明 細 書
発明の名称 : 写損情報管理装置、写損情報管理方法、並びに写損情報管理プログラム
技術分野
[0001]
本発明は、写損情報管理装置、写損情報管理方法、並びに写損情報管理プログラムに関する。
背景技術
[0002]
医療現場において、例えば放射線撮影システムを用いた放射線画像の撮影や、核磁気共鳴(MRI;Magnetic Resonance Imaging)撮影システムを用いたMRI画像の撮影といった、各種モダリティを用いた医用画像の撮影が広く行われている。こうした医用画像の撮影を行う場合には、医師や放射線技師等の撮影者によりモダリティのコンソールに撮影条件が設定される。例えば放射線撮影システムを用いた放射線画像の撮影の場合は、撮影条件として、放射線を被写体(患者)に向けて照射する放射線源に与える管電圧、管電流、および放射線の照射時間が設定される。
[0003]
医用画像の撮影では、撮影者による撮影条件の設定ミスが原因で、撮影に失敗すること(写損という)がある。このとき撮影された医用画像(写損画像という)は、撮影後の検像工程において、検像者から診断に不向きな画像であると判断される。しかし、撮影者が撮影条件の設定の改善点を探る学習をするためには、写損画像および写損画像を撮影したときの撮影条件(写損撮影条件という)は有用な情報である。そこで、特開2009-268586号公報に記載の写損情報管理装置では、写損画像と写損撮影条件を関連付けて記憶している。このように写損画像と写損撮影条件を関連付けて記憶しておけば、これらを撮影者が簡単に検索して参照することができる。
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004]
写損画像は診断に不向きな画像であるため、撮影条件の設定ミスが原因で写損が発生した場合、撮影者は、撮影条件を設定し直して、医用画像が診断に利用可能と検像工程で判断されるまで再撮影を行う。検像工程で診断に利用可能と判断された医用画像(診断用画像という)を再撮影したときの撮影条件(再撮影条件という)は、写損撮影条件からどのように設定を変更すれば診断用画像を撮影することができるかを示す極めて重要な情報であり、写損画像および写損撮影条件と同等かそれ以上に学習に役立つ情報である。
[0005]
しかしながら、特開2009-268586号公報では、写損画像と写損撮影条件を関連付けてはいるものの、これらと再撮影条件は関連付けていない。このため、ある写損画像と写損撮影条件に関連する再撮影条件を撮影者が参照しようとした場合、膨大な撮影条件の中から該当する再撮影条件を撮影者が見つけ出さなければならず、大変な時間と手間が掛かっていた。
[0006]
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、時間と手間を掛けずに、写損画像、写損撮影条件、および再撮影条件を参照することが可能な写損情報管理装置、写損情報管理方法、並びに写損情報管理プログラムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007]
上記目的を達成するために、本発明の写損情報管理装置は、受付部と関連付け処理部とを備えている。受付部は写損情報と再撮影情報とを受け付ける。写損情報は、写損画像、および写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される。再撮影情報は、写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む。関連付け処理部は、受付部で受け付けた写損情報と再撮影情報を関連付けて記憶部に保存する。
[0008]
再撮影情報は、診断用画像も含むことが好ましい。
[0009]
関連付け処理部で関連付けた写損情報と再撮影情報を検索可能なデータベースを、記憶部に作成する作成部を備えることが好ましい。この場合、写損情報と再撮影情報をデータベースから検索する検索部を備えることが好ましい。また、検索部で検索した写損情報と再撮影情報を、外部装置に通信部を介して送信させる通信制御部を備えることが好ましい。
[0010]
写損情報と再撮影情報に、個々の患者を識別する患者識別情報と、患者の属性を示す患者属性情報が含まれている場合、写損情報と再撮影情報から、患者属性情報は残して患者識別情報を削除する削除部を備えることが好ましい。
[0011]
患者識別情報は、個々の患者に付与された患者ID、患者氏名を含み、患者属性情報は、性別、年齢、身長、体重を含むことが好ましい。
[0012]
関連付け処理部は、写損情報と再撮影情報に対して共通の事例IDを付与することで、写損情報と再撮影情報を関連付けることが好ましい。事例IDは、撮影者に撮影を指示する撮影オーダのIDであることが好ましい。
[0013]
また、本発明の写損情報管理方法は、受付ステップと関連付け処理ステップとを備えている。受付ステップでは、受付部で写損情報と再撮影情報とを受け付ける。写損情報は、写損画像、および写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される。再撮影情報は、写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む。関連付け処理ステップでは、受付ステップで受け付けた写損情報と再撮影情報を、関連付け処理部で関連付けて記憶部に保存する。
[0014]
さらに、本発明の写損情報管理プログラムは、受付機能と関連付け処理機能とを、コンピュータに実行させる。受付機能は写損情報と再撮影情報とを受け付ける。写損情報は、写損画像、および写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される。再撮影情報は、写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む。関連付け処理機能は、受付機能で受け付けた写損情報と再撮影情報を関連付けて記憶部に保存する。
