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1. (WO2013046398) 窒素系有機化合物の酸化分解方法

明 細 書

発明の名称

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

実施例 1

0067   0068   0069   0070   0071   0072  

実施例 2

0073   0074  

実施例 3

0075   0076  

符号の説明

0077  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 窒素系有機化合物の酸化分解方法

技術分野

[0001]
 本発明は、窒素系有機化合物の酸化分解方法に関する。すなわち本発明は、窒素系有機化合物について、窒素原子(N)を含んだその構成成分を処理対象とし、この処理対象を、OHラジカル(・OH)にて酸化分解する方法に関する。

背景技術

[0002]
 〈技術的背景〉
 窒素は、周知の通り窒素サイクルを形成しつつ、種々の化学形で、大気,水,堆積物,又は生体中に、存在する。もって窒素は、炭素,水素,および酸素に次いで多くの有機化合物に含まれており、窒素系有機化合物を形成している。そして、この窒素系有機化合物は難分解性のものも多い。
 そして、このような難分解性の窒素系有機化合物は、例えば廃液等に含有され、もって地下水,河川水,又は湖水等として環境中に排出されることも多く、環境汚染の原因となり、健康への悪影響も懸念されている。
[0003]
 〈従来技術〉
 これに対し、廃液等中に含有された難分解性の窒素系有機化合物について、つまり、この窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分について、有効な処理技術は確立していない。窒素系有機化合物の処理ニーズは、今後ますます高まると予測されるが、その難分解性等に起因して、効果的な処理技術は確立されていない。
 この種の処理技術として開発された従来技術は、いずれも設備コスト面又は/およびランニングコスト面等に、難点が指摘されていた。
 唯一、過酸化水素と鉄塩にてOHラジカルを生成して、窒素系有機化合物を酸化分解するフェントン法の処理技術が提案され、注目されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
 このようなフェントン法による処理技術としては、例えば、次の特許文献1,2に示されたものが挙げられる。
特許文献1 : 特開2006-334570号公報
特許文献2 : 特開2007-50314号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 〈問題点〉
 ところで、このような従来のフェントン法による処理技術つまり酸化分解方法については、次の課題が指摘されていた。
 OHラジカルは、周知のごとく強力な酸化分解力を備えており、難分解性の窒素系有機化合物の処理、つまり窒素原子を含んだその構成成分の処理に、効果的である。
 しかしOHラジカルは、ラジカルで反応性に富んでいるだけに、存在時間が瞬間的で寿命が極めて短い化学種である。もってOHラジカルは、連鎖的に生成させる生成効率の向上および反応効率の向上が、重要テーマとなる。
 これに対し従来のフェントン法は、例えば過酸化水素が途中で水と酸素に分解され易い等、OHラジカルの生成効率が悪かった。又、従来のフェントン法は、OHラジカルについて所期の酸化分解反応以外の2次的反応が起こり易い等、反応効率も悪かった。
 すなわち従来のフェントン法は、OHラジカルが、処理対象の窒素系有機化合物にアタックすることなく、つまり、窒素原子を含んだ構成成分にアタックして酸化分解することなく、消滅してしまうロスが指摘されていた。又、従来のフェントン法は、OHラジカルが、不安定な中間生成物を生成してしまうロス、も指摘されていた。
[0006]
 〈その原因について〉
 従来のフェントン法について指摘されていた上述した問題は、OHラジカルによる酸化分解プロセスの把握不足に、起因していた。従来の問題点の根本原因は、次のa,b,c各点の解明不足にあった。
 すなわち、従来の問題点の根本原因は、処理対象の窒素原子を含んだ構成成分それぞれについて、a.酸化分解メカニズムの分析の点、そして酸化分解過程の化学式のプロセス解明の点、b.このプロセス解明に基づくOHラジカルの必要総モル数の把握の点、c.フェントン法の過酸化水素および鉄イオンの添加量の把握の点、等についての解明不足が挙げられる。
 又、これらa,b,c各点の解明が進展したとしても、これらa,b,c各点を手計算で行うことに起因する困難性が、指摘されていた。すなわち手計算により、a.処理対象を酸化分解し尽くすまでの煩雑な過程をフォローし、b.この酸化分解過程の化学式プロセスをフォローして、c.必要総モル数や添加量を把握するのに、膨大な計算そして多大な時間と労力を要し、ミスも多発していた。
 そこで従来は、窒素系有機化合物の酸化分解について、OHラジカルの必要総モル数等の計算アルゴリズムの確立が切望され、そして、最適処理条件の選定が切望されており、更に、計算アルゴリズムの自動化,制御化,およびツール化等が切望されていた。
[0007]
 〈本発明について〉
 本発明の窒素系有機化合物の酸化分解方法は、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
 そして本発明は、第1に、OHラジカルの必要総モル数等の計算アルゴリズムが確立し、第2に、特にこの計算アルゴリズムの自動化,制御化,およびツール化が実現される、窒素系有機化合物の酸化分解方法を提案することを、目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 〈各請求項について〉
 本発明の技術的手段は、特許請求の範囲にも記載したように、次の請求項1~請求項9のとおりである。
 まず、請求項1については、次のとおり。
 請求項1の窒素系有機化合物の酸化分解方法は、難分解性の窒素系有機化合物について、窒素原子(N)を含んだ構成成分を処理対象とし、水溶液中の該処理対象を、OHラジカル(・OH)にて酸化分解する。そして、次の第1,第2,第3,第4の各プロセスを有している。
 すなわち、該処理対象について水酸基(-OH)の有無を判定し、水酸基有の場合は、OHラジカルが該水酸基の水素原子(H)を奪って、該水酸基を酸化し、もって該水酸基の酸素原子(O)を二重結合化させると共に、OHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離する、第1プロセスと、該処理対象について水素原子の有無を判定し、水素原子有の場合は、OHラジカルが該水素原子を奪って、該処理対象を酸化し、もってOHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離する、第2プロセスと、原子の不対電子にOHラジカルが付加して、水酸基が生成される第3プロセスと、を有してなる。
 そして最終的には、第4プロセスにおいて、まず、OHラジカルが水分子から水素原子を奪って、該水分子を酸化し、もって、酸素分子と発生期の水素(H+e)とを生成させると共に、OHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離する。そして、生成された該発生期の水素が、該処理対象の残基を還元して、硝酸(HNO)が生成されること、を特徴とする。
[0009]
 請求項2については、次のとおり。
 請求項2の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項1において、該処理対象は、R-NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’NH型の窒素原子を含んだ構成成分、R=NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)N-型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R=N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R-N=CO型の窒素原子を含んだ構成成分、R-NO型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R-N=N-型の窒素原子を含んだ構成成分よりなる。
 そして各該処理対象が、それぞれ前記各プロセスを辿ること、を特徴とする。
 請求項3については、次のとおり。
 請求項3の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項2において、該処理対象の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数が、前記各プロセスでの反応式に基づき算出されること、を特徴とする。
 請求項4については、次のとおり。
 請求項4の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項3において、OHラジカルはフェントン法にて生成され、もって、過酸化水素および鉄イオンの添加量が、OHラジカルの該必要総モル数と該フェントン法とに基づき、算出されること、を特徴とする。
 請求項5については、次のとおり。
 請求項5の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項4において、まず検出手段により、該窒素系有機化合物の濃度が検出されると共に、入力手段により、該窒素系有機化合物中の該処理対象の構成成分と、そのモル数とが、入力される。
 もって、検出された濃度、および入力された構成成分とそのモル数とに基づき、制御装置により、該処理対象の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数が算出され、そして過酸化水素および鉄イオンの該添加量が算出される。
 それから、該制御装置からの指示に基づき、過酸化水素添加部および鉄イオン添加部により、該処理対象の水溶液に対し、該添加量の過酸化水素および鉄イオンが添加されること、を特徴とする。
[0010]
 請求項6については、次のとおり。
 請求項6の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項5において、該制御装置は、コンピュータにて構成されている。そして、そのプログラムにより、次のプロセス処理と2つの演算処理とが、行われる。
 すなわち、該処理対象の構成成分について、前記第1,第2,第3,第4の各プロセス毎に必要なOHラジカルのモル数を、算出するプロセス処理と、該プロセス処理に基づく、該処理対象の構成成分の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数の演算処理と、該演算処理に基づく、過酸化水素および鉄イオンの該添加量の演算処理とが、行われることを特徴とする。
 請求項7については、次のとおり。
 請求項7の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項5において、該制御装置は、コンピュータにて構成されている。そして、そのプログラムにより、次のデータ検索処理と2つの演算処理とが、行われる。
 すなわち、予め記憶された各構成成分毎のデータを検索して、該処理対象の構成成分の酸化分解に必要なOHラジカルのモル数を、抽出するデータ検索処理と、該データ検索処理に基づく、該処理対象の構成成分の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数の演算処理と、該演算処理に基づく、過酸化水素および鉄イオンの添加量の演算処理とが、行われることを特徴とする。
[0011]
 請求項8については、次のとおり。
 請求項8の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項1において、該窒素系有機化合物は蛋白質型有機化合物よりなる。そして、該処理対象の蛋白質型の窒素原子を含んだ構成部分が、前記各プロセスを辿る。
 すなわち、N末端の-NH(アミノ基)型の窒素原子を含んだ構成部分と、酸アミド結合の-NH-型の窒素原子を含んだ構成部分とが、それぞれ前記各プロセスを辿ること、を特徴とする。
 請求項9については、次のとおり。
 請求項9の窒素系有機化合物の酸化分解方法では、請求項8において、該蛋白質型有機化合物は、細菌の細胞の主要部又はウィルスの細胞の主要部を形成していること、を特徴とする。
[0012]
 〈作用等について〉
 本発明の作用等は、次の(1)~(10)のようになる。
 (1)難分解性の窒素系有機化合物を含有した被処理水は、フェントン処理槽に供給される。
 (2)そして被処理水は、過酸化水素や鉄イオンが添加される。
 (3)そこで、OHラジカルが連鎖的に生成される。
 (4)OHラジカルは、処理対象の窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分を、酸化分解する。
 (5)そして本発明では、処理対象が次の第1~第4の各プロセスにて、酸化分解される。
 すなわち、水酸基有の場合の第1プロセス、水素原子有の場合の第2プロセス、水酸基が生成される第3プロセス、等の各プロセスが、OHラジカル関与のもとで実施される。そして最終的には、OHラジカル関与のもと、発生期の水素にて処理対象の残基を還元する第4プロセスにて、硝酸が生成される。
 (6)このような各プロセスにより、酸化分解過程および化学式が、具体的に把握される。もって、OHラジカルの必要総モル数、および過酸化水素や鉄イオンの添加量が、容易かつ確実に算出可能となり、その計算アルゴリズムが確立される。
 (7)この計算アルゴリズムは、コンピュータ等の制御装置を利用することにより、自動化,制御化,およびツール化される。
 (8)例えば、前記第1~第4の各プロセス処理、記憶データ検索処理,必要総モル数演算処理,添加量演算処理等を、コンピュータにて行うことにより、計算アルゴリズムが、自動化,制御化,およびツール化される。
 (9)なお、OHラジカルの必要総モル数は、必要理論総モル数として算出されたモル数より、多目に準備される。もって、過酸化水素および鉄イオンの添加量についても、これに準じる。
 (10)さてそこで、本発明の窒素系有機化合物の酸化分解方法は、次の効果を発揮する。

