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1. (WO2015136756) 超音波診断装置
Document

明 細 書

発明の名称 超音波診断装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

符号の説明

0087  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3A   3B   3C   4A   4B   4C   5A   5B   5C   6   7A   7B   8   9   10A   10B   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 超音波診断装置

技術分野

[0001]
 本発明は超音波診断装置に関し、特に遅延処理条件を規定する最適な生体内音速を特定する技術に関する。

背景技術

[0002]
 超音波診断装置は医療分野において用いられ、生体に対する超音波の送受波によって超音波画像を形成する装置である。超音波の送受波は、通常、複数の振動素子によって行われる。具体的には、送信時において、送信フォーカス点に対応した送信遅延処理条件に従った複数の送信信号が、複数の振動素子に供給され、これにより送信ビームが形成される。受信時においては、生体内からの反射波(エコー)が複数の振動素子によって受波される。複数の振動素子から出力された複数の受信信号に対して、受信遅延処理条件に従った整相加算処理が実行され、これにより受信ビームデータが生成される。そして、整相加算後の複数の受信ビームデータに基づいて超音波画像が形成される。なお、受信時においては、受信フォーカス点を近距離からビーム軸上に沿って深い方向へ動的に変化させる受信ダイナミックフォーカスが適用されるのが一般的である。
[0003]
 受信時における整相加算処理について詳しく説明する。複数の受信信号に対する遅延処理のために、遅延処理条件を規定する遅延データ(遅延時間)が用いられる。その遅延データは、受信ダイナミックフォーカス及び受信ビームスキャンを実現するためのデータであり、複数の振動素子に対応したデータセットにより構成される。遅延データの計算にあたっては、通常、生体内の音速として一定値が採用される。例えば、その値は1530m/sである。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2008-264531号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、生体内の超音波の音速は、生体内組織の性状に依存して変化する。一律の音速を前提として計算された遅延データを用いると、実際の診断状況によっては適切な受信フォーカスを実現できず、受信感度や画像分解能が低下する問題が生じる。これに関し、特許文献1に記載された超音波診断装置では、走査面上の個々の小領域ごとに、遅延データ計算用の音速を変化させた場合におけるコントラスト値の変化を求め、各小領域についてコントラスト値が最大となる音速を各小領域の最適音速として採用している。コントラスト値は明暗の差を表すものである。そのため、石灰化組織等の高輝度組織に対する最適音速を演算するには適している。しかしながら、浸潤性がん等の低輝度組織(ある程度の広がりをもった低エコー組織)では輝度が元々低い。従って、コントラスト値を用いる手法は、低輝度組織に対する最適音速の演算には適していない。そのため、低輝度組織の観察に適さない音速が設定されてしまう可能性がある。このように、従来においては、性状の異なる複数の組織(例えば高輝度組織及び低輝度組織)の観察に適する遅延処理条件を生成して、複数の組織の像をともに優良化することが困難であった。なお、上記においては受信処理について説明したが、送信処理においても同様の問題を指摘できる。
[0006]
 本発明の目的は、超音波診断装置において、遅延処理条件の計算に用いられる最適な生体内音速を特定することである。あるいは、本発明の目的は、性状の異なる複数の組織の観察に適する遅延処理条件を生成することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明に係る超音波診断装置は、被検体に対する超音波ビームの走査を繰り返すことにより複数のフレームを生成する生成部と、前記生成部に対して、複数の仮音速に基づく複数の遅延処理条件をフレーム単位で試行的に順次設定することにより、複数の仮フレームが生成されるようにするプリスキャン制御部と、前記各仮フレームにおける予め設定された方向に沿った少なくとも1つの参照データ列に対して、像の先鋭度を評価するための波形解析を実行し、これにより前記複数の仮フレームに対する複数の波形解析結果を得る波形解析部と、前記複数の波形解析結果に基づいて、最適音速を演算する最適音速演算部と、前記生成部に対して前記最適音速に基づく本スキャン用遅延処理条件を設定する本スキャン制御部と、を有することを特徴とする。
[0008]
 上記の構成によれば、複数の仮音速に基づいて計算された複数の遅延処理条件を、試行的に順次適用することにより、仮音速がそれぞれ異なる複数のフレームが生成される。像の先鋭度は、遅延処理条件を規定する生体内音速に依存して変化する。それ故、仮音速がそれぞれ異なる複数のフレームに対して波形解析を実行することにより、像の先鋭度を評価する。この波形解析による評価は、複数の生体内音速の評価に相当する。従って、波形解析結果を利用することにより、複数の生体内音速の中から、像を先鋭化できる最適な生体内音速が特定される。
[0009]
 望ましくは、前記予め設定された方向はビーム走査方向であり、前記波形解析部は、前記参照データ列における複数の位置において局所波形解析を実行し、これにより前記波形解析結果を構成する局所波形解析値列が求められる。
[0010]
 望ましくは、前記波形解析部は、前記各仮フレーム上で深さ方向に並ぶ複数の参照データ列に対して個別的に波形解析を実行し、これにより前記波形解析結果を構成する局所波形解析値行列が得られる。
[0011]
 望ましくは、前記波形解析部は、前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1の波形解析を実行することにより、前記複数の仮フレームに対応する複数の第1局所波形解析値行列を得る第1波形解析部と、前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して前記第1の波形解析とは異なる第2の波形解析を実行することにより、前記複数の仮フレームに対応する複数の第2局所波形解析値行列を得る第2波形解析部と、を含み、前記最適音速演算部は、前記複数の第1局所波形解析値行列及び前記複数の第2局所波形解析値行列に基づいて前記最適音速を演算する。
[0012]
 望ましくは、前記第1の波形解析では山状のピーク部ごとに先鋭度が解析され、前記第2の波形解析では凹状の低輝度部ごとに先鋭度が解析される。
[0013]
 望ましくは、前記第2の波形解析では、前記低輝度部が有する両エッジに対して個別的に勾配が解析され、それらの勾配に基づいて当該低輝度部全体の先鋭度が解析される。
[0014]
 例えば、ピーク部は、生体内の高輝度組織(例えば石灰化組織等)に対応する。本発明では、そのピーク部を1つのかたまりとして捉えて、高輝度組織の像の先鋭度を評価する。この評価結果を利用することにより、高輝度組織の像を先鋭化できる最適な生体内音速が特定される。一方、低輝度部は、生体内の低輝度組織(例えば浸潤性がん等)に対応する。その低輝度部は、輝度変化の大きい部分(低輝度部の境界部分)と、輝度変化の小さい部分と、を含む。輝度勾配は像の先鋭度を反映している。そのため、輝度変化が小さい部分よりも、輝度変化の大きい部分の方が、像の先鋭度の評価に適している。それ故、低輝度部については、輝度変化の大きい部分(低輝度部の境界部分)を積極的に評価する。このように、性状が異なる高輝度組織及び低輝度組織について、それぞれの性状に適した手法によって先鋭度を評価することにより、それぞれの組織に適した生体内音速を特定することができる。
