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1. (WO2015136581) 有機EL装置
Document

明 細 書

発明の名称 有機EL装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125  

産業上の利用可能性

0126  

符号の説明

0127  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 有機EL装置

技術分野

[0001]
 本発明は、有機EL層と吸湿層とを備える有機EL装置に関する。

背景技術

[0002]
 有機EL装置として、例えば、アノード電極とカソード電極との間に有機EL層を有する表示部をガラス基板上に備える有機EL表示装置がある。
[0003]
 近年、デザイン性やモバイル性に優れた有機EL表示装置が要求されている。デザイン性に優れた装置は、例えば、表示部が湾曲しているような装置である。モバイル性に優れた装置は、例えば、より軽量化された装置である。
[0004]
 上記要求に対して、有機EL表示装置のガラス基板に変わって、折り曲げ可能な柔軟性を有する樹脂基板(樹脂フィルム)を利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、樹脂基板は水分に対するバリア性が低いので、樹脂基板を用いると、その樹脂基板を介して有機EL層に水分が侵入する。それによって、発光色が変色したり、ひどい場合には発光しなくなったりする。
[0005]
 これに対し、樹脂基板と表示部(有機EL層)との間に吸湿層を配し、表示部への侵入しようとする水分を吸湿して水分の透過を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献2、3)。
[0006]
 特許文献2に記載の吸湿層は、吸湿膜が一対の無機物膜によって挟まれた構造をしている。そして、無機物膜として、水分透過の度合いを示す水蒸気透過率が低い材料を用い、吸湿層の水分透過を抑えつつ、無機物膜を透過した水分を吸湿膜が吸湿している。
[0007]
 特許文献3に記載の吸湿層は、吸湿剤を有機材料中に含み、吸湿剤は有機EL層側に多く存在するような構造を有している。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開2009-031761号公報
特許文献2 : 特表2012-533152号公報
特許文献3 : 特開2001-068266号公報

発明の概要

[0009]
 しかしながら、上記の特許文献2のような低い水蒸気透過率の無機物膜を用いて、有機EL側に吸湿剤を多く配しても、有機EL層の寿命が向上しないことが判明した。つまり、吸湿層の水分透過抑制特性が不十分であることが判明した。
[0010]
 本発明は、有機EL層への水分の透過をより一層抑制することができる有機EL装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明の一態様に係る有機EL装置は、有機EL層と、前記有機EL層の少なくとも一方の主面側に設けられた吸湿層とを備える有機EL装置において、前記吸湿層は、母材中に吸湿剤を含む吸湿膜と、前記吸湿膜をその膜厚方向の両側から被覆する一対の被覆膜とを有し、前記吸湿膜は、当該吸湿膜中に含まれる前記吸湿剤の平均含有率よりも低い吸湿剤含有率である領域を、前記一対の被覆膜の内、前記有機EL層に近い側の被覆膜と接触する状態で有する。

発明の効果

[0012]
 上記態様に係る有機EL装置は、吸湿層における吸湿剤の含有率が、有機EL層側の被覆膜と接触する領域で、平均含有率よりも低くなっている。これにより、吸湿層における吸湿剤の平均含有率は同等に保ちながら、有機EL層側に露出する吸湿剤を少なくすることによって、被覆膜に生じる欠陥を少なくできる。従って、有機EL層への水分の透過をより抑制することができる。また、有機EL層と吸湿剤との平均的な距離が大きくなるので、吸湿剤により吸湿された水分が有機EL層に達し難くできる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 第1の実施形態を示す機能装置の断面図である。
[図2] 吸湿層の断面を示す図である。
[図3] ベースに吸湿層を形成した状態の断面図である。
[図4] 検討した吸湿層の構造を説明するための図である。
[図5] 検討した吸湿層を備える有機EL装置の製造工程中の吸湿層の状態の変化を説明するための図である。
[図6] 第1の実施形態に係る吸湿層を備える有機EL装置の製造工程中の吸湿層の状態の変化を説明するための図である。
[図7] 第2の実施形態に係る有機EL表示装置の概略構成を示す模式ブロック図である。
[図8] 有機EL表示パネルにおけるサブピクセルの配置形態を示す模式平面図である。
[図9] 図7におけるA-A断面を矢印方向から見た図である。
[図10] 有機EL表示パネルの1サブピクセル部分の断面図である。
[図11] 吸湿膜に2つの非含有領域が存在する吸湿層をベース上に形成した状態の断面図である。

