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1. (WO2015129237) 樹脂成形体およびその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 樹脂成形体およびその製造方法 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

図面の簡単な説明

0052  

発明を実施するための形態

0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341   0342   0343   0344   0345   0346   0347   0348   0349   0350   0351   0352   0353   0354  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29  

図面

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明 細 書

発明の名称 : 樹脂成形体およびその製造方法

関連出願の相互参照

[0001]
 本開示は、2014年2月27日に出願された日本出願番号2014-37230号、2014年10月20日に出願された日本出願番号2014-213682号、2014年12月18日に出願された日本出願番号2014-256397号、2015年1月9日に出願された日本出願番号2015-3417号とに基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、熱硬化性樹脂部材の表面の一部を熱可塑性樹脂部材で封止し、熱硬化性樹脂部材の表面の残部を熱可塑性樹脂部材より露出させてなる樹脂成形体、および、そのような樹脂成形体の製造方法に関する。

背景技術

[0003]
 従来より、たとえば熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材を、熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材で封止した樹脂成形体として、特許文献1に記載のものが提案されている。このものでは、熱硬化性樹脂部材の全体を熱可塑性樹脂部材で封止したものとされている。
[0004]
 ところで、成形体の用途や構造によっては、部材の形状、検出形態や熱硬化性樹脂部材に加わる応力等を考慮して、熱硬化性樹脂部材の一部を熱可塑性樹脂部材から露出させることが必要となる。
[0005]
 例えば、特許文献2は、次の樹脂成形体を提案している。即ち、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材が、部品が実装された基板等よりなる被封止部品を封止する。その熱硬化性樹脂部材の表面を熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材が封止する。ここで、熱可塑性樹脂部材は、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止し、当該表面の残部である露出面を露出させている。
[0006]
 このような樹脂成形体は、熱硬化性樹脂については、被封止部品に対する高密着性や低応力性の点で好ましく、熱可塑性樹脂については、成形物の寸法精度や靭性がよい、という各利点を生かしたものである。たとえば、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等が挙げられる。
[0007]
 このような樹脂成形体の一般的な製造方法は、次の通りである。まず、被封止部品を、熱硬化性樹脂部材の原料である熱硬化性樹脂素材で被覆し、これを加熱して硬化完了させて熱硬化性樹脂部材を形成する硬化モールド工程、つまり一次成形を行う。
[0008]
 次に、熱可塑性樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂素材にて熱硬化性樹脂部材の表面のうちの封止面を被覆するように射出成形を行うことで、加熱することにより熱可塑性樹脂部材を形成する可塑モールド工程、つまり二次成形を行う。こうして、樹脂成形体ができあがる。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : JP 2003-094479 A(JP 4620303 B2)
特許文献2 : JP H10-170379 A(JP 3620184 B2)

