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1. (WO2015129221) 発光素子および発光装置
Document

明 細 書

発明の名称 発光素子および発光装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212  

産業上の利用可能性

0213  

符号の説明

0214  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1A   1B   1C   1D   2   3   4   5A   5B   5C   6   7A   7B   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18A   18B   19A   19B   19C   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34  

明 細 書

発明の名称 : 発光素子および発光装置

技術分野

[0001]
 本開示は、発光素子および発光装置に関し、特に、フォトルミネッセンス層を有する発光素子および発光装置に関する。

背景技術

[0002]
 照明器具、ディスプレイ、プロジェクターといった光学デバイスでは、多くの用途において、必要な方向に光を出射することが求められる。蛍光灯、白色LEDなどで使用されるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。よって、この様な材料は、特定の方向のみに光を出射させるために、リフレクターやレンズなどの光学部品とともに用いられる。例えば、特許文献1は、配光板および補助反射板を用いて指向性を確保した照明システムを開示している。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2010-231941号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 光学デバイスにおいて、リフレクターやレンズなどの光学部品を配置すると、そのスペースを確保するために、光学デバイス自身のサイズを大きくする必要があり、これら光学部品は無くすか、少しでも小型化することが望ましい。
[0005]
 本開示は、フォトルミネッセンス層の発光効率、指向性、または偏光特性を制御することが可能な、新規な構造を有する発光素子およびそれを備える発光装置を提供する。

課題を解決するための手段

[0006]
 本開示のある実施形態の発光素子は、フォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、前記平坦化層上に形成され、サブミクロン構造を有する透光層と、を有し、前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係が成り立つ。
[0007]
 上記の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法、またはこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。

発明の効果

[0008]
 本開示のある実施形態による発光素子および発光装置は、新規な構成を有し、新規なメカニズムに従って、輝度、指向性、または偏光特性を制御することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1A] ある実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。
[図1B] 図1Aに示す発光素子の部分断面図である。
[図1C] 他の実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。
[図1D] 図1Cに示す発光素子の部分断面図である。
[図2] 発光波長および周期構造の高さをそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図3] 式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフである。
[図4] 発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図5A] 厚さt=238nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。
[図5B] 厚さt=539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。
[図5C] 厚さt=300nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。
[図6] 図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図7A] 2次元の周期構造の例を示す平面図である。
[図7B] 2次元周期構造に関して図2と同様の計算を行った結果を示す図である。
[図8] 発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図9] 図8と同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を示す図である。
[図10] 発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図11] 図10と同様の条件で、周期構造の屈折率をn p=2.0とした場合の計算結果を示す図である。
[図12] 光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして図9に示す計算と同様の計算を行った結果を示す図である。
[図13] 図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率n wavを1.5に変更した場合の結果を示す図である。
[図14] 屈折率が1.5の透明基板の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層および周期構造を設けた場合の計算結果を示す図である。
[図15] 式(15)の条件を図示したグラフである。
[図16] 図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。
[図17] 励起光を擬似導波モードに結合させることで、効率よく光を出射させる構成を説明するための図であり、(a)はx方向の周期p xを有する1次元周期構造を示し、(b)はx方向の周期p x、y方向の周期p yを有する2次元周期構造を示し、(c)は(a)の構成における光の吸収率の波長依存性を示し、(d)は(b)の構成における光の吸収率の波長依存性を示している。
[図18A] 2次元周期構造の一例を示す図である。
[図18B] 2次元周期構造の他の例を示す図である。
[図19A] 透明基板上に周期構造を形成した変形例を示す図である。
[図19B] 透明基板上に周期構造を形成した他の変形例を示す図である。
[図19C] 図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。
[図20] 複数の粉末状の発光素子を混ぜた構成を示す図である。
[図21] フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。
[図22] 表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示す図である。
[図23] フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。
[図24] フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成した例を示す図である。
[図25] 周期構造を有するガラス基板上に形成されたフォトルミネッセンス層の断面TEM像を示す図である。
[図26] 試作した発光素子の出射光の正面方向のスペクトルを測定した結果を示すグラフである。
[図27] (a)および(b)は、試作した発光素子の出射光の角度依存性を測定した結果(上段)および計算結果(下段)を示すグラフである。
[図28] (a)および(b)は、試作した発光素子の出射光の角度依存性を測定した結果(上段)および計算結果(下段)を示すグラフである。
[図29] 試作した発光素子の出射光(波長610nm)の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。
[図30] スラブ型導波路の一例を模式的に示す斜視図である。
[図31] フォトルミネッセンス層の表面を示す原子間力顕微鏡像であり、(a)は斜視図、(b)は平面図を示す。
[図32] フォトルミネッセンス層110と周期構造120Aとの間に平坦化層160を設けた構成例を示す断面図であり、(a)~(g)はそれぞれ別の態様を示す。
[図33] フォトルミネッセンス層110と周期構造120Aとの間に平坦化層160を設けた構成例を示す断面図であり、(a)~(g)はそれぞれ別の態様を示す。
[図34] 図33(g)に示す構成例の発光素子の製造工程を示す断面図であり、(a)~(f)はそれぞれ別の工程を示す。

