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1. (WO2015129800) ジオクチルソジウムスルホサクシネート耳鼻科用液剤
Document

明 細 書

発明の名称 ジオクチルソジウムスルホサクシネート耳鼻科用液剤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

実施例

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : ジオクチルソジウムスルホサクシネート耳鼻科用液剤

技術分野

[0001]
 本発明は、ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする耳鼻科用液剤に関する。

背景技術

[0002]
 ジオクチルソジウムスルホサクシネート(Dioctyl sodium sulfosuccinate: 以下、「DOSS」と略す場合がある。この物質はBis(2-ethylhexyl)sodium sulfosuccinateと表される場合もある)は便秘薬や耳垢除去剤の有効成分として使用されている。耳垢除去剤としてはDOSSにグリセリンを添加した液剤が1970年より医療用医薬品として販売されていたが(商品名「ワックスネート」、寿製薬株式会社製造、ゼリア新薬工業株式会社販売)、2006年に販売が中止されている。
[0003]
 DOSSは、白色のろう状又は樹脂状物質であり粘着性を有することから、その製剤化においては様々な試みが行われている。例えば、特開平2-255613号公報(特許文献1、請求項1)には、冷却設備を備えた粉砕混合機中でDOSSに賦形剤として微細粉末を加え、倍散末化して造粒することにより打錠性の改善された製剤が開示されている。また、特開昭58-152809号公報(特許文献2、請求項1~4)には、発泡剤としてリン酸二水素ナトリウム及び体液に対して速やかな中和反応を進めるためのポリエチレングリコールを含有し、DOSSを発泡助剤として使用した避妊効果を有する発泡性膣坐剤が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平2-255613号公報
特許文献2 : 特開昭58-152809号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明者らは、DOSSを有効成分として含む耳鼻科用液剤を提供するにあたり、従来市販されていた「ワックスネート」(DOSSにグリセリンを添加した液剤)の安定性を評価したところ、保存時に液剤のpHが低下するとともに、有効成分であるDOSSの含有量が低下することを見出した。このような問題点は従来全く報告されておらず、本発明者が初めて見出した問題点である。
[0006]
 従って、本発明の課題は、ジオクチルソジウムスルホサクシネートを有効成分とする耳鼻科用液剤であって、保存安定性が改善された製剤を提供することにある。より具体的には、保存時に液剤のpHが低下することなく、有効成分であるDOSSの含有量低下のない製剤を提供することが本発明の課題である。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、DOSSと多価アルコール(グリセリン等)とを含む液剤に緩衝剤を添加することによりDOSSを有効成分として含む液剤を保存した際のpHの低下及びDOSS含有量の低下を顕著に抑制できることを見出した。また、緩衝剤と組み合わせて溶解補助剤としてジオール(プロピレングリコール等)を添加することにより、安定性に優れるとともに、均一に混合された分散性に優れた製剤を提供できることを見いだした。本発明は上記の知見に基づいて完成されたものである。
[0008]
 すなわち、本発明により、有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートを含む外耳道異物を除去するための耳鼻科用液剤(例えば、外耳道異物を除去するための耳科用液剤)であって、溶解補助剤及び緩衝剤を含む液剤が提供される。
[0009]
 本発明の好ましい態様によれば、溶解補助剤が多価アルコール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせから選択される多価アルコールである上記の液剤;緩衝剤がアルカノールアミン、好ましくはトリエタノールアミンである上記の液剤;緩衝剤がリン酸緩衝液である上記の液剤;及び、溶解補助剤がグリセリン及びプロピレングリコールの組み合わせであり、緩衝剤がリン酸緩衝液である上記の液剤が提供される。
が提供される。
[0010]
 本発明のさらに好ましい態様によれば、ジオクチルソジウムスルホサクシネート100重量部に対して、溶解補助剤を100~1,000重量部、緩衝剤を50~200重量部の割合で含む上記の液剤;グリセリン及び/又はプロピレングリコールとリン酸緩衝液とを含む上記の液剤;グリセリン及びプロピレングリコールの組み合わせとリン酸緩衝液とを含む上記の液剤;調製時及び60℃で2週間保存した場合のpHが6.5~8.0の範囲である上記の液剤;60℃で2週間保存した場合の有効成分の残存率が96%以上である上記の液剤が提供される。
[0011]
 別の観点からは、本発明により、有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートを含む耳鼻科用液剤(例えば外耳道異物を除去するための耳科用液剤)の安定化方法であって、該液剤に溶解補助剤及び緩衝剤を添加する方法;及び、有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートを含む耳鼻科用液剤(例えば外耳道異物を除去するための耳科用液剤)の安定化剤であって、溶解補助剤及び緩衝剤の組み合わせを含む安定化剤が提供される。

発明の効果

[0012]
 有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートとともに溶解補助剤及び緩衝剤を含む本発明の耳鼻科用液剤は、保存時におけるpHの低下及びDOSS含有量の低下が抑制されており、長期にわたって安定である。特に、グリセリンとプロピレングリコールとの組み合わせを溶解補助剤として含む液剤では、pH及びDOSS含有量の低下が顕著に抑制されており、さらに粘性が低下していることから外耳への適用に好適である。また、本発明の液剤では、均一に混合された分散状態が長期にわたって維持されることから、安定な液剤として保存及び流通させることができる。

