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1. (WO2015141285) ハイブリッド車両の制御装置
Document

明 細 書

発明の名称 ハイブリッド車両の制御装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

符号の説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : ハイブリッド車両の制御装置

技術分野

[0001]
 本発明は、エンジンおよび電動モータを動力源として搭載し、電動モータのみにより走行する電気走行モード(EVモード)と、電動モータおよびエンジンにより走行するハイブリッド走行モード(HEVモード)とを選択可能なハイブリッド車両の制御装置に関する。

背景技術

[0002]
 このようなハイブリッド車両として、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。このハイブリッド車両は、エンジンが無段変速機およびクラッチを順次介して駆動輪に切り離し可能に結合され、電動モータが駆動輪に常時結合されている。また、エンジンに駆動される機械式オイルポンプを備え、無段変速機やクラッチへ油を供給している。
[0003]
 このハイブリッド車両は、エンジンを停止すると共に上記のクラッチを解放することで電動モータのみによるEVモードでの電気走行(EV走行)が可能であり、エンジンを始動させると共に当該クラッチを締結することにより電動モータおよびエンジンによるHEVモードでのハイブリッド走行(HEV走行)が可能である。
[0004]
 なお、EV走行中にクラッチを解放することで、停止状態のエンジンや無段変速機が駆動輪から切り離されるため、EV走行中におけるエンジンや無段変速機のフリクションを低減することができ、その分のエネルギー損失を回避することでエネルギー効率を高めることができる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2000-199442号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、上記従来技術にあっては、HEVモードからEVモードに切り替わった後、無段変速機の変速比をどのように制御すべきか、という点について検討の余地が有った。
[0007]
 すなわち、上記従来技術では、EVモード中に無段変速機の変速比制御を一切行っていないため、High側変速比で停車してしまうと、発進性能の確保が難しい。例えば、登坂路においてHigh側変速比のまま停車し、その後、発進するような場合、例えHEVモードによってエンジンのトルクを用いたとしてもHigh側に変速されることで駆動輪に伝達されるトルクが低下し、勾配抵抗を下回るような場合には登坂路発進ができなくなるという問題があった。
[0008]
 本発明は上記課題に着目し、登坂路でも安定して走行することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 この目的のため、本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、運転状態に応じてエンジン及びモータの出力と、クラッチの締結及び解放と、無段変速機の変速比とを制御する制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、クラッチを解放し、エンジンを停止してモータの駆動力により走行可能な電気自動車モードのときに、車両が登坂路にあると判定されたときは、エンジンを始動して無段変速機を所定の登坂路発進可能変速比へ強制ダウンシフトすることとした。

発明の効果

[0010]
 よって、電気自動車モードで登坂路にあるときに、エンジンを使用して走行するモードに切り替えられたとしても、無段変速機の変速比が登坂路発進可能変速比にダウンシフトされているため、エンジンの駆動力を十分に駆動輪に伝達することが可能となり、安定して走行することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。
[図2] 実施例1のハイブリッド車両において、 (a)は、当該ハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、 (b)は、当該ハイブリッド車両の駆動系におけるVベルト式無段変速機に内蔵された副変速機内におけるクラッチの締結論理図である。
[図3] 実施例1のハイブリッド車両の走行モードが設定されたモードマップである。
[図4] 実施例1のEVモード時における強制ダウンシフト制御処理を表すフローチャートである。
[図5] 実施例1のエンジンによる強制ダウンシフト作用を表すタイムチャートである。
[図6] 実施例1のクラッチによる強制ダウンシフト作用を表すタイムチャートである。

符号の説明

[0012]
 1 エンジン(動力源)
 2 電動モータ(動力源)
 3 スタータモータ
 4 Vベルト式無段変速機
 5 駆動輪
 6 プライマリプーリ
 7 セカンダリプーリ
 8 Vベルト
 CVT バリエータ(無段変速機構)
 T/C トルクコンバータ
 9,11 ファイナルギヤ組
 12 バッテリ
 13 インバータ
 14 ブレーキディスク
 15 キャリパ
 16 ブレーキペダル
 19 アクセルペダル
 21 ハイブリッドコントローラ
 22 エンジンコントローラ
 23 モータコントローラ
 24 変速機コントローラ
 25 バッテリコントローラ
 26 ブレーキスイッチ
 27 アクセルペダル開度センサ
 O/P オイルポンプ
 31 副変速機
 CL クラッチ
 H/C ハイクラッチ
 R/B リバースブレーキ
 L/B ローブレーキ
 32 車速センサ

