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1. (WO2015137142) ガラス積層体の製造方法及びガラス積層体
Document

明 細 書

発明の名称 ガラス積層体の製造方法及びガラス積層体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028  

図面の簡単な説明

0029  

発明を実施するための形態

0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

実施例 1

0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135  

実施例 2

0136   0137   0138   0139  

実施例 3

0140   0141  

実施例 4

0142  

符号の説明

0143  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5a   5b   5c   6a   6b   6c   6d   6e   6f   6g   6h   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : ガラス積層体の製造方法及びガラス積層体

技術分野

[0001]
 本発明は、ガラス積層体の製造方法及びガラス積層体に関し、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイから発生される光を空間に結像するためのガラス積層体の製造方法及びガラス積層体に関する。

背景技術

[0002]
 周知の通り、省スペース化の観点から、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイが普及している。
[0003]
 また、フラットパネルディスプレイから発生される光を空間に結像する技術開発が進んでいる。特許文献1には、隣接する反射面が互いに向かい合うように、複数本の両面反射帯を一定間隔で配置してなる光学結像部材が提案されている。しかし、特許文献1に記載の光学結像部材には、散乱光が通過した後は、必ずしも一点に収束しないという問題がある。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開昭58-21702号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上記問題を解決するために、一方の表面が反射面である透明板を、多数枚積層一体化(多数枚を積み重ねて一体化)した後、各反射面に対して垂直な切断面が形成されるように切断して、一対の積層体を作製した上で、一方の積層体に形成されている反射面に対して、他方の積層体に形成されている反射面が直交するように、向かい合わせに密着させた光学結像部材が検討されている。この光学結像部材では、透明板の厚みが反射面の間隔に相当する。
[0006]
 上記の光学結像部材の場合、高解像度の結像を得るためには、厚みの薄い透明板を採用すると共に、この透明板を全ての反射面の面間隔が均一となるように平行な状態で積層することが重要になる。また、高解像度、高輝度の結像を得るためには、積層体を構成している透明板の反射面の反射率が高いことに加えて、透明板自体の透過率が高く、且つヘイズが低いことが重要になり、透明板同士を積層一体化させる接着層の透過率が高く、且つヘイズが低いことも重要になる。
[0007]
 ところが、透明板を積層一体化する際に、接着層(接着剤)中に気泡が混入し易く、更に接着剤が均一に塗布されず、接着層の肉厚差が発生し易くなる。接着層中の気泡や肉厚差は、光学結像部材として使用される場合に、反射面の面間隔の均一性を損なう虞がある上、接着層の透過率の低下やヘイズの上昇を引き起こす虞がある。特に、透明板の面積が大きかったり、積層枚数が多数であったりする場合に、上記不具合が顕在化し易くなる。
[0008]
 本発明の目的は、上記事情に鑑みなされたものであり、コストアップを招来させることなく、反射面の面間隔を均一化、かつ狭小化できる上、接着層中の気泡や肉厚差を低減でき、更には、接着剤が過不足なく十分行き渡っているような積層体の製造方法を創案することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者は、鋭意努力の結果、反射膜付きガラスフィルムの一辺側の端縁を他の反射膜付きガラスフィルムの被積層面に接触させた後に積層し、これを積層一体化することにより上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス積層体の製造方法は、複数の矩形の反射膜付きガラスフィルムを、それぞれの相互間に接着剤を介在させて順次積み重ねることで一体化して、ガラス積層体を得るガラス積層体の製造方法であって、前記反射膜付きガラスフィルム1は、図1に示すように、ガラスフィルムの輪郭を構成する第一の辺2と、該第一の辺2と交わる二つの第二の辺3、4と、前記第一の辺2と対向し且つ前記二つの第二の辺3、4と交わる第三の辺5とを有しており、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺2側の部位を、製造途中のガラス積層体上に接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することを特徴とする。
[0010]
 ここで、最初の積み重ね動作を行う場合には、反射膜付きガラスフィルムを、一枚の反射膜付きガラスフィルム上に接触させるということが起こり得るため、「製造途中のガラス積層体」には、最初の積み重ね動作を行う場合の一枚の反射膜付きガラスフィルムが含まれる。
[0011]
 なお、反射膜付きガラスフィルムを、製造途中のガラス積層体上に接触させる際に、接触すべき部分に既に接着剤が塗布されている状態であれば、最初の接触は自ずと接着剤と反射膜付きガラスフィルムとの接触になる。本発明において、特に明示のない場合、反射膜付きガラスフィルムと製造途中のガラス積層体との接触は、接着剤と反射膜付きガラスフィルムとの接触を含めて、便宜上「反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体の被積層面に接触させる」と記載することとする。
[0012]
 本発明のガラス積層体の製造方法では、反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2側の部位を、製造途中のガラス積層体の被積層面に接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始する。このようにすることで、接触範囲を反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2側の部位から、第三の辺5側の部位へと進展させることが可能になる。つまり、反射膜付きガラスフィルムを、第一の辺2側から第三の辺5側に向かって、順次、製造途中のガラス積層体9の被積層面7(6)に接触させていくことが可能になる。このようにすると、接触範囲が第三の辺5側に順次広がるため、接着層中の気泡は、ガラス積層体の内部に閉じ込められることなく、ガラス積層体の外側に抜け易くなる。更に、接着剤が第三の辺5側に順次広がるため、接着層の肉厚の均一性を高めることもできる。結果として、接着層中の気泡や肉厚差を低減することができる。更に、反射膜付きガラスフィルムから接着剤が食み出すことなく、所定の部分に十分行き渡らせることが可能になる。
[0013]
 図2は、本発明のガラス積層体の製造方法の一例であり、反射膜付きガラスフィルム1を、その第一の辺2側の部位から、製造途中のガラス積層体9の被積層面7(6)に積み重ねる方法の概念図である。
[0014]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、反射膜付きガラスフィルム1と、製造途中のガラス積層体9の被積層面(製造途中のガラス積層体9の最後の段の反射膜付きガラスフィルムの表面)6とのなす角度θが、θ=0.1°~50°となるように接触させることが好ましい。このようにすれば、図2に示すように、反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2側の部位を、製造途中のガラス積層体9上に接触させた後、接触範囲を反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2側から、第三の辺5側へと進展させやすくなる。そのため、接着剤7中の気泡をガラス積層体の外側に抜け易くできる。なお、反射膜付きガラスフィルムが撓んでいる場合は、反射膜付きガラスフィルムが撓んでいないと仮定したときの仮想平面と被積層面6とのなす角度θを、θ=0.1°~50°の角度で傾けた状態で接触させるとよい。
[0015]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、製造途中のガラス積層体9上に塗布された接着剤7に、反射膜付きガラスフィルム1を接触させることによって、反射膜付きガラスフィルム1の積み重ね動作を開始することが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルム1同士が最初に接触しないため、反射膜が剥がれたり、ガラスに傷が入ったりするのを抑制できる。
[0016]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2から離間した部位を、製造途中のガラス積層体9上に塗布された接着剤7に接触させて、反射膜付きガラスフィルム1の積み重ね動作を開始することが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルム1の最初の接触点(接触開始点)8が、第一の辺2から離間しているため、接着剤7が食み出しにくくなる上、反射膜付きガラスフィルム1の露出面側に接着剤7が回り込んで付着してしまう事態を防止できる。
[0017]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、製造途中のガラス積層体9上に塗布された接着剤7に、反射膜付きガラスフィルム1の第一の辺2側から第三の辺5側に向かって該反射膜付きガラスフィルム1を順次接触させることが好ましい。このようにすれば、接着層中の気泡や肉厚差を低減することができる。更に、適正な負荷や加速度で、反射膜付きガラスフィルム1を第一の辺2側から第三の辺5側に向かって順次接触させ易くなり、接着剤がムラにならずに所定の部分に十分行き渡らせることができる。
[0018]
本発明のガラス積層体の製造方法は、反射膜付きガラスフィルム1と製造途中のガラス積層体9の被積層面6とが略平行になるように、反射膜付きガラスフィルム1を被積層面6に積み重ねることが好ましい。このようにすれば、反射膜の間隔が一定間隔になるため、光学結像部材として用いた場合に高解像度の結像を得易くなる。更に、ガラス積層体を加工する際には、特定の部分に不当な応力が加わる事態が起こり難いため、ガラス積層体の各構成要素の破損を抑制でき、より正確に加工できる。その結果、歩留まり向上や生産効率向上に有利である。
[0019]
 図3は、本発明の製造方法で作製されるガラス積層体の一例であり、反射膜付きガラスフィルム10がガラス積層体9に対してP n-1(n=積層枚数)分オフセットしている状態を示した概念図である(なお便宜上、図中に接着剤は記載せず、オフセット量P n-1は誇張して表示されている)。
[0020]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、反射膜付きガラスフィルム10の第二の辺の長さをL とし、該反射膜付きガラスフィルムの第一の辺から、ガラス積層体9を構成する最初の段の反射膜付きガラスフィルム10の第一の辺に相当する位置までの距離をP n-1(n=積層枚数)としたときに、P n-1/L =0~1/10となるように、反射膜付きガラスフィルム10を被積層面に積み重ねることが好ましい。このようにすれば、P n-1が過大になりすぎないため、各反射膜付きガラスフィルム10のアライメントを良好に保つことができる。その結果、ガラス積層体の品質を向上させることができる上、ガラス積層体を端部まで有効に利用できるため、歩留まり向上や生産効率向上に有利である。ここで、オフセット量P n-1は、n枚目に積層した反射膜付きガラスフィルムにおいて、その第一の辺から、ガラス積層体9を構成する最初の段の反射膜付きガラスフィルム10の第一の辺に相当する位置までの最長距離を指す。
[0021]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、位置決め部材を用いて反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体の被積層面に積み重ねることが好ましい。このようにすれば、前記オフセット量P n-1をより低減し易くなる。
[0022]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、25℃における粘度が2Pa・s以上の接着剤を用いることが好ましい。このようにすれば、接着剤を反射膜付きガラスフィルムに塗布する際や塗布した後に、接着剤が流れ難くなるため、接着剤を塗布予定部分に的確に塗布することができる。更に、粘度を2Pa・s以上に規制することで、接着剤の界面張力が大きくなり、被積層面から接着剤が盛り上がるため、反射膜付きガラスフィルムの被積層面側を容易に接着剤へと接触させることができるようになる。
[0023]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、スクリーン印刷又はスリットコーターにより、接着剤を反射膜付きガラスフィルムの積層面及び/又は製造途中のガラス積層体の被積層面に塗布することが好ましい。このようにすれば、接着剤の塗布厚の均一性、塗布作業性を高めることができる。
[0024]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、厚みが100μm~1500μmの反射膜付きガラスフィルムを用いることが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムが不当に撓むことなく、本発明を適正に実施できる。その結果、積層精度、積層効率が向上する上、反射膜の間隔が狭小化されるため、高解像度の結像を得易くなる。
[0025]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、サイズ(縦方向寸法×横方向寸法)が、200mm×200mm以上の反射膜付きガラスフィルムを用いることが好ましい。このようなサイズの反射膜付きガラスフィルムを使用すれば、複数の反射膜付きガラスフィルムを積み重ねて一体化した後にワイヤーソー等で切断することで、大きなサイズの光学結像部材にも対応可能である。
[0026]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、積層架台などの上に配置されるダミーガラス板を用意し、該ダミーガラス板上に反射膜付きガラスフィルムを順次積み重ねることが好ましい。このようにすれば、接着剤がガラス積層体から食み出しても、ガラス積層体を、積層架台などから分離し易くなる。
[0027]
 本発明のガラス積層体は、上記のガラス積層体の製造方法により作製されることを特徴とする。このようにすれば、コストアップを招来させることなく、反射面の面間隔を均一化、かつ狭小化できる上、接着層中の気泡や肉厚差を低減でき、更には、接着剤が過不足なくガラスフィルムに十分行き渡っているようなガラス積層体を得ることが出来る。
[0028]
 本発明のガラス積層体は、光学結像部材に用いることが好ましい。このようにすれば、反射面の面間隔が均一かつ接着層の透過率やヘイズが良好で、高解像度の結像が可能な光学結像部材を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0029]
[図1] 反射膜付きガラスフィルムの平面図である。
[図2] 反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位を製造途中のガラス積層体に接触させた状態を示す概略正面図である。
[図3] 本発明の製造方法で作製されるガラス積層体の一例であり、反射膜付きガラスフィルムがガラス積層体に対してPn-1(n=積層枚数)分オフセットしている状態を示した部品分解配列正面図である。
[図4] 接着剤が塗布された製造途中のガラス積層体の被積層面を示す概略の平面図である。
[図5a] 反射膜付きガラスフィルムをその第一の辺側の部位から製造途中のガラス積層体上に接触させて積み重ねていく過程を示す概略正面図である。
[図5b] 反射膜付きガラスフィルムをその第一の辺側の部位から製造途中のガラス積層体上に接触させて積み重ねていく過程を示す概略正面図である。
[図5c] 反射膜付きガラスフィルムをその第一の辺側の部位から製造途中のガラス積層体上に接触させて積み重ねていく過程を示す概略正面図である。
[図6a] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6b] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6c] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6d] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6e] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6f] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6g] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図6h] 反射膜付きガラスフィルムを積層する際に使用する位置決め部材の形状及び配置箇所を示す概略平面図である。
[図7] 本発明のガラス積層体の一例を示す概略斜視図である。
[図8] 本発明のガラス積層体の一例を示す概略斜視図である。
[図9] 本発明のガラス積層体を用いて作製した光学結像部材の一例を示す要部概略斜視図である。

