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1. (WO2015132870) 配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置
Document

明 細 書

発明の名称 配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014   0015   0016   0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048  

実施例 1

0049   0050   0051   0052  

実施例 2

0053   0054   0055   0056  

実施例 3

0057   0058   0059   0060  

符号の説明

0061  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

発明の名称 : 配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置

技術分野

[0001]
 本発明は、例えばビルやマンションの配管、通常の温泉や循環温泉の配管、ボイラー内の配管及びそれにつながる外部の配管、クーリングタワーの冷房配管等に流れる水溶液によって、これらの配管の内面に生じる付着生成物の予防及び除去を図ることが可能な配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置に関する。

背景技術

[0002]
 この種の配管内面付着生成物としては、水アカや、Ca 2+、Mg 2+、Fe 2+などのスケール成分が認められる。また、例えば循環温泉では入浴によるアカ等や、このアカ等を餌として繁殖したレジオネラ属菌や大腸菌などによる生物膜も配管内面付着生成物として認められる。このような配管内面付着生成物は、当該配管の流路断面積を狭め水溶液の流れを阻害することになるばかりでなく、健康に害を及ぼすおそれもあることから、定期的に除去することが必要である。
[0003]
 配管内面付着生成物を除去する方法としては、単にブラシ等による機械的な方法で剥離除去する方法や、薬剤を用いて化学的に除去する方法等があるが、ブラシ等により機械的に除去する方法では配管を傷め、また薬剤を用いる方法ではその薬剤の流出により環境に悪影響を与えるなどの副作用を生じるおそれがある。
[0004]
 例えば、配管内面付着生成物を除去する第1の従来例としては、比重が水に近い性質のペレットを作製し、このペレットを循環水の中に混入して配管内面に付着したスケールを剥離する方法がある。また、第2の従来例としては、ペレットや薬品などを用いずに、循環水の温度や流速を変化させ、配管と、この内面に付着したスケールとの膨張係数の差を利用しながら配管内面に付着したスケールを剥離する方法がある(例えば、特許文献1)。更に、第3の従来例としては、腐食抑制剤を添加した酸性の液体で洗浄しながら配管内面に付着したスケールを剥離する方法がある(例えば、特許文献2、3、4)。そして、第4の従来例としては、ボイラーにつながる配管の外周に磁場を印加して、磁気作用で循環水を軟水化し、また循環水中に含まれるCaC0 の結晶構造をアルゴナイトからカルサイトに変化させることにより、ボイラー内外の配管内面に付着したスケールを微細化して剥離する方法がある(例えば、特許文献5)。
[0005]
 更に、第5の従来例としては、ボイラーなどの配管外周に永久磁石を装着して配管内に漏洩磁界を発生させる事により、配管内に流れる水溶液が漏洩磁界から発生する磁力線を切ると、電磁界の作用によりローレンツ力が発生し、このローレンツ力が配管内面付着生成物に作用して当該付着生成物を剥離するものがある(例えば、特許文献6)。この第5の従来例においては、配管内面付着生成物が剥離し、その配管内面付着生成物が水溶液中に存在すると、当該水溶液がアルカリ性の電解質となり、H O→H +OH と電離するので、このH と配管内面付着生成物とのイオン化傾向の差による電流が配管の延在する方向へ向かい、配管の内面に沿って流れることで配管内面付着生成物に電気分解を起こさせて当該配管内面付着生成物を剥離することにもなる。即ち、ローレンツ力と、水溶液のイオン化傾向の差から生じる電流による電気分解との相乗作用により配管内面付着生成物を剥離することができる。しかし、一般に永久磁石を配管の外周に装着した場合、永久磁石から発生する漏洩磁界の範囲はその永久磁石の前後約1メートル程度(即ち、配管の長手方向に約2メートル程度)と短い。このため、この漏洩磁界から放出する磁力線の範囲も狭くなり、この磁力線から誘起するローレンツ力の範囲も短くなるので、ローレンツ力により配管内面付着生成物を剥離する配管の長さも短くなる。更に、イオン化傾向の差から生じる電流による電気分解とローレンツ力との相乗作用による剥離効果の範囲も短くなる。そのため、配管が長くなると永久磁石の数が多くなりコストが高くなる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開昭54-5104号公報
特許文献2 : 特開昭52-82639号公報
特許文献3 : 特開昭54-117327号公報
特許文献4 : 特開昭56-2897号公報
特許文献5 : 特許1215830号公報
特許文献6 : 特許3004918号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上記第1~第3の従来例では、ボイラーやクーリングタワー等の配管から配管内面付着生成物を剥離する際や、循環温泉における配管から生物膜を含む配管内面付着生成物を除去する際に、それらの配管における水溶液の流れを停止する必要があるので、その間、それらの施設を使用することができず、多くの損失が生じることになるという問題がある。更に、上記第1~第3の従来例の何れについても洗浄によって生じたスケールを外部に取り出して排出する必要があるので、保守に多大な費用と時間が掛るという問題がある。