発明を実施するための形態

[0010]
 本開示は、以下の項目に記載の発光素子および発光装置を含む。
[0011]
 [項目1]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
 前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0012]
 [項目2]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目1に記載の発光素子。
[0013]
 [項目3]
 前記第1の光に対する前記透光層の屈折率n t-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率n wav-aよりも小さい、項目1または2に記載の発光素子。
[0014]
 [項目4]
 前記第1の光は、前記サブミクロン構造によって予め決められた第1の方向において強度が最大になる、項目1から3のいずれかに記載の発光素子。
[0015]
 [項目5]
 前記第1の方向は、前記フォトルミネッセンス層の法線方向である、項目4に記載の発光素子。
[0016]
 [項目6]
 前記第1の方向に出射された前記第1の光は、直線偏光である、項目4または5に記載の発光素子。
[0017]
 [項目7]
 前記第1の光の前記第1の方向を基準としたときの指向角は、15°未満である、項目4から6のいずれかに記載の発光素子。
[0018]
 [項目8]
 前記第1の光の波長λ aと異なる波長λ bを有する第2の光は、前記第1の方向と異なる第2の方向において強度が最大となる、項目4から7のいずれかに記載の発光素子。
[0019]
 [項目9]
 前記透光層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[0020]
 [項目10]
 前記フォトルミネッセンス層が前記サブミクロン構造を有する、項目1から9のいずれかに記載の発光素子。
[0021]
 [項目11]
 前記フォトルミネッセンス層は、平坦な主面を有し、
 前記透光層は前記フォトルミネッセンス層の前記平坦な主面上に形成されており、かつ、前記サブミクロン構造を有する、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[0022]
 [項目12]
 前記フォトルミネッセンス層は、透明基板に支持されている、項目11に記載の発光素子。
[0023]
 [項目13]
 前記透光層は、前記サブミクロン構造を一方の主面に有する透明基板であって、
 前記フォトルミネッセンス層は、前記サブミクロン構造の上に形成されている、項目1から8のいずれかに記載の発光素子。
[0024]
 [項目14]
 前記第1の光に対する前記透光層の屈折率n t-aは、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率n wav-a以上であって、前記サブミクロン構造が有する前記複数の凸部の高さまたは前記複数の凹部の深さは150nm以下である、項目1または2に記載の発光素子。
[0025]
 [項目15]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ第1周期構造を含み、
 前記第1周期構造は、1次元周期構造である、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[0026]
 [項目16]
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aと異なるλ bの第2の光を含み、前記第2の光前記第2の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-bとすると、
 前記少なくとも1つの周期構造は、周期をp bとすると、λ b/n wav-b<p b<λ bの関係が成り立つ第2周期構造をさらに含み、
 前記第2周期構造は、1次元周期構造である、項目15に記載の発光素子。
[0027]
 [項目17]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも2つの周期構造を含み、前記少なくとも2つの周期構造は、互いに異なる方向に周期性を有する2次元周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[0028]
 [項目18]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
 前記複数の周期構造は、マトリクス状に配列された複数の周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[0029]
 [項目19]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された複数の周期構造を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλ exとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-exとすると、
 前記複数の周期構造は、周期p exが、λ ex/n wav-ex<p ex<λ exの関係が成り立つ周期構造を含む、項目1および3から14のいずれかに記載の発光素子。
[0030]
 [項目20]
 複数のフォトルミネッセンス層と、複数の透光層とを有し、
 前記複数のフォトルミネッセンス層の少なくとも2つと前記複数の透光層の少なくとも2つとは、それぞれ独立に、項目1から19のいずれかに記載の前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とにそれぞれ該当する、発光素子。
[0031]
 [項目21]
 前記複数のフォトルミネッセンス層と前記複数の透光層は、積層されている、項目20に記載の発光素子。
[0032]
 [項目22]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
 前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
 前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の内部に擬似導波モードを形成する光を出射する、発光素子。
[0033]
 [項目23]
 光が導波することができる導波層と、
 前記導波層に近接して配置された周期構造と
を備え、
 前記導波層はフォトルミネッセンス材料を有し、
 前記導波層において、前記フォトルミネッセンス材料から発せられた光が前記周期構造と作用しながら導波する擬似導波モードが存在する、発光素子。
[0034]
 [項目24]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
 前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記フォトルミネッセンス層が有するフォトルミネッセンス材料の励起光の空気中における波長をλ exとし、前記励起光に対する前記フォトルミネッセンス層または前記透光層に至る光路に存在する媒質の内で最も屈折率が大きい媒質の屈折率をn wav-exとすると、λ ex/n wav-ex<D int<λ exの関係が成り立つ、発光素子。
[0035]
 [項目25]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、前記少なくとも1つの周期構造は、周期をp exとすると、λ ex/n wav-ex<p ex<λ exの関係が成り立つ第1周期構造を含む、項目24に記載の発光素子。
[0036]
 [項目26]
 透光層と、
前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、
前記サブミクロン構造に近接して配置されたフォトルミネッセンス層と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0037]
 [項目27]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する透光層と、
 前記透光層に形成され、前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0038]
 [項目28]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層に形成され、前記フォトルミネッセンス層の面内に広がるサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0039]
 [項目29]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目1から21、24から28のいずれかに記載の発光素子。
[0040]
 [項目30]
 前記フォトルミネッセンス層と前記透光層とが互いに接している、項目1から22、24から27のいずれかに記載の発光素子。
[0041]
 [項目31]
 前記導波層と前記周期構造とが互いに接している、項目23に記載の発光素子。
[0042]
 [項目32]
 項目1から31のいずれかに記載の発光素子と、
 前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する、励起光源と、
を備える発光装置。
[0043]
 [項目33]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に形成され、サブミクロン構造を有する透光層と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0044]
 [項目34]
 前記サブミクロン構造は、前記平坦化層とは異なる材料から形成されている、項目33に記載の発光素子。
[0045]
 [項目35]
 前記第1の光に対する、前記サブミクロン構造の屈折率をn1とし、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n1≦n2≦n wav-aを満たす、項目34に記載の発光素子。
[0046]
 [項目36]
 前記サブミクロン構造は、前記フォトルミネッセンス層と同じ材料から形成されている、項目34または35に記載の発光素子。
[0047]
 [項目37]
 前記透光層は、前記平坦化層と接する基部を含み、前記平坦化層の厚さと前記基部の厚さとの合計が、前記λ a/n wav-aの半分以下である、項目35から36のいずれかに記載の発光素子。
[0048]
 [項目38]
 前記サブミクロン構造は、前記平坦化層と同じ材料から形成されている、項目33に記載の発光素子。
[0049]
 [項目39]
 前記第1の光に対する、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n2=n wav-aを満たす、項目33から37のいずれかに記載の発光素子。
[0050]
 [項目40]
 前記第1の光に対する、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n2<n wav-aを満たす、項目33から38のいずれかに記載の発光素子。
[0051]
 [項目41]
 前記平坦化層は、前記透光層を支持し前記フォトルミネッセンス層と接する基部を有し、前記基部の厚さが、前記λ a/n wav-aの半分以下である、項目38から40のいずれかに記載の発光素子。
[0052]
 [項目42]
 前記平坦化層は、前記フォトルミネッセンス層と同じ材料から形成されている、項目39に記載の発光素子。
[0053]
 [項目43]
 前記フォトルミネッセンス層を支持する透光性基板であって、前記フォトルミネッセンス層の前記平坦化層が設けられた側とは反対側に配置された透光性基板をさらに備える、項目33から42のいずれかに記載の発光素子。
[0054]
 [項目44]
 前記第1の光に対する、前記透光性基板の屈折率をn とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとするとき、n <n wav-aを満足する、項目43に記載の発光素子。
[0055]
 [項目45]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に形成され、サブミクロン構造を有する透光層と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0056]
 [項目46]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に設けられ、前記平坦化層とは異なる材料から形成された透光層と、
 前記透光層の一部に設けられたサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[0057]
 [項目47]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、項目33から46のいずれかに記載の発光素子。
[0058]
 [項目48]
 項目33から47のいずれかに記載の発光素子と、
 前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する励起光源と、
 を備える発光装置。
[0059]
 本開示の実施形態による発光素子は、フォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、前記フォトルミネッセンス層および前記透光層の少なくとも一方に形成され、前記フォトルミネッセンス層または前記透光層の面内に広がるサブミクロン構造とを有し、前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係が成り立つ。波長λ aは、例えば、可視光の波長範囲内(例えば、380nm以上780nm以下)にある。
[0060]
 フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料を含む。フォトルミネッセンス材料は、励起光を受けて発光する材料を意味する。フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料に加えて、マトリクス材料(即ち、ホスト材料)を含んでもよい。マトリクス材料は、例えば、ガラスや酸化物などの無機材料や樹脂である。
[0061]
 フォトルミネッセンス層に近接して配置される透光層は、フォトルミネッセンス層が発する光に対して透過率が高い材料で形成され、例えば、無機材料や樹脂で形成される。透光層は、例えば誘電体(特に、光の吸収が少ない絶縁体)で形成されていることが望ましい。透光層は、例えば、フォトルミネッセンス層を支持する基板であってよい。また、フォトルミネッセンス層の空気側の表面がサブミクロン構造を有する場合、空気層が透光層となり得る。
[0062]
 本開示の実施形態による発光素子においては、後に計算結果および実験結果を参照して詳述するように、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成されたサブミクロン構造(例えば、周期構造)によって、フォトルミネッセンス層および透光層の内部に、ユニークな電場分布を形成する。これは、導波光がサブミクロン構造と相互作用して形成されるものであり、擬似導波モードと表現することもできる。この擬似導波モードを活用することで、以下で説明するように、フォトルミネッセンスの発光効率の増大、指向性の向上、偏光の選択性の効果を得ることができる。なお、以下の説明において、擬似導波モードという用語を使って、本発明者らが見出した、新規な構成および/または新規なメカニズムを説明することがあるが、1つの例示的な説明に過ぎず、本開示をいかなる意味においても限定するものではない。
[0063]
 サブミクロン構造は、例えば複数の凸部を含み、隣接する凸部間の距離(即ち、中心間距離)をD intとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係を満足する。サブミクロン構造は、複数の凸部に代えて複数の凹部を含んでもよい。以下では、簡単のために、サブミクロン構造が複数の凸部を有する場合を説明する。λは光の波長を表し、λ aは空気中での光の波長であることを表現する。n wavはフォトルミネッセンス層の屈折率である。フォトルミネッセンス層が複数の材料を混合した媒質である場合、各材料の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をn wavとする。一般に屈折率nは波長に依存するので、λ aの光に対する屈折率であることをn wav-aと明示することが望ましいが、簡単のために省略することがある。n wavは基本的にフォトルミネッセンス層の屈折率であるが、フォトルミネッセンス層に隣接する層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きい場合、当該屈折率が大きい層の屈折率およびフォトルミネッセンス層の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をn wavとする。この場合は、光学的には、フォトルミネッセンス層が複数の異なる材料の層で構成されている場合と等価であるからである。
[0064]
 擬似導波モードの光に対する媒質の有効屈折率をn effとすると、n a<n eff<n wavを満たす。ここで、n aは空気の屈折率である。擬似導波モードの光を、フォトルミネッセンス層の内部を入射角θで全反射しながら伝搬する光であると考えると、有効屈折率n effは、n eff=n wavsinθと書ける。また、有効屈折率n effは、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まるので、例えば、サブミクロン構造が透光層に形成されている場合、フォトルミネッセンス層の屈折率だけでなく、透光層の屈折率にも依存する。また、擬似導波モードの偏光方向(TEモードとTMモード)により、電場の分布は異なるので、TEモードとTMモードとでは有効屈折率n effは異なり得る。
[0065]
 サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成される。フォトルミネッセンス層と透光層とが互いに接するとき、フォトルミネッセンス層と透光層との界面にサブミクロン構造が形成されてもよい。このとき、フォトルミネッセンス層および透光層がサブミクロン構造を有する。フォトルミネッセンス層はサブミクロン構造を有さなくてもよい。このとき、サブミクロン構造を有する透光層がフォトルミネッセンス層に近接して配置される。ここで、透光層(またはそのサブミクロン構造)がフォトルミネッセンス層に近接するとは、典型的には、これらの間の距離が、波長λ aの半分以下であることをいう。これにより、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成される。ただし、透光層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きいときには上記の関係を満足しなくても透光層まで光が到達するため、透光層のサブミクロン構造とフォトルミネッセンス層との間の距離は、波長λ aの半分超であってもよい。本明細書では、フォトルミネッセンス層と透光層とが、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成されるような配置関係にあるとき、両者が互いに関連付けられていると表現することがある。
[0066]
 サブミクロン構造は、上記のように、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係を満足するので、サブミクロンオーダーの大きさで特徴づけられる。サブミクロン構造は、例えば、以下に詳細に説明する実施形態の発光素子におけるように、少なくとも1つの周期構造を含む。少なくとも1つの周期構造は、周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ。すなわち、サブミクロン構造は、隣接する凸部間の距離D intがp aで一定の周期構造を有する。サブミクロン構造が周期構造を含むと、擬似導波モードの光は、伝搬しながら周期構造と相互作用を繰り返すことにより、サブミクロン構造によって回折される。これは、自由空間を伝播する光が周期構造により回折する現象とは異なり、光が導波しながら(即ち、全反射を繰り返しながら)周期構造と作用する現象である。したがって、周期構造による位相シフトが小さくても(即ち、周期構造の高さが小さくても)効率よく光の回折を起こすことができる。
[0067]
 以上のようなメカニズムを利用すれば、擬似導波モードにより電場が増強される効果によって、フォトルミネッセンスの発光効率が増大するとともに、発生した光が擬似導波モードに結合する。擬似導波モードの光は、周期構造で規定される回折角度だけ進行角度が曲げられる。これを利用することによって、特定の波長の光を特定の方向に出射することができる(指向性が顕著に向上)。さらに、TEとTMモードで有効屈折率n eff(=n wavsinθ)が異なるので、高い偏光の選択性を同時に得ることもできる。例えば、後に実験例を示すように、特定の波長(例えば610nm)の直線偏光(例えばTMモード)を正面方向に強く出射する発光素子を得ることができる。このとき、正面方向に出射される光の指向角は例えば15°未満である。なお、指向角は正面方向を0°とした片側の角度とする。
[0068]
 逆に、サブミクロン構造の周期性が低くなると、指向性、発光効率、偏光度および波長選択性が弱くなる。必要に応じて、サブミクロン構造の周期性を調整すればよい。周期構造は、偏光の選択性が高い1次元周期構造であってもよいし、偏光度を小さくできる2次元周期構造であってもよい。
[0069]
 また、サブミクロン構造は、複数の周期構造を含み得る。複数の周期構造は、例えば、周期(ピッチ)が互いに異なる。あるいは、複数の周期構造は、例えば、周期性を有する方向(軸)が互いに異なる。複数の周期構造は、同一面内に形成されてもよいし、積層されてもよい。もちろん、発光素子は、複数のフォトルミネッセンス層と複数の透光層とを有し、これらが複数のサブミクロン構造を有してもよい。
[0070]
 サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層が発する光を制御するためだけでなく、励起光を効率よくフォトルミネッセンス層に導くためにも用いることができる。すなわち、励起光がサブミクロン構造により回折されフォトルミネッセンス層および透光層を導波する擬似導波モードに結合することで、効率よくフォトルミネッセンス層を励起することができる。フォトルミネッセンス材料を励起する光の空気中における波長をλ exとし、この励起光に対するフォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-exとすると、λ ex/n wav-ex<D int<λ exの関係が成り立つサブミクロン構造を用いればよい。n wav-exはフォトルミネッセンス材料の励起波長における屈折率である。周期をp exとすると、λ ex/n wav-ex<p ex<λ exの関係が成り立つ周期構造を有するサブミクロン構造を用いてもよい。励起光の波長λ exは、例えば、450nmであるが、可視光よりも短波長であってもよい。励起光の波長が可視光の範囲内にある場合、フォトルミネッセンス層が発する光とともに、励起光を出射するようにしてもよい。
[0071]
 [1.本開示の基礎となった知見]
 本開示の具体的な実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明する。上述のように、蛍光灯、白色LEDなどで使われるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光するので、特定の方向を光で照らすためには、リフレクターやレンズなどの光学部品が必要である。しかしながら、もしフォトルミネッセンス層自身が指向性をもって発光すれば、上記のような光学部品は不要になるので(若しくは小さくできるので)、光学デバイスや器具の大きさを大幅に小さくすることができる。本発明者らは、このような着想に基づき、指向性発光を得るために、フォトルミネッセンス層の構成を詳細に検討した。
[0072]
 本発明者らは、まず、フォトルミネッセンス層からの光が特定の方向に偏るようにするため、発光自体に特定の方向性をもたせることを考えた。発光を特徴付ける指標である発光レートΓは、フェルミの黄金則により、以下の式(1)で表される。
[0073]
[数1]