[0015]
 望ましくは、前記最適音速演算部は、前記複数の第1局所波形解析値行列に基づいて、ビーム走査面上の各位置での最適音速を表す第1最適音速マップを生成する機能と、前記複数の第2局所波形解析値行列に基づいて、前記ビーム走査面上の各位置での最適音速を表す第2最適音速マップを生成する機能と、を含み、前記第1最適音速マップ及び前記第2最適音速マップに基づいて前記本スキャン用の最適音速が求められる。
[0016]
 望ましくは、前記最適音速演算部は、前記第1最適音速マップ及び前記第2最適音速マップを合成して合成マップを生成する機能を含む。合成処理(統合処理)は、例えば、音速値の平均化、音速値の中央値の採用、音速値の最大値の採用等である。
[0017]
 望ましくは、前記最適音速演算部は、前記合成マップを構成する複数の最適音速に対して集約処理を施すことにより、前記本スキャン用遅延処理条件を規定する1又は複数の最適音速を演算する機能を含む。
[0018]
 望ましくは、前記波形解析部は、前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1のフィルタ処理を行う第1のローパスフィルタと、前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して、前記第1のフィルタ処理よりも強い効果の第2のフィルタ処理を行う第2のローパスフィルタと、を更に含み、前記第1波形解析部は、前記第1のフィルタ処理後の前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1の波形解析を実行し、前記第2波形解析部は、前記第2のフィルタ処理後の前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第2の波形解析を実行する。これにより、ノイズを除去するとともに、ピーク部の輝度勾配が緩やかになるのを防止して、ピーク部についての先鋭度の評価精度の低下を軽減又は防止できる。また、低輝度部についてはノイズをより効果的に除去することができる。

発明の効果

[0019]
 本発明によると、超音波診断装置において、遅延処理条件の計算に用いられる最適な生体内音速を特定することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 本発明の実施形態に係る超音波診断装置の一例を示すブロック図である。
[図2] 高輝度組織及び低輝度組織の一例を示す模式図である。
[図3A] 高輝度組織及び低輝度組織の一例を示す図である。
[図3B] 高輝度組織における輝度変化の一例を示す図である。
[図3C] 低輝度組織における輝度変化の一例を示す図である。
[図4A] 受信フォーカス点と高輝度組織の輝度変化との関係を説明するための図である。
[図4B] 受信フォーカス点と高輝度組織の輝度変化との関係を説明するための図である。
[図4C] 受信フォーカス点と高輝度組織の輝度変化との関係を説明するための図である。
[図5A] 低輝度組織の輝度変化を説明するための図である。
[図5B] 低輝度組織の輝度変化を説明するための図である。
[図5C] 低輝度組織の輝度変化を説明するための図である。
[図6] 受信フレーム列の一例を示す模式図である。
[図7A] 高輝度組織の先鋭度の求め方を説明するための図である。
[図7B] 高輝度組織の先鋭度の求め方を説明するための図である。
[図8] 高輝度部音速マッピングデータの求め方を説明するための図である。
[図9] 高輝度部音速マッピングデータの一例を示す模式図である。
[図10A] 低輝度組織の先鋭度の求め方を説明するための図である。
[図10B] 低輝度組織の先鋭度の求め方を説明するための図である。
[図11] 低輝度部音速マッピングデータの一例を示す模式図である。
[図12] 音速マッピングデータの統合処理を説明するための図である。
[図13] 本実施形態に係る超音波診断装置のメインルーチンを示すフローチャートである。
[図14] 最適音速特定処理のプロセスを示すフローチャートである。
[図15] 変形例1に係る最適音速特定処理のプロセスを示すフローチャートである。
[図16] 変形例2に係る最適音速特定処理のプロセスを示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0021]
 図1に、本発明の実施形態に係る超音波診断装置の一例を示す。超音波診断装置は、病院等の医療機関に設置され、人体に対する超音波の送受波により超音波画像を形成する装置である。
[0022]
 図1において、プローブ10は、診断領域に対して超音波を送受する送受波器である。プローブ10は、超音波を送受波する複数の振動素子を備えている。複数の振動素子によって超音波ビームが形成される。超音波ビームは繰り返し電子的に走査され、これによりビーム走査面が順次形成される。電子走査方式としては、電子セクタ走査、電子リニア走査等が知られている。なお、プローブ10としては、振動素子が予め設定された方向に一列に配置された一次元プローブ、又は、振動素子が二次元に配置された二元プローブが用いられる。また、プローブ10としては、cMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer:IEEE Trans. Ultrason. Ferroelect. Freq. Contr. Vol45 pp.678-690 May 1998等)と呼ばれる半導体による振動素子が用いられてもよい。
[0023]
 送信部12は送信ビームフォーマーである。送信部12は、送信時において、プローブ10の各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成し、各振動素子に対して送信信号を供給する。これにより、超音波の送信ビームが形成される。送信時においては送信ビームフォーカス制御が実行される。また、送信部12は、口径制御ができるようになっている。受信時において、生体内からの反射波がプローブ10によって受波されると、これにより、プローブ10から複数の受信信号が受信部14に出力される。
[0024]
 受信部14は受信ビームフォーマーである。受信部14は、受信時において、複数の振動素子から得られる複数の受信信号に対して整相加算処理等を施すことにより、受信ビームを形成する。すなわち、受信部14は、各振動素子から得られる受信信号に対して、各振動素子に対する遅延処理条件に従って遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受信信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。遅延処理条件は、受信遅延データ(遅延時間)によって規定される。受信時においては、受信ダイナミックフォーカス制御が実行される。複数の振動素子に対応する受信遅延データセット(遅延時間のセット)は制御部22から供給される。遅延時間は制御部22によって生体内音速に基づいて計算される。
[0025]
 送信部12及び受信部14の作用により、送信ビーム及び受信ビーム(両者併せて超音波ビーム)が電子的に走査される。これによりビーム走査面が構成される。ビーム走査面は複数のビームデータに相当し、それらは受信フレーム(受信フレームデータ)を構成する。なお、各ビームデータは、深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。超音波ビームの電子走査を繰り返すことにより、時間軸上に並ぶ複数の受信フレームが受信部14から出力される。それらは受信フレーム列を構成する。
[0026]