発明を実施するための形態

[0030]
 以下に、本発明のガラス積層体の製造方法について工程毎に詳述する。なお、ガラス積層体を構成する反射膜付きガラスフィルムについては後述する。本発明のガラス積層体の製造方法では、複数の反射膜付きガラスフィルムを接着剤により積層一体化して、ガラス積層体を得るが、その際に、少なくとも一枚の反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側から製造途中のガラス積層体に接触させる工程を有する。
[0031]
 まず、反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体に接着するための接着剤を塗布する。接着剤の塗布は、製造途中のガラス積層体の被積層面側に塗布することが好ましいが、反射膜付きガラスフィルムの積層面側に塗布しておいてもよい。
[0032]
 接着剤を製造途中のガラス積層体の被積層面側に塗布した場合は、接触箇所の調整や、反射膜付きガラスフィルムの位置調整がしやすくなる。また、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位から接着剤が濡れ広がるため、接着層中の気泡や肉厚差を低減し易くなる上、接着剤の塗布効率、塗布精度を高めることができる。また、被積層面を水平方向に保っている場合は、接着剤の塗布が簡便である上、接着剤の垂れを抑制することができるため、接着剤の塗布効率や塗布精度を高めることができ、更には、ガラス積層体の品質や生産効率が向上する。
[0033]
 接着剤の塗布方法は、スリットコーター、スクリーン印刷、ディスペンサー、ドクターブレード、ロールコーター、ヘラ、ローラー、ブラシ、刷毛、スプレー、スプレッダ等があるが、その中でもスリットコーター又はスクリーン印刷が好ましい。このようにすれば、接着剤の塗布厚の均一性、塗布作業性を高めることができる。
[0034]
 接着剤は、本発明のガラス積層体の製造方法の主旨を損なわない限り特に限定されず、ガラス積層体に要求される特性や、製造時の条件、特に温度や雰囲気等を鑑みて最適なものを適宜選択可能である。例えば、加熱や攪拌をすることで粘度が変化する特性を有する接着剤や、ホットメルト接着剤等を用いる場合は、反射膜付きガラスフィルムを接着する時点での粘度を考慮することが必要である。
[0035]
 接着剤の粘度は、低いほど濡れ性が高く、接着層の肉厚差を低減し易くなる上、脱泡もし易くなる。一方、接着剤の粘度は、高いほど塗布後の接着剤の形状を保持しやすいため、本発明の課題を達成しやすい上、塗布部分から流出したりガラス積層体から食み出したりする事態を抑制できる。具体的には、接着剤の界面張力が大きくなり、被積層面から接着剤が盛り上がるため、反射膜付きガラスフィルムの被積層面側を容易に接着剤へと接触させることができるようになる。そのため、接着剤の25℃における粘度は、好ましくは2~200Pa・s、3~100Pa・s、5~80Pa・s、6~50Pa・sまたは10~30Pa・sである。
[0036]
 接着剤としては、種々の接着剤が使用可能であるが、具体的には、光学特性の観点から透明接着剤が好ましく、また製造効率の観点からエポキシ系の接着剤が好ましい。また、接着剤の材質として、UV硬化樹脂、アクリル系、シリコン系、ウレタン系、ポリアミド系、酢酸ビニル系、エステル系、スチレン系、シリコン系、シアノアクリレート系、PVA系、PP系、PC系、PET系、PMMA系、PES系、PEN系、セルロース系の一種又は二種以上が好ましい。また、前記接着剤に加えて、シランカップリング剤も用いることができる。
[0037]
 特にEVA(エチレンビニルアセテート)樹脂接着剤を用いる場合、加熱することが好ましく、加熱温度は、好ましくは50℃以上、70℃以上、90℃以上または100℃以上、特に好ましくは110~250℃である。これにより、EVA樹脂層の形成時間を短縮することができる。また、加熱時の圧力は、好ましくは700torr以下、70torr以下、10torr以下、1torr以下または0.1torr以下、特に好ましくは0.01torr以下である。これにより、接着層、特にEVA樹脂層の界面での発泡を抑制することができる。
[0038]
 次に、接着剤の塗布範囲について、製造途中のガラス積層体上に接着剤を塗布する場合の一例を用いて説明する。なお、反射膜付きガラスフィルム側に接着剤を塗布する場合は、「被積層面」を「反射膜付きガラスフィルムの表面」と読み替えればよい。
[0039]
 図4は、接着剤が塗布された製造途中のガラス積層体の被積層面を示す概略の平面図である。
[0040]
 接着剤を塗布する範囲は、接着剤が塗布された面積をA、被積層面全体の面積をBとしたときに、A/Bの比が、0.30以上、0.35以上、0.4以上、0.5以上、0.7以上または0.8以上であって、且つ、1以下、0.99以下または0.95以下が好ましい。このようにすれば、広い部分に接着剤が塗布されているため、接着を強固に出来る上、接着剤を積層体の端部まで一様に延伸させやすい。また、A/Bの比は、1よりも小さいと、接着剤が被積層面から食み出し難くなる。これらの結果、接着層中の気泡や肉厚差を低減し易くなる上、接着剤の塗布効率、塗布精度を高めることができ、接着層の塗布均一性が向上する。
[0041]
 更に、接着剤を塗布する範囲は、塗布領域の最外部と被積層面の一辺との最短距離をL とし、反射膜付きガラスフィルムの第二の辺の長さをL としたときに、L /L の比が、好ましくは0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下、0.1以下または0.05以下であり、また、好ましくは0以上もしくは0を超えるかまたは0.001以上もしくは0.005以上である。このようにすれば、端の方まで接着剤が塗布されているため、接着を強固に出来る上、接着剤を端部まで一様に延伸させやすい。またL /L の比が1よりも小さいと、接着剤が食み出し難くなる。これらの結果、接着層中の気泡や肉厚差を低減し易くなる上、接着剤の塗布効率、塗布精度を高めることができ、接着層の塗布均一性が向上する。
[0042]
 次に、反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体の被積層面に対して傾けた状態で接触させる。接触角度は、好ましくは0.1°~50°であり、より好ましくは0.5°~45°、1°~40°、2°~35°、3°~30°、5°~30°未満または8°~25°である。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムを被積層面に接触させる際、より確実に反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位を接触させることができるため、接着層中の気泡を低減しやすくなる上、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位以外が不当に接触してしまい接着層中の気泡の抜け道を遮断し、接着層内部に気泡が取り残される事態を抑制することができる。
[0043]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、製造途中のガラス積層体上に塗布された接着剤に、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位を接触させることによって、その反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することが好ましい。このようにすれば、積み重ね動作を行う反射膜付きガラスフィルムと、製造途中のガラス積層体の最後の段の反射膜付きガラスフィルムとが、最初に直接接触しないため、反射膜が剥がれたり、ガラスに傷が入ったりするのを抑制できる。更に、反射膜付きガラスフィルムを積み重ねた後でも、反射膜付きガラスフィルムの位置調整がしやすくなる。また、反射膜付きガラスフィルムの接触開始点から接着剤が濡れ広がるため、接着層中の気泡や肉厚差を低減し易くなる上、接着剤の塗布効率、塗布精度を高めることができる。
[0044]
 本発明のガラス積層体の製造方法は、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺から離間した部位を、製造途中のガラス積層体上に塗布された接着剤に接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することが好ましい。また、接触開始点を前記のようにすることで、反射膜付きガラスフィルムの全ての辺が被積層面に接触しないため、各辺の端縁が被積層面に接触することによる反射膜付きガラスフィルムの破損を防止することができ、ガラス積層体の品質や生産効率の向上が可能である。また、反射膜付きガラスフィルムの接触開始点が、第一の辺から離間しているため、接着剤が食み出しにくくなる上、反射膜付きガラスフィルムの接触面以外の面に接着剤が回り込んで付着してしまう事態を防止できる。
[0045]
 なお、図2に示す離間距離L は、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位を製造途中のガラス積層体の被積層面に接触させた時に、該反射膜付きガラスフィルム上の接触開始点8と、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺2上の点とを結んだ最短距離を指し、L /L は1/10000以上、1/5000以上、1/1000以上、1/500以上、1/300以上または1/200以上が好ましく、また、1/3以下、1/5以下、1/10以下、1/20以下、1/30以下、1/50以下または1/100以下が好ましく、L /L が大きすぎると反射膜付きガラスフィルムが積層予定位置からずれて固定されてしまう虞がある。このようにすれば、上述の反射膜付きガラスフィルムの破損の防止及び接着剤の食み出しや回り込みの防止等の効果をより享受できやすい。
[0046]
 更に、反射膜付きガラスフィルムの接触開始点が、第一の辺から距離L 分だけ離間しておくことで、反射膜付きガラスフィルムが被積層面に全て接触したり接着剤で固定されたりする前に、反射膜付きガラスフィルムを適切な位置に調整できやすくなる。また、一般的に、反射膜付きガラスフィルムの接触又は外因力の押圧により、反射膜付きガラスフィルム間の接着剤は押しつぶされ拡がるが、前記のように距離L 分だけ離間しておくことで、特に反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位において、接着剤を十分に押し拡げても、塗布予定部分から食み出さないようにしやすい。そのため、複数の反射膜付きガラスフィルムの相互間における面間隔や反射膜の間隔が均一になり、光学結像部材として用いた場合に高解像度の結像を得易くなる。更に、食み出した接着剤を除く手間が省けるため、生産効率が向上し、生産コストも低減できる。
[0047]
 なお、反射膜付きガラスフィルムを、被積層面に接触させる際、接着剤の濡れ広がりを均一にする観点から、被積層面が水平方向となるように製造途中のガラス積層体を保持することが好ましい。なお、反射膜の間隔を略均一にできるのであれば、被積層面が水平方向から傾いた方向となるように製造途中のガラス積層体を保持してもよい。
