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1. (WO2015137445) 切削タップ
Document

明 細 書

発明の名称 切削タップ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

図面の簡単な説明

0032  

発明を実施するための形態

0033  

実施例 1

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059  

実施例 2

0060   0061   0062   0063   0064  

実施例 3

0065   0066  

実施例 4

0067   0068  

実施例 5

0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例 6

0087   0088   0089   0090  

実施例 7

0091   0092   0093  

実施例 8

0094   0095   0096   0097   0098  

実施例 9

0099  

実施例 10

0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117  

産業上の利用可能性

0118  

符号の説明

0119  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28  

明 細 書

発明の名称 : 切削タップ

技術分野

[0001]
 本発明は、主に切屑のタップへの巻きつきが生じ難く、切削時に切屑の巻きつきによる切削タップの折損が生じにくい耐久性の向上を実現した切削タップに関する。

背景技術

[0002]
 出願人が調査したところでは、被削材に形成した下穴に雌ねじを切削加工する切削タップでは、無電解メッキ層、電着メッキ層である固定層(固着層)で装甲した切削タップに関しては、特許公報をはじめとする先行技術となる文献は発見できず、またそのような切削タップは実用化されていない。

先行技術文献

特許文献

[0003]
  特になし

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 定義:<オープニング概算値(μm)=25.4mm÷メッシュ(mesh)数(#)×0.6×1000=15240/メッシュ数(#)>の値とする。
 オープニング概算値とは、オープニング(メッシュの目開)を求める計算の結果を概数で表した概算値。本発明および本明細書では対比説明を分かり易くするために、オープニング概算値を砥粒の「平均粒径」として説明する。平均粒径という記述が無いもの、単に粒径との記述も特別な断りがない場合は平均粒径である。
[0005]
 従来、切削タップにあっては、摩擦を低減させることで耐摩耗性を向上させるための、TiN系、TiCN系、TiAlN系、AlCrN系、DLC系のコーティング(以下「低摩擦層」という。)が広く用いられており、更なる摩擦低減のための改良が図られている。
 この低摩擦層は、切削タップのすくい面にも施されている。
 よって、摩擦の低い(よく滑る)すくい面に接触しすくわれカールしながら延びてゆく切削屑は長い切屑形態となり、その長い切屑が切削タップに大量に絡みつき(図15の(b)図参考。)、切削抵抗を増大させ切削タップを折損させてしまう、あるいは切削タップの耐久性の著しい低下を招いてしまうという欠点を有するものであった。
 この切屑の長片化と絡み付きは切削速度が高速になるほど顕著になり、切削速度が高速になるほど耐久性は著しく低下してしまう傾向にあるものである。
 また、切削タップの折損を防ぐために、タップに絡みついた切屑を取り除くという煩雑な作業が必要なものであった。
[0006]
 前記したように従来技術にあっては、切削タップの耐久性、切削性能を向上させるための技術的思想は、切屑排出溝およびねじ部も含むタップ全体の摩擦抵抗を低減させることによって実現するという考え方に基づくものであった。
[0007]
 本発明は以上のような類似の先行技術の欠点に鑑み、切削屑のタップへの巻き付きが生じ難い耐久性のある切削タップを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記目的を達成するために、本発明は次に述べるような構成としている。
[0009]
<請求項1記載の発明>
 切削後の切屑が接触する切屑排出溝に、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層を設けたことを特徴とする切削タップである。
[0010]
 切屑排出溝への高摩擦層の形成形態は、切屑排出溝全体に形成する形態、切屑排出溝の一部に形成する形態(例えば、食付き部と完全山部の一部に位置する溝部位、切屑排出溝の最底部位など一部に設けない形態などである。)を含むものである。
[0011]
 「高摩擦層」とは、工具本体の素材そのもので形成されるすくい面の摩擦よりも、摩擦を増大させてなる層(摩擦が大きい層)という意味である。
 「高摩擦層」としては、例えば、CBN粒子、アルミナなどの各種セラミック粒子、SiC粒子、ダイヤモンド粒子、カーボンナノチューブ、硬質カーボン粒子・繊維などの硬質粒子(砥粒を含む)を電着メッキ層、無電解メッキ層などの固定層で固定してなる高摩擦層、CBN、各種セラミックスなどの焼結体層が考えられる。また、CBN粒子、アルミナなどの各種セラミック粒子、SiC粒子、ダイヤモンド粒子、カーボンナノチューブ、硬質カーボン粒子・繊維などの硬質粒子(砥粒を含む)をプラズマ、スパッタリング、イオンビーム蒸着などの気相合成法によって形成した固定層(固着層)によって固定した高摩擦層などが考えられる。
 当然、上記に記載されていない高摩擦層、将来開発されるものも技術的範疇に含まれるものである。
[0012]
<請求項2記載の発明>
 切削後の切屑が接触する切屑排出溝に、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層が設けられ、ねじ部のねじ山外径部分およびフランク部分あるいはいずれか一方の部分が、高摩擦層が設けられていない高摩擦層非形成部分であることを特徴とする切削タップである。
[0013]
 「ねじ部」は、食付き部と完全山部とからなっている。
 高摩擦層非形成部分の形成される範囲は、食付き部にのみに形成された形態、食付き部と完全山部の一部に形成された形態、ねじ部の一部に形成された形態(例えば食付き部の一部分ないし食付き部と完全山部の一部に形成された形態)、ねじ部の全部に形成された形態、ねじ山外径部分の全部あるいはその一部、フランク部分(法面部分)の全部あるいはその一部に形成された形態などを含む。
[0014]
<請求項3記載の発明>
 ねじ部の全体全周にあるいは一部全周に高摩擦層を形成し、ねじ研によってフランク部分の前記高摩擦層を除去して高摩擦層無しフランク部分を形成し、ねじ研によってねじ山外径部分の前記高摩擦層を研磨して薄い高摩擦層有り外径部分を形成してなることを特徴とする切削タップである。
[0015]
<請求項4記載の発明>
 請求項2記載において、前記高摩擦層非形成部分に低摩擦層を設けことを特徴とする切削タップである。
[0016]
<請求項5記載の発明>
前記請求項3記載において、前記薄い高摩擦層有り外径部分に低摩擦層を設けたことを特徴とする切削タップである。
[0017]
 「低摩擦層(低摩擦被膜を含む)」は、CrN系、Ti系、TiN系、TiCN系、TiAlN系、AlCrN系、DLC系(ダイヤモンドライクカーボン系)、超微結晶ダイヤコーティング系、ダイヤモンドコーティング系、VC系、酸化チタン系、各種窒化層あるいはアモルファスカーボン膜などの切削摩擦を低減する被膜層などがある。
 当然上記に記載されていない、ないし将来開発される切削摩擦を低減する低摩擦層が含まれる。
[0018]
<請求項6記載の発明>
 前記高摩擦層が、メッキ層に該メッキ層よりも硬い硬質粒子を含有した高摩擦層であり、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たると、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにし、前記摩擦抵抗により前記切屑のカールの小径化又は短片化を促進させて、回転するタップへの巻きつきが生じ難い切屑形態を実現するようにしたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の切削タップである。
[0019]
<請求項7記載の発明>
 前記硬質粒子がSiC粒子とCBN粒子の混合からなるあるいはいずれか一方の硬質粒子であり、前記メッキ層が無電解メッキ層と電解メッキ層を組み合わせたメッキ層あるいはいずれか一方のメッキ層であることを特徴とする請求項5記載の切削タップである。
[0020]
<請求項8記載の発明>
 前記高摩擦層が、メッキ層に該メッキ層よりも硬い硬質粒子を含有した高摩擦層であり、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たると、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えるようにし、前記摩擦抵抗により前記切屑のカールの小径化又は短片化を促進させて、回転するタップへの巻きつきが生じ難い切屑形態を実現するようにし、
 前記硬質粒子の大きさが5μm以下でありかつ前記メッキ層の厚みが10μm以下である、あるいは、前記硬質粒子の大きさが3μm~1μmでありかつ前記メッキ層の厚みが6μm~1μmであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の切削タップである。
[0021]
<請求項9記載の発明>
 前記請求項2記載の切削タップの形成方法であって、
 前記切屑排出溝が形成されている工具本体の部位に前記高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、
 ねじ研磨形成によって前記ねじ部を形成する部位にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位の高摩擦層を除去して前記高摩擦層非形成部分を形成するねじ部形成工程と、
 以上の工程を有してなることを特徴とする切削タップの形成方法である。
[0022]
<請求項10記載の発明>
 前記請求項4記載の切削タップの形成方法であって、
 前記切屑排出溝が形成されている工具本体の部位に前記高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、
 ねじ研磨形成によって前記ねじ部を形成する部位にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位の高摩擦層を除去して前記高摩擦層非形成部分を形成するねじ部形成工程と、
 前記高摩擦層非形成部分に、摩擦を低減するためのねじ部低摩擦層を形成するねじ部低摩擦層形成工程と、
 以上の工程を有してなることを特徴とする切削タップの形成方法である。