 なお、送信機能及び受信機能を切り替えるための送受信切替部(図示しない)が設けられている。送受信切替部は、送信時において、送信部12からの送信信号を各振動素子に供給する。また、送受信切替部は、受信時において、複数の振動素子から得られる複数の受信信号を受信部14に供給する。
[0027]
 信号処理部16は受信フレーム列に対する処理を実行するモジュールであり、例えば、検波回路、信号圧縮回路、ゲイン調整回路、フィルタ処理回路等を含むモジュールである。信号圧縮回路は、例えば2の20乗もある受信信号のダイナミックレンジを比較的小さいダイナミックレンジに圧縮する。信号圧縮は対数関数でも良いし、指数関数でも良いし、シグモイド関数でも良い。フィルタ処理回路は、例えば境界の先鋭化を目的としたエンハンス処理等を行う。
[0028]
 画像形成部18は、座標変換機能及び補間処理機能等を有するデジタルスキャンコンバータにより構成されている。画像形成部18は、受信フレーム列に基づいて、複数の表示フレームによって構成される表示フレーム列を形成する。表示フレーム列を構成する個々の表示フレームは、Bモード断層画像のデータである。例えば、プローブ10がコンベックスタイプの場合、画像形成部18は、長方形状のデータを扇形状の超音波画像に変換する。表示フレーム列は、液晶モニタ等の表示部20に出力されて表示される。これにより、リアルタイムでBモード断層画像が動画像として表示される。画像生成部18は、ガンマ補正処理部を備えていてもよい。このガンマ補正処理部は、ガンマ曲線によって表示階調を補正する。表示部20は、超音波画像が表示されて操作者によって診断可能な画像が表示されればよいので、アナログ出力又はデジタル出力のいずれの表示技術であればよい。
[0029]
 制御部22は、図1に示めされている各構成の動作を制御する。本実施形態に係る超音波診断装置は、通常の本スキャンモードの他、最適な生体内音速(最適音速)を特定するためのテスト動作モードを有している。制御部22は、そのテスト動作モードにおいて制御を行う機能を有している。その具体的な制御内容については後に詳述する。
[0030]
 制御部22には操作部24が接続されている。操作部24はキーボードやトラックボール等を有する。ユーザは操作部24を用いて、超音波画像を撮像するためのパラメータを入力することが可能である。また、本実施形態では、ユーザは操作部24を使用してテスト動作モードの実行を指示することが可能である。テスト動作モードは、通常の超音波診断を実行する前、又は、通常の超音波診断を行っている途中において、ユーザの指示により実行されるものである。なお、制御部22が、「プリスキャン制御部」及び「本スキャン制御部」の一例に相当する。
[0031]
 最適音速演算部26は、本スキャン前のプリスキャン時において機能し、本スキャン時におけるディレイデータ演算(遅延処理条件演算)の基礎をなす最適音速を特定する機能を有する。具体的には、最適音速演算部26は、高輝度部音速演算部28、低輝度部音速演算部30及び統合処理部32を備えている。最適音速演算部26は、最適音速を特定するとき、すなわち、テスト動作モードの実行時に機能する。テスト動作モードが実行されると、最適音速演算部26には、複数の生体内音速に基づいて計算された複数の受信遅延データを適用することにより生成された受信フレーム列が供給される。最適音速演算部26は、当該受信フレーム列に基づいて、受信遅延データ計算用の最適音速を特定する。なお、最適音速演算部26が、「波形解析部」及び「最適音速演算部」の一例に相当する。また、高輝度部音速演算部28が「第1波形解析部」の一例に相当し、低輝度部音速演算部30が「第2波形解析部」の一例に相当する。以下、最適音速演算部26の各部について説明する。
[0032]
 高輝度部音速演算部28は、受信フレーム列に基づいて、石灰化組織等の高輝度組織の像を先鋭化するための最適音速を特定する。高輝度部音速演算部28は、受信フレーム列のそれぞれを対象にして、輝度波形(超音波ビームの走査方向における輝度(エコー強度)の変化を示す波形)の変曲点を検出し、隣接する変曲点間で輝度勾配を演算する。続いて、高輝度部音速演算部28は、受信フレームごとに、輝度波形においてピークを形成する部分(輝度波形の凸状部分)の頂点の両側の輝度勾配を総合評価することにより、ピーク部の先鋭度を演算する。そして、高輝度部音速演算部28は、受信フレームごとの先鋭度に基づいて、高輝度組織の像を先鋭化するための最適音速を特定する。高輝度部音速演算部28は、個々の座標(画素)ごとに、受信フレーム列中で先鋭度が最大となる受信フレームを特定し、当該受信フレームに対応する生体内音速を、高輝度組織に対する最適音速として特定する。また、高輝度部音速演算部28は、輝度勾配が閾値以下となる座標の生体内音速を、無効値に設定してもよい。そして、高輝度部音速演算部28は、各座標における最適音速を示す高輝度部音速マッピングデータを生成する。
[0033]
 低輝度部音速演算部30は、受信フレーム列に基づいて、浸潤性がん等の低輝度組織(ある程度の広がりをもった低エコー組織)の像を先鋭化するための最適音速を特定する。低輝度部音速演算部30は、受信フレーム列のそれぞれを対象にして、輝度波形(超音波ビームの走査方向における輝度の変化を示す波形)の変曲点を検出し、隣接する変曲点間で輝度勾配を演算する。低輝度部音速演算部30は、受信フレームごとに、輝度波形中の低輝度部(輝度波形の凹状部分)の両側のエッジ部分(輝度変化の大きい部分)の輝度勾配を個別に評価することにより、個々のエッジ部分の先鋭度を個別に演算する。なお、低輝度部のエッジ部分は、低輝度部の境界部分に相当する。そして、低輝度部音速演算部30は、受信フレームごとの先鋭度に基づいて、低輝度組織の像を先鋭化するための最適音速を特定する。低輝度部音速演算部30は、個々の座標ごとに、受信フレーム列中で先鋭度が最大となる受信フレームを特定し、当該受信フレームに対応する生体内音速を、低輝度組織に対する最適音速として特定する。また、低輝度部音速演算部30は、輝度勾配が閾値以下となる座標の生体内音速を、無効値として設定してもよい。そして、低輝度部音速演算部30は、各座標における最適音速を示す低輝度部音速マッピングデータを生成する。
[0034]
 統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータと低輝度部音速マッピングデータとを統合することにより、統合音速マッピングデータを生成する。この統合音速マッピングデータは、受信遅延データの計算のために制御部22に供給される。
[0035]
 制御部22は、最適音速に基づいて受信遅延データセットを演算する機能を有している。本実施形態においては、制御部22は、統合音速マッピングデータに基づいて、ビーム方位ごとに受信ダイナミックフォーカスを実現するために、受信点深さごとに受信遅延データを演算する。受信遅延データは、受信点において受信ビームを収束させるために、複数の受信信号間における遅延時間差を規定するデータである。本実施形態においては、最適音速に基づいて受信遅延データセットが計算される。別の例として、複数の生体内音速に対応する複数の受信遅延データセットを、予め求めておいてもよい。この場合、最適音速が特定されると、制御部22は、最適音速に対応する受信遅延データセットを選択する。なお、送信遅延データセットが計算されてもよい。
[0036]
 図1に示されているプローブ10以外の構成は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源を利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また、プローブ10以外の構成は、例えばコンピュータによって実現されてもよい。つまり、コンピュータが備えるCPUやメモリやハードディスク等のハードウェア資源と、CPU等の動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により、プローブ10以外の構成の全部又は一部が実現されてもよい。当該プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、図示しない記憶装置に記憶される。別の例として、プローブ10以外の構成は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。