発明の効果

[0013]
 〈第1の効果〉
 第1に、本発明の酸化分解方法により、OHラジカルの必要総モル数等の計算アルゴリズムが、確立する。
 すなわち本発明は、パターン化された第1~第4の各プロセスを、処理対象の難分解性の各窒素系有機化合物に対して、共通適用することにより、それぞれの酸化分解過程および化学式が、具体的に把握される。もって本発明は、OHラジカルの必要総モル数を、容易かつ確実に算出可能となるので、フェントン法の過酸化水素および鉄イオンの添加量も、容易かつ確実に算出可能となる。
 このように本発明では、OHラジカルの必要総モル数等の計算アルゴリズムが確立され、最適処理条件が選定される。例えば、蛋白質型有機化合物が主要部をなす細菌又はウィルスの殺菌処理に際しても、OHラジカルの計算アルゴリズムが確立される。
 従って、過不足ないOHラジカルの生成と反応が可能となり、前述したこの種従来例に比し、OHラジカルの生成効率および反応効率が向上する。もって、連鎖的に生成され寿命の短いOHラジカルが、酸化分解に用いられずに消滅してしまうロスは防止される。OHラジカルが、2次的反応による中間生成物の生成ロスも、削減される。
[0014]
 〈第2の効果〉
 第2に、特に本発明の酸化分解方法によって、計算アルゴリズムの自動化,制御化,およびツール化が実現される。
 本発明では、コンピュータ等の制御装置を利用することにより、処理対象の窒素系有機化合物の酸化分解に関し、OHラジカルの必要総モル数等の計算アルゴリズムが、自動化,制御化,およびツール化される。
 すなわち、濃度検出手段および処理対象入力手段を付設すると共に、プログラムに基づき各種演算処理等を行うことにより、容易かつ確実に、OHラジカルの必要総モル数,過酸化水素の添加量,および鉄イオンの添加量等が算出される。前述したこの種従来例のように、手計算により多大な時間と労力を要し、ミスが多発していたのに比し、このように自動化,制御化,およびツール化される意義は、大きい。
 このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明に係る窒素系有機化合物の酸化分解方法について、発明を実施するための形態の説明に供し、全体の構成ブロック図である。
[図2] 同発明を実施するための形態の説明に供し、制御装置のコンピュータ等の構成ブロック図である。
[図3] 同発明を実施するための形態の説明に供し、制御装置のコンピュータの要部の機能ブロック図である。
[図4] 同発明を実施するための形態の説明に供し、処理プロセスの1例を示し、その前半のフローチャートである。
[図5] 同発明を実施するための形態の説明に供し、処理プロセスの1例を示し、その後半のフローチャートである。
[図6] 基本部分および残基の処理プロセスを示し、(1)図は、第1’プロセスのフローチャートであり、(2)図は、第2’プロセスのフローチャートである。
[図7] 同基本部分および残基の処理プロセスを示し、(1)図は、第3’プロセスのフローチャートであり、(2)図は、第4’プロセスのフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
 そして以下、「フェントン法」,「OHラジカルの生成」,「処理対象等」,「本発明の概要」,「酸化分解の具体例」,「OHラジカル等の計算アルゴリズム」,「制御装置等」,「制御例(その1)」,「制御例(その2)」,「作用等」,「参考:他の基本部分および残基の酸化分解について」,「実施例1」,「実施例2」,「実施例3」、等の項目順に説明する。
[0017]
 〈フェントン法について〉
 本発明の酸化分解方法は、窒素系有機化合物について、窒素原子(N)を含んだ構成成分を、処理対象1とする。そして、本発明の酸化分解方法は、水溶液中の処理対象1を、OHラジカル(・OH)にて酸化分解する。
 さて、OHラジカルの生成法およびOHラジカルによる酸化分解法としては、フェントン法が代表的である。そこでまず、本発明の前提となるフェントン法について、図1を参照して、その概要を説明する。
 図示したフェントン法の処理装置2は、原水槽3,フェントン処理槽4,および後処理槽5を順に備えている。フェントン処理槽4には、過酸化水素槽6,鉄イオン槽7,およびpH調整手段(図示せず)等が、付設されている。
 もって、窒素原子を含んだ構成成分よりなる窒素系有機化合物を含有した被処理水8が、処理対象1として、原水槽3からフェントン処理槽4へと供給される。
[0018]
 フェントン処理槽4は、pH調整手段にて常時弱酸性に調整されている。そして、まず過酸化水素が全量添加される。すなわち、フェントン処理槽4に供給された被処理水8に対し、反応当初において、過酸化水素槽6から過酸化水素(H)の水溶液が、電磁弁およびポンプを備えた過酸化水素添加部9を介し、フェントン試薬として全量添加される。
 それから、2価の鉄イオンが分割添加される。すなわち、過酸化水素が添加されたフェントン処理槽4中の被処理水8に対し、間欠的に複数サイクル繰り返して、鉄イオン槽7から2価の鉄イオン(Fe2+)溶液が、電磁弁やポンプを備えた鉄イオン添加部10を介し、フェントン試薬として分割添加される。
 2価の鉄イオンは、液中で2価の鉄イオンを生じる物質、例えば硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)が、鉄塩として代表的に使用されるが、その他の無水塩や含水塩、例えば塩化鉄(FeCl)、又はその水和物も使用可能である。なお鉄イオンとしては、このように2価の鉄イオン(Fe2+)が代表的であるが、これに代え、3価の鉄イオン(Fe3+)も使用可能である(後述する化1や化5の反応式も参照)。
[0019]
 フェントン処理槽4内では、このように添加された過酸化水素と鉄イオンにて、OHラジカルが生成される。そして、生成されたOHラジカルが、被処理水8中の処理対象1つまり窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分を、酸化分解する。
 すなわち、OHラジカルつまりヒドロキシラジカル(・OH)は、周知のごとく強力な電子奪取力,酸化力,つまり分解力を有すると共に、ラジカルで反応性に富んでおり、反応が激しいだけに存在時間が瞬間的であり、寿命の短い化学種でもある。
 そして、水相分散したOHラジカルは、被処理水8中に含有された窒素系有機化合物について、処理対象1とする窒素原子を含んだ構成成分を、酸化分解してしまう。それから被処理水8は、後処理槽5を経由し、もって凝集して沈殿されて、濾過されると共にpH調整された後、外部排水される。
 フェントン法については、以上のとおり。
[0020]
 〈OHラジカルの生成〉
 次に、フェントン法におけるOHラジカルの生成反応について、図1を参照して説明しておく。OHラジカルは、次の第1,第2,第3,第4の生成反応にて、生成される。
 第1に、フェントン処理槽4内では、まず、添加された過酸化水素が、添加された鉄イオンにて還元されて、OHラジカルが生成される。すなわち、次の化1,化2の反応式に基づき、OHラジカルが生成される。このようなOHラジカル生成反応が、フェントン主反応である。なお、化1と化2の反応式を合成すると、化3の反応式となる。
[0021]
[化1]