発明の効果
[0015]
本発明によれば、写損画像および写損撮影条件で構成される写損情報と、再撮影条件を含む再撮影情報を関連付けて記憶部に保存するので、時間と手間を掛けずに、写損画像、写損撮影条件、および再撮影条件を参照することが可能な写損情報管理装置、写損情報管理方法、並びに写損情報管理プログラムを提供することができる。
図面の簡単な説明
[0016]
[図1] 医療情報ネットワークシステムを示す図である。
[図2] 撮影オーダの内容を示す図である。
[図3] オーダ管理リストを示す図である。
[図4] 患者情報の内容を示す図である。
[図5] 放射線画像ファイルの内容を示す図である。
[図6] 写損画像ファイルと診断用画像ファイルの内容を示す図である。
[図7] コンソールを構成するコンピュータを示すブロック図である。
[図8] コンソールのCPUの機能を示すブロック図である。
[図9] 写損事例管理装置を構成するコンピュータを示すブロック図である。
[図10] 写損事例管理装置のCPUの機能を示すブロック図である。
[図11] 写損事例閲覧ウィンドウを示す図である。
[図12] コンソールの作動手順を示すフローチャートである。
[図13] 写損事例管理装置の作動手順を示すフローチャートである。
[図14] 写損事例管理装置の作動手順を示すフローチャートである。
[図15] 診断用画像ファイルから診断用画像を削除する第2実施形態を示す図である。
[図16] 写損画像ファイルと診断用画像ファイルから患者識別情報を削除する削除部を設けた第3実施形態を示す図である。
[図17] 事例IDで写損画像ファイルと診断用画像ファイルを関連付ける第4実施形態を示す図である。
発明を実施するための形態
[0017]
[第1実施形態]
図1において、医療情報ネットワークシステム10は、病院情報システム(HIS;Hospital Information System)11、放射線情報システム(RIS;Radiology Information System)12、医療画像保管通信システム(PACS;Picture Archiving and Communication System)13、放射線撮影システム14、携帯情報端末15、写損事例管理装置16、およびこれらを相互通信可能に接続するネットワーク17等で構成される。ネットワーク17は、例えば、医療施設内に敷設されたLAN(Local Area Network)や移動体通信ネットワークである。
[0018]
HIS11は、電子カルテ、会計情報、検査予約情報、投薬処方情報等、医療施設の医療行為に関わる各種情報を、診療科、放射線科等の医療施設の各部門から受け付け、これを保管、管理する。検査予約情報は、診療科の医師により診療科の端末18の電子カルテ上で発行される。検査予約情報は、血液検査、内視鏡検査等の種々の検査予約の他、放射線撮影の検査予約である、放射線撮影を撮影者R(医師や放射線技師等)に指示するための撮影オーダ20を含む。
[0019]
HIS11には、患者情報21が記憶されている。患者情報21は電子カルテに登録されており、個々の患者を識別する患者識別情報22と、患者の属性を示す患者属性情報23を含む。
[0020]
RIS12は、診療科の端末18からの撮影オーダ20を受け付けてこれを保管、管理する。RIS12は、放射線科の端末24に撮影オーダ20を送信する。放射線科の端末24は、RIS12からの撮影オーダ20を表示するディスプレイ25を有する。
[0021]
放射線撮影システム14は、周知のように、撮影対象の患者Pに向けて放射線(例えばX線)を照射する放射線源30と、放射線源30から発せられて患者Pを透過した放射線を受けて放射線画像31を検出する放射線画像検出装置32と、放射線画像検出装置32の駆動を制御するコンソール33とを備える。
[0022]
コンソール33は、ディスプレイ34と入力デバイス35を有する。ディスプレイ34は、マウスやキーボード等の入力デバイス35の操作に応じた各種操作画面を表示する。操作画面にはGUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられる。コンソール33は操作画面を通じて入力デバイス35からの操作指示の入力を受け付ける。
[0023]
ディスプレイ34は、撮影オーダ20に応じた撮影条件36を設定するための操作画面や、放射線画像検出装置32から受信した放射線画像31を表示する。入力デバイス35は、撮影条件36を設定する際に操作される。撮影条件36は、放射線源30に与える管電圧、管電流、および放射線の照射時間である(図5参照)。
[0024]
また、入力デバイス35は、検像工程の際に操作される。検像工程では、ディスプレイ34に表示された放射線画像31が、診断に不向きな写損画像31F(図6参照)か、診断に利用可能な診断用画像31S(図6参照)かを撮影者Rが判断した結果が入力される。写損画像31Fは、撮影者Rによる撮影条件36の設定ミスが原因で撮影に失敗した放射線画像31である。ディスプレイ34に表示された放射線画像31が診断用画像31Sであるとの判断が入力されたときが、当該撮影オーダ20に対する放射線撮影が終了した合図となる。
[0025]
コンソール33は、放射線画像31とこれを撮影したときの撮影条件36およびその他の情報を関連付けた放射線画像ファイル40を作成し、作成した放射線画像ファイル40をPACS13および写損事例管理装置16に送信する。PACS13は、コンソール33からの放射線画像ファイル40を保管、管理する。写損事例管理装置16は、写損事例84(図10参照)を保管、管理する。
[0026]
