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1. (WO2012008603) チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物及びホイップドクリーム
Document

明 細 書

発明の名称 チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物及びホイップドクリーム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015   0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

実施例

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078  

産業上の利用可能性

0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物及びホイップドクリーム

技術分野

[0001]
 本発明は、チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物及び前記組成物を含むホイップドクリームに関する。

背景技術

[0002]
 従来、製菓、デザート用途のホイップドクリームとしては、牛乳から分離して製造される天然の生クリームが用いられてきた。しかし、現在では、生クリームに含まれる乳脂肪の一部を植物性油脂に置き換えたコンパウンドタイプや、油脂全てを植物性油脂とした純植物性タイプなどのホイップドクリームが開発され、それが主流となりつつある。このようなホイップドクリームは、コスト的に安価であり、特にホイップ前の原液の保存安定性、ホイップ時の作業性、ホイップ後の作業性などが優れている。また、植物性油脂を用いたホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物(ホイップ前の原液)は、植物性油脂を組み合わせ、更に乳化剤、増粘剤などの改良剤を用いて乳化することで製造できる。したがって、それら原料の組成、特に油脂組成によってホイップドクリームの食感及び物性を大きく変更させることが可能である。昨今では、特にライトな食感を好む傾向にあり、口溶け感に重点が置かれている。
[0003]
 ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いられる油脂としては、ヤシ油やパーム核油などのラウリン系油脂が挙げられる。ラウリン系油脂は、口溶けなどがシャープで冷感を感じやすい、SFC(固体脂含有量)が縦型となる油脂である。ラウリン系油脂は、それらの硬化油と共に、ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物、主に油脂含有量の少ないホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物(以下「ライトクリーム」とすることがある)に使用されている。しかし、ラウリン系油脂の硬化油を多く含む従来のホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物では、ホイップ後に経時的に硬くなり易いため、トッピングなどの作業性が経時的に悪くなる。
[0004]
 更に、ライトクリームは油脂含有量が少ないために、ホイップ前の原液温度が数度上昇するとホイップ性が大きく変化し、温度が上がりすぎると含気が不十分で適正なオーバーランが得られないものであった。
[0005]
 ホイップ物性やホイップ後の口溶けの改良を試みた例として、パーム系油脂及びラウリン系油脂のエステル交換油脂並びにラウリン系油脂を含有する起泡性クリーム用油脂組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、この組成物は、ホイップ後の硬さの経時的変化の抑制は不十分である。
[0006]
 また、油脂中の全トリグリセライドにおけるラウリン酸残基の含有量が脂肪酸残基全量の30~60質量%であり、脂肪酸残基の炭素原子数が42~49であるトリグリセライドの含有量がトリグリセライド全量の20~45質量%であり、且つ脂肪酸残基の炭素原子数が50~62であるトリグリセライドの含有量がトリグリセライド全量の4~15質量%であるホイップドクリーム用油脂組成物が提案されている(特許文献2)。この組成物は、常温域(約15~35℃)において良好な保型性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも硬くなることのない優れた常温流通型ホイップドクリーム(起泡済水中油型乳化脂)を与える。しかし、チルド領域ではそれらの特性が失われる。
[0007]
 また、ラウリン系油脂、ラウリン系油脂の分別油及びラウリン系油脂の極度硬化油からなる群から選ばれる少なくとも1種である油脂(1)に、炭素数16以上の飽和脂肪酸と炭素数16以上の不飽和脂肪酸とを特定量ずつ含有する油脂をエステル交換することにより得られるエステル交換油脂を配合した水中油型乳化油脂組成物が提案されている(特許文献3)。この組成物では、前記配合をすることで、口溶け、起泡性などのホイップ性や、保型性などのホイップ物性を良好にしているが、ホイップ後の硬さの経時的な変化の抑制は不十分である。
[0008]
 また、これまでにホイップ後の硬さの経時的な変化の抑制については検討がなされており、油脂中にSUS型トリグリセリドとラウリン系油脂とを含むライトクリーム用油脂が提案されている(特許文献4)。このクリーム用油脂から得られるホイップドクリームは、ホイップ後の硬さの経時的な変化の抑制は問題ないものの、原液温度が数度上昇すると含気が不十分なためオーバーランが低下し、通常のホイップ性が失われるために、温度管理が厳密となり扱い難いものであった。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 国際公開第09/025123号明細書
特許文献2 : 特開2007-282535号公報
特許文献3 : 特開2008-228610号公報
特許文献4 : 特開平5-219887号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 本発明の目的は、油脂含有量が少なく、口溶けの良いチルド流通用ホイップドクリームを与える起泡性水中油型乳化油脂組成物でありながら、保管時に原液温度が変化してもホイップ性が通常レベル以上であり且つその変化が少なく、またホイップした後の室温での作業時に硬くならず且つトッピングなどの作業性及び造花性などのホイップ物性が非常に良好なホイップドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ある特定の総炭素原子数と上昇融点である油脂とラウリン系油脂の硬化油である油脂を特定の割合で配合することにより、起泡性水中油型乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率が適当になり、従来のホイップ性、口溶けを有しながら、保管時に原液温度が変化してもホイップ性が通常レベル以上であり且つその変化が少なく、また原液をホイップした後の室温での作業時にクリームが硬くならないことを見出し、本発明を完成するに至った。
[0012]
 即ち、本発明の第一は、油脂を含有するチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物において、前記油脂の含有量が前記組成物全量の20重量%~40重量%であり、前記油脂は、油脂(A)と油脂(B)とを含み、油脂(A)は、構成脂肪酸の総炭素原子数が36であるトリグリセライドと構成脂肪酸の総炭素原子数が38であるトリグリセライドとを合計で油脂(A)全量の40重量%以上含み、且つ、上昇融点が30℃以上であり、油脂(B)は、パーム核油の硬化油及び/又はヤシ油の硬化油であり、油脂(A)の含有量が前記油脂全量の1重量%~30重量%であり、油脂(B)の含有量が前記油脂全量の5重量%~30重量%であり、さらに油脂(A)と油脂(B)との合計含有量が前記油脂全量の15重量%~50重量%であり、前記組成物を5℃で4日間保持した時の前記油脂の結晶化率が50%以上であり、且つ前記組成物を5℃で1時間保持した時の前記油脂の結晶化率と、前記組成物を5℃で1時間保持してから更に15℃で30分間保持した時の前記油脂の結晶化率との差が2%以下であるチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
[0013]
 本発明の好ましい実施態様では、前記油脂はラウリン系油脂を含み、ラウリン系油脂の含有量が前記油脂全量の60重量%以上である。
 更に好ましくは、前記油脂が、上昇融点が30℃未満である、前記油脂(B)以外の油脂を含む。
 より好ましくは、前記油脂(A)がパーム核ステアリンである。
[0014]
 また、本発明の第二は、前記チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物を含んでなるホイップドクリームに関する。