[化2]


[化3]


[0022]
 第2に、上記第1のようにOHラジカルが生成されると共に、上記化2の過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、上記化1の2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルが生成される。
 すなわち、次の化4,化5の反応式によっても、付随的,副次的,連鎖的に、OHラジカルの生成が可能である。
[0023]
[化4]


[化5]


[0024]
 第3に、更に前記化3(化1,化2)および上記化4,化5の反応式にて生成されたOHラジカルが、被処理水8等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、次の化6,化7の反応式により、付随的,副次的,連鎖的に繰り返して可能である。
[0025]
[化6]


[化7]


[0026]
 第4に、前記化3(化1)の2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、新たにOHラジカル等を生成する反応が、次の化8,化9の反応式により、付随的,副次的,連鎖的に繰り返して可能である。なお、化8と化9の反応式を合成すると、化10の反応式となる。
 すなわち、被処理水8を、pH調整手段にてアルカリ化する。すると、化8の反応式にて、過酸化水素がプロトン(H)を遊離し、又、3価の鉄イオンが2価の鉄イオンに還元されると共に、更に、酸素分子に電子が付加されているスーパーオキシドアニオン(・O)が生成される。
 そして、化9の反応式により、このスーパーオキシドアニオンが、過酸化水素と反応して、OHラジカルを生成する。
[0027]
[化8]


[化9]


[化10]


