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1. (WO2015133498) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

非特許文献

0009  

発明の概要

0010   0011   0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183  

実施例

0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228  

産業上の利用可能性

0229  

符号の説明

0230   0231  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

技術分野

[0001]
 <技術分野>
 本発明は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 <関連技術>
 吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツや生理用ナプキン等の衛生用品、農園芸用保水剤、工業用止水剤等の吸収剤用途として、多用されている。
[0003]
 上記吸水性樹脂は、原料として多くの単量体や親水性高分子から製造されているが、中でも、アクリル酸および/またはその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、その吸水性能の高さから工業的に最も多く生産されている。
[0004]
 上記吸水性樹脂は、重合、乾燥、粉砕、分級、表面架橋等、様々な工程を経て、粒子状の製品として製造されている(非特許文献1)。また、該吸水性樹脂は、主用途である紙オムツの高性能化に伴って、多くの機能(物性)が求められている。具体的には、吸水倍率以外に、ゲル強度、水可溶分、吸水速度、加圧下吸水倍率、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐衝撃性(耐ダメージ性)、粉体流動性、消臭性、耐着色性(白色度)、低粉塵性等が挙げられる。
[0005]
 これらの機能(物性)を付加する手法の一つとして、添加剤の添加が挙げられる。
[0006]
 添加剤の添加する技術としては、添加剤を、スクリューコンベアを用いた重合反応用容器へ添加する技術(特許文献1、2)があり、また、残存モノマー低減を目的に還元剤や酸化剤を添加する技術(特許文献3、4)が提案されている。
[0007]
 さらに、上述した機能(物性)の中でも、特に吸水速度が重視されるが、該吸水速度を向上させる技術として、発泡重合等(特許文献5~9)が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2009/0008220号明細書
特許文献2 : 米国特許出願公開第2010/0273942号明細書
特許文献3 : 米国特許出願公開第2011/0118430号明細書
特許文献4 : 米国特許出願公開第2006/0183828号明細書
特許文献5 : 米国特許第5118719号明細書
特許文献6 : 米国特許出願公開第2005/0137546号明細書
特許文献7 : 米国特許第6136873号明細書
特許文献8 : 米国特許出願公開第2010/0268181号明細書
特許文献9 : 米国特許出願公開第2011/0015288号明細書

非特許文献

[0009]
非特許文献1 : Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998),p69-103

発明の概要

[0010]
 <発明の概要>
 しかしながら、上述した従来技術では、得られる吸水性樹脂中の残存モノマー量が増加する問題を有していた。また、吸水速度を向上させるため、発泡重合を採用すると、残存モノマーが増加するという問題を有していた。
[0011]
 そこで、本発明が解決しようとする課題は、添加剤の添加に伴う不具合を回避し、さらに、高物性の吸水性樹脂を安定的に効率的に得ることができる吸水性樹脂の製造方法を提供することである。つまり、得られる吸水性樹脂中の残存モノマー量を抑制し、さらに吸水速度が早い高物性の吸水性樹脂を安定的に提供することである。
[0012]
 上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、粒子状添加剤の添加の際、粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を極力低下させることで、残存モノマーの増加を抑え、高物性の吸水性樹脂が安定的に効率的に得られることを見出して、本発明を完成した。
[0013]
 すなわち、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、以下を有する。すなわち、アクリル酸(塩)を主成分として含む単量体を含む、単量体水溶液を調製する単量体水溶液の調製工程、上記単量体を重合させて含水ゲル状架橋重合体(本明細書中、単に「含水ゲル」と称する場合がある)を得る重合工程、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥させて乾燥重合体を得る乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、上記単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に粒子状添加剤を添加する工程をさらに含み、上記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 本発明の実施例で用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造装置の図である。
[図2] 本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造装置の一例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
[0016]
 〔1〕用語の定義
 (1-1)「吸水性樹脂」
 本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。すなわち、「水膨潤性」として、ERT441.2-02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2-02で規定されるExtが50重量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
[0017]
 さらに、本発明における吸水性樹脂は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体、乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物と合わせて、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する場合がある。なお、吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。
[0018]
 (1-2)「ポリアクリル酸(塩)」
 本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸および/またはその塩を指し、主成分としてアクリル酸および/またはその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を意味する。
[0019]
 なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50~100モル%、好ましくは70~100モル%、より好ましくは90モル%~100モル%、さらに好ましくは実質100モル%であることをいう。
[0020]
 (1-3)「EDANA」および「ERT」
 「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
[0021]
 (1-3-1)「CRC」(ERT441.2-02)
 「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。
[0022]
 具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
[0023]
 (1-3-2)「AAP」(ERT442.2-02)
 「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。
[0024]
 具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm 、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、荷重条件を4.83kPa(49g/cm 、0.7psi)に変更して測定する場合もある。なお、ERT442.2-02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的に同一内容である。
[0025]
 (1-3-3)「PSD」(ERT420.2-02)
 「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。
[0026]
 なお、重量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass-Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
[0027]
 (1-3-4)「Ext」(ERT470.2-02)
 「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
[0028]
 具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
[0029]
 (1-3-5)「Moisture Content」(ERT430.2-02)
 「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。
[0030]
 具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
[0031]
 (1-3-6)「Residual Monomers」(ERT410.2-02)
 「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。
[0032]
 具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。溶解残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。
[0033]
 (1-4)その他
 本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」または「質量ppm」を意味する。さらに、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「~酸(塩)」は「~酸および/またはその塩」を意味する。
[0034]
 〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
 本発明は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む単量体水溶液を調製する、単量体水溶液の調製工程と;前記単量体を重合させて含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と;前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥させて乾燥重合体を得る乾燥工程と;を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、前記単量体水溶液および/または前記含水ゲル状架橋重合体に粒子状添加剤を添加する、添加工程をさらに含み、前記添加工程において、前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法である。
[0035]
 かような構成によって、乾燥後の吸水性樹脂中の残存モノマーを抑えることができ、さらに、吸水性能が安定することができる。
[0036]
 以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法について説明する。
[0037]
 (2-1)単量体水溶液の調製工程
 本工程は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
[0038]
 また、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の含有量(使用量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。
[0039]
 (アクリル酸)
 本発明では、得られる吸水性樹脂の物性および生産性の観点から、単量体としてアクリル酸および/またはその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。
[0040]
 上記「アクリル酸」として、重合禁止剤や不純物等の微量成分が含有する公知のアクリル酸を使用することができる。該重合禁止剤は、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノール類が挙げられる。また、その使用量は、アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10~160ppm、さらに好ましくは20~100ppmである。また、アクリル酸中の不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物が本発明にも適用される。
[0041]
 また、上記「アクリル酸塩」は、上記アクリル酸を下記塩基性化合物で中和したものであるが、該アクリル酸塩として、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
[0042]
 (塩基性化合物)
 本発明において、「塩基性化合物」とは、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
[0043]
 上記塩基性化合物として、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性であることが望まれる。すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
[0044]
 また、本発明では、極少量(例えば、アクリル酸に対して5モル%以下)のポリカチオンを含む塩基性化合物で中和してもよい。
[0045]
 (中和)
 本発明において、アクリル酸塩を得るため、アクリル酸を塩基性化合物で中和することもできる。なお、該中和は、アクリル酸に対する中和(重合前)またはアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)のいずれか一方を選択してもよいし、または併用することもできる。
[0046]
 また、上記中和は、連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
[0047]
 なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された条件が本発明にも適用される。
[0048]
 本発明における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10~90モル%、より好ましくは40~85モル%、さらに好ましくは50~80モル%、特に好ましくは60~78モル%である。該中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがある。一方、該中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがある。
[0049]
 上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記中和率が適用される。
[0050]
 (他の単量体)
 本発明において、「他の単量体」として、米国特許出願公開第2005/0215734号に記載された化合物(但し、アクリル酸は除く)を、上記アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。なお、本発明に係る製造方法で得られる吸水性樹脂には、水溶性または疎水性の不飽和単量体を共重合成分とする吸水性樹脂も含まれる。
[0051]
 (内部架橋剤)
 本発明で使用されうる内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種または2種以上の化合物が選択される。
[0052]
 また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
[0053]
 上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1~100、より好ましくは6~50である。
[0054]
 上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.005~2モル%、より好ましくは0.01~1モル%、さらに好ましくは0.05~0.5モル%である。該使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。
[0055]
 本発明では、加圧下吸水倍率等の物性の観点から、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、該手法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
[0056]
 また、内部架橋剤が重合性不飽和基を2個以上有する化合物の場合、内部架橋剤には、重合禁止剤が通常含有されている。該重合禁止剤は、アクリル酸に含まれる重合禁止剤と同様とすることが好ましい。具体的には、好ましくはフェノール類、より好ましくはメトキシフェノール類、さらに好ましくはp-メトキシフェノール類である。
[0057]
 上記内部架橋剤に含有する重合禁止剤の含有量(ppm)としては、単量体水溶液の重合性および吸水性樹脂の色調の観点から、アクリル酸中の含有量(ppm)と同じとしてもよいが、内部架橋剤の使用量が極めて少ないことから、アクリル酸中の含有量(ppm)よりも高くすることが好ましい。これは、内部架橋剤を溶液にした際、安定性が低下することに起因するものであり、取扱性の観点から溶液で使用することが多いためでもある。
[0058]
 (単量体成分の濃度)
 本工程において、単量体水溶液を調製する際に、上記の各物質が添加される。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度(以下、「モノマー濃度」と称する場合がある)としては特に限定されないが、吸水性樹脂の物性および生産性の観点から、好ましくは10~80重量%、より好ましくは20~75重量%、さらに好ましくは30~70重量%である。
[0059]
 また、水溶液重合または逆相懸濁重合を採用する場合、水以外の溶媒を必要に応じて併用することもできる。この場合、溶媒の種類は特に限定されない。
[0060]
 なお、上記「単量体成分の濃度」とは、下記式(1)で求められる値であり、単量体水溶液の重量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合における疎水性溶媒の重量は含めない。
[0061]
[数1]


