国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現在ご利用になれません。
この状況が続く場合は、次のお問い合わせ先までご連絡ください。フィードバック & お問い合わせ
1. (WO2015129317) 高配向性グラファイト
Document

明 細 書

発明の名称 高配向性グラファイト

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

実施例

0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087  

産業上の利用可能性

0088  

符号の説明

0089  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 高配向性グラファイト

技術分野

[0001]
 本発明は、高配向性グラファイトに関する。

背景技術

[0002]
 近年、より高い放熱能力もしくは伝熱能力を有する材料が求められており、層状のグラファイト(以下、「グラファイト層」という)が積層方向に20mm以上積層した高配向性グラファイトが要求されている。高配向性グラファイトとは、グラファイト層が高度に配向したグラファイトのことであり、具体的にはグラファイト層の配向方向の熱伝導率が800W/(m・K)以上のグラファイトである。
[0003]
 高配向性グラファイトの製造方法としては、特許文献1に記載の方法のような、高分子フィルム、あるいは高分子フィルムから得られた炭素質フィルムを多層に積層し、2000℃~2600℃の温度域以外の温度域について、加圧しながら、3000℃以上の温度まで熱処理する方法が挙げられる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国公開特許公報「特開平4-202054号(1992年7月22日公開)」

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、特許文献1では、グラファイト層の積層方向の厚さが1.5~2mm程度の高配向性グラファイトしか得られていない。また、2600℃到達後にグラファイト層の積層方向に200kg/cm 加圧する方法が記載されているが、2600℃という高温で200kg/cm という強い加圧を行うと、高配向性グラファイトおよび容器や加圧用の治具の変形が顕著に起こり、グラファイト層の積層方向の厚さが20mm以上と厚い場合にはグラファイト層のズレが発生し、厚さ20mm以上の高配向性グラファイトを得ることができなかった。また、電子機器に高配向性グラファイトを用いる場合、高配向性グラファイトの吸水量の低さも重要である。高配向性グラファイトは層状構造を持つため、層間に水分が入り込んだ場合、その状態で加熱すると蒸気で層間が剥がれる。そのため、グラファイト層の層間の隙間を低減する必要、すなわち、高配向性グラファイトの吸水量を低減する必要があった。
[0006]
 本発明は、厚さ20mm以上であって、かつ、吸水量の低い高配向性グラファイトを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の高配向性グラファイトは、上記課題を解決するために、グラファイト層が積層された高配向性グラファイトであって、上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層方向の厚さが、20mm以上であり、上記高配向性グラファイトの吸水量を、上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.005mg/cm 以上6.0mg/cm 以下であることを特徴としている。
[0008]
 本発明の高配向性グラファイトは、上記課題を解決するために、グラファイト層が積層された高配向性グラファイトであって、当該高配向性グラファイトの吸水率が、0.001%以上1.15%以下であることを特徴としている。
[0009]
 本発明の高配向性グラファイトの製造方法は、上記課題を解決するために、高分子フィルムまたは炭素質フィルムを複数枚積層した積層体を2400℃以上まで加圧熱処理することで高配向性グラファイトを製造する方法であって、上記積層体を黒鉛化させる黒鉛化工程において、少なくとも2400℃以上の何れかの温度範囲にて、上記積層体を20kg/cm 以上で加圧し、加圧用の治具と対峙する上記積層体の面の92%以下の面積にのみ、該加圧を行うことを特徴としている。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、厚さ20mm以上であって、かつ、吸水量の低い高配向性グラファイトを得ることができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 高配向性グラファイトの電子機器への使用例を示す側面図である。
[図2] 高配向性グラファイトを示す斜視図である。
[図3] 高配向性グラファイトのグラファイト層の積層面を示す斜視図である。
[図4] 高配向性グラファイトのズレを示す図である。
[図5] 黒鉛化工程における加圧方法を示す上面図である。
[図6] 黒鉛化工程における加圧方法を示す上面図である。
[図7] 黒鉛化工程における加圧方法を示す上面図である。
[図8] 実施例1における黒鉛化後の高配向性グラファイトを示す側面図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明は、グラファイトが層状に積層された高配向性グラファイトであって、この層状のグラファイトであるグラファイト層の積層方向における該高配向性グラファイトの厚さが20mm以上であり、且つ、該高配向性グラファイトの吸水量を、該高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.005mg/cm 以上6.0mg/cm 以下である高配向性グラファイトである。
[0013]
 また、本発明は、グラファイト層が積層された高配向性グラファイトであって、当該高配向性グラファイトの吸水率が、0.0010%以上1.15%以下である高配向性グラファイトである。
[0014]
 なお、本明細書において「グラファイト層」とは、グラフェンを意図する。
[0015]
 (高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層方向の厚さ)
 高配向性グラファイトを半導体などの電子機器に適用する場合、熱を伝えたい方向によって、グラファイト層の配向方向を変えると効果的である。特に図1に示すように、モールド樹脂5で保持された発熱源である半導体1と冷却器であるヒートシンク2との間に高配向性グラファイト10を配置して用いる場合、発熱源から冷却器に向かう方向(Z軸方向)にグラファイト層を配向させることで、発熱源の熱を効率的に冷却器に伝えることができる。尚、この場合、Z軸方向に加え、X軸方向にもグラファイト層が配向しており、Z軸方向への伝熱に加え、X軸方向への放熱をすることで、電子機器の温度低減に寄与することができる。また、図2の高配向性グラファイト10の場合は、Z軸方向とX軸方向にグラファイト層50が配向しているので、Z軸方向への伝熱に加え、X軸方向への放熱をすることになる。
[0016]
 図1に示すようなZ軸方向に配向性の高い高配向性グラファイトは、図3に示すようなX’軸方向とY’軸方向とに配向している高配向性グラファイトをZ’軸方向にカットしてから、積層方向を90°傾けることにより得られる。一方、このとき高配向性グラファイト10は、ヒートシンクと同程度の大きさであると伝熱および放熱の効果が高いため、20mm角以上のサイズが要求される。つまり、グラファイト層の積層方向(Z軸方向)に20mm以上である高配向性グラファイトであると良い。なお、図3では、X’軸、Y’軸、および、Z’軸によって空間を規定しているが、別の軸によって当該空間を規定してもよい。例えば、図1および2のように、図3のX’軸をX軸とし、図3のY’軸をZ軸とし、図3のZ’軸をY軸としてもよい。
[0017]
 (高配向性グラファイトの吸水量を、高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面の面積で割った値)
 本発明の高配向性グラファイトは、当該高配向性グラファイトの吸水量を、当該高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面の面積で割った値が、好ましくは6.0mg/cm 以下、より好ましくは3.0mg/cm 以下、さらに好ましくは0.8mg/cm 以下、最も好ましくは0.5mg/cm 以下とするとよい。上述した値が6.0mg/cm 以下であれば、グラファイトの層間剥離が抑制されるためによい。尚、高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面とは、図3に示すようにグラファイト層が積層している箇所の表面のことである。具体的には、YZ面である正面51および背面54、並びに、XZ面である右側面52および左側面53の4面がグラファイト層の積層面となる。
[0018]
 本発明の高配向性グラファイトは、当該高配向性グラファイトの吸水量を、当該高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.005mg/cm 以上であることが好ましく、0.006mg/cm 以上であることが更に好ましい。吸水率が0.005mg/cm 以上であれば、上述した積層面に、グラファイトの層間に形成される微小な凹凸が存在しているため、高配向性グラファイトを他の材料と接合するときに、高配向性グラファイトと他の材料とのなじみがよくなり、高配向性グラファイトと他の材料との密着性が向上するため、好ましい。また、上述した積層面に、グラファイトのエッジや親水性の官能基が存在しているため、高配向性グラファイトを他の材料と接合するときに、高配向性グラファイトをと他の材料とのなじみがよくなり、高配向性グラファイトをと他の材料との密着性が向上するため、好ましい。
