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1. WO2014185114 - 機能水生成装置

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明 細 書

発明の名称 機能水生成装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157  

符号の説明

0158  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 機能水生成装置

技術分野

[0001]
 この発明は、機能水生成装置に関し、詳しくは、イオン吸着電極を用いた機能水生成装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、機能水生成装置としては、イオン透過性の隔膜を挟んで2つの電極を配置し、塩水を電気分解して酸性水とアルカリ性水とを調製するものがある(例えば、特許3291054号(特許文献1)参照)。この機能水生成装置は、電極間を流れる水を電気分解することによって、アルカリ性水の層流と酸性水の層流とを形成し、それらを別々に取り出すことによって、アルカリ性水および酸性水を得る。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特許3291054号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ところが、上記従来の機能水生成装置は、pHメータを用いて正確な機能水の生成を行うものであって、機能水を効率よく生成するものではない。また、上記従来の機能水生成装置は、アノードにおける酸素ガスおよび水素イオン生成反応と、カソードにおける水素ガスおよび水酸イオン生成反応とが同時に行われるため、アノードおよびカソードの両方に、高価な白金等で覆われた電極が用いられていた。また、上記従来の機能水生成装置では、イオン透過性の隔膜を用いてpHが調整された水溶液の塩濃度が高くなって装置自体が腐食しやすいという問題がある。
[0005]
 そこで、電気二重層理論を用いたイオン吸着電極で水溶液中のイオンの吸脱着することによりpHなどの調整を行う機能水生成装置が提案されている。この機能水生成装置は、イオン吸着時に水溶液中のイオンが少なくなると、イオン吸着を効率よく処理できなくなったり、イオン脱離時にイオン吸着電極に吸着していたイオンが少なくなると、イオン脱離を効率よく処理できなくなったりするという問題がある。
[0006]
 そこで、この発明の課題は、イオンの吸脱着効率の低下を検知でき、水溶液中のイオン量やイオン吸着電極の吸着イオン量に応じてイオンの吸脱着を効率よく処理することが可能な機能水生成装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するため、この発明の機能水生成装置は、
 水溶液が収容される容器と、
 上記容器内に配置され、上記水溶液中のイオンの吸着および脱離が可能なイオン吸着電極と、
 上記容器内に上記イオン吸着電極と間隔をあけて対向するように配置された対極と、
 上記イオン吸着電極と上記対極との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
 上記電圧印加手段により上記イオン吸着電極と上記対極との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程または上記イオン吸着電極から上記水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程において、上記水溶液の導電率の変化率が変わる変化点を判定する変化点判定部と
を備えたことを特徴とする。
[0008]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記変化点は、上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点である。
[0009]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記イオン吸着電極と上記対極との間に印加された電圧および上記イオン吸着電極と上記対極との間に流れる電流に基づいて、上記水溶液の導電率を算出する導電率算出部を備え、
 上記変化点判定部は、上記導電率算出部により算出された上記水溶液の導電率に基づいて、上記導電率が非線形変化する変化点を判定する。
[0010]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記イオン吸着電極と上記対極との間に電圧が印加されてから上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部を備えた。
[0011]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記電圧印加手段が定電流源であって、
 上記変化点判定部は、上記イオン吸着電極と上記対極との間に印加された電圧が線形変化する線形変化期間の後に上記電圧が非線形変化する変化点を上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点とする。
[0012]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記電圧印加手段により上記イオン吸着電極と上記対極との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程において、上記イオン吸着電極と上記対極との間に流れた電流量に基づいて、上記水溶液から上記イオン吸着電極に吸着したイオン量を算出する吸着イオン量算出部を備えた。
[0013]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記吸着工程または上記脱離工程の開始点から上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点までの時間を計測する時間計測部と、
 上記イオン吸着電極と上記対極との間に印加された電圧と上記イオン吸着電極と上記対極との間に流れる電流および上記時間計測部により計測された上記時間に基づいて、緩衝作用イオン量を算出する緩衝作用イオン量算出部と
を備えた。

発明の効果

[0014]
 以上より明らかなように、この発明によれば、電圧印加手段によりイオン吸着電極と対極との間に電圧を印加してイオン吸着電極に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程(またはイオン吸着電極から水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程)において、変化点判定部により、水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に導電率が非線形変化する変化点を判定することによって、イオンの吸脱着効率の低下を検知でき、水溶液中のイオン量やイオン吸着電極の吸着イオン量に応じてイオンの吸脱着を効率よく処理することができる機能水生成装置を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 図1はこの発明の第1実施形態の機能水生成装置の基本構成を示す図である。
[図2] 図2はイオン濃度が異なる水道水と食塩水によるイオン吸着量の変化を示す図である。
[図3] 図3はプラスイオンの吸脱着時の導電率の変化を示す図である。
[図4] 図4はマイナスイオンの吸脱着時の導電率の変化を示す図である。
[図5] 図5はこの発明の第2実施形態の機能水生成装置の基本構成を示す図である。
[図6] 図6はこの発明の第3実施形態の機能水生成装置を用いた機能水生成システムの基本構成を示すブロック図である。
[図7] 図7はこの発明の第4実施形態の機能水生成装置を用いた機能水生成システムの基本構成を示すブロック図である。
[図8] 図8はこの発明の第5実施形態の機能水生成装置の基本構成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、この発明の機能水生成装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
[0017]
 〔第1実施形態〕
 図1はこの発明の第1実施形態の機能水生成装置の基本構成を示している。
[0018]
 この第1実施形態の機能水生成装置は、図1に示すように、水溶液が収容される容器の一例としての処理槽10と、処理槽10内に配置されたイオン吸着電極1と、処理槽10内にイオン吸着電極1と間隔をあけて対向するように配置された対極2と、イオン吸着電極1と対極2との間に直流電圧を印加する直流電源Eと、処理槽10内の水溶液の導電率を検出する導電率計11とを備えている。ここで、直流電源Eは、定電流源または定電圧源とする。
[0019]
 上記イオン吸着電極1は、多孔質の炭素材料(例えば活性炭)からなり、対極2は、溶解しない電極部材であればよく、カーボンなどでもよいが、水の電気分解が生じやすい金属(例えばPt,Au,Pd,Rh,Irの少なくとも1つの金属(または合金))が好適であり、例えばTiからなる電極の表面をPtで被覆したものでもよい。また、この実施の形態では、イオン吸着電極1および対極2は平板状としているが、電極材料や容器の形状に応じて適宜設定すればよい。
[0020]
