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1. (WO2015137429) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
Document

明 細 書

発明の名称 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

実施例

0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219  

産業上の利用可能性

0220  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体

技術分野

[0001]
 本発明は、多層フィルム、成形フィルムおよび包装体に関する。

背景技術

[0002]
 食品や医薬品等を包装するために用いられる包装袋、包装容器のような包装体において、要求される様々な性能を満足させるために、これら包装体の少なくとも一部において、複合化(多層化)された多層フィルムが多く用いられる。
[0003]
 このような包装袋や包装容器である包装体に用いられる多層フィルムには、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。すなわち、一般的には、内容物保護の観点から機械的強度に優れ、内容物の長期保管の観点から酸素や水蒸気といったガスを遮断する特性(ガスバリア性)に優れた包装材料(多層フィルム)が要求されることが多い。これら機械的強度やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中において、得られる高分子材料の結晶を配向させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
 しかしながら、上記のような多層フィルムを延伸する手法では、優れた機械的強度およびガスバリア性の他に、さらに、多層フィルムを2次元的に成形して、例えば錠剤等のワークを収納する収納部(凹部)を形成し得る優れた成形加工性を多層フィルムに付与することが非常に困難である。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2007-283569号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明の目的は、延伸工程(延伸処理)を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性との双方を備える多層フィルム、成形フィルムおよび包装体を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 このような目的は、下記(1)~(21)の本発明により達成される。
 (1) 熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、前記結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを含む単位層を複数積層してなる多層フィルムであって、
 当該多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさを有する凹部を形成したとき、当該多層フィルムの前記凹部を介したガス透過度は、10個の前記凹部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下であることを特徴とする多層フィルム。
[0008]
 (2) 前記第1の層と前記第2の層とは、当該多層フィルムの厚み方向に沿って交互に繰り返して存在している上記(1)に記載の多層フィルム。
 (3) 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、当該多層フィルムの主面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している上記(1)または(2)に記載の多層フィルム。
 (4) 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満である上記(3)に記載の多層フィルム。
[0009]
 (5) 前記第1の層は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下である上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
 (6) 前記結晶性樹脂Aは、その重量平均分子量が40,000以上、200,000以下である上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
 (7) 当該多層フィルムにおいて、前記結晶性樹脂Aの結晶に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種以上の形状で出現する上記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[0010]
 (8) 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶性を有する上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
 (9) 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶の分子鎖軸が、当該多層フィルムの主面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している上記(8)に記載の多層フィルム。
 (10) 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満である上記(9)に記載の多層フィルム。
[0011]
 (11) 当該多層フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂Bの結晶に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種以上の形状で出現する上記(8)ないし(10)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
 (12) 前記第2の層は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下である上記(8)ないし(11)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
 (13) 前記第1の層の平均層厚みをa[nm]とし、前記第2の層の平均層厚みをb[nm]としたとき、aおよびbは、a≦bなる関係を満足する上記(8)ないし(11)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[0012]
 (14) a/bは、0.10以上、1.00以下である上記(13)に記載の多層フィルム。
 (15) 前記第2の層は、その平均層厚みが50nm以上、2,000nm以下である上記(13)または(14)に記載の多層フィルム。
 (16) 前記第1の層の平均層厚みをa[nm]とし、前記第2の層の平均層厚みをb[nm]としたとき、aおよびbは、a>bなる関係を満足する上記(8)ないし(11)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[0013]
 (17) a/bは、1.00超、9.00以下である上記(16)に記載の多層フィルム。
 (18) 前記第2の層は、その平均層厚みが5nm以上、900nm以下である上記(16)または(17)に記載の多層フィルム。
 (19) 前記熱可塑性樹脂Bは、その重量平均分子量が100,000以上、400,000以下である上記(8)ないし(18)のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[0014]
 (20) 上記(1)ないし(19)のいずれか1つに記載の多層フィルムを2次成形して、当該多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより前記凹部を形成してなることを特徴とする成形フィルム。
 (21) 上記(1)ないし(19)のいずれか1つに記載の多層フィルム、または、上記(20)に記載の成形フィルムを備えることを特徴とする包装体。