[0074]
 式(1)において、rは位置を表すベクトル、λは光の波長、dは双極子ベクトル、Eは電場ベクトル、ρは状態密度である。一部の結晶性物質を除く多くの物質では、双極子ベクトルdはランダムな方向性を有している。また、フォトルミネッセンス層のサイズと厚さが光の波長よりも十分に大きい場合、電場Eの大きさも向きに依らずほとんど一定である。よって、ほとんどの場合、<(d・E(r))> 2の値は方向に依らない。即ち、発光レートΓは方向に依らず一定である。このため、ほとんどの場合においてフォトルミネッセンス層は等方的に発光する。
[0075]
 一方、式(1)から、異方的な発光を得るためには、双極子ベクトルdを特定の方向に揃えるか、電場ベクトルの特定方向の成分を増強するかのいずれかの工夫が必要である。これらのいずれかの工夫を行うことで、指向性発光を実現できる。本開示では、フォトルミネッセンス層へ光を閉じ込める効果により、特定方向の電場成分が増強された擬似導波モードを利用するための構成について検討し、詳細に分析した結果を以下に説明する。
[0076]
 [2.特定の方向の電場のみを強くする構成]
 本願発明者らは、電場が強い導波モードを用いて、発光の制御を行うことを考えた。導波構造自体がフォトルミネッセンス材料を含む構成とすることで、発光を導波モードに結合させることができる。しかし、ただ単にフォトルミネッセンス材料を用いて導波構造を形成しただけでは、発せられた光が導波モードとなるため、正面方向へはほとんど光は出てこない。そこで、フォトルミネッセンス材料を含む導波路と周期構造(複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方で形成された)とを組み合わせることを考えた。導波路に周期構造が近接し、光の電場が周期構造と重なりながら導波する場合、周期構造の作用により擬似導波モードが存在する。つまり、この擬似導波モードは、周期構造により制限された導波モードであり、電場振幅の腹が周期構造の周期と同じ周期で発生することを特徴とする。このモードは、光が導波構造に閉じ込められることにより特定方向への電場が強められたモードである。さらに、このモードは周期構造と相互作用することで、回折効果により特定方向の伝播光へと変換されるため、導波路外部へと光を出射することができる。さらに、擬似導波モード以外の光は導波路内に閉じ込められる効果が小さいため、電場は増強されない。よって、発光のほとんどは大きな電場成分を有する擬似導波モードへと結合することになる。
[0077]
 つまり、本願発明者らは、周期構造が近接して設けられた導波路を、フォトルミネッセンス材料を含むフォトルミネッセンス層(あるいはフォトルミネッセンス層を有する導波層)とすることで、発光を特定方向の伝播光へと変換される擬似導波モードへ結合させ、指向性のある光源を実現することを考えた。
[0078]
 導波構造の簡便な構成として、スラブ型導波路に着目した。スラブ型導波路とは、光の導波部分が平板構造を有する導波路のことである。図30は、スラブ型導波路110Sの一例を模式的に示す斜視図である。導波路110Sの屈折率が導波路110Sを支持する透明基板140の屈折率よりも高いとき、導波路110S内を伝播する光のモードが存在する。このようなスラブ型導波路をフォトルミネッセンス層を含む構成とすることで、発光点から生じた光の電場が導波モードの電場と大きく重なりをもつので、フォトルミネッセンス層で生じた光の大部分を導波モードに結合させることができる。さらに、フォトルミネッセンス層の厚さを光の波長程度とすることにより、電場振幅の大きい導波モードのみが存在する状況を作り出すことができる。
[0079]
 さらに、フォトルミネッセンス層に周期構造が近接する場合には、導波モードの電場が周期構造と相互作用することで擬似導波モードが形成される。フォトルミネッセンス層が複数の層で構成されている場合でも、導波モードの電場が周期構造に達していれば、擬似導波モードが形成されることになる。フォトルミネッセンス層の全てがフォトルミネッセンス材料である必要はなく、その少なくとも一部の領域が発光する機能を有していればよい。
[0080]
 また、周期構造を金属で形成した場合には、導波モードとプラズモン共鳴の効果によるモードが形成され、上で述べた擬似導波モードとは異なる性質となる。また、このモードは金属による吸収が大きいためロスが大きくなり、発光増強の効果は小さくなる。したがって、周期構造としては、吸収の少ない誘電体を用いるのが望ましい。
[0081]
 本発明者らは、まずこのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)の表面に、周期構造を形成することで、特定の角度方向の伝播光として出射することのできる擬似導波モードに発光を結合させることについて検討を行った。図1Aは、そのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)110と周期構造(例えば、透光層)120とを有する発光素子100の一例を模式的に示す斜視図である。以下、透光層120が周期構造を形成している場合(即ち、透光層120に周期的なサブミクロン構造が形成されている場合)、透光層120を周期構造120ということがある。この例では、周期構造120は、各々がy方向に延びるストライプ状の複数の凸部がx方向に等間隔に並んだ1次元周期構造である。図1Bは、この発光素子100をxz面に平行な平面で切断したときの断面図である。導波路110に接するように周期pの周期構造120を設けると、面内方向の波数k wavをもつ擬似導波モードは、導波路外の伝播光へと変換され、その波数k outは以下の式(2)で表すことができる。
[0082]
[数2]


[0083]
 式(2)におけるmは整数であり、回折の次数を表す。
[0084]
 ここで、簡単のため、近似的に導波路内を導波する光を角度θ wavで伝播する光線であると考え、以下の式(3)および(4)が成立するとする。
[0085]
[数3]


[0086]
[数4]


[0087]
 これらの式において、λ 0は光の空気中の波長、n wavは導波路の屈折率、n outは出射側の媒質の屈折率、θ outは光が導波路外の基板または空気に出射するときの出射角度である。式(2)~(4)から、出射角度θ outは、以下の式(5)で表すことができる。
[0088]
[数5]


[0089]
 式(5)より、n wavsinθ wav=mλ 0/pが成立するとき、θ out=0となり、導波路の面に垂直な方向(即ち、正面)に光を出射させることができることがわかる。
[0090]
 以上のような原理に基づけば、発光を特定の擬似導波モードに結合させ、さらに周期構造を利用して特定の出射角度の光に変換することにより、その方向に強い光を出射させることができると考えられる。
[0091]
 上記のような状況を実現するためには、いくつかの制約条件がある。まず、擬似導波モードが存在するためには、導波路内で伝播する光が全反射することが必要である。このための条件は、以下の式(6)で表される。
[0092]
[数6]


[0093]
 この擬似導波モードを周期構造によって回折させて導波路外に光を出射させるためには、式(5)において-1<sinθ out<1である必要がある。よって、以下の式(7)を満足する必要がある。
[0094]
[数7]


[0095]
 これに対し、式(6)を考慮すると、以下の式(8)が成立すればよいことがわかる。
[0096]
[数8]


[0097]
 さらに、導波路110から出射される光の方向を正面方向(θ out=0)にするためには、式(5)から、以下の式(9)が必要であることがわかる。
[0098]
[数9]


[0099]
 式(9)および式(6)から、必要な条件は、以下の式(10)であることがわかる。
[0100]
[数10]


[0101]
 なお、図1Aおよび図1Bに示すような周期構造を設けた場合には、mが2以上の高次の回折効率は低いため、m=1である1次の回折光を主眼に設計すると良い。このため、本実施形態における周期構造では、m=1として、式(10)を変形した以下の式(11)を満足するように周期pが決定される。
[0102]
[数11]


[0103]
 図1Aおよび図1Bに示すように、導波路(フォトルミネッセンス層)110が透明基板に接していない場合には、n outは空気の屈折率(約1.0)となるため、以下の式(12)を満足するように周期pを決定すればよい。
[0104]
[数12]


[0105]
 一方、図1Cおよび図1Dに例示するような透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120を形成した構造を採用してもよい。この場合には、透明基板140の屈折率n sが空気の屈折率よりも大きいことから、式(11)においてn out=n sとした次式(13)を満足するように周期pを決定すればよい。
[0106]
[数13]


[0107]
 なお、式(12)、(13)では、式(10)においてm=1の場合を想定したが、m≧2であってもよい。すなわち、図1Aおよび図1Bに示すように発光素子100の両面が空気層に接している場合には、mを1以上の整数として、以下の式(14)を満足するように周期pが設定されていればよい。
[0108]
[数14]


[0109]
 同様に、図1Cおよび図1Dに示す発光素子100aのようにフォトルミネッセンス層110が透明基板140上に形成されている場合には、以下の式(15)を満足するように周期pが設定されていればよい。
[0110]
[数15]