発明を実施するための形態

[0014]
[本発明の態様]
 本発明の一態様に係る有機EL装置は、有機EL層と、前記有機EL層の少なくとも一方の主面側に設けられた吸湿層とを備える有機EL装置において、前記吸湿層は、母材中に吸湿剤を含む吸湿膜と、前記吸湿膜をその膜厚方向の両側から被覆する一対の被覆膜とを有し、前記吸湿膜は、当該吸湿膜中に含まれる前記吸湿剤の平均含有率よりも低い吸湿剤含有率である領域を、前記一対の被覆膜の内、前記有機EL層に近い側の被覆膜と接触する状態で有する。
[0015]
 また、前記領域は、前記有機EL層に近い被覆膜の全領域で接触する。これにより、有機EL層側の全範囲で露出する吸湿剤が少なくなり、被覆膜の全範囲で欠陥を少なくできる。また、吸湿剤により吸湿された水分が有機EL層の全範囲で達し難くできる。
[0016]
 また、前記領域の厚みは、前記吸湿剤の平均粒径よりも大きい。あるいは、前記領域の前記吸湿剤の含有率は、5vol%以下である。これにより、有機EL層に近い被覆膜における有機EL層側の面を平坦にできる。
[0017]
 前記領域の前記吸湿剤の含有率は、0vol%である。これにより、有機EL層に近い被覆膜における有機EL層側の面の平坦性を向上させることができる。
[0018]
 また、前記吸湿剤がゼオライトである。これにより容易に実施できる。
[第1の実施形態]
 第1の実施形態では、水分吸湿により機能低下を招く機能層を有する装置の概略を説明する。
[0019]
 なお、ここでは、機能層として有機EL層を利用した有機EL装置について説明する。
1.全体構造
 図1は、第1の実施形態を示す有機EL装置の断面図である。
[0020]
 有機EL装置1は、アノード電極とカソード電極との間に有機EL層を有する表示部7を有する。
[0021]
 有機EL装置1は、表示部7の少なくとも一方の主面、本実施形態では両主面に吸湿層5,9を有している。つまり、表示部7が吸湿層5,9によりサンドイッチされている。
[0022]
 以下、具体的に説明する。
[0023]
 有機EL装置1は、図1に示すように、ベース3、吸湿層5、表示部7、吸湿層9をこの順で備える。ここでは、有機EL装置1は、吸湿層9における表示部7と反対側に表面被覆層11を有している。なお、有機EL装置1の表側は、表面被覆層11側であり、裏側はベース3側である。
(1)ベース
 ベース3は、表示部7等を支持する機能を有する。つまり、ベース3の上面に、吸湿層5、表示部7、吸湿層9及び表面被覆層11が設けられている(積層されている)。
[0024]
 ベース3の材料としては、樹脂材料、セラミック材料、金属材料等を利用できる。本実施形態に係る有機EL装置1は、折り曲げ可能な柔軟性を有している。このため、ベース3として、柔軟性を有する樹脂材料が好ましく利用される。
[0025]
 ベース3は、有機EL層への水分影響を考慮すると水分の透過率(以下、「水蒸気透過率」という。)の低い材料により構成されるのが好ましいが、柔軟性を持たせるために、樹脂材料からなる樹脂フィルムがベース3に好適に利用される。
(2)吸湿層
 吸湿層5,9は、有機EL装置1の表面・裏面から表示部7への水分侵入に対して障壁となる機能(水分透過抑制機能)を有している。この吸湿層5,9の詳細は後述する。
(3)表示部
 表示部7は、有機EL層に侵入した水分や有機EL層で吸湿された水分によって発光性能が低下する。具体的には、有機EL層を構成している有機材料の特性変化である。
(4)表面被覆層
 表面被覆層11は、表示部7を被覆する。正確には、表面被覆層11は、吸湿層9の上面に層状に形成され、間接的に表示部7を被覆する。
[0026]
 表面被覆層11は、有機EL装置1に機械的衝撃が作用した際に、表示部7に直接的な破損が発生するのを防止する保護機能を有している。表面被覆層11は、表示部7への水分や酸素等のガスの進入を、完全ではないものの、防止する機能を有する。
[0027]
 表面被覆層11の材料としては、例えば、樹脂材料から構成される樹脂膜や、窒化シリコン等の窒化膜、酸化シリコン等の酸化膜、金属膜等が利用される。有機EL装置1は、上述したように柔軟性を有する。このため、表面被覆層11は、柔軟性を有する樹脂材料が利用される。
[0028]
 表面被覆層11は、有機EL層への水分影響を考慮すると水蒸気透過率の低い材料により構成されるのが好ましいが、柔軟性を持たせるために、樹脂材料が表面被覆層11に好適に利用される。
2.吸湿層について
 図2は、吸湿層の断面を示す図であり、図3は、ベースに吸湿層を形成した状態の断面図である。
(1)全体
 吸湿層5,9は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。本実施形態では、同じ構成である。吸湿層5,9は、図2に示すように、第1被覆膜21、吸湿膜23及び第2被覆膜25を有する。第1被覆膜21、吸湿膜23及び第2被覆膜25は、互いに密着する状態で積層されている。つまり、吸湿膜23の両主面(表面・裏面)が一対の被覆膜21,25により被覆されている。
[0029]
 第1被覆膜21は外気に近い側(ベース3や表面被覆層11が存在する側である。)に配され、第2被覆膜25は表示部7に近い側に配されている。つまり、吸湿層5,9においては、第2被覆膜25が表示部7に近い側である。
[0030]
 第1被覆膜21は、外気側からの吸湿層5,9内の水分侵入を抑制する。吸湿膜23は、第1被覆膜21により抑制できずに当該被覆膜21を透過した水分を吸湿する。第2被覆膜25は、第1被覆膜21を透過した水分や吸湿膜23により吸湿されていた水分が表示部7側に侵入するのを抑制する。この構成により、吸湿層5,9は、外気から表示部7に水分が侵入するのを抑制している。つまり、吸湿層5,9は、防水層としての機能も有する。
(2)被覆膜
 第1及び第2被覆膜21,25は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。本実施形態では、同じ構成である。このため、被覆膜の配置等に関係なく、両者を区別する必要がないときは、第1及び第2被覆膜21,25として以下説明する。
[0031]
 第1及び第2被覆膜21,25は、低水蒸気透過率の材料から構成される。具体的には、ベース3や表面被覆層11の水蒸気透過率よりも低い材料が第1及び第2被覆膜21,25の材料として利用される。具体的には、第1及び第2被覆膜21,25の水蒸気透過率は、40℃、90%RHの雰囲気下で、1×10 -4g/m 2/day以上1×10 -6g/m 2/day以下である。なお、第1及び第2被覆膜21,25の水蒸気透過率はなるべく小さい方が良い。
[0032]
 低水蒸気透過率を有する材料として、例えば、無機膜がある。無機膜として、例えば、窒化シリコン等の窒化膜、酸化シリコン等の酸化膜、酸窒化シリコン等の酸窒化膜や、酸化インジウムスズ(ITO)及び酸化銀等の金属酸化膜等がある。これらの無機膜は、例えば、CVD、スパッタ等の真空成膜法により形成される。
[0033]
 しかしながら、無機膜で構成される第1及び第2被覆膜21,25は、図3に示すように、製造上排除することができない微小な欠陥31が存在する。また、この欠陥31の発生する箇所は製造工程で管理することは困難であり、欠陥31の発生箇所に対応して部分的に吸湿膜を設けることは難しい。
[0034]
 ここでいう欠陥31は、水分を透過させてしまうようなものである。例えば、無機膜を真空成膜法で成膜した場合、局所的に生じたピンホール等が欠陥31に相当する。
(3)吸湿膜