携帯情報端末15は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パソコン等の持ち運び可能な端末であり、撮影者Rにより携帯される。携帯情報端末15はタッチパネル41を備えている。タッチパネル41は、撮影者Rの指の動きによる操作指示の入力を受け付ける。操作指示には、所望の写損事例84を検索するための検索キーの入力指示、検索キーを含む写損事例84の送信要求86(図10参照)を写損事例管理装置16に発する指示がある。また、タッチパネル41は、送信要求86に応じて写損事例管理装置16から送信された写損事例84を元にした写損事例閲覧ウィンドウ90(図11参照)等の各種操作画面を表示する。
[0027]
図2において、撮影オーダ20は、オーダID(Identification Data)43、医師ID、患者ID、および撮影部位/姿勢/向きの項目を有する。オーダID43は、個々の撮影オーダ20を識別するための番号である。オーダID43は、診療科の端末18から撮影オーダ20を受け付けたときにRIS12により自動的に付される。医師IDは、撮影オーダ20を発行した診療科の医師を識別するための番号である。患者IDは、個々の患者を識別するための番号である。患者IDは患者識別情報22の一部であり、患者の初診の際にHIS11により自動的に付される。撮影オーダ20に記される患者IDは、当該撮影オーダ20による放射線撮影の撮影対象の患者Pの患者IDである。
[0028]
撮影部位/姿勢/向きは、診療科の医師によって指示された、放射線撮影で撮影する患者Pの部位、姿勢、および放射線源10に対する向きである。撮影部位には、頭部、頸椎、胸部、腹部、手、指、肘、膝といった人体の各部位がある。また姿勢には立位、臥位、座位等、向きには正面、側面、背面等がある。撮影オーダ20には、これらの項目の他に、RIS12で撮影オーダ20を受け付けた日時や、術後の経過観察等の放射線撮影の目的、診療科の医師から撮影者Rへの申し渡し事項等の項目が設けられている。
[0029]
RIS12は、図3に示すオーダ管理リスト45を作成して、受け付けた撮影オーダ20を管理する。オーダ管理リスト45は、撮影オーダ20の各項目に加えて、放射線撮影を担当する撮影者Rの撮影者ID、進行状況等の項目を有する。撮影者IDは、個々の撮影者Rを識別するための番号である。進行状況には、当該撮影オーダ20の放射線撮影が終了したことを示す撮影済み、放射線撮影を行っている最中であることを示す撮影中、放射線撮影を行っていないことを示す未撮影のいずれかが記される。RIS12は、コンソール33からの放射線撮影終了の合図等に応じて、進行状況の項目を更新する。
[0030]
なお、撮影オーダ20は、図3に示すように1人の患者に対して1つの場合もあれば、1人の患者に対して同時に複数発行される場合もある。1人の患者に対して同時に複数撮影オーダ20が発行された場合は、RIS12は、複数の撮影オーダ20のオーダID43の後に、同時に発行されたことを示す同じ識別符号を付ける等して複数の撮影オーダ20を関連付ける。
[0031]
図4において、患者情報21は、患者ID、患者氏名、性別、生年月日、年齢、身長(単位cm)、体重(単位kg)等の項目を有する。患者ID、患者氏名が患者識別情報22、これら以外の性別、生年月日、年齢、身長、体重が患者属性情報23をそれぞれ構成する。年齢は生年月日から自動的に計算される。なお、患者識別情報22として、上記の他に患者の住所や電話番号を追加してもよい。また、患者属性情報23として、身長、体重から計算したBMI(Body Mass Index)指数等の体格指数を追加してもよい。
[0032]
図5において、放射線画像ファイル40は、例えばDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したファイル形式であり、タグ記憶領域50と放射線画像記憶領域51とを有する。タグ記憶領域50には、前述の患者識別情報22および患者属性情報23で構成される患者情報21、オーダID43、撮影部位/姿勢/向き、撮影者ID、管電圧(単位kV)、管電流(単位mA)、放射線の照射時間(単位msec)で構成される撮影条件36、および写損フラグ52の各項目が設けられている。写損フラグ52には、検像工程において、ディスプレイ34に表示された放射線画像31が写損画像31Fであるとの判断結果が入力された場合に「1」が付される。
[0033]
また、タグ記憶領域50には、ファイルID、撮影日時の項目が設けられている。ファイルIDは、個々の放射線画像ファイル40を識別するための番号であり、放射線画像ファイル40の作成時にコンソール33により自動的に付される。放射線画像記憶領域51には、放射線画像31が記憶される。
[0034]
放射線撮影では、撮影者Rによる撮影条件36の設定ミスが原因で、写損が発生することがある。写損が発生した場合、撮影者Rは、撮影条件36を設定し直して、診断に利用可能な診断用画像31Sが撮影されるまで再撮影を行う。このため、写損が発生した場合には、1つの撮影オーダ20に対して複数の放射線画像ファイル40が作成されることになる。一方で写損が発生しなかった場合(1回の放射線撮影で診断用画像31Sが撮影された場合)は、放射線画像ファイル40は1つの撮影オーダ20に対して1つである。以下、写損が発生したときに作成された放射線画像ファイル40を写損画像ファイル(写損情報に相当)40F、診断用画像31Sが得られたときに作成された放射線画像ファイル40を診断用画像ファイル(再撮影情報に相当)40Sと表現する。
[0035]
図6に示すように、写損画像ファイル40Fには、撮影者Rによる撮影条件36の設定ミスが原因で撮影に失敗し、検像工程で診断に不向きと判断された放射線画像31である写損画像31F、および写損画像31Fを撮影したときの撮影条件36である写損撮影条件36Fが記憶されている。一方、写損が発生した場合の診断用画像ファイル40Sには、写損画像31Fの撮影後の再撮影で得られた、検像工程で診断に利用可能と判断された放射線画像31である診断用画像31S、および診断用画像31Sを撮影したときの撮影条件36である再撮影条件36Sが記憶されている。写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sは1つの撮影オーダ20に対して作成されるため、これらのファイル40F、40Sには同じオーダID43が付されている。つまり、これらのファイル40F、40Sは、オーダID43で関連付けられている。