[0111]
 以上の不等式を満足するように周期構造の周期pを決定することにより、フォトルミネッセンス層110から発生した光を正面方向に出射させることができるため、指向性を有する発光装置を実現できる。
[0112]
 [3.計算による検証]
 [3-1.周期、波長依存性]
 本発明者らは、以上のような特定方向への光の出射が実際に可能であるかを光学解析によって検証した。光学解析は、サイバネット社のDiffractMODを用いた計算によって行った。これらの計算では、発光素子に対して外部から垂直に光を入射したときに、フォトルミネッセンス層における光の吸収の増減を計算することで、外部へ垂直に出射する光の増強度を求めた。外部から入射した光が擬似導波モードに結合しフォトルミネッセンス層で吸収されるという過程は、フォトルミネッセンス層における発光が擬似導波モードへと結合し、外部へ垂直に出射する伝播光へと変換される過程と逆の過程を計算していることに対応する。また、擬似導波モードの電場分布の計算においても、同様に外部から光を入射した場合における電場を計算した。
[0113]
 フォトルミネッセンス層の膜厚を1μm、フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav=1.8、周期構造の高さを50nm、周期構造の屈折率を1.5とし、発光波長および周期構造の周期をそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を図2に示す。計算モデルは、図1Aに示すように、y方向には均一な1次元周期構造とし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるとして計算を行った。図2の結果から、増強度のピークが、ある特定の波長と周期との組み合わせにおいて存在することがわかる。なお、図2において、増強度の大きさは色の濃淡で表されており、濃い(即ち黒い)方が増強度が大きく、淡い(即ち白い)方が増強度が小さい。
[0114]
 上記の計算において、周期構造の断面は、図1Bに示すような矩形であるものとしている。式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフを図3に示す。図2と図3とを比較すると、図2におけるピーク位置はm=1とm=3に対応するところに存在することがわかる。m=1の方が強度が強いのは、3次以上の高次の回折光よりも1次の回折光の回折効率の方が高いからである。m=2のピークが存在しないのは、周期構造における回折効率が低いためである。
[0115]
 図3で示したm=1およびm=3のそれぞれに対応する領域内において、図2では複数のラインが存在することが確認できる。これは、擬似導波モードが複数存在するからであると考えられる。
[0116]
 [3-2.厚さ依存性]
 図4は、フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav=1.8、周期構造の周期を400nm、高さを50nm、屈折率を1.5とし、発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。フォトルミネッセンス層の厚さtが特定の値であるときに光の増強度がピークに達することがわかる。
[0117]
 図4においてピークが存在する波長600nm、厚さt=238nm、539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を図5Aおよび図5Bにそれぞれ示す。比較のため、ピークが存在しないt=300nmの場合について同様の計算を行った結果を図5Cに示す。計算モデルは、上記と同様、y方向に均一な1次元周期構造であるとした。各図において、黒い領域ほど電場強度が高く、白い領域ほど電場強度が低いことを表している。t=238nm、539nmの場合には高い電場強度の分布があるのに対して、t=300nmでは全体的に電場強度が低い。これは、t=238nm、539nmの場合には、導波モードが存在し、光が強く閉じ込められているからである。さらに、凸部または凸部の直下に電場が最も強い部分(腹)が必ず存在しており、周期構造120と相関のある電場が発生している特徴が見て取れる。つまり、周期構造120の配置に従って、導波するモードが得られていることがわかる。また、t=238nmの場合とt=539nmの場合とを比較すると、z方向の電場の節(白い部分)の数が1つだけ異なるモードであることが分かる。
[0118]
 [3-3.偏光依存性]
 次に偏光依存性を確認するために、図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度の計算を行った。本計算の結果を図6に示す。TMモードのとき(図2)に比べ、ピーク位置は多少変化しているものの、図3で示した領域内にピーク位置が納まっている。よって、本実施形態の構成は、TMモード、TEモードのいずれの偏光についても有効であることが確認できた。
[0119]
 [3-4.2次元周期構造]
 さらに、2次元の周期構造による効果の検討を行った。図7Aは、x方向およびy方向の両方向に凹部および凸部が配列された2次元の周期構造120’の一部を示す平面図である。図中の黒い領域が凸部、白い領域が凹部を示している。このような2次元周期構造では、x方向とy方向の両方の回折を考慮する必要がある。x方向のみ、あるいはy方向のみの回折に関しては1次元の場合と同様であるが、x、y両方の成分を有する方向(例えば、斜め45°方向)の回折も存在するため、1次元の場合とは異なる結果が得られることが期待できる。このような2次元周期構造に関して光の増強度を計算した結果を図7Bに示す。周期構造以外の計算条件は図2の条件と同じである。図7Bに示すように、図2に示すTMモードのピーク位置に加えて、図6に示すTEモードにおけるピーク位置と一致するピーク位置も観測された。この結果は、2次元周期構造により、TEモードも、回折により変換されて出力されていることを示している。また、2次元周期構造については、x方向およびy方向の両方について、同時に1次の回折条件を満足する回折も考慮する必要がある。このような回折光は、周期pの√2倍(即ち、2 1/2倍)の周期に対応する角度の方向に出射する。よって、1次元周期構造の場合のピークに加えて、周期pの√2倍の周期についてもピークが発生すると考えられる。図7Bでは、このようなピークも確認できる。
[0120]
 2次元周期構造としては、図7Aに示すようなx方向およびy方向の周期が等しい正方格子の構造に限らず、図18Aおよび図18Bのような六角形や三角形を並べた格子構造であってもよい。また、方位方向によって(例えば、正方格子の場合x方向およびy方向)の周期が異なる構造であってもよい。
[0121]
 以上のように、本実施形態では、周期構造とフォトルミネッセンス層とによって形成される特徴的な擬似導波モードの光を、周期構造による回折現象を利用して、正面方向にのみ選択的に出射できることが確認できた。このような構成で、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性を有する発光が得られる。
[0122]
 [4.周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成の検討]
 次に、周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成や屈折率などの各種条件を変えたときの効果について説明する。
[0123]
 [4-1.周期構造の屈折率]
 まず、周期構造の屈折率に関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を200nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造とし、高さを50nm、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図8に示す。また、同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を図9に示す。
[0124]
 まず、フォトルミネッセンス層の膜厚に着目すると、膜厚が200nmの場合(図8)に比べ、膜厚が1000nmの場合(図9)のほうが、周期構造の屈折率の変化に対する光強度がピークとなる波長(ピーク波長と称する。)のシフトが小さいことがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の膜厚が小さいほど、擬似導波モードが周期構造の屈折率の影響を受けやすいからである。即ち、周期構造の屈折率が高いほど、有効屈折率が大きくなり、その分ピーク波長が長波長側にシフトするが、この影響は、膜厚が小さいほど顕著になる。なお、有効屈折率は、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まる。
[0125]
 次に、周期構造の屈折率の変化に対するピークの変化に着目すると、屈折率が高いほどピークが広がり強度が下がっていることがわかる。これは、周期構造の屈折率が高いほど擬似導波モードの光を外部に放出するレートが高いため、光を閉じ込める効果が減少する、すなわちQ値が低くなることが原因である。ピーク強度を高く保つためには、光を閉じ込める効果が高い(即ちQ値が高い)擬似導波モードを利用して、適度に光を外部に放出する構成にすればよい。これを実現するためには、屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率に比べて大き過ぎる材料を周期構造に用いるのは望ましくないことがわかる。したがって、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造を構成する誘電体(即ち、透光層)の屈折率を、フォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にすればよい。フォトルミネッセンス層がフォトルミネッセンス材料以外の材料を含むときも同様である。
[0126]
 [4-2.周期構造の高さ]
 次に、周期構造の高さに関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造で屈折率をn p=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図10に示す。同様の条件で、周期構造の屈折率をn p=2.0とした場合の計算結果を図11に示す。図10に示す結果では、ある程度以上の高さではピーク強度やQ値(即ち、ピークの線幅)が変化していないのに対して、図11に示す結果では、周期構造の高さが大きいほどピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の屈折率n wavが周期構造の屈折率n pよりも高い場合(図10)には、光が全反射するので、擬似導波モードの電場の染み出し(エバネッセント)部分のみが周期構造と相互作用することに起因する。電場のエバネッセント部分と周期構造との相互作用の影響は、周期構造の高さが十分大きい場合には、それ以上高さが変化しても一定である。一方、フォトルミネッセンス層の屈折率n wavが周期構造の屈折率n pよりも低い場合(図11)は、全反射せずに周期構造の表面にまで光が到達するので、周期構造の高さが大きいほどその影響を受ける。図11を見る限り、高さは100nm程度あれば十分であり、150nmを超える領域ではピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。したがって、フォトルミネッセンス層の屈折率n wavが周期構造の屈折率n pよりも低い場合に、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造の高さを150nm以下に設定すればよい。
[0127]
 [4-3.偏光方向]
 次に、偏光方向に関して検討を行った。図9に示す計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして計算した結果を図12に示す。TEモードでは、擬似導波モードの電場の染み出しがTMモードに比べて大きいため、周期構造による影響を受けやすい。よって、周期構造の屈折率n pがフォトルミネッセンス層の屈折率n wavよりも大きい領域では、ピーク強度およびQ値の低下がTMモードよりも著しい。
[0128]
 [4-4.フォトルミネッセンス層の屈折率]
 次に、フォトルミネッセンス層の屈折率に関して検討を行った。図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率n wavを1.5に変更した場合の結果を図13に示す。フォトルミネッセンス層の屈折率n wavが1.5の場合においても概ね図9と同様の効果が得られていることがわかる。ただし、波長が600nm以上の光は正面方向に出射していないことがわかる。これは、式(10)より、λ 0<n wav×p/m=1.5×400nm/1=600nmとなるからである。
[0129]
 以上の分析から、周期構造の屈折率はフォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にするか、周期構造の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率以上の場合には、高さを150nm以下にすれば、ピーク強度およびQ値を高くできることがわかる。
[0130]
 [5.変形例]
 以下、本実施形態の変形例を説明する。
[0131]
 [5-1.基板を有する構成]
 上述のように、発光素子は、図1Cおよび図1Dに示すように、透明基板140の上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成された構造を有していてもよい。このような発光素子100aを作製するには、まず、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料(必要に応じて、マトリクス材料を含む、以下同じ。)で薄膜を形成し、その上に周期構造120を形成する方法が考えられる。このような構成において、フォトルミネッセンス層110と周期構造120とにより、光を特定の方向に出射する機能をもたせるためには、透明基板140の屈折率n sはフォトルミネッセンス層の屈折率n wav以下にする必要がある。透明基板140をフォトルミネッセンス層110に接するように設けた場合、式(10)における出射媒質の屈折率n outをn sとした式(15)を満足するように周期pを設定する必要がある。
[0132]
 このことを確認するために、屈折率が1.5の透明基板140の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層110および周期構造120を設けた場合の計算を行った。本計算の結果を図14に示す。図2の結果と同様、波長ごとに特定の周期において光強度のピークが現れることが確認できるが、ピークが現れる周期の範囲が図2の結果とは異なることがわかる。これに対して、式(10)の条件をn out=n sとした式(15)の条件を図15に示す。図14において、図15に示される範囲に対応する領域内に、光強度のピークが現れていることがわかる。
[0133]
 したがって、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110と周期構造120とを設けた発光素子100aでは、式(15)を満足する周期pの範囲において効果が得られ、式(13)を満足する周期pの範囲において特に顕著な効果が得られる。
[0134]
 [5-2.励起光源を有する発光装置]
 図16は、図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。上述のように、本開示の構成では、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性をもつ発光が得られる。そのような励起光を出射するように構成された光源180を設けることにより、指向性をもつ発光装置200を実現できる。光源180から出射される励起光の波長は、典型的には紫外または青色領域の波長であるが、これらに限らず、フォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料に応じて適宜決定される。なお、図16では、光源180がフォトルミネッセンス層110の下面から励起光を入射させるように配置されているが、このような例に限定されず、例えば、フォトルミネッセンス層110の上面から励起光を入射させてもよい。
[0135]
 励起光を擬似導波モードに結合させることで、効率よく光を出射させる方法もある。図17は、そのような方法を説明するための図である。この例では、図1C、1Dに示す構成と同様、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成されている。まず、図17(a)に示すように、発光増強のためにx方向の周期p xを決定し、続いて、図17(b)に示すように、励起光を擬似導波モードに結合させるためにy方向の周期p yを決定する。周期p xは、式(10)においてpをp xに置き換えた条件を満足するように決定される。一方、周期p yは、mを1以上の整数、励起光の波長をλ ex、フォトルミネッセンス層110に接する媒質のうち、周期構造120を除く最も屈折率の高い媒質の屈折率をn outとして、以下の式(16)を満足するように決定される。
[0136]
[数16]


