国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現在ご利用になれません。
この状況が続く場合は、次のお問い合わせ先までご連絡ください。フィードバック & お問い合わせ
1. (WO2015129891) 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法および製造装置
Document

明 細 書

発明の名称 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法および製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092  

符号の説明

0093  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法および製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法とその製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 現在の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記載することもある。)の主流は、ガラス基板上に発光素子を形成する形態である。ガラス基板上に有機EL素子を形成する場合は、枚葉のガラス基板を用いて、各種成膜装置間をロボット等で行き来して、各種機能性膜を積層することによって形成される。
[0003]
 近年、有機EL素子の薄膜、自発光という特徴から薄型化やフレキシブル化が試みられている。薄型基板を使用する場合、基板の剛性が低いため、既存のガラス基板等に貼り合わせて取扱性を向上させてから、有機EL素子を製造する方法が一般的である。薄型基板は一般に、連続シート状で製作されるため、ロール状に巻き取られた形態が一般的である。
[0004]
 一般に、ロール状での成膜加工は、機能性膜を全面に形成する場合に用いられており、連続的に加工できるため、効率が良く、生産性のよい加工方法として利用されている。そのため、有機EL素子を製造する場合でも、ロール状での成膜加工方法を適用することができれば、生産性が良いので、安価で、大量に製造することが可能となるため、従来から開発が進められている。
[0005]
 しかしながら、有機EL素子の場合には、パターン状に成膜することが必要である。また、複数の層構成において異なるマスクパターンを必要とする。枚葉方式では、複数のメタルマスクを位置調整(アライメント)して使用する。薄型基板の連続シートを用いて、搬送しながら、パターン状に成膜することに関しては、課題が多く、現在決め手になる方式が無いのが現状である。
[0006]
 特許文献1には、連続して搬送される支持体に同期して運動するパターン形成用マスクを使用して、パターン形成する方法が開示されている。特許文献2には、連続走行する帯状基材の上に、ワイヤー状マスクを移動させながら使用して、帯状のパターン薄膜を形成する方法が開示されている。
[0007]
 特許文献3には、有機EL素子をレーザアブレーション加工法を用いて微細パターン化する方法が開示されている。陰極/有機化合物層/陽極の構成まで形成した後に、陰極側からレーザビームの照射を行って、微細加工することを特徴としている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開2000-183500号公報
特許文献2 : 国際公開第2011/021622号
特許文献3 : 特開平8-222371号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 しかしながら、特許文献1に開示された方法では、任意のパターン形状を形成することが可能であるが、多層成膜する場合に位置決め等が困難である。また、特許文献2に開示された方法では、搬送方向と直交する方向へのパターン形成が困難であり、パターン形状に制約がある。
[0010]
 特許文献3に開示された方法では、上記特許文献1および特許文献2のような制約はないが、陽極取出電極および陰極取出電極を特定のパターン形状で形成する方法については開示されていない。
[0011]
 本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものである。本発明の課題は、簡便な構造を有し、高い自由度のパターン(形状、位置)で形成された有機発光層、陽極取出電極および陰極取出電極を有する有機EL素子およびその製造方法とその製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明者らは、上記課題の解決策について検討を重ねたところ、有機EL素子の各層を形成する工程とレーザによってパターン形成する工程とを組み合わせることによって、上記課題を解決することが可能となることを見出した。
 本発明は、以下のような構成を有している。
[0013]
 1.基板上にパターン化された陽極を形成する第1工程と、前記基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する第2工程と、前記陽極取出電極の一部の上にパターン化された絶縁層を形成する第3工程と、前記基板、前記陽極、前記陽極取出電極、前記陰極取出電極および前記絶縁層の上に有機発光層を形成する第4工程と、前記陰極取出電極上の一部の有機発光層、前記絶縁層上の一部の有機発光層および前記基板上の一部の有機発光層をレーザによって除去して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を形成する第5工程と、前記有機発光層、前記レーザによって有機発光層が除去された陰極取出電極、前記レーザによって有機発光層が除去された絶縁層および前記レーザによって有機発光層が除去された基板の上に陰極を形成して、前記閉じられた線形状で囲まれた有機発光層の上面と周囲を前記陰極で封止する第6工程と、前記陰極の上に封止層および保護層の少なくとも一方を形成する第7工程と、前記基板、前記陽極取出電極、前記絶縁層および前記陰極取出電極の各一部の上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方を除去して、前記陽極取出電極および前記陰極取出電極を前記基板表面上に露出させる第8工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[0014]
