T1は、10~15時間であった。
[0034]
 この結果、氷が全て溶解した水にはアスコルビン酸が残留するが、特に塩素臭を感じることはなかった。
[0035]
 アスコルビン酸水溶液の添加量は、アスコルビン酸の分子数に対する次亜塩素酸分子数の割合が0.01~10になるように設定することができる。0.01未満であると、アスコルビン酸特有の酸味が強く感じられる傾向があり、10を越えると、十分に塩素臭を抑えることができなくなる傾向がある。
[0036]
 また、使用するアスコルビン酸水溶液の濃度は、10ないし1000ppmの範囲で適量を選定することが好ましい。たとえば10ppmのアスコルビン酸水による氷を100g製氷し、その外側に50ppmの次亜塩素酸水を10g薄く製氷する、といった具合に濃度と分量を変えることで、図3に示した溶融による組成の変化を適宜調整することもできる。10ppm未満であると、薄すぎて十分な効果が発揮されにくい傾向があり、1000ppmを越えると、濃すぎて調整が難しい傾向がある。
[0037]
(第2の実施形態)
 図5は、第2の実施形態にかかる多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[0038]
 この氷101は、表層に設けられた酸性である次亜塩素酸水の氷からなる第1の相1と、中心部に設けられたアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液の氷からなる第2の相5との積層構造を有する。
[0039]
 図6A及び図6Bは、第2の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を説明するための模式図である。
[0040]
 図示するように、この方法は、アスコルビン酸水溶液2’の代わりに水酸化ナトリウム水溶液5’を製氷皿11に流して製氷すること以外は、第1の実施形態に用いられる氷の製造方法と同様である。
[0041]
 この方法により、中心部にアスコルビン酸水溶液2’の代わりに水酸化ナトリウム水溶液5’を用いて形成された第2の相5と、表面層として電解水を用いて形成された第1の相1とからなる積層構造の氷101を形成することができる。
[0042]
 図7は、氷101が溶融したときの溶融水のpH変化を示している。
[0043]
 図8は、氷101に使われる次亜塩素酸水と水酸化ナトリウム水溶液の生成装置を示している。
[0044]
 図示するように、電解水生成装置50は、飽和食塩水を循環させた中間室51と、その左右にイオン交換膜52,53を介して、各々、陽極電極56を備えた陽極室54、及び陰極電極57を備えた陰極室55を配置した三室型の電解槽58を有する。
[0045]
 陽極電極56及び陰極電極57には各々電圧が印加されている。
[0046]
 中間室51は、飽和食塩水貯留器61及び塩水循環ポンプ62を備えた飽和食塩水循環システム63と接続され、常に飽和食塩水65が供給される。
[0047]
 陽極室54及び陰極室55は、給水システム64と接続され、各々、常に新しい水が供給される。
[0048]
 陽極室54では陽極電極56により中間室51の塩素イオンを誘因するとともに塩素ガスを発生して次亜塩素酸水を生成し、陰極室55では陰極電極57により中間室51のナトリウムイオンを誘因するとともに水素ガスを発生して水酸化ナトリウム水溶液を生成する。前者は、有効塩素濃度20~60ppm、pH2~5程度の次亜塩素酸水であり、後者はpH10~13程度の水酸化ナトリウム水溶液となる。水酸化ナトリウム水溶液は発生した水素ガスとともに陰極室55から排出ライン71を通して取り出される。排出ライン71に気液分離ユニット72を設けることにより、水素ガスを排出ライン71から外部に放出することができる。
[0049]
 この次亜塩素酸水は優れた殺菌効果を有するとともに食品添加物にも認可された安全な水である。この次亜塩素酸水により氷を生成することで、魚介類の殺菌と保存に役立つ氷を提供することができる。
[0050]
 また、この水酸化ナトリウム水溶液を4倍程度に希釈した水を上述した次亜塩素酸水に混合することで中性でありながら次亜塩素酸を含む水を生成することができる。
[0051]
 この中性付近の次亜塩素酸水は、塩素ガスへの平衡反応がなくなり、塩素臭を大きく緩和することができる。
[0052]
 すなわち、第2の実施形態の氷では、魚介類に接触した当初は酸性の次亜塩素酸水により殺菌や除臭の機能を発揮するが、その後は中心部分の水酸化ナトリウム水溶液が次亜塩素酸水を中和し、次亜塩素酸自体は残留することで殺菌除臭機能をある程度維持しつつ、中和により塩素ガスの発生を抑制して塩素臭を緩和することができる。
[0053]
 水酸化ナトリウム水溶液の添加量は、水酸化ナトリウムの分子数に対する次亜塩素酸分子数の割合が0.1~10になるように設定することができる。0.1未満であると、水酸化ナトリウム成分が残って有害であるとともにアルカリ性となってタンパク質などを変質変色させる傾向があり、10を越えると、十分に中和できなくなる傾向がある。