[0019]
 高配向性グラファイトを電子機器に適用する場合、めっき処理やはんだ接合などの工程を経る可能性が高く、このような工程では、液体と高配向性グラファイトとが接触する。一方、高配向性グラファイトは、特にグラファイト層が高度に配向しており、グラファイト層の積層方向へは水分の透過がほとんどない。そのため、高配向性グラファイトが吸水した後加熱されると、水分の膨張が起こり、グラファイト層の積層方向に抜けることのできない水分が、グラファイト層を押し上げることで、層間剥離が発生してしまう。よって、グラファイト層の積層面からの吸水を低減することで層間剥離を抑制することができ、電子機器への組み込みも容易になる。
[0020]
 (高配向性グラファイトの吸水率)
 本発明の高い配向性グラファイトは、当該高配向性グラファイトの吸水率が1.15%以下であることが好ましく、0.16%以下であることが更に好ましい。当該構成であれば、グラファイトの層間剥離が抑制されるためによい。
[0021]
 また、本発明の高い配向性グラファイトは、当該高配向性グラファイトの吸水率が0.0010%以上であることが好ましく、0.0011%以上であることが更に好ましい。当該構成であれば、上述した積層面に、グラファイトの層間に形成される微小な凹凸が存在しているため、高配向性グラファイトを他の材料と接合するときに、高配向性グラファイトと他の材料とのなじみがよくなり、高配向性グラファイトと他の材料との密着性が向上するため、好ましい。また、上述した積層面に、グラファイトのエッジや親水性の官能基が存在しているため、高配向性グラファイトを他の材料と接合するときに、高配向性グラファイトと他の材料とのなじみがよくなり、高配向性グラファイトと他の材料との密着性が向上するため、好ましい。
[0022]
 吸水率の具体的な測定方法については、後述する実施例にて説明する。
[0023]
 (高配向性グラファイトの熱伝導率)
 本発明の高配向性グラファイトの熱伝導率は、グラファイト層の配向方向に、好ましくは800W/(m・K)以上、より好ましくは1000W/(m・K)以上、さらに好ましくは1500W/(m・K)以上である。高配向性グラファイトのグラファイト層の配向方向の熱伝導率が800W/(m・K)以上であれば、効果的に放熱できるために良い。
[0024]
 なお、本明細書において「高配向性グラファイト」とは、グラファイト層の配向方向(換言すれば、平面方向)のうちの少なくとも1つの方向において、熱伝導率が800W/(m・K)以上であるものを意図する。
[0025]
 (高配向性グラファイトの作製方法)
 本発明で使用する高配向性グラファイトは、複数枚の高分子フィルムまたは複数枚の炭素質フィルムを直接積層した積層体を2400℃以上まで加圧熱処理することによって得られたものである。
[0026]
 具体的には、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱し、炭素質フィルムを得る炭化工程と、炭化工程で作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する黒鉛化工程とを経て、高配向性グラファイトが得られる。炭化工程で得られる炭素質フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状である。また、黒鉛化工程では、グラファイト層の再配列が起こり、高配向性が発現する。尚、炭化工程と黒鉛化工程とは連続しておこなっても、炭化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
[0027]
 また、フィルムを積層するタイミングとしては、高分子フィルムを複数枚積層した積層体を炭化および黒鉛化しても良いし、炭素質フィルムを複数枚積層した積層体を黒鉛化しても良いが、高配向性グラファイトの吸水量を、当該高配向性グラファイトにおけるグラファイト層の積層面の面積で割った値を低減させるためには、高分子フィルムを複数枚積層した積層体を炭化および黒鉛化する方が好ましい。以下、炭化工程、黒鉛化工程について詳しく説明する。
[0028]
 (炭化工程)
 炭化工程は、高分子フィルムもしくは複数枚積層された高分子フィルムに荷重をかけながら1000℃程度の温度まで熱処理し、高分子フィルムを炭素化する工程である。
[0029]
 炭化工程におけるプレス荷重は、特に限定されないが、0.1kg/cm ~10kg/cm が好ましい。炭化時の荷重が0.1kg/cm 以上であれば、高分子フィルム間の接着が良好になり、高配向性グラファイトの吸水量を低減できるために良い。また、炭化時の荷重を10kg/cm 以下とすることで、炭化時の急な高分子フィルムの収縮による、炭素質フィルムの割れを防ぐことができるために良い。
[0030]
 炭化工程における昇温速度は、特に限定されないが、0.2℃/min~5℃/minであることが好ましい。昇温速度が5℃/min以下であれば、炭化時に発生する高分子フィルムの分解ガスの排出が緩やかになり、高分子フィルムを複数枚積層している場合、高分子フィルム間の層の押し上げを抑制できるために、層間のより密着した炭素質フィルムの積層体を得ることができるため良い。また、昇温速度が0.2℃/min以上であれば、炭素化が外側から順次進行し、急激な高分子フィルムの収縮を抑えることができるため、炭素質フィルムの割れを抑制することができる。
[0031]
 (黒鉛化工程)
 黒鉛化工程は、炭素質フィルム積層体を加圧しながら2400℃以上の温度まで熱処理し、当該炭素質フィルム積層体を黒鉛化する工程である。炭素質フィルム積層体とは、高分子フィルムを積層した後加圧しながら炭素化したもの、または、複数枚の炭素質フィルムを直接積層したものをいう。
[0032]
 黒鉛化工程において、20kg/cm 以上の加圧をする際、加圧は、図5のように上面視において、加圧用の治具(以下、「加圧用治具」という)200と対峙する、黒鉛化前の炭素質フィルム積層体20の面の一部のみに対して行うと良い。なお、加圧用治具200と対峙する炭素質フィルム積層体20の面は、積層面(炭素質フィルムが積層している箇所の表面)以外の面である。加圧する面積としては、加圧用治具200と対峙する、黒鉛化前の炭素質フィルム積層体20の面の、好ましくは92%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、最も好ましくは60%以下である。
[0033]
 20kg/cm 以上の加圧を行う面積を、加圧用治具の面積と対峙する炭素質フィルムの面の面積の92%以下とすることで、黒鉛化工程で発生する層のズレを抑制することができるため、グラファイト層の積層方向の厚さが20mm以上といった厚い高配向性グラファイトでも作製することができる。層のズレは、20kg/cm 以上の強い加圧で、且つ、グラファイト層の積層方向の厚さが20mmといった厚い高配向性グラファイトを作製する際に顕著に発生しやすい。一方、グラファイト層の積層方向の厚さが20mmといった厚い場合でも加圧力が20kg/cm 未満であれば、ズレは発生し難い。そのため、層のズレの起こり難い部分を設けることで、層のズレを抑制でき、20kg/cm 以上の加圧をしている部分は、グラファイト層の積層方向の厚さが20mmの厚さを有し、且つ、吸水量も抑制された高配向性グラファイトを得ることができる。20kg/cm 以上の加圧をしない部分へは、10kg/cm 以下の加圧を行うことが好ましい。また、20kg/cm 以上の加圧をする部分を、図5に示すように炭素質フィルム積層体20の端部から加圧用治具200の端部までの距離150が、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上の部分とすることで、よりズレを抑制することができる。尚、炭素質フィルム積層体の端部からの距離150とは、図6及び図7に示すように、加圧用治具200の端部から炭素質フィルム積層体20の端部までの最短の距離のことである。
[0034]
 黒鉛化工程における加圧は、少なくとも2400℃以上の何れかの温度範囲において行えばよく、少なくとも2600℃以上の何れかの温度範囲において行うことが更に好ましい。
[0035]
 また、黒鉛化工程における加圧は、当該黒鉛化工程が終了するまで継続的に行うことが好ましいが、必ずしも当該黒鉛化工程が終了するまで継続的に行う必要はない。例えば、2400℃以上の何れかの温度範囲において少なくとも1回加圧を行う工程を有してさえいれば、2400℃以上の温度範囲において加圧を行わない状態にて、黒鉛化を進行させる工程を含んでいてもよく、このような構成も、本願発明の範疇に包含される。より具体的に、2400~2500℃の温度範囲において加圧した状態で黒鉛化を行った後、2500℃以降では加圧せずに黒鉛化を進行させる方法や、2400~2500℃の間は加圧せずに黒鉛化を進行させた後、2500℃以降は加圧した状態で黒鉛化を行う方法などであってもよい。
[0036]
 更に好ましい実施形態を述べると、加圧は、黒鉛化工程の昇温過程において、室温から黒鉛化工程終了時まで継続的に行うことが好ましく、1400℃から黒鉛化工程終了時まで継続的に行うことがより好ましく、2400℃から黒鉛化工程終了時まで継続的に行うことがより好ましく、2600℃から黒鉛化工程終了時まで継続的に行うことがより好ましい。
[0037]
 以下に加圧の更に具体的な例を示す。
[0038]