[0137]
 ここで、n outは、図17の例では透明基板140のn sであるが、図16のように透明基板140を設けない構成では、空気の屈折率(約1.0)である。
[0138]
 特に、m=1として、次の式(17)を満足するように周期p yを決定すれば、励起光を擬似導波モードに変換する効果をより高くすることができる。
[0139]
[数17]


[0140]
 このように、式(16)の条件(特に式(17)の条件)を満足するように周期p yを設定することで、励起光を擬似導波モードに変換することができる。その結果、フォトルミネッセンス層110に効率的に波長λ exの励起光を吸収させることができる。
[0141]
 図17(c)、(d)は、それぞれ、図17(a)、(b)に示す構造に対して光を入射したときに光が吸収される割合を波長ごとに計算した結果を示す図である。この計算では、p x=365nm、p y=265nmとし、フォトルミネッセンス層110からの発光波長λを約600nm、励起光の波長λ exを約450nm、フォトルミネッセンス層110の消衰係数は0.003としている。図17(d)に示すように、フォトルミネッセンス層110から生じた光だけでなく、励起光である約450nmの光に対して高い吸収率を示している。これは、入射した光が効果的に擬似導波モードに変換されることで、フォトルミネッセンス層に吸収される割合を増大させることができているためである。また、発光波長である約600nmに対しても吸収率が増大しているが、これは、もし約600nmの波長の光をこの構造に入射した場合には、同様に効果的に擬似導波モードに変換されるということである。このように、図17(b)に示す周期構造120は、x方向およびy方向のそれぞれに周期の異なる構造(周期成分)を有する2次元周期構造である。このように、複数の周期成分を有する2次元周期構造を用いることにより、励起効率を高めつつ、出射強度を高めることが可能になる。なお、図17では励起光を基板側から入射しているが、周期構造側から入射しても同じ効果が得られる。
[0142]
 さらに、複数の周期成分を有する2次元周期構造としては、図18Aまたは図18Bに示すような構成を採用してもよい。図18Aに示すように六角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成や、図18Bに示すように三角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成とすることにより、周期とみなすことのできる複数の主軸(図の例では軸1~3)を定めることができる。このため、それぞれの軸方向について異なる周期を割り当てることができる。これらの周期の各々を、複数の波長の光の指向性を高めるために設定してもよいし、励起光を効率よく吸収させるために設定してもよい。いずれの場合も、式(10)に相当する条件を満足するように各周期が設定される。
[0143]
 [5-3.透明基板上の周期構造]
 図19Aおよび図19Bに示すように、透明基板140上に周期構造120aを形成し、その上にフォトルミネッセンス層110を設けてもよい。図19Aの構成例では、基板140上の凹凸からなる周期構造120aに追従するようにフォトルミネッセンス層110が形成された結果、フォトルミネッセンス層110の表面にも同じ周期の周期構造120bが形成されている。一方、図19Bの構成例では、フォトルミネッセンス層110の表面は平坦になるように処理されている。これらの構成例においても、周期構造120aの周期pを式(15)を満足するように設定することにより、指向性発光を実現できる。
[0144]
 この効果を検証するため、図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した。ここで、フォトルミネッセンス層110の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層110の屈折率をn wav=1.8、周期構造120aはy方向に均一な1次元周期構造で高さを50nm、屈折率をn p=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとした。本計算の結果を図19Cに示す。本計算においても、式(15)の条件を満足する周期で光強度のピークが観測された。
[0145]
 [5-4.粉体]
 以上の実施形態によれば、周期構造の周期や、フォトルミネッセンス層の膜厚を調整することで任意の波長の発光を強調することができる。例えば、広い帯域で発光するフォトルミネッセンス材料を用いて図1A、1Bのような構成にすれば、ある波長の光のみを強調することが可能である。よって、図1A、1Bのような発光素子100の構成を粉末状にして、蛍光材料として利用してもよい。また、図1A、1Bのような発光素子100を樹脂やガラスなどに埋め込んで利用してもよい。
[0146]
 図1A、1Bのような単体の構成では、ある特定の波長しか特定の方向に出射できないため、例えば広い波長域のスペクトルを持つ白色などの発光を実現することは難しい。そこで、図20に示すように周期構造の周期やフォトルミネッセンス層の膜厚などの条件の異なる複数の粉末状の発光素子100を混ぜたものを用いることにより、広い波長域のスペクトルを持つ発光装置を実現できる。この場合、個々の発光素子100の一方向のサイズは、例えば数μm~数mm程度であり、その中に例えば数周期~数百周期の1次元または2次元の周期構造を含み得る。
[0147]
 [5-5.周期の異なる構造を配列]
 図21は、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。この例では、3種類の周期構造120a、120b、120cが隙間なく配列されている。周期構造120a、120b、120cは、例えば、赤、緑、青の波長域の光をそれぞれ正面に出射するように周期が設定されている。このように、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の構造を並べることによっても広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。なお、複数の周期構造の構成は、上記のものに限定されず、任意に設定してよい。
[0148]
 [5-6.積層構造]
 図22は、表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示している。複数のフォトルミネッセンス層110の間には、透明基板140が設けられ、各層のフォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸構造が上記の周期構造またはサブミクロン構造に相当する。図22に示す例では、3層の周期の異なる周期構造が形成されており、それぞれ、赤、青、緑の波長域の光を正面に出射するように周期が設定されている。また、各周期構造の周期に対応する色の光を発するように各層のフォトルミネッセンス層110の材料が選択されている。このように、周期の異なる複数の周期構造を積層することによっても、広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。
[0149]
 なお、層数や各層のフォトルミネッセンス層110および周期構造の構成は上記のものに限定されず、任意に設定してよい。例えば2層の構成では、透光性の基板を介して第1のフォトルミネッセンス層と第2のフォトルミネッセンス層とが対向するように形成され、第1および第2のフォトルミネッセンス層の表面に、それぞれ第1および第2の周期構造が形成されることになる。この場合、第1のフォトルミネッセンス層および第1の周期構造の対と、第2のフォトルミネッセンス層および第2の周期構造の対のそれぞれについて、式(15)に相当する条件を満足していればよい。3層以上の構成においても同様に、各層におけるフォトルミネッセンス層および周期構造について、式(15)に相当する条件を満足していればよい。フォトルミネッセンス層と周期構造との位置関係が図22に示すものとは逆転していてもよい。図22に示す例では、各層の周期が異なっているが、これらを全て同じ周期にしてもよい。その場合、スペクトルを広くすることはできないが、発光強度を大きくすることができる。
[0150]
 [5-7.保護層を有する構成]
 図23は、フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。このように、フォトルミネッセンス層110を保護するための保護層150を設けても良い。ただし、保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合は、保護層150の内部に波長の半分程度しか光の電場が染み出さない。よって、保護層150が波長よりも厚い場合には、周期構造120に光が届かない。このため、擬似導波モードが存在せず、光を特定方向に放出する機能を得ることができない。保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同程度あるいはそれ以上の場合には、保護層150の内部にまで光が到達する。よって、保護層150に厚さの制約は無い。ただし、その場合でも、光が導波する部分(以下、この部分を「導波層」と呼ぶ。)の大部分をフォトルミネッセンス材料で形成したほうが大きな光の出力が得られる。よって、この場合でも保護層150は薄いほうが望ましい。なお、保護層150を周期構造(透光層)120と同じ材料を用いて形成してもよい。このとき、周期構造を有する透光層が保護層を兼ねる。透光層120の屈折率はフォトルミネッセンス層110よりも小さいことが望ましい。
[0151]
 [6.材料および製造方法]
 以上のような条件を満たす材料でフォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を構成すれば、指向性発光を実現できる。周期構造には任意の材料を用いることができる。しかしながら、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)や周期構造を形成する媒質の光吸収性が高いと、光を閉じ込める効果が低下し、ピーク強度およびQ値が低下する。よって、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を形成する媒質として、光吸収性の比較的低いものが用いられ得る。
[0152]
 周期構造の材料としては、例えば、光吸収性の低い誘電体が使用され得る。周期構造の材料の候補としては、例えば、MgF 2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF 2(フッ化カルシウム)、SiO 2(石英)、ガラス、樹脂、MgO(酸化マグネシウム)、ITO(酸化インジウム錫)、TiO 2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta 25(五酸化タンタル)、ZrO 2(ジルコニア)、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnS(硫化亜鉛)などが挙げられる。ただし、前述のとおり周期構造の屈折率をフォトルミネッセンス層の屈折率よりも低くする場合、屈折率が1.3~1.5程度であるMgF 2、LiF、CaF 2、SiO 2、ガラス、樹脂を用いることができる。
[0153]
 フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。一般に、無機材料をホストとする蛍光材料は屈折率が高い傾向にある。青色に発光する蛍光材料としては、例えば、M 10(PO 46Cl 2:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaMgAl 1017:Eu 2+、M 3MgSi 28:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M 5SiO 4Cl 6:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。緑色に発光する蛍光材料としては、例えば、M 2MgSi 27:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、SrSi 5AlO 27:Eu 2+、SrSi 222:Eu 2+、BaAl 24:Eu 2+、BaZrSi 39:Eu 2+、M 2SiO 4:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaSi 342:Eu 2+Ca 8Mg(SiO 44Cl 2:Eu 2+、Ca 3SiO 4Cl 2:Eu 2+、CaSi 12-(m+n)Al (m+n)n16-n:Ce 3+、β-SiAlON:Eu 2+を用いることができる。赤色に発光する蛍光材料としては、例えば、CaAlSiN 3:Eu 2+、SrAlSi 47:Eu 2+、M 2Si 58:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSiN 2:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSi 222:Yb 2+(M=SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、Y 22S:Eu 3+,Sm 3+、La 22S:Eu 3+,Sm 3+、CaWO 4:Li 1+,Eu 3+,Sm 3+、M 2SiS 4:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M 3SiO 5:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。黄色に発光する蛍光材料としては、例えば、Y 3Al 512:Ce 3+、CaSi 222:Eu 2+、Ca 3Sc 2Si 312:Ce 3+、CaSc 24:Ce 3+、α-SiAlON:Eu 2+、MSi 222:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M 7(SiO 36Cl 2:Eu 2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。
[0154]
 量子ドットについては、例えば、CdS、CdSe、コア・シェル型CdSe/ZnS、合金型CdSSe/ZnSなどの材料を用いることができ、材質によって様々な発光波長を得ることができる。量子ドットのマトリクスとしては、例えば、ガラスや樹脂を用いることができる。