 また、上記機能水生成装置は、直流電源Eの正極側が切替スイッチSW1を介してイオン吸着電極1と対極2に接続され、直流電源Eの負極側が切替スイッチSW2を介してイオン吸着電極1と対極2に接続されている。上記切替スイッチSW1,SW2を切り替えることにより、イオン吸着電極1が陽極(または陰極)になるように、かつ、対極2が陰極(または陽極)になるように、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加する。上記直流電源Eと切替スイッチSW1,SW2で電圧印加手段を構成している。
[0021]
 また、上記機能水生成装置は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置20を備えている。この制御装置20は、導電率計11により検出された水溶液の導電率に基づいて、切替スイッチSW1,SW2を制御することにより機能水生成処理を行う。
[0022]
 また、制御装置20は、処理槽10内の水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に水溶液の導電率が非線形変化する変化点を判定する変化点判定部20aと、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部20bを有する。ここで、導電率が線形変化する線形変化期間とは、導電率の変化率(単位時間あたりの変化)がほぼ一定である期間のことである。
[0023]
 この発明が適用される水溶液中のイオン濃度を制御可能な機能水生成装置は、水溶液中のイオンをイオン吸着電極1の表面とイオンとの間で電気二重層キャパシタを形成することにより、イオンをイオン吸着電極1の表面に吸着させることで、吸着させたイオン量に相当するイオンを水溶液中から減少させる。また、この機能水生成装置は、イオン吸着電極1の表面とイオンとの電気二重層キャパシタの形成を解消させることにより、イオン吸着電極1に吸着したイオンを水溶液中に放出して、水溶液中のイオン量を増加させることが可能である。
[0024]
 この機能水生成装置では、電気二重層キャパシタの形成時にイオン吸着電極1の内部では分極により、キャパシタ形成時の電荷が作られるが、この分極では逆電荷も生成される。この逆電荷は、処理電流として電極間に流れるために、この機能水生成装置では、設置されている電極は、カソード電極やアノード電極として構成されることになる。このため、これらの電極の一方がイオンの吸脱着が可能な電極で構成されることになるが、イオンの吸脱着を行う場合には、電極の極性反転を行う必要があり、対象とするイオンによって電極間に印加する電圧の極性が変化する。イオンの極性(プラスイオン、マイナスイオン)とイオンの吸脱着によるイオン吸着電極1の状態(カソードまたはアノード)を次の表1に示す。
[0025]
[表1]


[0026]
 上記表1に示すように、イオンの吸着時と脱着時においてイオン吸着電極1の極性が反転する必要がある。また、処理するイオンの電荷によって同じ吸着処理であってもイオン吸着電極1の極性は反転することになる。このため、どちらの電極をカソードにするかは、処理する内容やイオンの電荷により選択すると共に、印加する処理電圧を最適に選択する回路(SW1,SW2を含む)が必要である。
[0027]
 イオン吸着電極1に吸着されるイオンは、電極間に印加された電圧に応じて電極間を移動し、イオン吸着電極1近傍にて電気二重層を形成する。このため、水溶液中にイオンが十分存在する場合は、イオン吸着電極1の周辺にイオンが多く存在するため、電気二重層の形成が効率よく行われる。このとき、電気二重層を形成するエネルギーが、水の電気分解エネルギーより小さいために、処理電流に対しては電気二重層の形成が優先的に行われる。
[0028]
 イオン吸着電極1の周辺のイオン量が減少してくると、電気二重層の形成量も減少する。このため、電極間に流れる電流量に対して電気二重層の形成で消費される電流量が減少する。
[0029]
 このような電流量に対して電気二重層の形成で消費される電極間に一定の電流を流す定電流制御では、その減少分の電流量は水の電気分解で消費されるためにイオン吸着効率は低下する。また、電極間に一定の電圧を印加する定電圧制御でも、イオン吸着によるpH変化に比例して、水溶液の導電率が変化するために、水溶液全体の処理電流が増加することも相まって、イオン吸着効率が減少する。このため、電力効率のよい処理時間は、水溶液中のイオン濃度により異なることになる。
[0030]
 従来の機能水生成装置においては、生成する機能水のpH値等の仕様を一定に合わせるために、未処理の水溶液において一定以上のイオン濃度であれば、中性からのpH等の変動量は、イオン吸着量とは相関しているために処理電圧または処理電流を一定にするように、定電圧制御または定電流制御にて処理している。
[0031]
 このため、水溶液中のイオン濃度が高ければ、イオン吸脱着処理を終了した水溶液であっても、まだ処理効率の良い状態でイオン吸脱着処理を行うことが可能であった。また、水溶液中のイオン濃度が低ければ、処理後の水溶液は指定したイオン濃度の機能水として処理することができないため、pHメータを設置して生成した機能水が目的のイオン濃度になるように電圧または電流や流量を調整することにより、機能水生成時のイオン濃度を検出しつつ処理を行うものもあった。
[0032]
 この発明の目的は、最終的に必要な機能水のイオン濃度を測定することが目的ではなく、電力効率のよい状態でイオン吸脱着処理を行う機能水生成装置を提供することである。
[0033]
 機能水の生成において、pHおよび導電率の変化は水素イオンおよび水酸化イオンのイオン濃度と相関関係があり、中性から水素イオン濃度が高くなる(水酸化イオン濃度が低くなる)とpHは減少し、導電率は増加する一方、中性から水酸化イオン濃度が高くなる(水素イオン濃度が低くなる)とpHと導電率は増加する。
[0034]
 ここで、導電率はイオン量に比例し(但しpH7からの何れの方向に対しても導電率は増加)、この導電率の変動はイオン移動度に依存するため、水素イオンや水酸化イオンの量が多くなるほど導電率の変動は大きくなる。
[0035]
 また、電気二重層を用いたイオン吸脱着では、吸脱着したイオンの電荷の極性および電価数に応じて、プラスイオンなら水素イオンの量が増減し、マイナスイオンなら水酸化イオンの量が増減する。
[0036]
 イオン吸着電極1にて1価のイオンが吸脱着した場合には、対極2では吸着したイオンの極性による電子のやり取りが発生し、以下のいずれかの反応が起こる。
[0037]
 プラスイオンがイオン吸着電極1に吸着した場合の対極2では、
   OH  → 1/2 H O + 1/4 O  + e   …… (1)
   1/2 H O → H  + 1/4 O  + e   …… (1)’
となり、マイナスイオンがイオン吸着電極1に吸着した場合の対極2では、
   H  + e  → 1/2 H   …… (2)
   1/2 H O + e  → 1/2 H  + OH   …… (2)’
となる。
[0038]
 例えば、2価のプラスイオンがイオン吸着電極1に吸着した場合には、イオン吸着電極1内部の分極によりプラスイオンの電荷量に相当する2価分の電荷によりキャパシタを形成する。このときに残った電荷は、処理電流として流れる。この処理電流は、対極2の水の電気分解にて生成される。この時には、対極2側において酸素(O )が発生するために水酸化イオン(OH )が消費されるが、水素イオン(H )が生成される。水酸化イオン(OH )が1個消費する時には、電子が1個生成されるため、2価分の処理電流に対して2個の水素イオン(H )が生成されることになる。
[0039]
 一方、マイナスイオンの場合は、対極2側において、水素イオン(H )が消費され、水酸化イオン(OH )が生成されることとなり、水素イオン(H )が1個消費される時には電子が1個必要となるために、処理電流の電荷量に応じて水酸化イオン(OH )が生成される。
[0040]
 このために、吸脱着したイオンの電荷の極性および電価数に応じて、プラスイオンなら水素イオン(H )が、マイナスイオンなら水酸化イオン(OH )の量が増減する。イオン脱着の場合にも、対極2での水の電気分解の反応は吸着の場合と異なるが、電荷量と生成される水素イオン(H )または水酸化イオン(OH )の量は同電荷量となるので、同じように水素イオン(H )または水酸化イオン(OH )の増減が発生することになる。このため、pHおよび導電率は、プラスイオンやマイナスイオンのイオン吸着電極1への吸脱着電荷量と相関関係があることになる。
[0041]
 ここで、処理する水溶液中に十分なイオンが存在する場合は、イオン吸着電極1に吸脱着するイオンの量は、処理電流に比例する。このため、イオンの吸脱着の状況に応じて水溶液中のイオン量は一様な増減が行われることになる。ただし、水溶液中のイオン量またはイオン吸着電極1に吸着しているイオン量は有限であるために、一定量のイオン吸脱着処理を継続して行った場合には、処理に必要なイオンが不足する状況になる。このようなイオンが不足した状況では、図2に示す水道水のように、イオン吸脱着量も減少するために導電率の変化点が現れることになる。
[0042]
 図2はイオン濃度が異なる水道水(黒菱形◆)と食塩水(黒四角■)によるイオン吸着量の変化を示しており、図2において、横軸は処理時間[分]、縦軸はイオン吸着量[mol]を表す。
[0043]
 また、図2における処理条件は次のとおりである。
  水道水の容量 : 80mL(硬度50mg/L)
  食塩水の容量 : 80mL(濃度0.01mol/L、上記水道水に食塩を溶かしたもの)
  定電流制御  : 90mA、電極間距離18mm
  活性炭電極  : 活性炭電極シート(関西熱化学製:MSP-20、重量含有率92%、50×50×0.45mm)
[0044]
 図2において、食塩水は、イオン量が十分にあるので、変化点は現れていないのに対して、水道水は、処理時間が1~3分の期間でイオン吸着量が線形変化した後に非線形変化する変化点が現れている。
[0045]
