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1. (WO2015140983) 非水電解質電池用活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質二次電池、電池パック及び非水電解質電池用活物質の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 非水電解質電池用活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質二次電池、電池パック及び非水電解質電池用活物質の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

符号の説明

0095  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1  *   2   3   4   5   6   7   8   9  

条約第19条(1)に基づく説明書

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 非水電解質電池用活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質二次電池、電池パック及び非水電解質電池用活物質の製造方法

技術分野

[0001]
 実施形態は、非水電解質電池用活物質、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池、電池パック及び非水電解質電池用活物質の製造方法に係わる。

背景技術

[0002]
 近年、急速なエレクトロニクス機器の小型化技術の発達により、種々の携帯電子機器が普及しつつある。そして、これら携帯電子機器の電源である電池にも小型化が求められており、高エネルギー密度を持つ非水電解質二次電池が注目を集めている。
 特に、シリコン、スズなどのリチウムと合金化する元素、非晶質カルコゲン化合物などリチウム吸蔵容量が大きく、密度の高い物質を用いる試みがなされてきた。中でもシリコンはシリコン原子1に対してリチウム原子を4.4の比率までリチウムを吸蔵することが可能であり、質量あたりの負極容量は黒鉛質炭素の約10倍となる。しかし、シリコンは、充放電サイクルにおけるリチウムの挿入脱離に伴う体積の変化が大きく活物質粒子の微粉化などサイクル特性に問題があった。
[0003]
 発明者らは鋭意実験を重ねた結果、微細な一酸化珪素と炭素質物とを複合化し焼成した活物質において、微結晶珪素が珪素と強固に結合する酸化珪素に包含または保持された状態で炭素質物中に分散した活物質を得られ、高容量化およびサイクル特性の向上を達成できることを見出した。しかしながら、このような活物質においても数百回の充放電サイクルを行うと容量が低下し、長期間の使用にはサイクル特性が不十分である。
 これに対し、発明者らは上記炭素質物の性質がサイクル特性に大きな影響を及ぼすという考えにいたり、炭素質物を別の物質に代替することを検討した。このような物質は、導電性を有しつつ、上記のような微結晶珪素を含有する粒子を内部に分散させられる物質であることが求められる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2004-178917号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 実施形態は、サイクル特性に優れた活物質を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 実施形態の活物質は、MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、M-O-C混合体を含む被覆物と、被覆物中にMの元素を含む粒子とを含む複合体であり、Mの元素を含む粒子は、Mの元素又はMの元素を含む合金を含み、M-O-C混合体は、少なくともM、O、Cの3元素を含み、0.6≦M/O≦5(モル比)と0.002≦M/C≦0.1(モル比)を同時に満たす点がある。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 実施形態(実施例1)の活物質の断面の透過型電子顕微鏡による撮影画像である。
[図2] 実施形態の活物質の製造方法のプロセスフロー図である。
[図3] 実施形態の電極の概念図である。
[図4] 実施形態の非水電解質二次電池の概念図である。
[図5] 実施形態の非水電解質二次電池の拡大概念図である。
[図6] 実施形態の電池パックの概念図である。
[図7] 電池パックの電気回路を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0008]
(第1実施形態)
 第1実施形態の活物質は、MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、M-O-C混合体を含む被覆物と、被覆物中にMの元素を含む粒子とを含む複合体である。以下、実施形態の説明として、負極に用いる活物質として説明するが、実施形態の活物質は正極にも用いることができる。また、活物質を用いた電極は、非水電解質二次電池に用いるものとして説明するが、実施形態の活物質を用いた電極は、様々な電池に用いることができる。
[0009]
 M-O-C混合体(Si-O-C、Sn-O-C、Al-O-C、Ti-O-C)は、少なくともM、O、Cの3元素を含む。Mは、Si、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素である。M-O-C混合体は化合物ではなく、MとOとCの3種類の元素が原子状で混合した物質を含む。M-O-C混合体は、Mの元素を含む粒子の周囲に存在していることが好ましい。M-O-C混合体は、原子状で混合した形態であるため、電池の充放電に伴う体積変化に伴う応力を緩和することで、サイクル特性の向上に寄与すると考えられる。以下、Mの元素として、Siを例に説明する。なお、MがSn、AlまたはTiもしくは、Si、Sn、AlとTiの中から選ばれる2種以上の元素であっても、Siと共通する内容については、MがSi以外の元素についての説明を省略する。
[0010]
 Si-O-C混合体は珪素含有粒子との親和性が高く、炭素質物での被覆と比較してサイクル特性が高くなりやすい。
[0011]
 たとえば珪素含有粒子がSi-O-C混合体を含まない炭素質物中に分散した負極活物質では、珪素含有粒子を微小な珪素酸化物とともに炭素質物中に分散させると、珪素含有粒子部分を除く炭素質物部分は化合物の形態としてSi、O、Cの3種類の元素を含むことになる。しかし、この場合は実施形態のような効果は得られない。この理由は以下のように説明される。珪素が充放電の過程において大きな体積変化を生じ、それによる応力が珪素含有粒子の周囲を覆う部分に及ぼされるとき、周囲を覆う部分の不均一性が高いと、応力による負荷が局所的に集中しやすくなり、負極活物質の破壊が進みやすくなるのである。したがって、珪素含有粒子の周囲を覆う物質は、実施形態のように原子レベルで混合した混合体であることが適している。