[0048]
 更に、製造途中のガラス積層体は、接着剤の濡れ広がりを均一にする観点から、反射膜付きガラスフィルムに対して下方に位置させることが好ましい。この場合、当該ガラス積層体の被積層面と反射膜付きガラスフィルムとを接触させる方法として、反射膜付きガラスフィルムを下降させて接触させてもよいし、当該ガラス積層体を上昇させて接触させてもよい。なお、当該ガラス積層体を反射膜付きガラスフィルムに対して下方以外の方向に位置させることも可能である。この場合も同様に、当該ガラス積層体側を動かして接触させてもよいし、反射膜付きガラスフィルム側を動かして接触させてもよい。
[0049]
 また、本発明のガラス積層体の製造方法は、吸着アームの吸着と解除を制御することで、反射膜付きガラスフィルムの被積層面への接触を制御することが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムの被積層面への接触を一定にすることが可能になると共に、反射膜付きガラスフィルムの破損、汚染を防止し易くなる。
[0050]
 次の工程で、反射膜付きガラスフィルムを、製造途中のガラス積層体の被積層面に、接着剤を介して積み重ねる。この積み重ね動作は、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側から第三の辺側に向かって、接着剤に順次接触させることが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の端縁と第三の辺側の端縁とが先に接触して接着層中の気泡の抜け道を遮断する、という事態を防止し易くなる。また反射膜付きガラスフィルムが接着剤に順次接触する過程で不当な応力が加わり難くなり、反射膜付きガラスフィルムの破損を防止し易くなる。
[0051]
 また、反射膜付きガラスフィルムを第三の辺側に向かって接着剤に順次接触させる方法として、第三の辺側の部位を被積層面から離反させるための保持を一気に開放して、反射膜付きガラスフィルムの撓みを利用しても良いし、反射膜付きガラスフィルムが全て接触し終えるまで形状を制御できるよう、当該ガラスフィルムの端縁等を最後まで保持してもよい。例えば、吸着アームや挟持装置で反射膜付きガラスフィルムの端縁等を保持している場合であれば、吸着や挟持を解除して反射膜付きガラスフィルムを一時に開放してもよいし、吸着や挟持を維持したまま吸着アームや挟持装置自体を移動させて、反射膜付きガラスフィルムを徐々に被積層面に接触させていってもよい。
[0052]
 反射膜付きガラスフィルムは被積層面に対して略平行になるように積み重ねることが好ましい。その一助として、反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体に接触させて積み重ねた後、必要に応じて反射膜付きガラスフィルムの表面に押圧力を付与してもよい。押圧力を付与する手段として、ローラーや重石等を用いることが好ましい。このようにすれば、接着層中の気泡や肉厚差を低減し易くなると共に、反射膜付きガラスフィルム同士の接着力を高めることができる。なお、反射膜付きガラスフィルムへの汚染、破損を防止する観点からは、反射膜付きガラスフィルムに押圧力を付与しない方が好ましいが、ガラス積層体を強固に接着する観点からは、押圧力を付与したほうが良い。そのため、押圧力の付与の有無や、その強さは、状況を鑑みて適宜調整することが好ましい。
[0053]
 所定数の反射膜付きガラスフィルムをそれぞれの相互間に接着剤を介在させて積み重ねることで一体化させた後のガラス積層体は、全ての反射膜付きガラスフィルムが整列し、且つ、個々の反射膜付きガラスフィルムについてのガラス積層体に対するオフセット量P n-1(n=積層枚数)をできるだけ小さくすることが好ましい。具体的には、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺からガラス積層体を構成する最初の段の反射膜付きガラスフィルムの第一の辺に相当する位置までの距離P n-1と、反射膜付きガラスフィルムの第二の辺の長さL との関係式が、P n-1/L =0~1/10、0~1/12、0~1/15、0~1/20、0~1/25または0~1/30になるように制御することが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムのサイズ(例えば、第二の辺L )に対して、オフセット量P n-1が過大になりすぎないため、各反射膜付きガラスフィルムのアライメントを良好に保つことができる。その結果、ガラス積層体の品質を向上させることができる上、ガラス積層体を端部まで有効に利用できるため、歩留まり向上や生産効率向上に有利である。
[0054]
 ここで、本明細書では便宜上、オフセット量P n-1を第一の辺を中心に説明したが、その他の辺についてもオフセット量P n-1や、関係式P n-1/L を小さくする方が好ましいことは言うまでもなく、その範囲についても同様である。
[0055]
 前記オフセット量P n-1を小さくするためには、反射膜付きガラスフィルムを積層する際に、位置決め部材を用いることが好ましい。図6a~図6hは、位置決め部材18の形状や製造途中のガラス積層体9に対する位置決め部材18の配置箇所を示す概略平面図である。位置決め部材18としては、位置決めバーや、型枠等が挙げられ、これらは適宜、任意の形状及び個数を組み合わせて使用できる。このようにすれば、前記オフセット量P n-1をより少なくすることができる。また、位置決め部材18は、上下左右に移動可能で且つ積層装置から脱離できることが好ましい。このようにすることで、反射膜付きガラスフィルムのサイズ変更に対応可能になる上、清掃やメンテナンスも容易になる。また、位置決めバーを用いる場合は、例えばガラス積層体の各辺に2本ずつの合計8本配置することや、3辺に4本、2辺に2本配置すること等が挙げられるが、各反射膜付きガラスフィルムのアライメントを良好に保つためであれば、1本、3本、5本、6本、7本や、それ以上配置してもよい。
[0056]
 また、位置決めは、画像診断等の機械制御により行ってもよく、このようにすれば、前記効果を享受できる上、より的確に反射膜付きガラスフィルムを積層させることができる。
[0057]
 更に、反射膜付きガラスフィルムを積層する際に、反射膜付きガラスフィルムを積層架台上に順次積層させることが好ましい。このようにすれば、反射膜付きガラスフィルムの積層精度、積層効率が向上する。積層架台上にダミーガラス基板を設けて、このダミーガラス基板上に反射膜付きガラスフィルムを順次積層させることが好ましい。このようにすれば、接着剤がガラス積層体から食み出した場合でも、積層架台が接着剤で汚染されることなく、ガラス積層体を積層架台から分離し易くなる。結果として、積層架台の耐用年数を高めることができる。
[0058]
 また、上述した一連の積み重ね動作によるガラス積層体の製作工程を負圧下で行うことも好ましい。このようにすれば、接着層中の気泡を低減し易くなる。
[0059]
 また、反射膜付きガラスフィルムの積層枚数は、3枚以上、5枚以上、10枚以上、50枚以上、100枚以上、200枚以上、300枚以上、400枚以上、500枚以上または600枚以上、特に700枚以上、1000枚以上、3000枚以上、5000枚以上または10000枚以上積層させることが好ましい。このようにすれば、大型の光学結像部材を作製し易くなる。
[0060]
 さらに本発明のガラス積層体の製造方法では、複数の反射膜付きガラスフィルムをそれぞれの相互間に接着剤を介在させて積み重ねて一体化させた後に、得られたガラス積層体を反射膜が形成された面に直交する方向に短冊状に切断する工程を有することが好ましい。短冊状のガラス積層体を用いると、光学結像部材の製造効率が向上する。
[0061]
 ガラス積層体を短冊状に切断する方法として、種々の方法が使用可能である。その中でも、切断効率、切断精度の観点から、ワイヤーソーを用いて切断することが好ましく、ワイヤーソーに研磨砥粒を含むスラリーを供給しながら切断することが好ましい。ガラス積層体の切断は、通常のガラス単体の切断とは異なり、ガラスフィルム、反射膜、接着層等を有する複合材料の切断になる。このため、ガラス積層体の切断時に、各構成部材の接着強度が不十分であると、構成部材の一部が引き剥がされる虞がある。しかし、本発明では、反射膜付きガラスフィルムの接着強度を高めることができるため、上記不具合を適正に防止することができる。
[0062]
 本発明のガラス積層体は、上述した本発明のガラス積層体の製造方法により作製されてなることが好ましい。このようにして得られる本発明のガラス積層体は、反射面の面間隔が均一、かつ狭小であり、更に接着層中の気泡や肉厚差が少ないため、光学結像部材として用いた場合に、高解像度・高輝度の結像を得ることが可能である。
[0063]
 ガラス積層体の接着層の厚みは、光学的な影響を最小化するために、好ましくは500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、70μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下または10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。接着層の厚みが薄い程、反射膜の間隔が狭小化される上、接着層の透過率が向上し、また接着層のヘイズが低下し易くなる。
[0064]
 ガラス積層体の接着層の屈折率n は、好ましくは1.60以下、1.55以下、1.54以下、1.52以下または1.51以下、特に好ましくは1.50以下であり、また、好ましくは1.45以上または1.48以上、特に好ましくは1.49以上である。これにより、ガラス積層体の接着層の屈折率n を、ガラスフィルムの屈折率に整合させ易くなり、接着層の界面での拡散反射を抑制することができる。なお、屈折率n は、精密屈折率計により測定可能である。
[0065]
 更に、ガラス積層体の接着層の透過率はできるだけ高いことが好ましい。厚み100μm換算、波長300nmにおける接着層の透過率は、好ましくは30%以上、50%以上、70%以上、80%以上または85%以上、特に好ましくは89%以上である。また厚み100μm換算、波長350nmにおける接着剤の透過率は、好ましくは50%以上、70%以上、80%以上、85%以上、89%以上または90%以上、特に好ましくは91%以上である。また厚み500μm換算、波長550nmにおける接着層の透過率は、好ましくは85%以上、89%以上または90%以上、特に好ましくは91%以上である。このようにすれば、光学結合部材等に適用した場合、光が反射を繰り返しながら透過する際に、光の損失が低減されて、高解像度の結像を得易くなる。
[0066]
 ガラス積層体の接着層のヘイズは、好ましくは10%以下、5%以下、3%以下、1%以下または0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。このようにすれば、ガラスフィルムと接着層の界面での拡散反射を低減することが可能になり、光学結合部材等に適用した場合、光が反射を繰り返しながら透過する際に、光の損失が低減されて、高解像度の結像を得易くなる。
