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1. (WO2015129707) 嫌気性水処理システム
Document

明 細 書

発明の名称 嫌気性水処理システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

非特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 嫌気性水処理システム

技術分野

[0001]
 本発明の実施形態は、下水、農村集落排水、工場排水等の有機排水を、嫌気性微生物により浄化処理する嫌気リアクタを用いた嫌気性水処理システムに関する。

背景技術

[0002]
 従来、有機性排水を浄化処理する手段として嫌気性微生物を利用する排水処理装置が数多く提案されている。その代表的なプロセスとしてUASB( Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法が提案されている。

先行技術文献

非特許文献

[0003]
非特許文献1 : 東芝レビュー Vol.63, No.5(2008), p15-18

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 上記UASB法をプロセスとする排水処理装置にあっては、処理の効率を高めることが望まれている。処理の効率を高めるために、循環槽を用いることを検討しているが、循環槽を用いると処理性能の劣化を招くことになる。
[0005]
 目的は、処理性能の劣化を招くことなく処理の効率が高い嫌気性水処理システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 実施形態によれば、嫌気性水処理システムは、嫌気リアクタ、原水供給部、グラニュール汚泥床部、気固液分離装置、越流部、ガイド管及び下降流生成装置を具備する。嫌気リアクタは、嫌気性微生物の作用により原水を浄化処理する。原水供給部は、原水として有機性排水を前記嫌気リアクタ内に導入するための原水導入管および原水ポンプを有する。グラニュール汚泥床部は、原水に含まれる有機性汚濁物質と反応して原水を浄化する機能をもつ嫌気性微生物を含むグラニュールが前記嫌気リアクタの下部に沈降積層し、前記原水供給部から前記嫌気リアクタ内に原水が供給されたときに前記嫌気リアクタ内にグラニュールの流動床を形成する。気固液分離装置は、嫌気性微生物と原水中の有機性汚濁物質との反応により生成されるバイオガスの上昇流により上昇する固形分とバイオガスとを分離するために、前記嫌気リアクタ内の少なくとも前記グラニュール汚泥床部より上方に配置される。越流部は、前記嫌気リアクタの上部から溢れ出す処理水を前記嫌気リアクタから排出する。ガイド管は、上端部が前記越流部によって規定される水面より下方で開口し、かつ下端部が前記グラニュール汚泥床部のなかで開口し、前記上端部の開口から前記原水導入管の導入口が下向きとなるように挿入され、前記原水導入管から導入される原水を前記グラニュール汚泥床部に案内する。下降流生成装置は、前記ガイド管の中空部に取り付けられ、前記ガイド管内に導入された原水に対して下向きの推進力を印加することにより、前記越流部での処理水の排出流速を上昇させることなく、前記ガイド管内に原水の下降流を生じさせる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 図1は、第1の実施形態に係る嫌気性水処理システムを示す内部透視斜視図である。
[図2] 図2は、第1の実施形態の嫌気性水処理システムを示す内部透視ブロック図である。
[図3] 図3は、第1の実施形態の嫌気性水処理システムを用いる水処理プロセスのフローチャートである。
[図4] 図4は、第2の実施形態に係わる嫌気性水処理システムの原水導入管と分配管を下方から見て示す平面図である。
[図5] 図5は、第2の実施形態の嫌気性水処理システムの原水導入管と分配管を示す斜視図である。