 吸湿膜23は、主に第1被覆膜21の欠陥31を介して吸湿層5,9内に侵入してきた水分を吸湿する。これにより、第1の被覆膜21の欠陥31から侵入してきた水分が表示部7へ到達するのが抑制される。
[0035]
 吸湿膜23は、吸湿剤27を含有する材料により構成される。具体的には、吸湿膜23は、図2及び図3に示すように、母材の一例である有機材料29に吸湿剤27が混合されて構成されている。
[0036]
 吸湿剤27として、粒状をし、化学的乾燥剤や物理的乾燥剤等が利用される。化学的乾燥剤は、化学物質の固有の性質(化学反応や潮解)を利用するもので、例えば、酸化カルシウム(CaO)、塩化カルシウム(CaCl)、酸化バリウム(BaO)、水酸化ナトリウム(NaOH)等がある。物理的乾燥剤は、多孔質表面に水分子が吸着しやすい性質を利用するもので、例えば、シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブ、アロフェン、ゼオライト等がある。
[0037]
 有機材料29は、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等がある。
[0038]
 有機材料29は、表示部7の使用用途によって適宜選択される。例えば、表示部7(吸湿層5)に柔軟性が要求される場合は、低弾性率の材料が好ましく選択される。吸湿層5に透光性が必要とされる場合は、透光性を有する材料が選択される。安価に製造する場合は、汎用の材料が選択される。
[0039]
 吸湿膜23は、含有する吸湿剤27の量が吸湿膜23の膜厚方向に異なる状態で、吸湿剤27を有機材料29中に有する。つまり、吸湿膜23は、吸湿膜23中に含まれる吸湿剤27の平均含有率よりも低い吸湿剤27の含有率の領域を、表示部(有機EL層)7に近い第2被覆膜25と接触する状態で有する。
[0040]
 吸湿剤の含有率(vol%)は、
 含有率=(単位体積中に含有されている吸湿剤の質量/単位体積の吸湿膜の質量)×100
で定義されるが、以下の式によって算出してもよい。
[0041]
 含有率=吸湿膜の断面積中に観察される吸湿剤の面積/吸湿膜の断面積
 吸湿膜23は、図3に示すように、吸湿剤27を多く含有する高含有領域23aと、吸湿剤27をあまり含有していない低含有領域23bとを層状に備える。この低含有領域23bが、「吸湿膜23中に含まれる吸湿剤27の平均含有率よりも低い吸湿剤27の含有率の領域」に相当する。
[0042]
 低含有領域23bは、吸湿剤27が全く存在していない場合も含むものとする。なお、低含有領域23bにおける吸湿剤27の含有率は、第2被覆膜25と接する面の平坦性や欠陥発生を考慮すると、吸湿剤27の平均含有率の半分以下が好ましい。
[0043]
 本実施形態では、吸湿膜23は、1つの低含有領域23bと1つの高含有領域23aとを有している。この場合、1つの目安としては、吸湿膜23の膜厚の略中央を通り、吸湿膜23の主面と平行な仮想面を基準にできる。具体的には、上記仮想面よりも表示部7に近い側(第2被覆膜25に近い側である。)に位置する部分(低含有領域23bに相当する。)の吸湿剤27の含有率が、仮想面に対よりも表示部7から遠い側(第1被覆膜21に近い側である。)に位置する部分(高含有領域23aに相当する。)の吸湿剤27の含有率よりも低い。
[0044]
 このように、吸湿膜23において、吸湿剤27の含有率の高低を形成するには、例えば、第1被覆膜21が下側にある場合は、吸湿剤27と有機材料29との比重の違いを利用して、吸湿剤27の沈降中又は沈降後に有機材料(樹脂材料)29を硬化させることで実施できる。この場合、吸湿膜23の下部に位置する領域が高含有領域23aに相当し、上部に位置する領域が低含有領域23bに相当する。
[0045]
 逆に、第1被覆膜21が上側にある場合は、吸湿剤27を含まない有機材料(樹脂材料)29のみからなる樹脂層(低含有領域23bに相当する)を先に形成した後、有機材料29中に吸湿剤27を含む層を形成することで実施できる。この場合、先に形成した樹脂層が低含有領域23bに相当し、後で形成した層が高含有領域23aに相当する。
3.製造方法
 有機EL装置1の製造方法について説明する。なお、以下の説明は、有機EL装置1の製造方法の一例である。
[0046]
 有機EL装置1は、
(1)ベース3を準備し(ベース準備工程)、
(2)ベース3の上面に吸湿層5を形成し(下吸湿層形成工程)、
(3)吸湿層5の上面に表示部7を形成し(表示部形成工程)、
(4)表示部7の上面に吸湿層9を形成し(上吸湿層形成工程)、
(5)吸湿層9の上面に表面被覆層11を形成して(表面被覆層形成工程)
製造される。なお、表示部7中に有機EL層を含む。
[0047]
 以下、各工程について説明する
(1)ベース準備工程
 ベース3として、樹脂材料を利用する場合は、当該樹脂材料の樹脂フィルムを準備する。
(2)下吸湿層形成工程
 ここでは、第1及び第2被覆膜21,25として無機膜(窒化シリコン膜)が利用され、吸湿膜23の吸湿剤27として酸化アルミニウムが、有機材料29としてアクリル系樹脂材料がそれぞれ利用される場合を例にする。
[0048]
 下吸湿層形成工程は、
 (i)ベース3上に第1被覆膜21に相当する窒化シリコン膜を形成し、
 (ii)窒化シリコン膜上に吸湿膜を形成し、
 (iii)吸湿膜上に第2被覆膜25に相当する窒化シリコン膜を形成する
 ことで行われる。
[0049]
 上記の(i)、(iii)の窒化シリコン膜の形成は、例えば、真空蒸着法(例えば、化学気相堆積法である。)を利用して行われる。
[0050]
 上記(ii)の吸湿膜23は、吸湿剤27を含んだ硬化前の有機材料(樹脂材料)29を窒化シリコン膜(21)上に、例えば、スピンコート法を利用して塗布し、所定時間経過後に乾燥・硬化させる。ここでの所定時間は、吸湿剤27が硬化前の有機材料(樹脂材料)29中を沈降するのに必要な時間である。これにより、膜厚方向に吸湿剤27の含有率が異なる吸湿膜23が得られる。
(3)表示部形成工程
 表示部7は、周知の技術を利用して形成される。
[0051]
 アノードは例えば真空蒸着法(例えばスパッタ法である。)により形成され、有機EL層は、例えば有機発光材料を含有するインクが印刷法で塗布された後に乾燥することで形成でき、カソードも例えば、真空蒸着法により形成される。
(4)上吸湿層形成
 ここでも、第1及び第2被覆膜21,25として無機膜(窒化シリコン膜)が利用され、吸湿膜23の吸湿剤27として酸化アルミニウムが、有機材料29としてアクリル系樹脂材料がそれぞれ利用される。
[0052]
 上吸湿層形成工程は、
 (i)表示部7上に第2被覆膜25に相当する窒化シリコン膜を形成し、
 (ii)窒化シリコン膜上に吸湿膜23を形成し、
 (iii)吸湿膜23上に第1被覆膜21に相当する窒化シリコン膜を形成する
 ことで行われる。
[0053]
 上記の(i)、(iii)の窒化シリコン膜の形成は、例えば、真空蒸着法を利用して行われる。
[0054]
 上記(ii)の吸湿膜23は、吸湿剤27を含有していない硬化前の有機材料(樹脂材料)29を窒化シリコン膜(25)上に、例えば、スピンコート法を利用して塗布した後に乾燥・硬化させる。そして、吸湿剤27を含有する硬化前の有機材料(樹脂材料)29を、吸湿剤27を含有していない樹脂層上に、例えば、スピンコート法を利用して塗布した後に乾燥・硬化させる。これにより、膜厚方向に吸湿剤の含有率が異なる吸湿膜23が得られる。
(5)表面被覆層形成工程