発明の概要

[0010]
 (第一の検討課題)
 このような熱硬化性樹脂部材の一部が熱可塑性樹脂部材から露出している樹脂成形体においては、熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂の密着性が悪いため、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との界面で剥離が生じやすい。
[0011]
 この種の樹脂成形体においては、上記したように、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面は、熱可塑性樹脂部材で封止されるが、当該表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出する。
[0012]
 そのため、上記界面で剥離が発生すると、たとえば、上記界面のうち外部に露出する部分、すなわち、上記界面のうち熱硬化性樹脂部材における封止面と露出面との境界に位置する端部から、外部の水分や汚染物質等が、上記界面に沿って樹脂成形体の内部に侵入することになる。
[0013]
 このような上記界面での剥離に対して、上記特許文献2では、熱可塑モールド工程後に、上記界面のうち上記封止面と露出面との境界に位置する端部に、別の充填材料を配置することで、上記界面の端部を被覆し、上記界面の剥離を防止するようにしている。しかし、この場合、充填材料を別途用いる必要が生じることから、樹脂成形体の形状の制約やコストアップ等の点で改善が求められる。
[0014]
 本開示の第一の目的は、上記した第一の検討課題に鑑みてなされたものであり、熱硬化性樹脂部材の表面の一部を熱可塑性樹脂部材で封止してなる樹脂成形体において、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上を図ることである。
[0015]
 上記第一の目的を達成するため、本開示の第一の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、熱可塑性樹脂部材より露出する樹脂成形体の製造方法であって、さらに、以下の各工程を備えるものである。
[0016]
 すなわち、この製造方法においては、熱硬化性樹脂部材の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材を形成する硬化モールド工程と、熱硬化性樹脂部材における封止面の少なくとも一部において、最表面に位置する表面層を除去することで封止面の少なくとも一部を官能基が存在する新生面とする表面層除去工程と、新生面が形成された熱硬化性樹脂部材に対して、熱可塑性樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂材料として新生面に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する官能基含有添加剤を添加した材料を射出成形することにより、新生面に存在する官能基と熱可塑性樹脂材料に添加した官能基含有添加剤に存在する官能基とを化学結合させつつ、熱硬化性樹脂部材における封止面を熱可塑性樹脂部材で封止する可塑モールド工程と、を備える。
[0017]
 このように、熱硬化性樹脂部材における封止面と当該封止面を封止する熱可塑性樹脂部材との界面では、封止面上の汚染物が除去された新生面が形成されるようにしている。そして、この新生面において官能基を介した熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との化学結合が実現される。この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との間において高密着性を得ることができる。そのため、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0018]
 また、上記第一の目的を達成するため、本開示の第二の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する官能基含有添加剤が添加されており、熱硬化性樹脂部材における封止面には露出面よりも粗化された粗化面が形成され、該粗化面に存在する官能基とに存在する官能基とが化学結合されている。
[0019]
 このように、熱硬化性樹脂部材の表面が粗化面とされ、粗化面に存在する官能基と官能基含有添加剤に存在する官能基が化学結合された構造とされることで、上記の第一の観点と同様、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0020]
 また、上記第一の目的を達成するため、本開示の第三の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出する樹脂成形体の製造方法であって、さらに、以下の各工程を備えるものである。
[0021]
 すなわち、この製造方法においては、熱硬化性樹脂部材の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材を形成する硬化モールド工程と、熱硬化性樹脂部材における封止面の少なくとも一部において、最表面に位置する表面層を除去することで封止面の少なくとも一部を官能基が存在する新生面とする表面層除去工程と、新生面が形成された熱硬化性樹脂部材に対して、熱可塑性樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂材料として新生面に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する官能基含有添加剤を添加した材料を射出成形することにより、新生面に存在する官能基と熱可塑性樹脂材料に添加した官能基含有添加剤に存在する官能基とを化学結合させつつ、熱硬化性樹脂部材における封止面を熱可塑性樹脂部材で封止する可塑モールド工程と、を備え、硬化モールド工程では、熱硬化性樹脂材料に官能基含有添加剤に存在する官能基を活性化させる触媒を添加し、表面層除去工程では、新生面より触媒を露出させる。
[0022]
 このように、熱硬化性樹脂部材における封止面と当該封止面を封止する熱可塑性樹脂部材との界面では、封止面上の汚染物が除去された新生面が形成されるようにしている。そして、この新生面において官能基を介した熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との化学結合が実現される。この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との間において高密着性を得ることができる。そのため、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0023]
 さらに、熱硬化性樹脂部材の表面層を除去して新生面から触媒を露出させている。このため、熱可塑性樹脂部材に添加した官能基含有添加剤の官能基をより活性化させられ、熱硬化性樹脂部材の新生面から露出した官能基と反応して、より高密着性を得ることが可能となる。
[0024]
 また、また、上記第一の目的を達成するため、本開示の第四の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する官能基含有添加剤が添加されていると共に、熱硬化性樹脂部材に官能基含有添加剤に存在する官能基を活性化させる触媒が添加され、熱硬化性樹脂部材における封止面には該熱硬化性樹脂部材の表面層が除去された表面除去部より触媒が露出させられることで、官能基含有添加剤に存在する官能基が活性化されて熱硬化性樹脂部材に存在する官能基と化学結合されている。
[0025]
 このように、熱硬化性樹脂部材に表面除去部を形成し、表面除去部より触媒を露出させることで、官能基含有添加剤に存在する官能基を活性化させている。これにより、活性化させた官能基含有添加剤に存在する官能基と新生面に存在する官能基とを化学結合させた構造にでき、第三の観点と同様、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0026]
 (第二の検討課題)
 ところで、熱可塑性樹脂部材によって熱硬化性樹脂部材の一部を封止する構成において、既に、説明したように、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との界面で剥離が生じ、外部の水分等の物質が上記界面に沿って樹脂成形体の内部に侵入する可能性がある。そのため、この一部封止構成においては、特に、両樹脂部材間における剥離の抑制が望まれる。
[0027]
 そこで、本発明者は、熱硬化性樹脂部材における封止面の一部は、粗化処理されていない非粗化面とされ、封止面の残部は、非粗化面よりも粗化された粗化面とした。このような粗化面を形成する粗化処理は、レーザ照射等で表面除去の加工を行うものであり、粗化面は、非粗化面よりも段差を有して凹んだ面となる。
[0028]
 そして、熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する添加剤を添加し、粗化面に存在する官能基と添加剤に存在する官能基とが化学結合されたものとする。この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との間において高密着性を得ることができるため、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が図れる。
[0029]
 なお、熱硬化性樹脂部材における封止面の全体を粗化面とするのではなく、封止面の一部を非粗化面とし、封止面の残部を粗化面としたのは、粗化処理のコストや粗化処理される熱硬化性樹脂部材の形状の制約等によるものである。
[0030]
 この場合、熱可塑性樹脂部材で封止されている封止面において、比較的密着性に劣る非粗化面で発生した剥離が、粗化面と非粗化面との境界まで進展すると、粗化面における剥離を誘発するおそれがある。そのため、本発明者は、さらに、この粗化面と非粗化面との境界において当該剥離を抑制することを考えた。
[0031]
 本開示の第二の目的は、上記第二の検討課題に鑑みてなされたものであり、一部封止構成において、熱硬化性樹脂部材の封止面における非粗化面に発生する剥離が、粗化面と非粗化面との境界にて粗化面側へ進展するのを抑制できるようにすることである。
[0032]
 上記第二の目的を達成するため、本開示の第五の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、次のようなに提供される。
[0033]
 すなわち、この樹脂成形体では、熱硬化性樹脂部材における封止面の一部は、粗化処理されていない非粗化面とされ、封止面の残部は、非粗化面よりも段差を有して凹み非粗化面よりも粗化された粗化面とされており、熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する添加剤が添加され、粗化面に存在する官能基と添加剤に存在する官能基とが化学結合されており、封止面における非粗化面と粗化面との境界には、非粗化面と熱可塑性樹脂部材との界面に発生する剥離の粗化面側への進展を抑制するための溝が設けられている。
[0034]
 本開示によれば、まず、熱硬化性樹脂部材の表面が粗化面とされ、粗化面に存在する官能基と官能基含有添加剤に存在する官能基が化学結合された構造とされることで、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0035]
 そして、溝により、非粗化面と粗化面との境界部分において封止面と熱可塑性樹脂部材との界面が屈折し、非粗化面と熱可塑性樹脂部材との界面に発生する剥離の粗化面側への進展経路も屈折するから、当該剥離に関する応力拡大係数が低減する。また、溝の分、非粗化面と粗化面との間の沿面距離が長くなる。よって、この観点によれば、熱硬化性樹脂部材の封止面における非粗化面に発生する剥離が、粗化面と非粗化面との境界にて粗化面側へ進展するのを抑制することができる。
[0036]
 また、上記第二の目的を達成するため、本開示の第六の観点では、熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材と、熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材と、を備え、熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面は、熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、次のように提供される。
[0037]
 すなわち、この樹脂成形体では、熱硬化性樹脂部材における封止面の一部は、粗化処理されていない非粗化面とされ、封止面の残部は、非粗化面よりも段差を有して凹み非粗化面よりも粗化された粗化面とされており、熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する添加剤が添加され、粗化面に存在する官能基と添加剤に存在する官能基とが化学結合されており、
 封止面における非粗化面と粗化面との間の段差における壁面には、非粗化面と熱可塑性樹脂部材との界面に発生する剥離の粗化面側への進展を抑制するための凹凸処理が施されている。
[0038]
 本開示でも、熱硬化性樹脂部材の表面が粗化面とされ、粗化面に存在する官能基と官能基含有添加剤に存在する官能基が化学結合された構造とされることで、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性樹脂部材との密着性の向上が実現できる。
[0039]
 また、段差の壁面を凹凸処理されたものにすることで、非粗化面と粗化面との間の沿面距離の増加と、段差における熱可塑性樹脂部材の密着性向上とが実現される。そのため、本開示によっても、熱硬化性樹脂部材の封止面における非粗化面に発生する剥離が、粗化面と非粗化面との境界にて粗化面側へ進展するのを抑制することができる。
[0040]
 (第三の検討課題)
 熱可塑性樹脂部材によって熱硬化性樹脂部材の一部を封止する構成の製造において、熱可塑性樹脂部材を成形する金型として、通常、熱可塑性樹脂部材の外形に対応した空間形状のキャビティを有する成形部と、成形部に隣接して設けられ熱硬化性樹脂部材の露出面の部分が嵌合される嵌合部とを備えたものを用いる。つまり、嵌合部は、金型における熱硬化性樹脂部材の露出面との合わせ面を有する部分である。
[0041]
 そして、熱硬化性樹脂部材における封止面の部分をキャビティ内に位置させ、熱硬化性樹脂部材の露出面の部分を嵌合部に嵌合させた状態で、キャビティ内に熱可塑性樹脂材料を射出して充填することにより、熱可塑性樹脂部材を成形する。こうして、熱可塑性樹脂部材による上記封止が行われ、樹脂成形体ができあがる。
[0042]
 ところで、上記した熱可塑性樹脂の成形工程においては、熱硬化性樹脂部材の露出面と金型の嵌合部との間には、設計時の寸法公差あるいは成形時の樹脂圧(つまり射出圧)による金型の開きや変形に起因して隙間が存在する。
[0043]
 そのために、熱可塑性樹脂部材の成形時に、上記露出面と嵌合部との隙間により、熱可塑性樹脂材料よりなる樹脂バリが発生する。つまり、熱硬化性樹脂部材における封止面と露出面との境界では、熱可塑性樹脂部材の一部が、当該境界から露出面に沿ってはみ出して樹脂バリを形成した形となる。
[0044]
 樹脂バリは、熱可塑性樹脂部材の正規の形状の外へはみ出した薄いヒレ状部分であり、欠落しやすいため、従来では、熱可塑性樹脂成形工程の後に、この樹脂バリを除去する追加工程が必要となっていた。
[0045]
 本開示の第三の目的は、上記の第三の検討課題に鑑みてなされたものであり、熱硬化性樹脂部材における封止面と露出面との境界に形成される熱可塑性樹脂部材の樹脂バリについて、樹脂バリを除去する追加工程を不要とするべく、樹脂バリの欠落防止を実現することである。
[0046]
 上記第三の目的を達成するため、本開示の第七の観点では、熱硬化性樹脂材料よりなり、表面の一部が封止面とされ、残部が露出面とされた熱硬化性樹脂部材と、熱可塑性樹脂材料よりなり、熱硬化性樹脂部材の表面のうち露出面を露出させるように封止面を封止する熱可塑性樹脂部材と、を備える樹脂成形体であって、さらに、熱硬化性樹脂部材における封止面と露出面との境界では、熱可塑性樹脂部材の一部が露出面に沿ってはみ出して樹脂バリを形成しており、熱硬化性樹脂部材の表面のうちの少なくとも露出面における樹脂バリの下地となる部分は、当該表面における当該下地となる部分以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材との接着性が大きくなるように表面処理がなされた表面処理部とされている。
[0047]
 それによれば、熱硬化性樹脂部材の露出面における樹脂バリの下地部分、すなわち樹脂バリの直下部分は、熱可塑性樹脂部材との接着性が向上された表面処理部とされるから、樹脂バリと露出面との強固な接着が実現される。よって、この構成によれば、樹脂バリを除去する追加工程を不要とするべく、樹脂バリの欠落防止を実現することができる。
[0048]
 更に、上記第三の目的を達成するため、本開示の第八の観点は、熱硬化性樹脂材料よりなり、表面の一部が封止面とされ、残部が露出面とされた熱硬化性樹脂部材と、熱可塑性樹脂材料よりなり、熱硬化性樹脂部材の表面のうち露出面を露出させるように封止面を封止する熱可塑性樹脂部材と、を備え、さらに、熱硬化性樹脂部材における封止面と露出面との境界では、熱可塑性樹脂部材の一部が露出面に沿ってはみ出して樹脂バリを形成している樹脂成形体を製造する樹脂成形体の製造方法であって、以下の構成を有するものである。
[0049]
 すなわち、この製造方法では、熱硬化性樹脂部材を用意する用意工程と、熱可塑性樹脂部材を成形する金型として、熱可塑性樹脂部材の外形に対応した空間形状のキャビティを有する成形部と、成形部に隣接して設けられ熱硬化性樹脂部材における露出面の部分が嵌合される嵌合部とを備えたものを用い、熱硬化性樹脂部材における封止面の部分をキャビティ内に位置させ、熱硬化性樹脂部材における露出面の部分を嵌合部に嵌合させた状態で、キャビティ内に熱可塑性樹脂材料を射出して充填することにより熱可塑性樹脂部材を成形する樹脂成形工程と、を備える。
[0050]
 そして、用意工程では、熱硬化性樹脂部材として、熱硬化性樹脂部材の表面のうちの少なくとも露出面における嵌合部と対向する対向部が、当該表面における対向部以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材との接着性が大きくなるように表面処理がなされた表面処理部とされたものを用意し、樹脂成形工程によって、熱硬化性樹脂部材の露出面における対向部と嵌合部との隙間に発生する樹脂バリを、表面処理部に接着させた状態とする。
[0051]
 上記の製造方法によれば、熱硬化性樹脂部材の露出面における樹脂バリの下地部分は、熱可塑性樹脂部材との接着性が向上された表面処理部とされるから、樹脂バリと露出面との強固な接着が実現される。よって、樹脂バリを除去する追加工程を不要とするべく、樹脂バリの欠落防止を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0052]
 本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。
[図1] 本開示の第一実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置を示す概略断面図
[図2] 図1中の半導体装置における熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図3] 図1に示される半導体装置の製造工程中の断面のうち図1中の領域Rを拡大した図
[図4] 図3に続く製造工程中の断面のうち図1中の領域Rを拡大した図
[図5] 図4に続く製造工程中の断面のうち図1中の領域Rを拡大した図
[図6] 図5に続く製造工程中の断面のうち図1中の領域Rを拡大した図
[図7] 第一実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図8] 上記第一実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図9] 上記第一実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図10] 本開示第一実施例の第2実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置に含まれる熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図11] 本開示の第二実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置を示す概略断面図
[図12] 図11中の半導体装置における樹脂バリ近傍部の拡大図
[図13] 図11中の半導体装置における熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図14] 図12中の一点鎖線XIV-XIVに沿った断面を示す概略断面図
[図15] 図14に示される断面構成の他の例を示す概略断面図
[図16] 図14に示される断面構成の他の例を示す概略断面図
[図17] 第二実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法における樹脂成形工程を示す概略断面図
[図18] 第二実施例の第2実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法における樹脂成形工程を示す概略断面図
[図19] 図18中の熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図20] 第二実施例の第3実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法における樹脂成形工程の第1の例を示す概略断面図
[図21] 第二実施例の第3実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法における樹脂成形工程の第2の例を示す概略断面図
[図22] 第二実施例の第3実施形態にかかる樹脂成形体の製造方法における樹脂成形工程の第3の例を示す概略断面図
[図23] 本開示の第三実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置を示す概略断面図
[図24] 図23中の半導体装置における熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図25] 図23に示される半導体装置の製造工程中の断面のうち図23中の領域Rを拡大した図
[図26] 図25に続く製造工程中の断面のうち図23中の領域Rを拡大した図
[図27] 図26に続く製造工程中の断面のうち図23中の領域Rを拡大した図
[図28] 図27に続く製造工程中の断面のうち図23中の領域Rを拡大した図
[図29] 上記第三実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図30] 上記第三実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図31] 上記第三実施例の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法における効果を示す図
[図32] 表面除去部を形成しない場合と形成しつつ段差の高さを変えた場合それぞれにおいて、触媒の露出状態を測定した結果を示す図
[図33] 本開示の第三実施例の第2実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置に含まれる熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図34] 本開示の第四実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置を示す概略断面図
[図35] 図34中の半導体装置における熱硬化性樹脂部材を模式的に示した外観斜視図
[図36] 図34中の丸で囲まれたA部を拡大して示す概略断面図
[図37] 図34に示される半導体装置の製造工程中の断面のうち図34中の領域Rを拡大した図
[図38] 図37に続く製造工程中の断面のうち図34中の領域Rを拡大した図
[図39] 図38に続く製造工程中の断面のうち図34中の領域Rを拡大した図
[図40] 図39に続く製造工程中の断面のうち図34中の領域Rを拡大した図