発明を実施するための形態

[0013]
 〔実施例1〕
 図1は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図である。図1のハイブリッド車両は、エンジン1および電動モータ2を動力源として搭載され、エンジン1は、スタータモータ3により始動する。エンジン1は、Vベルト式の無段変速機4を介して駆動輪5に適宜切り離し可能に駆動結合する。
[0014]
 無段変速機4のバリエータCVTは、プライマリプーリ6と、セカンダリプーリ7と、これらプーリ6,7間に掛け渡したVベルト8(無端可撓部材)とからなるVベルト式無段変速機構である。尚、Vベルト8は複数のエレメントを無端ベルトによって束ねる構成を採用したが、チェーン方式等であってもよく特に限定しない。プライマリプーリ6はトルクコンバータT/Cを介してエンジン1のクランクシャフトに結合し、セカンダリプーリ7はクラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次介して駆動輪5に結合する。尚、本実施例にあっては、動力伝達経路を断接する要素(クラッチやブレーキ等)を総称してクラッチと記載する。図1は、動力伝達経路を概念的に示すものであり、後述する副変速機31内に設けられたハイクラッチH/C,リバースブレーキR/B及びローブレーキL/Bを、総称してクラッチCLと記載している。クラッチCLが締結状態のとき、エンジン1からの動力はトルクコンバータT/Cを経てプライマリプーリ6へ入力され、その後Vベルト8、セカンダリプーリ7、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動輪5に達し、ハイブリッド車両の走行に供される。
[0015]
 エンジン動力伝達中、プライマリプーリ6のプーリV溝幅を小さくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を大きくすることで、Vベルト8とプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を大きくすると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を小さくする。これにより、バリエータCVTはHigh側プーリ比(High側変速比)へのアップシフトを行う。High側変速比へのアップシフトを限界まで行った場合、変速比は最高変速比に設定される。
[0016]
 逆にプライマリプーリ6のプーリV溝幅を大きくしつつ、セカンダリプーリ7のプーリV溝幅を小さくすることで、Vベルト8とプライマリプーリ6との巻き掛け円弧径を小さくすると同時にセカンダリプーリ7との巻き掛け円弧径を大きくする。これにより、バリエータCVTはLow側プーリ比(Low側変速比)へのダウンシフトを行う。Low側変速比へのダウンシフトを限界まで行った場合、変速は最低変速比に設定される。
[0017]
 バリエータCVTは、プライマリプーリ6の回転数を検出するプライマリ回転数センサ6aと、セカンダリプーリ7の回転数を検出するセカンダリ回転数センサ7aとを有し、これら両回転数センサにより検出された回転数に基づいて実変速比を算出し、この実変速比が目標変速比となるように各プーリの油圧制御等が行われる。
[0018]
 電動モータ2はファイナルギヤ組11を介して駆動輪5に常時結合され、この電動モータ2は、バッテリ12の電力によりインバータ13を介して駆動される。
 インバータ13は、バッテリ12の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2へ供給すると共に、電動モータ2への供給電力を加減することにより、電動モータ2を駆動力制御および回転方向制御する。
 なお電動モータ2は、上記のモータ駆動のほかに発電機としても機能し、回生制動の用にも供する。この回生制動時はインバータ13が、電動モータ2に回生制動力分の発電負荷をかけることにより、電動モータ2を発電機として作用させ、電動モータ2の発電電力をバッテリ12に蓄電する。
[0019]
 実施例1のハイブリッド車両は、クラッチCLを解放すると共にエンジン1を停止させた状態で電動モータ2を駆動することで、電動モータ2の動力のみがファイナルギヤ組11を経て駆動輪5に達し、電動モータ2のみによる電気走行モード(EVモード)で走行を行う。この間、クラッチCLを解放することで、停止状態のエンジン1及びバリエータCVTのフリクションを低減し、EV走行中の無駄な電力消費を抑制する。
[0020]
 上記のEVモードによる走行状態において、エンジン1をスタータモータ3により始動させると共にクラッチCLを締結させると、エンジン1からの動力がトルクコンバータT/C、プライマリプーリ6、Vベルト8、セカンダリプーリ7、クラッチCLおよびファイナルギヤ組9を順次経て駆動輪5に達するようになり、ハイブリッド車両はエンジン1および電動モータ2によるハイブリッド走行モード(HEVモード)で走行する。
[0021]
 ハイブリッド車両を上記の走行状態から停車させる、もしくは、この停車状態に保つに際しては、駆動輪5と共に回転するブレーキディスク14をキャリパ15により挟圧して制動することで目的を達する。キャリパ15は、運転者が踏み込むブレーキペダル16の踏力に応動する負圧式ブレーキブースタ17による倍力下で、ブレーキペダル踏力対応のブレーキ液圧を出力するマスタシリンダ18に接続されている。マスタシリンダ18により発生したブレーキ液圧によりキャリパ15を作動させてブレーキディスク14の摩擦制動を行う。ハイブリッド車両はEVモードおよびHEVモードのいずれにおいても、運転者がアクセルペダル19を踏み込んで指令する駆動力指令に応じたトルクで車輪5を駆動し、運転者の要求に応じた駆動力をもって走行する。
[0022]
 ハイブリッドコントローラ21は、ハイブリッド車両の走行モード選択と、エンジン1の出力制御と、電動モータ2の回転方向制御および出力制御と、バリエータCVTの変速制御と、副変速機31の変速制御及びクラッチCLの締結、解放制御と、バッテリ12の充放電制御とを実行する。このとき、ハイブリッドコントローラ21は、対応するエンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25を介してこれら制御を行う。
[0023]