 黒鉛化工程における加圧は、1400℃以上の温度においては、継続的に加圧することが好ましい。加圧としては、好ましくは20kg/cm 以上、より好ましくは30kg/cm 以上、さらに好ましくは、40kg/cm 以上である。黒鉛化時の加圧が20kg/cm 以上であれば、層間の接着が良好になり、高配向性グラファイトの吸水量を低減できるために良い。
[0039]
 また、加圧は、前述した通り、1400℃以上の温度においては継続的に行われることが好ましい。黒鉛化工程では、1400℃程度の温度からグラファイト層の再配列によって分子鎖に柔軟性が発生しており、このとき20kg/cm 以上の加圧をすることでグラファイト層同士を近接させることができ、強固にグラファイト層同士を結合させることができる。また、2400℃以上の温度においては、高配向性グラファイト内部にわずかに残存しているガスが外部に排出される。それ故に、この温度域においても加圧を20kg/cm 以上としておくことで、グラファイト層の膨張を抑制できるため、吸水量の低い高配向性グラファイトを得ることができる。また、1400℃未満の温度については、加圧に特に制限はないが、20kg/cm 以上の加圧をすることもできる。
[0040]
 黒鉛化工程における昇温速度は、特に限定されないが、0.2℃/min~10℃/minであることが好ましい。当該構成であれば、内部ガスを適度に排出することができ、層間の膨張を抑制できるため良い。グラファイト層の膨張を抑制することで、できあがる高配向性グラファイトの吸水量を抑制することができる。
[0041]
 (高分子フィルム)
 本発明で使用する高分子フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子フィルムである。特に、本願発明のグラファイトフィルムの原料フィルムとして好ましいのは、ポリイミドフィルムである。
[0042]
 また、本発明で使用するポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは13μm以下である。50μm以下のポリイミドフィルムを用いることで、炭化時に発生する分解ガスを排出するために必要な層間領域の数が多くなり、グラファイト層の浮きを抑制し、高配向性グラファイトの吸水量を低減することができる。また、黒鉛化時にも2400℃以上の温度においては、高配向性グラファイト内部にわずかに残存しているガスが膨張するため、層間領域を多くすることでその排出を促進し、グラファイト層の膨張を抑制できるため、吸水量の低い高配向性グラファイトを得ることができる。
[0043]
 (用途)
 本発明の高配向性グラファイトは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。例えば、パワー半導体やLEDなどの半導体、基板、ヒートパイプなどに使用することが可能である。
[0044]
 本発明は、以下のように構成することも可能である。
[0045]
 本発明の高配向性グラファイトでは、上記高配向性グラファイトの吸水量を、上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.8mg/cm 以下であることが好ましい。
[0046]
 本発明の高配向性グラファイトでは、上記吸水率が0.16%以下であることが好ましい。
実施例
[0047]
 (評価)
 <ズレ>
 ズレの評価は、「ズレが発生している部分の面積」に対する「最上部に配置されているグラファイト層の面積」の割合で評価した。具体的には、「ズレが発生している部分の面積」は、図4を参照して、上面視における、黒鉛化後のズレが発生している部分の面積(「最上部に配置されているグラファイト層の表面積100」-「グラファイト層の全層が重なっている部分の面積110」)を「最上部に配置されているグラファイト層の表面積100」で割って((「最上部に配置されているグラファイト層の表面積100」-「グラファイト層の全層が重なっている部分の面積110」)/「最上部に配置されているグラファイト層の表面積100」×100)計算した値で評価した。
[0048]
 ズレが発生している部分の面積が0%以上10%以下の場合を「A」、10%を超え25%以下の場合を「B」、25%を超え40%以下の場合を「C」、40%を超える場合を「D」とした。
[0049]
 <高配向性グラファイトの吸水量を、高配向性グラファイトの、グラファイト層の積層面の面積で割った値の評価>
 切り出した高配向性グラファイトを70℃で5時間乾燥させた後、初期の重量(W1)とグラファイト層の積層面のサイズ(A)の測定を行った。その後、23℃の水に24時間浸漬させた後、水滴をふき取り、吸水後の重量(W2)を測定し、吸水量をグラファイト層の積層面の面積で割った値((W2-W1)/A)を算出した。当該値が0mg/cm 以上0.8mg/cm 以下の場合を「A」、0.8mg/cm よりも大きく2.9mg/cm 未満の場合を「B」、2.9mg/cm 以上6.0mg/cm 未満の場合を「C」、6.0mg/cm2以上の場合を「D」とした。なお、上述した積層面のサイズ(A)とは、高配向性グラファイトの4つの面(具体的には、図3に示す正面51、背面54、右側面52および左側面53の4つの面)の面積の合計を意図する。
[0050]
 <高配向性グラファイトの吸水率の評価>
 切り出した高配向性グラファイトを70℃で5時間乾燥させた後、初期の重量(W1)の測定を行った。その後、23℃の水に24時間浸漬させた後、水滴をふき取り、吸水後の重量(W2)を測定し、吸水率((W2-W1)/W1×100)を算出した。
[0051]
 <層間剥離の評価方法>
 切り出した高配向性グラファイトを23℃の水に24時間浸漬させた後、100℃に加熱した。加熱後、層間剥離が発生しなかった場合を「A」、発生した場合を「B」とした。
[0052]
 <他の材料との密着性の評価>
 切り出した高配向性グラファイトの積層面にスコッチ(登録商標)メンディングテープを貼り付け、高配向性グラファイトの積層面からスコッチ(登録商標)メンディングテープを剥離したときの、スコッチ(登録商標)メンディングテープの剥離領域の状態を観察した。
[0053]
 スコッチ(登録商標)メンディングテープの剥離領域のうち、ほぼ全面にグラファイトが付着していた場合を「A」、ほぼ半分以上にグラファイトが付着していた場合を「B」、それ以外を「C」とした。スコッチ(登録商標)メンディングテープの剥離領域にグラファイトが付着していれば、他の材料との密着性に優れると判断することが出来る。
[0054]
 (実施例1)
 4,4’-オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に予め定められた厚さ(12.5μm)になるようにアルミ箔上に層状に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。以上により、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを作製した。
[0055]
 このように作製されたポリイミドフィルムを60mm×60mmにカットし、4400枚積層した後、加圧が0.4kg/cm になるように黒鉛の加圧用治具を載せ、1400℃まで0.5℃/minの昇温速度で加熱し、炭素質フィルム積層体を得た。その後、図5に示すように、上面視において、この炭素質フィルム積層体20の中心部30mm×30mm(面積割合39%)の部分のみを加圧用治具200で加圧し、黒鉛化処理を行い、高配向性グラファイトを得た。加圧は、室温から2900℃まで継続して40kg/cm の加圧をした。また、冷却時も、1600℃まで40kg/cm で加圧を継続した。黒鉛化時の昇温速度は5℃/minとした。尚、得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ30mm×30mm、厚さ21mmであった。また、図8のように、得られた高配向性グラファイト10は、加圧されていない部分310の厚さが、加圧している部分300の厚さに対して厚くなっていた。その後、ダイヤモンドカッター(BUEHLER社製ISOMET)で、加圧されている30mm×30mmの部分の中心を、サイズ10mm×10mm、厚さ20mmに切り出し、吸水量を測定した。吸水量は、0.5mg/cm であった。結果を表1に示す。
[0056]
 (実施例2)
 黒鉛化時に炭素質フィルム積層体の中心部40mm×40mm(面積割合69%)の部分のみを加圧したこと以外は、実施例1と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、1.1mg/cm であった。結果を表1に示す。
[0057]
 (実施例3)
 黒鉛化時に上面視において、炭素質フィルム積層体の中心部46mm×46mm(面積割合92%)の部分のみを加圧したこと以外は、実施例1と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ46mm×46mm、厚さ21mmであった。吸水量は、3.5mg/cm であった。結果を表1に示す。
[0058]
 (比較例1)
 黒鉛化時に上面視において、炭素質フィルム積層体の全面(面積割合100%)を加圧したこと以外は、実施例1と同様である。得られた高配向性グラファイトは、層の大きなズレが発生しており、厚さ20mm以上の高配向性グラファイトを得ることができなかった。厚さ20mm以上の高配向性グラファイトが得られなかったので、中心部をサイズ10mm×10mm、厚み10mmに切り出し、吸水量を測定した。吸水量は、12.1mg/cm であった。結果を表1に示す。
[0059]
 (比較例2)
 室温から2900℃まで継続して10kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで10kg/cm で加圧を継続したこと以外は比較例1と同様である。吸水量は、8.0mg/cm であった。結果を表1に示す。
[0060]
[表1]