[図41] 本開示の第四実施例の第2実施形態にかかる半導体装置における要部を示す概略断面図
[図42] 本開示の第四実施例の第3実施形態にかかる半導体装置における要部を示す概略断面図
[図43] 本開示の第四実施例の第4実施形態にかかる半導体装置における要部を示す概略断面図
[図44] 本開示の第四実施例の第5実施形態にかかる半導体装置における要部を示す概略断面図
[図45] 本開示の第四実施例の第6実施形態にかかる半導体装置における要部を示す概略断面図
[図46] 本開示の第四実施例の第7実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置を示す概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0053]
 以下、本開示の各実施例の各実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
[0054]
 (第一実施例)
 (第1実施形態)
 本開示の第一実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体について、図1、図2を参照して述べる。なお、図1では、後述する熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された粗化面11aの凹凸形状、段差11bの高さについては、わかりやすくするために、大きくデフォルメして示してある。また、図2では、熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された粗化面11aについて、その表面に斜線ハッチングを施して示している。
[0055]
 この樹脂成形体は、たとえば自動車などの車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されるものである。本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置は、熱硬化性樹脂部材10と熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止する熱可塑性樹脂部材20とを備えて構成されている。
[0056]
 熱硬化性樹脂部材10は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂よりなるもので、必要に応じて、当該樹脂中にシリカやアルミナ等の絶縁性材料よりなるフィラーが含有されていてもよい。このような熱硬化性樹脂部材10は、トランスファー成形、コンプレッション成形、あるいは、ポッティング法等による成形および熱硬化処理を行うことで、形成されたものである。
[0057]
 また、熱可塑性樹脂部材20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリフェニレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂よりなるもので、熱硬化性樹脂部材10の一部を封止するように射出成形を行うことにより、形成されたものである。この熱可塑性樹脂部材20内には、官能基含有添加剤20aが添加されている。官能基含有添加剤20aは、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基などのいずれか1つもしくは複数を有するポリマーよりなるものである。この官能基含有添加剤20aが熱硬化性樹脂部材10の粗化面11aに存在する官能基と化学反応して、高密着性な熱硬化性樹脂-熱可塑性樹脂接合を可能としている。
[0058]
 このような官能基含有添加剤20aが添加された熱可塑性樹脂部材20が熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止することにより、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部は、熱可塑性樹脂部材20により封止された封止面11とされている。そして、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち封止面11以外の部分である残部は、熱可塑性樹脂部材20より露出する露出面12とされている。
[0059]
 ここでは、図1および図2に示されるように、熱硬化性樹脂部材10は、直方体状のブロック形状をなすものとして構成されている。そして、この熱硬化性樹脂部材10の長手方向の一端10a側における熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が、封止面11とされ、当該長手方向の他端10b側における熱硬化性樹脂部材の表面の残部が、露出面12とされている。
[0060]
 さらに具体的に言うならば、図1、図2に示される熱硬化性樹脂部材10は、長手方向の一端面とこれに対向する他端面、および、長手方向に延びる4個の側面を有する直方体をなしている。そして、熱硬化性樹脂部材10の封止面11は、当該長手方向の一端面と4個の側面のうちの当該長手方向の一端10a側の部位とされ、一方、熱硬化性樹脂部材10の露出面12は、当該長手方向の他端面と4個の側面のうちの当該長手方向の他端10b側の部位とされている。
[0061]
 熱硬化性樹脂部材10は、その内部に、熱硬化性樹脂部材10により封止された第1の被封止部品としての半導体素子30、第2の被封止部品としての電気接続部材40を有している。
[0062]
 第1の被封止部品である半導体素子30は、磁気センサや光センサ、あるいは、圧力センサ等に用いられるシリコン半導体等よりなるセンサチップである。このような半導体素子30は、通常の半導体プロセスにより形成されるものである。
[0063]
 たとえば、磁気センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の全体が熱硬化性樹脂部材10により封止されており、半導体素子30は、熱硬化性樹脂部材10を介して外部の磁気を検出するようにしている。
[0064]
 また、光センサや圧力センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の一部を開口させる図示しない開口部が、熱硬化性樹脂部材10に形成され、半導体素子30は、当該開口部を介して光や圧力を検出するようになっている。
[0065]
 一方、第2の被封止部品である電気接続部材40は、半導体素子30と半導体装置の外部の図示しない配線部材とを電気的に接続するためのものである。ここでは、電気接続部材40の一部41は熱硬化性樹脂部材10に被覆されて、残部42は熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出する。また、電気接続部材40の残部42は、熱硬化性樹脂部材10の外部にて熱可塑性樹脂部材20により封止され、かつ、その先端部が熱可塑性樹脂部材20から露出させられている。
[0066]
 ここで、電気接続部材40の一部41は、熱硬化性樹脂部材10内にて、半導体素子30と電気接続されている。この半導体素子30との接続手法は特に限定するものではないが、ここでは、AlやAu等のボンディングワイヤ50により接続されている。
[0067]
 一方、熱可塑性樹脂部材20は、電気接続部材40の残部42を封止しているが、熱可塑性樹脂部材20には開口部21が形成されている。そして、この開口部21において、電気接続部材40の残部42のうちのさらに一部が、熱可塑性樹脂部材20の外部に露出している。
[0068]
 この熱可塑性樹脂部材20の開口部21は、図示しない外部の配線部材、たとえばコネクタ部材等が挿入されて接続される部位であり、それにより、この外部の配線部材と電気接続部材40とが、電気的に接続されるようになっている。
[0069]
 つまり、電気接続部材40は、半導体素子30の検出や出力等の用をなすものとして機能し、半導体素子30は、電気接続部材40を介して、装置の外部との電気的なやり取りを可能としている。このような電気接続部材40として、本実施形態では、CuやAl等の棒状部材よりなるターミナル端子を用いているが、その他、回路基板などを電気接続部材40として用いてもよい。
[0070]
 そして、本実施形態の半導体装置においては、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部は、粗化された粗化面11aとされている。粗化面11aは、後述する製造方法のうちの表面層除去工程により形成されるものであり、この粗化面11aの粗化度合(表面粗さRa)は、粗化面11a以外の封止面11および露出面12よりも大きくされている。具体的には、この粗化面11aの表面粗さRaは、数μm以上(たとえば3μm以上)とされている。逆に言えば、粗化面11a以外の封止面11および露出面12は、後述する表面層13(図3参照)が存在する面に相当する。なお、表面粗さRaは、JIS(日本工業規格の略称)に定義されている算術平均粗さRaである。
[0071]
 また、上述したように、第2の被封止部品である電気接続部材40の残部42は、熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出し、熱可塑性樹脂部材20により封止されている。
[0072]
 熱硬化性樹脂部材10において露出面12と電気接続部材40の残部42との間に位置する封止面11には、上記した粗化面11aが、電気接続部材40の残部42の周りに連続した閉環形状をなすように設けられている。
[0073]
 ここでは、図2に示されるように、電気接続部材40の残部42は、直方体状の熱硬化性樹脂部材10の一端面から突出している。そして、粗化面11aの配置パターンは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状のパターンとされている。
[0074]
 また、本実施形態では、図1、図2に示されるように、粗化面11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11内にのみ、つまり熱可塑性樹脂部材20の内側にのみ形成されている。このため、粗化面11aの端部は、熱可塑性樹脂部材20の内側に位置している。
[0075]
 ここで、上述したように、粗化面11aは封止面11の表面層13(図3参照)を全面除去した面であり、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち粗化面11a以外の部分に対して粗化面11aが凹むように、これらの間には段差11bが形成されている。この段差11bの高さは、数μm以上(たとえば5μm以上)である。
[0076]
 次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図3~図6も参照して述べる。まず、図3に示される硬化モールド工程では、熱硬化性樹脂部材10の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、この熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材10を形成する。
[0077]
 具体的に、この硬化モールド工程では、半導体素子30と電気接続部材40とをボンディングワイヤ50で接続したものを、トランスファー成形、コンプレッション成形あるいはポッティング等により封止し、さらに、このものを加熱、硬化する。こうして、熱硬化性樹脂部材10ができあがる。
[0078]
 この硬化モールド工程で形成された熱硬化性樹脂部材10の最表面には、汚染物よりなる表面層13が存在する。汚染物は、熱硬化性樹脂部材10の構成材料中に存在するが、加熱成形時に最表面に浮き出てきて、それよりも内側にはあまり存在しない状態となる。ここで、汚染物とは、たとえば離型剤や工程中に熱硬化性樹脂部材10の表面に付着した異物等である。離型剤とは、上記成形において型離れ性を確保するために、金型表面に設けられたり、熱硬化性樹脂材料自身に混合されたりするもので、たとえばシロキサンや脂肪酸等よりなる。
[0079]
 次に、図4に示されるように、熱硬化性樹脂部材10に対して表面層除去工程を行う。この工程では、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部、すなわち封止面11のうちの粗化面11aを形成する部位において、最表面に位置する表面層13を除去することで当該部位を新生面14とする。
[0080]
 具体的には、封止面11のうちの粗化面11aの形成予定位置に対して、レーザ照射、ショットブラスト、研磨等の手法を用い、表面層13を除去する。これら手法は、処理表面を削って凹凸を形成するものであり、レーザ照射が最も望ましい手法である。粗化面11aを形成する際の封止面11の除去深さは、表面層13を除去できる程度で良く、数μm以上(たとえば5μm以上)とされていれば良い。
[0081]
 これら手法により、汚染物としての表面層13が除去されるとともに、表面層13の下地としての新生面14が粗化される。それによって、新生面14は、アンカー効果が付与されて熱可塑性樹脂部材20との密着性に優れた粗化面11aとされる。また、この粗化面11aとしての新生面14には、実際には図5に示すように、熱硬化性樹脂部材10を構成する熱硬化性樹脂における水酸基やエポキシ基等のいずれか1つもしくは複数が官能基として存在している。
[0082]
 なお、表面層除去工程においては、特にレーザ照射を用いると、新生面14が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して高密着性を実現することが可能となるため好ましい。また、OH基などの官能基をより新生面14に多く存在させるために、熱硬化性樹脂部材10の新生面14に、コロナ放電処理を施すことも望ましい。
[0083]
 こうして、表面層除去工程を行った後、図6に示される可塑モールド工程を行う。この工程では、官能基が存在する熱硬化性樹脂部材10の新生面14に対して、熱可塑性樹脂部材20の原料である官能基含有添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を射出成形する。例えば、官能基含有添加剤20aとなる官能基を有するポリマーを母材となる熱可塑性樹脂材料に混練することにより、官能基含有添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を得ることができる。これにより、新生面14に存在する官能基と熱可塑性樹脂材料に含まれる官能基含有添加剤20aに存在する官能基とが化学結合しつつ、熱硬化性樹脂部材10における封止面11が熱可塑性樹脂部材20で封止される。
[0084]
 この可塑モールド工程における化学結合としては、たとえば熱硬化性樹脂部材10がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂中の水酸基やエポキシ基が官能基含有添加剤20aに存在する水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基と化学結合することになる。そして、水酸基同士の結合やエポキシ基同士の結合などとされる場合、共有結合となるため、より強度の高い化学結合となる。つまり、官能基含有添加剤20aの構成材料として、熱硬化性樹脂部材10の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで共有結合を実現できる。
[0085]
 そして、この化学結合により、熱硬化性樹脂部材10における新生面14(つまり粗化面11a)と熱可塑性樹脂部材20との間の高密着性を得ることができるのである。こうして、本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置ができあがる。
[0086]
 なお、上記の表面層形成工程以降の各工程は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部に対して選択的に処理を行うものであるため、処理を行わない表面には適宜マスキング等を施したうえで、当該各工程を行うようにする。
[0087]
 ところで、上記製造方法によれば、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と当該封止面11を封止する熱可塑性樹脂部材20との界面では、封止面11上の汚染物が除去された新生面14が形成される。この新生面14において上記官能基を介した熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との化学結合が実現される。
[0088]
 そして、この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との間において高密着性を得ることができる。そのため、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との密着性の向上が実現できる。
[0089]
 また、本実施形態のような熱可塑性樹脂部材20の封止形態では、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との界面のうち、封止面11と露出面12との境界に位置する端部から、外部の水分や汚染物等の侵入物質が、当該界面に沿って装置内に侵入するおそれがある。特に、本実施形態のような車載用の半導体装置の場合、たとえば使用環境中に存在する水分やオイル等の汚染物が侵入してくるおそれがある。
[0090]
 このとき、本実施形態のように、被封止部品である電気接続部材40の残部42が熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出して熱可塑性樹脂部材20で封止されている場合、上記の侵入物質が、電気接続部材40の残部に付着し、特性等に悪影響を及ぼす可能性がある。
[0091]
 その点、本実施形態では、熱硬化性樹脂部材10における封止面11のうち、露出面12と封止面11より突出する電気接続部材40の残部42との間に位置する部位に、粗化面11aを、上記閉環形状をなすように設けている。
[0092]
 そして、この閉環形状の部分は、上述のように高密着性が得られていて、剥離が防止される部位となる。そのため、本実施形態によれば、上記の侵入物質が、露出面12側から両樹脂部材10、20の界面を介して電気接続部材40の残部42へ到達するのを極力防止することができる。
[0093]
 ここで、上記した表面層13の除去および化学結合による両樹脂部材10、20の密着性向上の効果について、図7~図9を参照して、より具体的に述べる。なお、この図7~図9に示される例は、あくまで当該密着性向上の効果を示す一例であり、当該効果は、これに限定されるものではない。
[0094]
 図7~図9の例では、熱硬化性樹脂部材10に相当する熱硬化性樹脂よりなる矩形板状の試験片と、熱可塑性樹脂部材20に相当する熱可塑性樹脂よりなる矩形板状の試験片とが貼り合わせられた状態となるように、上記製造方法に基づいて、樹脂成形体を作製した。そして、これら両試験片の貼り合わせ部分のせん断強度(単位:MPa)を測定したものである。
[0095]
 図7の例における実験では、まず、一般的な半導体封止用エポキシ樹脂をトランスファー成形したのち、表面をレーザ照射することで粗化面11aにて構成される新生面14を形成した。そして、熱可塑性樹脂材料となるPPSを射出成形することで熱可塑性樹脂部材20を形成するようにし、熱可塑性樹脂材料として、官能基含有添加剤20aとなるエポキシ樹脂を添加した場合と添加していない場合それぞれについて、せん断強度を評価した。図7は、その評価結果を示している。
[0096]
 この図に示されるように、官能基含有添加剤20aを添加していない場合と比較して、本実施形態のように官能基含有添加剤20aを添加した場合、せん断強度の大幅な向上、つまり両樹脂部材10、20の密着性の飛躍的な向上が確認された。具体的には、官能基含有添加剤20aを添加していない場合にはせん断強度が5MPa程度に留まるのに対して、添加した場合にはせん断強度が27MPaと高強度化していた。このように、官能基含有添加剤20aを添加していない場合は官能基による化学結合がなされず、密着性向上が実現できていないが、添加した場合は官能基による化学結合がなされ、密着性向上ができていたと考えられる。
[0097]
 次に、図8および図9はそれぞれ、表面層除去工程に用いる手法として、レーザ照射を用いた場合の粗化面11aの表面粗さRa(単位:μm)とせん断強度との関係、加工深さZ(単位:μm)とせん断強度との関係を調査したものである。図中丸印は個々の実験結果、棒印は同じ表面粗さRaもしくは加工深さZのときの実験結果の平均値をそれぞれ表している。なお、加工深さZは、上記段差11bの高さに相当するものである。レーザ照射では、レーザを表面にスキャンすることによって表面層13を除去した。
[0098]
 図8、図9に示されるように、レーザ照射であれば、Ra≧3μm、Z≧5μm、となるように、表面層除去工程において加工を行えば、十分な密着強度が得られるものと推定できる。
[0099]
 また、レーザ照射以外にも、ショットブラストや研磨によって同様の実験を行った。ショットブラストでは、アランダム(アルミナ粉♯80)を表面に吹き付けることによって表面層13を除去した。また、研磨では、研磨紙(♯80)による手研磨(人手による手研磨)によって表面層13を除去した。これらの場合であっても、表面除去工程においてレーザ照射の場合と同様の加工を行うことで、十分な密着強度が得られることが確認された。
[0100]
 また、実験結果によれば、密着性については、レーザ照射>ショットブラスト>研磨の順となった。これは、レーザ照射を用いると、新生面14が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して高密着性を実現することが可能となるためと考えられる。したがって、表面層13が除去可能であれば手法は問わないが、高い密着強度が必要となる場合であれば、レーザ照射が好ましいと言える。また、ショットブラストや研磨についても、レーザ照射と同等の表面粗さRaおよび加工深さZが実現できるならば、採用可能であることはもちろんである。
[0101]
 (第2実施形態)
 本開示の第一実施例の第2実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置の要部について、図10を参照して述べる。本実施形態は、上記第一実施例の第1実施形態に比べて、熱硬化性樹脂部材10における粗化面11aの配置パターンを変えたところが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
[0102]
 上記第一実施例の第1実施形態では、上記図2に示したように、粗化面11aの配置パターンは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状パターンとされていた。
[0103]
 これに対して、本実施形態では、図10に示されるように、粗化面11aは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における一端10a側の端面すなわち一端面のみに配置されている。
[0104]
 この場合も、粗化面11aの配置パターンは、封止面11である当該一端面より突出する電気接続部材40の残部42の周りを取り囲む閉環形状とされている。そして、この場合も、上記第一実施例の第1実施形態と同様、当該閉環状のパターンによる効果が発揮される。
[0105]
 (他の実施形態)
 なお、上記した第一実施例の各実施形態では、上記図1、図2、図10に示したように、粗化面11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部に設けられていたが、封止面11の全体に設けられていてもよい。つまり、粗化面11aは、封止面11の少なくとも一部に設けられたものであればよい。
[0106]
 また、粗化面11aは、封止面11に加えて露出面12まで形成されていても何ら問題ない。さらに、粗化面11aは、熱硬化性樹脂部材10の表面全体に形成されていてもよい。
[0107]
 また、粗化面11aを封止面11の一部に設ける場合、上記したように連続する閉環状の配置パターンが好ましいが、それ以外にも、粗化面11aを、封止面11に対して島状に配置してもよい。
[0108]
 また、上記図1では、粗化面11aを封止面11の範囲内に設けた構造としたため、段差11bは、熱可塑性樹脂部材20の内側に封止されたものとされていた。これに対して、粗化面11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11を超えて露出面12の一部まで連続して形成された構造であっても良く、その場合、段差11bは、熱可塑性樹脂部材より露出し、目視可能なものとされる。
