明 細 書
技術分野
[0001]
本発明は、表示装置に関し、特には、PSR(Panel Self Refresh)機能を有する表示システムに適用される表示装置に関する。
背景技術
[0002]
表示システムは、外部の信号源(ホスト)から出力された映像信号を受信するシステム部と、システム部から出力された映像信号を受信して画像を表示する表示装置と、を含んでいる。表示装置は、画像を表示する表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動回路と、駆動回路の駆動を制御する制御回路と、を含んでいる。近年、表示システム全体の消費電力を低減するための技術として、PSR技術が提案されている(例えば特許文献1)。
[0003]
PSR技術は、ホストから出力された映像信号におけるフレーム単位の画像データ(フレーム画像データ)が静止画像である場合に、システム部におけるフレーム画像データの出力動作を停止し、制御回路の記憶部に記憶されたフレーム画像データを用いて表示を行う技術である。PSR機能を有する表示システムによれば、静止画像を表示している間はシステム部の出力動作を停止させることができるため、表示システム全体として消費電力を低減することができる。
先行技術文献
特許文献
[0004]
特許文献1 : 特開2013-190777号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005]
しかしながら、上記表示システムに適用される表示装置では、フリッカにより表示品位が低下するという問題がある。以下、フリッカが生じる原理について説明する。図3、図19、及び図20は、フリッカが生じる原理を説明するための図である。
[0006]
PSR技術では、消費電力を低減するために、静止画像を表示するときの駆動周波数を、動画像を表示するときの駆動周波数よりも低く設定している。また、システム部が停止状態の間は、制御回路は、システム部とは非同期で、フレーム画像データを記憶部から出力している。そのため、ホストから出力される映像信号におけるフレーム画像データが静止画像から動画像に切り替わるタイミングと、記憶部から出力される静止画像のフレーム期間が終了するタイミングとの間にずれが生じる。上記ずれが生じると、PSRモードから通常モードに切り替わる直前の、静止画像を示すフレーム画像データ(図3のフレーム3の画像データ)における垂直帰線期間(ブランキング期間BR1)が長くなる。
[0007]
また、液晶表示装置では、一般的に、液晶の物性や配向性等の影響により、画像データを画素へ書き込んだ後の保持期間に、表示輝度が上昇する現象が起こる場合がある。図19は、従来の液晶表示装置の表示画面における表示輝度を、フォトセンサを用いて測定した結果を示す図である。なお、図19は、1つの画素に対して測定した結果を示している。図20は、従来の液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を模式的に示すグラフである。
[0008]
上記液晶表示装置において、上記ブランキング期間が所定時間(例えば、図3のブランキング期間BR0)以上になると、PSRモードから通常モードに切り替わる直前のフレーム(図3のフレーム3)において、表示輝度の上昇期間が長くなり、表示輝度が所望の輝度よりも高くなる(図20参照)。その後、通常モードに切り替わった直後のフレーム(図3のフレームE)において、表示輝度の変化(表示輝度差)が大きくなり、これが人間の目にフリッカとして認識される。
[0009]
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PSR機能が適用される表示装置において、表示品位の向上を図ることにある。
課題を解決するための手段
[0010]
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置であって、前記画像処理制御部は、前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、前記記憶部から転送された前記内部画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、を備え、前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を、前記第1表示モードにおける他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低く調整し、前記最終フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記内部画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、ことを特徴とする。
[0011]
また、本発明に係る表示装置は、1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置であって、前記画像処理制御部は、前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、前記受信部から転送された前記画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、を備え、前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度を、目標の表示輝度よりも高く調整し、前記最初フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、ことを特徴とする。
[0012]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、前記最初フレームに対応する前記画像データと、前記最初フレームの後に連続する少なくとも1つのフレームに対応する前記画像データとのそれぞれの表示輝度を、それぞれの目標の表示輝度よりも高く調整するとともに、これら複数の前記画像データにおいて、段階的に目標の表示輝度に近づくように低く調整してもよい。
[0013]
本発明に係る表示装置は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データにおける書き込み終了時点から、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データにおける書き込み開始時点までのブランキング期間を算出する算出部をさらに備え、前記輝度調整部は、前記算出部より算出された前記ブランキング期間に応じて、前記最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を調整してもよい。
[0014]