[0008]
 更に、第5の従来例では、永久磁石を設置した部分から約1メートルを超えるような部分では配管内面付着生成物の剥離効果が低くなり、2メートルを超えるような配管の場合には高価な永久磁石を多く設置することが必要になる。このため、その設置費用が高額になると共に、永久磁石設置に対する保守や点検などに要する時間も多く掛るという問題がある。
[0009]
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、配管を傷めたり薬剤が外部に排出されたりすることがなく、かつ2メートルを超える長さの配管に対しても配管内面付着生成物の除去やその発生の予防をすることができ、しかもその除去や予防を施設の機能を停止することなく自動的に行うことができ、保守、点検の費用及び時間の低減を図ることのできる配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、水溶液を通す配管における当該水溶液の流れ方向の上流側に位置する配管最先端近傍の外周にコイル状に巻く配管最先端側リード線と、上記配管における上記水溶液の流れ方向の下流側に位置する配管最終端近傍の外周にコイル状に巻く配管最終端側リード線と、上記配管最終端側リード線に接続され、当該配管最終端側リード線の近傍の土壌に設置されるアースと、正電圧を上記配管最先端側リード線における上記上流側に位置する最先端部に印加すると共に、負電圧を上記配管最先端側リード線における上記下流側に位置する最終端部に印加する定電圧電源とを備え、上記配管最先端側リード線及び上記配管最終端側リード線は、上記配管が誘電体である場合には当該配管の外周面にコイル状に巻き、上記配管が導電体である場合には当該配管の外周面に誘電体シートを巻いた上で、その誘電体シートの上からコイル状に巻くようになっており、上記配管最終端側リード線における上記アースに接続した位置の電位が上記配管最先端側リード線の最終端部に印加した上記定電圧電源からの負電圧と同じ負電位となることから、上記配管内に上記水溶液が流れることで、当該配管内にファラデイの電磁誘導の法則により誘起された電磁誘導電流(I)が発生し、この電磁誘導電流(I)が当該配管における上記配管最先端側リード線の存在する配管最先端近傍から上記配管最終端側リード線の存在する配管最終端近傍に流れ、更に当該配管最終端側リード線から上記アースを通じて地中へと流れることにより、上記電磁誘導電流(I)が上記配管内面及び当該配管内面に付着した配管内面付着生成物に沿って上記配管最先端近傍から上記配管最終端近傍に流れ、当該電磁誘導電流(I)が上記配管最先端近傍から上記配管最終端近傍までの上記配管内面付着生成物に作用して電気分解を起こし、当該配管内面付着生成物を上記配管内面から剥離することを特徴としている。
[0011]
 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、上記電磁誘導電流(I)が上記配管内面及び配管内面付着生成物に沿って流れると、ファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンぺールの法則により電磁誘導電流(I)の周囲に磁界(H)が発生し、更にフレミングの左手の法則により上記磁界(H)及び上記電磁誘導電流(I)の各方向に対して直交する方向にローレンツ力(F)が誘起され、このローレンツ力(F)が電磁誘導電流(I)の流れと直角に作用することで上記配管内面付着生成物を上記配管内面から引き離す方向の力となって作用し、このローレンツ力(F)と上記電磁誘導電流(I)による電気分解との相乗効果により、上記配管内面付着生成物の上記配管内面からの剥離を促進することを特徴としている。
[0012]
 請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、上記配管は下流側に向けて分岐されたものとなっており、上記配管最先端側リード線は、分岐前の配管における上記配管最先端近傍の外周にコイル状に巻くようになっており、上記配管最終端側リード線は、分岐後の配管におけるの上記配管最終端近傍の外周にコイル状に巻くようになっていることを特徴としている。
[0013]
 請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れかに記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、上記水溶液が接触する上記配管の内面は負電位に帯電する表面電位を有し、当該水溶液において析出する電解質成分を含む物質の表面は正電位に帯電する表面電位を有することから、静電的な吸引力により上記物質が当該配管内面に吸い寄せられて付着し堆積成長することで上記配管内面付着生成物となっており、この配管内面付着生成物が上記電磁誘導電流(I)と上記ローレンツ力(F)により上記水溶液中に移動すると、その移動後の配管内面付着生成物における電解質成分が電離することで、上記水溶液が電解質となって、H O→H +OH と電離し、H イオンによる正電荷の電流であるイオン電流(i)が負電位に帯電している当該配管の内面に向かって流れ、このイオン電流(i)の周囲にはファラデイの電磁誘導の法則により導かれるアンペールの法則から磁界(h)が発生し、この磁界(h)によりファラデイの電磁誘導の法則からローレンツ力(f)が誘起することになり、上記電磁誘導電流(I)による電気分解と、この電磁誘導電流(I)の周囲に発生する磁界(H)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(F)と、上記イオン電流(i)による電気分解と、このイオン電流(i)の周囲に発生する磁界(h)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(f)とによる、異なる4種類の剥離作用が重畳して機能的に関与すると共に、複合的な相乗効果となって関与することにより、上記配管から上記配管内面付着生成物を剥離することを特徴としている。

