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1. (WO2015140918) 冷媒装置及び冷媒装置用圧縮機
Document

明 細 書

発明の名称 冷媒装置及び冷媒装置用圧縮機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065  

符号の説明

0066  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 冷媒装置及び冷媒装置用圧縮機

技術分野

[0001]
 本発明は、冷媒装置及び冷媒装置用圧縮機に関する。

背景技術

[0002]
 昨今の空気調和装置、ヒートポンプ式給湯機等に使用される冷媒装置においては、地球環境保全のため、環境負荷が小さく高効率な冷媒への転換が求められている。特にCFC( Chloro fluoro carbons)及びHCFC( Hydro chloro fluoro carbons)については、オゾン層破壊や地球温暖化を防止するためHFC( Hydro fluoro carbons)への代替が進められている。今後、空気調和装置の冷媒には、オゾン層破壊に関与せず、地球温暖化リスクが低く、毒性や燃焼性が低く、そして高い動作効率を確保できるものが望まれる。
[0003]
 ルームエアコン、パッケージエアコン等に使用される冷媒としては、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での検討以降、R410Aが注目されている。R410Aは、ジフルオロメタン(HFC32)50質量%とペンタフルオロエタン(HFC125)50質量%との混合物である。
[0004]
 EU(欧州連合)では、カーエアコン用の冷媒で地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential)が150を超えるものについては、2011年1月からその出荷を禁じている。そのため、一般には、地球温暖化係数が2088である前記のR410Aについてもいずれ規制の対象となるのではとの懸念から、その代替冷媒の検討が加速している。また、このような代替冷媒の検討とともに、空気調和装置の圧縮機に使用される冷凍機油の代替冷媒に対する相溶性等についても検討する必要がある。
[0005]
 従来、ジフルオロメタン(HFC32)を含む代替冷媒を使用する際の冷凍機油としては、ポリオールエステルが知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2013-151683号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、従来のポリオールエステルは、ジフルオロメタン(代替冷媒)との相溶性が不十分であるという課題がある。そのため、ジフルオロメタンを、従来のポリオールエステルと組み合せて使用すると、空気調和装置の配管内でポリオールエステルが凝集して圧力低下を引き起こす原因となる。つまり、ジフルオロメタンと従来のポリオールエステルとの組み合せでは、空気調和装置の効率(成績係数COP等)が低下する恐れがある。また、粘度が比較低いジフルオロメタンが溶け込んでポリオールエステルの粘度を低下させると、圧縮機の摺動部における潤滑や圧縮機構部での冷媒の密封が不十分となって、空気調和装置の効率が低下する恐れがある。
[0008]
 そこで、本発明は、環境負荷が小さい冷媒を使用しながらも効率に優れる冷媒装置及びこれに使用される冷媒装置用圧縮機を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 前記課題を解決する冷媒装置用圧縮機は、ジフルオロメタンを含む冷媒と、下記化学式(1)で示されるポリオールエステル(但し、化学式(1)中、R 及びR は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれカルボニル基を含む一価の有機基又はアルキル基を表し、R 同士は互いに独立してアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す)を含む冷凍機油と、が封入されていることを特徴とする。
[0010]
[化1]