[0036]
写損画像ファイル40Fの写損フラグ52には「1」が付されている。一方で診断用画像ファイル40Sの写損フラグ52には何も付されていない。この写損フラグ52を参照することで、放射線画像ファイル40が写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sのいずれかを区別することができる。
[0037]
図7において、コンソール33を構成するコンピュータは、前述のディスプレイ34、入力デバイス35の他、ストレージデバイス55、メモリ56、CPU(Central Processing Unit)57、および通信部58を備えている。これらはデータバス59を介して相互接続されている。
[0038]
ストレージデバイス55は、例えば、コンソール33を構成するコンピュータに内蔵されたハードディスクドライブである。ストレージデバイス55には、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、第1写損情報管理プログラム60を含む各種アプリケーションプログラムが記憶される。第1写損情報管理プログラム60は、コンソール33を構成するコンピュータを、写損情報管理装置として機能させるためのプログラムである。
[0039]
メモリ56は、CPU57が処理を実行するためのワークメモリである。CPU57は、ストレージデバイス55に記憶されたプログラムをメモリ56へロードして、プログラムにしたがった処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
[0040]
通信部58は、ネットワーク17を介した、外部装置との各種情報の伝送を行うネットワークインターフェースである。通信部58は、放射線科の端末24から撮影オーダ20を、HIS11から患者情報21を、放射線画像検出装置32から放射線画像31をそれぞれ受信し、かつ診断用画像ファイル40SをPACS13に、写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sを写損事例管理装置16にそれぞれ送信する。
[0041]
図8において、CPU57は、第1写損情報管理プログラム60を起動すると、メモリ56と協働して、受付部65および関連付け処理部66として機能する。
[0042]
受付部65は、通信部58で受信した放射線科の端末24からの撮影オーダ20、HIS11からの患者情報21、および放射線画像検出装置32からの放射線画像31を受け付ける。また、受付部65は、入力デバイス35を介して撮影者Rにより入力された撮影条件36を受け付ける。受付部65は、これら撮影オーダ20、患者情報21、放射線画像31、および撮影条件36を関連付け処理部66に受け渡す。
[0043]
関連付け処理部66は、受付部65からの撮影オーダ20のうちのオーダID43、撮影部位/姿勢/向き、撮影者ID、患者情報21、放射線画像31、および撮影条件36に基づき、放射線画像ファイル40を作成する。関連付け処理部66は、作成した放射線画像ファイル40とその保存要求を、通信部58を介してPACS13および写損事例管理装置16に送信させる。
[0044]
関連付け処理部66は、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40SをオーダID43により関連付ける。より具体的には、関連付け処理部66は、受付部65から新たな撮影オーダ20を受け渡されてから、検像工程で撮影者Rにより放射線画像31が診断用画像31Sと判断されるまで、同じオーダID43を放射線画像ファイル40に付す。つまり、同じオーダID43が付された複数の放射線画像ファイル40は、少なくとも1つの写損画像ファイル40Fと、1つの診断用画像ファイル40Sのまとまりである。なお、関連付け処理部66は、診断用画像ファイル40Sと区別するために写損画像ファイル40Fの写損フラグ52に「1」を付す。
[0045]
図9において、写損事例管理装置16を構成するコンピュータは、ディスプレイ34および入力デバイス35が設けられていない以外は、図7のコンソール33と同じ構成を有し、ストレージデバイス70、メモリ71、CPU72、通信部73、およびこれらを相互接続するデータバス74を備えている。
[0046]
ストレージデバイス70には、写損事例管理装置16を構成するコンピュータを、写損情報管理装置として機能させるための第2写損情報管理プログラム75が記憶される。すなわち、本実施形態では、写損事例管理装置16とコンソール33とが写損情報管理装置を構成する。
[0047]
通信部73は、コンソール33から写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sとその保存要求を受信する。また、通信部73は、携帯情報端末15から、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを一まとめにした写損事例84の送信要求86を受信し、送信要求86を送信した携帯情報端末15に写損事例84を送信する。
[0048]
図10において、CPU72は、第2写損情報管理プログラム75を起動すると、メモリ71と協働して、通信制御部80、作成部81、および検索部82として機能する。
[0049]
通信制御部80は、通信部73を介した各種情報の伝送を制御する。作成部81は、各種情報を検索キーにより検索可能な各種データベース(DB;Data Base)をストレージデバイス70に作成する。検索部82は、携帯情報端末15からの送信要求86等の外部装置からの送信要求に対応する情報をDBから検索する。通信制御部80は、検索部82で検索した情報を、通信部73を介して送信要求を送信した外部装置に送信させる。