[0062]
 また、上記単量体水溶液には、上記アクリル酸から持ち込まれる重合禁止剤が含まれる。該重合禁止剤として、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノール類が挙げられる。その濃度として好ましくは200ppm以下、より好ましくは10~160ppm、さらに好ましくは20~100ppmである。
[0063]
 (2-2)重合工程
 本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む、単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体を得る工程である。
[0064]
 (重合開始剤)
 本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、またはこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種または2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物またはアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、さらに好ましくは過硫酸塩が使用される。塩としては、ナトリウムやカリウム等が好適である。
[0065]
 上記重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.001~1モル%、より好ましくは0.001~0.5モル%である。また、該還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001~0.02モル%である。
[0066]
 なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
[0067]
 (重合形態)
 本発明に適用される重合形態としては、特に限定されないが、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、さらに好ましくは水溶液重合が挙げられる。水溶液重合の中でも連続水溶液重合が特に好ましく、下記添加剤の混合性の観点から、連続ニーダー重合が最も好ましい。
[0068]
 具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/0215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することで、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
[0069]
 また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」や「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度で重合を開始する形態をいい、「高濃度重合」とは、単量体濃度を好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上(上限は飽和濃度)で重合を行う形態をいう。これらの重合形態を併用することもできる。このように併用を行うと、加圧下吸水倍率や吸水速度に優れた吸水性樹脂が得られ易い。
[0070]
 また、本発明においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、重合時間の短縮化や得られる吸水性樹脂の水可溶分の低減の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、例えば、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。このようにしておくことで、残存モノマーが少ない吸水性樹脂を得ることができる。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素;1mg/l未満)しておくことが好ましい。このようにしておくことで、残存モノマーが少ない吸水性樹脂を得ることができる。なお、重合機の圧力は、排気によって減圧されていてもよい。
[0071]
 また、本発明においては、重合中に固形分濃度を上昇させてもよい。このような固形分濃度の上昇の指標として固形分上昇度は下記式(2)により定義される。なお、該固形分濃度の上昇度としては、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。
[0072]
[数2]


[0073]
 ただし、単量体水溶液の固形分濃度とは下記式(3)で求められる値であり、重合系内の成分とは、単量体水溶液とグラフト成分、吸水性樹脂、その他固形物(例えば水不溶性微粒子等)であり、逆相懸濁重合における疎水性溶媒は含めない。
[0074]
[数3]