発明の効果

[0015]
 本発明に従えば、油脂含有量が少なく、口溶けの良いチルド流通用ホイップドクリームを与える起泡性水中油型油脂組成物でありながら、保管時に原液温度が変化してもホイップ性が通常レベル以上であり且つその変化が少なく、また、室温での作業時に硬くならず、作業性及び造花性などホイップ物性が非常に良好なホイップドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することが可能となる。
[0016]
 なお、本発明において、ホイップ性が通常レベル以上とは、保存中に液温が変化しても、100%以上のオーバーランを保つことを意味する。また、ホイップ性の変化が少ないとは、オーバーランの変化が20%以下であることを意味する。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物(以下「本発明組成物」とすることがある)は、油脂の含有量及び油脂の結晶化率がそれぞれ特定の範囲にあることを特徴とする。なお、該起泡性水中油型乳化油脂組成物は、チルド流通ホイップドクリーム用として用いる場合に、より多くの効果を享受できる。
[0018]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物における油脂含有量は、前記組成物全量の20重量%~40重量%、好ましくは25重量%~35重量%である。油脂含有量が20重量%より少ないと、ホイップしにくい場合がある。一方、油脂含有量が40重量%より多いと、本発明組成物から得られるホイップドクリームの口溶け感がチルド流通後に失われたり、本発明組成物の乳化安定性が悪くなったりする場合がある。
[0019]
 本発明組成物における油脂の結晶化率は、下記式から求められる組成物の全油脂量における油脂結晶量(%)のことである。
   油脂結晶量(%)=[(x-y)/z]×100
〔式中、xは、NMR分析装置を用いて本発明組成物を測定した値を示す。yは、前記と同じNMR分析装置を用いて、本発明組成物に含まれる全油脂を曇点が0℃未満のサラダ油に変更する以外はxを測定した本発明組成物と同じ組成を有する組成物を測定した値を示す。zは、xの測定に用いた本発明組成物の油脂含有量(重量%)を示す。〕
 なお、前記x及びyの測定に用いたNMR分析装置は、BRUKER製minispecシリーズ「mq20 NMR Analyzer」である。更に解析ソフトとして、Bruker the MINISPECを用いた。
[0020]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を5℃で4日間保持した時の油脂の結晶化率は、50%以上であり、50%~90%がより好ましい。結晶化率が50%未満であると、乳化された油脂の結晶量が不十分なために含気し難く、適正なオーバーランが得られない場合がある。油脂の結晶化率は、概ね5℃で3日以上保持すると大きく変化しなくなる。更に、結晶化率が90%を大きく超えると、原液安定性が悪くなる場合がある。
[0021]
 さらには、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、5℃で1時間保持した時における油脂の結晶化率と、5℃で1時間保持し更に15℃で30分間保持した時における油脂の結晶化率と、の差は2%以下、より好ましくは1%以下である。結晶化率の差が2%を越えると、起泡性水中油型乳化油脂組成物の保管時に原液温度が変化した時にホイップ性が変化する場合がある。
[0022]
 前記のような結晶化率を満たす起泡性水中油型乳化油脂組成物は本発明の効果を奏し、そのような結晶化率を示す起泡性水中油型乳化油脂組成物は、以下のような組成であれば容易に得ることができる。
[0023]
 油脂(A)は、構成脂肪酸の総炭素原子数が36であるトリグリセライドと、構成脂肪酸の総炭素原子数が38であるトリグリセライドとを含み、これらの合計含有量が油脂(A)全量の40重量%以上であり、且つ上昇融点が30℃以上である。なお、油脂の上昇融点は、「基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996 融点、2003年度版、社団法人日本油化学会」に準じて測定すれば良い。油脂(A)としては、例えば、パーム核ステアリンやパーム核ステアリン硬化油などが挙げられ(表1参照)、口溶けの点からはパーム核ステアリンが好ましい。
[0024]
[表1]


