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1. (WO2012008006) ポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 ポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

発明の効果

0024  

図面の簡単な説明

0025  

発明を実施するための形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097  

実施例

0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141  

産業上の利用可能性

0142  

符号の説明

0143  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法に関し、詳しくは、色調が良好なポリフェニレンエーテル系樹脂系成形物を高い生産効率で製造するポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、電気的特性、耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックであるが、一方で、流動性が悪く成形が困難であるという欠点を有している。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合装置から取り出される製品は、通常パウダー状であり、これは成形加工性の点で不利である。このためポリフェニレンエーテルの成型加工性、流動性、耐衝撃性の改良を目的として、ポリスチレン系樹脂を配合した材料が開発され(特許文献1参照)、エンジニアリングプラスチックの一つとして多くの分野に使用されている。
[0003]
 一方、成形加工用としての原料の形態としては、ペレットと呼ばれる小粒の樹脂塊として供される。ポリスチレン系樹脂をポリフェニレンエーテル系樹脂に配合してペレットにするには、ガラス転移温度が高く、溶融しにくいポリフェニレンエーテル系樹脂に、ポリスチレン系樹脂と必要により添加剤を加えたものを押出機に供給し、押出機内で溶融混練し、押出機先端ダイス部からストランド(strand)状の溶融樹脂として押出し、速やかに水槽等で冷却後、ペレタイザーによりストランドをカッティングして、ペレットとされる。
[0004]
 しかし、ポリフェニレンエーテル系樹脂粉末にポリスチレン系樹脂を配合して押出機に供給し押出し成形する際には、粉末状の樹脂に同伴して空気が入り込みやすく、このような空気含有粉末は押出し機のスクリュー送り面で滑り易いためスクリューでの送りが不安定になったり、押出し機中での滞留時間が長くなり、ポリフェニレンエーテル系樹脂を酸化劣化させやすい。
 酸化劣化を防止するには、通常、酸化防止剤を原料に添加する方法(特許文献2参照)があるが、これだけでは効果は十分ではなく、また、窒素ガス等の不活性ガスを押出機に供給する方法(特許文献3参照)も行われているが、単に不活性ガスを供給するだけでは効果は不十分である。
 特に、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ガラス転移温度が高い(Tg:210℃程度)ので成形温度を高くせざるを得ず、熱変性による変色を起こしやすく、ポリスチレン系樹脂を配合した場合においても、この変色問題は大きな問題である。
[0005]
 さらに、ポリフェニレンエーテル系樹脂として、重合装置から取り出されたままのパウダー品を使用する場合には、パウダー品は粉状で見かけ密度が低く、押出機に供給した際には、空気が入り込み、押出し機のフィーダー部(供給部)での食い込みが悪くなってフィードネック(feed neck)が発生しやすい。また、押出機内のニーディングディスク(kneading disk)部等の混練部において樹脂が溶融される際に、該空気が逆流し、樹脂の搬送が妨害されて押出し量を低下させ、生産性が一気に低下してしまうという問題がある。
[0006]
 こうした状況下、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂から、色調低下を引き起こすことなく、効率よく組成物ペレットを製造する方法の開発が強く望まれていた。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 米国特許第3383435号公報
特許文献2 : 日本特許公開2003-246865号公報
特許文献3 : 日本特許公開H06(1995)-206216号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、色調が良好なポリフェニレンエーテル系樹脂系成形物を高い生産効率で製造することが可能なポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者らは、上記課題を達成すべく、溶融混練時の現象を詳細に解析し、鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂として、特定のトルエン濃度のパウダー状物をガラス転移温度以下の温度で圧縮して固化し、この固化物を必要に応じ粉砕して得られる特定の粒径と特定の見かけ密度と特定のトルエン濃度の樹脂粒子を用い、ポリスチレン系樹脂として特定の平均粒径と見かけ密度を有する樹脂粒子を使用し、これらを押出機に供給して、加熱、溶融、混練して押し出すことにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0010]
 本明細書において「粒子」とは、グラニュール、ペレット等と呼ばれる、その物質の密度に近い小径の粒を意味する。また、粉状の微細な粒子を意味している場合もある。
 また、「粒状物」とは、形状的には粒であるが、粉体を圧縮して固めたものであり、ペレット等よりも粒内の空隙率の大きい粒を意味している。
 更に、本明細書において「成形物」とはスクリュー式押出機等から押し出され、冷却固化されて得られる所謂、成形品、成形体を意味し、その形状、大きさは問わない。具体的にはストランド、ペレットに代表され、フイルム、シート、筒状体等用途に応じ各種の形態のものを意味する。
[0011]
 すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂を溶融状態で混練した後、押出し成形してポリフェニレンエーテル系樹脂成形物を得るにあたり、
1)ポリフェニレンエーテル系樹脂として、
 ポリフェニレンエーテル系樹脂中のトルエン濃度が0.01~0.5質量%である粉状体をガラス転移温度Tg以下の温度で圧縮することにより固化し、該固化物を必要に応じ粉砕して得られた平均粒径0.1~10mm、見かけ密度0.35~0.7g/cm 、トルエン濃度が0.01~0.5質量%である粒状物を用い、
2)ポリスチレン系樹脂として、平均粒径1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm の粒子を用い、
 これらを押出機に供給して加熱、溶融、混練して押し出すことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0012]
 また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂の前記粒状物が、40g~4kgの圧縮強さを有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0013]
 また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂の前記粒状物が、銅元素として0.05~10ppmを含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0014]
 また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、銅元素がポリフェニレンエーテル系樹脂の重合触媒に由来するものであることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0015]
 また、本発明の第5の発明によれば、第1~4のいずれかの発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物とポリスチレン系樹脂を押出機中で溶融混練することにより、分子量50万以上の重合体を0.015~0.6質量%生成させることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0016]
 また、本発明の第6の発明によれば、第1~5のいずれかの発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物は、
 その粒状物の径が1000μm以上の粒状物の含有量が、50%以上であり、
 粒状物の径が10~100μmの粒子の含有量が、3~40%であり、
 粒状物の径が10μm以下の粒子の含有量が2%以内である
ことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0017]
 また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、粒子径が10~100μmの粒子を3~40%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物に、平均粒子径が10~100μmの粉末状添加剤を添加することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0018]
 また、本発明の第8の発明によれば、第1~7のいずれかの発明において、ポリスチレン系樹脂粒子がペレットであることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0019]
 また、本発明の第9の発明によれば、第1~8のいずれかの発明において、ポリスチレン系樹脂粒子を、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物100質量部に対して、5~150質量部使用することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0020]
 また、本発明の第10の発明によれば、第1~9のいずれかの発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂が、フェニレンエーテルユニット100個に対する末端水酸基数が0.15~1.5個のものであることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0021]
 また、本発明の第11の発明によれば、第1~10のいずれかの発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を押出し機からストランド状に押し出し、冷却媒体中を走行させて冷却し、ストランドカッターにより切断して成形物であるペレットを得るにあたり、
 ガイドローラーを冷却媒体中に設置し、
 該ストランドをガイドローラーに接するようにして引き取るとともに、
 引き取り速度をVs(cm/秒)、ストランドが接するガイドローラー外周面の移動速度をVr(cm/秒)とした場合に、
 0.7≧Vr/Vs≧-0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びにガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0022]
 また、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、冷却によりストランドの温度を80℃~160℃に調整し、この温度範囲でカッティングすることを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法が提供される。
[0023]
 さらに、本発明の第13の発明によれば、第1~12のいずれかの発明の方法で製造したポリフェニレンエーテル系樹脂成形物であって、分子量500,000以上の超高分子量重合体を0.015~0.6%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂成形物が提供される。

発明の効果

[0024]
 本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法によれば、得られるペレットの色調が良好で、原料の押出機へのフィード性が良好で、押し出し成形時にフィードネックが発生せず、分級(原料の偏析)がなく、さらに、押し出し成形時のメヤニ(押し出しダイリップdie lipに発生する樹脂付着物[gum-like material
 during forming])がペレットに付き難く、ポリフェニレンエーテル系樹脂成形物を、高い押出し量で、高い生産効率で製造することが可能である。

図面の簡単な説明

[0025]
[図1] 図1は、本発明で使用するストランド押出し工程からストランドカッターに至る工程の全体説明図である。
[図2] 図2はストランド搬送工程で使用するガイドローラーの一実施態様を示す部分側面図である。

発明を実施するための形態

[0026]
 以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[0027]
 本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂を溶融混練した後、押出し成形してポリフェニレンエーテル系樹脂成形物を製造する方法であって、
 ポリフェニレンエーテル系樹脂粉状体をTg以下の温度で圧縮することにより固化した平均粒径0.1~10mm、見かけ密度0.35~0.7g/cm 、トルエン濃度が0.01~0.5質量%である粒状物を用い、
 ポリスチレン系樹脂として、平均粒径1~5mm、見かけ密度(bulk density)0.5~0.7g/cm の粒子を用いることを特徴とする。
 本明細書において、「成形物」を「ペレット」または「組成物ペレット」と表記する場合があるが、これは、本発明は主にポリフェニレンエーテル系樹脂の成形用原料ペレットを製造する際に用いられるためであり、「成形物」を代表的なもので表現したものと解されたい。
[0028]
 以下、本発明を具体的に説明する。
(1)ポリフェニレンエーテル系樹脂
本発明で使用するポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体の何れであってもよい。
[0029]
[化1]