 表面被覆層11は、ここでは、樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂が利用されている。形成は、例えば、スピンコート法に樹脂材料を塗布した後硬化することで行われる。
4.製造工程における水分
(1)検討
 発明者は、有機EL層への水分侵入を抑えることができる吸湿層を検討している。ここでは、被覆膜と、当該被覆膜の上面に配され且つ吸湿剤が樹脂材料中に分散されてなる吸湿膜と、当該吸湿膜の上面に配された被覆膜とを有する三層構造の吸湿層について検討している。
[0055]
 種々検討の結果、三層構造の吸湿層において、吸湿膜中の吸湿剤が有機EL層に近い側に多く存在すると、有機EL層の劣化が早いことが判明した。
[0056]
 この理由について、図4及び図5を用いて説明する。
[0057]
 図4は、検討した吸湿層の構造を説明するための図であり、図5は、検討した吸湿層を備える有機EL装置の製造工程中の吸湿層の状態の変化を説明するための図である。
[0058]
 吸湿層905は、図4に示すように、樹脂フィルムにより構成されたベース903の上面に形成されている。具体的には、吸湿層905は、上述のように、第1被覆膜921、吸湿膜923及び第2被覆膜925をこの順で備える。第1被覆膜921はベース903の上面に、吸湿膜923は第1被覆膜921の上面に、第2被覆膜925は吸湿膜923の上面にそれぞれ形成されている。
[0059]
 図4では示していないが、第2被覆膜925の上面に有機EL層を含む表示部907が形成される(図5参照)。また、第1被覆膜921,925には、製造上生じてしまう欠陥931(例えばピンホールである。)が存在する。
[0060]
 吸湿膜923は、粒子状の吸湿剤927と樹脂材料929とから構成されている。吸湿剤927は、吸湿膜923内に多く存在し、その分布が略均一で全体に亘っている。この構成の場合、吸湿剤927が吸湿膜923の上面に露出したり、吸湿膜923の上面の平坦性が悪かったり(図4には現れていない)する。これにより、第2被覆膜925に発生する欠陥931が多くなる傾向にある。なお、吸湿膜923の上面に露出する吸湿剤927に起因して発生した欠陥を、図4において符号「931a」で示す。
[0061]
 次に製造工程中の防止膜の状態を説明する。
[0062]
 ベース903上に吸湿層905が形成された直後の状態が、図5中の(a)である。ベース903上の吸湿層905は、大気中の雰囲気で次工程へと供給されたり保管されたりする。この際に、外気から欠陥931(欠陥931aも含む)を介して吸湿膜923の内部に水分が侵入する。侵入した水分は、第2被覆膜925側(大気側)に多く存在する吸湿剤927により吸湿される。つまり、吸湿膜923における第2被覆膜925に近い部分に水分が吸湿される。この状態が、図5中の(b)であり、ハッチングを施した領域939に水分が多く吸湿されている。
[0063]
 その後、第2被覆膜925の上面に表示部907が形成される。この形成された直後の状態が、図5中の(c)である。そして、表示部907の形成後に、例えば表面被覆層の樹脂材料を硬化するために、吸湿層905、表示部907が形成されているベース903ごと加熱する。この加熱状態が、図5中の(d)である。
[0064]
 加熱された状態では、水分を吸湿している吸湿剤927が多く存在する領域939から水分が欠陥931を介して有機EL層が存在する表示部907の内部の領域907aへと拡散する。
[0065]
 このように、吸湿層905を備えているにも関わらず、有機EL装置の水分侵入による劣化が効果的に抑制されないのである。
(2)実施形態品
 上述した第1の実施形態に係る吸湿層5を備える有機EL装置1では水分侵入による劣化を抑制できる。以下、その理由について説明する。
[0066]
 図6は、第1の実施形態に係る吸湿層を備える有機EL装置の製造工程中の吸湿層の状態の変化を説明するための図である。
[0067]
 吸湿層5は、図3に示すように、第1被覆膜21、吸湿膜23及び第2被覆膜25をこの順で備え、この吸湿層5上に、図3では示していないが、図1に示すように有機EL層を含む表示部7が形成される。なお、第1及び第2被覆膜21,25には、上述したように製造上生じてしまう欠陥31が存在する。
[0068]
 吸湿膜23は、第2被覆部25と接する領域を含む上部に存在する吸湿剤27の含有率が下部に存在する吸湿剤27の含有率や吸湿膜23における吸湿剤27の平均含有率よりも低い状態で、有機材料29中に吸湿剤27が含有されてなる。
[0069]
 この構成の場合、吸湿剤27が第2被覆膜25と接触する領域にあまり存在しないため、吸湿膜23の上面に吸湿剤27が露出することも少なく、また、吸湿膜23の上面の平坦性も確保される。これにより、吸湿剤27に起因して発生する第2被覆膜25の欠陥31を少なくできる。なお、欠陥31を少なくできると、当然、吸湿膜23に侵入する水分量を少なくできる。
[0070]
 次に製造工程中の吸湿層5の状態を説明する。
[0071]
 ベース3上に吸湿層5が形成された直後の状態が、図6中の(a)である。ベース3上の吸湿層5は、上述したように、大気中の雰囲気に晒されるため、欠陥31を介して水分が吸湿膜23の内部に侵入する。侵入した水分は、表示部7から離れた方の第1被覆膜21側に多く存在する吸湿剤27により吸湿される。つまり、吸湿膜23における第1被覆膜21に近い部分に水分が吸湿される。この状態が、図6中の(b)であり、ハッチングを施した領域39に水分が多く吸湿されている。
[0072]
 その後、第2被覆膜25の上面に表示部7が形成される。この形成された直後の状態が、図6中の(c)である。そして、表示部7の形成後に、例えば表面被覆層11の樹脂材料を硬化させるために加熱した状態が、図6中の(d)である。
[0073]
 加熱された状態では、水分を吸湿している吸湿剤27が多く存在する領域39から水分が拡散され、図6中の(d)のように、水分が存在する領域39aが拡がる。しかしながら、もともと水分を吸湿する吸湿剤27は、第1被覆膜21に近い部分(すなわち第2被覆膜25から遠い部分)に多く存在するため、加熱されて吸湿剤27から水分が拡散しても、第2被覆膜25までの距離が遠い。従って、第2被覆膜25を超えて表示部7側へと水分が拡散するのを少なくできる。
[0074]
 このように、吸湿層5における吸湿膜23は、吸湿剤27が表示部7から離れた部分に多く存在する構成を備えているため、一旦吸湿した水分が表示部7側に拡散するのを抑制できる。これにより、有機EL装置1の劣化を抑制することができる。
5.吸湿膜
(1)平坦性
 上述したように、吸湿膜23は、膜内において表示部7から遠い部分に吸湿剤27を多く有している。これにより、吸湿膜23における有機EL層が存在する側の面(この面を、「有機EL側面」とする。)を平坦できる。
[0075]
 吸湿膜23の有機EL側面は、低含有領域23bにおける吸湿剤27の含有率が、5vol%以下であれば、欠陥31発生に寄与しない程度の平坦性は確保されると考えられる。吸湿剤27の含有率が5vol%以下の低含有領域23bの膜厚が、吸湿剤27の平均粒径よりも大きいことが好ましく、さらには吸湿剤27の最大粒径よりも大きいことが好ましい。
[0076]
 ここでいう「平均粒径」や「最大粒径」は、少なくとも100個以上の数百個の粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等で粒子径を測定し、その平均値や最大値である。
[0077]