[0025]
 前記油脂(A)の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物における油脂全量の1重量%~30重量%であり、5重量%~30重量%がより好ましい。油脂(A)の含有量が1重量%より少ないと、ホイップ後にホイップドクリームが経時的に硬くなる場合がある。一方、油脂(A)の含有量が30重量%より多いと、ホイップ時に充分な保形性が得られない場合がある。
[0026]
 油脂(B)は、パーム核油の硬化油及び/又はヤシ油の硬化油である。油脂(B)の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物における油脂全量の5重量%~30重量%であり、好ましくは15重量%~30重量%である。油脂(B)の含有量が5重量%より少ないと、ホイップ時に十分な保型性が得られない場合がある。油脂(B)の含有量が30重量%より多いと、ホイップ時にチルド流通用ライトクリームとしての口溶け感が失われたり、ホイップ後にホイップドクリームが経時的に硬くなったりする場合がある。
[0027]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、油脂(A)と油脂(B)との合計含有量は、油脂全量の15重量%~50重量%であり、好ましくは25重量%~50重量%である。合計含有量が15重量%より少ないと、ホイップ時に十分な硬さが得られず、保型性が不足する場合がある。一方、合計含有量が50重量%より多いと、チルド流通用ライトクリームとしての口溶け感が失われる場合がある。
[0028]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、食用であり且つ上昇融点が30℃未満であれば、油脂(A)及び油脂(B)以外の油脂(C)を含んでいても良い。上昇融点が30℃未満である油脂(C)は、ラウリン系油脂を含むことがある。
[0029]
 また、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、ラウリン系油脂を油脂全量の60重量%以上含有することが好ましい。これにより、本発明組成物をホイップして得られるホイップドクリームの口溶け感が一層良好になる。ラウリン系油脂の含有量が60重量%を大きく下回ると、チルド流通用ホイップドクリームとしての口溶け感が失われる場合がある。本発明においてラウリン系油脂とは、ヤシ油やパーム核油由来の油脂であり、硬化油やエステル交換油脂或いはそれらの分別油も含む。なお、油脂(A)及び油脂(B)もラウリン系油脂に属するので、油脂(A)及び油脂(B)と、これら以外のラウリン系油脂との合計含有量が60重量%以上になるように調整するのが好ましい。
[0030]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物には、例えば、乳原料、乳化剤、塩類、糖類、増粘剤、香料、着色料などの、水中油型乳化油脂組成物及びホイップドクリームに用いられる一般的な各種添加剤を使用できる。
[0031]
 前記乳原料としては、特に限定はなく、通常使用する乳原料でよく、例えば、牛乳、脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、濃縮ホエイ、ホエイパウダー、生クリーム、加糖練乳、無糖練乳、バター、チーズ、カゼイン蛋白質、ホエイ蛋白質、カゼインナトリウム、UF膜やイオン交換樹脂処理などにより分離及び/又は分画した乳蛋白質などが挙げられる。
[0032]
 前記乳化剤としては、食品用の乳化剤であれば特に限定はないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、レシチン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステルとその誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。なお、原液保管時の温度変化に対するホイップ性の変化をより小さくするためには、乳化剤を使用した方が好ましい。乳化剤の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物全量の0.05重量%~1重量%が好ましい。
[0033]
 前記塩類としては、食品用途に用いられるものであれば特に限定はないが、例えば、リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、又はクエン酸のナトリウム塩などが挙げられる。
[0034]
 前記糖類としては、例えば、上白糖、三温糖、グラニュー糖、ざらめ糖、加工糖、液糖などの砂糖類、水あめ、ブドウ糖、異性化糖、果糖、麦芽糖、乳糖などの糖類、還元水あめ、還元麦芽糖水あめなどの糖アルコール類などが挙げられる。
[0035]
 前記増粘剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン類、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。
[0036]
 前記香料及び着色料は適宜使用され、通常食品用途に使用されるものであれば特に限定はない。
 前記した各種添加剤は、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[0037]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、前記した特定の油脂を用いる以外は、通常の水中油型乳化油脂組成物と同様の配合組成及び同様の製法で製造することができる。例えば、水を60℃に加熱して前記した各種添加剤を溶解し、水相部を調製する。同様に、油脂(A)及び油脂(B)を所定の割合で含有する油脂を60℃に加熱して、前記した各種添加剤を溶解し、油相部を調製する。得られた水相部と油相部とを、油相部に含まれる油脂の含有量が全量の20重量%~40重量%になるように混合する。得られた混合物を予備乳化し、UHT殺菌などを用いて殺菌し、均質化し、5℃~10℃に冷却する。これにより、目的の本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
[0038]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いてホイップドクリームを得る方法としては特に限定されず、一般的なホイップ方法をいずれも採用できる。ホイップ方法の具体例としては、例えば、調理用泡立て器を用いる方法、電動泡立て機を用いる方法、縦型ケーキミキサーやプレッシャーミキサー等を用いる方法などが挙げられる。これらの方法により、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に空気を抱き込ませるように撹拌し、ホイップさせる。この時、必要であれば、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に、更に前記の各種添加剤の少なくとも1種を添加してもよい。