 このため、このイオン吸着量の変化点を検出することにより、水溶液中のイオンの吸脱着処理が効率良く行われているか否かを判別することが可能となる。
[0046]
 実際のイオンの吸脱着時においては、水の特性を変化させるイオンは、水素イオン(H )および水酸化イオン(OH )以外となる。なぜならば、これら水素イオンと水酸化イオンの吸脱着では、対極2側で同じイオンの発生が起こるために、吸脱着による変化は、見掛け上、平衡状態になるためである。このため、ある程度イオンの吸脱着処理が進むと、吸脱着されるイオンの極性によって、水素イオンまたは水酸化イオンのその極性のイオンにおける構成比が徐々に増加するために、イオンの吸脱着効率は徐々に低下する傾向となる。水溶液中のイオン量を消費した場合の導電率の変化と比較すると、水素イオンと水酸化イオンに起因する導電率の変化率が小さいために、こちらの変化により導電率の変化点が見えなくなることはない。
[0047]
 また、水溶液中のイオンの吸脱着処理で、プラスイオンを吸着させる処理では、水素イオン(H )のイオン移動度が他のイオンと比較して非常に大きいために、他のプラスイオン吸着よりも水素イオンの吸着が優先されるために、イオン吸着電極1周辺の水素イオンの吸着がある程度行われてから他のプラスイオンの吸着が行われる。このため、導電率の変動が非常に小さい期間ができるので、この導電率の平衡状態の期間を除いて導電率が非線形変化する変化点を検出することにより、イオン吸脱着が効率よく行われているかをより精度よく行うことができる。この平衡期間が存在するのは、図3に示すプラスイオンの吸着時と、図4に示すマイナスイオンの脱着時であるため、この場合には、導電率が非線形変化する変化点の判定において上記平衡期間を除く必要がある。
[0048]
 また、上記以外に導電率が非線形変化する要因としては、水溶液中に含まれる炭酸イオンによる緩衝作用および溶液中に含まれる塩化物イオンによる影響も考えられる。炭酸イオンによる緩衝作用の場合においては、水素イオンと炭酸イオンとの結合により水中のイオンが減少する方向であるため、イオンの増加による導電率の増加減少は派生しないので、導電率が非線形変化する原因となる。また、水溶液中の塩化物イオンは、水酸化イオンよりイオン化傾向が小さいため、水溶液の電気分解を行った場合に水酸化イオンより先に塩素ガスを発生させる。塩素ガスは、溶液に溶存するとpHにより次亜塩素酸と塩酸に分離するが、この場合も、緩衝作用により大きくpHの変化が起きないため、水溶液中のイオンの増加の割合も水酸化イオンが電気分解した場合に比べて小さく、導電率の変動も小さくなるので、同様に導電率が非線形変化する原因となる。
[0049]
 図3,図4の処理条件は次のとおりである。
  水道水の容量 : 80mL(硬度50mg/L)
  定電流制御  : 90mA、電極間距離18mm
  活性炭電極  : 活性炭電極シート(関西熱化学製:MSP-20、重量含有率92%、50×50×0.45mm)
[0050]
 図3において、点線で示すプラスイオンの吸着時の導電率の線形変化期間T1は、処理時間2分~4分の間である。また、図4において、実線で示すマイナスイオンの吸着時の導電率の線形変化期間T2は、処理時間2分~5分の間である。
[0051]
 上記構成の機能水生成装置によれば、直流電源Eによりイオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加することによりイオン吸着電極1に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程(またはイオン吸着電極1から水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程)において、水溶液の導電率の変化率が変わる変化点を変化点判定部20aにより判定することによって、イオンの吸脱着効率の低下を検知できる。したがって、イオンの吸脱着効率が低下し始めたらイオンの吸脱着を終了することで、イオンの吸脱着効率が悪くなった状態で電極間に電流を流し続けることがなくなり、水溶液中のイオン量やイオン吸着電極の吸着イオン量に応じてイオンの吸脱着を効率よく処理することができる。
[0052]
 また、上記吸着工程(または脱離工程)において、水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点を変化点判定部20aにより判定することによって、イオンの吸脱着効率の低下を確実に検知できる。
[0053]
 また、直流電源Eが定電流源であるときにイオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化するまでの間、イオン吸着電極1へのプラスイオンの吸着時とイオン吸着電極1からのマイナスイオンの脱着時に導電率の変動が非常に小さい期間ができ、開始点判定部20bによりこの水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点を判定する。この電圧印加から線形変化期間の開始点までの期間は、変化点判定部20aが水溶液の導電率の変化点の判定を行わないことによって、水溶液の導電率が線形から非線形に変化する点を正確に判定することできる。
[0054]
 上記第1実施形態では、導電率を検出する導電率計11を用いたが、導電率と相関を有するpHを検出するpHメータを用いてもよい。この場合、pHメータにより検出された水溶液のpHに基づいて導電率の変化を求めて、変化点判定部により導電率が非線形変化する変化点を判定してもよい。
[0055]
 また、イオンの吸脱着を行うイオン極性の違いにより、時系列での導電率の変化の推移が異なるため、処理するイオンにより判定方法を最適化して精度の良いイオンの吸脱着処理を行うことができる。
[0056]
 特に、電圧印加手段で定電流制御を行った場合には、導電率計を設けることなく、印加電圧により導電率を同定することが可能となるため、定電圧制御の場合に必要な演算処理を行う必要が無くなる。
[0057]
 さらに、通常では水溶液中のイオン量以上を吸着できないが、イオン吸着電極に複数回連続して吸着させれば、水溶液中にあるイオン量以上のイオンを吸着させることができる。ただし、水溶液中のイオン量は場所によって一定ではないので、最適な印加電圧の制御は決めることができないため、最適な吸着条件で複数回の吸着を行うことが可能となる。また、イオン吸着電極へのイオン吸着処理が単独でも処理条件の最適化や、水溶液中から効率よくイオンを除去するという処理が容易に実現可能になる。
[0058]
 〔第2実施形態〕
 次に、この発明の第2実施形態の機能水生成装置について説明する。上記第1実施形態の機能水生成装置では、導電率計を用いて導電率が非線形変化する変化点を判断したが、この第2実施形態の機能水生成装置では、導電率計を用いずに導電率が非線形変化する変化点を検出する。
[0059]
 処理する水溶液中に十分イオンが存在する場合は、イオン吸着電極1に吸着するイオン吸着量は処理電流量に比例する。ただし、処理電流量がイオン吸着量を超えた値に設定された場合には、イオン吸着のみでは処理電流量を確保することができないために、イオン吸着電極1の表面で水の電気分解反応が起こることにより、不足分の電子の生成や電子の消費が行われ、処理電流の不足分が生成されることになる。このため、処理電流とイオン吸着量は以下の関係となる。
   (イオン吸着処理電流)+(水の電気分解電流) = 処理電流  …… (3)
[0060]
 上記式(3)の関係において、水溶液中のイオン濃度が十分高い場合は、水の電気分解電流の項は、両電極にて酸素(O )および水素(H )が水の構成比に比例して生成されるために、イオン濃度の増減は発生しない定数項となる。イオン吸着処理電流の項は、イオン吸着によりイオン濃度が変動する水素イオン(H )もしくは水酸化イオン(OH )以外のイオン吸着処理電流と、イオン濃度が変動しない水素イオン(H )もしくは水酸化イオン(OH )によるイオン吸着処理電流から構成されるため、上記式(3)は次の式(4)となる。
   (イオン濃度変動に関与するイオン吸着処理電流)
      +(イオン濃度変動に関与しないイオン吸着処理電流)
         +(水の電気分解電流) = 処理電流 …… (4)
[0061]
 上記式(4)のうちイオン濃度の変動に関与しない項は、定数項と仮定できるため、この式(4)は次の式(5)に同定できる。
   イオン濃度変動に関与するイオン吸着処理電流 = 処理電流の変動 …… (5)
[0062]
 このため、イオン濃度変動は、処理電流量の変動として検出可能となる。また、イオン濃度が変動することにより、水溶液の導電率も変動することとなる。この変化の割合は一定であるために、水溶液の導電率と処理電流から求まる処理電圧の変動でもイオン濃度の変動を検出することが可能となる。
[0063]
 次に、直流電源Eを定電流源とした場合について説明する。
[0064]
 図5はこの発明の第2実施形態の機能水生成装置の基本構成を示しており、この第2実施形態の機能水生成装置は、導電率計の代わりに電圧計,電流計を備えた点と制御装置の動作を除いて第1実施形態の機能水生成装置と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
[0065]
 この第1実施形態の機能水生成装置は、図5に示すように、水溶液が収容される容器の一例としての処理槽10と、処理槽10内に配置されたイオン吸着電極1と、処理槽10内にイオン吸着電極1と間隔をあけて対向するように配置された対極2と、イオン吸着電極1と対極2との間に直流電圧を印加する直流電源Eと、直流電源Eからイオン吸着電極1と対極2との間に印加される電圧を検出する電圧計21と、イオン吸着電極1と対極2との間に流れる処理電流を検出する電流計22とを備えている。ここで、直流電源Eが定電流源である場合は、電流計22は無くてもよく、また、直流電源Eが定電圧源である場合は、電圧計21は無くてもよい。