 2.前記第4工程から前記第7工程までを真空下で行い、前記第8工程を大気圧下で行うことを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[0015]
 3.前記第8工程において、前記基板、前記陽極取出電極、前記絶縁層および前記陰極取出電極の各一部の上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方の除去を、レーザによって行うことを特徴とする前記1または前記2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[0016]
 4.前記レーザによって除去する位置を位置情報による調整機構によって調整することを特徴とする前記1~前記3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[0017]
 5.前記基板として長尺の基板を用いることを特徴とする前記1~前記4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[0018]
 6.基板上にパターン化された陽極を形成する装置と、前記基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する装置と、前記基板上にパターン化された絶縁層を形成する装置と、前記基板上に有機発光層を形成する装置と、前記有機発光層の一部をレーザによって除去する装置と、前記有機発光層の上に陰極を形成する装置と、前記基板上に封止層を形成する装置および前記基板上に保護層を形成する装置の少なくとも一方と、前記基板上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方の一部を除去する装置とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造装置。
[0019]
 7.基板上に陽極、陽極取出電極、陰極取出電極、絶縁層、有機発光層、陰極が積層されて構成された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機発光層は閉じられた線形状を有し、前記有機発光層の上面と周囲は前記陰極で封止され、前記陰極の上面に封止層および保護層の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

発明の効果

[0020]
 本発明の有機EL素子の製造方法および製造装置によると、簡便な構造を有し、高い自由度のパターンで形成された有機発光層、陽極取出電極および陰極取出電極を有した有機EL素子を提供することができる。また、本発明の有機EL素子は、簡便な構造を有し、簡便な製造方法で製造できるものであり、外界からの影響を受けにくい構造を有している。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の製造装置の模式的断面図である。
[図2] 本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の製造方法の各工程における模式的断面図である。
[図3] 本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の模式的平面図およびその取出電極部分の模式的断面図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で実施形態を任意に変更して実施することが可能である。
[0023]
[第1実施形態]
(第1実施形態の有機EL素子の製造装置)
 本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の製造装置は、基板上にパターン化された陽極を形成する装置と、基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する装置と、基板上にパターン化された絶縁層を形成する装置と、基板上に有機発光層を形成する装置と、有機発光層の一部をレーザによって除去する装置と、有機発光層の上に陰極を形成する装置と、基板上に封止層を形成する装置および基板上に保護層を形成する装置の少なくとも一方と、基板上の、有機発光層、陰極、封止層および保護層の少なくとも一方の一部を除去する装置とを有している。
[0024]
 第1実施形態の有機EL素子の製造装置の具体的な実施態様について、図1を用いて説明する。図1(a)~図1(c)は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の製造装置の模式的断面図である。第1実施形態の有機EL素子の製造装置100は、長尺の基板を繰り出す装置を備えるチャンバ101と、基板上に有機発光層を形成する装置を備えるチャンバ102と、有機発光層の一部をレーザによって除去する装置を備えるチャンバ103と、有機発光層の上に陰極を形成する装置を備えるチャンバ104と、基板上に封止層を形成する装置を備えるチャンバ105と、基板上に保護層を形成する装置と得られた基板の巻き取り装置とを備えるチャンバ106と、基板上の有機発光層、陰極、封止層、保護層の一部を除去する装置を備えるチャンバ107と、基板を断裁する装置を備えるチャンバ108とを有している。
[0025]