 ハイブリッドコントローラ21には、ブレーキペダル16を踏み込む制動時にOFFからONに切り替わる常開スイッチであるブレーキスイッチ26からの信号と、アクセルペダル踏み込み量(アクセルペダル開度)APOを検出するアクセルペダル開度センサ27からの信号とが入力される。ハイブリッドコントローラ21は更に、エンジンコントローラ22、モータコントローラ23、変速機コントローラ24、およびバッテリコントローラ25との間で、内部情報のやり取りを行う。
[0024]
 エンジンコントローラ22は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答して、エンジン1を出力制御し、モータコントローラ23は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答してインバータ13を介し電動モータ2の回転方向制御および出力制御を行う。変速機コントローラ24は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、エンジン駆動される機械式オイルポンプO/P(もしくはポンプ用モータに駆動される電動式オイルポンプEO/P)からのオイルを媒体として、バリエータCVT(Vベルト式無段変速機構CVT)の変速制御および副変速機31の変速制御及びクラッチCLの締結、解放制御を行う。バッテリコントローラ25は、ハイブリッドコントローラ21からの指令に応答し、バッテリ12の充放電制御を行う。
[0025]
 図2(a)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系およびその全体制御システムを示す概略系統図であり、図2(b)は、実施例1のハイブリッド車両の駆動系における無段変速機4に内蔵された副変速機31内におけるクラッチCL(具体的には、H/C, R/B, L/B)の締結論理図である。図2(a)に示すように、副変速機31は、複合サンギヤ31s-1および31s-2と、インナピニオン31pinと、アウタピニオン31poutと、リングギヤ31rと、ピニオン31pin, 31poutを回転自在に支持したキャリア31cとからなるラビニョオ型プラネタリギヤセットで構成する。
[0026]
 複合サンギヤ31s-1および31s-2のうち、サンギヤ31s-1は入力回転メンバとして作用するようセカンダリプーリ7に結合し、サンギヤ31s-2はセカンダリプーリ7に対し同軸に配置するが自由に回転し得るようにする。
[0027]
 サンギヤ31s-1にインナピニオン31pinを噛合させ、このインナピニオン31pinおよびサンギヤ31s-2をそれぞれアウタピニオン31poutに噛合させる。
 アウタピニオン31poutはリングギヤ31rの内周に噛合させ、キャリア31cを出力回転メンバとして作用するようファイナルギヤ組9に結合する。
 キャリア31cとリングギヤ31rとをクラッチCLであるハイクラッチH/Cにより適宜結合可能となし、リングギヤ31rをクラッチCLであるリバースブレーキR/Bにより適宜固定可能となし、サンギヤ31s-2をクラッチCLであるローブレーキL/Bにより適宜固定可能となす。
[0028]
 副変速機31は、ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを、図2(b)に○印により示す組み合わせで締結させ、それ以外を図2(b)に×印で示すように解放させることにより前進第1速、第2速、後退の変速段を選択することができる。ハイクラッチH/C、リバースブレーキR/BおよびローブレーキL/Bを全て解放すると、副変速機31は動力伝達を行わない中立状態であり、この状態でローブレーキL/Bを締結すると、副変速機31は前進第1速選択(減速)状態となり、ハイクラッチH/Cを締結すると、副変速機31は前進第2速選択(直結)状態となり、リバースブレーキR/Bを締結すると、副変速機31は後退選択(逆転)状態となる。
[0029]
 図2(a)の無段変速機4は、全てのクラッチCL(H/C, R/B, L/B)を解放して副変速機31を中立状態にすることで、バリエータCVT(セカンダリプーリ7)と駆動輪5との間を切り離すことができる。
[0030]
 図2(a)の無段変速機4は、エンジン駆動される機械式オイルポンプO/Pもしくはポンプ用モータに駆動される電動式オイルポンプEO/Pからのオイルを作動媒体として制御されるもので、変速機コントローラ24がライン圧ソレノイド35、ロックアップソレノイド36、プライマリプーリ圧ソレノイド37-1、セカンダリプーリ圧ソレノイド37-2、ローブレーキ圧ソレノイド38、ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39およびスイッチバルブ41を介し、バリエータCVTの当該制御を以下のように制御する。尚、変速機コントローラ24には、図1につき前述した信号に加えて、車速VSPを検出する車速センサ32からの信号、および車両加減速度Gを検出する加速度センサ33からの信号を入力する。
[0031]
 ライン圧ソレノイド35は、変速機コントローラ24からの指令に応動し、機械式オイルポンプO/Pからのオイルを車両要求駆動力対応のライン圧PLに調圧する。また、機械式オイルポンプO/Pとライン圧ソレノイド35との間には電動式オイルポンプEO/Pが接続されており、変速機コントローラ24からの指令に応動してポンプ吐出圧を供給する。
[0032]
 ロックアップソレノイド36は、変速機コントローラ24からのロックアップ指令に応動し、ライン圧PLを適宜トルクコンバータT/Cに向かわせることで、トルクコンバータT/Cを所要に応じて入出力要素間が直結されたロックアップ状態にする。
[0033]
 プライマリプーリ圧ソレノイド37-1は、変速機コントローラ24からのCVT変速比指令に応動してライン圧PLをプライマリプーリ圧に調圧し、これをプライマリプーリ6へ供給することにより、プライマリプーリ6のV溝幅と、セカンダリプーリ7のV溝幅とを、CVT変速比が変速機コントローラ24からの指令に一致するよう制御して変速機コントローラ24からのCVT変速比指令を実現する。
 セカンダリプーリ圧ソレノイド37-2は、変速機コントローラ24からのクランプ力指令に応じてライン圧PLをセカンダリプーリ圧に調圧し、これをセカンダリプーリ7に供給することにより、セカンダリプーリ7がVベルト8をスリップしないよう挟圧する。