本発明に係る表示装置は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データにおける書き込み終了時点から、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データにおける書き込み開始時点までのブランキング期間を算出する算出部をさらに備え、前記輝度調整部は、前記算出部より算出された前記ブランキング期間に応じて、前記最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度を調整してもよい。
[0015]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、前記最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度が、他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低くなるように、前記内部画像データの階調を変換する変換回路を含み、前記変換回路は、前記内部画像データの階調を、前記算出部より算出された前記ブランキング期間が長い程、低い階調に変換してもよい。
[0016]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、前記最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度が、目標の表示輝度よりも高くなるように、前記画像データの階調を変換する変換回路を含み、前記変換回路は、前記画像データの階調を、前記算出部より算出された前記ブランキング期間が長い程、高い階調に変換してもよい。
[0017]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、前記第1表示モードにおいて、前記最終フレームを除いたフレームに対応する前記内部画像データの階調を変換する第1変換回路と、前記最終フレームに対応する前記内部画像データの階調を変換する第2変換回路と、を含み、前記第2変換回路は、前記第1変換回路により変換される階調よりも低い階調に変換してもよい。
[0018]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、前記第2表示モードにおいて、前記最初フレームを除いたフレームに対応する前記画像データの階調を変換する第1変換回路と、前記最初フレームに対応する前記画像データの階調を変換する第2変換回路と、を含み、前記第2変換回路は、前記第1変換回路により変換される階調よりも高い階調に変換してもよい。
[0019]
本発明に係る表示装置は、前記輝度調整部は、垂直帰線期間に、前記第1変換回路と前記第2変換回路とを切り替えてもよい。
[0020]
また、本発明に係る表示装置の駆動方法は、1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置の駆動方法であって、前記画像処理制御部は、前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、前記記憶部から転送された前記内部画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、を備え、前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を、前記第1表示モードにおける他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低く調整し、前記最終フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記内部画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、ことを特徴とする。
発明の効果
[0021]
本発明に係る表示装置及びその駆動方法によれば、PSRモードから通常モードに切り替わる際の表示輝度差を低減できる。よって、PSR機能が適用される表示装置において、表示品位の向上を図ることができる。
図面の簡単な説明
[0022]
[図1] 本発明の実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。
[図2] システム部の具体的な構成を示すブロック図である。
[図3] 画像処理制御部に入出力される各種データの一例を示す図である。
[図4] 画像処理制御部の構成を示すブロック図である。
[図5] 輝度調整部における入力階調と出力階調との関係を示すグラフである。
[図6] 第1変換回路のテーブルの構成を示す図である。
[図7] 第2変換回路のテーブルの構成を示す図である。
[図8] 第3変換回路のテーブルの構成を示す図である。
[図9] 表示パネルの具体的な構成を示す平面図である。
[図10] 液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。
[図11] 変形例1に係る画像処理制御部の構成を示すブロック図である。
[図12] 変形例1に係る輝度調整部における入力階調と出力階調との関係を示すグラフである。
[図13] 変形例1に係る第2変換回路のテーブルの構成を示す図である。
[図14] 変形例1に係る液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。
[図15] 変形例1に係る液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。
[図16] 変形例2に係る画像処理制御部に入出力される各種データの一例を示す図である。
[図17] 画像処理制御部に入出力される各種データの他の例を示す図である。
[図18] 変形例3に係る液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。
[図19] 従来の液晶表示装置の表示画面における表示輝度を測定した結果を示す図である。
[図20] 従来の液晶表示装置の表示画面における表示輝度の変化を模式的に示すグラフである。
発明を実施するための形態
[0023]
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。以下では、液晶表示装置を例に挙げるが、本発明に係る表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば有機EL表示装置等であってもよい。
[0024]
図1は、本発明の実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。表示システムは、システム部100と、液晶表示装置200とを備えている。システム部100は、外部の信号源(ホスト)から供給される映像信号に基づいて、1フレームごとに、画像データが示す画像が動画像であるか静止画像であるかを判定する。また、システム部100は、判定結果に基づいて、システム部100の動作を制御する。液晶表示装置200は、システム部100から供給される画像データに基づいて、表示パネル40の表示画面に画像を表示させるための処理を実行する。以下、システム部100及び液晶表示装置200の具体的な構成について説明する。