[0039]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、保管時に原液温度が変化してもホイップ性の変化が少なく、ホイップ後に得られるホイップドクリームをチルド領域で長時間保管しても硬くならない。したがって、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドクリームは、チルド流通に好適である。
実施例
[0040]
 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
[0041]
 <結晶化率の測定方法>
 実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の原液1.5gをNMR管に入れて、所定の条件で保持した後に、NMR分析装置(BRUKER社製、minispecシリーズ「mq20 NMR Analyzer、解析ソフト:BRUKER the MINISPEC」で測定した値(x)を得た。また、油脂全量を曇点が0℃未満のサラダ油(ナタネ油)のみに変更する以外は、同配合で起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した(製造例3)。この組成物の原液1.5gをNMR管に入れ、前記と同様にして測定した値(y)を得た。更に、値(x)を得た起泡性水中油型乳化油脂組成物の油脂含有量(重量%)を値(z)とした。そして以下の式に従って、結晶化率(%)を算出した。
   結晶化率(%)=[(x-y)/z]×100
[0042]
 <構成脂肪酸の総炭素原子数の測定法>
 構成脂肪酸の総炭素原子数は、基準油脂分析試験法2.4.6.1トリアシルグリセリン組成に準拠して、ガスクロマトグラフィー(商品名:6890N Network GS System、Agilent Technologies社製)を用いて測定した。
[0043]
 <ホイップ方法>
 実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物4kg及びグラニュー糖320gをカントーミキサー(CS型20、関東混合機工業(株)製)に入れ、高速攪拌条件(450rpm)でホイップし、状態を確認しながら、表面の状態、硬さにより最適点でホイップを停止した。これにより、ホイップドクリームを得た。
[0044]
 <食感の評価方法>
 食感の官能評価は、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物をホイップして得られたホイップドクリームを、熟練した専門パネラー10名が試食し、評価結果を集約した。その際の評価基準は、以下の通りであった。
   ◎:口溶けが非常に良好。
   ○:口溶け良好。
   △:やや食感が重たく、口溶けが悪い。
   ×:非常に食感が重たく、口溶けが非常に悪い。
[0045]
 <オーバーランの測定方法>
 オーバーランはホイップ性の指標であり、起泡性水中油型乳化油脂組成物をホイップすることにより得られるホイップドクリームに含まれる空気の割合(%)として示され、下記の式で求められる。オーバーランの値によって、以下の基準で評価した。
  オーバーラン(%)=[(s-t)/t]×100
 ここで、sは、一定容積の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量を示す。tは、一定容積のホイップドクリームの重量を示す。
   ◎:120%以上(最良)
   ○:110%以上且つ120%未満(良)
   △:100%以上且つ110%未満(可)
   ×:100%以下(不可)
[0046]
 ホイップ直後のホイップドクリームを直径50mm、深さ20mmの円柱状の容器に入れた後、クリープメーター「RE2-33005S(株式会社山電製)」及び直径16mmの円柱状のプランジャーにて、10mm深度、速度5mm/秒、測定回数1回にて硬さを測定した。その際、以下の基準で評価した。
   ◎:0.3N以上且つ0.35N未満(最良)。
   ○:0.25N以上且つ0.3N未満、或いは0.35N以上且つ0.4N未満(良)。
   △:0.2N以上且つ0.25N未満、或いは0.4N以上且つ0.45N未満(可)。
   ×:0.2N未満、或いは0.45N以上(不可)。
[0047]
 <硬さの経時的な変化の評価>
 ホイップ直後のホイップドクリームを直径50mm、深さ20mmの円柱状の容器に入れた後、クリープメーター「RE2-33005S(株式会社山電製)」及び直径16mmの円柱状のプランジャーにて、10mm深度、速度5mm/秒、測定回数1回にて硬さを測定し、次いでホイップ後20℃(室温)で30分間放置した後のホイップドクリームを同様にして硬さを測定し、その差を算出した。その際、以下の基準で評価した。
   ◎:±0.015N未満(最良)。
   ○:±0.015N以上且つ±0.03N未満(良)。
   △:±0.03N以上且つ±0.05N未満(可)。
   ×:±0.05N以上(不可)。
[0048]
 (製造例1) 油脂(C1)の作製
 エステル交換油脂である油脂(C1)を作製した。即ち、表2に示す配合に従い、パーム油(非ラウリン系油脂)50部及びパーム核オレイン(ラウリン系油脂)50部の原料油脂をランダム反応器に仕込み、90℃、30mmHg(4.0kPa)に達するまで減圧下で攪拌しながら加熱を行い、脱水を行なった。次に、ナトリウムメチラートを0.1部加え、窒素気流中で攪拌しながら、90℃で30分間反応を行なった。得られた反応混合物に、温水(液温:約70℃)100部を加えて洗浄を実施した。洗浄した水のpHが8になるまで、前記と同様の温水洗浄を繰り返し実施した後、減圧下攪拌しながら加熱し、90℃、30mmHg(4.0kPa)に達するまで脱水を行なった。次に、活性白土2部を加え、減圧下攪拌して30分間脱色反応を行なった。得られた反応混合物を全量ろ過し、活性白土の除去を行なった。最後に、ろ液を250℃、2mmHg(0.27kPa)で60分間脱臭し、エステル交換油脂である油脂(C1)を得た。油脂(C1)の上昇融点は、29℃であった。また、油脂(C1)は、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とをそれぞれ1:1(重量比)の割合で含んでいた。
[0049]
[表2]


