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1. (WO2015129702) 高分子機能性膜およびその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 高分子機能性膜およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128  

実施例

0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158  

符号の説明

0159  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 高分子機能性膜およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、高分子機能性膜およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 高分子機能性膜としての各種の機能を有する膜として、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜およびガス分離膜等が知られている。
 例えば、イオン交換膜は、電気脱塩(EDI:Electrodeionization)、連続的な電気脱塩(CEDI:Continuous Electrodeionization)、電気透析(ED:Electrodialysis)、極性転換方式電気透析(EDR:Electrodialysis reversal)および逆電気透析(RED:Reverse Electorodialysis)に用いられる。
[0003]
 電気脱塩(EDI)は、イオン輸送を達成するために薄膜の使用と電位の利用により、水性液体からイオンが取り除かれる水処理プロセスである。従来のイオン交換のような他の浄水技術と異なり、酸または苛性ソーダのような化学薬品の使用を要求せず、超純水を生産するために使用することができる。電気透析(ED)および極性転換方式電気透析(EDR)は、水および他の流体からイオン等を取り除く、電気化学的分離プロセスである。
[0004]
 高分子機能性膜(以下、単に「膜」と称することもある。)は、EDI、CEDI、EDおよびEDR等に用いられる際に、膜の電気抵抗および透水率が低いことが望まれる。その一方で、処理装置への組込み中に応力を受ける。また、処理中に寸法が大きく変化してはならない。そのため、一定の機械的または力学的強度を有することが要求され、例えば、所定の厚みの支持体を用いることで高分子機能性膜に力学的強度を持たせることができる。例えば、特許文献1では、厚み約20μmを超え155μm未満の微細孔膜支持体を有する電気透析用イオン交換膜が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特表2013-503038号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 高分子機能性膜において、膜の電気抵抗を低く抑えるために膜厚を薄くすることが考えられる。しかし、膜厚を薄くすることで透水率が上昇してしまうという問題がある。そのため、高分子機能性膜の性能をさらに向上させるためには、膜の電気抵抗を下げ、かつ透水率も下げることが重要である。しかし、力学的強度のために支持体を用いた場合、技術的に難易度が高い。
 このため、本発明者らは、膜の電気抵抗と透水率を全体として考慮し、これらのバランスにおいて、全体的に低下させる、すなわち、透水率と膜の電気抵抗の逆数で表されるイオン透過性との比率(透水率/イオン透過性)を低くすることを検討した。これによって、例えば、電気透析に必要なエネルギーの低減が見込まれる。
 特許文献1に記載の電気透析用イオン交換膜は、膜厚が薄いため膜の電気抵抗は低く抑えられているものの、透水率が高く、しかも膜の電気抵抗と透水率との関係に着目していない。
[0007]
 従って、本発明は、透水率と膜の電気抵抗を全体として低くする、すなわち透水率/イオン透過性を低くする手段を開発し、これにより、イオン交換膜としても性能に優れた高分子機能性膜およびその製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは、鋭意検討の結果、高分子機能性膜が有する支持体表面の元素組成を所定の範囲に規定することにより、高分子機能性膜の膜厚を薄くしても、透水率の上昇を抑制することができることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
[0009]
<1>多孔性支持体と架橋高分子電解質を含有する高分子機能性膜であって、高分子機能性膜の膜厚が100μmより小さく、架橋高分子電解質が、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーを含む組成物を重合硬化反応させてなる架橋高分子であり、多孔性支持体の表面における水素、ヘリウム元素以外の元素組成のうち、酸素元素の割合が14.0原子%以上25.0原子%以下である高分子機能性膜。
<2>多孔性支持体の表面における水素、ヘリウム元素以外の元素組成のうち、硫黄元素の割合が0.1原子%以上10.0原子%以下である<1>に記載の高分子機能性膜。
<3>多孔性支持体の空孔率が55%以上85%以下である<1>または<2>に記載の高分子機能性膜。
<4>多孔性支持体が不織布である<1>~<3>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<5>架橋高分子が、アンモニウム塩および/またはピリジニウム塩を少なくとも含む置換基もしくは連結基を有する<1>~<4>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<6>高分子機能性膜が、多孔性支持体の空孔に架橋高分子電解質が埋め込まれてなる<1>~<5>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<7>架橋高分子が、下記一般式(I)で表される構造を有する<1>~<6>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
[0010]
[化1]


[0011]
 一般式(I)中、R A1~R A3は各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R B1~R B7は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。Z A1~Z A3は各々独立に-NRa-を表す。ここで、Raは水素原子またはアルキル基を表す。L A1~L A3は各々独立にアルキレン基を表し、R はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-またはこれらが組み合わされた2価の連結基を表す。X A1~X A3は各々独立にハロゲンイオンまたは脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンを表す。a~cは、各々の単位構造のモル比を表し、aは0~0.75であり、bおよびcは各々独立に0.25~1.00である。
<8>高分子機能性膜の膜表面における水の接触角が、80度以上120度以下である<1>~<7>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<9>組成物の25℃での表面張力が、15mN/m以上27mN/m以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<10>高分子機能性膜が、フッ素系界面活性剤を含有する<1>~<9>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜。
<11>多孔性支持体と架橋高分子電解質を含有する高分子機能性膜の製造方法であって、高分子機能性膜が<1>~<10>のいずれか1つに記載の高分子機能性膜であり、多孔性支持体に、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーを含む組成物を含浸させた後、組成物に紫外線を照射または/および加熱して重合硬化反応させる高分子機能性膜の製造方法。
[0012]
 本明細書において、「多孔性支持体の表面」とは、X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により、X線源としてAlKα線を使用し、光電子取り出し角を45度として、Pass energy 55eVの測定条件にて測定される深さ(約5nm)のことをいう。
 また、多孔性支持体の表面に存在する全原子数(水素とヘリウムを除く)を100原子%とした場合の、所定の原子の原子数の割合を、原子%として表す。
 また、多孔性支持体の「空孔率」とは、多孔性支持体の体積のうち、多孔性支持体を構成する材料が占める体積と、それ以外の空間の占める体積の総体積を100%とした場合の、空間の占める体積の割合(体積%)を表す。尚、空孔率は、後述の計算式より求められる。
 また、「~」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
 本発明において、「(メタ)アクリル」等の記載は、-C(=O)CH=CH および/または-C(=O)C(CH )=CH を意味するものである。例えば、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを、それぞれ表す。
 ただし、「(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマー」と記載する場合には、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド骨格以外に、-NR -C(=O)CR =CH (R およびR はアルキル基を表す)で表される、α-アルキルアクリルアミド骨格を有するモノマーも含まれるものとする。
 また、各一般式において、特に断りがない限り、複数存在する同一符号の基がある場合、これらは互いに同一であっても異なってもよい。同じく、複数の部分構造の繰り返しがある場合は、これらの繰り返しが同一の繰り返しであるもの、または、規定する範囲で異なった繰り返しの混合であるものの両方を意味するものである。
 さらに、各一般式における二重結合の置換様式である幾何異性体は、表示の都合上、異性体の一方を記載したとしても、特段の断りがない限り、E体であってもZ体であっても、これらの混合物であっても構わない。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、膜の電気抵抗と透水率を全体として低くできる、すなわち透水率/イオン透過性を低くする手段を開発し、この結果、電気透析などで必要なエネルギーの低減が可能となる。この手段により、イオン交換膜の性能に優れた高分子機能性膜およびその製造方法の提供が可能となった。
 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 図1は、膜の透水率を測定するための装置の流路を模式的に表したものである。