[0025]
図2は、システム部100の具体的な構成を示すブロック図である。システム部100は、受信部101と、記憶部102と、画像判定部103と、動作制御部104と、出力部105と、を備えている。
[0026]
受信部101は、ホストから出力された映像信号を受信する。受信部101は、受信した映像信号を、1フレーム毎に記憶部102及び画像判定部103に転送する。なお、以下では、1フレーム単位の映像信号を、フレーム画像データと称す(単に、画像データともいう)。
[0027]
記憶部102は、受信部101から転送されたフレーム画像データを一時的に記憶する。記憶部102は、例えば、フレームメモリとして構成される。
[0028]
画像判定部103は、受信部101から転送されたフレーム画像データが示す画像(フレーム画像)が、動画像であるか静止画像であるかを判定する。具体的には、画像判定部103は、受信部101から転送された現フレームのフレーム画像データと、記憶部102に記憶されている、1フレーム前又は複数フレーム前のフレーム画像データとに基づいて、現フレームのフレーム画像が動画像であるか静止画像であるかを判定する。例えば、画像判定部103は、現フレームのフレーム画像データと、1フレーム前のフレーム画像データとの差分を検出し、検出した差分が閾値以上の場合は、現フレーム画像を動画像と判定し、検出した差分が閾値未満の場合は、現フレーム画像を静止画像と判定する。動画像/静止画像の判定方法は、これに限定されず、周知の方法を用いることができる。また、画像判定部103は、受信部101から取得した、現フレームのフレーム画像データを、上記判定結果とともに動作制御部104に転送する。
[0029]
動作制御部104は、画像判定部103から取得したフレーム画像データ及び上記判定結果に基づいて、システム部100の動作を制御する。具体的には、フレーム画像が動画像である場合は、動作制御部104は、出力部105からフレーム画像データを出力させる。一方、フレーム画像が静止画像である場合は、動作制御部104は、出力部105によるフレーム画像データの出力動作を停止させる。
[0030]
以下では、システム部100がフレーム画像データ(動画像)を出力する場合を通常モードといい、システム部100がフレーム画像データ(静止画像)を出力しない場合をPSRモード(低消費電力モード)という。
[0031]
また、フレーム画像が動画像から静止画像に切り替わった場合、動作制御部104は、PSRモードをON状態にするための制御信号、すなわち、フレーム画像データの出力停止命令を示す第1制御信号PSR_ONを、当該静止画像に対応するフレーム画像データに付与して出力部105に転送する。
[0032]
また、フレーム画像が静止画像から動画像に切り替わった場合、動作制御部104は、PSRモードをOFF状態(通常モード)にするための制御信号、すなわち、フレーム画像データの出力実行命令を示す第2制御信号PSR_OFFを、当該動画像に対応するフレーム画像データに付与して出力部105に転送する。
[0033]
また、フレーム画像が静止画像から動画像に切り替わった後、システム部100に動画像を示すフレーム画像データが入力されている間(通常モード期間)は、動作制御部104は、該フレーム画像データのみを出力部105に転送する。
[0034]
動作制御部104は、上記構成に限定されない。例えば、動作制御部104は、上記判定結果に基づいて、各フレーム画像データに、動画像を示すフラグ(例えば、フラグ「0」)、又は、静止画像を示すフラグ(例えば、フラグ「1」)を付与してもよい。具体的には、動作制御部104は、上記フラグとフレーム画像データとを含むパケットを生成し、生成したパケットを順次、出力部105から出力させる構成としてもよい。
[0035]
出力部105は、動作制御部104から取得した、フレーム画像データ、第1制御信号PSR_ONが付与されたフレーム画像データ、及び、第2制御信号PSR_OFFが付与されたフレーム画像データを、液晶表示装置200に出力する。
[0036]
なお、PSRモードの期間は、動作制御部104がフレーム画像データの出力部105への転送動作を停止してもよいし、動作制御部104が出力部105によるフレーム画像データの出力動作を停止させてもよい。また、PSRモードの期間中も映像信号は入力され続けるため、画像判定部103における上記判定処理と、動作制御部104における上記制御処理は続行される。
[0037]
システム部100の上記構成によれば、静止画像に対応する映像信号(画像データ)がホストから供給されている間は、システム部100における画像データの出力動作が停止される。そのため、システム部100の消費電力を低減することができる。
[0038]
なお、システム部100は、各種のタイミング信号(垂直同期信号、水平同期信号、クロック信号等)を液晶表示装置200に出力する。
[0039]
図1に戻り、液晶表示装置200の具体的な構成について説明する。液晶表示装置200は、画像処理制御部10と、データ線駆動回路20と、ゲート線駆動回路30と、表示パネル40とを備えている。
[0040]
画像処理制御部10は、システム部100から供給されるフレーム画像データが示すフレーム画像の特性(動画像又は静止画像)に基づいて、該フレーム画像の表示輝度を調整する。なお、表示輝度は、フレーム画像を表示パネル40の表示画面に表示したときの見た目の明るさをいう。
[0041]
また、画像処理制御部10は、システム部100から供給される各種のタイミング信号に基づいて、データ線駆動回路20及びゲート線駆動回路30の動作を制御するための各種の制御信号(データスタートパルスDSP、データクロックDCK、ゲートスタートパルスGSP、ゲートクロックGCK等)を生成する。画像処理制御部10は、生成したデータスタートパルスDSP及びデータクロックDCKを、データ線駆動回路20に出力する。また、画像処理制御部10は、生成したゲートスタートパルスGSP及びゲートクロックGCKを、ゲート線駆動回路30に出力する。なお、上記各制御信号を生成する構成は周知の構成を用いることができるため、図1では省略している。
[0042]
画像処理制御部10は、受信部11と、転送制御部12と、記憶部13と、データ取得部14と、算出部15と、輝度調整部16とを備えている。図3には、画像処理制御部10に入出力される各種データの一例を時系列で示している。
[0043]
受信部11は、システム部100から出力された、フレーム画像データ、第1制御信号PSR_ONが付与されたフレーム画像データ、及び、第2制御信号PSR_OFFが付与されたフレーム画像データを受信する。図3において、入力フレーム画像は、受信部11により受信されるフレーム画像データを示し、PSR信号は、該フレーム画像データに付与される、第1制御信号PSR_ON及び第2制御信号PSR_OFFを示している。図3の例では、第1制御信号PSR_ONは、フレームBの画像データに付与されており、第2制御信号PSR_OFFは、フレームCの画像データに付与されている。受信部11は、受信したフレーム画像データを転送制御部12に転送する。
