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1. WO2013011605 - ドラム式洗濯機

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明 細 書

発明の名称 ドラム式洗濯機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

先行技術文献

特許文献

0018  

発明の概要

0019   0020   0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141  

産業上の利用可能性

0142  

符号の説明

0143  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3A   3B   4   5   6   7   8   9   10A   10B  

明 細 書

発明の名称 : ドラム式洗濯機

技術分野

[0001]
 本発明は、弾性的に支持された水槽内に洗濯物を収容して回転可能な洗濯槽を備え、その洗濯槽内で洗濯物の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥を行うドラム式洗濯機もしくはドラム式洗濯乾燥機に関する。

背景技術

[0002]
 一般的に、綿と化学繊維を比較した場合、洗濯液に対する吸水能力や保水性、水へのなじみ等、衣類の特性が大きく異なるため、洗濯、つまり洗い、すすぎ、脱水を行う場合、画一的に同じ工程にする必要はなくなる。そこでこれら洗濯物が綿であるか、たとえばポリエステル主体の化学繊維であるかなど布質が判別できれば、布質をもとに運転シーケンスに反映して最適な運転を行うことで、洗い上がりの向上、節水や時短の実現が可能となる。
[0003]
 従来の布質検知部として、洗い工程の給水後の水位低下量の違いから洗濯物の吸水能力を見て布質を検知するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
 特許文献1では、洗濯物を入れる洗濯槽と、洗濯槽の内底部に回転自在に配した撹拌翼と、洗濯槽を回転自在に収納する水槽と、水槽内の水位を検知する水位検知部を備え、洗濯物が入れられた洗濯脱水槽内の所定水位にまで水が供給された後、洗濯物が所定時間撹拌される。このとき、低下する水位を検出し水位低下量に基づいて布質を検知する。
[0005]
 このような構成によって、洗濯物の布質、例えば化繊、木綿等によって、洗濯物の吸水能力が異なるので、給水された洗濯脱水槽内で洗濯物を撹拌すると、洗濯物の布質に応じた水量が、洗濯物に吸水されて、洗濯脱水槽内の水位がその分低下する。この低下した水位の変化量を検出することによって、洗濯物の布質を検知している。
[0006]
 しかしながら、従来の布質検知方法では、布質検知をするために所定水量の給水後、一定時間撹拌をして洗濯物に吸水させる必要がある。このときの水位は洗濯物に吸水されるため低水位となり、低水位で撹拌することで洗濯物がこすれ、傷みが生じるという課題を有していた。
[0007]
 また、従来のドラム式の洗濯機においては、洗濯物を回転自在に設置された洗濯槽に投入した後、給水部によって洗濯機外部より水道水が供給され、あらかじめ既定量の洗剤が投入されている洗剤入れを介して洗濯槽を収容する水槽または洗濯槽に注水される。注水後は、洗濯槽を低速で回転させながら、洗濯物を十分に洗浄水で濡らした後、洗濯槽を一定時間、洗濯物が洗濯槽壁面に張り付かない程度の低速で回転させる。これによって、タンブリングと呼ばれる動作が行われる。タンブリングすることにより、濡れた洗濯物が回転に伴って洗濯槽の上部より落下して、その際の衝撃によって汚れが落とされて、洗浄性能が上げられている。
[0008]
 一方、洗い行程を終えて、すすぎ行程に移行すると、短時間の中間脱水が行われた後に、再び注水が行われ、撹拌動作(タンブリング動作)により洗濯物のすすぎが行われる。その後、脱水行程に移行し、洗濯槽内のすすぎ水が排水された後に、最終の脱水動作が行われる。脱水動作は洗濯物に極めて強い遠心力をかけることで繊維の奥に染み込んだ水分までも遠心方向に吹き飛ばすものであるので、最終脱水を終了した段階では洗濯物が洗濯槽壁面にきつく張り付いている。ここで運転が終了して使用者が洗濯物を洗濯槽から取り出そうとすると、洗濯槽壁面に張り付いた洗濯物を引きはがす必要があり、予想以上に重労働である。
[0009]
 これに対して、近年では最終脱水を終えた後に洗濯槽壁面にきつく張り付いた洗濯物を壁面から少しでも引きはがすことにより、使用者が洗濯物を取り出す手間を軽減する機能を搭載した洗濯機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
[0010]
 最終脱水動作終了後、洗濯槽を停止させた段階では、洗濯物が洗濯槽の壁面にきつく張り付いている。この状態で、給水を行わずに、布はがし動作と称して、モータを駆動させ、洗濯衣類をタンブリング可能な回転数で洗濯槽を数秒だけ片方向に回転させて停止させる。その後、洗濯槽を逆回転させて停止させる。このような回転動作を交互に小刻みに繰り返す。これにより、洗濯槽壁面にきつく張り付いていた洗濯物が、壁面から徐々に剥がれて洗濯物がほぐれて取り出しやすい状態になる。
[0011]
 しかしながら、最終脱水を終えた段階で、洗濯物の種類によっては、例えばジャージなどの化学繊維が多い場合は、最終脱水行程を終えた段階でも洗濯槽に洗濯物が貼りついていない。それにも関わらず、布はがし動作が行われることで運転時間をいたずらに伸ばし、省エネルギー性が良くないという課題を有していた。
[0012]
 また、一般的に、綿と化学繊維を比較した場合、洗浄水に対する吸水能力や保水性、水へのなじみ等、衣類の特性が大きく異なるため、洗濯、つまり洗い、すすぎ、脱水を行う場合、画一的に同じ工程を行う必要はなくなる。そこで、これら洗濯物が綿であるか、たとえばポリエステル主体の化学繊維であるかなどの布質が判別できれば、布質をもとに運転シーケンスに反映して最適な運転を行うことで、洗い上がりの向上、節水や時短の実現が可能となる。
[0013]
 従来の布質検知部として、洗濯運転時におけるトルク変動検知部により検知された駆動部のトルク変動の大きさから洗濯槽内の洗濯物の布質が判定されるものがある(例えば、特許文献3参照)。
[0014]
 しかしながら、従来構成のものでは、布質の違いで回転ムラ(駆動部のトルク変動)を発生させる条件として、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことが必要である。図10Aは従来の布質検知における化学繊維の多い洗濯物が回転ドラム内で回転する挙動を示す図である。図10Bは従来の布質検知における綿の多い洗濯物が回転ドラム内で回転する挙動を示す図である。図10Aに示すように、吸水性の低い化学繊維などは、洗濯槽内側に張りつくため、トルク変動が小さい。このように、化学繊維を検知する場合は吸水性が低いために、トルク変動が小さい。
[0015]
 一方で、図10Bに示すように、吸水性が高い綿は、洗濯槽の上部まで洗濯物が持ち上がらないため、洗濯槽の低い位置で空回りするため、トルク変動が小さい。よって、どちらの場合も、トルク変動が小さいため、布質を判定しにくいという課題を有していた。
[0016]
 本発明は、従来の課題を解決するもので、洗濯物の傷みを少なく布質を検知でき、検知結果に基づいて脱水工程の内容を変化させることによって、衣類を構成する素材に対応して、省エネルギーで脱水性能に優れた洗濯機を提供するものである。
[0017]
 また、本発明は、洗濯槽内に投入された衣類を構成する繊維の吸湿性の違いを判定し、判定結果に基づいて最終脱水行程を終えた段階での洗濯槽に洗濯物が貼りついているか否かを推察することによって、最低限の布はがし動作を行う。これで、洗濯物を取り出しやすく、省エネルギー性の優れた運転を実現することができるドラム式洗濯機を提供するものである。