[0012]
 珪素含有粒子の周囲の物質がSi-O-C混合体であることは、実施形態の負極活物質を具備する負極を作成し、作製した負極をイオンミリング法で薄片化した後、エネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX(TEM:Transmission Electron Microscope、EDX:Energy Dispersive X-ray Spectrometry))を用いることにより確認できる。具体的には、TEMによる負極活物質内部の観察で珪素含有粒子と珪素含有粒子以外の部分を把握し、EDXにより珪素含有粒子以外の部分に対し点分析での元素組成分析を行う。図1に負極活物質のTEM画像を示す。図1に見られるように、珪素含有粒子は濃い色で示され、珪素含有粒子以外の部分は薄い色で示される。分析条件は、たとえば加速電圧が200kV、ビーム径は約1nmが適している。分析の結果、珪素含有粒子以外の部分で少なくともSi、O、Cの3元素を含む点があれば、その部分はSi-O-C混合体であると判定する。
[0013]
 実際には図1に丸印で示したように、珪素含有粒子以外の少なくとも3点ほどを調べ、Si、O、Cの3元素を含む点があるか確認することが望ましい。このようにすることで、撮影画像のコントラスト調整がうまくいかず珪素含有粒子の部分を測定点として選択する間違いを避けることができる。3点の選択については、図1に示すように接触せず隣り合った2つの珪素含有粒子に挟まれた真ん中付近の3点を選んでもよいし、接触せず隣り合った2つの珪素含有粒子の組みを異なる場所で3組み選び、各組みで1点ずつ珪素含有粒子に挟まれた真ん中の点を選んでもよい。
[0014]
 実施形態のSi-O-C混合体は、体積変化による応力を緩和する観点から、Siの割合は、サイクル特性が向上する効果を得るのに十分な量であり、かつ、Si原子の充放電による体積変化の影響が顕著にならない範囲である。すなわち、Si-O-C混合体は、0.6≦Si/O≦5(モル比)と0.002≦Si/C≦0.1(モル比)の両方を満たすことが好ましい。Si/Oは、0.8≦Si/O≦4.5(モル比)を満たすことがより好ましい。Si/Cは、0.004≦Si/C≦0.091(モル比)を満たすことがより好ましい。なお、Si/OおよびSi/Cは、上記のSi-O-C混合体か否かの判定と同じ方法で行い、分析の結果からSi、O、Cの比を算出する。Si/OとSi/Cの好ましい範囲において、Mの元素が2種類以上の場合は、各元素の和が上記範囲を満たすことが好ましい。
[0015]
 Si/O(モル比)が0.6より小さい場合、混合体がSi原子を含有する効果が充分に得られず、サイクル特性が向上する効果が得られない。一方、Si/O(モル比)が5より大きい場合、Si-O-C混合体中のSiが充放電を起こすことにより局所的な体積変化が生じる影響が大きくなり、サイクル特性が向上する効果が得られない。
[0016]
 また、Si/C(モル比)が0.002より小さい場合、混合体がSi原子を含有する効果が充分に得られず、サイクル特性が向上する効果が得られない。一方、Si/C(モル比)が0.1より大きい場合、Si-O-C混合体中のSiが充放電を起こすことにより局所的な体積変化が生じる影響が大きくなり、サイクル特性が向上する効果が得られない。
[0017]
 Si/OおよびSi/Cの測定において、測定点数についても上記のSi-O-C混合体の判定と同じように、珪素含有粒子以外の少なくとも3点ほどを調べることが望ましく、それらの平均値をもって判断することがより好ましい。なお、TEM観察において、Si-O-C混合体中に結晶格子あるいは珪素含有粒子同様の濃い色を示す物質が微小な領域で観察されることもある。これは、原料混合時に珪素含有粒子もしくはその前駆体となる物質の一部が粉砕もしくは剥離され分離したものであり、この点を上記の測定点に含めると、平均値が大きく変わることになる。そのため、3点あるいはそれ以上の点を測定したときに、Si/OおよびSi/Cの両方が上記の範囲内となる点が1点以上含まれるにも関わらず、Si/OあるいはSi/Cが上記の範囲外となる点が1点以上含まれる場合、上記の範囲外となる点の測定点を替え、再度測定を行う。
[0018]
 Si-O-Cの化合物を負極活物質中に含む場合、化合物は、充放電反応を担う活物質として機能する。この場合、充放電容量のためにSi-O-Cの化合物中のSi含有率が高くなり、上述の実施形態の比率を満たさない。
[0019]
 実施形態のSi-O-C混合体は非晶質であることが望ましい。Si-O-C混合体が非晶質であることは、TEM画像で結晶格子が現れていないことにより判別することができる。なお、Si-O-C混合体中に結晶格子が微小な領域で観察されることもある。これは、原料混合時に珪素含有粒子もしくはその前駆体となる物質の一部が粉砕もしくは剥離され分離したものであり、Si-O-C混合体とは別の物質として扱う。
[0020]
 被覆物は、炭素質物を更に含んでも良い。被覆物に炭素質物を含む場合、炭素質物とSi-O-C混合体は、混合されている。炭素質物としては、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン、アモルファス炭素、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブとカーボンブラックからなる群から選ばれる1種類以上を用いることができる。これらは、活物質の導電性を高めたり、あるいは活物質の内部骨格として充放電時に活物質粒子が変形するのを抑制しやすくする点で好ましい。
[0021]
 実施形態の負極活物質に含まれる珪素含有粒子は、珪素又は珪素を含む合金を含み、さらに、ケイ素酸化物を含んでもよい。珪素含有粒子には、結晶質珪素を含むことが好ましい。珪素含有粒子として、例えば、炭素質物中に酸化ケイ素相と、酸化ケイ素相中のケイ素相を含む形態や、炭素質物中にケイ素粒子を酸化ケイ素と炭化ケイ素で被覆した複合体を含む形態などが挙げられる。被覆物に対する珪素含有粒子の体積比は、0.33より大きく2.5より小さいことが望ましい。0.33より小さいと電池としての容量で黒鉛質炭素との差が得にくくなり、2.5より大きいとサイクル特性が低くなり実用に適さなくなる。
[0022]
 また、Li SiO などのリチウムシリケートが、被覆物中、酸化珪素の表面、内部に分散されていてもよい。たとえば前記負極活物質とリチウム塩を混合して熱処理を行うことにより、酸化珪素とリチウム塩の反応を起こしリチウムシリケートを形成させることができる。リチウム塩としては、水酸化リチウム、酢酸リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウムなどがある。被覆物中には、他の添加物が含まれていても良い。
[0023]
(製造方法)