発明の効果

[0023]
 本発明は次に述べるような効果を奏する。
<請求項1記載の発明の効果>
 切削されてゆく切屑は、高摩擦層である切屑排出溝のすくい面と接触して、工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦力が与えられる。よって、従来の切削タップである素材すくい面であるホモ処理切削タップや、素材よりも低摩擦のTiCN被膜切削タップに比べて、切屑にかかる摩擦抵抗が大きなものとなる。これによって、切屑のカールの小径化または切屑の短片化を促進して、回転する切削タップに巻き付き難い形態の切屑形態を実現するという効果を奏する。
 すなわち、切屑のカール径が小径化されることで切屑のカール数が増加する。それによってタップに絡みつき難い切屑形態である切屑の棒状化が促進される。
[0024]
<請求項2記載の発明の効果>
(1)請求項1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、高摩擦層は切屑の接触するすくい面である切屑排出溝のみに設けられ、高摩擦層はねじ部の全部あるいは一部には設けられていない形態である。よって、ねじ部と切屑排出溝部に高摩擦層を有するものに比べて、切削抵抗を小さいものとでき、高摩擦層非形成部分においてはむしり取り、溶着等の不具合を生じ難くする。よって、むしり取りや溶着が生じやすいフランク部分を高摩擦層非形成部分とするのが効果的である。
(2)また、ねじ山外径部分を高摩擦層非形成部分とすることによって、刃先のすくい面側にのみ高摩擦層を有し構成であるので、刃先の鋭利さが得られ切れ味が鈍化となることがない。工具の寿命をはじめとする耐久性を高めることができるという効果を奏する。
(3)特に、ねじ山外径部分およびフランク面部を含むねじ部全体を摩擦層非形成部とする構成とすることによって、切屑排出溝に形成している高摩擦層を厚い層とすることが可能となる。それは、切屑排出溝の高摩擦層を厚いものとしてもねじ部の精度に影響を与えない形態を実現するからである。
 それは、CBN、SiCなどの硬質粒子によって高摩擦層の摩擦を大きくしている構成にあっては、大きい硬質粒子を用いることを可能とすることであり、これによって、最適な摩擦力を得る最適な大きさの硬質粒子を用いることにより容易に実現できるという効果を奏する。
[0025]
<請求項3記載の発明の効果>
 請求項1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、外径部分が薄い高摩擦層であり、フランク部分が高摩擦層無しであるので、切刃が鋭利となるので切れ味がよくよって切削抵抗が小さくなる。さらにねじ山外径部分4も研磨された引っ掻き硬質部材の突出の無い滑らか面となるので切削抵抗がこれによっても小さくなる。高摩擦層無しのフランク部分であるので、切削抵抗が小さく溶着なども起こり難いのである。よって、切れ味の寿命を大きく延ばし、低抵抗化による切削高速切削への対応力の向上と高耐久性を実現するとともに、硬質部材が突出した高摩擦層のすくい面によって工具への巻きつけが起き難い切屑形成する切削タップを実現する。
[0026]
<請求項4及び5記載の発明の効果>
 請求項2、3記載のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、ねじ部に形成された高摩擦層非形成部分あるいは平面に研磨された薄い高摩擦層に低摩擦層を設けた構成であるので、より切削抵抗を低減させ、食付き部をはじめとするねじ部の耐久性を著しく強化し、高速タッピングを可能にするという効果を奏する。
[0027]
<請求項6記載の発明の効果>
 請求項1~5のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する。
[0028]
<請求項7記載の発明の効果>
 請求項5記載の発明と同様な効果を奏する。
[0029]
<請求項8記載の発明の効果>
 請求項1~7のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する。
 硬質粒子の大きさが5μm以下でありかつ前記メッキ層の厚みが10μm以下である、あるいは、前記硬質粒子の大きさが3μm~1μmでありかつ前記メッキ層の厚みが6μm~1μmの範囲とすることにより、高摩擦層が刃先も装甲した構成にあっても、良好な切れ味を確保できるという効果を奏する。
[0030]
<請求項9記載の発明の効果>
 ねじ部に高摩擦層を有さず、切屑排出溝に高摩擦層を有してなる請求項2記載の切削タップを形成するという効果を奏する。
[0031]
<請求項10記載の発明の効果>
 ねじ部に高摩擦層を有さずかつ低摩擦層を有し、溝(すくい面)に高摩擦層を有してなる、より高耐久で切削性の良好な請求項4記載の切削タップを形成するという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0032]
[図1] 本発明の実施例1の切削タップの側面図およびA-A線切断B-B線部分拡大端面図。
[図2] 本発明の実施例1の切り刃部分の部分拡大断面図。
[図3] 本発明の実施例1の高摩擦層の部分拡大断面図。
[図4] 本発明の実施例1の切り刃の切削中を示す部分拡大断面図。
[図5] 本発明の実施例1のねじのピッチによるCBN砥粒の砥粒径の選択表および一般メートルねじ基準。
[図6] 本発明の実施例1の高摩擦層の形成(製造)工程図。
[図7] 本発明の実施例1のCBN砥粒を仮着する仮着メッキ層の形成イメージ図。
[図8] 本発明の実施例1の埋込メッキ層の形成イメージ図。
[図9] 本発明の実施例2の高摩擦層の部分拡大断面図。
[図10] 本発明の実施例3の固定層の形成イメージ図および高摩擦層の部分拡大断面図。
[図11] 本発明の実施例4の固定層の形成イメージ図。
[図12] 本発明の実施例5の高摩擦層の断面イメージ図。
[図13] 本発明の実施例5の高摩擦層のSEM像。
[図14] 本発明の実施例5の加工条件。
[図15] 本発明の実施例5の切削タップへの切屑の巻きつきの様子を示す写真。
[図16] 本発明の実施例5の切屑のカール直径比較を示す図。
[図17] 本発明の実施例5の平均切削トルクの変動を示す図。
[図18] 本発明の実施例5の加工穴数を示す図。
[図19] 本発明の実施例5の加工終了後におけるタップ工具刃先のSEM像。
[図20] 本発明の実施例5の実験結果表。
[図21] 無電解ニッケルめっきと電気めっきの特性比較表。
[図22] 本発明の実施例6の部分拡大断面図。
[図23] 本発明の実施例7の切削タップ形成工程図。
[図24] 本発明の実施例7の切削タップの部分拡大断面図。
[図25] 本発明の実施例8の切削タップ形成工程図。
[図26] 本発明の実施例8の切削タップの部分拡大断面図。
[図27] 本発明の実施例9切削タップ形成工程図。
[図28] 本発明の実施例10切削タップ形成工程図。

