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1. (WO2015141323) 粘着シートの製造方法、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル
Document

明 細 書

発明の名称 粘着シートの製造方法、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103  

実施例

0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117  

符号の説明

0118  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 粘着シートの製造方法、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル

技術分野

[0001]
 本発明は、粘着シートの製造方法、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネルに関する。

背景技術

[0002]
 近年、携帯電話や携帯ゲーム機器等へのタッチパネルの搭載率が上昇しており、例えば、多点検出が可能な静電容量方式のタッチパネル(以後、単にタッチパネルとも称する)が注目を集めている。
 通常、タッチパネルを製造する際には、表示装置やタッチパネルセンサーなどの各部材間を密着させるために粘着剤組成物が使用されている。なお、これらの組成物はシート状に成形されて使用されることが多い。
 例えば、特許文献1の実施例欄においては、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーを使用した粘着シートの製造方法が具体的に開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2005-132962号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 一方で、硬化性粘着剤組成物から得られる粘着シートは、タッチパネルに用いる上で様々な特性が求められる。例えば、タッチパネルの耐久性の点から、優れた密着性が求められる。また、視認性の点から、優れた光学特性を示すことも求められる。さらに、剥離フィルムの貼り付けおよび引き剥がしなどの際に、凝集破壊が起こらない(脆くない)ことも求められている。つまり、粘着シートには、優れた密着性、優れた光学特性、および、優れた剥離特性を示すことが求められる。
[0005]
 また、粘着シートを、装飾部による段差を有する透明パネルに張り合わせる際には、段差部分において気泡の発生を抑えることも重要である。近年、このような段差追従性の点から、厚みのある(厚み:200μm以上)粘着シートが求められている。
 本発明者は、特許文献1の実施例欄で使用されているアクリレートモノマーを使用して、厚みのある粘着シートの製造を試みたところ、得られた粘着シートは上記特性(密着性、光学特性、および、剥離特性)を同時には十分には満たしておらず、さらなる改良が必要であった。
[0006]
 本発明は、上記実情を鑑みて、密着性、光学特性、剥離特性、および、段差追従性に優れる厚い粘着シートを製造することができる、粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
 また、本発明は、粘着シート、粘着シートを含むタッチパネル用積層体、および、静電容量式タッチパネルを提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、重合性モノマーとしてメタアクリルモノマーを含む硬化性粘着剤組成物を用いて、所定の照度で光照射を行うことにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
 すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[0008]
(1) メタクリロイル基を1つ有するメタクリレートモノマーと、ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤と、光重合開始剤と、粘着付与剤とを含む硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して、照度0.1mW/cm 超200mW/cm 未満にて光照射を実施して、粘着シートを製造する工程を有し、
 硬化性粘着剤組成物中における、メタクリレートモノマーの含有量(b)と、光重合開始剤の含有量(a)との質量比(b/a)が10.0以上50.0未満であり、
 メタクリレートモノマーの含有量が、硬化性粘着剤組成物全質量に対して、10~45質量%であり、
 粘着付与剤の含有量が、硬化性粘着剤組成物全質量に対して、5.0~50.0質量%である、粘着シートの製造方法。
(2) 硬化性粘着剤組成物に含まれる酸素原子のモル数と炭素原子のモル数との比(酸素原子のモル数/炭素原子のモル数)が、0.10以下である、(1)に記載の粘着シートの製造方法。
(3) 光重合開始剤の含有量が、硬化性粘着剤組成物全質量に対して、1.0~2.5質量%である、(1)または(2)に記載の粘着シートの製造方法。
(4) 光重合開始剤が、モノアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤およびビスアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み、ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含まない、(1)~(3)のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
(5) 架橋剤が、メタクリロイル基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、および、水添ポリイソプレンからなる群から選ばれる1種を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
(6) メタクリレートモノマーの溶解度パラメータ(SP値)が8.0~10.0(MPa) 1/2である、(1)~(5)のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の粘着シートの製造方法より製造される粘着シート。
(8) メタクリロイル基を1つ有するメタクリレートモノマーと、ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤と、光重合開始剤と、粘着付与剤とを含み、メタクリレートモノマーの含有量が10~45質量%であり、粘着付与剤の含有量が5.0~50.0質量%である硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して光照射を実施して得られる粘着シートであって、
 光重合開始剤の残存率が10%未満であり、
 メタクリレートモノマーの反応率が80%超であり
 ゲル分率が30%以上である、粘着シート。
(9) タッチパネル用粘着シートである、(7)または(8)に記載の粘着シート。
(10) (9)に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える、タッチパネル用積層体。
(11) さらに、保護基板を備え、
 保護基板と、粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとをこの順に備える、(10)に記載のタッチパネル用積層体。
(12) 静電容量式タッチパネルセンサーと、(9)に記載の粘着シートと、表示装置とをこの順に備える、静電容量式タッチパネル。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、密着性、光学特性、剥離特性、および、段差追従性に優れる厚い粘着シートを製造することができる、粘着シートの製造方法を提供することができる
 また、本発明は、粘着シート、粘着シートを含むタッチパネル用積層体、および、静電容量式タッチパネルを提供することもできる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明のタッチパネル用積層体の一態様の断面図である。
[図2] 本発明のタッチパネル用積層体の別の態様の断面図である。
[図3] 本発明の静電容量式タッチパネルの断面図である。
[図4] 静電容量式タッチパネルセンサーの一実施形態の平面図である。
[図5] 図4に示した切断線A-Aに沿って切断した断面図である。
[図6] 第1検出電極の拡大平面図である。
[図7] 静電容量式タッチパネルセンサーの他の実施形態の一部断面である。
[図8] 静電容量式タッチパネルセンサーの他の実施形態の一部断面である。
[図9] 静電容量式タッチパネルセンサーの他の実施形態の一部平面図である。
[図10] 図9に示した切断線A-Aに沿って切断した断面図である。
[図11] 段差追従性評価で使用される評価サンプルの断面図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下に、本発明の粘着シートの製造方法、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネルについて説明する。
 なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[0012]
 なお、本発明の粘着シートの製造方法の特徴点としては、メタクリロイル基を有するメタクリレートモノマーを使用して、所定の照度で光照射を行って重合を行っている点が挙げられる。一般的に、粘着シートの作製には、反応性がより優れる点で、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが使用される。一方で、厚膜の粘着シートを作製する際に、アクリレートモノマーを使用すると反応性が高すぎるため、塗膜中でオリゴマー中のラジカル末端同士が反応して、失活しやすい。結果として、塗膜中で重合が十分に進行しない、得られるポリマーの分子量が伸びない、または、着色が生じる、などの問題が生じ、結果として所望の効果が得られない。それに対して、メタクリレートモノマーはアクリレートモノマーよりも反応性が緩やかである。そこで、本発明者らは、メタクリレートモノマーを使用して、所定の照度で光照射を行うことにより、塗膜中での重合を十分に進行させ、所望の特性を示す粘着シートが得られることを見出している。
[0013]
 本発明の粘着シートの製造方法は、所定の成分を含む硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して、所定の条件にて光照射を実施して、粘着シートを製造する工程を有する。
 以下では、まず、本工程で使用される硬化性粘着剤組成物の成分について詳述し、その後、本工程の手順について詳述する。
[0014]
<硬化性粘着剤組成物>
 硬化性粘着剤組成物(以後、単に「組成物」とも称する)は、上記前駆体膜を形成するために使用される組成物であり、メタクリロイル基を1つ有するメタクリレートモノマーと、ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤と、光重合開始剤と、粘着付与剤とを少なくとも含む。以下、各成分について詳述する。
[0015]
(メタクリレートモノマー)
 組成物に含有されるメタクリレートモノマーは、メタクリロイル基(CH =C(CH )-CO-*。なお、*は結合位置を示す。)を1つ有し、重合してポリメタアクリレート鎖を生成する。
 メタクリレートモノマーの種類は特に制限されないが、式(1)で表されるメタクリレートモノマーが好ましい。
 式(1)  CH =C(CH )-COO-R
 式(1)中、Rは、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。
 なかでも、得られる粘着シートを含む静電容量式タッチパネルの誤動作がより抑制される点で、Rで表される炭化水素基中の炭素原子の数(炭素数)は6個以上が好ましく、6~16が好ましく、炭素数8~12がより好ましい。
 炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、これらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖、または、環状であってもよく、より具体的には、直鎖状脂肪族炭化水素基、分岐鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)などが挙げられる。
 脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
[0016]
 メタクリレートモノマーの溶解度パラメータ(SP値)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、8.0~10.0(MPa) 1/2であることが好ましい。
 ここでSP値は、Michael M. Collman, John F. Graf, Paul C. Painter (Pensylvania State Univ.)による、“Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends” (1991), Technomic Publishing Co. Inc.に記載されている計算で求められる値である。
[0017]
 メタクリレートモノマーとしては、具体的には、n-オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシルメタクリレート、n-テトラデシルメタクリレート、n-ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸などが挙げられる。
 メタクリレートモノマーとしては、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
[0018]
 メタクリレートモノマーは、カルボキシ基含有メタクリレートモノマー、ヒドロキシ基含有メタクリレート、環状エーテル基含有メタクリレートモノマーなどの極性官能基含有メタクリレートモノマーであってもよい。
[0019]
 カルボキシ基含有メタクリレートモノマーとしては、メタクリロイル基を有し、かつ、カルボキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。カルボキシ基含有メタクリレートモノマーとしては、例えば、カルボキシエチルメタクリレート、カルボキシペンチルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。上述のとおり、メタクリレートモノマーとしてカルボキシ基含有メタクリレートモノマーを使用することができるが、一方では、カルボキシ基含有メタクリレートモノマーを使用しなくてもよい。カルボキシ基含有メタクリレートモノマーを使用しない場合、カルボキシ基に起因する金属腐食などを低減した粘着シートを形成することができる。
[0020]
 ヒドロキシ基含有メタクリレートモノマーとしては、メタクリロイル基を有し、かつ、ヒドロキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシ基含有メタクリレートモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、8-ヒドロキシオクチルメタクリレート、10-ヒドロキシデシルメタクリレート、12-ヒドロキシラウリルメタクリレート等などのヒドロキシアルキルメタクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカンメタクリレートが挙げられる。これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。これらのなかでもヒドロキシアルキルメタクリレートが好適である。
[0021]
 環状エーテル基含有メタクリレートモノマーとしては、メタクリロイル基を有し、かつエポキシ基またはオキセタン基等の環状エーテル基を有するものを特に制限なく用いることができる。メタクリロイル基を有し、かつ、エポキシ基を有するモノマー(エポキシ基含有メタクリレートモノマー)としては、例えば、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。メタクリロイル基を有し、かつ、オキセタン基を有するモノマー(オキセタン基含有メタクリレートモノマー)としては、例えば、3-オキセタニルメチルメタクリレート、3-メチルーオキセタニルメチルメタクリレート、3-エチルーオキセタニルメチルメタクリレート、3-ブチルーオキセタニルメチルメタクリレート、3-ヘキシルーオキセタニルメチルメタクリレート、等が挙げられる。これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。
[0022]
 メタクリレートモノマーの好適態様の一つとしては、得られる粘着シートの密着性、光学特性、剥離特性、および、段差追従性のいずれか一つがより優れる点(以後、「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、2種のメタクリレートモノマーを併用する態様が挙げられ、なかでも、上記式(1)中のRが分岐鎖状脂肪族炭化水素基であるモノマーXと、上記式(1)中のRが環状脂肪族炭化水素基であるモノマーYとを併用する態様がより好ましく挙げられる。
[0023]
 組成物中におけるメタクリレートモノマーの含有量は、組成物全質量に対して、10~45質量%であり、本発明の効果がより優れる点で、15~30質量がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
 メタクリレートモノマーの含有量が10質量%未満の場合、十分に架橋したゲルが得られないため、接着性が低下し、剥離特性が悪くなる。メタクリレートモノマーの含有量が45質量%超の場合、架橋が進みすぎて硬化膜が硬くなり、やはり接着性が低下する。
 なお、メタクリレートモノマーが2種以上使用される場合は、メタクリレートモノマーの含有量とは、メタクリレートモノマーの総含有量を意図する。
[0024]
 なお、本発明の効果がより優れる点で、組成物には、アクリロイル基を1つ有するアクリレートモノマーは実質的に含まれない。実質的に含まれないとは、アクリレートモノマーの含有量が、組成物全質量に対して、1質量%以下であることを意図し、0.1質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
[0025]
(ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤)
 架橋剤とは、複数(2以上)のラジカル重合性基を有する化合物を意図し、形成される粘着シート中に架橋構造を付与する役割を果たす。
 架橋剤はラジカル重合性基を複数個以上有していればよいが、本発明の効果がより優れる点で、2~6個有していることが好ましく、2~3個有していることがより好ましい。
 ラジカル重合性基の種類は特に制限されず、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、メタクリロイル基が好ましい。
 なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を含む概念である。
[0026]
 架橋剤中の骨格の種類は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、および、水添ポリイソプレンからなる群から選ばれる一種であることが好ましい。つまり、架橋剤が、メタクリロイル基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、および、水添ポリイソプレンからなる群から選ばれる一種であることが好ましい。
[0027]
 組成物中における架橋剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物全質量に対して、10~30質量%が好ましく、15~25質量%がより好ましい。
 また、本発明の効果がより優れる点で、架橋剤の含有量は、上記メタクリレートモノマーの全質量に対して、50~100質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましい。
 なお、架橋剤が2種以上使用される場合は、架橋剤の総含有量が上記範囲にあることが好ましい。
[0028]
(光重合開始剤)
 光重合開始剤の種類は特に制限されず、公知の光重合開始剤を使用できる。例えば、例えば、アルキンフェノン系光重合開始剤、メトキシケトン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、ヒドロキシケトン系光重合開始剤(例えば、IRGACURE184;1,2-α-ヒドロキシアルキルフェノン)、アミノケトン系光重合開始剤(例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(IRGACURE(登録商標)907)、オキシム系光重合開始剤が挙げられる。
[0029]
 なかでも、光重合開始剤としては、モノアシルホスフィンオキサイド(A1)およびビスアシルホスフィンオキサイド(A2)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
 モノアシルホスフィンオキサイド(A1)は特に制限されず、公知のモノアシルホスフィンオキサイドを使用することができる。モノアシルホスフィンオキサイド(A1)の好適な態様としては、例えば、下記式(A1)で表されるモノアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
[0030]
[化1]