[0037]
 次に、本実施形態に係る最適音速演算部26による具体的な処理について説明する。まず、図2を参照して、Bモード断層画像に表された組織の像について説明する。図2に示すBモード断層画像には、一例として、石灰化組織等の高輝度組織52と、浸潤性がん等の低輝度組織54(ある程度の広がりをもった低エコー組織)と、が表されている。高輝度組織52及び低輝度組織54は、それぞれ性状が異なる組織である。
[0038]
 図3A、図3B及び図3Cを参照して、高輝度組織及び低輝度組織の輝度変化について説明する。図3Aに示す受信フレーム50には、高輝度組織52と低輝度組織54とが表されている。受信フレーム50における一方の方向は、超音波ビームの走査方向θに対応し、他方の方向は、深さ方向に対応する。図3Bに示されている輝度波形は、高輝度組織52における走査方向θの輝度変化を示す波形である。輝度波形中において、輝度Lが高くなってピークを形成するピーク部(凸状部分)が、高輝度組織52に対応する。図3Cに示されている輝度波形は、低輝度組織54における走査方向θの輝度変化を示す波形である。輝度波形中において、輝度Lが低くて輝度変化が小さい低輝度部(凹状部分)が、低輝度組織54に対応する。図3C中の破線で示すように、低輝度部の境界部分(エッジ部分)では、輝度Lの変化が大きくなる。このように、輝度波形において、高輝度組織52ではピーク部を形成し、低輝度組織54では凹状部分を形成する。高輝度組織52と低輝度組織54とでは、輝度変化の態様が異なる。
[0039]
 ここで、超音波ビームのフォーカス点と組織の輝度Lとの関係について説明する。図4A、図4B及び図4Cに、受信フォーカス点と高輝度組織の輝度Lとの関係を示す。受信遅延データ計算用の生体内音速が、生体内の実際の伝搬音速と同じ場合、図4Aに示すように、所望の位置(高輝度組織52の位置)と受信フォーカス点56とを合致させることができる。この場合、走査方向θの輝度波形中において、高輝度組織52に対応するピーク部が急峻、すなわち、輝度Lの勾配が大きくなる。つまり、走査方向θに対する像の空間分解能が向上する。一方、受信遅延データ計算用の生体内音速が、生体内の実際の伝搬音速と比べて遅い場合又は速い場合、図4B又は図4Cに示すように、受信フォーカス点56が、所望の位置(高輝度組織52の位置)よりも浅い位置又は深い位置に形成される。この場合、輝度波形中のピーク部の勾配は緩やかになり、走査方向θに対する像の空間分解能が低下する。その結果、高輝度組織52の像がぼやけた感じとなる。
[0040]
 また、図5A、図5B及び図5Cに、受信フォーカス点と低輝度組織の輝度Lとの関係を示す。受信遅延データ計算用の生体内音速が、生体内の実際の伝搬速度と同じ場合、図5Aに示すように、走査方向θの輝度波形中において、低輝度組織54に対応する凹状部分のエッジ部分(図中、破線で囲む部分)が急峻、すなわち、輝度Lの勾配が大きくなる。つまり、走査方向θに対する像の空間分解能が向上する。一方、受信遅延データ計算用の生体内音速が、生体内の実際の伝搬音速と比べて遅い場合又は速い場合、図5B又は図5Cに示すように、輝度波形中のエッジ部分の勾配は緩やかになり、走査方向θに対する像の空間分解能が低下する。その結果、低輝度組織54の像がぼやけた感じとなる。
[0041]
 図4A~4C及び図5A~5Cに示すように、受信遅延データ計算用の生体内音速に依存して、走査方向θに対する像の空間分解能が変化する。本実施形態では、この点に着目し、走査方向θに対する輝度変化(輝度勾配)を評価することにより、高輝度組織及び低輝度組織のそれぞれに適した生体内音速を特定する。
[0042]
 図6に、テスト動作モード(プリスキャンモード)実行時に生成される受信フレーム列の一例を示す。受信フレーム50a,50b,50c,・・・,50nは、生体内音速V1,V2,V3,・・・,Vnに基づいて計算された複数の受信遅延データセットを順次適用することにより生成されたデータである。各受信フレームは同一走査面から生成されており、つまり同一の組織構造を示す。例えば、受信フレーム50aは、生体内音速V1に基づいて計算された受信遅延データセットを適用することにより生成されたデータである。このように、計算上の生体内音速をn段階に変えることにより、生体内音速が異なるn個の受信フレームが生成される。テスト動作モード実行時には、制御部22は、生体内音速V1~Vnに対応する複数の受信遅延データセットを、受信部14に順次供給する。受信部14は、複数の受信信号に対して、当該複数の受信遅延データセットに従って整相加算処理等を順次施すことにより、受信フレーム50a~50nを生成する。
[0043]
 次に、図7A及び図7Bを参照して、高輝度部音速演算部28の具体的な処理について説明する。図7Aに示されている受信フレーム50には、高輝度組織52が表されている。図7Bに示されている波形は、高輝度組織52における走査方向θの輝度波形の一部である。深さ方向に複数の輝度波形が存在し、個々の輝度波形について以下の処理が適用される。高輝度部音速演算部28は、輝度波形の変曲点Pa(極大点),Pb(極小点),Pc(極小点)を検出し、隣り合う変曲点間の輝度勾配(ΔL/Δθ)を演算する。そして、高輝度部音速演算部28は、ピーク部P(凸状部分)の頂点(極大点Pa)の両側の輝度勾配に基づいて、ピーク部Pの先鋭度を演算する。
[0044]
 具体的には、高輝度部音速演算部28は、以下の式(1)に従ってピーク部Pの先鋭度を演算する。
ピーク部の先鋭度={ΔL1+(-)ΔL2}/(Δθ1+Δθ2)・・・(1)
[0045]
 ΔL1は、極大点Paの輝度Laと、極小点Pbの輝度Lbと、の差(La-Lb)(>0)である。
ΔL2は、極小点Pcの輝度Lcと、極大点Paの輝度Laと、の差(Lc-La)(<0)である。
Δθ1は、走査方向θにおける極大点Paの位置θaと、極小点Pbの位置θbと、の差であり、位置θaと位置θbとの間の画素数に相当する。
Δθ2は、走査方向θにおける極大点Paの位置θaと、極小点Pcの位置θcと、の差であり、位置θaと位置θbとの間の画素数に相当する。
[0046]
 なお、ここでいう画素は、走査面上の座標(受信点又はサンプル点)に相当するものである。以下の説明においても同様である。
[0047]
 (Δθ1+Δθ2)はピーク部Pの幅に相当し、(ΔL1+(-)ΔL2)はピーク部の輝度Lの大きさに相当する。また、(ΔL1/Δθ1)は、ピーク部Pの頂点の一方側の輝度勾配に相当し、{(-)ΔL2/Δθ2}は、ピーク部Pの頂点の他方側の輝度勾配に相当する。従って、式(1)で求められる先鋭度は、ピーク部Pを1つの凸状部分のかたまりとして評価したときの評価値に相当する。このように、高輝度部音速演算部28は、輝度波形の谷(極小点Pb)と谷(極小点Pc)との間に形成されるピーク部Pを評価対象とし、そのピーク部Pの先鋭度を求めている。
[0048]
 高輝度部音速演算部28は、ピーク部Pの各画素(各座標)について同じ先鋭度を採用する。図7Bに示す例では、高輝度部音速演算部28は、極小点Pbと極小点Pcとの間の各画素の先鋭度に、式(1)によって求められた同じ先鋭度を採用する。例えば、極小点Pbと極小点Pcとの間に10個の画素が存在する場合、高輝度部音速演算部28は、それら10個の画素について同じ先鋭度を採用する。つまり、10個の画素の全部が、同じ先鋭度を有することになる。
[0049]
 高輝度部音速演算部28は、図6に示す受信フレーム50a~50nのそれぞれについて、画素ごとに先鋭度を演算する。
[0050]