[0044]
転送制御部12は、受信部11から取得したフレーム画像データが示すフレーム画像が静止画像である場合は、該フレーム画像データを、記憶部13及びデータ取得部14に転送する。一方、転送制御部12は、受信部11から取得したフレーム画像データが示すフレーム画像が動画像である場合は、該フレーム画像データを、データ取得部14に転送する。
[0045]
具体的には、受信部11から取得したフレーム画像データに第1制御信号PSR_ONが付与されている場合は、転送制御部12は、該フレーム画像データを、記憶部13及びデータ取得部14に転送する。一方、受信部11から取得したフレーム画像データに第2制御信号PSR_OFFが付与されている場合は、転送制御部12は、該フレーム画像データを、データ取得部14に転送する。また、第2制御信号PSR_OFFが付与されたフレーム画像データが画像処理制御部10に入力されてから、第1制御信号PSR_ONが付与されたフレーム画像データが画像処理制御部10に入力されるまでの間は、転送制御部12は、受信部11から取得したフレーム画像データを、データ取得部14に転送する。なお、各フレーム画像データに上記フラグ(「0」又は「1」)が付与されている構成では、転送制御部12は、上記フラグに基づいて、フレーム画像データの転送処理を行う。
[0046]
図3の例では、転送制御部12は、静止画像を示すフレームBの画像データを記憶部13及びデータ取得部14に転送し、動画像を示す、フレームA、フレームC、フレームD、フレームE及びフレームFの各画像データをデータ取得部14に転送する。
[0047]
記憶部13は、転送制御部12から転送された、静止画像を示すフレーム画像データを記憶する。記憶部13は、例えば、フレームメモリとして構成される。図3におけるフレーム1、フレーム2及びフレーム3の画像データは、記憶部13に記憶されるフレームBの画像データ(内部画像データ)に対応している。
[0048]
データ取得部14は、所定のタイミングに応じて、転送制御部12から転送されるフレーム画像データ、及び、記憶部13に記憶されているフレーム画像データを取得する。データ取得部14は、取得したフレーム画像データを輝度調整部16に出力する。
[0049]
図3の例では、通常モードにおいて、データ取得部14は、フレームAの画像データが所定のタイミングで転送制御部12から転送されると、フレームAの画像データを取得し、フレームBの画像データが所定のタイミングで転送制御部12から転送されると、フレームBの画像データを取得する。また、PSRモードにおいて、データ取得部14は、記憶部13に記憶されているフレームBの画像データを、所定の駆動周波数(フレーム周波数)に応じたタイミングで取得する。例えば、PSRモードにおいて、データ取得部14は、通常モードにおける駆動周波数(例えば、60Hz)よりも低周波数(例えば、48Hz)の駆動周波数に応じたタイミングで該画像データを取得する。これにより、PSRモードでは、低周波数駆動が実現され、液晶表示装置200の低消費電力化を図ることができる。なお、駆動周波数は、例えば、クロック周波数を調整することにより設定される。
[0050]
また、図3のPSRモードにおいて、フレーム2の画像データ(静止画像に対応)の表示動作が終了する前に、画像処理制御部10が第2制御信号PSR_OFFを受信した場合は、データ取得部14は、フレームCの画像データ(動画像に対応)を取得しないで、記憶部13に記憶されているフレームB(フレーム3に対応)の画像データ(静止画像に対応)を取得する。すなわち、データ取得部14は、第2制御信号PSR_OFFを受信した後、記憶部13から、静止画像に対応する1フレーム分(ここでは、フレーム3)の画像データを取得する。
[0051]
また、PSRモードにおいて、フレーム3の画像データの本来のフレーム期間Tpが終了する前に、フレームDの画像データ(動画像に対応)が転送制御部12から転送された場合は、データ取得部14は、フレームDの画像データを取得しないで、次に転送制御部12から転送されるフレームEの画像データ(動画像に対応)を取得する。
[0052]
このように、データ取得部14は、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングと、各画像データのフレーム期間の開始及び終了のタイミングとに基づいて、転送制御部12又は記憶部13から画像データを取得する。なお、データ取得部14が動画像を示すフレーム画像データを取得し、これに基づいて表示動作を行う表示モードが、通常モード(第2表示モード)に対応する。図3では、フレームA及びフレームBを含む期間と、フレームE及びフレームFを含む期間とが通常モードとなる。一方、データ取得部14が静止画像を示すフレーム画像データを取得し、これに基づいて表示動作を行う表示モードが、PSRモード(第1表示モード)に対応する。図3では、フレーム1~3を含む期間がPSRモードとなる。
[0053]
算出部15は、表示モードがPSRモードから通常モードに切り替わる直前の、静止画像を示すフレーム画像データにおける垂直帰線期間(ブランキング期間)を算出する。具体的には、算出部15は、受信部11が第2制御信号PSR_OFFを受信した後にデータ取得部14が取得する、記憶部13に記憶されているフレーム画像データ(静止画像に対応)における書き込み終了時点から、データ取得部14が次に転送制御部12から取得するフレーム画像データ(動画像に対応)における書き込み開始時点までの期間(ブランキング期間)を算出する。
[0054]
図3の例では、算出部15は、受信部11が第2制御信号PSR_OFFを受信した後にデータ取得部14が取得するフレーム3の画像データにおける書き込み終了時点から、データ取得部14が次に転送制御部12から取得するフレームEの画像データにおける書き込み開始時点までのブランキング期間BR1を算出する。算出部15は、算出したブランキング期間BR1を輝度調整部16に出力する。なお、算出部15は、第2制御信号PSR_OFFを受信すると、静止画像を示すフレーム画像データ(フレーム3に対応)のフレーム期間Tpに対する第2制御信号PSR_OFFの受信位置に基づいて、上記ブランキング期間BR1を算出することができる。
[0055]