発明を実施するための形態

[0033]
 以下、本発明を実施するための最良の形態である実施例について説明する。但し、本発明をこれら実施例のみに限定する趣旨のものではない。また、後述する実施例の説明に当って、前述した実施例の同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
実施例 1
[0034]
 図1~図8に示す本発明の実施例において、1は切削タップであって、この切削タップ1は、シャンク部2と、このシャンク部2の先端側に設けられた、すくい面3とねじ山外径部分4の頂部である切刃5が形成されている食付き部6および完全山部7とからなるねじ部8と、ねじ部8に形成された複数の切屑排出溝9(タップ溝)と、ねじ部8の全部およびシャンク部2の一部に施された高摩擦層10(装甲層)とからなっている。
 ねじ部8はシャンク部2を延長したハイス鋼あるいは超硬合金などからなる工具本体11に形成されている。
 「高摩擦層」とは、工具本体の素材そのもので形成されるすくい面の摩擦よりも、摩擦が大きい高摩擦層である。
 「ねじ山外径部分」とは、ねじ山(食付き山を含む)の刃先からねじ山の逃げ19の交尾までをいう。
[0035]
 工具本体11(台金、母材)の表面に厚さ0.1μm~0.5μmの下地メッキ層13(ニッケルメッキ)を形成した後、この下地メッキ層13の上に、粒度が#1500(12μm~8μmの平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒14の一層形態(一重形態)からなる最高高さ部位Haが12μm以下(平均高さ部位が10.16μm)のCBN砥粒群15を仮着した仮着メッキ層16(ニッケルメッキ)を形成する。その後CBN砥粒群15を固定する該CBN砥粒群15の層厚の60%~90%(ここでは70%)を埋込形態とする埋込メッキ層20(ニッケルメッキ層)を形成し、その後最表面メッキ層17を形成している。
 仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層17とで固定層18(固定メッキ層)を形成している。
 固定層18とCBN砥粒群15とで高摩擦層10(装甲層)を形成している。
[0036]
 固定層18は、大きさが5μm以下(ここでは、1.5μm)のCBN粒子とSiC粒子の混合あるいはいずれか一方の硬質粒子が、電解液中に混合浮遊状態(非撹拌状態の液中に硬質粒子が沈殿等することなく常に均一な分布で浮遊状態にある、エマルジョン状態に似た状態。)で17パーセント~44パーセント含有(本実施例では30パーセント含有)された電解メッキ液によって形成されている。
 硬質粒子の電解メッキ液中の含有量は25パーセント~35パーセントが好適である。
 また、硬質粒子の大きさは、5μm以下がよい、より良くは3μm~1μmがよい。
 電解液が硬質粒子の混合浮遊状態液であることにより、固定層18(電着メッキ層)内の硬質粒子の分布は均一な分布密度を形成する。
 この均一な硬質粒子の分布密度により、固定層18が摩耗していっても、固定層18表面には常に略同じ分布密度の硬質粒子突出部位が形成されて行く。
 よって、固定層18が摩耗していっても切屑に対しては、常に同じ程度の引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えることができる。
 固定層18は硬質粒子よりも硬質ではないので、硬質粒子よりも先に固定層18が先に摩耗して行くので、常に硬質粒子が固定層18面から外に突出した形態とされる。
 固定層18を、CBN砥粒14の全く無いものとするのもよい。また、固定層18を1回のメッキ処理による一層形態とするのもよい。
[0037]
 固定層18を、大きさが5μm以下(ここでは、1.5μm)のCBN粒子とSiC粒子の混合あるいはいずれか一方の硬質粒子が、無電解液と混合浮遊状態で17パーセント~44パーセント含有(本実施例では30パーセント含有)された無電解メッキ液によって形成するのもよい。
 無電解メッキ層とした固定層18は熱処理することによって、メッキ層の硬度を900±100Hv(400℃,1hr)以上に強化したものがよい。
 硬質粒子の電解メッキ液中の含有量は25パーセント~35パーセントが好適である。
 また、硬質粒子の大きさは、5μm以下がよい、より良くは3μm~1μmがよい。
[0038]
 仮着メッキ層16はCBN砥粒群15の層厚の30%~40%の層厚であり、固定層18の層厚はCBN砥粒群15の80%~120%の層厚あるいは80%~100%の層厚としている。
 CBN砥粒群15の層厚の80%~120%である固定層18の深い埋込形態によって、CBN砥粒14の堅固な固定安定性が得られている。また、より堅固な固定安定性を得る場合は固定層18の層厚はCBN砥粒群15の層厚100%~120%とするのがよい。
[0039]
 CBN砥粒群15は、平均粒径10.16μm以下のCBN砥粒14が略一重形態(略一層形態)で覆う形態であり、そのCBN砥粒群15の最高さ部位Haは12μm以下である。尚、砥粒径=(長径LD+短径SD)/2である。
 「略一重形態(略一層形態)」とは、隣り合うCBN砥粒の向きによっては、その一部分同士が部分的に重なることが生じる可能性を排除しない趣旨である。
 #1500(12μm~8μmの平均粒径10.16μm)以下としているが、好ましくは平均粒径7.62μm(#2000)~平均粒径5.08μm(#3000)、より好ましくは平均粒径5.08μm(#3000)~平均粒径2.18μm(#7000)がよい。
[0040]
 また、固定層18の層厚(厚み)は10μm以下、好ましくは6μm以下、より好ましくは5μm~3μmであることが好ましい。
 また、硬質粒子12の大きさは、3μm~1.0μmが好ましい。
 硬質粒子12の最表面メッキ層17にあるものは、その一部を最表面メッキ層17の表面から突出させた硬質粒子突出部位を形成している。
 すくい面3の硬質粒子突出部位は、切削直後の切屑に当たり食い込み、引っ掻き作用によって切屑の進行に抵抗(摩擦抵抗)を与える。さらに、切屑排出溝9の全体にも硬質粒子突出部位が多数散在しているので、カールしながら延びて行く切屑に対して切屑排出溝9部位の硬質粒子突出部位が当たり引っ掻き作用をおよぼす。
 これら硬質粒子突出部位の引っ掻き作用による、切削屑の進行抵抗の付加によって、切屑のカールの小径化と切屑の短片化が促進され、これらによって、切削タップへの切屑の巻きつき現象が生じ難い切削タップを実現している。
[0041]
 硬質粒子突出部位による、切屑のタップへの巻きつきを有さない摩擦抵抗を得るための、硬質粒子の最適な分布密度がある。
 それは、CBN砥粒14の大きさおよび分布密度、硬質粒子12の大きさなどによって、最適な硬質粒子のメッキ層(固定層)内の硬質粒子の分布密度が異なる。
 最適な前記分布密度を得るためのメッキ液中の硬質粒子の含有量の最適値は異なる。
[0042]
 図5の表によってねじのピッチによる砥粒径(粒子径)の選定について説明する。
 タップのねじ研(ねじ研磨)は、有効径寸法を規格に入れることを重視しねじ谷(ねじ溝)は、ねじ山の切り取り高さがH/6以下になっていれば合格である。(ねじ研は、総型砥石を使用するため、有効径寸法のバラツキに連動しねじ谷の径も変化している。)
 これに対し、雌ねじ加工では、下穴寸法をひっかかり率で85~90%(規格は85~100%)の寸法に入るドリルを選定して加工し、タッピングを行う。(タップのねじ谷と下穴の間にクリアランスがないと、タッピングトルクが大きくなり、切屑つまり等で折損する。)
 本実施例では、ねじ研後にCBN砥粒群15と固定層18からなる高摩擦層10でねじ部8の全面を被覆するめ、当然タップのねじ谷は浅くなってしまう、よってタップのねじのピッチに応じた最適の砥粒径のCBN砥粒14の選定が必要になる。
 CBN砥粒14の砥粒径の算定には、タップの使用条件の加味も必要であるので、タップの振れを10μm、下穴とタップの芯ずれはWPM3未満で20μm、M3~M4で30μm、それ以上は50μmと想定し、下穴寸法をひっかかり率で87.5%とするとねじ谷の切り取り高さに換算すると、H/4+(5/8H×0.125)=0.28416Pになるので、図5の表により、ねじ研時のねじ谷の切り取り高さをH/6→H/8と深くする必要がある。
 P=0.2はシングル砥石の使用が必要である。
[0043]
 図5の表の選定では、
 ピッチ0.6mm以上では#1500(平均粒径10.16μm)以下で基準のねじ谷でよく、
 ピッチ0.5mmでは#2000(平均粒径7.62μm)以下で基準のねじ谷でよく、
 ピッチ0.4mmでは#3000(平均粒径5.08μm)以下で基準のねじ谷でよく、
 ピッチ0.3mmでは#7000(平均粒径2.18μm)で基準のねじ谷でよく、
 ピッチ0.2mmでは#7000(平均粒径2.18μm)が使用できるところまでねじ谷を深くねじ研をする。
 以上のことから、ピッチ0.7mm以下にあっては、固定層18の層厚はCBN砥粒群15の層厚の80%~100%とするのがよい。
[0044]
 CBN砥粒群15を最表面メッキ層17面からどれだけ突出させるか、CBN砥粒群15の上にどれだけの厚さの最表面メッキ層17で完全に覆うかは、雌ねじを形成する被切削材料の材質、切削速度、切削タップの材質、ねじの寸法、耐久性、生産性などの例えば優先順位によって最適な層厚を選択する。
[0045]
 固定層18の層厚がCBN砥粒群15の層厚の80%(CBN砥粒14の20%は層面から突出している。)であれば、固定層18最上面のCBN砥粒14に当接縁部位が形成する口部位の面積は、固定層18に埋もれているCBN砥粒14の本体の広い部位の面積より狭い、すなわち抜けない引っ掛かり形態であるので、CBN砥粒14の突出している部分に強い衝撃があってもCBN砥粒14が脱落することが生じない堅固な固定状態を実現している。
[0046]
 図4に示すように、CBN砥粒群15によるすくい面3の摩擦が増大するので、切屑21とすくい面3との増大した摩擦によって切屑21のすくい面3側の摩擦温度が上昇し、よって、切屑21の表側面とすくい面側の温度差が増大することになり、この増大した温度差によって切屑21の表側への反りが増大し切屑21のカールが小さくなる。この切屑21のカールが小さくなることと発熱温度の高温化と冷却温度との温度差が増大することよって、高摩擦層の無い従来の切屑23と比較して早くせん断22が起こり、よって切屑21の短片化が実現される。
 大きい摩擦が必要な場合には、CBN砥粒14の固定層18の最表面からの最大突出を、CBN砥粒14の最大高さHaの30%~10%(CBN砥粒14の70%~90%は固定層18に埋まっている状態)にするのが好適である。
[0047]
