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1. WO2013002154 - 電磁継電器

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明 細 書

発明の名称 電磁継電器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

産業上の利用可能性

0101  

符号の説明

0102  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11A   11B   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 電磁継電器

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば車両等に搭載される電磁継電器に関する。
 本願は、2011年6月28日に、日本に出願された特願2011-142815号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 例えば、車両等に搭載される電磁継電器は、ベースと、このベース側が開口した箱状のカバーとを有する。そして、ベースとカバーとにより密閉空間が形成される。この密閉空間には、コイルボビンに巻装されたコイル、コイルボビンに挿入された鉄心、鉄心と共に磁路を形成するヨーク、及び鉄心の励磁及び消磁に基づいて開閉動作する接点部等が内装されている。
[0003]
 接点部は、可動接点端子に接続されている可動接点と、固定接点端子に接続されている固定接点とから構成される。可動接点端子、及び固定接点端子は、ベースに形成されているスリットを介して外部に突出している。そして、可動接点端子、及び固定接点端子は、外部の負荷に接続されている。
 上記の構成において、コイルの励磁及び消磁に基づいて、固定接点に対して可動接点が当接(オン)したり離反(オフ)したりする。この接点のオン・オフに伴って、不図示の外部電源の電流が負荷へ供給されたり、遮断されたりする(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
 また、例えば、車両等に搭載される電磁継電器は、ベース上に、接点部と鉄心を励磁及び消磁するコイルとが隣接して設けられている。この場合も、接点部は、可動接点端子に接続されている可動接点と、固定接点端子に接続されている固定接点とから構成される。そして、可動接点がコイルの消磁及び励磁に基づいて固定接点に対して当接したり離反したりする。
[0005]
 具体的には、可動接点は板バネ状の可動接点板の一端側に設けられており、板バネの他端側は鉄心と共に磁路を形成するヨークに支持されている。また、このヨークに、可動接点端子の基端も取り付けられている。このように、稼動接点板、及びヨークを介して可動接点と可動接点端子とが接続される。さらに、可動接点と固定接点は、互いに離間した状態で設けられている。
[0006]
 この状態でコイルに通電が行われると、コイルに発生する電磁力によって、可動接点が固定接点に吸引されて当接し、両者が電気的に接続して固定接点端子、及び可動接点端子が通電される。一方、コイルへの通電を遮断すると可動接点が設けられている板バネの弾性作用によって可動接点が固定接点から離反し、固定接点端子、及び可動接点端子の通電が遮断される(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2010-108661号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、上述の車両等に搭載される電磁継電器にあっては、接点のオン・オフ時に接点間に生じるアーク放電のエネルギーが大きい。そのため、他の抵抗負荷や容量性負荷と比較して窒素酸化物(NOx)の生成量が増加する。また、一般的にコイルボビンは樹脂で形成される。そのため、この樹脂に吸湿された水分が電磁継電器の作動時に水蒸気としてベースとカバーとにより形成された密閉空間内に発生する。このとき、窒素酸化物と水蒸気とが反応し、密閉空間内に硝酸が生成される。
[0009]
 ここで、ベースとカバーとにより形成される密閉空間の気密性が高い場合、負荷を遮断するたびに密閉空間内の酸素が消費され、アークエネルギーも徐々に減少する。このため、窒素酸化物の生成量も減少するので、硝酸生成量はある程度に達すると飽和する。
 しかしながら、気密性を維持するためには、ベース、及びカバーに、例えば酸素透過性の低いLCP等の高価な樹脂を採用したり、ベースの可動接点端子、及び固定接点端子周りのシール性を維持することができる接着技術を採用したりする必要がある。このため、電磁継電器の製造コストが増加する可能性がある。
 また、僅かな気密漏れが生じると、カバー外部から酸素や水分が密閉空間内に供給され、硝酸生成量が増加する。このため、電磁継電器の寿命が縮まる可能性がある。
[0010]
 また、上述の従来技術にあっては、可動接点が固定接点に当接する際の衝撃により可動接点板が跳ね返り、可動接点と固定接点との間において、当接及び離反が細かく繰り返されるバウンスと称する現象が発生する。このバウンスが発生している間に発生するアークエネルギーは、通電のオン・オフを繰り返すことで接点摩耗が促進される。この結果、電磁継電器の製品寿命が縮まる可能性もある。
[0011]
 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、安価に延命化を図ることができる電磁継電器を提供することを目的とする。また、本発明は、バウンスの発生を抑制して接点摩耗の促進を抑制し、製品寿命の延命化を図ることができる電磁継電器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明の第一の態様によれば、電磁継電器では、ベースと、このベースに取付けられるカバーとによって形成される内部空間に、コイルが巻装されている鉄心と、この鉄心の励磁及び消磁に基づいて開閉動作する固定接点、及び可動接点とが設けられ、前記ベースに、前記コイルに接続されるコイル端子、前記固定接点が取り付けられている固定接点端子、及び前記可動接点に電気的に接続された可動接点端子をそれぞれ挿通するための端子用スリットが形成されている。さらに、前記ベースに、前記内部空間に発生したガスの排気、及び前記内部空間に発生した水蒸気の排水を行うための通気口が形成され、前記端子用スリットに連なるように、前記通気口が形成される。
[0013]
 上記のように通気口を形成することで、内部空間に発生する窒素酸化物や水蒸気を、通気口を介して外部に排出することができる。つまり、内部空間を外部と通じる完全な通気構造として形成することで、内部空間において、窒素酸化物と水蒸気とが反応し硝酸が生成されることを抑制できる。このため、内部空間の気密性を高精度に維持する必要がなく、安価に電磁継電器の延命化を図ることができる。
 また、端子用スリットと共に容易に形成することができ、さらに製造コストを減少させることができる。
[0014]
 本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様に係る電磁継電器において、前記ベースに、少なくとも2つの前記通気口が形成される。
[0015]
 上記のように構成することで、内部空間で発生する窒素酸化物、及び水蒸気を確実に、且つ速やかに排出することができる。
[0016]
 本発明の第三の態様によれば、本発明の第一の態様又は第二の態様に係る電磁継電器において、前記ベースに、前記端子用スリットの周縁に沿う凹部が形成され、前記通気口は、前記凹部と、この凹部が形成されている端子用スリットに挿通された固定接点端子、及び可動接点端子とにより囲まれた開口部により構成される。
[0017]
 上記のように、ベース自体に通気口が設けられることにより、各端子に従来の部材を流用することができ、生産性を向上させることができる。
[0018]
 本発明の第四の態様によれば、本発明の第一の態様又は第二の態様に係る電磁継電器において、固定接点端子、及び可動接点端子の少なくとも何れか一方の前記端子用スリットに対応する位置に凹部が形成され、前記通気口は、前記凹部と、前記端子用スリットの周縁とにより囲まれた開口部により構成される。
[0019]
 上記のように、各端子自体に通気口が設けられることにより、ベースに従来の部材を流用することができ、生産性を向上させることができる。
[0020]
 本発明の第五の態様によれば、本発明の第一の態様から第四の態様のいずれかの態様に係る電磁継電器において、前記通気口は、この通気口の開口面積AがA≧1.4mm2を満たすように形成されていると共に、直径が0.15mmに設定されている球体が通過できないように形成される。
[0021]
 上記のように、通気口の開口面積Aを、
 A≧1.4mm2・・・(1)
を満たすように設定することにより、確実に窒素酸化物、及び水蒸気を排出することができる。
[0022]
 また、通気口を、直径が0.15mmに設定されている球体が通過できないように形成することで、内部空間への蟻の侵入を防止できる。
 ここで、蟻の侵入を防止するために、世界最小の頭部を持つ蟻を調査した結果、世界最小といわれるアリの頭部の最小幅が0.15mmよりも大きいことが見出された。このため、ベースに形成される通気口を、直径が0.15mmに設定されている球体が通過できないように形成することにより、内部空間へのさまざまな蟻の侵入を防止できる。
[0023]
 本発明の第六の態様によれば、本発明の第一の態様から第五の態様のいずれかの態様に係る電磁継電器において、前記通気口は、平面視長方形状に形成されており、前記通気口の長手方向に直交する方向の幅Wは、W<0.15mmを満たすように設定される。
[0024]
 上記のように構成することで、通気口を容易に形成することができる。これに加え、直径が0.15mmに設定されている球体が通過できない通気口を、容易に形成することができる。

