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1. (WO2015129704) 固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132  

実施例

0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166  

符号の説明

0167  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 現在、汎用されているリチウムイオン電池には、電解液が用いられているものが多い。この電解液を固体電解質に置き換え、構成材料を全て固体にする試みが進められている。なかでも、無機の固体電解質を利用する技術の利点としてまず挙げられるのが信頼性である。リチウムイオン二次電池に用いられる電解液には、その媒体として、カーボネート系溶媒など、可燃性の材料が適用されている。様々な対策が採られているものの、過充電時などに備えたさらなる対応が望まれる。その解決手段として、電解質を不燃性のものとしうる無機化合物からなる全固体二次電池が位置づけられる。
 全固体二次電池のさらなる利点としては、電極のスタックによる高エネルギー密度化に適していることが挙げられる。具体的には、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池にすることができる。このとき、電池セルを封止する金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略することができるので、電池のエネルギー密度が大幅に高められる。また、高電位化が可能な正極材料との相性の良さなども利点として挙げられる。
[0003]
 上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン二次電池として、その開発は精力的に進められている(非特許文献1)。一方で、無機系の全固体二次電池においては、その電解質が硬質の固体であるために不利な点もある。例えば、固体粒子間の界面抵抗が大きくなることが挙げられる。これを改善するために、特定の高分子化合物をバインダーとして用いた例がある。具体的に特許文献1は、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤を利用する。特許文献2は水素化ブタジエン共重合体の利用を開示する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-008611号公報
特許文献2 : 特開平11-086899号公報

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : NEDO技術開発機構,燃料電池・水素技術開発部,蓄電技術開発室「NEDO次世代自動車用蓄電池技術開発 ロードマップ2008」(平成21年6月)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 上記特許文献1および2の工夫により、全固体二次電池における界面抵抗の増大はそれなりに改善されるかもしれない。しかしながら、上記文献に開示された高分子化合物からなるバインダーでは昨今の高い要求レベルを満足することができず、さらなる改善を図りたい。
 そこで本発明は、全固体二次電池において、加圧によらずに、固体粒子間、固体粒子と集電体間等の界面抵抗の上昇を抑えることができ、かつ良好なイオン伝導度と結着性とを実現できる固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記の課題は、以下の手段により解決された。
〔1〕無機固体電解質と、コア部とシェル部とを有するコアシェル型粒子で構成されたバインダーと、分散媒体とを含む固体電解質組成物であって、上記コア部を構成する高分子化合物のガラス転移温度とシェル部を構成する高分子化合物のガラス転移温度の差が50℃以上である固体電解質組成物。
〔2〕上記バインダーをなす高分子化合物が下記式(1)または(2)で表される構造単位を含む〔1〕に記載の固体電解質組成物。
[化1]


 式中、W ~W はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Z 11~Z 14及びZ 21~Z 24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、Z 11~Z 14の少なくともいずれか1つ、Z 21~Z 24の少なくともいずれか1つは置換基である。W ~W 、Z 11~Z 14、及びZ 21~Z 24同士が結合し環状構造を形成してもよい。Z 11~Z 14及びZ 21~Z 24が式(1)または(2)で表される他のポリマー鎖に連結していてもよい。
〔3〕上記バインダーをなすコアシェル型粒子の平均粒径が10nm以上1,000nm以下である〔1〕または〔2〕に記載の固体電解質組成物。
〔4〕上記バインダーをなす高分子化合物が重量平均分子量1,000以上のマクロモノマー(X)に由来する構造単位を含む〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔5〕上記バインダーをなす高分子化合物が下記官能基群(b)のうち少なくとも1つを有している〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
官能基群(b)
 カルボニル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、オキシ基、シアノ基、スルフィド基、イミノ基
〔6〕上記バインダーをなす高分子化合物が、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリロニトリルモノマーから選ばれるモノマーに由来する繰り返し単位を含む〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔7〕上記マクロモノマー(X)が重合性二重結合と炭素数6以上の直鎖炭化水素構造単位とを含む〔4〕~〔6〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔8〕上記マクロモノマー(X)が、下記式(b-13a)~(b-13c)のいずれかで表されるモノマーまたは(b-14a)~(b-14c)のいずれかで表される繰り返し単位を有するモノマーである〔4〕~〔7〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[化2]


 式中R b2およびR b3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表す。RaおよびRbはそれぞれ独立に連結基を表す。ただし、naが1のときRaは一価の置換基である。naは1~6の整数を表す。R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基である。
〔9〕上記バインダーのコア部のガラス転移温度がシェル部のガラス転移温度より高い、あるいは上記バインダーのシェル部のガラス転移温度がコア部のガラス転移温度より高い〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔10〕上記バインダーのコア部のガラス転移温度が80℃以上、シェル部のガラス転移温度が30℃以下である、あるいは、上記バインダーのシェル部のガラス転移温度が80℃以上、コア部のガラス転移温度が30℃以下である、〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔11〕上記バインダーをなすコアシェル型粒子の平均粒径が200nm以下である〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔12〕上記バインダーをなす高分子化合物が下記官能基群(c)のうち少なくとも1つを有している〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
官能基群(c)
 カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基
〔13〕さらに周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含む〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔14〕上記バインダー粒子を上記無機固体電解質100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下で含有させた〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔15〕上記分散媒体が、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒、およびニトリル化合物溶媒から選ばれる〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔16〕上記バインダーコア部の質量とシェル部の質量との比率が、コア部100質量部に対してシェル部が5質量部以上200質量部以下である〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
〔17〕〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜した電池用電極シート。
〔18〕正極活物質層と負極活物質層と無機固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、上記正極活物質層、負極活物質層、および無機固体電解質層の少なくともいずれかを〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
〔19〕〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を金属箔上に配置し、これを製膜する電池用電極シートの製造方法。
〔20〕〔19〕に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
[0008]
 本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基が複数あるとき、あるいは複数の置換基等(置換基数の規定も同様)を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに結合したり縮合したりして環を形成していてもよい。

発明の効果

[0009]
 本発明の固体電解質組成物は、全固体二次電池の無機固体電解質層や活物質層の材料として用いたときに、加圧によらずに、固体粒子間、固体粒子と集電体間等の界面抵抗の上昇を抑えることができ、さらに良好なイオン伝導度と結着性とを実現できるという優れた効果を奏する。
 本発明の電池用電極シートおよび全固体二次電池は上記の固体電解質組成物を具備し、上記の良好な性能を発揮する。また、本発明の製造方法によれば、上記の電池用電極シートおよび全固体二次電池を好適に製造することができる。
 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、下記の記載および図面からより明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の好ましい実施形態に係る全固体リチウムイオン二次電池を模式化して示す断面図である。
[図2] コアシェル粒子の断面を模式化して示す断面図である。
[図3] 実施例で利用した試験装置を模式的に示す断面図である。
[図4] 実施例で調製したバインダーをなすポリマーのDSC測定の結果を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質と、コアシェル粒子からなるバインダーとを含む。以下、その好ましい実施形態について説明するが、まずその好ましい応用形態である全固体二次電池の例について説明する。
[0012]
 図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、無機固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、その順で有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e )が供給され、そこにリチウムイオン(Li )が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li )が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、無機固体電解質層の構成材料として用いることが好ましく、中でも、無機固体電解質層および正極活物質層、負極活物質層のすべての構成材料として、用いることが好ましい。
[0013]
 正極活物質層4、無機固体電解質層3、負極活物質層2の厚さは特に限定されないが、正極活物質層および負極活物質層は目的とする電池容量に応じて、任意に定めることができる。一方、無機固体電解質層は正負極の短絡を防止しつつ、できる限り薄いことが望ましい。具体的には、1~1000μmであることが好ましく、3~400μmであることがより好ましい。
 なお、上記負極集電体1、負極活物質層2、無機固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5の各層の間あるいはその外側には、多能機能性の層を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
[0014]
<固体電解質組成物>
(無機固体電解質)
 無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。この観点から、後記電解質塩(支持電解質)との区別を考慮し、イオン伝導性の無機固体電解質と呼ぶことがある。
 有機物すなわち炭素原子を含まないことから、有機固体電解質(PEOなどに代表される高分子電解質、LiTFSIなどに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。 また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF 、LiBF ,LiFSI,LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
[0015]
 本発明においては、固体電解質組成物に無機固体電解質を含有させる。なかでも、イオン伝導性の無機固体電解質であることが好ましい。このときのイオンは、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンが好ましい。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。
[0016]
(i)硫化物系無機固体電解質
 硫化物固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。

   L a1b1c1d1e1 (1)