発明の効果

[0014]
 請求項1に記載の発明によれば、配管内面付着生成物を電気分解することで配管内面から除去することができるので、配管を傷めたり薬剤が外部に排出されたりすることがなく、かつ配管内面付着生成物が配管内面から除去された後は、当該配管内面付着生成物が配管内面に再び付着するのを防止することができる。また、配管から除去された配管内面付着生成物を外部に取り出して排出する必要もない。しかも、配管最先端側リード線と配管最終端側リード線との間隔を広げることにより、2メートルを超える長尺の配管に対しても配管内面付着生成物の除去及び予防を行うことができる。即ち、長尺の配管の場合でも設置費用が高額になるのを避けることができる。また、配管最先端側リード線に定電圧装置から電力を供給するだけでよいので、施設を停止することなく、配管内面付着生成物の除去及び予防を自動で行うことができる。従って、保守、点検の費用及び時間を大幅に低減することができる。
[0015]
 請求項2に記載の発明によれば、電磁誘導電流(I)による電気分解と、ローレンツ力(F)との相乗効果により、配管内面付着生成物の配管内面からの剥離をより一層促進することができる。
[0016]
 請求項3に記載の発明によれば、配管が下流に向かって分岐している場合でも、分岐前の配管に配管最先端側リード線を設置し、分岐後の配管に配管最終端側リード線を設置することにより、本流から支流に至る配管から配管内面付着生成物を除去することができると共に、当該各配管に配管内面付着生成物が付着するのを予防することができる。なお、分岐後の配管は複数あってもよい。即ち、複数の各分岐配管のそれぞれに配管最終端側リード線を設置し、アースに接続することにより、各分岐配管における配管内面付着生成物の除去及び予防も行うことができる。
[0017]
 請求項4に記載の発明によれば、電磁誘導電流(I)による電気分解と、この電磁誘導電流(I)の周囲に発生する磁界(H)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(F)と、イオン電流(i)による電気分解と、このイオン電流(i)の周囲に発生する磁界(h)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(f)とによる、異なる4種類の剥離作用が重畳して機能的に関与すると共に、複合的な相乗効果となって関与することにより、配管から配管内面付着生成物を強力に除去することができると共に、配管内面付着生成物が配管内面に付着するのを確実に防止することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明の実施形態1として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、誘電体からなる配管の外周面に配管最先端側リード線をコイル状に巻き、その配管最先端側リード線に電圧を印加する前の配管断面における電荷の状態をモデル化して示した図であり、電荷が不規則に現れた状態を示す説明図である。
[図2] 同配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、誘電体からなる配管の外周面に配管最先端側リード線をコイル状に巻き、その配管最先端側リード線に電圧を印加した後の配管断面における電荷の状態をモデル化して示した図であり、電荷が整列して配管内面及び外面に正(+)電荷及び負(-)電荷が規則的に現れた状態を示す説明図である。
[図3] 同配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置における定電圧装置を示す正面図である。
[図4] 同配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を示す図であって、誘電体の配管に対して配管最先端近傍の外周面に配管最先端側リード線をコイル状に巻き、配管最終端近傍の外周面に配管最終端側リード線をコイル状に巻き、配管最先端側リード線の最先端部に定電圧装置の正(+)電圧を印加し、同配管最先端側リード線の最終端部に定電圧装置の負(-)電圧を印加し、配管最終端側リード線にアース棒を接続した状態を示す説明図である。
[図5] 同配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を示す図であって、図4の断面図によって示した説明図である。
[図6] この発明の実施形態2として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置の図であって、導電体の配管に対して配管最先端近傍の外周面に誘電体のゴムシートを巻いた上で、その上から配管最先端側リード線をコイル状に巻き、配管最終端近傍の外周面に誘電体のゴムシートを巻いた上で、その上から配管最終端側リード線をコイル状に巻き、配管最先端側リード線の最先端部に定電圧装置の正(+)電圧を印加し、同配管最先端側リード線の最終端部に定電圧装置の負(-)電圧を印加し、配管最終端側リード線にアース棒を接続した状態を示す説明図である。
[図7] 同配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を示す図であって、図6の断面図によって示した説明図である。
[図8] この発明の実施形態3として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置の図であって、誘電体からなる配管であって下流側に向かって分岐する配管を用い、配管最先端側リード線は分岐前の本流配管最先端近傍の外周面にコイル状に巻き、配管最終端側リード線は分岐後の分岐配管最終端近傍の外周面にコイル状に巻き、配管最先端側リード線の最先端部に定電圧装置の正(+)電圧を印加し、同配管最先端側リード線の最終端部に定電圧装置の負(-)電圧を印加し、配管最終端側リード線にアース棒を接続した状態を断面図によって示した説明図である。
[図9] この発明の実施形態4として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置の図であって、導電体からなる配管であって下流側に向かって分岐する配管を用い、配管最先端側リード線は分岐前の本流配管最先端近傍の外周面に誘電体のゴムシートを巻いた上で、その上からコイル状に巻き、配管最終端側リード線は分岐後の分岐配管最終端近傍の外周面に誘電体のゴムシートを巻いた上で、その上からコイル状に巻き、配管最先端側リード線の最先端部に定電圧装置の正(+)電圧を印加し、同配管最先端側リード線の最終端部に定電圧装置の負(-)電圧を印加し、配管最終端側リード線にアース棒を接続した状態を断面図で示した説明図である。
[図10] 実施形態1から4における説明で示した右ネジの法則の概略図である。
[図11] 実施形態1から4における説明で示したフレミングの左手の法則の概略図である。
[図12] 実施形態1及び3として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置の回路について等価的に表現した回路図である。
[図13] 実施形態2及び4として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置の回路について等価的に表現した回路図である。
[図14] この発明の第1の実験例として示した実施例1であって、伊香保温泉(甲)旅館の実験現場を示す写真である。
[図15] 同実施例1における実験結果を示す写真であって、(a)は実施形態1で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置に相当する実験装置を用いた場合の温泉水を流してから2ヶ月経過後の配管内を示す写真であり、(b)は当該実験装置を用いていない場合の温泉水を流してから2ヶ月経過後の配管内を示す写真である。