 使用不可能になったものは、下地メッキ層13を残して他の部位を研磨やレーザー光線等によって取り除き、高摩擦層10を再装甲して再使用することが容易に可能である。
[0048]
 固定層18の厚さは、ねじ部8の表面にCBN砥粒14の保持力強化と主にすくい面3の摩擦の調節のために行うのであるが、保持力や硬度をさらに上げるために熱処理を行う場合もある。
[0049]
 CBN砥粒14が浮遊状態にされた硫酸ニッケルなどの電解液が入ったメッキ槽の中に、工具本体11が超鋼合金などからなるねじ部8を浸漬状態にする。その後ニッケル棒を電解液中に浸漬して電源の陽極に接続し、陰極には工具本体11を接続し、その後所定の電圧を印加する。これにより電解液中に浮遊させたCBN砥粒14を工具本体11の表面に集め、析出したニッケル電解層により電着固定する方法を基本としている。
[0050]
 切削タップ1の製造方法について述べる。
(1)先ず、所定の処理槽にてシャンク部2にマスキング25(図7)が施された工具本体11の脱脂、洗浄等の前処理が施され、その後に工具本体11のねじ部8の表面に、厚さ0.1μm~0.5μmの下地メッキ層13(ニッケルメッキ)を形成する。(図6の(a)図)
[0051]
(2)次に、下地メッキ層13の上にCBN砥粒14からなるCBN砥粒群15を仮着して仮着メッキ層16(ニッケルメッキ)を形成する。(図6の(b)図)
 その際、図7に示すように、電源の陽極に接続されたニッケル棒26を収納してなる電着仮着メッキ槽27においては、電源の陰極に接続された工具本体11が支持容器28内に横置きにされ、そのねじ部8にCBN砥粒14が振り掛けられた状態で電着が施される。そして、必要に応じて、工具本体11を反転(裏返し)させて、下地メッキ層13の上に均一にCBN砥粒14が略一重形態(略一層形態)に敷き詰められてなるCBN砥粒群15を仮着した仮着メッキ層16を形成する。
[0052]
 仮着メッキ層16を形成しながらCBN砥粒14を該仮着メッキ層16に埋込状態に仮着させる方法は、次に述べるような方法もよい。
 予め金属メッキが施されたCBN砥粒14が電解液内に多数浮遊された状態下で行う方法もよい。
 また、メッキ槽内に予め金属メッキが施されたCBN砥粒14を多数沈殿させ、その後メッキ液を撹拌して、CBN砥粒14を浮遊させた状態下でメッキを行うのもよい。
 予め銅、ニッケル、チタン等の金属メッキが施されて表面に導電性をもたされたCBN砥粒は、その導電性によって電着速度の向上、メッキ層との強い密着力による保持強度および熱の拡散性の向上を図る利点があり、これらの利点によりメッキ層の形成速度の向上(生産性の向上)、耐久性能の向上およびタップの寿命をのばすことができる。
[0053]
(3)次に、仮着メッキ層16の上に、CBN砥粒群15を保持・固定する埋込メッキ層20(ニッケルメッキ)を施して、埋込量L1が全埋込量L2(10μm以下)の60%~90%(ここでは70%)となるようにする。(図6の(c)図)
 この際、図8に示すように、電源の陽極に接続されたニッケル棒26を収容してなる電着埋込メッキ槽29においては、電源の陰極に接続された工具本体11が吊り下げられた状態でメッキ液中に浸漬され、埋込メッキが施される。
[0054]
(4)最後に、埋込メッキ層20の上に、同じ電着埋込メッキ槽29内において、最表面メッキ層17を形成する。(図6の(d)図)
 仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層17とで固定層18を形成し、固定層18とCBN砥粒群15とで高摩擦層10を形成する。
[0055]
 固定層は、電解メッキのみによる単層あるいは複層メッキ層、無電解メッキのみによる単層あるいは複層メッキ層、電解メッキ層と無電解メッキ層の組み合わせによる複数メッキ層がある。
 これらは、用途、コストなどの条件によって選択される。
[0056]
 下地メッキ層13は、Ni電解メッキまたはNi合金無電解メッキとするのがよく、工具本体11との密着性を改善しメッキ層の剥離を防止する。但し、これらに限定する趣旨ではない。
 また、固定層18としては、Niメッキ、Ni-WメッキなどのNi合金メッキ、Ni-PメッキまたはNi-BメッキなどのNi合金無電解メッキ、Cuメッキ、Cu-SnメッキなどのCu合金メッキ、Crメッキ、Snメッキ、及びSn-CuメッキなどのSn合金メッキなどがある。但し、これらに限定する趣旨ではない。
[0057]
 前記(3)の埋込メッキ層20(ニッケルメッキ)を、前記(3)の埋込メッキ層20(ニッケルメッキ)および前記(4)の最表面メッキ層17あるいは固定層18を、無電解二ケルメッキ層(硬度:Hv450~550)あるいは熱処理した無電解二ケルメッキ層(一般的な硬度:Hv975~1075)にするのがよい。
 少なくとも、埋込メッキ層20を熱処理した無電解二ケルメッキ層(Hv975~1075 400℃、1時間で最高高度が得られる。)とするのがよい。こうすることにより、CBN砥粒14はHv975~1075の高度の高い埋込メッキ層20に中ほどを固定され、上下を電解ニッケルメッキ層(硬度:Hv100~150)に支持された構造ということになり、この構造はCBN砥粒14を高硬度の埋込メッキ層20によって強固に動かないように保持しながら、衝撃を上下の硬度の低い最表面メッキ層17と仮着メッキ層16で緩衝する構造を実現しているものである。
[0058]
 その技術的思想は、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒などの平均粒径が10.16μm以下の高硬度砥粒の一層形態からなる高硬度砥粒群の下部側を支持する仮着メッキ層と、この仮着メッキ層の上に形成された前記高硬度砥粒の該仮着メッキ層の上部に突出している部位を支持する該仮着メッキ層の硬度より高硬度の埋込メッキ層と、この埋込メッキ層の上に形成された前記高硬度砥粒の該埋込メッキ層の上部に突出している部位を支持する最表面メッキ層と、前記仮着メッキ層と前記埋込メッキ層と前記最表面メッキ層からなる固定層と、この固定層と前記高硬度砥粒群からなる高摩擦層とを備えてなる切削タップというところにある。
[0059]
 加熱により硬化する合金メッキとして以下のものがある。
            硬さHv  加熱温度℃  加熱後の硬度Hv
ニッケル・リン      600 400      1000
ニッケル・タングステン  700 600      1400
コバルト・タングステン  800 650      1300
ニッケル・ホウ素     750 400      1250
鉄・タングステン     900 650      1400
クロム・炭素       1000     700      2000
実施例 2
[0060]
 図9に示す本発明の実施例2において、前記実施例1と主に異なる点は、最表面メッキ層をCBN砥粒14よりも微細なCBN粒子からなる硬質粒子32(試験では平均粒径0.98μmのものを使用。)が分散保持された最表面メッキ層33(ニッケルメッキ)とした点にある。
 仮着メッキ層16と埋込メッキ層20と最表面メッキ層33とで固定層30を形成し、固定層30、CBN砥粒群15、硬質粒子32とで高摩擦層31を形成している。
 硬質粒子32の最表面メッキ層33にあるものは、その一部を最表面メッキ層32の表目から突出させた、切屑に当たり引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えるための硬質粒子突出部位を形成している。
[0061]
 硬質粒子32が分散保持されている最表面メッキ層33の表面硬度がより一層高められ、また、熱伝導率・熱拡散性も向上するので、固定層18の減り速度が少なくなり耐久性が大きく向上し、かつ、硬質粒子32によるすくい面3の摩擦が増大するので、切屑21のすくい面3側の摩擦温度がより上昇し、よって切屑21のカールがより小さくなって切屑のより短い段階でのせん断22を実現する。
 また、硬質粒子32が分散保持さている最表面メッキ層33は硬度が高くなるので、耐摩耗性・耐久性の向上とCBN砥粒14の保持力の向上を実現するものである。この硬質粒子32の分散は最表面メッキ層33の熱伝導性を高めるので、その摩耗性・耐久性の向上との相乗効果によってCBN砥粒14への切削負荷を低減することになる。よって、CBN砥粒14の摩耗の少ない、すなわち耐久性が高くかつ高速切削にも対応可能な切削タップを実現する。
[0062]
 硬質粒子32の最表面メッキ層17の混合量、分散量、粒径は、被切削材料の材質、工具の用途などによって最適な摩擦が得られるように調整される。
[0063]
 その製法は、最表面メッキ層17のメッキ時に、電着埋込メッキ槽29内に予め金属メッキ(ニッケルメッキ)が施された硬質粒子32(例えば、#5000(2μm~4μm、平均粒径3.05μm)、#10000(平均粒度1.5μm)又は#15000(0.5μm~2μm、平均粒径1.02μm))、を浮遊させて、硬質粒子32も同時にメッキする。#5000~#15000の硬質粒子を混合したものでもよい。
 尚、硬質粒子32が微細すぎて金属メッキを施せない場合は、例えば、金属メッキが施せる最少粒度の微細CBN砥粒に金属メッキを施し、その処理後に粉砕して硬質粒子32を得るようにする。
[0064]
 硬質粒子32に変えて、SiC粒子からなる硬質粒子とするのもよい。あるいは、これらの混合とするのもよい。
実施例 3
[0065]
 図10に示す本発明の実施例3において、前記実施例1と主に異なる点は、電着仮着メッキ槽27内に予め金属メッキ(ニッケルメッキ)が施された硬質粒子32(例えば、#5000(2μm~4μm、平均粒径3.05μm)、#10000(平均粒度1.5μm)又は#15000(0.5μm~2μm、平均粒径1.02μm))を多数浮遊させておいて、硬質粒子32も同時にメッキして、固定層34に硬質粒子32が分散保持された層を形成するようにしたものである。
 固定層34、硬質粒子32、CBN砥粒群15とで高摩擦層36を形成する。
 これによれば、仮着メッキ層、埋込メッキ層を形成する工程(図6の(b)、(c)の工程)が行われないのでコストダウンが図れる。
[0066]
 メッキ層内に予め金属メッキがほどこされた硬質粒子32を多数沈殿させ、その後メッキ液を撹拌して、硬質粒子32を浮遊させた状態下でメッキを行うのもよい。
実施例 4
[0067]
 図11に示す本発明の実施例4において、前記実施例3と主に異なる点は、シャンク部2をメッキ液に浸漬せずねじ部8のみをメッキ液に浸漬してメッキ処理するようにした点にある。
 マスキング25を施す工程および取り除く工程をなくすことができコストの軽減となる。
[0068]