(式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。なかでも、B、Sn、Si、Al、Geが好ましく、Sn、Al、Geがより好ましい。Aは、I、Br、Cl、Fを示し、I、Brが好ましく、Iが特に好ましい。a1~e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1~12:0~1:1:2~12:0~5を満たす。a1はさらに、1~9が好ましく、1.5~4がより好ましい。b1は0~0.5が好ましい。d1はさらに、3~7が好ましく、3.25~4.5がより好ましい。e1はさらに、0~3が好ましく、0~1がより好ましい。)
[0017]
 式(1)において、L、M、P、S及びAの組成比は、好ましくはb1、e1が0であり、より好ましくはb1=0、e1=0で且つa1、c1及びd1の比(a1:c1:d1)がa1:c1:d1=1~9:1:3~7であり、さらに好ましくはb1=0、e1=0で且つa1:c1:d1=1.5~4:1:3.25~4.5である。各元素の組成比は、下記するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
[0018]
 硫化物系固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。
[0019]
 Li-P-S系ガラスおよびLi-P-S系ガラスセラミックスにおける、Li SとP との比率は、Li S:P のモル比で、好ましくは65:35~85:15、より好ましくは68:32~75:25である。Li SとP との比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10 -4S/cm以上、より好ましくは1×10 -3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10 -1以下であることが実際的である。
[0020]
 具体的な化合物例としては、例えばLi Sと、第13族~第15族の元素の硫化物とを含有する原料組成物を用いてなるものを挙げることができる。具体的には、Li S-P 、Li S-LiI-P 、Li S-LiI-Li O-P 、Li S-LiBr-P 、Li S-Li O-P 、Li S-Li PO -P 、Li S-P -P 、Li S-P -SiS 、Li S-P -SnS、Li S-P -Al 、Li S-GeS 、Li S-GeS -ZnS、Li S-Ga 、Li S-GeS -Ga 、Li S-GeS -P 、Li S-GeS -Sb 、Li S-GeS -Al 、Li S-SiS 、Li S-Al 、Li S-SiS -Al 、Li S-SiS -P 、Li S-SiS -P -LiI、Li S-SiS -LiI、Li S-SiS -Li SiO 、Li S-SiS -Li PO 、Li 10GeP 12などが挙げられる。その中でも、Li S-P 、Li S-GeS -Ga 、Li S-LiI-P 、Li S-LiI-Li O-P 、Li S-SiS -P 、Li S-SiS -Li SiO 、Li S-SiS -Li PO 4、Li S-Li PO -P 、Li S-GeS -P 、Li 10GeP 12からなる結晶質およびまたは非晶質の原料組成物が高いリチウムイオン伝導性を有するので好ましい。このような原料組成物を用いて硫化物固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法を挙げることができ、中でもメカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
[0021]
 硫化物固体電解質は、下記式(2)で表されるものがより好ましい。
 Li n       式(2)
 式中、l~nは各元素の組成比を示し、l:m:nは2~4:1:3~10を満たす。
[0022]
(ii)酸化物系無機固体電解質
 酸化物系固体電解質は、酸素(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
[0023]
 具体的な化合物例としては、例えばLi xaLa yaTiO 〔xa=0.3~0.7、ya=0.3~0.7〕(LLT)、Li xbLa ybZr zbbb mbnb(M bbはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)Li xcyccc zcnc(M ccはC,S,Al,Si,Ga,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Li xd(Al,Ga) yd(Ti,Ge) zdSi admdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li (3-2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、M eeは2価の金属原子を表す。D eeはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、Li xfSi yfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Li xgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、Li BO -Li SO 、Li O-B -P 、Li O-SiO 、Li BaLa Ta 12、Li PO (4-3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi 3.5Zn 0.25GeO 、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa 0.55Li 0.35TiO 、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi 12、Li 1+xh+yh(Al,Ga) xh(Ti,Ge) 2-xhSi yh3-yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLi La Zr 12等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li PO )、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD (D は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiA ON(A は、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
 その中でも、Li xaLa yaTiO 〔xa=0.3~0.7、ya=0.3~0.7〕(LLT)、Li xbLa ybZr zbbb mbnb(M bbはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、Li La Zr 12(LLZ)、Li BO 、Li BO -Li SO 、Li xd(Al,Ga) yd(Ti,Ge) zdSi admdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0024]
 リチウムイオン伝導性の酸化物系無機固体電解質としてのイオン伝導度は、1×10 -6S/cm以上であることが好ましく、1×10 -5S/cm以上であることがより好ましく、5×10 -5S/cm以上であることが特に好ましい。
[0025]
 本発明においては、なかでも酸化物系の無機固体電解質を用いることが好ましい。酸化物系の無機固体電解質は総じてより硬度が高いため、全固体二次電池において界面抵抗の上昇を生じやすく、本発明を適用することにより、その対応として効果がより顕著になる。このとき、酸化物系の無機固体電解質はその構造中に酸素原子を有するため、これと結合性の高いバインダーを用いることが好ましい。この観点から、後記バインダーをなす高分子化合物においては、その側鎖部に酸性基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基(NR )、またはアミド基(CONR )を有することが好ましく、酸性基またはヒドロキシ基を含むことがより好ましい。これにより、より強固にバインダーが無機固体電解質粒子に固着し、界面抵抗の低下等において一層良好な性能が得られる。R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基である。
 上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0026]
 無機固体電解質の平均粒子サイズ(直径)は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
[0027]
 無機固体電解質の固体電解質組成物中での濃度は、電池性能と界面抵抗の低減・維持効果の両立を考慮したとき、固形成分100質量%において、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。ただし、後記正極活物質または負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲であることが好ましい。
[0028]
(バインダー)
 本発明のバインダーはコアシェル粒子で構成されている。コアシェル粒子を模式化して図示するとその断面は図2のようになる。図2ではコア21の周囲をシェル22が被覆する形で粒子20が構成されている。コアとシェルの比率は特に限定されないが、コア100質量部に対し、シェルが5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。上限としては、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが特に好ましい。なお、図2の形態により本発明が限定して解釈されるものではない。例えば、本発明においては、三成分以上のモノマーを用いて、3層以上に積層した粒子としてもよい。このときには、最内層をコア部とし、その外側の層の全体をシェル部とする。シェル部が複数の層で構成されるときには、各層の質量に基づく加重平均としてシェル部のTgを算定することとする。
[0029]
 本発明に係るコアシェル粒子は、そのコア部とシェル部とを構成する高分子化合物のガラス転移温度の差(△Tg)が50℃以上である。上記コア部を構成する高分子化合物のガラス転移温度とシェル部を構成する高分子化合物のいずれかが高くてもよいが、コア部の高分子化合物のガラス転移温度の方が高いことが好ましい。上記コア部とシェル部との温度差(△Tg)は、70℃以上が好ましく、90℃以上が特に好ましい。ガラス転移温度の差(△Tg)の差に上限はないが、250℃以下であることが実際的である。
 コア部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(C))は、シェル部より高い設定のとき、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。Tgが観測される場合、Tg(C)の上限としては、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。コア部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(C))がシェル部より低い設定のとき、コア部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(C))は、-150℃以上が好ましく、-120℃以上がより好ましい。上限としては、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。
 シェル部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(S))は、コア部より低い設定のとき、-150℃以上が好ましく、-120℃以上がより好ましい。上限としては、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。シェル部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(S))がコア部より高い設定のとき、シェル部の高分子化合物のガラス転移温度(Tg(S))は、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。Tgが観測される場合、Tg(S)の上限としては、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
 なおコア部またはシェル部を構成するポリマーにTgが観測されない場合Tgの差は無限大とみなし、これもまた好ましい態様である。例えば剛直にしようとして架橋するとTgが消失する場合があるが、そのような場合も好ましい態様として挙げられる。コアシェル粒子のTgをこのような範囲に設定することで、全固体二次電池において、電解質層等の良好な結着性と柔軟性とを実現することができる。
[0030]
 上記コア部をなす高分子化合物及びシェル部をなす高分子化合物は、適宜その高分子化合物のTgを測定することにより選定してもよい。次に述べる式(1)または(2)で表される構造とマクロモノマー由来の構造を有するポリマーを用いるようなときには、Tgを高めに設定するために、一例として、重合時にTgの高いポリマーを形成するモノマーの比率を大きくするまたは架橋成分を加えるなどの分子設計が挙げられる。一方、Tgを低めに設定するには、重合時にTgの低いポリマーを形成するモノマーの比率を大きくするなどの分子設計が挙げられる。Tgの高くなるモノマーとしては、例えばメタクリル酸メチル(重合時のTg=約105℃)、アクリロニトリル(重合時のTg=約105℃)を用いるなどが挙げられる。Tgの低くなるモノマーとしては、例えば2-エチルエキシルアクリレート(重合時のTg=約-70℃)が挙げられる。
[0031]
 上記バインダーは、下記式(1)または(2)で表される構造単位を含む高分子化合物からなることが好ましい。
[0032]
[化3]