[0075]
 また、本発明では、単量体水溶液に気泡(特に上記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。該発泡重合で得られる吸水性樹脂は、その内部に気泡を有し、比表面積が大きくなるため、吸水速度(FSR)が向上する。該吸水速度(FSR)として、好ましくは0.25g/g/s以上であるが、この値以上とすることで、吸収体用途として有利となる。
[0076]
 また、発泡重合で得られる吸水性樹脂には気泡が含まれるため、微粉の発生量が、気泡が含まれない通常の吸水性樹脂より多くなる。したがって、本発明がより好ましく適用される。つまり、気泡が多いと、気泡間の樹脂の厚みが薄くなり、粉砕したときに所定のサイズ以上の粉砕物が得られなかったり、気泡部分の機械的強度が弱く、粉砕後のダメージで微粉が発生したりする。回収する微粉量が増加すると、それに同伴して持ち込まれる空気の量も増加することになるが、本発明の一形態において、微粉を回収して粒子状添加剤とする場合、本発明では酸素濃度を特定の値以下にする処理をするので上記問題点を解決することができる。
[0077]
 含水ゲルを作製した後、残存モノマー低減の観点から、一定時間、含水ゲルを熟成させてもよい。
[0078]
 (2-3)ゲル粉砕工程
 本工程は、上記重合工程で得られた「含水ゲル」を、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。したがって、通常は重合工程後にゲル粉砕工程が実施される。
[0079]
 なお、上記重合工程がニーダー重合の場合は、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施されている。また、気相重合や逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
[0080]
 上記以外のゲル粉砕条件や形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
[0081]
 (2-4)粒子状添加剤の添加工程
 本工程は、下記の粒子状添加剤を、上記単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に添加する工程である。含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕してなるものが「粒子状含水ゲル」であるので、粒子状添加剤を「粒子状含水ゲル」に添加する形態も、「含水ゲル状架橋重合体」に添加していることに含まれる。
[0082]
 なお、該粒子状添加剤は、(2-8)再加湿工程および(2-9)その他の添加剤添加工程に記載された添加剤と一部重複しているが、添加箇所が異なっており、(2-1)単量体水溶液の調製工程、(2-2)重合工程、(2-3)ゲル粉砕工程のいずれかに添加する場合に限って、『粒子状添加剤』と称する。
[0083]
 (粒子状添加剤)
 本発明において、粒子状添加剤は、粒子状で固体であればよく特に限定されないが、吸水性樹脂の物性向上や取扱性向上の観点から、無機化合物、有機化合物またはこれらの混合物が挙げられる。
[0084]
 上記粒子状添加剤の好ましい使用量は、種類によって異なり特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、下記の通りの使用量であればよい。なお、粒子状添加剤が含水ゲル状架橋重合体に添加される場合であっても、含水ゲル状架橋重合体を得るために用いた単量体から、粒子状添加剤の使用量を算出することができる。また、粒子状添加剤の使用量が増加すると、それに同伴して持ち込まれる空気の量も増加するが、本発明では酸素濃度を特定の値以下にする処理を行うため、上述した問題点を解決することができる。従って、粒子状吸水剤の使用量の総量としては、好ましくは1重量%以上とすることで、本発明の効果がより発揮される。
[0085]
 まず、粒子状添加剤の具体例について説明する。
[0086]
 上記無機化合物として、具体的には、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化チタン、アルミナ、タルク、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、カオリン、スメクナイト等の粘度鉱物、水不溶性金属リン酸塩、金属炭酸塩、無機還元剤、炭酸塩等の無機粒子が挙げられる。
[0087]
 上記無機粒子の粒子径は、それぞれの化合物によって異なり特に限定されないが、無機粒子の取扱性や吸水性樹脂に与える効果を最大化するという観点から、好ましくは0.1~4000μm、より好ましくは0.5~1000μmである。なお、該粒子径は、粒子径が100μm以上であれば篩分級で、100μm未満であればレーザー式粒度測定機で、それぞれ測定することができる。
[0088]
 本発明の一形態では、粒子状添加剤が、上記無機粒子を含んでいることが好ましく、その場合の無機粒子の含有量としては、上記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、好ましくは0.01~5重量部、より好ましくは0.02~2重量部、さらに好ましくは0.05~1重量部である。よって、本発明の好ましい形態によれば、前記粒子状添加剤が、前記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、0.01~5重量部の無機粒子を含む。
[0089]
 また、上記有機化合物として、具体的には、常温で固体の炭素数が10~20である脂肪酸、いわゆる金属石鹸等の脂肪酸塩、脂肪酸エステル、アゾ化合物、アミノカルボン酸系またはリン酸系キレート剤、有機還元剤、連鎖移動剤、水溶性高分子、吸水性樹脂微粉等が挙げられる。
[0090]
 本発明の特に好ましい形態においては、従来添加剤として着目されていなかった有機化合物(特には、「吸水性樹脂微粉」)を、吸水速度などの物性の向上のための添加剤として使用し、かつ、添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を特定の値以下とする点も特徴を有する。
[0091]
 このように、従来添加剤として着目されていなかった有機化合物(特には、「吸水性樹脂微粉」)を、添加剤として使用することによって、かつ、添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を特定の値以下とすることによって、得られる吸水性樹脂中の残存モノマー量を抑制し、さらに吸水速度が早い高物性の吸水性樹脂を安定的に提供することができるという予想もしない効果を有する。
[0092]
 上記有機化合物の使用量は、添加する化合物の種類によって異なり特に限定されないが、例えば、常温で固体の炭素数が10~20である脂肪酸、いわゆる金属石鹸等の脂肪酸塩、脂肪酸エステルの場合は0重量部を超えて、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、また、アゾ化合物、アミノカルボン酸系またはリン酸系キレート剤、有機還元剤、連鎖移動剤の場合は0重量部を超えて、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに、水溶性高分子の場合は、単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、0重量部を超えて、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。
[0093]
 なお、上記水溶性高分子または吸水性樹脂微粉を粒子状添加剤として使用する場合、グラフト重合体または吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉-アクリル酸重合体、PVA-アクリル酸重合体等)が得られるが、これらの重合体、吸水性樹脂組成物も本発明ではポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の範疇に含まれるものとする。
[0094]
 本発明では、粒子状添加剤に吸水性樹脂微粉を含むことが好ましい。この場合、吸水性樹脂微粉の含有量として、上記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、通常、0重量部を超えて、好ましくは50重量部以下、好ましくは1~30重量部、より好ましくは2~25重量部、さらに好ましくは5~20重量部、特に好ましくは7~20重量部、最も好ましくは9~20重量部である。
[0095]
 該使用量が1重量部未満の場合、本発明の効果が発現されない。一方、30重量部を超える場合、微粉発生量が増加し、物性の低下を招くため、好ましくない。本発明の好ましい形態によれば、前記粒子状添加剤が、前記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、1~30重量部の吸水性樹脂微粉を含む。なお、吸水性樹脂微粉は、本発明の吸水性樹脂とは別に製造することもでき、また、本発明の吸水性樹脂の製造時に発生するものでもよい。このようにすることで、得られる吸水性樹脂の物性向上のみならず、吸水性樹脂微粉を再利用することができる。
[0096]
 また、吸水性樹脂微粉は、粒子径が150μm未満の微細粒子が好ましくは主成分であり、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含まれる吸水性樹脂のことを指す。なお、工業的には篩の分級効率は通常、100%に満たないため、粒度分布を有する粒子から粒子径が150μm未満の微細粒子を出来るだけ多く取り出す場合、150μmより大きい目開きの篩も使用されることがある。具体的には、目開き150~200μmの篩が使用される。
[0097]
 また、吸水性樹脂微粉には、好ましくは重合禁止剤が含まれる。該重合禁止剤は、単量体水溶液に含まれる重合禁止剤と同じ種類の重合禁止剤であることが好ましい。具体的には、メトキシフェノール類が好ましく、p-メトキシフェノールがより好ましい。また、吸水性樹脂微粉に含まれる重合禁止剤の濃度としては、好ましくは1~100ppm、より好ましくは5~50ppm、さらに好ましくは10~25ppmである。
[0098]
 なお、単量体水溶液の重合安定性と含水ゲル状架橋重合体の色調とのバランスの観点で、単量体水溶液に含まれる重合禁止剤(特にp-メトキシフェノール)の濃度は、吸水性樹脂微粉に含まれる重合禁止剤(特にp-メトキシフェノール)の濃度より高濃度であることが好ましい。
[0099]
 さらに、吸水性樹脂微粉には、多価アルコール、アルカノールアミン、ポリアミンおよび3価以上の金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が含まれることが好ましい。
[0100]
 (粒子状添加剤の輸送工程、貯蔵工程)
 本発明においては、上記粒子状添加剤を単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に添加する前(つまり、添加工程の前)に、ホッパー等の容器に貯蔵する貯蔵工程や、該ホッパーに粒子状添加剤を投入するための輸送工程を含むことが好ましい。ここで輸送工程とは、ある地点から配管や輸送装置を介して他の地点へ移送する工程をいう。このような工程を含むことによって、粒子状添加剤を単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に安定的に添加することができる。本発明に使用されうるホッパー等の容器は、容器外側の空気とは仕切られている構造を有していることが好ましく、配管等を通じて、不活性ガスを導入できる構造を有していることが好ましい。不活性ガスを所望の流量で導入することによってホッパー等の容器内の酸素濃度を所定の値以下に維持することができる。
[0101]
 つまり、粒子状添加剤として、例えば、市販の無機粒子や、吸水性樹脂の微粉を使用する場合、納入された無機粒子をホッパーに移送させるときや、吸水性樹脂微粉を発生箇所からホッパーに移送させるときに、輸送工程が利用されると好適である。なお、該輸送工程は、輸送のし易さの観点から、好ましくは空気輸送である。
[0102]
 本発明の好ましい形態によれば、前記添加工程の前に、前記粒子状添加剤を輸送する、輸送工程をさらに含み、前記輸送工程において、空気輸送が行われる。
[0103]
 また、上記ホッパー等の容器に貯蔵する貯蔵工程は、得られる吸水性樹脂の物性を安定化させる観点から、行うことが好ましく、該貯蔵工程から所定の添加箇所、つまり、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程へ、粒子状添加剤が定量的に供給される。
[0104]
 (周辺雰囲気の酸素濃度)
 本発明の製造方法においては、粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする。粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度は、極力低くした状態とすることがよい。具体的には、当該工程において、該酸素濃度は5容積%以下であり、好ましくは4容積%以下であり、より好ましくは3容積%以下、よりさらに好ましくは2容積%以下、よりさらに好ましくは1容積%以下、特に好ましくは0.5容積%以下とする。該酸素濃度が5容積%を超える場合、吸水性樹脂の物性が低下するため、好ましくない。ただし、酸素濃度は、現実的には0.01容積%程度以上となりうる。
[0105]
 なお、上記「粒子状添加剤の周辺雰囲気」とは、粒子状添加剤を取り巻く空間の気体のことを意味する。具体的には、粒子状添加剤を単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に添加する際に使用する配管内の気体や、粒子状添加剤を貯蔵する容器内(貯蔵工程)において、粒子状添加剤の周辺に存在する空隙部の気体のことをいう。
[0106]
 さらに具体的には、粒子状添加剤の添加工程が、単量体水溶液の調製工程で行われる場合、「粒子状添加剤の周辺雰囲気」とは、単量体水溶液のタンクまたは配管内の少なくとも一の気体を指す。
[0107]
 また、粒子状添加剤の添加工程が重合工程で行われる場合、「粒子状添加剤の周辺雰囲気」とは、重合機に粒子状添加剤を添加するための配管内の気体を指す。
[0108]
 さらに、粒子状添加剤の添加工程がゲル粉砕工程で行われる場合、「粒子状添加剤の周辺雰囲気」とは、ゲル粉砕機に粒子状添加剤を添加するための配管内の気体を指す。
[0109]
 「粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする」ことは、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法の工程のうち、どの時点で行われてもよいが、上記の形態であれば、好ましくは、少なくとも、重合機に粒子状添加剤を添加するための配管および粒子状添加剤を貯蔵する容器内の酸素濃度の少なくとも一方を5容積%以下に低下させる。