[0155]
 図1C、1Dなどに示す透明基板140は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い透光性材料によって構成される。そのような材料として、例えば、MgF(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF 2(フッ化カルシウム)、SiO 2(石英)、ガラス、樹脂が挙げられる。
[0156]
 続いて、製造方法の一例を説明する。
[0157]
 図1C、1Dに示す構成を実現する方法として、例えば、透明基板140上に蛍光材料を蒸着、スパッタリング、塗布などの工程によってフォトルミネッセンス層110の薄膜を形成し、その後、誘電体を成膜し、フォトリソグラフィなどの方法によってパターニングすることによって周期構造120を形成する方法がある。上記方法の代わりに、ナノインプリントによって周期構造120を形成してもよい。また、図24に示すように、フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成してもよい。その場合、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されることになる。
[0158]
 図1A、1Bに示す発光素子100は、例えば、図1C、1Dに示す発光素子100aを作製した後、基板140からフォトルミネッセンス層110および周期構造120の部分を剥がす工程を行うことで実現可能である。
[0159]
 図19Aに示す構成は、例えば、透明基板140上に半導体プロセスやナノインプリントなどの方法で周期構造120aを形成した後、その上にフォトルミネッセンス層110を構成する材料を蒸着やスパッタリングなどの方法で形成することによって実現可能である。あるいは、塗布などの方法を用いて周期構造120aの凹部をフォトルミネッセンス層110で埋め込むことによって図19Bに示す構成を実現することもできる。
[0160]
 なお、上記の製造方法は一例であり、本開示の発光素子は上記の製造方法に限定されない。
[0161]
 [実験例]
 以下に、本開示の実施形態による発光素子を作製した例を説明する。
[0162]
 図19Aと同様の構成を有する発光素子のサンプルを試作し、特性を評価した。発光素子は以下の様にして作製した。
[0163]
 ガラス基板に、周期400nm、高さ40nmの1次元周期構造(ストライプ状の凸部)を設け、その上からフォトルミネッセンス材料であるYAG:Ceを210nm成膜した。この断面図のTEM像を図25に示し、これを450nmのLEDで励起することでYAG:Ceを発光させたときの、正面方向のスペクトルを測定した結果を図26に示す。図26には、周期構造がない場合の測定結果(ref)と、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードと、垂直な偏光成分を持つTEモードを測定した結果について示した。周期構造がある場合は、周期構造がない場合に対して、特定の波長の光が著しく増加していることが見て取れる。また、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードの方が、光の増強効果が大きいことが分かる。
[0164]
 さらに、同じサンプルにおいて、出射光強度の角度依存性を測定した結果および計算結果を図27および図28に示す。図27は、1次元周期構造(周期構造120)のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させた場合について、図28は、1次元周期構造(即ち、周期構造120)のライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合についての測定結果(上段)および計算結果(下段)を示している。
[0165]
 また、図27および図28のそれぞれにおいて、TMモードおよびTEモードの直線偏光についての結果を示しており、図27(a)はTMモード、図27(b)はTEモード、図28(a)はTEモード、図28(b)はTMモードの直線偏光についての結果をそれぞれ示している。図27および図28から明らかなように、TMモードの方が増強する効果が高く、また増強される波長は角度によってシフトしていく様子が見て取れる。例えば、610nmの光においては、TMモードでかつ正面方向にしか光が存在しないため、指向性かつ偏光発光していることがわかる。また、各図の上段と下段とが整合していることから、上述の計算の妥当性が実験によって裏付けられた。
[0166]
 上記の測定結果から例えば、610nmの光において、ライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合の強度の角度依存性を示したのが図29である。正面方向に強い発光増強が起きており、そのほかの角度に対しては、ほとんど光が増強されていない様子がみてとれる。正面方向に出射される光の指向角は15°未満であることがわかる。なお、指向角は、強度が最大強度の50%となる角度であり、最大強度の方向を中心に片側の角度で表す。つまり、指向性発光が実現していることがわかる。さらにこれは、全てTMモードの成分であるため、同時に偏光発光も実現していることがわかる。
[0167]
 以上の検証は、広帯域の波長帯で発光するYAG:Ceを使って実験を行ったが、発光が狭帯域のフォトルミネッセンス材料で同様の構成としても、その波長の光に対して指向性や偏光発光を実現することができる。さらに、この場合、他の波長の光は発生しないために他の方向や偏光状態の光は発生しないような光源を実現することができる。
[0168]
 [7.フォトルミネッセンス層の表面を覆う平坦化層を設ける実施形態]
 以下、フォトルミネッセンス層の光出射側の表面粗さ(即ち、微細な凹凸)を低減するために、フォトルミネッセンス層の表面に平坦化層を設ける形態について説明する。
[0169]
 上述したように、フォトルミネッセンス層は、蛍光材料、燐光材料、量子ドットなどのフォトルミネッセントな発光材料から形成される。例えば、YAG:Ce系の蛍光材料をフォトルミネッセンス層に用いる場合、基板上にYAG薄膜を形成した後、1000℃~1200℃の高温で熱処理が行われる。この熱処理は、YAG薄膜を結晶化させ、蛍光を効率的に生じさせるために行われる。
[0170]
 ただし、このような高温での熱処理を行うと、結晶成長が生じることなどによって、フォトルミネッセンス層(即ち、上記のYAG薄膜)の表面粗さが増大したり、フォトルミネッセンス層の表面にひび割れ(クラック)が発生する場合がある。フォトルミネッセンス層の表面が荒れた状態にあると、発光素子から出射される光の指向性および出射効率が低下するおそれがある。
[0171]
 図31(a)および(b)は、1200℃で熱処理を行ったYAG薄膜の表面の原子間力顕微鏡像を示す。図31(a)および(b)に示されるように、熱処理を行った後の状態において、フォトルミネッセンス層の表面粗さは比較的大きいものであることがわかる。また、フォトルミネッセンス層の表面に、クラックが形成されていることがわかる。このように表面が荒れていると、表面で光が散乱されやすくなり、指向性を有する光を出射させにくくなる。
[0172]
 また、フォトルミネッセンス層の屈折率と、フォトルミネッセンス層の光出射面外側の媒質の屈折率との差が大きい場合、これらの界面において全反射が生じやすい。屈折率差が大きいほど、臨界角が小さくなり、全反射される光も増加するからである。したがって、同じ面粗さの程度であっても、フォトルミネッセンス層と外側の媒質との屈折率差がより大きい場合には、出射光への影響がより大きくなることが懸念される。
[0173]
 そこで、フォトルミネッセンス層表面の二乗平均粗さRqと、フォトルミネッセンス層の屈折率n wav(=n wav-a)と外側媒質(ここでは、後述する平坦化層)の屈折率n2との差である屈折率差ndとの積Rq×ndを、フォトルミネッセンス層表面における界面の特性を示す指標の1つとして用いることができる。Rq×ndを小さくすることによって、高い指向性を有する光を効率よく出射することができる。
[0174]
 例えば、図30に示す構造(スラブ型導波路)において、フォトルミネッセンス層の屈折率が1.8であり、フォトルミネッセンス層表面の二乗平均粗さRqが10nmである場合、光を出射させる側の媒質が空気であるとすると、Rq×nd=10×(1.8-1.0)=8.0である。なお、本発明者らの実験によれば、Rq×ndの値が約10以下であれば、望ましい指向性を持つ光を出射させることができることが分かっている。
[0175]
 上記のYAG薄膜を用いる場合に限らず、種々のフォトルミネッセンス材料を用いる場合において、フォトルミネッセンス層の表面に大きな荒れが生じていると、指向性を有する光の出射に影響を及ぼす。例えば、フォトルミネッセンス層がRq×nd=10超となる場合、すなわち、屈折率差を0.8とするとRq=10/0.8=12.5nmを超える表面粗さ(平均二乗粗さRq)の場合、指向性を持つ光の出射に支障をきたすおそれがある。
[0176]
 表面粗さRqを低減するためには、フォトルミネッセンス層の表面を研磨(例えば、CMP:Chemical Mechanical Polishing)することが考えられる。しかし、このような方法を用いることは、フォトルミネッセンス層の特性が加工により低下し、さらにコストや生産性の観点から望ましくない。また、フォトルミネッセンス層の厚さは例えば200nm程度であるので、研磨によって表面の凹凸のみを削って平坦化することが困難な場合もある。
[0177]
 そこで、本実施形態では、より容易なプロセスによって表面粗さの影響を軽減するために、フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層を設けるとともに、この平坦化層を挟んでフォトルミネッセンス層の近傍に周期構造をサブミクロン構造としてを設ける構成を採用している。これにより、製造コストの増加を抑制しながら、指向性が高い光を効率よく出射させることが可能になる。
[0178]
 フォトルミネッセンス層の表面に平坦化層を設ける場合、その屈折率は、例えば、フォトルミネッセンス層の屈折率以下、かつ、周期構造を形成する透光層の屈折率以上に設定される。なお、後述するように、平坦化層が上記の透光層を兼ねてもよく、この場合、平坦化層の表面に周期構造が形成され、周期構造の屈折率と平坦化層の屈折率とが同じである。また、平坦化層は、フォトルミネッセンス層と同じ材料から形成されていてもよく、この場合、平坦化層の屈折率はフォトルミネッセンス層の屈折率と実質的に同じである。
[0179]
 上述のように、フォトルミネッセンス層と平坦化層との屈折率差ndが小さい方が、界面での全反射を低減できる。このため、平坦化層を形成する材料として、フォトルミネッセンス層の屈折率に近い屈折率を有する材料を選択してもよい。例えば、フォトルミネッセンス層の材料としてYAG:Ce(n=1.80)を用い、平坦化層の材料としてMgO(n=1.74)を用いてもよい。
[0180]
 なお、平坦化層は、例えば、スピンコート法などによってフォトルミネッセンス層上に樹脂層を形成することによって得ることができる。また、周期構造は、ナノインプリント技術(熱・UV・電界)、ドライエッチング、ウエットエッチング、レーザー加工を用いて形成されていてよい。
[0181]
 また、上記の[5-7.保護層を有する構成]において説明した保護層150(図23参照)を設ける形態と同様に、平坦化層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも低い場合、平坦化層を比較的薄くしてもよい。例えば、平坦化層をフォトルミネッセンス層における発光波長の半分以下の厚さで形成してもよい。なお、平坦化層とは別個に設けられ平坦化層を覆う透光層が、周期構造の下に基部(即ち、層状の部分)を有している場合、この透光層の基部の厚さと平坦化層の厚さとの合計が、発光波長の半分以下であってもよい。このように平坦化層の厚さを適切に設定することによって、擬似導波モード形成のために周期構造を適切に作用させ、指向性の高い光を効率的に出射させることができる。なお、発光波長は、フォトルミネッセンス層で発せられた光の空気中での波長λ aをフォトルミネッセンス層の屈折率n wav-aで割った値λ a/n wav-aに対応する。
[0182]
 以下、フォトルミネッセンス層の表面を覆う平坦化層を設ける種々の具体的な形態について説明する。
[0183]
 図32(a)は、発光素子が、フォトルミネッセンス層110の表面を覆う平坦化層160と、平坦化層160上に設けられた透光層120とを含む形態を示す。平坦化層160は、フォトルミネッセンス層110と、透光層120に設けられた周期構造120A(即ち、サブミクロン構造)との間に配置されている。平坦化層160の下面はフォトルミネッセンス層110の上面に接しており、平坦化層160の上面は透光層120の下面に接している。
[0184]
 図32(a)に示す形態において、平坦化層160は、フォトルミネッセンス層110および透光層120とは異なる材料から形成されている。ここでは、平坦化層160の屈折率n2が、フォトルミネッセンス層110の屈折率n wav(例えば、1.8程度)以下であり、かつ、透光層120の屈折率n1(例えば、1.5程度)以上であるように平坦化層160の材料が選択されている(すなわち、n wav≧n2≧n1)。平坦化層160は、例えば、屈折率が1.6~1.7程度の透明樹脂層(高屈折率高分子層など)から形成されていてよい。なお、本実施形態において、フォトルミネッセンス層110、透光層120および平坦化層160の屈折率n wav、n1、n2は、フォトルミネッセンス層110が発し得る波長λ a(空気中)の光に対する屈折率をそれぞれ意味している。
[0185]
 このように、平坦化層160と透光層120とを異なる材料から形成する場合、それぞれの機能に適した材料を選定することができる。特に、平坦化層160をフォトルミネッセンス層110よりも低い屈折率を有する材料から形成する場合(すなわち、n2<n wav)には、フォトルミネッセンス層110の光出射側の表面粗さが比較的大きいときにも擬似導波モードが適切に形成されやすい。このため、フォトルミネッセンス層110の表面粗さの許容度を比較的大きく設定することが可能になる。
[0186]