[図6] 図6は、第3の実施形態に係わる噴流口を有する分配管を示す斜視図である。
[図7] 図7は、第4の実施形態に係わる複数の原水導入管を有する大型の嫌気性水処理システムを示す平面図である。
[図8] 図8は、第5の実施形態の嫌気性水処理システムを示す構成ブロック図である。
[図9] 図9は、比較例の嫌気性水処理システムを示す斜視図である。
[図10] 図10は、比較例の嫌気性水処理システムを示す構成ブロック図である。
[図11] 図11は、循環槽を有する嫌気性水処理システムを示す構成ブロック図である。
[図12] 図12は、図11に示す嫌気性水処理システムの分配管を下方から見て示す平面図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 以下、添付の図面を参照して種々の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
[0009]
 実施の形態を説明するに先立ち、以前に考えられるUASB法を使用した水処理システムについて説明する。基本は、図9及び図10に示すシステムを代表例として参考とする。
[0010]
 図9及び図10に示すシステムでは、原水ポンプP1により原水が嫌気リアクタ102の底部に供給される。この供給された原水は、嫌気リアクタ内の下部102bに配置されたグラニュール3と接触することにより、当該微生物の浄化処理により排水中の有機汚濁物質が分解処理される。グラニュール3は、嫌気性微生物が凝集して直径1~2mmミリメートル程度の粒状に発達成長した微生物の集合体(汚泥の塊り)をいう。
[0011]
 グラニュール3中には加水分解を行う加水分解菌、酸生成を行う酸生成菌、メタン生成を行うメタン生成菌が存在する。これらの細菌により、下式(1)に従って、原水中の高分子の有機汚濁物質は、加水分解菌による加水分解反応の過程を経て低分子化され、酸生成菌により、低分子のプロピオン酸や酢酸の有機酸(VFA)に分解され、さらにメタン生成菌によりメタン、二酸化炭素まで分解される。
[0012]
 有機汚濁物質(高分子の蛋白質、炭水化物、脂肪)
 (加水分解反応)
 →アミノ酸、単糖類、脂肪酸(R-COOH、C6H12O6、RCHNH2COOH)
 (酸生成反応)
 →プロピオン酸、酢酸(C2H5COOH、CH3COOH)
 (メタン生成反応)
 →メタン(CH4) + 二酸化炭素(CO2)  …(1)
 上式(1)の反応により生成したメタンと二酸化炭素はガス化し、気泡となって上昇し、バイオガスとしてバイオガス収集管によって回収される。回収されたバイオガスはボイラや発電機のエネルギー源として利用される。
[0013]
 一方、このようにして有機汚濁物質が除去された排水は、沈降分離部102aを通って、越流部105a,105bから処理水として排出される。
[0014]
 また、リアクタ内部には、気固液分離装置(Gas-Solid-Separator :GSS)104a,104bがリアクタの上部に設置されている。GSSには様々な形状のものが提案されているが、機能としては、バイオガスとグラニュール3とを分離し、発生したバイオガスの上昇流とともにグラニュール3のリアクタ外部への流出を防止する装置である。
[0015]
 グラニュール3の一部は発生したバイオガスを抱いて、リアクタ上部へ上昇するが、GSS104a又はGSS104bとの衝突時及び液面部でグラニュール3からガスが脱離する。ガスが離脱することにより、グラニュール3は再沈降し、リアクタ下部のグラニュール汚泥床部102bまで沈降する。この機能により、越流部105a,105bへのグラニュール3の流出を防止している。
[0016]
 ところで、この浄化反応の反応効率向上のための因子のひとつとして、原水とグラニュール(嫌気性微生物)3との接触効率の向上があげられる。メタン生成菌により生成されたバイオガスにより、グラニュール汚泥床部102bは流動するものの、例えば立上げ初期や流入する原水の有機物負荷が低い場合、グラニュール汚泥床部102bがほとんど流動せず、グラニュール汚泥の厚密化により短絡流が生じ、原水とグラニュール3との接触効率が低く、所望の有機物の除去性能を得られない場合がある。