[0050]
 (製造例2) 油脂(C2)の作製
 表2に示すように、原料油脂として、パーム核オレイン50部及びパーム油50部に代えて、ヤシ油(ラウリン系油脂)100部を使用する以外は、製造例1と同様にして、エステル交換油脂である油脂(C2)を得た。油脂(C2)はラウリン系油脂であり、その上昇融点は27℃であった。
[0051]
 (製造例3) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
 表3に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、油脂30部を60℃に加温後、大豆レシチン(乳化剤)0.2部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=4.5、乳化剤)0.1部を溶解して油相部を調製した。
 一方、60℃の温水64.37部に、キサンタンガム(増粘剤)0.01部、グアーガム(増粘剤)0.05部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=11.6、乳化剤)0.15部、ヘキサメタリン酸ナトリウム(塩類)0.07部及びショ糖脂肪酸エステル(HLB=11、乳化剤)0.05部を溶解し、更に脱脂粉乳(乳原料)4.0部及びホエイパウダー(乳原料)1.0部を溶解して水相部を調製した。
 上記で得られた油相部と水相部とを混合し、60℃で20分間攪拌して予備乳化液とした。この予備乳化液を、直接蒸気注入式滅菌機にて142℃で4秒間滅菌処理を行なった後、6.0MPaで均質化処理し、プレート式の冷却装置にて最終温度5℃まで冷却した。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を容器に充填した。
[0052]
 得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.1であった。
[0053]
 (実施例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物1の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は、製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物1(以下「本発明組成物1」とする)を得た。5℃で4日間保持した後の本発明組成物1における油脂の結晶化率は74.3%であり、良好な値であった。同様に、得られた本発明組成物1を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから更に15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は1.0%であった。その結果を表3にまとめた。なお、表3において、各油脂の含有量(重量%)は、小数点2位を四捨五入した小数点1位までの数値として示している。
[0054]
 次に、本発明組成物1を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を、前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0055]
[表3]