 次に、負極活物質の製造方法について説明する。活物質の製造方法は、MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、少なくともMを含む粒子と、、少なくともM原子およびO原子を含む化合物とを分散媒を用いて液相中で混合し、乾燥・固化後に焼成する。この手順を図2のプロセスフロー図に示す。負極活物質は、負極活物質材料と、少なくともSi原子およびO原子を含む化合物(少なくともM原子およびO原子を含む化合物)と必要に応じて上述の炭素質物の炭素前駆体を分散媒を用いて液相中で混合し、混合物を乾燥・固化後に焼成することで作製される。上述の炭素質物を更に混合してもよい。
[0024]
 負極活物質材料として、少なくとも珪素を含む粒子を用いる。具体的な負極活物質材料は、例えば、SiO (0.8≦X≦1.5)微粒子や、ケイ素とSiO の混合粉末を原料とし、これを急加熱し、急冷却して製造した微粒子が好ましい。これらの微粒子の平均一次粒径は、例えば、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。MにSn、Al又はTiを用いる又は含む場合は、例えば、少なくともSn、Al又はTiの金属微粒子をMの酸化物で被覆した複合体を用いることができる。
[0025]
 少なくともSi原子およびO原子を含む化合物としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチルのようなアルコキシド類(アルコキシド化合物)を挙げることができる。また、MにSn、Al又はTiを用いる又は含む場合は、それぞれ、少なくともSn、Al又はTi原子およびO原子を含む化合物としては、例えば、テトラ-i-プロポキシスズ、トリ―i―プロポキシアルミニウム、テトラ-i-プロポキシチタンなどの化合物(アルコキシド化合物)を挙げることができる。
[0026]
 炭素前駆体としては、液体であり容易に重合可能なモノマーあるいはオリゴマーなどの有機化合物を挙げられる。例えば、フラン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂またはこれらのモノマーが挙げられる。具体的なモノマーとしては、フルフリルアルコール、フルフラール、フルフラール誘導体等のフラン化合物が挙げられ、モノマーは複合化材料の混合物中で重合させて用いる。重合させる方法は炭素前駆体により異なるが、塩酸、酸無水物を加える、あるいは加熱するなどすればよい。また、スクロース、アスコルビン酸、クエン酸のような固体粉末も炭素前駆体として用いることができる。被覆物に炭素質物を含まない負極活物質を製造する場合は、炭素質物や炭素前駆体は必要ではない。
[0027]
 分散媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、N-メチルピロリドン、オレイン酸あるいはリノール酸等の脂肪酸を挙げることができ、分散媒を用いて混合を行う物質と反応しない液体であることが望ましい。分散媒を用いた混合法としては、固相に対する液相の量が少ない固練り法でも良いし、あるいは固相に対する液相の量が多い混合攪拌法でも良い。混合撹拌法は例えば各種攪拌装置、ボールミル、ビーズミル装置およびこれらの組み合わせにより行うことができる。また、混合プロセスの一部で加熱しながら混合を行ってもよい。加熱混合により生成したSi-O-C混合体と珪素含有粒子の結着性をさらに高めることができる。このような加熱混合としては、たとえば密閉された容器中に混合物を入れ、50℃以上100℃以下の温度で加熱しながら、撹拌子で撹拌する方法が挙げられる。
[0028]
 混合を行った後の混合物は、乾燥・固化を行う。乾燥は、たとえば大気中で静置したり、加熱をすることで行える。固化は、上記のような重合により行える場合もあるし、あるいは乾燥と同時に固化する場合もある。これらの方法は、炭素前駆体の種類により適宜選択する。
[0029]
 乾燥・固化を行った後の固形物は、焼成を行う。焼成は、Ar等の不活性雰囲気下にて加熱を行い、Si-O-C混合体の形成を行う。焼成の好ましい温度は、600℃以上1500℃以下の範囲、さらに好ましくは800℃以上1300℃以下である。温度が下がるほどSi-O-C混合体の形成は不十分となり、温度が上がるほど珪素含有粒子中の珪素相が粒成長を起こす可能性が高くなる。焼成時間は、1時間から12時間の間であることが好ましい。
[0030]
 なお、複合化処理によって得られた粒子に炭素被覆を行ってもよい。被覆に用いる材料としては、ピッチ、樹脂、ポリマーなど不活性雰囲気下で加熱されて炭素質物となるものを用いることが出来る。具体的には石油ピッチ、メソフェーズピッチ、フラン樹脂、セルロース、ゴム類など1200℃程度の焼成でよく炭化されるものが好ましい。被覆方法は、モノマー中に複合体粒子を分散した状態で重合し固化したものを炭化焼成に供する。または、ポリマーを溶媒中に溶解し、複合体粒子を分散したのち溶媒を蒸散し得られた固形物を炭化焼成に供する。また、炭素被覆に用いる別の方法としてCVDによる炭素被覆を行うこともできる。この方法は800℃以上1000℃以下に加熱した試料上に不活性ガスをキャリアガスとして気体炭素源を流し、試料表面上で炭化させる方法である。この場合、炭素源としてはベンゼン、トルエン、スチレンなどを用いることができる。また、CVDによる炭素被覆を行った際、試料は800℃以上1000℃以下で加熱されるため、炭化焼成と同時に行ってもよい。
 この炭素被覆の際にリチウム化合物およびSiO 源を同時に添加してもよい。
[0031]
 負極活物質は、Liの挿入脱離をする粒子であり、平均一次粒径は1μm以上80μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であるいことがより好ましい。活物質の粒径はリチウムの挿入脱離反応の速度に影響し、負極特性に大きな影響をもつが、この範囲の値であれば安定して特性を発揮することができる。なお、活物質の平均一次粒径は、負極活物質をSEMで観察し、得られた画像で無作為に選んだ10以上の活物質のそれぞれに対し、無作為に選んだ10の方向のサイズの平均値を算出したものである。
[0032]
 また、活物質粒子の構造の保持および珪素含有粒子の凝集を防ぐために、活物質中に、ジルコニア又は安定化ジルコニアを含むことが好ましい。珪素含有粒子の凝集を防ぐことで、サイクル特性が向上するという利点がある。
[0033]
 実施形態の非水電解質二次電池を説明する。非水電解質二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された活物質を含む負極と、外装材内に充填された非水電解質とを具備する。
[0034]
(第2実施形態)
 第2実施形態に係る非水電解質電池用電極は、集電体と、集電体上に、炭素質物と炭素質物中に金属を含む複合体を含む活物質と結着剤を含有する負極合剤層とを有するものである。以下、負極を例に実施形態の電極について説明するが、正極に実施形態の電極を用いてもよい。また、以下の説明では、非水電解質二次電池を例に実施形態を説明するが、実施形態の電極を様々な電池に用いることができる。