発明を実施するための形態

[0015]
<<高分子機能性膜>>
 本発明の高分子機能性膜は、イオン交換、逆浸透、正浸透、ガス分離等を行うために用いることができる。以下、本発明の好ましい実施形態について、高分子機能性膜がイオン交換膜としての機能を有する場合を例に挙げて説明する。
[0016]
<多孔性支持体>
 本発明の高分子機能性膜は、多孔性支持体を有する。この多孔性支持体の空孔に後述の膜形成用の硬化性組成物を存在させることにより、多孔性支持体を膜の一部として構成することができる。補強材料としての多孔性支持体としては、例えば、合成織布、または合成不織布等の不織布、スポンジ状フィルム、微細な貫通孔を有するフィルムが挙げられる。本発明における多孔性支持体を形成する素材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらのコポリマーであるか、あるいは、例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびそれらのコポリマーが挙げられる。市販の多孔性支持体および補強材料は、例えば、三菱製紙(株)、ニッポン高度紙工業(株)、旭化成せんい(株)、日本バイリーン(株)、タピルス社、Freudenberg Filtration Technologies(株)社から市販されている。
 本発明における多孔性支持体は不織布が好ましく、不織布の中でも、ポリエチレンとポリプロピレンの複合繊維からなる不織布が好ましい。また、この複合繊維の繊維径は、0.5~15μmが好ましく、1~13μmがより好ましく、2~10μmが特に好ましい。本発明における多孔性支持体の厚さは、20~90μmが好ましく、30~80μmが更に好ましく、40~70μmが特に好ましい。
[0017]
<高分子機能性膜の膜厚>
 本発明の高分子機能性膜の膜厚は、多孔性支持体と架橋高分子電解質を含む複合体としての膜厚である。
 本発明の高分子機能性膜の膜厚は、実施例で実施しているように、具体的には0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存した後の高分子機能性膜の膜厚である。
 本発明では、高分子機能性膜の膜厚は、100μmより小さく、10~90μmが好ましく、30~80μmがより好ましく、40~80μmが特に好ましい。
 膜厚がこの範囲内にあることにより、膜の電気抵抗を低く抑えることができる。
[0018]
<多孔性支持体の表面における元素組成>
 本発明の高分子機能性膜が含有する多孔性支持体は、多孔性支持体の表面における水素、ヘリウム元素以外の元素組成において、酸素元素の割合が14.0原子%~25.0原子%である多孔性支持体を使用し、この多孔性支持体は架橋高分子電解質と複合する。
 酸素元素の割合は、14.0原子%~25.0原子%であり、より好ましくは16.0原子%~24.0原子%であり、特に好ましくは18.0原子%~23.0原子%である。
 また、硫黄元素の割合は、好ましくは0.1原子%~10.0原子%であり、より好ましくは1.0原子%~8.5原子%であり、特に好ましくは2.5原子%~7.5原子%である。
[0019]
 ここで、酸素元素もしくは硫黄元素の原子%は、水素元素とヘリウム元素を除いた全ての元素の原子中における酸素元素もしくは硫黄元素の原子%である。
 なお、水素とヘリウムの元素を除くのは、後述するように、X線光電子分光分析法で測定できないためである。
 すなわち、元素組成が上記範囲内にあることにより、本発明の高分子機能性膜は、膜厚が薄くても透水率を低い値に抑制することができる。この理由は明らかではないが、以下のように考えられる。
[0020]
 多孔性支持体の表面において、酸素元素もしくは硫黄元素の存在割合が増加することで、多孔性支持体と架橋高分子電解質との相互作用が大きくなり、多孔性支持体と架橋高分子電解質の界面を透過経路とした水の漏れを抑制できるためであると考えられる。
[0021]
[ガス処理]
 本発明において、多孔性支持体の表面における元素組成の調整は、例えば、多孔性支持体の表面をガス処理することにより行なうことができる。
[0022]
 本発明においては、多孔性支持体に、フッ素ガスとともに、酸素含有化合物ガス、硫黄含有化合物ガスもしくは酸素含有化合物ガスと硫黄含有化合物ガスを含む混合ガス(以下、「酸素/硫黄含有化合物ガス等」と称する。)を接触させるガス処理が好ましい。これにより、多孔性支持体の表面に、酸素官能基や硫黄官能基を導入することができ、所定量の硫黄原子等を導入することで、多孔性支持体表面の元素組成を調整することができる。
[0023]
 酸素/硫黄含有化合物ガス等の具体例としては、一酸化硫黄ガス、二酸化硫黄ガスが挙げられる。また、酸素含有化合物ガスの具体例としては、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスが挙げられる。
[0024]
 なお、フッ素ガス処理を施す前に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理または電子線処理によって多孔性支持体の表面を改質し、その後、フッ素ガス処理を施してもよい。
[0025]
 なお、多孔性支持体と酸素/硫黄含有化合物ガス等とを接触させる方法は特に制限されない。例えば、密封された空間で、温度10~50℃で10~600秒間接触させることにより、所定の表面元素組成を有する多孔性支持体を得ることができる。
[0026]
[多孔性支持体の表面における元素組成の測定方法]
 本発明において、多孔性支持体の表面における元素組成は、X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により測定することができる。X線光電子分光分析法は、X線光電子分光分析装置(例えば、商品名:QuanteraSMX、Ulvac-PHI社製)を用いて測定する。
[0027]
<空孔率>
 多孔性支持体の「空孔率」とは、多孔性支持体の体積のうち、支持体を構成する材料が占める体積と、それ以外の孔等の空間の占める体積の総体積を100%とした場合の、空間の占める体積の割合(体積%)を表す。
 空孔率は、多孔性支持体の単位面積当たりの質量[g/m ]および厚み[cm]ならびに多孔性支持体を構成する材料の密度[g/cm ]から、下記式により算出することができる。
[0028]
空孔率(%)=100-(多孔性支持体の単位面積当たりの質量[g/m ]/(10000×多孔性支持体を構成する材料の密度[g/cm ]×多孔性支持体の厚み[cm]))
[0029]
 本発明に用いられる多孔性支持体の空孔率は、55%以上85%以下が好ましく、60%以上80%以下が好ましく、63%以上75%以下が特に好ましい。
[0030]
<架橋高分子電解質>
 本発明の高分子機能性膜は、架橋高分子電解質を含有する。
 本発明における架橋高分子電解質は、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーを含む組成物を重合させてなる架橋高分子であり、本発明の高分子機能性膜は下記一般式(I)で表される構造を有することが好ましい。
[0031]
[化2]