[0028]
 フェントン法では、このように、主反応および各副次的反応によって、OHラジカルが生成される。
 OHラジカルの生成については、以上のとおり。
[0029]
 〈処理対象1等について〉
 次に、処理対象1等について、説明する。
 本発明は、難分解性の窒素系有機化合物について、処理対象1の窒素原子を含んだ構成成分を、酸化分解する。
 まず、難分解性の窒素系有機化合物としては、各種の物質が存在するが、例えば、ニトロベンゼン(CNO),アニリン(CNH),蛋白質(アミノ酸NH-CH(-R)-COOHが、ペプチド結合したポリマー)等、が挙げられる。勿論、蛋白質型の窒素系有機高分子化合物には、生物の細胞の主要部を形成するものの他、細菌の細胞の主要部又はウィルスの細胞の主要部を形成するものも、含まれる。
 そして本発明は、このような難分解性の窒素系有機化合物について、その窒素原子を含んだ構成成分を、処理対象1とする。
 そこで、処理対象1としては、R-NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’NH型の窒素原子を含んだ構成成分、R=NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)N-型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R=N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R-N=CO型の窒素原子を含んだ構成成分、R-NO型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R-N=N-型の窒素原子を含んだ構成成分等、各パターンが考えられる。
 なお本明細書において、RおよびR’は、窒素系有機化合物において、上記した窒素原子を含んだ構成成分以外の、基本部分又は/および残基を示す。そしてRおよびR’は、勿論、アルキル基を示す場合も含まれるが、多くの場合、炭素原子(C),水素原子(H),更には酸素原子(O)等からなる。又、RとR’とは、相互に異なる基本部分又は/および残基を示す。
 処理対象1等については、以上のとおり。
[0030]
 〈本発明の概要について〉
 以下、本発明について説明する。まず、本発明の概要について、図4,図5のフローも参照して、説明する。
 フェントン処理槽4(図1を参照)内では、生成されたOHラジカルにより、窒素系有機化合物について、処理対象1の窒素原子を含んだ構成成分が、酸化分解され、もって最終的には硝酸が生成される。
 そして酸化分解は、次の第1プロセス~第3プロセスを、順不同に繰返すことにより行われると共に、最終的には第4プロセスにて完了する。
[0031]
 第1プロセスについては、次のとおり。
 第1プロセスでは、処理対象1について、窒素原子(N)に付く水酸基(-OH)の有無が、判定される。そして、水酸基有の場合は、OHラジカル(・OH)が、水酸基の水素原子(H)を奪って、水酸基を酸化する。そして、水酸基の酸素原子(O)は、二重結合化(=O)される。OHラジカル自身は、水(HO)に回帰して系外に遊離する。
 図4,図5(後で実施例1として詳述する)のフローでは、ステップS2~S5、およびステップS15~S18、更にはステップS21~S24等の各ルーチンにおいて、この第1プロセスの処理が実施される(ステップS23では、酸素原子は二重結合化することなく、不対電子有(-O)となる)。
 なお、フローのステップ1では、窒素原子を含んだ構成成分の化学式(構造式)が、処理対象1として入力される(後述する処理対象入力手段13を参照)。
[0032]
 第2プロセスについては、次のとおり。
 第2プロセスでは、処理対象1について、窒素原子に付く水素原子(H)の有無が、判定される。そして、水素原子有の場合は、OHラジカルが、処理対象1の水素原子を奪って、処理対象1を酸化する。そしてOHラジカル自身は、水に回帰して系外に遊離する。
 図4,図5のフローでは、ステップS9~S12のルーチンで、この第2プロセスの処理が実施される。
[0033]
 第3プロセスについては、次のとおり。
 第3プロセスでは、処理対象1について、窒素原子,その他の原子の不対電子(-)に、OHラジカルが取り付いて付加し、もって水酸基が生成又は再生される。
 図4,図5のフローでは、ステップS13,S14、およびステップS19,S20のルーチンで、この第3プロセスの処理が実施される。
[0034]
 第4プロセスについては、次のとおり。
 最終プロセスである第4プロセスでは、まずOHラジカルが、水分子から水素原子を奪って、水分子を酸化する。もって、酸素分子と発生期の水素(H+e)とが生成される。OHラジカル自身は、水に回帰して系外に遊離する。そして、生成された発生期の水素が、処理対象1の残基を還元し、もって硝酸(HNO)が生成される。
 図4,図5のフローでは、ステップS25~S27のルーチンで、この第4プロセスの処理が実施される。
[0035]
 ここで、窒素原子の原子価について述べておく。
 窒素原子は、通常は共有結合の原子価が3価である。しかし窒素原子は、共有結合の過程で、その外殻電子構造の2s軌道の対電子が、例えばOHラジカルにより外部エネルギーを得ると、昇位する。もって、この昇位により、窒素原子は、その2s軌道と2p軌道とが、sp混成軌道を形成する可能性がある。この場合、窒素原子の原子価は、4価そして5価となる。
 そして、本発明の酸化分解過程では、前半の第1~第3プロセスでは、窒素原子は3価であるが、後半の第1,第3,第4プロセスでは、窒素原子は4価そして5価となっている。図4,図5のフローは、ステップS1~S16までは3価を前提とし、ステップ17,18は4価を前提とし、ステップS20~S27は5価を前提としている。
 本発明の概要については、以上のとおり。
[0036]
 〈酸化分解の具体例〉
 次に、このような酸化分解の具体例について、説明する。
 難分解性の窒素系有機化合物について、処理対象1である窒素原子を含む構成成分は、本発明では、第1プロセス~第3プロセスを辿り、最終的に第4プロセスで、硝酸が生成される。付随して、水および酸素が派生し、炭酸ガスが派生することもあり、これら水,酸素,炭酸ガスは、系外へと遊離する。
 ここで、処理対象1となる窒素原子を含む構成成分の各パターン毎に、本発明の酸化分解の具体例について説明する。すなわち、代表的な構成成分の各パターン毎に、本発明の第1~第4プロセスを辿った結果について、具体的反応式にて説明する。
 表1は、このような酸化分解データである。RやR’等の意味内容については、前述した所を参照。
[0037]
[表1]