[0109]
 また、第1の被封止部品および第2の被封止部品としては、熱硬化性樹脂部材10で封止されることが可能なものであればよく、上記した半導体素子30や電気接続部材40あるいは回路基板に限定されるものではない。
[0110]
 また、熱硬化性樹脂部材10の形状は、上記した直方体状のものに限定されるものではなく、球状、その他、不定形状などであってもよい。また、熱可塑性樹脂部材20の封止形態は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が封止され残部が露出するものであればよく、上記図示例のような熱硬化性樹脂部材10の一端10a側が封止面11、他端10b側が露出面とされたものに限定するものではない。
[0111]
 また、上記実施形態では、樹脂成形体は半導体装置であり、熱硬化性樹脂部材10の内部には、熱硬化性樹脂部材10で封止された被封止部品となる半導体素子30などが設けられたものであった。しかし、樹脂成形体としては、このような半導体装置に限定されるものではなく、たとえば熱硬化性樹脂部材10として被封止部品を持たない構成のものであってもよい。
[0112]
 (第二実施例)
 (第1実施形態)
 本開示の第二実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体について、図11~図13を参照して述べる。なお、図11、図12および後述の各断面図においては、後述する熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された粗化面としての表面処理部213の凹凸形状、樹脂バリ22の厚さ、および、段差214の高さについては、わかりやすくするために、大きくデフォルメして示してある。また、図13および後述の外観斜視図では、識別のため、熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された表面処理部213について、その表面に便宜上、斜線ハッチングを施して示している。
[0113]
 この樹脂成形体は、たとえば自動車などの車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されるものである。本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置は、熱硬化性樹脂部材10と熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止する熱可塑性樹脂部材20とを備えて構成されている。
[0114]
 熱硬化性樹脂部材10は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂材料よりなる。この熱硬化性樹脂部材10には、必要に応じて、当該樹脂中にシリカやアルミナ等の絶縁性材料よりなるフィラーが含有されていてもよい。このような熱硬化性樹脂部材10は、トランスファー成形、コンプレッション成形、あるいは、ポッティング法等による成形および熱硬化処理を行うことで、形成されたものである。
[0115]
 また、熱可塑性樹脂部材20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリフェニレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂材料よりなる。この熱可塑性樹脂部材20は、熱硬化性樹脂部材10の一部を封止するように射出成形を行うことにより、形成されたものである。
[0116]
 この熱可塑性樹脂部材20が熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止することにより、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部は、熱可塑性樹脂部材20により封止された封止面11とされている。そして、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち封止面11に連続し封止面11以外の部分である残部は、熱可塑性樹脂部材20より露出する露出面12とされている。
[0117]
 ここでは、図11~図13に示されるように、熱硬化性樹脂部材10は、直方体状のブロック形状をなすものとして構成されている。そして、この熱硬化性樹脂部材10の長手方向の一端10a側における熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が、封止面11とされ、当該長手方向の他端10b側における熱硬化性樹脂部材の表面の残部が、露出面12とされている。
[0118]
 さらに具体的に言うならば、図11~図13に示される熱硬化性樹脂部材10は、長手方向の一端面とこれに対向する他端面、および、長手方向に延びる4個の側面を有する直方体をなしている。
[0119]
 そして、熱硬化性樹脂部材10の封止面11は、当該長手方向の一端面と、4個の側面のうちの当該長手方向の一端10a側の部位とに相当する。一方、熱硬化性樹脂部材10の露出面12は、当該長手方向の他端面と、4個の側面のうちの当該長手方向の他端10b側の部位とに相当する。
[0120]
 このような樹脂成形体としての半導体装置は、熱可塑性樹脂部材20により熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの封止面11を封止し、露出面12を露出させるように、熱硬化性樹脂部材10が熱可塑性樹脂部材20でインサート成形されることで形成される。そして、図11に示されるように、これら両樹脂部材10、20の界面の端部は外部に露出している。
[0121]
 熱硬化性樹脂部材10は、その内部に、熱硬化性樹脂部材10により封止された被封止部品としての半導体素子30および電気接続部材40を有している。半導体素子30は、磁気センサや光センサ、あるいは、圧力センサ等に用いられるシリコン半導体等よりなるセンサチップである。このような半導体素子30は、通常の半導体プロセスにより形成されるものである。
[0122]
 たとえば、磁気センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の全体が熱硬化性樹脂部材10により封止されており、半導体素子30は、熱硬化性樹脂部材10を介して外部の磁気を検出するようにしている。
[0123]
 また、光センサや圧力センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の一部を開口させる図示しない開口部が、熱硬化性樹脂部材10に形成され、半導体素子30は、当該開口部を介して光や圧力を検出するようになっている。
[0124]
 一方、電気接続部材40は、半導体素子30と半導体装置の外部の図示しない配線部材とを電気的に接続するためのものである。この電気接続部材40としては、リードフレームや配線基板などが挙げられるが、ここでは、典型的なCu(銅)や42アロイ等のリードフレームよりなるものとされている。
[0125]
 このリードフレームとしての電気接続部材40は、はんだ等の図示しないダイボンド材を介して半導体素子30を搭載する搭載部41と、半導体装置の外部との電気的接続を行うための端子部42とが一体に形成されたものである。
[0126]
 ここでは、電気接続部材40の搭載部41は熱硬化性樹脂部材10に被覆されて、端子部42は、熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出する。また、電気接続部材40の端子部42は、熱硬化性樹脂部材10の外部にて熱可塑性樹脂部材20により封止され、かつ、その先端部が熱可塑性樹脂部材20から露出している。
[0127]
 ここで、電気接続部材40の搭載部41は、熱硬化性樹脂部材10内にて、半導体素子30と電気接続されている。この半導体素子30との接続手法は特に限定するものではないが、ここでは、Al(アルミニウム)やAu(金)等のボンディングワイヤ50により接続されている。
[0128]
 一方、熱可塑性樹脂部材20は、電気接続部材40の端子部42を封止しているが、熱可塑性樹脂部材20には開口部21が形成されている。そして、この開口部21において、電気接続部材40の端子部42のうちのさらに一部が、熱可塑性樹脂部材20の外部に露出している。
[0129]
 この熱可塑性樹脂部材20の開口部21は、図示しない外部の配線部材、たとえばコネクタ部材等が挿入されて接続される部位である。この開口部21により、当該外部の配線部材と電気接続部材40の端子部42とが、電気的に接続されるようになっている。
[0130]
 つまり、電気接続部材40は、半導体素子30の検出や出力等の用をなすものとして機能し、半導体素子30は、電気接続部材40を介して、装置の外部との電気的なやり取りを可能としている。
[0131]
 ここにおいて、本実施形態では、図11、図12に示されるように、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と露出面12との境界では、熱可塑性樹脂部材20の一部が露出面12上にて露出面12に沿ってはみ出して樹脂バリ22を形成している。
[0132]
 つまり、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との界面のうち、封止面11と露出面12との境界に位置する当該界面の端部に、樹脂バリ22が形成されている。樹脂バリ22とは、熱可塑性樹脂部材20の射出成形時に形成されるもので、熱可塑性樹脂部材20の正規の形状の外へはみ出した薄いヒレ状の部分である。
[0133]
 なお、厳密に言えば、熱硬化性樹脂部材10において、露出面12の全体が露出しているのではなく、露出面12のうちの封止面11に隣接して連続する所定幅の領域、つまり封止面11寄りの領域は、樹脂バリ22で被覆されている。
[0134]
 つまり、樹脂バリ22は、封止面11と露出面12との境界にて当該境界から露出面12の一部に渡って形成されている。すなわち、樹脂バリ22は、当該境界から露出面12側への所定幅の領域に渡って形成されており、露出面12は、樹脂バリ22以外の部分では露出している。
[0135]
 この樹脂バリ22は、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と露出面12との境界の全体に形成されたものであってもよいし、当該境界の一部のみに形成されたものであってもよい。典型的には、図14に示されるように、樹脂バリ22は、当該境界の全体に形成される。
[0136]
 具体的に言うと、図11~図13の例では、直方体ブロック形状をなす熱硬化性樹脂部材10において、封止面11と露出面12との境界は、長手方向の軸まわりの全周にて4個の側面を通るように存在する。この場合において、図14に示されるように、樹脂バリ22も、熱硬化性樹脂部材10の長手方向の軸まわりの全周に存在する。
[0137]
 なお、樹脂バリ22が、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と露出面12との境界の一部に形成されたものである場合の一例は、図15、図16に示される。図15に示される例では、樹脂バリ22は、当該境界上にて断続的に存在しており、図16に示される例では、樹脂バリ22は、当該境界上の一箇所に存在している。つまり、樹脂バリ22は、上記境界の少なくとも一部に形成されていればよい。
[0138]
 そして、本実施形態の半導体装置においては、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が、熱可塑性樹脂部材20との接着性向上のための表面処理がなされた表面処理部213とされている。この表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち表面処理部213以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材20との接着性が大きくなるように表面処理された部分である。
[0139]
 ここでは、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における樹脂バリ22の下地となる部分と、この樹脂バリ22の下地部分に連続する封止面11との両部分が、表面処理部213とされている。つまり、当該両部分は、熱硬化性樹脂部材10の表面における当該両部分以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材20との接着性が大きくなるように表面処理されている。
[0140]
 ここで、露出面12における樹脂バリ22の下地部分とは、樹脂バリ22の直下に位置する部分、すなわち露出面12における樹脂バリ22を投影した領域である。さらに言えば、本実施形態の表面処理部213は、封止面11の領域と露出面12における封止面11寄りの領域とに連続して設けられたものと言える。
[0141]
 なお、本実施形態では、図13に示されるように、表面処理部213は、露出面12における封止面11寄りの領域においても、封止面11側と同様に、熱硬化性樹脂部材10の長手方向の軸まわりの全周に設けられている。つまり、露出面12のうちの封止面11寄りの領域の全体が、表面処理部213とされている。
[0142]
 上述のように、樹脂バリ22は、必ずしも露出面12と封止面11との境界全体に形成されるものではない。しかし、露出面12における封止面11寄りの領域は、当該境界に連続する領域であり、露出面12のうちで樹脂バリ22発生の可能性のある部分である。そのため、露出面12における封止面11寄りの領域全体を、表面処理部213としておく必要がある。
[0143]
 図13、図14によれば、樹脂バリ22が封止面11と露出面12との境界の全体に形成されている場合、露出面12における封止面11寄りの領域全体が、実質的に樹脂バリの下地部分であり、且つ表面処理部213である。
[0144]
 一方、図15、図16に示されるように、樹脂バリ22が当該境界の一部のみに形成されている場合でも、露出面12における封止面11寄りの領域全体が表面処理部213である。そして、この場合、表面処理部213のうちの一部が樹脂バリ22の下地部分となり、表面処理部213の残部は樹脂バリ22が存在しない部分となる。
[0145]
 ただし、樹脂バリ22が封止面11と露出面12との境界の特定部位のみに発生することが予め明らかであるならば、露出面12における封止面11寄りの領域のうちの一部のみを表面処理部213としてもよい。いずれにせよ、樹脂バリ22が存在する樹脂バリ22の下地部分は、必ず表面処理部213とされている。
[0146]
 本実施形態の表面処理部213は、粗化処理された面、すなわち熱硬化性樹脂部材10の表面における表面処理部213以外の部分よりも粗化された粗化面である。これにより、表面処理部213は、アンカー効果が付与されて熱可塑性樹脂部材20との接着性が向上されたものとなっている。
[0147]
 この粗化面としての表面処理部213は、後述する製造方法のうちの表面層の除去により形成されるものである。この粗化面の粗化度合(表面粗さRa)は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの当該粗化面以外の部分よりも大きくされている。
[0148]
 具体的には、この粗化面としての表面処理部213の表面粗さRaは、数μm以上(たとえば3μm以上)とされている。なお、表面粗さRaは、JIS(日本工業規格の略称)の規格番号B0601に定義されている算術平均粗さRaである。
[0149]
 また、本実施形態では、図11、図12に示されるように、表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の露出面12において樹脂バリ22の下地部分よりも拡がって形成されている。つまり、表面処理部213は、露出面12において樹脂バリ22の端部よりも外側にはみ出している。
[0150]
 ここで、表面処理部213は、上述のように、熱硬化性樹脂部材10の表面層を全面除去することで形成された面であり、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち表面処理部213以外の部分に対して表面処理部213が凹むように、これらの間には段差214が形成されている。この段差214の高さは、数μm以上(たとえば5μm以上)であり、目視で段差214の確認が可能なレベルの高さとされている。
[0151]
 次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図17も参照して述べる。本製造方法は、上記図11~図14に示される熱硬化性樹脂部材10を用意する用意工程と、図17に示されるような金型2100を用いた射出成形により熱可塑性樹脂部材20を形成し、熱硬化性樹脂部材10の一部を封止する樹脂成形工程と、を備える。
[0152]
 用意工程では、熱硬化性樹脂部材10の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、この熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材10を成形する。この成形では、具体的には、半導体素子30と電気接続部材40とをボンディングワイヤ50で接続したものを、トランスファー成形、コンプレッション成形あるいはポッティング等により封止し、さらに、このものを加熱、硬化する。
[0153]
 さらに、用意工程では、熱硬化された熱硬化性樹脂部材10の表面に対して、上記図11~図14に示されるような表面処理部213を形成する。具体的な表面処理部213の形成については、後述する。こうして、用意工程が完了する。
[0154]
 続いて、樹脂成形工程を行う。この工程では、図17に示されるように、熱可塑性樹脂部材20を成形する金型2100として、熱可塑性樹脂部材20の外形に対応した空間形状のキャビティ2111を有する成形部2110と、成形部2110に隣接して設けられた嵌合部2120とを備えたものを用いる。
[0155]
 嵌合部2120は、成形部2110と一体に連続して設けられた部分であり、熱硬化性樹脂部材10における露出面12の部分が嵌合される部分である。言い換えれば、嵌合部2120は、金型2100における熱硬化性樹脂部材10の露出面12との合わせ面を有する部分である。
[0156]
 そして、樹脂成形工程では、図17に示されるように、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の部分をキャビティ2111内に位置させ、熱硬化性樹脂部材10における露出面12の部分を嵌合部2120に嵌合させた状態とする。そして、この状態で、キャビティ2111内に熱可塑性樹脂材料を射出して充填する。これにより、熱可塑性樹脂部材20が成形されて、熱硬化性樹脂部材10の一部の封止がなされる。
[0157]
 ここで、用意工程にて行われる表面処理部213の形成について、述べる。上述のように、本実施形態においては、表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における樹脂バリ22の下地部分と、封止面11との両部分に形成された粗化面である。
[0158]
 ここで、露出面12における樹脂バリ22の下地部分は、図17においては、露出面12における嵌合部2120と対向する部分である対向部12aに相当する。さらに言えば、この対向部12aは、露出面12のうち封止面11に連続して隣接しつつ嵌合部2120に対向する部分であり、露出面12のうちで樹脂バリ22発生の可能性のある部分に相当するものである。
[0159]
 図13では、封止面11と露出面12との境界から熱硬化性樹脂部材10の長手方向の他端10bまでの露出面12の全体に嵌合部2120が対向しており、この対向する部分が対向部12aとされている。
[0160]
 そこで、用意工程では、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における対向部12aと、封止面11との両部分に対して、当該表面における当該両部分以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材20との接着性が大きくなるように表面処理を行う。
[0161]
 用意工程において上記熱硬化された熱硬化性樹脂部材10の最表面には、汚染物よりなる図示しない表面層が存在する。ここで、汚染物とは、たとえば離型剤や工程中に熱硬化性樹脂部材10の表面に付着した異物等である。離型剤とは、上記成形において型離れ性を確保するために、金型2100の表面に設けられたり、熱硬化性樹脂材料自身に混合されたりするもので、たとえばシロキサンや脂肪酸等よりなる。
[0162]
 そこで、本実施形態の表面処理では、この表面層を除去することにより粗化面としての表面処理部213を形成する。つまり、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における対向部12aと、封止面11との両部分において、最表面に位置する表面層を除去することで当該両部分を新生面とする処理を行う。
[0163]
 具体的には、表面処理部213の形成予定位置に対して、レーザ照射、ショットブラスト、研磨等の手法を用い、表面層を除去する。これら手法は、表面を削って凹凸を形成する粗化処理であり、レーザ照射が最も望ましい手法である。
[0164]
 こうして、表面処理部213は、レーザ照射等により、熱硬化性樹脂部材10の表面における表面処理部213以外の部分よりも粗化された粗化面として形成される。この処理における除去深さは、上記表面層を除去できる程度でよく、数μm以上(たとえば5μm以上)とされていればよい。
[0165]
 これら手法により、汚染物としての表面層が除去されるとともに、表面層の下地としての新生面が粗化される。それによって、当該新生面は、アンカー効果が付与されて熱可塑性樹脂部材20との密着性に優れた粗化面とされ、表面処理部213を形成する。
[0166]
 なお、この表面処理においては、特にレーザ照射を用いると、新生面が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して、熱可塑性樹脂部材20との高密着性の実現が可能となるため、好ましい。
[0167]
 こうして、用意工程にて表面処理部213を形成した後、樹脂成形工程を行えば、熱硬化性樹脂部材10の露出面12における対向部12aと嵌合部2120との隙間に発生する樹脂バリ22を、接着性の高い表面処理部213に接着させた状態とすることができる。
[0168]
 樹脂成形工程では、熱硬化性樹脂部材10の露出面12における対向部12aと嵌合部2120との間には、設計時の寸法公差あるいは樹脂圧による金型2100の開きや変形等に起因して、隙間が発生する。そのため、熱可塑性樹脂材料は、キャビティ2111に充填された後、さらに、図17に示されるように、樹脂圧によってキャビティ2111からはみ出して当該隙間に進入し、これが樹脂バリ22となる。
[0169]
 ここにおいて、本実施形態では、当該隙間において予め熱硬化性樹脂部材10の対向部12aを表面処理部213としているので、樹脂バリ22を表面処理部213に接着させた状態が形成されるのである。
[0170]
 こうして、樹脂成形工程の完了に伴い、熱可塑性樹脂部材20によって熱硬化性樹脂部材10の一部が封止され、熱可塑性樹脂部材20の樹脂バリ22が形成された本実施形態の樹脂成形体ができあがる。
[0171]
 なお、上記の表面層形成工程以降の各工程は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部に対して選択的に処理を行うものであるため、処理を行わない表面には適宜マスキング等を施したうえで、当該各工程を行うようにする。
[0172]
 ところで、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10の露出面12における樹脂バリ22の下地部分、すなわち樹脂バリ22の直下部分は、粗化面によるアンカー効果によって熱可塑性樹脂部材20との接着性が向上された表面処理部213とされている。
[0173]
 そのため、熱可塑性樹脂よりなる樹脂バリ22と表面処理部213とされた露出面12との間で、強固な接着が実現される。よって、本実施形態によれば、従来のような樹脂バリ22を除去する追加工程を不要としつつ、樹脂バリ22の欠落防止を実現するのに適した構成および製造方法を提供することができる。
[0174]