 そして、高輝度部音速演算部28は、画素ごとに、受信フレーム50a~50nの中で先鋭度が最大となる受信フレームを特定し、特定された受信フレームに対応する生体内音速を、高輝度組織に対する最適音速として特定する。例えば図8に示すように、高輝度部音速演算部28は、受信フレーム50a~50nについて同じ画素Aの先鋭度A1~Anを比較する。例えば先鋭度A1~Anの中で、受信フレーム50cの先鋭度A3が最大の場合、高輝度部音速演算部28は、受信フレーム50cに対応する生体内音速V3を、画素Aにおける最適音速として特定する。高輝度部音速演算部28は、画素ごとに最適音速を特定し、各画素における最適音速を示す高輝度部音速マッピングデータ60を生成する。
[0051]
 図3A~3C及び図4A~4Cを参照して説明したように、輝度波形中のピーク部(凸状部分)は高輝度組織に対応し、受信遅延データ計算用の生体内音速に依存してピーク部の先鋭度が変化する。従って、ピーク部の先鋭度が最大となる受信フレームを特定することにより、高輝度組織の像を先鋭化することができる最適音速が特定される。
[0052]
 高輝度部音速演算部28は、いずれの受信フレームにおいても先鋭度が0(零)となる画素の生体内音速を、無効値に設定してもよい。また、高輝度部音速演算部28は、全受信フレームにおける全画素の先鋭度の平均値を演算し、先鋭度が平均値の定数倍以下となる画素の生体内音速を、無効値に設定してもよい。これにより、ノイズが除去されて、生体内音速の特定精度の低下が抑制される。
[0053]
 図9に、高輝度部音速マッピングデータ60の一例を示す。高輝度部音速マッピングデータ60において、ハッチングで示されている画素の値が、高輝度部音速演算部28によって特定された最適音速である。それ以外の画素の値は、無効値に設定されている。
[0054]
 次に、図10A及び図10Bを参照して、低輝度部音速演算部30の具体的な処理について説明する。図10Aに示されている受信フレーム50には、低輝度組織54が表されている。図10Bに示されている波形は、低輝度組織54における走査方向θの輝度波形の一部である。低輝度部音速演算部30は、輝度波形の変曲点Pd(極大点),Pe(極小点),Pf(極小点),Pg(極大点)を検出し、隣り合う変曲点間の輝度勾配(ΔL/Δθ)を、低輝度部(凹状部分)のエッジ部分の輝度勾配として演算する。例えば、極大点Pdと極小点Peとの間の波形部分が、低輝度部のエッジ部分S1に相当し、極小点Pfと極大点Pgとの間の波形部分が、低輝度部のエッジ部分S2に相当するものとする。また、エッジ部分S1は低輝度組織54の境界部分54aに対応し、エッジ部分S2は低輝度組織54の境界部分54bに対応している。低輝度部音速演算部30は、低輝度部の両側のエッジ部分S1,S2の輝度勾配を個別に演算する。すなわち、低輝度部音速演算部30は、エッジ部分S1の輝度勾配をエッジ部分S1の先鋭度として演算し、エッジ部分S2の輝度勾配をエッジ部分S2の先鋭度として演算する。
[0055]
 具体的に説明すると、走査方向θに輝度波形の勾配を見たときに、低輝度部音速演算部30は、輝度波形の下り部分(エッジ部分S1)の輝度勾配の絶対値、つまり、輝度波形の山(極大点Pd)と谷(極小点Pe)との間の輝度勾配(ΔL3/Δθ3)の絶対値を、エッジ部分S1の先鋭度として演算する。また、低輝度部音速演算部30は、輝度波形の上り部分(エッジ部分S2)の輝度勾配の絶対値、つまり、輝度波形の谷(極小点Pf)と山(極大点Pg)との間の輝度勾配(ΔL4/Δθ4)の絶対値を、エッジ部分S2の先鋭度として演算する。
[0056]
 ΔL3は、極大点Pdの輝度Ldと、極小点Peの輝度Leと、の差(Le-Ld)(<0)である。
Δθ3は、走査方向θにおける極大点Pdの位置θdと、極小点Peの位置θeと、の差であり、位置θdと位置θeとの間の画素数に相当する。
ΔL4は、極小点Pfの輝度Lfと、極大点Pgの輝度Lgと、の差(Lg-Lf)(>0)である。
Δθ4は、走査方向θにおける極小点Pfの位置θfと、極大点Pgの位置θgと、の差であり、位置θfと位置θgとの間の画素数に相当する。
[0057]
 そして、低輝度部音速演算部30は、エッジ部分の各画素について同じ先鋭度を採用する。図10Bに示す例では、低輝度部音速演算部30は、極大点Pdと極小点Peとの間の各画素の先鋭度に、輝度勾配(ΔL3/Δθ3)の絶対値を採用し、極小点Pfと極大点Pgとの間の各画素の先鋭度に、輝度勾配(ΔL4/Δθ4)の絶対値を採用する。すなわち、極大値Pdと極小値Peとの間の各画素の先鋭度は、同一の値(ΔL3/Δθ3)となり、極小値Pfと極大値Pgとの間の各画素の先鋭度は、同一の値(ΔL4/Δθ4)となる。
[0058]
 低輝度部音速演算部30は、図6に示す受信フレーム50a~50nのそれぞれについて、画素ごとに先鋭度を演算する。
[0059]
 そして、低輝度部音速演算部30は、画素ごとに、受信フレーム50a~50nの中で先鋭度が最大となる受信フレームを特定し、特定された受信フレームに対応する生体内音速を、低輝度組織に対する最適音速として特定する。一例として、ある画素について受信フレーム50aの輝度勾配が最大となる場合、低輝度部音速演算部30は、受信フレーム50aに対応する生体内音速V1を、当該画素における最適音速として特定する。低輝度部音速演算部30は、画素ごとに最適音速を特定し、各画素における最適音速を示す低輝度部音速マッピングデータを生成する。
[0060]
 図3A~3C及び図5A~5Cを参照して説明したように、輝度波形中の低輝度部(凹状部分)は低輝度組織に対応し、受信遅延データ計算用の生体内音速に依存してエッジ部分の先鋭度が変化する。従って、輝度波形中の変曲点間(互いに隣り合う極小点と極大点との間)をエッジ部分として捉え、そのエッジ部分の輝度勾配(先鋭度)が最大となる受信フレームを特定することにより、低輝度組織の像を先鋭化することができる最適音速が特定される。
[0061]
 低輝度部音速演算部30は、いずれの受信フレームにおいても輝度勾配(先鋭度)が0(零)となる画素の生体内音速を、無効値に設定してもよい。また、低輝度部音速演算部30は、全受信フレームにおける全画素の輝度勾配の平均値を演算し、輝度勾配が平均値の定数倍以下となる画素の生体内音速を、無効値に設定してもよい。これにより、ノイズが除去されて、生体内音速の特定精度の低下が抑制される。
[0062]
 図11に、低輝度部音速マッピングデータの一例を示す。低輝度部音速マッピングデータ62において、ハッチングで示されている画素の値が、低輝度部音速演算部30によって特定された最適な生体内音速の値である。それ以外の画素の値は、無効値に設定されている。
[0063]
 なお、受信フレームからノイズを除去し、輝度波形中の注目部分(ピーク部、及び、低輝度部のエッジ部分)以外の部分が評価されないように、高輝度部音速演算部28及び低輝度部音速演算部30は、受信フレームに対してローパスフィルタ(LPF)を適用してデータを平滑化してもよい。高輝度部音速演算部28及び低輝度部音速演算部30は、ローパスフィルタが適用された後の受信フレームを対象にして輝度勾配(先鋭度)を演算することにより、最適音速を特定する。この場合、高輝度部音速演算部28は、低輝度組織用のローパスフィルタよりも相対的に効果の弱いローパスフィルタを、受信フレームに適用する。それとは逆に、低輝度部音速演算部30は、高輝度組織用のローパスフィルタよりも相対的に効果の強いローパスフィルタを、受信フレームに適用する。高輝度組織についてはピーク部の先鋭度が評価対象となる。従って、相対的に効果の強いローパスフィルタを適用すると、評価対象のピーク部の勾配が緩やかになり、先鋭度の評価精度が低下してしまう可能性がある。従って、高輝度部音速演算部28では、相対的に効果の弱いローパスフィルタを適用する。一方、低輝度部はある程度の広がりをもって存在しているため、相対的に強い効果のローパスフィルタを適用したとしても低輝度部の広がりに対する影響が少ない。従って、ノイズがより効果的に除去されるように、低輝度部音速演算部30では、相対的に効果の強いローパスフィルタを適用する。