[0110]
 粒子状添加剤が投入される装置と配管との接続部から好ましくは1m以内、より好ましくは0.5m以内の部分における酸素濃度を、上記範囲とする。
[0111]
 上記酸素濃度の調整は、前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を、不活性ガスを用いて低下させる、不活性ガス処理工程を含むことにより行うことがよい。不活性ガス処理工程のタイミングは、粒子状添加剤の添加工程と同時および/または前であることが好ましい。このように、上記酸素濃度の調整は、不活性ガスで置換することによって行うことができる。
[0112]
 使用される不活性ガスは、粒子状添加剤の種類や、添加先の工程によって適宜変更されるが、希ガス、窒素、二酸化炭素、水蒸気等が挙げられる。なお、粒子状添加剤として吸水性樹脂微粉を用いる場合、水蒸気等は適さない。また、入手容易性等の観点から、好ましくは窒素または二酸化炭素、より好ましくは窒素を用いて、粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を低下させればよい。
[0113]
 本発明の好ましい形態によれば、前記添加工程の前に、前記粒子状添加剤を貯蔵する、貯蔵工程をさらに含み、前記貯蔵工程において、前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする。
[0114]
 上記貯蔵工程における酸素濃度の調整についても、上記を同じ手法により行うことができる。具体的には、ホッパー内の粒子層(粉体層)に上記不活性ガスを導入することにより置換する方法が挙げられる。該不活性ガスの導入方法としては、粒子状添加剤の添加時に、粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度が上記範囲に調整できる限り、連続でも非連続でもよいが、好ましくは非連続のパルス式エアーノッカーを用いて導入される。
[0115]
 なお、吸水性樹脂微粉が分離される環境(例えば、分級工程やバグフィルター)において、その雰囲気の酸素濃度を予め低下させておくこと、つまり、該環境を不活性ガス存在下で実施することも考えられるが、操作が煩雑となったり、コストアップとなったりするため、好ましくない。
[0116]
 また、上記ホッパー内の粒子層(粉体層)に上記不活性ガスを導入することによって、酸化濃度の低下以外に、ホッパー内での粒子状添加剤の流動性が安定化するという技術的効果を有する。流動性の安定化によって、時間経過による添加量の変動が最小化され、性能がより向上した吸水性樹脂が得られるようになる。
[0117]
 このことは、加圧下吸水倍率や通液性等の物性は種々の要因で変化するため、これらの物性が異なる値を有する吸水性樹脂を混合したとしても、一般的に、必ずしも加重平均値とはならないことに由来する。特に、粒子状添加剤が吸水性樹脂微粉の場合、添加量の変動は吸水性樹脂の性能変動に大きく影響するため、安定的な添加は非常に重要となる。
[0118]
 (粒子状添加剤の温度)
 本発明において、粒子状添加剤は、その温度を好ましくは30~150℃、より好ましくは40~100℃、さらに好ましくは50~90℃に加熱しておく。特に、該粒子状添加剤が吸水性樹脂微粉の場合には、単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に添加する前および/または不活性ガスで処理する前に、上記の温度範囲に調整することが好ましい。また、上記輸送工程や貯蔵工程においても、同様の温度範囲に加熱しておくことが好ましい。つまり、本発明の好ましい形態によれば、前記粒子状添加剤の温度を、前記添加工程の前および/または前記不活性ガス処理工程の前に、30~150℃に加熱する。
[0119]
 なお、上記加熱温度が高過ぎると粒子状添加剤が融着して流動性が失われる場合や、逆に低過ぎると粒子状添加剤の表面で結露が発生し、粒子状添加剤同士が接着して流動性が失われる場合があるため、使用する粒子状添加剤の性状に合わせて、加熱温度を設定する必要がある。
[0120]
 (添加箇所)
 本発明において、上記粒子状添加剤は、単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体に添加される。なお、これらの添加箇所を有する工程は、単量体水溶液の調製工程、重合工程およびゲル粉砕工程となることが特に好ましい。
[0121]
 上記粒子状添加剤の添加箇所が単量体水溶液の調製工程である場合、該粒子状添加剤と、単量体水溶液との混合方法については特に限定されず、市販の混合機を使用することができる。ただし、該粒子状添加剤が吸水性樹脂微粉の場合、作業性や残存モノマー低減の観点から、混合後、出来うる限り短時間で重合を開始させる方が好ましいため、好ましくはローターおよびステーターからなるインライン式混合機が使用される。
[0122]
 上記粒子状添加剤の添加箇所が重合工程である場合、該粒子状添加剤と、単量体水溶液および/または含水ゲル状架橋重合体との混合は、特に限定されず、均一でも不均一でもよい。なお、重合機の攪拌能力が高い場合には均一に混合される。また、該重合工程が連続重合の場合、本発明の効果がより発揮される。
[0123]
 上記重合工程での粒子状添加剤の添加箇所については、特に限定されず、重合率0~100%のいずれかの段階で添加することができるが、本発明の効果の観点から、重合率が好ましくは0~99%、より好ましくは0~98%の段階で添加することができる。
[0124]
 また、上記重合工程と同時または後に、含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕する、ゲル粉砕工程を含む場合、粒子状添加剤の添加工程は、含水ゲル状架橋重合体と粒子状添加剤との混合をよりよくするため、該ゲル粉砕工程を伴って行われることが好ましい。
[0125]
 なお、重合機やゲル粉砕機は、上記(2-2)重合工程や(2-3)ゲル粉砕工程に記載された装置を使用することができる。さらに好ましくは、重合工程、ゲル粉砕工程および粒子状添加剤の添加工程が同一のニーダー重合機で行われることが好ましい。同一のニーダー重合機で行われることによって、粒子状添加剤による効果(例えば、加圧下吸水倍率の向上)がより発揮される。
[0126]
 一方、噴霧液滴重合や逆相懸濁重合のように、単量体水溶液から直接的に粒子状含水ゲル状架橋重合体が得られる場合には、粒子状添加剤は、単量体水溶液や、重合工程と同時または後に得られる粒子状含水ゲルのいずれかに対して、添加されることが好ましい。
[0127]
 また、本発明において、上記粒子状添加剤を定量的に供給する方法としては、粒子状添加剤の性状にしたがって最適なものを選定する範囲内で特に限定されないが、例えば、電磁フィーダー等の電磁式、スクリューフィーダーやロータリーフィーダー等の回転運動式、ベルトフィーダー等のエンドレス式の、供給装置を挙げることができる。なお、該粒子状添加剤が吸水性樹脂微粉の場合には、安定供給の観点から、回転運動式の供給装置が好ましく、中でも、スクリューフィーダーがより好ましい。さらに、窒素等の不活性ガスを用いて粉体流動性を高めることもできる。
[0128]
 また上記のように、発泡重合で得られる吸水性樹脂には気泡が含まれるため、微粉の発生量が、気泡が含まれない通常の吸水性樹脂より多くなる。したがって、本発明がより好ましく適用される。つまり、気泡が多いと、気泡間の樹脂の厚みが薄くなり、粉砕したときに所定のサイズ以上の粉砕物が得られなかったり、気泡部分の機械的強度が弱く、粉砕後のダメージで微粉が発生したりする。回収する微粉量が増加すると、それに同伴して持ち込まれる空気の量も増加することになるが、本発明の一形態において、微粉を回収して粒子状添加剤とする場合、本発明では酸素濃度を特定の値以下にする処理をするので上記問題点を解決することができる。
[0129]
 (2-5)乾燥工程
 本工程は、上記重合工程および/またはゲル粉砕工程で得られた含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められ、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85~99重量%、さらに好ましくは90~98重量%、特に好ましくは92~97重量%である。
[0130]
 上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。なお、熱風乾燥も、例えば、整置熱風乾燥機を用いて行うことができる。ただし、工業的なスケールでの実施を考慮すると、バンド乾燥が好ましい。
[0131]
 上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、吸水性樹脂の色調や乾燥効率の観点から、好ましくは100~250℃、より好ましくは120~220℃である。なお、熱風の風速や乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総重量および目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定すればよく、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
[0132]
 上述した乾燥温度や乾燥時間を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のCRC(吸水倍率)やExt(水可溶分)を所望する範囲(下記〔3〕を参照)とすることができる。
[0133]
 (2-6)粉砕工程、分級工程
 本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
[0134]
 本発明の粉砕工程で使用される機器としては、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
[0135]
 また、本発明の分級工程での粒度調整方法としては、特に限定されないが、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。なお、吸水性樹脂の粒度調整は、上記粉砕工程、分級工程に限定されず、重合工程(特に逆相懸濁重合や噴霧液滴重合)、その他の工程(例えば、造粒工程)で適宜実施できる(実施例:JIS標準篩)。なお、実施例でも、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を使用している。
[0136]
 本発明で得られる吸水性樹脂粉末は、重量平均粒子径(D50)として、好ましくは200~600μm、より好ましくは200~550μm、さらに好ましくは250~500μm、特に好ましくは350~450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下であり、粒子径850μm以上の粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0重量%が望まれるが、0.1重量%程度でもよい。さらに、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20~0.50、より好ましくは0.25~0.40、さらに好ましくは0.27~0.35である。なお、これらの粒度は、米国特許第7638570号やEDANA ERT420.2-02に開示されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
[0137]
 上述した粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂(以下、便宜上「吸水性樹脂粒子」と称する場合がある)のみならず、最終製品としての吸水性樹脂についても適用される。そのため、吸水性樹脂粒子において、上記範囲の粒度を維持するように、表面架橋処理(表面架橋工程)されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
[0138]
 (2-7)表面架橋工程
 本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、さらに架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程および冷却工程(任意)から構成される。
[0139]
 上記表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により表面架橋された吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)が得られる。
[0140]
 (表面架橋剤)
 本発明で使用される表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機または無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許7183456号に開示される1種または2種以上の表面架橋剤が挙げられる。
[0141]
 上記表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部、より好ましくは0.01~5重量部である。また、該表面架橋剤は水溶液として添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは0.5~10重量部である。さらに必要に応じて、親水性有機溶媒を使用する場合、その使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
[0142]
 また、後述の「再加湿工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5重量部以下の範囲内で該表面架橋剤(水溶液)に混合して添加したり、別途本混合工程で添加したりすることもできる。
[0143]
 (混合工程)
 本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合する工程である。該表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧または滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
[0144]
 上記混合を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
[0145]
 (加熱処理工程)
 本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合した後、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
[0146]
 上記架橋反応を行う装置としては、特に限定されないが、実機レベルでは好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。該架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~220℃である。