 平坦化層160の厚さtは、フォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸を埋め込む部分を含まない部分(即ち、凹凸を構成する凸部の頂上よりも上に設けられる部分)の厚さとして規定される。つまり、平坦化層160の厚さtは、上記凹凸を構成する凸部の頂上から、周期構造120A(または透光層120)までの距離であり得る。このように規定される平坦化層160の厚さtは、例えば、1nm以上であり得る。平坦化層160によるフォトルミネッセンス層110の凹凸への埋め込みが完全である必要はなく、目的とする指向性を持った光の出射が行えればよい。このためには、平坦化層160が形成された後の表面のRqが12.5nm以下であり得る。
[0187]
 典型的には、平坦化層160の表面粗さは、フォトルミネッセンス層110の表面粗さよりも小さくなる。ただし、上述したRq×ndの値において、平坦化層160を設けることによって少なくとも外側媒質が空気である場合に比べて上記の屈折率差ndを小さくすることができる。このため、平坦化層160を設ければ、表面粗さRqがフォトルミネッセンス層と同程度であったとしても素子の指向性を向上させ得る。
[0188]
 このようにして平坦化層160によってフォトルミネッセンス層110の表面を平坦化し、フォトルミネッセンス層110と空気との屈折率差を低減し、その上に周期構造120Aを設けることで、周期構造120Aを、擬似導波モードを形成するためにより適切に作用させることができる。なお、周期構造120Aを構成する凸部の高さが20nm以上であれば、特定波長での発光強度を特に強めることができるため有利である。
[0189]
 図32(b)は、図32(a)に示したようにフォトルミネッセンス層110を覆う平坦化層160を設ける構成において、平坦化層160上に、周期構造120Aを含む透光層120をより厚く設ける形態を示す。この形態において、透光層120は、周期構造120Aを支持し、実質的に同じ厚さを有して面内を広がる部分であって、その厚さが比較的大きい基部(即ち、層状の部分)120Bを含む。基部120Bは、例えば、透光層120においてエッチングにより周期構造120Aを形成するときにエッチングで除去されなかった部分、または、ナノインプリント法により周期構造120Aを形成するときに型押しされなかった部分(残膜)であり得る。
[0190]
 図32(b)に示す構成において、フォトルミネッセンス層110の表面と、周期構造120Aの下面(ここでは、周期構造120Aが有する複数の凸部の底面、あるいは、複数の凸部の間に位置する露出面を含む面を指す)との間の距離が、比較的大きくなる。
[0191]
 ここで、フォトルミネッセンス層110の屈折率n wavよりも透光層120および平坦化層160の屈折率n1、n2が小さい場合、上記のように、フォトルミネッセンス層110のみが導波層を構成すると考えられる。このとき、周期構造120Aを擬似導波モードを形成するために適切に作用させるためには、平坦化層160の厚さと透光層120の基部120Bの厚さとの合計が、発光波長λ a/n wavの半分以下であることが望ましい。
[0192]
 透光層120および平坦化層160の屈折率n1、n2が、フォトルミネッセンス層110の屈折率neと同等以上である場合、フォトルミネッセンス層110で生じた光は、任意の入射角において全反射することなく平坦化層160および透光層120に侵入し得る。このため、基部120Bや平坦化層160が多少厚く形成されていても、周期構造の作用によって擬似導波モードが形成され得る。ただし、導波層の大部分をフォトルミネッセンス層110で形成したほうが大きな光の出力が得られるので、やはり透光層120の基部120Bおよび平坦化層160は薄いほうが望ましい。フォトルミネッセンス層110の上面から周期構造120Aの下面までに含まれる層の厚さは、例えば発光波長λ a/n wavの半分(λ a/2n wav)以下に設定されていてよい。
[0193]
 平坦化層160の屈折率n2がフォトルミネッセンス層110の屈折率n wavと同等であり、かつ、透光層120の屈折率n1が平坦化層160およびフォトルミネッセンス層110の屈折率n wav、n2よりも低い場合も考えられる。この場合には、透光層120の基部120Bの厚さを、発光波長λ a/n wavの半分以下に設定することが望ましい。
[0194]
 図32(c)は、図32(a)に示したようにフォトルミネッセンス層110を覆う平坦化層160を設け、平坦化層160の上に周期構造120Aを含む透光層120を設ける構成において、透光層120をフォトルミネッセンス層110と同じ材料から形成する形態を示す。また、図32(d)は、図32(c)と同様に、透光層120をフォトルミネッセンス層110と同じ材料から形成するとともに、図32(b)に示す形態と同様に、透光層120がの比較的厚い基部120B(即ち、層状の部分)を含む場合を示す。
[0195]
 図32(c)および(d)に示す形態では、フォトルミネッセンス層110と透光層120とは実質的に同じ屈折率を有している。この場合において、これらの間に介在する平坦化層160は、フォトルミネッセンス層110の屈折率n wavに近い屈折率を有する材料から形成されていてもよい。平坦化層160の材料としてフォトルミネッセンス層110(および透光層120)の屈折率n wavに近い材料を選択すれば、図32(d)に示す透光層120の基部120Bを導波層とすることで、指向性を有する光を出射させやすい。なお、平坦化層160の屈折率n2とフォトルミネッセンス層110の屈折率n wavとの差が大きい場合、フォトルミネッセンス層110の上面または平坦化層160の上面から周期構造120Aの底面までの距離を発光波長の半分以下に設定することが望ましい。
[0196]
 図32(e)は、フォトルミネッセンス層110の表面を覆う透光性の平坦化層160が、図32(a)~(d)に示した透光層120の基部と同等の機能を有する。すなわち、平坦化層160が基部としても用いられ、その表面に周期構造120A(およびこれを含む透光層120)が設けられている。この例では、周期構造160Aを構成する複数の凸部(およびその間の空気)の層が透光層である。
[0197]
 図32(f)は、図32(e)と同様に平坦化層160が透光層120を支持する基部としてフォトルミネッセンス層110の表面を覆っている構成例を示す。この例では、平坦化層160が、比較的厚く形成された基部として用いられている。
[0198]
 図32(e)および(f)に示す形態では、平坦化層160は、その上に形成された周期構造120Aを支持する基部として用いられている。そして、フォトルミネッセンス層110の表面の荒れを埋めるように配置されている。周期構造120Aは、平坦化層160と同じ材料から形成されている。
[0199]
 ここで、図32(e)に示すように、平坦化層160の基部は、フォトルミネッセンス層110の表面の面荒れを平坦化できる程度の最小限の厚さを有していればよい。基部の厚さは、フォトルミネッセンス層110の表面の状態などに応じて適切に設定されていれば良い。ここで、基部160Bの厚さは、上述のように、凹凸を有するフォトルミネッセンス層110表面の凸頂部から周期構造120Aの底面までの距離を意味している。このときの厚さは、例えば1nm以上であり得る。
[0200]
 図32(f)に示すように、平坦化層160の厚さtは、より厚く形成されていてもよい。ただし、平坦化層160の屈折率n2がフォトルミネッセンス層110の屈折率neよりも小さい場合、基部160Bの厚さは、発光波長λ a/n wavの半分以下に設定され得る。
[0201]
 図32(g)は、図32(e)および(f)と同様に、フォトルミネッセンス層110の表面を覆う平坦化層160が透光層120を支持する基部としても用いられ、かつ、平坦化層160がフォトルミネッセンス層110と同じ材料から形成されている場合の例を示す。この場合も、図32(e)および(f)に示した形態と同様に、平坦化層160上には周期構造120Aが設けられている。即ち、平坦化層160は、周期構造120Aを支持し、所定以上の厚さを有する基部を含んでいる。この形態において、フォトルミネッセンス層110の屈折率と平坦化層160の屈折率とは実質的に同じであるので、平坦化層160の基部の厚さは特に制限されない。また、図32(g)に示す構成では、平坦化層160とフォトルミネッセンス層110との間の界面で屈折率差による光散乱が生じることが防止される。したがって、光損失が少なくなり、結果として光増強効果を高めることができる。
[0202]
 このように、平坦化層160をフォトルミネッセンス層110と同じ材料から形成する場合、平坦化層160においても励起光の吸収によって発光が生じ得る。したがって、平坦化層160を、フォトルミネッセンス層110に積層された更なるフォトルミネッセンス層と考えることもできる。この場合、平坦化層160とフォトルミネッセンス層110とを含む導波層において、擬似導波モードが形成されてもよい。
[0203]
 また、図33(a)~(f)に示すように、図32(a)~(f)を用いて説明した形態において、発光素子が、フォトルミネッセンス層110を支持するための基板140をさらに備えていてもよい。基板140によって支持されたフォトルミネッセンス層110の上面には、図32(a)~(f)に示した形態と同様に、平坦化層160および/または透光層120が設けられる。透光層120の表面(または、平坦化層160が透光層120を兼ねる場合には平坦化層160の表面)には、周期構造120Aが設けられている。
[0204]
 基板140が設けられている場合、基板140の屈折率n とフォトルミネッセンス層の屈折率n wavとは、擬似導波モードが形成される条件(フォトルミネッセンス層110と基板140との界面においてフォトルミネッセンス層110内の光が全反射し得る条件)を満足するように設定されることが求められる。具体的には、基板140を設ける場合、基板140の屈折率n とフォトルミネッセンス層110の屈折率n wavとが、n <n wavを満足するような関係にあればよい。これにより、フォトルミネッセンス層110と基板140との界面で全反射が生じ得る。
[0205]
 以下、図34(a)~(f)を参照しながら、図33(g)に示した形態の製造方法を説明する。ここでは、一例として、ナノインプリント法によって平坦化層160(透光層120の基部)の上に周期構造120Aを形成する例を説明する。
[0206]
 図34(a)に示すように、まず、屈折率n を有する基板140上に、フォトルミネッセンス層材料を堆積する。そして、例えば、1000℃~1200℃で熱処理を行う。これにより、励起光により発光することができるフォトルミネッセンス層110が形成される。このとき、フォトルミネッセンス層110の表面は、結晶成長などによって比較的大きい粗度を有するようになる。
[0207]
 次に、図34(b)に示すように、例えば有機金属溶液等を含む平坦化材料160’を、フォトルミネッセンス層110の表面の凹凸を埋めるように付与する。その後、図34(c)に示すように、平坦化材料160’に含まれる溶剤を揮発させるためのプリベーク工程を行う。本例では、平坦化材料160’は、フォトルミネッセンス層110を形成するための材料と同じ材料から形成されている。
[0208]
 さらに、図34(d)に示すように、平坦化材料160’に対して、モールド(型)165を加圧により押し当て、平坦化材料160’の表面形状をモールド165の形状に変化させる(転写する)。その後、図34(e)に示すように離型処理を行うことによって、平坦化層160および平坦化層160上に設けられた周期構造120Aを得る。即ち、平坦化層160および周期構造120Aを同時に一体に形成することができる。
[0209]
 さらに、図34(f)に示すように、平坦化層160がフォトルミネッセンス層110と同じ材料から形成されている場合には、焼成プロセスが行われ得る。これは、プリベーク後の薄膜(平坦化材料160’)に含まれる有機物を分解してアモルファス膜を得るために、あるいは、平坦化層160をフォトルミネッセンス層110と同等の温度で結晶化させるために行われる。
[0210]
 なお、図34(d)に示した型押し工程は、図34(c)に示したプリベーク工程の前、あるいは、プリベーク工程と同時に行われてもよい。図33(e)(f)に示した形態も、平坦化層160および周期構造120Aがフォトルミネッセンス層110と異なる材料から形成されている以外は、同様に製造することができる。
[0211]
 このように、フォトルミネッセンス層110の表面の荒れを低減する平坦化層160の上に周期構造を設けることによって、フォトルミネッセンス層110の表面における散乱や全反射を防止し、また、周期構造を適切に作用させることができる。このため、出射効率を高めながら指向性の高い光を出射させることができる。また、本実施形態では、フォトルミネッセンス層110と平坦化層160とが、凹凸を持つ界面によって接合されており、これらの層の密着性が高い。このため、発光素子としての機械的な強度を向上し得る。
[0212]
 以上に説明した発光素子において、平坦化層160および周期構造120Aの材料としては、上述の実施形態で説明したフォトルミネッセンス層110と同じ材料を用いることができる。また、その他の材料としては、例えば、屈折率の低いMgF 2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF 2(フッ化カルシウム)、SiO 2(石英)、ガラス、樹脂、MgO(酸化マグネシウム)、ITO(酸化インジウム錫)、TiO 2(酸化チタン)、SiNx(窒化シリコン)、TaO 2(二酸化タンタル)、Ta 25(五酸化タンタル)、ZrO 2(ジルコニア)、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnS(硫化亜鉛)、MgF 2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF 2(フッ化カルシウム)、BaF 2(フッ化バリウム)、SrF 2(フッ化ストロンチウム)、樹脂、ナノコンポジット樹脂、HSQ・SOGなどのシルセスキオキサン[(RSiO 1.5n]が挙げられる。樹脂としては、例えばアクリル系やエポキシ系の樹脂で、UV硬化や熱硬化性のものを用いることができる。ナノコンポジット樹脂としては、屈折率を向上させるためにZrO 2(ジルコニア)、SiO 2(シリカ)、TiO 2(チタニア)、Al 23(アルミナ)などを用いることができる。