先行技術文献

特許文献

[0018]
特許文献1 : 特開平8-173683号公報
特許文献2 : 特開平10-127978号公報
特許文献3 : 特開2007-185357号公報

発明の概要

[0019]
 本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、洗濯槽を収容する水槽と、水槽の振動を検知する振動検知部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、洗濯物の布質を検知する布質検知部と、駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備える。制御部は、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう駆動部を動作させ、布質検知部は、この状態でのトルク変動の大きさから洗濯物の布質を判断し、制御部は、布質検知部による布質に応じて脱水工程における脱水回転の時間を変更する。
[0020]
 また、本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、洗濯槽を収容する水槽と、水槽の振動を検知する振動検知部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、洗濯物の布質を検知する布質検知部と、駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備える。制御部は、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう駆動部を動作させ、布質検知部は、この状態でのトルク変動の大きさから洗濯物の布質を判断し、制御部は、布質検知部による布質に応じてすすぎ工程における脱水回転の時間を変更する。
[0021]
 また、本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、洗濯槽を収容する水槽と、水槽の振動を検知する振動検知部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、洗濯物の布質を検知する布質検知部と、駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備える。制御部は、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう駆動部を動作させ、布質検知部は、この状態でのトルク変動の大きさから洗濯物の布質を判断し、制御部は、布質検知部による布質に応じて脱水工程における脱水回転の時間を変更し、制御部は脱水工程における最終脱水動作の終了後に、布質検知部による布質に応じた撹拌動作を行う。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構造を示す断面図である。
[図2] 図2は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の制御装置の構成を示すブロック図である。
[図3A] 図3Aは、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の回転ドラムを45rpmで一方向に回転させたときの布質の違いによるトルク変動の大きさの相関を示す図である。
[図3B] 図3Bは、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の回転ドラムを布質に応じた回転数で回転させたときの布質の違いによるトルク変動の大きさの相関を示す図である。
[図4] 図4は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の布量に対する布質別トルク変動の相関を示す図である。
[図5] 図5は、一般的なドラム式洗濯機における回転ドラム内の洗濯物の挙動を示す図である。
[図6] 図6は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の動作を示すフローチャートである。
[図7] 図7は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の動作を示すフローチャートである。
[図8] 図8は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の動作を示すフローチャートである。
[図9] 図9は、本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機の動作を示すフローチャートである。
[図10A] 図10Aは、一般的なドラム式洗濯機において化学繊維の多い洗濯物が回転ドラム内で回転する挙動を示す図である。
[図10B] 図10Bは、一般的なドラム式洗濯機において綿の多い洗濯物が回転ドラム内で回転する挙動を示す図である。