[0038]
 まず、R-NH型の窒素原子を含んだ構成成分は、表1中の項目No.1に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルのR-NH型の窒素原子を含んだ構成成分は、計9モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって1モルの硝酸が生成される。これと共に、5モルの水と1/2モルの酸素分子が、派生される。
 次に、(R)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、(RR’)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R=NH型の窒素原子を含んだ構成成分は、それぞれ、表1中の項目No.2,3,4に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルの(R)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、(RR’)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R=NH型の窒素原子を含んだ構成成分は、それぞれ、計10モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって1モルの硝酸が生成される。これと共に、5モルの水と1モルの酸素分子が、派生される。
 次に、(R)N-型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、RR’N-型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R=N-型の窒素原子を含んだ構成成分は、それぞれ、表1中の項目No.5,6,7に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルの(R)N-型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、RR’N-型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R=N-型の窒素原子を含んだ構成成分は、それぞれ、計9モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって1モルの硝酸が生成される。これと共に、4モルの水と1モルの酸素分子が、派生される。
[0039]
 次に、R-N=CO型の窒素原子を含んだ構成成分は、表1中の項目No.8に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルのR-N=CO型の窒素原子を含んだ構成成分は、計19モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって1モルの硝酸が生成される。これと共に、9モルの水と3モルの酸素分子と、1モルの炭酸ガスとが、派生される。
 次に、R-NO型の窒素原子を含んだ構成成分は、表1中の項目No.9に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルのR-NO型の窒素原子を含んだ構成成分は、計3モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって1モルの硝酸が生成される。これと共に、1モルの水と1/2モルの酸素分子が派生される。
 次に、R-N=N-型の窒素原子を含んだ構成成分は、表1中の項目No.10に示したように、酸化分解される。
 すなわち、難分解性の窒素系有機化合物において、処理対象1とされた1モルのR-N=N-型の窒素原子を含んだ構成成分は、計14モルのOHラジカルが関与して消費されることにより、酸化分解され、もって2モルの硝酸が生成される。これと共に、6モルの水と1モルの酸素分子が、派生される。
 酸化分解の具体例については、以上のとおり。
[0040]
 〈OHラジカル等の計算アルゴリズム〉
 次に、OHラジカル等の計算アルゴリズムについて、説明する。
 本発明の酸化分解方法では、OHラジカルの必要総モル数が、次のように算出される。すなわち、処理対象1となる窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分について、その酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数が、前記第1~第4の各プロセスでの反応式に基づき、算出される。
 そしてOHラジカルは、代表的にはフェントン法にて生成されるので、過酸化水素および鉄イオンの添加量が、OHラジカルについて算出された必要総モル数と、フェントン法の反応式とに基づき、算出される。
[0041]
 その計算アルゴリズムについて、更に詳述する。まず、処理対象1について、つまり窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分について、第1~第3プロセスが、繰り返される。
 すなわち、水酸基有の場合の前記第1プロセスと、水素原子有の場合の第2プロセスと、水酸基が生成される第3プロセスとが、順不同に繰り返される。そして最終的には、生成される発生期の水素(H+e)による、還元パターンの第4プロセスに至る。
 これらの各プロセスを辿ることにより、処理対象1の窒素原子を含んだ構成成分は、酸化分解され、もって硝酸が生成される。又、水,酸素,更には炭酸ガスが、派生する。酸化分解の具体例については、前記表1等を参照。
 そして、これらの各プロセスの化学反応式を辿ることにより、その処理対象1を酸化分解するのに必要なOHラジカルの理論総モル数が、算出される。すなわち、酸化分解の各反応式において、原料側(左側)において関与して使用されるOHラジカルのモル数を、合算することにより、必要理論総モル数が算出される。
 そして実際上は、このように算出されたOHラジカルの必要理論総モル数を基に、より多目の必要総モル数が、定量的に算出される。
[0042]
 OHラジカルの必要総モル数が算出されると、これに基づき、フェントン法による過酸化水素と鉄イオンの必要添加量とが算出される。すなわち、必要総モル数のOHラジカルを生成するのに必要な過酸化水素の添加量と、2価の鉄イオン等の鉄イオンの添加量とが、フェントン法の反応式に基づき、算出される。
 フェントン法によるOHラジカル生成の反応式については、前記化1,化2,(化3)の主反応、および、前記化4,化5、前記化6,化7、前記化8,化9,(化10)等の副次的反応を参照。
 具体的には、主反応に対する副次的反応のウェート付け次第であるが、実際上は、過酸化水素の添加量は、1モルの過酸化水素から例えば1.5モル又は2モルのOHラジカルが生成される旨、定量的に算出される。鉄イオンの添加量に関しては、処理対象1次第であるが、実際上は、過酸化水素の添加量から係数計算することにより、算出される。
 OHラジカルの計算アルゴリズムについては、以上のとおり。
[0043]
 〈制御装置11等について〉
 次に、制御装置11等について、図1を参照して説明する。
 上述した計算アルゴリズムに基づく酸化分解方法の自動化,制御化,およびツール化には、濃度検出手段12,処理対象入力手段13,制御装置11,過酸化水素添加部9,および鉄イオン添加部10、等が使用される。
 そして、まず濃度検出手段12により、窒素系有機化合物の濃度が検出される。これと共に、処理対象入力手段13により、窒素系有機化合物中の処理対象1(つまり窒素原子を含んだ構成成分)とそのモル数(構成成分当量)とが、入力される。
 このように検出された濃度と、入力された構成成分とそのモル数とに基づき、制御装置11により、処理対象1の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数が、算出される。それから、過酸化水素および2価の鉄イオンの添加量が、算出される。
 そして、制御装置11からの指示信号に基づき、過酸化水素添加部9および鉄イオン添加部10により、処理対象1の被処理水8に対し、その添加量の過酸化水素および2価の鉄イオンが、添加される。
[0044]
 これらについて、更に詳述する。濃度検出手段12は、原水槽3に付設されており、例えばTOC(全有機体炭素)自動測定装置が使用される。そして濃度検出手段12は、被処理水8中の窒素系有機化合物の濃度(例えばmg/L)を測定し、もって、その測定データが、制御装置11に入力される。
 処理対象入力手段13は、窒素系有機化合物について、処理対象1となる窒素原子を含んだ構成成分の化学式(構造式)と、そのモル数(構成成分当量)とを、入力する。この入力は、キーボードを使用して手入力により、又は、分析装置を使用した自動入力により、制御装置11に対して行われる。
 そして制御装置11は、このように入力された濃度データ、および処理対象1の構成成分とそのモル数とに基づき、処理対象1の酸化分解に必要なOHラジカルの総モル数を、算出する(この計算アルゴリズムについては、前述した所を参照)。もって、OHラジカルの必要総モル数が算出されると、これに基づき、過酸化水素および鉄イオンの添加量が、通常は、定量的正数,定量的係数を基準として算出される。
 それから、制御装置11から、過酸化水素添加部9および鉄イオン添加部10に対し、それぞれの添加量指示信号が、駆動回路15を経由して出力される。そこで、過酸化水素添加部9により、過酸化水素槽6の過酸化水素が、所定添加量だけフェントン処理槽4に添加される。又、鉄イオン添加部10により、鉄イオン槽7の代表的には2価の鉄イオンが、所定添加量だけフェントン処理槽4に分割添加される。
 制御装置11としては、マイクロコンピュータ14が代表的に使用される。マイクロコンピュータ14は、周知のごとく、図2に示したようにCPU16,RAM17,ROM18,記憶装置19,インプット・ポート20,およびアウトプット・ポート21、等を備えている。
 制御装置11等は、このようになっている。
[0045]
 〈制御例(その1)について〉
 次に、このような制御の具体例(その1)について、図1~図5を参照しつつ、説明する。
 この制御例の酸化分解方法において、制御装置11は、マイクロコンピュータ14にて構成されており、順次経時的に、次の(1)プロセス処理,(2)総モル数演算処理,(3)添加量演算処理等を行う。