 また、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち樹脂バリ22の下地部分に加えて封止面11も、表面処理部213とされている。それによれば、熱可塑性樹脂部材20と封止面11との接着についても、より強固な接着を実現でき、安定した封止形態を実現することができる。
[0175]
 (第2実施形態)
 本開示の第二実施例の第2実施形態について、図18、図19を参照して、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。なお、図19においては、熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された表面処理部213および突起15の各表面に、識別のために便宜上ハッチングを施してある。
[0176]
 図18、図19に示されるように、本実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置では、熱硬化性樹脂部材10において、さらに、露出面12における樹脂バリ22の下地部分のうちの封止面11に隣接する部分に、突起15が形成されている。この突起15は、封止面11側から露出面12側への樹脂バリ22の伸展距離を抑制するために設けられたものである。
[0177]
 つまり、突起15は、樹脂バリ22の下地部分において、樹脂バリ22のはみ出し方向の先端側とは反対の根元側に配置されている。そして、図19に示されるように、突起15は、熱硬化性樹脂部材10の長手方向の軸まわりの全周に存在している。
[0178]
 この突起15は、樹脂バリ22の下地部分のうちの突起15以外の部分よりも突出高さが大きい。そして、突起15も樹脂バリ22に被覆されているが、樹脂バリ22においては、突起15の部分が突起15以外の部分よりも突起15の突出高さの分、実質的に薄いものとされている。
[0179]
 ここでは、突起15は、上記用意工程にて行われるレーザ照射等による表面層の除去工程において、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち突起15となる部分では、表面層の除去を行わないようにすることで形成される。この場合、突起15は、表面処理部213ではなく未処理の部分となり、実質的に段差214の高さと同程度の突出高さとされる。
[0180]
 なお、突起15の形成方法としては、たとえば、熱硬化後の熱硬化性樹脂部材10の表面に、型成形や切削、エッチング等により、予め突起15を形成しておき、その後は、突起15も含めて表面層の除去を行うようにしてもよい。この場合は、突起15も表面処理部213とされる。
[0181]
 本実施形態における突起15の作用は、図18に示される樹脂成形工程にて発揮される。まず、上記したような突起15の形成方法を用いることにより、用意工程では、熱硬化性樹脂部材10として、さらに、露出面12における対向部12aのうち封止面11に隣接する部分に突起15が形成されたものを用意する。
[0182]
 そして、樹脂成形工程では、図18に示されるように、突起15と嵌合部2120との隙間を、突起15以外の対向部12aと嵌合部2120との隙間よりも小さいものとした状態で、熱可塑性樹脂材料の充填を行う。
[0183]
 このとき、金型2100の嵌合部2120と対向する対向部12aのうち突起15の部分は、突起15以外の部分に比べて嵌合部2120との隙間が小さくなるため、突起15を越えて対向部12aと嵌合部2120との隙間に進入する樹脂の量が抑制される。
[0184]
 そのため、本実施形態の突起15によれば、露出面12上における樹脂バリ22の伸展を抑制することができる。なお、樹脂バリ22の固化時間を考慮して上記隙間へ進入する樹脂量を抑制するように、突起15の高さを設計すればよい。
[0185]
 (第3実施形態)
 本開示の第二実施例の第3実施形態について、図20~図22を参照して述べることとする。本実施形態は、金型2100の開き方向Y1、および、熱硬化性樹脂部材10の対向部12aにおける表面処理部213の配置構成についてのバリエーションを示すもので、上記各実施形態と組み合わせて適用できるものである。
[0186]
 図20~図22において、金型2100の開き方向Y1は、白矢印にて示してある。この開き方向Yは、射出成形後に金型2100を樹脂成形体より取り外すために金型2100を移動させる方向である。図20および図21では、開き方向Y1は熱硬化性樹脂部材10の対向部12aに平行な方向とされ、図22では、開き方向Y1は熱硬化性樹脂部材10の対向部12aに鉛直な方向とされている。
[0187]
 また、熱硬化性樹脂部材10の対向部12aにおける表面処理部213の配置構成については、図20では、対向部12aの全体が表面処理部213とされている。一方、図21および図22では、対向部12aの全体ではなく対向部12aにおける封止面11寄りの領域が、表面処理部213とされている。
[0188]
 ここで、図20、図21においても、同図中に示される金型2100について開き方向Y1を、図22と同じく、対向部12aに鉛直方向としてもよい。また、図21に示される例では、対向部12aの一部を表面処理部213とし、残部を未処理部としているから、嵌合部2120と対向部12aとの隙間は、表面処理部213では未処理部よりも広くなっている。
[0189]
 ここで、図22に示されるように、開き方向Y1が対向部12aの鉛直方向である場合には、嵌合部2120の合わせ面のうち表面処理部213に対向する部分を、未処理部に対向する部分よりも突出させた突出面2121とすることが可能である。この突出面2121により、表面処理部213における嵌合部2120との隙間が狭くされるので、樹脂バリ22の進入量の低減が期待される。
[0190]
 (他の実施形態)
 なお、第二実施例の上記各実施形態において、熱可塑性樹脂部材20を構成する熱可塑性樹脂材料には、熱硬化性樹脂部材10における表面処理部213に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する図示しない添加剤が添加されていてもよい。この添加剤は、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基などのいずれか1つもしくは複数を有するポリマーよりなるものである。
[0191]
 この添加剤が、熱硬化性樹脂部材10の表面処理部213に存在する水酸基やエポキシ基等の官能基と化学反応して、高密着性な熱硬化性樹脂-熱可塑性樹脂接合を可能とする、という効果が期待できる。このように熱可塑性樹脂部材20側にも、添加剤を添加すれば、樹脂バリ22も含めた熱可塑性樹脂部材20と、熱硬化性樹脂部材10との接着性をより強固なものにできる。
[0192]
 この場合の樹脂成形工程としては、熱硬化性樹脂部材10に対して、添加剤を添加した熱可塑性樹脂材料を射出成形する。例えば、添加剤となる官能基を有するポリマーを、母材となる熱可塑性樹脂材料に混練することにより、添加剤を添加した熱可塑性樹脂材料を得ることができる。
[0193]
 これにより、表面処理部213に存在する官能基と熱可塑性樹脂材料に含まれる添加剤に存在する官能基とが化学結合しつつ、熱可塑性樹脂部材20による熱硬化性樹脂部材10の封止が行われる。
[0194]
 この化学結合としては、たとえば熱硬化性樹脂部材10がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂中の水酸基やエポキシ基が添加剤に存在する水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基と化学結合することになる。そして、水酸基同士の結合やエポキシ基同士の結合などとされる場合、共有結合となるため、より強度の高い化学結合となる。つまり、添加剤の構成材料として、熱硬化性樹脂部材10の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで共有結合を実現できる。
[0195]
 また、上記各実施形態において、表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における樹脂バリ22の下地部分のみに形成され、封止面11には形成されていないものでもよい。また、表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの露出面12における樹脂バリ22が発生する可能性がある部分、すなわち対向部12aのみに形成され、封止面11には形成されていないものでもよい。
[0196]
 さらには、上記各実施形態において、表面処理部213が封止面11の全体および露出面12の全体に形成された構成、すなわち、表面処理部213が熱硬化性樹脂部材10の表面全体に形成された構成であってもよい。
[0197]
 また、上述したように、樹脂バリ22の発生部位が予め特定されている場合、表面処理部213を露出面12における封止面11寄りの領域のうちの一部のみに形成してもよいが、これと同じく、封止面11についても一部のみを表面処理部213としてもよい。ただし、封止面11全体を表面処理部213とする方が、露出する熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との界面から水分やオイル等の汚染物が侵入することを防止しやすく、望ましい。
[0198]
 また、表面処理部213は、熱硬化性樹脂部材10の表面のうちの表面処理部213以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材20との接着性が大きくなるように表面処理がなされたものであればよく、上記した粗化処理された粗化面に限定されるものではない。可能ならば、上記各実施形態における表面処理部213は、薬液等により表面処理を行うことで、熱可塑性樹脂部材20との接着性が向上されたものとしてもよい。
[0199]
 また、熱硬化性樹脂部材10により封止される被封止部品としては、熱硬化性樹脂部材10で封止されることが可能なものであればよく、上記した半導体素子30や電気接続部材40あるいは回路基板に限定されるものではない。
[0200]
 また、上記各実施形態において、熱硬化性樹脂部材10の形状は、上記した直方体状のものに限定されるものではなく、球状、その他、不定形状などであってもよい。また、熱可塑性樹脂部材20の封止形態は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が封止され残部が露出するものであればよく、上記図示例のような熱硬化性樹脂部材10の一端10a側が封止面11、他端10b側が露出面とされたものに限定するものではない。
[0201]
 また、上記各実施形態では、樹脂成形体は半導体装置であり、熱硬化性樹脂部材10の内部には、熱硬化性樹脂部材10で封止された被封止部品となる半導体素子30などが設けられたものであった。しかし、樹脂成形体としては、このような半導体装置に限定されるものではなく、たとえば熱硬化性樹脂部材10として被封止部品を持たない構成のものであってもよい。
[0202]
 (第三実施例)
 (第1実施形態)
 本開示の第三実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体について、図23、図24を参照して述べる。なお、図23では、後述する熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された表面除去部11a(粗化面とも言及される)の凹凸形状、段差11bの高さについては、わかりやすくするために、大きくデフォルメして示してある。また、図24では、熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された表面除去部11aについて、その表面に斜線ハッチングを施して示している。
[0203]
 この樹脂成形体は、例えば自動車などの車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されるものである。本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置は、熱硬化性樹脂部材10と熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止する熱可塑性樹脂部材20とを備えて構成されている。
[0204]
 熱硬化性樹脂部材10は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂よりなるもので、触媒10cが混入されている。触媒10cは、後述する熱可塑性樹脂部材20に添加された官能基含
有添加剤20aの構成材料(構成分子)を不安定な状態、つまり反応し易い状態に変化させて、官能基含有添加剤20aが有する官能基の反応をより活性化する。触媒10cは、官能基含有添加剤20aの構成材料との組み合わせによって決まるが、例えば、官能基含有添加剤20aをエポキシ樹脂によって構成する場合、TPP(トリフェニルホスフィン)などのリン系触媒などとされる。このように、エポキシ樹脂の場合に触媒10cとしてTPPを用いると、エポキシ樹脂が有するエポキシ基が開裂する開環反応が生じ、エポキシ基を官能基として活性化させることができる。熱硬化性樹脂部材10における触媒10cの含有率量については、官能基含有添加剤20aの構成材料や熱可塑性樹脂部材20に含まれる官能基含有添加剤20aの含有量などによって適宜調整される。
[0205]
 また、熱硬化性樹脂部材10には、必要に応じて、当該樹脂中にシリカやアルミナ等の絶縁性材料よりなるフィラーが含有されていてもよい。このような熱硬化性樹脂部材10は、トランスファー成形、コンプレッション成形、あるいは、ポッティング法等による成形および熱硬化処理を行うことで、形成されたものである。
[0206]
 また、熱可塑性樹脂部材20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリフェニレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂よりなるもので、熱硬化性樹脂部材10の一部を封止するように射出成形を行うことにより、形成されたものである。この熱可塑性樹脂部材20内には、官能基含有添加剤20aが添加されている。官能基含有添加剤20aは、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基などのいずれか1つもしくは複数を有するポリマーよりなるものである。この官能基含有添加剤20aが熱硬化性樹脂部材10の表面除去部11aの表面に存在する官能基と化学反応して、高密着性な熱硬化性樹脂-熱可塑性樹脂接合を可能としている。
[0207]
 このような官能基含有添加剤20aが添加された熱可塑性樹脂部材20が熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止することにより、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部は、熱可塑性樹脂部材20により封止された封止面11とされている。そして、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち封止面11以外の部分である残部は、熱可塑性樹脂部材20より露出する露出面12とされている。
[0208]
 ここでは、図23および図24に示されるように、熱硬化性樹脂部材10は、直方体状のブロック形状をなすものとして構成されている。そして、この熱硬化性樹脂部材10の長手方向の一端10a側における熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が、封止面11とされ、当該長手方向の他端10b側における熱硬化性樹脂部材の表面の残部が、露出面12とされている。
[0209]
 より具体的には、図23、図24に示される熱硬化性樹脂部材10は、長手方向の一端面とこれに対向する他端面、および、長手方向に延びる4個の側面を有する直方体をなしている。そして、熱硬化性樹脂部材10の封止面11は、当該長手方向の一端面と4個の側面のうちの当該長手方向の一端10a側の部位とされ、一方、熱硬化性樹脂部材10の露出面12は、当該長手方向の他端面と4個の側面のうちの当該長手方向の他端10b側の部位とされている。
[0210]
 熱硬化性樹脂部材10は、その内部に、熱硬化性樹脂部材10により封止された半導体素子30、被封止部品としての電気接続部材40を有している。
[0211]
 半導体素子30は、磁気センサや光センサ、あるいは、圧力センサ等に用いられるシリコン半導体等よりなるセンサチップである。このような半導体素子30は、通常の半導体プロセスにより形成されるものである。
[0212]
 例えば、磁気センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の全体が熱硬化性樹脂部材10により封止されており、半導体素子30は、熱硬化性樹脂部材10を介して外部の磁気を検出するようにしている。
[0213]
 また、光センサや圧力センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の一部を開口させる図示しない開口部が、熱硬化性樹脂部材10に形成され、半導体素子30は、当該開口部を介して光や圧力を検出するようになっている。
[0214]
 一方、被封止部品である電気接続部材40は、半導体素子30と半導体装置の外部の図示しない配線部材とを電気的に接続するためのものである。ここでは、電気接続部材40は、リードフレーム41とターミナル42によって構成されている。リードフレーム41は、一部が半導体素子30の搭載部41aとされ、残部が熱硬化性樹脂部材10の外部に引き出される端子部41bとされている。搭載部41aおよび端子部41bの一部は熱硬化性樹脂部材10に被覆されており、端子部41bの残部は熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出する。また、ターミナル42は、一端が端子部41bの残部に溶接などによって電気的かつ物理的に接合されており、端子部41bの残部と共に熱硬化性樹脂部材10の外部にて熱可塑性樹脂部材20により封止されている。さらに、ターミナル42の他端が熱可塑性樹脂部材20から露出させられている。
[0215]
 ここで、リードフレーム41の端子部41bは、熱硬化性樹脂部材10内にて、半導体素子30と電気接続されている。この半導体素子30との接続手法は特に限定するものではないが、ここでは、AlやAu等のボンディングワイヤ50により接続されている。
[0216]
 一方、熱可塑性樹脂部材20は、電気接続部材40の端子部41bの残部およびターミナル42の一端を封止しているが、ターミナル42の他端側において熱可塑性樹脂部材20には開口部21が形成されている。そして、この開口部21内においてターミナル42の他端側が熱可塑性樹脂部材20の外部に露出している。
[0217]
 この熱可塑性樹脂部材20の開口部21は、図示しない外部の配線部材、例えばコネクタ部材等が挿入されて接続される部位であり、それにより、この外部の配線部材とターミナル42とが、電気的に接続されるようになっている。
[0218]
 つまり、電気接続部材40は、半導体素子30の検出出力等を行うものとして機能し、半導体素子30は、電気接続部材40を介して、装置の外部との電気的なやり取りを可能としている。このような電気接続部材40として、本実施形態では、CuやAl等の棒状部材よりなるターミナル端子を用いているが、その他、回路基板などを電気接続部材40として用いてもよい。
[0219]
 そして、本実施形態の半導体装置においては、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部は、表面層除去工程により所定厚さ、例えば50μm以上の厚み分、表面層が除去されることで表面除去部11aが構成されている。本実施形態の場合、表面除去部11aは、表面層除去工程によって粗化された粗化面とされており、表面除去部11aの粗化度合(表面粗さRa)は、表面除去部11a以外の封止面11および露出面12よりも大きくされている。具体的には、この表面除去部11aの表面粗さRaは、数μm以上(例えば3μm以上)とされている。なお、表面粗さRaは、JIS(日本工業規格の略称)に定義されている算術平均粗さRaである。
[0220]
 上述したように、熱硬化性樹脂部材10は、他端10b側において熱可塑性樹脂部材20から露出させられた露出面12とされている。また、リードフレーム41のうちの端子部41bの他端部は、熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出し、熱可塑性樹
脂部材20により封止されている。そして、熱硬化性樹脂部材10のうち露出面12と端子部41bの他端部との間に位置する封止面11には、上記した表面除去部11aが、端子部41bの周りに連続した閉環形状をなすように設けられている。
[0221]
 ここでは、図24に示されるように、端子部41bの他端部は、直方体状の熱硬化性樹脂部材10の一端面から突出している。そして、表面除去部11aの配置パターンは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状のパターンとされている。
[0222]
 また、本実施形態では、図23、図24に示されるように、表面除去部11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11内にのみ、つまり熱可塑性樹脂部材20の内側にのみ形成されている。このため、表面除去部11aの端部は、熱可塑性樹脂部材20の内側に位置している。
[0223]
 ここで、表面除去部11aは封止面11の表面層13(図25参照)を全面除去した面であり、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち表面除去部11a以外の部分に対して表面除去部11aが凹むように、これらの間には段差11bが形成されている。この段差11bの高さは、数μm以上(例えば5μm以上)とされ、好ましくは50μm以上とされている。
[0224]
 次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図25~図28も参照して述べる。まず、図25に示される硬化モールド工程では、熱硬化性樹脂部材10の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、この熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材10を形成する。
[0225]
 具体的に、この硬化モールド工程では、半導体素子30と端子部41bとをボンディングワイヤ50で接続したものを、トランスファー成形、コンプレッション成形あるいはポッティング等により封止し、さらに、このものを加熱、硬化する。こうして、熱硬化性樹脂部材10ができあがる。
[0226]
 この硬化モールド工程で形成された熱硬化性樹脂部材10の最表面には、汚染物よりなる表面層13が存在する。汚染物は、熱硬化性樹脂部材10の構成材料中に存在するが、加熱成形時に最表面に浮き出てきて、それよりも内側にはあまり存在しない状態となる。ここで、汚染物とは、例えば離型剤や工程中に熱硬化性樹脂部材10の表面に付着した異物等である。離型剤とは、上記成形において型離れ性を確保するために、金型表面に設けられたり、熱硬化性樹脂材料自身に混合されたりするもので、例えばシロキサンや脂肪酸等よりなる。なお、熱硬化性樹脂部材10には触媒10cを混入しているが、熱硬化性樹脂部材10の表面層13にはほとんど触媒10cが存在しておらず、それよりも内側に存在した状態となっている。
[0227]
 次に、図26に示されるように、熱硬化性樹脂部材10に対して表面層除去工程を行う。この工程では、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部、すなわち封止面11のうちの表面除去部11aを形成する部位において、最表面に位置する表面層13を除去することで当該部位を新生面14とする。
[0228]
 具体的には、封止面11のうちの表面除去部11aの形成予定位置に対して、レーザ照射、ショットブラスト、研磨等の手法を用い、表面層13を除去する。これら手法は、処理表面を削って凹凸を形成するものであり、レーザ照射が最も望ましい手法である。表面除去部11aを形成する際の封止面11の除去深さは、表面層13を除去できる程度で良く、数μm以上(例えば5μm以上)とされていれば良く、好ましくは50μmとされている。
[0229]