[図16] この発明の第2の実験例として示した実施例2であって、長野県松代温泉(乙)荘の実験現場を示す写真であり、(a)は実施形態1で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置に相当する実験装置を源泉部に設置した状態を示す写真であり、(b)は源泉から約200先の貯水槽に位置する配管の様子を示す写真である。
[図17] 同実施例2における実験結果を示す写真であって、(a)は本実験装置を使用する直前の配管内を示す写真であり、(b)は当該実験装置を使用してから5ヶ月後の配管内を示す写真である。
[図18] この発明の第3の実験例として示した実施例3であって、有馬温泉源泉の実験現場を示す写真であり、(a)は実施形態2で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置に相当する実験装置を源泉部に設置した状態を示す写真であり、(b)は(a)におけるA部を拡大写真である。
[図19] 同実施例3おける実験結果を示す写真であって、(a)は本実験装置の使用開始時の配管内を示す写真であり、(b)は当該実験装置を(a)の状態から使用を開始して5日間経過後の配管内を示す写真である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[0020]
 〔実施形態1〕
 この発明の実施形態1として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101について、図1~5を参照して説明する。なお、この実施形態1及び後述する実施形態3においては、配管として誘電体を用いたものを示し、後述する実施形態2及び4においては、配管として導電体を用いたものを示す。このため、これから説明する電磁誘導電流I、ローレンツ力F、磁界H、電界強度E、電化密度σ、イオン電流i、内部抵抗R等については、誘電体の配管を用いた実施形態1及び3では1の添え字を付けて、電磁誘導電流I1、ローレンツ力F1、磁界H1、電界強度E1、電化密度σ1、イオン電流i1、内部抵抗R1等とし、導電体の配管を用いた実施形態2及び4では2の添え字をつけて、電磁誘導電流I2、ローレンツ力F2、磁界H2、電界強度E2、電化密度σ2、イオン電流i2、内部抵抗R2等として表示する。
[0021]
 先ず、実施形態1について、配管P1内に電磁誘導電流が誘起する原理について説明する。なお、実施形態2~4において、配管、本流配管、分岐配管内に電磁誘導電流が誘起する原理も同様である。
[0022]
 図1に示す配管P1は、ポリ塩化ビニル等の誘電体によって円筒状に形成されたものである。この配管P1の管壁断面内は、当該配管P1の外側から電圧が印加されていない状態では、正(十)電荷と負(一)電荷がバラバラに存在した状態を呈する。この状態の配管P1に外側から図2に示すように電圧を印加すると、正(十)電荷と負(一)電荷が所定の方向に移動し、これにより電気力線が現れることになる。このような現象は、誘電体からなる配管P1の外周にリード線Lをコイル状に巻き、そのリード線Lに図3に示す定電圧電源Xから電圧を加えることで得ることができる。なお、導電体からなる配管P2(後述する実施形態2や実施形態4で示す配管)の場合には、その配管P2の外周に誘電体であるゴムシート(誘電体シート)等を巻いた上で、その上からリード線Lをコイル状に巻き、そのリード線Lに電圧を加えることで、同様の現象を得ることができる。
[0023]
 そして、この実施形態1に係る配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101は、図4及び図5に示すように、水溶液が流れる配管P1における当該水溶液の流れ方向の上流側に位置する配管最先端近傍の外周にコイル状に巻く配管最先端側リード線La1と、配管P1における水溶液の流れ方向の下流側に位置する配管最終端近傍の外周にコイル状に巻き、アース棒(アース)A1に接続する配管最終端側リード線Lb1と、正(+)電圧を配管最先端側リード線La1における上流側に位置する最先端部に印加すると共に、負(-)電圧を配管最先端側リード線La1における下流側に位置する最終端部に印加する定電圧電源Xとを備えている。定電圧電源Xの正面図は、図3に示すように、正電圧端子Xaと、負電圧端子Xbと、アース接続端子Xcと、電圧、電流等の表示画面Xdとを備えている。
[0024]
 ここで、配管最先端側リード線La1は、配管P1における配管最先端近傍(配管上流端近傍)の外周面に直接コイル状に巻いている。一方、配管最終端側リード線Lb1は、配管P1における配管最終端近傍(配管下流端近傍)の外周面に直接コイル状に巻いている。アース棒ET1は、配管最終端側リード線Lb1の近傍(即ち、配管P1の最終端の近傍)の土壌に打ち込むようにして設置している。この状態で、定電圧電源Xの正電圧端子Xaを配管最先端側リード線La1の最先端部に接続し、負電圧端子Xbを配管最先端側リード線La1の最終端部に接続し、アース棒ET1を配管最終端側リード線Lb1の最終端部に接続する。なお、定電圧電源Xのアース接続端子Xcも、大地に接地する。そして、定電圧電源Xから配管最先端側リード線La1に正(十)電圧及び負(一)電圧を印加すると、配管P1内に電磁誘導電流I1が発生し、この電磁誘導電流I1により配管内付着生成物Sを電気分解することになる。
[0025]
 即ち、アース棒ET1の電位が配管最先端側リード線La1における最終端部の定電圧電源Xの負(一)電圧を印加した電位と同じ負(一)電位となるので、この配管P1内を水溶液が下流側に流れることで、ファラデイの電磁誘導の法則により誘電体の配管P1内に起電力V1(等価回路としての図12参照)が誘起し電磁誘導電流I1が流れる。
[0026]
 配管P1内に起電力V1(図12参照)が誘起し電磁誘導電流I1が流れる過程を述べると、配管P1が誘電体によって形成されているので、当該配管P1に定電圧を印加することにより、配管P1内に図2と同様に正(+)と負(-)の電荷が整列した状態に現れることになり、これにより図4の配管P1内に電界E1が発生する。更に、配管P1における配管最終端近傍のアース棒ET1の電位が配管最先端側リード線La1における最終端部に定電圧電源Xの負(-)電圧を印加した電位と同じ負(-)電位となる。このため、配管P1内を水溶液が流れると、当該配管P1内にファラデイの電磁誘導の法則による起電力V1が誘起し電磁誘導電流I1が流れる。
[0027]
 上記配管P1内に起電力V1(図12参照)が誘起し電磁誘導電流I1が流れる過程を断面図で説明すると、図5に示すようになる。即ち、配管P1に定電圧電源Xから電圧を印加すると、配管P1が誘電体であるので、図2と同様に配管P1内に正(+)と負(-)の電荷が存在することになり、これにより電気力線が現われ、電界E1が誘起する。
[0028]
 図5において、配管P1内に水溶液が流れると、ファラデイの電磁誘導の法則から起電力V1(図12参照)が誘起され、電磁誘導電流I1が流れる。この電磁誘導電流I1は、配管P1における配管最先端近傍内の配管内面付着生成物Sから配管P1における配管最終端近傍内の配管内面付着生成物Sへと当該配管P1の内面及び配管内面付着生成物Sに沿って流れ、アース棒ET1から地中へと流れる。この際、電磁誘導電流I1は、配管内面付着生成物Sを電気分解し、当該配管内面付着生成物Sを配管P1から剥離することになる。
[0029]