[0031]
 上記式(A1)中、R A11は、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。炭化水素基としては特に制限されないが、具体例としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられ、なかでも、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
 上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1~20)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2~20)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2~20)などが挙げられる。上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることが好ましい。
 上記芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、ナフチル基などが挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などの炭素数6~18のアリール基などが挙げられる。
 炭化水素基が有してもよい置換基としては特に制限されないが、具体例としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)などが挙げられる。脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の具体例および好適な態様は、上述のとおりである。置換基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
[0032]
 上記式(A1)中、R A12およびR A13は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基または炭化水素オキシ基(-OR:ここでRは炭化水素基を表す)を表す。置換基を有してもよい炭化水素基の炭化水素基、および、炭化水素オキシ基の炭化水素基(R)の具体例は上述した炭化水素基と同じである。また、炭化水素基または炭化水素オキシ基が有してもよい置換基の具体例および好適な態様は、上述した置換基と同じである。
 R A12とR A13のうち一方は置換基を有してもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。R A12とR A13のうち一方が置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である場合、他方は置換基を有してもよいフェニル基(特に炭素数6~18)またはアルコキシ基(特に炭素数1~5のもの)であることが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基(特に炭素数6~18)であることがより好ましい。
[0033]
 モノアシルホスフィンオキサイド(A1)の具体例としては、ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6-テトラメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、3,4-ジメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルエトキシホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
[0034]
 ビスアシルホスフィンオキサイド(A2)は特に制限されず、公知のビスアシルホスフィンオキサイドを使用することができる。ビスアシルホスフィンオキサイド(A2)の好適な態様としては、例えば、下記式(A2)で表されるビスアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
[0035]
[化2]