発明の効果

[0015]
 本発明によれば、延伸工程を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性との双方を備える多層フィルム、ガスバリア性に優れた成形フィルム、および、かかる多層フィルムまたは成形フィルムを備える包装体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 図1は、本発明の成形フィルム(多層フィルム)を備える包装体の実施形態を示す斜視図である。
[図2] 図2は、図1中におけるA-A線断面図である。
[図3] 図3は、図1中におけるA-A線断面図である。
[図4] 図4は、図1中におけるA-A線断面図である。
[図5] 図5は、実施例6A(実施例6Bまたは実施例6C)の多層フィルムにおけるTEM断面写真である。
[図6] 図6(a)は、実施例1A(実施例1Bまたは実施例1C)の多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像であり、図6(b)は、実施例2A(実施例2Bまたは実施例2C)の多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像である。
[図7] 図7(a)は、実施例4A(実施例4Bまたは実施例4C)の多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像であり、図7(b)は、実施例5A(実施例5Bまたは実施例5C)の多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像である。
[図8] 図8(a)は、実施例1Dの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像であり、図8(b)は、実施例3Dの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本発明の多層フィルム、成形フィルムおよび包装体を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
[0018]
 本発明の多層フィルムは、熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを含む単位層を複数積層してなるフィルムである。かかる多層フィルムは、成形加工(2次成形)することなくそのまま用いることもできるし、例えば成形加工(2次成形)によりワークを収納するための収納部(凹部)を形成してなる成形フィルムとして用いることもできる。本発明では、多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの収納部(凹部)を形成したとき、当該多層フィルム(成形フィルム)の収納部を介したガス透過度(多層フィルムのガスバリア性)は、10個の収納部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下であることに特徴を有する。
[0019]
 かかる構成の多層フィルムは、延伸工程を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性との双方を備えると言える。したがって、この多層フィルムから得られる収納部を備える成形フィルム(成形体)、および、かかる成形フィルムを備える包装体は、収納部を形成するための成形加工がなされた後にも、優れたガスバリア性を発揮する。
[0020]
 以下では、まず、本発明の多層フィルムおよび成形フィルムを説明するのに先立って、本発明の成形フィルム(多層フィルム)を備える包装体について説明する。
[0021]
<包装体>
 図1は、本発明の成形フィルムを備える包装体の実施形態を示す斜視図、図2~図4は、それぞれ図1中におけるA-A線断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[0022]
 包装体100は、ブリスターパックとしてのPTPフィルム(包装容器)であり、ワークとしての錠剤(薬剤)40を収納する収納部(凹部;ポケット)20を備える成形フィルム(2次成形後の多層フィルム)1と、成形フィルム1の収納部20の開口を封止(密封)するようにして成形フィルム1に取着(重ね合わ)されたカバーフィルム30とを有している。
[0023]
 図1、2に示す成形フィルム1は、その全体形状が帯状(短冊状)をなす樹脂製のフィルム(シート)であり、このフィルムのカバーフィルム30と反対側の面から突出するように収納部20が形成されている。このようにフィルムを突出させることで、収納部20は、フィルムのカバーフィルム30側の面に、錠剤40を収納し得る凹部として構成されている。かかる構成の収納部20が、本実施形態では、成形フィルム1の長手方向に沿った4個を一列として、短手方向に沿って二列並んで、計8個設けられている。
[0024]
 また、カバーフィルム30は、その全体形状が成形フィルム1に対応するような帯状をなしており、本実施形態では、アルミニウムで構成されている。
[0025]
 なお、本実施形態では、ワークとして薬剤である錠剤40が収納部20に収納されているが、これに代えて、収納部20には、ワーク(薬剤)としてカプセル等が収納されていてもよい。以上のような構成の包装体100において、成形フィルム1は、その全体形状が帯状(フィルム状)をなす本発明の多層フィルムに、二次元的に収納部20を形成してなる。
[0026]
 以下、成形フィルム1、すなわち、2次成形後の本発明の多層フィルムについて詳述する。
[0027]
 成形フィルム1は、前述の通り、その全体形状が帯状をなす多層フィルムに収納部20を形成してなる。図2に示す通り、成形フィルム(多層フィルム)1は、熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層11と、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層12とを積層した積層体(単位層)で構成される繰り返し部15を、複数積層してなる。すなわち、成形フィルム1は、繰り返し部15を複数積層することで、結晶性樹脂Aを含有する第1の層11を、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する2つの第2の層12で挟んだ構成(構造)を備えている。
[0028]
 成形フィルム1をかかる構成とすることで、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)の成長方向が制御される。具体的には、従来の高分子材料で構成されるフィルムは、球晶を多く含み、かかる結晶は、その分子鎖軸がフィルム平面に対して垂直方向(フィルムの厚み方向)に配向した異方性結晶(On-edge)となるが、本発明では、結晶性樹脂Aは、その結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶(In-plane)のうちの少なくとも1種を含む有利な配向状態を形成することができる。なお、フィルム平面とは、成形フィルム(多層フィルム)1の主面を意味する。
[0029]
 このように成形フィルム1において、第1の層11は、結晶性樹脂Aを含有し、結晶性樹脂Aは、結晶(結晶成分)の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶(In-plane)のうちの少なくとも1種を形成している。そのため、第1の層11を水蒸気が透過すると仮定した場合、水蒸気(水分子)が透過する際に通過する経路(パス)が長くなることから、かかる構成の第1の層11を備える成形フィルム(多層フィルム)1は、延伸工程を伴うことなく、優れたガスバリア性(水蒸気バリア性)を発揮する。
[0030]
 すなわち、成形フィルム1において、第1の層11は、ガス(水蒸気)の透過を防止または抑制するガスバリア層としての機能を発揮する。
[0031]
 なお、結晶性樹脂Aの結晶の分子鎖軸は、フィルム平面に対して傾斜、および/または水平方向に配向していればよいが、水平方向に配向していることが好ましい。これにより、第1の層11を水蒸気が透過する際に通過する経路がさらに長くなるため、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
[0032]
 また、前記結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜している場合には、分子鎖軸とフィルム平面との成す最少角度が10°以上、80°以下であることが好ましい。分子鎖軸とフィルム平面との成す最少角度が前記範囲内にあることで、分子鎖がフィルム平面に垂直である場合と同様に結晶ラメラ中の結晶面を、フィルム平面に対して広範囲に分布させることができる。このように、結晶ラメラ中の結晶面が、フィルム平面に対して広範囲に分布することにより、成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
[0033]
 なお、配向した結晶の傾きは、例えば、SAXS測定から得られた結晶性樹脂Aの結晶ラメラ由来の1次元データから角度を読み取ることで確認することができる。
[0034]
 また、第1の層11中において、傾斜方向および/または平行方向に配向した結晶性樹脂Aの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満であることが好ましく、0.90以上、1.00未満であることがより好ましい。前記配向度が前記範囲内となることで、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮する。なお、この配向度(Π)は、第1の層11中に含まれる結晶性樹脂Aのうち、分子鎖軸が、成形フィルム1の平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した結晶について、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めることができる。
[0035]
 この第1の層11は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下であることが好ましく、10nm以上、500nm以下であることがより好ましく、10nm以上、100nm以下であることがさらに好ましい。
[0036]
 第1の層11の平均層厚みを、かかる範囲内に設定することで、サイズ効果による結晶(高分子結晶)の特異的な構造を形成し、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)の生長をより精密に制御することができる。そのため、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種が第1の層11中に形成されることから、熱可塑性樹脂の特徴を損なうことなく第1の層11ひいては成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
[0037]
 なお、第1の層11の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、結晶性樹脂Aの種類によっては、第1の層11中に占める結晶性樹脂Aの結晶(高分子結晶)の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第1の層11の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、また同様である。
[0038]
 なお、第1の層11の平均層厚みとは、成形フィルム1が備える全ての第1の層11の厚みの和を、成形フィルム1が備える第1の層11の総数で除した値をいう。
[0039]
 また、第1の層11の平均層厚みの標準偏差は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
[0040]
 前記標準偏差が上記のような値である場合、成形フィルム1が備える各第1の層11がほぼ均一な厚みを有すると言える。そのため、成形フィルム1が備える各第1の層11において、傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種が、確実に形成されることから、各第1の層11がそれぞれ優れたガスバリア性を発揮し、かかる第1の層11を厚み方向に沿って複数備える成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
[0041]
 また、第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aとしては、結晶性を有する熱可塑性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートのようなポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸樹脂およびポリカプロラクトン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
[0042]
 これらの中でも、結晶性樹脂Aとしては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂がより好ましく、高密度ポリエチレンがさらに好ましい。これにより、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)をより確実に配向制御することができる。そのため、第1の層11の平均層厚みを、前記範囲内に設定することで、第1の層11中において、結晶性樹脂Aの結晶を、その分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種とすることができる。
[0043]
 なお、結晶性樹脂Aとしてポリエチレン樹脂を用いる場合、ポリエチレン樹脂の結晶(結晶成分)に由来する示唆熱分析法で求めた熱融解量(ΔH)は、20J/g以上であることが好ましく、30J/g以上であることがより好ましい。ポリエチレン樹脂の結晶(結晶成分)に由来する示唆熱分析法で求めた熱融解量(ΔH)が前記数値未満である場合、ポリエチレン樹脂の結晶生長が十分ではなく、第1の層11の平均層厚みが薄い場合には、ガスバリア性の効果が低減するおそれがある。
[0044]
 また、結晶性樹脂Aの重量平均分子量は、40,000以上、200,000以下であることが好ましく、45,000以上、150,000以下であることがより好ましく、50,000以上、120,000以下であることがさらに好ましい。これにより、第1の層11の平均層厚みが前記範囲内に設定された際、すなわち、第1の層11がナノメートル領域の厚み空間に設定された際に、結晶性樹脂Aの分子運動が著しく阻害されることなく、結晶性樹脂Aの結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態および/または水平方向に配向した状態で、結晶性樹脂Aを結晶化することが可能となる。このようなことから、成形フィルム1に優れたガスバリア性を付与することができる。
[0045]
 また、第2の層12は、図2に示すように、隣接する第1の層11同士の間に介在することにより、前記第1の層11を適切な厚みに設定して、第1の層11中において、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態および/または水平方向に配向した状態で、結晶性樹脂Aを結晶化させる機能を有する。さらに、第2の層12は、平板状をなす多層フィルムの一方の面から突出するように収納部20を形成して、多層フィルムを成形フィルム1に成形加工(2次成形)する際に、多層フィルムに優れた成形加工性を付与する機能も有する。
[0046]
 したがって、前述した第1の層11同士の間に、この第2の層12が介在することで、第1の層11は、多層フィルムにおいて優れたガスバリア性を発揮するとともに、多層フィルムを、錠剤40を収納する収納部20を備える成形フィルム1に2次形成したとしても、この成形フィルム1においても前記ガスバリア性を維持することができる。すなわち、多層フィルムは、延伸工程(延伸処理)を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性との双方を備えることができ、その結果、かかる多層フィルムに収納部20を成形する成形加工を施して得られた成形フィルム1も、優れたガスバリア性を発揮することができる。
[0047]
 この第2の層12に含まれる熱可塑性樹脂Bとしては、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、上述した第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aとして挙げたものの他、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
[0048]
 また、第2の層12は、上記の通り、多層フィルムに優れた成形加工性を付与する機能を有するが、かかる機能をより顕著に発揮させるためには、熱可塑性樹脂Bは、上述した樹脂の中でも、ポリプロピレンおよびエチレン-環状オレフィンのうちの1つ以上を含むことが好ましい。
[0049]
 さらに、第2の層12において、熱可塑性樹脂Bは、第1の層11における結晶性樹脂Aと同様に、結晶性を有することが好ましく、熱可塑性樹脂Bの結晶(結晶成分)は、その分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態、および/または水平方向に配向した状態で存在していることがより好ましい。このように、第2の層12における熱可塑性樹脂Bの結晶生長が制御されることで、第2の層12におけるガスバリア性を向上させることができる。
[0050]
 また、熱可塑性樹脂Bの結晶の分子鎖軸は、フィルム平面に対して傾斜、および/または水平方向に配向していればよいが、水平方向に配向していることが好ましい。これにより、水蒸気が透過するのに通過する経路がさらに長くなるため、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
[0051]
 さらに、前記結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜している場合には、分子鎖軸とフィルム平面との成す最少角度が10°以上、80°以下であることが好ましい。分子鎖軸とフィルム平面との成す最少角度が前記範囲内にあることで、分子鎖がフィルム平面に垂直である場合と同様に結晶ラメラ中の結晶面を、フィルム平面に対して広範囲に分布させることができる。このように、結晶ラメラ中の結晶面が、フィルム平面に対して広範囲に分布することにより、成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
[0052]
 また、第2の層12中において、傾斜方向および/または平行方向に配向した熱可塑性樹脂Bの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満であることが好ましく、0.90以上、1.00未満であることがより好ましい。前記配向度が前記範囲内となることで、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮する。なお、この配向度(Π)は、第2の層12中に含まれる熱可塑性樹脂Bのうち、分子鎖軸が、成形フィルム1の平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した結晶について、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めることができる。
[0053]
 上記のように第2の層12におけるガスバリア性を向上させるには、すなわち、第2の層12における結晶生長を制御するには、第2の層12は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下であることが好ましく、10nm以上、500nm以下であることがより好ましく、10nm以上、100nm以下であることがさらに好ましい。第2の層12の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、熱可塑性樹脂Bの種類によっては、第2の層12中に占める熱可塑性樹脂Bの結晶(高分子結晶)の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第2の層12の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、同様であり、さらに、成形フィルム(多層フィルム)1の成形性が低下するおそれがある。
[0054]
 なお、第2の層12の平均層厚みを前記範囲内に設定する場合、熱可塑性樹脂Bは、ポリプロピレンおよびエチレン-環状オレフィンのうちの1つ以上を含むことが好ましい。これにより、第2の層12における結晶生長をより確実に制御することができる。
[0055]
 なお、第2の層12の平均層厚みとは、第1の層11と同様に、成形フィルム1が備える全ての第2の層12の厚みの和を、成形フィルム1が備える第2の層12の総数で除した値をいう。
[0056]
 また、第2の層12の平均層厚みの標準偏差は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
[0057]
 前記標準偏差が上記のような値である場合、成形フィルム1が備える各第2の層12がほぼ均一な厚みを有すると言える。そのため、成形フィルム1が備える各第2の層12において、傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種が、確実に形成されることから、各第2の層12がそれぞれ優れたガスバリア性を発揮し、かかる第2の層12を厚み方向に沿って複数備える成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
[0058]
 さらに、熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量は、10,000以上、400,000以下であることが好ましく、150,000以上、370,000以下であることがより好ましく、200,000以上、350,000以下であることがさらに好ましい。前記熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量が前記範囲内にあることにより、成形フィルム(多層フィルム)1のフィルム物性や成形性を阻害することなく、第2の層12における熱可塑性樹脂Bの配向および結晶化を達成することが出来る。
[0059]
 なお、前記結晶性樹脂Aの重量平均分子量が前記好ましい範囲であるときに、前記熱可塑性樹脂Bの分子量が前記好ましい範囲を満足していることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
[0060]
 なお、上記のような第1の層11および第2の層12では、それぞれ、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それらの結晶の分子鎖軸が、いずれもフィルム平面に対して傾斜、および/または水平方向に配向した異方性結晶を形成していることがより好ましく、水平方向に配向した異方性結晶を形成していることがより一層好ましい。これにより、結晶ラメラ中の結晶面が成形フィルム1の平面に対して広範囲に分布することから、さらに、より一層ガスバリア性の高い成形フィルム1とすることができる。
[0061]
 また、第1の層11および第2の層12にそれぞれ含まれる結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ、1種の単量体(モノマー)が重合したホモ(ポリマー)樹脂であってもよく、2種以上の単量体が重合した共重合樹脂(コポリマー)、または、2種類以上の前記ホモ樹脂および/もしくは共重合樹脂を含むブレンド体であってもよい。また、第1の層11および第2の層12中には、それぞれ、結晶性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの他に、各種添加剤が添加されていても良い。具体的な添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
[0062]
 なお、前述の通り、本発明では、第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aと、第2の層12に含まれる熱可塑性樹脂Bとは、異なっている。ここで、本明細書中において、「結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂B」とは、結晶性樹脂Aの化学構造と異なる化学構造を有する樹脂のことを言う。
[0063]
 典型的には、結晶性樹脂Aの化学構造が含む単量体の繰り返し構造と、熱可塑性樹脂Bの化学構造が含む単量体の繰り返し構造が異なる場合には、熱可塑性樹脂Bは「結晶性樹脂Aと異なる」樹脂である。また、結晶性樹脂Aの繰り返し構造と熱可塑性樹脂Bの繰り返し構造とが同一であっても、かかる繰り返し構造の化学構造中の重量比率、または、繰り返し構造以外に含まれる他の構造が、結晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとにおいて異なる場合にも、熱可塑性樹脂Bは「結晶性樹脂Aとは異なる」樹脂である。
[0064]
 さらに、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bが2種類以上の樹脂(前記ホモ樹脂および/もしくは共重合樹脂)のブレンド体であるとき、ブレンド体を構成する樹脂の種類が同一であっても、結晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとにおいて、ブレンド体を構成する樹脂の配合比率が異なる場合にも、熱可塑性樹脂Bは結晶性樹脂Aの化学構造と異なる化学構造を有する樹脂として考えることができ、「結晶性樹脂Aとは異なる」樹脂である。
[0065]
 また、結晶性樹脂Aと、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bとの組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂と、ポリプロピレンおよびエチレン-環状オレフィンのうちの1つ以上との組み合わせであることが好ましく、ポリエチレン樹脂と、ポリプロピレンおよびエチレン-環状オレフィンのうちの1つ以上との組み合わせであることがより好ましく、高密度ポリエチレンと、ポリプロピレンおよびエチレン-環状オレフィンのうちの1つ以上との組み合わせであることがさらに好ましい。
[0066]
 このような組み合わせとすることで、前述したような効果がより顕著に発揮されるため、より一層厳密な結晶生長制御および配向制御が可能となり、より優れたガスバリア性とともに、より優れた成形性を有する成形フィルム1を得ることができる。特に、高密度ポリエチレンと、ポリプロピレンとの組み合わせでは、第1の層11と第2の層12との界面において、これらが互いに接触し、これが起点として、第1の層11および第2の層12における結晶形成を促進させることができる。また、このように、双方の結晶が第1の層11と第2の層12との界面において形成されるため、得られる成形フィルム1は、前記界面で優れた密着性を発揮する。
[0067]
 さらに、成形フィルム(多層フィルム)1全体に対する、第1の層11の重量比率は、特に限定されないが、10wt%以上、90wt%以下であることが好ましく、20wt%以上、80wt%以下であることがより好ましい。換言すれば、成形フィルム1の厚みをA[nm]とし、成形フィルム1が備える全ての第1の層11の厚みの和をB[nm]としたとき、B/Aが、0.1以上、0.9以下であることが好ましく、0.2以上、0.8以下であることがより好ましい。
[0068]
 成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率を前記範囲内に設定することにより、第1の層11中において、確実に結晶生長制御および配向制御がなされることとなる。なお、成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率が前記下限値未満の場合、結晶性樹脂Aの種類によっては、結晶の配向制御が十分ではなく、ガスバリア性向上の効果が低減するおそれがある。また、成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率が前記上限値より大きい場合でも同様である。
[0069]
 ここで、本発明の多層フィルムでは、図3に示すように、第1の層11の平均層厚みをa[nm]とし、第2の層12の平均層厚みをb[nm]としたとき、aおよびbが、a≦bなる関係を満足するように設定することができる。かかる関係を満足すること、すなわち、第1の層11の平均層厚みaを、第2の層12の平均層厚みbと等しいか、第2の層12の平均層厚みbよりも薄くすることにより、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)の成長方向を制御することができる。このため、第1の層11中において、結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を容易に形成することができるようになる。