[0061]
 黒鉛化時に上面視において、炭素質フィルム積層体の全面(100%)を加圧する場合、比較例3のように加圧力が10kg/cm と大きくなければ、ズレは発生しなかった。ただし、層間の密着が十分に形成されず、層間に僅かに隙間が残るため、得られた高配向性グラファイトの吸水量を、当該高配向性グラファイトの、グラファイト層の積層面の面積で割った値は、8.0mg/cm と高くなってしまった。一方、上面視において、黒鉛化時に炭素質フィルム積層体の全面(100%)を40kg/cm で加圧した比較例1では、55%と大きなズレが発生してしまった。これは、2400℃以上の温度においてグラファイト内部から発生するガスが、強い加圧のためにグラファイト層の層間から排出できず、層間を押し上げるために層間が滑り、ズレが発生してしまうものである。一方、実施例1から実施例3のように加圧部分の面積を炭素質フィルム積層体の一部のみにすることで、ズレを抑制することができた。これは、ズレが発生し難い加圧の弱い部分を形成することで、ズレを防止できたものである。さらに、実施例1から実施例3の比較から、加圧部面積を小さくすることで、ズレをさらに抑制することができることがわかった。また、ズレを抑制することで、グラファイトフィルムの各層の密着度も向上することができ、吸水量も低減することができた。
[0062]
 (実施例4)
 黒鉛化時に室温から2600℃まで継続して10kg/cm の加圧をした後、2600℃から2900℃まで200kg/cm の加圧をし、冷却時も1600℃まで200kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、3.2mg/cm であった。結果を表2に示す。
[0063]
 (比較例3)
 上面視において、炭素質フィルム積層体の全面を加圧し、黒鉛化時に室温から2600℃まで継続して10kg/cm の加圧をした後、2600℃から2900℃まで200kg/cm の加圧をし、冷却時も1600℃まで200kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトは、層の大きなズレが発生しており、厚さ20mm以上の高配向性グラファイトを得ることができなかった。厚さ20mm以上の高配向性グラファイトが得られなかったので、中心部をサイズ10mm×10mm、厚さ10mmに切り出し、吸水量を測定した。吸水量は、13.0mg/cm であった。結果を表2に示す。
[0064]
[表2]