[0032]
 一般式(I)中、R A1~R A3は各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R B1~R B7は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。Z A1~Z A3は各々独立に-NRa-を表す。ここで、Raは水素原子またはアルキル基を表す。L A1~L A3は各々独立にアルキレン基を表し、R はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-またはこれらが組み合わされた2価の連結基を表す。X A1~X A3は各々独立にハロゲンイオンまたは脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンを表す。a~cは、各々の単位構造のモル比を表し、aは0~0.75であり、bおよびcは各々独立に0.25~1.00である。
[0033]
 ここで、モル比aで表される単位構造は、モル比bで表される単位構造と結合しても、モル比cで表される単位構造と結合しても、モル比bで表される単位構造とモル比cで表される単位構造の両方に結合していても構わない。また、モル比aで表される単位構造を含むのであれば、モル比bで表される単位構造とモル比cで表される単位構造が結合した構造を含んでもよい。
[0034]
 R A1~R A3およびRaにおけるアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数は1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1が特に好ましい。
 R A1~R A3は、なかでも水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
 Raは、水素原子およびアルキル基のうち、水素原子が好ましい。
[0035]
 R A1~R A3におけるアルキル基は、置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基群αから選択される任意の置換基が挙げられる。
[0036]
 R B1~R B7におけるアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数は1~9が好ましく、1~8がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1が特に好ましい。
 R B1~R B7におけるアリール基は、炭素数は6~12が好ましく、6~9がより好ましく、6が特に好ましい。
 R B1~R B7は、なかでもアルキル基が好ましい。
 R B1~R B7におけるアルキル基、アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基群αから選択される任意の置換基が挙げられる。
 置換アルキル基は、ベンジル基が好ましい。
[0037]
 L A1~L A3におけるアルキレン基は、直鎖もしくは分岐のアルキレン基で、炭素数は1~9が好ましく、2~8がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2または3が特に好ましい。
 L A1~L A3におけるアルキレン基は、置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基群αから選択される任意の置換基が挙げられる。アルキレン基が有してもよい置換基のうち、ヒドロキシ基が特に好ましい。
[0038]
 R はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-またはこれらが組み合わされた2価の連結基を表す。
 アルキレン基は直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、炭素数は、1~9が好ましく、アルケニレン基、アルキニレン基は、直鎖もしくは分岐のアルケニレン基、アルキニレン基であり、炭素数は2~9が好ましい。
 アリーレン基は、炭素数が6~12が好ましく、6~8がより好ましく、6がさらに好ましい。
[0039]
 アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基または-O-が組み合わされた2価の連結基は、これらの基を2~4つ組み合わせることが好ましい。例えば、2つの組合せでは、アルキレン基と-O-の組合せ、アルキレン基とアリーレン基の組合せ、アリーレン基とアリーレン基の組合せが挙げられる。
 R における各基は、置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基群αから選択される任意の置換基が挙げられる。
 これらを組み合わせた基としては、-アルキレン-フェニレン-アルキレン-が好ましい。
[0040]
 X A1~X A3におけるハロゲンイオンは、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオンが挙げられる。
 X A1~X A3における脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンは、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、安息香酸イオン等が挙げられる。
 X A1~X A3における脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンは、脂肪族カルボン酸イオンが好ましく、酢酸イオンがより好ましい。
 X A1~X A3は塩素イオン、臭素イオン、沃素イオンまたは酢酸イオンが好ましい。
[0041]
 aは0~0.75であり、0.01~0.67が好ましく、0.01~0.5がより好ましい。
 bおよびcは、各々独立に0.25~1.00であり、0.33~0.99が好ましく、0.5~0.99がより好ましい。
 また一般式(I)で表される構造は、aの構造単位であるユニット、bの構造単位であるユニットに加えて、他の構成単位を含んでいても良い。
[0042]
 ここで、置換基群αを説明する。
 置換基群αは、以下の置換基からなる置換基の群である。
[0043]
(置換基群α)
 アルキル基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-デシル、n-ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30、より好ましくは炭素数3~20、特に好ましくは炭素数3~10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2-ブテニル、3-ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3-ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは炭素数6~20、特に好ましくは炭素数6~12のアリール基であり、例えばフェニル、p-メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリ-ルアミノ基を含み、好ましくは炭素数0~30、より好ましくは炭素数0~20、特に好ましくは炭素数0~10のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2-エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは炭素数6~20、特に好ましくは炭素数6~12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1-ナフチルオキシ、2-ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
[0044]
アシル基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のアシル基であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~30、より好ましくは炭素数7~20、特に好ましくは炭素数7~12のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~10のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
[0045]
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~30、より好ましくは炭素数7~20、特に好ましくは炭素数7~12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルファモイル基を含み、好ましくは炭素数0~30、より好ましくは炭素数0~20、特に好ましくは炭素数0~12のスルファモイル基であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
[0046]
カルバモイル基(カルバモイル基、アルキルもしくはアリールカルバモイル基を含み、好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のカルバモイル基であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは炭素数6~20、特に好ましくは炭素数6~12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数2~20、特に好ましくは炭素数2~12のヘテロ環チオ基であり、例えばピリジルチオ、2-ベンズイミゾリルチオ、2-ベンズオキサゾリルチオ、2-ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
[0047]
アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のアルキルもしくはアリールスルホニル基であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、アルキルもしくはアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のアルキルもしくはアリールスルフィニル基であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のウレイド基であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~20、特に好ましくは炭素数1~12のリン酸アミド基であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、
[0048]
シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、オキソ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは炭素数1~12のヘテロ環基であり、環構成ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3~40、より好ましくは炭素数3~30、特に好ましくは炭素数3~24のシリル基であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3~40、より好ましくは炭素数3~30、特に好ましくは炭素数3~24のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。
[0049]
 これらの置換基は、更に上記置換基群αより選択されるいずれか1つ以上の置換基により置換されてもよい。
 なお、本発明において、1つの構造部位に複数の置換基があるときには、それらの置換基は互いに連結して環を形成していたり、上記構造部位の一部または全部と縮環して芳香族環もしくは不飽和複素環を形成していたりしてもよい。
[0050]
<イオン交換容量>
 本発明の高分子機能性膜のイオン交換容量は、この高分子機能性膜の全乾燥質量に基づき、2.0meq/g~7.0meq/gが好ましく、2.5meq/g~7.0meq/gがより好ましく、3.0meq/g~7.0meq/gがさらに好ましい。ここで、meqはミリ当量である。
 イオン交換容量は、中垣正幸/編,膜学実験法,194頁,喜多見書房(1984年)(ISBN-978-4-906126-09-5)に記載の方法で測定できる。
[0051]
<透水率>
 本発明の高分子機能性膜の透水率は、15×10 -5ml/m /Pa/hr以下が好ましく、12×10 -5ml/m /Pa/hr以下がより好ましく、9×10 -5ml/m /Pa/hr以下がさらに好ましい。透水率の下限に特に制限はない。なお、1×10 -5ml/m /Pa/hr以上であることが現実的である。
[0052]
<膜の電気抵抗>
 本発明の高分子機能性膜の電気抵抗(膜抵抗)は、2.8Ω・cm 未満が好ましく、2.0Ω・cm 未満がより好ましく、1.5Ω・cm 未満がさらに好ましい。膜抵抗は低いほど好ましく、実現できる範囲で最も低い値とすることが本発明の効果を奏する上で好ましい。膜抵抗の下限に特に制限はない。なお、0.3Ω・cm 以上であることが現実的である。
[0053]
<透水率とイオン透過性との比率(透水率/イオン透過性)>
 本発明の高分子機能性膜は、1/膜抵抗で表されるイオン透過性が大きく、透水率が低い方が好ましい。
 なお、イオン透過性は、0.2S/cm 以上が好ましく、0.4S/cm 以上がより好ましく、0.76S/cm 以上がさらに好ましい。イオン透過性の上限に特に制限はない。なお、3.3S/cm 以下であることが現実的である。
 本発明では、イオン透過性単独、透水率単独ではなく、現実的な手段として、イオン透過性の増大と透水率の低下を両立させる。このための評価基準として、透水率(ml/m /Pa/hr)とイオン透過性(S/cm )との比率(透水率/イオン透過性)での比較が有効である。
 透水率/イオン透過性の値は低いほど好ましく、13×10 -5(ml/m /Pa/hr/S・cm )以下が好ましく、11×10 -5(ml/m /Pa/hr/S・cm )以下がより好ましい。
[0054]
<膜の電気抵抗、選択透過性および水中での膨潤率の測定法>
 膜の電気抵抗、選択透過性および水中での膨潤率%は、例えば、Membrane Science,319,217~218(2008)、中垣正幸著,膜学実験法,193~195頁(1984)に記載されている方法により測定することができる。
[0055]
<選択透過性>
 本発明の高分子機能性膜は、アニオン交換膜であることが好ましい。
 本発明の高分子機能性膜(アニオン交換膜)のCl などのアニオンに対する選択透過性は、好ましくは0.90を超え、より好ましくは0.93を超え、さらに好ましくは0.95を超え、理論値の1.0に近づくほど好ましい。
[0056]
<膨潤率>
 本発明の高分子機能性膜の水中での膨潤率(膨潤による寸法変化率)は、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満、さらに好ましくは8%未満である。膨潤率は、重合硬化段階で適切なパラメーターを選択することにより制御することができる。
[0057]
<<高分子機能性膜の製造方法>>
 本発明の高分子機能性膜は、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーとして、下記一般式(A)で表される重合性化合物(多官能重合性化合物)および後述の一般式(B)で表される単官能重合性化合物、並びに一般式(B)で表される単官能重合性化合物以外の単官能重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、溶媒等を含む組成物に紫外線を照射して重合硬化反応させることで製造することが好ましい。すなわち、これらを含有する組成物に紫外線を照射して重合することで、組成物が重合硬化反応を起こし、膜が形成される。
 以下に、本発明の高分子機能性膜を形成するための組成物(以下、硬化性組成物とも称す。)の各成分について説明する。なお、後述の通り、硬化性組成物は多孔性支持体に含浸させて使用するものであり、硬化性組成物とは、実質、架橋高分子電解質を形成する組成物を意味する。
[0058]
<多官能重合性化合物>
 本発明で使用する多官能重合性化合物は、好ましくは、下記一般式(A)で表される重合性化合物である。
[0059]
[化3]