[0070]
 その結果、多層フィルムは、延伸工程を伴うことなく、優れたガスバリア性を確実に発揮する。さらに、第2の層12は、第1の層11に対して十分な厚みを有するので、成形加工(2次成形)により多層フィルムに収納部20を形成して成形フィルム1を製造する場合に、多層フィルムに優れた成形加工性を確実に付与することができる。そのため、成形フィルム1は、多層フィルムが備える高いガスバリア性を好適に維持することができる。
[0071]
 また、一般に、第1の層11および第2の層12の合計積層数を少なくすると、第1の層11中における結晶性樹脂Aの異方性結晶の配向度が低下する傾向を示すが、a≦bなる関係を満足ことにより、配向度の低下を防止または抑制することができる。このため、第1の層11および第2の層12の合計積層数を少なくしたとしても、多層フィルムひいては成形フィルム1に、高いガスバリア性を付与することができる。換言すれば、第1の層11および第2の層12の合計積層数が少ない多層フィルム(成形フィルム1)を作製する場合に、a≦bなる関係を満足するように設定するのが好ましい。
[0072]
 このように、第1の層の平均層厚みa[nm]と、第2の層の平均層厚みb[nm]とは、a≦bなる関係を満足するように設定することができるが、比率(a/b)の関係で示すと、a/bは、0.10以上、1.00以下であることが好ましく、0.43以上、1.00以下であることがより好ましい。これにより、前述したa≦bなる関係を満足することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
[0073]
 かかる関係を満足して、第2の層12に上述した機能を発揮させつつ、第2の層12におけるガスバリア性をも向上させるには、第2の層12は、その平均層厚みが50nm以上、2000nm以下であることが好ましく、50nm以上、1,000nm以下であることがより好ましく、50nm以上、200nm以下であることがさらに好ましい。第2の層12の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、熱可塑性樹脂Bの種類によっては、第2の層12中に占める熱可塑性樹脂Bの結晶(高分子結晶)の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第2の層12の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、同様であり、さらに、成形フィルム(多層フィルム)1の成形性が低下するおそれがある。
[0074]
 また、本発明の多層フィルムでは、図4に示すように、第1の層11の平均層厚みをa[nm]とし、第2の層12の平均層厚みをb[nm]としたとき、a>bなる関係を満足するように設定することもできる。かかる関係を満足すること、すなわち、第1の層11の平均層厚みaを、第2の層12の平均層厚みbよりも厚くすることにより、第1の層11の厚みを十分に確保することができるため、成形加工(2次成形)により多層フィルムに収納部20を成形して成形フィルム1とする際に、第1の層11は、収納部20を形成することで生じる屈曲部25において破断されることを防止して、ガスバリア性の機能を発揮するのに十分な厚みを保持することができる。また、第1の層11中において、結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成する。
[0075]
 その結果、多層フィルムは、延伸工程を伴うことなく、優れたガスバリア性を確実に発揮する。さらに、第2の層12は、成形加工により多層フィルムに収納部20を形成して成形フィルム1を製造する場合に、多層フィルムに優れた成形加工性を付与することができる。そのため、成形加工後の成形フィルム1は、多層フィルムが備えるガスバリア性を確実に維持することができる。
[0076]
 このように、第1の層の平均層厚みa[nm]と、第2の層の平均層厚みb[nm]とは、a>bなる関係を満足するように設定することができるが、比率(a/b)の関係で示すと、a/bは、1.00超、9.00以下であることが好ましく、1.00超、2.33以下であることがより好ましい。これにより、前述したa>bなる関係を満足することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
[0077]
 また、第1の層11の平均層厚みを、前述した範囲内に設定することで、屈曲部25において、第1の層11が破断されることをより確実に防止して、ガスバリア性の機能を発揮するのに十分な厚みが良好に保持されることとなる。なお、第1の層11の平均層厚みが前記下限値より薄い場合には、前述したような不都合に加えて、成形フィルム(多層フィルム)1の成形性が低下するおそれがある。すなわち、成形加工(2次成形)時の条件等によっては、屈曲部25において、第1の層11が破断して、ガスバリア性の機能が十分に発揮することができないおそれがある。
[0078]
 かかる関係を満足して、第2の層12に上述した機能を発揮させつつ、第2の層12におけるガスバリア性をも向上させるには、第2の層12は、その平均層厚みが5nm以上、900nm以下であることが好ましく、5nm以上、100nm以下であることがより好ましい。第2の層12の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、熱可塑性樹脂Bの種類によっては、第2の層12中に占める熱可塑性樹脂Bの結晶(高分子結晶)の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第2の層12の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、同様であり、さらに、成形フィルム(多層フィルム)1の成形性が低下するおそれがある。
[0079]
 また、成形フィルム1は、第1の層11と第2の層12とが積層された積層体(単位層)で構成される繰り返し部15を、複数積層してなるものであるが、この繰り返し部15の数は、特に限定されないが、10以上、10,000以下であることが好ましく、100以上、5,000以下であることがより好ましい。成形フィルム1が有する繰り返し部15の数が前記範囲内である場合、さらに、第1の層11の平均層厚みを前記範囲内とすることにより、結晶性樹脂Aの結晶成分の生長をより精密に制御できるため、より確実にガスバリア性の高いフィルムを得ることができる。
[0080]
 特に、成形フィルム(多層フィルム)1が100nm以下の第1の層11を100層以上含む場合には、成形フィルム1のガスバリア性をさらに向上させることができ、さらに、成形フィルム1が100nm以下の第1の層11を1,000層以上含む場合には、成形フィルム1のガスバリア性を特に向上させることができる。なお、上限値は特に設定されないが、10,000層以下であることが好ましい。
[0081]
 さらに、成形フィルム1の全体の厚み(総厚み)も、特に限定されないが、例えば、1μm以上、1,000μm以下であることが好ましく、50μm以上、500μm以下であることがより好ましく、100μm以上、250μm以下であることがさらに好ましい。成形フィルム1全体の厚みが、前記下限値未満では、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、皺が入りやすいなど取り扱い性が悪くなるおそれがある。また、成形フィルム1全体の厚みが前記上限値より厚い場合には、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、成膜が困難であったり、層の数が多くなりすぎるため生産効率が悪くなったり、厚みが大きすぎるため加工時等に取り扱い性が悪くなるおそれがある。
[0082]
 本発明では、多層フィルムを、上記のような第1の層11と第2の層12とを積層した積層体(単位層)で構成される繰り返し部15を、複数積層してなる構成とすることにより、前述の通り、収納部20を成形した後の成形フィルム1も、優れたガスバリア性を発揮する。この成形フィルム1のガスバリア性(水蒸気バリア性)は、成形フィルム1を水蒸気(ガス)が透過する水蒸気透過度(ガス透過度)で規定することができる。具体的には、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさを有する収納部(凹部)20を形成したとき、かかる収納部20を備える成形フィルム1は、その収納部20を介した水蒸気透過度が、10個の収納部20あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下となる。すなわち、収納部20が形成された成形フィルム1を得るために用いられる多層フィルムは、ガスバリア性と成形加工性との双方の特性を併せ持つものと言うことができる。
[0083]
 また、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさを有する収納部20が形成された成形フィルム1の収納部20を介した水蒸気透過度は、10個の収納部20あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下であればよいが、10個の収納部20あたり5.0mg/day(40℃・90%RH)以下であることが好ましく、10個の収納部20あたり2.0mg/day(40℃・90%RH)以下であることがより好ましい。
[0084]
 なお、この水蒸気透過度は、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法により測定される。
[0085]
 また、この成形フィルム1は、収納部20を形成する前のガスバリア性、すなわち多層フィルムのガスバリア性(水蒸気透過度)が、厚み100μmあたり1.5g/m ・day(40℃・90%RH)以下であることが好ましく、厚み100μmあたり0.5g/m ・day(40℃・90%RH)以下であることがより好ましい。収納部20を形成する前のガスバリア性が前記範囲内の多層フィルムを用いることで、収納部20を形成した後の成形フィルム1も、優れたガスバリア性を発揮することができる。
[0086]
 なお、成形フィルム(多層フィルム)1では、第1の層11において結晶性樹脂Aが結晶化し、第2の層12において熱可塑性樹脂Bが結晶化することが好ましいが、これら結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの結晶(結晶成分)の配向状態は、X線回折により、以下のようにして、評価することができる。
[0087]
 すなわち、成形フィルム1において、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの少なくとも一方の結晶(結晶成分)に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種類以上の形状で出現した場合、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの少なくとも一方は、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成しており、結晶(結晶成分)が高い配向度で配向していると言える。したがって、主に、円周方向(Φ)に強度分布を有する円状にX線回折像が出現する、球晶を多く含む従来の高分子材料で構成されるフィルムよりも、優れたガスバリア性を成形フィルム1が発揮する。
[0088]
 なお、結晶性樹脂Aの結晶(結晶成分)に由来するX線回折像が、いずれも円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種類以上の形状で出現するとともに、さらに熱可塑性樹脂Bの結晶(結晶成分)に由来するX線回折像が、いずれも円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種類以上の形状で出現することがより好ましい。これにより、球晶を多く含む従来の高分子材料で構成されるフィルムよりも、より一層優れたガスバリア性を成形フィルム1が発揮する。
[0089]
 なお、本実施形態では、複数の繰り返し部(単位層)15を、厚み方向に沿って第1の層11と第2の層12とが交互に繰り返して存在するように積層してなる成形フィルム(多層フィルム)1、すなわち、第1の層11と、この第1の層11の一方の面側に位置する第2の層12とを有する積層体(単位層)が繰り返し複数積層してなる成形フィルム(多層フィルム)1について説明した。しかしながら、成形フィルム(多層フィルム)1では、繰り返し部15は、本発明の効果を阻害しない範囲で、結晶性樹脂Aを有する第1の層11および熱可塑性樹脂Bを有する第2の層12以外の層として、例えば、熱可塑性樹脂Cを含有する第3の層を有しても良い。
[0090]
 繰り返し部15が、例えば、結晶性樹脂Aを含有する第1の層11(A層)、熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層12(B層)、熱可塑性樹脂Cを含有する第3の層(C層)の3種類の層を含む場合、繰り返し部15は、A層、B層およびC層のそれぞれを少なくとも1層含んでいればよく、例えば、B層、A層およびC層をこの順で積層したBAC積層体(単位層)や、A層、C層、A層およびB層をこの順で積層したACAB積層体(単位層)で構成することができる。この場合、成形フィルム1は、これらを繰り返し部15として含み、例えば、(BAC積層体)nおよびB層-(ACAB積層体)n等の様に規則的順列で積層されていることがより好ましい。ここで、nは繰り返し部15(単位層)の数である。
[0091]
 以上のような成形フィルム1は、例えば、平板状をなす本発明の多層フィルムを用意した後、この多層フィルムを2次形成して、多層フィルムをその厚み方向に変形させ、その一方の面から突出する収納部20を形成することにより得ることができる。
[0092]
 なお、多層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法などの共押出Tダイ法、空冷式または水冷式共押出インフレーション法が挙げられる。なかでも、多層フィルムの製造方法としては、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚み制御に優れる点で特に好ましい。
[0093]
 また、上記のような製造方法で得られた多層フィルム中において、結晶性樹脂Aおよび/または熱可塑性樹脂Bの結晶化を促す方法としては、特に限定されないが、製造直後の多層フィルム(フィルム状の積層物)を徐冷する方法が好ましい。徐冷による方法によれば、結晶性樹脂Aおよび/または熱可塑性樹脂Bの結晶化速度を最適化することができ、第1の層11および/または第2の層12中において、結晶性樹脂Aおよび/または熱可塑性樹脂Bの結晶配向が進行し、その結果、よりガスバリア性の優れた多層フィルムを作製することができる。
[0094]
 また、多層フィルムに収納部20を形成する方法、すなわち、多層フィルムを2次成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、多層フィルムを真空成型または圧空成形、プラグ成形等する方法が挙げられる。
[0095]
 なお、本実施形態では、図2~図4に示すように、錠剤40は、タブレット状をなし、さらに、この錠剤40を収納すべき収納部20は、錠剤40の形状に対応して、図1に示すように、その全体形状が円錐台状で、その平面視形状が円形状をなしている。しかしながら、収納すべき錠剤40等のワークの形状に対応して、収納部20は、例えば、その平面視形状が、三角形、四角形、五角形、六角形のような多角形状や、長円形状等をなしていてもよい。
[0096]
 また、本実施形態では、成形フィルム1が収納部20を8個備えているが、収納部20の数は、これに限定されず、1個以上であればよい。
[0097]
 以上、本発明の多層フィルム、成形フィルムおよび包装体について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[0098]
 例えば、本発明の多層フィルムおよび成形フィルムには、同様の機能を発揮し得る、任意の層が追加されていてもよい。
[0099]
 さらに、本発明の包装体において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
[0100]
 また、前記実施形態では、収納部を備える成形フィルムにカバーフィルムを重ね合わせることで包装体としたが、これに限定されず、包装体は、例えば、2つの多層フィルムを重ね合わせた状態で縁部を熱圧着することで袋体とし、この袋体の内部に、ワークとして食肉、加工肉および青果物等の食材、または、注射針、シリンジ、検査キットおよびカテーテル等の医療器具を収納する包装袋等であってもよい。
実施例
[0101]
 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[0102]
 1A.多層または単層フィルムおよび成形フィルムの製造
 1A-1.多層または単層フィルムの製造
 (実施例1A)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m 、重量平均分子量:63,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m 、重量平均分子量:214,000)を、それぞれ、用意した。
[0103]
 上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を、それぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40-28型番」)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、フィルム状の積層物を形成した。その後、この積層物を145℃で熱処理(アニール処理)することで除冷した。これにより、第1の層と第2の層とが交互に存在し、これらが合計で33層積層された多層フィルムを作製した。ここで、第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:4になるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整した。
 なお、多層フィルムの厚みは80μmであった。
[0104]
 (実施例2A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が65層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例2Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0105]
 (実施例3A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が129層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例3Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0106]
 (実施例4A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例4Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0107]
 (実施例5A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例5Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0108]
 (実施例6A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が1025層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例6Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0109]
 (実施例7A)
 第1の層と第2の層との合計積層数が4097層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Aと同様の設備・条件で実施例7Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0110]
 (実施例8A)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=3:7となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Aと同様の設備・条件で実施例8Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0111]
 (実施例9A)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Aと同様の設備・条件で実施例9Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0112]
 (実施例10A)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例6Aと同様の設備・条件で実施例10Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0113]
 (実施例11A)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=7:3となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Aと同様の設備・条件で実施例11Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0114]
 (実施例12A)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=4:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Aと同様の設備・条件で実施例12Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0115]
 (実施例13A)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(旭化成ケミカルズ社製、「T4750」、密度:950kg/m 、重量平均分子量:53,000)を用いた以外は、前記実施例4Aと同様の設備・条件で実施例13Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0116]
 (実施例14A)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6500」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:84,500)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR3500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:210,000)を用いた以外は、前記実施例4Aと同様の設備・条件で実施例14Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0117]
 (実施例15A)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6800」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:120,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR4500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:330,000)を用いた以外は、前記実施例4Aと同様の設備・条件で実施例15Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0118]
 (実施例16A)
 第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてノルボルネン・エチレン共重合樹脂(NB・E)(ノルボルネン:エチレン=4:1(重量比))(ポリプラスチック社製、「TOPAS6013」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:83,300)を用いた以外は、前記実施例4Aと同様の設備・条件で実施例16Aの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0119]
 (比較例1A)
 実施例14Aで結晶性樹脂Aとして用いたポリカプロラクトンのみを用いて、実施例1Aと同様の条件で単層フィルムを作製した。
[0120]
 1A-2.成形フィルムの製造
 実施例1A~16Aの多層フィルムおよび比較例1Aの単層フィルムに対して、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP-300E」)を用いて、長手方向に沿った5個を一列として、短手方向に沿って二列並ぶように、計10個の収納部(φ10.0mm×4.5mm)を形成した。これにより、実施例1A~16Aおよび比較例1Aの成形フィルムを製造した。
[0121]
 2A.評価
 2A-1.多層および単層フィルムの評価
 実施例1A~16Aの多層フィルムおよび比較例1Aの単層フィルムについて、積層数、異方性結晶の有無、X線散乱測定による結晶構造、水蒸気バリア性、配向度の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
[0122]
 <積層数、異方性結晶の有無>
 実施例1A~16Aの多層フィルムおよび比較例1Aの単層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、日本電子(株)製のJSM-7500FAを用いて、フィルム断面を1,000~100,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成(第1の層、第2の層における傾斜方向におよび/または水平方向に配向した異方性結晶の有無)および層数を測定した。
 なお、図5に、実施例6Aの多層フィルムにおけるTEM断面写真を示す。
[0123]
 <X線散乱測定による結晶構造>
 実施例1A~16Aの多層フィルムおよび比較例1Aの単層フィルムを、(株)リガク製のX線回折装置「NANO Viewer」を用いて評価した。
[0124]
 なお、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)に、それぞれ、実施例1A、2A、4Aおよび5Aの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像を示す。
[0125]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1A~16Aの多層フィルムおよび比較例1Aの単層フィルムの水蒸気バリア性は、MOCON製の「PERMATRAN-W(登録商標)3/33」を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
[0126]
 <配向度>
 異方性結晶の存在が確認された層における配向度(Π)を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めた。
[0127]
 2A-2.成形フィルムの評価
 実施例1A~16Aおよび比較例1Aの成形フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を行った。以下に、この評価方法について説明する。
[0128]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1A~16Aおよび比較例1Aの成形フィルムの水蒸気バリア性は、次のようにして行った。まず、各成形フィルムが有する10個の収納部に、それぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した後、アルミニウム製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封して、包装体を得た。この包装体を40℃・90%RHの雰囲気下に24時間放置した後、包装体を開封してゼオライトを取り出した。その後、ゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて、収納部を介して成形フィルムを透過した水蒸気量(水蒸気透過度)を求めることで、各成形フィルムの水蒸気バリア性を評価した。
 以上の実施例1A~16Aおよび比較例1Aの評価結果を表1に示す。
[0129]
[表1]