[0017]
 また、グラニュール汚泥床部102bの流動不足は、グラニュール3がメタンガスを回りに抱いたまま、グラニュール汚泥床部102bにとどまるという現象も引き起こす。この現象は、グラニュール3の内部に存在するメタン生成菌のメタン生成反応の反応阻害要因となり、上式(1)のメタン生成反応が十分に進まず、処理性能が悪化するという問題を引き起こす。
[0018]
 これらの問題を解決する方策として、図11に示す水処理システム200では、嫌気リアクタ102の越流部105bからオーバーフローラインL3に溢れ出した水を受ける循環槽120と、循環槽120から原水導入ラインL1までの間に設けられた外部循環ラインL4と、外部循環ラインL4に取り付けられた循環ポンプP2と、をさらに追加設置している。この従来の水処理システム200では、ポンプP2の駆動により循環槽120から外部循環ラインL4を通って原水導入ラインL1に処理水を送り、ポンプP1の駆動によりラインL1を流れる原水に処理水を合流させてリアクタ102への導入流量を増加させることにより、リアクタ下部の水流を上昇させ、グラニュール汚泥床部102bを活発に流動させる。
[0019]
 しかしながら、図9と図10に示すシステムにおいては下記(i)の問題点がある。また、図11に示すシステム200においては下記(ii)の問題点がある。
[0020]
 (i)グラニュール汚泥床部102bの偏流により、リアクタ内の微生物の一部しか処理に寄与せず、処理性能が悪い。
[0021]
 図9と図10に示す循環機構を有していない従来の水処理システム100では、図12に示す複数本の分配管111を介して嫌気リアクタ102内に原水を導入するようにしているが、リアクタ下部のグラニュール汚泥床部102bにおいて原水が均等に流れないで流れに偏りを生じるため、グラニュール汚泥床部102bのグラニュール3の一部しか反応に寄与せず処理の効率が低い。
[0022]
 (ii)循環流量の増大とともに水の越流部の流速も上昇してしまうため、濁質(粒径の小さいグラニュール3や気泡により比重が軽くなったグラニュール3、グラニュール3の小片等)がリアクタ外部に流出してしまう。
[0023]
 図11に示す循環機構を有する従来の水処理システム200では、処理水は嫌気リアクタ102→沈降分離部107→越流部105b→排出ラインL3→循環槽120→外部循環ラインL4(循環ポンプP2)→原水導入ラインL1→嫌気リアクタ101の循環ルートを通って嫌気リアクタ102に戻される。この方式では処理効率を高めるために循環ルートを流れる水量を増加させると、処理水流の流速が上昇し、速い水流にのって比重の軽いグラニュール3やその小片が嫌気リアクタ102から循環槽120へ流出し、さらに循環槽120から排出ラインL5を通ってグラニュール3が系外へ流出してしまう。このようにして嫌気リアクタ102内に保持されるグラニュール量が不足すると処理能力が低下するため、高価なグラニュールを嫌気リアクタ102内に頻繁に補給する必要があり、運転コストが増大化する。
[0024]
 例えば、原水流入量Q[m 3/h]に対して循環流量を2Q[m 3/h]とった場合、越流部105bから流出する水量は3Q[m 3/h]となる。上昇水流の流速は、越流水面部の面積Aとすると3Q/A[m/h]であり、図10の水処理システム100と比較して、Q /A~3Q/A[m/h]の沈降速度を有する浮遊性の濁質(粒径の小さいグラニュールや気泡により比重が軽くなったグラニュール、グラニュールの小片等)分が、嫌気リアクタ102から流出してしまう。このことは、処理水への濁質流出による水質悪化を招き、また嫌気リアクタ102内部の微生物量の減少による有機汚濁物質の処理性能の劣化を招く。
[0025]
 (第1の実施形態)
 図1と図2を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
[0026]
