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1. (WO2015137066) タイヤ成形用剛性中子およびタイヤ製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 タイヤ成形用剛性中子およびタイヤ製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

実施例

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : タイヤ成形用剛性中子およびタイヤ製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、タイヤ成形用剛性中子、詳しくは高精度で軽量のタイヤ成形用剛性中子、および前記タイヤ成形用剛性中子を用いてタイヤを製造するタイヤ製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、タイヤの製造に際して、タイヤの成形精度を高めるため、タイヤ成形用剛性中子(以下、単に「剛性中子」ともいう)を用いることが提案されている(例えば、特許文献1~3)。
[0003]
 この剛性中子は、加硫済みタイヤのタイヤ内面の形状に合った外形形状を有する中子本体と、中子本体の中心孔に内挿される円筒状のコアを有しており、中子本体上にタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより生タイヤが成形される。成形された生タイヤは、その後、剛性中子と共に加硫金型内に投入されて、内型である中子本体と外型である加硫金型との間に挟まれた生タイヤが加硫成形される。
[0004]
 中子本体は、加硫成形後にタイヤから分解して取り外せるように、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメント(以下、単に「セグメント」ともいう)から構成されており、隣り合うセグメントの周方向端面同士を互いに突き合わせることにより、環状の中子本体に形成される。
[0005]
 そして、従来より、これらのセグメントは、加熱時のエネルギー効率を高めるために、熱伝導率が高いアルミニウムやアルミニウム合金を用いて形成されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2013-6390号公報
特許文献2 : 特開2013-6367号公報
特許文献3 : 特開2013-146905号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、アルミニウムは、熱伝導率が高い一方で、熱膨張率が高い。このため、セグメントの設計に際しては、隣り合うセグメント間で熱膨張による干渉が生じないように充分なクリアランスを確保する必要がある。
[0008]
 しかし、このクリアランスは加硫温度まで昇温して熱膨張した後でなければ塞がらないため、昇温までの間にセグメント間へゴムが侵入し易く、加硫タイヤの内面やセグメントの側面にゴムはみ出しを発生させる恐れがある。セグメントの側面に残ったゴムはみ出しは、次のタイヤ成形前に除去する必要がある。
[0009]
 また、セグメントの合致精度を確保するためにはクリアランスの調整をシビアに行う必要があり、生産性の向上が阻害される恐れがある。また、セグメントの熱膨張のため、加硫時に寸法精度の安定性を確保することが困難になりやすい。
[0010]
 また、アルミニウムは硬度が低く、表面に傷が付きやすい。このため、タイヤ内面と接する箇所(タイヤ成形面)に傷が付くと、タイヤの内面にこの傷が転写されることになる。
[0011]
 さらに、アルミニウムは強度が充分とはいえず、充分な強度を確保するためにはゲージを厚くする必要がある。この結果、剛性中子全体の重量が重くなり、成形機や加硫機に設けられた中子保持機構に大きな負担が掛かり、成形設備や加硫設備の大型化を招く。
[0012]
 このため、上記のような種々の問題点がある従来のセグメントに替えて、充分に低い熱膨張率と充分な硬度および強度を有し、軽量化されたセグメントを用いて形成されたタイヤ成形用剛性中子、およびこのようなタイヤ成形用剛性中子を用いて成形設備や加硫設備の大型化を招くことなく、生産性を向上してタイヤを製造することができるタイヤ製造方法が求められていた。