[0130]
 表1から明らかなように、実施例1A~16Aの多層フィルムでは、いずれも収納部を形成した成形フィルムにおいて、10個の収納部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下の水蒸気透過度(水蒸気バリア性)を示した。
[0131]
 なお、実施例1Aおよび2Aの多層フィルムでは、図6(a)および図6(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する円弧状の形状で出現しており、実施例4Aおよび5Aの多層フィルムでは、図7(a)および図7(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する点状の形状で出現していた。
[0132]
 また、実施例6Aの多層フィルムでは、図5に示すように、第1の層と第2の層との双方において、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶の存在が認められた。
[0133]
 これに対して、比較例1Aの単層フィルムでは、収納部を形成した成形フィルムにおいて、10個の収納部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)を大きく超える水蒸気透過度(水蒸気バリア性)を示し、比較例1Aの成形フィルムは、実施例1A~16Aの成形フィルムと比較して、水蒸気バリア性に劣る結果となった。
[0134]
 1B.多層または単層フィルムおよび成形フィルムの製造
 1B-1.多層または単層フィルムの製造
 (実施例1B)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m 、重量平均分子量:63,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m 、重量平均分子量:214,000)を、それぞれ、用意した。
[0135]
 上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を、それぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40-28型番」)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、フィルム状の積層物を形成した。その後、この積層物を145℃で熱処理(アニール処理)することで除冷した。これにより、第1の層と第2の層とが交互に存在し、これらが合計で33層積層された多層フィルムを作製した。ここで、第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:4になるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整した。
 なお、多層フィルムの厚みは80μmであった。
[0136]
 (実施例2B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が65層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例2Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0137]
 (実施例3B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が129層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例3Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0138]
 (実施例4B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例4Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0139]
 (実施例5B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例5Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0140]
 (実施例6B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が1025層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例6Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0141]
 (実施例7B)
 第1の層と第2の層との合計積層数が4097層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Bと同様の設備・条件で実施例7の多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0142]
 (実施例8B)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=3:7となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Bと同様の設備・条件で実施例8Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0143]
 (実施例9B)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Bと同様の設備・条件で実施例9Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0144]
 (実施例10B)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例6Bと同様の設備・条件で実施例10Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0145]
 (実施例11B)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=7:3となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Bと同様の設備・条件で実施例11Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0146]
 (実施例12B)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=4:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Bと同様の設備・条件で実施例12Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0147]
 (実施例13B)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(旭化成ケミカルズ社製、「T4750」、密度:950kg/m 、重量平均分子量:53,000)を用いた以外は、前記実施例4Bと同様の設備・条件で実施例13Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0148]
 (実施例14B)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6500」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:84,500)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR3500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:210,000)を用いた以外は、前記実施例4Bと同様の設備・条件で実施例14Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0149]
 (実施例15B)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6800」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:120,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR4500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:330,000)を用いた以外は、前記実施例4Bと同様の設備・条件で実施例15Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0150]
 (実施例16B)
 第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてノルボルネン・エチレン共重合樹脂(NB・E)(ノルボルネン:エチレン=4:1(重量比))(ポリプラスチック社製、「TOPAS6013」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:83,300)を用いた以外は、前記実施例4Bと同様の設備・条件で実施例16Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0151]
 (比較例1B)
 実施例14Bで結晶性樹脂Aとして用いたポリカプロラクトンのみを用いて、実施例1Bと同様の条件で単層フィルムを作製した。
[0152]
 (比較例2B)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)(三菱化学社製、「GM700Z」、密度:1,400kg/m 、重量平均分子量:18,000)を用いた以外は、前記実施例4Bと同様の設備・条件で比較例2Bの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0153]
 1B-2.成形フィルムの製造
 実施例1B~16Bおよび比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1Bの単層フィルムに対して、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP-300E」)を用いて、長手方向に沿った5個を一列として、短手方向に沿って二列並ぶように、計10個の収納部(φ10.0mm×4.5mm)を形成した。これにより、実施例1B~16Bおよび比較例1B~2Bの成形フィルムを製造した。
[0154]
 2B.評価
 2B-1.多層および単層フィルムの評価
 実施例1B~16Bおよび比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1Bの単層フィルムについて、積層数、異方性結晶の有無、X線散乱測定による結晶構造、水蒸気バリア性、配向度の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
[0155]
 <積層数、異方性結晶の有無>
 実施例1B~16Bおよび比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1Bの単層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、日本電子(株)製のJSM-7500FAを用いて、フィルム断面を1,000~100,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成(第1の層、第2の層における傾斜方向におよび/または水平方向に配向した異方性結晶の有無)および層数を測定した。
 なお、図5に、実施例6Bの多層フィルムにおけるTEM断面写真を示す。
[0156]
 <X線散乱測定による結晶構造>
 実施例1B~16Bおよび比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1Bの単層フィルムを、(株)リガク製のX線回折装置「NANO Viewer」を用いて評価した。
[0157]
 なお、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)に、それぞれ、実施例1B、2B、4Bおよび5Bの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像を示す。
[0158]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1B~16Bおよび比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1Bの単層フィルムの水蒸気バリア性は、MOCON製の「PERMATRAN-W(登録商標)3/33」を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
[0159]
 <配向度>
 異方性結晶の存在が確認された層における配向度(Π)を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めた。
[0160]
 2B-2.成形フィルムの評価
 実施例1B~16Bおよび比較例1B~2Bの成形フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を行った。以下に、この評価方法について説明する。
[0161]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1B~16Bおよび比較例1B~2Bの成形フィルムの水蒸気バリア性は、次のようにして行った。まず、各成形フィルムが有する10個の収納部に、それぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した後、アルミニウム製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封して、包装体を得た。この包装体を40℃・90%RHの雰囲気下に24時間放置した後、包装体を開封してゼオライトを取り出した。その後、ゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて、収納部を介して成形フィルムを透過した水蒸気量(水蒸気透過度)を求めることで、各成形フィルムの水蒸気バリア性を評価した。
 以上の実施例1B~16Bおよび比較例1B~2Bの評価結果を表2に示す。
[0162]
[表2]