 本第1の実施形態の嫌気性水処理システム1は、内部にグラニュール汚泥床部21を有する矩形の嫌気リアクタ2と、この嫌気リアクタ2に原水を導入するための原水導入管13および原水ポンプP1を有する原水供給部とを備えている。
[0027]
 原水供給部は、図示しない原水供給源からポンプP1の駆動により原水として例えば食品加工工場から排出される有機性排水(有機性の汚濁物を含む排水)を原水導入ラインL1としての原水導入管13に通流させることにより嫌気リアクタ2内に供給するものである。
[0028]
 嫌気リアクタ2の内部には、グラニュール汚泥床部21、ガイド管11と下降流生成装置12を有する循環流形成機構10、気固液分離装置4a,4bおよび越流部5a,5bがそれぞれ配置されている。
[0029]
 グラニュール汚泥床部21は、原水に含まれる有機性汚濁成分と反応して原水を浄化する機能をもつ嫌気性微生物を含むグラニュール3が嫌気リアクタ2の下部2bに沈降積層した汚泥層であり、原水供給部から嫌気リアクタ2内に原水が供給されたときに嫌気リアクタ2内にグラニュール3の流動床を形成するものである。形成されたグラニュールの流動床において、原水に含まれる有機性汚濁物質が嫌気性微生物と接触し、上式(1)に従って反応が進行して原水が浄化処理されるようになっている。
[0030]
 循環流形成機構10は、ガイド管11と、このガイド管11の中空部(原水が通流する通路)に取り付けられた下降流生成装置12と備えている。ガイド管11は、所定の直径と長さを有する真っ直ぐな耐食性合金管(例えばSUS304,SUS316などのステンレス鋼管)からなり、図示しない複数の支持部材により嫌気リアクタ2の本体フレームに固定されている。本実施形態ではガイド管11に径が一様な曲がりのない直管を用いているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、上端と下端とで径が異なる異径管や曲がりのある曲管などを用いることも可能である。
[0031]
 ガイド管11は、嫌気リアクタ2の上部2cから下部2bまでほぼ垂直に取り付けられ、その上端開口11aが後述する越流部5a,5bによって規定される水面6よりも下方で開口し、かつ下端開口11bをグラニュール汚泥床部21のなかで形成している。また、原水導入管の導入口13aが下向きとなるように、ガイド管の上端開口11aの開口からガイド管11の上半部に原水導入管13が挿入されている。
[0032]
 下降流生成装置12は、ガイド管11の下半部の中空部分(流路)を塞ぐように取り付けられ、原水導入管13からガイド管11内に導入された原水に対して下向きの推進力を印加するための水中ポンプである。この原水導入管13は、上部が吸出し口、下部が吐き出し口となるようにガイド管11内に取り付けられている。原水導入管13の駆動により、後述する越流部5a,5bでの処理水の排出流速を上昇させることなく、ガイド管11内に原水の下降流を生じさせ、グラニュール汚泥床部21のなかに原水を噴出させ、グラニュールが撹拌・混合されるようになっている。なお、下降流生成装置12として水中ポンプの他に、水中ミキサーまたは撹拌器などを用いることができる。しかし、水中ポンプは、故障率が少なく安定した性能を有するので好ましい手段である。
[0033]
 気固液分離装置としての気固液セパレータ(GSS)4a,4bは、嫌気性微生物と原水中の有機性汚濁物質との反応により生成されるバイオガスの上昇流により上昇する固形分とバイオガスと処理水とを分離するために、嫌気リアクタ2内の少なくともグラニュール汚泥床部21よりも上方に配置されている。第1の気固液セパレータ4aは、その形状が漏斗状を成し、漏斗状のテーパ傾斜部分が下向きで水面6より下方に位置し(すなわち水没し)、漏斗状の口部の一部が水面6より上方に位置する(すなわち露出する)ように、嫌気リアクタ2の上部2cから中央部2aまで図示しない支持部材により支持されている。一方、第2の気固液セパレータ4bは、その形状が断面三角形のリング状を成し、リアクタ内壁から少し突出するように、嫌気リアクタの中央部2aの内壁に取り付けられている。
[0034]