[0147]
 (冷却工程)
 本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
[0148]
 該冷却を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することで、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、該冷却工程において、好ましくは40~80℃、より好ましくは50~70℃に、必要に応じて強制冷却される。
[0149]
 (2-8)再加湿工程
 本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩化合物、ポリカチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
[0150]
 なお、上記添加剤は水溶液またはスラリー液で添加されるため、吸水性樹脂粒子は再度、水膨潤する。このため、本工程を「再加湿工程」と称する。また、上述したように、該添加剤は上記表面架橋剤(水溶液)と同時に、吸水性樹脂粉末と混合することもできる。好ましくは、後述の含水率、特に含水率2~9重量%に制御される。
[0151]
 (多価金属塩および/またはカチオン性ポリマー)
 本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の観点から、多価金属塩および/またはカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
[0152]
 上記多価金属塩および/またはカチオン性ポリマーとして、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔7〕多価金属塩および/またはカチオン性ポリマー」に開示された化合物およびその使用量が、本発明に適用される。
[0153]
 (キレート剤)
 本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
[0154]
 上記キレート剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔2〕キレート剤」に開示された化合物およびその使用量が、本発明に適用される。
[0155]
 (無機還元剤)
 本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
[0156]
 上記無機還元剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔3〕無機還元剤」に開示された化合物およびその使用量が、本発明に適用される。
[0157]
 (α-ヒドロキシカルボン酸化合物)
 本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)等の観点から、α-ヒドロキシカルボン酸化合物を添加することが好ましい。なお、「α-ヒドロキシカルボン酸化合物」とは、分子内にヒドロキシル基を有するカルボン酸またはその塩のことで、α位にヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸である。
[0158]
 上記α-ヒドロキシカルボン酸化合物として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔6〕α-ヒドロキシカルボン酸化合物」に開示された化合物およびその使用量が、本発明に適用される。
[0159]
 (2-9)その他の添加剤添加工程
 本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤を、吸水性樹脂に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。該添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に開示された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に開示された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
[0160]
 上記添加剤の使用量(添加量)は、得られる吸水性樹脂の用途に応じて適宜決定されるため、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。また、該添加剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のいずれかの製造工程で添加することができる。
[0161]
 (2-10)その他の工程
 本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、(吸水性樹脂の)輸送工程、(吸水性樹脂の)貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種または2種以上の工程をさらに含んでもよい。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、必要に応じ粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程のいずれかの工程に添加する工程を含む。
[0162]
 〔3〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の物性
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、該吸水性樹脂を衛生用品、特に紙オムツに使用する場合には、下記の(3-1)~(3-10)に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくはAAPを含めた3つ以上、最も好ましくは全ての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。これらの物性が下記の範囲を満たすことで、本発明の効果をより十分に得ることができ、高濃度紙オムツにおいて十分な性能を発揮しうる。
[0163]
 また、本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、その形状について特に限定されないが、好ましくは粒子状である。本項においては、好ましい態様である粒子状の吸水性樹脂について、その物性を説明する。なお、下記の物性は、特に断りのない限り、EADANA法に準拠して測定した。
[0164]
 (3-1)CRC(無加圧下吸水倍率)
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)は、通常5g/g以上であり、好ましくは15g/g以上、より好ましくは25g/g以上である。上限値については特に限定されず高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下、さらに好ましくは40g/g以下である。
[0165]
 上記CRCが5g/g未満の場合、吸収量が少なく、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適さない。また、該CRCが70g/gを超える場合、尿や血液等の体液等を吸収する速度が低下するため、高吸水速度タイプの紙オムツ等への使用に適さない。なお、CRCは、内部架橋剤や表面架橋剤等で制御することができる。
[0166]
 (3-2)AAP(加圧下吸水倍率)
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは22g/g以上である。該吸水性樹脂を紙オムツ等に使用した際、装着者の体重による加圧下での漏れ防止の観点から、23g/g以上であることが特に好ましく、より特に好ましくは24g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは30g/g以下である。
[0167]
 上記AAPが20g/g未満の場合、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り量(通常、「Re-Wet(リウェット)」と称する)が多くなり、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適さない。なお、AAPは、粒度や表面架橋剤等で制御することができる。
[0168]
 (3-3)粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、表面架橋を施す前の吸水性樹脂粉末の粒度と同じになるように、制御される。
[0169]
 (3-4)Ext(水可溶分)
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、通常50重量%以下であり、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。下限値については特に限定されないが、好ましくは0重量%、より好ましくは0.1重量%程度である。
[0170]
 ゲル強度を高め、液透過性に優れた吸水性樹脂を提供する観点から、上記Extが50重量%以下であることが好ましい。50重量%以下であるであると、リウェットを抑制し、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として好適である。なお、Extは、内部架橋剤等で制御することができる。
[0171]
 (3-5)含水率
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の含水率は、好ましくは0重量%を超えて15重量%以下、より好ましくは1~13重量%、さらに好ましくは2~10重量%、特に好ましくは2~9重量%である。
[0172]
 上記含水率を上記範囲内とすることで、粉体特性(例えば、流動性、搬送性、耐ダメージ性等)に優れた吸水性樹脂が得られる。
[0173]
 (3-6)残存モノマー
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、吸水性樹脂自身の臭気低減や安全性の観点から、好ましくは350ppm以下、より好ましくは320ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下である。下限値については特に限定されないが、0ppm程度、あるいは、10ppm程度が現実的である。
[0174]
 上記残存モノマーの含有量が、350ppmを超えると、残存モノマー由来と考えられる吸水性樹脂自身の臭気という問題がある。
[0175]
 (3-7)SFC(生理食塩水流れ誘導性)
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、好ましくは50×10 -7・cm ・s・g -1以上、より好ましくは60×10 -7・cm ・s・g -1以上、さらに好ましくは70×10 -7・cm ・s・g -1以上、特に好ましくは80×10 -7・cm ・s・g -1以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは3000×10 -7・cm ・s・g -1以下、より好ましくは2000×10 -7・cm ・s・g -1以下である。
[0176]
 紙オムツ等の衛生用品の吸収体として、尿や血液等の体液等の液透過性を考慮すると、SFCが50×10 -7・cm ・s・g -1以上であることが好ましい。また、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として尿や血液等の体液等を十分に吸収させ液漏れを抑制する観点から該SFCが3000×10 -7・cm ・s・g -1以下であることが好ましい。なお、SFCは、粒度や表面架橋剤、多価金属塩、カチオン性ポリマー等で制御することができる。
[0177]
 (3-8)FSR(吸水速度)
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、好ましくは0.25g/g/s以上、より好ましくは0.28g/g/s以上、さらに好ましくは0.30g/g/s以上、特に好ましくは0.32g/g/s以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは5.0g/g/s以下、より好ましくは3.0g/g/s以下である。
[0178]
 紙オムツ等の衛生用品の吸収体として、尿や血液等の体液等を十分に吸収して液漏れを抑制する観点から、上記FSRは0.25g/g/s以上であることが好ましい。なお、FSRは、粒子状添加剤を添加しながら行う重合や発泡重合、粒度等で制御することができる。
[0179]
 本発明の好ましい形態によれば、紙オムツとして使用したとき、吸液後の皮膚への刺激を低減するため、前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のFSRが0.25g/g/s以上であり、かつ、残存モノマーが350ppm以下である。
[0180]
 〔4〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途
 本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生用品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。さらに、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
[0181]
 また、上記吸収体として、吸水性樹脂以外にパルプ繊維等の吸収性材料を使用することもできる。この場合、吸収体中の吸水性樹脂の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30~100重量%、より好ましくは40~100重量%、さらに好ましくは50~100重量%、さらにより好ましくは60~100重量%、特に好ましくは70~100重量%、最も好ましくは75~95重量%である。
[0182]
 上記コア濃度を上記範囲とすることで、該吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合、吸収性物品が清浄感のある白色状態を保つことができる。さらに、尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配によって吸収量の向上が見込める。
[0183]
 本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法では、粒子状の添加剤を吸水性樹脂の製造途中に効果的に添加することによって、かような構成によって、乾燥後の吸水性樹脂中の残存モノマーを抑えることができ、さらに、吸水性能が安定する。
実施例
[0184]