ここで、各フレームにおけるブランキング期間は、互いに等しいことが望ましい。これは、ブランキング期間が各フレームで等しくない場合、液晶の応答特性がばらつき、表示輝度差に起因して表示画像にフリッカが生じるためである(図20参照)。しかし、PSR機能が適用される液晶表示装置では、PSRモードにおいて低周波数駆動を行っているため、図3に示すように、PSRモードから通常モードに切り替わる際に、動画像の表示開始タイミングを合わせるためにブランキング期間BR1が長くなる場合がある(BR1>BR0)。そして、ブランキング期間BR1が長くなると、図20に示したように、表示輝度が上昇し、表示輝度差に起因するフリッカが生じてしまう。例えば、図3において、ブランキング期間BR1が長くなる程、他のフレームにおけるブランキング期間BR0との差(BR1-BR0)が大きくなり、表示輝度差が大きくなる。このように、表示輝度の上昇量及び表示輝度差は、ブランキング期間の長さに相関している。
[0056]
輝度調整部16は、上記表示輝度差を低減するための処理を行う。具体的には、輝度調整部16は、記憶部13に記憶されているフレーム画像データ(静止画像に対応)をデータ取得部14から取得し、ブランキング期間BR1の算出結果を算出部15から取得する。輝度調整部16は、取得したブランキング期間BR1の長さに応じて、取得したフレーム画像データが示すフレーム画像の表示輝度を調整する。また、輝度調整部16は、転送制御部12から動画像に対応するフレーム画像データを取得し、取得したフレーム画像データに対応するフレーム画像の表示輝度を調整する。
[0057]
図4に示すように、輝度調整部16は、輝度調整部16に入力されたフレーム画像データ(デジタルデータ)の階調(入力階調)を所定階調に変換する第1変換回路16aと、該入力されたフレーム画像データの階調を所定階調よりも低い階調に変換する第2変換回路16bとを含んでいる。
[0058]
第1変換回路16aは、周知の構成を適用することができる。例えば、第1変換回路16aは、入力されたフレーム画像データの階調(入力階調)を、表示パネル40の表示特性(例えば、ガンマ特性)に応じた階調(所定階調)に変換する。図5の曲線(a)は、第1変換回路16aにおける、入力階調と、入力階調を変換した出力階調との関係を示すグラフである。
[0059]
第1変換回路16aは、例えば図6に示すテーブル(ルックアップテーブル)で構成されている。テーブルには、図5の曲線(a)に対応して、フレーム画像データの入力階調と出力階調とが対応付けられている。図6では、入力階調及び出力階調の一部を示している。なお、第1変換回路16aは、入力階調を変換しない構成であってもよい。この場合、入力階調と出力階調との関係は、図5の点線(直線)で示すグラフとなる。
[0060]
第2変換回路16bは、表示輝度差(図20参照)が低減されるように、入力されたフレーム画像データの階調(入力階調)を、所定階調よりも低い階調に変換する。図5の曲線(b)は、第2変換回路16bにおける、入力階調と、入力階調を変換した出力階調との関係を示すグラフである。図5の曲線(b)に示すように、第2変換回路16bの出力階調は、第1変換回路16aの出力階調(曲線(a))よりも低い値に設定される。また、第2変換回路16bの出力階調は、ブランキング期間BR1に応じて設定される。
[0061]
第2変換回路16bは、例えば図7に示すテーブルで構成されている。テーブルには、図5の曲線(b)に対応して、フレーム画像データの入力階調と出力階調とが対応付けられている。図7では、入力階調及び出力階調の一部を示している。
[0062]
具体的には、輝度調整部16は、通常モードの各フレームと、PSRモードのうち最終フレーム(PSRモードから通常モードに切り替わる直前のフレーム)を除いたフレームとでは、フレーム画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換する。一方、輝度調整部16は、PSRモードの最終フレームでは、ブランキング期間BR1が所定の期間(例えば、図3のブランキング期間BR0)よりも長い場合は、フレーム画像データの階調を第2変換回路16bに基づいて変換し、ブランキング期間BR1が上記所定の期間と同じか又はそれよりも短い場合は、フレーム画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換する。図3の例では、輝度調整部16は、フレームA、フレームB、フレーム1、フレーム2、フレームE、及びフレームFの各画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換し、フレーム3の画像データの階調を、第2変換回路16bに基づいて変換する。
[0063]
輝度調整部16は、さらに、第2変換回路16bにより変換される階調よりも低い階調に変換する第3変換回路16c(図4参照)を含んでいてもよい。この場合、輝度調整部16は、PSRモードの最終フレームでは、ブランキング期間BR1に応じて第2変換回路16b又は第3変換回路16cを選択し、選択した変換回路に基づいて、フレーム画像データの階調を変換する。例えば、輝度調整部16は、ブランキング期間BR1が、t1(=BR0)<BR1<t2の場合は第2変換回路16bを選択し、t2<BR1の場合は第3変換回路16cを選択する。図8には、第3変換回路16cを構成するテーブルの一例を示している。
[0064]
なお、輝度調整部16に設けられる変換回路の数は限定されない。また、輝度調整部16は、垂直帰線期間(ブランキング期間)に、上記変換回路を切り替える。また、輝度調整部16は、画像処理制御部10の外部に設けられていてもよいし、データ線駆動回路20の内部に設けられていてもよい。また、上記変換回路は、テーブルにより階調を変換する構成に限定されず、例えば、演算回路を含み、入力階調及びブランキング期間に基づいて出力階調を演算により算出する構成であってもよい。
[0065]
輝度調整部16の上記構成によれば、PSRモードから通常モードに切り替わる直前のフレーム(PSRモードの最終フレーム)の画像データ(静止画像に対応)の階調は、PSRモードにおける他のフレームの画像データ(静止画像に対応)の階調よりも低い階調に変換される。
[0066]
輝度調整部16は、各変換回路により階調が変換されたフレーム画像データ(デジタルデータ)をデータ線駆動回路20に出力する。
[0067]
データ線駆動回路20は、画像処理制御部10から出力されたデータスタートパルスDSP及びデータクロックDCKと、輝度調整部16から出力されたフレーム画像データ(デジタルデータ)とに基づいて、複数のデータ線DLに階調電圧を供給する。データ線駆動回路20の構成は周知の構成を適用することができるため、説明を省略する。
[0068]
ゲート線駆動回路30は、画像処理制御部10から出力されたゲートスタートパルスGSP及びゲートクロックGCKに基づいて、複数のゲート線GLに、順次ゲート信号を供給する。ゲート線駆動回路30の構成は周知の構成を適用することができるため、説明を省略する。
[0069]