 これは、吸湿剤27が低含有領域23bに存在していた場合でも、吸湿剤27が有機EL側面に露出するのを少なくできるためである。
[0078]
 吸湿膜23の有機EL側面は、吸湿剤27をあまり含有しない低含有領域よりも、吸湿剤27を全く含有しない非含有領域の方が平坦性を確保しやすい。
[0079]
 特に、吸湿剤27を含有しない非含有領域の厚みを、吸湿剤27の平均粒径よりも大きくすることで向上する。これは、高含有領域23aから一粒単位の吸湿剤27の大部分が露出していた場合でも、吸湿剤27の平均粒径よりも大きい膜厚で形成された樹脂層(非含有領域である。)により、露出している吸湿剤27が埋まる可能性が高くなるからである。
[0080]
 さらに、吸湿剤27を含有しない非含有領域の厚みを、吸湿剤27の最大粒径よりも大きくすることで、吸湿膜23の有機EL側面の平坦性はさらに向上する。これは、高含有領域23aから露出している1粒単位の吸湿剤27の大部分が、吸湿剤27の最大粒径よも大きい膜厚の樹脂層(非含有領域である。)により、確実に埋まるからである。
[0081]
 なお、吸湿膜23の有機EL側面の平坦性が向上すると、第2被覆膜25の有機EL側面の凹凸に起因した欠陥31を少なくすることができ、第2被覆膜25の防水性は向上する。
(2)水分拡散
 上述したように、吸湿膜23は、膜内において表示部7から遠い部分に吸湿剤27を有している。このような吸湿層5に熱負荷が作用した場合、吸湿剤27に吸湿されていた水分が吸湿膜23の内部を拡散する。しかしながら、吸湿剤27は、有機EL側面から離れているため、第2被覆膜25を超えて表示部7側へと拡散することを少なくできる。
[0082]
 表示部7への水分の拡散は、吸湿剤27と有機EL側面との距離が大きい程抑制できる。また、有機EL側面と高含有領域23aとの間に存在する低含有領域23bは、吸湿剤27を含有しない非含有領域である方が好ましい。
[0083]
 この場合の非含有領域の厚みは、吸湿剤27の平均粒径よりも大きいことが好ましい。これは、高含有領域23aから一粒単位の吸湿剤27の大部分が露出していた場合でも、当該吸湿剤27との間に樹脂材料が存在する可能性が高くなり、第2被覆膜25に水分が達するのを抑制できる。
[0084]
 さらに、吸湿剤27を含まない非含有領域の厚みは、吸湿剤27の最大粒径の2倍以上が好ましい。これは、高含有領域23aから露出している1粒単位の吸湿剤27の大部分が、吸湿剤27の最大粒径の2倍の膜厚の樹脂層(非含有領域である。)により、確実に埋まり、さらに、この吸湿剤27と有機EL側面との間に、吸湿剤27の最大粒径に相当する間隔が確実に生じるからである。
[第2の実施形態]
 第2の実施形態では、有機EL表示装置について説明する。
1.概略構成
 第2の実施形態に係る有機EL表示装置101の概略構成について、図7及び図8を用い説明する。
[0085]
 図7は、第2の実施形態に係る有機EL表示装置101の概略構成を示す模式ブロック図である。図8は、有機EL表示パネル110におけるサブピクセル110a~110cの配置形態を示す模式平面図である。
[0086]
 図7に示すように、有機EL表示装置101は、有機EL表示パネル110と、これに接続された駆動・制御部120とを備えている。有機EL表示パネル110は、有機材料の電界発光現象を利用した有機ELパネルである。ここでは、有機EL表示パネル110の表示面は湾曲している。
[0087]
 図8に示すように、複数のサブピクセル(副画素部)110a~110cがX軸方向及びY軸方向に二次元配置されている。第2の実施形態においては、例えば、サブピクセル110aが赤色光(R)を出射し、サブピクセル110bが緑色光(G)を出射し、サブピクセル110cが青色光(B)を出射する。
[0088]
 そして、X軸方向に隣接する3つのサブピクセル110a~110cの組み合わせを以って、表示機能としての1つのピクセル(画素部)が構成されている。但し、構造的には、アノード、有機EL層、カソードを含んだ1ユニット、つまり、サブピクセルが1画素部となる。
[0089]
 なお、有機EL表示パネル110は、図8に示すように、井桁状のバンク(所謂、「ピクセルバンク」である。)157を有し、有機EL層がバンク157によって区画された領域に形成されている(図8において、本来平面視において有機EL層は見えないが、バンク157に区画された領域を表すためにハッチングを施している。)。
[0090]
 図7に戻って、駆動・制御部120は、4つの駆動回路121~124と制御回路125とから構成されている。なお、有機EL表示装置101における有機EL表示パネル110と駆動・制御部120との配置関係については、図7の形態には限定されない。
[0091]
 また、表示機能としてのピクセルの構成については、図8に示すような3つのサブピクセル110a~110cの組み合わせからなる形態に限定されず、4つ以上のサブピクセルの組み合わせを以って1つのピクセルが構成されるとしてもよい。
2.有機EL表示パネル110の構成
 図9は、図8におけるA-A断面を矢印方向から見た図である。
[0092]
 有機EL表示パネル110は、図9に示すように、一対の吸湿層133,135によって表示部131が挟まれた状態でベース137上に配されている。複数のサブピクセル110a~110cは、表示部131内において平面視2次元的に設けられている。各サブピクセル110a~110cが形成されるサブピクセル領域は、図8に示すように、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に開口が設けられ、全体形状が井桁状をするバンク157により例えば矩形状に区画された領域である。
[0093]
 表示部131は、図9に示すように、TFT基板151上に絶縁層153が積層されている。絶縁層153のZ軸方向上面は、略平坦となるように形成されている。なお、TFT基板151については、TFT層などの図示を省略し、簡略化した図としている。絶縁層153のZ軸方向上面のサブピクセル領域には、アノード155が積層形成されている。
[0094]
 次に、絶縁層153上及びアノード155のX軸方向両縁上を覆うようにバンク157が形成されている。バンク157に区画されたサブピクセル領域には有機EL層159がアノード155の上面に積層形成されている。
[0095]
 有機EL層159上ならびにバンク157の側面上部及び頂面上を覆うように、カソード161が形成されている。カソード161の上面には、吸湿層135が形成されている。吸湿層135は、第2被覆膜145、吸湿膜143及び第1被覆膜141を有している。
[0096]
 吸湿層135の上面には、表面被覆層163が形成されている。表面被覆層163は、表示部131を被覆して保護する機能を有する。
[0097]
 本実施形態に係る有機EL表示パネル110は、トップエミッション型であり、図9の矢印のようにZ軸方向上向きの光を出射する。
3.有機EL表示パネル110の各構成材料
(1)ベース
 ベース137は、折り曲げ可能な柔軟性を有する必要がある。ベース137は第1の実施形態のベース3と同様に、柔軟性を有する材料として、例えば樹脂材料が好ましく利用されている。ここでは、ベース137として、ポリカーボネートフィルムが利用されている。
(2)吸湿層
 吸湿層133は、第1の実施形態と同様に、第1被覆膜141と吸湿膜143と第2被覆膜145とを有し、これらが積層された構造を有する。換言すると、吸湿層133は、一対の被覆膜141,145により吸湿膜143がサンドイッチされた(挟まれた)構造を有する。