発明を実施するための形態

[0023]
 (実施の形態1)
 以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構造を示す断面図である。図1を用いて構成を以下に説明する。
[0024]
 洗濯機本体1の内部には揺動自在に水槽3が収納され、水槽3内には洗濯槽である回転ドラム4が回転軸4aを中心に回転自在に配設されている。回転ドラム4の回転軸4aは、水槽3の背面外側に取り付けた駆動部としてのモータ6が直結されており、モータ6により回転ドラム4が回転駆動される。
[0025]
 回転ドラム4には、その周壁4c全体に渡って複数の透孔4eが設けられ、水槽3内と回転ドラム4内とは通水および通気ができるようになっている。回転ドラム4の背面壁4dには円周方向に沿った複数の背面開口4fが形成されており、これら背面開口4fは水槽3の背面側上部に形成された導入口9eに対向するように配置されている。また、回転ドラム4の周壁4c内面には複数の撹拌突起4bが設けられており、回転ドラム4の回転により、撹拌突起4bが回転ドラム4内の洗濯物を持ち上げることができる。なお、透孔4eは回転ドラム4の周壁全体に渡り設けたが、回転ドラム4の周壁に部分的に形成してもよく、要は、水槽3内と回転ドラム4内との通気性および通水性を確保でき、洗濯から乾燥に支障が出ないように設定すればよい。
[0026]
 また、回転ドラム4の回転軸4aは、前面側から背面側に向かって下向きになるように傾斜しており、具体的には水平方向Xから例えば角度θ=20±10度下向き傾斜させて配置されている。このように回転軸4aを傾斜させることで、水槽3前面側の開口13を上側に配置することができるようになり、大きく屈む姿勢をとることなく水槽3の開口13を介して回転ドラム4内の洗濯物が取り出せるようになる。
[0027]
 また、回転軸4aを水平方向とした場合に比べ、水槽3内に給水された水が背面側に溜まって少ない水量でも深い貯水状態が得られる。すなわち、少ない給水量でも洗濯物が含水しやすくすくなる。
[0028]
 水槽3は、回転ドラム4内の洗濯物に効率よく給水を行うために、回転ドラム4と同じ傾斜を持ってその近くに沿うように設けられている。回転ドラム4および水槽3を傾斜させることによって、水平に配置するよりも早くに洗濯物の外周側に水が接触し始めるので、洗濯物が含水しやすくなる。なお、給水量を考慮しなければ、回転ドラム4は水平であってもよいし、傾斜角度θが10度未満であってもよい。
[0029]
 また、洗濯機本体1の前面側には、水槽3の開口13を通して回転ドラム4内に通じる開口部が設けられ、その開口部には開閉扉5が開閉自在に設けられている。水槽3の開口13は、その口縁に環状のシール材14が装着されている。シール材14の前面側は開閉扉5の背面側に当接して密閉し、上下左右、前後に揺動する水槽3の開口が動いてもシール材14が変形し開閉扉5背面側へ押圧するので密閉性が維持されている。
[0030]
 水槽3の上部には、洗剤収容部7aと、給水部である給水弁7bと、給水経路7cが設けてある。洗剤収容部7aは、給水弁7bの開閉によって給水される。給水経路7cは、洗剤収容部7a内の洗剤を給水とともに水槽3内面と回転ドラム4外面との間に形成された空間Yに供給する。
[0031]
 水槽3の最底部には、水槽3の最底部に一端を接続した排水管8aと、排水部としての排水弁8bとを有し、排水弁8bの開閉によって洗い工程終了時、すすぎ工程終了時など、必要なときに水槽3内の水が排水管8aを介して排水されるようになっている。さらに排水管8aの下流側には、洗濯機本体1の外部から取り外し可能な排水フィルタ8cが配置され、排水に含まれる糸屑類を捕集する。
[0032]
 乾燥部9は、送風機9cと、送風経路9dと、導入口9eと、導出口9fと、除湿部9gと、加熱部9hと、フィルタ(図示せず)を備えている。
[0033]
 導出口9fは、水槽3および回転ドラム4から空気を出す。送風機9cは、導出口9fから空気を吸引する。フィルタ(図示せず)は、導出口9fからの空気に含まれる糸屑類を捕集し除塵する。導入口9eは、水槽3の背面側に設けられ、回転ドラム4内に送風機9cから吹き出される空気を入れる。送風経路9dは、送風機9cと導入口9eとを接続している。除湿部9gは、送風経路9d内に配され、導出口9fからの高湿空気を除湿する。加熱部9hは、送風経路9d内の除湿部9gより下流側に配され、除湿後の空気を加熱して高温空気とする。除湿部9gおよび加熱部9hをヒートポンプユニットで構成してもよいし、加熱部9hをヒータで構成し、除湿部9gを水冷方式もしくは空冷方式としてもよい。
[0034]
 本実施の形態におけるドラム式洗濯機においては、除湿部9gおよび加熱部9hをヒートポンプユニットで構成するものとし、洗濯機本体1内には除湿部9gおよび加熱部9hとともにヒートポンプユニットを構成する圧縮機(図示せず)を設けるものとする。
[0035]
 また、上記に併せ、給水や排水動作を含む洗い工程時、すすぎ工程時など必要に応じ、水槽3内の水を循環ポンプ30により循環させることで、洗剤の早期溶け込みや偏りの防止、洗いやすすぎの機能向上を図ることができる。
[0036]
 循環ポンプ30は、図1に示すように洗濯機本体1の底部である台板2a上に固定されており、洗浄水を吸引して循環水路31に送水する。また、送水された洗浄水は循環水路31を通って回転ドラム4の開口13から洗濯槽内に吐出される。より詳細には、循環水路31の吐出側経路31bが、水槽3の開口13まわりにある前端壁3gに設けた噴射口51に外面から接続して、水槽3の前端壁3gの内側の面と、対応する回転ドラム4の前端壁4gの外側の面との間に洗浄水を噴射し、それらの間で形成する流路を通じて回転ドラム4内に吐出する。これにより、吐出側経路31bからの水の噴射口51が回転ドラム4内の洗濯物と接触しない位置にあるので洗濯物が引っ掛かって洗い、すすぎや乾燥などに必要な挙動を乱したり、あるいは洗濯物を傷めたり、破れたりするようなことを防止することができるし、見栄えのよい外観が損なわれない。このときの循環ポンプ30のモータ回転数は、例えば3500rpm程度に設定されている。
[0037]
 なお、噴射口51は、その取り付け位置が下部に限られるものではなく、回転ドラム4内の洗濯物に接触しないような位置であれば、上部に設けられてもよいし、上部と下部など、複数位置に配置されてもよい。
[0038]
 また、洗浄水を回転ドラム4内に単純に噴射するようにした場合、せっかくの循環水が回転ドラム4内の洗濯物の局部にしか噴射されず、循環効果が十分に生かされない。一方、循環水を広域に噴射するのに特別な噴射ノズルを採用すると、必要なポンプ圧が上昇し、コスト上昇の原因になるうえに限度がある。そこで、本実施の形態1では、水槽3内の水を循環ポンプ30により循環させるのに、例えば回転数制御が可能であるDCブラシレスモータが用いられている。
[0039]
 これにより、吐出される循環水の流量、流速を調整することで、特別な噴射ノズルを用いることなく、吐出される循環水の上下方向の角度、左右方向の広がり度合いを変えることができる。この結果、循環ポンプ30により回転ドラム4内の洗濯物に対し満遍なく、かつ最適な位置に循環水を供給可能となり、洗い性能およびすすぎ性能を高めることができる。
[0040]
 また、洗濯物が位置しない空間に向けて、無駄に循環水が供給されることを避けられるので、無駄な電力の消費が抑えられ、さらに洗浄水による異常な発泡も抑制することができる。
[0041]
 循環ポンプ30の回転数は、通常の洗い運転時には、例えば上記したように3500rpm程度とし、毎分20L程度の循環水を回転ドラム4内の洗濯物に供給する。これにより洗い性能、すすぎ性能の向上を図る。一方、負荷量検知部により洗濯物の量が所定値より少ないと判断された場合は、制御装置11を構成する制御部11aは、循環ポンプ30の回転数を、例えば2500rpm程度に落とし、供給する循環水を毎分15L程度にする。循環ポンプ30の回転数を下げることで、図1の矢印Bのように、循環水の吐出される上下方向の角度を水平に近づけ、左右方向の広がり度合いを小さくする。これにより、洗濯物が少ない場合は、吐出された循環水が回転ドラム4内の下方に位置する洗濯物に噴射され、効率的に循環水が供給される。
[0042]
 なお、本実施の形態1では、循環ポンプ30を洗濯機本体1の底部である台板2a上に設置する構成としたが、これに限定されるものではなく、水槽3内の水を循環させるのに循環ポンプ30が水槽3の下部3bに設置される構成でもよい。また、吐出側経路31bは1つに限られず、複数あっても良いし、噴射口51は下部だけでなく上部からでもよいし、複数あってもよい。
[0043]
 さらに、実施の形態1に係るドラム式洗濯機には、回転ドラム4内に給水された水量を検知する水位検知部10が設けられている。これは水槽3の最低部近傍の所定位置に配設されたエアトラップ部10aと圧力検知部10cをホース10bにより接続したものである。圧力検知部10cは、圧力によって移動するベローズ部分に一体化されたフェライトと、その外周上を囲む固定側のコイルとで構成され、そのインダクタンス変化を利用して移動ストローク距離をトラップ内圧力に変換する。水位検知部10は、エアトラップ部10aに洗浄水がこないと、大気開放状態となり、出力は一定となる。
[0044]
 このように、水位検知部10はエアトラップ機構によるエア内圧計測によるセンシングが一般的であり、エア内圧が安定的な大気開放圧力から変化するまでの時間を計測するのが水位センサのばらつきに影響を受けない適切な算出方法である。
[0045]
 また水位検知部10の出力は、回転ドラム4の回転の有無やその回転数など、洗濯動作中の回転ドラム4の回転によって出力が変化するため、制御部11aは、回転ドラム4の回転数に応じて回転数と水位のテーブルを複数持っている。つまり、回転ドラム4が静止中でも回転中でも水位を認識することができる。
[0046]