[0036]
 上記式(A2)中、R A21~R A23は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。炭化水素基および置換基の具体例および好適な態様は上述したR A11と同じである。
[0037]
 ビスアシルホスフィンオキサイド(A2)の具体例としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-エチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
[0038]
 なお、光重合開始剤としては、ヒドロキシケトン系光重合開始剤は含まれないほうが好ましい。ヒドロキシケトン系光重合開始剤が含まれないとは、実質的にヒドロキシケトン系光重合開始剤が組成物中に含まれないことを意図する。なお、実質的とは、ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有量が、組成物全質量に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0質量%であることが好ましい。
 また、光重合開始剤としては、アミノケトン系光重合開始剤は含まれないほうが好ましい。アミノケトン系光重合開始剤が含まれないとは、実質的にアミノケトン系光重合開始剤が組成物中に含まれないことを意図する。なお、実質的とは、アミノケトン系光重合開始剤の含有量が、組成物全質量に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0質量%であることが好ましい。
[0039]
 組成物中における光重合開始剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物全質量に対して、1.0~2.5質量%が好ましく、1.5~2.2質量%がより好ましい。
 なお、光重合開始剤が2種以上使用される場合は、光重合開始剤の総含有量が上記範囲にあることが好ましい。
[0040]
 組成物中におけるメタクリレートモノマーの含有量(b)と、光重合開始剤の含有量(a)の質量比(b/a)は、10.0以上50.0未満であり、本発明の効果がより優れる点で、10.0~30が好ましく、12~20がより好ましい。
 質量比(b/a)が10.0未満の場合、得られる粘着シートの光学特性が劣り、質量比(b/a)が50.0以上の場合、粘着シートの接着性または剥離特性が劣る。
[0041]
(粘着付与剤)
 粘着付与剤としては、貼付剤または貼付製剤の分野で公知のものを適宜選択して用いればよい。粘着付与剤としては、粘着付与樹脂が挙げられ、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル等のロジン系樹脂;クマロンインデン樹脂、水添クマロンインデン樹脂、フェノール変性クマロンインデン樹脂、エポキシ変性クマロンインデン樹脂等のクマロンインデン系樹脂;α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂;ポリテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族変性脂肪族系石油樹脂等の石油系樹脂等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上組み合わせて使用でき、特にロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂が好ましい。
[0042]
 組成物中における粘着付与剤の含有量は、組成物全質量に対して、5.0~50.0質量%であり、本発明の効果がより優れる点で、20~45質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。
 粘着付与剤の含有量が5.0質量%未満の場合、粘着シートの密着性が低下し、粘着付与剤の含有量が50.0質量%超の場合、段差追従性が低下する。
 なお、粘着付与剤が2種以上使用される場合は、粘着付与剤の含有量とは、粘着付与剤の総含有量を意図する。
[0043]
(その他の成分)
 組成物には、上述した成分(メタクリレートモノマー、架橋剤、光重合開始剤、粘着付与剤)以外の他の成分が含まれていてもよい。
 例えば、組成物には、可塑剤(柔軟化成分)が含まれていてもよい。可塑剤が含まれることにより、段差追従性をより向上させることができる。
 可塑剤の種類は特に制限されないが、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、あるいはこれらの群から任意に選ばれた組み合わせの共重合体などが挙げられる。
 なお、可塑剤には、ラジカル重合性基が含まれないことが好ましい。
[0044]
 組成物中における可塑剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物全質量に対して、5~25質量%が好ましく、8~16質量%がより好ましい。
 なお、可塑剤が2種以上使用される場合は、可塑剤の総含有量が上記範囲にあることが好ましい。
[0045]
 組成物には、重合阻害抑制剤が含まれていてもよい。
 重合阻害抑制剤は、酸素による重合阻害を抑制する働きを有する。重合阻害抑制は特に制限されないが、例えば、亜リン酸エステル(例えば、亜リン酸トリフェニルなど)、アミン(例えば、アニリン、ヒンダードアミン、DBU(ジアザビシクロウンデセン)など)、チオール(例えば、ドデカンチオール、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)など)などが挙げられる。本発明の組成物は2種以上の重合阻害抑制剤を含有しても構わない。
 組成物は、亜リン酸エステル、アミンおよびチオールからなる群より選択される少なくとも1種の重合阻害抑制剤を含有するのが好ましい。
[0046]
 組成物中における重合阻害抑制剤の含有量は特に制限されないが、組成物全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.2~2.5質量%がより好ましい。
 なお、重合阻害抑制剤が2種以上使用される場合は、重合阻害抑制剤の総含有量が上記範囲にあることが好ましい。
[0047]
 組成物には、メタクリレートモノマー以外のモノマーが含まれていてもよい。
 例えば、カルボキシ基含有モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、環状エーテル基含有モノマー、窒素含有モノマー等から選ばれる極性官能基含有モノマー(ただし、上述したメタクリレートモノマーを除く)を含むことができる。
[0048]
 カルボキシ基含有モノマーとしては、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。
[0049]
 ヒドロキシ基含有モノマーとしては、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。
[0050]
 環状エーテル基含有モノマーとしては、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ、エポキシ基またはオキセタン基等の環状エーテル基を有するものを特に制限なく用いることができる。
[0051]
 窒素含有モノマーの具体例としては、例えば、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマーと、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-シクロヘキシルマレイミドなどの環状ビニル化合物やN-ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。これら窒素含有モノマーは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
 なお、本明細書において(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドおよびメタクリルアミドを含む概念である。
[0052]
 組成物には、必要に応じて、溶媒が含有されていてもよい。使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
[0053]
 組成物には、上記以外にも、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
[0054]
<組成物の特性>
 組成物中の酸素原子のモル数と炭素原子のモル数との比(酸素原子のモル数/炭素原子のモル数)(以下、「O/C比」とも言う)は0.10以下であることが好ましく、0.005~0.05であることが好ましい。O/C比が上記範囲内であれば、得られる粘着シートを含む静電容量式タッチパネルの誤動作の発生がより抑制される。
 なお、組成物が溶媒を含有する場合、O/C比は、溶媒以外の全ての成分中のO/C比を指す。
[0055]
 上記O/C比は、組成物中の各成分について酸素原子のモル数と炭素原子のモル数を計算することで求めることができる。
 例えば、組成物が、メタクリレートモノマー、架橋剤、光重合開始剤、および、粘着付与剤を含有する場合、O/C比は、[メタクリレートモノマーの酸素原子のモル数+架橋剤の酸素原子のモル数+光重合開始剤の酸素原子のモル数+粘着付与剤の酸素原子のモル数]/[メタクリレートモノマーの炭素原子のモル数+架橋剤の炭素原子のモル数+光重合開始剤の炭素原子のモル数+粘着付与剤の炭素原子のモル数]により求めることができる。
[0056]
 組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記各成分を混合した後、公知の手段により撹拌することによって調製することができる。
[0057]
<粘着シートの製造方法>
 粘着シートの製造方法は、上記硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して、照度0.1mW/cm 超200mW/cm 未満にて光照射を実施して、粘着シートを製造する工程を有する。
 使用される基材の種類は特に制限されないが、粘着シートを他の部材に貼り合せる点から、いわゆる離型フィルムが好ましく挙げられる。離型フィルムとしては、例えば、表面をシリコーン系剥離剤やその他の剥離剤で処理したフィルム、それ自体が剥離性を有するフィルムなどが挙げられる。また、剥離フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
 組成物を基材上に付与する方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーターなどによる塗布方法が挙げられる。
 上記付与により形成される前駆体膜(塗膜)の厚みは200μm以上であり、塗膜の形成しやすさの点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。
[0058]
 なお、上記前駆体膜を形成した後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、前駆体膜中に含まれる揮発成分(溶媒など)を除去することができる。乾燥処理の方法は特に制限されないが、メタクリレートモノマーの重合が進行しない程度の温度(例えば、60~100℃)にて加熱処理を施す方法や、風乾処理を実施する方法などが挙げられる。
[0059]
 上記で得られた前駆体膜に対して施される光照射の照度は、0.1mW/cm 超200mW/cm 未満であり、0.1mW/cm 超100mW/cm 以下であることが好ましく、1~80mW/cm がより好ましく、5mW/cm 超80mW/cm 以下がさらに好ましく、10~50mW/cm が特に好ましい。
 照度が0.1mW/cm 以下の場合、組成物の硬化が十分に進行せず、粘着シートの密着性が劣り、照度が200mW/cm 以上の場合、光学シートの光学特性、密着性および剥離性の少なくともいずれか1つが劣る。
[0060]
 光照射の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、Deep-UV光、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、光照射としてはUV照射が好ましい。
 光照射の際の露光量は特に制限されないが、得られる粘着シートの特性および生産性のバランスの点から、2000mJ/cm 以下が好ましく、1750mJ/cm 以下がより好ましく、1500mJ/cm 以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、粘着シートの特性の点から、1000mJ/cm 以上が好ましく、1200mJ/cm 以上がより好ましい。
[0061]
<粘着シート>
 上記手順により得られる粘着シートは、光学特性、密着性、剥離特性、および、段差追従性に優れる。
 上記手順により得られる粘着シート中における光重合開始剤の残存率は10%未満であり、粘着シートの光学特性がより優れる点で、5%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0%が好ましい。
 上記残存率が10%以上の場合、粘着シートの光学特性が劣る。
 なお、残存率(%)とは、組成物中に含まれていた光重合開始剤の粘着シート中における残存率を意図する。粘着シート中での光重合開始剤の残存率(%)の測定方法としては、液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)を使用する。より具体的には、光重合開始剤の残存率は、まず、組成物と、この組成物から得られる粘着シートとを同じ量(30mg)はかりとり、それぞれを室温下にて所定の溶媒(10g)に24時間接触させてそれぞれの内部に含まれる光重合開始剤を抽出して、得られた抽出液をHPLC(島津社製HPLC SLI-20A、カラム:TSKgel ODS-100V、溶離液:テトラヒドロフラン/アセトニトリル=1/9、カラム温度:40℃)にかけて光重合開始剤由来のピークの高さをそれぞれ測定し、組成物から抽出された光重合開始剤由来のピークの高さ(H1)と粘着シートから抽出された光重合開始剤由来のピーク高さ(H2)との比(H2/H1)を算出して、比(H2/H1)×100の計算式より光重合開始剤の残存率(%)を計算する。