[0030]
(式中、R は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を表わす。R は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、アルコキシ基、又はハロアルコキシ基を表す。ただし、2つのR が共に水素原子であることはない。)
[0031]
 一般式(1)において、R がハロゲン原子の場合、塩素原子または臭素原子が好ましい。前記一般式(1)において、R が第一級アルキル基である場合の好適な例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、2,3-ジメチルブチル基、2-、3-若しくは4-メチルペンチル基、またはヘプチル基などの、炭素数1~10のアルキル基である。R が第二級アルキル基である場合の好適な例は、イソプロピル基、sec-ブチル基または1-エチルプロピル基などの、炭素数4~10のアルキル基である。R がアリール基である場合の好適な例は、フェニル基であり、アミノアルキル基である場合の好適な例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基などの、炭素数1~5のアルキル鎖を有するアルキルアミノ基である。R がハロアルキル基である場合の好適な例としては、アルキル基の好適な例として上述した各基の、1以上の水素原子がハロゲン原子に置換されてなる基が挙げられる。アルコキシ基である場合の好適な例としては、アルキル基の好適な例として上述した各基に対応するアルコキシ基が挙げられ、ハロアルコキシ基の例としては、該アルコキシ基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。R としては、水素原子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基が好ましい。
[0032]
 一般式(1)において、R が第一級および第二級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基である場合の好適な例としては、R におけるのと同様の基が挙げられる。
 本発明において、R およびR としては、水素原子、第一級若しくは二級アルキル基、アリール基が好ましく、R はアルキル基またはフェニル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基が特に好ましく、R は水素原子がより好ましい。
 尚、本発明における、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、本発明の性能を損なわない範囲で、分子量を調節したり、溶融粘度や耐衝撃強度等の各種特性を改良するために、一般式(1)で表される構造以外の繰り返し単位を含んでもよい。
[0033]
 好適なポリフェニレンエーテル樹脂としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-エチル-6-メチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレンエーテル)等の2,6-ジアルキルフェニレンエーテルの単独重合体が挙げられる。
[0034]
 また、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリエチルフェノール共重合体、2,6-ジエチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体、2,6-ジプロピルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体等の2,6-ジアルキルフェノール/2,3,6-トリアルキルフェノール共重合体も好ましい。さらには、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等も好ましい。
[0035]
 これらのポリフェニレンエーテル樹脂の中でも特に好ましいのは、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)及び2,6-ジメチルフェノール/2,3,6-トリメチルフェノールランダム共重合体である。
[0036]
 ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量は、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.2~0.8dl/gのものが好ましく、0.3~0.6dl/gのものがより好ましい。極限粘度が0.2dl/g未満のものを用いたのでは、得られる樹脂組成物を用いて成形品を製造した場合の機械的強度が低下する傾向にある。逆に0.8dl/gより大きいものを用いると、樹脂組成物の流動性が悪化し、成形加工が困難になる傾向にある。ポリフェニレンエーテル樹脂は2種以上を併用してもよく、その際には極限粘度の異なるものを混合して所望の極限粘度となるようにしてもよい。
[0037]
 本発明で使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂は、末端水酸基の数が、フェニレンエーテルユニット100個に対し0.15~1.5個の範囲であるポリフェニレンエーテルが好ましい。末端水酸基量がフェニレンエーテルユニット100個に対して、0.15個未満であると、スチレン系樹脂との相溶性が低下し、成形品とした場合に外観不良が発生することがあり、高温雰囲気下で色調が悪化する場合もある。また1.5個を超えると熱安定性が低下しやすい。より好ましい末端水酸基の数は、フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.2~1.3個である。
[0038]
 末端水酸基を有するユニットとしては、具体的には、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル基、3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル基、3,5-ジプロピル-4-ヒドロキシフェニル基、3-メチル-5-エチル-4-ヒドロキシフェニル基、3-メチル-5-プロピル-4-ヒドロキシフェニル基、2,3,5-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。末端水酸基の数が0.15個未満のポリフェニレンエーテルでは、スチレン系樹脂との相溶性が低下するので、成形品の外観不良や層状剥離が発生することがあり、さらには破断伸びや面衝撃強度が低下しやすい。また、高温雰囲気での熱安定性も低下するので、色調が悪化しやすい。
[0039]
 末端水酸基の数が0.15個以上であるポリフェニレンエーテル系樹脂を得る方法は、特公昭61-20576号公報にも記載されおり、例えば、2,6-ジメチルキシレノールを、第一銅塩とアミンの化合物を触媒として、トルエン等の溶媒中で酸素存在下に酸化重合反応させ、得られたポリフェニレンエーテル溶液に、銅とキレート化合物を形成する化合物を添加する等の方法で、触媒を失活させた後、酸素の混入を避けた雰囲気下で該ポリフェニレンエーテル溶液を攪拌する等により得ることができる。
 また、末端水酸基の量の調製法は公知であり、フェノール性化合物を重合する条件と重合停止後のキノン反応の条件によって変化することが知られており、一般に重合して得られたポリフェニレンエーテルにキノン化合物を添加してキノン反応して水酸基濃度を高くすることができる。
[0040]
(2)ポリスチレン系樹脂
 ポリフェニレンエーテル樹脂と併用するポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。
 本発明で使用するポリスチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物から誘導される繰り返し単位を50質量%以上含む重合体または共重合体、またはこれらの重合体がゴム変性されたものを意味する。
[0041]
 芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのα-アルキル置換スチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、ビニルトルエン、o-またはp-ジクロロスチレンなどの核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。
 芳香族ビニル化合物以外のモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルおよびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の各種のビニル化合物が挙げられる。
[0042]
 ポリスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、メチルメタクリレート-スチレン樹脂(MS樹脂)などが挙げられる。これら(B)スチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、上限は、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
[0043]
 本発明で使用するスチレン系樹脂は、上述した各種重合体を、さらにゴムで変性したものであってもよく、ゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン共重合体などが挙げられる。具体的には、ゴム変性ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン樹脂(MBS樹脂)、前記ABS樹脂のブタジエンを、エチレン-プロピレン共重合体で置換した樹脂(AES樹脂)などが挙げられる。
[0044]
 スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS樹脂)が、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の点で好ましい。特に、耐衝撃性が必要な場合は、ゴム変性ポリスチレンがより好ましい。
 本明細書中、スチレン系樹脂を「PS」と略記する場合がある。
[0045]
(3)ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物及びポリスチレン系樹脂粒子
 本発明のペレットの製造方法においては、ポリフェニレンエーテル系樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂中のトルエン濃度が0.01~0.5質量%である粉状体をTg以下の温度で圧縮することにより固化し、固化物を必要に応じ粉砕して得られた平均粒径(体積平均粒子径)0.1~10mm、見かけ密度0.35~0.7g/cm 、トルエン濃度が0.01~0.5質量%の粒状物を使用する。
 一方、ポリスチレン系樹脂としては、平均粒径(体積平均粒子径)1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm の粒子を使用する。この粒子は通常の方法によりペレット化したもの、すなわち、ポリスチレンを押出機により溶融混練し、ストランド状に押し出し、ペレタイザーにより長さ数mm程度にカットして得たものである。ポリスチレン系樹脂粒子としては、平均粒径1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm の物が、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物とのバランスの点から、好適に用いられる。
[0046]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形物(ペレット)を押出し成形により製造する場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、PPEということがある。)のトルエン濃度が高すぎるとフィードネックが発生したり、得られるペレットは色調が悪化してしまう。また、PPE原料の供給は、押出機の樹脂供給部にあるスクリューフィーダー(screw feeder)にPPEのパウダーを供給することで行われるが、PPEの粉体(powder)はあたかも小麦粉等のような外見、挙動を示し、ペレット化を行う際に、押出し機のスクリューに食い込み難いものである。一方で、PPE原料の硬いペレット状のものは、フィーダーのスクリュー間あるいは押出機シリンダー内壁との間に挟み込まれたまま残りやすく、時にフィーダーを停止せざるを得ない事態まで引き起こしてしまう。この現象はスクリューフィーダーが一軸である場合も二軸である場合でも同様である。
 本発明においては、PPE原料のトルエン濃度を0.01~0.5質量%の範囲に調整することにより、PPEの粉間の結合(融着)を増強し、固化不良(固化せずに粉のまま通過するもの)が少なくて済む。
[0047]
 トルエン濃度の調整は、粉状体のPPEにトルエンを添加し、トルエン濃度が0.01~0.5質量%になるようにすればよく、具体的には、ミキサーにPPE粉状体と所要量のトルエンを加え、混合することにより可能である。また、PPEは、通常、トルエン溶媒中での重合反応により製造され、洗浄工程を経てトルエン等の溶媒や低分子量物を除去したのち、パウダーとして重合装置から取り出され、トルエンが殆どない状態で出荷され商品となるが、洗浄工程における洗浄の程度を調節することにより、本発明に規定する範囲のトルエン濃度に収まるように、トルエンの量を調整したものを使用することも可能である。
[0048]
 さらに、本発明においては、上記トルエン濃度を有するPPE粉状体を、PPEのTg以下の温度で圧縮することにより固化し、得られた固化物を、必要に応じ、粉砕して平均粒径0.1~10mm、見かけ密度0.35~0.7g/cm 、トルエン濃度を0.01~0.5質量%の範囲に調整した粒状物を使用する。
[0049]
 PPE粉状体の圧縮は、PPEがTg以上の温度にならないよう、Tg以下の温度で行う。その好ましい温度としては、0℃~Tg未満、より好ましくは0~200℃程度で、圧縮時にPPEがTg以上になることなく、加圧が可能であればよい。圧縮の方法はいかなる方法でも採用できる。通常のプレスによっても可能であるが、簡便な方法としては、対向して設けられた一対の加圧ロールの間にPPE粉状体を通過させるロールプレス方法が挙げられる。加圧ロールは表面が平滑なロールでもよく、またロール表面にエンボス加工したものや穴、窪み等を有するものであってもよい。
 表面が平滑なロールやエンボスロールを用いた場合はPPE粉状体が板状、シート状となるが、これを粉砕して所望の粒径に調製すればよい。また、穴や窪みを設けたローラーを使用する場合には穴や窪みの大きさを所望の大きさに調整すれば直接所望の粒径の粒状物を得ることも可能である。