 また、制御部11aは、給水、排水や回転ドラム4の駆動の指示はもちろん、水位検知部10などの各種センサ出力を含め、すべての入出力制御をタイマーで管理できるシステムを具備しており、各動作、タイミングにおける所要時間を知ることができる。
[0047]
 振動検知部16は、水槽3の振動を検出するものである。振動検知部16は、少なくとも一つの加速度センサー(図示せず)を有し、水槽3の上下方向、左右方向、前後方向のうちの少なくとも一つの方向の振動を検知し、検知した方向毎の加速度の総和を出力する。
[0048]
 実施の形態1では、例として、回転ドラム4の正面に対して上下方向の振動(加速度)を検出している。なお、加速度センサとしては、半導体加速度センサ、圧電型加速度センサなどのいずれでも良く、さらに多軸(2軸もしくは3軸)方向の加速度センサでも良い。実際の水槽3の振動は、上下方向の成分が大半を占めるので、上下の一方向だけでも衣類落下の加速度を十分な精度で検知できるが、予期せぬ水槽3の左右、前後方向の振動が発生して水槽3が筐体に当たる場合が希にあるため、本発明の実施の形態1においては、3軸の加速度センサを用いて、3軸の加速度成分を加算して合計したものを利用する。
[0049]
 次に、制御装置11の詳細を図2により説明する。図2は本発明の実施形態1におけるドラム式洗濯機の制御装置11の構成を示すブロック図である。制御装置11は、マイクロコンピュータで構成されており、制御部11aと、洗濯物の布質を検知する布質検知部11bと、洗濯物の量を検知する布量検知部11dとを備えている。また、制御部11aは、パワースイッチング部(図示せず)を介して、モータ6、給水弁7b、排水弁8b等を制御することで、洗い、すすぎ、脱水を行う。
[0050]
 回転数算出部11eは、回転数検知部としてのホール素子6aから出力される速度信号から回転ドラム4の回転数を算出する。回転ドラム4の回転数は布量検知部11dに供給され、検出された回転数に基づき、布量が検知される。
[0051]
 布量検知は、以下の要領で行う。まず、制御部11aがモータ6を回転駆動する。このときの回転ドラム4の回転数は、洗濯物が回転ドラム4の周壁4cの内側に張り付く程度の回転数、例えば100~140rpm程度まで一旦立ち上げられる。制御部11aは、所定時間、回転ドラム4の回転を維持した後、モータ6の通電をオフする。その後、回転ドラム4が惰性により回転することで、モータ6が回転する。このとき、回転ドラム4の回転は、摩擦トルクにより次第に低下して、やがて回転ドラム4は停止する。通電停止から回転ドラム4の停止までの時間は、洗濯物の量が多いときは長く、洗濯物の量が少ないときは短い。この停止に要する時間の違いが洗濯物の量に比例することを利用して洗濯物の量が検知される。
[0052]
 制御部11aは、布量検知部11dにより検知した布量に応じて洗浄水位を決定し、給水弁7bを開けて洗浄水位まで給水する。その後、振動検知部16からの出力を入力し、所定方向(本実施の形態では上下方向)に最大の加速度がつくようモータ6の回転数をベクトル制御しながら可変させて、モータ6の回転数を決定する。その後、決定した回転数を一定にしたまま、トルク変動算出部11cからの出力を入力して、布質検知部11bにより洗濯物の布質が判定される。
[0053]
 トルク変動算出部11cは、トルク変動検知部であるモータ電流検知部17から検知したモータ6の出力を演算する。モータ6をベクトル制御により回転制御する構成において、ベクトル制御で得られるq軸電流はトルクに比例することから、q軸電流を用いてモータ6のトルクおよびトルク変動の大きさを算出している。
[0054]
 本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機は、モード設定や制御プログラムに従い、モータ6、給水弁7b、排水弁8b、乾燥部9を自動制御して少なくとも洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程を行う機能を有している。
[0055]
 以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下、その動作、作用について布質を検知する工程を説明する。
[0056]
 通常の洗い運転においては、まず開閉扉5より洗濯物が投入され、濡れていない状態で布量検知が回転ドラム4の回転とともになされる。基本的な給水量は、この時の布量検知の結果から決定される。その後、給水弁7bを開き給水が開始される。また、このときの給水を利用して、洗剤収容部7aの洗剤も水槽3内に投入される。布量に応じて決定した洗浄水位まで給水がされると、回転ドラム4は左右の回転を3分ほど繰り返して洗濯物に洗浄水を十分に吸水(含水)させる。
[0057]
 本発明の実施の形態1においては、洗濯物が十分に洗浄水を吸水した状態となった後に、振動検知部16により検知する振動の大きさが最大となるように、モータ6が動作する。すなわち、制御部11aは、回転ドラム4の前面側から見て縦方向(上下方向)に最大加速度が発生するように、回転ドラム4の回転数を40~49rpmの範囲で変化させる。具体的には、45rpmで20秒間、回転ドラム4を回転させるとともに、振動検知部16が20秒間の平均的な上下方向の加速度を検出する。次に、46rpmで同じ時間、回転ドラム4を回転させながら、振動検知部16が、同じく上下方向の加速度を検出する。制御部11aは、45rpmで回転時の上下方向の加速度と比較して、より上下方向に平均的な加速度がかかる回転ドラム4の回転数を探る。同様にして47、48、49rpmと、44から40rpmとドラム回転数を変化させて一番、平均的に加速度がかかるドラム回転数を求めていく。
[0058]
 次に、布質の特性に応じたトルク変動の挙動について図3A、図3Bを用いて説明する。図3Aは本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の回転ドラムを45rpmで一方向に回転させたときの布質の違いによるトルク変動の大きさの相関を示す図である。図3Bは本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の回転ドラムを布質に応じた回転数で回転させたときの布質の違いによるトルク変動の大きさの相関を示す図である。
[0059]
 図3Aに示すように、吸水性の低い化学繊維が多い場合、45rpmで回転ドラム4を回転させると、洗濯物の多くは回転ドラム4の内側に張りついており、回転ムラが発生しにくいので、トルク変動も小さくなる。一方で、吸水性の高い綿衣類が多い場合、回転ドラム4の上位部に持ち上がらず、回転ドラム4の低い位置で洗濯物が空回りする。図3Bに示すように、下部近傍でごろつき空回りをしていて、回転ムラが発生しにくい、すなわちトルク変動も小さくなる。
[0060]
 また、回転ドラム4の低い位置で洗濯物が空回りする場合に、中途半端に持ち上がり落下する洗濯物が、回転方向に上昇する撹拌突起4bに当たり、たたき上げられることがある。このとき、回転ドラム4は左右方向に大きく振動し、トルク変動検知部17によって検知するトルク変動は大きくなる。このような挙動により、トルク変動が大きいからといって、必ずしも洗濯物が回転ドラム4の最上部から最下部に落下しているわけではない。
[0061]
 このように、回転ドラム4の最上部から最下部に洗濯物が落下しないと、布質に応じた回転ムラやトルク変動の違いを見分けにくく、布質の検知は困難である。
[0062]
 回転ドラム4の回転数が40~49rpmの範囲で振動検知部16により最大加速度を検知する回転数を決定し、その回転数で回転ドラム4を回転させることで、回転ドラム4の最上部から最下部に向かい洗濯物が最大の加速度をつけて確実に叩き落とされる。この状態で、回転数とトルク変動を検知すると、図3Bのような結果が得られる。図3Bに示すように、洗濯物に化学繊維が多い場合、43rpmに回転数を落とすことで回転ドラム4の周壁4cの内側への衣類のはりつきが軽減される。すなわち、回転ドラム4の最上部から最下部に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて確実に叩き落としている状態となる。
[0063]
 一方で、吸水性の高い綿衣類が多い場合、水を含んだ衣類は重いので48rpmに回転数を上げることにより、回転ドラム4の最上部まで衣類を持ち上げることができ、最下部に向かい洗濯物が最大の加速度をつけて確実に叩き落とされる。
[0064]
 このように、回転ドラム4を回転させる最低限の条件ができて、次にトルク変動の大きさによる布質判定を行う。
[0065]
 トルク変動の大きさによる布質判定を行う工程では、上記したように、制御部11aは、洗濯物に最大の加速度をつけて確実に叩き落すことができる回転数で、例えば化学繊維衣類が多い場合は43rpmなどで、回転ドラム4を連続して回転させる。このときの短期間周期の瞬時での回転数の変動(トルク変動)が大きいのか小さいのかを細かく、例えば0.1秒単位でのトルク変動の大きさが検知される。
[0066]
 具体的には、図5にて示すように、回転ドラム4内の洗濯物の落下により、回転する回転ドラム4が沈み込むので、回転ムラ(モータ6のトルク変動)が生じる。例えば4kg程度の綿衣類を入れた場合、倍の8kgの洗浄水を吸い込む。このため回転ドラム4の中は洗浄水を含んだ布の塊が12kgある計算になる。
[0067]
 回転ドラム4内の洗濯物は布の偏り方にもよるが、おおよそ2kgの水を含んだ綿の塊が回転ドラム4の最上部まで持ち上げられ、回転ドラム4の最下部に向かって勢いよく落とされるので、容易に回転ドラム4は沈み込み回転ムラが発生する。回転ムラの大きさは、化学繊維であれば±2rpm、綿であれば±5rpmと数値差自体は小さい。これはモータ6の制御方式を高速な応答性をもつベクトル制御を使うことで回転ムラが発生してもモータ電流を急速に増加減することで回転ムラを生じにくくしているためである。回転ムラの差が小さい分だけトルク変動への影響は大きいので、本発明の実施の形態1の制御装置11ではトルク変動(モータ電流のq軸電流)を参照して布質の違いを見分けやすい。ベクトル制御を行わない場合には、回転数の変動(回転ムラ)がもっと大きくなるため、回転ムラの大きさで布質を判定することも可能である。