[0035]
 図3の概念図に示すように、第2実施形態の負極100は、負極合剤層101と集電体102とを含む。負極合剤層101は集電体102上に配置された、活物質を含む合剤の層である。負極合剤層101は、負極活物質103と、導電材104と結着剤105とを含む。結着剤105は、負極合剤層101と集電体を接合する。
[0036]
 負極合剤層101の厚さは1.0μm以上150μm以下の範囲であることが望ましい。従って負極集電体102の両面に担持されている場合は負極合剤層101の合計の厚さは2.0μm以上300μm以下の範囲となる。片面の厚さのより好ましい範囲は30μm以上100μm以下である。この範囲であると大電流放電特性とサイクル特性は大幅に向上する。
[0037]
 負極合剤層101の負極活物質103、導電剤104および結着剤105の配合割合は、負極活物質103が57質量%以上95質量%以下、導電剤104が3質量%以上20質量%以下、結着剤105が2質量%以上40質量%以下の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル特性を得られるために好ましい。
[0038]
 実施形態の集電体102は、負極合剤層101と結着する導電性の部材である。集電体102としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレスまたはニッケルから形成することができる。集電体の厚さは5μm以上20μm以下であることが望ましい。この範囲内であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
[0039]
 実施形態の負極活物質は、炭素質物及び炭素質物中に金属を少なくとも含む複合体であることが、サイクル特性と容量特性の観点から好ましい。負極活物質の炭素質物中には、金属と金属酸化物とを含む複合体や、金属と金属酸化物と金属の炭化物とを含む複合体を少なくとも含むことが好ましい。金属は合金でもよい。負極活物質の平均一次粒径は、例えば、0.5μm以上50μm以下である。
[0040]
 金属および金属酸化物が、Si、Sn、Al、In、Ga、Pb、Ti、Ni、Mg、W、Mo、およびFeからなる群より選択される元素、選択された元素を含む合金、選択された元素の酸化物と選択された元素を含む酸化物の内から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの金属や酸化物を用いることで、高容量の負極活物質が得られる。以下、説明の簡略化のため金属及び金属酸化物をケイ素及び酸化ケイ素と仮定して説明する。合金には、選択された元素以外の金属が含まれていてもよい。
[0041]
 負極活物質の具体例としては、炭素質物中に酸化ケイ素相と、酸化ケイ素相中のケイ素相を含む形態や、炭素質物中にケイ素粒子を酸化ケイ素と炭化ケイ素で被覆した複合体を含む形態などが挙げられる。
[0042]
 負極活物質103の炭素質物は、導電性であり、活物質を形作る。炭素質物としては、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン、アモルファス炭素とアセチレンブラックからなる群から選ばれる1種類以上を用いることができる。炭素質物は、1つ又は数種から構成することが出来る。サイクル特性に優れた電極を得る観点から、高強度の炭素質物が好ましい。高強度の炭素質物としては、ハードカーボンを含むものが好ましい。
[0043]
 また、炭素質物中には、構造の保持及びケイ素や酸化ケイ素の凝集を防ぎ、また、導電性の向上を目的として炭素繊維が含まれていてもよい。この炭素繊維の平均直径は、10nm以上1000nm以下が好ましい、炭素繊維の含有量は、多すぎると電池容量が減少してしまうため負極活物質中に5質量%以下含まれることが好ましい。
[0044]
 次に、負極の製造方法について説明する。まず、負極活物質103、導電剤104及び結着剤105を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製する。スラリーを集電体102に塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより負極100が作製される。プレスの圧力によって、集電体102への負極活物質103の埋め込みを調節することができる。0.2kN/cmより低い圧力でのプレスでは、埋め込みがあまり生じないため好ましくない。また、10kN/cmより高い圧力でプレスを行うと、負極活物質103や集電体102が割れる等の破損が生じるため好ましくない。従って、スラリーを乾燥させた層のプレス圧力は、0.5kN/cm以上5kN/cm以下が好ましい。
[0045]
 第3実施形態に係る非水電解質二次電池を説明する。
 第実施形態に係る非水電解質二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された活物質を含む負極と、外装材内に充填された非水電解質とを具備する。
[0046]
 実施形態に係る非水電解質二次電池200の一例を示した図4の概念図を参照してより詳細に説明する。図4は、袋状外装材202がラミネートフィルムからなる扁平型非水電解質二次電池200の断面概念図である。
[0047]
 扁平状の捲回電極群201は、2枚の樹脂層の間にアルミニウム箔を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装材202内に収納されている。扁平状の捲回電極群201は、一部を抜粋した概念図である図5に示すように、負極203、セパレータ204、正極205、セパレータ204の順で積層されている。そして積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成されたものである。袋状外装材202に最も近い電極は負極であり、この負極は、袋状外装材202側の負極集電体には、負極合剤が形成されておらず、負極集電体の電池内面側の片面のみに負極合剤を形成した構成を有する。その他の負極203は、負極集電体の両面に負極合剤を形成して構成されている。正極205は、正極集電体の両面に正極合剤層を形成して構成されている。
[0048]
 捲回電極群201の外周端近傍において、負極端子は最外殻の負極203の負極集電体に電気的に接続され、正極端子は内側の正極205の正極集電体に電気的に接続されている。これらの負極端子206及び正極端子207は、袋状外装材202の開口部から外部に延出されている。例えば液状非水電解質は、袋状外装材202の開口部から注入されている。袋状外装材202の開口部を負極端子206及び正極端子207を挟んでヒートシールすることにより捲回電極群201及び液状非水電解質を密封している。
[0049]