[0065]
 比較例3のように上面視において、全面を押す場合、グラファイト内部からのガス発生がほぼなくなる2600℃までを10kg/cm と弱くした場合でも、2600℃以上の温度で200kg/cm と強い加圧をすると、ズレが発生してしまった。これは、グラファイトが2800℃以上の高い温度では軟化してしまい、高配向性グラファイトおよび容器や加圧用治具の変形が生じてしまうからである。特に厚さ20mm以上の高配向性グラファイトを得ようとする場合は、このような変形が起こりやすい。一方、実施例4のように加圧部分の面積を炭素質フィルム積層体の一部のみにすることで、ズレを抑制することができた。
[0066]
 (比較例4)
 室温から2900℃まで継続して10kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで10kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、8.0mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0067]
 (比較例5)
 室温から2900℃まで継続して15kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで15kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、6.1mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0068]
 (実施例5)
 室温から2900℃まで継続して20kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで20kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、3.2mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0069]
 (実施例6)
 室温から2900℃まで継続して30kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで30kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、0.9mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0070]
 (実施例7)
 室温から2900℃まで継続して70kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで70kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、0.5mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0071]
 (実施例13)
 室温から2900℃まで継続して200kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで200kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、0.006mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0072]
 (実施例14)
 室温から2900℃まで継続して300kg/cm の加圧をし、冷却時も、1600℃まで300kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。吸水量は、0.005mg/cm であった。結果を表3に示す。
[0073]
[表3]