[0060]
 一般式(A)において、R A2およびR A3は各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R B4~R B7は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。Z A2およびZ A3は各々独立に-NRa-を表す。ここで、Raは水素原子またはアルキル基を表す。L A2およびL A3は各々独立にアルキレン基を表し、R はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-またはこれらが組み合わされた2価の連結基を表す。X A2およびX A3は各々独立にハロゲンイオンまたは脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンを表す。
[0061]
 ここで、R A2、R A3、R B4~R B7、Z A2、Z A3、L A2、L A3、R 、X A2およびX A3は、一般式(I)における対応するR A2、R A3、R B4~R B7、Z A2、Z A3、L A2、L A3、R 、X A2およびX A3と同義であり、好ましい範囲も同じである。
[0062]
 以下に、一般式(A)で表される重合性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0063]
[化4]


[0064]
[化5]


[0065]
 一般式(A)で表される重合性化合物は、下記一般式(A-1)で表される化合物と下記一般式(A-2)で表される化合物を反応させることによって得られる。
[0066]
[化6]


[0067]
 一般式(A-1)において、R A2、R B4、R B5、Z A2およびL A2は一般式(I)における対応するR A2、R B4、R B5、Z A2およびL A2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
 一般式(A-2)において、R は一般式(I)におけるR と同義であり、好ましい範囲も同じである。X B1およびX B2は各々独立にハロゲン原子または脂肪族もしくは芳香族のアシルオキシ基を表す。
 ここで、X B1およびX B2は、一般式(A-1)で表される重合性化合物と反応して、アニオンとして放出され、一般式(A)におけるX A2、X A3となるものである。
[0068]
<単官能重合性化合物>
 単官能重合性化合物は、一般式(I)で表される構造を有する、架橋高分子を合成する際の原料である、下記一般式(B)で表される単官能重合性化合物として使用される。さらにこれに加えて、必要に応じ、第三の共重合成分の単位構造を得るための、一般式(B)で表される単官能重合性化合物以外の単官能重合性化合物として使用される。
[0069]
 本発明においては、特に高分子膜に機能を付与し、高分子機能性膜とするために、単官能重合性化合物の部分構造もしくは置換基に解離基、アニオン基、カチオン基のような極性の置換基を有することが好ましく、なかでもカチオン基としてはオニオ基(アンモニオ基、ピリジニオ基、スルホニオ基等)が好ましい。
 このため、一般式(B)で表される単官能重合性化合物はアンモニオ基を有する。
[0070]
-一般式(B)で表される単官能重合性化合物-
[0071]
[化7]


[0072]
 一般式(B)において、R A1は水素原子またはアルキル基を表し、R B1~R B3は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。Z A1は-NRa-を表す。ここで、Raは水素原子またはアルキル基を表す。L A1はアルキレン基を表す。X A1はハロゲンイオンまたは脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンを表す。
[0073]
 ここで、R A1、R B1~R B3、Z A1、L A1およびX A1は、一般式(I)における対応するR A1、R B1~R B3、Z A1、L A1およびX A1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
[0074]
 以下に、一般式(B)で表される単官能重合性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0075]
[化8]


[0076]
 一般式(A)で表される重合性化合物と一般式(B)で表される単官能重合性化合物の合計量100モル%のうち、一般式(A)で表される重合性化合物のモル含有量の割合は、25~100モル%が好ましく、33~100モル%がより好ましく、50~100モル%がさらに好ましい。
[0077]
 また、本発明で使用する硬化性組成物の全固形分質量100質量%に対して、一般式(A)で表される重合性化合物の含有量は、30~100質量%が好ましく、40~99.8質量%がより好ましく、50~99.6質量%がさらに好ましい。
 上記好ましい範囲内であると所望の硬化性が得られ、pH耐性、機械強度、柔軟性に優れる。
[0078]
-その他の単官能重合性化合物-
 本発明で使用する硬化性組成物は、一般式(A)で表される重合性化合物と一般式(B)で表される単官能重合性化合物のほかに、第3の単官能重合性化合物を有していても良い。
 一般式(B)で表される単官能重合性化合物以外の単官能重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、-N (R B1)(R B2)(R B3)(X A1-)を有さない(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N-ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)、アリル化合物等が挙げられる。
 これらの中でも、得られた高分子機能性膜の安定性、pH耐性から、エステル結合を有さないもの、-N (R B1)(R B2)(R B3)(X A1-)を有さない(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N-ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)、アリル化合物が好ましく、-N (R B1)(R B2)(R B3)(X A1-)を有さない(メタ)アクリルアミド化合物が特に好ましい。
 なお、R B1、R B2、R B3およびX A1-は、一般式(B)における対応するR B1、R B2、R B3およびX A1-と同義であり、好ましい範囲も同じである。
 単官能重合性化合物としては、例えば、特開2008-208190号公報や特開2008-266561号公報に記載の化合物が挙げられる。
 これらの単官能重合性化合物は、高分子膜への機能付与の観点から、後述するように、解離基を有するものが好ましい。
 例えば、(メタ)アクリレート化合物では、エステルのアルコール部に置換基(好ましい置換基は後述の置換基が挙げられる)を有するもの、特に、アルコールのアルキル部に解離基を有するものが好ましい。
[0079]
 その他の単官能重合性化合物は、下記一般式(C)で表される化合物が好ましい。
[0080]
[化9]