[0067]
 ガラス積層体の接着層の気泡個数は、1cm 当たりの100μm以上の平均個数が、好ましくは3個以下、2個以下、1個以下、0.5個以下または0.1個、特に0.05個以下が好ましい。更に、ガラス積層体の接着層の気泡の最大半径は、好ましくは10mm以下、7mm以下、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、700μm以下、500μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下または10μm以下である。気泡の数が少ない程、また気泡の半径が小さい程、反射面の面間隔の均一性が向上すると共に、接着層の透過率の低下やヘイズの上昇を抑制し易くなる。なお、ガラス積層体の接着層の気泡は、反射膜付きガラスフィルムと同様の方法で積層させてなり且つ反射膜を有しないガラスフィルムからなるガラス積層体を観察することで確認することができる。
[0068]
 本発明のガラス積層体を用いて光学結像部材を作製する場合、短冊状のガラス積層体を一対用意する工程と、一対のガラス積層体を反射膜が形成された面同士が直交するように配置固定して、光学結像部材を得る工程とを含むことが好ましい。
[0069]
 更に、一対のガラス積層体の積層外表面(図9に示す上側のガラス積層体24の上面と、下側のガラス積層体24の下面とであって、通常、切断面になる)にガラス基板(好ましくは強化ガラス基板)を配置固定する工程を有することが好ましい。このようにすれば、一対のガラス積層体の積層外表面を高精度に研磨する必要がなくなり、光学結像部材の製造コストを大幅に低減することができる。更に、この場合、一対のガラス積層体の積層外表面を実質的に研磨しないことが好ましい。
[0070]
 本発明のガラス積層体の製造方法では、上記の通り、複数枚の反射膜付きガラスフィルムを用いる。反射膜付きガラスフィルムは、ガラスフィルムの両表面に反射膜を形成してもよいが、製造効率の観点から、ガラスフィルムの一方の表面のみに反射膜を形成することが好ましい。
 また、反射膜がガラスフィルムの一方の表面のみに形成されている場合には、反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体の被積層面に積み重ねる際に、ガラスフィルムの反射膜が形成されていない面を被積層面(接着剤)に接触させることが好ましいが、その逆であってもよい。
[0071]
 本発明に係るガラスフィルムは、以下の特性及びガラス組成を有することが好ましい。
[0072]
 ガラスフィルムの厚みは、適正な撓み量を確保する観点から、好ましくは1500μm以下、1400μm以下、1300μm以下、1200μm以下、1100μm以下、1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下または100μm以下である。ガラスフィルムの厚みが薄い程、反射膜の間隔が狭小化されるため、高解像度の結像を得易くなる。
[0073]
 ガラスフィルムの表面の表面粗さRaは、好ましくは100Å以下、50Å以下、10Å以下、8Å以下、4Å以下または3Å以下、特に好ましくは0.01~2Åである。ガラスフィルムの表面の表面粗さRaが大き過ぎると、反射膜の間隔がばらつき易くなり、特にガラスフィルムを積層一体化した時に、反射膜の間隔のばらつきが増幅されて、高解像度の結像を得難くなる。更に、ガラスフィルムを積層する際に、空気を巻き込み易くなったり、オプティカルボンディングし難くなったりする。
[0074]
 ガラスフィルムの端面の表面粗さRaは、好ましくは50μm以下、10μm以下、5μm以下、3μm位下、2μm以下、1μm以下または0.5μm以下、特に好ましくは0.05μm以下である。ガラスフィルムの端面の表面粗さRaが大き過ぎると、ガラス積層体が破損し易くなる。
[0075]
 ガラスフィルムのうねりは、好ましくは1μm以下、0.08μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下または0.02μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。ガラスフィルムのうねりが大き過ぎると、反射膜の間隔がばらつき易くなり、特にガラスフィルムを積層一体化した時に、反射膜の間隔のばらつきが増幅されて、高解像度の結像を得難くなる。更に、ガラスフィルムのうねりが大き過ぎると、ガラスフィルムを積層する際に、空気を巻き込み易くなったり、オプティカルボンディングし難くなったりする。すなわち、複数の反射膜付きガラスフィルムを相互間に接着剤を介在させずにオプティカルボンディングによって直接接着させる場合には、ガラスフィルムのうねりが大き過ぎると、オプティカルボンディングが困難になる。
[0076]
 ガラスフィルムの最大厚みと最小厚みの差は、好ましくは10μm以下、5μm以下または2μm以下、特に好ましくは0.01~1μmである。この差が大き過ぎると、反射膜の間隔がばらつき易くなり、特にガラスフィルムを積層一体化した時に、反射膜の間隔のばらつきが増幅されて、高解像度の結像を得難くなる。更に、ガラスフィルムを積層する際に、空気を巻き込み易くなったり、オプティカルボンディングし難くなったりする。
[0077]
 ガラスフィルムは、未研磨の表面を有することが好ましい。ガラスの理論強度は、本来、非常に高いが、理論強度よりも遥かに低い応力でも破壊に至ることが多い。これは、ガラスフィルムの表面にグリフィスフローと呼ばれる小さな欠陥がガラスの成形後の工程、例えば研磨工程等で生じるからである。よって、ガラスフィルムの表面を未研磨とすれば、本来の機械的強度を損ない難くなり、ガラスフィルムが破壊し難くなる。また、研磨工程を省略し得るため、ガラスフィルムの製造コストを低廉化することができる。なお、両表面の有効面全体を未研磨の表面とすれば、ガラスフィルムが更に破壊し難くなる。
[0078]
 ガラスフィルムの幅寸法は、好ましくは200mm以上、250mm以上、300mm以上、500mm以上、600mm以上、800mm以上、1000mm以上、1200mm以上または1500mm以上、特に好ましくは2000mm以上である。このようにすれば、光学結像部材を大型化し易くなる。一方、ガラスフィルムの幅寸法が大き過ぎると、反射膜が形成された面に直交する方向にガラス積層体を切断し難くなる。よって、ガラスフィルムの幅寸法は、好ましくは3500mm以下または3200mm以下、特に好ましくは3000mm以下である。
[0079]
 ガラスフィルムのサイズ(縦方向寸法×横方向寸法)は、好ましくは200mm×200mm~3500mm×3500mmの範囲であれば、縦横で任意の幅寸法の組み合わせが可能である。ガラスフィルムのサイズが小さいほうが製造しやすく、高品質のガラス積層体を得ることができるため、高精細が要求される場合に有利である。また、大型の光学結像部材を得るためには、ガラスフィルムのサイズが大きいものを用いるとよいが、ガラスフィルムのサイズが大きくなるほど、積層工程や切断工程の難易度が高くなる。その場合でも本発明のガラス積層体の製造方法によれば、良好な品質のガラス積層体を得ることが可能であるが、小型の光学結像部材を組み合わせる等で適宜大型化に対応するのもよい。
[0080]
 ガラスフィルムのクラック発生率は、好ましくは70%以下、50%以下、40%以下または30%以下、特に好ましくは20%以下である。このようにすれば、ガラス積層体が破損し難くなる。ここで、「クラック発生率」は、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重1000gに設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨相当面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)し、この操作を20回繰り返し(即ち、圧子を20回打ち込み)、総クラック数を計数した後、総クラック発生数/80にて得られた値を指す。
[0081]
 ガラスフィルムの液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1130℃以下、1110℃以下または1090℃以下、特に好ましくは700~1070℃である。ガラスフィルムの液相粘度は、好ましくは10 5.0dPa・s以上、10 5.6dPa・s以上または10 5.8dPa・s以上、特に好ましくは10 6.0~10 10.0dPa・s以上である。このようにすれば、成形時にガラスが失透し難くなる。なお、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値を指す。「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
[0082]
 ガラスフィルムのヤング率は、好ましくは65GPa以上、67GPa以上、68GPa以上、69GPa以上、70GPa以上、71GPa以上または72GPa以上、特に好ましくは75~100GPaである。このようにすれば、ガラスフィルムの表面に反射膜を形成した後に、ガラスフィルムが反り難くなり、結果として、反射膜の間隔がばらつき難くなり、高解像度の結像を得易くなる。なお、「ヤング率」は、共振法により測定した値を指す。
[0083]
 ガラスフィルムの密度は、好ましくは2.7g/cm 以下、2.6g/cm 以下または2.5g/cm 以下、特に好ましくは2.0~2.4g/cm である。このようにすれば、光学結像部材の軽量化を図り易くなる。
[0084]
 ガラスフィルムの熱膨張係数は、好ましくは25~100×10 -7/℃、30~90×10 -7/℃、30~60×10 -7/℃または30~45×10 -7/℃、特に好ましくは30~40×10 -7/℃である。このようにすれば、各種機能膜の熱膨張係数に整合させ易くなる。なお、「熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、30~380℃における平均熱膨張係数を測定した値を指し、熱膨張係数の測定用試料として、端面にR加工を施したφ5mm×20mmの円柱状の試料を用いる。
[0085]
 ガラスフィルムの歪点は、好ましくは600℃以上、特に好ましくは630~750℃である。このようにすれば、耐熱性を高め易くなる。なお、「歪点」は、ASTM C336-71の方法に基づいて測定した値を指す。
[0086]
 ガラスフィルムの厚み500μm換算、波長300nmにおける透過率は、好ましくは30%以上、50%以上、70%以上、80%以上または85%以上、特に好ましくは89~99%である。また厚み500μm換算、波長350nmにおける透過率は、好ましくは50%以上、70%以上、80%以上、85%以上、89%以上または90%以上、特に好ましくは91%以上である。また厚み500μm換算、波長550nmにおける透過率は、好ましくは85%以上、89%以上または90%以上、特に好ましくは91~99%である。このようにすれば、光学結合部材等に適用した場合、光が反射を繰り返しながら透過する際に、光の損失が低減されて、高解像度の結像を得易くなる。