発明の効果

[0025]
 上記の電磁継電器によれば、内部空間に発生する窒素酸化物や水蒸気を、通気口を介して外部に排出することができる。つまり、内部空間を外部と通じる完全な通気構造として形成することで、内部空間において、窒素酸化物と水蒸気とが反応し硝酸が生成されることを抑制できる。このため、内部空間の気密性を高精度に維持する必要がなく、安価に電磁継電器の延命化を図ることができる。
 また、端子用スリットと共に容易に形成することができ、さらに製造コストを減少させることができる。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 本発明の第一実施形態における電磁継電器の側面図である。
[図2] 図1のA矢視図である。
[図3] 図2のB-B線に沿う断面図である。
[図4] 本発明の第一実施形態におけるベースの平面図である。
[図5] 本発明の第一実施形態における硝酸イオンの生成量の変化を示すグラフである。
[図6] 本発明の第一実施形態における窒素酸化物の濃度の変化を示すグラフである。
[図7] 本発明の第一実施形態の変形例におけるベースの平面図である。
[図8] 本発明の第二実施形態における電磁継電器の側面図である。
[図9] 図8のA矢視図である。
[図10] 図9のB-B線に沿う断面図である。
[図11A] 本発明の第二実施形態における電磁継電器の動作説明図であって、通電を行っていない状態を示す。
[図11B] 本発明の第二実施形態における電磁継電器の動作説明図であって、通電を行っている状態を示す。
[図12] 本発明の第二実施形態における一次電流、二次電流、及び磁束の変化を示すグラフである。
[図13] 本発明の第二実施形態の変形例における電磁継電器の正面図である。