 負極端子206は、例えばアルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子206は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料であることが好ましい。
 正極端子207は、リチウムイオン金属に対する電位が3~4.25Vの範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子207は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料であることが好ましい。
[0050]
 以下、非水電解質二次電池200の構成部材である袋状外装材202、正極205、電解質、セパレータ204について詳細に説明する。
[0051]
1)袋状外装材202
 袋状外装材202は、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルムから形成される。或いは、外装材は厚さ1.0mm以下の金属製容器が用いられる。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましい。
[0052]
 袋状外装材202の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、及びボタン型から選択できる。外装材の例には、電池寸法に応じて、例えば携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装材、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用外装材などが含まれる。
[0053]
 ラミネートフィルムは、樹脂層間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装材の形状に成形することができる。
[0054]
 金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属が含まれる場合、その量は100質量ppm以下にすることが好ましい。
[0055]
2)正極205
 正極205は、活物質を含む正極合剤層が正極集電体の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
 前記正極合剤層の片面の厚さは1.0μm以上150μm以下の範囲であることが電池の大電流放電特性とサイクル特性の向上の点から望ましい。従って正極集電体の両面に担持されている場合は正極合剤層の合計の厚さは20μm以上300μm以下の範囲となることが望ましい。片面のより好ましい範囲は30μm以上120μm以下である。この範囲であると大電流放電特性とサイクル特性は向上する。
 正極合剤層は、正極活物質と正極活物質同士を結着する結着剤の他に導電剤を含んでいてもよい。
[0056]
 正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiCOO )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiNi 0.8CO 0.2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn 、LiMnO )を用いると高電圧が得られるために好ましい。
[0057]
 導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
[0058]
 結着材の具体例としては例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
[0059]
 正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80質量%以上95質量%以下、導電剤3質量%以上20質量%以下、結着剤2質量%以上7質量%以下の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル特性を得られるために好ましい。
[0060]
 集電体としては、多孔質構造の導電性基板かあるいは無孔の導電性基板を用いることができる。集電体の厚さは5μm以上20μm以下であることが望ましい。この範囲であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
[0061]
 正極205は、例えば活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。正極205はまた活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して正極層とし、これを集電体上に形成することにより作製されてもよい。
[0062]
3)負極203
 負極203は、第2実施形態の電極を使用することができる。
[0063]
4)電解質
 電解質としては非水電解液、電解質含浸型ポリマー電解質、高分子電解質、あるいは無機固体電解質を用いることができる。
 非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液で、電極群中の空隙に保持される。
[0064]
 非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)とPCやECより低粘度である非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
[0065]
 第2溶媒としては、例えば鎖状カーボンが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ-ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)等が挙げられる。これらの第2溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、第2溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
[0066]
 第2溶媒の粘度は、25℃において2.8cmp以下であることが好ましい。混合溶媒中のエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で1.0%以上80%以下であることが好ましい。より好ましいエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20%以上75%以下である。
[0067]
 非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO )、六弗化リン酸リチウム(LiPF )、ホウ弗化リチウム(LiBF )、六弗化砒素リチウム(LiAsF )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF SO )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF SO ]等のリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でもLiPF 、LiBF を用いるのが好ましい。