[0064]
 高輝度部音速演算部28及び低輝度部音速演算部30は、一例として、各深さに対応する走査方向のデータ列を対象にして、各深さにおける各画素の先鋭度を演算する。または、高輝度部音速演算部28及び低輝度部音速演算部30は、特定の深さに対応する走査方向のデータ列を対象にして、当該特定の深さにおける各画素の先鋭度を演算してもよい。または、高輝度部音速演算部28及び低輝度部音速演算部30は、関心領域(ROI)内における走査方向のデータ列を対象にして、当該関心領域に含まれる各画素の先鋭度を演算してもよい。この場合、関心領域(ROI)以外の領域に対しては、予め設定された生体内音速に基づく受信遅延データセットを適用してもよい。
[0065]
 次に、図12を参照して、統合処理部32の具体的な処理について説明する。統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータ60と低輝度部音速マッピングデータ62とを統合することにより、統合音速マッピングデータ70を生成する。例えば、統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータ60に低輝度部音速マッピングデータ62を上書きして更新することにより、統合音速マッピングデータ70を生成する。または、統合処理部32は、低輝度部音速マッピングデータ62に高輝度部音速マッピングデータ60を上書きして更新することにより、統合音速マッピングデータ70を生成してもよい。上書きする側のマッピングデータの生体内音速が無効値の場合、統合処理部32は、無効値によって上書き更新せずに、上書きされるマッピングデータの生体内音速値を採用する。
[0066]
 統合処理の結果、同じ画素に、高輝度部音速マッピングデータ60の値と低輝度部音速マッピングデータ62の値とが重なった場合、統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータ60の値を採用することが好ましい。一般的に、高輝度組織のサイズは低輝度組織のサイズよりも小さい。そのため、重なっている画素に低輝度部音速マッピングデータ62の値を採用してしまうと、高輝度組織の像が低輝度組織の像内に埋没していまい、高輝度組織についての受信感度や画像分解能が低下してしまう可能性があるからである。低輝度組織については、一部に対して高輝度部音速マッピングデータ60の値が適用されたとしても、その一部についてのみ受信感度や空間分解能が低下し、他の部分の受信感度や空間分解能は影響を受けずに済む。
[0067]
 統合処理部32は、統合音速マッピングデータ70を走査方向θに平均化することにより、深さ方向の各画素における最適音速を示す1次元の最適音速値列(深さ別音速マッピングデータ72)を生成してもよい。統合処理部32は、統合音速マッピングデータ70を深さ方向に平均化することにより、走査方向θの各画素における最適音速を示す1次元の最適音速値列(走査位置別音速マッピングデータ74)を生成してもよい。さらに、統合処理部32は、統合音速マッピングデータの全平均値76を全画素の代表値として求めてもよい。統合処理部32は、平均値に代えて、最適音速の中央値又は最大値を用いて、深さ別音速マッピングデータ72、走査位置別音速マッピングデータ74、及び、代表値を求めてもよい。また、深さ別音速マッピングデータ72及び走査位置別音速マッピングデータ74において、隣り合う画素における音速値の差が閾値以上の場合には、統合処理部32は、その画素の音速値に対してフィルタを適用することにより、音速値を平滑化してもよい。
[0068]
 統合音速マッピングデータ70、深さ別音速マッピングデータ72、走査位置別音速マッピングデータ74、及び、全平均値76は、制御部22に供給される。制御部22は、統合音速マッピングデータ70、深さ別音速マッピングデータ72、走査位置別音速マッピングデータ74、又は、全平均値76に基づいて、最適受信遅延データセットを演算する。なお、制御部22は、無効値が設定された画素については、予め設定された音速を用いて受信遅延データを演算してもよい。本スキャン時において、制御部22は、最適受信遅延データセットを受信部14に供給する。受信部14は、複数の受信信号に対して、最適受信遅延データセットに従って整相加算処理等を施すことにより、受信フレームを生成する。平均化された深さ別音速マッピングデータ72、走査位置別音速マッピングデータ74又は全平均値76を用いて受信遅延データセットを演算することにより、全画素の生体内音速を示す統合音速マッピングデータ70を用いて受信遅延データセットを演算する場合と比べて、計算量が減る。そのため、制御部22の負荷が減少する。それとは逆に、統合音速マッピングデータ70を用いた場合、個々の画素ごとに受信遅延データセットが演算される。そのため、他の音速マッピングデータを用いる場合と比べて、像の空間分解能がより向上する。
[0069]
 また、超音波ビームの走査面に含まれる組織の位置関係に応じて、受信遅延データ計算用の音速マッピングデータを選択してもよい。例えば、高輝度組織と低輝度組織とが走査方向θに横並びに存在している場合、走査位置別音速マッピングデータ74に基づいて受信遅延データセットを演算することが好ましい。走査位置別音速マッピングデータ74は、走査方向θの各画素における最適音速を示しているため、横並びに存在する個々の組織の先鋭化に適した受信遅延データセットが演算されるからである。なお、統合処理部32は、組織の位置関係に応じて、統合音速マッピングデータ70の平均化の方向を変えて平均化を行ってもよい。平均化の方向は、例えばユーザが操作部24を用いて指定するようにすればよい。
[0070]
 次に、図13及び図14を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置の動作について説明する。図13には、メインルーチンが示されている。まず、本スキャン(超音波診断)に先立って、最適音速の特定処理(テスト動作モード)を実行するのか否かが判断される(S01)。ユーザが操作部24を用いて最速音速特定処理の実行を指示することにより(S01,Yes)、最速音速の特定処理が実行される(S02)。ステップS02では、後述する図14の各工程が実行される。これにより、最適音速が求められるので、その最適音速に基づいて、受信遅延データセットが演算される。そして、本スキャンが実行される(S03)。本スキャンでは、受信部14によって、最適音速に基づいて計算された受信遅延データセットに従った整相加算処理が実行される。そして、信号処理部16及び画像形成部18による処理が実行されることにより表示フレーム列が形成され、表示フレームが表示部20に表示される。ステップS01で最速音速の特定処理を行わないと判定された場合には(S01,No)、本スキャンが実行される。なお、本スキャン中に、ユーザが最速音速の特定処理を指示した場合、割り込み処理として、ステップS02の処理が実行されてもよい。
[0071]
 図14には、図13のステップS02で示した最適音速の特定処理が示されている。最適音速の特定処理を実行する前に、観察対象が超音波ビームの走査面に含まれるように、ユーザはプローブ10の位置決めを行う。例えば、ユーザは、表示部20に表示された表示フレームを見ながらプローブ10の位置決めを行う。ここでは、図2に示す高輝度組織52及び低輝度組織54を観察対象とし、ユーザは、それらが走査面に含まれるようにプローブ10の位置決めを行う。位置決め後、ユーザが操作部24を用いて最適音速の特定処理の実行を指示すると、超音波が送受されて仮スキャンが実行される(S10)。例えば、生体内音速V1~Vnに対応する複数の受信遅延データセットが、制御部22から受信部14に供給される。当該複数の受信遅延データセットに従った整相加算処理等が、受信部14によって実行される。これにより、生体内音速V1~Vnに対応する受信フレーム列が生成される(S11)。そして、最適音速演算部26は、受信フレームごとに各画素の先鋭度を演算し(S12)、先鋭度に基づいて各画素の最適音速を特定する(S13)。最適音速演算部26は、最適音速を示す高輝度部音速マッピングデータと低輝度部音速マッピングデータとを生成し、更に、統合音速マッピングデータや深さ別音速マッピングデータ等を生成する。一例として深さ別音速マッピングデータが制御部22に供給され、制御部22は、その深さ別音速マッピングデータに基づいて本スキャン用の受信遅延データセットを演算する(S14)。そして、図13に示す本スキャン(ステップS03)が実行される。