[0011]
 また、前記課題を解決する冷媒装置は、前記冷媒装置用圧縮機を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、環境負荷が低い冷媒を使用しながらも効率に優れる冷媒装置及びこれに使用される冷媒装置用圧縮機を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の実施形態に係る空気調和装置(冷媒装置)の構成説明図である。
[図2] 本発明の実施形態に係る空気調和装置用圧縮機(冷媒装置用圧縮機)の構成説明図である。
[図3] 本発明の実施形態に係る空気調和装置(冷媒装置)及び空気調和装置用圧縮機(冷媒装置用圧縮機)に使用される冷凍機油と冷媒との易相溶性を説明する概念図である。
[図4] 本発明の実施形態に係る空気調和装置(冷媒装置)及び空気調和装置用圧縮機(冷媒装置用圧縮機)に使用される冷凍機油の高粘性発現原理を説明する概念図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る冷媒装置としての空気調和装置、及び冷媒装置用圧縮機は、ジフルオロメタンを含む冷媒を使用するとともに、冷凍機油として側鎖にカルボン酸エステル結合を有するオキシアルキレン構造を繰り返し単位とする後記のポリオールエステルを使用したことを主な特徴とする。以下に、冷媒装置としての空気調和装置及び冷媒装置用圧縮機(以下、単に圧縮機ということがある)、並びにこれらに使用される冷凍機油を、この順番で説明する。
[0015]
<空気調和装置>
 図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置の構成説明図である。
 図1に示すように、本実施形態の空気調和装置100は、圧縮機5、四方弁10、膨張弁6、室外熱交換器2、及びプロペラファン9を備える室外機1と、室内熱交換器4、及び貫流ファン8を備える室内機3と、で主に構成されている。
 空気調和装置100は、圧縮機5、四方弁10、膨張弁6、室内熱交換器4、及び室外熱交換器2が所定の配管7で環状に接続されている。
[0016]
 この空気調和装置100は、四方弁10を切替えることで室内熱交換器4を蒸発器、室外熱交換器2を凝縮器として使用する冷房運転と、室内熱交換器4を凝縮器、室外熱交換器2を蒸発器として使用する暖房運転とを行うヒートポンプ式のものである。なお、図1中、配管7に沿って付記した実線矢印は冷房運転時における冷媒(作動流体)の循環方向を示し、破線矢印は暖房運転時における冷媒の循環方向を示している。本実施形態での冷媒は、ジフルオロメタン(HFC32)を単独で用いることを想定しているが、本発明の課題を阻害しない範囲で必要に応じて他の冷媒をこれと併用することができる。
[0017]
 他の冷媒としては、例えば、トランス‐1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(R‐1234ze(E))、プロペン(R‐1270)、プロパン(R290)、ペンタフルオロエタン(R‐125)、1,1,1,2‐テトラフルオロエタン(R‐134a)、フルオロエタン(R‐161)、1,1‐ジフルオロエタン(R‐152a)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
[0018]
 次に、空気調和装置100の運転時の冷媒の流れについて説明する。
 はじめに、冷房時の冷媒の流れについて説明する。冷房時には、図1中の実線矢印の向きに冷媒が通流する。圧縮機5で気体冷媒が圧縮されると、冷媒は高温高圧の気体冷媒に変化する。そして、この気体冷媒は、四方弁10を経由して、室外熱交換器2に供給される。室外熱交換器2においては、プロペラファン9の回転により生じた外気流との伝熱によって冷媒が冷却(即ち、外気に放熱)され、これにより、高温高圧の気体冷媒は低温高圧の液体冷媒に変化する。
[0019]
 液体に変化した冷媒は、膨張弁6により膨張され、低温低圧の気体及び液体の二相状態になる。そして、この低温低圧の冷媒は室内熱交換器4に供給されて、貫流ファン8により、冷媒の有する冷熱が室内に供給される。即ち、取り込まれた室内の空気が冷却され、冷却後の空気が冷風として室内に供給される。室内熱交換器4においては、室内に冷熱を放出(即ち、室内の熱を吸収)しているため蒸発し、気体冷媒に変化する。そして、この気体冷媒は、再び圧縮機5に供給される。