[0163]
 表2から明らかなように、実施例1B~16Bの多層フィルムでは、いずれも少なくとも第1の層において、結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した異方性結晶を形成していた。これに起因して、実施例1B~16Bの多層フィルムは、いずれも優れた水蒸気バリア性を発揮した。また、収納部が形成された実施例1B~16Bの成形フィルムにおいても、実施例1B~16Bの多層フィルムと同様の傾向を示した。
[0164]
 なお、実施例1Bおよび2Bの多層フィルムでは、図6(a)および図6(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する円弧状の形状で出現しており、実施例4Bおよび5Bの多層フィルムでは、図7(a)および図7(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する点状の形状で出現していた。
[0165]
 また、実施例6Bの多層フィルムでは、図5に示すように、第1の層と第2の層との双方において、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶の存在が認められた。
[0166]
 これに対して、比較例1Bの単層フィルムでは、結晶の分子鎖軸が、単層フィルム平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した異方性結晶を認めることができなかった。また、比較例2Bの多層フィルムでは、第1の層および第2の層の双方において、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した異方性結晶を認めることができなかった。これに起因して、比較例1Bの単層フィルム、比較例2Bの多層フィルムおよび比較例1B~2Bの成形フィルムは、実施例1B~16Bの多層フィルムおよび成形フィルムと比較して、水蒸気バリア性に劣る結果となった。
[0167]
 1C.多層フィルムおよび成形フィルムの製造
 1C-1.多層フィルムの製造
 (実施例1C)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m 、重量平均分子量:63,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m 、重量平均分子量:214,000)を、それぞれ、用意した。
[0168]
 上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を、それぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40-28型番」)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、フィルム状の積層物を形成した。その後、この積層物を145℃で熱処理(アニール処理)することで除冷した。これにより、第1の層と第2の層とが交互に存在し、これらが合計で33層積層された多層フィルムを作製した。ここで、第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:4になるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整した。
 なお、多層フィルムの厚みは80μmであった。
[0169]
 (実施例2C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が65層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例2Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0170]
 (実施例3C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が129層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例3Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0171]
 (実施例4C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例4Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0172]
 (実施例5C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が257層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例5Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
[0173]
 (実施例6C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が1025層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例6Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0174]
 (実施例7C)
 第1の層と第2の層との合計積層数が4097層となるように、押出機を調整したこと以外は、前記実施例1Cと同様の設備・条件で実施例7Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0175]
 (実施例8C)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=3:7となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Cと同様の設備・条件で実施例8Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0176]
 (実施例9C)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例7Cと同様の設備・条件で実施例9Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0177]
 (実施例10C)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例6Cと同様の設備・条件で実施例10Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0178]
 (実施例11C)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(旭化成ケミカルズ社製、「T4750」、密度:950kg/m 、重量平均分子量:53,000)を用いた以外は、前記実施例4Cと同様の設備・条件で実施例11Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0179]
 (実施例12C)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6500」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:84,500)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR3500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:210,000)を用いた以外は、前記実施例4Cと同様の設備・条件で実施例12Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0180]
 (実施例13C)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6800」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:120,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR4500」、密度:1,060kg/m 、重量平均分子量:330,000)を用いた以外は、前記実施例4Cと同様の設備・条件で実施例13Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0181]
 (実施例14C)
 第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてノルボルネン・エチレン共重合樹脂(NB・E)(ノルボルネン:エチレン=4:1(重量比))(ポリプラスチック社製、「TOPAS6013」、密度:1,020kg/m 、重量平均分子量:83,300)を用いた以外は、前記実施例4Cと同様の設備・条件で実施例14Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0182]
 (比較例1C)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=7:3となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例12Cと同様の設備・条件で比較例1Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0183]
 (比較例2C)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=4:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例12Cと同様の設備・条件で比較例2Cの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
[0184]
 1C-2.成形フィルムの製造
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの多層フィルムに対して、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP-300E」)を用いて、長手方向に沿った5個を一列として、短手方向に沿って二列並ぶように、計10個の収納部(φ10.0mm×4.5mm)を形成した。これにより、実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの成形フィルムを製造した。
[0185]
 2C.評価
 2C-1.多層フィルムの評価
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの多層フィルムについて、積層数、異方性結晶の有無、X線散乱測定による結晶構造、水蒸気バリア性、配向度の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
[0186]
 <積層数、異方性結晶の有無>
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの多層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、日本電子(株)製のJSM-7500FAを用いて、フィルム断面を1,000~100,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成(第1の層、第2の層における傾斜方向におよび/または水平方向に配向した異方性結晶の有無)および層数を測定した。
 なお、図5に、実施例6Cの多層フィルムにおけるTEM断面写真を示す。
[0187]
 <X線散乱測定による結晶構造>
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの多層フィルムを、(株)リガク製のX線回折装置「NANO Viewer」を用いて評価した。
[0188]
 なお、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)に、それぞれ、実施例1C、2C、4Cおよび5Cの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像を示す。
[0189]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの多層フィルムの水蒸気バリア性は、MOCON製の「PERMATRAN-W(登録商標)3/33」を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
[0190]
 <配向度>
 異方性結晶の存在が確認された層における配向度(Π)を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めた。
[0191]
 2C-2.成形フィルムの評価
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの成形フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を行った。以下に、この評価方法について説明する。
[0192]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの成形フィルムの水蒸気バリア性は、次のようにして行った。まず、各成形フィルムが有する10個の収納部に、それぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した後、アルミニウム製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封して、包装体を得た。この包装体を40℃・90%RHの雰囲気下に24時間放置した後、包装体を開封してゼオライトを取り出した。その後、ゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて、収納部を介して成形フィルムを透過した水蒸気量(水蒸気透過度)を求めることで、各成形フィルムの水蒸気バリア性を評価した。
 以上の実施例1C~14Cおよび比較例1C~2Cの評価結果を表3に示す。
[0193]
[表3]