[0050]
通信制御部80は、通信部73を介して受信したコンソール33からの写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40S、並びにこれらの保存要求を受け付ける。通信制御部80は、受け付けた写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sを作成部81に受け渡す。
[0051]
作成部81は、通信制御部80からの同じオーダID43で関連付けられた写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを一まとめの写損事例84とする。作成部81は、この写損事例84を検索キーにより検索可能な写損事例DB85をストレージデバイス70に作成する。
[0052]
通信制御部80は、通信部73を介して受信した携帯情報端末15からの送信要求86を受け付け、これを検索部82に受け渡す。検索部82は、送信要求86に対応する写損事例84を写損事例DB85から検索する。検索部82は、検索した写損事例84を通信制御部80に引き渡す。通信制御部80は、検索部82からの写損事例84を、送信要求86を送信した携帯情報端末15に通信部73を介して送信させる。
[0053]
送信要求86に含まれる検索キーとしては、例えばオーダID43、撮影日時、患者ID等、放射線画像ファイル40のタグ記憶領域50に記憶された任意の項目を指定することが可能である。また、例えば撮影日時が1週間前の全ての写損事例84を指定する等、検索範囲を指定することも可能であり、撮影者IDがR0001で、かつ患者の体重が100kg以上の写損事例84等、複数の項目を用いていわゆるアンド検索やオア検索をすることも可能である。
[0054]
なお、図示は省略するが、PACS13を構成するコンピュータも図9に示す写損事例管理装置16と同じ構成であり、PACS13を構成するコンピュータのCPUも、図10に示す写損事例管理装置16のCPU72と同じ機能部を有する。ただし、PACS13で扱う情報は診断用画像ファイル40Sのみである点が異なる。
[0055]
PACS13の作成部は、写損事例管理装置16の写損事例DB85に代えて、診断用画像ファイル40Sを検索キーにより検索可能な画像DBをストレージデバイスに作成する。PACS13の検索部は、診療科の端末18や、診断用画像31Sの読影を担う読影医がいる読影科の端末からの診断用画像ファイル40Sの送信要求に応じて、画像DBから診断用画像ファイル40Sを検索する。PACS13の通信制御部は、コンソール33からの診断用画像ファイル40Sとその保存要求、および診療科の端末18または読影科の端末からの診断用画像ファイル40Sの送信要求を受け付ける。PACS13の通信制御部は、検索部で検索した診断用画像ファイル40Sを、送信要求を送信した診療科の端末18または読影科の端末に通信部を介して送信させる。
[0056]
携帯情報端末15は、写損事例管理装置16から受信した写損事例84に基づき、図11に示す写損事例閲覧ウィンドウ90をタッチパネル41に表示させる。写損事例閲覧ウィンドウ90は、写損画像31F、写損撮影条件36F、診断用画像31S、再撮影条件36Sをそれぞれ表示する表示枠91、92、93、94を有する。これらの表示枠91~94により、写損画像31Fおよび写損撮影条件36Fと、診断用画像31Sおよび再撮影条件36Sとが、撮影者Rが比較可能に表示される。写損画像31Fおよび写損撮影条件36Fを表示する表示枠91、92は縦に並べられ、診断用画像31Sおよび再撮影条件36Sを表示する表示枠93、94も縦に並べられる。また、表示枠91、92と、表示枠93、94とは比較可能に左右に並べられる。表示枠91、93の上方には、ファイルIDを表示する表示枠95、撮影日時を表示する表示枠96が設けられている。
[0057]
写損事例閲覧ウィンドウ90には、上記表示枠91~96の他に、オーダID43、撮影部位/姿勢/向き、および撮影者IDを表示する表示枠97、並びに患者情報21を表示する表示枠98が設けられている。表示枠98は、さらに患者識別情報22を表示する表示枠99と患者属性情報23を表示する表示枠100に分かれている。
[0058]
再撮影条件36の表示枠94には、写損撮影条件36からどう撮影条件を変更したかを示す矢印が記されている。矢印の向きは、再撮影条件36の値が写損撮影条件36の値から上がっている場合は上向き、下がっている場合は下向き、変わらない場合は横向きである。
[0059]
以下、上記構成による作用について、図12ないし図14のフローチャートを参照して説明する。まず、診療科の医師により、診療科の端末18からRIS12に撮影オーダ20が発行される。撮影オーダ20は、RIS12から放射線科の端末24に送信され、放射線科の端末24のディスプレイ25に表示される。
[0060]
撮影者Rは、RIS12からの撮影オーダ20をディスプレイ25で確認し、コンソール33に転送する。そして、確認した撮影オーダ20に応じた撮影条件36を、入力デバイス35を介してコンソール33に設定する。撮影者Rは、放射線源30、放射線画像検出装置32、および患者Pを所望の位置にポジショニングした後、放射線源30を駆動させて患者Pに向けて放射線を照射させる。患者Pを透過した放射線は放射線画像検出装置32に照射され、これにより放射線画像検出装置32で放射線画像31が検出される。放射線画像31は、放射線画像検出装置32からコンソール33に送信される。
[0061]