発明を実施するための形態

[0027]
[第一実施形態]
(電磁継電器)
 次に、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
 図1は、電磁継電器1の側面図、図2は、図1のA矢視図、図3は、図2のB-B線に沿う断面図、図4は、ベース2の平面図である。
 図1~図4に示すように、電磁継電器1は、例えば車両に搭載されているエアコン用マグネットクラッチ等の誘導性負荷のON、OFFを行うために用いられる装置である。電磁継電器1は、ベース2と、このベース2に取付けられるカバー17とにより形成される内部空間Kに設けられたコイル4と、ベース2とコイル4との間に配置され、可動接点21、及び固定接点22から構成される接点部3と、を備える。
 可動接点21、及び固定接点22の接点材料としては、例えば、陽極を形成する側の接点には、銀-酸化スズ-酸化インジウム系接点が使用され、陰極を形成する側の接点には、銀-酸化亜鉛系接点が使用される。
[0028]
 カバー17は、絶縁性を有する樹脂により、ベース2側が開口された箱状に形成されている。カバー17の開口は、ベース2の外形状に対応するように形成されており、カバー17の開口を閉塞するようにベース2が取付けられる。そして、ベース2とカバー17は、互いに嵌合、又は接着により固定される。
[0029]
(ベース)
 ベース2は、絶縁性を有する樹脂により、略長方形の平板形状に形成されている。ベース2の長手方向一端側(図1、図4における左端、図3における右端)には、長手方向に直交する方向の両側にそれぞれコイル端子用スリット7,7が形成されている。各コイル端子用スリット7は、ベース2の長手方向に沿って長くなるように平面視略長方形状に形成されている。このように形成された各コイル端子用スリット7,7に、それぞれコイル端子8,8が挿通される。
[0030]
 また、コイル端子用スリット7は、このコイル端子用スリット7にコイル端子8が挿通された状態において、これらコイル端子用スリット7とコイル端子8との間に殆ど隙間が形成されないように構成されている。コイル端子用スリット7に挿通されたコイル端子8は、ベース2の一面(図1~図3における下面)から突出する。コイル端子8には、コイル4が接続され、コイル端子8を介してコイル4に通電が行われる。
[0031]
 また、ベース2には、長手方向他端側(図1、図4における右端、図3における左端)に、可動接点端子用スリット9が形成されている。可動接点端子用スリット9は、ベース2の長手方向に直交する方向に沿って長くなるように平面視略長方形状に形成されている。このように形成された可動接点端子用スリット9には、後述の可動接点端子10が挿通される。
 さらに、可動接点端子用スリット9は、この可動接点端子用スリット9に可動接点端子10が挿通された状態において、これら可動接点端子用スリット9と可動接点端子10との間に殆ど隙間が形成されないように構成されている。
[0032]
 また、ベース2には、長手方向略中央に、固定接点端子用スリット11が形成されている。固定接点端子用スリット11は、ベース2の長手方向に直交する方向に沿って長くなるように平面視略長方形状に形成されている。このように形成された固定接点端子用スリット11には、後述の固定接点端子12が挿通される。
 さらに、固定接点端子用スリット11は、この固定接点端子用スリット11に固定接点端子12が挿通された状態において、これら固定接点端子用スリット11と固定接点端子12との間に殆ど隙間が形成されないように構成されている。
[0033]
 ここで、各端子用スリット7,9,11の内側縁には、この内周縁に沿うように凹部7a,9a,11aが形成される。そして、これら凹部7a,9a,11aと、各端子8,10,12とにより囲まれた開口部が通気口41~43を形成している。各通気口41~43は、電磁継電器1の作動時に、ベース2とカバー17とにより形成される内部空間K内で発生する窒素酸化物、及び水蒸気を外部へと排出するための構成である。各通気口41~43は、それぞれ形成されている端子用スリット7,9,11の長手方向に沿うように平面視略長方形状に形成されている。
[0034]
 すなわち、各コイル端子用スリット7,7には、互いに対向する側の内側縁に通気口41が形成されている。通気口41は、コイル端子用スリット7の長手方向に沿うように、平面視略長方向形状に形成されている。
 また、可動接点端子用スリット9には、ベース2の長手方向内側の内側縁に、通気口42が形成されている。通気口42は、可動接点端子用スリット9の長手方向に沿うように、平面視略長方形状に形成されている。
 さらに、固定接点端子用スリット11には、コイル端子用スリット7が形成されている側の内側縁に、通気口43が形成されている。通気口43は、固定接点端子用スリット11の長手方向に沿うように、平面視略長方形状に形成されている。
[0035]
 ここで、各通気口41~43は、これら長手方向に直交する方向の幅W1~W3が、それぞれ
 W1<0.15mm・・・(2)
 W2<0.15mm・・・(3)
 W3<0.15mm・・・(4)
 を満たすように、形成されている。
 さらに、各通気口41~43の各開口面積A(図4における網掛け部の面積)を合計した総開口面積Aaは、
 Aa≧1.4mm2・・・(5)
 を満たすように設定されている。
[0036]
 また、ベース2の長手方向一端側には、第1支柱5が各端子8,10,12の突出方向とは反対側(図1、図3における上側)に向かって突出して設けられる。また、ベース2の長手方向他端側には、第2支柱6が各端子8,10,12の突出方向とは反対側に向かって突出して設けられる。
[0037]
 これら第1支柱5、及び第2支柱6には、断面略L字状に形成されたヨーク19が支持されている。ヨーク19は、磁路が形成されるように構成され、金属板にプレス加工を施して屈曲して形成されている。そして、ヨーク19は、ベース2と所定の間隔をあけて対向する上壁19aと、上壁19aの第2支柱6側端から上壁19aに対して略垂直に屈曲して延出する縦壁19bとを有している。さらに、ヨーク19は、上壁19aと縦壁19bとが連なる方向が長くなるように形成されている。
[0038]
 ここで、ベース2に設けられている第1支柱5は、横断面略C字状に形成されている。一方、ヨーク19の上壁19aには、第1支柱5側端に、この第1支柱5の内側に挿入可能な係合片19cが屈曲して延出されている。これにより、第1支柱5にヨーク19の一端が支持される。
 一方、第2支柱6はベース2の長手方向に直交する方向の両端にそれぞれ配置されている。第2支柱6は、ヨーク19の縦壁19bを、その長手方向に直交する方向の両側から挟持するように支持する。
[0039]
 ヨーク19の上壁19aには、中央に磁性材料により棒状に形成された鉄心18が固定されている。鉄心18は、ヨーク19の上壁19aからベース2に向かって垂直に設けられる。鉄心18には、コイル4が外側から嵌め込まれ固定されている。すなわち、コイル4は、ベース2上に配置された状態で設けられる。また、鉄心18の先端には、フランジ部18aが形成されており、鉄心18からのコイル4の抜けが防止される。
[0040]
 コイル4は、絶縁性を有する樹脂により筒状に形成されたコイルボビン14と、コイルボビン14に巻装されたコイル線材15とで構成されている。コイル線材15は、鉄心18におけるヨーク19の上壁19a側からみて時計回りの向きに巻回されている。そして、コイル線材15の巻き始め端と巻き終わり端は、それぞれコイル端子8にヒュージングにより接続されている。また、各コイル端子8,8の間には、両者に跨るようにレジスタ16が設けられている。レジスタ16は、コイル4の逆起電圧を吸収するための部材である。
[0041]
 ここで、ヨーク19の縦壁19bには、可動接点バネ20が取付けられている。可動接点バネ20は、接点部3の一方を構成する可動接点21を支持するための部材である。可動接点バネ20は、導電性を有する板バネ材で、断面略L字状に形成されている。可動接点バネ20は、ヨーク19の縦壁19bに取付けられた取付け座31と、取付け座31のベース2側端からこのベース2とコイル4との間に介在するように屈曲して延出された作動片32とにより構成されている。
[0042]
 取付け座31は、ヨーク19の縦壁19bにおける中央の大部分に形成され、且つ平面視略コの字状に形成されている。つまり、取付け座31は、長手方向に延在し、長手方向に直交する方向で対向する一対のアーム部31a,31aと、これらアーム部31a,31aのベース2とは反対側の端部同士に跨るように延在し、アーム部31a,31aを連結する連結部31bとにより構成されている。