 ここで、後記する本発明の第1実施形態の有機EL素子の製造方法の第1工程から第3工程にかかわる、基板上にパターン化された陽極を形成する装置と、基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する装置と、基板上にパターン化された絶縁層を形成する装置とは図示されていない。これら3つの装置は、図1に示された装置の前段階に相当する装置である。
[0026]
 図1(a)のチャンバ105には、基板上に封止層を形成する装置、チャンバ106には、基板上に保護層を形成する装置の両者を図示した。実施態様によっては、チャンバ105の基板上に封止層を形成する装置だけを備えていてもよいし、チャンバ106の基板上に保護層を形成する装置だけを備えていてもよい。
 同様に、図1(b)のチャンバ107には、基板上の有機発光層、陰極、封止層、保護層の一部を除去する装置を図示したが、上記チャンバ105、チャンバ106の装置の種類に合わせて、チャンバ107は、基板上の有機発光層、陰極、封止層の一部を除去する装置を備えていてもよいし、基板上の有機発光層、陰極、保護層の一部を除去する装置を備えていてもよい。
[0027]
 チャンバ101~チャンバ108は、真空にすることができるものであり、必要に応じて、真空下または大気圧下で加工を行うことができる。後記するように、チャンバ101~チャンバ106では、長尺の基板上に連続して加工が施されるものであり、各チャンバを同一の温度・湿度・圧力・ガス環境下とすることが好ましく、特に真空下にあることが好ましい。またチャンバ107とチャンバ108は、加工の性質上、大気圧下にあることが好ましい。
[0028]
 チャンバ101において、長尺の基板1は巻き取りロール2から繰り出されて、チャンバ102~チャンバ106に至るまで、連続して各チャンバにおける加工が施されていく。各チャンバ間には、基板の搬送がスムーズに行われるように、緩衝装置が設けられていてもよい。
[0029]
 このように、長尺の基板1を用いることによって、チャンバ101の基板の繰り出し装置からチャンバ106の基板の巻き取り装置に至るまで、連続して流すことが可能である。そうすることで、ロールツーロール方式で生産性よく、有機EL素子を製造することができる。チャンバ106で各種加工後に巻き取られた巻き取りロール3は、チャンバ107において、基板上の有機発光層、陰極、封止層、保護層の一部を除去する装置によって加工が施され、巻き取りロール4として巻き取られる。その後、チャンバ108において、所定の箇所で基板は断裁されて、有機EL素子の製品5とすることができる。
[0030]
(第1実施形態の有機EL素子の製造方法)
 次に、第1実施形態の有機EL素子の製造方法について説明する。
 第1実施形態の有機EL素子の製造方法は、基板上にパターン化された陽極を形成する第1工程と、基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する第2工程と、陽極取出電極の一部の上にパターン化された絶縁層を形成する第3工程と、基板、陽極、陽極取出電極、陰極取出電極および絶縁層の上に有機発光層を形成する第4工程と、陰極取出電極上の一部の有機発光層、絶縁層上の一部の有機発光層および基板上の一部の有機発光層をレーザによって除去して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を形成する第5工程と、有機発光層、前記レーザによって有機発光層が除去された陰極取出電極、レーザによって有機発光層が除去された絶縁層およびレーザによって有機発光層が除去された基板の上に陰極を形成して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層の上面と周囲を前記陰極で封止する第6工程と、陰極の上に封止層および保護層の少なくとも一方を形成する第7工程と、基板、陽極取出電極、絶縁層および陰極取出電極の各一部の上の、有機発光層、陰極、封止層および保護層の少なくとも一方を除去して、陽極取出電極および陰極取出電極を基板表面上に露出させる第8工程と、第8工程で、有機発光層、陰極、封止層および保護層の少なくとも一方が除去された基板の一部で基板を断裁して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を有する有機EL素子を形成する第9工程を有している。
[0031]
 図2は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の製造方法の各工程における模式的断面図である。図2の(a)から(f)に至る各模式的断面図はそれぞれ、第1実施形態の有機EL素子の製造方法の第1工程から第6工程において行われる加工時の断面の形態を示したものである。図2の(g)と(h)の各模式的断面図はそれぞれ、第1実施形態の有機EL素子の製造方法の第7工程において行われる、封止層を形成する工程と保護層を形成する工程の断面の形態を示したものである。図2の(i)と(j)の各模式的断面図はそれぞれ、第1実施形態の有機EL素子の製造方法の第8工程と第9工程において行われる加工時の断面の形態を示したものである。
 以下、各工程について説明する。
[0032]
(第1工程)
 第1工程は、基板上にパターン化された陽極を形成する工程である。図2(a)において、基板11上にパターン化された陽極12が図示されている。
[0033]
 基板11とは、有機EL素子を形成する際の基材となり得るものである。基板11の材料としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、エチレン-環状オレフィン等のポリエチレン共重合体、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリマー、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明基材フィルム(製品名Sila-DEC、チッソ株式会社製)、更には前記ポリマーを2層以上積層して成る基材等を挙げることができる。