 以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
[0185]
 なお、実施例および比較例で使用する電気機器(吸水性樹脂の物性測定も含む)は、特に注釈のない限り、200Vまたは100Vの電源を使用した。また、本発明の吸水性樹脂の諸物性は、特に注釈のない限り、室温(20~25℃)、相対湿度50%RH±10%の条件下で測定した。
[0186]
 また、便宜上、「リットル」を「l」または「L」、「重量%」を「wt%」と表記する場合がある。
[0187]
 [吸水性樹脂の物性測定]
 (a)CRC(無加圧下吸水倍率)
 本発明の吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT441.2-02)に準拠して測定した。
[0188]
 (b)AAP(加圧下吸水倍率)
 本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2-02)に準拠して測定した。なお、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。
[0189]
 (c)粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
 本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3)Mass-Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
[0190]
 (d)Ext(水可溶分)
 本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2-02)に準拠して測定した。
[0191]
 (e)残存モノマー
 本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2-02)に準拠して測定した。
[0192]
 (f)FSR(吸水速度)
 本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、国際公開第2011/078298号に開示された測定方法に準拠して測定した。
[0193]
 (g)酸素濃度
 市販されている酸素濃度計を用いて、所望する箇所での酸素濃度を測定した。該酸素濃度計として、新コスモス電機株式会社製の酸素濃度計(XP-3180)を使用した。また、配管に適宜ノズルを設置し、該ノズルに酸素濃度計の検知部を挿入することで、配管内の酸素濃度を測定した。なお、測定箇所の気圧に応じて補正した。なお、新コスモス電機株式会社製の酸素濃度計は、酸素濃度計として一般的なものである。そのため、「粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度」を、その他の一般的な酸素濃度計によって測定し、その値が、5容積%以下である場合、「前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする」との要件を満たしていると推定する。
[0194]
 [製造例1:粒子状添加剤の準備]
 アクリル酸(p-メトキシフェノールを70重量ppm含有)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液、イオン交換水およびポリエチレングリコールジアクリレート(n=9)(p-メトキシフェノールを100重量ppm含有)を混合して、モノマー濃度38重量%、中和率75モル%、液温20℃の単量体水溶液(1)を作製した。なお、該ポリエチレングリコールジアクリレートの使用量は、単量体に対して、0.08モル%であった。
[0195]
 次に、上記単量体水溶液(1)を滴下によって容量60Lの連続式ニーダー重合機に100kg/hrで供給した。その際、先ず、単量体水溶液(1)を連続式ニーダー重合機へ供給する配管中に窒素ガスを5L/hrで吹き込むことで脱気し、続いて、3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液を2L/hrで添加し、スタティックミキサーで混合した後、該連続式ニーダー重合機に供給した。また、上記連続式ニーダー重合機の原料(単量体水溶液)供給口付近から、1重量%のL-アスコルビン酸水溶液を0.2kg/hrで添加した。なお、過硫酸ナトリウムは、単量体に対して0.059モル%であり、L-アスコルビン酸は、単量体に対して、0.0027モル%である。
[0196]
 なお、上記連続式ニーダー重合機にはジャケットが設置されており、そこに温水(例えば60℃の温水)を通過させることで加熱される形態となっている。また、該重合機の空間部は排気によって、減圧となっており、ゲージ圧で-2kPaであった。
[0197]
 上記単量体水溶液(1)は上記連続式ニーダー重合機に供給された後、30秒後に重合が開始した。その後、水平移動しながら重合が進行し、含水ゲル状架橋重合体(1)となった。なお、重合期間中の温度は、連続式ニーダー重合機のほぼ中央部で最高温度となり110℃を示した。
[0198]
 その後、連続式ニーダー重合機内で15分間熟成することで重合反応を終了させ、含水ゲル(1)を排出した。なお、このときの含水ゲル(1)の温度は80℃であった。
[0199]
 次に、上記重合で得られた含水ゲル(1)を、温度180℃、風速1.5m/秒の静置熱風乾燥機を用いて40分間乾燥することで、乾燥重合体(1)を得た。
[0200]
 続いて、上記乾燥重合体(1)を軽く解した後、ロールミルで粉砕し、目開きが850μmおよび150μmのJIS標準篩を用いて分級した。該分級によって、目開き850μmの篩上に残留した粒子(以下、「篩上物」と称する)(1)、および目開き150μmを通過した粒子(以下、「篩通過物」と称する)(1)を得た。
[0201]
 なお、上記篩上物(1)は乾燥重合体(1)全体に対して1重量%、上記篩通過物(1)は乾燥重合体(1)全体に対して9重量%であった。なお、以下の実施例では、該篩通過物(1)を吸水性樹脂微粉(A)と称する。なお、吸水性樹脂微粉(A)中のp-メトキシフェノールは15ppmであった。
[0202]
 [実施例1:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の作製]
 まず、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造に用いた装置について説明する。
[0203]
 図1に示すように、容量10Lのステンレス製容器9が連続式ニーダー重合機2の上方に配置されている。連続式ニーダー重合機2には、単量体水溶液を供給するための配管1が接続されている。また、該容器9は、連続式ニーダー重合機2と配管4で接続されており、その接続箇所は連続式ニーダー重合機2の前方(なお、含水ゲル排出口3側を「後方」と定義とする)から全長の25%の位置であった。また、該容器9の内容物(吸水性樹脂微粉(A))を連続式ニーダー重合機2に供給するため、該配管4の途中にスクリューフィーダー10を設置した。
[0204]
 また、上記ステンレス製容器9には、内容物(吸水性樹脂微粉(A))に対して窒素ガスを吹き込むための配管11bが設置され、その先端にノズル(図示せず)が設置されており、さらに、該容器9と、連続式ニーダー重合機2とを接続する配管4にも、窒素ガスを吹き込むための配管11aが設置され、その先端にノズル(図示せず)が設置されている。そして、該容器9には枝分け部があり、その内部に酸素濃度計13が設置され、配管4にも連続式ニーダー重合機2との接続部から該容器9の方向に0.3mの地点にノズルが設置され、その内部に酸素濃度計12が設置されている。なお、上記容器9、配管4、スクリューフィーダー10は予め外壁から電気ヒーターを用いて70℃に加熱しておいた。ただし、酸素濃度計が設置されている枝分け部内部については40℃とした。
[0205]
 以下、具体的な操作について説明する。
[0206]
 上記ステンレス製容器9に、製造例1で得られた吸水性樹脂微粉(A)を充填し、滞留時間中貯蔵しながら、該容器9に設置したノズルから、窒素ガスを20L/hrで吹き込んだ(貯蔵工程)。
[0207]
 また、当該吸水性樹脂微粉(A)をステンレス製容器9から連続式ニーダー重合機2に供給しながら、配管11aに設置したノズルから配管4に窒素ガスを20L/hrで吹き込んだ(添加工程)。
[0208]
 なお、充填中、該容器9での吸水性樹脂微粉(A)の充填量(貯蔵量)が2kgで一定となるように制御した。また、該充填は、乾燥空気(温度25℃、相対湿度20%RH)の雰囲気下で、スクリューフィーダー14を用いて実施した。
[0209]
 その後、粒子状添加剤としての吸水性樹脂微粉(A)を連続式ニーダー重合機2に供給しながら製造例1と同様の条件で重合を行った。
[0210]
 すなわち、上記単量体水溶液(1)と同様にして作製した単量体水溶液(1a)を、製造例1と同様に脱気し、さらに過硫酸ナトリウムおよびL-アスコルビン酸を添加した後、配管1を通じて、100kg/hrで連続式ニーダー重合機2に滴下して供給し、他方で、粒子状添加剤としての吸水性樹脂微粉(A)を連続式ニーダー重合機2に供給することによって、重合工程を開始し、含水ゲル(1a)の作製を開始した。
[0211]
 なお、単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、吸水性樹脂(微粉)の使用量は、10重量部であった。また、上記単量体水溶液には、上記アクリル酸から持ち込まれる重合禁止剤が含まれているが、その含有量は57重量ppmであった。
[0212]
 よって、連続式ニーダー重合機2においては、(まだ重合が開始されていない)単量体水溶液(1a)および/または含水ゲル(1a)に、粒子状添加剤としての吸水性樹脂微粉(A)が添加された形態となり、つまり、重合工程、ゲル粉砕工程および添加工程が、同一のニーダー重合機で行われていることになった。
[0213]
 なお、上記操作によって、上記容器9内の酸素濃度は3容積%となり、(つまり、連続式ニーダー重合機2に供給される前の、吸水性樹脂微粉(A)の周辺雰囲気の酸素濃度が、3容積%となり)、上記配管4内(連続式ニーダー重合機2との接続部から該容器9の方向に0.3mの地点)の酸素濃度は1容積%(つまり、吸水性樹脂微粉(A)が連続式ニーダー重合機に供給される際に通る配管内の酸素濃度は1容積%)であった。
[0214]
 なお、連続式ニーダー重合機2との接続部から該容器9の方向に0.3mの地点で酸素濃度を測定しているが、定常状態では配管4中の酸素濃度は均一であるとみなしてよい。同様に、容器9内の酸素濃度も、窒素ガスを継続的に一定の流量で吹き込んでいるので、定常状態では均一であるとみなしてよい。
[0215]
 以上のようにして、粒子状添加剤としての吸水性樹脂微粉(A)の存在下で、前記単量体水溶液に含まれる単量体を重合する重合工程を行いながらゲル粉砕工程を行って作製した含水ゲル(1a)を、含水ゲル排出口3を通じて排出し、それを製造例1と同様に乾燥することによって、乾燥重合体(1a)を得(乾燥重合体(1a)の樹脂固形分は、95重量%)、当該乾燥重合体(1a)を製造例1と同様に分級した。該分級によって、目開き850μmの篩を通過し、目開き150μmの篩上に残留した吸水性樹脂粉末(1a)を得た。
[0216]
 続いて、上記操作で得られた吸水性樹脂粉末(1a)100重量部に対して、炭酸エチレン0.5重量部、イオン交換水3重量部からなる表面架橋剤溶液を、高速攪拌型混合機を使用して混合した後、温度205℃の無風オーブンを用いて40分間加熱することで、表面架橋反応を実施した。
[0217]
 その後、目開き850μmのJIS標準篩を通過させることで、吸水性樹脂(1a)を得た。得られた吸水性樹脂(1a)(ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)の物性を表1に示す。
[0218]
 なお、製造例1において粒子状添加剤を作製するために使用した連続式ニーダー重合機は、実施例1の連続式ニーダー重合機2と同じである。また、その他の構造も、実施例1と同じである。
[0219]
 [実施例2:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の作製]
 実施例1において、ステンレス容器9内への窒素ガスの吹き込みを行わず、配管4への窒素ガスの吹き込み量を40L/hrに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、吸水性樹脂(2a)を得た。得られた吸水性樹脂(2a)の物性を表1に示す。
[0220]
 また、上記容器9内の酸素濃度(つまり、連続式ニーダー重合機2に供給される前の、吸水性樹脂微粉(A)の周辺雰囲気の酸素濃度)は、20容積%であり、上記配管4内(連続式ニーダー重合機との接続部から該容器の方向に0.3mの地点)の酸素濃度(つまり、吸水性樹脂微粉(A)が連続式ニーダー重合機に供給される際に通る配管内の酸素濃度)は4容積%であった。
[0221]
 [比較例1:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の作製]
 実施例1において、ステンレス容器9内への窒素ガスの吹き込みを行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較吸水性樹脂(比1a)を得た。得られた比較吸水性樹脂(比1a)の物性を表1に示す。
[0222]
 また、上記容器9内の酸素濃度(つまり、連続式ニーダー重合機2に供給される前の、吸水性樹脂微粉(A)の周辺雰囲気の酸素濃度)は、20容積%であり、上記配管4内(連続式ニーダー重合機との接続部から該容器の方向に0.3mの地点)の酸素濃度(つまり、吸水性樹脂微粉(A)が連続式ニーダー重合機に供給される際に通る配管内の酸素濃度)は7容積%であった。
[0223]
 [比較例2:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の作製]
 実施例1において、ステンレス容器内および配管への窒素ガスの吹き込みを行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、連続式ニーダー重合機内で発生した揮発成分(例えば、水蒸気やアクリル酸等)が配管内に進入するようになり、そこで吸水性樹脂微粉(A)と接触することで、該配管内に詰まりが発生するようになり、安定稼働ができなかった。
[0224]
 [比較例3:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の作製]
 実施例1において、吸水性樹脂微粉(A)を連続式ニーダー重合機に供給しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較吸水樹脂(比3a)を得た。得られた比較吸水性樹脂(比3a)の物性を表1に示す。なお、吸水性樹脂微粉(A)を連続式ニーダー重合機に供給する際に用いる配管は、塞いでおいた。
[0225]
[表1]