 連結部31bには、各アーム部31a,31aとの接続部分を形成する両端に、それぞれ溶接ポイントP1が設定されている。これら溶接ポイントP1にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク19の縦壁19bに、可動接点バネ20が取付けられる。
[0043]
 作動片32は、各アーム部31a,31aの先端から屈曲して延出する支持片32a,32aと、支持片32a,32aの先端から延出し、これら支持片32a,32aを連結可能な板幅に設定されている本体部32bとにより構成されている。そして、本体部32bの先端に、可動接点21が取付けられている。また、本体部32bのコイル4側の面には、鉄片25が設けられている。作動片32は、鉄片25が鉄心18のフランジ部18aから離間するように設けられている。そして、コイル線材15に通電を行うことにより鉄心18が励磁された際、作動片32が弾性変形し、鉄心18に鉄片25が吸着される。
[0044]
 また、ヨーク19の縦壁19bには、可動接点端子10が取付けられている。可動接点端子10は、縦壁19bに取付けられた取付け座33と、この取付け座33からベース2を挟んでヨーク19とは反対側に向かって延出する外部接続部34とが一体的に成形された部材である。
[0045]
 可動接点端子10の取付け座33は、平面視略L字状に形成されている。すなわち、取付け座33は、作動片32を構成する取付け座31の2つのアーム部31a,31aのうちの1つ、つまり、図2において右側に位置しているアーム部31aと縦壁19bの長手方向に直交する方向で対向する第1アーム部33aを有している。また、第1アーム部33aは、縦壁19bの長手方向に沿って長く形成されている。
[0046]
 さらに、第1アーム部33aの先端には、この第1アーム部33aと略直交するように屈曲して延出する第2アーム部33bが一体的に成形されている。
 そして、第1アーム部33aには、第2アーム部33bとは反対側の基端に、溶接ポイントP2が設定されている。この溶接ポイントP2にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク19の縦壁19bに可動接点端子10が取付けられる。また、第2アーム部33bの先端に、外部接続部34が接続されている。
 この外部接続部34がベース2に形成されている可動接点端子用スリット9に挿通されている。これにより、外部接続部34は、ベース2のコイル4とは反対側の面から突出し、負荷(不図示、例えばエアコン用マグネットクラッチ)に電気的に接続される。
[0047]
 一方、可動接点端子10と共に、不図示の負荷に電気的に接続される固定接点端子12は、固定接点端子用スリット11に挿通される外部接続部35を有している。外部接続部35の基端は、ベース2のコイル4側に突出しており、その突出した基端に、内部接点部36が可動接点21側に向かって屈曲して延出されている。内部接点部36の先端は、可動接点21とコイル4との間に介在している。そして、内部接点部36の先端に固定接点22が取付けられている。これにより、可動接点21、及び固定接点22は、所定間隔をあけて互いに対向して配置される。
[0048]
(電磁継電器の作用)
 次に、図1、図4~図6に基づいて、電磁継電器1の作用について説明する。
 図1、図4に示すように、コイル4のコイル線材15に通電を行っていない状態では、接点部3を構成している可動接点21と固定接点22とが離反している。
 一方、コイル端子8を介してコイル線材15が通電されると、鉄心18が励磁される。
 鉄心18が励磁されると、可動接点バネ20に設けられている鉄片25に、鉄心18側に向かう吸引力が作用する。
[0049]
 このため、可動接点バネ20が弾性変形し、鉄心18に鉄片25が吸着されると共に、可動接点21が固定接点22に当接する(接点オン)。すると、これら可動接点21、及び固定接点22を介し、可動接点バネ20と固定接点端子12とが電気的に接続される。
 可動接点バネ20は、ヨーク19の縦壁19bを介して可動接点端子10と電気的に接続されているので、可動接点端子10と固定接点端子12とが電気的に接続される。これにより、外部電源(不図示)の電流が負荷(不図示、例えばエアコン用マグネットクラッチ)に供給される。
[0050]
 そして、再びコイル線材15への通電を停止すると、鉄心18が消磁される。すると、鉄片25が可動接点バネ20の弾性作用によって鉄心18から離反する(接点オフ)。これに伴い、固定接点22から可動接点21が離反する。これにより、可動接点端子10と固定接点端子12とが電気的に遮断され、不図示の負荷への電流の供給が停止される。
[0051]
 ここで、接点オン・オフに伴って固定接点22と可動接点21との間にアーク放電が生じる場合がある。このアーク放電のエネルギーにより、ベース2とカバー17とにより形成される内部空間Kに窒素酸化物が生成される。また、電磁継電器1が作動することにより、樹脂製のコイルボビン14に吸湿されている水分が、水蒸気として内部空間K内に発生する。このとき、ベース2に通気口41~43が形成されているので、この通気口41~43を介して内部空間K内に発生した窒素酸化物、及び水蒸気が外部に排出される。
 ここで、通気口41~43は、これらの開口面積(図4における網掛け部の面積)を合計した総開口面積Aaが式(5)を満たすように設定されているので、確実に窒素酸化物、及び水蒸気が排出される。
[0052]
 より詳しく、図5、図6に基づいて説明する。
 図5は、縦軸が、電磁継電器1の内部空間K内において窒素酸化物と水蒸気との反応により生成される硝酸イオンの生成量[μg]を示し、横軸が、通気口41~43の総開口面積[mm2]としたときの硝酸イオンの生成量の変化を示すグラフである。図6は、縦軸が窒素酸化物(NOx)の濃度[ppm]を示し、横軸が経過時間[分]を示すときの、通気口41~43の総開口面積Aaが1.4mm2である場合の窒素酸化物の濃度の変化を示すグラフである。
[0053]
 図5に示すように、通気口41~43の総開口面積Aaを1.4mm2に設定すると、内部空間K内において、ほとんど硝酸イオンが生成されない。
 これは、図6に示すように、通気口41~43の総開口面積Aaが1.4mm2である場合、電磁継電器1の内部空間K内で発生した窒素酸化物が通気口41~43を介して速やかに排出され、窒素酸化物が発生してから約3分後には、内部空間K内にほとんど窒素酸化物が残留していないからである。
[0054]
 ここで、ベース2に通気口41~43が形成されていると、この通気口41~43から蟻が侵入する可能性がある。しかしながら、図4に詳示するように、通気口41~43の長手方向に直交する方向の幅W1~W3は、それぞれ式(2)~式(4)を満たすように設定されているので、さまざまな蟻の侵入を防止することができる。
[0055]
 より具体的に説明すると、蟻の侵入を防止するために、世界最小の頭部を持つ蟻を調査した結果、世界最小といわれるアリの頭部の最小幅が0.15mmよりも大きいことが見出された。換言すれば、直径が0.15mmの球体が通過できないように通気口41~43を形成することにより、通気口41~43を蟻が通過できなくなる。この条件を満たすために、通気口41~43が平面視略長方形状に形成され、その長手方向に直交する方向の幅W1~W3が、式(2)~式(4)を満たすように設定されている。このため、通気口41~43を介して内部空間Kに蟻が浸入することを確実に防止できる。
[0056]
(効果)
 したがって、上述の第一実施形態によれば、ベース2とカバー17とにより形成される内部空間Kにおいて、窒素酸化物と水蒸気とが反応し硝酸が生成されることを確実に抑制できる。また、内部空間Kの気密性を高精度に維持する必要がなく、通気口41~43を形成するだけで安価に電磁継電器1の延命化を図ることができる。
 また、通気口41~43を介して内部空間Kへさまざまな蟻が侵入することを防止でき、この蟻の侵入による電磁継電器1の損傷を防止できる。よって、電磁継電器1の延命化を図ることができる。
[0057]
 さらに、各端子用スリット7,9,11に、それぞれ通気口41~43が形成されている。すなわち、通気口41~43が複数(2つ以上)形成されているので、窒素酸化物や水蒸気を確実に、且つ速やかに排出できる。
 そして、ベース2に形成されている各端子用スリット7,9,11の内側縁に、通気口41~43が形成されている。すなわち、各端子用スリット7,9,11に、それぞれの通気口41~43が連通して形成されている。そのため、各端子用スリット7,9,11と離間するように通気口41~43が形成される場合と比較してベース2の製造コストを低減することができる。