 なお、上記光重合開始剤の抽出に使用される所定の溶媒としては、光重合開始剤の溶解度が1質量%以上である溶媒を使用する。ここで溶解度(質量%)とは、溶媒に対して光重合開始剤が均一に溶解する量を意図し、例えば、溶媒100gに対して、光重合開始剤が1g均一に溶解する場合は溶解度(質量%)が1質量%と定義する。このような溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン/メタノール(質量比:1/1)溶液、テトラヒドロフラン/アセトニトリル(質量比:1/1)溶液などが挙げられ、後述する実施例においては上記テトラヒドロフラン/メタノール(質量比:1/1)溶液を使用する。
[0062]
 上記手順により得られる粘着シート中におけるメタクリレートモノマーの反応率は80%超であり、粘着シートの密着性がより優れる点で、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が好ましい。
 上記反応率が80%以下の場合、粘着シートの密着性が劣る。
 なお、反応率(%)とは、組成物中に含まれていたメタクリレートモノマーの粘着シート中における反応率を意図する。メタクリレートモノマーの反応率(%)の測定方法としては、液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)を使用する。より具体的には、メタクリレートモノマーの反応率は、まず、組成物と、この組成物から得られる粘着シートとを同じ量(30g)はかりとり、それぞれを室温下にて所定の溶媒(10g)に24時間接触させてそれぞれの内部に含まれるメタクリレートモノマーを抽出して、得られた抽出液をHPLC(島津社製HPLC SLI-20A、カラム:TSKgel ODS-100V、溶離液:テトラヒドロフラン/アセトニトリル=1/9、カラム温度:40℃)にかけてメタクリレートモノマー由来のピークの高さをそれぞれ測定し、組成物から抽出されたメタクリレートモノマー由来のピークの高さ(H1)と粘着シートから抽出されたメタクリレートモノマー由来のピーク高さ(H2)との比(H2/H1)を算出して、{1-比(H2/H1)}×100の計算式よりメタクリレートモノマーの反応率(%)を計算する。
 なお、上記メタクリレートモノマーの抽出に使用される所定の溶媒としては、メタクリレートモノマーの溶解度が1質量%以上である溶媒を使用する。ここで溶解度(質量%)とは、溶媒に対してメタクリレートモノマーが均一に溶解する量を意図し、例えば、溶媒100gに対して、メタクリレートモノマーが1g均一に溶解する場合は溶解度(質量%)が1質量%と定義する。このような溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン/メタノール(質量比:1/1)溶液、テトラヒドロフラン/アセトニトリル(質量比:1/1)溶液などが挙げられ、後述する実施例においては上記テトラヒドロフラン/メタノール(質量比:1/1)溶液を使用する。
[0063]
 上記手順により得られる粘着シートのゲル分率は30%以上であり、粘着シートの剥離特性がより優れる点で、33%以上が好ましく、35%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、段差追従性の点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
 上記ゲル分率が30%未満の場合、粘着シートの剥離特性が劣る。
 粘着シートのゲル分率の測定方法は以下の通りである。
 すなわち、粘着シート(0.2g)を所定の溶媒(30g)に浸漬し、40℃保持下で24時間静置する。これにより、粘着シート中のゲル成分以外の成分は溶媒に溶解する。そして、浸漬した粘着シートを取り出し、乾燥し、その質量を測定する。そして、以下の式から、粘着シート中のゲル分率(%)を算出する。
「ゲル分率」=(浸漬後の粘着シートの質量)/(浸漬前の粘着シートの質量)×100(%)
 なお、所定の溶媒としては、粘着付与剤の溶解度が1質量%以上である溶媒を使用する。ここで溶解度(質量%)とは、溶媒に対して粘着付与剤が均一に溶解する量を意図し、例えば、溶媒100gに対して、粘着付与剤が1g均一に溶解する場合は溶解度(質量%)が1質量%と定義する。このような溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどが挙げられ、後述する実施例においては酢酸エチルを使用する。
[0064]
 粘着シートの厚みは特に制限されないが、通常、前駆体膜の膜厚程度以上であり、200~2500μmであることが好ましく、200~500μmであることがより好ましい。
 粘着シートは、光学的に透明であることが好ましい。つまり、透明粘着シートであることが好ましい。光学的に透明とは、全光線透過率は85%以上であることを意図し、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
 得られた粘着シートの表面には、必要に応じて、剥離シートを貼り合せてもよい。
[0065]
[タッチパネル用積層体、静電容量式タッチパネル]
 本発明のタッチパネル用積層体は、上述した本発明の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える。
 本発明のタッチパネル用積層体の一態様について図面を参照して説明する。
 図1は、本発明のタッチパネル用積層体の一態様を模式的に表す断面図である。図1において、タッチパネル用積層体100は、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18とを備える。
 また、図2は、本発明のタッチパネル用積層体の別の態様を模式的に表す断面図である。図2において、タッチパネル用積層体200は、保護基板20と、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18とを備える。
[0066]
 また、本発明の静電容量式タッチパネルは、静電容量式タッチパネルセンサーと、上述した本発明の粘着シートと、表示装置とをこの順に備える。
 本発明の静電容量式タッチパネルの一態様について図面を参照して説明する。
 図3(A)は、本発明の静電容量式タッチパネルの一態様を模式的に表す断面図である。図3(A)において、静電容量式タッチパネル300は、静電容量式タッチパネルセンサー18と、粘着シート12と、表示装置50とを備える。
 また、図3(B)は、本発明の静電容量式タッチパネルの別の態様を模式的に表す断面図である。図3(B)において、静電容量式タッチパネル400は、保護基板20と、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18と、粘着シート12と、表示装置50とを備える。
 以下、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネルで使用される各種部材について詳述する。
[0067]
〔静電容量式タッチパネルセンサー〕
 静電容量式タッチパネルセンサー18とは、表示装置上(操作者側)に配置され、人間の指などの外部導体が接触(接近)するときに発生する静電容量の変化を利用して、人間の指などの外部導体の位置を検出するセンサーである。
 静電容量式タッチパネルセンサー18の構成は特に制限されないが、通常、検出電極(特に、X方向に延びる検出電極およびY方向に延びる検出電極)を有し、指が接触または近接した検出電極の静電容量変化を検出することによって、指の座標を特定する。
[0068]
 図4を用いて、静電容量式タッチパネルセンサー18の好適態様について詳述する。
 図4に、静電容量式タッチパネルセンサー180の平面図を示す。図5は、図4中の切断線A-Aに沿って切断した断面図である。静電容量式タッチパネルセンサー180は、基板22と、基板22の一方の主面上(表面上)に配置される第1検出電極24と、第1引き出し配線26と、基板22の他方の主面上(裏面上)に配置される第2検出電極28と、第2引き出し配線30と、フレキシブルプリント配線板32とを備える。なお、第1検出電極24および第2検出電極28がある領域は、使用者によって入力操作が可能な入力領域E I(物体の接触を検知可能な入力領域(センシング部))を構成し、入力領域E Iの外側に位置する外側領域E Oには第1引き出し配線26、第2引き出し配線30およびフレキシブルプリント配線板32が配置される。
 以下では、上記構成について詳述する。
[0069]
 基板22は、入力領域E Iにおいて第1検出電極24および第2検出電極28を支持する役割を担うと共に、外側領域E Oにおいて第1引き出し配線26および第2引き出し配線30を支持する役割を担う部材である。
 基板22は、光を適切に透過することが好ましい。具体的には、基板22の全光線透過率は、85~100%であることが好ましい。
 基板22は、絶縁性を有する(絶縁基板である)ことが好ましい。つまり、基板22は、第1検出電極24および第2検出電極28の間の絶縁性を担保するための層である。
[0070]
 基板22としては、透明基板(特に、透明絶縁性基板)であることが好ましい。その具体例としては、例えば、絶縁樹脂基板、セラミックス基板、ガラス基板などが挙げられる。なかでも、靭性に優れる理由から、絶縁樹脂基板であることが好ましい。
 絶縁樹脂基板を構成する材料としては、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアミド、ポリアリレート、ポリオレフィン、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。なかでも、透明性に優れる理由から、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース樹脂であることが好ましい。
[0071]
 図4において、基板22は単層であるが、2層以上の複層であってもよい。
 基板22の厚み(基板22が2層以上の複層の場合は、それらの合計厚み)は特に制限されないが、5~350μmであることが好ましく、30~150μmであることがより好ましい。上記範囲内であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
 また、図4においては、基板22の平面視形状は実質的に矩形状とされているが、これには限られない。例えば、円形状、多角形状であってもよい。
[0072]
 第1検出電極24および第2検出電極28は、静電容量の変化を感知するセンシング電極であり、感知部(センサ部)を構成する。つまり、指先をタッチパネルに接触させると、第1検出電極24および第2検出電極28の間の相互静電容量が変化し、この変化量に基づいて指先の位置をIC回路によって演算する。
 第1検出電極24は、入力領域E Iに接近した使用者の指のX方向における入力位置の検出を行う役割を有するものであり、指との間に静電容量を発生する機能を有している。第1検出電極24は、第1方向(X方向)に延び、第1方向と直交する第2方向(Y方向)に所定の間隔をあけて配列された電極であり、後述するように所定のパターンを含む。
 第2検出電極28は、入力領域E Iに接近した使用者の指のY方向における入力位置の検出を行う役割を有するものであり、指との間に静電容量を発生する機能を有している。第2検出電極28は、第2方向(Y方向)に延び、第1方向(X方向)に所定の間隔をあけて配列された電極であり、後述するように所定のパターンを含む。図4においては、第1検出電極24は5つ、第2検出電極28は5つ設けられているが、その数は特に制限されず複数あればよい。
[0073]
 図4中、第1検出電極24および第2検出電極28は、導電性細線により構成される。図6に、第1検出電極24の一部の拡大平面図を示す。図6に示すように、第1検出電極24は、導電性細線34により構成され、交差する導電性細線34による複数の格子36を含んでいる。なお、第2検出電極28も、第1検出電極24と同様に、交差する導電性細線34による複数の格子36を含んでいる。
[0074]
 導電性細線34の材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属や合金、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタンなどの金属酸化物、などが挙げられる。なかでも、導電性細線34の導電性が優れる理由から、銀であることが好ましい。
[0075]
 導電性細線34の中には、導電性細線34と基板22との密着性の観点から、バインダーが含まれていることが好ましい。
 バインダーとしては、導電性細線34と基板22との密着性がより優れる理由から、水溶性高分子であることが好ましい。バインダーの種類としては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。なかでも、導電性細線34と基板22との密着性がより優れる理由から、ゼラチンが好ましい。
 なお、ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシ基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
[0076]
 また、バインダーとしては、上記ゼラチンとは異なる高分子(以後、単に高分子とも称する)をゼラチンと共に使用してもよい。