[0050]
 ロールの間隙は1~3mm程度、ロール回転数は2~20rpm程度が好ましく、加圧ロールの支持圧力は、0.5~20MPa程度が好ましく、より好ましくは2~15MPaである。圧縮の強さにより、得られる粒状物の硬度が変動することが確認された。
 また、この際PPE粉体中のトルエン濃度によっても得られる粒状物の硬度が変化するが、トルエン濃度0.01~0.5質量%の範囲内であればPPE粉体の挙動が安定し、硬度むらの無い粒状物が得られる。
 また、トルエン濃度が0.01~0.5質量%の範囲内にあるPPE粒状物を押出し成形に供することで、押出し成形後のポリフェニレン樹脂成形物の色調は良好となる。この理由は定かではないが、押出機内部でトルエンが揮発する際に、熱劣化し易い成分を共沸して系外に除去している可能性、または気相にトルエンがあることにより、気相中の酸素濃度が低下し、樹脂の酸化劣化を抑制している可能性などが考えられる。トルエン濃度が0.5質量%を超えると色調は悪化する。フィードネックが発生し易くなり、樹脂の押出機への供給が不安定になることが原因と思われる。
[0051]
 固化物の形状としては、用いるローラーの表面形状・構造、粉砕の有無等、ローラー以外の装置の使用等によって種々の形状の固化物となる。例えば平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、球状、円筒状、フレーク状、チップ状、不定形状等、もしくは、顆粒状、チップ状、ペレット状、これらの混合物等、その形態は問わない。また、これらのものが混在したものであってもよく、また粉体等が含まれていてもよい。
[0052]
 本発明では、Tg以下で圧縮・固化して得たPPEの粒状物として、平均粒径が0.1~10mm、見かけ密度が0.35~0.7g/cm のものを使用する。
 上記した圧縮により得られた固化物の平均粒径や見かけ密度が、上記範囲より大きい場合には粉砕(crush)して、粒度や見かけ密度を調整する。
 粒状物の形状としては、球状、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、円筒状、チップ状、不定形状等、円筒状、もしくは、顆粒状、チップ状、ペレット状、これらの混合物等、その形状、形態は問わない。
[0053]
 粒状物の平均粒径が、0.1mm未満では、押出し成形時に供給部(feeding
 zone)での食い込みが悪く、空気の巻き込みを起こして、フィードネックを発生しやすく、10mmを超えると、混合するポリスチレン系樹脂粒子との径が違いすぎ、押出機に供給する際に分級してしまい均一な混合が難しくなるし、取り扱い上も不都合が多い。PPE粒状物の好ましい平均粒子径は0.1~10mmである。
 また、粒状物の見かけ密度は、0.35~0.7g/cm であることが必要である。0.35/cm 未満では、粒状物中に空気が多く含まれる、すなわち柔らかすぎるため押出機に掛けた際、簡単に崩壊してしまい、PPEの粉体を用いた場合と差がなくなってしまう。0.7g/cm を超えると、硬くなりすぎて、押出機中で溶融する時期が、並存するポリスチレン系樹脂粒子の溶融する時期より遅くなりすぎ、分散不良やポリスチレン系樹脂のみが溶融してスクリュー表面で滑りを起こし押出不良を起こす原因となる。好ましい見かけ密度は、0.37~0.68g/cm 、より好ましくは0.39~0.66g/cm である。PPEの通常の密度は、1.1g/cm 程度であるから、本発明においては、嵩高くする、すなわち、粒子内ある程度空隙を形成している、ことを意味する。
[0054]
 また、PPE粒状物は、圧縮強さが40g~4kgであることが好ましい。圧縮強さが40g未満では、粒状物をフィーダーから押出機にスクリューフィードする際に、砕けて微粉が発生しフィードネックを発生しやすく、圧縮強さが4kgを超えると、粒状物フィーダーから押出機にスクリューフィードする際にスクリュー間や内壁との間で粒状物が挟まりスクリュー停止する事態が発生しやすい。好ましい圧縮強さは、500g~3kg、より好ましくは1kg~3kgである。
[0055]
 PPE粒状物の圧縮強度をこの範囲とすることにより、並存するポリスチレン系樹脂粒子との溶融のタイミング・バランスが良くなると考えられる。
 すなわち、Tgの高いPPE(Tg:210℃)を、ある程度崩壊し易い圧縮固化物とし、PPEより融点の低いポリスチレン系樹脂(Tg:100℃)を粒子(溶融成形する等して空隙の少ない粒子(ペレット)としたもの)を用いることにより、両者を混合して押出機に供給した場合に、PPE粒状物が崩壊されてスクリューで送られて行く中に、ポリスチレン系樹脂粒子(ペレット)がその外表面から溶融されてPPEに混ざり込むこととなる。
 このような混合状態とすることにより、溶融温度(押出機中での溶融時点)差のあるPPEとPSが良好な相溶状態となるものと考えられる。
 従って、ポリスチレン系樹脂を粒子(ペレット)とし、PPEを比較的粉砕されやすい粉体圧縮固化粒状物とすることに意味がある。
[0056]
 さらに、この両樹脂を押出機中で溶融混練する際に、PPE中に重合触媒を銅元素として0.05~10ppm存在させることが好ましい。この重合触媒は、PPEの重合を行った触媒を有る程度残存させることによって存在させることが可能であるが、重合触媒をPPEに後添加するようにしてもよい。
 PPEの酸化重合用の触媒としては、銅、マンガン、コバルト等の金属化合物系のものが知られているが、実際に工業的に用いられている触媒は主として、塩化銅とアルキルアミン系化合物等のアミン系化合物、ピリジン等の塩基を含む塩基性銅塩触媒であり、所謂、銅アミン錯体触媒、塩化銅/ピリジン触媒等と呼ばれる触媒である。
[0057]
 通常は、重合終了後、重合触媒を洗浄により取り除いたり、失活処理してその活性を失わせることが、樹脂の変色、劣化を防止する上で重要である。
 このため、通常は重合触媒を活性状体で存在させることはなるべく避けたいが、本方法においては、重合触媒を活性なまま存在させることに意味がある。すなわち、重合触媒を存在させ、PPEとPSを溶融状態で混練することにより、分子量の高い(超高分子量)の重合体を良好に生成させるものである。
 超高分子量重合体は、分子量にして10~1,000万程度のものである。通常は20~500万程度のものである。
[0058]
 従来技術的には、この超高分子量の重合体はPPEに外部添加することが行われている。例えば、日本特許公開2009-255585等に開示されているが、押出成形加工時の生産性向上、成形品表面の平滑性がよく外観が良いことから、PPEに超高分子量のポリエチレン、超高分子量のポリ4フッ化エチレン等が添加混合して用いられている。
 しかしながら、このような超高分子量のポリエチレン等は外部添加すると塊状となりやすく、所謂フィッシュアイと呼ばれる欠陥や、ブツ等と呼ばれる表面欠陥となりやすいことも事実で、その効果が良し悪しであった。
[0059]
 本発明は、このようなPPEへの超高分子量重合体の添加を外部添加ではなく、PPEとPSの混練時に良好に生成させることにより、ブツやフィッシュアイになり難い、良好に分散(広がった状体)した超高分子量重合体(樹脂)を存在させることが出来ることを見出した。
[0060]
 PPE中に重合触媒を存在させる理由は、超高分子量の重合体の生成を助けるためである。PPE中の重合触媒の存在量は、触媒の種類にもよるが銅元素(金属成分)として0.05~10ppmである。
 重合触媒は前述もしたが、PPEの重合触媒の一部を活性なまま残存させても良いし、後で添加しても良い。
[0061]
 重合触媒は前述もしたが、塩化銅/塩基触媒が一般的であり、従って銅元素の量は、重合触媒の存在量、あるいは重合触媒に由来する成分の量としての意味を有する。重合触媒の存在量として捉える場合、銅元素の量は触媒成分中の銅部分のみの量を示している。
[0062]
 銅元素の量は、超高分子量重合体を生成させる量にもよるが、通常は銅元素として0.05~1ppm程度残留させる(添加する)ことで十分である。しかし、場合によっては銅元素として1から10ppmという比較的多量を残留させる(添加する)ことで、超高分子量重合体の生成が安定し、使用上好適な場合がある。樹脂の用途、目的製品等によって適宜選択すればよい。
[0063]
 銅元素の量の調製は、PPEの重合時の触媒を残存させるには触媒除去の水洗の程度を調整したり、触媒を失活させる失活剤の量を調節する等の方法を適用することにより行いうるが、触媒の過剰な残存は変色等の原因となるので、十分な注意が必要である。
 簡便には、触媒を除去したPPEに所定量の銅化合物(重合触媒)を添加してやれば良い。
[0064]
 重合触媒を銅元素として0.05~10ppm存在させ、PPEとPSを押出機中で溶融状態で混練することにより、分子量10万以上の超高分子量重合体が生成する。
 通常は分子量にして10万以上から1000万程度又はそれ以上の物を超高分子量重合体と云うが、当業者の目安として分子量50万以上の超高分子量重合体の量を用いることが多いので、本発明においても50万以上のものの量で示すこととする。
 超高分子量重合体の生成量(目安である50万以上のもの)は重合触媒の量、混練条件等によりある程度変わるが、通常PPEとPSの合計量に対し、0.015~0.6質量%程度生成させれば良い。
 銅元素の好ましい範囲は0.1~9ppm、より好ましくは0.2~8ppmである。
[0065]
 本発明者は、超高分子量重合体の生成が、主にはPPEが重合(架橋)して超高分子量重合体となることに起因するものと考えているが、PPEのアミノアルキル置換末端基等を介してのPPE分子間の相互縮合の結果として分子量が増大するということも考えられる。原因の究明は十分ではないが、超高分子量重合体が生成する。
[0066]
 このように内部生成した超高分子量重合体は云うまでも無く分散性は良好であり、ブツ、ダマと呼ばれる表面欠陥の原因となることは少ない。また、重合を押出し機中で進行させるのでスクリューへの絡み性が向上し押出し効率が向上するという効果も生ずる。
[0067]
 また、PPEの末端OH濃度がポリフェニレンエーテルユニット100個に対して0.15~1.5個のPPEを用いることにより超高分子量重合体の良好な生成が行われるとも考えられる。
[0068]
 分子量50万以上の超高分子量重合体の生成量は以下のようにして求めた。
 ペレット20mgを20mlのクロロホルムに溶解した後、目開き0.45μmのフィルターでろ過し、塊状樹脂、固形混入物等のGPCにかからない大きなものを除去する。このフィルターを通過した溶液を以下のようにGPCにて測定し、500,000以上の超高分子量重合体の量を求め、元のペレットの質量に対する割合を求めた。
[0069]
ゲル浸透クロマトグラフ法(Gel Permeation Chromatography GPC)
 使用装置:東ソー(TOSOH Corporation)社製HPLC8020
 カラム:TSK G5000HHR+G3000HHR
 溶媒:クロロホルム
 検出器:UV283nm
 前処理:資料の20mgを20mlのクロロホルム溶媒に溶解した後、0.45ミクロンのフィルターで濾過して測定した。カラム温度は40℃とした。
 分子量計算:ポリスチレン換算、標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し測定した。
 標準ポリスチレンの分子量は264、 364、 466、 568、 2800、 16700、 186000、 1260000のものを使用した。
[0070]
 ロール支持圧力を上げて、固いPPE粒状物を作り、押出機にいれて溶融混練することにより、PPEがポリスチレンに相溶化するまえにPPE分子同士の架橋が進行し、超高分子量成分が形成されることも考えられる。超高分子量ができる条件ではブツも発生しやすい、好ましい超高分子量の範囲があると考えられる。
[0071]
 さらに、PPE粒状物は、1)粒子径が1000μm以上の粒子の含有量が50%以上であり、2)粒子径が10~100μmの粒子の含有量が3~40%であり、3)粒子径が10μm以下の粒子の含有量が2%以内とされていることが、望ましい。
 このような粒径構成とすることにより粉状添加剤の分散性を向上させることが出来る。すなわち、粉状の添加剤は平均粒径にして10~100μm程度の粒径のものが多く用いられるが、これらの粉状添加剤をPPE粒状物、PS粒子に直接添加すると、その粒径の違いから分級してしまい、押出機のホッパー部分で粒子(粒状体)と粉状体に分かれ、均一な混合が行われず、均質な組成の成形品が得られなくなる。
[0072]
 しかし、PPE粒状物として粒子径が10~100μmの粒子を3~40質量%存在させることにより、この粒径のPPEに粉状添加剤がよく混合し、結果的に組成物全体に均一に分散し易くなる。
 従って、粉状添加剤を本組成物に添加しようとする場合には上述のような粒子径分布を有するPPEを用いることが好ましい。
[0073]
 一方、上記PPE粒状物と混合するポリスチレン系樹脂としては、平均粒径1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm の粒子を使用する。このようなポリスチレン粒子を上記PPE粒状物に配合することにより、両者が均一に分散混合し、成形に際して分級して不均一な組成となるのが防止出来る。
 ポリスチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂に比べ軟化点が低く、耐熱性に劣るが、このような粒径と見かけ密度の粒子を押出機に導入することで、良好で均一な溶融混練が行われ、ポリスチレン系樹脂の劣化、変色が防止されるという効果も奏するものと思われる。ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン樹脂は、全組成で相溶性ではあるが、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン樹脂を均質な混合を行うために、それぞれ上述したものを使用する。ポリスチレン系樹脂粒子が、平均粒径1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm を外れると、フィードネックが発生して供給できない事態が起きやすく、発熱により色調が悪化してしまう。ポリフェニレンエーテル系樹脂粉体への良好な分散性、押出し機中での熱的挙動を考慮し、ポリスチレン系樹脂ペレットの好ましい平均粒径は1~4mmである。
 このようなポリスチレン系樹脂粒子は、ペレット状のものを用いるのが好ましい。
[0074]
 なお、本発明における平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定される体積平均で規定される。本発明では、セイシン企業(Seishin Enterprise Co.Ltd.)製「レーザー回折散乱式粒度分布測定装置Laser Micron Sizer LMS-2000e」を用いて、湿式法(溶媒:イソプロピルアルコール)にて測定を行った。