 越流部5a,5bは、嫌気リアクタの上部2cの内壁にそれぞれ取り付けられた堰であり、嫌気リアクタの上部2cから溢れ出す処理水を受け、処理水排出ラインL3を介して嫌気リアクタ2から処理水を排出するものである。第1の越流部5aは、矩形のリアクタ筐体の上部短辺にそれぞれ取り付けられている。第2の越流部5bは、矩形のリアクタ筐体の上部長辺にそれぞれ取り付けられている。
[0035]
 ガス排出ラインL2は、リアクタ上部2cのスペースに連通し、嫌気性微生物と原水中の有機性汚濁物質との反応により生成されるバイオガスを嫌気リアクタ2から図示しない燃焼装置に排出するためのラインである。
[0036]
 本実施形態の嫌気性水処理システムの作用を説明する。
[0037]
 原水ポンプP1を駆動させ、原水導入管13からガイド管11内に原水を導入するとともに、下降流生成装置12を駆動させ、ガイド管11内に導入した原水に下向きの駆動力を印加することによりガイド管11内に下降水流を生じさせる。
[0038]
 発生した下降水流はガイド管の下端開口11bからグラニュール汚泥床部21のなかに噴出して周囲のグラニュール3を強制的に撹拌し、原水中の汚濁物質と嫌気性微生物との接触効率を向上させた後に、リアクタ底部に衝突反転して上昇流に転じ、リアクタの下部2bから上部2cに向かって上昇し、気固液セパレータ4a,4bにより固形分とバイオガスと水とを分離した後に越流部5a,5bから溢れ出し、オーバーフローラインL3を介して処理水として排出される。
[0039]
 一方、上昇流の一部は、図2に破線で示すように、下降流生成装置12の駆動により上端開口11aからガイド管11内に吸い込まれ、再びガイド管11内を下降してグラニュール汚泥床部21の中に噴出され、グラニュール3を撹拌する。
[0040]
 この嫌気リアクタの下部2bに投入されているグラニュール3によって、原水中の有機性汚濁物質は、(1)式の反応により浄化処理される。この浄化処理の過程で、メタンガスを主成分とするバイオガスが発生する。バイオガスの大部分は円錐または、四角錘状の形状をした第1の気固液セパレータ4aの内部に収集され、気相部へと排出される。このバイオガスは、バイオガス収集管を介して捕集され、ガス処理され、場合によっては、電気もしくは熱エネルギー源として利用される。
[0041]
 一方、浄化処理された水は、第1の気固液セパレータ4aと第2の気固液セパレータ4bとの間隙部を通過し、沈降分離部7を介して越流部5a,5bから処理水として排出される。この排出される水の流量は、原水供給量Q[m 3/h]と同様の水量となる。
[0042]
 水中ポンプの流量を3Q[m 3/h]とすると、越流する流量Q[m 3/h]を差し引いた残りの2Q[m 3/h]分は図2中に破線で示すように内部循環流となり、越流部5a,5bから排出される水流の流速は、水面の面積AとするとQ/A[m/h]であり、これ以上の沈降速度を有する固形分は、嫌気リアクタ2から流出しない。
[0043]
 このように本第1の実施形態によれば、嫌気リアクタ内に配置したガイド管11の内側と外側とを循環する循環流をガイド管周辺のみに限定的に形成することにより、リアクタ内における原水全体の上昇速度および越流速度を増大化させることなく、嫌気性微生物と有機性汚濁物質との接触効率を向上させることができる。
[0044]
 本第1の実施形態では水流生成手段として水中ポンプを用いているが、本第1の実施形態はこれのみに限定されるものではなく、水中ミキサーや攪拌機などの他の手段を用いてガイド管内に下降流を形成するようにもできる。
[0045]
 また、水中ポンプ、水中ミキサーの設置位置、攪拌機の回転翼の位置は内管内に下降流を生成されるものであれば、どの位置であってもよい。
[0046]
 効果として、以下が挙げられる。
[0047]
 グラニュール汚泥床部21に供給される流量の上昇により、水流により汚泥床部が流動し、微生物と液の接触効率の向上により、有機物の除去性能が向上する。
[0048]