[0020]
 一方、暖房時の場合は、四方弁10を切り替えることにより、図1中、破線矢印の向きに冷媒が通流する。圧縮機5で気体冷媒が圧縮されると、冷媒は高温高圧の気体冷媒に変化する。そして、この気体冷媒は、四方弁10を経由して、室内熱交換器4に供給される。室内熱交換器4においては、貫流ファン8により、冷媒の有する熱が室内に供給される。即ち、取り込まれた室内の空気が加熱され、加熱後の空気が温風として室内に供給される。室内の空気により冷媒は冷却(即ち、室内に放熱)されて凝縮し、これにより、高圧の気体冷媒は高圧の液体冷媒に変化する。
[0021]
 液体に変化した冷媒は、膨張弁6により膨張されて、低温低圧の気体及び液体の二相状態になる。そして、低温低圧の冷媒は、室外熱交換器2に供給されて、プロペラファン9の回転により生じた外気の接触によって、冷媒の有する冷熱が室外に放出される。即ち、気体及び液体の二相状態の冷媒は、外気の有する熱を吸収することで、気体の単相状態の冷媒に変化する。そして、この気体冷媒は、再び圧縮機5に供給される。
 ちなみに、図示しないが、室外熱交換器2が凝縮器としてのみ機能する冷媒装置としての冷凍機やヒートポンプ式給湯機(以下、冷凍機等ということがある)は、空気調和装置100と異なって冷房及び暖房の切り替えを要しないため、四方弁10を備えていない。また、冷凍機等の仕様温度条件は、空気調和装置100の仕様温度条件とは異なるがそれ以外の冷凍機等における冷凍サイクルの主たる構成は空気調和装置100と同じである。
[0022]
<圧縮機>
 次に、本実施形態に係る空気調和装置100(図1参照)に使用される圧縮機5(図1参照)についてさらに詳しく説明する。図2は、本実施形態に係る圧縮機の構成説明図である。
[0023]
 本実施形態での圧縮機5はスクロール圧縮機である。
 図2に示すように、圧縮機5は、渦巻状のラップ11aと12aとを立設した旋回スクロール11及び固定スクロール12からなる圧縮機構部と、この圧縮機構部を駆動する電動機13と、この圧縮機構部及び電動機13を収納する密閉容器14と、を備えている。
[0024]
 密閉容器14内の上部には圧縮機構部が、下部には電動機13が配置されている。そして、密閉容器14の底部には冷凍機油(潤滑油)15が貯留されている。密閉容器14の上部には、吸込パイプ14aが設けられ、側面には吐出パイプ14bが設けられている。
[0025]
 圧縮機構部は、鏡板11b上に渦巻状のラップ11aを有する旋回スクロール11と、同じく鏡板12b上に渦巻状のラップ12aを有する固定スクロール12と、固定スクロール12にボルト16で一体化されて旋回スクロール11を支持するフレーム17と、を備えて構成されている。
[0026]
 電動機13にはクランク軸18が固定されている。また、クランク軸18は、主軸受17a、下軸受19及び旋回軸受11cへ冷凍機油15を導く給油通路18aが設けられている。給油通路18aには、クランク軸18の下端に設けられた給油ポンプ(図示省略)を介して密閉容器14の底部に貯留された冷凍機油15が導入されるようになっている。
[0027]
 前記の冷媒(ガス)は、電動機13で駆動されるクランク軸18を介して旋回スクロール11が旋回運動すると、吸込パイプ14aから旋回スクロール11及び固定スクロール12により形成される圧縮室20に導かれる。ここで冷媒は、スクロール11,12の中心方向に移動するに従い容積を縮小し圧縮される。圧縮された冷媒は固定スクロール12の鏡板12bの略中央に設けられた吐出口12cから密閉容器14内の吐出圧室14cへ吐出される。この冷媒は、吐出パイプ14bから外部へと流出していく。この際、冷凍機油15は、前記のように、主軸受17a,下軸受19、旋回軸受11c等の摺動部における潤滑や、圧縮機構部での冷媒の密封に寄与する。
 そして冷媒は、ガス化した冷凍機油15(以下、冷凍機油の符号15を省略する)を同伴して吐出パイプ14bから外部へと流出することとなる。
[0028]
<冷凍機油>
 次に、本実施形態に係る空気調和装置100(圧縮機5)に使用される冷凍機油について説明する。
 本実施形態で使用される冷凍機油は、下記化学式(1)で示されるポリオールエステルを含んで構成されている。このポリオールエステルは、前記したように、側鎖にカルボン酸エステル結合を有する、言い換えれば側鎖にアルカノイルオキシメチル基を有するオキシアルキレン構造を繰り返し単位として有している。
[0029]
[化2]