図9は、表示パネル40の具体的な構成を示す平面図である。表示パネル40は、TFT基板(薄膜トランジスタ基板)(図示せず)と、CF基板(カラーフィルタ基板)(図示せず)と、両基板間に挟持された液晶層LCとを含んで構成されている。TFT基板には、データ線駆動回路20に接続された複数のデータ線DLと、ゲート線駆動回路30に接続された複数のゲート線GLとが設けられ、データ線DLとゲート線GLとの各交差部には薄膜トランジスタTFTが設けられている。また、表示パネル40には、各交差部に対応して、複数の画素がマトリクス状(行方向及び列方向)に配置されている。さらに、表示パネル40は、各画素に対応して、画素電極PITと共通電極CITとを含んでいる。表示パネル40は、ゲート線GLに供給されるゲート信号により薄膜トランジスタTFTをON状態にして、データ線DLを介して画素電極PITに印加される階調電圧に応じて、表示画面に画像を表示する。なお、データ線駆動回路20及びゲート線駆動回路30が、TFT基板上に形成されていてもよい。表示パネル40は、上記構成に限定されず、周知の構成を適用することができる。
[0070]
図10は、本実施形態に係る液晶表示装置200の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。図10では、通常モード及びPSRモードにおいて、同一階調の画像を表示させた場合の、液晶の応答の変化と表示輝度とを模式的に示している。図10において、点線は、見た目の表示輝度(各フレームにおける平均輝度)を示している。
[0071]
液晶表示装置200では、PSRモードから通常モードに切り替わる直前のフレーム(PSRモードの最終フレーム)の画像データの階調が、PSRモードにおける他のフレームの画像データの階調よりも低く設定される(図10の点線丸囲み部参照)。そのため、図10に示すように、上記最終フレーム(フレーム期間Tq)におけるフレーム画像(静止画像)の表示輝度が、他のフレーム(フレーム期間Tp)におけるフレーム画像(静止画像)の表示輝度に近似する。これにより、従来の構成(図20参照)と比較して、PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム(図3のフレームE)において、表示輝度の変化(表示輝度差)が小さくなる。よって、従来の構成と比較して、表示輝度差に起因するフリッカを低減することができる。
[0072]
[変形例1]
本発明の液晶表示装置200は、上記構成に限定されない。例えば、液晶表示装置200は、PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム(通常モードの最初のフレーム)の画像データの階調を、該画像データの入力階調よりも高い階調に変換してもよい。変形例1に係る液晶表示装置200の構成について、上述した構成との相違点を中心に以下に説明する。
[0073]
変形例1に係る輝度調整部161は、図11に示すように、入力されたフレーム画像データ(デジタルデータ)の階調(入力階調)を所定階調に変換する第1変換回路16aと、入力されたフレーム画像データの階調を、該フレーム画像の表示輝度が、目標とする表示輝度よりも高くなるように変換する第4変換回路16dとを含んでいる。
[0074]
第4変換回路16dは、表示輝度差(図20参照)が低減されるように、入力されたフレーム画像データの階調(入力階調)を変換する。図12の曲線(a)は、第1変換回路16aにおける、入力階調と、入力階調を変換した出力階調との関係を示すグラフである。第1変換回路16aの出力階調は、目標とする表示輝度に対応する階調に設定される。図12の曲線(d)は、第4変換回路16dにおける、入力階調と、入力階調を変換した出力階調との関係を示すグラフである。図12の曲線(d)に示すように、第4変換回路16dの出力階調は、第1変換回路16aの出力階調(曲線(a))よりも高い値に設定される。また、第4変換回路16dの出力階調は、ブランキング期間BR1の長さに応じて設定される。なお、第4変換回路16dにおける入力階調と出力階調との関係は図12の曲線(d)に限定されず、例えば、入力階調が高階調側の所定の範囲(例えば240階調以上)では、出力階調が一定(例えば255階調)となる関係であってもよい。
[0075]
第4変換回路16dは、例えば図13に示すテーブルで構成されている。テーブルには、図12の曲線(d)に対応して、フレーム画像データの入力階調と出力階調とが対応付けられている。図13では、入力階調及び出力階調の一部を示している。
[0076]
具体的には、輝度調整部161は、PSRモードの各フレームと、通常モードのうち最初のフレーム(PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム)を除いたフレームとでは、フレーム画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換する。一方、輝度調整部161は、通常モードの最初のフレームでは、算出部15から取得したブランキング期間BR1が所定の期間(例えば、図3のブランキング期間BR0)よりも長い場合は、フレーム画像データの階調を、第4変換回路16dに基づいて変換し、上記ブランキング期間BR1が上記所定の期間と同じか又はそれよりも短い場合は、フレーム画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換する。図3の例では、輝度調整部161は、フレームA、フレームB、フレーム1、フレーム2、フレーム3、及びフレームFの各画像データの階調を、第1変換回路16aに基づいて変換し、フレームEの画像データの階調を、第4変換回路16dに基づいて変換する。輝度調整部161は、さらに、第4変換回路16dにより変換される階調よりも高い階調に変換する第5変換回路16e(図11参照)を含んでいてもよい。
[0077]
図14は、変形例1に係る液晶表示装置200の表示画面における表示輝度の変化を示すグラフである。図14では、通常モード及びPSRモードにおいて、同一階調の画像を表示させた場合の、液晶の応答の変化と表示輝度とを模式的に示している。
[0078]
変形例1に係る液晶表示装置200では、PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム(通常モードの最初のフレーム)の画像データの階調が、目標とする表示輝度に対応する階調よりも高く設定される(図14の点線丸囲み部参照)。そのため、図14に示すように、通常モードの最初のフレーム(フレーム期間Tn)におけるフレーム画像(動画像)の表示輝度が、直前のフレーム(フレーム期間Tq)におけるフレーム画像(静止画像)の表示輝度に近づく。これにより、従来の構成(図20参照)と比較して、PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム(図3のフレームE)において、表示輝度の変化(表示輝度差)が小さくなる。よって、従来の構成と比較して、表示輝度差に起因するフリッカを低減することができる。
[0079]