[0194]
 表3から明らかなように、実施例1C~14Cの多層フィルムでは、いずれも第1の層の平均層厚みa[nm]と第2の層の平均層厚みb[nm]とがa≦bなる関係を満足することにより、少なくとも第1の層において、結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向および/または水平方向に高い配向度で配向した異方性結晶を形成した。これに起因して、実施例1C~14Cの多層フィルムは、いずれも優れた水蒸気バリア性を発揮した。また、収納部が形成された実施例1C~14Cの成形フィルムにおいても、多層フィルムと同様の傾向を示した。
[0195]
 なお、実施例1Cおよび2Cの多層フィルムでは、図6(a)および図6(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する円弧状の形状で出現しており、実施例4Cおよび5Cの多層フィルムでは、図7(a)および図7(b)に示すように、それぞれ高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が、円周方向に強度分布を有する点状の形状で出現していた。
[0196]
 また、実施例6Cの多層フィルムでは、図5に示すように、第1の層と第2の層との双方において、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶の存在が認められた。
[0197]
 これに対して、比較例1C~2Cの多層フィルムでは、a≦bなる関係を満足しないことに起因して、第1の層において、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向および/または水平方向に配向した異方性結晶が認められるものの、異方性結晶の配高度が低かった。これに起因して、比較例1C~2Cの多層フィルムおよび成形フィルムは、実施例1C~14Cの多層フィルムおよび成形フィルムと比較して、水蒸気バリア性に劣る結果となった。
[0198]
 1D.多層フィルムおよび成形フィルムの製造
 1D-1.多層フィルムの製造
 (実施例1D)
 第1の層を構成するための結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m 、重量平均分子量:63,000)を、第2の層を構成するための熱可塑性樹脂Bとしてポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m 、重量平均分子量:214,000)を、それぞれ、用意した。
[0199]
 上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を、それぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40-28型番」)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、フィルム状の積層物を形成した。その後、この積層物を145℃で熱処理(アニール処理)することで除冷した。これにより、第1の層と第2の層とが交互に存在し、これらが合計で1027層積層された多層フィルムを作製した。ここで、第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=3:2になるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0200]
 (実施例2D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=7:3となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例2Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0201]
 (実施例3D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=4:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例3Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0202]
 (実施例4D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=9:1となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例4Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0203]
 (実施例5D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=9.5:0.5となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例5Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0204]
 (実施例6D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=1:4となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例6Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0205]
 (実施例7D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みYをA:B=3:7となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例7Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0206]
 (実施例8D)
 第1の層の合計厚みX:第2の層の合計厚みY=2:3となるように、押出機における高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂の吐出量を調整したこと以外は、前記実施例1Dと同様の設備・条件で実施例8Dの多層フィルムを作製した。
 なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
[0207]
 1D-2.成形フィルムの製造
 実施例1D~8Dの多層フィルムに対して、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP-300E」)を用いて、長手方向に沿った5個を一列として、短手方向に沿って二列並ぶように、計10個の収納部(φ10.0mm×4.5mm)が形成された実施例1D~8Dの成形フィルムを製造した。
[0208]
 2D.評価
 2D-1.多層フィルムの評価
 実施例1D~8Dの多層フィルムについて、積層数、異方性結晶の有無、X線散乱測定による結晶構造、水蒸気バリア性、配向度の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
[0209]
 <積層数、異方性結晶の有無>
 実施例1D~8Dの多層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、日本電子(株)製のJSM‐7500FAを用いて、フィルム断面を1,000~100,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成(第1の層、第2の層における傾斜方向におよび/または水平方向に配向した異方性結晶の有無)および層数を測定した。
[0210]
 <X線散乱測定による結晶構造>
 実施例1D~8Dの多層フィルムを、(株)リガク製のX線回折装置「NANO Viewer」を用いて評価した。
[0211]
 なお、図8(a)および図8(b)に、それぞれ、実施例1Dおよび3Dの多層フィルムにおける高密度ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像を示す。
[0212]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1D~8Dの多層フィルムの水蒸気バリア性は、MOCON製の「PERMATRAN‐W(登録商標)3/33」を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
[0213]
 <配向度>
 異方性結晶の存在が確認された層における配向度(Π)を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて、Π=(180-H)/180の式で求めた。
[0214]
 2D-2.成形フィルムの評価
 実施例1D~8Dの成形フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を行った。以下に、この評価方法について説明する。
[0215]
 <水蒸気バリア性>
 実施例1D~8Dの成形フィルムの水蒸気バリア性は、次のようにして行った。まず、各成形フィルムが有する10個の収納部に、それぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した後、アルミニウム製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封して、包装体を得た。この包装体を40℃・90%RHの雰囲気下に24時間放置した後、包装体を開封してゼオライトを取り出した。その後、ゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて、収納部を介して成形フィルムを透過した水蒸気量(水蒸気透過度)を求めることで、各成形フィルムの水蒸気バリア性を評価した。
 以上の実施例1D~8Dの評価結果を表4に示す。
[0216]
[表4]