 また、見かけ密度は、JIS K5101(静置法、但しフィルターは用いない)に規定された嵩密度測定から、質量(g)を見かけの体積(cm )で除する(g/cm 単位)ことにより求められる。
[0075]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物とスチレン系樹脂粒子の配合割合は、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物100質量部に対し、好ましくはスチレン系樹脂粒子5~150質量部である。ポリフェニレンエーテル系樹脂成分が少ないと、成形品の耐熱性や機械的強度が不足し、逆に、多すぎると流動性が低下し、薄肉成形品の成形が困難になる。ポリスチレン系樹脂の配合量が5質量部未満では、樹脂組成物の色調が悪化し、150質量部を越えると耐熱性や耐衝撃性が低下する。より好ましい配合量は10~120質量部、特には15~90質量部である。
[0076]
(4)添加剤
 本発明においては、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂およびスチレン系樹脂に、必要に応じて他の成分を添加できる。
 他の成分としては、例えば、難燃剤、耐侯性改良剤、発泡剤、滑剤、流動性改良剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、充填材、補強材、分散剤等が挙げられる。
[0077]
 添加剤のうち、難燃剤としては、リン系難燃剤、好ましくは、ホスファゼン系化合物、フォスフェート系化合物、縮合リン酸エステルが配合される。
 ホスファゼン化合物としては、例えば、環状フェノキシホスファゼン化合物、鎖状フェノキシホスファゼン化合物および架橋フェノキシホスファゼン化合物が挙げられる。
 ホスフェート系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニル-2-エチルクレジルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
[0078]
 縮合リン酸エステル系難燃剤としては、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル-p-tert-ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が好ましい例として挙げられる。
 また、フェニル・ビスフェノール・ポリホスフェート、クレジル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・ビスフェノール・ポリホスフェート、キシリル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル-p-tert-ブチルフェニル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ビスフェノールポリホスフェート、クレジル・キシリル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・ビスフェノールポリホスフェート等が好ましい例として挙げられる。
[0079]
 リン系難燃剤の具体例としては、例えば、大八化学工業社(Daihachi Chemical Indusrty Co.Ltd)の、「TPP」(トリフェニルホスフェート)、「CR733S」(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、「PX200」(レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート))、ADEKA社(ADEKA Corporation)の「アデカスタブFP700」(ADK STAB FP700)(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))といった市販品が好ましく利用できる。
[0080]
 また、充填材や補強材としては、有機又は無機の充填材、有機又は無機の補強材等が例示され、具体的には、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。充填材及び補強材の配合は、剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効である。充填材及び補強材の配合割合としては、樹脂成分の合計100質量部に対し、好ましくは1~80質量部であり、より好ましくは5~60質量部である。
[0081]
(5)樹脂ペレットの製造
 以下、上記した本発明のペレットの製造方法の一実施態様を説明するが、本発明は以下の実施態様に限定して解釈されるものではないことは勿論である。
(i)トルエン含有量が0.01~0.5質量%に調整されたPPE粉状体を、加圧ロール等を用いて圧縮し、必要により、グラニュレーター(granulater)等で粉砕して、所定の平均粒径と見かけ密度、でかつ特定のトルエン含有量のPPE粒状物とする。
(ii)PPE粒状物を、所定の平均粒径と見かけ密度を有するポリスチレン系樹脂粒子をタンブラー(tumbler)等の混合器で混合し、混合物を、例えば二軸スクリュー式のフィーダーに装入し、そこから押出機にフィードされる。原料供給口からは不活性ガスが供給されているのが好ましい。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等のPPEに対して不活性なガスであって、通常は窒素ガスが用いられる。
 添加剤の配合は、混合器に添加混合してもよく、押出機バレルの途中にサイドフィーダーを設置して添加してもよい。
[0082]
(iii)押出機シリンダー内では、スクリューが回転自在に配設され、樹脂原料のスムーズな輸送と、ついでミキシング、さらに溶融を行い、そして最後に吐出ノズルからストランド状に押し出される。押出機における設定温度と時間は、樹脂組成や押出機の種類等により、任意に選ぶことができるが、通常混練温度(設定温度)は、200~350℃、好ましくは220~320℃、混練時間は、3分以下が好ましい。350℃又は3分を超えると、ポリフェニレンエーテル系樹脂やスチレン系樹脂の熱劣化を防ぎにくく、物性低下と外観不良を生じやすい。
[0083]
 押出機には、減圧ベント部(vent)が設けられているのが好ましく、PPE粒状物に含有されるトルエンが、ベント部より排気口に向かって常時揮発し、随伴気流を発生させることで、他の揮発成分等が結露したり昇華することを抑制することができ、それらの劣化物が組成物に混入するのが抑制されるので、品質の優れた熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造することが可能となる。
 押出機のベント部における真空度は、20×10 Pa以下にするのが好ましく、7×10 Pa以下がより好ましい。真空度がかかる範囲であれば、トルエンがベント部で十分に除去され、樹脂等の悪影響を及ぼすことがなく好ましい。
[0084]
(iv)溶融混練された組成物は、混練押出機先端に設置される吐出ノズルからストランドと呼ばれるひも状に押出される。吐出ノズルのダイの形状は特に制限はなく、公知のものが使用される。吐出ノズルの吐出口の直径は、押出し圧、所望するペレットの寸法にもよるが、通常2~10mm程度である。
 図1は、吐出ノズルから押し出されたストランドをペレットに加工するまでの工程に係る構成を模式的に示した図である。
 図2は、ストランド搬送工程で使用するガイドローラーの一実施態様を示す部分側面図である。
[0085]
 ストランドSは、引き取りローラー4、4’によって引き取られ、ペレタイザー5によってペレット状に切断(cutting)されるが、ペレタイザー5に供給される前の搬送経路において冷却されるのが通常である。具体的には図1に示すように、冷却槽2に溜められた冷却媒体(通常は水)W中を搬送されるようにして、冷却される。樹脂の劣化を少なくするために、ストランドSが吐出ノズル1から押し出されてから冷却媒体Wに入るまでの時間は短い方が良い。通常は、吐出ノズル1から押し出されてから1秒以内に冷却媒体93に入るのが良い。
[0086]
 そのため、吐出ノズル1からほぼ最短距離で冷却媒体Wへ向かうように搬送することが好ましく、また、冷却媒体Wで冷却される時間が長くなるように搬送することが好ましい。このような条件を満たす搬送経路を実現するため、ストランドSの搬送経路には3,3’で示すようなガイドローラーが設けられるのが一般的である。ガイドローラー3,3’の径は通常3~7cm程度である。
[0087]
(v)このようなガイドローラー3,3’を利用して、ストランドSの表面に付着した目ヤニを除去することが可能である。
 具体的には、ガイドローラー3,3’の少なくとも一方を、ストランドSの走行(搬送)方向aとは逆方向bに回転させるか、ストランドSの走行速度(引取り速度)よりも遅い周速度でストランドSの走行方向aと同じ方向に回転させることである(あるいは、回転させない状態で保持してもよい)。
[0088]
 ガイドローラー3,3’は、通常ストランドSの走行方向と交差する方向を回転軸とした円筒形状を有し、ストランドSが所望の搬送経路で搬送されるよう、複数本が平行して押し出されるストランドSを円筒面で支持する。
 通常、ガイドローラー3,3’は、図2(a)に示すように、その主軸31の円周上のローラー表面には、周方向に環状(リング状)の溝32が複数設けられる。溝32は走行するストランドSを受け入れて支持し、接近した位置にあるストランドS同士が接触し融着することを防ぐ。
 通常、溝32の幅は、ストランドSの太さより若干広めで、溝32の底部は弧状とされていることが安定した支持を行うために好ましい。また、通常溝32の深さは、通常2mm~10mmである。ローラー3、3’の直径は、通常3~7cm程度である。
 更に、溝32のピッチ(隣り合う溝32の間隔)は、通常、ストランドSの間隔(ダイの吐出ノズル1の間隔)に合わせる。ストランドSの径にもよるがピッチは5mmから20mmである。溝32の数は押し出されるストランドの数以上であれば良い。
[0089]
 ガイドローラー3,3’は、冷却槽2のストランド走行位置に1本あるいは複数本設けられる。複数本の場合はガイドローラー3,3’間にストランドが掛け渡されて冷却槽2中を走行し冷却される。
 ガイドローラー3,3’はストランドSの走行方向aと逆方向bまたは走行方向aと同じ方向に回転可能に支持されており、回転不能に支持されてもよい。ストランドSの走行(搬送)速度に対してガイドローラー3,3’の溝32の移動(回転)速度が相対的に遅くなるようにガイドローラー3,3’を支持することにより、溝32とストランドSとが接する面でストランドSの表面を擦り、ストランドSの表面に付着した目ヤニを擦り取ることができる。なお、ガイドローラーが複数設けられている場合には、その少なくとも一つにおいてストランドSの表面を擦るようにすればよい。
[0090]
 ガイドローラー3,3’をストランドSの走行方向aと逆方向bに回転させるには、ガイドローラー3,3’に駆動装置を設ければ良い。この場合、ストランドSと溝32の表面との抵抗が大きすぎるとストランドSの走行が不安定になる場合が有るので、ストランドSの走行が安定する範囲で回転量を定める。
[0091]
 ガイドローラー3,3’を走行方向aと同じ方向に回転させる場合には駆動装置を設けなくてもよい。ガイドローラー3,3’を回転させるのにある程度の抵抗(少なくとも、走行するストランドSの摩擦力によりストランドSと同じ周速度で回転することがない程度の抵抗)を与えれば良い。これにより、ガイドローラー3,3’はストランドSの走行に追従して回転するが、与えられた抵抗によりストランドSの走行速度より遅く(周速度が遅く)回転し、溝32の表面でストランドSの表面を擦ることが可能になる。駆動装置を設けることも可能であるが、逆回転の場合と異なり、回転に抵抗を与える構成の方が簡便である。
[0092]
 このように、ストランドSは、冷却媒体W中を走行しながらガイドローラー3,3’の表面と接触し、ストランドSの走行速度とガイドローラー3,3’の回転速度(周速度)との差によってストランドSの表面が溝32の表面で擦られ、ストランドSの表面に付着する目ヤニが除去される。また、溝が無いガイドローラーであっても、ストランドがガイドローラー表面で擦られることにより、ある程度の目ヤニ除去効果はある。
[0093]
 この効果は、ストランドSの走行速度と同じ周速度でガイドローラー3,3’を回転させた場合には得られないものである。ストランドSの走行速度とガイドローラー3,3’の周速度を略同速度とした場合には、ストランドSの表面を擦ることが出来ないだけでなく、むしろ溝32の表面によって目ヤニをストランドに張り付けたり、埋め込んだりすることになることも考えられる。
[0094]
 具体的なガイドローラー3,3’の回転(外周面の移動速度)速度Vrは、ストランドの速度Vsに対して、0.7≧Vr/Vs≧-0.2の関係であることが好ましい。上限は、より好ましくは0.5≧Vr/Vsであり、下限は、より好ましくはVr/Vs≧0である。VsはストランドSの引き取り速度とすることができ、Vrは(ガイドローラー3,3’の半径-溝深さ)×2π×一分間の回転数で求まる。Vr/Vsが正の場合、ガイドローラー3,3’がストランド走行方向aと同方向に回転する場合であり、負の場合はガイドローラー3,3’がストランド走行方向aと逆方向bに回転する場合である。
[0095]
 ガイドローラー3,3’は、冷却槽2中に1本あるいは複数本設けられるが、複数本の場合は全てのガイドローラー3,3’を上述のような回転とする必要はなく、冷却媒体2中にあり、吐出ノズル1(ダイス)に最も近いガイドローラー(図1では3)を上記のように作動させるのが目ヤニ除去に効果的である。
[0096]
(vi)ストランドSは、引き取りローラー4、4’からペレタイザー5に送られ、カッティングされて、ペレットとされる。カッティングは、ストランド温度が80~160℃、特には90~140℃の範囲にある時に切断するようにすることが望ましい。
 この温度は非接触式の温度計によって測定すればよいが、簡便にはカッターによって切断されたペレットを収容する袋や容器中のペレットに温度計を差し込んで測定することによって代用すれば良い。
[0097]
 本発明の方法によって得られたペレットは、ポリフェニレンエーテル系樹脂に一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形、プレス成形等の各種成形法によって成形することができ、任意の形状に成形して成形品として用いる。