 式中、W ~W はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Z 11~Z 14及びZ 21~Z 24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、Z 11~Z 14の少なくともいずれか1つ、Z 21~Z 24の少なくともいずれか1つは置換基である。W ~W 、Z 11~Z 14、及びZ 21~Z 24同士が結合し環状構造を形成してもよい。W とW 、W とZ 12、W とZ 11、W とW 、W とZ 14、W とZ 13がそれぞれ結合し環状構造を形成してもよい。形成される環構造としては、主鎖のエチレン鎖とともに示すと、下記式(1a)、(1b)の例が挙げられる。
[0033]
[化4]


[0034]
 環α、βはそれぞれ独立に単環式または多環式の脂肪族環状官能基またはカルボニル基を含む環状官能基を示す。式中、W 11~W 14はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Z 31~Z 32及びZ 41~Z 42はそれぞれ独立に水素原子または任意の置換基を表す。
 環αおよびβとしては、3員環~8員環が挙げられ、中でも5員環または6員環が好ましい。具体的にはシクロヘプタン環、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、カルボニル基と酸素原子を有する環(例えば無水コハク酸環)、またはカルボニル基とイミノ基(NR )を含む環(例えばスクシンイミド環)が挙げられる。
 上記で例示の環状基はいずれもさらに任意の置換基Tをともなっていてもよい。
[0035]
 Z 11~Z 14、Z 21~Z 24、Z 31、Z 32、Z 41、Z 42は式(1)または(2)で表される他のポリマー鎖に連結していてもよい。つまり、式(1)または(2)の主鎖がZ 11~Z 14、Z 21~Z 24、Z 31、Z 32、Z 41、Z 42を介して架橋された構造である。
[0036]
・W ~W 、W 11~W 14
 W ~W 及びW 11~W 14はそれぞれ独立に単結合または任意の連結基である。連結基としては、炭素数1~30のアルキレン基(好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~6)、炭素数3~12のシクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~6)、炭素数6~24のアリーレン基(好ましくは炭素数6~10)、炭素数2~12のヘテロアリーレン基(好ましくは炭素数3~6)、オキシ基(-O-)、スルフィド基(-S-)、ホスフィニデン基(-PR -:R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)、シリレン基(-SiRR’-:R、R’は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)、カルボニル基、イミノ基(-NR -:R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基)、またはその組み合わせに係る基等が挙げられる。上記連結基は任意の置換基を有していてもよい。任意の置換基としては、Z 11の置換基の例が挙げられ、例えば、アルキル基またはハロゲン原子などが挙げられる。
[0037]
 W ~W は単結合または上記式(1a)もしくは(1b)で表される環構造をなす基が好ましい。
[0038]
 W は、なかでも、オキシ基、スルフィド基、カルボニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が特に好ましい)、単結合、またはこれらの組合せに係る連結基が好ましい。さらに具体的には、単結合、アミド基(CONR )、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、これらに-R -、-(R -O)nc-または-(R -COO)nc-を組み合わせた基であることが好ましい。ここで、R は炭素数1~12のアルキレン基であり、炭素数1~6のアルキレン基であることが好ましい。ncは1~30の整数である。ここでのアルキレン基およびアルケニレン基はハロゲン原子を有していてもよい。
[0039]
・Z 11~Z 14、Z 21~Z 24、Z 31、Z 32、Z 41、Z 42
 Z 11~Z 14、Z 21~Z 24、Z 31、Z 32、Z 41、Z 42の例としては、下記のものが挙げられる。
 水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数1~30のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ヘプチル、1-エチルペンチル、デシル、ドデシル、ヘキサデカン、オクタデカン、ベンジル、2-エトキシエチル、1-カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3~20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6~26のアリール基、例えば、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2~20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環の炭素原子数2~20のヘテロ環基が好ましく、例えば、2-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、2-チアゾリル、2-オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1~20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6~26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1-ナフチルオキシ、3-メチルフェノキシ、4-メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0~20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0~20のスルファモイル、例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1~20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1~20のカルバモイル基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1~20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、オキセタン基、オキシラン基、テトラヒドロフリル基、トリフロロメチル基、ジフロロメチル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)である。
[0040]
 Z 11、Z 12、Z 13、Z 21、Z 22、Z 23、Z 31、Z 32、Z 41、Z 42は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が特に好ましい)、シアノ基であることが好ましい。ここでのアルキル基およびアルケニル基はハロゲン原子を有していてもよい。
[0041]
 Z 14、Z 24は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~18がより好ましく、1~12が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がより好ましい)、アルコキシ基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がより好ましい)、シアノ基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基(NR )、オキセタン基、オキシラン基、テトラヒドロフリル基、またはこれらの基を介してもしくは介さずに式(1)または(2)のポリマー鎖に連結することが好ましい。アルキル基及びアルケニル基は直鎖でも分岐でもよく、環状であってもよい。上記の基は、ハロゲン原子(フッ素、臭素、塩素等)、カルボキシル基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。ハロゲン原子を有する基としては、フルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)が挙げられる。
[0042]
 高Tgポリマー成分としては式(1)が好ましい。W は単結合が好ましい。W は単結合または式(1b)のようにW とともに環状構造を有する構造が好ましい。W は単結合または式(1a)のようにW とともに環状構造を有する構造が好ましい。W は、オキシ基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子を有してもよいアルキレン基、単結合、またはこれらの組合せに係る連結基が好ましい。Z 11~Z 14は水素原子、メチル、アリール基(好ましくは炭素原子数6~26のアリール基(例えば、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-メチルフェニル等)、カルボキシル基、シアノ基、トリフロロメチル基、ジフロロメチル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が好ましい。上記の好ましい範囲に当てはまらない場合でも反応性二重結合部位を二つ以上有するモノマーを含む場合は高Tgポリマー成分として好ましい。
[0043]
 低Tgポリマー成分としては式(1)または式(2)が好ましく、W ~W は単結合が好ましく、W は、なかでも、オキシ基、カルボニル基、イミノ基、ハロゲン原子を有してもよいアルキレン基、単結合、またはこれらの組合せに係る連結基が好ましい。さらに具体的には、単結合、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、これらに-R -、-(R -O)nc-または-(R -COO)nc-を組み合わせた基であることが好ましい。Z 11~Z 13は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を有してもよいアルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~18がより好ましく、1~12が特に好ましい)、ハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、シアノ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基(NR )、オキセタン基、トリフロロメチル基、カルボキシル基、ジフロロメチル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が好ましい。
[0044]
 バインダーは下記の官能基群(b)を有することが好ましく、官能基群(c)を有することがより好ましい。
官能基群(b)
 ・置換基
 カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基(NR
 ・連結基
 カルボニル基(-CO-)、イミノ基(-NR -)、オキシ基(-O-)、スルフィド基(-S-)
官能基群(c)
 カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基
[0045]
 またバインダーは(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリロニトリルモノマーから選ばれるモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。
 ここで述べた構造部は式(1)または(2)の構造単位に組み込まれていても、マクロモノマー(X)に組み込まれていてもよいが、式(1)または(2)に組み込まれていることが好ましい。
[0046]
<モノマーの具体例>
[化5]