 前記実施例1~3にあっては、電解メッキ(電着メッキ)によって、下地メッキ層、固定層を形成するようにしているが、浴中の金属イオンを還元剤によって還元し金属として析出させる無電解メッキ(化学メッキ)により、各メッキ層を形成するようにしてもよい。特に無電解ニッケルメッキは、耐摩耗性や耐食性に優れ硬度が上げられるので、特に最表面メッキ層に適用して好適である。
実施例 5
[0069]
 図12~図21に示す本発明の実施例5において、少なくとも食いつき部6~完全山部7の先頭一周部分(切刃5、ねじ山外径部分4を含む)の完全山刃部位のすくい面13を含む全体に(図1参照)、#10000(平均粒度1.5μm)のSiC(炭化ケイ素、硬度2350Hv)からなる硬質粒子40を含有した無電解メッキ層41からなる、厚みは5μmの高摩擦層42を、無電解メッキによって設けたものである。
[0070]
 その製法は、硬質粒子40を17%~44%(本実施例では30パーセントの含有)をNi-Pのニッケルメッキ液に混合浮遊状態(非撹拌状態の液中に硬質粒子が沈殿等することなく常に浮遊状態にある、エマルジョン状態に似た状態。)とした無電解メッキ液浴中に浸して、SiCを含有したNi-Pメッキ層を5μmの厚さにコーティングし、該コーティングと同時に、硬質粒子40をNi-Pメッキ層(皮膜)内に析出させたものである。さらに、300℃の熱処理(+H)を施して硬度1000Hv~1400Hvとしたものである。
[0071]
 すくい面13、切刃5およびねじ山外径部分4を無電解メッキ液浴中に浸して、すくい面13、切刃5およびねじ山外径部分4に同じ厚さの高摩擦層42を形成する。その場合の、高摩擦層42の厚みは、切刃5の切れ味を確保するために10μm以下、好ましくは7μm~2μm、より好ましくは6μm~1μmとするのがよい。
 硬質粒子の大きさ(幅)は、高摩擦層の厚さの半分以下の大きさとするのがよい。
 また、Ni-Pに変えてNi-Bの無電解ニッケルメッキ液を使用するのもよい。
[0072]
 図12に高摩擦層42の断面イメージを示し、図13にそのSEM像を示す。同図に示されるように、高摩擦層42の表面では硬質粒子40の一部が無電解メッキ層41の表面に対して突出している状態である。
 この無電解メッキ層41の表面に突出した硬質粒子40の突出部位である硬質粒子突出部位39が、切屑に当たり食い込み状態となることで摩擦抵抗が増大して、切屑のカール径の小径化や切屑の短辺化等が促進され、切削タップへの切屑の巻きつきが起き難くなる、ないし殆ど起きないようになる。
 それは、切屑の表面に多数の引っ掻き傷が形成されていることから明らかである。
 ホモ処理タップおよびTiCN被膜タップの切屑にはそのような引っ掻き傷は無く綺麗な平面である。
 SiCの硬度は2350Hvであり、Ni-Pメッキ層の硬度は1000Hv~1400HvとSiCの半分程度であるので、常に先にNi-Pメッキ層が減り常にSiCがメッキ層からその一部を突出させるので、常に硬質粒子突出部位39が存在する状態となる。
 すくい面に施された高摩擦層42は、切屑が押し付けられながら移動して行くだけの動作であるので、高摩擦層42に加わる衝撃、圧力、抵抗は、刃先に加わるものに比べて圧倒的に小さいものであり、高摩擦層42が剥がれることは生じ難い。
[0073]
 無電解メッキは均一で高精度なメッキ層が形成されることを特質としている。よって、刃先の部分が他の部位よりも分厚くなることがない。よって、その切れ味を低下させることなく、かつ、その硬度の高さによって耐久性が向上するものである。
 実験での最適な構成は、SiC粒子は#10000(平均粒度1.5μm)、無電解メッキ層は5μmであった。
 硬質粒子突出部位39に切屑が当たり、切屑への引っ掻き傷を与える引っ掻き作用によって、切屑にたいして摩擦抵抗を与え、カール径の減少および短片化あるいはいずれか一方が図られた、回転するタップに巻きつかない切屑形態を実現する。その結果、50m/minの高速切削においても切屑の巻きつけが生じることなく、切れ味、耐久性ともに良好な結果を得た。
 よって、高摩擦層42の厚さは10μm以下、好ましくは7μm~2μm、より好ましくは6μm~1μmであり、さらに好ましくは5μm~1μmであり、硬質粒子40の大きさは3μm以下、好ましくは2μm~1μmとするのがよい。
[0074]
 切屑が切削タップに巻きつかない形態とするために、切屑に好適な摩擦抵抗を与える、すくい面3を有する切屑排出溝9に施される無電解メッキ層41の硬質粒子40の分布密度は、高密度でも低密度でも良好な結果が得られず、硬質粒子突出部位によって引っ掻き傷を付ける引っ掻き作用による、摩擦抵抗を得る好適な分布密度があって、該好適な分布密度を得ることができる無電解液中の硬質粒子32の含有量があるものである。
 この好適な分布密度およびそれを実現するための無電解液中の硬質粒子の含有量は、硬質粒子の大きさによって異なる。
[0075]
 無電解液が硬質粒子との混合浮遊状態液であることにより、固定層であるメッキ層(無電解メッキ層)内の硬質粒子の分布は均一な分布密度を形成する。
 この均一な硬質粒子の分布密度により、メッキ層が摩耗していっても、メッキ層表面には常に略同じ分布密度の硬質粒子突出部位が形成されて行く。
 よって、メッキ層が摩耗していっても切屑に対しては、常に同じ程度の引っ掻き作用による摩擦抵抗を与えることができる。
[0076]
 硬質粒子突出部位による切屑への好適な引っ掻き作用による、該切屑に好適な摩擦抵抗の付与には、硬質粒子の大きさは5μm以下がよく、より良くは3μm~1μmがよく、かつ、硬質粒子の無電解メッキ液中の含有量は25パーセント~35パーセントが、無電解メッキ層中の硬質粒子の好適な分布密度を実現する含有量である。
[0077]
 上記の技術的思想は、切屑が切削タップに巻きつかない形態とするために、切屑に好適な摩擦抵抗を与える、すくい面あるいはすくい面および切屑排出溝に施される電着メッキ層あるいは無電解メッキ層の硬質粒子の分布密度を、硬質粒子突出部位の切屑に対する引っ掻き作用による、好適な摩擦抵抗を得る好適な分布密度(A)にするというところにある。
 また、好適な分布密度を実現することができる電解メッキ液中あるいは無電解液中の硬質粒子の含有量を好適な含有量(B)にするというところにあるものである。
 前記好適な分布密度(A)、前記好適な含有量(B)は、硬質粒子の大きさなどによって、その好適値が異なる。
[0078]
 電解メッキは、刃先に電流が多く流れる傾向にあるので、刃先部位の高摩擦層が分厚くなる傾向が生じ、これによって、切れ味が悪くなり、よって切削時の衝撃が大きく、高摩擦層の欠損・欠落が生じ易く、欠落後の刃先は著しく切れ味が低下し、著しい抵抗の増大と発熱によってタップと被切削物が溶着する可能性が高くなる。
 また、硬度も無電解メッキ(熱処理:+H)の半分と低いことから、硬質粒子の保持力が弱く該硬質粒子が欠落する可能性も、無電解メッキより大きい。
 よって、メッキ層は無電解メッキ層が好ましい。
[0079]
 加工実験を行った際の加工条件を図14に示す。
 高摩擦層42を装甲した切削タップ(以下「SiC装甲切削タップ」という。)の他に、ホモ処理タップ(Homo)とTiCN被膜タップを用い比較対象とした。切削タップの呼び径はM6を使用した。
 被削材料には炭素鋼S45C(硬度211~285Hv)を用いた。
 切削速度は、従来の5倍の高速切削条件である50m/mimとした。
 加工実験は、エマルジョン型の水溶性切削油を用いて、寿命を迎えるまで加工し続けた。
 また、加工時に切削タップへの切屑の巻き付きが発生する場合には、100穴ごとに切屑を除去した。
[0080]
 図15に、25穴加工終了後の切削タップへの切屑の巻きつきの様子を示す。
 ホモ処理タップや、TiCN被膜タップでは、切屑の巻きつきが発生するのに対して、SiC装甲切削タップでは切屑の巻きつきが発生しない。
[0081]
 図16に、各実験条件で発生した切屑のカール直径Dcを切削タップの切屑排出幅Wtで除することで正規化した切屑のカール直径値Dnを示している。
 切屑の巻きつきが発生したホモ処理タップや、TiCN被膜タップでは、正規化した切屑のカール直径値が1を大きく上回っている。
 一方、切屑の巻きつきが発生しなかたSiC装甲切削タップでは、正規化した切屑のカール直径値が1程度である。これは、切屑とタップのすくい面間の摩擦が高いために、切屑のカール径が顕著に減少(小径化)したためであると考えられる。
[0082]
 図17に、加工中の平均切削トルクの変動の様子を示す。
 同図より、ホモ処理タップとSiC装甲切削タップでは徐々に切削トルクが増加し、寿命を迎えていることが分かる。
 加工中の切削トルクは、タップ刃先の摩耗に伴い増加することから、SiC装甲切削タップはホモ処理タップよりも耐摩耗性に優れていると考えられる。
[0083]
 図18に、工具寿命に達するまでに加工した加工穴数を示す。
 同図により、TiCN被膜タップでは、従来ホモ処理タップに比べて、寿命が著しく低下する。
 一方、SiC装甲切削タップでは、ホモ処理タップに比べて、3倍に寿命が向上している。
 図19に、加工終了後におけるタップ工具刃先のSEM像を示す。
 ホモ処理タップでは刃先で大きな欠けが発生しているのに対して、SiC装甲切削タップでは刃先の形状が保たれている。
 以上のことから、高摩擦層42を施したSiC装甲切削タップは、タップ表面の耐摩耗性が向上しており、その結果工具寿命の大幅な向上効果が得られた。
[0084]
 1.5μmというような超微細なSiC硬質粒子を含んだ無電解メッキ層(皮膜)のコーティングは、滑らせて動かす摺動部材として使用されるものであり、抵抗を少なくし且つ摩耗を少なくすることを目的としている。
 本発明は、この摺動部材の抵抗を低減(軽減)するためではなく、逆に、切削タップにおいて、切削形成される切削屑に対しての抵抗を増加させることを目的とし、切削屑が形成直後に接触するすくい面の摩擦抵抗を増大させることで、その切屑の短片化、切屑のカールの小径化をもたらし、それによってカール数が増加し切屑の棒状化が促進され切屑の切削タップへの巻きつき現象が生じないようにすることを実現したものである。
 それは、切削タップの摩擦を小さくすることによって、切削能力を高めようとしてきた従来の考え方とは、本質的に異なる考えかたによるものである。
 この切屑の巻きつき現象の解消と、切削耐久性、耐摩耗性の向上とによって、50m/minないし60m/minという高速切削においても、十分に使用できる切削タップを実現するものである。
[0085]
 SiC粒子に変えてCBN粒子やダイヤモンド粒子など他の硬質粒子とするのもよい。
 上記粒子の混合からなる硬質粒子とするのもよい。
 CBN粒子はSiC粒子よりも硬度が4倍以上であり、摩擦も高い(大きい)ことから、無電解メッキ液との混合最適値、温度などのメッキ条件の最適値等を見出すことによって、SiC装甲切削タップよりも高性能の装甲切削タップを実現することが期待できる。