[0058]
 また、ベース2の各端子用スリット7,9,11が、ベース2の長手方向に沿って長くなるように平面視略長方形状に形成され、これら端子用スリット7,9,11の長手方向に直交する方向の幅W1~W3が、それぞれ式(2)~式(4)を満たすように設定される。そのため、通気口41~43が単純な形状となり、蟻がこれら通気口41~43から内部空間K内へ侵入することを防止できる。
[0059]
 なお、本発明は上述の第一実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の第一実施形態に種々の変更が加えられた構成を含む。
 例えば、上述の第一実施形態では、ベース2の各端子用スリット7,9,11は、ベース2の長手方向に沿って長くなるように平面視略長方形状に形成され、これら端子用スリット7,9,11の長手方向に直交する方向の幅W1~W3が、それぞれ式(2)~式(4)を満たすように設定されている場合について説明した。しかしながら、上記の構成に限られず、各端子用スリット7,9,11は、直径が0.15mmに設定されている球体が通過することができないように形成されていればよい。
 ここで、各端子用スリット7,9,11を平面視略長方形状に形成し、各々の長手方向に直交する方向の幅W1~W3を、それぞれ式(2)~式(4)を満たすように形成することで、各端子用スリット7,9,11に、直径が0.15mmに設定されている球体を通過させることはできない。
[0060]
 また、上述の第一実施形態では、ベース2に形成されている各端子用スリット7,9,11の内側縁に、それぞれ通気口41~43が連通して形成された場合について説明した。しかしながら、上記の構成に限られず、ベース2の各端子用スリット7,9,11から離間した位置に通気口41~43が形成されてもよい。また、各端子用スリット7,9,11にそれぞれ通気口41~43が形成されなくてもよく、ベース2に通気口が少なくとも1つ形成されていればよい。
[0061]
 さらに、ベース2の各端子用スリット7,9,11の内側縁に、それぞれ通気口41~43が形成されずに、各端子用スリット7,9,11に挿通されるコイル端子8、可動接点端子10、及び固定接点端子12に凹部51~53が形成されることで、ベース2に通気口141~143が形成されるように構成してもよい。
[0062]
(変形例)
 より具体的に、図7に基づいて、本発明の第一実施形態に係る通気口41~43の変形例について説明する。
 図7は、本発明の第一実施形態に係る電磁継電器1の変形例を示すベース2の平面図である。尚、以下の説明において、上述の第一実施形態と同一形態については、同一符号を付して説明を省略する。
 同図に示すように、ベース2の各端子用スリット7,9,11には、それぞれコイル端子8、可動接点端子10、及び固定接点端子12が挿通されている。
[0063]
 ここで、コイル端子8のコイル端子用スリット7に対応する位置には、コイル端子8の挿通方向に沿って凹部51が形成されている。そして、これら凹部51とコイル端子用スリット7の内側縁とによって囲まれた開口部が、通気口141として機能する。つまり、ベース2に、通気口141が形成される。
 また、可動接点端子10の外部接続部34には、可動接点端子用スリット9に対応する位置に、外部接続部34の挿通方向に沿って凹部52が形成されている。そして、これら凹部52と可動接点端子用スリット9の内側縁とによって囲まれた開口部が、通気口142として機能する。つまり、ベース2に、通気口142が形成される。
[0064]
 さらに、固定接点端子12の外部接続部35には、固定接点端子用スリット11に対応する位置に、外部接続部35の挿通方向に沿って凹部53が形成されている。そして、これら凹部53と可動接点端子用スリット9の内側縁とによって囲まれた開口部が、通気口143として機能する。つまり、ベース2に、通気口143が形成される。
 上記のように構成した場合であっても、上述の第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
[0065]
(電磁継電器)
 次に、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
 図8は、電磁継電器201の側面図、図9は、図8のA矢視図、図10は、図9のB-B線に沿う断面図である。
 図8~図10に示すように、電磁継電器201は、例えば車両に搭載されているランプ(Lamp)の点灯・消灯を行うために用いられる装置である。電磁継電器201は、ベース202上に、コイル204を備える。そして、電磁継電器201には、これらベース202とコイル204との間に、可動接点221、及び固定接点222から構成される接点部203が配置されている。そして、これら接点部203とコイル204とがカバー217で覆われている。
[0066]
 ベース202は、絶縁性を有する樹脂により、略長方形の平板形状に形成されている。ベース202の長手方向一端側(図8における左端、図10における右端)には、短手方向両側にそれぞれコイル端子用スリット207,207が形成されている。これらコイル端子用スリット207,207にそれぞれコイル端子208,208が挿通され、各コイル端子208,208がベース202の一面(図8~図10における下面)から突出する。コイル端子208には、コイル204が接続され、コイル端子208を介してコイル204に通電が行われる。
[0067]
 また、ベース202の長手方向一端側には、第1支柱205が各端子208,210,212の突出方向とは反対側(図8、図10における上側)に向かって突出して設けられる。また、ベース202の長手方向他端側には、第2支柱206が各端子208,210,212の突出方向とは反対側に向かって突出して設けられる。
[0068]
 これら第1支柱205、及び第2支柱206には、断面略L字状に形成されたヨーク219が支持されている。ヨーク219は、磁路が形成されるように構成され、金属板にプレス加工を施して屈曲して形成されている。そして、ヨーク219は、ベース202と所定の間隔をあけて対向する上壁219aと、上壁219aの第2支柱206側端から上壁219aに対して略垂直に屈曲して延出する縦壁219bとを有している。さらに、ヨーク219は、上壁219aと縦壁219bとが連なる方向が長くなるように形成されている。
[0069]
 ここで、ベース202に対し立ち上がって設けられている第1支柱205は、横断面略C字状に形成されている。一方、ヨーク219の上壁219aには、第1支柱205側端に、この第1支柱205の内側に挿入可能な係合片219cが屈曲して延出されている。これにより、第1支柱205にヨーク219の一端が支持される。
 一方、第2支柱206はベース202の短手方向両端にそれぞれ配置されている。第2支柱206は、ヨーク219の縦壁219bを、その短手方向両側から挟持するように支持する。
[0070]
 ヨーク219の上壁219aには、中央に磁性材料により棒状に形成された鉄心218が固定されている。鉄心218は、ヨーク219の上壁219aからベース202に向かって垂直に設けられる。鉄心218には、コイル204が外側から嵌め込まれ固定されている。すなわち、コイル204は、ベース202上に配置された状態で設けられる。また、鉄心218の先端には、フランジ部218aが形成されており、鉄心218からのコイル204の抜けが防止される。
[0071]
 コイル204は、筒状のコイルボビン214とコイルボビン214に巻装されたコイル線材215とで構成されている。コイル線材215は、鉄心218におけるヨーク219の上壁219a側からみて時計回りの向きに巻回されている。そして、コイル線材215の巻き始め端と巻き終わり端は、それぞれコイル端子208にヒュージングにより接続されている。また、各コイル端子208,208の間には、両者に跨るようにレジスタ216が設けられている。レジスタ216は、コイル204の逆起電圧を吸収するための部材である。
[0072]
 ここで、ヨーク219の縦壁219bには、可動接点バネ220が取付けられている。可動接点バネ220は、接点部203の一方を構成する可動接点221を支持するための部材である。可動接点バネ220は、導電性を有する板バネ材で断面略L字状に形成されている。可動接点バネ220は、ヨーク219の縦壁219bに取付けられた取付け座231と、取付け座231のベース202側端からこのベース202とコイル204との間に介在するように屈曲して延出された作動片232とにより構成されている。
[0073]