 一方、配管P1内を流れる電磁誘導電流I1の周囲にはファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則により磁界H1(図10参照)が発生する。図10は、磁界H1が発生する様子を示したものである。この図10は右ネジの法則と呼ばれ、右ネジの進む方向が電磁誘導電流I1の流れる方向で右ネジを廻す方向が磁界H1の方向となる。この磁界H1によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則によりローレンツ力F1(図11参照)が誘起する。図11は、ローレンツ力F1と、電磁誘導電流I1及び磁界H1との関係を示すフレミングの左手の法則に関するものである。この図11において親指の方向がローレンツ力F1の方向、人差し指の方向が磁界H1の方向、中指の方向が電磁誘導電流I1の方向となる。各々の指の交わる角度は、直角(90度)である。即ち、ローレンツ力F1は、その方向が電磁誘導電流I1の流れる方向に対して直角であることから、図5における配管P1内から配管内面付着生成物Sを引き離す方向の力として作用することになる。
[0030]
 上記配管P1内の動作の様子を等価的に示したのが図12の回路図である。図12において、V1は配管P1内に誘起する起電力であり、I1は配管P1内を流れる電磁誘導電流であり、E1は配管P1内に誘起する電界の強さであり、σ1は配管P1に誘起する電荷密度であり、σp1は特に配管P1内に誘起する電荷密度であり、Q1は配管P1内に誘起する電荷量であり、C1は配管P1内に誘起するキャパシターであり、R1は配管P1内に付着している配管内面付着生成物Sなどの内部抵抗である。また、図12において、σ1=±Q1/A1、E1=σ1/ε0であり、A1は誘電体(P1)の対向する部位の面積、ε0は誘電率である。更に、図12において、dは誘電体間の距離であり、i1は後述するイオン電流であり、h1は後述するイオン電流からの磁界であり、f1は後述するイオン電流からのローレンツ力である。
[0031]
 ビルや温泉施設などの配管のように、内部が水溶液に接触している配管P1の内面は、通常負(一)に帯電する表面電位を有しており、水溶液中の過飽和によって析出したスケールの結晶体の表面電位は正(十)に帯電しているので、電気的な引力関係によりスケールは当該配管P1の内面に吸い寄せられて付着し堆積成長して配管内面付着生成物Sとなる。この配管内面付着生成物SにはCaC0 、MgC0 、Fe 等の成分が存在し、水溶液中に混在するので、水溶液が電界質となり、H O→H +OH と電離し、このH イオンによる電流(イオン電流i1)が正(+)の電位となる。このため、この電流(イオン電流i1)が負(-)に帯電している当該配管内面付着生成物S及び配管P1の内面に向かって流れ、当該配管内面付着生成物Sを電気分解することで、当該配管内面付着生成物Sを剥離することになる。更に、このイオン電流i1は、配管P1の内面及び配管内面付着生成物Sに沿って下流側に流れ、配管内面付着生成物Sを電気分解により剥離する。また、このイオン電流i1の周囲にはファラデイの電磁誘導の法則から磁界h1が誘起し、この磁界h1にファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則によるローレンツ力f1が誘起するので、このローレンツ力f1が配管P1内の配管内面付着生成物Sに作用して当該配管内面付着生成物Sを配管P1から剥離する。
[0032]
 この様に図5の配管P1内においては、電磁誘導電流I1、ローレンツ力F1、イオン電流i1、及びローレンツ力f1による4種類の剥離作用が関与し、これが互いに相乗効果を生み、機能的に作用することにより、配管P1の内面からの配管内面付着生成物Sの剥離をより一層促進することになる。また、配管内面付着生成物Sが配管P1の内面に付着するのを確実に防止することができる。これにより、配管P1内を流れる水溶液の流れを常に良好に保つことができるので、配管P1に対するメンテナンスの回数を大幅に低減することができ、その保守、点検及びこれに伴う費用及び時間の軽減を図ることができる。
[0033]
 〔実施形態2〕
 次に、この発明の実施形態2として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置102について、図6及び7を参照して説明する。この実施形態2は、配管として鋳鉄等の導電体からなる配管P2を用い、この配管P2における配管最先端近傍及び配管最終端近傍のぞれぞれの外周面に誘電体であるゴムシートJを巻き、その上から配管最先端側リード線La2及び配管最終端側リード線Lb2をコイル状に巻いている点で、上述の実施形態1と異なっている。
[0034]
 即ち、図3に示す定電圧電源Xの正(十)電圧を配管最先端側リード線La2の最先端部に印加し、かつ当該定電圧電源Xの負(-)電圧を当該配管最先端側リード線La2の最終端部に印加している。また、配管P2における配管最終端近傍の外周に巻いた配管最終端側リード線Lb2を、同じく配管最終端近傍に位置する土壌内に打ち込んだアース棒ET2に接続している。
[0035]
 これにより、アース棒ET2の電位が配管最先端側リード線La2の最終端部に印加した定電圧電源Xによる負(-)電圧と同じ負(-)電位となる。このため、配管P2内を上流側から下流側に水溶液が流れると、配管P2内にファラデイの電磁誘導の法則により起電力V2(図13参照)が誘起し電磁誘導電流I2が流れることになる。
[0036]
 配管P2が導電体によって形成されている場合、この配管P2の外周面にゴムシートJを巻いて電圧を印加すると、配管P2の壁部断面内にゴムシートJ内の正(+)電荷と負(-)電荷が導電体からなる配管P2の材質に基づいて誘導され、図2と同様に正(+)電荷と負(-)電荷が整列した状態となる。即ち、図7に示す配管P2内に、図2と同様の正(+)電荷と負(-)電荷が整列した状態となって現われる。これにより、図7に示すように、配管P2内に電界E2が発生する。
[0037]
 そして、配管P2内に起電力V2(図13参照)が誘起し、電磁誘導電流I2が流れる過程を、図7の断面図で説明すると、ゴムシートJ内に存在する正(+)電荷と負(-)電荷が導電体の配管P2に誘導されて当該配管P2内に図2と同様に正(+)電荷と負(-)電荷と電気力線が現われ、これにより電界E2が発生することになる。
[0038]
 そして、配管P2内に水溶液が流れると、ファラデイの電磁誘導の法則から起電力V2が誘起され、電磁誘導電流I2が流れる。この電磁誘導電流I2は配管P2の上流端部からその配管P2の内面及びこれに付着した配管内面付着生成物Sに沿ってアース棒ET2まで流れることで、当該配管内面付着生成物Sを電気分解し、当該配管内面付着生成物Sを配管P2から除去することになる。
[0039]
 更に、配管P2内を流れる電磁誘導電流I2の周囲には、ファラデイの電磁誘導の法則により磁界H2(図13参照)が発生し、ファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則によりローレンツ力F2(図13参照)が誘起する。このローレンツ力F2の向きは図10の右ネジの法則にならい右ネジの進む方向が電磁誘導電流I2の流れる方向で右ネジを廻す方向が磁界H2となる。そして、図11のフレミングの左手に法則にならうと、親指の方向がローレンツ力F2の方向、人差し指の方向が磁界H2の方向、及び中指の方向が電磁誘導電流I2となり各々の指のなす角度は直角(90度)となる。このローレンツ力F2は、電磁誘導電流I2に直角の方向に作用することから、配管P2の内面から配管内面付着生成物Sを剥離する方向に作用することにもなる。
[0040]