[0030]
 但し、化学式(1)中、R 及びR は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれカルボニル基を含む一価の有機基又はアルキル基を表し、R 同士は互いに独立してアルキル基を表す。これらR 及びR は、後記するように、これらのいずれもが「カルボニル基を含む一価の有機基」であってもよいし、これらのいずれもがアルキル基であってもよい。また、R 及びR のうち少なくとも一方がカルボニル基を含む一価の有機基であってもよい。nは前記オキシアルキレン構造(繰り返し単位)の重合度であり、2以上の整数を表す。
[0031]
 前記R 及びR で表されるアルキル基としては、炭素数が1~5のものが望ましい。
 炭素数が1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソアミル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。中でも炭素数が3~5のn-プロピル基、n-ブチル基及びn-ペンチル基がより望ましい。
[0032]
 前記R 及びR で表されるカルボニル基を含む一価の有機基としては、例えば、次の化学式(2):
  -COR   ・・・化学式(2)
(但し、化学式(2)中、R は、炭素数1~3のアルキル基である)
で示されるアルカノイル基が挙げられる。
[0033]
 前記化学式(2)中のR で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
 前記アルカノイル基としては、エタノイル基(アセチル基)、プロパノイル基(プロピオニル基)、及びブタノイル基が挙げられる。
[0034]
 前記化学式(1)中のR で表されるアルキル基としては、炭素数が1~5のものが望ましい。
 炭素数が1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソアミル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。中でも炭素数が3~5のn-プロピル基、n-ブチル基及びn-ペンチル基がより望ましい。このような炭素数のR で表されるアルキル基を備えるポリオールエステルは、十分な粘度を有するとともに、ジフルオロメタン(冷媒)との相溶性に優れる。
[0035]
 以上のような前記化学式(1)で示されるポリオールエステルは、そのR 及びR のうち少なくとも一方がカルボニル基を含む一価の有機基であるものが望ましく、そのR 及びR のいずれもがカルボニル基を含む一価の有機基であるものがより望ましい。R 及びR が「カルボニル基を含む一価の有機基」であるものは、ジフルオロメタン(冷媒)との相溶性に優れるとともに、R 及びR がアルキル基であるものと比較してより高い粘度を有することとなる。
 また、そのR 及びR のいずれもがアルキル基であっても、前記化学式(1)中の重合度nが3以上のものは望ましい。また、重合度nが4以上である場合には、前記アルキル基のうち少なくとも一つは分岐状のアルキル基とすることができる。
 このような分岐状のアルキルをR 及びR として有するポリオールエステルは、ジフルオロメタン(冷媒)との良好な相溶性を発揮しつつ十分な粘度をも有する。
[0036]
 このような本実施形態でのポリオールエステルの具体例としては、例えば次の化学式(3)から化学式(12)で示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0037]
[化3]