[0034]
 基板11の材料としては、コストや入手の容易性の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられる。また、光学的透明性、耐熱性、無機層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いられる。
[0035]
 基板11の厚みは、取扱性や機械的強度の観点から、5~500μmが好ましく、更に好ましくは25~250μmである。
[0036]
 基板11は、大気中の酸素、水分を遮断する機能を有していることが好ましい。有機EL素子の場合、酸素、水分が内部に侵入することによって、発光性能の経時的な低下を招くことがある。そのため、有機EL素子をガスバリア層や封止材で密閉することによって、外界から遮断することが好ましい。そのため、基板11の少なくとも片方の表面にガスバリア層が形成されていることが好ましい。ガスバリア層は、有機系であっても無機系であってもよい。無機系のガスバリア層の材料としては、ケイ素、アルミニウム、チタン等の金属の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、等がある。
[0037]
 陽極12は、有機発光層に正孔を供給(注入)する電極膜である。陽極12の材料の種類や物性は特に制限されず、任意に設定できる。例えば、陽極12は、仕事関数の大きい(4eV以上)材料、例えば、金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物等の電極材料で形成することが可能である。また、陽極12は、酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛等の光透過性を有する材料(透明電極)によって構成されていてもよい。このとき、有機発光層で発光された光は基板11側から取出されることが可能となる。
[0038]
 陽極12を形成する方法としては、ドライ成膜法とウエット成膜法とがある。ドライ(真空)成膜法には、蒸着法、スパッタリング法などがある。ドライ成膜法でパターンを形成する方法としては、メタルマスクによるパターン成膜やフォトレジスト、印刷などによるウエットエッチングやリフトオフなどの方法を用いることができる。
 一方、ウエット成膜法としては、塗布法、インクジェット法などがある。これらの方法では、直接パターンを形成することが可能である。
[0039]
 ドライ成膜法の場合は、パターン精度や自由度、生産性などを考慮すると、ウエットエッチングやリフトオフを用いることが好ましい。一方、ウエット成膜法として、塗布法やインクジェット法が利用可能な場合は、直接パターンを描画することが可能であるため、さらに好ましい。
[0040]
 陽極12のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
[0041]
(第2工程)
 第2工程は、基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する工程である。図2(b)において、基板11上にパターン化された陽極取出電極13およびパターン化された陰極取出電極14が図示されている。
[0042]
 陽極取出電極13および陰極取出電極14はそれぞれ、有機EL素子の陽極および陰極を外部電源等に接続して、電圧を印加するときに用いられる。陽極取出電極13および陰極取出電極14の材料としては、Al、Cr、Mo、Ti、Ta、Cu、Ag、Auなどの金属材料とその合金類が一般的に利用される。陽極取出電極13および陰極取出電極14を形成する方法についても、上記陽極12と同様である。蒸着法、スパッタリング法、塗布法、インクジェット法等の公知の方法を適用することが可能である。パターンを形成する方法としては、第1工程に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
[0043]
(第3工程)
 第3工程は、陽極取出電極の一部の上にパターン化された絶縁層を形成する工程である。図2(c)において、陽極取出電極13の一部の上にパターン化された絶縁層15が図示されている。
[0044]
 絶縁層15は、後記する陰極を形成した際に、陽極取出電極13と陰極とが短絡しないように設けられる層である。絶縁層15を構成する材料としては、SiO 、Si 、Al 、TiO 、SiOxCy、SiOxNy、などの無機材料や、フォトレジスト等の絶縁性の有機材料、等が挙げられる。絶縁層15を形成する方法については、上記陽極12と同様である。蒸着法、スパッタリング法、塗布法、インクジェット法等の公知の方法を適用することが可能である。パターンを形成する方法としては、第1工程に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
[0045]
(第4工程)
 第4工程は、基板、陽極、陽極取出電極、陰極取出電極および絶縁層の上に有機発光層を形成する工程である。図2(d)において、基板11、陽極12、陽極取出電極13、陰極取出電極14および絶縁層15の上に有機発光層16が図示されている。
[0046]
 有機発光層16は、陽極から直接、又は陽極から正孔輸送層等を介して注入される正孔と、陰極から直接、又は陰極から電子輸送層等を介して注入される電子とが、再結合することによって発光する層である。なお、発光する部分は、発光層の内部であってもよいし、発光層とそれに隣接する層との間の界面であってもよい。
[0047]