[0047]
[化6]


 nは1~1000の整数
[0048]
・側鎖成分(マクロモノマー(X))
 マクロモノマーは、重量平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが特に好ましい。上限としては、500,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることが特に好ましい。上記バインダー粒子を構成するポリマーが上記の範囲の分子量をもつ側鎖を有することで、より良好に有機溶剤中に均一に分散でき無機固体電解質粒子と混合して塗布できるようになる。
[0049]
 ここでマクロモノマーを用いる実施形態に係る固体電解質組成物の作用について触れると、バインダーポリマーにおける上記の側鎖成分は溶剤への分散性を良化する働きを有するものと解される。これにより、バインダーが溶剤中で粒子状に好適に分散されるので、無機固体電解質を局部的あるいは全面的に被覆することなく固着させることができる。その結果、バインダー粒子間に均等な間隔が保持され粒子間の電気的なつながりを遮断しないため、固体粒子間、集電体間等の界面抵抗の上昇を抑えられると考えられる。さらに、そのバインダーポリマーが側鎖を有することでバインダー粒子が無機固体電解質粒子に付着するだけでなく、その側鎖が絡みつく効果も期待できる。これにより無機固体電解質に係る界面抵抗の抑制と固着性の良化との両立が図られるものと考えられる。さらに、その分散性の良さから、水中乳化重合などと比較して有機溶剤中に転層させる工程を省略でき、また、沸点が低い溶剤を分散媒として用いることができるようにもなる。なお、側鎖成分(X)の分子量は、バインダー粒子を構成するポリマーを合成するときに組み込む重合性化合物(マクロモノマー)の分子量を測定することで同定することができる。
[0050]
-分子量の測定-
 本発明においてポリマーの分子量については、特に断らない限り、重量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を計測する。測定方法としては、基本として下記条件1または条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、ポリマー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
(条件1)
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM-Hをつなげる
キャリア:10mMLiBr/N-メチルピロリドン
(条件2)
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H、TOSOH TSKgel Super HZ4000、TOSOH TSKgel Super HZ2000をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
[0051]
 マクロモノマー(X)のSP値は10以下であることが好ましく、9.5以下であることがより好ましい。下限値は特にないが、5以上であることが実際的である。
[0052]
-SP値の定義-
 本明細書においてSP値は、特に断らない限り、Hoy法によって求める(H.L.Hoy Journal of Painting,1970,Vol.42,76-118)。また、SP値については単位を省略して示しているが、その単位はcal 1/2cm -3/2である。なお、側鎖成分(X)のSP値は、上記側鎖をなす原料モノマーのSP値とほぼ変わらず、それにより評価してもよい。
[0053]
 SP値は有機溶剤に分散する特性を示す指標となる。ここで、側鎖成分を特定の分子量以上とし、好ましくは上記SP値以上とすることで、無機固体電解質との結着性を向上させ、かつ、これにより溶媒との親和性を高め、安定に分散させることができ好ましい。
[0054]
 上記のマクロモノマー(X)の側鎖成分の主鎖は特に限定されず、通常のポリマー成分を適用することができる。マクロモノマー(X)は、重合性不飽和結合を有することが好ましい。例えば置換基を有していて良いビニル基や、置換基を有していて良いアクリロイル基を有するもの、置換基を有していて良いビニルカルボニルイミノ基、置換基を有していて良いビニルフェニル基などを用いることができる。本発明においては、中でも、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
[0055]
 上記マクロモノマー(X)は、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリロニトリルから選ばれるモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。また、上記マクロモノマー(X)は、重合性二重結合と炭素数6以上の直鎖炭化水素構造単位S(好ましくは炭素数6以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数8以上24以下のアルキレン基)を含むことが好ましい。このように、側鎖をなすマクロモノマーが直鎖炭化水素構造単位Sを有することで、溶媒との親和性が高くなり分散安定性が向上するという作用が期待できる。
[0056]
 上記のマクロモノマー(X)は、下記式(b-11)で表される部位を有することが好ましい。
[0057]
[化7]


[0058]
 R b11は水素原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、またはアリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい)を表す。中でも水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。*は結合部である。
[0059]
 上記のマクロモノマー(X)としては、下記式(b-12a)~(b-12c)で表される部位を有することが好ましい。
[0060]
[化8]


[0061]
 R b2はR b11と同義である。*は結合部である。R は前記と同義である。式(b-12c)、(b-13c)、(b-14c)のベンゼン環には任意の置換基Tが置換していてもよい。
[0062]
 上記のマクロモノマー(X)は、下記式(b-13a)~(b-13c)で表される化合物または(b-14a)~(b-14c)で表される繰り返し単位を有する化合物であることが好ましい。
[0063]
[化9]


[0064]
 R b3はR b11と同義である。
[0065]
 n は特に限定されないが、好ましくは1~6の整数であり、より好ましくは1または2である。
[0066]
 Raはn が1のときは置換基(好ましくは有機基)、n が2以上のときは連結基を表す。
 Rbは二価の連結基である。
 RaおよびRbが連結基であるとき、その連結基としては、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数3~12のシクロアルカン連結基(2価の場合シクロアルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、炭素数3~12のヘテロアリール連結基(2価の場合ヘテロアリーレン基)、オキシ基(-O-)、スルフィド基(-S-)、ホスフィニデン基(-PR-:Rは水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)、シリレン基(-SiRR’-:R、R’は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)カルボニル基、イミノ基(-NR -:R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基)、またはその組み合わせであることが好ましい。なかでも、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、オキシ基、カルボニル基、またはその組み合わせであることが好ましい。
 Raが一価の置換基であるときには、後記置換基Tの例が挙げられ、なかでもアルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。このとき、前記Raが連結基のときに定義される連結基を有していてもよい。
 このとき、RaおよびRbは、それぞれ、少なくとも、炭素数1~30の直鎖炭化水素構造単位(好ましくはアルキレン基)を含有することがより好ましく、前記直鎖炭化水素構造単位Sを含むことがより好ましい。また、前記RaおよびRbは、それぞれ、炭素原子、酸素原子、水素原子前記連結基は置換基を有していてもよく、その例としては後記置換基Tが挙げられる。
[0067]
 上記のマクロモノマー(X)はさらに下記式b-15で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
[化10]


 式中、R b4は、前記のZ 11と同義である。好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。
 その他、マクロモノマーXには、上述した重合性基を有する繰り返し単位のほか、上記式b-15のような(メタ)アクリレート構成単位、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)を有していてもよいアルキレン鎖(例えばエチレン鎖)が挙げられる。このとき、アルキレン鎖には、エーテル基(O)等が介在していてもよい。
[0068]
 あるいは、上記のマクロモノマー(X)は、下記式(N-1)~(N-3)で表される化合物であることが好ましい。
[0069]
[化1]