[0081]
 一般式(C)において、R C1は、水素原子またはメチル基を表す。R D1は水素原子またはアルキル基を表し、R D2はアルキル基を表す。ここで、R D1とR D2が互いに結合して環を形成してもよい。
[0082]
 R C1は水素原子が好ましい。
 R D1とR D2におけるアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数は1~18が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、n-デシル、n-オクタデシルが挙げられる。
 R D1とR D2におけるアルキル基は置換基を有してもよく、置換基としては、一般式(I)のR A1~R A3におけるアルキル基が有してもよい置換基が挙げられる。
 R D1およびR D2におけるアルキル基が置換基を有する場合、アルキル基部分の炭素数は1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
[0083]
 R D1とR D2が互いに結合して形成する環は5または6員環が好ましく、ピロリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環が好ましい。
 また、R D1およびR D2のうち、一方が、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
[0084]
 本発明においては、その他の単官能重合性化合物においても、高分子膜に機能を付与するために、R D1やR D2のアルキル基の置換基に解離基、カチオン基、アニオン基または極性の置換基を有することが好ましい。
 カチオン基の中でも、本発明においては、一般式(B)で表される単官能重合性化合物と同様にオニオ基(アンモニオ基、ピリジニオ基、スルホニオ基等)が好ましく、下記一般式(ON)または(OS)で表されるオニオ基がより好ましい。
 ただし、下記一般式(ON)で表されるオニオ基の場合、一般式(B)で表される単官能重合性化合物以外の化合物である。
[0085]
[化10]


[0086]
 一般式(ON)または(OS)において、R O1~R O5は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。ここで、R O1~R O3の少なくとも2つが、または、R O4とR O5とが互いに結合して環を形成してもよい。X O1-は陰イオンを表す。
[0087]
 R O1~R O5におけるアルキル基の炭素数は、1~18が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。
 R O1~R O5におけるアルキル基は置換基を有してもよく、置換基としては一般式(I)のR A1~R A3におけるアルキル基が有してもよい置換基が挙げられる。
[0088]
 R O1~R O5におけるアルキル基に置換する置換基としては、なかでもアリール基が好ましい。このようなアリール基が置換したアルキル基は、ベンジル基が好ましい。
[0089]
 R O1~R O5におけるアリール基の炭素数は6~18が好ましく、6~12がより好ましい。
 R O1~R O5におけるアリール基は置換基を有してもよく、置換基としては一般式(I)のR A1~R A3におけるアルキル基が有してもよい置換基が挙げられる。
 同一原子に結合する2つのR O1~R O5が互いに結合して形成される環は5または6員環が好ましい。
 このような環としては、一般式(ON)では、含窒素芳香環が好ましく、なかでもピリジン環が好ましい。
[0090]
 X O1の陰イオンは、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、安息香酸イオン)、硫酸イオン、有機硫酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン)、OH などが挙げられる。
[0091]
 一般式(ON)で表される基は、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、トリブチルアンモニオ、ジメチルベンジルアンモニオ、ジメチルフェニルアンモニオ、ジメチルセチルアンモニオ、ピリジニオが挙げられる。
 一般式(OS)で表される基としては、ジメチルスルホニオ、メチルベンジルスルホニオ、メチルフェニルスルホニオが挙げられる。
 一般式(ON)、(OS)で表されるオニオ基のうち、一般式(ON)で表される基が好ましい。
[0092]
 R O1~R O5におけるアルキル基が有してもよい置換基のうち、上記のオニオ基以外では極性基が好ましく、アシル基、アミノ基がより好ましく、特にアミノ基が好ましい。アミノ基は、第3級アミノ基が好ましく、下記一般式(N)で表される基がより好ましい。
[0093]
[化11]


[0094]
 一般式(N)において、R O1およびR O2は、一般式(ON)における対応するR O1およびR O2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
[0095]
 一般式(N)で表される基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノが挙げられる。
[0096]
 (メタ)アクリルアミド構造を有する、一般式(C)で表される化合物を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0097]
[化12]