[0072]
 以上のように、本実施形態では、受信フレーム列のそれぞれについて、走査方向における輝度波形に基づいて像の先鋭度(像のぼけ度)を演算し、先鋭度が最大となる受信フレームに対応する生体内音速を最適音速として特定する。この最適音速を用いることにより、受信遅延条件を良好にすることが可能となる。その結果、像の空間分解能を向上させることが可能となる。つまり、輝度波形から演算された先鋭度は、像の空間分解能を反映している。従って、先鋭度が最大となる受信フレームを特定することにより、像の空間分解能を向上させることができる音速が特定される。
[0073]
 また、高輝度組織及び低輝度組織のそれぞれの特徴を考慮して先鋭度を演算して評価することにより、高輝度組織及び低輝度組織のそれぞれの像を先鋭化するための最適音速を特定することが可能となる。高輝度組織は輝度波形中においてピーク部(凸状部分)として出現する。そのため、そのピーク部を1つのかたまりとして捉えて先鋭度を演算して評価することにより、高輝度組織用の最適音速を特定することが可能となる。また、低輝度組織は輝度波形中において凹状部分として出現する。そのため、その凹状部分の両側エッジ部分の先鋭度を個別に演算して評価することにより、低輝度組織用の最適音速を特定することが可能となる。これにより、高輝度組織及び低輝度組織の両方の観察に適する受信遅延データセットを生成することが可能となる。従って、性状の異なる複数の組織が同一の走査面に含まれる場合であっても、各組織の像を先鋭化するための最適音速を特定し、各組織の像の空間分解能を向上させることが可能となる。
[0074]
 なお、高輝度部音速演算部28は、低輝度部音速演算部30と同じ演算方法によって先鋭度を演算してもよい。つまり、高輝度部音速演算部28は、ピーク部の頂点の両側の先鋭度を個別に演算して先鋭度を評価してもよい。
[0075]
(変形例1)
 次に、変形例1について説明する。変形例1では、統合処理部32は、高輝度部音速演算部28によって求められた高輝度部音速マッピングデータ、又は、低輝度部音速演算部30によって求められた低輝度部音速マッピングデータのいずれか一方を、最適音速マッピングデータとして選択する。
[0076]
 例えば、高輝度組織又は低輝度組織のいずれか一方のみが、超音波ビームの走査面に存在している場合、存在していない組織に対応する音速マッピングデータは不要である。この場合、存在している組織に対応する音速マッピングデータを用いて受信遅延データセットを演算すればよい。例えば、浸潤性がんが走査面上に存在しておらず、石灰化組織が走査面上に存在しているのであれば、高輝度部音速マッピングデータを選択すればよい。それとは逆に、石灰化組織が走査面上に存在しておらず、浸潤性がんが走査面上に存在しているのであれば、低輝度部音速マッピングデータを選択すればよい。
[0077]
 音速マッピングデータの選択は、ユーザが行ってもよいし、統合処理部32が行ってもよい。ユーザが音速マッピングデータを選択する場合、ユーザは操作部24を用いて、高輝度組織又は低輝度組織のいずれか一方を指定する。これにより、指定された組織に対応する音速マッピングデータが選択される。統合処理部32は、ユーザによって選択された音速マッピングデータを最適音速マッピングデータとして採用する。統合処理部32が音速マッピングデータを選択する場合、統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータ及び低輝度部音速マッピングデータの中で無効値の画素数が少ない音速マッピングデータを、最適音速マッピングデータとして採用する。選択された最適音速マッピングデータは制御部22に供給される。制御部22では、最適音速マッピングデータに基づいて受信遅延データが演算される。
[0078]
 統合処理部32は、選択された最適音速マッピングデータに基づいて、深さ別音速マッピングデータ、走査位置別音速マッピングデータ、又は、最適音速マッピングデータの全平均値を求めてもよい。生成されたマッピングデータは制御部22に供給され、制御部22では、供給されたマッピングデータに基づいて受信遅延データが演算される。
[0079]
 なお、ユーザが音速マッピングデータを選択した場合、最適音速演算部26は、高輝度部音速マッピングデータ又は低輝度部音速マッピングデータのうち、ユーザによって選択された音速マッピングデータを生成し、ユーザによって選択されなかった音速マッピングデータを生成しなくてもよい。
[0080]
 次に、図15に示すフローチャートを参照して、変形例1に係る処理について説明する。図15に示す処理は、図13のステップS02で示した最適音速の特定処理に対応する。最適音速の特定処理を実行する前に、ユーザは操作部24を用いて、高輝度部音速マッピングデータ又は低輝度部音速マッピングデータのうち、最適音速マッピングデータとして使用する音速マッピングデータを選択する(S20)。例えば、ユーザは、表示部20に表示されている表示フレームを見ながら、表示フレームに表された組織(走査面に含まれる組織)に対応する音速マッピングデータを選択すればよい。そして、上述した実施形態と同様に、仮スキャンが実行され(S21)、複数の生体内音速に対応する受信フレーム列が生成され(S22)、受信フレームごとに各画素の先鋭度が演算され(S23)、先鋭度に基づいて各画素の最適音速が特定される(S24)。そして、最適音速演算部26によって、高輝度部音速マッピングデータ及び低輝度部音速マッピングデータが生成され、ステップS20にて選択された音速マッピングデータが制御部22に供給される。制御部22において、選択された音速マッピングデータに基づいて、本スキャン用の受信遅延データセットが演算される(S25)。そして、図13に示す本スキャン(ステップS03)が実行される。
[0081]
 なお、統合処理部32が最適音速マッピングデータを選択する場合、ステップS20の処理は省略される。この場合、無効値の画素数が少ない音速マッピングデータが、統合処理部32によって選択されて制御部22に供給される。
[0082]
 以上のように、走査面に存在する組織に対応する音速マッピングデータを最適音速マッピングデータとして採用することにより、高輝度部音速マッピングデータと低輝度部音速マッピングデータとを統合した統合音速マッピングデータを採用するよりも、遅延処理条件を良好にすることができる。これにより、像の空間分解能を向上させることが可能となる。
[0083]
(変形例2)
 次に、変形例2について説明する。変形例2では、統合処理部32は、統合音速マッピングデータにおける無効値の画素数をカウントする。無効値の画素数が予め設定された閾値以上の場合、統合処理部32は、最適な生体内音速が無効であることを示す無効情報を制御部22に出力する。この場合、制御部22は、最適音速特定処理の前に使用されていた受信遅延データセットを受信部14に供給する。例えば、制御部22は、デフォルトの生体内音速に基づく受信遅延データセットを受信部14に供給する。
[0084]