 ローブレーキ圧ソレノイド38は、変速機コントローラ24が副変速機31の第1速選択指令を発しているとき、ライン圧PLをローブレーキ圧としてローブレーキL/Bに供給することによりこれを締結させ、第1速選択指令を実現する。
 ハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧ソレノイド39は、変速機コントローラ24が副変速機31の第2速選択指令または後退選択指令を発しているとき、ライン圧PLをハイクラッチ圧&リバースブレーキ圧としてスイッチバルブ41に供給する。
 実施例1の電動式オイルポンプEO/Pの最大吐出能力は、機械式オイルポンプO/Pに比べて小さく設定されており、電動式オイルポンプEO/Pのモータ及びポンプの小型化を図っている。
[0034]
 第2速選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをハイクラッチ圧としてハイクラッチH/Cに向かわせ、これを締結することで副変速機31の第2速選択指令を実現する。
 後退選択指令時はスイッチバルブ41が、ソレノイド39からのライン圧PLをリバースブレーキ圧としてリバースブレーキR/Bに向かわせ、これを締結することで副変速機31の後退選択指令を実現する。
[0035]
 〔変速制御処理について〕
 次に変速制御処理について説明する。変速機コントローラ24は、予め設定された変速マップを参照しながら、車両の運転状態(実施例1では車速VSP、プライマリ回転速度Npri、アクセルペダル開度APO)に応じて、無段変速機4を制御する。この変速マップでは、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセルペダル開度APO毎に変速線が設定されており、無段変速機4の変速はアクセルペダル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。この変速マップ上には副変速機31の変速を行うモード切換変速線が設定される。そして、無段変速機4の動作点がモード切換変速線を横切った場合、変速機コントローラ24はバリエータCVTと副変速機31の両方で協調変速を行い、高速モード-低速モード間の切換えを行う。
[0036]
 〔モード切り替え制御について〕
 図3は実施例1のハイブリッド車両の走行モードが設定されたモードマップである。図3のモードマップでは、縦軸の0より上はアクセルペダル開度に応じて設定され、0より下についてはブレーキスイッチ26のオン・オフ状態に応じて設定されている。アクセルペダル19が踏み込まれたEV力行領域にあっては、力行車速VSPXまでEVモードによる力行領域が設定されている。また、アクセルペダル19がほとんど踏み込まれていない状態(例えば、1/8よりも十分に小さなアクセルペダル開度)を表す領域には、力行車速VSPXよりも更に高車速の所定車速VSP1までEVモードによる力行領域が設定されている。この所定車速VSP1以下の領域はアクセルペダル19が踏み込まれた状態ではほとんど選択されることはない。
 一方、HEVモードによる走行中にアクセルペダル19を解放してコースティング(惰性)走行へ移行した場合や、HEVモードによる力行状態からブレーキペダル16を踏み込んで車両を制動する場合、電動モータ2による回生制動によって車両の運動エネルギーを電力に変換し、これをバッテリ12に蓄電しておくことでエネルギー効率の向上を図る(HEV回生状態)。また、制動トルクが所定値b1より大きな制動トルクとなったときには、電動モータ2のみによる回生制動では制動力が不足すると判断してHEV回生制動状態とする。これにより、摩擦ブレーキも併用し、制動トルクを確保する。また、制動トルクが所定値b1未満であっても、車速が所定車速Vc以下のときには、EV回生状態から摩擦ブレーキによる制動に切り替える。電動モータ2が低回転状態で高い回生トルクを発生させることは望ましくないからである。
[0037]
 ところでHEVモードのまま回生制動(HEV回生状態)を行うときは、クラッチCLが締結状態であるため、エンジン1の逆駆動力(エンジンブレーキ)分および無段変速機4のフリクション分だけ回生制動エネルギーの低下を招くこととなり、エネルギー回生効率が悪い。そのため、HEVモードによる走行中に回生制動が開始され、所定車速VSP1を下回ると、クラッチCLの解放によりエンジン1およびバリエータCVTを駆動輪5から切り離してEVモードによる走行へと移行する。これによりEV回生状態とし、エンジン1および無段変速機4によるフリクションを低減し、その分だけエネルギー回生量を稼げるようにする。また、EVモードにより走行する際には、燃費の観点からコースティング走行中に実行されていたエンジン1への燃料噴射の中止(フューエルカット)がクラッチCLの解放時も継続されるよう、エンジン1への燃料噴射の再開(フューエルリカバー)を禁止することでエンジン1を停止させる。
[0038]
 〔HEVモードからEVモードに遷移したときの変速制御について〕
 次に、HEVモードからEVモードに遷移したときの変速制御に伴う課題について説明する。EVモード中に無段変速機の変速比制御を一切行わない場合、EVモード中の変速比は、EVモードへ切り替わる直前のHEVモード時の変速比となる。よって、EVモードへ切り替わる直前のHEVモード中の変速比がHigh側の変速比であった場合、EVモード中の変速比もHigh側となるため、この状態で車両停止すると、停車中の変速比もHigh側の変速比となっている。このとき、再発進要求に基づいてHEVモードによる発進を行うと、変速比がHigh側にあるため、エンジントルクが変速機により減少して駆動輪に伝達されるため、運転者の要求駆動力を満たすことができないという問題がある。特に車両が登坂路で停車しているときに発進しようとする場合、登坂勾配が急で、かつ、変速比が最High側付近にあるようなときは、駆動輪5に伝達される駆動力が走行抵抗を下回ってしまい、登坂路発進ができなくなるという問題があった。
 そこで、実施例1では、EVモードにより走行しているときに、車両が登坂路にあると判定されたときは、エンジンを始動して無段変速機を所定の登坂路発進可能変速比へ強制ダウンシフトすることとした。
[0039]
 〔強制ダウンシフト制御処理〕
 図4は実施例1のEVモード時における強制ダウンシフト制御処理を表すフローチャートである。
 ステップS1では、HEVモードを選択する。