[0087]
 ガラスフィルムのヘイズは、好ましくは10%以下、5%以下、3%以下、1%以下または0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。このようにすれば、表面および内部での拡散反射を低減することが可能になり、光学結合部材等に適用した場合、光が反射を繰り返しながら透過する際に、光の損失が低減されて、高解像度の結像を得易くなる。なお、ヘイズは、市販のヘイズメーターで測定可能である。
[0088]
 ガラスフィルムの屈折率は、接着剤の屈折率とできるだけ整合していることが好ましい。ガラスフィルムと接着層の屈折率n 差は、好ましくは0.2以下、0.15以下、0.12以下、0.1以下、0.08以下、0.05以下、0.02以下、0.01以下または0.008以下、特に好ましくは0.005以下である。これにより、ガラスフィルムと接着層の界面での拡散反射を低減することができる。
[0089]
 ガラスフィルムは、ガラス組成として、質量%で、SiO  35~80%、Al  0~20%、B  0~17%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~30%を含有することが好ましい。上記のように、各成分の含有範囲を限定した理由を下記に示す。なお、ガラス組成に関する説明において、%表示は、質量%を指す。
[0090]
 SiO の含有量は35~80%が好ましい。SiO の含有量が多過ぎると、溶融性、成形性が低下し易くなる。よって、SiO の含有量は、好ましくは75%以下、64%以下または62%以下、特に好ましくは61%以下である。一方、SiO の含有量が少な過ぎると、ガラス網目構造を形成し難くなって、ガラス化が困難になったり、クラックの発生率が高くなったり、耐酸性が低下し易くなる。よって、SiO の含有量は、好ましくは40%以上、50%以上または55%以上、特に好ましくは57%以上である。
[0091]
 Al の含有量は0~20%が好ましい。Al の含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出して、液相粘度が低下し易くなる。Al の含有量は、好ましくは18%以下または17.5%以下、特に好ましくは17%以下である。一方、Al の含有量が少な過ぎると、歪点、ヤング率が低下し易くなる。よって、Al の含有量は、好ましくは3%以上、5%以上、8.5%以上、10%以上、12%以上、13%以上、13.5%以上または14%以上、特に好ましくは14.5%以上である。
[0092]
 B の含有量は0~17%が好ましい。B の含有量が多過ぎると、歪点、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。よって、B の含有量は、好ましくは15%以下、13%以下、12%以下または11%以下、特に好ましくは10.4%以下である。一方、B の含有量が少な過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性が低下したり、クラック発生率が上昇したり、液相温度が高くなったり、密度が高くなり易い。よって、B の含有量は、好ましくは2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、7%以上、8.5%以上または8.8%以上、特に好ましくは9%以上である。
[0093]
 MgOは、ヤング率、歪点を高めると共に、高温粘度、クラック発生率を低下させる成分である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、液相温度が上昇して、耐失透性が低下し易くなることに加えて、耐BHF性が低下し易くなる。よって、MgOの含有量は、好ましくは10%以下、5%以下、3%以下、2%以下、1.5%以下または1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
[0094]
 CaOの含有量は0~15%が好ましい。CaOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなり易い。よって、CaOの含有量は、好ましくは12%以下、10%以下または9%以下、特に好ましくは8.5%以下である。一方、CaOの含有量が少な過ぎると、溶融性、ヤング率が低下し易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは2%以上、3%以上、5%以上、6%以上または7%以上、特に好ましくは7.5%以上である。
[0095]
 SrOの含有量は0~15%が好ましい。SrOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなり易い。よって、SrOの含有量は、好ましくは12%以下、10%以下、6%以下または5%以下、特に好ましくは6.5%以下である。一方、SrOの含有量が少な過ぎると、溶融性、耐薬品性が低下し易くなる。よって、SrOの含有量は、好ましくは0.5%以上、1%以上、2%以上または3%以上、特に好ましくは3.5%以上である。
[0096]
 BaOの含有量が多過ぎると、密度、熱膨張係数が高くなり易い。よって、BaOの含有量は、好ましくは30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下または1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
[0097]
 MgO、CaO、SrO、BaOの各成分を複数導入すると、液相温度が低下して、ガラス中に結晶異物が発生し難くなる。一方、これらの成分の合量が少な過ぎると、融剤としての働きを十分に発揮できず、溶融性が低下し易くなる。よって、これらの成分の合量は、好ましくは5%以上、8%以上、9%以上または11%以上、特に好ましくは13%以上である。一方、これらの成分の合量が多過ぎると、密度が上昇し、ガラスの軽量化が図り難くなることに加えて、クラック発生率が高くなる傾向がある。よって、これらの成分の合量は、好ましくは30%以下、20%以下または18%以下、特に好ましくは15%以下である。特に、ガラスフィルムの低密度化を優先したい場合、これらの成分の合量は、好ましくは5%以上、特に好ましくは8%以上であり、また、好ましくは13%以下または11%以下、特に好ましくは10%以下である。
[0098]
 ZnOは、溶融性、ヤング率を高める成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透したり、歪点が低下したり、密度が上昇し易くなる。よって、ZnOの含有量は、好ましくは15%以下、10%以下、5%以下、3%以下または1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
[0099]
 ZrO は、ヤング率を高める成分である。しかし、ZrO の含有量が多過ぎると、液相温度が上昇し、ジルコンの失透異物が発生し易くなる。よって、ZrO の含有量は、好ましくは3%以下、1%以下または0.5%以下、特に好ましくは0.1%以下である。
[0100]
 Fe の上限含有量は、好ましくは1000ppm(0.1%)以下、800ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、130ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、40ppm以下、30ppm以下または20ppm以下、特に好ましくは10ppm以下であり、下限含有量は、好ましくは1ppm以上、特に好ましくは3ppm以上である。Fe の含有量が少ない程、透過率が高くなるため、光学結合部材等に適用した場合、光が反射を繰り返しながら透過する際に、光の損失が低減されて、高解像度の結像を得易くなる。なお、Fe の含有量を低減するためには、高純度の原料を使用することが好ましい。
[0101]
 Y 、Nb 、La は、歪点、ヤング率等を高める成分である。しかし、これらの成分の含有量が多過ぎると、密度が高くなり易い。よって、Y 、Nb 、La の含有量は、それぞれ3%以下が好ましい。
[0102]
 清澄剤として、As 、Sb 、CeO 、SnO 、F、Cl、SO の群から選択された一種又は二種以上を0~3%添加してもよい。但し、As 、Sb 及びF、特にAs 及びSb は、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましく、各々の含有量を0.1%未満に制限することが好ましい。好ましい清澄剤は、SnO 、SO 及びClである。SnO の含有量は、好ましくは0~1%または0.01~0.5%、特に好ましくは0.05~0.4%である。また、SnO +SO +Cl(SnO 、SO 及びClの合量)の含有量は、好ましくは0.001~1%または0.01~0.5%、特に好ましくは0.01~0.3%である。
[0103]
 上記成分以外にも、他の成分を添加してもよく、他の成分の含有量は10%以下、特に5%以下が好ましい。
[0104]
 次に、反射膜の好適な構成、形成方法等について説明する。
[0105]
 反射膜は、種々の材料が使用可能であるが、その中でも、高解像度の結像を得る観点からAl又はAgが好ましい。
[0106]
 ガラスフィルムの表面に反射膜を形成する方法として、種々の方法があり、例えば、蒸着、スパッタ、めっき、銀鏡反応等が挙げられる。特に、成膜効率の観点から、スパッタで反射膜を形成することが好ましいが、大量かつ安価に生産する場合は銀鏡反応を用いることが好ましい。
[0107]
 スパッタ、蒸着により反射膜(特にAlの反射膜)を形成する場合、その反射膜を電解研磨することが好ましい。このようにすれば、反射膜の正反射率が向上して、結像される像の画質を高めることができる。
[0108]
 ガラスフィルムの表面に対して、反射膜付き樹脂フィルムを貼り付けることも好ましい。このようにすれば、反射膜の形成コストを低減することができる。
[0109]
 ガラスフィルムの表面に対して、Alペースト、Agペースト等の金属ペーストを塗布、乾燥した後、得られたガラスフィルムを積層、焼成することも好ましく、金属ペーストにはガラスフリットが含まれることが好ましい。このようにすれば、ガラスフィルム同士の固着と反射膜の形成を同時に行うことができる。
[0110]
 反射膜上には、必要に応じて、SiO 等の保護膜を形成してもよい。このようにすれば、反射膜を適正に保護することができる。
実施例 1
[0111]
 本発明のガラス積層体の製造方法に用いる反射膜付きガラスフィルムについて、ガラス組成と特性を詳細に説明する。但し、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
[0112]
 表1は、本発明のガラス積層体の製造方法で用いるガラスフィルム(試料No.1~7)のガラス組成と特性を示している。
[0113]
[表1]