 電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下とすることが望ましい。
[0068]
5)セパレータ204
 非水電解液を用いる場合、および電解質含浸型ポリマー電解質を用いる場合においてはセパレータ204を用いることができる。セパレータ204は多孔質セパレータを用いる。セパレータ204の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ弗化ピニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため好ましい。
[0069]
 セパレータ204の厚さは、30μm以下にすることが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータ204の強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値は1.0μmにすることがより好ましい。
 セパレータ204は、120℃の条件で1時間おいたときの熱収縮率が20%以下であることが好ましい。熱収縮率が20%を超えると、加熱により短絡が起こる可能性が大きくなる。熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
[0070]
 セパレータ204は、多孔度が30%以上70%以下の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータ204において高い電解質保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が70%を超えると十分なセパレータ204強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35%以上70%以下である。
[0071]
 セパレータ204は、空気透過率が500秒/100cm 以下であると好ましい。空気透過率が500秒/100cm を超えると、セパレータ204において高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、30秒/100cm である。空気透過率を30秒/100cm 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。
 空気透過率の上限値は300秒/100cm にすることがより好ましく、また、下限値は50秒/100cm にするとより好ましい。
[0072]
(第3実施形態)
 次に、第3実施形態に係る電池パックを説明する。
 第3実施形態に係る電池パックは、上記第2実施形態に係る非水電解質二次電池(即ち、単電池)を一以上有する。電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列と並列に接続して配置される。
 図6の概念図及び図7のブロック図を参照して電池パック300を具体的に説明する。図6に示す電池パック300では、単電池301として図4に示す扁平型非水電解質電池200を使用している。
[0073]
 複数の単電池301は、外部に延出した負極端子302及び正極端子303が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ304で締結することにより組電池305を構成している。これらの単電池301は、図7に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
[0074]
 プリント配線基板306は、負極端子302及び正極端子303が延出する単電池301側面と対向して配置されている。プリント配線基板306には、図7に示すようにサーミスタ307、保護回路308及び外部機器への通電用端子309が搭載されている。なお、組電池305と対向するプリント配線基板306の面には組電池305の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
[0075]
 正極側リード310は、組電池305の最下層に位置する正極端子303に接続され、その先端はプリント配線基板306の正極側コネクタ311に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード312は、組電池305の最上層に位置する負極端子302に接続され、その先端はプリント配線基板306の負極側コネクタ313に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ311、313は、プリント配線基板306に形成された配線314、315を通して保護回路308に接続されている。
[0076]
 サーミスタ307は、単電池305の温度を検出するために用いられ、その検出信号は保護回路308に送信される。保護回路308は、所定の条件で保護回路308と外部機器への通電用端子309との間のプラス側配線316a及びマイナス側配線316bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ307の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池301の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池301もしくは単電池301全体について行われる。個々の単電池301を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池301中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5及び図6の場合、単電池301それぞれに電圧検出のための配線317を接続し、これら配線317を通して検出信号が保護回路308に送信される。
[0077]
 正極端子303及び負極端子302が突出する側面を除く組電池305の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート318がそれぞれ配置されている。
 組電池305は、各保護シート318及びプリント配線基板306と共に収納容器319内に収納される。すなわち、収納容器319の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート318が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板306が配置される。組電池305は、保護シート318及びプリント配線基板306で囲まれた空間内に位置する。蓋320は、収納容器319の上面に取り付けられている。