 すなわち制御手段11は、まず上記(1)として、各処理対象1について例えば図4,図5に示したプログラムに基づき、前記第1~第4の各プロセス処理を行うことにより、各プロセス毎に必要なOHラジカルのモル数を算出するプロセス処理を行う。それから制御手段11は、上記(2)として、このプロセス処理に基づく、処理対象1の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数の演算処理を行う。それから制御手段11は、上記(3)として、過酸化水素および鉄イオンの添加量の演算処理を行う。
[0046]
 このような制御例(その1)について、更に詳述する。制御装置11として使用されるマイクロコンピュータ14は、そのCPU16が、まず、次のように機能することによって上記(1)のプロセス処理を行う。
 すなわちCPU16は、窒素原子を含んだ各構成成分毎に予め準備されるプログラム、例えば図4,図5のフローに示されたプログラムに基づき、図3中に示したように、上記(1)のため、第1プロセス処理手段22,第2プロセス処理手段23,第3プロセス処理手段24,第4プロセス処理手段25等、として機能する。プログラムは、ROM18に書き込まれている。
 もって、処理対象入力手段13で入力された処理対象1の1モル又はnモルの構成成分を対象に、次のプロセス処理が行われる。
 第1プロセス処理手段22では、図4,図5の例のフローの場合は、ステップS2~S5、およびS15~S18、更にはS21~S24において、前述した第1プロセスの判断および処理等が行われる。
 第2プロセス処理手段23では、図4,図5の例のフローの場合は、ステップS9~S12において、前述した第2プロセスの判断および処理が行われる。
 第3プロセス処理手段24では、図4,図5の例のフローの場合は、ステップS13,S14およびS19,S20において、前述した第3プロセスの処理が行われる。
 第4プロセス処理手段25では、図4,図5の例のフローの場合は、ステップS25~S27において、前述した第4プロセスの処理が行われる。
[0047]
 次に、マイクロコンピュータ14のCPU16は、図3中に示したように、上記(2)のため、OHラジカルの総モル数演算手段(その1)26として機能し、もって総モル数演算処理が行われる。
 この総モル数演算手段(その1)26では、まず、処理対象1の酸化分解に際し、上記第1~第4プロセスに関与して消費されるOHラジカルのモル数が、合算される(その計算アルゴリズムについては、前述したところを参照)。
 これと共に、この総モル数演算手段(その1)26は、検出手段12で検出された窒素系有機化合物の濃度(例えばmg/L)から、処理対象1となる窒素原子を含んだ構成成分のモル数を、換算する。
 もって、処理対象1の酸化分解に必要なOHラジカルの総モル数が、算出される。
[0048]
 それから、マイクロコンピュータ14のCPU16は、図3中に示したように、前記(3)のため、過酸化水素や鉄イオンの添加量演算手段(その1)27として機能し、もって添加量演算処理が行われる。
 すなわち、この添加量演算手段(その1)27は、上述により得られたOHラジカルの必要総モル数に基づき、まず、過酸化水素の必要モル数を算出する(その計算アルゴリズムについては、前述したところを参照)。
 過酸化水素について、必要モル数が算出されると、その密度,分子量,質量を基に、その必要添加量が算出される。なお、2価の鉄イオン等の鉄イオンの必要添加量は、過酸化水素の必要添加量から係数計算することにより、算出される。もって、算出された添加量の過酸化水素や鉄イオンが、添加される。
 制御例(その1)では、このような制御が実施される。
[0049]
 〈制御例(その2)について〉
 次に、制御の具体例(その2)について、図1~図3,および表1を参照して、説明する。
 この制御例の酸化分解方法において、該制御装置11は、マイクロコンピュータ14にて構成されており、次の(1)データ検索処理,(2)総モル数演算処理,および(3)添加量演算処理、等を行う。
 すなわち制御手段11は、まず(1)として、そのプログラムに基づき、予め記憶されたデータを検索することにより、処理対象1の酸化分解に必要なOHラジカルのモル数を抽出する、データ検索処理を行う。それから制御手段11は、(2)として、このデータ検索処理に基づく、処理対象1の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数の、演算処理を行う。それから制御手段11は、(3)として、過酸化水素および鉄イオンの添加量の演算処理を行う。
[0050]
 このような制御例(その2)について、更に詳述する。制御装置11として使用されるマイクロコンピュータ14のCPU16は、ROM18に書き込まれたプログラムに基づき、図3中に示したように、(1)のためのデータ検索処理手段28、(2)のための総モル数演算手段(その2)29、(3)のための添加量演算手段(その2)30、等として機能する。
 これと共に、マイクロコンピュータ14の記憶装置19には、前述した表1のデータが、酸化分解データテーブル31として格納されている。つまり記憶装置19には、窒素原子を含む各構成成分毎に、その酸化分解に必要なOHラジカルのモル数が、対応づけて記憶されている。
[0051]
 そしてまず、(1)のためのデータ検索処理手段28は、処理対象入力手段13で入力された処理対象1の窒素系有機化合物の窒素を含んだ構成成分を、検索キーとする。そしてデータ検索処理手段28は、この検索キーを使って、酸化分解データテーブル31から読み出されたデータを、検索する。もってデータ検索処理手段28は、検索キーとされた構成成分の酸化分解に必要なOHラジカルのモル数を、抽出する。
 次に、(2)のための総モル数演算手段(その2)29は、まず、濃度検出手段12で検出された窒素系有機化合物の濃度(例えばmg/L)から、処理対象1となる窒素原子を含んだ構成成分のモル数を、換算する。それから、総モル数演算手段(その2)29は、この構成成分の換算モル数と、上記OHラジカルの抽出モル数とに基づき、処理対象1を酸化分解するのに必要なOHラジカルのモル数を、算出する。
 後は、(3)のための添加量演算手段(その2)30が、過酸化水素および鉄イオンの添加量を演算することになるが、添加量演算手段(その1)27等において前述した所に準じるので、その説明は省略する。もって、算出された添加量の過酸化水素および鉄イオンが、添加されることになる。
 制御例(その2)では、このような制御が実施される。
[0052]
 〈作用等〉
 本発明の窒素系有機化合物の酸化分解方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下の(1)~(10)のようになる。
 (1)難分解性の窒素系有機化合物を含有した被処理水8が、原水槽3からフェントン処理槽4へと、供給される(図1を参照)。
[0053]
 (2)フェントン処理槽4に供給された被処理水8は、まず反応当初に、過酸化水素添加部9から過酸化水素槽6の過酸化水素溶液が、全量添加される。しかる後、被処理水8は、鉄イオン添加部10から鉄イオン槽7の鉄イオン溶液が、分割添加される。この間、被処理水8は、pH調整手段(図示せず)により弱酸性に維持されている。
[0054]
 (3)さてそこで、フェントン処理槽4内の被処理水8について、OHラジカルが生成される。すなわち、過酸化水素が2価の鉄イオンにて還元されてOHラジカルを生成するフェントン主反応(前記化1~3の反応式を参照)を始め、副次的反応により、OHラジカルが連鎖的に生成される(前記化4~10の反応式を参照)。
[0055]
 (4)このように生成されたOHラジカルは、強力な酸化力を備えている。もって、被処理水8中に含有されていた窒素系有機化合物中の処理対象1、つまり窒素原子を含んだ構成成分は、このOHラジカルにて酸化分解される。
 被処理水8は、このように含有していた窒素系有機化合物の窒素原子を含んだ構成成分が、酸化分解されて外部排出される。
[0056]
 (5)すなわち、本発明の酸化分解方法では、窒素系有機化合物中の処理対象1の窒素原子を含んだ構成成分が、次の各プロセスを辿ることにより、酸化分解される。もって、硝酸が生成される。(図4,図5を参照)。
 水酸基有の場合の第1プロセスの酸化分解パターン、水素原子有の場合の第2プロセスの酸化分解パターン、水酸基が生成される第3プロセスの酸化分解パターンが、それぞれ、順不同に必要回数だけ実施される。そして、発生期の水素による第4プロセスの還元パターンが、最終的に実施され、もって硝酸が生成される。
 勿論、窒素系有機化合物中に、窒素原子を含んだ構成成分が複数存在する場合は、そのそれぞれについて、酸化分解が行われる。
[0057]
 (6)本発明では、パターン化された第1~第4の各プロセスを、処理対象1の窒素原子を含んだ構成成分に対して適用することにより、各構成成分毎の酸化分解過程つまり化学式プロセスが、それぞれ解明される。
 もって、処理対象1の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数と、そのOHラジカルの生成に必要な過酸化水素および鉄イオンの添加量とが、算出可能となり、その計算アルゴリズムが確立される。
[0058]
 (7)そして本発明は、マイクロコンピュータ14等の制御装置11を利用することにより、計算アルゴリズムが、自動化,制御化,およびツール化される。
 すなわち本発明では、まず、濃度検出手段12にて、窒素系有機化合物の被処理水8中での濃度を、検出する。これと共に、処理対象入力手段13にて、その窒素原子を含んだ構成成分と、そのモル数(構成成分当量)とを、入力する。すると、OHラジカルの必要総モル数と、過酸化水素や鉄イオンの添加量とが、算出される(図1,図2を参照)。
[0059]
 (8)本発明では、前述した制御例(その1)のように、前記第1~第4の各プロセス処理と、総モル数演算処理と、添加量演算処理とを、プログラムに基づきマイクロコンピュータ14にて行うことにより、モル数や添加量が算出される(図3等を参照)。
 又、本発明では、前述した制御例(その2)のように、例えば、データ検索処理と、総モル数演算処理と、添加量演算処理とを、プログラムに基づきマイクロコンピュータ14にて行うことによっても、モル数や添加量が算出される(表1,図3等を参照)。
[0060]
 (9)なお、OHラジカルの実際使用量(必要総モル数)は、反応理論値(必要理論総モル数)より、多目とされる。すなわち実際上、OHラジカルは、反応理論値として算出されたモル数を下限値としつつ、より多目に準備される。従って、フェントン法による過酸化水素や鉄イオンの添加量についても、これに準じる。
 本発明の作用等については、以上のとおり。