 ステップS2では、HEVモードからEVモードへのモード遷移が許可されているか否かを判断し、許可されているときはステップS3へ進み、それ以外はHEVモードを継続する。具体的には、図3のモードマップにおいて車速VSPとアクセル開度APOとによって規定される運転点がEV(力行・回生)領域にあるか否かを判断し、EV領域にあり、かつ、他の条件、具体的にはバッテリ状態が所定以上であり、急制動状態ではないといった条件を満たしているときは、EVモードへのモード遷移が許可される。
 ステップS3では、EVモードへのモード遷移を行う。具体的には、クラッチCLを解放し、エンジン1への燃料噴射を停止し、電動モータ2のトルクによって走行する。
[0040]
 ステップS4では、路面勾配が所定値x1以上か否かを判断し、所定値x1以上の場合はステップS5に進み、それ以外の場合は本制御フローを終了する。本ステップが登坂路判定手段に相当し、所定値x1以上であれば登坂路と判定するものである。ここで、路面勾配は、電動モータ2のトルクにより平坦路で走行した場合に得られるべき推定加速度と、加速度センサ33により検出された実加速度との偏差に基づいて推定する。推定加速度よりも実加速度が小さく、その偏差が大きいほど路面勾配として大きな値が算出される。尚、勾配推定については他の推定手段を用いてもよく特に限定しない。
[0041]
 (エンジンによる強制ダウンシフト)
 ステップS5では、車速VSPが所定車速VSP1未満か否かを判断し、所定車速VSP1未満と判断されたときはステップS6へ進み、所定車速VSP1以上と判断されたときはステップS14に進む。ここで、所定車速VSP1とは、車両が停止していると判定可能な値であり、かつ、後述するクラッチCL締結による強制ダウンシフトが可能な車速であり、バリエータCVTが後述する登坂路発進可能変速比G1までダウンシフト可能な車速である。
[0042]
 ステップS6では、バリエータCVTの実変速比Gが登坂路発進可能変速比G0よりHigh側か否かを判断し、High側のときはステップS7に進み、登坂路発進可能変速比G0以下のLow側のときには本制御フローを終了する。これにより、無駄なダウンシフト制御を行う必要が無く、エンジン再始動等に伴う燃費悪化を回避できる。ここで、登坂路発進可能変速比G0とは、最低変速比もしくは最低変速比よりHigh側であって最も厳しい登坂条件を登坂可能な最低変速比付近の変速比である。よって、登坂路発進可能変速比G0へのダウンシフトが完了すると、想定されうるあらゆる登坂路において安定した発進が可能になる。
[0043]
 ステップS7では、スタータモータ3によりエンジン1を始動する。
 ステップS8では、バリエータCVTを登坂路発進可能変速比G0に向けて強制ダウンシフトを実行する。言い換えると、現在の走行モードがEVモードであり、現時点でバリエータCVTの変速比は走行に関与しないものの、強制的にダウンシフトを実行するものである。尚、バリエータCVTが変速するにはプライマリプーリ6やセカンダリプーリ7が回転している必要があるため、ステップS7においてエンジン1を始動し、エンジン1によりバリエータCVTを回転させつつ各プーリの油圧制御によりダウンシフトを行う。尚、このときの油圧制御の油圧源としては機械式オイルポンプO/Pにより供給可能である。
 ステップS9では、ヒルホールド制御が不要か否かを判断し、不要な場合はステップS11に進み、必要な場合はステップS10に進む。
 ステップS10では、ヒルホールド制御をONとする。ヒルホールド制御とは、運転者のブレーキペダル操作に係らず駆動輪5にトルクが伝達されて車両が発進可能となるまでの間、ホイルシリンダ内のブレーキ液圧を封入し、登坂路における車両の移動を規制するものである。尚、ホイルシリンダ内の油圧が不足する場合は、マスタシリンダとホイルシリンダとの間に介在されたVDC制御ユニット等のブレーキアクチュエータによってホイルシリンダを加圧してもよく、特に限定しない。
[0044]
 ステップS11では、バリエータCVTの実変速比Gが登坂路発進可能変速比G0に到達したか否かを判断し、到達したときはステップS12に進み、到達していないときはステップS8に戻って強制ダウンシフトを継続する。
 ステップS12では、アクセルペダル開度APOが所定開度APO1以上か否かを判断し、所定開度APO1以上のときはステップS13に進み、それ以外のときは本ステップS12を繰り返して待機する。ここで、所定開度APO1とは、運転者の発進要求があると判断できる所定値である。尚、既にエンジン1は始動した状態であることから、登坂路と判定された車両停止時にあっては、いつでもエンジン1の駆動力を用いた発進が可能な状態としておく。これにより、登坂路での発進性能を確保できる。
 ステップS13では、クラッチCLをON、すなわち締結を開始し、ヒルホールド制御が行われている場合には、ヒルホールド制御をOFFして発進する。
[0045]
 (クラッチによる強制ダウンシフト)
 ステップS14では、バリエータCVTの実変速比Gが登坂路発進可能変速比G1よりHigh側か否かを判断し、High側のときはステップS7に進み、登坂路発進可能変速比G1以下のLow側のときには本制御フローを終了する。これにより、無駄なダウンシフト制御を行う必要が無く、エンジン再始動等に伴う燃費悪化を回避できる。ここで、登坂路発進可能変速比G1とは、登坂路発進可能変速比G0と同様に最低変速比もしくは最低変速比よりHigh側であって最も厳しい登坂条件を登坂可能な最低変速比付近の変速比である。ただし、走行中であるため、車両の慣性分の駆動力が必要とされないことから、G0よりも若干High側の変速比に設定してもよいし、車速VSPに応じた変速比に設定してもよい。これにより、登坂路発進可能変速比G1へのダウンシフトが完了すると、想定されうるあらゆる登坂路において適正な変速比による安定した再加速が可能になる。
[0046]
 ステップS15では、クラッチCLをONとする。
 ステップS16では、バリエータCVTを登坂路発進可能変速比G1に向けて強制ダウンシフトを実行する。言い換えると、現在の走行モードがEVモードであり、現時点でバリエータCVTの変速比は走行に関与しないものの、強制的にダウンシフトを実行するものである。尚、バリエータCVTが変速するにはプライマリプーリ6やセカンダリプーリ7が回転している必要があるため、ステップS15においてクラッチCLを締結し、駆動輪5によりバリエータCVTを回転させつつ各プーリの油圧制御によりダウンシフトを行う。尚、このときの油圧制御の油圧源としては機械式オイルポンプO/Pでもよいし、必要に応じて電動式オイルポンプEO/Pにより供給してもよい。