図12のステップS10に示すように、コンソール33では、通信部58で受信した放射線科の端末24からの撮影オーダ20、HIS11からの患者情報21、放射線画像検出装置32からの放射線画像31(写損画像31F、診断用画像31Sのいずれか)、および入力デバイス35を介して撮影者Rにより入力された撮影条件36(写損撮影条件36F、再撮影条件36Sのいずれか)が受付部65に受け付けられる。受付部65で受け付けられたこれらの情報は、関連付け処理部66に受け渡される。なお、患者情報21は、通信部58を介して、受付部65で受け付けた撮影オーダ20の患者IDを検索キーにした、当該患者IDの患者情報21の送信要求をHIS11に送信し、送信要求に対応する患者情報21をHIS11から受信することで取得する。
[0062]
ステップS11において、関連付け処理部66では、受付部65から受け渡された情報に基づき、放射線画像ファイル40(写損画像ファイル40F、診断用画像ファイル40Sのいずれか)が作成される。関連付け処理部66により、放射線画像ファイル40には、受付部65から新たな撮影オーダ20を受け渡されてから、検像工程で撮影者Rにより放射線画像31が診断用画像31Sと判断されるまで、同じオーダID43が付される。こうすることで、写損が発生した場合に作成される写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40SがオーダID43によって関連付けられる。
[0063]
ステップS12において、関連付け処理部66で作成された放射線画像ファイル40は、診断用画像ファイル40SがPACS13に、写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sが写損事例管理装置16に、それぞれ保存要求とともに通信部58を介して送信される。
[0064]
PACS13では、コンソール33からの診断用画像ファイル40Sが画像DBに格納される。
[0065]
写損事例管理装置16では、通信部73によってコンソール33からの写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sが受信される。図13のステップS20に示すように、通信部73で受信された写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sは、通信制御部80で受け付けられる。通信制御部80で受け付けられた写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40Sは、作成部81に受け渡される。
[0066]
ステップS21に示すように、通信制御部80からの同じオーダID43で関連付けられた写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sは、作成部81により写損事例84とされて写損事例DB85に格納される。
[0067]
撮影者Rは、携帯情報端末15を操作して写損事例管理装置16に写損事例84の送信要求86を送信する。図14のステップS30に示すように、携帯情報端末15からの送信要求86は、通信部73で受信され、通信制御部80で受け付けられる。通信制御部80で受け付けられた送信要求86は、検索部82に受け渡される。
[0068]
ステップS31に示すように、検索部82により、送信要求86に対応する写損事例84が写損事例DB85から検索される。写損画像ファイル40Fおよび診断用画像ファイル40SがオーダID43により関連付けられており、また、これらのファイル40F、40Sを一まとめにした写損事例84を格納する写損事例DB85を作成するので、送信要求86に対応する写損事例84を容易に検索することができる。
[0069]
検索部82で検索された写損事例84は、通信制御部80に引き渡される。そして、ステップS32に示すように、写損事例84は、通信制御部80により、送信要求86を送信した携帯情報端末15に通信部73を介して送信される。
[0070]
携帯情報端末15では、写損事例管理装置16からの写損事例84に基づいた写損事例閲覧ウィンドウ90がタッチパネル41に表示される。撮影者Rは、この写損事例閲覧ウィンドウ90を閲覧し、自らの撮影条件36の設定の改善点を探る学習をする。
[0071]
写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを関連付けることで、写損画像31F、写損撮影条件36Fだけでなく、診断用画像31S、再撮影条件36Sも簡単に参照することができる。したがって、写損画像31Fと写損撮影条件36Fだけを参照する場合と比べて、撮影条件36の設定の改善点を探る学習が捗り、撮影者Rの撮影技術レベルの向上により貢献することができる。
[0072]
携帯情報端末15からの送信要求86に対応する写損事例84を即座に検索して送信するので、撮影者Rは、自分が気になった写損事例84を、日時場所を選ばず繰り返し参照することができる。このため放射線撮影の合間や通勤時間帯等の空き時間を学習にあてることができる。また、撮影条件36を設定する際に、撮影対象の患者Pの過去の写損事例84や患者Pに似た体格の写損事例84を参照する等、写損事例84を撮影条件36の設定の手助けとすることもできる。
[0073]
診療科の端末18または読影科の端末からPACS13に診断用画像ファイル40Sの送信要求があった場合は、対応する診断用画像ファイル40Sが検索部により画像DBから検索され、検索された診断用画像ファイル40Sが、診療科の端末18または読影科の端末に通信部を介して送信される。読影科の端末に送信された診断用画像ファイル40Sの診断用画像31Sは、読影医の読影に供される。また、診療科の端末18に送信された診断用画像ファイル40Sの診断用画像31Sは、読影医が作成したレポートとともに診療科の医師の診断に供される。
[0074]
上記第1実施形態では、コンソール33に第1写損情報管理プログラム60を記憶させて受付部65、関連付け処理部66の機能を担わせ、写損事例管理装置16に第2写損情報管理プログラム75を記憶させて通信制御部80、作成部81、検索部82の機能を担わせているが、第1、第2写損情報管理プログラム60、75を統合した写損情報管理プログラムをコンソール33に記憶させ、受付部65、関連付け処理部66、通信制御部80、作成部81、検索部82の機能を全てコンソール33に担わせてもよい。この場合、写損事例84を記憶する記憶部は、上記第1実施形態の写損事例管理装置16のストレージデバイス70に代わり、コンソール33のストレージデバイス55が担う。