 そのことは、図20に示す実験結果表の(9)からも明らかである。
 この実験による無電解メッキによるCBN装甲切削タップは、最適な無電解メッキ条件を特定しての実験結果ではない。よって、最適条件を特定するならより高性能のタップを実現できると考えられる。
[0086]
 切削タップの工具本体(母材)を超合金(硬度1700Hv~2050Hv)とし、硬質粒子40を含有するNi-P無電解メッキ(硬度1000Hv~1400Hv)より硬質のものとするのもよい。よって、工具本体の硬度よりも高摩擦層42の硬度が低いことになる。
 この形態の場合、高摩擦層42はすくい面を含む切屑排出溝のみとするのが、切れ味、切削抵抗の点で有利であり、切屑の絡みつきの生じない超合金切削タップを実現する。
 また、結晶ダイヤモンドなどの超硬質皮膜を施したタップの、すくい面のみに高摩擦層42を設けるのもよい。
実施例 6
[0087]
 図22に示す本発明の実施例6は、ねじ部8の全体全周にあるいは一部全周に高摩擦層42を形成し、ねじ研によってフランク部分の高摩擦層42を除去して高摩擦層無しフランク部分を形成し、ねじ研によってねじ山外径部分4の高摩擦層を研磨除去して薄い高摩擦層有り外径部分を形成してなる切削タップ43を形成ものである。
 例えば、薄い高摩擦層有り外径部分の高摩擦層の厚さを0.5μm~6μmの間程度とし、すくい面3の高摩擦層10の厚さを5μm~20μmとするなどである。
 このような構成とすることにより、切刃5が鋭利となるので切れ味がよくよって切削抵抗が小さくなり、さらにねじ山外径部分4も研磨された引っ掻き硬質部材の突出の無い滑らか面となるので切削抵抗がこれによっても小さくなる。よって、切れ味の寿命を大きく延ばし、低抵抗化による切削高速切削への対応力の向上と高耐久性を実現するとともに、硬質部材が突出した高摩擦層のすくい面によって切屑が、工具への巻きつけが起き難い切削タップしている。
[0088]
 ねじ山外径部分4にマージンを有するマージン有切削タップにおいては、(1)マージン部分のみの研磨、(2)マージン部分+ねじ山逃げの一部の研磨あるいは(3)マージンを含むねじ山外径部分の全面の研磨の研磨とすることができる。マージンを有する形態では、該マージンの交尾とねじ山逃げの連絡段差があるので、その部分から少しの幅の高摩擦材が残る可能性がある。
 ねじ山外径部分4にマージンを有さないマージン無切削タップにおいては、(4)刃先から刃先側の一部のねじ山逃げの研磨あるいは(5)ねじ山外径部分の全面の研磨の全面の高摩擦材の除去研磨がある。
 山外径部分の全面の研磨の全面の高摩擦材の除去研磨以外の、部分研磨による高摩擦材の除去は、作業時間の短縮、砥石の減りの低減化(長持ち化)となる。
[0089]
 切削タップ43は、切屑排出溝9のみを形成しかつねじ山外径部分4を研磨形成した形態の工具本体11のねじ部に高摩擦層を形成し、ねじ谷を研磨形成して高摩擦層無しねじ谷を形成し、次にねじ山外径部分4の高摩擦層を所定の層厚にまで研磨して形成する。
 先にねじ山外径部分4の高摩擦層の研磨を先に行い、その後でねじ谷を研磨形成するのもよい。
[0090]
 また、ねじ部8の全ての高摩擦層を研磨によって除去した、ねじ部8に高摩擦層が全く無い構成とするのもよい。
実施例 7
[0091]
 図23、24に示す本発明の実施例7において、切削タップ50は以下のようにして形成される。
(a)、(b)工具本体11に切屑排出溝9およびねじ部を形成する部位51を形成する。あるいは、切屑排出溝9を形成済みの工具本体を用意する。
(c)高摩擦層形成工程
 切屑排出溝9およびねじ部を形成する部位51に全体に高摩擦層52(図では塗り潰し部分)を形成する。
 高摩擦層52は、実施例1~6に記載されたいずれかのものとするが、これらに限定されるものではない。
(d)ねじ部形成工程
 ねじ研磨形成(ねじ研)によってねじ部を形成する部位52にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位51の高摩擦層52を完全に除去して高摩擦層非形成部分53を形成し、切屑排出溝9には高摩擦層52がある構成(図では塗り潰し部分)とした切削タップ50を形成する。
 食付き部先端も研磨する。
[0092]
 切削タップ50は、高摩擦層52を厚いものとしても、切削精度および形成ねじ精度には影響を与えない。よって、高摩擦層を厚いものにすることが可能である。よって、摩擦を大きくするための硬質粒子(CBN、Sicなど)を、その硬質粒子を大きい粒子のものにすることを可能にできる。よって、大きい硬質粒子の固定安定性も厚い固定層(電着層、無電解メッキ層など)によって強靭なものとでき、厚い固定層と摩擦力を最大限に得られる最適な大きさの硬質粒子の選択が可能である。それは、高摩擦性と高耐久性を実現する高摩擦層を可能にする。
 また、高摩擦層非形成部分53には高摩擦層52が無いので、ねじ部と切屑排出溝部に高摩擦層を有するものに比べて、むしり取りや溶着が生じ難く切削抵抗を小さいものとできる。また、刃先全部を高摩擦層では被わない刃先のすくい面側にのみ高摩擦層を有し、ねじ部側には有さない構成であるので、刃先の切れ味が鈍化になることがない。それらによって、工具の寿命をはじめとする耐久性を高めることができる。
[0093]
 高摩擦層非形成部分53は、高摩擦層52のみを研磨して形成する場合、工具本体11をも研磨して形成する場合のどちらでもよい。
 また、マージンがある切削タップにおいては、マージン部分のみあるいはマージン+ねじ山逃げ19の一部に高摩擦層非形成部分53を形成するのもよい。
 また、切削に悪影響(切削抵抗を大きくする)を与えないねじ山逃げ19の部分には高摩擦層を残し、切刃5から切削に悪影響を与える部位のみを高摩擦層非形成部分53とするのもよい。
実施例 8
[0094]
 図25、26に示す本発明の実施例8において、切削タップ55は以下のようにして形成される。
(a)、(b)工具本体11に切屑排出溝9およびねじ部を形成する部位51を形成する。あるいは、切屑排出溝9を形成済みの工具本体を用意する。
(c)高摩擦層形成工程
 切屑排出溝9およびねじ部を形成する部位51に全体に高摩擦層52(図では塗り潰し部分)を形成する。
 高摩擦層52は、実施例1~6に記載されたいずれかのものであるが、これらに限定されるものではない。
(d)マスキング工程
 下記(f)の摩擦低減工程で形成する低摩擦層が、切屑排出溝9の高摩擦層52に悪影響を与えないようにするための、マスキング56を施す。
(e)ねじ部形成工程
 ねじ研磨形成(ねじ研)によってねじ部を形成する部位52にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位51の高摩擦層52およびマスキング56を完全に除去して高摩擦層非形成部分53を形成し、切屑排出溝9には高摩擦層52がある構成とした切削タップ50を形成する。
 食付き部先端も研磨する。
(f)低摩擦層形成工程
 プラズマ、スパッタリング、イオンビーム蒸着などの気相合成法などによって、DLC膜、CrN膜、TiN膜、TiCN膜、TiAlN膜、AlCrN膜などの低摩擦層57を高摩擦層非形成部分53に形成する。
(g)マスキング除去工程
 マスキング56を除去して切削タップ55を形成する。
[0095]
 マスキング工程は、低摩擦層57を形成する工程で、切屑排出溝9の高摩擦層52に悪影響がある場合にのみ行えばよいものである。高摩擦層52が絶縁層などであることにより、低摩擦層の形成工程で悪影響を受けないときには、マスキング工程およびマスキング除去工程は行う必要がない。
[0096]
 また、マスキング工程によって行ったマスキングが、脆弱なものでタッピング動作に何ら悪影響を与えないものである場合は、マスキング除去工程は行わず、切削タップ55の完成とすることができる。
[0097]
 ねじ部全体に皮膜された低摩擦層によって、むしり取りや溶着が生じ難く切削抵抗が低減され、刃先の切れ味と寿命が延び、より高耐久性で高速タッピングに適した切削タップを実現している。
[0098]
 ねじ山外径部分4の高摩擦層を研磨して、5μ以下、4μ以下、3μ以下、2μ以下あるいは1μ以下のいずれかの薄い高摩擦層に形成して、その上に低摩擦層を形成するのもよい。
 薄い高摩擦層が低摩擦層の定着力を強化するバインダの役割を果たす場合には有効である。
実施例 9
[0099]
 図27に示す本発明の実施例9において、前記実施例7と主に異なる点は、高摩擦層52の形成する部位を、食付き部および完全山部の一部に形成してなる切削タップ60を形成した点にある。
実施例 10
[0100]
 図28に示す本発明の実施例10において、前記実施例8と主に異なる点は、高摩擦層52の形成する部位を、食付き部および完全山部の一部に形成してなる切削タップ70を形成した点にある。
[0101]
 なお、切屑排出溝に高摩擦層を設け、この高摩擦層よって切屑の短辺化、または巻き付き難い形状の切屑にするという技術的思想は切削タップにだけには限らない。切屑排出溝を有する穿孔ドリル、リーマー、又はエンドミルなどの回転切削具にも適用可能なものである。
 その技術的思想は以下に述べる通りである。
(1)切削後の切屑が接触する切屑排出溝またはすくい面に、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層を設けたことを特徴とする回転切削具。
(2)切削後の切屑が接触する切屑排出溝のみに、またはすくい面のみに、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層が設けられ、前記切屑排出溝以外のまたは前記すくい面以外の箇所は前記高摩擦層が設けられていない高摩擦層非形成部分としてなることを特徴とする回転切削具。
(3)切れ刃、逃げ面およびすくい面に高摩擦層を形成し、研磨によって前記逃げ面の前記高摩擦層を除去して高摩擦層無し逃げ面を形成し、または研磨によって前記逃げ面の前記高摩擦層を研磨して薄い高摩擦層有り逃げ面を形成してなることを特徴とする回転切削具。
(4)切れ刃、逃げ面およびすくい面に高摩擦層を形成し、研磨によって逃げ面の前記高摩擦層を除去して高摩擦層無し逃げ面を形成し、前記高摩擦層無し逃げ面に低摩擦層を形成してなることを特徴とする回転切削具。
 マージンがある場合は、該マージンは逃げ面に含む。
[0102]
[付記]
<付記1>
 切削タップであって、
 前記ねじ部を直接的に覆うようにあるいは該ねじ部に被覆した下地メッキ層を介して覆うように設けられた、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群と、