[0068]
 なお、トルク変動を検出するタイミングは、モータ6の動作開始、すなわち回転ドラム4の回転開始から5秒間はドラム内の洗濯物が安定しないためトルク変動を検知せず、5秒経過以降からトルク変動の検知を開始する。回転ドラム4を停止するまでの間でできるだけ長い間の変動を検知した方が精度がよい。
[0069]
 最後に、トルク変動検知部17から検知したトルク変動の大きさから布質を検知する工程について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の布量に対する布質別トルク変動の相関を示す図である。
[0070]
 トルク変動算出部11cにより、上記の回転ドラム4のトルク変動の最大値と最小値の差は演算しやすいような数値(例えば最大400ビットなどという単位の数値)に置き換えられて、布質検知部11bに入力される。図4に示すように、しきい値である第1の所定値A、第2の所定値Bを照らし合わせて、吸水性が高い繊維や吸水性が低い繊維の割合によって布質が判定される。
[0071]
 図4の場合であれば、第2の所定値B以下、例えば240ビット以下であれば、布質は化学繊維からなる衣類の割合が多いと判定される。240ビットを超え、だい1の所定値A未満、たとえば290ビット未満であれば綿と化学繊維がおおよそ半々の洗濯物であり、290ビットを越える場合は綿からなる衣類の割合が多い、というように、布質が判定される。
[0072]
 布質と布量の関係について補足すると、図4によれば、いわゆる実用域と呼ばれる洗濯容量(一般的に大人が一日で着替えて洗う洗濯の容量は1.5kgと言われており、1~3名の家族が毎日洗う最も実用的な洗濯容量)の範囲は、布量に依存することなく布質を判定することが可能である。しかしながら、1kg以下の容量の場合や6kgを越える容量の場合は、布量判定の結果得る布量に応じて布質判定のしきい値を変更する必要(布量による布質検知のしきい値補正)がある。
[0073]
 洗濯物が1kg以下の要領である場合には、洗浄水を含んでも比較的軽いため、振動検知部16による布質の差を検出しにくい。また、洗濯物が6kgを超える場合には、回転ドラム4内は洗濯物がほぼ充填されており、回転ドラム4の上部から下部に落下させることが困難である。このため振動検知部16による布質の差を検出しにくい。よって、トルク変動の最大値と最小値の差であるトルク最大変動幅は小さくなる。よって、吸水性の高低を判断するしきい値を下げることで、布量に応じた布質の判定が可能となる。
[0074]
 このように、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、洗濯槽を収容する水槽と、水槽の振動を検知する振動検知部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、洗濯物の布質を検知する布質検知部と、駆動部等を駆動して洗い、すすぎ、脱水等の各行程を制御する制御部とを備え、制御部は、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう駆動部を動作させ、布質検知部は、この振動の大きさが最大となる状態でのトルク変動の大きさから洗濯物の布質を判断するようにしたものである。
[0075]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させる。つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができる。したがって、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0076]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗濯槽または水槽に給水する給水部と、駆動部の回転数を検知する回転数検知部を備える。制御部は、給水部を動作して給水することにより洗濯物が含水し、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数で駆動部を動作させ、布質検知部は、回転数におけるトルク変動の大きさから洗濯物の布質を検知するようにしたものである。
[0077]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させる。つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができる。したがって、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0078]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、制御部は、給水開始後に洗濯槽を所定回転数で所定時間回転させる工程を行い、所定回転数を変化させて、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数を決定するものである。
[0079]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させる。つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができる。したがって、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0080]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、布質検知部は、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数におけるトルク変動の大きさが所定のトルク変動の大きさよりも大きい場合に、洗濯物は高吸水性の繊維の割合が多いと判断するものである。
[0081]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させ、つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができ、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0082]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、布質検知部は、駆動部の動作開始から所定時間経過以降のトルク変動の大きさにより布質を判断するものである。
[0083]
 このような構成によって、駆動部の動作開始直後でトルク値が安定しない区間はトルク変動検知をキャンセルし、所定時間経過後にトルク値が安定した状態でのトルク変動に基づいて布質の判定を行うことができ、布質判定の精度を向上することができる。
[0084]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、振動検知部が、少なくとも一つの加速度センサを有し、水槽の上下方向、左右方向、前後方向のうちの少なくとも一つの方向の振動を検知し、検知した方向毎の加速度の総和を出力するものである。
[0085]
 このような構成によって、洗濯物が洗濯槽内に偏っている場合にでも、加速度センサの高速な応答性により、常に振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を調整することができる。これにより、回転する洗濯槽の最上部から最下部に向かい常に洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことできる。
[0086]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、制御部が、駆動部をベクトル制御するように構成され、トルク変動検知部は、制御部が駆動部をベクトル制御するときのq軸電流に基づいてトルク変動の大きさを検知するものである。
[0087]
 このような構成によって、駆動部をベクトル制御により回転制御するように構成し、ベクトル制御において得られるq軸電流に基づいて駆動部のトルク変動の大きさを検知するように構成したので、トルク変動の検知精度を更に向上することができ、布質判定の精度をより一層向上することができる。
[0088]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗濯槽内の洗濯物の量を検知する布量検知部を備え、制御部は、布量検知部の信号に基づいて布質を判断するトルク変動の大きさのしきい値を補正するようにしたものである。
[0089]
 このような構成によって、洗濯物の量が多い場合は、布質によるトルク変動の幅がより大きくなるため、布質の判定しきい値を補正することで布量に影響を受けずに良く布質を検知できるようになる。
[0090]
 次に、洗い工程が終われば、排水弁8bが開かれ、水槽3内の洗浄水が排水管8aと排水フィルタ8cを通過して機外に排水される。以下すすぎ工程、脱水工程を行い洗濯運転は終了する。
[0091]
 すなわち、制御部11aは洗濯物の布質が吸水性の高い繊維から構成される割合が大きいと判定すると、高吸水性である布質に応じて、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を増やす方向に変更する。具体的には、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を、例えば30秒増やして十分な脱水性能を確保する。
[0092]
 一方、制御部11aは洗濯物の布質が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと判定すると、低吸水性である布質に応じて、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を減らす方向に変更する。具体的には、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を脱水性能に影響を与えない程度、例えば30秒減らす設定とする。