[0056]
[表4]



[0057]
 (実施例2) 起泡性水中油型乳化油脂組成物2の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は、製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物2(以下「本発明組成物2」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の本発明組成物2における油脂の結晶化率は、73%と良好な値であった。同様に、本発明組成物2を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は0.3%であった。その結果を表3にまとめた。
[0058]
 次に、本発明組成物2を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を、前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0059]
 (実施例3) 起泡性水中油型乳化油脂組成物3の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物3(以下「本発明組成物3」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の本発明組成物3における油脂の結晶化率は、69%と良好な値であった。同様に、本発明組成物3を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は0.4%であった。その結果を表3にまとめた。
[0060]
 次に、本発明組成物3を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を、前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0061]
 (実施例4) 起泡性水中油型乳化油脂組成物4の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物4(以下「本発明組成物4」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の本発明組成物4における油脂の結晶化率は、73.7%と良好な値であった。同様に、本発明組成物4を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は1.3%であった。その結果を表3にまとめた。
[0062]
 次に、本発明組成物4を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を、前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0063]
 (比較例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物5の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は、製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物5(以下「比較組成物5」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物5における油脂の結晶化率は、80.7%と良好な値であった。同様に、比較組成物5を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は7.7%であった。その結果を表3にまとめた。
[0064]
 次に、比較組成物5を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0065]
 (比較例2) 起泡性水中油型乳化油脂組成物6の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は、製造例3と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物6(以下「比較組成物6」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物6における油脂の結晶化率は37.3%であり、油脂は十分に結晶化していなかった。
[0066]
 同様に、比較組成物6を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は-1.7%であった。単に5℃で1時間保持するよりも、5℃で1時間保持の後15℃で30分保持する方が結晶化率が高くなり、異常な結果であった。このことから、良好な結晶化がなされていないことが示された。その結果を表3にまとめた。
[0067]
 次に、比較組成物6を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0068]
 (比較例3) 起泡性水中油型乳化油脂組成物7の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更し、水分量を調整した以外は製造例3と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物7(以下「比較組成物7」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物7における油脂の結晶化率は、71.4%と良好な値であった。同様に、比較組成物7を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は0.4%であった。その結果を表3にまとめた。
[0069]
 次に、比較組成物7を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0070]
 (比較例4) 起泡性水中油型乳化油脂組成物8の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更し、水分量を調整した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物8(以下「比較組成物8」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物8における油脂の結晶化率は、76.7%と良好な値であった。同様に、得られた比較組成物8を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は0%であった。その結果を表3にまとめた。
[0071]
 次に、比較組成物8を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0072]
 (比較例5) 起泡性水中油型乳化油脂組成物9の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物9(以下「比較組成物9」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物9における油脂の結晶化率は、85.7%と良好な値であった。同様に、比較組成物9を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は1.0%であった。その結果を表3にまとめた。
[0073]
 次に、比較組成物9を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0074]
 (比較例6) 起泡性水中油型乳化油脂組成物10の作製と評価
 表3に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物10(以下「比較組成物10」とする)を得た。5℃(設定値)で4日間保持した後の比較組成物10における油脂の結晶化率は、69.0%と良好な値であった。同様に、比較組成物10を5℃(設定値)で1時間保持した後の油脂の結晶化率及び5℃(設定値)で1時間保持してから15℃(設定値)で30分間保持した後の油脂の結晶化率をそれぞれ求めたところ、その差は4.0%であった。その結果を表3にまとめた。
[0075]
 次に、比較組成物10を5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後、前記方法でホイップした。得られたホイップドクリームの食感、オーバーラン、硬さ及び硬さの経時的な変化を前記方法により評価した。その結果を表4にまとめた。
[0076]
 以上の結果より、実施例1~4の本発明組成物1~4は何れも口溶けが良く、保管時に液温が変化しても、ホイップ性が通常レベル以上であり、且つその変化が少なかった。即ち、ホイップ性については、5℃(設定値)で4日間保持し、更に12.5℃(設定値)で3時間保持した後でも、オーバーランが110%以上であり、その変化も8%以下であった。また、実施例1~4の本発明組成物1~4から得られるホイップドクリームは、硬さが全て良好であり、硬さの経時的な変化も少なく、即ち作業性及び造花性などホイップ物性が非常に良好であった。
[0077]
 一方、比較例1~6(比較組成物5~10)においては、保管時の原液温度の変化に関わらず、比較例2及び4以外の比較組成物5、7、9および10から得られたホイップドクリームは、口溶けが悪かった。比較例2、4の比較組成物6および8から得られたホイップドクリームは、口溶けは良かったものの、充分なオーバーランが得られず且つホイップ直後の硬さが柔らかすぎ、トッピングなどの作業性及び造花性などのホイップ物性が良くなかった。
[0078]
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、前記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。