[0217]
 表4から明らかなように、実施例1D~8Dの多層フィルムおよび成形フィルムは、いずれも十分なガスバリア性を有していた。なお、実施例1D~5Dの多層フィルムは、第1の層の平均層厚みa[nm]と第2の層の平均層厚みb[nm]とがa>bなる関係を満足することにより、その水蒸気バリア性が厚み100μmあたり0.72~0.78g/m ・day(40℃・90%RH)の範囲内であり、成形フィルム(収納部を形成した後の多層フィルム)は、その水蒸気バリア性が10個の収納部あたり1.03~1.63mg/day(40℃・90%RH)の範囲内となった。
[0218]
 これに対して、実施例6D~8Dの多層フィルムは、a>bなる関係を満足しないことにより、その水蒸気バリア性が厚み100μmあたり0.6~0.69g/m ・day(40℃・90%RH)の範囲内であり、実施例1D~5Dの多層フィルムより優れていたにも関わらず、成形フィルムは、その水蒸気バリア性が10個の収納部あたり1.73~2.34mg/day(40℃・90%RH)の範囲内となり、実施例1D~5Dの成形フィルムより低い値となった。
[0219]
 これは、収納部を形成することで生じる屈曲部において、実施例1D~5Dの成形フィルムでは、いずれも第1の層が破断されることなく、ガスバリア性の機能を発揮するのに十分な厚みを保持することができたのに対して、実施例6D~8Dの成形フィルムでは、第1の層が部分的に破断されたか、または、ガスバリア性の機能を発揮するのに十分な厚みを保持することができなくなったことが原因であると考えられる。