[0074]
 比較例4、比較例5のように、10kg/cm 、15kg/cm と加圧を小さくした場合、グラファイト内部から発生するガスはグラファイト層の間の隙間から排出することができるので、ズレは発生しないが、層間の密着が不十分になり、吸水量が多くなってしまった。一方、実施例2、実施例5~7、13および14のように20kg/cm 以上加圧をした場合、吸水量が顕著に低下した。
[0075]
 (実施例8)
 黒鉛化時に室温から1400℃まで継続して10kg/cm の加圧をした後、1400℃から2900℃まで40kg/cm の加圧をし、冷却時も1600℃まで40kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、0.8mg/cm であった。結果を表4に示す。
[0076]
 (実施例9)
 黒鉛化時に室温から1400℃まで継続して40kg/cm の加圧をした後、1400℃から2400℃までは10kg/cm で加圧し、2400℃から2900℃までは再度40kg/cm の加圧をした。尚、冷却時も1600℃まで40kg/cm で加圧を継続した。それ以外の条件は、実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、1.2mg/cm であった。結果を表4に示す。
[0077]
 (実施例10)
 黒鉛化時に室温から2400℃まで継続して10kg/cm の加圧をした後、2400℃から2900℃まで40kg/cm の加圧をし、冷却時も1600℃まで40kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、2.1mg/cm であった。結果を表4に示す。
[0078]
 (比較例6)
 黒鉛化時に室温から1400℃まで継続して10kg/cm の加圧をした後、1400℃から2400℃までは40kg/cm で加圧し、2400℃から2900℃までは再度10kg/cm の加圧をした。尚、冷却時も1600℃まで10kg/cm で加圧を継続した。それ以外の条件は、実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、9.5mg/cm であった。結果を表4に示す。
[0079]
 (比較例7)
 黒鉛化時に室温から2400℃まで継続して40kg/cm の加圧をした後、2400℃から2900℃まで10kg/cm の加圧をし、冷却時も1600℃まで10kg/cm で加圧を継続したこと以外は実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、9.2mg/cm であった。結果を表4に示す。
[0080]
[表4]