 成形品の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、車両部品、照明機器等の部品へ用いて好適である。
実施例
[0098]
 以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[0099]
[1.測定・評価方法]
 以下の実施例及び比較例において、各測定・評価方法は、次の通りである。
(1)平均粒子径及び粒径分布:
 レーザー回折・散乱法の粒度分析計であるセイシン企業(Seishin Enterprise Co.Ltd.)製「レーザー回折散乱式粒度分布測定装置Laser Micron Sizer LMS-2000e」を使用して、湿式法(イソプロピルアルコール溶媒)で測定した。体積平均粒子径を平均粒子径(μm)とした。
(2)見掛け密度
 JIS K5101に準拠して、静置法にてフィルターは使用せずに、測定した。
[0100]
(3)トルエン濃度:
 10mlのクロロホルムにポリフェニレンエーテル系樹脂2gを溶解後、メタノールで析出させ、上澄み液をガスクロマトグラフィーで分析し、トルエン濃度(%)を得た。
(4)色調:
 実施例及び比較例で得られたペレットの色調の測定は、日本電色社製の色度計「Spectro Color Meter S2000」で、色調YI値を求めた。
(5)圧縮強度:
 秤の上に粒径1~2mmのPPE粒子を置き、荷重を加えて破壊が起きる荷重を圧縮強度とし、測定回数20回の平均値を得た。
[0101]
(6)PPEの極限粘度:
 ポリフェニレンエーテル0.5gを溶液として100ml以上(濃度0.5g/dl以下)となる様にクロロホルムで溶解し、30℃においてウベローデ型の粘度計を用いて、異なる濃度における比粘度を測定し、比粘度と濃度との比を、濃度を0に外挿することにより極限粘度を算出する。
(7)PPEの末端基の種類及び数:
  13C-核磁気共鳴吸収スペクトルを、日本電子(株)製のJNM-A400で、CDCl を溶媒とし、テトラメチルシランを基準とし、測定モードは 13C-NMR完全デカップリングモードとして、測定し、Macromolecules、1990年、Vol.23、1318~1329頁に記載の方法により、水酸基末端の種類及び数(100個あたりの個数)を求めた。
(8)PPEのガラス転移温度(Tg):
 セイコーインスツルメント社製の熱分析装置「DSC 220U」を用い、25℃~250℃まで20℃/minの速度で昇温し、変極点からガラス転移温度を求めた。
[0102]
(実施例1)
(1)ポリフェニレンエーテル(PPE-G)の製造
 反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャーと、攪拌タービン翼及びバッフル、さらに反応器上部のベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを底部に付属させた還流冷却器を備えた300リットルの反応器に、42.5gの酸化第一銅、255.7gの47%臭化水素水溶液、495.8gのN,N―ジ-n-ブチルアミン(DBA)、1257.6gのN,N―ジメチル-n-ブチルアミン(BD)、102.4gのN,N´-ジ-t-ブチルエチレンジアミン(Dt)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(TOM)30.0g及び約83kgのトルエンを入れ、初期仕込み液を作成した。次いで、反応器気相部に窒素を導入し、反応器気相部の絶対圧力を0.108MPaに制御した。
[0103]
 続いて、酸素を窒素で希釈して作った、絶対圧力が0.108MPaで酸素濃度が70%のガスを、スパージャーより導入し、以後重合中も含めて反応器気相部に窒素を導入しながら、窒素と上記ガスとにより、反応器気相部の絶対圧力が0.108MPaに維持される様に、コントロールバルブを制御した。上記ガスの導入速度は103.5Nl/minでおこなった。上記ガスの導入を開始してから直ちに、33,000gの2,6-ジメチルフェノールを34,878gのトルエンに溶かした溶液を、プランジャーポンプを用いて30分で全量を投入し終わる速度で、添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒体を通して調節した。
 ガス導入開始後約140分で、酸素含有ガスに替えて窒素を導入すると共に、反応器にエチレンジアミン4酢酸ナトリウム(EDTA4ナトリウム)5%の水溶液15,000gを反応液に添加し攪拌した。その後反応溶液の温度が70℃になる様に熱媒体でコントロールしながら、攪拌を2時間継続した。
[0104]
 攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水7,500gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。
 その後、得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを4回洗浄した後に140℃程度で2時間強乾燥させ、粉末状ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE-G」と略記することがある。)を得た。
[0105]
 得られたポリフェニレンエーテル(PPE-G)の評価結果は、次のとおりであった。
 極限粘度:0.48dl/g
 末端水酸基量:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.45個
 平均粒子径:90μm
 トルエン濃度:0.0083%(83ppm)
 銅元素含有量:0.1ppm
 見かけ密度:0.34g/cm
[0106]
 PPE-Gに粉体中のトルエン含有量が1,000ppm(0.1質量%)になるようにトルエンを(このトルエンにはあらかじめ、臭化第二銅とジブチルアミンを質量比で1対10の割合で、銅元素としてPPEに対し3.9ppmとなるように添加。PPE製造時の残存触媒と合わせ、PPEに対して4.0ppmとなる。)添加し、スリーハンズミキサーで混合して、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE-A)を得た。
 PPE-Aを、古川大塚鉄鋼社製C-102Aコンパクターを用いて、フィーダー回転数40rpm、ロール間隙2mm、ロール回転数6rpm、ロール支持圧7MPaの条件で圧縮し、板状の圧縮物を得た。
 得られた板状圧縮物を、古川大塚鉄鋼社製のグラニュレーターHB189で、650rpmで解砕(crush)し、圧縮造粒物「Com-A1」を得た。Com-A1のトルエン濃度は970ppmであった。見かけ密度は0.50g/cm であった。
[0107]
 ComA-1の粒度分布を測定した。1mm以上のメッシュを用い1mm以上の粒度分布、1mm以下は、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(セイシン企業製LMS-2000e)により粒度分布(湿式法)を求めた。粒度分布は以下であった。
 1mm以上       73.1%
 100μm~1mm   17.1%
 10μm~100μm   9.5%
 10μm以下       0.3%
           計100.0%
 また、平均粒径(体積平均)は1.5mmであった。
[0108]
(ペレットの製造)
 この圧縮造粒物Com-A1を100質量部と、エー・アンド・エム スチレン社(A&M Styrene Co。)製のポリスチレンペレットHT478(以下、「PS-A」という。平均ペレット重量:23mg、平均粒径(体積平均粒子径):3.3mm、見かけ密度:0.62g/cc)20質量部を、タンブラーで5分間混合した。
 混合物をクボタ(Kubota Corporation)社製の2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダー(cassette weighing feeder)CE-W-2に移し、そこから東芝機械(Toshiba Machine Co.)社製二軸押出機TEM37BSに60kg/hrの速度でフィードし、押出機で混合物を溶融混練した。押出機のスクリュー回転数は400rpmとした。
 混練溶融物を穴径4mm、5穴のダイスを使って押出し、ストランド状にして、冷却水槽で冷却し、ペレタイザーでカッティングし、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットを得た。1時間の押出しであったが、その間フィードネック(押出機にフィードしたものがスクリューにより充分送られず堆積してくる現象)もなく安定した押出しであった。押出し開始30分後のペレットを評価用ペレットとした。この、ペレット中の超高分子量重合体(分子量500,000以上)の量は0.07質量%であった。
[0109]
 このペレットを120℃で4時間乾燥し、住友重機(Sumitomo Heavy Industries Co.)社製射出成形機SH100を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度100℃の条件で、縦100mm×横100mm×厚さ2mmの成形品を成形し、色調イエローインデックス(YI値)を測定した。YI値は34であった。
 なお、この1時間の押出しの間に発生したダイノズル(5穴)周辺のメヤニを捕集し、重量を測定すると39mgあった。ストランドは、34m/minの速度で引き取り、冷却水槽中の2本のロールA、ロールBに掛けて、水槽で冷却した。この時にロールAの周方向の回転速度は4m/minであった。ロールの周方向速度をストランド速度の比率は0.12であった。ロールAとロールBの間隔を調整し、ペレタイザーに入るストランド温度を117℃にしてカッティングした。カッティング面は綺麗であり、良好な形状のペレットが得られた。得られたペレット60kg中にはメヤニが付着したペレットは1つしか発見されなかった。
[0110]
 得られたペレットを120℃4時間乾燥し、住友重機社製射出成形機SH100を用いて、ISO金型タイプAで試験片を作成した(ISO3167、ISO294-1)。
 耐薬品試験:試験片表面に0.5%の撓み(曲げ)を加え、イソプロパノールとn-ヘキサンの重量比1:1の混合溶液に23℃、1時間浸漬後1本の試験片当たりのクラックの発生本数を数えた。数が少ない程、耐薬品性が優れている。
 評価結果を表1に示す。
 分子量500,000以上の超高分子量成分が高度な絡み合い構造を形成し、耐薬品性が向上したと考える。
[0111]
(実施例2)
 実施例1において、PPE-Gに粉体中のトルエン濃度が1,000ppmになるように、トルエン(触媒成分の添加ナシ)を添加し、スリーハンズミキサーで混合して、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE-B)組成物を得た。実施例1において、PPE-Aを得られたPPE-Bに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
 得られた圧縮造粒品をCom-B1とした。評価結果を表1に示す。
[0112]
(実施例3)
 実施例1においてPPE-Gに粉体中のトルエン含有量が1,000ppm(0.1質量%)になるようにトルエン液(このトルエンにはあらかじめ、臭化第二銅とジブチルアミンを重量比で1対10の割合で、銅元素としてPPEに対し1.9ppmとなるように添加。PPE製造時の残存触媒と合わせ、PPEに対して2.0ppmとなる。)を添加し、スリーハンズミキサーで混合して、ポリフェニレンエーテル樹脂を得たこのPPEを「PPE-C」とした。
 PPE-Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
 得られた圧縮造粒品をCom-C1とした。評価結果を表1に示す。
[0113]
(実施例4)
 実施例1においてPPE-Gに粉体中のトルエン含有量が1,000ppm(0.1質量%)になるようにトルエン液(このトルエンにはあらかじめ、臭化第二銅とジブチルアミンを重量比で1対10の割合で、銅元素としてPPEに対し7.9ppmとなるように添加。PPE製造時の残存触媒と合わせ、PPEに対して8.0ppmとなる。)を添加し、スリーハンズミキサーで混合して、ポリフェニレンエーテル樹脂を得たこのPPEを「PPE-D」とした。
 PPE-Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
 得られた圧縮造粒品をCom-D1とした。評価結果を表1に示す。
[0114]
(実施例5)
 実施例1において、PPE-Aの代わりに、トルエン濃度が500ppm(0.05質量%)に、また銅元素含量が4ppmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られたPPEを「PPE-E」とした。
 PPE-Eを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
 得られた圧縮造粒品をCom-E1とした。評価結果を表1に示す。
[0115]
(実施例6)
 実施例1において、PPE-Aの代わりに、トルエン濃度が3,000ppm(0.3質量%)に、また銅元素含量が4ppmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
 得られたPPEを「PPE-F」とした。
 PPE-Fを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
 得られた圧縮造粒品をCom-F1とした。評価結果を表1に示す。
[0116]
(比較例1)
 実施例1において、Com-A1の代わりに、PPE-Aをそのまま(コンパクターロールで圧縮することなく、粉体のまま)で用いた以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
 結果を表1に示す。
[0117]
(比較例2)
 実施例1において、PPE-Aの代わりに、トルエン濃度が6,000ppm(0.6質量%)に、また銅元素含量が4ppmとなるようにして得たポリフェニレンエーテル樹脂(PPE-G)に変更した以外は、実施例3と同様にして、ペレットを製造した。得られた圧縮造粒品をCom-G1とした。
 結果を表1に示す。
[0118]
(比較例3)
 実施例1において、PPE-Aの代わりにPPE-Hを用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られた圧縮造粒品をCom-H1とした。
 結果を表1に示す。
[0119]
 なお、表1における総合評価の○および×は、以下の基準で判定した。
  ○:吐出量が50kg/hr以上、かつ色調YIが40未満、かつクラック本数が40本未満
  ×:吐出量が50kg/hr未満、または色調YIが40以上
[0120]
[表1]