 有機発光層16は、ホスト化合物(ホスト材料)と、発光材料(発光ドーパント化合物)とを含む有機発光性材料で形成することが好ましい。有機発光層16をこのように構成すると、含有させる発光材料の種類等を適宜調整することによって任意の発光色を得ることができる。有機発光層16に含まれる発光材料としては、例えば、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物)、蛍光発光材料等を用いることができる。なお、有機発光層16には、一種類の発光材料を含有させてもよいし、発光極大波長が互いに異なる複数種の発光材料を含有させてもよい。具体的な発光材料については、公知の材料から適宜選択して使用することができる。
[0048]
 有機発光層16を形成する方法については、上記第1工程の場合と同様であるが、有機発光材料の層を形成する方法としては、蒸着法が一般的に使用される。図1(a)のチャンバ102では、蒸着法によって有機発光層16を形成する装置が記載されている。
[0049]
 有機発光層16に加えて、必要に応じて、電子輸送層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、電子注入層(陰極バッファー層)、正孔注入層(陽極バッファー層)等の層を適宜形成することができる。このような各層の具体的な内容については、公知の知見から適宜選択して適用することができる。これらの各層を形成する方法としては、蒸着法が一般的に使用される。
[0050]
(第5工程)
 第5工程は、陰極取出電極上の一部の有機発光層、絶縁層上の一部の有機発光層および基板上の一部の有機発光層をレーザによって除去して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を形成する工程である。図2(e)において、陰極取出電極14上の一部の有機発光層16および絶縁層15上の一部の有機発光層16がレーザによって除去されて、それぞれ17bおよび17aと記載された箇所が図示されている。
[0051]
 図3(a)は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の模式的平面図である。図3(b)は、その陽極取出電極部A-Aの模式的断面図である。図3(c)は、その陰極取出電極部B-Bの模式的断面図である。図3において、L3と記載された箇所が、第5工程においてレーザによって除去された箇所である。L3が存在することによって、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層16が形成されて、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層16を有する発光部Cが形成されることとなる。
[0052]
 有機発光層16は、基本的に有機化合物を主成分としている。そのため、高温に加熱することによって、有機化合物は熱分解されて、揮発し、飛散させることができる。陰極取出電極14上の一部の有機発光層16、絶縁層15上の一部の有機発光層16および基板上の一部の有機発光層16を高温に加熱して除去することによって、当該陰極取出電極14の一部、当該絶縁層15の一部および当該基板11の一部は外界に露出されることとなる。その後、次工程で陰極をその上に形成することが可能となる。
[0053]
 有機発光層16の一部を高温に加熱して除去する手段として、レーザを用いる。レーザは指向性や収束性に優れており、特定の微細な部分のみに照射して、当該微細部分のみを高温に加熱することが可能である。
[0054]
 レーザによる加工には、熱加工と非熱加工とがある。熱加工は、レーザ光が固体材料の表面で吸収されて熱に変換され、その熱エネルギーで材料を溶融しながら行う加工のことである。熱的な作用を起こしやすい赤外線レーザが使用される。一方、非熱加工は、レーザアブレーション加工とも呼ばれるものであり、大気圧下でかなりの高温でしか溶融しない材料でもレーザ光が吸収された箇所を瞬時に溶融させ、蒸発、飛散させる加工のことである。加工内容に応じて赤外線レーザ、紫外線レーザ、パルスレーザ等が使用される。
[0055]
 本実施形態においては、加工部周辺への熱損傷が少なく、真空下でも大気圧下でも蒸発、飛散させて、有機化合物を除去することが可能であることから、レーザアブレーション加工が好ましい。
[0056]
 本実施形態において用いるレーザの波長は、有機層に対しエネルギー吸収される観点から、300~700nmのものが好ましいが、これに限定されるものではない。
[0057]
 また、本実施形態において用いるレーザとしては、出力、周波数、デューティー比等で加工条件が広範囲にとれるパルスレーザが好ましく用いられる。
[0058]
 レーザの媒体による分類としては、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ、半導体レーザ等があるが、高速かつ低熱ダメージとの観点から、固体レーザーまたはガスレーザーが好ましい。固体レーザとしては、ルビーレーザ、YAGレーザ、サファイアレーザ、チタンサファイアレーザ等を使用することが可能であり、特にYVO レーザが好ましい。またガスレーザとしては、CO レーザ、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンイオンレーザ、エキシマレーザ等を使用することが可能であり、特にエキシマレーザが好ましい。
[0059]
 このようなレーザによって除去する方法では、有機発光層16は瞬時に溶融し、蒸発、飛散される。熱分解されたものは低分子物質となるため、遠方まで飛散させることができ、真空ポンプ等を用いて、系内から除去・廃棄することが容易である。
 図1(a)のチャンバ103には、真空下で有機発光層の一部をレーザによって除去する装置が記載されている。
[0060]
 本実施形態においては、レーザによって除去する位置を位置情報による調整機構によって調整することによって、レーザによって除去する有機発光層のパターン(形状、位置)を高い自由度と精度で形成することができる。第5工程において、除去の対象となる、陰極取出電極上の一部の有機発光層、絶縁層上の一部の有機発光層および基板上の一部の有機発光層の形状・位置を、レーザの照射条件を適宜調整することによって、種々変えることが可能である。その結果、閉じられた有機発光層のパターンを高い自由度と精度で形成することができる。