[0098]
 一般式(B)または一般式(C)で表される単官能重合性化合物は、興人(株)、協和発酵ケミカル(株)、Fluka(株)、Aldrich(株)、東亜合成(株)から市販されており、また、任意の方法で合成できる。
[0099]
<質量平均分子量>
 本発明の高分子機能性膜を構成する架橋高分子の質量平均分子量は、三次元架橋が形成されているため数十万以上であり、実質的に測定できない。一般的には無限大とみなされる。
[0100]
<重合開始剤>
 本発明で使用する硬化性組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
 重合開始剤の中でも、本発明においては、エネルギー線照射で重合させることが可能な光重合開始剤が好ましい。
 光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機化酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物およびアルキルアミン化合物等が挙げられる。
[0101]
 芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、および、チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,pp.77~117(1993)に記載のベンゾフェノン骨格またはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47-6416号公報に記載のα-チオベンゾフェノン化合物、特公昭47-3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47-22326号公報に記載のα-置換ベンゾイン化合物、特公昭47-23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57-30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60-26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60-26403号公報、特開昭62-81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1-34242号公報、米国特許第4,318,791号明細書、欧州特許出願公開第0284561A1号明細書に記載のα-アミノベンゾフェノン類、特開平2-211452号公報に記載のp-ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61-194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2-9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2-9596号公報に記載のアシルホスフィン、特公昭63-61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59-42864号公報に記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008-105379号公報、特開2009-114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。また、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65~148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
[0102]
 本発明では、水溶性の重合開始剤が好ましい。
 ここで、重合開始剤が水溶性であるとは、重合開始剤が25℃の蒸留水に0.1質量%以上溶解することを意味する。水溶性の光重合開始剤は、25℃の蒸留水に1質量%以上溶解することがより好ましく、3質量%以上溶解することがさらに好ましい。
[0103]
 これらのなかでも、本発明で使用する硬化性組成物に好適な光重合開始剤は、芳香族ケトン類(特に、α-ヒドロキシ置換ベンゾイン化合物)またはアシルホスフィンオキサイド化合物である。特に、p-フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業(株)社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure(登録商標) 819、商品名、BASF・ジャパン社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur(登録商標) TPO、商品名、BASF・ジャパン社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(Irgacure(登録商標) 369、商品名、BASF・ジャパン社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Irgacure(登録商標) 907、商品名、BASF・ジャパン社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(Irgacure(登録商標) 2959、商品名、BASF・ジャパン社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(Darocur(登録商標) 1173、商品名、BASF・ジャパン社製)が好ましく、水溶性と加水分解耐性の観点から、Irgacure(登録商標) 2959(商品名、BASF・ジャパン社製)、Darocur(登録商標) 1173(商品名、BASF・ジャパン社製)が最も好ましい。
[0104]
 本発明において、重合開始剤の含有量は、硬化性組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、0.3~2質量部がさらに好ましい。
[0105]
<重合禁止剤>
 本発明で使用する硬化性組成物は、重合禁止剤を含むことも好ましい。
 重合禁止剤としては、任意の重合禁止剤が使用でき、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物、メルカプト化合物、ニトロキシルラジカル化合物などが挙げられる。
 フェノール化合物の具体例としては、ヒンダードフェノール(オルト位にt-ブチル基を有するフェノールで、代表的には、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールが挙げられる)、ビスフェノールが挙げられる。ハイドロキノン化合物の具体例としては、モノメチルエーテルハイドロキノンが挙げられる。また、アミン化合物の具体例としては、N-ニトロソ―N-フェニルヒドロキシルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。ニトロキシルラジカル化合物の具体例としては、4-ヒドロキシTEMPO(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)などが挙げられる。
 なお、これらの重合禁止剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
 重合禁止剤の含有量は、硬化性組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.001~5質量部が好ましく、0.005~1質量部がより好ましく、0.005~0.5質量部がさらに好ましい。
[0106]
<溶媒>
 本発明で使用する硬化性組成物は、溶媒を含んでいてもよい。硬化性組成物中の溶媒の含有量は、全硬化性組成物100質量%に対し、5~45質量%が好ましく、10~42質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましく、10~37質量%が特に好ましい。
 硬化性組成物が溶媒を含むことで、硬化(重合)反応が、均一にしかもスムーズに進行する。また、多孔性支持体へ硬化性組成物を含浸させる場合に、含浸がスムーズに進行する。
[0107]
 溶媒は、水、または水と水に対する溶解度が5質量%以上の溶媒の混合液が好ましく用いられ、さらには水に対して自由に混合するものが好ましい。このため、水および水溶性溶媒から選択される溶媒が好ましい。
 水溶性溶媒としては、特に、アルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒であるエーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ニトリル系溶媒、有機リン系溶媒が好ましい。
 アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられる。これらは1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
 また、非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン等が好ましい溶媒として挙げられ、中でもジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトンまたはアセトニトリル、テトラヒドロフランが好ましい。これらは1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
[0108]
 本発明で使用する硬化性組成物は、必要により、例えば、界面活性剤、粘度向上剤、表面張力調整剤、防腐剤を含有してもよい。
 界面活性剤としては、シリコーン系、フッ素系界面活性剤が好適に用いられる。特にフッ素系界面活性剤が好適に用いられる。例えばCapstone(登録商標) FS-30、FS-51(商品名、いずれもデュポン社製)、サーフロン(登録商標)S-241、S-242、S-243、S-386、S-231、S-232、S-233(商品名、いずれもAGCケミカル社製)が好ましく用いられる。
 界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤または両性界面活性剤のいずれであってもよい。本発明においては、ノニオン界面活性剤または両性界面活性剤が好ましく、ノニオン界面活性剤がより好ましい。
[0109]
 硬化性組成物中の界面活性剤の含有量は、全硬化性組成物100質量%に対し、0.01~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましく、0.01~0.20質量%がさらに好ましい。
[0110]
<表面張力>
 本発明で使用する硬化性組成物の25℃における表面張力は、15mN/m以上30mN/m以下が好ましく、15mN/m以上27mN/m以下がより好ましく、15mN/m以上25mN/m以下がさらに好ましく、15mN/m以上23mN/m以下が特に好ましい。
 硬化性組成物の表面張力を下げることで、多孔性支持体への浸透速度が向上し、高分子機能性膜を連続して製造する際の製造速度を向上させることができる。
 硬化性組成物の表面張力を低下させる手段としては、前述の界面活性剤が用いられる。
[0111]
<吸液時間>
 本発明で使用する硬化性組成物の多孔性支持体への吸液時間は、45秒/1μL以下が好ましく、25秒/1μL以下がより好ましく、20秒/1μL以下がさらに好ましく、15秒/1μL以下が特に好ましい。
 ここでいう吸液時間は、多孔性支持体の上に、硬化性組成物の液滴1μLをのせ、液滴が多孔性支持体と接触してから液滴の全量が多孔性支持体に吸液されるまでの時間である。
 なお、本発明では、実施例で使用している多孔性支持体である、不織布(多孔性支持体、ポリエチレンとポリプロピレンの複合繊維、繊維径2~10μm、厚さ57μm、目付け18g/m )への吸液時間である。
 多孔性支持体への浸透速度は吸液時間として評価することができる。吸液時間が短いことで、連続製造における生産速度を向上させることができる。
 なお、下限値は特に制限されないものの、現実的には、1秒/1μL以上である。
[0112]
<接触角>
 本発明の高分子機能性膜の膜表面における水の接触角は、70度以上120度以下が好ましく、80度以上120度以下がより好ましく、85度以上120度以下がさらに好ましく、90度以上120度以下が特に好ましい。
 ここでいう水の接触角は、乾燥状態の膜についての測定値である。乾燥状態とは、膜を純水に16時間以上浸漬し、純水から取り出した膜を、減圧下、60℃において16時間以上乾燥させた後、室温大気下において、8時間以内の状態を意味する。
[0113]
 次に、本発明の高分子機能性膜の製造方法の各工程を説明する。
 本発明の高分子機能性膜は、仮支持体(硬化反応終了後、膜から剥がされる)を用いて調製することができる。ただし、本発明では、高分子機能性膜の一部となる多孔性支持体を使用することから、高分子機能性膜は仮支持体を使用せずに、この多孔性支持体を用いて調製することが好ましい。
 また、高分子機能性膜は、固定された多孔性支持体を用いてバッチ式(バッチ方式)で調製することも、移動する多孔性支持体を用いて連続式(連続方式)で調製することもできる。
 なお、仮支持体を使用する場合、この仮支持体は、物質透過を考慮する必要がなく、例えば、アルミ板等の金属板を含め、膜形成のために固定できるものであれば、どのようなものでも構わない。
[0114]
 本発明で使用する硬化性組成物は、種々の方法、例えば、カーテンコーティング、押し出しコーティング、エアナイフコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティングまたは噴霧コーティングにより、多孔性支持体に塗布もしくは浸漬(含浸)することができる。複数の層の塗布は、同時または連続して行うことができる。同時重層塗布するには、カーテンコーティング、スライドコーティング、スロットダイコーティングおよび押し出しコーティングが好ましい。
[0115]
 高分子機能性膜の連続方式での製造は、本発明で使用する硬化性組成物を、移動している多孔性支持体に連続的に、より好ましくは、硬化性組成物塗布部と、硬化性組成物を重合硬化するための照射源と、形成された膜を収集する膜巻取り部と、多孔性支持体を硬化性組成物塗布部から照射源および膜巻取り部に移動させるための手段とを含む製造ユニットにより製造する。
[0116]
 本製造例では、(i)硬化性組成物を多孔性支持体に塗布し(ii)硬化性組成物を光照射により重合硬化反応させるという工程を経て、本発明の高分子機能性膜が製造される。
[0117]
 上記製造ユニットでは、硬化性組成物塗布部は照射源に対し上流の位置に置くことができ、照射源は膜巻取り部に対し上流の位置に置かれる。
 高速塗布機で塗布するのに十分な流動性を有するためには、本発明における硬化性組成物の粘度は、4000mPa・s未満が好ましく、1~1000mPa・sがより好ましく、1~500mPa・sが、さらに好ましい。スライドビードコーティングのようなコーティング法の場合、粘度は1~200mPa・sが好ましい。硬化性組成物を上記の粘度に調整するために、組成物の温度を調整したり、粘度調整剤を使用してもよい。
[0118]
 高速塗布機では、本発明で使用する硬化性組成物を、15m/minを超える速度、例えば、20m/minを超える速度で移動する多孔性支持体に塗布することができる。
[0119]
 特に、本発明では、架橋高分子電解質は多孔性支持体を使用するため、ガス処理、好ましくはフッ素ガス表面処理を行うのが好ましい。また、多孔性支持体の湿潤性および付着力を改善するため、例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などを行った後に、ガス処理した多孔性支持体に硬化性組成物を塗布することが好ましい。
[0120]
 重合硬化反応中に、一般式(A)で表される重合性化合物、および一般式(B)で表される単官能重合性化合物が重合して架橋高分子を形成する。重合硬化反応は、30秒以内に高分子機能性膜が形成できる条件で、光照射を行うことが好ましい。
[0121]
 本発明で使用する硬化性組成物の重合硬化反応は、硬化性組成物を多孔性支持体に含浸(塗布でも構わない)して、好ましくは60秒以内、より好ましくは15秒以内、さらに5秒以内、特に好ましくは3秒以内に重合硬化反応を開始する。
 重合硬化反応は、硬化性組成物に好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、さらに好ましくは3秒未満、特に好ましくは2秒未満にわたり光を照射する。連続法では照射を連続的に行い、硬化性組成物が照射ビームを通過して移動する速度によって、重合硬化反応時間を決める。
[0122]
 強度の高い紫外線(UV光)を重合硬化反応に用いる場合、かなりの量の熱が生じる可能性があり、過熱を防ぐために、光源のランプおよび/または多孔性支持体/膜を冷却用空気などで冷却することが好ましい。著しい線量の赤外光(IR光)がUVビームと一緒に照射されことがあり、この場合、IR反射性石英プレートのフィルターを介してUV光を照射することが好ましい。
[0123]
 重合硬化反応には紫外線を用いることが好ましい。適した波長は、硬化性組成物中に包含される任意の光重合開始剤の吸収波長と波長が適合するという条件で、例えばUV-A(400~>320nm)、UV-B(320~>280nm)、UV-C(280~200nm)である。
[0124]
 適した紫外線源は、水銀アーク灯、炭素アーク灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアーク灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、タングステン灯、ハロゲン灯、レーザーおよび紫外線発光ダイオードである。中圧または高圧水銀蒸気タイプの紫外線発光ランプがとりわけ好ましい。これに加えて、ランプの発光スペクトルを改変するために、金属ハロゲン化物などの添加剤が存在していてもよい。200~450nmに発光極大を有するランプがとりわけ適している。
[0125]
 照射源のエネルギー出力は、好ましくは20~1000W/cm、より好ましくは40~500W/cmであり、所望の暴露線量を実現することができるならば、これより高くても、低くても構わない。暴露強度を変更することで、イオン交換膜の硬化度を調整することができる。
 暴露線量は、HighEnergy UV Radiometer(EIT-Instrument MarketsからのUV Power PuckTM)により、装置で示されたUV-A範囲で測定して、好ましくは40mJ/cm 以上、より好ましくは70~2,000mJ/cm 、さらに好ましくは100~1,000mJ/cm である。暴露時間は自由に選ぶことができる。なお、短いことが好ましく、典型的には2秒未満である。
[0126]
 本発明では、多孔性支持体に硬化性組成物を含浸させた後、重合硬化反応させることにより膜を形成することが好ましい。これにより、例えば、一般式(I)で表される構造を有する、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーから得られた架橋高分子が空孔に埋め込まれて、膜の一部を構成することができる。
 多孔性支持体の空孔に架橋高分子が埋め込まれてなる状態とは、限定的ではないが、多孔性支持体の空孔に架橋高分子が存在する状態を示す。すなわち、空孔の一部または全部に架橋高分子が存在していればよく、多孔性支持体の全部を被覆する状態も含む。
[0127]
 なお、塗布速度が速い場合、必要な暴露線量を得るために、複数の照射光源を使用することが好ましい。この場合、複数の照射光源の光量や強度は同一でも異なっていても構わない。
[0128]
 本発明の高分子機能性膜は、特にイオン交換膜として使用することを主として意図している。しかしながら、本発明の高分子機能性膜はイオン交換膜に限定されるものではなく、例えば、逆浸透膜、正浸透膜およびガス分離膜としても好適に用いることができると考えられる。
実施例
[0129]
 以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
[0130]
-重合性化合物1の合成-
 下記合成スキームで重合性化合物1を合成した。
[0131]
[化13]