[0121]
(実施例6~11)
 実施例1において、コンパクターロールの支持圧力を下記表2にあるように変更した以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
 結果を表2に示す。
 なお、実施例11では圧縮造粒品のCom-A8が2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダーのスクリューと壁の間に挟みこまれ、スクリューが止まり、フィーダーが止まるトラブルが2回発生した。造粒品が固すぎたことが理由である。このように圧縮造粒品には適切な硬さがある。
 なお、表2における総合評価の○、△、×は、以下の基準で判定した。
  ○:吐出量が50kg/hr以上、かつ色調YIが40未満、かつクラック本数が40本未満
  △:フィーダーのフィード異常があるか、クラック本数が40本以上
  ×:吐出量が50kg/hr未満、または色調YIが40以上
[0122]
[表2]


[0123]
(実施例12)
 PPE-Aの圧縮造粒品Com-A1を100質量部、ポリスチレン樹脂ペレットPS-Aを20質量部、酸化亜鉛粉体(本庄ケミカル(Honjo Chemical)社製、平均粒径0.6μm)0.5質量部、タルク(林化成(Hayashi-Kasei)社製商品名「タルカン(Talcan)PKC」、平均粒径12μm)20質量部を、実施例1と同様に一括してブレンドタンブラーで混合し、実施例1と同様に溶融混練した。押出開始5分後の初流ペレットと、押出し最後1分前(後流)のペレットをサンプリングし、ポリスチレンの分級度合い、酸化亜鉛、タルクの分級度合いを比較した。
[0124]
 ポリスチレンの分級度合いはペレットをDSC(示差走査熱量測定装置:セイコー電子(SEICO Electronics industrial Co)社製SSC/5200)を用いて、ガラス転移温度を比較することから求めた。初流ペレットのガラス転移温度は189.3度であった。後流品のガラス転移温度は189.1度であった。初流のガラス転移温度から後流のガラス転移温度を引いた差は0.2℃であった。ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン樹脂組成物のガラス転移温度はそれらの量比により決まる。ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度210℃と、ポリスチレンのガラス転移温度100℃であり、ほぼ重量平均値となる。このガラス転移温度差をポリスチレン樹脂の分級度合いとした。0.2℃差とはポリフェニレンエーテルとポリスチレンが殆ど分級していない(初流から後流れまで均一に混じっている)ことを示している。
[0125]
 また、初流ペレットと後流ペレットを蛍光X線で亜鉛の吸収強度比較し、初流ペットの亜鉛吸収強度/後流ペレットの亜鉛吸収強度の値を酸化亜鉛の分級度とした。
同様に蛍光X線の初流ペレット珪素の吸収強度/後流ペレットの珪素の吸収強度の値をタルクの分級度合いとした。
 酸化亜鉛の分級率は1.02、タルクの分級率は1.03であった。これらの結果から分級は殆ど発生していないことが分かった。
 結果を表3に示す。
[0126]
(実施例13)
 実施例11において、PPE-Aの圧縮造粒品Com-A1(ただし、コンパクタロール圧力は10MPa)を、圧縮造粒品Com-A6(ただし、コンパクターロール圧力3MPa)に変更した以外は、実施例11と同様にして、ペレットを製造した。Com-A6の粒度分布は以下であった。
  1mm以上       61.7%
  100μm~1mm   12.6%
  10μm~100μm  24.5%
  10μm以下       1.2%
            計100.0%
 結果を表3に示す。
[0127]
(実施例14)
 実施例11において、PPE-Aの圧縮造粒品Com-A1を、下記の粒度分布の圧縮造粒品Com-A7(コンパクターロール圧力1.5MPa)に変更した以外は、実施例11と同様にして、ペレットを製造した。Com-A7の粒度分布は以下であった。
  1mm以上       53.7%
  100μm~1mm   13.2%
  10μm~100μm  31.3%
  10μm以下       1.8%
            計100.0%
 結果を表3に示す。
[0128]
(実施例15)
 実施例11において、PPE-Aの圧縮造粒品Com-A1を、Com-A1から100um以下をカットして得た、下記の粒度分布の圧縮造粒品Com-A1Xに変更した以外は、実施例11と同様にして、ペレットを製造した。
  1mm以上       86.2%
  100μm~1mm   12.1%
  10μm~100μm   1.7%
  10μm以下       0.0%
            計100.0%
 結果を表3に示す。
[0129]
(比較例4)
 実施例11において、PPE-Aの圧縮造粒品Com-A1を、PPE-Aにした以外は、実施例11と同様にして、ペレットを製造した。PPE-Aの粒度分布は以下であった。
  1mm以上        2.1%
  100μm~1mm   35.3%
  10μm~100μm  56.2%
  10μm以下       6.4%
            計100.0%
 結果を表3に示す。
[0130]
(比較例5)
 実施例11において、ポリスチレンPS-Aを、PS-Aの凍結粉砕品(平均粒径80μm)PS-Bに変更した以外は、実施例11と同様にして、ペレットを製造した。
 結果を表3に示す。
 なお、表3における分級評価の○、△、×は、以下の基準で判定した。
  ○:ΔTが±1℃以内でかつ添加剤の分級率が1.1以内
  △:ΔTが±3℃から±1℃の範囲、または添加剤の分級率が1.2~1.1の範囲
  ×:ΔTが±3℃以上、または添加剤の分級率が1.2を超える範囲
[0131]
[表3]