[0066]
 また、上記機能水生成装置は、直流電源Eの正極側が切替スイッチSW1を介してイオン吸着電極1と対極2に接続され、直流電源Eの負極側が切替スイッチSW2を介してイオン吸着電極1と対極2に接続されている。上記切替スイッチSW1,SW2を切り替えることにより、イオン吸着電極1が陽極(または陰極)になるように、かつ、対極2が陰極(または陽極)になるように、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加する。上記直流電源Eと切替スイッチSW1,SW2で電圧印加手段を構成している。
[0067]
 また、上記機能水生成装置は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置30を備えている。この制御装置30は、電圧計21により検出された直流電源Eの出力電圧および電流計22により検出された処理電流に基づいて、切替スイッチSW1,SW2を制御することにより機能水生成処理を行う。
[0068]
 また、制御装置30は、イオン吸着電極1と対極2との間に流れた電流量に基づいて水溶液の導電率を算出する導電率算出部30aと、処理槽10内の水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に導電率が非線形変化する変化点を判定する変化点判定部30bと、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部30cと、イオン吸着電極1に吸着したイオン量を算出する吸着イオン量算出部30dとを有する。
[0069]
 直流電源Eを定電流源とすることにより、水溶液中にイオンが十分存在すれば、一定の処理電流に対して一定のイオン吸脱着が行われる。このとき、イオン吸脱着により水溶液中のイオン濃度は変動することにより、水溶液の導電率が変動するので、定電流源の直流電源Eからの印加電圧が水溶液の導電率の変動と同じ挙動を示すことになる。このため、定電流制御では、印加電圧の変動に基づいて導電率の変動を検出することが可能となる。
[0070]
 上記構成の機能水生成装置によれば、イオン吸着電極1に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程(またはイオン吸着電極1から水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程)において、水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に導電率が非線形変化する変化点を変化点判定部30bにより判定することによって、イオンの吸脱着効率が低下し始めたらイオンの吸脱着を終了することで、イオンの吸脱着効率が悪くなった状態で電極間に電流を流し続けることがなくなり、イオンの吸脱着を効率よく処理することができる。
[0071]
 また、水溶液の導電率は、プラスイオンまたはマイナスイオンのイオン吸着電極1への吸脱着電荷量と相関関係を有するので、直流電源Eによりイオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧およびイオン吸着電極1と対極2との間に流れる電流に基づいて、導電率算出部30aにより水溶液の導電率を容易に算出することができる。
[0072]
 また、開始点判定部30cによりこの水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点を判定して、電圧印加から開始点までの間は、水溶液の導電率が非線形変化する変化点の判定を変化点判定部30bが行わないことによって、水溶液の導電率の変化点を正確に判定することできる。
[0073]
 また、上記イオン吸着電極1と対極2との間に一定の処理電流を流す定電流制御とすることにより、水溶液中にイオンが十分存在すれば処理電流に対して一定のイオン吸脱着が行われ、処理電流が変動することなく、イオン吸脱着により水溶液中のイオン濃度は変動して水溶液の導電率が変動するので、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧が導電率の変動と同じ挙動を示す。これにより、定電流制御では、印加電圧の変動に基づいて導電率の変動を検出することが可能となり、変化点判定部30bは、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧が線形変化する線形変化期間の後に電圧が非線形変化する変化点を導電率の変化点とする。したがって、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧に基づいて、水溶液の導電率が線形変化期間から非線形変化するときの変化点を容易に判定することができる。
[0074]
 また、直流電源Eによりイオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加することによりイオン吸着電極1に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程において、直流電源Eからイオン吸着電極1と対極2との間に流れた電流量に基づいて、イオン吸着電極1に吸着したイオン量を吸着イオン量算出部30dで正確に算出することができる。
[0075]
 ここで、直流電源Eが一定電流を出力する定電流源であるので、吸着イオン量算出部30dによって、イオン吸着電極1と対極2との間に流す一定電流と通電時間(水溶液の導電率の線形変化期間)との積である処理電流量を求めることにより、イオン吸着電極1に吸着したイオン量をより正確に算出することができる。
[0076]
 同様に、直流電源Eによりイオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加することによりイオン吸着電極1から水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程において、直流電源Eによりイオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧およびイオン吸着電極1と対極2との間に流れる電流に基づいて、イオン吸着電極1から脱離したイオン量を吸着イオン量算出部30dで正確に算出することができる。
[0077]
 なお、上記直流電源Eが一定電圧を出力する定電圧源とした場合は、吸着イオン量算出部30dによって、イオン吸着電極1と対極2との間に流す平均電流量と通電時間(水溶液の導電率の線形変化期間)との積である処理電流量を求めることにより、イオン吸着電極1に吸着したイオン量をより正確に算出することができる。
[0078]
 〔第3実施形態〕
 次に、この発明の第3実施形態の機能水生成装置について説明する。
[0079]
 従来の機能水生成装置は、イオン濃度が高い水溶液中において使用目的のpH等の仕様になった時点で一意に吸脱着処理を終了していた。これに対して、この発明の第3実施形態の機能水生成装置では、処理効率が高い状態で継続可能ならば、高効率を維持できる範囲で吸脱着処理を継続処理する。このようにして、吸脱着処理が継続された水溶液では、目的の機能水の仕様よりイオン量が大きく変動しているため、このままでは直接使用することはできない。
[0080]
 しかしながら、この第3実施形態の機能水生成装置では、吸脱着処理された水溶液に未処理の水溶液を加えて希釈することにより、目的のイオン濃度に調整することが可能であるため、処理槽10から水溶液を取水する際に未処理の水溶液と混合して使用する機構を備える。
[0081]
 また、この機能水生成装置は、未処理の水溶液との混合機能部分を装置内部に持たないで、装置外部にある未処理の水溶液の流路(または保持槽)に対して放出する機能のみを有するものでもよい。ただし、処理した水溶液と未処理の水溶液を混合する時の容量は、目的の水溶液の仕様により一意に決まるため、未処理の水溶液の容量を管理する装置を持つ必要がある。
[0082]
 以下に、pH4の機能水が必要な場合の一例を示す。
[0083]
 pH7の1L(リットル)の水道水中には、1×10 -7mol/Lの水素イオン(H )が存在する。最終的にpH4の1Lの機能水が欲しい場合には、100mLの処理槽10にてpH3の酸性水を生成して未処理の水道水900mLと混ぜることにより、pH4の1Lの機能水が生成できる。
[0084]
 ここで、
   pH3の処理水の水素イオン濃度 : 1×10 -3mol/L
   pH4の機能水の水素イオン濃度 : 1×10 -4mol/L
   pH7の水道水の水素イオン濃度 : 1×10 -7mol/L
であるから、
   pH4の機能水の水素イオン濃度 =
      {(1×10 -3mol/L × 100mL/1L)+(1×10 -7mol/L × 900mL/1L)}÷1L ≒ 1×10 -4mol/L
となり、目的のイオン濃度の機能水を生成できる。これは、アルカリ水のpH調整や、硬水や軟水といった硬度調整に関しても、イオン濃度または容量当たりのイオン量が決まれば同様に生成可能である。
[0085]
 上記の場合は、水素イオン(H )に注目しているが、イオン吸脱着においては、水素イオン(H )または水酸化イオン(OH )以外のイオンが増減すれば、そのイオンの総電荷量に比例して、プラスイオンなら水素イオン(H )が、マイナスイオンなら水酸化イオン(OH )が増減するため、イオンの総電荷量つまり処理電流量で計算可能となる。
[0086]
 図6はこの発明の第3実施形態の機能水生成装置を用いた機能水生成システムの基本構成を示すブロック図である。
[0087]