[0132]
 パラジクロロキシレン175g(1.00mol、東京化成製)、アセトニトリル1220g、メタノール244g、t-ブチルハイドロペルオキシド1g(東京化成製)の混合溶液に対し、N-[3-(ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド]313g(2.00mol、東京化成製)を加え、50℃で2時間加熱撹拌した。続いて、反応溶液にアセトン1220gを加え室温(25℃)にて1時間撹拌し、生じた結晶を濾過して重合性化合物1の白色結晶450g(収率92%)を得た。重合性化合物1の含水量をカールフィッシャー法にて測定したところ、7.0%であった。
[0133]
-重合性化合物2の合成-
 下記合成スキームで重合性化合物2を合成した。
[0134]
[化14]


[0135]
 1,3-ジブロモプロパン80.8g(0.40mol、和光純薬製)、メトキシフェノール0.617g(和光純薬製)、アセトニトリル309ml、メタノール103mlの混合溶液に対し、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド125g(0.80mol、和光純薬製)を加え、50℃で7時間加熱撹拌した。続いて、反応溶液にアセトン2.2Lを添加し、上澄みをデカンテーションにて除去した後、メトキシフェノール0.1g、水30gを添加し、35℃40mmHgで30分濃縮することで、重合性化合物2の81%溶液188g(含水率19%、収率74%)を得た。
[0136]
(多孔性支持体の表面処理)
 フッ素ガスとともに、酸素ガス、または二酸化硫黄ガスと酸素ガスとの混合ガスで満たされた容器内に、不織布(多孔性支持体、ポリエチレンとポリプロピレンの複合繊維、繊維径2~10μm、厚さ80μm、目付け18g/m )を供給し、不織布を混合ガスと100~200秒間(温度:20℃)接触させた。酸素ガスと二酸化硫黄ガスの濃度は、多孔性支持体の表面組成が下記表2に示す値となるように調節した。
 そして、この混合ガスと接触させた不織布を温度80℃に設定されたドライヤーにより乾燥した後、カレンダー処理を施して、厚さ(μm)が下記表2に示す値となるように表面処理された多孔性支持体A~Fを作製した。
 なお、下記表2において、多孔性支持体A~Fを、それぞれ単に、支持体A~Fと記載した。
[0137]
(アニオン交換膜の作成)
 下記表1に示す組成(単位:g)の硬化性組成物の塗布液をアルミ板に、ワイヤバー(150μmのワイヤが1周/3cm(長さ方向)で巻き付かれたステンレス棒)を用いて、手動で約5m/minの速さで塗布し、続いて、表面処理した上記多孔性支持体に塗布液を含浸させた。ワイヤの巻いていないロッドを用いて余分な塗布液を除去した。塗布時の塗布液の温度は約50℃であった。続いて、UV露光機(Fusion UV Systems社製、型式Light Hammer(登録商標) LH10(商品名)、D-バルブ、速度5m/min、60%強度)を用いて、塗布液含浸多孔性支持体を重合硬化反応することにより、アニオン交換膜を調製した。PowerPuck(登録商標)(EIT社製、露光量測定器)で測定した露光量は750mJ/cm であった。得られた膜をアルミ板から取り外し、0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存し、実施例1~10および比較例1~4のアニオン交換膜を作製した。
[0138]
 実施例1~10および比較例1~4で作製したアニオン交換膜について、下記項目を評価した。得られた結果をまとめて下記表2に示す。
[0139]
[膜厚]
 0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存した後のアニオン交換膜の膜厚をマイクロメーターにより測定した。
[0140]
[空孔率]
 空孔率は、下記計算式を用いて計算した。なお、材料の密度を0.92g/cm として計算した。
[0141]
空孔率(%)=100-(多孔性支持体の単位面積当たりの質量[g/m ]/(10000×多孔性支持体を構成する材料の密度[g/cm ]×多孔性支持体の厚み[cm]))
[0142]
[膜の電気抵抗(Ω・cm )]
 約2時間、0.5M NaCl水溶液中に浸漬した膜の両面を乾燥ろ紙で拭い、2室型セル(有効膜面積1cm 、電極には白金電極を使用)に挟んだ。両室に0.5M NaClを20mL満たし、25℃の恒温水槽中に置いて平衡に達するまで放置した。セル中の液温が25℃になってから、交流ブリッジ(周波数1,000Hz)により電気抵抗r を測定した。
 次に膜を取り除き、0.5M NaCl水溶液のみとして両極間の電気抵抗r を測り、膜の電気抵抗R(Ω・cm )をr -r として求めた。
[0143]
 表2では、「膜の電気抵抗」を「膜抵抗」と省略して記載した。
 また、表2における支持体表面の元素組成は、X線光電子分光分析法により、X線源としてAlKα線を使用し、光電子取り出し角を45度として、Pass energy 55eVの測定条件にて測定される深さ(約5nm)を測定した値を記載した。なお、多孔性支持体の表面に存在する全原子数(水素とヘリウムを除く)を100原子%とした場合の、所定の原子の原子数の割合を、原子%として記載をした。
[0144]
[透水率(mL/m /Pa/hr)]
 膜の透水率を図1に示す流路10を有する装置により測定した。図1において、符号1は膜を表し、符号3および4は、それぞれ、フィード溶液(純水)およびドロー溶液(3M NaCl)の流路を表す。また、符号2の矢印はフィード溶液から分離された水の流れを示す。
 フィード溶液400mLとドロー溶液400mLとを、膜を介して接触させ(膜接触面積18cm )、各液はペリスタポンプを用いて符号5の矢印の向きに流速0.11cm/秒で流した。フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透する速度を、フィード溶液とドロー溶液の質量をリアルタイムで測定することによって解析し、透水率を求めた。
[0145]
[透水率/イオン透過性の比率(ml/m /Pa/hr/S・cm )]
 透水率(ml/m /Pa/hr)とイオン透過性(S/cm )との比率(透水率/イオン透過性)(ml/m /Pa/hr/S・cm )についても、表2に記載した。ここで、イオン透過性は、1/膜抵抗(Ω・cm )で表される。
 なお、表2では、10 -5および単位を省略して記載した。例えば、実施例1については、表2では11.2と記載があり、実際には、11.2×10 -5(ml/m /Pa/hr/S・cm )である。
[0146]
[表1]