[0132]
(実施例16~19、比較例6)
 実施例1において、PPE-AとPS-Aの量比を下記表4に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
 結果を表4に示す。
 なお、曲げ強さは、住友重機社製射出成形機SH100を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度100℃にてISO試験片をISO 3167にて成形し、ISO 178に準拠して行った。
 また、表4における総合評価の○、△、×は、以下の基準で判定した。
  ○:YI値40未満、曲げ強さ100MPa以上
  △:YI値40未満、曲げ強度100MPa未満、またはクラック40本以上
  ×:YI値40以上
[0133]
[表4]


[0134]
(実施例20)
(1)ポリフェニレンエーテル(PPE-I)の製造〕
 空気吹き込み管の付いた重合反応器に、コンデンサーを2段直列に繋いだ。コンデンサーの温度が約0℃になるように冷媒を流し温度調節をし、缶出液のトルエン相は連続的に重合器内に戻すようにした。臭化第二銅220g、ジブチルアミン4,000g、トルエン98,000gの触媒溶液中に空気をモノマー1kgあたり、10NL/分で供給しながら、2,6-ジメチルフェノール23,500gをトルエンに59,400gに溶かした溶液を60分かけて滴下し、40℃で重合を行った。
 モノマー滴下120分後EDTA4ナトリウムが触媒銅に対し1.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2質量倍)を攪拌しながら反応液に加え反応を停止した。
[0135]
 攪拌を停止した後、静置分離した水溶液を系外に排出し、更に純水5,500gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静置した後に分離した水層を系外に排出した。更に同様の操作を繰り返した。すなわち、2回目はEDTA4ナトリウムを使用触媒銅の0.5倍モル量溶解した水溶液(水溶液量は重合反応液全量に対し0.2質量倍)を攪拌しながら反応液に加え静置分離した。
 その後上記同様に純水6,000gを反応液に添加して10分間攪拌し、10分間静値した後に分離した水層を系外に排出した。得られた反応液にほぼ等容のメタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させた。PPEの沈殿をろ過し、更に適量のメタノールでポリフェニレンエーテルを4回洗浄した後に140℃程度で2時間強乾燥させ、以下の粉末状ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE-HI」と略記することがある。)を得た。
[0136]
 極限粘度:0.48dl/g
 末端水酸基量:フェニレンエーテルユニット100個に対し、0.12個
 平均粒子径:85μm
 トルエン濃度:95ppm
 銅元素含有量:0.3ppm
見かけ密度:0.34g/cm
[0137]
 PPE-Iに、実施例1と同様に、粉体中のトルエン含有量が1,000ppm(0.1質量%)に、また、銅元素含有量が4ppmとなるように、トルエンを添加しスリーハンズミキサーで混合したものを使用して、実施例1と同様にして圧縮造粒品「Com-I1」を得た。Com-I1の平均粒子径は、1.6mm、見かけ密度0.50、圧縮強度2.2kg、トルエン濃度は960ppmであった。
 また粒度分布は、
 1mm以上       69.7%
 100μm~1mm   18.5%
 10μm~100μm  11.2%
 10μm以下       0.6%
           計100.0%
であった。
[0138]
 以下、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。結果を、表5に、実施例1と併記する。
 なお、実施例1でのPPE-Aの末端水酸基数は、0.45個/100個であった。末端水酸基数が0.15個/100個を下回る実施例20は、プレート表面外観は、光にかざすと、少しもやのようなものが見られた。ポリスチレンとの相溶性がやや劣ることに起因するもと思われる。
[0139]
[表5]