[0047]
 ステップS17では、バリエータCVTの実変速比Gが登坂路発進可能変速比G1に到達したか否かを判断し、到達したときはステップS18に進み、到達していないときはステップS19に戻って強制ダウンシフトを継続する。
 ステップS18では、アクセルペダル開度APOが所定開度APO1以上か否かを判断し、所定開度APO1以上のときはステップS20に進み、それ以外のときは本ステップS19に進む。
[0048]
 ステップS19では、クラッチCLをOFFにしてステップS18に戻る。特に再加速意図等が検出されない場合は、クラッチCLを解放することでバリエータCVTを連れまわすことによるフリクションロスを回避し、再加速意図が検出されるまで待機するためである。
 ステップS20では、エンジン1を始動する。すなわち、登坂路においてEVモードで走行中に再加速意図が検出された場合には、電動モータ2のみのトルクでは不足することから、エンジン1を始動することでエンジン駆動力を確保するためである。
 ステップS21では、クラッチCLをON状態か否かを判断し、ON状態、すなわち締結しているときにはそのまま本制御フローを終了し、解放しているときにはステップS22に進んでクラッチCLをON、すなわち締結して再加速を行う。
[0049]
 (強制ダウンシフト制御処理に基づく作用)
 次に、上記EVモード時における強制ダウンシフト制御処理に基づく作用について説明する。図5は実施例1のエンジンによる強制ダウンシフト作用を表すタイムチャートである。尚、BSはブレーキスイッチ26のON・OFF状態を表し、勾配フラグはステップS4の登坂路判定による判定状態(登坂路であればON、それ以外はOFF)を表し、Tmは電動モータ2のモータトルクを表し、Neはエンジン回転数、Nmotは電動モータ2のモータ回転数、Noutは駆動輪回転数、Npriはプライマリプーリ回転数、Nsecはセカンダリプーリ回転数を表す。また、初期の走行状態はHEVモードでアクセルペダルを離し始めている状態である。
[0050]
 時刻t1において、アクセルペダルが完全に解放されるとAPOがゼロとなり、モータトルクTmもゼロとなって車速VSPの減少を開始する。これに伴い、モータ回転数Nmotも低下し始める。
 時刻t2において、ブレーキペダルが踏み込まれると、回生制動を行うための準備としてクラッチCLを解放する。
 時刻t3において、HEVモードからEVモードへのモード遷移許可がなされると、エンジン1の燃料噴射を停止すると共に、モータトルクTmは回生トルクを発生する。尚、電動モータ2による回生制動が所定車速Vcまで行われると、それ以後の低車速領域では摩擦ブレーキによる制動に切り替えられるため、回生トルクは0となる。
[0051]
 時刻t31において車両が停止し、その後、時刻t4において、車両が登坂路にあると判定されると、勾配フラグがONとされる共にエンジン1が始動される。これにより、目標変速比として登坂路発進可能変速比G0が設定されると共に、エンジン回転数の上昇に応じてプライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecも上昇し、変速比Gも登坂路発進可能変速比G0に向けて変速を開始する。
 時刻t5において、ブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み替えに伴い、ブレーキペダルがOFFとされると、ヒルホールド要求がONとされ、車両の後退が抑制される。そして、アクセルペダルが踏み込まれて発進可能な状態となるまでは、ヒルホールド制御が継続される。
[0052]
 時刻t6において、バリエータCVTの変速比Gが登坂路発進可能変速比G0に到達したと判定されると、クラッチCLの締結を開始する。言い換えると、変速比Gが登坂路発進可能変速比G0に到達するまではクラッチCLの締結を禁止する。よって、十分な発進性能が確保されない段階でクラッチCLの締結に伴う変速停止を招くことが無い。尚、クラッチCLの締結が進行すると、プライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecは共に駆動輪回転数Nout(=0)に近づく。このときのエンジン回転数Neとの差回転はトルクコンバータT/Cにおいて吸収されるため、トルク増幅作用が得られる。
 時刻t7において、クラッチCLの締結が完了したと判断されると、エンジントルク及びモータトルクが共に出力され、車両が発進する。このとき、バリエータCVTが登坂路発進可能変速比G0に変速されているため、エンジントルクを十分に活用した発進が可能となり、登坂路であってもスムーズに発進できる。
[0053]
 図6は実施例1のクラッチによる強制ダウンシフト作用を表すタイムチャートである。初期の走行状態はHEVモードでアクセルペダルを離し始めている状態である。
 時刻t11において、アクセルペダルが完全に解放されるとAPOがゼロとなり、モータトルクTmもゼロとなって車速VSPの減少を開始する。これに伴い、モータ回転数Nmotも低下し始める。
 時刻t12において、ブレーキペダルが踏み込まれると、回生制動を行うための準備としてクラッチCLを解放する。
 時刻t13において、HEVモードからEVモードへのモード遷移許可がなされると、エンジン1の燃料噴射を停止すると共に、モータトルクTmは回生トルクを発生する。
[0054]
 時刻t14において、車速VSPがVSP1以上であって、車両が登坂路にあると判定されると、登坂路を走行中と判断して勾配フラグがONとされると共にクラッチCLの締結が開始される。これにより、駆動輪5の回転数によってプライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecが上昇し、変速比Gも登坂路発進可能変速比G1に向けて変速を開始する。クラッチCLの締結初期はプーリ比が高変速比であるためセカンダリプーリ回転数Nsecがプライマリプーリ回転数Npriよりも高いが、クラッチCLの締結が終了する後期では、登坂路発進可能変速比G1に近づくにつれてプライマリプーリ回転数Npriがセカンダリプーリ回転数Nsecよりも高くなる。尚、バリエータCVT等の回転数上昇に伴うフリクションによるロストルクが発生することから、電動モータ2による回生トルクは0とされ、必要な摩擦ブレーキによる制動力が与えられる。