産業上の利用可能性

[0220]
 本発明の多層フィルムは、熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、前記結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを含む単位層を複数積層してなる。かかる多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさを有する凹部を形成したとき、その凹部を介したガス透過度は、10個の凹部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下である。これにより、延伸工程(延伸処理)を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性との双方を備える多層フィルムを提供することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

請求の範囲

[請求項1]
 熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、前記結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを含む単位層を複数積層してなる多層フィルムであって、
 当該多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより、内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさを有する凹部を形成したとき、当該多層フィルムの前記凹部を介したガス透過度は、10個の前記凹部あたり10.0mg/day(40℃・90%RH)以下であることを特徴とする多層フィルム。
[請求項2]
 前記第1の層と前記第2の層とは、当該多層フィルムの厚み方向に沿って交互に繰り返して存在している請求項1に記載の多層フィルム。
[請求項3]
 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、当該多層フィルムの主面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している請求項1または2に記載の多層フィルム。
[請求項4]
 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満である請求項3に記載の多層フィルム。
[請求項5]
 前記第1の層は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項6]
 前記結晶性樹脂Aは、その重量平均分子量が40,000以上、200,000以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項7]
 当該多層フィルムにおいて、前記結晶性樹脂Aの結晶に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種以上の形状で出現する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項8]
 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶性を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項9]
 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶の分子鎖軸が、当該多層フィルムの主面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している請求項8に記載の多層フィルム。
[請求項10]
 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bの異方性結晶の配向度は、0.80以上、1.00未満である請求項9に記載の多層フィルム。
[請求項11]
 当該多層フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂Bの結晶に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布を有する点状および円弧状のうちの1種以上の形状で出現する請求項8ないし10のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項12]
 前記第2の層は、その平均層厚みが10nm以上、1,000nm以下である請求項8ないし11のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項13]
 前記第1の層の平均層厚みをa[nm]とし、前記第2の層の平均層厚みをb[nm]としたとき、aおよびbは、a≦bなる関係を満足する請求項8ないし11のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項14]
 a/bは、0.10以上、1.00以下である請求項13に記載の多層フィルム。
[請求項15]
 前記第2の層は、その平均層厚みが50nm以上、2,000nm以下である請求項13または14に記載の多層フィルム。
[請求項16]
 前記第1の層の平均層厚みをa[nm]とし、前記第2の層の平均層厚みをb[nm]としたとき、aおよびbは、a>bなる関係を満足する請求項8ないし11のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項17]
 a/bは、1.00超、9.00以下である請求項16に記載の多層フィルム。
[請求項18]
 前記第2の層は、その平均層厚みが5nm以上、900nm以下である請求項16または17に記載の多層フィルム。
[請求項19]
 前記熱可塑性樹脂Bは、その重量平均分子量が100,000以上、400,000以下である請求項8ないし18のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[請求項20]
 請求項1ないし19のいずれか1項に記載の多層フィルムを2次成形して、当該多層フィルムをその厚み方向に変形させることにより前記凹部を形成してなることを特徴とする成形フィルム。
[請求項21]
 請求項1ないし19のいずれか1項に記載の多層フィルム、または、請求項20に記載の成形フィルムを備えることを特徴とする包装体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]