 この発明の機能水生成システムは、図6に示すように、未処理水溶液の分岐部101と、イオン吸着電極1(図1,図5に示す)による水溶液のイオンの吸脱着を行う処理槽102と、処理槽102で処理された水溶液と分岐部101からの未処理の水溶液を混合するための混合部103を設け、処理槽102,分岐部101,処理槽102および混合部103の制御を行う処理制御部110から構成されている。上記未処理水溶液の分岐部101は、未処理の水溶液を処理槽102と混合部103に流す。
[0088]
 上記処理槽102は、第1,第2実施形態の機能水生成装置のいずれかと同様の構成をしている。
[0089]
 また、機能水生成装置内に設置された異なった極性の電極の一方がイオン吸着電極1であり、他方が対極2であり、対極2側はPt電極で構成される。ただし、各電極は1枚構成の必要はなく、複数に分割を行う場合もある。また、各電極は、処理槽102内に入れられた水溶液(水道水や水道水に助剤を溶かしたもの、または専用液)の中に全体が沈み込むように設置する。電極全体が沈み込まなくても問題ないが、この場合はイオン吸着電極1の吸脱着面積が小さくなる。
[0090]
 水溶液として各地域の水道水を使用する場合など、地域の水道水ごとにイオン濃度が異なる。したがって、水溶液中に含まれるイオン量が地域ごとに異なるので、イオン量に応じて、効率よく処理できる処理時間は地域ごとに異なる。このため、地域のイオン量に応じた処理時間で、処理槽102内の水溶液を処理により機能水の生成を行う。
[0091]
 処理槽102にて生成された機能水は、目標のイオン制御量より多いイオン量の変動があるため、最終的には目標イオン量となるように、未処理の水溶液を混合部103で混合して希釈し、目標仕様の機能水の生成を行う。
[0092]
 図6に示す構成図は、取り出したときの機能水の仕様を一定に保つための構造であるが、使用時に別の槽に溜めた状態で処理を行うことが可能なシステムでは、混合部103をなくした構造や、処理槽102を通して未処理の水溶液を排出する構造にすることで、システム構成を簡略化させることができる。
[0093]
 この発明の機能水生成装置において、最終的に必要な水溶液の量が決まっている場合には、処理槽102に水溶液を必要以上に保持して処理する必要はないため、機能水生成装置にイオン濃度測定機能を設けることにより、水溶液中のイオン量を検出することが可能となる。水溶液中のイオン量が検出できれば、最小限必要な水溶液量が逆計算可能となるため、余分な量の水溶液に対してイオン吸脱着処理を行う必要がなくなる。
[0094]
 〔第4実施形態〕
 図7はこの発明の第4実施形態の機能水生成装置を用いた機能水生成システムの基本構成を示すブロック図である。この第4実施形態の機能水生成システムは、排水部104を除いて第3実施形態の機能水生成システムと同一の構成をしている。また、処理槽102には、イオン量を算出する機能を備えた第2実施形態の機能水生成装置と同様の構成とする。
[0095]
 水溶液のイオン濃度が低い場合には、水溶液のイオン濃度を薄くする方には有利に働くが、イオン量を増加させようとしても、水溶液中のイオン量以上のイオンを吸着することができないため、吸着したイオン以上の量を脱着してイオン制御することはできない。しかし、1回の処理で水溶液から吸着できるイオン量が少ない場合でも、吸着処理のみを水溶液を交換しながら複数回処理することにより、イオン濃度制御に必要なイオン量をイオン吸着電極1に吸着することができる。
[0096]
 そこで、この第4実施形態の機能水生成装置では、まず未処理の水溶液を処理槽102に入れ、水溶液中のイオン吸着処理を行う。イオン濃度が高い水溶液では、1回の吸着処理で必要なイオン量以上の吸着が可能であるが、イオン濃度が低い場合はこのイオン吸着処理だけでは必要なイオン量を吸着することはできない。通常の処理では、処理した水溶液を排出後に未処理の水溶液と交換し、交換した水溶液に対してイオンの脱着を行うが、このまま処理を行うと、吸着したイオン量が少ないため、目標仕様の機能水の生成を行うことができない。
[0097]
 このため、上記第4実施形態の機能水生成装置では、イオン脱離処理を行なわずに、連続してイオン吸着処理を行うことで、前回のイオン吸着量に加算してイオン吸着電極1に吸着するイオン量を増やすことが可能となる。このイオン吸着処理を、必要なイオン量が吸着するまで複数回行う。必要なイオン量が吸着した時点でイオン吸着処理を終了し、処理済みの水溶液を処理槽102から排水部104を介して排出して、処理槽102に未処理の水溶液を入れて交換する。この交換した水溶液に対して、再びイオン吸着電極1に吸着したイオンを脱着させると、処理後の水溶液は目的の仕様の機能水となる。
[0098]
 この機能水生成装置では、連続したイオン吸着処理の際に発生した処理済みの水溶液が必要な場合は、混合部103に対して流路を開き、不必要な場合は排水部104に流路を開いて排出する構成としている。
[0099]
 処理済みの水溶液に対して希釈を行う未処理の水溶液は、機能水生成装置の取出口で一定仕様にする必要がなければ、機能水生成装置内を経由する必要が無くなる。特に未処理の水溶液を単体で使用するシステム等に取り付ける場合は、処理槽102で処理された水溶液を必要な量だけ投入できるシステムであれば問題ないので、処理の水溶液を混合する機能や、混合比率を計算して混合量の制御機能を外部に設けることによりシステムの小型化が可能になる。
[0100]
 上記第1~第4実施形態の機能水生成装置では、導電率が非線形変化する変化点を検出したが、pHメータを用いて水溶液のpHを検出して、導電率と相関を有するpHが非線形変化する変化点を検出するようにしてもよい。
[0101]
 また、上記第3,第4実施形態の機能水生成システムは、静水型であるため、イオン吸着性能がよく、最終的に必要な容量以上の処理槽を持つ必要がなく、処理槽で機能水を生成している場合においても、洗浄などの処理槽にてある程度処理時間を必要とする処理にいても、並行して機能水を生成することができる。また、電気二重層を用いてイオン濃度を調整する装置においては、電気二重層を形成する電流以上の処理電流を流した場合には、水の電気分解が発生してしまうために電力効率が落ちる。このため、処理時間を早くするために処理電流を増やすと処理効率が低下するという問題があるが、処理タンクを用いたバッチ処理にて並列処理を行えるために、効率良く処理することが可能となる。
[0102]
 水道水等の水溶液中のイオン濃度が比較的低い水溶液において、電気二重層によるイオン吸着を行う場合に、電気二重層の形成に必要なイオン濃度が十分あれば、処理電流と吸着イオン量には相関関係が存在する。イオン濃度が低下した場合には、相関直線より傾きが離れるため、相関直線から乖離した時点までの総電流量、もしくは、平均処理電流量と処理時間により水溶液中のイオン濃度が測定可能となる。
[0103]
 また、水素イオンが電気二重層の形成に影響がある場合には、電極周辺のイオン移動度の高い水素イオンの吸着が先行し、その後にイオン移動度の低い水素イオン以外のイオンの吸着が行われた時点で、通常のイオン濃度の変化が行われる。このため、水素イオン吸着時の平衡状態の処理時間を除いて測定することで、水溶液中のイオン濃度が測定可能となる。
[0104]
 機能水の生成において、導電率の変化は水素イオンおよび水酸化イオンのイオン濃度と相関関係がある。電気二重層を用いたイオンの吸脱着では、吸脱着したイオンの電荷の極性および電価数に応じて、プラスイオンなら水素イオンが、マイナスイオンなら水酸化イオンの量が増減する。このため、導電率は、プラスイオンまたはマイナスイオンのイオン吸着電極1への吸脱着電荷量と相関関係があることになる。例えば、イオン吸着電極1と対極2との間に流す処理電流を一定にすれば、処理電流量とイオンの吸脱着量は相関関係があるため、水溶液中にイオンが十分存在すればイオン吸着量は一定となり、イオン吸着電極1にイオンが十分存在すればイオン脱着量は一定となる。また、導電率とイオンの吸脱着量と相関関係があることから、導電率の変化も一定となる線形変化期間において、処理電流を一定にして変化する電圧からイオンの吸脱着電荷量を計算することが容易にできる。
[0105]
 また、イオン吸着が効率よく行われているか否かの判定は、イオン吸着電極1周辺のイオン濃度が高い状況では、イオン吸着量/入力電流量の変数値がほぼ一定となるが、イオン濃度が低下すると変数値が小さくなるため、この値の変動を監視することでイオンの吸脱着状態の効率を検出できる。イオン吸着量と導電率は相関関係があるので、導電率の変化を監視することで、吸着効率を監視することが可能となる。
[0106]
 また、定電流制御にてイオンの吸脱着処理を行うと、導電率の変化がイオン吸着電極と対極との間に印加された電圧の変動と同じ変化となるために、その電圧の変化を監視することにより、イオン濃度の監視を行うことが可能となる。
[0107]
 〔第5実施形態〕
 図8はこの発明の第5実施形態の機能水生成装置の基本構成を示しており、この第5実施形態の機能水生成装置は、制御装置を除いて第2実施形態の機能水生成装置と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付している。
[0108]
 この第5実施形態の機能水生成装置は、図8に示すように、水溶液が収容される容器の一例としての処理槽10と、処理槽10内に配置されたイオン吸着電極1と、処理槽10内にイオン吸着電極1と間隔をあけて対向するように配置された対極2と、イオン吸着電極1と対極2との間に直流電圧を印加する直流電源Eと、直流電源Eからイオン吸着電極1と対極2との間に印加される電圧を検出する電圧計21と、イオン吸着電極1と対極2との間に流れる処理電流を検出する電流計22とを備えている。ここで、直流電源Eが定電流源である場合は、電流計22は無くてもよく、また、直流電源Eが定電圧源である場合は、電圧計21は無くてもよい。
[0109]