課題を解決するための手段

[0013]
 本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
[0014]
 請求項1に記載の発明は、
 外表面にタイヤ成形面が形成された中子本体および前記中子本体の中心孔に内挿される円筒状のコアを有するタイヤ成形用剛性中子であって、
 前記中子本体が、タイヤ周方向に分割された複数の中子セグメントにより環状に形成されており、
 前記中子セグメントが、炭素繊維強化樹脂を用いて作製されている
ことを特徴とするタイヤ成形用剛性中子である。
[0015]
 請求項2に記載の発明は、
 請求項1に記載のタイヤ成形用剛性中子を用いてタイヤを製造するタイヤ製造方法であって、
 前記タイヤ成形用剛性中子の前記中子本体の前記タイヤ成形面上にタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより、生タイヤの成形を行う生タイヤ成形工程と、
 成形された前記生タイヤを前記タイヤ成形用剛性中子と共に加硫金型内に投入して、前記生タイヤの加硫成形を行う加硫成形工程と
を備えていることを特徴とするタイヤ製造方法である。

発明の効果

[0016]
 本発明によれば、充分に低い熱膨張率と充分な硬度および強度を有し、軽量化されたセグメントを用いて形成されたタイヤ成形用剛性中子、およびこのようなタイヤ成形用剛性中子を用いて成形設備や加硫設備の大型化を招くことなく、生産性を向上してタイヤを製造することができるタイヤ製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 本発明の一実施の形態に係るタイヤ成形用剛性中子における中子本体の斜視図である。
[図2] 本発明の一実施の形態に係るタイヤ成形用剛性中子における中子本体の側面図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
[0019]
 図1および図2は、本実施の形態に係るタイヤ成形用剛性中子における中子本体の斜視図および側面図である。
[0020]
 図1、図2に示すように、タイヤ成形用剛性中子1は、中子本体2と、中子本体2の中心孔Hに内挿される円筒状のコア(図示せず)とを有している。
[0021]
 中子本体2は、タイヤ周方向に分割される複数の中子セグメント(以下、単に「セグメント」ともいう)3、4の周方向端面3a、4a同士を互いに突き合わせることにより、環状に形成されている。
[0022]
 そして、前記したように、中子本体2のタイヤ成形面上に、タイヤ構成部材を順次貼り付けることにより、生タイヤが成形され、成形された生タイヤは、剛性中子と共に加硫金型内に投入されて、内型である中子本体2と外型である加硫金型(図示せず)との間で、生タイヤを加熱加圧することにより、加硫成形が行われる。
[0023]
 以上は、基本的に従来と同様であるが、本実施の形態においては、中子セグメント3、4の材質として、従来のアルミニウムやアルミニウム合金に替えて、炭素繊維強化樹脂を採用している点で従来と異なっている。
[0024]
 本発明を完成するにあたり、本発明者は、従来のアルミニウムやアルミニウム合金に替わるセグメントの材質として、多くの材料の中から検討するに際して、アルミニウムやアルミニウム合金に比べて、熱膨張率が低く、充分な硬度および強度を有する材料として繊維強化樹脂に思い至った。
[0025]
 しかし、検討の結果、通常の繊維強化樹脂は、熱伝導率が低いため、セグメント内に加えられた熱を生タイヤに伝達し難く、また、耐熱温度が加硫温度よりも低いために加硫時における強度が不足する恐れがあり、セグメントの材質としては採用し難いことが分かった。
[0026]
 そこで、繊維強化樹脂について詳細に実験、検討した結果、炭素繊維強化樹脂であれば、セグメントの材質として採用できることを見出した。
[0027]
 まず、炭素繊維強化樹脂は、耐熱性に優れるため、加硫時における強度が不足することがない。
[0028]
 次に、炭素繊維強化樹脂は、アルミニウムやアルミニウム合金に比べて加硫時においても高強度であるため、ゲージを厚くしなくても充分な強度が確保されたセグメントを提供することができる。この結果、アルミニウムやアルミニウム合金に比べて比重が小さいという炭素繊維強化樹脂の特性とも相俟って、セグメントの薄ゲージ化を実現することができる。
[0029]
 この結果、炭素繊維強化樹脂は、アルミニウムやアルミニウム合金ほどには熱伝導率は高くないものの、上記のように薄ゲージ化が可能であるため、セグメント中の熱を生タイヤに充分効率よく伝達することができる。
[0030]
 また、炭素繊維強化樹脂は、熱膨張率がアルミニウムやアルミニウム合金に比べて低いため、従来のように充分なクリアランスを確保する必要がなく、また、クリアランスの調整が容易であるため、セグメント間を充分な精度で合致させて、中子本体における寸法精度の安定化を図ることができる。この結果、タイヤの真円性が向上して、安定した寸法精度のタイヤを提供することができる。そして、ゴムはみ出しの発生を充分に低減することができ、タイヤの生産性を向上することができる。