 変形例2に係る処理について、図16に示すフローチャートを参照して説明する。図16に示す処理は、図13のステップS02で示した最適音速の特定処理に対応する。上述した実施形態と同様に、仮スキャンが実行される(S30)。これにより、複数の生体内音速に対応する受信フレーム列が生成され(S31)、受信フレームごとに各画素の先鋭度が演算され(S32)、先鋭度に基づいて各画素の最適音速が特定される(S33)。統合処理部32は、高輝度部音速マッピングデータと低輝度部音速マッピングデータとを統合して統合音速マッピングデータを生成し、統合音速マッピングデータにおける無効値の画素数をカウントする。無効値の画素数が閾値未満の場合(S34,Yes)、統合処理部32は統合音速マッピングデータを制御部22に供給する。制御部22は、統合音速マッピングデータに基づいて本スキャン用の受信遅延データセットを演算する(S35)。一方、無効値の画素数が閾値以上の場合(S34,No)、統合処理部32は無効情報を制御部22に出力する。制御部22は、最適音速特定処理の前に使用されていた受信遅延データセットを、本スキャン用の受信遅延データセットとして受信部14に供給する(S36)。そして、図13に示す本スキャン(ステップS03)が実行される。
[0085]
 以上のように、統合音速マッピングデータにおいて無効値の画素数が閾値以上となる場合であっても、最適音速特定処理前に使用されていた受信遅延データを用いることで、観察対象の超音波画像を形成することができる。なお、変形例1,2を組み合わせてもよい。この場合、統合処理部32は、選択された最適音速マッピングデータにおける無効値の画素数をカウントし、その画素数に応じた処理(ステップS35又はステップS36の処理)を行えばよい。
[0086]
 上記の実施形態及び変形例では、信号処理部16による処理後の信号に基づいて最適音速を特定するようにしたが、信号処理部16による処理前の信号に基づいて最適音速を特定するようにしてもよい。また、デジタルスキャンコンバート後の信号に基づいて最適音速を特定するようにしてもよい。

符号の説明

[0087]
 10 プローブ、12 送信部、14 受信部、16 信号処理部、18 画像形成部、20 表示部、22 制御部、24 操作部、26 最適音速演算部、28 高輝度部音速演算部、30 低輝度部音速演算部、32 統合処理部。

請求の範囲

[請求項1]
 被検体に対する超音波ビームの走査を繰り返すことにより複数のフレームを生成する生成部と、
 前記生成部に対して、複数の仮音速に基づく複数の遅延処理条件をフレーム単位で試行的に順次設定することにより、複数の仮フレームが生成されるようにするプリスキャン制御部と、
 前記各仮フレームにおける予め設定された方向に沿った少なくとも1つの参照データ列に対して、像の先鋭度を評価するための波形解析を実行し、これにより前記複数の仮フレームに対する複数の波形解析結果を得る波形解析部と、
 前記複数の波形解析結果に基づいて、最適音速を演算する最適音速演算部と、
 前記生成部に対して前記最適音速に基づく本スキャン用遅延処理条件を設定する本スキャン制御部と、
 を有することを特徴とする超音波診断装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の超音波診断装置おいて、
 前記予め設定された方向はビーム走査方向であり、
 前記波形解析部は、前記参照データ列における複数の位置において局所波形解析を実行し、これにより前記波形解析結果を構成する局所波形解析値列が求められる、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項3]
 請求項2に記載の超音波診断装置において、
 前記波形解析部は、前記各仮フレーム上で深さ方向に並ぶ複数の参照データ列に対して個別的に波形解析を実行し、これにより前記波形解析結果を構成する局所波形解析値行列が得られる、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項4]
 請求項3に記載の超音波診断装置において、
 前記波形解析部は、
 前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1の波形解析を実行することにより、前記複数の仮フレームに対応する複数の第1局所波形解析値行列を得る第1波形解析部と、
 前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して前記第1の波形解析とは異なる第2の波形解析を実行することにより、前記複数の仮フレームに対応する複数の第2局所波形解析値行列を得る第2波形解析部と、
 を含み、
 前記最適音速演算部は、前記複数の第1局所波形解析値行列及び前記複数の第2局所波形解析値行列に基づいて前記最適音速を演算する、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項5]
 請求項4に記載の超音波診断装置において、
 前記第1の波形解析では山状のピーク部ごとに先鋭度が解析され、
 前記第2の波形解析では凹状の低輝度部ごとに先鋭度が解析される、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項6]
 請求項5に記載の超音波診断装置において、
 前記第2の波形解析では、前記低輝度部が有する両エッジに対して個別的に勾配が解析され、それらの勾配に基づいて当該低輝度部全体の先鋭度が解析される、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項7]
 請求項4に記載の超音波診断装置において、
 前記最適音速演算部は、
 前記複数の第1局所波形解析値行列に基づいて、ビーム走査面上の各位置での最適音速を表す第1最適音速マップを生成する機能と、
 前記複数の第2局所波形解析値行列に基づいて、前記ビーム走査面上の各位置での最適音速を表す第2最適音速マップを生成する機能と、
 を含み、
 前記第1最適音速マップ及び前記第2最適音速マップに基づいて前記本スキャン用の最適音速が求められる、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項8]
 請求項7に記載の超音波診断装置において、
 前記最適音速演算部は、前記第1最適音速マップ及び前記第2最適音速マップを合成して合成マップを生成する機能を含む、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項9]
 請求項8に記載の超音波診断装置において、
 前記最適音速演算部は、前記合成マップを構成する複数の最適音速に対して集約処理を施すことにより、前記本スキャン用遅延処理条件を規定する1又は複数の最適音速を演算する機能を含む、
 ことを特徴とする超音波診断装置。
[請求項10]
 請求項4に記載の超音波診断装置において、
 前記波形解析部は、
 前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1のフィルタ処理を行う第1のローパスフィルタと、
 前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して、前記第1のフィルタ処理よりも強い効果の第2のフィルタ処理を行う第2のローパスフィルタと、
 を更に含み、
 前記第1波形解析部は、前記第1のフィルタ処理後の前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第1の波形解析を実行し、
 前記第2波形解析部は、前記第2のフィルタ処理後の前記各仮フレーム上の複数の参照データ列に対して第2の波形解析を実行する、
 ことを特徴とする超音波診断装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 3C]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 4C]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]