 また、上記機能水生成装置は、直流電源Eの正極側が切替スイッチSW1を介してイオン吸着電極1と対極2に接続され、直流電源Eの負極側が切替スイッチSW2を介してイオン吸着電極1と対極2に接続されている。上記切替スイッチSW1,SW2を切り替えることにより、イオン吸着電極1が陽極(または陰極)になるように、かつ、対極2が陰極(または陽極)になるように、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加する。上記直流電源Eと切替スイッチSW1,SW2で電圧印加手段を構成している。
[0110]
 また、上記機能水生成装置は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置40を備えている。この制御装置40は、電圧計21により検出された直流電源Eの出力電圧および電流計22により検出された処理電流に基づいて、切替スイッチSW1,SW2を制御することにより機能水生成処理を行う。
[0111]
 また、制御装置40は、イオン吸着電極1と対極2との間に流れた電流量に基づいて水溶液の導電率を算出する導電率算出部40aと、処理槽10内の水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に導電率が非線形変化する変化点を判定する変化点判定部40bと、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部40cと、上記電圧の印加から開始点までの時間を計測する時間計測部40dと、時間計測部40dにより計測された時間に基づいて緩衝作用イオン量を算出する緩衝作用イオン量算出部40eとを有する。
[0112]
 上記第5実施形態の機能水生成装置は、第2実施形態の機能水生成装置と同様の効果を有する。
[0113]
 さらに、上記構成の機能水生成装置では、重炭酸イオン(炭酸水素イオン)などの緩衝作用イオン量を検出するイオンセンサとしても機能する。以下、そのイオンセンサ機能について説明する。
[0114]
 この重炭酸イオン等の緩衝作用イオン量を検出するイオンセンサ機能は、電気二重層理論により水溶液中のプラスイオン(もしくはマイナスイオン)をイオン吸着電極1に吸着させる時に、対極2の水の電気分解で水素イオン(もしくは水酸化イオン)が発生する化学変化を用いている。
[0115]
 例えば、重炭酸イオン等の緩衝作用イオンが水溶液中に存在しない場合は、イオン吸着電極1に吸着されたイオンの電荷量に比例した水素イオン(もしくは水酸化イオン)が増加し、水溶液のpHは処理電荷量に応じて変動する。
[0116]
 しかし、水溶液中に重炭酸イオン等の緩衝作用イオンが存在する場合は、水溶液の緩衝作用により水素イオン(もしくは水酸化イオン)が水溶液中に単独で存在することができないため、水溶液のpH変動は小さなものとなる。このとき、イオン吸着電極1に水溶液中のイオンが吸着するため、その量に応じて水溶液の導電率が減少していく。また、水溶液中の緩衝作用イオンが無くなると、イオン吸着電極1に吸着したイオンと同電荷量の水素イオン(もしくは水酸化イオン)が水溶液中に単独で存在することが可能となることにより、水溶液のpHは処理電荷量に応じて変動する。水溶液の水素イオン量(もしくは水酸化イオン量)つまりpH変動による水溶液の導電率の変化量は、イオン吸着電極1にイオンが吸着されることによる水溶液の導電率の変化量より大きいため、水中の緩衝作用イオンが無くなった時点で水溶液の導電率の変化点が現れることになる。
[0117]
 例えば、重炭酸イオン(HCO )は、プラスイオンの吸着およびマイナスイオンの脱着において対極2に発生するH と結びついて緩衝作用が生じる。これに対して、プラスイオンの脱着およびマイナスイオンの吸着においては、対極2に発生するOH とは結びつかないが、マイナスイオンがイオン吸着電極1に吸着した場合に重炭酸イオンが分離して緩衝作用が生じる。
[0118]
 上記第5実施形態の電気二重層を用いた機能水生成装置では、同一処理槽10の中で水素イオンおよび水酸化イオンの不均衡が発生するため、処理電流もしくは処理電圧の少なくとも一方が、水溶液の導電率の変化により変動することになる。処理電流(もしくは処理電圧)を一定にすることにより、他方の電圧(もしくは電流)に影響があるため、この電圧値(もしくは電流値)にも変化点(線形変化期間が始まる開始点)が現れることになる。イオン吸着電極1と対極2への電圧印加から電圧値(もしくは電流値)変化点が現れるまでの時間は、水溶液中に存在する緩衝作用イオン量に比例するため、電圧印加から変化点(線形変化期間の開始点)までの時間計測により正確な緩衝作用イオン量を検出することができる。
[0119]
 したがって。上記機能水生成装置によれば、吸着工程または脱離工程の開始点(電圧印加を開始した点)から水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点までの時間を時間計測部40dにより計測して、その計測された時間と、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧と、イオン吸着電極1と対極2との間に流れる電流に基づいて、緩衝作用イオン量を緩衝作用イオン量算出部40eにより算出する。これにより、簡単な構成で緩衝作用イオン量を検出することができる。
[0120]
 このように、上記電気二重層を用いた機能水生成装置によれば、流水型およびバッチ型の方式に関係なく、また、新たにセンシングユニットを設ける必要はなく、電極間に水を溜めた状態で最初に1回処理することにより、その水に含まれる重炭酸イオン等の緩衝作用イオン量の検出が可能となる。
[0121]
 また、別方式の機能水生成装置や、重炭酸イオン等の緩衝作用イオン量を検出したい装置においては、水溶液の導電率の変化点を検出することが目的であるため、電極サイズは検出に際して必要最小限のサイズであればよいので、小さなセンサユニットとして提供することが可能となる。
[0122]
 また、上記第5実施形態の機能水生成装置によれば、センサ構成要素が単純であるため、安価なイオンセンサの提供が可能となり、特別なセンサ較正作業等も必要とせずに高精度のセンシングが可能となる。
[0123]
 上記第5実施形態の機能水生成装置は、水溶液中のイオンをイオン吸着電極1表面との間で電気二重層キャパシタを形成することにより、イオンをイオン吸着電極1表面に吸着させて水溶液中から減少させる。また、イオン吸着電極1表面とイオンとの電気二重層キャパシタの形成を解消させることにより、イオン吸着電極1に吸着したイオンを水溶液中に脱着させて水溶液中のイオン量を増加させる。また、上記第5実施形態の機能水生成装置では、イオン吸着電極1は、イオン吸着電極を1個もしくは複数個あわせ持つ構造であり、対極2は白金系の水の電気分解が可能な電極を1個もしくは複数個あわせ持つ構造であり、この上記機能水生成装置は、イオン吸着電極1と対極2との間にはセンシングする水溶液を保持可能な処理槽10を備えた構造のイオンセンサとして機能する。
[0124]
 このようなイオンセンサでは、水溶液中のイオン吸着時もしくはイオン脱着時に測定は可能であるが、吸着もしく脱着の一方向のみで、イオン吸着電極のイオン吸着性能を超えた処理イオン量の領域でセンシングを行うと検出ができなくなる。
[0125]
 図3に示すプラスイオンの吸着および脱着時および図4に示すマイナスイオンの吸着および脱着時の処理の初期状態では、水溶液中に含まれる重炭酸イオン等の緩衝作用イオンの影響で導電率の変動は小さい。
[0126]
 その後、緩衝作用が無くなると、イオン吸着電極1に吸着した電荷量と等しい水素イオン(もしくは水酸化イオン)が増加するため、導電率の変動は大きくなる。それ以降処理を続けると、水溶液中の水素イオン以外のプラスイオン量(もしくは水酸化イオン以外のマイナスイオン量)が減少するため、水素イオン(もしくは水酸化イオン)のイオン吸着が起こり、イオンの状態は徐々に平衡状態に近くなるために、導電率の増加は徐々に小さくなり、やがてほとんど変化しなくなる。
[0127]
 電気二重層を用いたイオン吸脱着では、吸脱着したイオンの電荷の極性および電価数に応じて、プラスイオンなら水素イオンの量が増減し、マイナスイオンなら水酸化イオンの量が増減する。例えば、イオン吸着電極1にて1価のイオンが吸脱着した場合には、対極2では吸着したイオンの極性による電子のやり取りが発生し、前述の式(1),(1)’,(2),(2)’のいずれかの反応が起こる。
[0128]
 上記第1実施形態で述べたとおり、pHおよび導電率は、プラスイオンもしくはマイナスイオンのイオン吸着電極1への吸脱着電荷量と相関関係がある。
[0129]
 しかし、実際の水道水等は、重炭酸イオン等のpHに対して緩衝作用のある遊離炭酸等の緩衝作用イオンを含み、かつ、その緩衝作用イオンの含有量が地域により様々であるため、一定の処理条件により同一の電解処理を行うことは不可能であった。アルカリイオン整水機等では、緩衝作用イオンにより、最終的に整水されるアルカリ水のpHに大きな影響を与えることになるため、従来は処理された水溶液をpHセンサもしくは導電率センサ等によりセンシングすることにより、水溶液の品質を一定にしようとしていた。
[0130]
 〔イオン伝導度と導電率の変化点〕
 この第5実施形態の機能水生成装置は、イオン吸着電極1側で水溶液中のイオンの吸着および脱着が行われているが、イオンの吸脱着にて使用される電荷の供給および消費は、対極2では水の電解処理により行われる。このとき、同時に発生する水素イオン(もしくは水酸化イオン)は、緩衝作用のあるイオンが存在しなければ、そのまま水溶液中に存在することが可能となり、水溶液のpHの変動を起こすが、緩衝作用のあるイオンが存在すれば、そのイオンと結びつくことにより、単体では水溶液中に存在できないため、水溶液のpHの変動は小さくなる。このpH変動の小さい期間は、水溶液中に含まれる緩衝作用のあるイオンと相関関係があり、単位時間当たりの発生する水素イオン(もしくは水酸化イオン)の発生量が一定であれば、イオン量とpH変動の小さい期間は比例関係となる。