 上記配管P2内の動作の様子を等価的に示したのが図13の回路図である。この図13において、V2は配管P2内に誘起する起電力であり、I2は配管P2内を流れる電磁誘導電流であり、E2は配管P2内に誘起する電界の強さであり、σ2は配管P2に誘起する電荷密度であり、σp2は特に配管P2内に誘起する電荷密度であり、Q2は配管P2内に誘起する電荷量であり、C2は配管P2内に誘起するキャパシターであり、R2は配管P2内に付着している配管内面付着生成物Sなどの内部抵抗である。また、図13において、σ2=±Q2/A2、E2=σ2/ε0であり、A2は誘電体(ゴムシートJ)を伴う導電体(P2)の対向する部位の面積、ε0は誘電率である。更に、図13において、dは導電体(P2)間の距離であり、i2は後述するイオン電流であり、h2は後述するイオン電流からの電界であり、f2は後述するイオン電流からのローレンツ力である。
[0041]
 ビルや温泉施設などのように、内部が水溶液に接触している配管P2の内面は通常負(一)に帯電する表面電位を有しており、水溶液中の過飽和によって析出したスケールの結晶体の表面電位は正(十)に帯電しているので、電気的な引力関係によりスケールは当該配管P2の内面に吸い寄せられて付着し堆積成長して配管内面付着生成物Sとなる。この配管内面付着生成物SにはCaC0 、MgC0 、Fe 等の成分が存在し、水溶液中に混在するので、水溶液が電界質となり、H O→H +OH と電離し、このH イオンによる電流(イオン電流i2)が正(+)の電位となる。このため、この電流(イオン電流i2)が負(-)に帯電している当該配管内面付着生成物Sと配管P2の内面に向かって流れ、当該配管内面付着生成物Sを電気分解することで、当該配管内面付着生成物Sを剥離することになる。更に、このイオン電流i2は、配管P2の内面及び配管内面付着生成物Sに沿って下流側に流れ、配管内面付着生成物Sを電気分解により剥離する。また、このイオン電流i2の周囲にはファラデイの電磁誘導の法則から磁界h2が誘起し、この磁界h2にファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則によるローレンツ力f2が誘起するので、このローレンツ力f2が配管P2内の配管内面付着生成物Sに作用して当該配管内面付着生成物Sを配管P2から剥離する。
[0042]
 この様に図7の配管P2内においては、電磁誘導電流I2、ローレンツ力F2、イオン電流i2、及びローレンツ力f2による4種類の剥離作用が関与し、これが互いに相乗効果を生み、機能的に作用することにより、配管P2の内面からの配管内面付着生成物Sの剥離をより一層促進することになる。また、配管内面付着生成物Sが配管P2の内面に付着するのを確実に防止することができる。これにより、配管P2内を流れる水溶液の流れを常に良好に保つことができるので、配管P2に対するメンテナンスの回数を大幅に低減することができ、その保守、点検及びこれに伴う費用及び時間の軽減を図ることができる。
[0043]
 〔実施形態3〕
 次に、この発明の実施形態3として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置103について、図8を参照して説明する。この実施形態3は、ポリ塩化ビニル等の誘電体からなる配管P1が下流側に向けて途中で分岐し、分岐前の本流配管P1aと、分岐後の分岐配管P1bとなっており、本流配管P1aにおける本流配管最先端近傍の外周面に配管最先端側リード線La1を直接コイル状に巻き、分岐配管P1bにおける分岐配管最終端近傍の外周面に配管最終端側リード線Lb1を直接コイル状に巻いている点で、上述の実施形態1と異なっている。その他は、実施形態1と同様の構成になっているので、図8において、実施形態1の図5で示した符号と同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
[0044]
 なお、分岐配管P1bについては一本でも複数本でもよく、配管最終端側リード線Lb1は複数の各分岐配管P1bのそれぞれに巻くように設置してもよい。なお、この実施形態3では、一つの分岐配管P1bにおける分岐配管最終端近傍の外周面に配管最終端側リード線Lb1を巻いた例を示している。
[0045]
 上記のように構成された実施形態3に係る配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置103においては、配管最先端側リード線La1が巻かれた本流配管P1aにおける本流配管最先端近傍から配管最終端側リード線Lb1が巻かれた分岐配管P1bにおける分岐配管最終端近傍までの配管P1の内面に付着した配管内面付着生成物Sを、上述した実施形態1と同様に、電磁誘導電流I1、ローレンツ力F1、イオン電流i1、及びローレンツ力f1による4種類の剥離作用に基づいて極めて効率よく除去することができる。また、配管内面付着生成物Sが配管P1の内面に付着するのを確実に防止することができる。従って、分岐する配管P1に対してもメンテナンスの回数を大幅に低減することができ、その保守、点検及びこれに伴う費用及び時間の軽減を図ることができる。
[0046]
 〔実施形態4〕
 次に、この発明の実施形態4として示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置104について、図9を参照して説明する。この実施形態4は、鋳鉄等の導電体からなる配管P2が下流側に向けて途中で分岐し、分岐前の本流配管P2aと、分岐後の分岐配管P2bとなっており、本流配管P2aにおける本流配管最先端近傍の外周面にゴムシートJを巻いた上で、その上から配管最先端側リード線La2をコイル状に巻き、分岐配管P2bにおける分岐配管最終端近傍の外周面にゴムシートJを巻いた上で、その上から配管最終端側リード線Lb2をコイル状に巻いている点で、上述の実施形態2と異なっている。その他は、実施形態2と同様の構成になっているので、図9において、実施形態2の図7で示した符号と同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
[0047]
 なお、分岐配管P2bについては一本でも複数本であってもよく、配管最終端側リード線Lb2は複数の各分岐配管P2bのそれぞれに巻くように設けてもよい。なお、この実施形態4では、一つの分岐配管P2bにおける分岐配管最終端近傍の外周面に配管最終端側リード線Lb2を巻いた例を示している。
[0048]
 上記のように構成された実施形態4に係る配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置104においては、配管最先端側リード線La2が巻かれた本流配管P2aにおける本流配管最先端近傍から配管最終端側リード線Lb2が巻かれた分岐配管P2bにおける分岐配管最終端近傍までの配管P2の内面に付着した配管内面付着生成物Sを、上述した実施形態2と同様に、電磁誘導電流I2、ローレンツ力F2、イオン電流i2、及びローレンツ力f2による4種類の剥離作用に基づいて極めて効率よく除去することができる。また、配管内面付着生成物Sが配管P2の内面に付着するのを確実に防止することができる。従って、分岐する配管P2に対してもメンテナンスの回数を大幅に低減することができ、その保守、点検及びこれに伴う費用及び時間の軽減を図ることができる。
実施例 1
[0049]
 本発明の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を用いた第1の実験例を実施例1として示す。この実施例1は、上述した実施形態1で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101に相当する実験装置を、伊香保温泉(甲)旅館の配管に設置することで行っている。この甲旅館の泉質は、水溶液中におけるスケール等の成分がやや多いことが特徴である。
[0050]