[0055]
 時刻t15において、バリエータCVTの変速比Gが登坂路発進可能変速比G1に到達したと判定されると、現時点ではEVモードが選択されていることからクラッチCLの解放を行う。これにより、エンジン回転数Ne,プライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecはいずれも回転数が低下する。
 時刻t16において、運転者が減速意図から加速意図に変更(チェンジマインド)されると、ブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み替えに伴い、ブレーキペダルが解放されるとコースト走行状態となる。
 時刻t17において、アクセルペダルが踏み込まれると、エンジン1が始動される。これにより、エンジン回転数Neが立ち上がり、トルクコンバータT/Cを介してプライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecが立ち上がり、エンジントルク及びモータトルクが共に出力される。まだクラッチCLは締結していないため、エンジントルクは駆動輪5に伝達されず、モータトルクのみによって車両は緩やかに加速を開始する。
 時刻t171において、クラッチCLの締結が開始されると、エンジントルクが駆動輪5に伝達され、更に車両が加速する。このとき、バリエータCVTが登坂路発進可能変速比G1に変速されているため、エンジントルクを十分に活用した再加速が可能となり、登坂路であってもスムーズに加速できる。
 時刻t18において、クラッチCLの締結が完了すると、登坂路発進可能変速比G1によって通常のHEVモードによる走行が行われる。
[0056]
 以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果が得られる。
 (1)エンジン1と、エンジン1の出力軸に結合されたバリエータCVT(無段変速機4)と、バリエータCVTの出力軸に結合されたクラッチと、クラッチの出力軸に結合された駆動輪5と、駆動輪5に結合された電動モータ2と、運転状態に応じてエンジン1及び電動モータ2の出力と、クラッチの締結及び解放と、無段変速機4の変速比とを制御するハイブリッドコントローラ21(制御手段)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両が登坂路にあるか否かを判定するステップS4(登坂路判定手段)を備え、ハイブリッドコントローラ21は、クラッチCLを解放し、エンジン1を停止して、電動モータ2の駆動力により走行可能なEVモード(電気自動車モード)のときに、車両が登坂路にあると判定されたときは、エンジン1を始動してバリエータCVTを所定の登坂路発進可能変速比G0へ強制ダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
 よって、EVモードで登坂路にあるときに、エンジン1を使用して走行するHEVモードに切り替えられたとしても、バリエータCVTの変速比が登坂路発進可能変速比G0にダウンシフトされているため、エンジン1の駆動力を十分に駆動輪に伝達することが可能となり、安定して走行することができる。
[0057]
 (2)ハイブリッドコントローラ21は、EVモードによる走行中に、車両が登坂路にあると判定されたときは、クラッチCLを締結してバリエータCVTを所定の登坂路発進可能変速比G1へダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
 よって、エンジン1を再始動することなくバリエータCVTを登坂路発進可能変速比G1にダウンシフトすることが可能となり、燃費を向上できる。また、EVモードで登坂路を走行中に、チェンジマインドによって再加速要求がなされ、エンジン1を使用して走行するHEVモードに切り替えられたとしても、バリエータCVTの変速比が登坂路発進可能変速比G0にダウンシフトされているため、エンジン1の駆動力を十分に駆動輪に伝達することが可能となり、安定して走行することができる。
[0058]
 (3)ハイブリッドコントローラ21は、強制ダウンシフト中に運転者が発進を要求したときは、強制ダウンシフトの完了後、クラッチCLを締結して発進することを特徴とする車両の制御装置。
 すなわち、運転者の発進要求があったからといって強制ダウンシフト中にクラッチCLを締結してしまうと、バリエータCVTが登坂路発進可能変速比G0よりもHigh側にある状態で発進することとなり、発進できないおそれがある。そこで、強制ダウンシフトを優先することで、強制ダウンシフト中におけるクラッチ締結に伴う発進性の悪化を回避できる。
[0059]
 (4)ハイブリッドコントローラ21は、バリエータCVTの変速比が登坂路発進可能変速比GoもしくはG1よりもロー側のときは強制ダウンシフトを禁止することを特徴とする車両の制御装置。
 これにより、無駄なダウンシフト制御を行う必要が無く、エンジン再始動等に伴う燃費悪化を回避できる。
[0060]
 (他の実施例)
 以上、本願発明を各実施例に基づいて説明したが、上記構成に限られず、他の構成であっても本願発明に含まれる。実施例ではスタータモータ3によりエンジン再始動を行う構成を示したが、他の構成であっても構わない。具体的には、近年、アイドリングストップ機能付き車両であって、オルタネータをモータ・ジェネレータに置き換え、このモータ・ジェネレータにオルタネータ機能を加えてエンジン始動機能を付加することにより、アイドリングストップからのエンジン再始動時に、スタータモータではなく、このモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う技術が実用化されている。本願発明も上記のようなモータ・ジェネレータによりエンジン再始動を行う構成としてもよい。
[0061]
 また、実施例では、モードマップ内での判断に関し、縦軸の負の領域についてブレーキスイッチ26のONもしくはOFFに基づいて判断したが、これに限定されるものではなく、ブレーキペダル16のストロークセンサの出力値に基づいて判断する、もしくはマスタシリンダ圧等を検出するブレーキ液圧センサの出力値に基づいて判断するようにしてもよい。