[0061]
 〈参考:他の基本部分又は/および残基の酸化分解について〉
 ここで、窒素系有機化合物において、以上説明した処理対象1以外の酸化分解について、説明しておく。つまり、窒素原子を含んだ構成成分以外の基本部分および残基について、その酸化分解を説明しておく。
 すなわち、前述したところにおいて、R又はR’の符号を付して示した基本部分の構成成分および残基の構成成分は、多くの場合、炭素原子(C),水素原子(H)からなり、更には酸素原子(O)がこれに加わることもある。そして、このような基本部分又は/および残基も、以上説明した窒素原子を含んだ構成成分に準じて酸化分解され、もって無機化される。
[0062]
 これらについて更に詳述する。このような基本部分又は/および残基も、以上説明した第1~第4プロセスに準じた第1’~第4’プロセスを辿って、酸化分解される。
 その際、処理装置2,原水槽3,フェントン処理槽4,後処理槽5,過酸化水素槽6,鉄イオン槽7,および被処理水8等も、共通に使用される。更に、過酸化水素添加部9,鉄イオン添加部10,制御装置11,濃度検出手段12,処理対象入力手段13,およびマイクロコンピュータ14等も、共通に使用される。
 マイクロコンピュータ14は、第1~第4プロセス処理手段22~25に準じたプロセス処理手段として、機能する。総モル数演算手段26,29、添加量演算手段27,30、酸化分解データテーブル等についても、これに準じる。
 結局、本発明では、難分解性の窒素系有機化合物に関し、処理対象1となる窒素原子を含んだ構成成分の酸化分解と共に、その他の基本部分又は/および残基の構成成分の酸化分解が、同時併行的に実施される。もって窒素系有機化合物は、全体的に酸化分解され尽くしてしまう。
[0063]
 このような基本部分又は残基を対象とした酸化分解について、そのポイントを、図6,図7を参照して説明しておく。
 フェントン処理槽4(図1を参照)内では、生成されたOHラジカルにより、窒素系有機化合物について、炭素,水素,酸素等の元素よりなる基本部分又は/および残基が、酸化分解される。そして酸化分解は、次の第1’プロセス~第3’プロセス,更には第4’プロセスを、順次繰返すことにより行われる。
[0064]
 まず、図6の(1)図は、第1’プロセスに関する。
 まず前提として、ステップS101で対象となる窒素系有機化合物の基本部分又は/および残基の化学式が、入力される。具体的には、構成成分を示した構造式が、入力される(処理対象入力手段13を参照)。
 そして、この第1プロセスのルーチンでは、そのステップS102で、対象について、まず水酸基(-OH)の有無が判定される。そして、水酸基有の場合は、ステップS103,S104へと進み、OHラジカル(・OH)が、水酸基の水素原子(H)を奪って、水酸基を酸化し、もって水酸基の酸素原子(O)を二重結合化(=O)する。ステップS105で、OHラジカル自身は、水(HO)に回帰して系外に遊離する。なおステップS106により、水酸基が無となるまで、上述した所が繰返される。
[0065]
 次に、図6の(2)図は、第2’プロセスに関する。
 第1’プロセスの次のルーチンである第2’プロセスでは、まず、そのステップS107で、第1’プロセス後の対象について、炭素原子(C)や酸素原子(O)に付く水素原子(H)の有無が、判定される。そして、水素原子有の場合は、ステップS108,S109へと進み、OHラジカルが水素原子を奪って、対象を酸化する。ステップS110で、OHラジカル自身は、水に回帰して系外に遊離する。なおステップS111により、炭素原子や酸素原子に付く水素原子が無となるまで、上述した所が繰返される。
 図7の(1)図は、第3’プロセスに関する。
 上述した第2’プロセスの次のルーチンである第3’プロセスでは、まず、そのステップS112で、第2’プロセス後の対象について、第2’プロセスにて生成された炭素原子(C)の不対電子(-)の有無、および酸素原子(O)の不対電子の有無が、判定される。そして不対電子有の場合は、ステップS113へと進んで、不対電子に対し引続くOHラジカルが付加して、水酸基が再生される。そこでフローは、ステップS114を経て、前述した図6の(1)図の第1’プロセスにリターンして、第1’プロセスを繰返すことになる。
[0066]
 図7の(2)図は、第4’プロセスに関する。
 上述した第1’~第3’プロセスで、対象について、水酸基,炭素原子,酸素原子等の水素原子が、奪い尽くされ酸化し尽くされた場合、通常は、対象が所期の通り水,炭酸ガス,酸素等に分解され、無機化されてしまったことになる。
 これに対し、第1’~第3’プロセスを経ても、対象が、未だすべて無機化され尽くされていない場合は、次のルーチンである第4’プロセスへと進む。第4’プロセスでは、まずステップS116で、引続くOHラジカルが、水分子から水素原子を奪って、水分子を酸化する。もって、酸素分子と発生期の水素(H+e)とが、生成する。OHラジカル自身は、水に回帰して系外に遊離する。
 そして、生成されたステップS117の発生期の水素が、ステップS115の水素原子が奪い尽くされた対象を、ステップS118で還元して水素化する。そこでフローは、ステップS119を経て、前述した図6の(2)図の第2’プロセスへとリターンして、第2’プロセスを繰返すことになる。
 基本部分又は/および残基の酸化分解については、以上のとおり。
実施例 1
[0067]
 以下、本発明の各実施例について説明する。
 実施例1では、窒素系有機化合物の1例である蛋白質(アミノ酸NH-CH(-R)-COOHが、ペプチド結合したポリマー)について、その酸化分解について検証する。
 まず、この蛋白質型有機化合物の場合、処理対象1となる蛋白質型の窒素原子を含んだ構成成分は、2通りとなる。すなわち構成成分は、酸アミド結合していないN末端の-NH(アミノ基)型の窒素原子を含んだ構成成分と、酸アミド結合(アミノ酸残基)の-CO-NH-中の-NH-型の窒素原子を含んだ構成成分との、2通りとなる。
[0068]
 まず、N末端近傍は、NH-CH(-R)-CO-となっている。そして、-NHの水素原子を別扱いとしつつ、CH(-R)-CO-に、前記第2’,第3’プロセスが適用される。
 もって、-CH(-R)-の水素原子が、OHラジカルに奪われて酸化されると共に、その不対電子に、OHラジカルが付加される。その結果、-CH(-R)-は、-C(OH)(-R)-となる。
 それから、この-C(OH)(-R)-に、前記第1’プロセスが適用される。もって水酸基は、その水素原子が、OHラジカルに奪われて酸化されると共に、その酸素原子が、炭素原子と二重結合化する。
 その結果、-C(OH)(-R)-は、C(=O)(-R)-となる。ここにおいて、炭素原子の原子価が4価のため、頭書した-NHが、-C(=O)(-R)-と、分離する(なお、この-C(=O)(-R)-は、前記1’~4’プロセスを辿って酸化分解される)。
 そして-NHは、前記第3プロセスが適用される。もって、OHラジカルが付加して水酸基が生成されて、OH-NHとなる。
[0069]
 以下、図4,図5のフローチャートに基づき説明するが、これについては、「発明の概要について」と題して詳述したので、そのポイントのみを述べるに止める。なお、図4,図5のフロー中、※を付した箇所については、スタートへのリターンを意味する。
 ステップS1で、処理対象1としてOH-NHが入力される。そして、ステップS2~S5で、前記第1プロセスが適用され、もってOH-NHは、O=N-HとH・となると共に、水が遊離する。遊離したH・は、ステップS6~S8で、水に帰す。それからフローは、ステップS9~S14へと進み、前記第2,第3プロセスが適用され、もって、O=N-Hは、O=N-OHとなると共に、水が遊離する。
 それから、ステップS15~S18へと進み、前記第1プロセスが適用され、もって、O=N-OHは、O=N=Oとなると共に、水が遊離する。そして、次のステップS19,S20で、前記第3プロセスが適用され、もって、O=N=OのNに、水酸基が結合される。なお窒素原子の原子価は、それまでの3価から4価、そして以下5価となる。
 次のステップS21~S24では、前記第1プロセスが適用され、もって、O=N=OのNに、不対電子有のOが結合されて、残基となると共に、水が遊離する。それからフローは、S25~S27へと進んで、前記第4プロセスが適用される。もって残基が、発生期の水素(H+e)にて還元されて、硝酸(硝酸イオン)が生成されるに至る。
 このように、N末端の-NH型の窒素原子を含んだ構成成分よりなる処理対象1は、硝酸化される。
[0070]
 これに対し、酸アミド結合中のNH-近傍は、-CO-NH-CH(-R)-となっている。そして、-NH-の水素原子を別扱いとしつつ、前記第2’,第3’プロセスが適用される。もって、-CH(-R)-は、その水素原子が、OHラジカルに奪われて酸化される。そして、生じた不対電子に、OHラジカルが付加される。その結果、-CH(-R)-は、-C(OH)(-R)-となる。
 それから、この-C(OH)(-R)-に、前記プロセス1’が適用され、もって水酸基は、その水素原子がOHラジカルに奪われて酸化されると共に、その酸素原子が、炭素原子と二重結合化する。
 その結果、-C(OH)(-R)-は、C(=O)(-R)-となるが、炭素原子の原子価が4価のため、頭書した-NH-は、C(=O)(-R)-と分離する(なお、このC(=O)(-R)-は、前記1’~4’プロセスを辿って、酸化分解される)。
 これらに対し、-CO-NH-の右端は、前記第3プロセスが適用される。もって右端は、OHラジカルが付加して水酸基が生成されることにより、-CO-NH-OHとなる。それから、これに対しては前記第1プロセス(前記第1’プロセス)が適用される。もって水酸基は、その水素原子がOHラジカルに奪われて酸化し、その酸素原子が窒素原子と二重結合化する。
 その結果、窒素原子の共有結合の原子価は3価であるから、-CO-と、NH(=O)つまりO=N-Hとが、分離する。
 そして、このO=N-Hは、前述した図4,図5のフローのステップS9以下を辿る。そして、ステップS27に至り、硝酸(硝酸イオン)が生成される。
[0071]
 実施例1では、このようにして、-NH型の窒素原子を含んだ構成成分と、-NH-型の窒素原子を含んだ構成成分とが、それぞれ酸化分解される。
 なお、-NH型の窒素原子を含んだ構成成分への、前記第1~第4プロセスの適用については、次の化13の(1)~(6)の反応式として順次把握される。そして、化13の(1)~(6)の6式を合成して総括すると、前記表1中の項目No.1の反応式となる。
[0072]
[化11]