[0075]
また、PACS13は診断用画像ファイル40Sの保存、管理用とし、PACS13とは別に写損事例84を専用に保存、管理する写損事例管理装置16を設けているが、PACS13にこの写損事例管理装置16の機能を担わせてもよい。このように、本発明の写損情報管理装置は、複数台のコンピュータに各機能部が分散して配置されていてもよいし、1台のコンピュータに各機能部が集約して配置されていてもよい。
[0076]
上記第1実施形態では、検索部82で検索した写損事例84を、通信制御部80により通信部73を介して携帯情報端末15に送信し、携帯情報端末15で写損事例84を閲覧しているが、写損事例管理装置16に写損事例84の検索キーを入力するための入力デバイスと、検索した写損事例84を表示するディスプレイを設け、撮影者Rが携帯情報端末15だけでなく写損事例管理装置16を介して写損事例84を閲覧できるようにしてもよい。
[0077]
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、再撮影条件に相当する診断用画像ファイル40Sに診断用画像31Sを含めている。しかし、診断用画像31SはPACS13に格納される診断用画像ファイル40Sにも存在する。また、写損画像31Fさえあれば、画像濃度が低いといった、なぜ写損になったかを示す根本的な理由が分かる。このため、撮影条件36の設定の改善点を探る学習には診断用画像31Sはさほど必要ない。したがって写損事例84の診断用画像ファイル40Sには少なくとも再撮影条件36Sが含まれていればよい。
[0078]
そこで、本実施形態では、図15に示すように、作成部81により写損事例DB85に写損事例84を格納する際に、診断用画像ファイル40Sの診断用画像31Sを削除する。写損撮影条件36F等とともに診断用画像31Sも参照したい場合は、PACS13から診断用画像31Sを送信してもらえば済む。したがって、写損事例84から診断用画像31Sが削除されても実用上問題はない。
[0079]
[第3実施形態]
上記第1実施形態のように、携帯情報端末15のタッチパネル41に写損事例閲覧ウィンドウ90を表示する場合、手軽に写損事例84を参照することができる反面、写損事例閲覧ウィンドウ90に表示された情報が撮影者R以外の第三者に盗み見られる危険性がある。写損事例閲覧ウィンドウ90に表示された情報のうち、絶対に第三者に盗み見られてはいけないものは、表示枠99に表示される患者識別情報22である。対して、表示枠100に表示される患者属性情報23は、性別、年齢、身長および体重(体格)によって撮影条件36の設定が変わるため、撮影条件36の設定の改善点を探る学習には必要な情報である。
[0080]
そこで、本実施形態では、図16に示すように、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sから、学習に必要な患者属性情報23は残して、第三者に盗み見られては困る患者識別情報22を削除する削除部110を設ける。削除部110は、例えば、作成部81で作成した写損事例84の写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sから患者識別情報22を削除したうえで、写損事例DB85に格納する。こうすれば、写損事例閲覧ウィンドウ90に患者識別情報22は表示されず、患者識別情報22が第三者に盗み見られる心配がなくなる。
[0081]
なお、患者識別情報22を削除するタイミングとしては、上記のように写損事例84を写損事例DB85に格納する際に削除する方法に代えて、検索部82で検索した写損事例84を通信制御部80に受け渡す際に削除してもよいし、携帯情報端末15の側で、写損事例閲覧ウィンドウ90を表示する際に削除してもよい。つまり削除部110の機能は写損事例管理装置16が担ってもよいし、携帯情報端末15が担ってもよい。削除部110の機能を携帯情報端末15が担う場合は、携帯情報端末15も写損情報管理装置を構成する。
[0082]
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、オーダID43により写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを関連付けているが、本発明はこれに限定されない。図17に示す関連付け処理部115のように、オーダID43とは別の事例ID116を写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sに付与することで、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを関連付けてもよい。
[0083]
また、オーダID43等の共通の事例IDを付して関連付けするのではなく、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを一つのファイル形式に統合することで関連付けてもよい。
[0084]
上記第1実施形態では、写損画像31Fを撮影してしまった原因が撮影条件36の設定ミスであるか否かを撮影者R自身の判断に委ねているが、放射線画像31を画像解析することで、写損画像31Fを撮影してしまった原因が撮影条件36の設定ミスであるか否かの判断を自動化してもよい。
[0085]
撮影者Rによる撮影条件36の設定ミス以外に考えられる写損の発生原因としては、放射線撮影中の患者Pの体動によるぶれ、および患者Pのポジショニングミスがある。そこで、まずは放射線画像31から患者Pの体動によるぶれを検出し、次いでポジショニングミスを検出する。そして、そのいずれでもない場合に、写損画像31Fを撮影してしまった原因が撮影条件36の設定ミスであると判断する。