[0114]
 まず表1に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合し、得られたガラス原料をガラス溶融炉に供給して1500~1600℃で溶融した。次いで、得られた溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー法により、表中の厚み、長さ寸法1500mmになるように成形した。続いて、成形直後のガラスフィルムを徐冷エリアに移動させた。その際に、10 12~10 14dPa・sにおける温度での冷却速度が20℃/分になるように、徐冷エリアの温度とフィルム引き出し速度を調整した。
[0115]
 密度は、周知のアルキメデス法により測定した値である。
[0116]
 歪点は、ASTM C336-71の方法に基づいて測定した値である。
[0117]
 ガラス転移温度は、熱膨張曲線からJIS R3103-3の方法に基づいて測定した値である。
[0118]
 軟化点は ASTM C338-93の方法に基づいて測定した値である。
[0119]
 10 4.0、10 3.0、10 2.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。この温度が低い程、溶融性に優れていることになる。
[0120]
 ヤング率は、共振法により測定した値である。
[0121]
 熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30~380℃における平均熱膨張係数を測定したものである。熱膨張係数の測定用試料として、端面にR加工を施したφ5mm×20mmの円柱状の試料を用いた。
[0122]
 液相温度は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定したものである。液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
[0123]
 下記の方法により、耐HCl性と耐BHF性を評価した。まず各試料の両表面を光学研磨した後、表面の一部をマスキングした。次に、所定の濃度に調合した薬液中で、所定の温度で所定の時間浸漬した。その後、マスクを外し、マスク部分と浸食部分の段差を表面粗さ計で測定し、その値を浸食量とした。また、各試料の両表面を光学研磨した後、所定の濃度に調合した薬液中で、所定の温度で所定の時間浸漬した。その後、試料の表面を目視で観察し、表面が白濁したり、荒れたり、クラックが入っているものを「×」、変化が全く無いものを「○」として評価した。
[0124]
 ここで、耐BHF性の浸食量は、130BHF溶液(NH HF:4.6質量%,NH F:36質量%)を用いて20℃、30分間の処理条件で測定した。外観評価は、63BHF溶液(HF:6質量%,NH F:30質量%)を用いて、20℃、30分間の処理条件で行った。また耐HCl性の浸食量は、10質量%塩酸水溶液を用いて80℃、24時間の処理条件で測定した。外観評価は、10質量%塩酸水溶液を用いて80℃、3時間の処理条件で行った。
[0125]
 クラック発生率は、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重1000gに設定したビッカース圧子を試料表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。20回圧子を打ち込み、総クラック発生数/80×100として評価した。
[0126]
 表面の表面粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値である。
[0127]
 端面の表面粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値である。
[0128]
 うねりは、触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B0601:2001に記載のWCA(ろ波中心線うねり)を測定した値であり、この測定は、SEMI STD D15-1296「FPDガラス基板の表面うねりの測定方法」に準拠した方法で測定し、測定時のカットオフは0.8~8mm、ガラスフィルムの引き出し方向に対して垂直な方向に300mmの長さで測定した値である。
[0129]
 ガラスフィルムの最大厚みと最小厚みの差は、レーザー式厚み測定装置を用いて、ガラスフィルムの任意の一辺に厚み方向からレーザーを走査することにより、ガラスフィルムの最大厚みと最小厚みを測定した上で、最大厚みの値から最小厚みの値を減じた値である。
[0130]
 屈折率ndは、精密屈折率計(島津製作所社製KPR-2000)を用いて測定した値である。
[0131]
 表1から明らかなように、試料No.1~7は、厚みが小さく、表面精度が良好である。よって、試料No.1~7のガラス表面に反射膜を形成した上で、これを積層一体化すれば、コストアップを招来させることなく、ガラス積層体を作製することができる。そして、一対のガラス積層体を反射膜が形成された面同士が直交するように配置すれば、高解像に結像し得る光学結像部材を得ることができる。
[0132]
 試料No.1~7につき、表中の厚み、波長にて透過率を測定した。測定装置として、UV-3100PCを使用し、スリット幅:2.0nm、スキャン速度:中速、サンプリングピッチ:0.5nmの条件で測定した。その結果を表2に示す。
[0133]
[表2]