変形例1の輝度調整部16は、通常モードのうち最初のフレーム(PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム)についてのみ、第4変換回路16dによる階調変換を行っている。しかし、輝度調整部16の構成はこれに限定されない。例えば、輝度調整部16は、出力階調が、第1変換回路16aで設定される出力階調と、第4変換回路16dで設定される出力階調との間の階調に設定された、第5変換回路16e(図11参照)を含んでいてもよい。この場合、輝度調整部16は、通常モードの最初のフレーム(図3のフレームE)については、第4変換回路16dに基づいて、フレーム画像データの階調を変換し、次のフレーム(図3のフレームF)については、第5変換回路16eに基づいて、フレーム画像データの階調を変換する。
[0080]
これにより、図15に示すように、通常モードに移行した後、各フレーム画像の表示輝度は、段階的に目標の表示輝度に近づくように低くなる。これにより、各フレーム間の表示輝度差を段階的に小さくすることができるため、表示輝度差に起因するフリッカを低減することができる。
[0081]
[変形例2]
上述のデータ取得部14は、図3に示すように、フレーム2の画像データ(静止画像に対応)を取得した後、記憶部13に記憶されているフレーム3の画像データ(静止画像に対応)を取得する。しかし、データ取得部14の構成は、これに限定されない。例えば、データ取得部14は、受信部11が第2制御信号PSR_OFFを受信した時点を含むフレーム期間(図3のフレーム2のフレーム期間Tp)が終了した後に、転送制御部12から転送されるフレームDの画像データ(動画像に対応)を取得してもよい。
[0082]
図16は、変形例2に係る画像処理制御部10に入出力される各種データの一例を時系列で示している。図16の例では、フレームDの画像データから通常モードに切り替わる。また、この場合には、輝度調整部16は、変形例1に示したように、PSRモードから通常モードに切り替わった直後のフレーム(図16のフレームD)の画像データの階調を、目標とする表示輝度に対応する階調よりも高い階調に変換する。
[0083]
[変形例3]
第2制御信号PSR_OFFは、任意のタイミングでシステム部100から画像処理制御部10入力される。例えば、第2制御信号PSR_OFFは、動画像の映像信号がホストからシステム部100に入力された場合や、ユーザによるイベントがホスト(PC)からシステム部100に入力された場合に、システム部100から出力される。よって、PSRモードの期間において、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングは任意となる。そのため、図16に示すように、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングがフレーム期間(ここでは、フレーム2のフレーム期間Tp)の終了側である程、ブランキング期間BR1が長くなり、表示輝度の上昇量が大きくなる。
[0084]
そこで、データ取得部14は、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングに応じて、取得するフレーム画像データを決定してもよい。例えば、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングが、フレーム期間中の所定タイミング(例えば中間点)よりも後の場合は、記憶部13に記憶されているフレーム画像データ(静止画像に対応)を取得する。図3の例では、フレーム3の画像データを取得する。一方、図17に示すように、第2制御信号PSR_OFFを受信するタイミングが、フレーム期間中の所定タイミング(例えば中間点)よりも前の場合は、転送制御部12から転送されるフレーム画像データを取得する。図17の例では、フレームDの画像データ(動画像に対応)を取得する。
[0085]
また、図3に示すように、第2制御信号PSR_OFFを受信した後に、記憶部13に記憶されているフレーム画像データ(図3のフレーム3に対応)を取得する場合、輝度調整部16は、データ取得部14が取得したフレーム画像データ(図3のフレーム3(静止画像)に対応)の階調を、第2変換回路16b(図4参照)によって表示輝度が低くなるように変換するとともに、データ取得部14が次に取得したフレーム画像データ(図3のフレームE(動画像)に対応)の階調を、第4変換回路16d(図11参照)によって、表示輝度が、目標とする表示輝度よりも高くなるように変換する構成としてもよい。すなわち、変形例3に係る液晶表示装置200は、輝度調整部16が、図4に示す第1変換回路16a及び第2変換回路16bと、図11に示す第4変換回路16dとを含んで構成されていてもよい。これにより、図18に示すように、PSRモードから通常モードに切り替わる前後のフレームの画像の表示輝度を調整することができる。これにより、PSRモードから通常モードに切り替わる前後のフレームの画像の表示輝度差を低減することができる。なお、前後フレームに限定されず、前後の複数フレームの画像の表示輝度を調整してもよい。
[0086]
ここで、画像データを画素へ書き込んだ後の保持期間に表示輝度が上昇する現象は、液晶表示装置に限られた現象ではなく、例えば有機EL表示装置等でも起こり得る現象と考察される。よって、上述した各構成は、液晶表示装置のみならず、例えば有機EL表示装置等にも適用することができる。
[0087]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の表示装置は上記各形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
請求の範囲
[請求項1]
1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置であって、
前記画像処理制御部は、
前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、
前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、
前記記憶部から転送された前記内部画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、
を備え、
前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、
前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を、前記第1表示モードにおける他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低く調整し、
前記最終フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記内部画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、
ことを特徴とする表示装置。
[請求項2]
1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置であって、
前記画像処理制御部は、