[0070]
 Pは重合性基である。L 11~L 17はそれぞれ独立に連結基である。k1、k2、k3、k12、k13はモル分率である。mは1~200の整数である。nは0または1である。R 13~R 15、R 21、R 23はそれぞれ独立に、重合性基または置換基R (水素原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、またはアリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい))である。R 16は水素原子または置換基である。qは0または1である。R 22はR 21より高分子量の鎖状構造部位である。R 24は水素原子または置換基である。
[0071]
 Pは重合性基であり、好ましくは、上記の式(b-11)ないし(b-12a)~(b-12c)である。L 11~L 17はそれぞれ独立に連結基Lであり、上記のL と同義であることが好ましい。
 本明細書において、式(N-3)に記載するように波線を用いて表した左端の構造は、主鎖の少なくとも一方の末端構造を表す。
 L 11は、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基、(ポリ)アミド基またはそれらの組合せに係る基が好ましい。L 11は置換基Tを有していてもよく、例えば、ヒドロキシ基を有していてもよい。
 L 12およびL 13は、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基、(ポリ)アミド基、またはそれらの組合せに係る基が好ましい。
 L 14は、炭素数1~24(好ましくは1~18)のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基、(ポリ)アミド基、またはそれらの組合せに係る基が好ましく、(ポリ)アルキレンオキシ基(xが1~4)が特に好ましい。そのときのアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~6が特に好ましい。このアルキレン基は置換基Tを有していてもよく、例えば、ヒドロキシ基を有していてもよい。
 L 15は、なかでも、アルキレン基が好ましい。比較的長鎖であることが好ましく、炭素数4~30が好ましく、炭素数6~20がより好ましく、炭素数6~16が特に好ましい。L 15は任意の置換基を有していてもよい。任意の置換基としては、例えば、置換基Tが挙げられ、具体的には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、チオール基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリーロイル基、アリーロイルオキシ基、アミノ基等の任意の置換基を有していてもよい。
 L 16は、単結合(n=0)になることが好ましい。
 L 17は、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基、(ポリ)アミド基またはそれらの組合せに係る基が好ましい。L 17は置換基Tを有していてもよく、例えば、ヒドロキシ基を有していてもよい。
 nは0または1である。
 L 11~L 16はなかでも、酸素原子、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子で構成された原子数1~60(好ましくは1~30)の連結基であることが好ましい。連結基の構成原子数としては4~40が好ましく、6~24がより好ましい。
 k1、k2、k3はポリマー中の各繰り返し単位のモル分率で、k1+k2+k3=1である。k1は0.001~0.3が好ましく、0.01~0.1がより好ましい。k2は0~0.7が好ましく、0~0.5がより好ましい。k3は0.3~0.99が好ましく、0.4~0.9がより好ましい。
 mは1~200の整数を表し、1~100の整数であることが好ましく、1~50の整数であることがより好ましい。
 k12、k13はポリマー中の各繰り返し単位のモル分率で、k12+k13=1である。k12は0~0.7が好ましく、0~0.6がより好ましい。k13は0.3~1が好ましく、0.4~1がより好ましい。
 R 13、R 14、R 15はR と同義の基またはPの重合性基である。なかでも、R の基が好ましく、水素原子またはアルキル基(炭素数1~3が好ましい)、シアノ基が好ましい。
 R 16は上記R と同義である。なかでも、好ましくは、水素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基である。
 qは0または1である。
[0072]
 R 21、R 23は上記のR と同義であることが好ましい。
[0073]
 R 22はR 21より高分子量の鎖状構造部位であり、アルキル基(炭素原子数4~60が好ましく、6~36がより好ましい)、アルケニル基(炭素原子数4~60が好ましく、6~36がより好ましい)、アリーレン基(炭素原子数4~60が好ましく、6~36がより好ましい)、ハロゲン化アルキル基(炭素原子数4~60が好ましく、6~36がより好ましい。ハロゲン原子はフッ素原子が好ましい)、(ポリ)オキシアルキレン基含有基、(ポリ)エステル基含有基、(ポリ)アミド基含有基、(ポリ)シロキサン基含有基であることが好ましい。このような部位としては、ヒドロキシ基含有脂肪酸の自己縮合物やアミノ基含有脂肪酸の自己縮合物などが挙げられる。このとき、R 22は置換基Tを有してもよく、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基等を適宜有していてもよい。上記連結基含有基は後記連結基Lの定義に従う。その末端基は後記R であることが好ましい。
[0074]
 R は水素原子、ヒドロキシル基、または置換基である。置換基としては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7~22が好ましく、7~14がより好ましく、7~10が特に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニルオキシ基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アルキニルオキシ基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アラルキルオキシ基(炭素数7~22が好ましく、7~14がより好ましく、7~10が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)、が好ましい。
[0075]
 R 24は水素原子または置換基であり、好ましくは下記R と同義の基である。なかでも、水素原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~18がより好ましく、1~12が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~15がより好ましい)が好ましい。このとき、R 24は置換基Tを有してもよく、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基等を適宜有していてもよい。
[0076]
 R は、水素原子または置換基Tが挙げられる。なかでも、水素原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~15がより好ましい)、アルコキシ基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)、アラルキルオキシ基(炭素数7~23が好ましく、7~15がより好ましく、7~11が特に好ましい)、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基(スルファニル基)、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、酸素原子を含有する脂肪族複素環基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、(メタ)アクリロイル基、またはアミノ基(NR :R は上記の定義に従い、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基)である。
[0077]
 換言すると、式N-2の化合物は、ポリマー鎖の側鎖に重合性基が組み込まれた構造であることが好ましい。
 式N-2は置換基を有することがある脂肪酸のカルボキシル基に、重合性基を導入した構造であることが好ましい。
 式N-3は、ポリマーの少なくとも片方の末端に重合性基を組み込んだ構造であることが好ましい。
[0078]
 置換基としては、上記の連結基の末端に任意の置換基が配置された構造が挙げられる、末端置換基の例としては、下記置換基Tが挙げられ、上記R b11の例が好ましい。
[0079]
 置換基Tとしては、上記のZ 11の置換基の例が挙げられる。
[0080]
 化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
 本明細書において、化合物の置換基や連結基の選択肢を始め、温度、厚さといった各技術事項は、そのリストがそれぞれ独立に記載されていても、相互に組み合わせることができる。
[0081]
 上記マクロモノマーとして、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマーを用いてもよい。ここで、マクロモノマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。
[0082]
 マクロモノマー(X)に由来する繰り返し単位の共重合比は特に限定されないが、バインダー粒子を構成するポリマー中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
[0083]
・バインダー粒子の諸元
 バインダー粒子を構成するポリマーの重量平均分子量は5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。上限としては、1,000,000以下であることが好ましく、200,000以下であることがより好ましい。
[0084]
 バインダー粒子の配合量は、上記無機固体電解質(活物質を用いる場合はこれを含む)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。
 固体電解質組成物に対しては、その固形分中、バインダー粒子が0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
 バインダー粒子を上記の範囲で用いることにより、一層効果的に無機固体電解質の固着性と界面抵抗の抑制性とを両立して実現することができる。
[0085]
 バインダー粒子は一種を単独で用いても、複数の種類のものを組み合わせて用いてもよい。また、他の粒子と組み合わせて用いてもよい。
[0086]
 本発明においてバインダー粒子の平均粒径は1,000nm以下に設定されることが好ましく、750nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。下限値は10nm以上に設定されることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。本発明においてバインダー粒子の平均粒径は、特に断らない限り、後記実施例の項のバインダーの平均粒径の測定で測定した条件によるものとする。
 無機固体電解質が粒子状であるときには、無機固体電解質の平均粒径より、上記バインダー粒子の粒径が小さいことが好ましい。
 バインダー粒子の大きさを上記の範囲とすることにより、良好な密着性と界面抵抗の抑制とを実現することができる。
 なお、作成された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を剥がした後、その電極材料について後述のバインダーの粒径測定の方法に準じてその測定を行い、あらかじめ測定していたバインダー以外の粒子の粒径の測定値を排除することにより行うことができる。
[0087]
 本発明においてバインダー粒子を構成するポリマーは非晶質であることが好ましい。ポリマーが「非晶質」であるとは、典型的には、後述するTgの測定方法で測定したときに結晶融解に起因する吸熱ピークが見られないポリマーのことを言う。
 なお、作成された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を水に入れてその材料を分散させた後、ろ過を行い、残った固体を収集し後述するTgの測定方法でガラス転移温度を測定することにより行うことができる。
[0088]
 バインダー粒子はこれを構成するポリマーのみからなっていてもよく、あるいは、別種の材料(ポリマーや低分子化合物、無機化合物など)を含む形で構成されていてもよい。好ましくは、構成ポリマーのみからなるバインダー粒子である。
[0089]
 本発明においては、バインダーにTgの50℃以上異なるコアシェル粒子を用いることで、全固体二次電池に対する利用において良好な性能を示す。この理由は以下のように解される。製造時に、無機電解質粒子(活物質を用いる場合は活物質も含む)とバインダー粒子とを混合し加熱する工程においても高Tg成分が軟化しにくく球状の形態を維持することができる。一方、低Tg成分によって無機電解質粒子(活物質を用いる場合は活物質も含む)を好適に接着する。これにより、無機電解質粒子どうしの隙間を埋めきってしまうことなく、良好なイオン伝導性を確保しつつ、柔軟性があり、しかも低Tg部により強固な接着状態が実現されていると考えられる。
[0090]
 上記のバインダーをなすコアシェル粒子は常法により製造することができる。その一例を挙げると乳化重合法において、ポリマーにしたときにTgが異なりうるモノマーを逐次に反応媒体中に滴下する方法が挙げられる。つまり、最初に滴下する成分で構成したコア粒子を媒体中に生成させ、次いで滴下する成分で被覆しシェル部を形成する態様である。このとき、二成分のモノマーの選択を適切に行うことで所望のTgの差を持つコアシェル粒子を生成することができる。添加及び重合を連続的に行って単一粒子としても、一度コアを粒子化(冷却)して更にシェルを被覆した非単一粒子としてもよい。
 ここでの、単一粒子とは、共有結合で連続した高分子鎖が、部分的にコア部(例えば高Tg)とシェル部(例えば低Tg)をなしていることを意味する。
[0091]
・重合開始剤
 本発明のバインダーをなす高分子化合物の合成には、重合開始剤を含有させることが好ましい。なかでもラジカル重合開始剤を配合することが挙げられる。
 熱によって開裂して開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt-ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びm-トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル)シクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキサン及び2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、ジ-t-ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサネート、t-アミルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート及びジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類;1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α-クミルペルオキシネオジカーボネート、t-ブチルペルオキシネオジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1-ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t-アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート及び1,6-ビス(t-ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類;1,1-ビス(t-ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン及び(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられる。
 アゾ系(AIBN等)の重合開始剤として使用するアゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリック酸、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等が挙げられる(特開2010-189471など参照)。あるいは、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピネート)(商品名 V-601、和光純薬社製)なども好適に用いられる。
[0092]
 ラジカル重合開始剤として、上記の熱ラジカル重合開始剤の他に、光、電子線又は放射線で開始ラジカルを生成するラジカル重合開始剤を用いることができる。
 このようなラジカル重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔IRGACURE651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン〔IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン〔DAROCUR1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン〔IRGACURE2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン〔IRGACURE127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1〔IRGACURE369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モノホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔IRGACURE379、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド〔DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド〔IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(η -2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム〔IRGACURE784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]〔IRGACURE OXE 01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)〔IRGACURE OXE 02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕などを挙げることができる。
 これらのラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
 重合開始剤の含有量はモノマー100質量部に対して0.01質量部~20質量部の量で適用することが好ましい。
[0093]
・重合禁止剤
 バインダーをなす高分子化合物の合成には、重合禁止剤を添加してもよい。上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル等を用いることができる。
 重合禁止剤の含有量は特に限定されないが、有機硬化成分1部に対して0~20000ppm(質量部基準)、好ましくは100~10000ppm、更に好ましくは300~8000ppmで添加することが好ましい。重合禁止剤の添加量が少なすぎると、封止硬化時に、急激に発熱を生じながら重合が起こるため、リフレクターパッケージ基材との密着性が低下し、熱衝撃を与えた際に、封止材/基材界面で剥離が生じやすくなる。一方、重合禁止剤の添加量が多すぎると、大気下で封止剤を硬化する際、硬化速度を著しく低下させ、表面硬化不良を引き起こす。
[0094]
 バインダーをなす高分子化合物の合成には、反応媒体を用いてもよい。好適に用いられる媒体としては、脂肪族化合物溶媒、エーテル溶媒が挙げられ、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン、オクタン、デカン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテルなどが好ましい。
 重合反応の温度は特に限定されず、適用するモノマーや反応媒体によって調整すればよいが、例えば、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が特に好ましい。上限は特にないが、150℃以下であることが実際的である。
[0095]
(分散媒体)
 本発明の固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。分散媒体としては、例えば、水溶性有機溶媒が挙げられる。具体例としては、下記のものが挙げられる。
・アルコール化合物溶媒
 メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、2-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールなど
・エーテル化合物溶媒(水酸基含有エーテル化合物を含む)
 ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)など
・アミド化合物溶媒
 N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなど
・ケトン化合物溶媒
 アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど
・芳香族化合物溶媒
 ベンゼン、トルエンなど
・脂肪族化合物溶媒
 ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなど
・ニトリル化合物溶媒
 アセトニトリルなど
[0096]
 本発明においては、なかでも、エーテル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒を用いることが好ましい。分散媒体は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。上限は220℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0097]
(正極活物質)
 本発明の固体電解質組成物には、正極活物質を含有させてもよい。それにより、正極材料用の組成物とすることができる。正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素M (Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M (リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、遷移金属酸化物として例えば、下記式(MA)~(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV 、MnO 等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
[0098]
 遷移金属酸化物としては、上記遷移元素M を含む酸化物等が好適に挙げられる。このとき混合元素M (好ましくはAl)などを混合してもよい。混合量としては、遷移金属の量に対して0~30mol%が好ましい。Li/M のモル比が0.3~2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
[0099]
〔式(MA)で表される遷移金属酸化物(層状岩塩型構造)〕
 リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
  Li      ・・・ (MA)
[0100]
 式中、M は上記Maと同義である。aは0~1.2(0.2~1.2が好ましい)を表し、0.6~1.1であることが好ましい。bは1~3を表し、2であることが好ましい。M の一部は上記混合元素M で置換されていてもよい。上記式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
[0101]
 本遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものであることがより好ましい。
 (MA-1)  Li CoO
 (MA-2)  Li NiO
 (MA-3)  Li MnO
 (MA-4)  Li Co Ni 1-j
 (MA-5)  Li Ni Mn 1-j
 (MA-6)  Li Co Ni Al 1-j-i
 (MA-7)  Li Co Ni Mn 1-j-i
[0102]
 ここでgは上記aと同義である。jは0.1~0.9を表す。iは0~1を表す。ただし、1-j-iは0以上になる。kは上記bと同義である。上記遷移金属化合物の具体例を示すと、LiCoO (コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi (ニッケル酸リチウム)LiNi 0.85Co 0.01Al 0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi 0.33Co 0.33Mn 0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi 0.5Mn 0.5(マンガンニッケル酸リチウム)である。
[0103]
 式(MA)で表される遷移金属酸化物は、一部重複するが、表記を変えて示すと、下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(i)Li Ni Mn Co (x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
 代表的なもの:
   Li Ni 1/3Mn 1/3Co 1/3
   Li Ni 1/2Mn 1/2
(ii)Li Ni Co Al (x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
 代表的なもの:
   Li Ni 0.8Co 0.15Al 0.05
[0104]
〔式(MB)で表される遷移金属酸化物(スピネル型構造)〕
 リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
  Li     ・・・ (MB)
[0105]
 式中、M は上記Maと同義である。cは0~2(0.2~2が好ましい)を表し、0.6~1.5であることが好ましい。dは3~5を表し、4であることが好ましい。
[0106]
 式(MB)で表される遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものであることがより好ましい。
 (MB-1)  Li Mn
 (MB-2)  Li Mn Al 2-p
 (MB-3)  Li Mn Ni 2-p
[0107]
 mはcと同義である。nはdと同義である。pは0~2を表す。上記遷移金属化合物の具体例を示すと、LiMn 、LiMn 1.5Ni 0.5である。
[0108]
 式(MB)で表される遷移金属酸化物はさらに下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
 (a) LiCoMnO
 (b) Li FeMn
 (c) Li CuMn
 (d) Li CrMn
 (e) Li NiMn
 高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
[0109]
〔式(MC)で表される遷移金属酸化物〕
 リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
  Li (PO  ・・・ (MC)
[0110]
 式中、eは0~2(0.2~2が好ましい)を表し、0.5~1.5であることが好ましい。fは1~5を表し、0.5~2であることが好ましい。
[0111]
 上記M はV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選択される一種以上の元素を表す。上記M は、上記の混合元素M のほか、Ti、Cr、Zn、Zr、Nb等の他の金属で置換していてもよい。具体例としては、例えば、LiFePO 、Li Fe (PO 等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP 等のピロリン酸鉄類、LiCoPO 等のリン酸コバルト類、Li (PO (リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
 なお、Liの組成を表す上記a,c,g,m,e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。上記式(a)~(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
[0112]
 正極活物質の平均粒子サイズ(直径)は特に限定されないが、0.1μm~50μmが好ましい。正極活物質を所定の粒子サイズにするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
[0113]
 正極活物質の濃度は特に限定されないが、固体電解質組成物中、固形成分100質量%において、20~90質量%であることが好ましく、40~80質量%であることがより好ましい。
 上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0114]
(負極活物質)
 本発明の固体電解質組成物には、負極活物質を含有させてもよい。それにより、負極材料用の組成物とすることができる。負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、Sn、In、AlやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
[0115]
 負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
[0116]
 これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62-22066号公報、特開平2-6856号公報、同3-45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5-90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6-4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
[0117]
 負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°~40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
[0118]
 上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族~15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga 、SiO、GeO、SnO、SnO 、PbO、PbO 、Pb 、Pb 、Pb 、Sb 、Sb 、Sb 、Bi 、Bi 、SnSiO 、GeS、SnS、SnS 、PbS、PbS 、Sb 、Sb 、SnSiS などが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、Li SnO であってもよい。
[0119]
 負極活物質の平均粒子サイズ(直径)は、0.1μm~60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
[0120]
 上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
[0121]
 Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
[0122]
 負極活物質の濃度は特に限定されないが、固体電解質組成物中、固形成分100質量%において、10~80質量%であることが好ましく、20~70質量%であることがより好ましい。
[0123]
 なお、上記の実施形態では、本発明に係る固体電解質組成物に正極活物質ないし負極活物質を含有させる例を示したが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。例えば、上記バインダーを含まないバインダー組成物として正極活物質ないし負極活物質を含むペーストを調製してもよい。このとき、上記の無機固体電解質を含有させることが好ましい。このような、常用される正極材料ないし負極材料と組み合わせて、上記本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質組成物を用い無機固体電解質層を形成してもよい。また、正極および負極の活物質層には、適宜必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。一般的な電子伝導性材料として、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維や金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体などを含ませることができる。
[0124]
 上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0125]
<集電体(金属箔)>
 正・負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
[0126]
 上記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。上記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm~500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
[0127]
<全固体二次電池の作製>
 全固体二次電池の作製は常法によればよい。具体的には、上記固体電解質組成物を集電体となる金属箔上に塗布し膜を形成した電池用電極シートとする方法が挙げられる。例えば、金属箔上に正極材料となる組成物を塗布し、膜形成する。次いでその電池用電極シートの正極活物質層の上面に無機固体電解質の組成物を塗布し、膜形成する。さらに、同様にして負極の活物質の膜を形成して負極側の集電体(金属箔)を付与することで、所望の全固体二次電池の構造を得ることができる。なお、上記の各組成物の塗布方法は常法によればよい。このとき、正極活物質層をなす組成物、無機固体電解質層をなす組成物、及び負極活物質層をなす組成物のそれぞれの塗布の後に、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。このような温度範囲で加熱することで、コアシェル粒子からなるバインダーを好適に軟化させ、一方で粒子形状を維持することができる。これにより、全固体二次電池において、良好な結着性と非加圧でのイオン伝導性を得ることができる。
[0128]
<全固体二次電池の用途>
[0129]
 本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様は特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
[0130]
 なかでも、高容量且つ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い信頼性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の信頼性が求められる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
[0131]
 本発明の好ましい実施形態によれば、以下のような各応用形態が導かれる。
・周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含んでいる固体電解質組成物(正極または負極の電極用組成物)。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に製膜した電池用電極シート。
・正極活物質層と負極活物質層と無機固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、上記正極活物質層、負極活物質層、および無機固体電解質層の少なくともいずれかを上記固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に配置し、これを製膜する電池用電極シートの製造方法。
・上記電池用電極シートの製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
[0132]
 全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる高分子全固体二次電池と、上記のLLTやLLZを用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に高分子化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質粒子のバインダーとして高分子化合物を適用することができる。
 無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド)が挙げられる。
 本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に電解質層を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、上記組成物を硬化して形成した電解質層はこれに含まれないものとする。
実施例
[0133]
 以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において「部」および「%」というときには、特に断らない限り質量基準である。
[0134]
<実施例・比較例>
(樹脂の合成例)・・・単一コアシェル粒子の合成
 還流冷却管、ガス導入コックを付した2L三口フラスコにヘプタン(和光純薬工業株式会社製)を448g、添加し、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に、95℃に昇温した。別容器にて調製した液(マクロモノマーM-1の40質量%ヘプタン溶液を90.0g、メタクリル酸メチル[A-4](和光純薬工業株式会社製)を250.0g、V-601(和光純薬工業株式会社製)を1.4g混合した液)を1時間かけて滴下した(前駆体K-11)。滴下完了後、別容器にて調製した液(マクロモノマーM-1の40質量%ヘプタン溶液を10.0g、2-エチルヘキシルアクリレート[A-7](和光純薬工業株式会社製)を110.0g混合した液)を1時間かけて滴下した。滴下完了後、V-601を0.5g添加した。その後95℃で2時間攪拌したあと室温まで冷却し、ろ過することで樹脂B-1の分散液を得た。固形分濃度は46.2%、粒径は193nmであった。
 なお表3のTg1は先に滴下を行ってできた前駆体K-11(コア)のTgを指し、Tg2は後に滴下するモノマーを別の容器で上記前駆体K-11と同様に重合することで得られたポリマー(シェル)のTgを指す。シェルをなす高分子化合物の1例に関するDSCの測定結果を図4に示した。
 他の例示バインダー(B-2~B-9、B-11~B-23)も同様の方法で調製した(下記表1参照)。
[0135]
(樹脂の合成例)・・・非単一コアシェル粒子の合成
 還流冷却管、ガス導入コックを付した2L三口フラスコにヘプタン(和光純薬工業株式会社製)を448g、添加し、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に、95℃に昇温した。別容器にて調製した液(マクロモノマーM-1の40質量%ヘプタン溶液を100.0g、メタクリル酸メチル[A-4](和光純薬工業株式会社製)を210g、ジメチルアミノエチルメタクリレート[A-63](東京化成工業株式会社製)を20g、V-601(和光純薬工業株式会社製)を1.4g混合した液)を2時間かけて滴下した。滴下完了後、V-601を0.5g添加した。その後95℃で2時間攪拌したあと室温まで冷却することで前駆体K-101を得た。還流冷却管、ガス導入コックを付した2L三口フラスコにヘプタン(和光純薬工業株式会社製)を350g、添加し、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に、95℃に昇温した。別容器にて調製した液(2-エチルヘキシルアクリレート[A-7](和光純薬工業株式会社製)を120.0g混合した液、アクリル酸[A-2](東京化成工業株式会社製)を10g、V-601(和光純薬工業株式会社製)を1.0g混合した液)を2時間かけて滴下した。滴下完了後、V-601を0.4g添加した。その後95℃で2時間攪拌したあと室温まで冷却することで前駆体K-102の分散液を得た。K-101の分散液が入った2L三口フラスコにK-102を1時間かけて滴下することで、B-10を得た。固形分濃度は41.3%、粒径は194nmであった。
[0136]
<マクロモノマー M-1の合成例>
 還流冷却管、ガス導入コックを付した500mL三口フラスコにトルエン(和光純薬工業株式会社製)を147g、添加し、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に、95℃に昇温した。別容器にて調製した液(メタクリル酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を30.0g、ラウリルメタクリル酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を69.0g、アクリル酸(和光純薬工業株式会社製)を1.0g、V-601(和光純薬工業株式会社製)を2.0g混合した液)を2時間かけて滴下した。滴下完了後、V-601を1.0g添加した。その後95℃で1時間攪拌したあとグリシジルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)3.95g、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.39g、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル(東京化成工業株式会社製)を添加し、100℃で2時間攪拌した。室温まで冷却し、トルエン1.5Lで希釈後メタノールに再沈殿させた後、デカンテーションを行い65℃で乾燥することでマクロモノマーM-1を得た。重量平均分子量は9300だった。
[0137]
 下記に合成されたマクロモノマーおよびポリマーの推定構造式を示す。
[0138]
[化11]