 越流堰部から排出される水流の流速は上昇しないため、越流部から流出する濁質の量を、図11のプロセスに比べ、小さくすることができる。これにより、処理水への濁質流出による水質悪化、嫌気リアクタ内部の微生物量の減少による有機汚濁物質の処理性能の悪化リスクを防止することができる。
[0049]
 図11のプロセスのように、嫌気リアクタ2の外部に循環槽120および循環ポンプP2を設置する必要がないため、設置面積を小さくできる。
[0050]
 投入される原水は、内管内で処理水と混合された後にグラニュール汚泥床部21に供給されるため、水質変化による微生物に対するショックを防止することが可能となる。
[0051]
 排水の投入部を反応槽上部に設置することが可能なため、原水に由来する固形物による配管の閉塞に対するメンテナンスがしやすくなる。
[0052]
 図3を参照して本第1の実施形態の嫌気性水処理システムを利用して行なう排水の処理フローの一例について説明する。
[0053]
 原水を流量調整槽に導入し、流量調整槽内で水量と水質の均一化を行なう(工程S1)。原水として例えばジャガイモをつぶしてでん粉を遠心分離除去したあとの排水を処理する。この排水はタンパク質を比較的多く含むため、次工程の前処理設備でタンパク質を除去するためにpHを下げる必要があり、酸発酵はさせるがアミノ酸分解をさせないように適当な滞留時間で通過させるようにしている。
[0054]
 均質化された原水を流量調整槽から前処理設備に供給し、タンパク質のうち主に固形性のものを高分子凝集剤を用いて除去する(工程S2)。次いで、処理水を処理水槽で処理し(工程S3)、酸生成槽で酸を生成し(工程S4)、その後、pH調整槽では処理水を最適温度の37℃まで加温し、pH調整は行なわずにpH4.8程度で給液する(工程S5)。原水中にはタンパク質が多く含まれているため、分解後アンモニウムイオンに変化してpHを上昇させる。これにより、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム)を添加して中和することなく、安定した処理を行なうことができ、併せてアルカリによるダメージが防止される。
[0055]
 次いで、処理水をpH調整槽から本第1の実施形態システムの嫌気リアクタに当たるメタン発酵槽へ送り、メタン発酵槽内で嫌気性微生物による嫌気処理としてメタン発酵反応による処理を行なわせる(工程S6)。メタン発酵反応により生成されたバイオガスは燃焼ボイラの燃料に利用される。
[0056]
 メタン発酵処理後の排水は、循環槽を経由して脱窒槽に送られる。脱窒槽では、循環している硝化液の亜硝酸(または硝酸)イオンの酸素を使って、嫌気状態で有機物を分解するとともに窒素ガスを発生させ、窒素を系外に排出する(工程S7)。また、硝化反応熱の低減とBOD/N比の確保のため、処理水槽から処理水の一部を脱窒槽へバイパスして送っている。処理水を脱窒槽から硝化槽へ送り(工程S8)、硝化反応を起こさせる。次いで、処理水を硝化槽から膜槽へ送り、膜槽で気液分離し、膜を透過した処理水を別の好気処理設備で処理した後に、河川などに放流される(工程S9)。なお、脱窒プロセスはほとんどが脱窒槽→硝化槽→膜槽の流れであり、膜槽から硝化汚泥を脱窒槽に循環させている。
[0057]
 (第2の実施形態)
 図4と図5を参照して第2の実施形態を説明する。なお、本第2の実施形態が上記第1の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
[0058]
 図4に示すように、本第2の実施形態のガイド管11は、嫌気リアクタ2の軸心に沿って配置され、図5に示すように中空部に下降流生成装置12としての水中ポンプを保持する主管11mと、主管11mを中心として主管11mの下部から放射線状に分岐する複数の分配管11cと、分配管11cの各々に取り付けられ、下向きに開口する噴出口を有する複数の噴流管11dと、を備えている。
[0059]