 使用される高分子の種類はゼラチンと異なれば特に制限されないが、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体、からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体などが挙げられる。
[0077]
 導電性細線34中における金属とバインダーとの体積比(金属の体積/バインダーの体積)は、1.0以上が好ましく、1.5以上がさらに好ましい。金属とバインダーの体積比を1.0以上とすることで、導電性細線34の導電性をより高めることができる。上限は特に制限されないが、生産性の観点から、6.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。
 なお、金属とバインダーの体積比は、導電性細線34中に含まれる金属およびバインダーの密度より計算することができる。例えば、金属が銀の場合、銀の密度を10.5g/cm 3として、バインダーがゼラチンの場合、ゼラチンの密度を1.34g/cm 3として計算して求めるものとする。
[0078]
 導電性細線34の線幅は特に制限されないが、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる観点から、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。
 導電性細線34の厚みは特に制限されないが、導電性と視認性との観点から、0.00001mm~0.2mmから選択可能であるが、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、0.01~9μmがさらに好ましく、0.05~5μmが最も好ましい。
[0079]
 格子36は、導電性細線34で囲まれる開口領域を含んでいる。格子36の一辺の長さWは、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以上であることが好ましい。
 第1検出電極24および第2検出電極28では、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、所定領域において第1検出電極24または第2検出電極28中の導電性細線34を除いた透過性部分が全体に占める割合に相当する。
[0080]
 格子36は、略ひし形の形状を有している。但し、その他、多角形状(例えば、三角形、四角形、六角形、ランダムな多角形)としてもよい。また、一辺の形状を直線状の他、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば、対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
 なお、図6においては、導電性細線34はメッシュパターンとして形成されているが、この態様には限定されず、ストライプパターンであってもよい。
[0081]
 第1引き出し配線26および第2引き出し配線30は、それぞれ上記第1検出電極24および第2検出電極28に電圧を印加するための役割を担う部材である。
 第1引き出し配線26は、外側領域E Oの基板22上に配置され、その一端が対応する第1検出電極24に電気的に接続され、その他端はフレキシブルプリント配線板32に電気的に接続される。
 第2引き出し配線30は、外側領域E Oの基板22上に配置され、その一端が対応する第2検出電極28に電気的に接続され、その他端はフレキシブルプリント配線板32に電気的に接続される。
 なお、図4においては、第1引き出し配線26は5本、第2引き出し配線30は5本記載されているが、その数は特に制限されず、通常、検出電極の数に応じて複数配置される。
[0082]
 第1引き出し配線26および第2引き出し配線30を構成する材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタンなどの金属酸化物などが挙げられる。なかでも、導電性が優れる理由から、銀であることが好ましい。また、銀ペーストや銅ペーストなどの金属ペーストや、アルミニウム(Al)やモリブデン(Mo)などの金属や合金薄膜で構成されていてもよい。金属ペーストの場合は、スクリーン印刷やインクジェット印刷法で、金属や合金薄膜の場合は、スパッタ膜をフォトリソグラフィー法などのパターニング方法が好適に用いられる。
 なお、第1引き出し配線26および第2引き出し配線30中には、基板22との密着性がより優れる点から、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーの種類は、上述の通りである。
[0083]
 フレキシブルプリント配線板32は、基板上に複数の配線および端子が設けられた板であり、第1引き出し配線26のそれぞれの他端および第2引き出し配線30のそれぞれの他端に接続され、静電容量式タッチパネルセンサー180と外部の装置(例えば、表示装置)とを接続する役割を果たす。
[0084]
〔静電容量式タッチパネルセンサーの製造方法〕
 静電容量式タッチパネルセンサー180の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、基板22の両主面上に形成された金属箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する金属箔をエッチングする方法が挙げられる。また、基板22の両主面上に金属微粒子または金属ナノワイヤを含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行う方法が挙げられる。また、基板22上にスクリーン印刷版またはグラビア印刷版によって印刷形成する方法、または、インクジェットにより形成する方法も挙げられる。
[0085]
 さらに、上記方法以外にハロゲン化銀を使用した方法が挙げられる。より具体的には、基板22の両面にそれぞれ、ハロゲン化銀とバインダーとを含有するハロゲン化銀乳剤層(以後、単に感光性層とも称する)を形成する工程(1)、感光性層を露光した後、現像処理する工程(2)を有する方法が挙げられる。
 以下に、各工程に関して説明する。
[0086]
<工程(1):感光性層形成工程>
 工程(1)は、基板22の両面に、ハロゲン化銀とバインダーとを含有する感光性層を形成する工程である。
 感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀およびバインダーを含有する感光性層形成用組成物を基板22に接触させ、基板22の両面上に感光性層を形成する方法が好ましい。
 以下に、上記方法で使用される感光性層形成用組成物の態様について詳述した後、工程の手順について詳述する。
[0087]
 感光性層形成用組成物には、ハロゲン化銀およびバインダーが含有される。
 ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。ハロゲン化銀としては、例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらに臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
 使用されるバインダーの種類は、上述の通りである。また、バインダーはラテックスの形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
 感光性層形成用組成物中に含まれるハロゲン化銀およびバインダーの体積比は特に制限されず、上述した導電性細線34中における金属とバインダーとの好適な体積比の範囲となるように適宜調整される。
[0088]
 感光性層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含有される。
 使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
 使用される溶媒の含有量は特に制限されないが、ハロゲン化銀およびバインダーの合計質量に対して、30~90質量%の範囲が好ましく、50~80質量%の範囲がより好ましい。
[0089]
(工程の手順)
 感光性層形成用組成物と基板22とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、感光性層形成用組成物を基板22に塗布する方法や、感光性層形成用組成物中に基板22を浸漬する方法などが挙げられる。
 形成された感光性層中におけるバインダーの含有量は特に制限されないが、0.3~5.0g/m 2が好ましく、0.5~2.0g/m 2がより好ましい。
 また、感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されないが、導電性細線34の導電特性がより優れる点で、銀換算で1.0~20.0g/m 2が好ましく、5.0~15.0g/m 2がより好ましい。
[0090]
 なお、必要に応じて、感光性層上にバインダーからなる保護層をさらに設けてもよい。保護層を設けることにより、擦り傷防止や力学特性の改良がなされる。
[0091]
<工程(2):露光現像工程>
 工程(2)は、上記工程(1)で得られた感光性層をパターン露光した後、現像処理することにより第1検出電極24および第1引き出し配線26、並びに、第2検出電極28および第2引き出し配線30を形成する工程である。
 まず、以下では、パターン露光処理について詳述し、その後現像処理について詳述する。
[0092]
(パターン露光)
 感光性層に対してパターン状の露光を施すことにより、露光領域における感光性層中のハロゲン化銀が潜像を形成する。この潜像が形成された領域は、後述する現像処理によって導電性細線を形成する。一方、露光がなされなかった未露光領域では、後述する定着処理の際にハロゲン化銀が溶解して感光性層から流出し、透明な膜が得られる。
 露光の際に使用される光源は特に制限されず、可視光線、紫外線などの光、または、X線などの放射線などが挙げられる。
 パターン露光を行う方法は特に制限されず、例えば、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。なお、パターンの形状は特に制限されず、形成したい導電性細線のパターンに合わせて適宜調整される。
[0093]
(現像処理)
 現像処理の方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
 現像処理の際に使用される現像液の種類は特に制限されないが、例えば、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN-16、CR-56、CP45X、FD-3、パピトール、KODAK社処方のC-41、E-6、RA-4、D-19、D-72等の現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
 現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
 定着工程における定着温度は、約20℃~約50℃が好ましく、25~45℃がより好ましい。また、定着時間は5秒~1分が好ましく、7秒~50秒がより好ましい。
 現像処理後の露光部(導電性細線)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
[0094]
 上記工程以外に必要に応じて、以下の下塗層形成工程、アンチハレーション層形成工程、または加熱処理を実施してもよい。
(下塗層形成工程)
 基板22とハロゲン化銀乳剤層との密着性に優れる理由から、上記工程(1)の前に、基板22の両面に上記バインダーを含む下塗層を形成する工程を実施することが好ましい。
 使用されるバインダーは上述の通りである。下塗層の厚みは特に制限されないが、密着性と相互静電容量の変化率がより抑えられる点で、0.01~0.5μmが好ましく、0.01~0.1μmがより好ましい。
(アンチハレーション層形成工程)
 導電性細線34の細線化の観点で、上記工程(1)の前に、基板22の両面にアンチハレーション層を形成する工程を実施することが好ましい。
[0095]
<工程(3):加熱工程>
 工程(3)は、上記現像処理の後に加熱処理を実施する工程である。本工程を実施することにより、バインダー間で融着が起こり、導電性細線34の硬度がより上昇する。特に、感光性層形成用組成物中にバインダーとしてポリマー粒子を分散している場合(バインダーがラテックス中のポリマー粒子の場合)、本工程を実施することにより、ポリマー粒子間で融着が起こり、所望の硬さを示す導電性細線34が形成される。
 加熱処理の条件は使用されるバインダーによって適宜好適な条件が選択されるが、40℃以上であることがポリマー粒子の造膜温度の観点から好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。また、基板のカール等を抑制する観点から、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
 加熱時間は特に限定されないが、基板のカール等を抑制する観点、および、生産性の観点から、1~5分間であることが好ましく、1~3分間であることがより好ましい。
 なお、この加熱処理は、通常、露光、現像処理の後に行われる乾燥工程と兼ねることができるため、ポリマー粒子の造膜のために新たな工程を増加させる必要がなく、生産性、コスト等の観点で優れる。
[0096]
 なお、上記工程を実施することにより、導電性細線34間にはバインダーを含む光透過性部が形成される。光透過性部における透過率は、380~780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらに好ましく、98%以上が特に好ましく、99%以上が最も好ましい。
 光透過性部には上記バインダー以外の材料が含まれていてもよく、例えば、銀難溶剤などが挙げられる。
[0097]
 静電容量式タッチパネルセンサーの態様は、上記図4の態様に限定されず、他の態様であってもよい。