[0093]
 以下、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機における脱水工程の動作を説明する。
[0094]
 図6に示すように、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機では、駆動部としてのモータ6により洗濯槽である回転ドラム4を回転させ(S1)、回転ドラム4の回転数をモータ6の制御により行う(S2)。回転ドラム4の回転に伴う水槽3の振動を振動検知部16が検知し、その振動が最大であるか否かを判断し(S3)、その振動が最大ではないと判断するとモータ6を制御し、回転ドラム4の回転数を変更する。
[0095]
 水槽3の振動が最大であると判断されると(S3のYES)、制御部11aは、そのときのトルクの大きさをモータ電流検知部17によって検知する。トルク変動算出部11cによってトルク変動幅(トルク変動の大きさ)が第1の所定値Aより大きいと判断した場合は(S4のYES)、すすぎ工程および/または脱水工程における脱水時間を例えば30秒増やして十分な脱水性能を確保する(S5)。
[0096]
 また、トルク変動算出部11cによってトルク変動幅が第1の所定値Aより小さく、第1の所定値より小さい値である第2の所定値Bよりも大きいと判断した場合は(S4のNO、S6のYES)、すすぎ工程および/または脱水工程における脱水時間を脱水性能に影響を与えない程度、例えば30秒減らす設定とする(S7)。
[0097]
 さらに、トルク変動算出部11cによってトルク変動幅が第1の所定値Aより小さく、第2の所定値Bよりも小さいと判断した場合は(S6のNO)、すすぎ工程および/または脱水工程の設定内容をそのままにし、脱水時間を変更しない設定とする(S8)。
[0098]
 次に、洗い工程が所定時間行われると(S9のYES)、洗い工程は終了する。
[0099]
 洗い工程が終了すると、図7に示すように、すすぎ工程を開始する。まず、排水弁8bを動作して、水槽3内の水を排水する(S10)。続いて、洗濯物から洗浄水や汚れを取り除くために、脱水を行う(S11)。
[0100]
 吸水性の高い衣類はジーンズやトレーナーのように、水を含むと固く、多めの水量でパワフルに撹拌しないと繊維内および繊維間に浸透した洗浄水を振り解くことができない。よって、脱水回転の時間を増やす方向に変更することによって、脱水性能を高める。
[0101]
 一方、吸水性の低い衣類は、ジャージのように、水を含んでも柔らかく、綿衣類に比べて10倍以上も繊維間が広い。このため、脱水時間を短くしても十分な脱水性能得られる。よって、吸水性が高い繊維から構成される割合が大きい場合に比べて、脱水時間を減らす方向に変更することによって、脱水性能を確保しつつ、節水や時短、節電など、省エネルギー性能を向上させる。
[0102]
 布質検知時に設定した、すすぎ工程における脱水時間が終了すると(S12のYES)、排水弁8bを閉じ(S13)、給水を開始する(S14)。その後、すすぎ撹拌を行う(S15)。すすぎ時間が終了すると(S16のYES)、すすぎ工程は終了する。ここで、すすぎ工程が2回以上設定されている場合には、S10~S16が繰り返えされる。
[0103]
 続いて、図8に示すように、脱水工程を開始する。水槽3内の水を排水し(S20)、回転ドラム4を回転させて脱水を行う(S21)。布質検知時に設定した、脱水工程における脱水時間が終了すると(S22のYES)、脱水工程は終了する。
[0104]
 なお、上記において、所定値A、Bを決定するのに用いた洗濯物量によるトルク最大変動幅を示す図(図4)は、綿と、化学繊維と、綿および化学繊維の混合との、3種類の吸水特性により設定水位のランク決定をしているが、これに限られるものではなく、綿および化学繊維の混合において、その混合比率を1:2、1:1、2:1と変化させるなどして、より細かくランク分けしてもよい。これにより、洗濯物が吸水性の高い繊維から構成される割合が多いのか、吸水性の低い繊維から構成される割合が多いのかを細かく、すなわち、おおよその割合を検知することができる。
[0105]
 なお、本実施の形態で説明した各構成は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
[0106]
 また、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御部が、布質検知部による布質に応じて脱水工程における脱水回転の時間を変更するものである。
[0107]
 このように、布質検知の結果に応じて、脱水工程における脱水回転の時間を変更することで、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて脱水回転の時間を設定できるため、特定の時間内での省エネルギー性に優れた条件において、脱水性能を向上させることが可能となる。
[0108]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御部が、布質検知部による布質に応じてすすぎ工程における脱水回転の時間を変更するものである。
[0109]
 このように、布質検知の結果に応じて、すすぎ工程における脱水回転の時間を変更することで、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて脱水回転の時間を設定できるため、特定の時間内での省エネルギー性に優れた条件において、脱水性能を向上させることが可能となる。
[0110]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗濯槽または水槽に給水する給水部と、駆動部の回転数を検知する回転数検知部を備え、制御部は、給水部を動作して給水することにより洗濯物が含水し、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数で駆動部を動作させ、布質検知部は、回転数におけるトルク変動の大きさから洗濯物の布質を検知するようにしたものである。
[0111]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させ、つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができ、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0112]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、制御部は、給水開始後に洗濯槽を所定回転数で所定時間回転させる工程を行い、所定回転数を変化させて、振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数を決定するものである。
[0113]
 このような構成によって、布質に関係なくおよそ洗濯物の重量に応じた一定の水量を洗濯槽内に給水して洗濯物に吸水させた後、振動検知部により検知する振動の大きさが最大になるよう駆動部を動作させ、つまり、回転する洗濯槽の最上部から最下部(洗濯槽底部)に向かい洗濯物に最大の加速度をつけて叩き落とすことができ、布質(吸水性)に応じたトルク変動の大きさ(変動幅)を最大限に引き出すことで、洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているのかの布質を容易にかつ精度良く検知できる。
[0114]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗濯物を構成する素材として吸水性の高い繊維と吸水性の低い繊維との割合を判断するものである。
[0115]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が適切に行うことができ、その布質特性に応じたすすぎ内容を設定することですすぎ効果を最大にさせることが可能となる。
[0116]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、布質検知部により洗濯槽内の洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知された場合、割合が大きくなるほど、脱水回転時の時間を短くするものである。
[0117]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が決定された後に、脱水回転時の時間を調整することができる。このため、布質特性に応じた脱水時間を設定することができるので、特定の時間内で脱水性能を維持しつつ、省エネルギー性の向上した脱水運転を行うことができる。
[0118]
 (実施の形態2)
 以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
[0119]
 なお、本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機についても布質検知の方法、布質検知を行うための構成要素および洗濯工程については、本発明の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
[0120]
 本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機の制御部11aは、脱水工程における最終脱水動作の終了後に、布質検知部11bによる布質に応じた撹拌動作を行う。より詳細には、制御部11aは洗濯物の布質が低吸水性から構成される割合が大きいと判定すると、最終脱水を終えた後にドラム内周壁に張りついた洗濯物を剥がす目的で行う撹拌動作(布はがし撹拌)の設定時間を減らす方向に変更する。また、回転ドラム4の正転と反転を含む撹拌動作において、反転する回数を、布質に応じて減らす方向に変更する。