[0226]
 (まとめ)
 表1に示したように、貯蔵容器9や配管4内の酸素濃度が、吸水性樹脂の物性に影響することが分かる、すなわち、該酸素濃度が高くなるほど、得られる吸水性樹脂のAAPが低下し、残存モノマーが増加する傾向が確認された。また、粒子状添加剤を添加しない形態では、FSRが低くなるということも示唆された。
[0227]
 また、実施例1と実施例2では、使用する窒素ガス量が40L/hrと同量であるにも関わらず、得られる吸水性樹脂の物性に若干の差異が確認された。この現象は、貯蔵容器内に窒素ガスを吹き込む方が、連続式ニーダー重合機への酸素の持ち込み量を効率良く防止していると判断できる。
[0228]
 なお、図1は、ベンチレベルの装置の形態であるが、無論、これに限らず、実機レベルの装置の形態を用いてもよい。図2は、本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造装置の一例を示す図である。相違点を説明すると、容器9は、当該容器9に空気を送るための空気輸送ライン5と接続されており、途中には空気量を調整するためのロータリバルブ8が設置されている。また、空気輸送ライン5と、ロータリバルブ8との間にはサイクロン6がある。このサイクロン6は、乾燥空気中に舞っている吸水性樹脂微粉を収集し、吸水性樹脂微粉と乾燥空気を分離する役割がある。吸水性樹脂微粉と分離された乾燥空気は、空気輸送排気管7を通過して排出される。