[0061]
(第6工程)
 第6工程は、有機発光層、レーザによって有機発光層が除去された陰極取出電極、レーザによって有機発光層が除去された絶縁層および前記レーザによって有機発光層が除去された基板の上に陰極を形成する工程である。図2(f)において、有機発光層16、レーザによって有機発光層16が除去された陰極取出電極14、レーザによって有機発光層16が除去された絶縁層15および前記レーザによって有機発光層が除去された基板11の上に陰極18が図示されている。
[0062]
 第6工程において、第5工程において形成された、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層16の上面と周囲は陰極18で封止されることとなる。その結果、有機発光層16は、下面が基板11、それ以外の周囲と上面が陰極18で封止された構造となる。陰極18に通常用いられる金属系材料はガスバリア性に優れている。そのため、簡便な構造でありながら、有機発光層16は、外界の酸素等のガスの影響を受けにくいものとなり、有機EL素子としての発光性能の耐久性を向上させることが可能となる。
[0063]
 陰極18は、発光層に電子を供給(注入)する電極である。陰極を構成する材料は特に制限されないが、通常は、仕事関数の小さい(4eV以下)材料、例えば、金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等の電極材料で形成される。
[0064]
 陰極18を形成する方法については、蒸着法が一般的に使用される。図1(a)のチャンバ104では、蒸着法によって陰極14を形成する装置が記載されている。
[0065]
 陰極18は、陽極と同様に、光透過性を有する電極材料で形成することが可能である。この場合、例えば1nm以上20nm以下の膜厚になるように陰極形成用電極材料からなる金属膜を形成した後、この金属膜上に、陽極12で説明した導電性透明材料からなる膜を形成することにより、透明又は半透明の陰極を形成することができる。このとき、有機発光層16で発光された光は基板11の反対側から取出されることが可能となる。
[0066]
(第7工程)
 第7工程は、陰極の上に封止層および保護層の少なくとも一方を形成する工程である。第7工程では、陰極の上に、封止層のみを形成する方法、保護層のみを形成する方法、封止層と保護層の両者を形成する方法の3つの方法のうち、いずれの方法を適用してもよい。
[0067]
 図2(g)において、陰極18の上に封止層19を形成することが図示されている。図2(h)において、封止層19の上に保護層20を形成することが図示されている。第7工程において、封止層および保護層の両者を形成するときは通常、まず封止層19を形成してから、その上に保護層20を形成することが好ましい。
[0068]
 封止層19は、外部環境から有機発光層16を遮断・保護するためのものである。封止層19は、水蒸気や酸素に対するガスバリア性を有している。
[0069]
 封止層19を構成する材料としては、例えば、例えば、SiO 、Si 、Al 、TiO 、SiOxCy、SiOxNy、などの無機材料が使用される。
[0070]
 封止層19を形成する方法についても、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等の公知の方法を適用することが可能である。図1(a)のチャンバ105では、スパッタリング法によって封止層19を形成する装置が記載されている。
[0071]
 保護層20は、封止層19上に設置し、内部の有機EL素子を外部の物理的な外力から保護する層である。
 保護層20を構成する材料としては、例えば、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。さらに、保護層20は、大気中の酸素、水分を遮断する機能を有していることが好ましい。すなわち、保護層20の少なくとも片方の表面にガスバリア層が形成されていることが好ましい。ガスバリア層は、有機系であっても無機系であってもよい。無機系のガスバリア層の材料としては、ケイ素、アルミニウム、チタン等の金属の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、等がある。こうしたガスバリア層を備えた保護層20であれば、封止層19がない構成を取ることも可能である。
[0072]
 さらに、これらの樹脂からなる層を封止層等に密着させるために、接着層を設けて、ラミネートする方法を取ることもできる。接着層を構成する材料としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート、又はウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系光硬化性樹脂、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系光硬化性樹脂、等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アイオノマー等の使用が可能である。
[0073]
 保護層20を形成する方法については、ラミネート法等の公知の方法を適用することが可能である。図1(a)のチャンバ106では、ラミネート法によって保護層20を形成する装置が記載されている。
[0074]
 第4工程から第7工程までは、長尺の基板を用いることによって、連続して加工することが可能である。そのため、各工程を行う装置を備えたチャンバを連結させて、ロールツーロール方式で生産性よく、有機EL素子を製造することができる。また、蒸着法やスパッタリング法等の気相法を用いることが好ましいため、第4工程から第7工程までは、真空下で行うことが好ましい。