[0139]
[化12]


[0140]
[表1]


[0141]
<表の注釈>
 表中の数字は質量部
 化合物の番号は上記例示化合物の例示を参照
MC:コア部を構成するモノマー
MS:シェル部を構成するモノマー
MM:マクロモノマー
[0142]
(固体電解質組成物の調製例)
 ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、無機固体電解質LLT(豊島製作所製)9.5g、バインダーB-1を0.5g(固形分重量)、分散媒として、ヘプタン15.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルに容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合を続け、固体電解質組成物S-1を得た。調製された無機固体電解質粒子の平均粒径は、50μmであった。
[0143]
[表2]


[0144]
<表の注釈>
 表中数字は質量比(%)
 化合物の番号は上記例示化合物の例示を参照
 LLT  :Li 0.33La 0.55TiO
 LLZ  :Li La Zr2O 12
 MEK :メチルエチルケトン
[0145]
 PEO :下記の合成方法で得たポリマー粒子
 オートクレーブに、アクリル酸n-ブチル700部、スチレン200部、メタクリル酸5部、ジビニルベンゼン10部、乳化剤としてのポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製、エマルゲン108、非イオン性界面活性剤、アルキル基の炭素数12、HLB値12.1)25部、イオン交換水1500部、重合開始剤としてのアゾビスブチロニトリル15部を仕込み、十分攪拌した。その後、80℃に加温して重合を行なった。そして、重合開始後、冷却して重合反応を停止することで、ポリマー粒子のラテックスを得た。平均粒径は120nmであった。
[0146]
 HBR:下記の合成方法で得たポリマー
 オートクレーブにシクロヘキサン30部、ブタジエン10部を加え、n-ブチルリチウム14%テトラヒドロフラン溶液を30部加える。70℃に昇温し、転化率が100%になったところでさらにブタジエン30kg、テトラヒドロフラン120部を加え、70℃で反応を行う。転化率が100%になった時点でジクロロシラン20%テトラヒドロフラン溶液を30部加え、20分間反応させることでトリブロック重合体を得た。その後、反応液を70℃にし、n-ブチルリチウム3部、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール3部とビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド1部およびジエチルアルミニウムクロライド2部を加え、水素圧10kg/cm  で1時間反応させ、留去し、乾燥させることでブロックポリマーを得た。
[0147]
[表3-1]


[0148]
[表3-2]