[0054]
 また、使用する水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、1ないし1000ppmであることが好ましい。1ppm未満であると、薄すぎて中和効果が出にくい傾向があり、1000ppmを越えると、組成が急激に変化したり、アルカリ性に起因する弊害が起こりやすくなる傾向がある。
[0055]
(第3の実施形態)
 図9は、第3の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を示す模式図である。
[0056]
 ここでは、生鮮品14に第1の実施形態と同様の次亜塩素酸水を噴霧して第1の相7を氷結させ、その後、第1の実施形態と同様のアスコルビン酸水溶液を噴霧して第2の相8を氷結させた2相氷結構造としている。
[0057]
 このため、生鮮品に対しては殺菌除臭機能を発揮するとともに、外部に対する塩素臭を大幅に緩和することができる。
[0058]
 このように、本発明の積層化された氷を用いることで殺菌機能と塩素臭をうまく制御調整することができる。
[0059]
(第4の実施形態)
 図10は、第4の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を示す断面図である。
[0060]
 図示するように、この氷30は100gの重さがあり、第1の実施形態に用いられるアスコルビン酸水溶液と同様の水溶液50gで形成された第2の相23からなる中心部と、第1の実施形態に用いられる次亜塩素酸水と同様の次亜塩素酸水50gで形成された第1の相22からなる表層との二相構成となっており、第1の相に溝がないこと以外は、第1の実施形態に係る多相構造を有する氷と同様の構成を有する。
[0061]
 図11Aないし図11Eに、第4の実施形態に用いられる氷の製造方法の一例を説明するための模式図を示す。
[0062]
 まず、図11Aに示すように、第1の実施形態に用いられる次亜塩素酸水と同様の次亜塩素酸水22’を製氷皿21に流して製氷する。このとき、次亜塩素酸水22’は、製氷皿21に接触している部分から冷却されて凍り始める。次亜塩素酸水22’の中心部が凍結する前に、図11Bに示すように、製氷皿に沿って凍結した次亜塩素酸水40gを残して、凍結していない次亜塩素酸水22’を全て取り除く。これにより、凹み24を有する約40gの氷22が得られる。
[0063]
 次に、図11Cに示すように、凹み24に第1の実施形態に用いられるアスコルビン酸水溶液と同様の水溶液23’を導入し、製氷することにより、凹み24を埋める氷23を得る。このとき、アスコルビン酸水溶液は濃度500ppmで添加量は50gである。
[0064]
 続いて、図11Dに示すように、氷22と凹み24を埋める氷23とが形成された製氷皿21に、凹み24を有する氷22の形成に使用された次亜塩素酸水22’10gをさらに導入し、図11Eのように製氷することにより、図10に示すように、アスコルビン酸水溶液で形成された第2の相23からなる中心部と、次亜塩素酸水で形成された第1の相22からなる表層との二相構造を有する氷30が得られる。
[0065]
 また、第4の実施形態に係る氷の他の例として、図11Cに示す工程で製氷された氷を使用することができる。
[0066]
 図12に、第4の実施形態に係る氷の他の一例の断面を表す図を示す。
[0067]
 図示するように、図11Cに示す工程で製氷された氷30’は、凹み24を有する氷22からなる第1の相と、凹み24を埋める氷23からなる第2の相とからなり、第1の相は第2の相を被覆していないので、第2の相は部分的に露出されている。
[0068]
 このように一部を最初から露出させることで図3,7に示した氷が溶けたときの組成変化を緩やかに早めに変えることができる。
[0069]
 第4の実施形態の氷では、第1の実施形態の氷と同様に、第1の魚介類に接触した当初は酸性の次亜塩素酸水により殺菌や除臭の機能を発揮するが、その後は中心部分のアスコルビン酸水溶液が次亜塩素酸水を分解し、氷が全て溶解した水にはアスコルビン酸が残留するが、特に塩素臭を感じることはなかった。
[0070]
(第5の実施形態)
 上記第1ないし第4の実施形態では次亜塩素酸水を凍結して形成された第1の相と、アスコルビン酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液を凍結して形成された第2の相を有する多相構造の氷としたが、その他様々な組み合わせであってもよいし、3相以上の相構造としてもよい。
[0071]
 図13は、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[0072]