産業上の利用可能性

[0079]
 本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、油脂含有量が比較的少ないにもかかわらず、優れたホイップ性を有し、温度変化に伴うホイップ性の変化幅が非常に小さい。しかも、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物から得られるホイップドクリームは、口溶けが良く、室温での作業時に硬くならず且つ作業性及び造花性などホイップ物性が良好で、しかもこれらの特性がチルド流通下でも失われない。したがって、本発明のホイップドクリームは、チルド流通下で、製菓やデザードなどに好適に使用できる。

請求の範囲

[請求項1]
 油脂を含有するチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物において、
 前記油脂の含有量が前記組成物全量の20重量%~40重量%であり、
 前記油脂は、油脂(A)と油脂(B)とを含み、油脂(A)は、構成脂肪酸の総炭素原子数が36であるトリグリセライドと構成脂肪酸の総炭素原子数が38であるトリグリセライドとを合計で油脂(A)全量の40重量%以上含み、且つ、上昇融点が30℃以上であり、油脂(B)は、パーム核油の硬化油及び/又はヤシ油の硬化油であり、
 油脂(A)の含有量が前記油脂全量の1重量%~30重量%であり、油脂(B)の含有量が前記油脂全量の5重量%~30重量%であり、さらに油脂(A)と油脂(B)との合計含有量が前記油脂全量の15重量%~50重量%であり、
 前記組成物を5℃で4日間保持した時の前記油脂の結晶化率が50%以上であり、且つ前記組成物を5℃で1時間保持した時の前記油脂の結晶化率と、前記組成物を5℃で1時間保持してから更に15℃で30分間保持した時の前記油脂の結晶化率との差が2%以下であるチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
[請求項2]
 前記油脂がラウリン系油脂を含み、ラウリン系油脂の含有量が前記油脂全量の60重量%以上である請求項1に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
[請求項3]
 前記油脂が、更に、上昇融点が30℃未満である、前記油脂(B)以外の油脂を含む請求項1又は2に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
[請求項4]
 前記油脂(A)がパーム核ステアリンである請求項1~3のいずれか1項に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物を含んでなるホイップドクリーム。