[0075]
(第8工程)
 第8工程は、基板、陽極取出電極、絶縁層および陰極取出電極の各一部の上の、有機発光層、陰極、封止層および保護層の少なくとも一方を除去して、陽極取出電極および陰極取出電極を基板上に露出させる工程である。図2(i)において、基板11、陽極取出電極13、絶縁層15および陰極取出電極14の各一部の上の、有機発光層16、陰極18、封止層19および保護層20が除去されて、陽極取出電極13および陰極取出電極14が基板上に露出し、それぞれ21aおよび21bと記載された箇所が図示されている。
[0076]
 基板11、陽極取出電極13、絶縁層15および陰極取出電極14の各一部の上の、有機発光層16、陰極18、封止層19および保護層20を除去する方法には、レーザを用いる方法、電子ビームを用いる方法、イオンビームを用いる方法、等がある。これらの中では、比較的簡便な装置で加工することが可能であるとの理由で、レーザを用いる方法が好ましい。
[0077]
 第8工程において、陽極取出電極13の一部および陰極取出電極14の一部の周辺付近の有機発光層16、陰極18、封止層19および保護層20の一部をレーザによって高温に加熱して除去することによって、当該陽極取出電極13の一部および陰極取出電極14の一部は外界に露出されることとなる。そのため、次の第9工程で有機EL素子を断裁した後、個々の有機EL素子を実際に発光させる場合に、外部の電源等と有機EL素子の各電極とを接続することが容易となる。
[0078]
 レーザによって除去する方法の具体的な内容については、前記第5工程において説明した内容と同様であるので、その説明を省略する。
 一般に、有機発光層はレーザによって飛散させ易い。そのため、当該有機発光層の上に存在する封止層および保護層も同時に飛散させることができる。但し、レーザによって除去されるものには、高分子量の保護層が含まれる場合があるため、レーザの照射の条件は除去させる対象物に応じて適宜調整することが好ましい。
[0079]
 また、レーザによって熱分解されるものは、第5工程の場合と比べて比較的分子量が高いものとなるため、飛散させて、系内から除去・廃棄することを容易とするために、大気圧下で行うことが好ましい。
[0080]
 第8工程において、除去する有機発光層16、陰極18、封止層19および保護層20の形状・位置を、レーザ等の照射条件を適宜調整することによって、種々変えることが可能である。その結果、パターン化された陽極取出電極13およびパターン化された陰極取出電極14のパターン(形状、位置)にかかわらず、露出させる陽極取出電極および陰極取出電極のパターンを高い自由度と精度で形成することができる。
[0081]
 また、本実施形態においては、レーザ等によって除去する位置を位置情報による調整機構によって調整することによって、有機発光層16、露出させる陽極取出電極13および陰極取出電極14のパターンの自由度と精度を高めることができる。
[0082]
(第9工程)
 第9工程は、第8工程で、有機発光層、陰極、封止層および保護層が除去された基板の一部で基板を断裁して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を有する有機EL素子を形成する工程である。図2(j)において、有機発光層16、陰極18、封止層19および保護層20が除去された基板11の一部で基板11を断裁して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を有する有機EL素子が図示されている。得られた有機EL素子は、発光部Eと陽極取出電極部T1と陰極取出電極部T2とを有している。
[0083]
 基板を断裁する方法は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。その際、断裁する位置を位置情報による調整機構によって調整することが好ましい。図1(c)のチャンバ108には、大気圧下で、上下のカッターによって基板を断裁する装置が記載されている。
[0084]
 図3(a)は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の模式的平面図である。図3(b)は、その陽極取出電極部A-Aの模式的断面図である。図3(c)は、その陰極取出電極部B-Bの模式的断面図である。L1とL2は、第8工程において、除去された箇所を示している。
[0085]
 有機EL素子の陽極取出電極部L1と陰極取出電極部L2において、それぞれ露出している陽極取出電極13と陰極取出電極14に電圧を掛けることによって、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を有する発光部Cが発光することとなる。
[0086]
[第1実施形態の変形例]
 第1実施形態は、長尺の基板を使用している。第1実施形態の変形例として、基板として枚葉式の基板を使用することができる。その場合には、第1実施形態の製造方法における第9工程はない。図1に示された各工程に相当するチャンバ102~107を個々に切り離して、第1工程から第8工程の各工程を順に行うことによって、枚葉形態の有機EL素子を製造することができる。
[0087]
(第1実施形態の効果)
 第1実施形態の製造方法によると、第5工程で、レーザによって除去を行うことによって、レーザによる除去を行わない場合に比べて、より広い自由度で閉じられた線形状で囲まれた有機発光層のパターンを形成することが可能となる。
 また、長尺の基板を使用すると、ロールツーロール方式で連続的に、簡便で自由度の高いパターンを形成することが可能となり、生産性が高くなり、低コスト化が可能となる。
[0088]
 閉じられた線形状で囲まれた有機発光層の上面と周囲は陰極によって封止されており、外界からの影響を排除して、耐久性の高い有機EL素子とすることができる。