 取付け座231は、ヨーク219の縦壁219bにおける中央の大部分に形成され、且つ平面視略コの字状に形成されている。つまり、取付け座231は、長手方向に延在し、短手方向で対向する一対のアーム部231a,231aと、これらアーム部231a,231aのベース202とは反対側の端部同士に跨るように延在し、両アーム部231a,231aを連結する連結部231bとにより構成されている。
 連結部231bには、各アーム部231a,231aとの接続部分を形成する両端に、それぞれカシメ、又は溶接を行うための接続ポイントP201が設定されている。これら接続ポイントP201にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク219の縦壁219bに、可動接点バネ220が取付けられる。
[0074]
 作動片232は、各アーム部231a,231aの先端から屈曲して延出する支持片232a,232aと、支持片232a,232aの先端から延出し、これら支持片232a,232aを連結可能な板幅に設定されている本体部232bとにより構成されている。そして、本体部232bの先端に、可動接点221が取付けられている。また、本体部232bのコイル204側の面には、鉄片225が設けられている。作動片232は、鉄片225が鉄心218のフランジ部218aから離間するように設けられている。そして、コイル線材215に通電を行うことにより鉄心218が励磁された際、作動片232が弾性変形し、鉄心218に鉄片225が吸着される(詳細は後述する)。
[0075]
 また、ヨーク219の縦壁219bには、可動接点端子210が取付けられている。可動接点端子210は、縦壁219bに取付けられた取付け座233と、この取付け座233からベース202を挟んでヨーク219とは反対側に向かって延出する外部接続部234とが一体的に成形された部材である。
[0076]
 可動接点端子210の取付け座233は、平面視略L字状に形成されている。すなわち、取付け座233は、作動片232を構成する取付け座231の2つのアーム部231a,231aのうちの1つ、つまり、図9において右側に位置しているアーム部231aと縦壁219bの短手方向で対向する第1アーム部133aを有している。また、第1アーム部233aは、縦壁219bの長手方向に沿って長く形成されている。
[0077]
 さらに、第1アーム部233aの先端には、この第1アーム部233aと略直交するように屈曲して延出する第2アーム部233bが一体的に成形されている。
 そして、第1アーム部233aには、第2アーム部233bとは反対側の基端に、カシメ、又は溶接を行うための接続ポイントP202が設定されている。この接続ポイントP202にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク219の縦壁219bに可動接点端子210が取付けられる。また、第2アーム部233bの先端に、外部接続部234が接続されている。
[0078]
 ここで、ベース202には、長手方向他端側(図8における右端、図10における左端)に、可動接点端子用スリット209が形成されている。この可動接点端子用スリット209に、可動接点端子210の外部接続部234が挿通されている。これにより、ベース202のコイル204とは反対側の面から可動接点端子210の外部接続部234が突出する。
 また、ベース202の長手方向略中央には、固定接点端子用スリット211が形成されている。この固定接点端子用スリット211に、固定接点端子212が挿通されている。
[0079]
 固定接点端子212は、固定接点端子用スリット211に挿通される外部接続部235を有している。外部接続部235の基端は、ベース202のコイル204側に突出しており、その突出した基端に、内部接点部236が可動接点221側に向かって屈曲して延出されている。内部接点部236の先端は、可動接点221とコイル204との間に介在している。そして、内部接点部236の先端に固定接点222が取付けられている。これにより、可動接点221、及び固定接点222は、所定間隔をあけて互いに対向して配置される。
[0080]
(電磁継電器の動作)
 次に、図9、図10、図11A及び図11Bに基づいて、電磁継電器201の動作について説明する。
 図11A及び図11Bは、電磁継電器201の動作説明図であって、図10に対応している。そして、図11Aは、コイル204のコイル線材215に通電を行っていない状態を示す。図11Bは、コイル204のコイル線材215に通電を行っている状態を示す。
 図11Aに示すように、コイル204のコイル線材215に通電を行っていない状態では、接点部203を構成している可動接点221と固定接点222とが離反している。
[0081]
 一方、図11Bに示すように、コイル端子208に電流I201を供給すると(以下、コイル端子208に供給される電流を一次電流という)、このコイル端子208を介してコイル線材215に電流が流れ、鉄心218が励磁される。このとき、コイル線材215は、鉄心218におけるヨーク219の上壁219a側からみて時計回りの向きに巻回されている。そのため、コイル線材215が通電されることによって形成される磁界J1の向きは、ヨーク219の上壁219aから鉄心218のフランジ部218aに向かう方向になる。
[0082]
 鉄心218が励磁されると、可動接点バネ220に設けられている鉄片225に、鉄心218側に向かう吸引力が作用する。このため、可動接点バネ220が弾性変形し、鉄心218に鉄片225が吸着されると共に、可動接点221が固定接点222に当接する。すると、これら可動接点221、及び固定接点222を介し、可動接点バネ220と固定接点端子212とが電気的に接続される。可動接点バネ220は、ヨーク219の縦壁219bを介して可動接点端子210と電気的に接続されているので、可動接点端子210と固定接点端子212とが電気的に接続される。これにより、外部電源(不図示)の電流I202が負荷(不図示、例えばランプ)に供給される。なお、以下の説明において、可動接点端子210、及び固定接点端子212に供給される電流を二次電流という。
[0083]
 ここで、図9、図11Bに基づいて、二次電流の向きについてより詳しく説明する。
 図9、図11Bに示すように、可動接点端子210と固定接点端子212とが電気的に接続されると、可動接点端子210から可動接点バネ220を介し、固定接点端子212へと電流が流れる。このとき、可動接点端子210と可動接点バネ220とは、ヨーク219の縦壁219b上の短手方向において対向して配置されている。そのため、図9において、右から左に向かって、つまり、接続ポイントP202から接続ポイントP201に向かって電流が流れる(図9における矢印Y1参照)。また、図11Bにおいて、ヨーク219の縦壁219b上で紙面手前から奥に向かって電流が流れる。
[0084]
 すなわち、可動接点端子210、及び固定接点端子212が通電されることによって、ヨーク219の縦壁219b上に、図11Bにおいて時計回りの向きの磁界J2が発生する。
 ここで、磁界J2は、この向きが鉄心218上でコイル線材215が通電されることによって形成される磁界J1の向きと同じになる。そのため、磁界J2は、この磁界J1に重畳する。このため、励磁された鉄心218の鉄片225に対する吸引力が増大する。
[0085]
 この磁力の変化について、図12に基づいて、より詳しく説明する。
 図12は、縦軸が一次電流、二次電流、及び鉄心218に生じる磁界J1の磁束密度の大きさを示し、横軸が時間を示すときの、一次電流、二次電流、及び磁束の変化を示すグラフである。
 図11B、図12に示すように、コイル線材215に一次電流を供給すると、鉄心218に磁界J1が発生する。この磁界J1の磁束密度は、一次電流が供給されてから急激に増大する。そして、磁界J1の磁束密度が所定値に近づくと、磁束密度の増加率は急激に減少する。磁界J1の磁束密度がほぼ所定値になると、鉄心218の鉄片225への吸引力により、鉄心218に鉄片225が吸着される。
[0086]
 すると、固定接点222に可動接点221が当接し、可動接点端子210、及び固定接点端子212に二次電流が供給される。このとき、この二次電流により、ヨーク219の縦壁219b上に磁界J2が発生し、この磁界J2が磁界J1に重畳される。
 ここで、さらに詳述すると、二次電流の立ち上がりの瞬間が一次電流の立ち上がりの途中で発生すると、一次電流により磁気回路が飽和していないので、二次電流による磁界J2が一次電流による磁界J1に重畳される。このとき、磁界J1に磁界J2が重畳されることにより、一次電流が減少する(図12におけるC部参照)。
[0087]