 これら手法により、汚染物としての表面層13が除去されて表面除去部11aが形成され、表面除去部11aの表面によって表面層13の下地としての新生面14が形成される。この新生面14は、上記したようにレーザ照射などの手法によって形成されていることから、表面が粗化された粗化面となっている。それによって、新生面14は、アンカー効果が付与されて熱可塑性樹脂部材20との密着性に優れた表面とされる。また、表面除去部11aの表面としての新生面14には、実際には図27に示すように、熱硬化性樹脂部材10を構成する熱硬化性樹脂における水酸基やエポキシ基等のいずれか1つもしくは複数が官能基として存在している。
[0230]
 さらに、熱硬化性樹脂部材10に混入しておいた触媒10cが表面除去部11aの表面となる新生面14から露出した状態となる。上記したように、表面除去部11aを形成していない状態においては、熱硬化性樹脂部材10の表面よりも内側に触媒10cが埋もれた状態になっていて、表面には触媒10cが殆ど露出していない状態となる。しかしながら、本実施形態のように、表面層13を除去して表面除去部11aを形成することによって熱硬化性樹脂部材10の表面のうち触媒10cを覆っている部分が所定厚さ除去され、触媒10cが新生面14より露出させられる。
[0231]
 なお、表面層除去工程においては、特にレーザ照射を用いると、新生面14が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して高密着性を実現することが可能となるため好ましい。また、OH基などの官能基をより新生面14に多く存在させるために、熱硬化性樹脂部材10の新生面14に、コロナ放電処理を施すことも望ましい。
[0232]
 こうして、表面層除去工程を行った後、図28に示される可塑モールド工程を行う。この工程では、官能基が存在する熱硬化性樹脂部材10の新生面14に対して、熱可塑性樹脂部材20の原料である官能基含有添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を射出成形する。例えば、官能基含有添加剤20aとなる官能基を有するポリマーを母材となる熱可塑性樹脂材料に混練することにより、官能基含有添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を得ることができる。これにより、新生面14に存在する官能基と熱可塑性樹脂材料に含まれる官能基含有添加剤20aに存在する官能基とが化学結合しつつ、熱硬化性樹脂部材10における封止面11が熱可塑性樹脂部材20で封止される。
[0233]
 この可塑モールド工程における化学結合としては、例えば熱硬化性樹脂部材10がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂中の水酸基やエポキシ基が官能基含有添加剤20aに存在する水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基と化学結合することになる。そして、水酸基同士の結合やエポキシ基同士の結合などとされる場合、共有結合となるため、より強度の高い化学結合となる。つまり、官能基含有添加剤20aの構成材料として、熱硬化性樹脂部材10の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで共有結合を実現できる。
[0234]
 この化学結合により、熱硬化性樹脂部材10における新生面14(つまり表面除去部11a)と熱可塑性樹脂部材20との間の高密着性を得ることができるのである。特に、上記したように、熱硬化性樹脂部材10の表面層13を除去して新生面14から触媒10cを露出させている。このため、熱可塑性樹脂部材20に添加した官能基含有添加剤20aの官能基をより活性化させられ、熱硬化性樹脂部材10の新生面14から露出した官能基と反応して、より高密着性を得ることが可能となる。
[0235]
 また、熱可塑性樹脂部材20に添加する官能基含有添加剤20aの添加量が多いと、熱可塑性樹脂部材20の特性劣化の要因になることから、官能基含有添加剤20aの添加量は少量の方が好ましい。これに対して、本実施形態のように、新生面14から触媒10cを露出させて官能基含有添加剤20aの官能基を活性させてより高密着性を得ることで、熱可塑性樹脂部材20に対する官能基含有添加剤20aの添加量を少なくできる。したがって、官能基含有添加剤20aの添加量の減少による熱可塑性樹脂部材20の特性劣化の抑制を図ることも可能となる。
[0236]
 以上のようにして、本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置ができあがる。なお、上記の表面層形成工程以降の各工程は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部に対して選択的に処理を行うものであるため、処理を行わない表面には適宜マスキング等を施したうえで、当該各工程を行うようにする。
[0237]
 ところで、上記製造方法によれば、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と当該封止面11を封止する熱可塑性樹脂部材20との界面では、封止面11上の汚染物が除去された新生面14が形成される。この新生面14において上記官能基を介した熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との化学結合が実現される。
[0238]
 そして、この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との間において高密着性を得ることができる。特に、新生面14から触媒10cを露出させることで官能基含有添加剤20aの官能基をより活性化させられ、より高密着性を得ることが可能となる。そのため、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との密着性の向上が実現できる。
[0239]
 また、本実施形態のような熱可塑性樹脂部材20の封止形態では、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との界面のうち、封止面11と露出面12との境界に位置する端部から、外部の水分や汚染物等の侵入物質が、当該界面に沿って装置内に侵入するおそれがある。特に、本実施形態のような車載用の半導体装置の場合、例えば使用環境中に存在する水分やオイル等の汚染物が侵入してくるおそれがある。
[0240]
 このとき、本実施形態のように、被封止部品である電気接続部材40のうちの端子部41bなどが熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出して熱可塑性樹脂部材20で封止されている場合、上記の侵入物質が端子部41bに付着し得る。その場合、樹脂成形体によって構成される半導体装置の特性等に悪影響を及ぼす可能性がある。
[0241]
 その点、本実施形態では、熱硬化性樹脂部材10における封止面11のうち、露出面12と封止面11より突出する端子部41bとの間に位置する部位に、表面除去部11aを、上記閉環形状をなすように設けている。
[0242]
 そして、この閉環形状の部分は、上述のように高密着性が得られていて、剥離が防止される部位となる。そのため、本実施形態によれば、上記の侵入物質が、露出面12側から両樹脂部材10、20の界面を介して端子部41bへ到達するのを極力防止することができる。
[0243]
 ここで、上記した表面層13の除去および化学結合による両樹脂部材10、20の密着性向上の効果について、図29~図31を参照して、より具体的に述べる。なお、この図29~図31に示される例は、あくまで当該密着性向上の効果を示す一例であり、当該効果は、これに限定されるものではない。
[0244]
 図29~図31の例では、熱硬化性樹脂部材10に相当する熱硬化性樹脂よりなる矩形板状の試験片と、熱可塑性樹脂部材20に相当する熱可塑性樹脂よりなる矩形板状の試験片とが貼り合わせられた状態となるように、上記製造方法に基づいて、樹脂成形体を作製した。そして、これら両試験片の貼り合わせ部分のせん断強度(単位:MPa)を測定したものである。
[0245]
 図29の例における実験では、まず、熱硬化性樹脂材料として一般的な半導体封止用エポキシ樹脂をトランスファー成形したのち、表面をレーザ照射することで表面除去部11aにて構成される新生面14を形成した。次に、熱可塑性樹脂材料となるPPSを射出成形することで熱可塑性樹脂部材20で熱硬化性樹脂部材10を封止した構造を構成した。そして、このような構造を熱硬化性樹脂材料や熱可塑性樹脂材料に触媒10cや官能基含有添加剤20aとなるエポキシ樹脂を添加した場合と、添加していない場合それぞれについて準備し、せん断強度を評価した。図29は、その評価結果を示している。
[0246]
 この図に示されるように、本実施形態のように触媒10cや官能基含有添加剤20aを添加した場合、これらを添加していない場合と比較して、せん断強度の大幅な向上、つまり両樹脂部材10、20の密着性の飛躍的な向上が確認された。具体的には、触媒10cや官能基含有添加剤20aを添加していない場合にはせん断強度が5MPa程度に留まるのに対して、添加した場合にはせん断強度が27MPaと高強度化していた。このように、触媒10cや官能基含有添加剤20aを添加していない場合は官能基による化学結合がなされず、密着性向上が実現できていないが、添加した場合は官能基による化学結合がなされ、密着性向上ができていたと考えられる。
[0247]
 次に、図30および図31はそれぞれ、表面層除去工程に用いる手法として、レーザ照射を用いた場合の表面除去部11aの表面粗さRa(単位:μm)とせん断強度との関係、加工深さZ(単位:μm)とせん断強度との関係を調査したものである。図中丸印は個々の実験結果、棒印は同じ表面粗さRaもしくは加工深さZのときの実験結果の平均値をそれぞれ表している。なお、加工深さZは、上記段差11bの高さに相当するものである。レーザ照射では、レーザを表面にスキャンすることによって表面層13を除去した。
[0248]
 図30、図31に示されるように、レーザ照射であれば、Ra≧3μm、Z≧5μm、となるように、表面層除去工程において加工を行えば、十分な密着強度が得られるものと推定できる。
[0249]
 また、レーザ照射以外にも、ショットブラストや研磨によって同様の実験を行った。ショットブラストでは、アランダム(アルミナ粉♯80)を表面に吹き付けることによって表面層13を除去した。また、研磨では、研磨紙(♯80)による手研磨(人手による手研磨)によって表面層13を除去した。これらの場合であっても、表面除去工程においてレーザ照射の場合と同様の加工を行うことで、十分な密着強度が得られることが確認された。
[0250]
 また、実験結果によれば、密着性については、レーザ照射>ショットブラスト>研磨の順となった。これは、レーザ照射を用いると、新生面14が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して高密着性を実現することが可能となるためと考えられる。したがって、表面層13が除去可能であれば手法は問わないが、高い密着強度が必要となる場合であれば、レーザ照射が好ましいと言える。また、ショットブラストや研磨についても、レーザ照射と同等の表面粗さRaおよび加工深さZが実現できるならば、採用可能であることはもちろんである。
[0251]
 さらに、本実施形態では、表面除去部11aの段差11bの高さを数μm以上(例えば5μm以上)、好ましくは50μmとしている。これは、触媒10cを新生面14から確実に露出させるためである。実験により、表面除去部11aを形成しない場合と、段差11bの高さを5μm以下とした場合および50~80μmとした場合それぞれにおいて、触媒10cの露出状態を測定した。具体的には、表面除去部11aを形成しない場合には熱硬化性樹脂部材10の表面、表面除去部11aを形成する場合には形成後の表面をアセトンに浸したのち、IR(赤外線)照射によるピーク測定を行うことで、触媒10cの露出状態を測定した。
[0252]
 その結果、図32に示すように、表面除去部11aを形成していない場合には、触媒10cを由来とするピークが出ていない。また、表面除去部11aを形成したとしても、除去量が少なく段差11bの高さが5μm以下と低い場合には、触媒10cを由来とするピークが小さい。これに対して、表面除去部11aを形成しつつ、除去量が50~80μmである場合には、触媒10cを由来とするピークが大きく出ていて、触媒10cが確実に露出している状態であることが確認できる。
[0253]
 このように、表面除去部11aを設けることで触媒10cを露出させることが可能となり、かつ、その除去量を数μm以上、好ましくは50μm以上とすることで、より確実に触媒10cを露出させることが可能となる。これにより、触媒10cを露出させることによって得られる上記効果をより確実に得ることが可能となる。
[0254]
 (第2実施形態)
 本開示の第三実施例の第2実施形態にかかる樹脂成形体としての半導体装置の要部について、図33を参照して述べる。本実施形態は、上記第三実施例の第1実施形態に比べて、熱硬化性樹脂部材10における表面除去部11aの配置パターンを変えたところが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
[0255]
 上記第三実施例の第1実施形態では、上記図24に示したように、表面除去部11aの配置パターンは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状パターンとされていた。
[0256]
 これに対して、本実施形態では、図33に示されるように、表面除去部11aは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における一端10a側の端面すなわち一端面のみに配置されている。
[0257]
 この場合も、表面除去部11aの配置パターンは、封止面11である当該一端面より突出する端子部41bの周りを取り囲む閉環形状とされている。そして、この場合も、上記第三実施例の第1実施形態と同様、当該閉環状のパターンによる効果が発揮される。
[0258]
 (他の実施形態)
 なお、第三実施例の上記した各実施形態では、上記図23、図24、図33に示したように、表面除去部11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部に設けられていたが、封止面11の全体に設けられていてもよい。つまり、表面除去部11aは、封止面11の少なくとも一部に設けられたものであればよい。
[0259]
 また、表面除去部11aは、封止面11に加えて露出面12まで形成されていても何ら問題ない。さらに、表面除去部11aは、熱硬化性樹脂部材10の表面全体に形成されていてもよい。
[0260]
 また、表面除去部11aを封止面11の一部に設ける場合、上記したように連続する閉環状の配置パターンが好ましいが、それ以外にも、表面除去部11aを、封止面11に対して島状に配置してもよい。
[0261]
 また、上記図23では、表面除去部11aを封止面11の範囲内に設けた構造としたため、段差11bは、熱可塑性樹脂部材20の内側に封止されたものとされていた。これに対して、表面除去部11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11を超えて露出面12の一部まで連続して形成された構造であっても良く、その場合、段差11bは、熱可塑性樹脂部材より露出し、目視可能なものとされる。
[0262]
 また、被封止部品としては、熱硬化性樹脂部材10で封止されることが可能なものであればよく、上記した電気接続部材40に限定されるものではなく、半導体素子30や回路基板なども含まれる。
[0263]
 また、熱硬化性樹脂部材10の形状は、上記した直方体状のものに限定されるものではなく、球状、その他、不定形状などであってもよい。また、熱可塑性樹脂部材20の封止形態は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が封止され残部が露出するものであればよく、上記図示例のような熱硬化性樹脂部材10の一端10a側が封止面11、他端10b側が露出面とされたものに限定するものではない。
[0264]
 また、上記実施形態では、樹脂成形体は半導体装置であり、熱硬化性樹脂部材10の内部には、熱硬化性樹脂部材10で封止された被封止部品となる電気接続部材40などが設けられたものであった。しかし、樹脂成形体としては、このような半導体装置に限定されるものではなく、例えば熱硬化性樹脂部材10として被封止部品を持たない構成のものであってもよい。
[0265]
 (第四実施例)
 (第1実施形態)
 本開示の第四実施例の第1実施形態にかかる樹脂成形体について、図34~図36を参照して述べる。なお、図34、図36では、後述する熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された粗化面11aの凹凸形状、段差11b、および、溝11dについては、わかりやすくするために、大きくデフォルメして示してある。また、図35では、熱硬化性樹脂部材10の表面に形成された粗化面11aについて、その表面に斜線ハッチングを施して示している。また、図36では、熱可塑性樹脂部材20中の添加剤20aを省略してある。
[0266]
 この樹脂成形体は、たとえば自動車などの車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための半導体装置として適用されるものである。本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置は、熱硬化性樹脂部材10と熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止する熱可塑性樹脂部材20とを備えて構成されている。
[0267]
 熱硬化性樹脂部材10は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂よりなるもので、必要に応じて、当該樹脂中にシリカやアルミナ等の絶縁性材料よりなるフィラーが含有されていてもよい。このような熱硬化性樹脂部材10は、トランスファー成形、コンプレッション成形、あるいは、ポッティング法等による成形および熱硬化処理を行うことで、形成されたものである。
[0268]
 また、熱可塑性樹脂部材20は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリフェニレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂よりなるもので、熱硬化性樹脂部材10の一部を封止するように射出成形を行うことにより、形成されたものである。この熱可塑性樹脂部材20内には、官能基を含有する添加剤20aが添加されている。
[0269]
 添加剤20aは、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基などのいずれか1つもしくは複数の官能基を有するポリマーよりなるものである。この添加剤20aが熱硬化性樹脂部材10の粗化面11aに存在する官能基と化学反応して、高密着性な熱硬化性樹脂-熱可塑性樹脂接合を可能としている。
[0270]
 このような添加剤20aが添加された熱可塑性樹脂部材20が熱硬化性樹脂部材10の表面の一部を封止することにより、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部は、熱可塑性樹脂部材20により封止された封止面11とされている。そして、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち封止面11以外の部分である残部は、熱可塑性樹脂部材20より露出する露出面12とされている。
[0271]
 ここでは、図34および図35に示されるように、熱硬化性樹脂部材10は、直方体状のブロック形状をなすものとして構成されている。そして、この熱硬化性樹脂部材10の長手方向の一端10a側における熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が、封止面11とされ、当該長手方向の他端10b側における熱硬化性樹脂部材の表面の残部が、露出面12とされている。
[0272]
 さらに具体的に言うならば、図34、図35に示される熱硬化性樹脂部材10は、長手方向の一端面とこれに対向する他端面、および、長手方向に延びる4個の側面を有する直方体をなしている。
[0273]
 そして、熱硬化性樹脂部材10の封止面11は、当該長手方向の一端面と4個の側面のうちの当該長手方向の一端10a側の部位とされている。一方、熱硬化性樹脂部材10の露出面12は、当該長手方向の他端面と4個の側面のうちの当該長手方向の他端10b側の部位とされている。
[0274]
 熱硬化性樹脂部材10は、その内部に、熱硬化性樹脂部材10により封止された第1の被封止部品としての半導体素子30、第2の被封止部品としての電気接続部材40を有している。
[0275]
 第1の被封止部品である半導体素子30は、磁気センサや光センサ、あるいは、圧力センサ等に用いられるシリコン半導体等よりなるセンサチップである。このような半導体素子30は、通常の半導体プロセスにより形成されるものである。
[0276]
 たとえば、磁気センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の全体が熱硬化性樹脂部材10により封止されており、半導体素子30は、熱硬化性樹脂部材10を介して外部の磁気を検出するようにしている。
[0277]
 また、光センサや圧力センサ用の半導体素子30の場合、半導体素子30の一部を開口させる図示しない開口部が、熱硬化性樹脂部材10に形成され、半導体素子30は、当該開口部を介して光や圧力を検出するようになっている。
[0278]
 ここで、本実施形態では、熱硬化性樹脂部材10のうち半導体素子30を封止している部分の一部を、熱可塑性樹脂部材20より露出させることで、たとえば半導体素子30に対して余分な応力が加わらないようにしている。
[0279]
 一方、第2の被封止部品である電気接続部材40は、半導体素子30と半導体装置の外部の図示しない配線部材とを電気的に接続するためのものである。ここでは、電気接続部材40の一部41は熱硬化性樹脂部材10に被覆されて、残部42は熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出する。また、電気接続部材40の残部42は、熱硬化性樹脂部材10の外部にて熱可塑性樹脂部材20により封止され、かつ、その先端部が熱可塑性樹脂部材20から露出させられている。
[0280]
 ここで、電気接続部材40の一部41は、熱硬化性樹脂部材10内にて、半導体素子30と電気接続されている。この半導体素子30との接続手法は特に限定するものではないが、ここでは、AlやAu等のボンディングワイヤ50により接続されている。
[0281]
 一方、熱可塑性樹脂部材20は、電気接続部材40の残部42を封止しているが、熱可塑性樹脂部材20には開口部21が形成されている。そして、この開口部21において、電気接続部材40の残部42のうちのさらに一部が、熱可塑性樹脂部材20の外部に露出している。
[0282]
 この熱可塑性樹脂部材20の開口部21は、図示しない外部の配線部材、たとえばコネクタ部材等が挿入されて接続される部位であり、それにより、この外部の配線部材と電気接続部材40とが、電気的に接続されるようになっている。
[0283]
 つまり、電気接続部材40は、半導体素子30の検出や出力等の用をなすものとして機能し、半導体素子30は、電気接続部材40を介して、装置の外部との電気的なやり取りを可能としている。このような電気接続部材40として、本実施形態では、CuやAl等の棒状部材よりなるターミナル端子を用いているが、その他、回路基板などを電気接続部材40として用いてもよい。
[0284]
 そして、図34~図36に示されるように、本実施形態においては、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部は、粗化処理された粗化面11aとされ、封止面11の残部は粗化処理されていない非粗化面11cとされている。この粗化面11aは、非粗化面11cよりも段差11bを有して凹み非粗化面11cよりも粗化された面である。
[0285]
 また、非粗化面11cは、粗化処理されていない面であるが、熱硬化性樹脂部材10における露出面12も、非粗化面11cと同様、粗化処理されていない面である。つまり、非粗化面11cと露出面12とは、前者が熱可塑性樹脂部材20で封止され、後者が露出しているという点では相違するものの、性状は同一の連続した面である。