[0149]
<表の注釈>
LMO;LiMn  マンガン酸リチウム
LTO;Li Ti 12 チタン酸リチウム
LCO;LiCoO  コバルト酸リチウム
NMC;Li(Ni 1/3Mn 1/3Co 1/3)O  ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
[0150]
 Tg1は先に滴下を行ってできた前駆体K-11(コア)のTgを指し、Tg2は後に滴下するモノマーを別の容器で上記前駆体K-11と同様に重合することで得られたポリマー(シェル)のTgを指す。なお、コアシェル粒子となった後には、2つのTgが測定されることから、そのTgの差を特定することができる。
[0151]
(二次電池正極用組成物の調製例)
 プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、コバルト酸リチウム100部(平均粒径 10μm)、アセチレンブラック5部、上記により得られた固体電解質組成物S-1 75部、MEK270部を加え、40rpmで一時間撹拌をおこなった。
[0152]
(二次電池負極用組成物の調製例)
 プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、チタン酸リチウム(商品名「エナマイトLT-106」、石原産業株式会社製)100部(平均粒径 6μm)、アセチレンブラック5部、上記で得られた固体電解質組成物S-1 75部、MEK270部を加え、40rpmで一時間撹拌をおこなった。
[0153]
(二次電池用正極の作製例)
 上記で得られた二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、任意のクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃1時間とさらに110℃1時間加熱し、乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、二次電池用正極を得た。
[0154]
(二次電池用電極シートの作製例)
 上記で得られた二次電池用正極(固体電解質シートを作成する場合はアルミ箔)上に、上記で得られた固体電解質組成物を、任意のクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃ 2時間加熱し、乾燥させた。
 その後、上記で得られた二次電池負極用組成物(固体電解質シートを作成する場合は塗布しない)をさらに塗布し、80℃ 2時間加熱し、乾燥させた。負極層上に厚み20μmの銅箔を合わせ、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、二次電池用電極シートを得た。
[0155]
<結着性の評価>
 電極シートに粘着テープを貼り、一定速度で引き剥がした際に、剥離した部分の面積の比率で表した。
 5: 0%
 4: 0%超5%未満
 3: 5%以上20%未満
 2: 20%以上50%未満
 1: 50%以上
[0156]
<イオン伝導度の測定>
 上記で得られた二次電池用電極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、コイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に500kgf/cm の圧力をかけることができるジグに挟み、各種電気化学的測定に用いた。
 上記で得られたコイン電池を用いて、30℃の恒温槽中、交流インピーダンス法により求めた。このとき、電池の加圧には図3に示した試験体を用いた。11が上部支持板、12が下部支持板、13がコイン電池、Sがネジである。
<高温保存後のイオン伝導度の測定>
 上記で得られたコイン電池を用いて、70℃の恒温槽中に1週間静置した後、30℃の恒温槽中、交流インピーダンス法により求めた。
[0157]
<粒径の測定>
(バインダーの平均粒径の測定)
 バインダー粒子の平均粒径の測定は、以下の手順で行った。上記にて調製したバインダーを任意の溶媒(固体電解質組成物の調製に用いる分散媒。バインダーB-1の場合はヘプタン)を用いて1質量%の分散液を調製した。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(HORIBA社製)を用いて、樹脂粒子の体積平均粒径を測定した。
[0158]
<Tgの測定方法>
 ガラス転移点は、上記の乾燥試料を用いて、示差走査熱量計(SIIテクノロジー社製、DSC7000)を用いて下記の条件で測定した。測定は同一の試料で二回実施し、二回目の測定結果を採用した。
 ・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
 ・昇温速度:5℃/min
 ・測定開始温度:-100℃
 ・測定終了温度:200℃
 ・試料パン:アルミニウム製パン
 ・測定試料の質量:5mg
 ・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定した。
[0159]
 マクロモノマーをM-2~M-5に変えて行った以外、試験101と同様にして、電池性能の確認を行った。その結果、いずれも良好な性能が得られることを確認した。
[0160]
[表4]


[0161]
(マクロモノマー M-2の合成例)
 12-ヒドロキシステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)の自己縮合体(GPCポリスチレンスタンダード数平均分子量:2,000)にグリシジルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)を反応させることでマクロモノマーM-2を得た。重量平均分子量は10000であった。
 マクロモノマーM-2の推定構造は下記のとおりである。
[0162]
[化13]


(マクロモノマー M-3の合成例)
 12-ヒドロキシステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)の自己縮合体(GPCポリスチレンスタンダード数平均分子量:2,000)に4-ヒドロキシスチレン(和光純薬工業株式会社)を反応させることでマクロモノマーM-3を得た。このマクロモノマーM-3の重量平均分子量は4600であった。
[0163]
(マクロモノマー M-4の合成例)
 フルオロエチレン・ビニルエーテル共重合体(旭硝子社製)にグリシジルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)を反応させることでマクロモノマーM-4(GPCポリスチレンスタンダード重量平均分子量:120,000)を得た。
[0164]
(マクロモノマー M-5)
 片末端メタクリロイル化ポリ-n-ブチルアクリレートオリゴマー(Mw=13,000、商品名:AB-6、東亜合成化学工業(株)製)をマクロモノマーM-5として用いた。
[0165]
 本発明をその実施態様および図面とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
[0166]
 本願は、2014年2月25日に日本国で特許出願された特願2014-033902に基づく優先権を主張するものであり、これをここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

符号の説明

[0167]
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池

請求の範囲

[請求項1]
 無機固体電解質と、コア部とシェル部とを有するコアシェル型粒子で構成されたバインダーと、分散媒体とを含む固体電解質組成物であって、上記コア部を構成する高分子化合物のガラス転移温度とシェル部を構成する高分子化合物のガラス転移温度の差が50℃以上である固体電解質組成物。
[請求項2]
 上記バインダーをなす高分子化合物が下記式(1)または(2)で表される構造単位を含む請求項1に記載の固体電解質組成物。
[化1]


 式中、W ~W はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Z 11~Z 14及びZ 21~Z 24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、Z 11~Z 14の少なくともいずれか1つ、Z 21~Z 24の少なくともいずれか1つは置換基である。W ~W 、Z 11~Z 14、及びZ 21~Z 24同士が結合し環状構造を形成してもよい。Z 11~Z 14及びZ 21~Z 24が式(1)または(2)で表される他のポリマー鎖に連結していてもよい。
[請求項3]
 上記バインダーをなすコアシェル型粒子の平均粒径が10nm以上1,000nm以下である請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
[請求項4]
 上記バインダーをなす高分子化合物が重量平均分子量1,000以上のマクロモノマー(X)に由来する構造単位を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項5]
 上記バインダーをなす高分子化合物が下記官能基群(b)のうち少なくとも1つを有している請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
官能基群(b)
 カルボニル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、オキシ基、シアノ基、スルフィド基、イミノ基
[請求項6]
 上記バインダーをなす高分子化合物が、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリロニトリルモノマーから選ばれるモノマーに由来する繰り返し単位を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項7]
 上記マクロモノマー(X)が重合性二重結合と炭素数6以上の直鎖炭化水素構造単位とを含む請求項4~6のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項8]
 上記マクロモノマー(X)が、下記式(b-13a)~(b-13c)のいずれかで表されるモノマーまたは(b-14a)~(b-14c)のいずれかで表される繰り返し単位を有するモノマーである請求項4~7のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[化2]


 式中R b2およびR b3は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表す。RaおよびRbはそれぞれ独立に連結基を表す。ただし、naが1のときRaは一価の置換基である。naは1~6の整数を表す。R は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基である。
[請求項9]
 上記バインダーのコア部のガラス転移温度がシェル部のガラス転移温度より高い、あるいは上記バインダーのシェル部のガラス転移温度がコア部のガラス転移温度より高い請求項1~8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項10]
 上記バインダーのコア部のガラス転移温度が80℃以上、シェル部のガラス転移温度が30℃以下である、あるいは、上記バインダーのシェル部のガラス転移温度が80℃以上、コア部のガラス転移温度が30℃以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項11]
 上記バインダーをなすコアシェル型粒子の平均粒径が200nm以下である請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項12]
 上記バインダーをなす高分子化合物が下記官能基群(c)のうち少なくとも1つを有している請求項1~11のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
官能基群(c)
 カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基
[請求項13]
 さらに周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含む請求項1~12のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項14]
 上記バインダー粒子を上記無機固体電解質100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下で含有させた請求項1~13のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項15]
 上記分散媒体が、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒、およびニトリル化合物溶媒から選ばれる請求項1~14のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項16]
 上記バインダーコア部の質量とシェル部の質量との比率が、コア部100質量部に対してシェル部が5質量部以上200質量部以下である請求項1~15のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項17]
 請求項1~16のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜した電池用電極シート。
[請求項18]
 正極活物質層と負極活物質層と無機固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、上記正極活物質層、負極活物質層、および無機固体電解質層の少なくともいずれかを請求項1~16のいずれか1項に記載の固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
[請求項19]
 請求項1~16のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を金属箔上に配置し、これを製膜する電池用電極シートの製造方法。
[請求項20]
 請求項19に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]