[0098]
 第1及び第2被覆膜141,145は、低水蒸気透過率の材料からなる。水蒸気透過率は、40℃、90%RHの雰囲気下で、1×10 -4g/m 2/day以上1×10 -6g/m 2/day以下程度であるが、小さい方が好ましい。なお、第1及び第2被覆膜141,145には、製造上排除することができない局所的な欠陥が存在する。
[0099]
 第1及び第2被覆膜141,145は、無機材料からなる無機膜が利用される。無機膜は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)、酸窒化シリコン(SiON)等の薄膜や、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属膜等である。ここでは、第1被覆膜141,145は窒化シリコン(SiN)膜が利用されている。
[0100]
 吸湿膜143は、第1及び第2被覆膜141,145の欠陥を介して侵入してきた水分を吸湿する。吸湿膜143は、有機材料内に吸湿剤が混合されてなる。ここでは、吸湿剤としては酸化アルミニウムが、有機材料としてはアクリル系樹脂がそれぞれ利用されている。
(3)表示部
(3-1)TFT基板
 TFT基板151は、基板と、当該基板のZ軸方向上面に形成されたTFT層とから構成されている。TFT層については、図示を省略しているが、ゲート、ソース、ドレインの3電極と、半導体層、パッシベーション膜などを含み構成されている。
[0101]
 TFT基板151のベースとなる基板は、樹脂基板等を用い形成されている。樹脂基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルベンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、又はこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、又は2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(3-2)絶縁層
 絶縁層153は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物を用い形成されている。ここで、絶縁層153は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。
[0102]
 また、絶縁層153は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理等が施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形や変質などを生じない高い耐性を有する材料を用い形成されることが望ましい。
(3-3)アノード
 アノード155は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施形態に係る有機EL表示パネル110の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
[0103]
 なお、アノード155については、上記のような金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体を採用することもできる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
(3-4)バンク
 バンク157は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク157の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。
(3-5)有機EL層
 有機EL層159は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機EL層159の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料である。
[0104]
 具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5-163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8-ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2-ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(3-6)カソード
 カソード161は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。本実施形態のように、トップエミッション型の本実施形態に係る有機EL表示パネル110の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(4)吸湿層
 吸湿層135は、吸湿層133と同じ材料で構成してもよいし、別の材料で構成してもよい。ここでは、吸湿層135は、上述の吸湿層133と同じ材料で構成されている。なお、吸湿層135は、トップエミッション型である有機EL表示パネル110の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(5)表面被覆層
 表面被覆層163は、表示部131を被覆する。表面被覆層163は、表示部131が衝撃等により破損するのを防止する保護機能や、表示部131が直接水分や空気に晒されることを抑制する機能を有する。
[0105]
 表面被覆層163は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂材料をさらに形成した多層構造としてもよい。
[0106]
 表面被覆層163は、トップエミッション型である本実施形態に係る有機EL表示パネル110の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
[第3の実施形態]
 吸湿層は、水分の吸湿により何らかの性能低下を招いてしまう機能部に対して有効である。第2の実施形態では、ベース137として可撓性を有する樹脂フィルムを用いたが、ベースの材料として従来からのガラス材料を利用してもよい。第3の実施形態では、ベースにガラス材料を用い、表層に吸湿層を設けた有機EL装置(有機EL表示装置)について説明する。
1.全体構造
 図10は、有機EL表示パネル201の1サブピクセル部分の断面図である。
[0107]
 有機EL表示パネル201は、ベース203上に設けられた表示部205が吸湿層207により被覆された構造を有する。なお、複数のサブピクセルは、第2の実施形態と同様に、表示部205内において平面視2次元的に設けられている。第3の実施形態でも、第2の実施形態と同様に、各色サブピクセルは、基本構成が同じであるため、各色の区別なくサブピクセルについて説明する。
[0108]
 以下、より具体的に説明する。
2.各部構成
(1)ベース
 ベース203は、第2の実施形態のベース137と異なり、湾曲自在でない、つまり、実施レベルで可撓性を有しない材料により構成されている。ベース203は、ここでは、ガラス材料により構成されている。ガラス材料は、第2の実施形態で説明した樹脂材料のベース137と異なり水蒸気透過率が低い。このため、ベース203と表示部205との間には、吸湿層を設ける必要はない。但し、ベース203と表示部205との間に吸湿層を設けてもよく、その場合は、表示部205の寿命を長くできたり、ベース203の膜厚が薄くできたりする。