実施例 2
[0073]
 本発明の実施例2は、難分解性の窒素系有機化合物の1例であるニトロベンゼン(CNO)を、前記各プロセスを適宜適用して酸化分解した所、次の化14の反応式が得られた。
[0074]
[化12]


実施例 3
[0075]
 本発明の実施例3は、難分解性の窒素系有機化合物の1例であるアニリン(CNH)を、前記各プロセスを適宜適用して酸化分解した所、次の化15の反応式が得られた。
[0076]
[化13]


符号の説明

[0077]
  1 処理対象(窒素原子を含んだ構成成分)
  2 処理装置
  3 原水槽
  4 フェントン処理槽
  5 後処理槽
  6 過酸化水素槽
  7 鉄イオン槽
  8 被処理水
  9 過酸化水素添加部
 10 鉄イオン添加部
 11 制御装置
 12 濃度検出手段
 13 処理対象入力手段
 14 マイクロコンピュータ
 15 駆動回路
 16 CPU
 17 RAM
 18 ROM
 19 記憶装置
 20 インプット・ボード
 21 アウトプット・ボード
 22 第1プロセス処理手段
 23 第2プロセス処理手段
 24 第3ロセス処理手段
 25 第4プロセス処理手段
 26 総モル数演算手段(その1)
 27 添加量演算手段(その1)
 28 データ検索処理手段
 29 総モル数演算手段(その2)
 30 添加量演算手段(その2)
 31 酸化分解データテーブル

請求の範囲

[請求項1]
 難分解性の窒素系有機化合物について、窒素原子(N)を含んだ構成成分を処理対象とし、水溶液中の該処理対象を、OHラジカル(・OH)にて酸化分解する方法であって、
 該処理対象について水酸基(-OH)の有無を判定し、水酸基有の場合は、OHラジカルが該水酸基の水素原子(H)を奪って、該水酸基を酸化し、もって、該水酸基の酸素原子(O)を二重結合化させると共に、OHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離する、第1プロセスと、
 該処理対象について水素原子の有無を判定し、水素原子有の場合は、OHラジカルが該水素原子を奪って、該す処理対象を酸化し、もって、OHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離する、第2プロセスと、
 該処理対象について、原子の不対電子にOHラジカルが付加して、水酸基が生成される第3プロセスと、を有してなると共に、
 最終的には第4プロセスにおいて、まず、OHラジカルが水分子から水素原子を奪って、該水分子を酸化し、もって、酸素分子と発生期の水素(H+e-)とを生成させると共に、OHラジカル自身は水に回帰して系外に遊離し、
 生成された該発生期の水素が、該処理対象の残基を還元して、硝酸(HNO)が生成されること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項2]
 請求項1において、該処理対象は、R-NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)NH型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’NH型の窒素原子を含んだ構成成分、R=NH型の窒素原子を含んだ構成成分、(R)N-型の窒素原子を含んだ構成成分、RR’N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R=N-型の窒素原子を含んだ構成成分、R-N=CO型の窒素原子を含んだ構成成分、R-NO型の窒素原子を含んだ構成成分、又は、R-N=N-型の窒素原子を含んだ構成成分よりなり、
 各該処理対象が、それぞれ前記各プロセスを辿ること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項3]
 請求項2において、該処理対象の酸化分解に要するOHラジカルの必要総モル数が、前記各プロセスでの反応式に基づき算出されること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項4]
 請求項3において、OHラジカルはフェントン法にて生成され、もって、過酸化水素および鉄イオンの添加量が、OHラジカルの該必要総モル数と該フェントン法とに基づき、算出されること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項5]
 請求項4において、まず検出手段により、該窒素系有機化合物の濃度が検出されると共に、入力手段により、該窒素系有機化合物中の該処理対象の構成成分と、そのモル数とが、入力され、
 もって、検出された濃度、および入力された構成成分とそのモル数とに基づき、制御装置により、該処理対象の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数が算出され、そして過酸化水素および鉄イオンの該添加量が算出され、
 それから、該制御装置からの指示に基づき、過酸化水素添加部および鉄イオン添加部により、該処理対象の水溶液に対し、該添加量の過酸化水素および鉄イオンが添加されること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項6]
 請求項5において、該制御装置はコンピュ-タにて構成されており、そのプログラムにより、
 該処理対象の構成成分について、前記第1,第2,第3,第4の各プロセス毎に必要なOHラジカルのモル数を、算出するプロセス処理と、
 該プロセス処理に基づく、該処理対象の構成成分の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数の演算処理と、
 該演算処理に基づく、過酸化水素および鉄イオンの該添加量の演算処理とが、行われること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項7]
 請求項5において、該制御装置はコンピュ-タにて構成されており、そのプログラムにより、
 予め記憶された各構成成分毎のデ-タを検索して、該処理対象の構成成分の酸化分解に必要なOHラジカルのモル数を、抽出するデ-タ検索処理と、
 該デ-タ検索処理に基づく、該処理対象の構成成分の酸化分解に要するOHラジカルの該必要総モル数の演算処理と、
 該演算処理に基づく、過酸化水素および鉄イオンの該添加量の演算処理とが、行われること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項8]
 請求項1において、該窒素系有機化合物は蛋白質型有機化合物よりなり、該処理対象の蛋白質型の窒素原子を含んだ構成成分が、前記各プロセスを辿ること、
 すなわち、N末端の-NH(アミノ基)型の窒素原子を含んだ構成成分と、酸アミド結合の-NH-型の窒素原子を含んだ構成成分とが、それぞれ前記各プロセスを辿ること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。
[請求項9]
 請求項8において、該蛋白質型有機化合物は、細菌の細胞の主要部又はウィルスの細胞の主要部を形成していること、を特徴とする窒素系有機化合物の酸化分解方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]