 実験現場の写真を図14に示す。配管内面付着生成物を除去する配管は、塩ビ管(ポリ塩化ビニル管)である。即ち、配管は誘電体によって形成されている。また、この塩ビ管については、配管内面付着生成物の付着の度合いを目視にて判定可能にするため、所定の長さに切断した塩ビ管をテストピース管とし、このテストピース管を長手方向の中間に着脱自在に組み込んだものとなっている。この塩ビ管の径は、50mmφである。そして、塩ビ管における上流端部(配管最先端近傍)の外周面に直接配管最先端側リード線をコイル状に巻き、この配管最先端側リード線の最先端部に定電圧電源の正(+)電圧として+30Vの電圧を印加し、当該配管最先端側リード線の最終端部に定電圧電源の負(-)電圧として-30Vの電圧を印加した。また、塩ビ管における下流端部(配管最終端近傍)の外周面に直接配管最終端側リード線をコイル状に巻いて、この配管最終端側リード線にアース棒を接続した。アース棒は、配管最終端側リード線の近傍の土壌に打ち込むことで設置した。なお、配管最先端側リード線及び配管最終端側リード線は、裸の導線を用いていることから、コイル状に巻いた上からテープを巻いて絶縁保護している。
[0051]
 実験は、上記実験装置を使用した場合と、使用しない場合とについて、塩ビ管内に温泉水を2ヶ月間流すことによって行い、テストピース内の配管内面付着生成物の堆積状況を調査した。
[0052]
 この実験結果を図15に示す。図15(a)は、本実験装置を使用した場合の配管内面付着生成物の堆積状態を示す写真である。また、図15(b)は、本実験装置を使用しなかった場合の配管内面付着生成物の堆積状態を示す写真である。本実験装置を用いた場合は、テストピース管の内面に、配管内面付着生成物がほとんど付着していないことが分かるが、本実験装置を使用していない場合は、テストピース管の内面に、配管内面付着生成物が多く付着していることが確認できる。即ち、本実験装置に対応する実施形態1の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101は、配管の内面に配管内面付着生成物が付着するのを防止する上で有利な効果があることが確認できた。
実施例 2
[0053]
 本発明の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を用いた第2の実験例を実施例2として示す。この実施例2は、上述した実施形態1で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101に相当する実験装置を、長野県松代温泉の(乙)荘の配管に設置することで行っている。この乙荘の泉質は、水溶液中におけるスケール等の成分が伊香保温泉より多いことが特徴である。
[0054]
 実験現場の写真を図16に示す。図16(a)は、源泉付近の配管及びこの配管に設置する本実験装置を示している。図16(b)は、源泉から約200m先に位置し、貯水槽に温泉水を供給する配管を示している。
[0055]
 配管内面付着生成物を除去する配管は、塩ビ管によって形成されている。また、この配管は、長さが約200メートルと長く、大部分が地中に埋設した状態になっている。このため、源泉側の立ち上がり付近において地上に露出した部分の配管(即ち、上流端部(配管最先端近傍)の配管)の外周面に配管最先端側リード線を直接コイル状に巻き、ほぼ200メートル先の貯水槽に温泉水を供給する部位において地上に露出した状態の配管(即ち、下流端部(配管最終端近傍)の配管)の外周面に配管最終端側リード線を直接コイル状に巻いている。この配管の径は、70mmφである。また、配管最先端側リード線の最先端部には定電圧電源の正(+)電圧として+30Vの電圧を印加し、当該配管最先端側リード線の最終端部には定電圧電源の負(-)電圧として-30Vの電圧を印加した。配管最終端側リード線の設置付近の土壌にアース棒を打ち込み、このアース棒に配管最終端側リード線を接続した。なお、配管最先端側リード線及び配管最終端側リード線については、裸の導線を用いていることから、コイル状に巻いた上から保護テープを巻いて絶縁保護した。この状態で、配管に温泉水を流すことにより実験を行った。
[0056]
 配管は、口径が70mmのものを用いているが、配管内面付着生成物により、1年でほぼ埋まる状態となることから、1年毎に交換することになっている。従って、配管の交換時に実験を開始した。図17(a)は、本実験装置を装着時の源泉付近の配管内の様子を示した写真であり、配管内面付着生成物が約80%程配管の内面に付着した状態になっている。図17(b)は、本実験装置を装着して5ケ月後の源泉付近の配管内の様子を示した写真であり、本実験装置の装着により配管内面付着生成物の量がほぼ半分に減少していることが分かる。即ち、本実験装置に対応する実施形態1の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置101は、配管内面付着生成物の剥離効果が顕著であることが確認できた。
実施例 3
[0057]
 本発明の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置を用いた第3の実験例を実施例3として示す。この実施例3は、上述した実施形態2で示した配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置102に相当する実験装置を、有馬温泉の源泉付近の配管に設置することによって行った。この温泉は、スケールなどの配管内付着量が日本一で、かつ高温であることが特徴である。この温泉では、水温が高いことから、配管として、高温での耐久性にすぐれた鋳鉄管が用いられている。即ち、配管は導電体によって形成されている。また、口径が50mmの配管を用いているが、配管内面付着生成物が5日程度で約90%に達することから、5日毎に配管を交換する作業が行われている。
[0058]
 実験現場の写真を図18に示す。図18(a)は、源泉付近の配管及びこの配管に設置する本実験装置を示している。図18(b)は、配管におけるゴムシート及び配管最先端側リード線を巻いた部分の拡大写真である。
[0059]
 この実施例3では、配管の上流端部(配管最先端近傍)の外周面にゴムシートを巻いた上で、その上から配管最先端側リード線をコイル状に巻き、当該配管の下流端部(配管最終端近傍)の外周面にゴムシートを巻いた上で、その上から配管最終端側リード線をコイル状に巻いている。配管最先端側リード線の最先端部には定電圧電源の正(+)電圧として+30Vの電圧を印加し、当該配管最先端側リード線の最終端部には定電圧電源の負(-)電圧として-30Vを印加した。配管最終端側リード線には、アース棒を接続している。このアース棒は配管最終端側リード線の近傍の土壌に打ち込まれている。なお、配管最先端側リード線及び配管最終端側リード線については、裸の導線を用いていることから、コイル状に巻いた上から保護テープを巻いて絶縁保護している。この状態で、配管に温泉水を流すことにより実験を行った。
[0060]
 実験は、5日間の配管の交換に合わせて行った。図19(a)は本実験装置の使用開始時(即ち、本実験装置を未使用の状態で5日経過時)の配管内の状態を示したものであり、配管内には約85%程の配管内面付着生成物が付着していることが分かる。一方、図19(b)は図19(a)の状態から本実験装置の使用を開始し、5日間経過した後の配管内の状態を示したものであり、配管内面付着生成物が約50%に低減していることが分かる。即ち、本実験装置に対応する実施形態2の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置102は、配管の内面に付着した配管内面付着生成物を剥離する効果が極めて大きいことが確認できた。