(2)表示部
 表示部205は、TFT基板211をベースとして、その上に絶縁層213が積層されている。絶縁層213の上面のサブピクセル領域には、アノード215が形成されている。絶縁層213上及びアノード215のX軸方向両縁上を覆うようにバンク217が形成され、当該バンク217により区画された領域に有機EL層219が形成されている。
[0109]
 有機EL層219上ならびにバンク217の側面上部及び頂面上を覆うように、カソード221が形成されている。
(3)吸湿層
 吸湿層207は、第2の実施形態と同様に、第1被覆膜231、吸湿膜233及び第2被覆膜235を有する構造をしている。
[0110]
 ここでは、第1及び第2被覆膜231,235は、無機材料から構成され、例えば、窒化シリコン膜が利用されている。吸湿膜233は、吸湿剤としてゼオライトの粒子が利用され、樹脂材料としてポリカーボネートが利用されている。
[0111]
 なお、ここでは、表示部205に接する(又は表示部205に近い側に配された)第1被覆膜231の膜厚が、第2被覆膜235の膜厚よりも厚くしている。
(4)表面被覆層
 表面被覆層209は、ここでは、無機材料、例えば、窒化シリコン膜により構成されている。なお、吸湿層の第2被覆膜235を無機材料で構成してもよく、その場合、第2被覆膜235を当該被覆層により構成してもよい。
[変形例]
1.有機EL層
 第2及び第3の実施形態では、有機EL層159,219について説明しているが、吸湿層は有機EL層以外の機能層への水分侵入を防止するのに適用できる。つまり、機能層は、本来有している機能が水分吸湿より低下してしまうようなものであればよい。
[0112]
 機能層を含むような例としては、TFT層、薄膜コイル、薄膜トランジスタ、有機トランジスタ、薄膜フィルタ等の電子部品他、電子ペーパ、太陽電池、薄膜リチウムイオン電池等の電子デバイスの機能部等がある。
2.吸湿層
(1)構造
 各実施形態の吸湿層5,9,133,135,207は、表示部7,131,205の一主面に対して、一層だけ設けられていたが、例えば、表示部等の主面に対して多層に吸湿層を設けてもよい。これにより、防水特性を向上させることができる。
[0113]
 さらに、吸湿層5,9,133,135,207は、1つの吸湿膜23,143,233に対して第1被覆膜21,141,231と第2被覆膜25,145,235を備えている。しかしながら、吸湿膜の両主面に1以上の被覆膜があればよく、吸湿膜の各主面に複数の被覆膜があってもよい。このとき、両主面側の被覆膜の層数は同じでもよいし、異なってもよい。さらには、各被覆膜が同じ構成でもよいし、異なる構成でもよい。
[0114]
 さらに、吸湿層は、複数の吸湿膜を備えてもよく、例えば、被覆膜、吸湿膜、被覆膜、吸湿膜、被覆膜のように構成してもよい。このとき、複数の吸湿膜は、同じ構成でもよいし、異なる構成でもよい。
(2)吸湿膜
 吸湿膜23(143,233)は、一種類の吸湿剤27を含んでいる。しかしながら、吸湿膜は、1つの膜内に複数種類の吸湿剤を含んでもよい。また、吸湿膜を多層用いる場合、各層において、同じ種類の吸湿剤を用いて、異なる種類の有機材料を用いてもよいし、逆に、各層において、異なる吸湿剤を用いて、同じ種類の有機材料を用いてもよい。なお、この場合でも、有機EL層側に近い第2被覆膜と接する領域の吸湿剤の量を少なくする必要はある。
[0115]
 また、第1の実施形態における吸湿膜23は、大別して、1つの高含有領域23aと1つの低含有領域23bとを有している。しかしながら、吸湿膜は、有機EL層に近い第2被覆膜と接する領域において吸湿剤の量が少なければよく、複数の高含有領域と複数の低含有領域(又は/及び非含有領域)とが交互に積層されたような構造で、第2被覆膜と接する領域が低含有領域(又は非含有領域)であればよい。
[0116]
 なお、この場合も、低含有領域(又は非含有領域)の厚みは、吸湿剤の平均粒径よりも大きいことが好ましく、吸湿剤の最大粒径よりも厚いことがさらに好ましく、さらに吸湿剤の最大粒径の2倍以上の厚みがより一層好ましい。
[0117]
 図11は、吸湿膜に2つの非含有領域が存在する吸湿層をベース上に形成した状態の断面図である。
[0118]
 本例における吸湿層301は、ベース3の上面に形成されている。吸湿層301は、ベース3側から、第1被覆膜303、吸湿膜305、第2被覆膜307を有している。吸湿膜305は、有機材料である樹脂材料311中に吸湿剤313が含有する構造を有する。
[0119]
 吸湿膜305は、吸湿剤313をあまり含有していない低含有領域305aと、低含有領域305aに含有されている吸湿剤313の量よりも多く吸湿剤313を含有する高含有領域305bとを有している。なお、低含有領域305aは、吸湿剤313を含有していない非含有領域であってもよい。
[0120]
 ここでは、吸湿膜305は、第1被覆膜303側から、低含有領域305a、高含有領域305b、低含有領域305aの3つの領域を層状に有している。
(3)吸収剤
 実施の形態での吸湿剤27は、水分を吸収(吸湿)するものである。しかしながら、他のガス(酸素等)を吸収するものであってもよい。この場合においても、吸収すべき対象物の吸着性能を実験等により把握することで、被覆膜の欠陥を考慮した寿命設計が可能となる。
3.デバイス
 第1~第3の実施形態における有機EL装置1及び有機EL表示装置110,201は、表示部7,131,205に対して、1又は2つの吸湿層5,9,133,135,207を備えている。しかしながら、有機EL装置は、表示部の一部の構成を、吸湿層における表示部に近い側の第2被覆膜と兼用することもできる。
[0121]
 例えば、第2の実施形態の表示部131は、カソード161を有している。このカソード161を、例えば、スパッタリングによって形成される酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)の金属酸化膜とした場合、この金属酸化膜を吸湿層における機能部に近い側の第2被覆膜として利用することもできる。
4.表示部
 第2及び第3の実施形態における表示部131,205について、基本的な構成を説明したが、表示部は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等を備えてもよい。
[0122]
 また、第2及び第3の実施形態における表示部131,205は、トップエミッションタイプであったが、ボトムエミッションタイプであってもよい。この場合、ベースに透光性材料を用い、ベースに近い側の電極(下部電極)として透明電極を、ベースに遠い側の電極(上部電極)として反射電極をそれぞれ用いる必要がある。
[0123]
 第2及び第3の実施形態では、ベース137,203側にアノード155,215を配したが、例えば、ベース側にカソードを配してもよい。
[0124]
 第2の実施形態では、有機EL表示装置をカラー有機EL表示装置として説明している。しかしながら、有機EL表示装置は、例えば単色表示の有機EL表示装置にも適用することができる。
[0125]
 さらに、第2及び第3の実施形態での有機EL表示装置のサブピクセル構造を利用して、調光・調色機能を有する有機EL発光装置に適用もできる。つまり、実施形態での有機EL層を利用できる装置として、有機EL表示装置、有機EL発光装置等の有機EL装置がある。