産業上の利用可能性

[0213]
 本開示の発光素子によれば、指向性を有する発光装置を実現できるため、例えば、照明、ディスプレイ、プロジェクターといった光学デバイスに適用可能である。

符号の説明

[0214]
 100,100a  発光素子
 110  フォトルミネッセンス層(導波層)
 120,120’,120a,120b,120c  透光層(周期構造、サブミクロン構造)
 140  透明基板
 150  保護層
 160  平坦化層
 180  光源
 200  発光装置

請求の範囲

[請求項1]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に形成され、サブミクロン構造を有する透光層と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、隣接する凸部間または凹部間の距離をD intとし、前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとすると、λ a/n wav-a<D int<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[請求項2]
 前記サブミクロン構造は、前記平坦化層とは異なる材料から形成されている、請求項1に記載の発光素子。
[請求項3]
 前記第1の光に対する、前記サブミクロン構造の屈折率をn1とし、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n1≦n2≦n wav-aを満たす、請求項2に記載の発光素子。
[請求項4]
 前記サブミクロン構造は、前記フォトルミネッセンス層と同じ材料から形成されている、請求項2または3に記載の発光素子。
[請求項5]
 前記透光層は、前記平坦化層と接する基部を含み、前記平坦化層の厚さと前記基部の厚さとの合計が、前記λ a/n wav-aの半分以下である、請求項2から4のいずれかに記載の発光素子。
[請求項6]
 前記サブミクロン構造は、前記平坦化層と同じ材料から形成されている、請求項1に記載の発光素子。
[請求項7]
 前記第1の光に対する、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n2=n wav-aを満たす、請求項1から5のいずれかに記載の発光素子。
[請求項8]
 前記第1の光に対する、前記平坦化層の屈折率をn2とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとしたとき、n2<n wav-aを満たす、請求項1から6のいずれかに記載の発光素子。
[請求項9]
 前記平坦化層は、前記透光層を支持し前記フォトルミネッセンス層と接する基部を有し、前記基部の厚さが、前記λ a/n wav-aの半分以下である、請求項6から8のいずれかに記載の発光素子。
[請求項10]
 前記平坦化層は、前記フォトルミネッセンス層と同じ材料から形成されている、請求項7に記載の発光素子。
[請求項11]
 前記フォトルミネッセンス層を支持する透光性基板であって、前記フォトルミネッセンス層の前記平坦化層が設けられた側とは反対側に配置された透光性基板をさらに備える、請求項1から10のいずれかに記載の発光素子。
[請求項12]
 前記第1の光に対する、前記透光性基板の屈折率をn とし、前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとするとき、n <n wav-aを満足する、請求項11に記載の発光素子。
[請求項13]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に形成され、サブミクロン構造を有する透光層と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[請求項14]
 フォトルミネッセンス層と、
 前記フォトルミネッセンス層と接し、前記フォトルミネッセンス層の表面を覆う透光性の平坦化層と、
 前記平坦化層上に設けられ、前記平坦化層とは異なる材料から形成された透光層と、
 前記透光層の一部に設けられたサブミクロン構造と、を有し、
 前記サブミクロン構造は、複数の凸部または複数の凹部を含み、
 前記フォトルミネッセンス層が発する光は、空気中の波長がλ aの第1の光を含み、
 前記サブミクロン構造は、少なくとも前記複数の凸部または前記複数の凹部によって形成された少なくとも1つの周期構造を含み、
 前記第1の光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をn wav-aとし、前記少なくとも1つの周期構造の周期をp aとすると、λ a/n wav-a<p a<λ aの関係が成り立つ、発光素子。
[請求項15]
 前記サブミクロン構造は、前記複数の凸部と前記複数の凹部との双方を含む、請求項1から14のいずれかに記載の発光素子。
[請求項16]
 請求項1から15のいずれかに記載の発光素子と、
 前記フォトルミネッセンス層に励起光を照射する励起光源と、
を備える発光装置。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 1C]

[ 図 1D]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18A]

[ 図 18B]

[ 図 19A]

[ 図 19B]

[ 図 19C]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]

[ 図 34]