 さらに比較的簡便な方法で製造することが可能であるため、製造コストを少ないものとすることができる。
 また、レーザによる除去加工の精度を高めることによって、有機発光層の形状や位置を微細で複雑に設置した有機EL素子を製造することが可能となる。
[0089]
 さらに、第5工程におけるレーザによる除去では、陰極形成前に有機発光層のみを除去するものであり、比較的分解し易い有機発光層だけの飛散であり、他の層への汚染が少なく、有機EL素子としての欠陥が起こりにくいものである。
[0090]
[有機EL素子]
 前記第1実施形態の製造方法と製造装置を用いることによって、基板上に陽極、陽極取出電極、陰極取出電極、絶縁層、有機発光層、陰極が積層されて構成された有機EL素子であって、有機発光層は閉じられた線形状を有し、有機発光層の上面と周囲は陰極で封止され、陰極の上面に封止層および保護層の少なくとも一方が形成されている有機EL素子を形成することができる。
[0091]
 このような有機EL素子は、有機発光層が閉じられた線形状を有している。当該有機発光層の下面には、基板が存在している。一方、当該有機発光層の上面と周囲には、陰極が存在しており、当該有機発光層は陰極で封止されている。陰極の上面にはさらに、封止層および保護層の少なくとも一方が存在している。
[0092]
 当該有機発光層の周囲の端面方向には、陰極の厚さが厚くなるため、陰極のみであっても有機発光層の端面方向のガスバリア性は良好である。
 また、当該有機発光層の上面方向には、陰極のみならず、封止層および保護層の少なくとも一方が存在している。そのため、有機発光層の上面方向のガスバリア性も良好である。
 このような理由から、当該有機EL素子は、簡便な構造を有し、簡便な製造方法で製造できるものでありながら、有機発光層が外界から遮断されて、外界の影響を受けにくくなっており、耐久性に優れた発光性能を有したものとなる。

符号の説明

[0093]
 11  基板
 12  陽極
 13  陽極取出電極
 14  陰極取出電極
 15  絶縁層
 16  有機発光層
 18  陰極
 19  封止層
 20  保護層
 100 有機EL素子の製造装置

請求の範囲

[請求項1]
 基板上にパターン化された陽極を形成する第1工程と、
 前記基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する第2工程と、
 前記陽極取出電極の一部の上にパターン化された絶縁層を形成する第3工程と、
 前記基板、前記陽極、前記陽極取出電極、前記陰極取出電極および前記絶縁層の上に有機発光層を形成する第4工程と、
 前記陰極取出電極上の一部の有機発光層、前記絶縁層上の一部の有機発光層および前記基板上の一部の有機発光層をレーザによって除去して、閉じられた線形状で囲まれた有機発光層を形成する第5工程と、
 前記有機発光層、前記レーザによって有機発光層が除去された陰極取出電極、前記レーザによって有機発光層が除去された絶縁層および前記レーザによって有機発光層が除去された基板の上に陰極を形成して、前記閉じられた線形状で囲まれた有機発光層の上面と周囲を前記陰極で封止する第6工程と、
 前記陰極の上に封止層および保護層の少なくとも一方を形成する第7工程と、
 前記基板、前記陽極取出電極、前記絶縁層および前記陰極取出電極の各一部の上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方を除去して、前記陽極取出電極および前記陰極取出電極を前記基板表面上に露出させる第8工程と
 を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[請求項2]
 前記第4工程から前記第7工程までを真空下で行い、前記第8工程を大気圧下で行うことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[請求項3]
 前記第8工程において、前記基板、前記陽極取出電極、前記絶縁層および前記陰極取出電極の各一部の上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方の除去を、レーザによって行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[請求項4]
 前記レーザによって除去する位置を位置情報による調整機構によって調整することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[請求項5]
 前記基板として長尺の基板を用いることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[請求項6]
 基板上にパターン化された陽極を形成する装置と、
 前記基板上にパターン化された陽極取出電極およびパターン化された陰極取出電極を形成する装置と、
 前記基板上にパターン化された絶縁層を形成する装置と、
 前記基板上に有機発光層を形成する装置と、
 前記有機発光層の一部をレーザによって除去する装置と、
 前記有機発光層の上に陰極を形成する装置と、
 前記基板上に封止層を形成する装置および前記基板上に保護層を形成する装置の少なくとも一方と、
 前記基板上の、前記有機発光層、前記陰極、前記封止層および前記保護層の少なくとも一方の一部を除去する装置と
 を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造装置。
[請求項7]
 基板上に陽極、陽極取出電極、陰極取出電極、絶縁層、有機発光層、陰極が積層されて構成された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
 前記有機発光層は閉じられた線形状を有し、
 前記有機発光層の上面と周囲は前記陰極で封止され、
 前記陰極の上面に封止層および保護層の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]