[0081]
 比較例6、比較例7のように2400℃以上の温度において10kg/cm と加圧を小さくした場合、2400℃以上の温度においてグラファイト内部から発生するガスは層間の隙間から排出することができるので、ズレは発生しないが、層間の密着が不十分になり、吸水量が多くなってしまった。一方、実施例2、実施例8から実施例10のように2400℃以上の温度において40kg/cm と強い加圧をした場合、吸水量が顕著に低下した。また、実施例8と実施例9の比較から、2400℃以上の温度域に加え、1400℃から2400℃の温度域においても加圧しておくとよいことがわかる。
[0082]
 (実施例11)
 実施例1と同様のポリイミドフィルム(厚み12.5μm)を60mm×60mmにカットし、東洋炭素(株)製膨張グラファイトシート(商品名PERMA-FOIL(グレードPF-UHPL)、厚さ200μm)と上記ポリイミドフィルムとを1枚ずつ交互に積層した後、0.4kg/cm になるように黒鉛の加圧用治具を載せ、1400℃まで0.5℃/minの昇温速度で加熱し、炭素化フィルムを得た。その後、得られた炭素質フィルム4400枚を直接積層し、実施例2と同様の条件で加圧しながら黒鉛化処理を行なった。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ21mmであった。吸水量は、5.1mg/cm2であった。結果を表5に示す。
[0083]
[表5]