 なお、表5中のプレート表面外観の評価のうち、○は良好、△は、光にかざすと少しモヤのようなものが見られたことを示す。
[0140]
(実施例21~24)
 実施例1において、ストランドの引き取り速度(Vs)と、ガイドローラー外周面の移動速度(Vr)を表6のように変更した以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
 押出しノズルからの押出しを2時間行い、ノズルに付着したメヤニを採取し、付着量を秤量した。また、2時間の押出しから得られたペレットのうち、ペレット中にメヤニが付着したペレットの個数(個/60kg)を測定した。
 結果を表6に示す。
 なお、表6における総合評価の○および△は、以下の基準で判定した。
  ○:ペレット状態良好、メヤニ付着ペレットが5個/60kg未満
  △:ペレット状態があまり良くないか、メヤニ付着ペレットが5個/60kg以上
[0141]
[表6]


産業上の利用可能性

[0142]
 本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレットの製造方法によれば、ポリフェニレンエーテル系樹脂パウダーとポリスチレン系樹脂原料から、色調が良好で物性低下のないペレットを高い生産効率で製造できるので、得られたペレットからは良好な品質の成形品が得られるので、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、車両部品、照明機器等の広い分野に適用でき、産業上の利用性は非常に高い。

符号の説明

[0143]
 S ストランド
 1 吐出ノズル
 2 冷却媒体槽
 3、3’ ガイドローラー
 4、4’ 搬送ローラー
 5 ペレタイザー
 32 溝

請求の範囲

[請求項1]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂を溶融状態で混練した後、押出し成形してポリフェニレンエーテル系樹脂成形物を得るにあたり、
1)ポリフェニレンエーテル系樹脂として、
 ポリフェニレンエーテル系樹脂中のトルエン濃度が0.01~0.5質量%である粉状体をガラス転移温度Tg以下の温度で圧縮することにより固化し、該固化物を必要に応じ粉砕して得られた平均粒径0.1~10mm、見かけ密度0.35~0.7g/cm 、トルエン濃度が0.01~0.5質量%である粒状物を用い、
2)ポリスチレン系樹脂として、平均粒径1~5mm、見かけ密度0.5~0.7g/cm の粒子を用い、
 これらを押出機に供給して加熱、溶融、混練して押し出すことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項2]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂の前記粒状物が、40g~4kgの圧縮強さを有することを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項3]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂の前記粒状物が、銅元素として0.05~10ppmを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項4]
 銅元素がポリフェニレンエーテル系樹脂の重合触媒に由来するものであることを特徴とする請求項3に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項5]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物とポリスチレン系樹脂を押出機中で溶融混練することにより、分子量50万以上の重合体を0.015~0.6質量%生成させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項6]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物は、
 その粒状物の径が1000μm以上の粒状物の含有量が、50%以上であり、
 粒状物の径が10~100μmの粒子の含有量が、3~40%であり、
 粒状物の径が10μm以下の粒子の含有量が2%以内である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項7]
 粒子径が10~100μmの粒子を3~40%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物に、平均粒子径が10~100μmの粉末状添加剤を添加することを特徴とする請求項6に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項8]
 ポリスチレン系樹脂粒子がペレットであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項9]
 ポリスチレン系樹脂粒子を、ポリフェニレンエーテル系樹脂粒状物100質量部に対して、5~150質量部使用することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項10]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂が、フェニレンエーテルユニット100個に対する末端水酸基数が0.15~1.5個のものであることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項11]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を押出し機からストランド状に押し出し、冷却媒体中を走行させて冷却し、ストランドカッターにより切断して成形物であるペレットを得るにあたり、
 ガイドローラーを冷却媒体中に設置し、
 該ストランドを、ガイドローラーに接するようにして引き取るとともに、
 引き取り速度をVs(cm/秒)、ストランドが接するガイドローラー外周面の移動速度をVr(cm/秒)とした場合に、
 0.7≧Vr/Vs≧-0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びにガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項12]
 冷却によりストランドの温度を80℃~160℃に調整し、この温度範囲でカッティングすることを特徴とする請求項11に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂成形物の製造方法。
[請求項13]
 請求項1~12のいずれかに記載の方法で製造したポリフェニレンエーテル系樹脂成形物であって、分子量500,000以上の超高分子量重合体を0.015~0.6%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂成形物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]