 本第2の実施形態によれば、原水の下降流は主管11mから複数の分配管11cに分配され、さらに分配管の複数の噴流管11dの各々からグラニュール汚泥床部21のなかに下向きに噴出されるため、汚泥床の全体にわたり広範囲にグラニュール3が撹拌混合され、嫌気性微生物と汚濁物質との接触効率が向上するとともに処理効率の偏りが防止される。また、中央から放射線状に分配する形をとることにより、図12に示す従来の分配方式に比べて、本実施形態のガイド管によれば、均等に水を分配しやすく、グラニュール汚泥床部21内での偏流が起こりにくい。
[0060]
 (第3の実施形態)
 図6を参照して第3の実施形態を説明する。なお、本第3の実施形態が上記第1及び第2の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
[0061]
 本第3の実施形態のガイド管11は、嫌気リアクタ2の軸心に沿って配置され、図5に示すように中空部に下降流生成装置を保持する主管11mと、主管11mを中心として主管11mの下部から放射線状に分岐する複数の分配管11cと、分配管11cの各々に取り付けられ、旋回流が生じるように斜め下向きに開口する噴出口を有する複数の噴流管11eと、を有している。
[0062]
 本第3の実施形態によれば、原水の下降流は主管11mから複数の分配管11cに分配され、さらに分配管の複数の噴流管11eの各々からグラニュール汚泥床部21のなかに斜め下向きに噴出されるため、汚泥床の全体にわたり広範囲にグラニュール3が撹拌混合されるばかりでなく、さらに汚泥床のグラニュール3を旋回させる旋回流が形成され、嫌気性微生物と汚濁物質との接触効率がさらに向上する。
[0063]
 (第4の実施形態)
 図7を参照して第4の実施形態を説明する。なお、本第4の実施形態が上記第1乃至第3の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
[0064]
 本第4の実施形態では、複数の循環流形成機構10を嫌気リアクタ2の本体内にほぼ等ピッチ間隔に設置している。循環流形成機構10は、放射状の分配管11cを備えたガイド管11および下降流生成装置12を有するものである。
[0065]
 本第4の実施形態は、大容量の嫌気リアクタにおいて特に有効である。大型リアクタでは容量が大きいため内部の原水流に偏りが生じやすく、嫌気性微生物と汚濁物質との接触状態が不均一になる傾向にある。
[0066]
 そこで、本第4の実施形態では、嫌気リアクタ内に複数のガイド管11を適当な間隔で配置することにより、嫌気リアクタの全体にわたり隅々まで万遍なく導入原水が汚泥床のグラニュールと撹拌混合され、嫌気性微生物と汚濁物質との接触効率が均一化される。
[0067]
 (第5の実施形態)
 図8を参照して第5の実施形態を説明する。なお、本第5の実施形態が上記第1乃至第4の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
[0068]
 本実施形態の嫌気性水処理システム1Aでは、嫌気性微生物がメタン生成菌であり、ガイド管を取り囲む気固液分離装置の外側にメタン生成菌を付着するための担体設置部22を有している。上部の担体設置部22は、上下が金網上のメッシュで支持されており、そのメッシュ内部に円筒状の担体が敷き詰めてある。
[0069]
 作用を以下に示す。
[0070]
 バイオガスの流れ及び廃水の浄化機能は上述した第1の実施形態で示したのと同様に作用する。すなわち、第1のGSSセパレータ4aと第2のGSSセパレータ4bとの間隙部を通過して上昇した比重の軽いグラニュール3(気泡付着粒)または、グラニュール3の小断片(損壊粒の一部)は、担体設置部22で捕捉される。また、この担体設置部22に嫌気微生物の生物膜が形成されるため、グラニュール汚泥床部21で除去しきれなかった、有機物の一部が分解除去される。
[0071]
 本第5の実施形態によれば、ガイド管11を取り囲む気固液分離装置の外側に担体設置部22を設置しているので、ガイド管の上端開口11aに吸い込まれる循環流原水を除いて、他の上昇流原水に随伴されて越流部から溢れ出そうとする比重の軽いグラニュール3やグラニュール3の小断片が担体設置部22の担体によって捕捉され、グラニュール3の流出が有効に防止される。