前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、
前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、
前記受信部から転送された前記画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、
を備え、
前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、
前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度を、目標の表示輝度よりも高く調整し、
前記最初フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、
ことを特徴とする表示装置。
[請求項3]
前記輝度調整部は、前記最初フレームに対応する前記画像データと、前記最初フレームの後に連続する少なくとも1つのフレームに対応する前記画像データとのそれぞれの表示輝度を、それぞれの目標の表示輝度よりも高く調整するとともに、これら複数の前記画像データにおいて、段階的に目標の表示輝度に近づくように低く調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
[請求項4]
前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データにおける書き込み終了時点から、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データにおける書き込み開始時点までのブランキング期間を算出する算出部をさらに備え、
前記輝度調整部は、前記算出部より算出された前記ブランキング期間に応じて、前記最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
[請求項5]
前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データにおける書き込み終了時点から、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わった直後の最初フレームに対応する前記画像データにおける書き込み開始時点までのブランキング期間を算出する算出部をさらに備え、
前記輝度調整部は、前記算出部より算出された前記ブランキング期間に応じて、前記最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度を調整する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
[請求項6]
前記輝度調整部は、前記最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度が、他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低くなるように、前記内部画像データの階調を変換する変換回路を含み、
前記変換回路は、前記内部画像データの階調を、前記算出部より算出された前記ブランキング期間が長い程、低い階調に変換する、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
[請求項7]
前記輝度調整部は、前記最初フレームに対応する前記画像データに基づく表示輝度が、目標の表示輝度よりも高くなるように、前記画像データの階調を変換する変換回路を含み、
前記変換回路は、前記画像データの階調を、前記算出部より算出された前記ブランキング期間が長い程、高い階調に変換する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
[請求項8]
前記輝度調整部は、前記第1表示モードにおいて、前記最終フレームを除いたフレームに対応する前記内部画像データの階調を変換する第1変換回路と、前記最終フレームに対応する前記内部画像データの階調を変換する第2変換回路と、を含み、
前記第2変換回路は、前記第1変換回路により変換される階調よりも低い階調に変換する、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
[請求項9]
前記輝度調整部は、前記第2表示モードにおいて、前記最初フレームを除いたフレームに対応する前記画像データの階調を変換する第1変換回路と、前記最初フレームに対応する前記画像データの階調を変換する第2変換回路と、を含み、
前記第2変換回路は、前記第1変換回路により変換される階調よりも高い階調に変換する、
ことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
[請求項10]
前記輝度調整部は、垂直帰線期間に、前記第1変換回路と前記第2変換回路とを切り替える、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
[請求項11]
前記輝度調整部は、垂直帰線期間に、前記第1変換回路と前記第2変換回路とを切り替える、
ことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
[請求項12]
1フレームごとの画像データに対して処理を実行する画像処理制御部を備え、前記画像処理制御部により処理された画像データに基づいて表示画面に画像を表示する表示装置の駆動方法であって、
前記画像処理制御部は、
前記画像データと、前記画像データの出力停止命令を示す第1制御信号と、前記画像データの出力実行命令を示す第2制御信号と、を受信する受信部と、
前記画像データの送信が停止される直前に前記受信部が受信した前記画像データを、内部画像データとして記憶する記憶部と、
前記記憶部から転送された前記内部画像データに基づく表示輝度を調整する輝度調整部と、
を備え、
前記受信部が前記第1制御信号を受信した後に、前記内部画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第1表示モードと、前記受信部が前記第2制御信号を受信した後に、前記受信部から転送された前記画像データに基づいて前記表示画面に前記画像を表示する第2表示モードと、を含み、
前記輝度調整部は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる直前の最終フレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度を、前記第1表示モードにおける他のフレームに対応する前記内部画像データに基づく表示輝度よりも低く調整し、
前記最終フレームでは、前記輝度調整部により表示輝度が調整された前記内部画像データに基づいて、前記表示画面に前記画像を表示する、
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
図面