[0031]
 そして、炭素繊維強化樹脂は、高硬度であるため、長期間に亘って表面に傷が付き難いため、タイヤの内面に傷が転写される恐れがなく、繰り返しの使用にも充分に耐えることができる。
[0032]
 また、前記のようにセグメントの薄ゲージ化を実現することができ、セグメントの軽量化を図ることができるため、成形機や加硫機に設けられた中子保持機構には大きな負担が掛からず、成形設備や加硫設備の大型化を招くこともない。
[0033]
 さらに、炭素繊維強化樹脂を素材として作製されたセグメントは、軽量であり、錆びないため、保管スペースの自由度が高く、省スペース化を図ることができる。
[0034]
 以上より、本実施の形態のセグメントを用いることにより高い生産性を維持しながらタイヤを製造することができることが分かる。
[0035]
 本実施の形態において、炭素繊維強化樹脂としては、石油精製副産物あるいは石炭乾留副産物であるピッチ系の炭素繊維、特に溶融状態で異方性を示して中子セグメントの熱伝導性を充分に確保することができる異方性ピッチを原料とする異方性ピッチ系の炭素繊維を、フェーノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂など、中子セグメントの耐熱性を充分に確保することができる熱硬化性樹脂と混合して形成されていることが好ましく、これらを予めなじませた部材(プリプレグ)をオートクレーブ(加圧可能な窯)で加熱し硬化させること(オートクレーブ成形法)により所定の形状に成形してセグメントを形成することができる。
実施例
[0036]
 以下は、タイヤ周方向に分割された中子セグメントを有するタイヤ成形用剛性中子を用いて、サイズ245/45R18のタイヤを製造した例である。
[0037]
1.タイヤ成形用剛性中子の中子セグメントの作製
(1)実施例
 径7~11μmの長繊維状の異方性ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂社製、ダイアリード)100重量部に対して、エポキシ樹脂(三菱化学社製)30重量部を混合して各セグメントの形状に形成された金型に充填し、オートクレーブで加熱・硬化することにより、必要な強度を有する実施例の炭素繊維強化樹脂製のタイヤ成形用剛性中子の中子セグメントを作製した。
[0038]
(2)比較例1
 繊維強化樹脂として、径3~24μmのガラス繊維強化樹脂(日東紡社製)を用いて、実施例と同等の必要な強度を有するように厚みを調整した比較例1のタイヤ成形用剛性中子の中子セグメントを作製した。
[0039]
(3)比較例2~4
 アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウムと主にマグネシウムとの合金)、ステンレス(SUS304)を用いて、実施例と同等の必要な強度を有するように厚みを調整した中子セグメントを作製し、比較例2~4の中子セグメントとした。なお、アルミニウムを用いて作製された中子セグメントおよびアルミニウム合金を用いて作製された中子セグメントは、従来の中子セグメントである。
[0040]
2.タイヤの製造
 各中子セグメントにより環状に形成された中子本体上に、従来と同様にして、タイヤ構成部材を順次貼り付けて生タイヤを成形した後、加硫成形して、サイズ245/45R18のタイヤを製造した(各5本)。
[0041]
3.評価
 得られたタイヤ成形用剛性中子の中子セグメント、タイヤについて、以下の項目で評価した。
[0042]
(1)表面強度
 各タイヤ成形用剛性中子の中子セグメントの表面をカッターナイフでこすって、表面についた傷の状況を測定し、比較例2(従来品)との比較で傷付き難さを評価した。
[0043]
(2)中子重量
 各タイヤ成形用剛性中子の中子セグメント毎に必要な強度を有する厚みで製作した中子セグメントの重量を測定し、比較例2(従来品)との比較で評価した。
[0044]
(3)加硫時間
 各タイヤにおいて最適加硫量が得られる加硫時間を測定し、比較例2(従来品)との比較で評価した。
[0045]
(4)ゴムはみ出し
 加硫時において発生するゴムはみ出しを測定し、比較例2(従来品)との比較で評価した。
[0046]
(5)真円性
 加硫時における寸法精度の安定性について、加硫温度まで昇温した際の各中子本体における真円度を測定し、比較例2(従来品)との比較で評価した。
[0047]
(6)加工コスト
 各タイヤ成形用剛性中子の中子本体の素材コスト、作製費用、納期などを勘案して、加工コストを求め、比較例2(従来品)との比較で評価した。
[0048]
4.評価結果
 表1に、各項目における評価結果を示す。なお、表1においては、比較例2(従来品)の評価結果を「△」とし、これに比べて優れている場合は「◎」、やや優れている場合は「○」、同等の場合は「△」、劣っている場合は「×」で示した。
[0049]
[表1]