 このように、磁界J1に磁界J2が重畳されることにより、鉄心218に発生する磁界の磁束密度は、磁界J1の磁束密度に磁界J2の磁束密度を加えた大きさになる。このため、磁界J2が重畳された分、鉄心218に発生する磁力が増大し、鉄片225に対する吸引力が増大する。よって、鉄心218に確実に鉄片225が吸着され、確実に固定接点222に可動接点221が当接する。
[0088]
 そして、再び一次電流の供給が停止すると、鉄心218が消磁される。すると、鉄片225が可動接点バネ220の弾性作用によって鉄心218から離反する。これに伴い、固定接点222から可動接点221が離反する。これにより、可動接点端子210と固定接点端子212とが電気的に遮断され、二次電流の供給が停止する。
[0089]
(効果)
 したがって、上述の第二実施形態によれば、ヨーク219の縦壁219bに、可動接点バネ220の取付け座231が取付けられると共に、この取付け座231のアーム部231aと縦壁219bの短手方向で対向するように、可動接点端子210の取付け座233が取付けられることによって、二次電流が取付け座231,233間に流れることによりヨーク219に発生する磁界J2を、一次電流によりコイル204に発生する磁界J1に重畳させることができる。このため、磁界J1に磁界J2が重畳しない場合と比較して、鉄心218に発生する磁力が増大し、励磁された鉄心218の鉄片225に対する吸引力が従来よりも増大する。よって、可動接点221と固定接点222との間に生じるバウンスを抑制することができる。この結果、接点摩耗の促進を抑制して電磁継電器201の製品寿命の延命化を図ることができる。
[0090]
 また、可動接点バネ220の取付け座231が、ヨーク219の縦壁219bの短手方向の大部分に形成されることにより、可動接点バネ220の剛性を高めることができる。すなわち、弾性変形を繰り返す可動接点バネ220の取付け座231の設置スペースを、ヨーク219に取付けた後、可動することがない可動接点端子210よりも大きく確保することにより、可動接点バネ220の剛性を高めることができる。このため、可動接点バネ220の金属疲労による損傷を確実に防止でき、電磁継電器201の延命化を図ることができる。
[0091]
 なお、本発明は上述の第二実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の第二実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
 例えば、上述の第二実施形態では、ヨーク219の縦壁219bに、可動接点バネ220の取付け座231が取付けられ、この取付け座231のアーム部231aと縦壁219bの短手方向で対向するように、可動接点端子210の取付け座233が取付けられた場合について説明した。しかしながら、上記の構成に限られず、可動接点バネ220の取付け座231、及び可動接点端子210の取付け座233のヨーク219に対する取付け位置は、二次電流が取付け座231,233間に流れることによりヨーク219に発生する磁界J2が、コイル204に発生する磁界J1に重畳される位置であればよい。
[0092]
 この一例について説明する。すなわち、例えば、コイル線材215に流れる電流の向きが上述の第二実施形態における向きと反対側であったり、コイルボビン214へのコイル線材215の巻回方向が上述の第二実施形態における方向と反対側であることにより、コイル204に発生する磁界J1の向きが、鉄心218のフランジ部218aからヨーク219の上壁219aに向かう方向である場合について説明する。このような場合、図11Bにおいて、磁界J1の向きが上述の第二実施形態における向きと反対方向となる反時計回りの方向となる。このため、可動接点端子210の取付け座233は、可動接点バネ220の取付け座231を構成する2つのアーム部231a,231aのうち、図9における左側に位置しているアーム部231aと対向するように配置される。
[0093]
 また、上述の第二実施形態では、可動接点バネ220の取付け座231は、ヨーク219の縦壁219bにおける中央の大部分に形成され、且つ平面視略コの字状に形成されている場合について説明した。しかしながら、この構成に限られず、磁界J2を所定の向きに発生させるように形成されていればよい。
[0094]
 ここで、磁界J2は、ヨーク219の縦壁219b上において、可動接点端子210の取付け座233に設定されている接続ポイントP202から可動接点バネ220の取付け座231に設定されている接続ポイントP201に向かって流れる電流によって形成される。このため、これら接続ポイントP201,P202間の距離を長く確保できれば、この分、磁界J2の磁束密度を大きくすることができる。よって、可動接点バネ220の取付け座231は、この剛性を確保しつつ、接続ポイントP201,P202間の距離をできる限り長く確保できるように形成されることが望ましい。
[0095]
 また、磁界J2が所定の向きに発生すればよいので、可動接点バネ220の取付け座231の内側に可動接点端子210の取付け座233が配置されてもよい。
 より詳しく、図13に基づいて説明する。
[0096]
(変形例)
 図13は、本発明の第二実施形態に係る電磁継電器101の変形例を示す正面図であって、図9に対応している。尚、以下の説明において、上述の第二実施形態と同一形態については、同一符号を付して説明を省略する。
 同図に示すように、可動接点バネ220の取付け座331は、ヨーク219の縦壁219bの外周部に沿うように大きく平面視略コの字状に形成されている。つまり、取付け座331は、長手方向に延在し、縦壁219bの短手方向両側に配置された一対のアーム部331a,331aと、これらアーム部331a,331aのベース202とは反対側端同士に跨るように延在し、両アーム部331a,331aを連結する連結部331bとにより構成されている。そして、各アーム部331a,331aには、連結部331b側にそれぞれ接続ポイントP201が設定されている。これら接続ポイントP201にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク219の縦壁219bに、可動接点バネ220が取付けられる。
[0097]
 一方、可動接点端子210の取付け座333は、ヨーク219の縦壁219bの長手方向に沿うように帯状に形成され、可動接点バネ220の取付け座331の内側に配置されている。
 そして、取付け座333の先端に、接続ポイントP202が設定されている。この接続ポイントP202にスポット溶接等を施すことにより、ヨーク219の縦壁219bに可動接点端子210が取付けられる。
[0098]
 ここで、可動接点端子210の取付け座333は、可動接点バネ220の取付け座331を構成する一対のアーム部331a,331a間の略中央に位置しておらず、一方のアーム部331a寄り、つまり、図13において中央よりもやや右寄りに位置している。このため、一方のアーム部331a、つまり、図13における右側のアーム部331aと可動接点端子210の取付け座333との間の距離L1と比較して、他方のアーム部331a、つまり、図13における左側のアーム部331aとの間の距離L2が長く設定される。
[0099]
 上記のような構成のもと、コイル204に一次電流が供給されることにより、可動接点端子210と固定接点端子212とが電気的に接続される。すると、ヨーク219の縦壁219b上において、可動接点バネ220の各アーム部331a,331aと、可動接点端子210の取付け座333との間で電流が流れる。
 より具体的には、取付け座333から一方のアーム部331aに向かって、つまり、図13において、右方向に向かって電流が流れる(図13における矢印Y2参照)。また、取付け座333から他方のアーム部3231aに向かって、つまり、図13において、左方向に向かって電流が流れる(図13における矢印Y3参照)。
[0100]
 ここで、取付け座333から一方のアーム部331aに向かって流れる電流の向きと、取付け座333から他方のアーム部331aに向かって流れる電流の向きとが互いに逆方向となり、互いに逆方向の磁界を形成する。このため、両者が形成する磁界が互いに相殺する。しかしながら、取付け座333と一方のアーム部331aとの間の距離L1と比較して、取付け座333と他方のアーム部331aとの間の距離L2が長く設定されている。そのため、取付け座333から他方のアーム部331aに向かって流れる電流(図13における矢印Y3参照)により形成される磁界が残る。この磁界は、上述の第二実施形態における磁界J2と同じ方向になる。このため、コイル204に発生する磁界J1に重畳され、鉄心218の鉄片225に対する吸引力が増大する。