[0134]
 表2から明らかなように、試料No.1~7は、何れの厚み、波長でも透過率が高かった。
[0135]
 更に、各試料について、ヘイズメーター(日本電飾工業社製 NDH-5000)によりヘイズを測定した。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、試料No.1~7は、何れもヘイズが小さいため、表面での拡散反射を抑制することができる。
実施例 2
[0136]
 本発明のガラス積層体の製造方法について、実施例1に例示したガラスフィルムを用い詳細に説明する。但し、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
[0137]
 図5a~図5cは、反射膜付きガラスフィルム14の第一の辺15側の部位17を、反射膜付きガラスフィルム11の被積層面(接着剤13の表面)に接触させて、積み重ね動作を開始する方法の実施状況を示す概略正面図である。
 まず、試料No.3のガラス組成を有するガラスフィルム上にスパッタでAl反射膜を形成することにより得られるAl反射膜付きガラスフィルムを作製する。反射膜付きガラスフィルムの寸法は400mm×400mm角であり、板厚は400μmである。
 ここで、下側の反射膜付きガラスフィルム11の被積層面12には、既にスリットコーターにより接着剤13(キヤノン化成株式会社製GA-R1/GA-H1)が塗布されている(なお、図中の接着剤の厚みは、誇張して表示されている)。図5aに示すように、接着剤13の上に、もう一枚の反射膜付きガラスフィルム14を積層させていく。上側の反射膜付きガラスフィルム14と、下側の反射膜付きガラスフィルムの被積層面11とのなす角度θが、θ=10°になるように、上側の反射膜付きガラスフィルム14を、第一の辺15側を下方に傾けた状態で前記被積層面12上の接着剤13に接触させる。このとき、上側の反射膜付きガラスフィルム14は、第一の辺15から約1mm離間した最初の接触点17で接着剤13と接触させた。
 次に、図5bに示すように、反射膜付きガラスフィルム14の第一の辺15側から、その辺15と対向する第三の辺16側に向かって、反射膜付きガラスフィルム14を接着剤13に順次接触させていく。これにより、接着剤13は、反射膜付きガラスフィルム14と、反射膜付きガラスフィルム11の被積層面12の全面に渡って押し拡げられていく。このようにして、図5cに示すように、上側の反射膜付きガラスフィルム14を下側の反射膜付きガラスフィルム11上に積み重ねて一体化させる作業が完了する。
 前記の作業を繰り返すことにより、図3に示すような11枚の反射膜付きガラスフィルムが積層されたガラス積層体を得た(なお便宜上、図中に接着剤は記載せず、オフセット量P n-1は、誇張して表示されている)。このようにして得たガラス積層体を構成する各反射膜付きガラスフィルム間のオフセット量を計測したところ、オフセット量P n-1は表3に示すように、最大値P (n-1)max=20mm、平均値P (n-1)average=7.0mmであり、何れのオフセット量P n-1も、P n-1/L =0~1/10の範囲に含まれていた。
[0138]
[表3]