請求の範囲

[請求項1]
 エンジンと、
 前記エンジンの出力軸に結合された無段変速機と、
 前記無段変速機の出力軸に結合されたクラッチと、
 前記クラッチの出力軸に結合された駆動輪と、
 前記駆動輪に結合されたモータと、
 運転状態に応じて前記エンジン及び前記モータの出力と、前記クラッチの締結及び解放と、前記無段変速機の変速比とを制御する制御手段と、
 を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
 車両が登坂路にあるか否かを判定する登坂路判定手段を備え、
 前記制御手段は、前記クラッチを解放し、前記エンジンを停止して、前記モータの駆動力により走行可能な電気自動車モードのときに、車両が登坂路にあると判定されたときは、前記エンジンを始動して前記無段変速機を所定の登坂路発進可能変速比へ強制ダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
[請求項2]
 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
 前記制御手段は、前記電気自動車モードによる走行中に、車両が登坂路にあると判定されたときは、前記クラッチを締結して前記無段変速機を所定の登坂路発進可能変速比へダウンシフトすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
[請求項3]
 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
 前記制御手段は、前記強制ダウンシフト中に運転者が発進を要求したときは、前記強制ダウンシフトの完了後、前記クラッチを締結して発進することを特徴とする車両の制御装置。
[請求項4]
 請求項1ないし3いずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
 前記制御手段は、前記無段変速機の変速比が前記所定の登坂路発進可能変速比よりもロー側のときは前記強制ダウンシフトを禁止することを特徴とする車両の制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]