[0147]
[表1における略称の説明および化合物の構造]
IPA:イソプロピルアルコール
MEHQ:モノメチルエーテルハイドロキノン
DMAPAA-Q:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩(塩化3-アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)
Darocur(登録商標) 1173:商品名、BASF社製
Tego Glide(登録商標) 432:商品名、Evonik Industries製
4OH-TEMPO:4-ヒドロキシ-TEMPO、東京化成(株)社製
Capstone(登録商標) FS-30:商品名、デュポン社製、界面活性剤含有量25質量%
Capstone(登録商標) FS-51:商品名、デュポン社製、界面活性剤含有量40質量%
Surflon(登録商標) S-241:商品名、AGCセイミケミカル社製、界面活性剤含有量30質量%
Surflon(登録商標) S-243:商品名、AGCセイミケミカル社製、界面活性剤含有量100質量%
Surflon(登録商標) S-231:商品名、AGCセイミケミカル社製、界面活性剤含有量35質量%
[0148]
[化15]


[0149]
[表2]


[0150]
 表2から明らかなように、本発明における多孔性支持体の表面組成の規定を満たし、かつ、膜厚が100μm未満のアニオン交換膜は、本発明における多孔性支持体の表面組成の規定を満たさない比較例のアニオン交換膜と比較して透水率/イオン透過性の値が低いことが分かる。
[0151]
 実施例1、5および7~10のアニオン交換膜、ならびに対応する硬化性組成物および多孔性支持体について、下記項目を評価した。得られた結果をまとめて下記表3に示す。
[0152]
[表面張力]
 硬化性組成物の表面張力を、表面張力計 DY-700(商品名、協和界面科学(株)社製)を用いて、Wilhelmy法により測定した。プレートはガラスプレートを用いた。25℃における表面張力を3回測定し、その平均値を表面張力の値とした。
[0153]
[接触角]
 アニオン交換膜の表面の接触角を、接触角計 DM-500(商品名、協和界面科学(株)社製)を用いて測定した。測定溶媒には、純水を用いた。測定するアニオン交換膜は、純水に16時間以上浸漬させ、純水から取り出した後、減圧下、60℃において、16時間以上乾燥させたアニオン交換膜を用いた。なお、乾燥機から取り出した後に、2時間以内に測定を完了した。
 接触角の値は、水を接触させた直後(2秒以内)の値を採用した。測定箇所を変更し、3回測定した平均値を接触角の値とした。
[0154]
[吸液時間]
 硬化性組成物の多孔性支持体への吸液時間を測定した。
 多孔性支持体の上に、硬化性組成物の液滴1μLをのせ、液滴が多孔性支持体と接触してから液滴の全量が多孔性支持体に吸液されるまでの時間を目視で測定した。
 測定箇所を変更し、3回測定した平均値を吸液時間の値とした。なお、測定箇所は、液滴をのせる箇所が互いに3cm以上離れており、すでに液滴を吸収した多孔性支持体部分から十分に離れ、測定に影響を及ぼさない箇所を選択した。
[0155]
[表3]


[0156]
 表3から明らかなように、表面張力の低い硬化性組成物ほど、吸液時間は短い。また、高分子機能性膜の膜表面における水の接触角も大きい。吸液時間が短いことは、高分子機能性膜を連続製造する際の生産速度を向上させることができる点において、より有利である。
[0157]
 本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
[0158]
 本願は、2014年2月28日に日本国で特許出願された特願2014-039930、2014年5月1日に日本国で特許出願された特願2014-094638及び2014年7月31日に日本国で特許出願された特願2014-156957に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

符号の説明

[0159]
1 膜
2 フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透することを示す矢印
3 フィード溶液の流路
4 ドロー溶液の流路
5 液体の進行方向
10 透水率測定装置の流路

請求の範囲

[請求項1]
 多孔性支持体と架橋高分子電解質を含有する高分子機能性膜であって、該高分子機能性膜の膜厚が100μmより小さく、該架橋高分子電解質が、(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーを含む組成物を重合硬化反応させてなる架橋高分子であり、該多孔性支持体の表面における水素、ヘリウム元素以外の元素組成のうち、酸素元素の割合が14.0原子%以上25.0原子%以下である高分子機能性膜。
[請求項2]
 前記多孔性支持体の表面における水素、ヘリウム元素以外の元素組成のうち、硫黄元素の割合が0.1原子%以上10.0原子%以下である請求項1に記載の高分子機能性膜。
[請求項3]
 前記多孔性支持体の空孔率が55%以上85%以下である請求項1または2に記載の高分子機能性膜。
[請求項4]
 前記多孔性支持体が不織布である請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項5]
 前記架橋高分子が、アンモニウム塩および/またはピリジニウム塩を少なくとも含む置換基もしくは連結基を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項6]
 前記高分子機能性膜が、前記多孔性支持体の空孔に前記架橋高分子電解質が埋め込まれてなる請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項7]
 前記架橋高分子が、下記一般式(I)で表される構造を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[化1]


 一般式(I)中、R A1~R A3は各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R B1~R B7は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。Z A1~Z A3は各々独立に-NRa-を表す。ここで、Raは水素原子またはアルキル基を表す。L A1~L A3は各々独立にアルキレン基を表し、R はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-またはこれらが組み合わされた2価の連結基を表す。X A1~X A3は各々独立にハロゲンイオンまたは脂肪族もしくは芳香族カルボン酸イオンを表す。a~cは、各々の単位構造のモル比を表し、aは0~0.75であり、bおよびcは各々独立に0.25~1.00である。
[請求項8]
 前記高分子機能性膜の膜表面における水の接触角が、80度以上120度以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項9]
 前記組成物の25℃での表面張力が、15mN/m以上27mN/m以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項10]
 前記高分子機能性膜が、フッ素系界面活性剤を含有する請求項1~9のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
[請求項11]
 多孔性支持体と架橋高分子電解質を含有する高分子機能性膜の製造方法であって、該高分子機能性膜が請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子機能性膜であり、該多孔性支持体に、前記(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーを含む組成物を含浸させた後、該組成物に紫外線を照射または/および加熱して重合硬化反応させる高分子機能性膜の製造方法。

図面

[ 図 1]