 例えば、図7に示すように、静電容量式タッチパネルセンサー280は、第1基板38と、第1基板38上に配置された第2検出電極28と、第2検出電極28の一端に電気的に接続し、第1基板38上に配置された第2引き出し配線(図示せず)と、粘着シート40と、第1検出電極24と、第1検出電極24の一端に電気的に接続している第1引き出し配線(図示せず)と、第1検出電極24および第1引き出し配線が隣接する第2基板42と、フレキシブルプリント配線板(図示せず)とを備える。
 図7に示すように、静電容量式タッチパネルセンサー280は、第1基板38、第2基板42、および粘着シート40の点を除いて、静電容量式タッチパネルセンサー180と同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
 第1基板38および第2基板42の定義は、上述した基板22の定義と同じである。
 粘着シート40は、第1検出電極24および第2検出電極28を密着させるための層であり、光学的に透明であることが好ましい(透明粘着シートであることが好ましい)。粘着シート40を構成する材料としては公知の材料が使用され、粘着シート40としては上記粘着シート12が使用されてもよい。
 図7中の第1検出電極24と第2検出電極28とは、図4に示すようにそれぞれ複数使用されており、両者は図4に示すように互いに直交するように配置されている。
 なお、図7に示す、静電容量式タッチパネルセンサー280は、基板と基板表面に配置された検出電極および引き出し配線とを有する電極付き基板を2枚用意し、電極同士が向き合うように、粘着シートを介して貼り合せて得られる静電容量式タッチパネルセンサーに該当する。
[0098]
 静電容量式タッチパネルセンサーの他の態様としては、図8に示す態様が挙げられる。
 静電容量式タッチパネルセンサー380は、第1基板38と、第1基板38上に配置された第2検出電極28と、第2検出電極28の一端に電気的に接続し、第1基板38上に配置された第2引き出し配線(図示せず)と、粘着シート40と、第2基板42と、第2基板42上に配置された第1検出電極24と、第1検出電極24の一端に電気的に接続し、第2基板42上に配置された第1引き出し配線(図示せず)と、フレキシブルプリント配線板(図示せず)とを備える。
 図8に示す静電容量式タッチパネルセンサー380は、各層の順番が異なる点を除いて、図7に示す静電容量式タッチパネルセンサー280と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
 また、図8中の第1検出電極24と第2検出電極28とは、図4に示すようにそれぞれ複数使用されており、両者は図4に示すように互いに直交するように配置されている。
 なお、図8に示す、静電容量式タッチパネルセンサー380は、基板と基板表面に配置された検出電極および引き出し配線とを有する電極付き基板を2枚用意し、一方の電極付き基板中の基板と他方の電極付き基板の電極とが向き合うように、粘着シートを介して貼り合せて得られる静電容量式タッチパネルセンサーに該当する。
[0099]
 静電容量式タッチパネルセンサーの他の態様としては、例えば、図4において、第1検出電極24および第2検出電極28の導電性細線34が、金属酸化物粒子、銀ペーストや銅ペーストなどの金属ペーストで構成されていてもよい。なかでも導電性と透明性に優れる点で、銀細線による導電膜と銀ナノワイヤ導電膜が好ましい。
 また、第1検出電極24および第2検出電極28は導電性細線34のメッシュ構造で構成されていたが、この態様には限定されず、例えば、ITO、ZnOなどの金属酸化物薄膜(透明金属酸化物薄膜)、銀ナノワイヤや銅ナノワイヤなどの金属ナノワイヤでネットワークを構成した透明導電膜で形成されていてもよい。
 より具体的には、図9に示すように、透明金属酸化物で構成される第1検出電極24aおよび第2検出電極28aを有する静電容量式タッチパネルセンサー180aであってもよい。図9は、静電容量式タッチパネルセンサー180aの入力領域における一部平面図を示す。図10は、図9中の切断線A-Aに沿って切断した断面図である。静電容量式タッチパネルセンサー180aは、第1基板38と、第1基板38上に配置された第2検出電極28aと、第2検出電極28aの一端に電気的に接続し、第1基板38上に配置された第2引き出し配線(図示せず)と、粘着シート40と、第2基板42と、第2基板42上に配置された第1検出電極24aと、第1検出電極24aの一端に電気的に接続し、第2基板42上に配置された第1引き出し配線(図示せず)と、フレキシブルプリント配線板(図示せず)とを備える。
 図9および図10に示す静電容量式タッチパネルセンサー180aは、第1検出電極24aおよび第2検出電極28a以外の点を除いて、図8に示す静電容量式タッチパネルセンサー380と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
 図9および図10に示す、静電容量式タッチパネルセンサー180aは、基板と基板表面に配置された検出電極および引き出し配線とを有する電極付き基板を2枚用意し、一方の電極付き基板中の基板と他方の電極付き基板の電極とが向き合うように、粘着層を介して貼り合せて得られる静電容量式タッチパネルセンサーに該当する。
[0100]
 上述したように、第1検出電極24aおよび第2検出電極28aはそれぞれX軸方向およびY軸方向に延びる電極で、透明金属酸化物で構成され、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)で構成される。なお、図9および図10においては、透明電極ITOをセンサーとして生かすため、インジウム錫酸化物(ITO)自体の抵抗の高さを、電極面積を稼いで配線抵抗総量を小さくして、さらに厚みを薄くし透明電極の特性を生かし、光透過率を確保する設計になっている。
 なお、ITOのほかに上記態様で使用できる材料としては、例えば、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)などが挙げられる。
 なお、電極部(第1検出電極24aおよび第2検出電極28a)のパターニングは、電極部の材料に応じて選択でき、フォトリソグラフィー法やレジストマスクスクリーン印刷-エッチング法、インクジェット法、印刷法などを用いてもよい。
[0101]
〔保護基板〕
 保護基板20は、粘着シート上に配置される基板であり、外部環境から後述する静電容量式タッチパネルセンサー18を保護する役割を果たすと共に、その主面はタッチ面を構成する。
 保護基板20として、透明基板であることが好ましくプラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板などが用いられる。基板の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。
 上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン系樹脂(COP)等を用いることができる。
 また、保護基板20としては、偏光板、円偏光板などを用いてもよい。
[0102]
〔表示装置〕
 表示装置50は、画像を表示する表示面を有する装置であり、表示画面側に各部材が配置される。
 表示装置50の種類は特に制限されず、公知の表示装置を使用することができる。例えば、陰極線管(CRT)表示装置、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)表示装置、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)または電界放出ディスプレイ(FED)または電子ペーパー(E-Paper)などが挙げられる。
[0103]
 上述した本発明の粘着シートは、静電容量式タッチパネルの製造に好適に使用できる。例えば、表示装置と上記静電容量式タッチパネルセンサーとの間や、上記静電容量式タッチパネルセンサーと保護基板との間や、または、静電容量式タッチパネルセンサー内の基板と基板上に配置された検出電極を備える導電フィルム同士の間に配置される粘着シートを付与するために使用される。
 特に、本発明の粘着シートは、静電容量式タッチパネル中の検出電極に隣接する粘着層を付与するために使用されることが好ましい。このような態様に使用される場合、上記変動要因の影響によるタッチ誤動作を顕著に削減することができるため、好ましい。
 なお、上記検出電極に粘着シートが隣接する場合としては、例えば、静電容量式タッチパネルセンサーが基板の裏表面に検出電極が配置された態様である際に、その両面の検出電極に接するように粘着シートが配置される場合が挙げられる。また、他の場合としては、静電容量式タッチパネルセンサーが基板と基板の片面に配置された検出電極とを備える導電フィルムを2枚有し、この2枚の導電フィルムを貼り合せる際に、検出電極に接するように粘着シートが配置される場合が挙げられる。より具体的には、図7および図8の粘着シート40の態様として使用される場合が挙げられる。
実施例
[0104]
 以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0105]
<実施例1~42、比較例1~22>
(硬化性粘着剤組成物の調製)
 下記表1に示す成分を、下記表1に示す配合量(質量部)で混合し、撹拌することで各粘着剤組成物を得た。ここで、モノマー1~3については、スラッシュ(/)の左側が成分を表し(カッコ内の数値は成分のSP値)、スラッシュ(/)の右側が成分の配合量(質量部)を表す。
 例えば、実施例1の硬化性粘着剤組成物は、EHMA(20質量部)と、FA-512M(5質量部)と、TPO(2.5質量部)と、UC-203(21.78質量部)と、P-135(38.8質量部)と、Polyoil 110(11.9質量部)とを混合し、撹拌することで得られた硬化性粘着剤組成物である。各成分の詳細は後述のとおりである。
[0106]
(粘着シートの作製)
 得られた各硬化性粘着剤組成物をそれぞれ離型PET上に塗布して塗膜(前駆体膜)を形成した。その後、形成した塗膜にフュージョンUVランプ(Dバルブ)を用いて、表1に記載の照度および露光量の条件で照射し、硬化させて、離型PET(ポリエチレンテレフタレート)上に形成された粘着シートを得た。得られた粘着シートの厚みは前駆体膜と同程度であった。
[0107]
 各実施例および比較例で得られた粘着シートにおける、光重合開始剤の残存率(%)、メタクリレートモノマーの反応率(%)、および、ゲル分率(%)は、上述した方法により測定した。結果を表1にまとめて示す。
[0108]
<光学特性の評価>
 得られた各粘着シートを2.5cm×5cmに切り出し、離型PETをはがして、切り出した粘着シートの片面をガラス基板に、もう一方の面を光学PET(ポリエチレンテレフタレート)に貼り付けたサンプルを作製した。続いて、日本電色社製coler meter ZE6000を用いてb*値を測定した。b*≦1.0を光学特性が優れるものとして「A」とし、1.0<b*≦1.2を光学特性がやや優れるものとして「B」とし、b*>1.2を光学特性に劣るものとして「C」とした。
[0109]
<密着性の評価>
 得られた各粘着シートを2.5cm×5cmに切り出し、離型PETをはがして、切り出した粘着シートの片面をガラス基板に、もう一方の面をカプトンフイルムに貼り付けたサンプルを作製した。続いて、島津製作所社製オートグラフを用いてカプトンフイルムの一端を把持して、180度ピール試験(引張速度300cm/分)を行い、粘着シートとガラス基板の試験力平均値を測定し、この値を接着強度(N/mm)とした。結果を表1に示す。実用上、接着強度は0.60N/mm以上であることが好ましい。
[0110]
<剥離特性の評価>
 上記密着性評価時に、粘着シートがガラス基板またはカプトンフイルムの片側に残るものを界面剥離が進行したと評価し、粘着シートがガラス基板およびカプトンフイルムの両面に残るものを凝集破壊とした。界面剥離特性を示すものが粘着シートとして好ましい。
[0111]
<段差追従性の評価>
 得られた各粘着シートを2.5cm×4cmに切り出し、離型PETをはがして、切り出した粘着シートの片面を、カプトンテープ(5mm幅35μm厚み)を巻き付けたガラス基板に貼り付け、もう一方の面を、光学PETに貼り付けたサンプルを作製した。続いてオートクレーブを用い、内温40℃、5気圧、20分の条件で加熱プレス処理し、段差追従性試験用のサンプルを作製した。
 作製したサンプルについて、粘着シートとカプトンテープ段差との間に形成された境界面をニコン社製光学顕微鏡で観察し、境界空隙幅を測定した。より具体的には、図11に示すように、得られたサンプルの構成は、カプトンテープ52を貼ったガラス基板50上に、粘着シート54および光学PET56を配置した態様に該当する。図11に示すように、カプトンテープ52の段差部分においてガラス基板50と粘着シート54との間には空隙58が生じやすく、境界空隙幅とは、カプトンテープ52と粘着シート54とが接していないガラス基板上の距離Dを意図する。
 測定された境界空隙幅のうち最も大きい値が20μm未満のものを段差追従性が優れるものとして「A」とし、20μm以上50μm未満のものを段差追従性が比較的優れるものとして「B」とし、50μm以上100μm未満のものを好ましくはないが実用上使用可能なものとして「C」とし、100μm以上のものを段差追従性に劣り実用性がないものとして「D」とした。結果を表1に示す。
[0112]
 表1中、「b/a」は、「メタクリレートモノマー」の総含有量(b)と、光重合開始剤の総含有量(a)との質量比(b/a)を表す。
 表1中、「O/C比」は、硬化性粘着剤組成物に含まれる酸素原子のモル数と炭素原子のモル数との比(酸素原子のモル数/炭素原子のモル数)を表す。
 表1中、「膜厚」は、前駆体膜の厚みを意図する。
 表1中、「-」は評価を実施していないことを意図する。
 表1中、「硬化不良」の場合、硬化が不十分であったため、剥離特性の評価が実施できなかった。
[0113]
[表1]