[0084]
 積層体とする段階としては、実施例11のように炭素質フィルムを積層して加圧熱処理をするよりも、実施例2のように高分子フィルムの段階であるポリイミドフィルム(PI)を積層して加圧熱処理をしたほうが層間の密着性を向上させることができ、吸水量を低減することができた。
[0085]
 (実施例12)
 ポリイミドフィルムを6600枚積層したこと以外は、実施例2と同様である。得られた高配向性グラファイトの加圧されている部分は、サイズ40mm×40mm、厚さ31mmであった。吸水量は、0.7mg/cm であった。結果を表6に示す。
[0086]
[表6]


[0087]
 ポリイミドフィルム(PI)を6600枚積層した場合(実施例12)でも、部分的に加圧することで、4400枚積層した場合(実施例2)同様に、ズレが抑制され、吸水量の少ない高配向性グラファイトを得ることができた。

産業上の利用可能性

[0088]
 本発明の高配向性グラファイトは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。例えば、パワー半導体やLEDなどの半導体、基板、ヒートパイプなどに使用することが可能である。

符号の説明

[0089]
   1  半導体
   2  ヒートシンク
   5  モールド樹脂
  10  高配向性グラファイト
  20  炭素質フィルム積層体
  50  グラファイト層の積層面
  51  図3における高配向性グラファイトの正面
  52  図3における高配向性グラファイトの右側面
  53  図3における高配向性グラファイトの左側面
  54  図3における高配向性グラファイトの背面
 150  加圧部分の端部から炭素質フィルム積層体の端部までの最短の距離
 100  最上部に配置されているグラファイト層
 110  グラファイト層の全層が重なっている部分
 200  加圧用治具
 300  高配向性グラファイトの黒鉛化時に加圧されていた部分
 310  高配向性グラファイトの黒鉛化時に加圧されていなかった部分

請求の範囲

[請求項1]
 グラファイト層が積層された高配向性グラファイトであって、
 上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層方向の厚さが、20mm以上であり、
 上記高配向性グラファイトの吸水量を、上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.005mg/cm 以上6.0mg/cm 以下である高配向性グラファイト。
[請求項2]
 上記高配向性グラファイトの吸水量を、上記高配向性グラファイトにおける上記グラファイト層の積層面の面積で割った値が、0.8mg/cm 以下である請求項1に記載の高配向性グラファイト。
[請求項3]
 グラファイト層が積層された高配向性グラファイトであって、当該高配向性グラファイトの吸水率が、0.0010%以上1.15%以下である高配向性グラファイト。
[請求項4]
 上記吸水率が0.16%以下である請求項3に記載の高配向性グラファイト。
[請求項5]
 高分子フィルムまたは炭素質フィルムを複数枚積層した積層体を2400℃以上まで加圧熱処理することで高配向性グラファイトを製造する方法であって、
 上記積層体を黒鉛化させる黒鉛化工程において、少なくとも2400℃以上の何れかの温度範囲にて、上記積層体を20kg/cm 以上で加圧し、加圧用の治具と対峙する上記積層体の面の92%以下の面積にのみ、該加圧を行うことを特徴とする高配向性グラファイトの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]