符号の説明

[0061]
 ET1、ET2 アース(アース棒)
 F1、F2 ローレンツ力
 f1、f2 イオン電流に基づくローレンツ力
 H1、H2 磁界
 h1、h2 イオン電流に基づく磁界
 I1、I2 電磁誘導電流
 i1、i2 イオン電流
 J ゴムシート(誘電体シート)
 La1、La2 配管最先端側リード線
 Lb1、Lb2 配管最終端側リード線
 P1、P2 配管
 P1a、P2a 本流配管
 P1b、P2b 分岐配管
 S 配管内面付着生成物
 X 定電圧電源

請求の範囲

[請求項1]
 水溶液を通す配管における当該水溶液の流れ方向の上流側に位置する配管最先端近傍の外周にコイル状に巻く配管最先端側リード線と、
 上記配管における上記水溶液の流れ方向の下流側に位置する配管最終端近傍の外周にコイル状に巻く配管最終端側リード線と、
 上記配管最終端側リード線に接続され、当該配管最終端側リード線の近傍の土壌に設置されるアースと、
 正電圧を上記配管最先端側リード線における上記上流側に位置する最先端部に印加すると共に、負電圧を上記配管最先端側リード線における上記下流側に位置する最終端部に印加する定電圧電源とを備え、
 上記配管最先端側リード線及び上記配管最終端側リード線は、上記配管が誘電体である場合には当該配管の外周面にコイル状に巻き、上記配管が導電体である場合には当該配管の外周面に誘電体シートを巻いた上で、その誘電体シートの上からコイル状に巻くようになっており、
 上記配管最終端側リード線における上記アースに接続した位置の電位が上記配管最先端側リード線の最終端部に印加した上記定電圧電源からの負電圧と同じ負電位となることから、上記配管内に上記水溶液が流れることで、当該配管内にファラデイの電磁誘導の法則により誘起された電磁誘導電流(I)が発生し、この電磁誘導電流(I)が当該配管における上記配管最先端側リード線の存在する配管最先端近傍から上記配管最終端側リード線の存在する配管最終端近傍に流れ、更に当該配管最終端側リード線から上記アースを通じて地中へと流れることにより、上記電磁誘導電流(I)が上記配管内面及び当該配管内面に付着した配管内面付着生成物に沿って上記配管最先端近傍から上記配管最終端近傍に流れ、当該電磁誘導電流(I)が上記配管最先端近傍から上記配管最終端近傍までの上記配管内面付着生成物に作用して電気分解を起こし、当該配管内面付着生成物を上記配管内面から剥離することを特徴とする配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、
 上記電磁誘導電流(I)が上記配管内面及び配管内面付着生成物に沿って流れると、ファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンぺールの法則により電磁誘導電流(I)の周囲に磁界(H)が発生し、更にフレミングの左手の法則により上記磁界(H)及び上記電磁誘導電流(I)の各方向に対して直交する方向にローレンツ力(F)が誘起され、このローレンツ力(F)が電磁誘導電流(I)の流れと直角に作用することで上記配管内面付着生成物を上記配管内面から引き離す方向の力となって作用し、このローレンツ力(F)と上記電磁誘導電流(I)による電気分解との相乗効果により、上記配管内面付着生成物の上記配管内面からの剥離を促進することを特徴とする配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、
 上記配管は下流側に向けて分岐されたものとなっており、
 上記配管最先端側リード線は、分岐前の配管における上記配管最先端近傍の外周にコイル状に巻くようになっており、
 上記配管最終端側リード線は、分岐後の配管におけるの上記配管最終端近傍の外周にコイル状に巻くようになっていることを特徴とする配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置。
[請求項4]
 請求項1~3の何れかに記載の配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置において、
 上記水溶液が接触する上記配管の内面は負電位に帯電する表面電位を有し、当該水溶液において析出する電解質成分を含む物質の表面は正電位に帯電する表面電位を有することから、静電的な吸引力により上記物質が当該配管内面に吸い寄せられて付着し堆積成長することで上記配管内面付着生成物となっており、この配管内面付着生成物が上記電磁誘導電流(I)と上記ローレンツ力(F)により上記水溶液中に移動すると、その移動後の配管内面付着生成物における電解質成分が電離することで、上記水溶液が電解質となって、H O→H +OH と電離し、H イオンによる正電荷の電流であるイオン電流(i)が負電位に帯電している当該配管の内面に向かって流れ、このイオン電流(i)の周囲にはファラデイの電磁誘導の法則により導かれるアンペールの法則から磁界(h)が発生し、この磁界(h)によりファラデイの電磁誘導の法則からローレンツ力(f)が誘起することになり、上記電磁誘導電流(I)による電気分解と、この電磁誘導電流(I)の周囲に発生する磁界(H)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(F)と、上記イオン電流(i)による電気分解と、このイオン電流(i)の周囲に発生する磁界(h)によりファラデイの電磁誘導の法則から導かれるアンペールの法則に基づき誘起するローレンツ力(f)とによる、異なる4種類の剥離作用が重畳して機能的に関与すると共に、複合的な相乗効果となって関与することにより、上記配管から上記配管内面付着生成物を剥離することを特徴とする配管内面付着生成物の電磁誘導電流剥離装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]