産業上の利用可能性

[0101]
 上記の電磁継電器本発明によれば、内部空間に発生する窒素酸化物や水蒸気を、通気口を介して外部に排出することができるため、内部空間の気密性を高精度に維持する必要がなく、安価に電磁継電器の延命化を図ることができる。

符号の説明

[0102]
 1,201 電磁継電器
 2 ベース
 3 接点部
 4,204 コイル
 7a,9a,11a コイル端子用スリット(端子用スリット)
 51,52,53 凹部
 9 可動接点端子用スリット(端子用スリット)
 11 固定接点端子用スリット(端子用スリット)
 15,215 コイル線材(コイル)
 17 カバー
 18,218 鉄心
 21,221 可動接点
 22,222 固定接点
 41,42,43,141,142,143 通気口
 A 開口面積
 Aa 総開口面積(開口面積)
 K 内部空間
 210 可動接点端子
 212 固定接点端子
 219 ヨーク
  219a 上壁(壁面)
  219b 縦壁(壁面)
  220 可動接点バネ
  225 鉄片
  J1,J2 磁界

請求の範囲

[請求項1]
 ベースと、このベースに取付けられるカバーとによって形成される内部空間に、コイルが巻装されている鉄心と、この鉄心の励磁及び消磁に基づいて開閉動作する固定接点、及び可動接点とが設けられ、
 前記ベースに、前記コイルに接続されるコイル端子、前記固定接点が取り付けられている固定接点端子、及び前記可動接点に電気的に接続された可動接点端子をそれぞれ挿通するための端子用スリットが形成され、
 前記ベースに、前記内部空間に発生したガスの排気、及び前記内部空間に発生した水蒸気の排水を行うための通気口が形成され、
 前記端子用スリットに連なるように、前記通気口が形成される電磁継電器。
[請求項2]
 前記ベースに、少なくとも2つの前記通気口が形成される請求項1に記載の電磁継電器。
[請求項3]
 前記ベースに、前記端子用スリットの周縁に沿う凹部が形成され、
 前記通気口は、前記凹部と、この凹部が形成されている端子用スリットに挿通された固定接点端子、及び可動接点端子とにより囲まれた開口部により構成される請求項1又は請求項2に記載の電磁継電器。
[請求項4]
 固定接点端子、及び可動接点端子の少なくとも何れか一方の前記端子用スリットに対応する位置に凹部が形成され、
 前記通気口は、前記凹部と、前記端子用スリットの周縁とにより囲まれた開口部により構成される請求項1又は請求項2に記載の電磁継電器。
[請求項5]
 前記通気口は、
 この通気口の開口面積Aが
 A≧1.4mm2
 を満たすように形成されていると共に、
 直径が0.15mmに設定されている球体が通過できないように形成されている請求項1~請求項4の何れかに記載の電磁継電器。
[請求項6]
 前記通気口は、平面視長方形状に形成されており、
 前記通気口の短手方向の幅Wは、
 W<0.15mm
 を満たすように設定されている請求項1~請求項5の何れかに記載の電磁継電器。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11A]

[ 図 11B]

[ 図 12]

[ 図 13]