[0286]
 粗化面11aは、後述する製造方法のうちの表面層除去工程により形成されるものであり、この粗化面11aの粗化度合(表面粗さRa)は、非粗化面11cおよび露出面12よりも大きくされている。
[0287]
 具体的には、この粗化面11aの表面粗さRaは、数μm以上(たとえば3μm以上)とされている。逆に言えば、非粗化面11cおよび露出面12は、後述する表面層13(図37参照)が存在する面に相当する。なお、表面粗さRaは、JIS(日本工業規格の略称)に定義されている算術平均粗さRaである。
[0288]
 また、上述したように、第2の被封止部品である電気接続部材40の残部42は、熱硬化性樹脂部材10における封止面11より突出し、熱可塑性樹脂部材20により封止されている。
[0289]
 熱硬化性樹脂部材10において露出面12と電気接続部材40の残部42との間に位置する封止面11には、上記した粗化面11aが、電気接続部材40の残部42の周りに連続した閉環形状をなすように設けられている。
[0290]
 ここでは、図35に示されるように、電気接続部材40の残部42は、直方体状の熱硬化性樹脂部材10の一端面から突出している。そして、粗化面11aの配置パターンは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状のパターンとされている。
[0291]
 また、本実施形態では、図34、図35に示されるように、粗化面11aは、熱硬化性樹脂部材10における封止面11内にのみ、つまり熱可塑性樹脂部材20の内側にのみ形成されている。このため、粗化面11aの両端部は、熱可塑性樹脂部材20の内側に位置している。
[0292]
 ここで、上述したように、粗化面11aは封止面11の表面層13(図37参照)を全面除去した面であることから、熱硬化性樹脂部材10の表面のうち粗化面11a以外の部分に対して粗化面11aが凹むように、これらの間には上記した段差11bが形成されている。この段差11bの高さ、すなわち、非粗化面と粗化面との高さの差は、数μm以上(たとえば5μm以上)である。
[0293]
 そして、本実施形態では、粗化面11aの両端部が熱可塑性樹脂部材20で封止されていることから、この粗化面11aの両端部にて、粗化面11aと非粗化面11cとの境界が存在する。つまり、本実施形態では、封止面11において当該境界が2箇所存在するものとされている。
[0294]
 [剥離抑制用の溝について]
 さらに、本実施形態では、図34に示されるように、封止面11における非粗化面11cと粗化面11aとの境界には、剥離抑制用の溝11dが設けられている。この溝11dは、非粗化面11cと粗化面11aとの間に位置することで、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離が粗化面11a側へ進展するのを抑制するものである。この溝について、図36も参照して述べる。
[0295]
 この溝11dは、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展経路を屈折させ、非粗化面11cと粗化面11aとの間の沿面距離の増加を行う機能を持つ。
[0296]
 具体的には、溝11dは、粗化面11aおよび非粗化面11cの両面よりも凹むように深く掘り込まれた溝として構成されている。そして、溝11dの深さは、粗化面11aの凹凸による段差寸法(つまり凹凸間の段差の高さ)よりも深いものとされている。
[0297]
 また、本実施形態では、封止面11における2箇所の粗化面11aと非粗化面11cとの境界において、溝11dは、直方体状の熱硬化性樹脂部材10における4個の側面に渡って連続する閉環状のパターンにて配置されている。
[0298]
 ここでは、図36に示されるように、溝11dは、深さ方向に幅が細くなる断面V字状の溝、いわゆるV溝である。そして、溝11dは段差11bの部分に形成されており、非粗化面11c、段差11b、溝11d、粗化面11aが連続する配置とされている。
[0299]
 そのため、溝11dにおける非粗化面11c側の内壁面は、段差11bの壁面を溝11dの底部側へ延長した面として構成されており、当該内壁面と段差11bの壁面とは実質と同一の傾斜面とされている。また、溝11dにおける粗化面11a側の内壁面は、粗化面11aに隣接している。
[0300]
 また、図36に示される溝11dにおける非粗化面11c側の内壁面と非粗化面11cとのなす角度θは、45度よりも大きいことが望ましい。つまり、溝11dにおける非粗化面11c側の内壁面は、非粗化面11cに対して急峻であるほど好ましく、本実施形態のように、溝11dをV溝とすることで急峻性を実現しやすい。
[0301]
 [製造方法等]
 次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図37~図40も参照して述べる。まず、図37に示される硬化モールド工程では、熱硬化性樹脂部材10の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、この熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、熱硬化性樹脂部材10を形成する。
[0302]
 具体的に、この硬化モールド工程では、半導体素子30と電気接続部材40とをボンディングワイヤ50で接続したものを、トランスファー成形、コンプレッション成形あるいはポッティング等により封止し、さらに、このものを加熱、硬化する。こうして、熱硬化性樹脂部材10ができあがる。
[0303]
 この硬化モールド工程で形成された熱硬化性樹脂部材10の最表面には、汚染物よりなる表面層13が存在する。汚染物は、熱硬化性樹脂部材10の構成材料中に存在するが、加熱成形時に最表面に浮き出てきて、それよりも内側にはあまり存在しない状態となる。ここで、汚染物とは、たとえば離型剤や工程中に熱硬化性樹脂部材10の表面に付着した異物等である。離型剤とは、上記成形において型離れ性を確保するために、金型表面に設けられたり、熱硬化性樹脂材料自身に混合されたりするもので、たとえばシロキサンや脂肪酸等よりなる。
[0304]
 次に、図38に示されるように、熱硬化性樹脂部材10に対して表面層除去工程を行う。この工程では、熱硬化性樹脂部材10における封止面11の一部、すなわち封止面11のうちの粗化面11aを形成する部位において、最表面に位置する表面層13を除去することで当該部位を新生面14とする。
[0305]
 具体的には、封止面11のうちの粗化面11aの形成予定位置に対して、レーザ照射、ショットブラスト、研磨等の手法を用い、表面層13を除去する。これら手法は、処理表面を削って凹凸を形成するものであり、レーザ照射が最も望ましい手法である。粗化面11aを形成する際の封止面11の除去深さは、表面層13を除去できる程度で良く、数μm以上(たとえば5μm以上)とされていれば良い。
[0306]
 これら手法により、汚染物としての表面層13が除去されるとともに、表面層13の下地としての新生面14が粗化される。それによって、新生面14は、アンカー効果が付与されて熱可塑性樹脂部材20との密着性に優れた粗化面11aとされる。また、この粗化面11aとしての新生面14には、実際には図39に示すように、熱硬化性樹脂部材10を構成する熱硬化性樹脂における水酸基やエポキシ基等のいずれか1つもしくは複数が官能基として存在している。
[0307]
 なお、表面層除去工程においては、特にレーザ照射を用いると、新生面14が焼けて酸化された部分に存在する官能基がさらに化学反応を促進して高密着性を実現することが可能となるため好ましい。また、OH基などの官能基をより新生面14に多く存在させるために、熱硬化性樹脂部材10の新生面14に、コロナ放電処理を施すことも望ましい。
[0308]
 こうして、表面層除去工程を行った後、図示しないが、封止面11のうちの非粗化面11cと粗化面11aとの境界となる部位に、溝11dを形成する(溝形成工程)。この溝11dは、レーザ照射で熱硬化性樹脂部材10の表面を掘ることにより形成されるが、たとえばフェムト秒レーザを用いると、上記したように急峻な溝11dを形成しやすい。
[0309]
 なお、硬化モールド工程において熱硬化性樹脂部材10を成形するときに、熱硬化性樹脂部材10における溝11dの形成部位を予め、多少凹ませておき、その後、溝形成工程にてレーザで溝11dを形成するようにしても良い。
[0310]
 この溝形成工程の後、図40に示される可塑モールド工程を行う。この工程では、官能基が存在する熱硬化性樹脂部材10の新生面14としての粗化面11aに対して、熱可塑性樹脂部材20の原料である添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を射出成形する。
[0311]
 たとえば、添加剤20aとなる官能基を有するポリマーを母材となる熱可塑性樹脂材料に混練することにより、添加剤20aを添加した熱可塑性樹脂材料を得ることができる。これにより、粗化面11aに存在する官能基と添加剤20aに存在する官能基とが化学結合しつつ、熱硬化性樹脂部材10における封止面11が熱可塑性樹脂部材20で封止される。
[0312]
 この可塑モールド工程における化学結合としては、たとえば熱硬化性樹脂部材10がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂中の水酸基やエポキシ基が添加剤20aに存在する水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基と化学結合することになる。
[0313]
 そして、水酸基同士の結合やエポキシ基同士の結合などとされる場合、共有結合となるため、より強度の高い化学結合となる。つまり、添加剤20aの構成材料として、熱硬化性樹脂部材10の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで共有結合を実現できる。
[0314]
 そして、この化学結合により、熱硬化性樹脂部材10における新生面14としての粗化面11aと熱可塑性樹脂部材20との間の高密着性を得ることができるのである。こうして、本実施形態の樹脂成形体としての半導体装置ができあがる。
[0315]
 なお、上記の表面層形成工程以降の各工程は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部に対して選択的に処理を行うものであるため、処理を行わない表面には適宜マスキング等を施したうえで、当該各工程を行うようにする。
[効果等]
 ところで、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10における封止面11と当該封止面11を封止する熱可塑性樹脂部材20との界面では、封止面11上の汚染物が除去された新生面14としての粗化面11aが形成される。この粗化面11aにおいて上記官能基を介した熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との化学結合が実現される。
[0316]
 そして、この化学結合によって、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との間において高密着性を得ることができる。そのため、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10と熱可塑性樹脂部材20との密着性の向上が実現できる。
[0317]
 また、本実施形態によれば、溝11dの分、非粗化面11cと粗化面11aとの境界部分において封止面11と熱可塑性樹脂部材20との界面が屈折する。このことは、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展経路が屈折することであるから、当該剥離に関する応力拡大係数を低減することができる。この応力拡大係数が低くなれば、剥離応力の集中が緩和される。
[0318]
 また、溝11dの分、非粗化面11cと粗化面11aとの間の沿面距離が長くなる。よって、本実施形態によれば、熱硬化性樹脂部材10の封止面11における非粗化面11cに発生する熱可塑性樹脂部材20の剥離が、粗化面11aと非粗化面11cとの境界にて粗化面11a側へ進展するのを抑制することができる。
[0319]
 また、上述したが、粗化面11aは封止面11の表面層13を全面除去した面であるが、この場合の除去は上述のようにレーザ照射などにより行われる。この表面層除去工程の直後において、粗化面11aと非粗化面11cとの段差11bが形成されるが、この段差11bの壁面と非粗化面11cとのなす角度は最大でも45度程度である。溝11dによる上記沿面距離の増加度合にもよるが、この程度の角度では、上記剥離に関する応力拡大係数の低減は不十分となりやすく、上記剥離の進展が懸念される。
[0320]
 その点、本実施形態によれば、溝11dの形成により、溝11dにおける非粗化面11c側の内壁面と非粗化面11cとのなす角度θを、45度よりも大きいものにできる。この角度θは上記剥離の進展経路の屈折度合に相当するもので、この角度θが大きいほど、剥離に関する応力拡大係数が低減する。これにより、本実施形態によれば、剥離に関する応力拡大係数も大幅に低減でき、剥離進展の抑制がいっそう確実なものになることが期待される。
[0321]
 (第2実施形態)
 本開示の第四実施例の第2実施形態について、図41を参照して述べる。図41では、本実施形態の半導体装置における要部として、非粗化面11cと粗化面11aとの境界近傍部分を示している。本実施形態では、上記第四実施例の第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
[0322]
 上記図36に示した第四実施例の第1実施形態の場合、溝11dにおける非粗化面11c側の内壁面と非粗化面11cとのなす角度θは、45度よりも大であり、フェムト秒レーザによれば85~90度程度まで急峻な溝11dを形成できるものであった。
[0323]
 これに対して、図41に示されるように、本実施形態では、角度θを90度より大きいもの、たとえば100度以上の鈍角としたV溝により、溝11dを構成している。このような角度θを有する本実施形態の溝11dについては、フェムト秒レーザを被照射面に対して斜めに照射させることで形成が可能である。
[0324]
 そして、本実施形態によれば、上記第四実施例の第1実施形態と同様の剥離進展の抑制効果を発揮できるとともに、角度θをより大きくすることで、上記剥離に関する応力拡大係数のさらなる低減が期待でき、剥離抑制の点で望ましい。
[0325]
 (第3実施形態)
 本開示の第四実施例の第3実施形態について、図42を参照して、上記第四実施例の第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
[0326]
 本実施形態においても、図42に示されるように、剥離抑制用の溝11dは、封止面11における非粗化面11cと粗化面11aとの境界に設けられたV溝であり、非粗化面11cと粗化面11aとの間に位置している。ここで、上記第四実施例の第1実施形態では、溝11dは、粗化面11aに連続して配置されていたが、本実施形態の溝11dは、封止面11において、粗化面11aの端部とは所定距離、離れて設けられたものとされている。
[0327]
 このような本実施形態の溝11dも、上記第四実施例の第1実施形態と同様、フェムト秒レーザ等のレーザ照射により形成される。そして、本実施形態によっても、上記第四実施例の第1実施形態と同様の効果が発揮されるが、溝11dと粗化面11aとを離した分、非粗化面11cと粗化面11aとの間の沿面距離を長くできるため、剥離進展の抑制の点で望ましい。
[0328]
 なお、本実施形態のような溝11dと粗化面11aとを離した構成は、角度θを90度より大きいものとした溝11dを採用する上記第四実施例の第2実施形態とも組み合わせが可能であることは言うまでもない。
[0329]
 (第4実施形態)
 本開示の第四実施例の第4実施形態について、図43を参照して、上記第四実施例の第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
[0330]
 図43に示されるように、本実施形態の剥離抑制用の溝11dは、上記第四実施例の第1実施形態ではV溝であったものを、断面U字形状の溝、いわゆるU溝としたものである。このようなU溝としての溝11dは、たとえば低パワーのレーザ照射を行いながら、対象物をゆっくり回転させる等により、溝の底部を曲面状に加工することで形成される。
[0331]
 そして、本実施形態によっても、上記第四実施例の第1実施形態と同様の効果が発揮される。なお、溝11dはV溝である方が、底部の屈折度合がU溝よりも急峻なものとされるため、剥離抑制の点で好ましいといえる。
[0332]
 また、本実施形態のような溝11dをU溝とした構成であっても、レーザの照射角度を調整することにより、上記した角度θを90度より大きいものにできる。そのため、本実施形態は、上記第四実施例の第2実施形態と組み合わせることが可能である。また、このようなU溝としての溝11dであっても、上記第四実施例の第3実施形態のように、溝11dと粗化面11aとを離した構成が適用できることはもちろんである。
[0333]
 (第5実施形態)
 本開示の第四実施例の第5実施形態について、図44を参照して、上記第四実施例の第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。図44に示されるように、本実施形態は、上記第四実施例の第1実施形態のような溝11dを形成することに替えて、封止面11における非粗化面11cと粗化面11aとの間の段差11bにおける壁面11eに、凹凸処理を施したものとしている。
[0334]
 この凹凸処理は、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展を抑制するためのものである。ここでは、図44に示されるように、上記表面層除去工程で形成された段差11bの壁面11eに対して、レーザ照射により階段状の凹凸を形成している。
[0335]
 具体的には、レーザ走査において照射パワーを段階的に減少させ、掘り込みの深さを減らしていくことで、本実施形態のような階段状の壁面11eが形成される。あるいは、照射パワーを段階的に増加させ、掘り込みの深さを大きくしていくことでも、本実施形態のような階段状の壁面11eが形成される。
[0336]
 本実施形態のように、段差11bの壁面11eを凹凸処理されたものにすることで、非粗化面11cと粗化面11aとの間の沿面距離の増加と、段差11bにおける熱可塑性樹脂部材20の密着性向上とが実現される。
[0337]
 そのため、本実施形態によっても、熱硬化性樹脂部材10の封止面11における非粗化面11cに発生する剥離が、粗化面11aと非粗化面11cとの境界にて粗化面11a側へ進展するのを抑制することができる。
[0338]
 なお、本実施形態の場合、階段状の壁面11eにおける階段の角部の角度を、45度よりも大きいもの、望ましくは90度程度のものとすることにより、上記した剥離の進展経路の屈折度合を大きくすることができ、剥離抑制の点で好ましい。
[0339]
 (第6実施形態)
 本開示の第四実施例の第6実施形態について、図45を参照して述べる。本実施形態は、上記第四実施例の第5実施形態と同様に、段差11bにおける壁面11eに、凹凸処理を施したものであるが、この凹凸処理による凹凸形状を変形したものである。
[0340]
 本実施形態における段差11bの壁面11eの凹凸処理は、図45に示されるように、レーザ照射により形成された微細な凹凸を形成したものである。この微細な凹凸を形成することは、たとえば、上記表面層除去工程で形成された段差11bの壁面11eに対して低パワーのレーザ照射を施すことにより実現される。
[0341]
 そして、本実施形態によっても、段差11bの壁面11eを凹凸処理されたものにすることで、上記第四実施例の第5実施形態と同様、沿面距離の増加および熱可塑性樹脂部材20の密着性向上が実現される。そのため、本実施形態によっても、上記第四実施例の第5実施形態と同様の剥離進展の抑制効果が発揮される。
[0342]
 ここで、上記した第四実施例の第5、第6実施形態は、上記第四実施例の第1~第4実施形態に組み合わせてもよい。つまり、上記第四実施例の第1~第4実施形態における段差11bの壁面に、第四実施例の第5、第6実施形態と同様の凹凸処理を施してやればよい。
[0343]
 さらに言えば、上記各実施形態は、剥離に関する応力拡大係数を低減させるための溝11dや凹凸といった凹形状を有する剥離抑制部を、封止面11における非粗化面11cと粗化面11aとの間、あるいは段差11bの壁面11eに設けたものである。そして、これにより、当該境界における熱可塑性樹脂部材20の剥離経路の屈折、沿面距離の増加、あるいは熱可塑性樹脂部材の密着性の向上を図り、当該剥離の進展を抑制するようにしたものである。
[0344]
 (他の実施形態)
 なお、上記図34に示した半導体装置においては、熱硬化性樹脂部材10の封止面11における粗化面11aと非粗化面11cとの境界は、2箇所存在していたが、封止面11における当該境界は少なくとも1箇所あればよく、さらには3箇所以上であってもよい。ここで、当該境界が1箇所である半導体装置の例を図46に示しておく。
[0345]
 図46に示される半導体装置では、熱硬化性樹脂部材10の粗化面11aの一端側(図46の右側)は封止面11に位置するが、他端側(図46の左側)は露出面12に位置している。この場合、この粗化面11aの一端側に、封止面11における粗化面11aと非粗化面11cとの境界が存在する。そして、この境界において、上記各実施形態に示した溝11dの形成や凹凸処理を行うようにすればよい。
[0346]
 また、溝11dとしては、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展を抑制するものであればよく、上記した各実施形態に示したような形状等に限定されるものではない。
[0347]
 また、段差11bにおける壁面11eに施される凹凸処理についても、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展を抑制するものであればよく、上記した各実施形態に示したような形状等に限定されるものではない。
[0348]
 また、熱可塑性樹脂部材20としては、上記した添加剤20a以外に、通常、ガラスファイバー等の機械的強度を増加させるための強化繊維が含有される。この場合、強化繊維の配向方向を、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離の粗化面11a側への進展経路に沿った方向とすることが望ましい。
[0349]
 このような熱可塑性樹脂部材20中の強化繊維の配向方向は、射出成形における樹脂の流れ方向により規定することができる。つまり、射出成形において当該流れ方向を、上記した剥離の進展経路に沿った方向とすればよい。
[0350]
 このように強化繊維の配向方向を揃えた熱可塑性樹脂部材20においては、強化繊維の配向方向における樹脂の線膨張係数が、強化繊維の配向方向と直交する方向における樹脂の線膨張係数よりも小さくなる。このような線膨張係数の状態とすれば、非粗化面11cと熱可塑性樹脂部材20との界面に発生する剥離が、粗化面11a側へ進展しにくくなるため、好ましい。
[0351]
 また、第1の被封止部品および第2の被封止部品としては、熱硬化性樹脂部材10で封止されることが可能なものであればよく、上記した半導体素子30や電気接続部材40あるいは回路基板に限定されるものではない。
[0352]
 また、熱硬化性樹脂部材10の形状は、上記した直方体状のものに限定されるものではなく、球状、その他、不定形状などであってもよい。また、熱可塑性樹脂部材20の封止形態は、熱硬化性樹脂部材10の表面の一部が封止され残部が露出するものであればよく、上記図示例のような熱硬化性樹脂部材10の一端10a側が封止面11、他端10b側が露出面とされたものに限定するものではない。
[0353]
 また、上記実施形態では、樹脂成形体は半導体装置であり、熱硬化性樹脂部材10の内部には、熱硬化性樹脂部材10で封止された被封止部品となる半導体素子30などが設けられたものであった。しかし、樹脂成形体としては、このような半導体装置に限定されるものではなく、たとえば熱硬化性樹脂部材10として被封止部品を持たない構成のものであってもよい。
[0354]
 本開示は、実施例/実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例/実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