[0078]
 なお、組電池305の固定には粘着テープ304に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
[0079]
 図5、図6では単電池301を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても、または直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。組み上がった電池パックをさらに直列、並列に接続することもできる。
 以上記載した本実施形態によれば、上記第3実施形態における優れた充放電サイクル性能を有する非水電解質二次電池を備えることにより、優れた充放電サイクル性能を有する電池パックを提供することができる。
[0080]
 なお、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途は、大電流を取り出したときに優れたサイクル特性を示すものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、高温特性の優れた非水電解質二次電池を用いた電池パックは車載用に好適に用いられる。
 以下に具体的な実施例を挙げ、その効果について述べる。
[0081]
(実施例1)
 次のような条件で実施例1の負極活物質を得た。珪素酸化物として、Sigma-Aldrich社製の一酸化ケイ素粉末(-325mesh)を湿式粉砕で平均一次粒径を約150nmとした粉末を用いた。このようにして得た珪素酸化物粉末4gに、オルトケイ酸テトラエチル2g、フルフリルアルコール5g、グラファイト0.3g、エタノール12gを加え、さらにYSZボール(0.2mm)を入れ、遊星型ボールミルで混合を行った。吸引ろ過法によりYSZボールと分離した液に対し、質量比で塩酸を2、水を2、エタノールを1の比率で混合した液を0.4g加え、室温で1週間放置して乾燥・固化させた。得られた固化物を、Ar雰囲気下1100℃で3時間保持し焼成した。焼成後の物質をメノウ乳鉢で粉砕し、篩い分けにより-45マイクロメートルの負極活物質を得た。
[0082]
 (充放電試験)
 得られた負極活物質に平均径3μmのグラファイト15質量%、ポリイミド8質量%を分散媒としてN-メチルピロリドンを用いて混練し厚さ12μmの銅箔上に塗布して圧延した後、250℃で2時間、Arガス中にて熱処理し、所定のサイズに裁断した後、100℃で12時間、真空乾燥し、試験電極とした。対極および参照極を金属Li、電解液をLiPF (1M)のEC・DEC(体積比EC:DEC=1:2)溶液とした電池をアルゴン雰囲気中で製造し充放電試験を行った。充放電試験の条件は、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm の電流密度で充電、さらに0.01Vで24時間の定電圧充電を行い、放電は1mA/cm の電流密度で1.5Vまで行った。さらに、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm の電流密度で充電、1mA/cm の電流密度で1.5Vまで放電するサイクルを行い、放電容量の推移を測定した。に対し、放電容量が初回の放電容量の80%を維持することができたサイクル数を80%容量維持サイクル数とし、評価を行った。
[0083]
(活物質内部の組成分析)
 実施例1において得られた試験電極について、電極をイオンミリング法で薄片化した後、TEM-EDX法による観察・分析を行い、負極活物質内の珪素酸化物周囲にある物質の元素組成を調べ、Si/OおよびSi/C(モル比)を得た。元素組成は、3点を測定し、その平均とした。測定は日立ハイテクノロジーズ製H-9000NAR(TEM)および日立ハイテクノロジーズ製HF-2000(EDX)を用い、加速電圧200kV、ビーム径は約1nmの条件で行った。
[0084]
 以下の実施例および比較例については実施例1と異なる部分のみ説明し、その他の合成および評価手順については実施例1と同様に行ったので説明を省略する。
[0085]
(実施例2)
 オルトケイ酸テトラエチルを1.5g用いること以外は実施例1と同じ方法で、実施例2の負極活物質を作製した。
[0086]
(実施例3)
 オルトケイ酸テトラエチルを12g用いること以外は実施例1と同じ方法で、実施例3の負極活物質を作製した。
[0087]
(実施例4)
 次のような条件で実施例4の負極活物質を得た。平均一次粒径22nmのナノサイズ珪素粉末1.2gに、オルトケイ酸テトラエチル2g、フルフリルアルコール5g、エタノール20gを加え、さらにYSZボール(0.2mm)を入れ、遊星型ボールミルで混合を行った。吸引ろ過法によりYSZボールと分離した液に対し、質量比で塩酸を2、水を2、エタノールを1の比率で混合した液を1.0g加え、ガラス容器中に混合物および撹拌子を入れ密閉した後、80℃に加熱しながら7時間、スターラ-で撹拌子を回転させ撹拌した。その後、室温で1週間放置して乾燥・固化させた。得られた固化物を、Ar雰囲気下1100℃で3時間保持し焼成した。焼成後の物質をメノウ乳鉢で粉砕し、篩い分けにより-45マイクロメートルの負極活物質を得た。
[0088]
(比較例1)
 オルトケイ酸テトラエチルを用いないこと以外は実施例1と同じ方法で、比較例1の負極活物質を作製した。
[0089]
(比較例2)
 オルトケイ酸テトラエチルを0.8g用いること以外は実施例1と同じ方法で、比較例2の負極活物質を作製した。
[0090]
(比較例3)
 オルトケイ酸テトラエチルを用いないこと以外は実施例4と同じ方法で、比較例3の負極活物質を作製した。
[0091]
 図1に、実施例1のTEM観察結果を示す。濃い色で数100nmの部分が珪素含有粒子である。その周りの薄い色の部分に関し、黒丸で示した3点のEDX測定を行った。その結果、Si/O(モル比)の平均値が1.9、Si/C(モル比)の平均値が0.019であった。一方、図中の四角で示した点をEDXで測定した結果、Si/O(モル比)が0.65、Si/C(モル比)が1.5であった。好適なの範囲外の点も含まれることになるが、すでに述べたように、好適なの範囲内の点も含まれていることから、この範囲外の点は除いて黒丸で示された3点を選んだ。四角で示された点には、珪素含有粒子同様の濃い色を示す物質が微小な領域が見られており、原料混合時に珪素含有粒子もしくはその前駆体となる物質の一部が粉砕もしくは剥離され分離したものが含まれていると考えられ、この点は珪素含有粒子の周囲の物質がSi-O-C混合体であるかどうかの判断に含めない。なお、図1で2つの白丸で示した点をEDXで測定した結果、Si/O(モル比)の平均値が0.81、Si/C(モル比)の平均値が2.4であった。これらは2つの点は珪素含有粒子内部であり、Si-O-C混合体の測定値ではない。実施例2、3、4および比較例1、2、3について同様の観察・測定を行い、それらをまとめた結果を表1に示す。同時に、充放電試験の結果も記載した。
[0092]
[表1]