[0114]
[表2]


[0115]
[表3]


[0116]
 上記表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
・EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート(SP値:8.1(MPa) 1/2
・DDMA:ドデシルメタクリレート(SP値:8.2(MPa) 1/2
・IBXA:イソボルニルアクリレート(SP値:8.33(MPa) 1/2
・IBX:イソボルニルメタクリレート(SP値:8.3(MPa) 1/2
・StMA:ステアリルメタクリレート(SP値:5.0(MPa) 1/2
・EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(SP値:7.8)
・FA-512M:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、日立化成社製
・NVP:N-ビニルピロリドン(日本触媒社製)
・NVC:N-ビニルカプロラクタム(BASF社製)
・M-100:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル化学社製)
・OXE-1:1.2-オクタンジオン,1-「4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)」(BASF社製)
・TPO:Lucirin TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)
・IRG819:Irgacure819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)
・IRG907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン
・IRG184:Irgacure184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、BASF社製)
・DDT:1-ドデカンチオール
・UC-203:液状ゴム(イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物、クラレ社製)(1分子中にメタクリロイル基を2つ以上有する)
・UC-102:液状ゴム(イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物、クラレ社製)(1分子中にメタクリロイル基を2つ以上有する)
・P-135:CLEARON P-135(水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製)
・P-150:CLEARON P-150(水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製)
・テトラックス3T:テトラックス3T(ポリイソブチレン、JX日鉱日石エネルギー社製)
・Polyoil 110:液状ポリブタジエン(日本ゼオン社製)
[0117]
 表1に示すように、本発明の製造方法より得られる粘着シートは、所望の効果が得られることが確認された。
 特に、実施例8と9との比較より、ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含まない実施例8の方がより優れた光学特性および密着性を示すことが確認された。
 また、実施例3と4との比較より、アミノケトン系光重合開始剤を含まない実施例3の方がより優れた光学特性を示すことが確認された。
 また、実施例1と2と11との比較より、光重合開始剤としてモノアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤およびビスアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む実施例1および2の方がより優れた光学特性、密着性および段差追従性を示すことが確認された。
 同様に、実施例3と12との比較より、光重合開始剤としてモノアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤およびビスアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む実施例3の方がより優れた光学特性、密着性および段差追従性を示すことが確認された。
 また、実施例3と20~22との比較より、前駆体膜の厚みが250μm以上である実施例3および21~22の方がより優れた段差追従性を示すことが確認された。なかでも、前駆体膜の厚みが300μm以上である実施例21~22の方がより優れた密着性を示すことが確認された。そのなかでも、前駆体膜の厚みが400μm以上である実施例22の方がさらに優れた密着性を示すことが確認された。
 同様に、実施例16と29との比較より、前駆体膜の厚みが300μm以上である実施例29の方がより優れた密着性を示すことが確認された。
 同様に、実施例19と27~28との比較より、前駆体膜の厚みが300μm以上である実施例27~28の方がより優れた密着性を示すことが確認された。なかでも、前駆体膜の厚みが400μm以上である実施例28の方がさらに優れた密着性を示すことが確認された。
 また、実施例19と23~25との比較より、照度が30mW/cm 超80mW/cm 以下である実施例23~24はより優れた段差追従性を示すことが確認された。
 一方、照度が所定の条件でない比較例1~12、メタクリレートモノマーの含有量(b)と光重合開始剤の含有量(a)の質量比(b/a)が所定の範囲でない比較例13~18、厚みが薄い比較例19~20、アクリレートモノマーを使用した比較例21~22で得られた粘着シートは、所望の効果が得られなかった。