[0121]
 これによって、布質が低吸水性である場合には、その特性に応じて最低限の布はがし動作を行い、最終脱水を終えた後、洗濯物が互いに絡まずほぐれて、使用者が洗濯物を取り出しやすい状態にすることが可能である。さらに、ほぐれた状態の濡れた洗濯物を撹拌し続けることがないので、洗濯物同士が絡むことによるシワの発生を低減させることができる。さらに、不要な布はがし動作を行わずにすむので、洗濯物の布傷みを低減することができ、さらに省エネルギー性に優れた運転を実現することができる。
[0122]
 すなわち、洗濯物が吸水性の高い繊維から構成される割合が大きい場合には、布はがしが従来の設定通り行われる。布はがし撹拌動作の時間および、回転ドラム4の反転を行う回数を従来どおりにして削減しないことで、最大限の撹拌動作を行い、布はがしの効果を得るようにする。そして、洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きい場合には、布はがし撹拌動作の時間および回転ドラム4の反転動作を削減または無しにする。
[0123]
 図9に示すように、本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機では、駆動部としてのモータ6により洗濯槽である回転ドラム4を回転させ(S1)、回転ドラム4の回転数をモータ6の制御により行う(S2)。回転ドラム4の回転に伴う水槽3の振動を振動検知部16が検知し、その振動が最大であるか否かを判断し(S3)、その振動が最大ではないと判断するとモータ6を制御し、回転ドラム4の回転数を変更する。
[0124]
 水槽3の振動が最大であると判断されると(S3)、トルク変動算出部11cによってトルク変動幅が第1の所定値Aより大きいと判断した場合は(S4のYES)、吸水性の高い繊維から構成される割合が大きく、布はがし撹拌の設定を変更しない(S5)。すなわち、制御部11aは、設定通りの布はがし撹拌を行う。
[0125]
 また、トルク変動算出部11cによってトルク変動幅が第1の所定値Aより小さく、第1の所定値より小さい値である第2の所定値Bよりも大きいと判断した場合は(S4のNO、S6のYES)、布はがし撹拌の動作時間を若干減らす(S7)。このときの削減時間は、例えば30秒程度である。また、それとともに、回転ドラム4の反転回数を、設定回数の半分に減らす。
[0126]
 さらに、トルク変動算出部11cによってトルク変動幅が第1の所定値より小さく、第2の所定値Bよりも小さいと判断した場合は(S6のNO)、吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと判断し、布はがし撹拌動作を行わないように設定する(S8)。
[0127]
 その後、制御部11aは、洗い行程を終え(S9)、すすぎ行程(S10)を経て、脱水行程(S11)にて脱水動作を終えて回転ドラム4を停止する。その後、布はがし工程が設定されていれば(S12のYES)、布はがし工程が行われる(S13)。布はがし工程では、例えば、ドラムを「5秒間右回転、1秒停止、5秒間左回転、1秒停止」のサイクルを設定時間だけ繰り返す動作を行う(S14)。一方、吸水性の低い洗濯物が多く、布はがし工程が設定されていなければ(S12のNO)、そのまま洗濯運転が終了する。
[0128]
 なお、本実施の形態2では綿と、化学繊維と、綿および化学繊維の混合との、3種類の吸水特性により設定水位のランク決定をしているが、これに限られるものではなく、化学繊維としてナイロンなどの他の繊維も用いてランク分けを細かくしてもよい。また、綿および化学繊維の混合において、その混合比率を1:2、1:1、2:1と変化させるなどして、より細かくランク分けしてもよい。
[0129]
 ここで、布質に応じた布はがし動作の設定増減について補足する。上記したように、洗濯物は大別すると綿繊維と化学繊維に分けられる。綿繊維は化学繊維に比べて水を含みやすく、形成する繊維自身が膨張することで繊維間が密になる。よって、変形しにくくなるため、その状態で脱水行程にて遠心力をかけると繊維内側や繊維間の水分が脱水される。しかし、一度膨張した繊維は縮まることなく、かつ、遠心力をかけることにより回転ドラム4内面壁に押し固められるため、なかなか引きはがすのが難しい。よって小刻みに回転ドラム4の左右回転(空転)を長時間繰り返さなければならない。一方で、化学繊維が多い場合は、繊維自体は水をあまり吸収せず繊維間もかなり広いため、脱水を行っても回転ドラム4の内面壁に押し固められることもないので、布はがし工程を行う必要がない。そればかりか、化学繊維ばかりの状態で、不要な布はがし撹拌動作(空転動作)をいたずらに継続すると、例えば、ジャージのジッパーなどがドラム内を舞うことで他の衣類にひっかかったりして衣類同士を痛める事にもなりかねない。このため、洗濯物が化学繊維ばかりの場合は不要な布はがし撹拌は行わない。
[0130]
 以上のように、本実施の形態によれば、運転開始直後に洗濯物の重量を検知した後、洗い行程にて洗濯物の重量に応じた水量を注水し、さらにその注水過程において投入されている洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているものが多いのかを判定することができる。その布質検知結果に応じて、最終脱水を終えた段階での洗濯槽に洗濯物が貼りついているか否かを推察して布はがし動作の内容を変更する。その結果、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて最低限の布はがし動作を行うことができるので、最終脱水を終えた後の洗濯物が互いに絡まずほぐれて取り出しやすい状態にすることが可能である。
[0131]
 なお、本実施の形態で説明した各構成は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
[0132]
 本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程の各行程を逐次制御する制御部が、脱水工程における最終脱水動作の終了後に、布質検知部による布質に応じた撹拌動作を行うものである。
[0133]
 このような構成によって、布質検知部の結果に応じて、最終脱水を終えた段階での洗濯槽に洗濯物が貼りついているか否かを推察して布はがし動作の内容を変更することで、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて最低限の布はがし動作を行うことができる。よって、最終脱水を終えた後、洗濯物が互いに絡まずほぐれて、使用者が洗濯物を取り出しやすい状態にすることが可能である。さらに、不要な布はがし動作を行わずにすむので、洗濯物の布傷みを低減することがでる。さらに、ほぐれた状態の濡れた洗濯物を撹拌し続けることがないので、洗濯物同士が絡むことによるシワの発生を低減させることができる。さらに、不要な布はがし動作を行わないので、省エネルギー性に優れた運転を実現することができる。
[0134]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、布質検知部は、洗濯物を構成する素材として吸水性の高い繊維と吸水性の低い繊維との割合を判断するものである。
[0135]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が適切に行うことができ、その布質特性に応じた布はがし行程の内容を設定することができる。よって、最低限の布はがし動作を行うことで最大限の布はがし効果をあげることが可能となるので、省エネルギー性に優れた運転を実現することができる。
[0136]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、制御部が、布質検知部により洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知した場合、割合が大きくなるほど、最終脱水動作終了後の撹拌動作を行う時間を短くするようにしたものである。
[0137]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が決定された後に、布はがし動作である水なし撹拌動作の時間を調整することができる。よって、その布質特性に応じた布はがし行程の時間を設定することができ、最低限の布はがし動作を行うことで最大限の布はがし効果をあげることが可能となる。
[0138]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、最終脱水動作終了後の撹拌動作は正転と反転を含み、制御部が、布質検知部により洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知した場合、割合が大きくなるほど、反転を行う回数を少なくするようにしたものである。
[0139]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が決定された後に、布はがし動作である水なし撹拌動作の反転回数を調整することができる。よって、その布質特性に応じた布はがし行程の反転回数を設定することで反転動作による布傷みを軽減することができる。
[0140]
 また、本実施の形態におけるドラム式洗濯機は、制御部が、布質検知部により洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が所定の割合を越える場合、最終脱水動作終了後の撹拌動作を行わないようにしたものである。
[0141]
 このような構成によって、布質検知部によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が80%を越える場合」は脱水動作を行っている最中こそ洗濯物が洗濯槽に張り付くが脱水動作を終えた段階では洗濯物が洗濯槽に張り付き続けることもないため、無駄な布はがし行程をせずとも使用者が取り出しやすい状態を提供できる。よって、省エネルギー性に優れた運転を実現することができる。