 氷10は100gの重さがあり、中心部の第2の相34と、表層の第1の相32と、第1の相32と第2の相34の間に設けられた中間層の第3の相33との3相構成となっている。第2の相34は1リットルあたり0.5gのアスコルビン酸を含んだアスコルビン酸水溶液25gで形成され、第1の相32は50ppmの有効塩素濃度を示す次亜塩素酸水25gで形成され、第3の相33は水50gで形成されている。
[0073]
 図14Aないし図14Hは、第5の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を説明するための模式図である。
[0074]
 この方法は、第4の実施形態の変形例である。
[0075]
 図示するように、第1の実施形態に用いられる次亜塩素酸水と同様の次亜塩素酸水32’を製氷皿31に流して製氷する。このとき、次亜塩素酸水32’は、製氷皿31に接触している部分から冷却されて凍り始める。製氷皿31の側面と底面の部分がある程度の厚さ例えば1mm凍結した時点で、図14Bに示すように、凍結していない次亜塩素酸水32’80gを取り除く。これにより、凹み35を有する氷32が得られる。
[0076]
 続いて、図14Cに示すように、凹み35を有する氷32に、凹み35の深さD1よりも十分に少ない例えば1mm少ない深さD2まで水33’を供給し、凹み24の側面と底面の部分がある程度の厚さ例えば2~3mm凍結した時点で、水33’30gを取り除く。これにより、図14Dに示すように、凹み36を有する氷33が得られる。
[0077]
 その後、図14Eに示すように、凹み36に第1の実施形態に用いられるアスコルビン酸水溶液と同様の水溶液34’を導入し、製氷することにより、凹み36を埋める氷34を得る。このとき、500ppmのアスコルビン酸水溶液の添加量は25gであった。
[0078]
 続いて、図14Fに示すように、氷33と凹み36を埋める氷34とが形成された製氷皿31に、凹み35を有する氷33の形成に使用された水33’5gをさらに導入し、製氷することにより、氷34の周囲を氷33で覆うことができる。
[0079]
 続いて、図14Gに示すように、第1の実施形態に用いられる次亜塩素酸水と同様の次亜塩素酸水32’を製氷皿31に流して製氷することにより、図14Hに示すように、氷33の周囲を氷32で覆うことができ、図13に示すような三相構造の氷が得られる。
[0080]
 なお、氷の大きさは、100gに限るものではなく、10gにしてもよいし、200gにしてもよい。当然ながら、氷の大きさが大きいほど溶ける時間が長くなり、小さければ早く溶ける。また、各相の分量や濃度や組成も適宜設定可能で、分量が大きければ溶ける時間が長くなり、濃度が高ければ溶けたときに急激に該当する相の組成に変化していく。
[0081]
(第6の実施形態)
 図15は、第6の実施形態に係る多相構造を有する氷の一例を表す断面図である。
[0082]
 この方法は、第1の実施形態の変形例であり、中心部の第2の相2と、表層の第1の相1との2相の間に中間層として第3の相17が設けられていること以外は、第1の実施形態と同様である。
[0083]
 図16は、第6の実施形態に係る多相構造を有する氷の製造方法の一例を説明するための模式図である。
[0084]
 まず、図2Bにおいて、氷2の周囲を支持部材3によって支持して、製氷皿12に、次亜塩素酸水の代わりに水を供給することにより中間相として氷7を形成する。支持部材3を用いて固定された箇所には溝6が形成される。
[0085]
 続いて、図16に示すように、氷7の周囲を支持部材9によって支持して、次亜塩素酸水1’を流し、さらに、支持部材9が設けられた蓋体41によって製氷皿13を覆うことにより深さ方向の位置を固定して製氷することにより、図15に示すよう中心部にアスコルビン酸水溶液を用いて形成された第2の相2と、中間層として水から形成された第3の層7と、表面層として電解水を用いて形成された第1の相1とからなる3相構造の氷50を形成することができる。得られた氷50の第1の相1には、支持部材9を用いて固定された箇所に溝42が形成され、第3の相7には、支持部材3を用いて固定された箇所に溝6が形成されている。
[0086]
 第5の実施形態及び第6の実施形態のように第1の相と第2の相の間に水からなる第3の相が介在すると、第3の相が溶ける時間だけゆっくりと第1の相を薄めていくように組成を変化させられるという利点がある。
[0087]
 このように、互いに組成の異なる相は3相以上あってもよく、各相の組成や量も状況に応じて適宜変更することができる。
[0088]
 第5の実施形態及び第6の実施形態の氷では、第1の実施形態の氷と同様に、第1の魚介類に接触した当初は酸性の次亜塩素酸水により殺菌や除臭の機能を発揮するが、その後は中心部分のアスコルビン酸水溶液が次亜塩素酸水を分解し、氷が全て溶解した水にはアスコルビン酸が残留するが、特に塩素臭を感じることはなかった。
[0089]
 本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