[0072]
 このような担体充填部の作用により、流出する濁質量を削減できる。これにより、処理水への濁質流出による水質悪化、嫌気リアクタ内部の微生物量の減少による有機汚濁物質の処理性能の悪化を防止することができる。
[0073]
 担体部で形成された生物膜により、有機物を除去できるため、処理性能を向上させることができる。
[0074]
 (その他の実施形態)
 また、本技術を採用するプロセスはUASBプロセスに限らず、ダイジェスタ、嫌気性ろ床法など嫌気性微生物による水処理であって、リアクタの上部から越流水を処理水として、回収するものであれば、どのようなプロセスであってもよい。
[0075]
 本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

請求の範囲

[請求項1]
 嫌気性微生物の作用により原水を浄化処理する嫌気リアクタと、
 原水として有機性排水を前記嫌気リアクタ内に導入するための原水導入管および原水ポンプを有する原水供給部と、
 原水に含まれる有機性汚濁物質と反応して原水を浄化する機能をもつ嫌気性微生物を含むグラニュールが前記嫌気リアクタの下部に沈降積層し、前記原水供給部から前記嫌気リアクタ内に原水が供給されたときに前記嫌気リアクタ内にグラニュールの流動床を形成するグラニュール汚泥床部と、
 嫌気性微生物と原水中の有機性汚濁物質との反応により生成されるバイオガスの上昇流により上昇する固形分とバイオガスとを分離するために、前記嫌気リアクタ内の少なくとも前記グラニュール汚泥床部より上方に配置される気固液分離装置と、
 前記嫌気リアクタの上部から溢れ出す処理水を前記嫌気リアクタから排出する越流部と、
 上端部が前記越流部によって規定される水面より下方で開口し、かつ下端部が前記グラニュール汚泥床部のなかで開口し、前記上端部の開口から前記原水導入管の導入口が下向きとなるように挿入され、前記原水導入管から導入される原水を前記グラニュール汚泥床部に案内するガイド管と、
 前記ガイド管の中空部に取り付けられ、前記ガイド管内に導入された原水に対して下向きの推進力を印加することにより、前記越流部での処理水の排出流速を上昇させることなく、前記ガイド管内に原水の下降流を生じさせる下降流生成装置と、
を具備することを特徴とする嫌気性水処理システム。
[請求項2]
 前記ガイド管は、
 前記嫌気リアクタの軸心に沿って配置され、中空部に前記下降流生成装置を保持する主管と、
 前記主管を中心として前記主管の下部から放射線状に分岐する複数の分配管と、
 前記分配管の各々に取り付けられ、下向きに開口する噴出口を有する複数の噴流管と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の嫌気性水処理システム。
[請求項3]
 前記ガイド管は、
 前記嫌気リアクタの軸心に沿って配置され、中空部に前記下降流生成装置を保持する主管と、
 前記主管を中心として前記主管の下部から放射線状に分岐する複数の分配管と、
 前記分配管の各々に取り付けられ、旋回流が生じるように斜め下向きに開口する噴出口を有する複数の噴流管と、
ことを特徴とする請求項1記載の嫌気性水処理システム。
[請求項4]
 複数の前記ガイド管を前記嫌気リアクタ内に設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の嫌気性水処理システム。
[請求項5]
 前記嫌気性微生物がメタン生成菌であり、
 前記ガイド管を取り囲む前記気固液分離装置の外側にメタン生成菌を付着するための担体設置部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の嫌気性水処理システム。
[請求項6]
 前記ガイド管の上端部の開口を取り囲むように漏斗状の気固液分離装置が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の嫌気性水処理システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]