産業上の利用可能性

[0142]
 本発明にかかる洗濯機は、洗濯物の布質を検知するので、家庭用洗濯機だけでなく、繊維などの洗浄装置や水洗いを主体とする業務用洗浄機や、布質を自動検知して制御する機器にも適用できる。

符号の説明

[0143]
 1  洗濯機本体
 2a  台板
 3  水槽
 4  回転ドラム(洗濯槽)
 4a  回転軸
 4b  撹拌突起
 4c  周壁
 4d  背面壁
 4e  透孔
 4f  背面開口
 5  開閉扉
 6  モータ(駆動部)
 6a  ホール素子(回転数検知部)
 7a  洗剤収容部
 7b  給水弁(給水部)
 8a  排水管
 8b  排水弁(排水部)
 8c  排水フィルタ
 9  乾燥部
 9c  送風機
 9d  送風経路
 9e  導入口
 9f  導出口
 9g  除湿部
 9h  加熱部
 10  水位検知部
 11  制御装置
 11a  制御部
 11b  布質検知部
 11c  トルク変動算出部
 11d  布量検知部
 11e  回転数算出部
 14  シール材
 16  振動検知部
 17  モータ電流検知部(トルク変動検知部)
 30  循環ポンプ
 31  循環水路
 31b  吐出側経路
 51  噴射口

請求の範囲

[請求項1]
洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する水槽と、
前記水槽の振動を検知する振動検知部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、
洗濯物の布質を検知する布質検知部と、
前記駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう前記駆動部を動作させ、前記布質検知部は、前記振動の大きさが最大となる状態での前記トルク変動の大きさから前記洗濯物の布質を判断し、
前記制御部は、前記布質検知部による布質に応じて前記脱水工程における脱水回転の時間を変更するドラム式洗濯機。
[請求項2]
洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する水槽と、
前記水槽の振動を検知する振動検知部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、
洗濯物の布質を検知する布質検知部と、
前記駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう前記駆動部を動作させ、前記布質検知部は、前記振動の大きさが最大となる状態での前記トルク変動の大きさから前記洗濯物の布質を判断し、
前記制御部は、前記布質検知部による布質に応じて前記すすぎ工程における脱水回転の時間を変更するドラム式洗濯機。
[請求項3]
洗濯物を収容し、水平な回転軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在の洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する水槽と、
前記水槽の振動を検知する振動検知部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部のトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知部と、
洗濯物の布質を検知する布質検知部と、
前記駆動部等を駆動して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記振動検知部により検知する振動の大きさが最大となるよう前記駆動部を動作させ、前記布質検知部は、前記振動の大きさが最大となる状態での前記トルク変動の大きさから前記洗濯物の布質を判断し、
制御部布質検知部前記制御部は、前記脱水工程における最終脱水動作の終了後に、前記布質検知部による布質に応じた撹拌動作を行うドラム式洗濯機。
[請求項4]
前記洗濯槽または前記水槽に給水する給水部と、
前記駆動部の回転数を検知する回転数検知部とを備え、
前記制御部は、前記給水部を動作して給水することにより前記洗濯物が含水し、前記振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数で前記駆動部を動作させ、前記布質検知部は、前記回転数における前記トルク変動の大きさから前記洗濯物の布質を検知するようにした請求項1~3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
[請求項5]
前記洗濯槽または前記水槽に給水する給水部と、
前記駆動部の回転数を検知する回転数検知部とを備え、
前記制御部は、給水開始後に前記洗濯槽を所定回転数で所定時間回転させる工程を行い、前記所定回転数を変化させて、前記振動検知部により検知する振動の大きさが最大となる回転数を決定する請求項1~3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
[請求項6]
前記布質検知部は、前記洗濯物を構成する素材として吸水性の高い繊維と吸水性の低い繊維との割合を判断する請求項1~3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
[請求項7]
前記制御部は、前記布質検知部により前記洗濯槽内の前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知された場合、前記割合が大きくなるほど、脱水回転時の時間を短くする請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
[請求項8]
前記制御部は、前記布質検知部により前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知した場合、前記割合が大きくなるほど、前記最終脱水動作終了後の前記撹拌動作を行う時間を短くするようにした請求項3に記載のドラム式洗濯機。
[請求項9]
前記最終脱水動作終了後の前記撹拌動作は正転と反転を含み、
前記制御部は、前記布質検知部により前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知した場合、前記割合が大きくなるほど、前記反転を行う回数を少なくするようにした請求項3に記載のドラム式洗濯機。
[請求項10]
前記制御部は、前記布質検知部により前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が所定の割合を越える場合、前記最終脱水動作終了後の前記撹拌動作を行わないようにした請求項3に記載のドラム式洗濯機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]