符号の説明

[0090]
 1,7,22,32…第1の相、2,5,8,23,34…第2の相、3…支持部材、6…溝、10,20,30,40,50…氷、11,12,21…製氷皿、14…生鮮品、17,33…第3の相、50…電解水生成装置、51…中間室、52,53…イオン交換膜、54…陽極室、55…陰極室、56…陽極電極、57…陰極電極、58…三室型電解槽、61…飽和食塩水貯留器、62…塩水循環ポンプ、63…給水システム

請求の範囲

[請求項1]
 電解水を用いて形成された第1の相、及び該第1の相の組成とは異なる組成を有する第2の相を含むことを特徴とする多相構造の氷。
[請求項2]
 前記電解水は、次亜塩素酸水であることを特徴とする請求項1記載の多相構造の氷。
[請求項3]
 前記第2の相はアスコルビン酸水溶液を用いて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の多相構造の氷。
[請求項4]
 前記第1の相は酸性電解水、前記第2の相はアルカリ性水を用いて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の多相構造の氷。
[請求項5]
 前記第1の相は前記第2の相よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多相構造の氷。
[請求項6]
 前記第1の相の組成及び前記第2の相の組成とは異なる組成を有する第3の相をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多相構造の氷。
[請求項7]
 生鮮品に直接氷結されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の多相構造の氷。
[請求項8]
 電解水を用いて形成された第1の相、及び該第1の相とは異なる組成を有する第2の相を含む多相構造の氷を生鮮品に直接氷結させることを特徴とする生鮮品の保存方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11A]

[ 図 11B]

[ 図 11C]

[ 図 11D]

[ 図 11E]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14A]

[ 図 14B]

[ 図 14C]

[ 図 14D]

[ 図 14E]

[ 図 14F]

[ 図 14G]

[ 図 14H]

[ 図 15]

[ 図 16]