[0038]
[化4]


[0039]
[化5]


[0040]
[化6]


[0041]
[化7]


[0042]
[化8]


[0043]
[化9]


[0044]
[化10]


[0045]
[化11]


[0046]
[化12]


[0047]
(但し、化学式(12)中、iBuは、イソブチル基を表す)
[0048]
 前記化学式(1)で示されるポリオールエステルは常法により得ることができ、例えばペンタエリスリトールを前記所定の重合度(n)でさせて得られるポリオールを、脂肪酸でエステル化して得ることができる。
[0049]
 ちなみに、本実施形態で使用される冷凍機油には、必要に応じて安定剤、難燃剤等の他の成分を含ませることができる。
 安定剤としては、例えば、ジエン系化合物類、ホスフェート類、フェノール化合物類、エポキシド類等が挙げられる。
 難燃剤としては、例えば、トリ(2‐クロロエチル)ホスフェート、(クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3‐ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3‐ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、ハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン、トリフルオロヨードメタン、ペルフルオロアルキルアミン類、ブロモフルオロアルキルアミン類等が挙げられる。
[0050]
 次に、このようなポリオールエステルを冷凍機油として使用する本実施形態に係る空気調和装置100(圧縮機5)の作用効果について説明する。
 図3は、本実施形態に係る空気調和装置100及び圧縮機5に使用される冷凍機油と冷媒との易相溶性を説明する概念図である。図4は、本実施形態に係る空気調和装置100及び圧縮機5に使用される冷凍機油の高粘性発現原理を説明する概念図である。
[0051]
 本実施形態での冷凍機油においては、図3に示すように、ポリオールエステルの分子鎖200、分子鎖300、及び分子鎖400が、冷媒としてのジフルオロメタンHFC32の分子を介して次のように互いに影響し合う。
 なお、分子鎖200、分子鎖300、及び分子鎖400は、前記化学式(1)で示されるポリオールエステルの一つの分子内、又は互いに隣接する2以上の分子のそれぞれに存在するものである。
[0052]
 分子鎖200は、前記化学式(1)中の官能基;アルカノイルオキシメチル基(-CH -O-COR )におけるカルボニル基(-CO-)付近の分子鎖、又は前記化学式(1)中のR 及びR で表される「カルボニル基を含む一価の有機基」におけるカルボニル基付近の分子鎖を部分的に表したものである。この分子鎖200におけるカルボニル基の酸素原子は、負(-)の電荷を帯びている。
[0053]
 分子鎖300,400は、前記化学式(1)中、R 、R 及びR で表されるアルキル基を部分的に表したものである。なお、R 、R 及びR で表されるアルキル基のうち、炭素数が4以上のものは分岐状のもの(例えば、図3中の分子鎖400参照)を含むことができる。この分子鎖300,400における水素原子は、正(+)の電荷を帯びている。
[0054]
 これに対して、冷媒としてのジフルオロメタン(HFC32)の分子は、強い極性を有している。つまり、図3に示すように、ジフルオロメタン(HFC32)のフッ素原子Fは、負(-)の電荷を帯び、水素原子は、正(+)の電荷を帯びる。
[0055]
 そのため、ポリオールエステル中にジフルオロメタン(HFC32)が介在すると、ポリオールエステルにおける分子鎖200の酸素原子(負電荷)と、分岐鎖300,400の2つの水素原子(正電荷)とが結合して作り出す三角形(図3中の網掛け部分)の結合構造(結合面)が形成される。そして、この結合面内にジフルオロメタン(HFC32)が配位することとなる。
[0056]
 このようにポリオールエステルとジフルオロメタン(HFC32)とが相対的に作用することにより、分子間相互の作用エネルギは低く安定した状態となる。その結果、ジフルオロメタンとポリオールエステルとは相溶性に優れたものとなる。
[0057]
 また、前記化学式(1)で示されるポリオールエステルは、前記したように、側鎖にアルカノイルオキシメチル基(-CH -O-CO-R )を有するオキシアルキレン構造を繰り返し単位として有している。
[0058]
 このようなポリオールエステルは、図4に示すように、エーテル結合により繰り返し結合される炭素原子500と、この炭素原子500の側鎖に含まれるアルカノイル基(-CO-R )におけるカルボニル基の酸素原子501と、によって作られる領域(図4中の網掛け部分で示される領域)が広がるように付勢される構造を有している。
[0059]
 このことをさらに詳しく説明すると、図4中の繰り返し単位(オキシアルキレン構造)の主鎖を挟むように配置される一対ずつ合計4つの酸素原子501は、それぞれ負(-)の電荷を帯びている。そのため前記一対の酸素原子501同士は電気的に反発し合うこととなる。また、互いに主鎖を挟む位置に配置される酸素原子501同士も反発し合うこととなる。これにより主鎖を挟む両側にそれぞれ形成される領域は広がるように付勢される構造となる。
 その結果、本実施形態におけるポリオールエステルは、単に分子量増大による粘性増加効果のみならず、前記の領域が広がるように付勢され、ポリオールエステルを構成する分子鎖が伸張するように延在することで高粘性が発現することとなる。
[0060]
 また、従来のポリオールエステルでは、そのポリオールエステルが有するアルキル基の炭素鎖長を長くすることによって粘度を高めることも考えられるが、分子量が増大することや、冷媒との相溶性が損なわれることとなる。
[0061]
 これに対して本実施形態でのポリオールエステルは、前記のように分子鎖が伸張するように延在することで高粘性を発現させることができるので、ジフルオロメタン(HFC32)との相溶性を損なうことなく冷凍機油粘度を高めることができる。
 そして、本実施形態のポリオールエステルを含む冷凍機油を使用した圧縮機5及びこれを備える空気調和装置100は、環境負荷が低い冷媒(ジフルオロメタン)を使用しながらも優れた潤滑性及び冷媒シール性を発揮するので効率(COP等)に優れる。
[0062]
 以上、本実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
 前記実施形態では、化学式(1)中、R 及びR で表される「カルボニル基を含む一価の有機基」としてアルカノイル基を例示して説明したが、「カルボニル基を含む一価の有機基」は、アルコキシカルボニル基を含む一価の有機基を選択することもできる。
[0063]
 このアルコキシカルボニル基を含む一価の有機基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
[0064]
 また、前記実施形態では、冷凍機油として前記化学式(1)で示されるポリオールエステルを単独で使用することを想定しているが、本発明での冷凍機油は、本発明の課題を阻害しない限りこのポリオールエステル以外の他の冷凍機油を併用することができる。
[0065]
 ここでの「他の冷凍機油」としては、前記化学式(1)で示されるポリオールエステル以外のポリオールエステルのほか、例えば、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールエステル類、ポリビニルエーテル類、ポリアルファオレフィン類等が挙げられる。