[0050]
 表1より、炭素繊維強化樹脂を用いた中子セグメント(実施例)の場合には、表面強度、中子重量、ゴムはみ出し、真円性の点で従来(比較例2)の中子よりも優れており、残る加硫時間、加工コストについても比較例2と同等であることが分かる。
[0051]
 これに対して、ガラス繊維強化樹脂を用いた中子セグメント(比較例1)の場合には、比較例2に比べて、表面強度、中子重量、ゴムはみ出しの点では優れているものの、真円性、加工コストの点ではやや優れている程度に過ぎず、加硫時間が長くなっており、剛性中子に適用するには不充分であることが分かる。
[0052]
 また、アルミニウム合金を用いた中子セグメント(比較例3)の場合には、比較例2に比べて、表面強度、ゴムはみ出しの点でやや優れている程度であり、中子重量、加硫時間、真円性は同程度に過ぎず、加工コストが比較例2に比べて劣っており、剛性中子に適用するには不充分であることが分かる。
[0053]
 また、ステンレスを用いた中子セグメント(比較例4)の場合には、比較例2に比べて、表面強度が優れているが、ゴムはみ出し、真円性は、やや優れている程度であり、中子重量、加硫時間、加工コストについては劣っており、剛性中子に適用するには問題があることが分かる。
[0054]
 以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。

符号の説明

[0055]
1     タイヤ成形用剛性中子
2     中子本体
3、4   中子セグメント
3a、4a 中子セグメントの周方向端面
H     中心孔

請求の範囲

[請求項1]
 外表面にタイヤ成形面が形成された中子本体および前記中子本体の中心孔に内挿される円筒状のコアを有するタイヤ成形用剛性中子であって、
 前記中子本体が、タイヤ周方向に分割された複数の中子セグメントにより環状に形成されており、
 前記中子セグメントが、炭素繊維強化樹脂を用いて作製されている
ことを特徴とするタイヤ成形用剛性中子。
[請求項2]
 請求項1に記載のタイヤ成形用剛性中子を用いてタイヤを製造するタイヤ製造方法であって、
 前記タイヤ成形用剛性中子の前記中子本体の前記タイヤ成形面上にタイヤ構成部材を順次貼り付けることにより、生タイヤの成形を行う生タイヤ成形工程と、
 成形された前記生タイヤを前記タイヤ成形用剛性中子と共に加硫金型内に投入して、前記生タイヤの加硫成形を行う加硫成形工程と
を備えていることを特徴とするタイヤ製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]