[0139]
 本発明のガラス積層体の製造方法では、位置決め部材を使用することにより、前記オフセット量P n-1を低減できる。具体例を実施例3に示す。
実施例 3
[0140]
 位置決め部材を利用したガラス積層体の製造方法の一例を説明する。具体的には、ガラス積層体を積層する工程で、被積層側の反射膜付きガラスフィルムの周囲に図6gに示すような位置決めバー18a、18bおよび位置決め型枠18cを配置した。ここで、位置決めバー18a、18b及び位置決め型枠18cは、脱着可能かつ上下に移動できる仕組みになっている。このような装置を用いて、実施例2と同様にして11枚のガラスフィルムが積層されたガラス積層体を作製したところ、オフセット量P n-1は表4に示すように、最大値P (n-1)max=15mm、平均値P (n-1)average=4.2mmであり、位置決めバーや位置決め型枠を使用しない場合と比べて、オフセット量P n-1及びP n-1/L が小さくなった。
[0141]
[表4]


実施例 4
[0142]
 所定枚数が積層されたガラス積層体を用いて光学結像部材を作製する方法を説明する。図7に示すように、ガラス積層体21は、例えば厚み1000μmのガラスフィルム22が300枚積層されており、ガラスフィルム22間にそれぞれ反射膜23を有している。ここではガラスフィルム22の一方の表面には、反射膜23が形成されており、他方の表面には反射膜23は形成されていない。ガラスフィルム22同士は、反射膜同士が重ならないように、図示しない接着層により積層一体化されている(なお、図中において、反射膜23の厚みは、誇張して表示されている)。
 次に、ガラス積層体をワイヤーソーにて切断して、図8に示すような短冊状のガラス積層体24を得る。短冊状のガラス積層体24は、前工程に記載のガラス積層体21を反射膜23が形成された面に直交する方向に切断したものである。切断幅は、ガラスフィルムの板厚や、光学結像部材の寸法や性能、生産効率の観点から適宜決定できるが、例えばガラスフィルムの板厚の1.0倍~2.0倍程度にすることが好ましく、ここでは切断幅を0.8mmにする。
 前記の工程を経て作製された短冊状のガラス積層体24を用いて、光学結像部材25を作製する。図9は、本発明の光学結像部材25の一例を示す要部概略斜視図である。光学結像部材25には、図9に記載の短冊状のガラス積層体24を一対使用する。一対の短冊状のガラス積層体24は、反射膜26が形成された面同士が直交するように、短冊状のガラス積層体24の側面(切断面)同士を、図示しない接着層により接着固定している。光学結像部材25は、ガラスフィルム27により、反射膜26の間隔が狭小化、且つ均一化されている。

符号の説明

[0143]
1 反射膜付きガラスフィルム
2 反射膜付きガラスフィルムの第一の辺
3 反射膜付きガラスフィルムの第二の辺
4 反射膜付きガラスフィルムの第二の辺
5 反射膜付きガラスフィルムの第三の辺
6 ガラス積層体の被積層面
7 接着剤
8 最初の接触点(接触開始点)
9 製造途中のガラス積層体
10 ガラス積層体を構成する最初の段の反射膜付きガラスフィルム
11 反射膜付きガラスフィルム
12 反射膜付きガラスフィルムの被積層面
13 接着剤
14 反射膜付きガラスフィルム
15 反射膜付きガラスフィルムの第一の辺
16 反射膜付きガラスフィルムの第三の辺
17 最初の接触点(接触開始点)
18 位置決めバー
19 位置決めバー
20 位置決め型枠
21 ガラス積層体
22 ガラスフィルム
23 反射膜
24 短冊状のガラス積層体
25 光学結像部材
26 反射膜
27 ガラスフィルム

請求の範囲

[請求項1]
 複数の矩形の反射膜付きガラスフィルムを、それぞれの相互間に接着剤を介在させて順次積み重ねることで一体化して、ガラス積層体を得るガラス積層体の製造方法であって、
 反射膜付きガラスフィルムは、ガラスフィルムの輪郭を構成する第一の辺と、該第一の辺と交わる二つの第二の辺と、前記第一の辺と対向し且つ前記二つの第二の辺と交わる第三の辺とを有しており、
 反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側の部位を、製造途中のガラス積層体上に接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することを特徴とするガラス積層体の製造方法。
[請求項2]
 反射膜付きガラスフィルムと、製造途中のガラス積層体の被積層面とのなす角度θが、θ=0.1°~50°となるように接触させることを特徴とする請求項1に記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項3]
 製造途中のガラス積層体上に塗布された接着剤に、反射膜付きガラスフィルムを接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項4]
 反射膜付きガラスフィルムの第一の辺から離間した部位を、製造途中のガラス積層体上に塗布された接着剤に接触させて、反射膜付きガラスフィルムの積み重ね動作を開始することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項5]
 製造途中のガラス積層体上に塗布された接着剤に、反射膜付きガラスフィルムの第一の辺側から第三の辺側に向かって該反射膜付きガラスフィルムを順次接触させることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項6]
 反射膜付きガラスフィルムと製造途中のガラス積層体の被積層面とが略平行になるように、反射膜付きガラスフィルムを被積層面に積み重ねることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項7]
 反射膜付きガラスフィルムの第二の辺の長さをL とし、該反射膜付きガラスフィルムの第一の辺から、製造途中のガラス積層体を構成する最初の段の反射膜付きガラスフィルムの第一の辺に相当する位置までの距離をP n-1(n=積層枚数)としたときに、P n-1/L =0~1/10となるように、反射膜付きガラスフィルムを被積層面に積み重ねることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項8]
 位置決め部材を用いて、反射膜付きガラスフィルムを製造途中のガラス積層体の被積層面に積み重ねることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項9]
25℃における粘度が2Pa・s以上の接着剤を用いることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項10]
 スクリーン印刷又はスリットコーターにより、反射膜付きガラスフィルムの積層面及び/又は製造途中のガラス積層体の被積層面に接着剤を塗布することを特徴とする請求項1~9の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項11]
 厚みが100μm~1500μmの反射膜付きガラスフィルムを用いることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項12]
 サイズが200mm×200mm以上の反射膜付きガラスフィルムを用いることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項13]
 ダミーガラス板を用意し、該ダミーガラス板上に反射膜付きガラスフィルムを順次積み重ねることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載のガラス積層体の製造方法。
[請求項14]
 請求項1~13の何れかに記載のガラス積層体の製造方法により作製されたことを特徴とするガラス積層体。
[請求項15]
 光学結像部材に用いることを特徴とする請求項14に記載のガラス積層体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5a]

[ 図 5b]

[ 図 5c]

[ 図 6a]

[ 図 6b]

[ 図 6c]

[ 図 6d]

[ 図 6e]

[ 図 6f]

[ 図 6g]

[ 図 6h]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]