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明の耳鼻科用液剤は、例えば外耳道又は鼻腔内異物を除去するための耳鼻科用液剤として使用することができ、好ましくは外耳道異物を除去するための耳科用液剤として使用することができる液剤であって、有効成分としてジオクチルソジウムスルホサクシネートを含み、さらに溶解補助剤及び緩衝剤を含むことを特徴としている。
[0014]
 有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネート(DOSS)は化学名:ビス(2-エチルヘキシル)ソディウム・スルホサクシネートと呼ばれる場合もある。この物質は従来より便秘薬や耳垢除去剤の有効成分として使用されており、当業者に容易に入手可能である。
[0015]
 溶解補助剤は、難溶性薬物であるジオクチルソジウムスルホサクシネートの水に対する溶解性を改善する作用を有するものであればよい。例えば、多価アルコール(二価または三価などの多価アルコール)を用いることができるが、これらに限定されることはない。多価アルコールとしては、例えば、ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの水溶性ポリプロピレングリコール等)、グリセリン、ポリグリセリンなどの三価以上の多価アルコールなどが例示できる。一般的にはグリセリンを用いることができるが、グリセリンとともに、あるいはグリセリンに代えてプロピレングリコールを用いることができる。また、医薬品添加物事典に溶解補助剤として記載されている他の添加物、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油、マクロゴール、又はミリスチン酸イソプロピルなどを用いることもできる。これらの溶解補助剤のうち、グリセリン、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせが好ましい。グリセリンおよびプロピレングリコールを組み合わせて使用する態様は特に好ましい。
[0016]
 緩衝剤の種類は特に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸ニ水素ナトリウム等のリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、又はトリス緩衝剤などの緩衝剤のほか、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなど)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(トロメタモール)、乳酸、無水クエン酸、無水酢酸ナトリウムなどの酸又は塩基、あるいはそれらの塩が挙げられる。
[0017]
 これらの緩衝剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの緩衝剤のうち、特に、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸ニ水素ナトリウム等のリン酸緩衝液が好ましい。また、2種以上のリン酸緩衝液を組み合わせて使用してもよい。
[0018]
 本発明の液剤において、液剤中のDOSSの割合は使用目的や投与回数、投与方法などに応じて適宜選択できるが、液剤の全質量に対して0.1~10重量部、好ましくは0.3~7重量部、さらに好ましくは5重量部程度の範囲から選択できる。
[0019]
 溶解補助剤の割合は、液剤の全質量に対して5~50重量部、好ましくは10~40重量部、さらに好ましくは15~30重量部程度(例えば、20~25重量部)の範囲から選択することができる。例えば2種の溶解補助剤を使用する場合には、一方の溶解補助剤100重量部に対して、他方の溶解補助剤の割合を例えば10~500重量部、好ましくは15~400重量部、さらに好ましくは25~300重量部、特に好ましくは25~150重量部程度の範囲とすることができる。具体的には、グリセリンなどの3価以上の多価アルコール100重量部に対して、プロピレングリコール等のジオールを5~50重量部、好ましくは10~40重量部、さらに好ましくは15~35重量部、特に好ましくは20~30重量部程度の範囲とすることができる。より具体的には、溶解補助剤としてグリセリン及び/又はプロピレングリコールを用いる場合には、液剤の全質量に対して20~30重量部程度、より好ましくは25重量部程度とすることができる。有効成分であるDOSS 100重量部に対して、溶解補助剤を100~1000重量部、好ましくは300~700重量部、さらに好ましくは400~600重量部、特に好ましくは450~550重量部程度で使用することができる。
[0020]
 緩衝剤の割合は長期保存後に液剤のpHが低下しないように使用する緩衝剤の種類に応じて適宜選択すべきであるが、一般的には、例えばリン酸緩衝剤を用いる場合などにおいては、DOSS 100重量部に対して5~1000重量部(例えば10~1000重量部)、好ましくは10~700重量部(例えば30~700重量部)、より好ましくは15~500重量部(例えば50~500重量部)、さらに好ましくは20~200重量部(例えば70~200重量部)、特に好ましくは20~35重量部程度の範囲から選択することができる。緩衝剤の量の選択にあたっては、例えば、液剤に緩衝剤を添加して60℃で数週間保存して、pHの低下が生じないような量を選択することができる。
[0021]
 本発明の液剤には、必要に応じて、水(精製又は無菌水、注射用蒸留水など)や生理食塩水、ブドウ糖液、水溶性有機溶媒(エタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコールやエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類など)、動植物系油剤(ホホバ油、オリーブ油、やし油、綿実油などの植物系油剤;スクアランなどの動物系油剤など)や鉱物系油剤(流動パラフィン、シリコーンオイルなど)、ワックス類(蜜ろう、カルナウバロウ、ラノリン、パラフィン、ワセリンなど)、長鎖脂肪酸エステル(飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸と多価アルコール(ポリC 2-4アルキレングリコール、グリセリン又はポリグリセリンなど)とのエステルなど)、硬化油、高級アルコール(ステアリルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール、オレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコールなど)、高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)などを添加することもできる。さらに、防腐剤又は保存剤(メチルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類など)、矯臭剤又は香料(メントールなどの芳香剤など)、清涼化剤、無痛化剤(リドカインなどの局所麻酔剤など)のほか、感染症や炎症に対する治療のための有効成分(抗菌剤、抗生物質、抗炎症剤など)を配合することもできる。これらの添加剤は単独で添加してもよいが、二種以上組み合わせて使用してもよい。
[0022]
 本発明の液剤は上記成分を用いて混合、溶解、懸濁、又は乳化などの慣用の手段により製造することができ、一般的には粘稠な液剤として提供される。グリセリンとともにプロピレングリコールを用いることにより粘度を低下させて外耳道又は鼻腔内への適用に適した液剤を調製することもできる。
[0023]
 本発明の液剤は、外耳道又は鼻腔内に存在する異物(通常は耳垢や耳垢が固化したものなどのほか、外耳道に誤って取り込まれた人工物など)を除去するために用いられる。本発明の液剤の適用方法は特に限定されないが、一般的には外耳道又は鼻腔内に滴下(点耳)又は噴霧などの方法により投与するか、綿棒などで外耳に塗布することができる。耳垢は乾燥性又は粘稠性のいずれにも適用可能である。除去困難な耳垢の場合には、数滴を点耳してから5分~20分後に37℃程度の微温にて洗浄を行うことができる。また、高度の耳垢塞栓の場合には一日あたり数回、一日から数日にわたり連続点耳した後、37℃程度の微温湯での洗浄を行うこともできる。
 本発明の液剤は、ヒトのみならず、ヒト以外の哺乳類動物(マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サルなど)に対しても使用できる。
実施例
[0024]
 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[0025]
試験例1
<製剤化方法>
 pH7.5の0.1mol/Lリン酸緩衝液に下表に示す濃度でDOSSおよびグリセリンを加えて、60~70℃に加温してDOSSを溶解し、水を加えて、液剤を製造した(表中の%は液剤中の濃度を示す)。
[0026]
[表1]