産業上の利用可能性

[0126]
 本発明は、水分吸湿によって機能低下を生じる有機EL層への水分侵入を防止するのに有用である。

符号の説明

[0127]
   1  機能装置
   5  吸湿層
   7  表示部
   9  吸湿層
  21  第1被覆膜
  23  吸湿膜
  25  第2被覆膜

請求の範囲

[請求項1]
 有機EL層と、前記有機EL層の少なくとも一方の主面側に設けられた吸湿層とを備える有機EL装置において、
 前記吸湿層は、
 母材中に吸湿剤を含む吸湿膜と、
 前記吸湿膜をその膜厚方向の両側から被覆する一対の被覆膜と
を有し、
 前記吸湿膜は、当該吸湿膜中に含まれる前記吸湿剤の平均含有率よりも低い吸湿剤含有率である領域を、前記一対の被覆膜の内、前記有機EL層に近い側の被覆膜と接触する状態で有する
 有機EL装置。
[請求項2]
 前記領域は、前記有機EL層に近い被覆膜の全領域で接触する
 請求項1に記載の有機EL装置。
[請求項3]
 前記領域の厚みは、前記吸湿剤の平均粒径よりも大きい
 請求項1又は2に記載の有機EL装置。
[請求項4]
 前記領域の前記吸湿剤の含有率は、5vol%以下である
 請求項1~3の何れか1項に記載の有機EL装置。
[請求項5]
 前記領域の前記吸湿剤の含有率は、0vol%である
 請求項4に記載の有機EL装置。
[請求項6]
 前記吸湿剤がゼオライトである
 請求項1~5の何れか1項に記載の有機EL装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]