 このCBN砥粒群を固定している、層厚が前記CBN砥粒群の層厚の80%~120%の電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定層と
 前記CBN砥粒群と前記固定層からなる高摩擦層と、を備えたことを特徴とする切削タップである。
 「電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定層」とは、電解メッキ層のみからなる固定層、無電解メッキ層のみからなる固定層、電解メッキ層と無電解メッキ層との複数メッキ層からなる固定層を含むものである。
 「CBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態」とは、CBN砥粒同士の重なりが殆ど無い一重形態ということである。
 ねじ部を覆うCBN砥粒群は、粒度が#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるものであるので、その平均層厚は10.16μm以下と極薄層であり、あるいは固定層はその120%以下(平均層厚12.19μm)という高摩擦層である極薄高摩擦層であるので、切刃の鋭利さを損なわずよって切削能力が低下することが無く、むしろ、ダイヤモンドに次ぐ高度(Hv4700程度)を有しかつ耐熱温度(1300℃程度)が高いCBN砥粒によって、切削能力、切削耐久および耐熱性が著しく向上する。
 かつ、高摩擦層によるねじ部の谷部の埋まり量は20.32μm(固定層100%以下)~24.38μm(固定層120%)と、特許文献1の技術の50.8μmの半分以下の谷の埋まり量であるので、雌ねじの形成精度を損なうことがないという効果を奏する。
[0103]
 無処理のハイス鋼の最大摩擦力は0.18μであるのに対して発明のCBN砥粒を有する高摩擦層は0.55μと、その3倍である。
 切刃によって切削された切屑が接触するすくい面もCBN砥粒を有する高摩擦層であるので、切屑との摩擦が増大するので攻撃性が高くなり(切屑が摩擦によって熱くなり)、結果切屑のカールの小径化と発熱温度と冷却温度の温度差によってせん断が早く生じることになり、よって切屑の長さが短くなる短片化が実現され、切屑の短片化は切屑詰まりによる切屑のタップへの絡み付きを減少させ、切屑の噛み込によるタップの破損が起こり難いものにするという効果を奏する。
 試作の切削タップ(スパイラルタップM6)、被切削材料がアルミニウムでは、切削速度50m/mimで最大切屑長さは39mmであり、従来のハイスタップ(スパイラルタップM6)では76mmであるのに対し格段の短片化を実現している。従来のハイスタップは切屑が巻き付いて目詰まりを起こしてしまうのに対して、本発明の切削タップは切屑が早く折損(せん断)短片化されるので目詰まりが確実に防止された。
[0104]
 CBN砥粒群の固定層への埋込量はメッキ時間よって決定される。従って、固定層からのCBN砥粒の最大突出高さは、切削タップの用途に応じたものを容易に製造できる。すなわち、より摩擦力が必要な場合は、CBN砥粒の最大突出高さを40%~90%の間に設定すればよいので、摩擦力の設定が行いやすいという効果を奏する。
[0105]
 CBN砥粒(粒子)は、(1)耐熱性があり、空気中で1360℃まで安定している、(2)熱伝導率も3.8caL/secと高く、切削熱はタップ側に多く伝わり、加工表面への熱は少ない、(3)化学的にも安定し鋼に対して不活性であるので、切刃の摩耗が少ない、(4)CBN砥粒が脱落しても粒径が小さいので、ねじ部は破損しない。
 これらによって、工具寿命の向上や加工速度の向上に加えて難削材(例えば、チタン、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、ワスバロイなど。)加工等に容易に対応することができるという効果を奏する。
[0106]
 また、固定層の層厚がCBN砥粒群の層厚の80%~120%と、固定層によるCBN砥粒の保持が実質的に略全部と言ってよい埋込状態であるので、その保持力および固定力が堅固であり、よってCBN砥粒が脱落するということが殆ど起きないとい効果を奏する。
[0107]
 下地メッキ層を残しCBN砥粒を取り除いて、再度高摩擦層を形成して再利用ができる。
 また、少なくとも固定層が電解メッキ層である場合は、電解槽で逆電解を行うことにより、容易に固定層および該固定層に保持されているCBN砥粒を除去し、再度電解メッキによる高摩擦層を再度形成して再利用ができる。
[0108]
<付記2>
 前記固定層の層厚が前記CBN砥粒群の層厚の100%~120%であることを特徴とする付記1の切削タップある。
 付記1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、固定層の層厚がCBN砥粒群の層厚の100%~120%であるので、固定層によるCBN砥粒の保持がより深くよってその保持力および固定力がより堅固であり、よってCBN砥粒が脱落するということが起きないとい効果を奏する。
[0109]
<付記3>
 前記ねじ部の表面に前記下地メッキ層を形成した後、前記CBN砥粒群を仮着した仮着メッキ層を形成し、その後前記CBN砥粒群を固定する該CBN砥粒群の60%~90%を前記仮着メッキ層とで埋込形態とする埋込メッキ層を形成し、その後前記最表面メッキ層を形成し、前記仮着メッキ層と前記埋込メッキ層と前記最表面メッキ層とで前記固定層を形成してなることを特徴とする付記1、2のいずれかの切削タップである。
 このような構成としても、付記1、2のいずれかと同様な効果を奏する。
[0110]
<付記4>
 前記CBN砥粒の粒度が#2000(平均粒径7.62μm)以下であることを特徴とする付記1~3のいずれかの切削タップである。
 付記1~3のいずれかと同様な効果を奏するとともに、高摩擦層の層厚が7.62μm(100%)~9.14μm(120%)という極薄高摩擦層(谷部の埋めは15.24μm~18.2μm)であるので、切削性および雌ねじ形成精度をより損なうことがないという効果を奏する。
[0111]
<付記5>
 前記最表面メッキ層に前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が分散保持されてなることを特徴とする付記1~4のいずれかの切削タップである。
 付記1~4のいずれかと同様な効果を奏するとともに、微細な微細CBN砥粒が分散保持されている最表面メッキ層によって、固定層の減り速度が少なくなるので耐久性が大きく向上し、かつ、微細CBN砥粒によるすくい面の摩擦が増大するので、切屑とすくい面との増大した摩擦によって切屑のすくい面側の摩擦温度が上昇し、よって、切屑の表側面とすくい面側の温度差が増大することになり、この増大した温度差によって切屑の表側への反りが増大する、すなわち切屑のカールが小さくなる。この切屑のカールが小さくなることと発熱温度と冷却温度の温度差が大きくなることによってより早くせん断が起こり、よって切屑のより短片化を実現するという効果を奏する。
 また、微細CBN砥粒によってすくい面の耐熱性も著しく向上するので、切屑との摩擦熱に十分耐えるすくい面を実現する。
[0112]
 また、微細CBN砥粒が分散保持さている最表面メッキ層は硬度が高くなるので、耐摩耗性・耐久性の向上とCBN砥粒の保持力の向上を実現するものである。この微細CBN砥粒の分散は最表面メッキ層の熱伝導性を高めるので、その摩耗性・耐久性の向上との相乗効果によってCBN砥粒への切削負荷を低減(軽減)することになるので、CBN砥粒の摩耗の少ない、すなわち耐久性が高くかつ高速切削にも対応可能な切削タップを実現するという効果を奏する。
[0113]
<付記6>
 切削タップの、前記ねじ部に直接的に覆うようにあるいは該ねじ部に被覆した下地メッキ層を介して覆うように設けられた、#1500(平均粒径10.16μm)以下のCBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態からなるCBN砥粒群を支持し、
 前記CBN砥粒群の層厚の80%~120%の層厚の電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定層で前記CBN砥粒群を固定して、前記CBN砥粒群と前記固定層からなる高摩擦層を形成することを特徴とする切削タップの製造方法である。
 「電解メッキ層あるいは無電解メッキ層からなる固定層」とは、電解メッキ層のみからなる固定層、無電解メッキ層のみからなる固定層、電解メッキ層と無電解メッキ層との複数メッキ層からなる固定層を含むものである。
 「CBN砥粒(立方晶窒化ホウ素砥粒)の一層形態」とは、CBN砥粒同士の重なりが殆ど無い一重形態ということである。
 切削タップの製造方法によって製造された切削タップは、付記1の切削タップと同様な効果を奏する。
[0114]
<付記7>
 前記固定層の層厚が前記CBN砥粒群の層厚の100%~120%であることを特徴とする付記6記載の切削タップの製造方法である。
 製造された切削タップは、付記2の切削タップと同様な効果を奏する。
[0115]
<付記8記載の発明>
 前記ねじ部の表面に前記下地メッキ層を形成した後、前記CBN砥粒群を仮着した仮着メッキ層を形成し、その後前記CBN砥粒群を固定する該CBN砥粒群の60%~90%を前記仮着メッキ層とで埋込形態とする埋込メッキ層を形成し、その後前記最表面メッキ層を形成し、前記仮着メッキ層と前記埋込メッキ層と前記最表面メッキ層とで前記固定層を形成してなることを特徴とする付記7、8いずれかの切削タップの製造方法である。
 「CBN砥粒群の60%~90%を埋込形態とする埋込メッキ層」とは、CBN砥粒群の60%~90%を仮着メッキ層と埋込メッキ層とで60%~90%を埋込形態とするという意味である。
 製造された切削タップは、付記3の切削タップと同様な効果を奏する。
[0116]
<付記9>
 前記最表面メッキ層の形成時に、メッキ槽内に予め浮遊された粒度が前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が、前記最表面メッキ層に分散保持されるようにしたことを特徴とする付記6~9のいずれかの切削タップの製造方法である。
 前記CBN砥粒の粒度が#2000(平均粒径7.62μm)以下であることを特徴とする付記6~8のいずれかの切削タップの製造方法である。
 製造された切削タップは、付記4の切削タップと同様な効果を奏する。
[0117]
<付記10>
 前記最表面メッキ層の形成時に、メッキ槽内に予め浮遊された粒度が前記CBN砥粒よりも微細な微細CBN砥粒が、前記最表面メッキ層に分散保持されるようにしたことを特徴とする付記6~9のいずれかの切削タップの製造方法である。
 製造された切削タップは、付記5の切削タップと同様な効果を奏する。