[0027]
 例1及び例2(それぞれ比較例)と比較して、例3の液剤ではリン酸緩衝液を加えることによりpH及びDOSS含有量の低下が抑制されていた。緩衝剤として水酸化ナトリウムを加えた例4については、pHが例3と比較して低下していた。
[0028]
[表2]


[0029]
 リン酸緩衝液の濃度について検討した結果、例3、例5、及び例6ではいずれもpH及びDOSS含有量の低下が顕著に抑制されていた。
[0030]
[表3]


[0031]
 例10及び例11では例6と同様にpH及びDOSS含有量の低下が抑制されていた。緩衝剤としてトリエタノールアミンを用いた場合にもpH及びDOSS含有量の低下の抑制が顕著であった。
[0032]
[表4]


[0033]
 プロピレングリコール及びリン酸緩衝液を配合した例12では、例6と比較して粘性が低下しており、外耳への投与が容易であった。また、この液剤は例6と比較してpH低下及びDOSS含有量の低下の抑制がさらに顕著であった。
[0034]
[表5]


[0035]
 リン酸緩衝液0.05mol/Lの存在下においてグリセリン単独、プロピレングリコール単独、及びグリセリンとプロピレングリコールとの組み合わせを用いることにより、pH低下が顕著に抑制された。
[0036]
試験例2:安定性試験(加速試験)
 平成3年2月15日付薬発第165号安定性試験実施方法のガイドラインに従い、40℃、相対湿度75%の加速条件のもと、6ヶ月にわたりpHおよび含量の経時変化をみた。例18は例3と同様の方法にて製造した。
[0037]
 その結果、表6に示すとおり、溶解補助剤としてグリセリン及びプロピレングリコール、緩衝剤としてリン酸緩衝液(無水リン酸一水素ナトリウム及び無水リン酸二水素ナトリウム)を加えた例18では6ヶ月目においてもpH及び含量がまったく変化することがなく、例1(比較例)と比較して極めて安定な製剤であった。
[0038]
[表6]


請求の範囲

[請求項1]
有効成分であるジオクチルソジウムスルホサクシネートを含む耳鼻科用液剤であって、溶解補助剤及び緩衝剤を含む液剤。
[請求項2]
溶解補助剤が多価アルコールである請求項1に記載の液剤。
[請求項3]
溶解補助剤がグリセリン、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせである請求項1又は2に記載の液剤。
[請求項4]
緩衝剤がアルカノールアミンである請求項1ないし3のいずれかに記載の液剤。
[請求項5]
緩衝剤がトリエタノールアミンである請求項1ないし4のいずれかに記載の液剤。
[請求項6]
緩衝剤がリン酸緩衝液である請求項1ないし3のいずれかに記載の液剤。
[請求項7]
溶解補助剤がグリセリン及びプロピレングリコールの組み合わせであり、緩衝剤がリン酸緩衝液である請求項1に記載の液剤。
[請求項8]
耳垢除去剤である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液剤。