請求の範囲

[請求項1]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、前記熱可塑性樹脂部材より露出する樹脂成形体の製造方法であって、
 前記熱硬化性樹脂部材の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、前記熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、前記熱硬化性樹脂部材を形成する硬化モールド工程と、
 前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の少なくとも一部において、最表面に位置する表面層(13)を除去することで前記封止面の少なくとも一部を官能基が存在する新生面(14)とする表面層除去工程と、
 前記新生面が形成された前記熱硬化性樹脂部材に対して、前記熱可塑性樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂材料として前記新生面に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する官能基含有添加剤(20a)を添加した材料を射出成形することにより、前記新生面に存在する官能基と前記熱可塑性樹脂材料に添加した官能基含有添加剤に存在する官能基とを化学結合させつつ、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面を前記熱可塑性樹脂部材で封止する可塑モールド工程と、を備える
 樹脂成形体の製造方法。
[請求項2]
 前記表面層除去工程は、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の少なくとも一部に対して、レーザ照射することにより行う
 請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項3]
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料として、水酸基とエポキシ基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用い、
 前記可塑モールド工程では、前記官能基含有添加剤の構成材料として、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用いる
 請求項1または2に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項4]
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料として、水酸基とエポキシ基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用い、
 前記可塑モールド工程では、前記官能基含有添加剤の構成材料として、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料に含まれる官能基と共有結合させる
 請求項1または2に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項5]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、前記熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、
 前記熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する官能基含有添加剤(20a)が添加されており、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面には前記露出面よりも粗化された粗化面(11a)が形成され、該粗化面に存在する官能基と前記に存在する官能基とが化学結合されている
 樹脂成形体。
[請求項6]
 一部(41)が前記熱硬化性樹脂部材に被覆されて、残部(42)が前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面より突出する被封止部品(40)が備えられており、
 前記被封止部品の残部は、前記熱可塑性樹脂部材により封止されており、
 前記熱硬化性樹脂部材において、前記露出面と前記被封止部品の残部との間に位置する前記封止面には、前記粗化面が、前記被封止部品の残部の周りに閉環形状をなすように設けられている
 請求項5に記載の樹脂成形体。
[請求項7]
 熱硬化性樹脂材料よりなり、表面の一部が封止面(11)とされ、残部が露出面(12)とされた熱硬化性樹脂部材(10)と、
 熱可塑性樹脂材料よりなり、前記熱硬化性樹脂部材の表面のうち前記露出面を露出させるように前記封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂部材(20)と、を備える樹脂成形体であって、
 さらに、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面と前記露出面との境界では、前記熱可塑性樹脂部材の一部が前記露出面に沿ってはみ出して樹脂バリ(22)を形成しており、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面のうちの少なくとも前記露出面における前記樹脂バリの下地となる部分は、当該表面における当該下地となる部分以外の部分に比べて熱可塑性樹脂部材との接着性が大きくなるように表面処理がなされた表面処理部(213)とされている
 樹脂成形体。
[請求項8]
 前記熱硬化性樹脂部材の表面のうち前記封止面も、前記表面処理部とされている
 請求項7に記載の樹脂成形体。
[請求項9]
 前記熱硬化性樹脂部材において、さらに、前記露出面における前記樹脂バリの下地となる部分のうちの前記封止面に隣接する部分には、前記封止面側から前記露出面側への前記樹脂バリの伸展距離を抑制するための突起(15)が形成されている
 請求項7または8に記載の樹脂成形体。
[請求項10]
 前記表面処理部は、前記熱硬化性樹脂部材の表面における前記表面処理部以外の部分よりも粗化された粗化面である
 請求項7ないし9のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
[請求項11]
 前記熱可塑性樹脂部材には、前記熱硬化性樹脂部材における前記表面処理部に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する添加剤が添加されている
 請求項7ないし10のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
[請求項12]
 熱硬化性樹脂材料よりなり、表面の一部が封止面(11)とされ、残部が露出面(12)とされた熱硬化性樹脂部材(10)と、
 熱可塑性樹脂材料よりなり、前記熱硬化性樹脂部材の表面のうち前記露出面を露出させるように前記封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 さらに、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面と前記露出面との境界では、前記熱可塑性樹脂部材の一部が前記露出面に沿ってはみ出して樹脂バリ22)を形成している樹脂成形体を製造する樹脂成形体の製造方法であって、
 前記熱硬化性樹脂部材を用意する用意工程と、
 前記熱可塑性樹脂部材を成形する金型(2100)として、前記熱可塑性樹脂部材の外形に対応した空間形状のキャビティ(2111)を有する成形部(2110)と、前記成形部に隣接して設けられ前記熱硬化性樹脂部材における前記露出面の部分が嵌合される嵌合部(2120)とを備えたものを用い、
 前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の部分を前記キャビティ内に位置させ、前記熱硬化性樹脂部材における前記露出面の部分を前記嵌合部に嵌合させた状態で、前記キャビティ内に前記熱可塑性樹脂材料を射出して充填することにより前記熱可塑性樹脂部材を成形する樹脂成形工程と、を備え、
 前記用意工程では、前記熱硬化性樹脂部材として、前記熱硬化性樹脂部材の表面のうちの少なくとも前記露出面における前記嵌合部と対向する対向部(12a)が、当該表面における前記対向部以外の部分に比べて前記熱可塑性樹脂部材との接着性が大きくなるように表面処理がなされた表面処理部(213)とされたものを用意し、
 前記樹脂成形工程によって、前記熱硬化性樹脂部材の前記露出面における前記対向部と前記嵌合部との隙間に発生する前記樹脂バリを、前記表面処理部に接着させた状態とする
 樹脂成形体の製造方法。
[請求項13]
 前記用意工程では、前記熱硬化性樹脂部材として、前記熱硬化性樹脂部材の表面のうち前記封止面も前記表面処理部とされたものを用意する
 請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項14]
 前記用意工程では、前記熱硬化性樹脂部材として、さらに、前記露出面における前記対向部のうち前記封止面に隣接する部分に、前記封止面側から前記露出面側への前記樹脂バリの伸展距離を抑制するための突起(15)が形成されたものを用意し、
 前記樹脂成形工程では、前記突起と前記嵌合部との隙間を、前記突起以外の前記対向部と前記嵌合部との隙間よりも小さいものとした状態で、前記熱可塑性樹脂材料の充填を行う
 請求項12または13に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項15]
 前記表面処理部は、レーザ照射されることにより、前記熱硬化性樹脂部材の表面における前記表面処理部以外の部分よりも粗化された粗化面である
 請求項12ないし14のいずれか1つに記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項16]
 前記樹脂成形工程では、前記熱可塑性樹脂材料として、前記熱硬化性樹脂部材における前記表面処理部に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する添加剤が添加された材料を、射出成形することにより、前記表面処理部に存在する官能基と前記添加剤に存在する官能基とを化学結合させつつ、前記熱可塑性樹脂部材の成形を行う
 請求項12ないし15のいずれか1つに記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項17]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)が前記熱可塑性樹脂部材より露出する樹脂成形体の製造方法であって、
 前記熱硬化性樹脂部材の原料である熱硬化性樹脂材料を用い、前記熱硬化性樹脂材料を加熱して硬化完了させることにより、前記熱硬化性樹脂部材を形成する硬化モールド工程と、
 前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の少なくとも一部において、最表面に位置する表面層(13)を除去することで前記封止面の少なくとも一部を官能基が存在する新生面(14)とする表面層除去工程と、
 前記新生面が形成された前記熱硬化性樹脂部材に対して、前記熱可塑性樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂材料として前記新生面に存在する官能基と化学結合する官能基を含有する官能基含有添加剤(20a)を添加した材料を射出成形することにより、前記新生面に存在する官能基と前記熱可塑性樹脂材料に添加した官能基含有添加剤に存在する官能基とを化学結合させつつ、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面を前記熱可塑性樹脂部材で封止する可塑モールド工程と、を備え、
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂材料に前記官能基含有添加剤に存在する前記官能基を活性化させる触媒(10c)を添加し、
 前記表面層除去工程では、前記新生面より前記触媒を露出させる
 樹脂成形体の製造方法。
[請求項18]
 前記表面層除去工程は、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の少なくとも一部に対して、レーザ照射することにより前記表面層を除去する工程である
 請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項19]
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料として、水酸基とエポキシ基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用い、
 前記可塑モールド工程では、前記官能基含有添加剤の構成材料として、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用いる
 請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項20]
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料として、水酸基とエポキシ基のいずれか1つもしくは複数を官能基として含む材料を用い、
 前記可塑モールド工程では、前記官能基含有添加剤の構成材料として、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料に含まれる官能基と同じ官能基を少なくとも1つ含む材料を用いることで、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料に含まれる官能基と共有結合させる
 請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項21]
 前記硬化モールド工程では、前記熱硬化性樹脂部材の構成材料としてエポキシ基を官能基として有する材料を用いつつ、前記触媒としてリン系触媒を用い、
 前記可塑モールド工程では、前記官能基含有添加剤の構成材料としてエポキシ基を官能基として有する材料を用いることで、前記熱硬化性樹脂部材のエポキシ基と共有結合させる
 請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法。
[請求項22]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、前記熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、
 前記熱可塑性樹脂部材に官能基を含有する官能基含有添加剤(20a)が添加されていると共に、前記熱硬化性樹脂部材に前記官能基含有添加剤に存在する前記官能基を活性化させる触媒(10c)が添加され、前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面には該熱硬化性樹脂部材の表面層が除去された表面除去部(11a)より前記触媒が露出させられることで、前記官能基含有添加剤に存在する官能基が活性化されて前記熱硬化性樹脂部材に存在する官能基と化学結合されている
 樹脂成形体。
[請求項23]
 一部が前記熱硬化性樹脂部材に被覆されて、残部が前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面より突出する被封止部品(40)が備えられており、
 前記被封止部品の残部は、前記熱可塑性樹脂部材により封止されており、
 前記熱硬化性樹脂部材において、前記露出面と前記被封止部品の残部との間に位置する前記封止面には、前記表面除去部が、前記被封止部品の残部の周りに閉環形状をなすように設けられている
 請求項22に記載の樹脂成形体。
[請求項24]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、前記熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、
 前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の一部は、粗化処理されていない非粗化面(11c)とされ、前記封止面の残部は、前記非粗化面よりも段差(11b)を有して凹み前記非粗化面よりも粗化された粗化面(11a)とされており、
 前記熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する添加剤(20a)が添加され、前記粗化面に存在する官能基と前記添加剤に存在する官能基とが化学結合されており、
 前記封止面における前記非粗化面と前記粗化面との境界には、前記非粗化面と前記熱可塑性樹脂部材との界面に発生する剥離の前記粗化面側への進展を抑制するための溝(11d)が設けられている
 樹脂成形体。
[請求項25]
 前記溝における前記非粗化面側の内壁面と前記非粗化面とのなす角度θが、45度よりも大きい
 請求項24に記載の樹脂成形体。
[請求項26]
 前記角度θが90度よりも大きい
 請求項25に記載の樹脂成形体。
[請求項27]
 前記溝は、深さ方向に幅が細くなる断面V字状の溝である
 請求項24ないし26のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
[請求項28]
 前記溝は、前記封止面において、前記粗化面の端部とは離れて設けられている
 請求項24ないし27のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
[請求項29]
 熱硬化性樹脂よりなる熱硬化性樹脂部材(10)と、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の一部である封止面(11)を封止する熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性樹脂部材(20)と、を備え、
 前記熱硬化性樹脂部材の表面の残部である露出面(12)は、前記熱可塑性樹脂部材より露出している樹脂成形体であって、
 前記熱硬化性樹脂部材における前記封止面の一部は、粗化処理されていない非粗化面(11c)とされ、前記封止面の残部は、前記非粗化面よりも段差(11b)を有して凹み前記非粗化面よりも粗化された粗化面(11a)とされており、
 前記熱可塑性樹脂部材には官能基を含有する添加剤(20a)が添加され、前記粗化面に存在する官能基と前記添加剤に存在する官能基とが化学結合されており、
 前記封止面における前記非粗化面と前記粗化面との間の前記段差における壁面(11e)には、前記非粗化面と前記熱可塑性樹脂部材との界面に発生する剥離の前記粗化面側への進展を抑制するための凹凸処理が施されている
 樹脂成形体。

図面

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