産業上の利用可能性

[0118]
 本発明は、タップを製造する産業、使用する産業で利用される。
 また、ドリル、リーマー、又はエンドミルを製造する産業又は使用する産業でも利用することができる。

符号の説明

[0119]
1:切削タップ、
2:シャンク部、
3:すくい面、
4:ねじ山外径部分、
5:切刃、
6:食付き部、
7:完全山部、
7a、7b:完全山刃、
8:ねじ部、
9:切屑排出溝、
10:高摩擦層、
11:工具本体、
12:硬質粒子、
13:下地メッキ層、
14:CBN砥粒、
15:CBN砥粒群、
16:仮着メッキ層、
17:最表面メッキ層、
18:固定層(固定層)、
19:ねじ山の逃げ、
20:埋込メッキ層、
21:切屑、
22:せん断、
23:切屑、
24:逃げ量、
25:マスキング、
26:ニッケル棒、
27:電着仮着メッキ槽、
28:支持容器、
29:電着埋込メッキ槽、
30:固定層(固定層)、
31:高摩擦層、
32:硬質粒子、
33:最表面メッキ層、
34:固定層、
36:高摩擦層、
39:硬質粒子突出部位、
40:硬質粒子、
41:無電解メッキ層、
42:高摩擦層、
43:切削タップ、
50:切削タップ、
51:ねじ部を形成する部位、
52:高摩擦層、
53:高摩擦層非形成部分、
55:切削タップ、
56:マスキング、
57:低摩擦層、
60:切削タップ、
70:切削タップ。

請求の範囲

[請求項1]
 切削後の切屑が接触する切屑排出溝に、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層を設けたことを特徴とする切削タップ。
[請求項2]
 切削後の切屑が接触する切屑排出溝に、切屑に対して工具本体の素材のすくい面の摩擦よりも大きい摩擦を与える高摩擦層が設けられ、ねじ部のねじ山外径部分およびフランク部分またはいずれか一方の部分が、前記高摩擦層が設けられていない高摩擦層非形成部分であることを特徴とする切削タップ。
[請求項3]
 ねじ部の全体全周または一部全周に高摩擦層を形成し、ねじ研によってフランク部分の前記高摩擦層を除去して高摩擦層無しフランク部分を形成し、ねじ研によってねじ山外径部分の前記高摩擦層を研磨して薄い高摩擦層有り外径部分を形成してなることを特徴とする切削タップ。
[請求項4]
 前記高摩擦層非形成部分に低摩擦層を設けたことを特徴とする請求項2記載の切削タップ。
[請求項5]
 前記薄い高摩擦層有り外径部分に低摩擦層を設けたことを特徴とする請求項3記載の切削タップ。
[請求項6]
 前記高摩擦層が、メッキ層に該メッキ層よりも硬い硬質粒子を含有した高摩擦層であり、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たると、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えて、前記摩擦抵抗により前記切屑のカールを小径化又は短片化を促進するようにしたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の切削タップ。
[請求項7]
 前記硬質粒子がSiC粒子とCBN粒子の混合からなるあるいはいずれか一方の硬質粒子であり、前記メッキ層が無電解メッキ層と電解メッキ層を組み合わせたメッキ層あるいはいずれか一方のメッキ層であることを特徴とする請求項6記載の切削タップ。
[請求項8]
 前記高摩擦層が、メッキ層に該メッキ層よりも硬い硬質粒子を含有した高摩擦層であり、前記メッキ層から前記硬質粒子の一部が突出した硬質粒子突出部位が形成され、前記切屑が前記すくい面に当たると、前記切屑に対して前記硬質粒子突出部位が引っ掻き作用をすることで摩擦抵抗を与えて、前記摩擦抵抗により前記切屑のカールを小径化又は短片化を促進させ、
 前記硬質粒子の大きさが5μm以下でありかつ前記メッキ層の厚みが10μm以下または、前記硬質粒子の大きさが3μm~1μmであり、かつ前記メッキ層の厚みが6μm~1μmであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の切削タップ。
[請求項9]
 前記請求項2記載の切削タップの形成方法であって、
 前記切屑排出溝が形成されている工具本体の部位に前記高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、
 ねじ研磨形成によって前記ねじ部を形成する部位にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位の高摩擦層を除去して前記高摩擦層非形成部分を形成するねじ部形成工程と、
 以上の工程を有してなることを特徴とする切削タップの形成方法。
[請求項10]
 前記請求項4記載の切削タップの形成方法であって、
 前記切屑排出溝が形成されている工具本体の部位に前記高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、
 ねじ研磨形成によって前記ねじ部を形成する部位にねじ部を形成するとともに、該ねじ部を形成する部位の高摩擦層を除去して前記高摩擦層非形成部分を形成するねじ部形成工程と、
 前記高摩擦層非形成部分に、摩擦を低減するためのねじ部低摩擦層を形成するねじ部低摩擦層形成工程と、
 以上の工程を有してなることを特徴とする切削タップの形成方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]