産業上の利用可能性

[0229]
 本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂の生産、特に大量に生産する場合に好ましく適用される。また、本発明で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生用品の吸収体用途として、優れている。

符号の説明

[0230]
 1…配管
 2…連続式ニーダー重合機
 3…含水ゲル排出口
 4…配管
 5…空気輸送ライン
 6…サイクロン
 7…空気輸送排気配管
 8,10…ロータリバルブ
 9…ステンレス製容器
 11a,11b…配管
 12,13…枝分け部(酸素濃度計)
 14,15…スクリューフィーダー。
[0231]
 なお、本出願は、2014年3月3日に出願された日本国特許出願第2014-40555号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

請求の範囲

[請求項1]
 アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を含む水溶液を調製する、単量体水溶液の調製工程と;
 前記単量体を重合させて含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と;
 前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥させて乾燥重合体を得る乾燥工程と;を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
 前記単量体水溶液および/または前記含水ゲル状架橋重合体に粒子状添加剤を添加する、添加工程をさらに含み、
 前記添加工程において、前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
[請求項2]
 前記重合工程と同時または後に、前記含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕する、ゲル粉砕工程をさらに含み、
 前記添加工程が、該ゲル粉砕工程を伴って行われる、請求項1に記載の製造方法。
[請求項3]
 前記重合工程、前記ゲル粉砕工程および前記添加工程が、同一のニーダー重合機で行われる、請求項2に記載の製造方法。
[請求項4]
 前記重合工程が、連続ニーダー重合で行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項5]
 前記添加工程の前に、前記粒子状添加剤を輸送する、輸送工程をさらに含み、
 前記輸送工程において、空気輸送が行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項6]
 前記添加工程の前に、前記粒子状添加剤を貯蔵する、貯蔵工程をさらに含み、
 前記貯蔵工程において、前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を5容積%以下とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項7]
 前記粒子状添加剤の周辺雰囲気の酸素濃度を、不活性ガスを用いて低下させる、不活性ガス処理工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項8]
 前記粒子状添加剤の温度を、前記添加工程の前および/または前記不活性ガス処理工程の前に、30~150℃に加熱する、請求項7に記載の製造方法。
[請求項9]
 前記粒子状添加剤が、前記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、0.01~5重量部の無機粒子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項10]
 前記粒子状添加剤が、前記単量体水溶液中の単量体100重量部に対して、1~30重量部の吸水性樹脂微粉を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項11]
 前記吸水性樹脂微粉が、粒子径が150μm未満の微細粒子を70重量%以上含む吸水性樹脂である、請求項10に記載の製造方法。
[請求項12]
 前記単量体水溶液および吸水性樹脂微粉にp-メトキシフェノールが含まれ、
 該単量体水溶液中に含まれるp-メトキシフェノールの濃度が、吸水性樹脂微粉に含まれるp-メトキシフェノールの濃度より高濃度である、請求項10または11に記載の製造方法。
[請求項13]
 前記吸水性樹脂微粉に、多価アルコール、アルカノールアミン、ポリアミン及び3価以上の金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上が含まれる、請求項10~12のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項14]
 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のFSRが0.25g/g/s以上であり、かつ、残存モノマーが350ppm以下である、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]