[0086]
患者Pの体動によるぶれを検出する方法としては、例えば、特開2007-175138号公報に記載の、画像に含まれるエッジを複数の方向について検出して画像のぶれの大きさを検出する方法を採用することができる。また、患者Pのポジショニングミスを検出する方法としては、例えば、撮影部位/姿勢/向き毎に、正規のポジショニングをした場合に得られる放射線画像を予め記憶しておき、このお手本の放射線画像と実際に得られた放射線画像31を比較してこれらの類似度を算出し、類似度が閾値よりも低い場合に患者Pのポジショニングミスと判断する方法を採用することができる。なお、ここでは写損画像31Fを撮影してしまった原因が撮影条件36の設定ミスであるか否かの判断を自動化してはいるが、放射線画像31が診断に不向きな写損画像31Fであるか否かを判断する検像工程は、あくまでも撮影者Rが目視にて行う。
[0087]
なお、検像工程は、上記第1実施形態のようにコンソール34で撮影者Rが行うのではなく、コンソール34とは別の端末で、撮影者R以外の医療従事者が行ってもよい。
[0088]
なお、写損撮影条件36Fと同じか類似する撮影条件36を撮影者Rが設定しようとした場合に、撮影条件36の変更を促す警告を表示してもよい。より具体的には、受付部65で受け付けた撮影オーダ20の患者IDを検索キーにした、当該患者IDの写損画像ファイル40Fの写損撮影条件36Fの送信要求をコンソール33から写損事例管理装置16に送信し、送信要求に対応する写損撮影条件36Fを写損事例管理装置16からコンソール33に送信させる。そして、写損事例管理装置16から送信された写損撮影条件36Fと入力デバイス35を介して撮影者Rにより入力された撮影条件36とを比較し、これらが同じか、その差が所定範囲内にある場合にディスプレイ34に警告を表示する。
[0089]
なお、上記各実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶ。また、本発明は、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、医用画像を撮影するモダリティとして、放射線撮影システム14に代えて、あるいは加えて、MRI撮影システムを設けてもよい。また、放射線画像31と撮影条件36は、放射線画像ファイル40のようにファイル形式でまとめられていなくてもよい。さらに、診断用画像ファイル40Sは、1つの撮影オーダ20に対して1つと説明したが、1つの撮影オーダ20に対して複数あってもよい。また、写損画像ファイル40Fと診断用画像ファイル40Sを一まとめの写損事例84とし、この写損事例84を写損事例DB85に格納しているが、写損画像ファイル40Fを格納するDBと診断用画像ファイル40Sを格納するDBを別々に設けてもよい。
請求の範囲
[請求項1]
写損画像、および前記写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される写損情報と、前記写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む再撮影情報とを受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた前記写損情報と前記再撮影情報を関連付けて記憶部に保存する関連付け処理部とを備える写損情報管理装置。
[請求項2]
前記再撮影情報は、前記診断用画像も含む請求項1に記載の写損情報管理装置。
[請求項3]
前記関連付け処理部で関連付けた前記写損情報と前記再撮影情報を検索可能なデータベースを、前記記憶部に作成する作成部を備える請求項1に記載の写損情報管理装置。
[請求項4]
前記写損情報と前記再撮影情報を前記データベースから検索する検索部を備える請求項3に記載の写損情報管理装置。
[請求項5]
前記検索部で検索した前記写損情報と前記再撮影情報を、外部装置に通信部を介して送信させる通信制御部を備える請求項4に記載の写損情報管理装置。
[請求項6]
前記写損情報と前記再撮影情報に、個々の患者を識別する患者識別情報と、患者の属性を示す患者属性情報が含まれている場合、前記写損情報と前記再撮影情報から、前記患者属性情報は残して前記患者識別情報を削除する削除部を備える請求項1に記載の写損情報管理装置。
[請求項7]
前記患者識別情報は、前記個々の患者に付与された患者ID、患者氏名を含み、
前記患者属性情報は、性別、年齢、身長、体重を含む請求項6に記載の写損情報管理装置。
[請求項8]
前記関連付け処理部は、前記写損情報と前記再撮影情報に対して共通の事例IDを付与することで、前記写損情報と前記再撮影情報を関連付ける請求項1に記載の写損情報管理装置。
[請求項9]
前記事例IDは、撮影者に撮影を指示する撮影オーダのIDである請求項8に記載の写損情報管理装置。
[請求項10]
写損画像、および前記写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される写損情報と、前記写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む再撮影情報とを、受付部で受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記写損情報と前記再撮影情報を、関連付け処理部で関連付けて記憶部に保存する関連付け処理ステップとを備える写損情報管理方法。
[請求項11]
写損画像、および前記写損画像を撮影したときの撮影条件である写損撮影条件で構成される写損情報と、前記写損画像の撮影後の再撮影において、診断用画像を撮影したときの撮影条件である再撮影条件を含む再撮影情報とを受け付ける受付機能と、
前記受付機能で受け付けた前記写損情報と前記再撮影情報を関連付けて記憶部に保存する関連付け処理機能とを、コンピュータに実行させるための写損情報管理プログラム。
図面