符号の説明

[0118]
12  粘着シート
18、180、180a、280、380  静電容量式タッチパネルセンサー
20  保護基板
22  基板
24、24a  第1検出電極
26、26a  第1引き出し配線
28、28a  第2検出電極
30  第2引き出し配線
32  フレキシブルプリント配線板
34  導電性細線
36  格子
38  第1基板
40  粘着シート
42  第2基板
50  ガラス基板
52  カプトンテープ
54  粘着シート
56  光学PET
58  空隙
100、200  タッチパネル用積層体
300、400  静電容量式タッチパネル

請求の範囲

[請求項1]
 メタクリロイル基を1つ有するメタクリレートモノマーと、ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤と、光重合開始剤と、粘着付与剤とを含む硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して、照度0.1mW/cm 超200mW/cm 未満にて光照射を実施して、粘着シートを製造する工程を有し、
 前記硬化性粘着剤組成物中における、前記メタクリレートモノマーの含有量と、前記光重合開始剤の含有量との質量比が10.0以上50.0未満であり、
 前記メタクリレートモノマーの含有量が、前記硬化性粘着剤組成物全質量に対して、10~45質量%であり、
 前記粘着付与剤の含有量が、前記硬化性粘着剤組成物全質量に対して、5.0~50.0質量%である、粘着シートの製造方法。なお、前記質量比は、メタクリレートモノマーの質量/光重合開始剤の質量で表される。
[請求項2]
 前記硬化性粘着剤組成物に含まれる酸素原子のモル数と炭素原子のモル数との比が、0.10以下である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。なお、前記比は、酸素原子のモル数/炭素原子のモル数で表される。
[請求項3]
 前記光重合開始剤の含有量が、前記硬化性粘着剤組成物全質量に対して、1.0~2.5質量%である、請求項1または2に記載の粘着シートの製造方法。
[請求項4]
 前記光重合開始剤が、モノアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤およびビスアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み、ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シートの製造方法。
[請求項5]
 前記架橋剤が、メタクリロイル基を有する、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、および、水添ポリイソプレンからなる群から選ばれる1種を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シートの製造方法。
[請求項6]
 前記メタクリレートモノマーの溶解度パラメータが8.0~10.0(MPa) 1/2である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シートの製造方法。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シートの製造方法より製造される粘着シート。
[請求項8]
 メタクリロイル基を1つ有するメタクリレートモノマーと、ラジカル重合性基を2つ以上有する架橋剤と、光重合開始剤と、粘着付与剤とを含み、前記メタクリレートモノマーの含有量が10~45質量%であり、前記粘着付与剤の含有量が5.0~50.0質量%である硬化性粘着剤組成物を基材上に付与して形成される厚み200μm以上の前駆体膜に対して光照射を実施して得られる粘着シートであって、
 前記光重合開始剤の残存率が10%未満であり、
 前記メタクリレートモノマーの反応率が80%超であり
 ゲル分率が30%以上である、粘着シート。
[請求項9]
 タッチパネル用粘着シートである、請求項7または8に記載の粘着シート。
[請求項10]
 請求項9に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える、タッチパネル用積層体。
[請求項11]
 さらに、保護基板を備え、
 前記保護基板と、前記粘着シートと、前記静電容量式タッチパネルセンサーとをこの順に備える、請求項10に記載のタッチパネル用積層体。
[請求項12]
 静電容量式タッチパネルセンサーと、請求項9に記載の粘着シートと、表示装置とをこの順に備える、静電容量式タッチパネル。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]