[0131]
 イオン伝導度は、
   水素イオン > 水酸化イオン >> その他のイオン
という関係があるため、水素イオン(もしくは水酸化イオン)が増加した時の水溶液の導電率の変動は、水溶液中のイオンの吸着による減少よりも大きくなるので、pHの緩衝作用がある場合とpHの緩衝作用が無くなった後では、導電率の変化点が存在することになる。
[0132]
 イオンの吸脱着時に電圧印加もしくは電流印加を行っている場合は、V=R×Iの電気法則から導電率の変動により、電圧印加の場合は電流に変化点が現れ、電流印加の場合は電圧に変化点が現れる。
[0133]
 また、定電流制御にて制御している場合は、時間当たりに発生する水素イオン(もしくは水酸化イオン)が一定となるために、pHの緩衝作用で消費される水素イオン(もしくは水酸化イオン)の量を顕著に検出することができる。また、イオン伝導度は、
   水素イオン > 水酸化イオン
であることから、水素イオンが発生するイオン吸脱着プロセスを利用した検出の方が、精度良い検出を行うことが可能となる。
[0134]
 〔電極間の距離〕
 上記第5実施形態の構成の機能水生成装置を、重炭酸イオン等の緩衝作用イオン量を検出するセンサ単体として実施する場合においては、必要最小限の水溶液がイオン吸着電極と対極との間にあればよいので、イオン吸着電極と対極との間の距離を大きくする必要はない。イオン吸着電極と対極との間の距離を小さくすると、電極間の水の電気抵抗も小さくなり、印加電圧を低くすることが可能となって、消費電力が下がる。イオン吸着電極と対極との間は2mmから15mm程度が望ましい。
[0135]
 また、イオン吸着電極と対極との間に印加する単位時間あたりの電荷量を小さくすると、処理時間が増えるが、電圧もしくは電流のサンプリングデータ数が増加するため、検出精度が向上する。処理時間の増加に関しては、上記の電極間の距離を小さくすることにより、処理時間の短縮は可能となるため、処理時間と要求精度に応じて適切な値の組み合わせを選択することが可能になる。
[0136]
 〔電極間に溜めた水溶液の検出〕
 電気二重層理論を用いた機能水生成装置においては、バッチ式や流水式の方式の違いに関係なく、電極間に水溶液を溜めた状態で処理できる構造であれば、改めて重炭酸イオン等のpHの緩衝作用イオン量のセンサを設置する必要もなく、電極間に溜めた水溶液のイオン吸着処理を行い、印加した電荷に対する電圧もしくは電流の変化点までの時間を計測して、pHの緩衝作用イオン量を検出するイオンセンサを実現することができる。
[0137]
 この第5実施形態の緩衝作用イオン量を検出するイオンセンサ機能は、機能水生成装置に限らず、整水機や、水溶液中の緩衝作用イオン(重炭酸イオンなど)の影響を受ける装置に適用することができる。
[0138]
 従来の機能水生成装置では、水道水等の水溶液中に含まれる緩衝作用を有する重炭酸イオン等の濃度に影響され、生成される機能水の特性にばらつき発生する。このため、水中の重炭酸イオン等の緩衝作用のあるイオン量をセンシングすることにより、生成される機能水の特性を一定にするために重炭酸イオンのセンサが考案されてきた。
[0139]
 上記従来の重炭酸イオンのセンサとしては、文献1(特開2007-192702号公報)のように、イオン交換樹脂の通過前後の電気化学的測定値を測定して濃度計算する手法や、文献2(特開2006-167706号公報)のように、複数の電流値の電流を印加し、処理後の伝導度を検出して処理電流を判定するものや、文献3(特開平7-108272号公報)のように、水の電気伝導度と重炭酸イオン量は密接な相関関係から、電気伝導度を検出し重炭酸イオン量を計算するものや、文献4(特開昭62-214346号公報)のように、細菌を用いた重炭酸イオン用のセンサの例があった。
[0140]
 上記文献1~文献4では、センシングを行ためには、本来の機能水生成装置として必要最低限の機能以外のセンサを設ける必要があり、コストを抑えた単純な構成のセンサでは測定精度が下がるという問題がある。また、重炭酸イオンの検出精度を上げようとすると、複雑な構成のセンシングユニットとなって、低コストなイオンセンサを提供することができなくなるという課題があった。
[0141]
 これに対して、上記第5実施形態のイオンセンサ機能を備えた機能水生成装置は、簡単な構成で重炭酸イオン等の緩衝作用イオン量を検出できる低コストなイオンセンサを提供することができる。
[0142]
 この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1~第5実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
[0143]
 この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
[0144]
 この発明の機能水生成装置は、
 水溶液が収容される容器10と、
 上記容器10内に配置され、上記水溶液中のイオンの吸着および脱離が可能なイオン吸着電極1と、
 上記容器10内に上記イオン吸着電極1と間隔をあけて対向するように配置された対極2と、
 上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に電圧を印加する電圧印加手段(E,SW1,SW2)と、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)により上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極1に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程または上記イオン吸着電極1から上記水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程において、上記水溶液の導電率の変化率が変わる変化点を判定する変化点判定部20a,30b,40bと
を備えたことを特徴とする。
[0145]
 上記構成によれば、電圧印加手段(E,SW1,SW2)によりイオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加することによりイオン吸着電極1に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程(またはイオン吸着電極1から水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程)において、水溶液の導電率の変化率が変わる変化点を変化点判定部20a,30b,40bにより判定することによって、イオンの吸脱着効率の低下を検知できる。したがって、イオンの吸脱着効率が低下し始めたらイオンの吸脱着を終了することで、イオンの吸脱着効率が悪くなった状態で電極間に電流を流し続けることがなくなり、水溶液中のイオン量やイオン吸着電極1の吸着イオン量に応じてイオンの吸脱着を効率よく処理することができる。
[0146]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記変化点は、上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点である。
[0147]
 上記実施形態によれば、吸着工程(または脱離工程)において、水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点を変化点判定部20a,30b,40bにより判定することによって、イオンの吸脱着効率の低下を確実に検知できる。
[0148]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に印加された電圧および上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に流れる電流に基づいて、上記水溶液の導電率を算出する導電率算出部30a,40aを備え、
 上記変化点判定部30bは、上記導電率算出部30a,40aにより算出された上記水溶液の導電率に基づいて、上記導電率が非線形変化する変化点を判定する。
[0149]
 水溶液の導電率は、プラスイオンまたはマイナスイオンのイオン吸着電極1への吸脱着電荷量と相関関係を有するので、上記実施形態によれば、電圧印加手段(E,SW1,SW2)によりイオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧およびイオン吸着電極1と対極2との間に流れる電流に基づいて、導電率算出部30a,40aにより水溶液の導電率を容易に算出することができる。
[0150]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に電圧が印加されてから上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部30c,40cを備えた。
[0151]
 上記実施形態によれば、電圧印加手段(E,SW1,SW2)が定電流源であるときにイオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まるまでの間、イオン吸着電極1へのプラスイオンの吸着時とイオン吸着電極1からのマイナスイオンの脱着時にpHおよび導電率の変動が非常に小さい期間ができる。上記開始点判定部30c,40cによりこの水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点を判定して、イオン吸着電極1と対極2との間に電圧が印加されてから水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まるまでの間、変化点判定部20a,30b,40bが水溶液の導電率の変化点の判定を行わないようにすることによって、水溶液の導電率の変化点を正確に判定することできる。