符号の説明

[0066]
 1   室外機
 2   室外熱交換器
 3   室内機
 4   室内熱交換器
 5   圧縮機(冷媒装置用圧縮機)
 6   膨張弁
 7   配管
 8   貫流ファン
 9   プロペラファン
 10  四方弁
 11  旋回スクロール
 11c 旋回軸受
 12  固定スクロール
 12c 吐出口
 13  電動機
 14  密閉容器
 14a 吸込パイプ
 14b 吐出パイプ
 14c 吐出圧室
 15  冷凍機油
 17a 主軸受
 18  クランク軸
 18a 給油通路
 19  下軸受
 20  圧縮室
 100 空気調和装置(冷媒装置)
 HFC32 ジフルオロメタン(冷媒)

請求の範囲

[請求項1]
 ジフルオロメタンを含む冷媒と、
 下記化学式(1)で示されるポリオールエステル(但し、化学式(1)中、R 及びR は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれカルボニル基を含む一価の有機基又はアルキル基を表し、R 同士は互いに独立してアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す)を含む冷凍機油と、
が封入されていることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[化13]


[請求項2]
 請求項1に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記化学式(1)のR 及びR のうち少なくともいずれか一方はカルボニル基を含む一価の有機基であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項3]
 請求項2に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記化学式(1)のR 及びR のいずれもがカルボニル基を含む一価の有機基であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項4]
 請求項2に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記有機基は、アルカノイル基であることを特徴とする冷凍空調圧縮機。
[請求項5]
 請求項4に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記アルカノイル基は、エタノイル基、プロパノイル基又はブタノイル基であることを特徴とする冷凍空調圧縮機。
[請求項6]
 請求項1に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記化学式(1)のR 及びR のいずれもがアルキル基であり、nは3以上の整数であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項7]
 請求項6に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記アルキル基の炭素数は3~5であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項8]
 請求項6に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記nは4以上の整数であり、前記アルキル基のうち少なくとも一つは分岐状のアルキル基であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項9]
 請求項1から3のいずれか1項に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記化学式(1)中のR で表すアルキル基の炭素数は1~5であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項10]
 請求項4に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記化学式(1)のR 、R 及びR で表すアルキル基の炭素数は3~5であることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項11]
 請求項1に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記冷媒は、ジフルオロメタン単独で使用されることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項12]
 請求項1に記載の冷媒装置用圧縮機において、
 前記冷凍機油は、前記化学式(1)で示されるポリオールエステル単独で使用されることを特徴とする冷媒装置用圧縮機。
[請求項13]
 請求項1に記載の冷媒装置用圧縮機を備えることを特徴とする冷媒装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]