   ※Si、Oともに検出されなかった。
[0093]
 実施例1、2、3、4は珪素含有粒子の周囲にあるのがSi-O-C混合体であることがわかった。一方、比較例1、3では、C原子のみが検出され、ハードカーボンが珪素含有粒子の周囲にあることがわかった。充放電特性から、一酸化ケイ素を珪素含有粒子の原料とし、Si-O-C混合体が形成された実施例1、2、3では初回放電容量が少し低下するものの、比較例1、2と比較してサイクル特性で大きな向上が見られることがわかった。また、ナノサイズ珪素粒子を珪素含有粒子の原料とし、Si-O-C混合体が形成された実施例4では初回放電容量がほぼ同じであるにも関わらず、比較例3と比較してサイクル特性で大きな向上が見られることがわかった。
[0094]
 以上、実施形態について説明したが、実施形態はこれらに限られず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範疇において様々に変更可能である。また、実施する形態は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。

符号の説明

[0095]
100…非水電解質電池用電極、101…負極合剤層、102…集電体、103…負極活物質、104…導電材、105…結着剤、200…非水電解質二次電池、200…捲回電極群、202…袋状外装材、203…負極、204…セパレータ、205…正極、300…電池パック、301…単電池、302…負極端子、303…正極端子、304…粘着テープ、305…組電池、306…プリント配線基板、307…サーミスタ、308…保護回路、309…通電用端子、310…正極側リード、311…正極側コネクタ、312…負極側リード、313…負極側コネクタ、314…配線、315…配線、316a…プラス側配線、316b…マイナス側配線、317…配線、318…保護シート、319…収納容器、320…蓋

請求の範囲

[請求項1]
 MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、M-O-C混合体を含む被覆物と、被覆物中に前記Mの元素を含む粒子とを含む複合体であり、
 前記Mの元素を含む粒子は、前記Mの元素又は前記Mの元素を含む合金を含み、
 前記M-O-C混合体は、少なくともM、O、Cの3元素を含み、0.6≦M/O≦5(モル比)と0.002≦M/C≦0.1(モル比)を同時に満たす点があることを特徴とする非水電解質電池用活物質。
[請求項2]
 前記M-O-C混合体は、非晶質であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[請求項3]
 前記M-O-C混合体は、前記MとOとCの元素が原子状で混合した混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[請求項4]
 前記被覆部は、炭素質物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[請求項5]
 MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、少なくとも前記Mを含む粒子と、、少なくとも前記M原子およびO原子を含む化合物とを分散媒を用いて液相中で混合し、乾燥・固化後に焼成することを特徴とする請求項1乃至4に記載の非水電解質電池用活物質の製造方法。
[請求項6]
 前記M原子およびO原子を含む化合物は、アルコキシド化合物であることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質電池用活物質の製造方法。
[請求項7]
 集電体と
 前記集電体上に、請求項1乃至4に記載の非水電解質電池用活物質と結着剤を含有する合剤層とを有することを特徴とする非水電解質電池用電極。
[請求項8]
 外装材と、
 前記外装材内に収納された正極と、
 前記外装材内に前記正極と空間的に離間してセパレータを介在して収納された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極を用いた負極と、
 前記外装材内に充填された非水電解質とを具備する非水電解質二次電池。
[請求項9]
 請求項8に記載の非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする電池パック。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2015年7月15日 ( 15.07.2015 )  国際事務局受理 ]

[1]
[補正後] MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、M-O-C混合体を含む被覆物と、被覆物中に前記Mの元素を含む粒子とを含む複合体であり、
 前記Mの元素を含む粒子は、前記Mの元素又は前記Mの元素を含む合金を含み、
 前記M-O-C混合体は、少なくともM、O、Cの3元素を含み、0.6≦M/O≦5(モル比)と0.002≦M/C≦0.1(モル比)を同時に満たす点があり、TEM-EDXで前記複合体の元素組成分析をビーム径1nmで行うと前記M元素を含む粒子以外の部分で少なくともM,O,Cの3元素を含むものであることを特徴とする非水電解質電池用活物質。
[2]
 前記M-O-C混合体は、非晶質であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[3]
 前記M-O-C混合体は、前記MとOとCの元素が原子状で混合した混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[4]
 前記被覆部は、炭素質物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池用活物質。
[5]
 MがSi、Sn、AlとTiの中から選ばれる1種以上の元素であって、少なくとも前記Mを含む粒子と、、少なくとも前記M原子およびO原子を含む化合物とを分散媒を用いて液相中で混合し、乾燥・固化後に焼成することを特徴とする請求項1乃至4に記載の非水電解質電池用活物質の製造方法。
[6]
 前記M原子およびO原子を含む化合物は、アルコキシド化合物であることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質電池用活物質の製造方法。
[7]
 集電体と
 前記集電体上に、請求項1乃至4に記載の非水電解質電池用活物質と結着剤を含有する合剤層とを有することを特徴とする非水電解質電池用電極。
[8]
 外装材と、
 前記外装材内に収納された正極と、
 前記外装材内に前記正極と空間的に離間してセパレータを介在して収納された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極を用いた負極と、
 前記外装材内に充填された非水電解質とを具備する非水電解質二次電池。
[9]
 請求項8に記載の非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする電池パック。


条約第19条(1)に基づく説明書
(1)請求項1において、M-O-C混合体が、TEM-EDXで前記複合体の元素組成分析をビーム径1nmで行うと前記M元素を含む粒子以外の部分で少なくともSi,O,Cの3元素を含むものであるという文言を追加してM-C-O混合体を明確にする補正を行いました。この補正は出願時明細書[0012]等の記載に基づきます。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]