[0152]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)が定電流源であって、
 上記変化点判定部20a,30b,40bは、上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に印加された電圧が線形変化する線形変化期間の後に上記電圧が非線形変化する変化点を上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点とする。
[0153]
 上記実施形態によれば、イオン吸着電極1と対極2との間に一定の処理電流を流す定電流制御とすることにより、水溶液中にイオンが十分存在すれば処理電流に対して一定のイオン吸脱着が行われ、処理電流が変動することなく、イオン吸脱着により水溶液中のイオン濃度は変動して水溶液の導電率が変動するので、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧が導電率の変動と同じ挙動を示す。これにより、定電流制御では、印加電圧の変動に基づいて導電率の変動を検出することが可能となり、変化点判定部20a,30b,40bは、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧が線形変化する線形変化期間の後に上記電圧が非線形変化する変化点を、水溶液の導電率が非線形変化する変化点とする。したがって、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧に基づいて、水溶液の導電率が線形変化期間から非線形変化するときの変化点を容易に判定することができる。
[0154]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)により上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極1に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程において、上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に流れた電流量に基づいて、上記水溶液から上記イオン吸着電極1に吸着したイオン量を算出する吸着イオン量算出部30dを備えた。
[0155]
 上記実施形態によれば、電圧印加手段(E,SW1,SW2)によりイオン吸着電極1と対極2との間に電圧を印加することによりイオン吸着電極1に水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程において、電圧印加手段(E,SW1,SW2)からイオン吸着電極1と対極2との間に流れた電流量に基づいて、イオン吸着電極1に吸着したイオン量を吸着イオン量算出部30dで正確に算出することができる。
[0156]
 また、一実施形態の機能水生成装置では、
 上記吸着工程または上記脱離工程の開始点から上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点までの時間を計測する時間計測部40dと、
 上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に印加された電圧と上記イオン吸着電極1と上記対極2との間に流れる電流および上記時間計測部40dにより計測された上記時間に基づいて、緩衝作用イオン量を算出する緩衝作用イオン量算出部40eと
を備えた。
[0157]
 上記実施形態によれば、上記吸着工程または上記脱離工程の開始点から水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点までの時間を時間計測部40dにより計測して、その計測された時間と、イオン吸着電極1と対極2との間に印加された電圧と、イオン吸着電極1と対極2との間に流れる電流に基づいて、緩衝作用イオン量を緩衝作用イオン量算出部40eにより算出するので、簡単な構成で緩衝作用イオン量を検出できる。

符号の説明

[0158]
 1…イオン吸着電極
 2…対極
 10…処理槽
 11…導電率計
 20…制御装置
 20a…変化点判定部
 20b…開始点判定部
 21…電圧計
 22…電流計
 30…制御装置
 30a…導電率算出部
 30b…変化点判定部
 30c…開始点判定部
 30d…吸着イオン量算出部
 40…制御装置
 40a…導電率算出部
 40b…変化点判定部
 40c…開始点判定部
 40d…時間計測部
 40e…緩衝作用イオン量算出部
 101…未処理溶液の分岐部
 102…処理槽
 103…混合部
 104…排水部
 110…処理制御部
 E…直流電源
 SW1,SW2…切替スイッチ

請求の範囲

[請求項1]
 水溶液が収容される容器(10)と、
 上記容器(10)内に配置され、上記水溶液中のイオンの吸着および脱離が可能なイオン吸着電極(1)と、
 上記容器(10)内に上記イオン吸着電極(1)と間隔をあけて対向するように配置された対極(2)と、
 上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に電圧を印加する電圧印加手段(E,SW1,SW2)と、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)により上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極(1)に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程または上記イオン吸着電極(1)から上記水溶液中にイオンを脱離させる脱離工程において、上記水溶液の導電率の変化率が変わる変化点を判定する変化点判定部(20a,30b,40b)と
を備えたことを特徴とする機能水生成装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の機能水生成装置において、
 上記変化点は、上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の後に上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点であることを特徴とする機能水生成装置。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の機能水生成装置において、
 上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に印加された電圧および上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に流れる電流に基づいて、上記水溶液の導電率を算出する導電率算出部(30a,40a)を備え、
 上記変化点判定部(20a,30b,40b)は、上記導電率算出部(30a,40a)により算出された上記水溶液の導電率に基づいて、上記導電率が非線形変化する変化点を判定することを特徴とする機能水生成装置。
[請求項4]
 請求項1から3までのいずれか1つに記載の機能水生成装置において、
 上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に電圧が印加されてから上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間が始まる開始点を判定する開始点判定部(30c,40c)を備えたことを特徴とする機能水生成装置。
[請求項5]
 請求項1または2に記載の機能水生成装置において、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)が定電流源であって、
 上記変化点判定部(20a,30b,40b)は、上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に印加された電圧が線形変化する線形変化期間の後に上記電圧が非線形変化する変化点を上記水溶液の導電率が非線形変化する変化点とすることを特徴とする機能水生成装置。
[請求項6]
 請求項1から5までのいずれか1つに記載の機能水生成装置において、
 上記電圧印加手段(E,SW1,SW2)により上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に電圧を印加することにより上記イオン吸着電極(1)に上記水溶液中のイオンを吸着させる吸着工程において、上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に流れた電流量に基づいて、上記水溶液から上記イオン吸着電極(1)に吸着したイオン量を算出する吸着イオン量算出部(30d)を備えたことを特徴とする機能水生成装置。
[請求項7]
 請求項1から6までのいずれか1つに記載の機能水生成装置において、
 上記吸着工程または上記脱離工程の開始点から上記水溶液の導電率が線形変化する線形変化期間の開始点までの時間を計測する時間計測部(40d)と、
 上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に印加された電圧と上記イオン吸着電極(1)と上記対極(2)との間に流れる電流および上記時間計測部(40d)により計測された上記時間に基づいて、緩衝作用イオン量を算出する緩衝作用イオン量算出部(40e)と
を備えたことを特徴とする機能水生成装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]