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1. (WO2011132538) アルミニウム構造体の製造方法およびアルミニウム構造体
Document

明 細 書

発明の名称 アルミニウム構造体の製造方法およびアルミニウム構造体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

発明の効果

0027  

図面の簡単な説明

0028  

発明を実施するための形態

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

産業上の利用可能性

0072  

符号の説明

0073  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : アルミニウム構造体の製造方法およびアルミニウム構造体

技術分野

[0001]
 本発明は、アルミニウムめっきにより樹脂表面にアルミニウム構造体を形成する方法に関し、特に各種フィルタや電池用電極などの用途で金属多孔体として好適に用いることができるアルミニウム構造体とその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 三次元網目構造を有する金属多孔体は、各種フィルタ、触媒担体、電池用電極など多方面に用いられている。例えばニッケルからなるセルメット(住友電気工業(株)製:登録商標)がニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の電池の電極材料として使用されている。セルメットは、連通気孔を有する金属多孔体であり、金属不織布など他の多孔体に比べて気孔率が高い(90%以上)という特徴がある。これは発泡ウレタン等の連通気孔を有する多孔体樹脂の骨格表面にニッケル層を形成した後、熱処理して発泡樹脂成形体を分解し、さらにニッケルを還元処理することで得られる。ニッケル層の形成は、発泡樹脂成形体の骨格表面にカーボン粉末等を塗布して導電化処理した後、電気めっきによってニッケルを析出させることで行われる。
[0003]
 アルミニウムは、導電性、耐腐食性、軽量などの優れた特徴がある。電池用途では、例えばリチウムイオン電池の正極として、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム等の活物質を塗布したものが使用されている。正極の容量を向上するためには、アルミニウムを多孔体にして表面積を大きくし、アルミニウム内部にも活物質を充填することが考えられる。そうすると電極を厚くしても活物質を利用でき、単位面積当たりの活物質利用率が向上するからである。
[0004]
 アルミニウム多孔体の製造方法として、特許文献1には、内部連通空間を有する三次元網状のプラスチック基体にアークイオンプレーティング法によりアルミニウムの蒸着処理を施して、2~20μmの金属アルミニウム層を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、三次元網目状構造を有する発泡樹脂成形体の骨格にアルミニウムの融点以下で共晶合金を形成する金属(銅等)による皮膜を形成した後、アルミニウムペーストを塗布し、非酸化性雰囲気下で550℃以上750℃以下の温度で熱処理をすることで有機成分(発泡樹脂)の消失及びアルミニウム粉末の焼結を行い、金属多孔体を得る方法が記載されている。
[0005]
 一方、アルミニウムのめっきは、アルミニウムの酸素に対する親和力が大きく、電位が水素より低いために水溶液系のめっき浴で電気めっきを行うことが困難である。このため、従来よりアルミニウムの電気めっきは、非水溶液系のめっき浴で検討が行われている。例えば、金属の表面の酸化防止などの目的でアルミニウムをめっきする技術として、特許文献3には、オニウムハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物とを混合溶融した低融点組成物をめっき浴として用い、浴中の水分量を2wt%以下に維持しながら陰極にアルミニウムを析出させることを特徴とする電気アルミニウムめっき方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第3413662号公報
特許文献2 : 特開平8-170126号公報
特許文献3 : 特許第3202072号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上記特許文献1の方法によれば、2~20μmの厚さのアルミニウム多孔体が得られるとされているが、気相法によるため大面積での製造は、困難であり、基体の厚さや気孔率によっては内部まで均一な層の形成が難しい。またアルミニウム層の形成速度が遅い、設備が高価などにより製造コストが増大するなどの問題点がある。さらに、厚膜を形成する場合には、膜に亀裂が生じたり、アルミニウムの脱落が生じるおそれがある。特許文献2の方法によればアルミニウムと共晶合金を形成する層が出来てしまい、純度の高いアルミニウム層が形成できない。一方、アルミニウムの電気めっき方法自体は知られているものの、金属表面へのめっきが可能であるのみで、樹脂成形体表面への電気めっき、とりわけ三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体の表面に電気めっきする方法は、知られていなかった。これには、めっき浴中における多孔質樹脂の溶解などの問題が影響していると考えられる。
[0008]
 そこで本発明は、樹脂成形体とりわけ三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体であっても、その表面へのアルミニウムのめっきを可能とし、厚膜を均一に形成することで純度の高いアルミニウム構造体を形成することが可能な方法、および特に大面積のアルミニウム多孔体を得ることが可能な方法を目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題解決のため、本願発明者らは、ポリウレタンやメラミンなどの樹脂成形体の表面にアルミニウムを電気めっきする方法に想到した。すなわち本発明は、少なくとも表面が導電化された樹脂成形体に、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法である(本願第1の発明)。
[0010]
 前述のとおり従来は、アルミニウムめっきは、金属表面に対して行われていたものの、樹脂成形体表面への電気めっきは、考えられていなかった。樹脂成形体表面を導電化することで、溶融塩浴中でもアルミニウムのめっきが可能なことを見いだしたことに特徴がある。
特に三次元網目構造を有する樹脂多孔体のように複雑な骨格構造の表面に均一に厚いアルミニウム層を形成することが可能とできる(本願第2の発明)。
[0011]
 溶融塩浴は、窒素を含有した溶融塩浴が好ましく、中でもイミダゾリウム塩浴が好ましく用いられる(本願第3の発明)。
[0012]
 溶融塩として高温で溶融する塩を使用した場合は、めっき層の成長よりも樹脂が溶融塩中に溶解や分解する方が早くなり、樹脂成形体表面にめっき層を形成することができない。イミダゾリウム塩浴は、比較的低温であっても樹脂に影響を与えず使用可能である。イミダゾリウム塩として、1,3位にアルキル基を持つイミダゾリウムカチオンを含む塩が好ましく用いられ、特に塩化アルミニウム-1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(AlCl -EMIC)系溶融塩が、安定性が高く分解し難いことから最も好ましく用いられる。発泡ウレタン樹脂や発泡メラミン樹脂などへのめっきが可能であり、溶融塩浴の温度は、10℃から60℃、好ましくは25℃から45℃である。低温になる程めっき可能な電流密度範囲が狭くなり、多孔体表面全体へのめっきが難しくなる。60℃以上の高温では、基材樹脂の形状が損なわれる不具合が生じやすい。なお、イミダゾリウム塩浴は、水分と酸素の存在を嫌うため、密閉環境下においてアルゴンや窒素など不活性ガス雰囲気でのめっきを行うと良い。
[0013]
 溶融塩浴としてイミダゾリウム塩浴を用いる場合、溶融塩浴に有機溶媒を添加することが好ましい(本願第4の発明)。有機溶媒としては、キシレンが特に好ましく用いられる(本願第6の発明)。
[0014]
 金属表面への溶融塩アルミニウムめっきにおいて、めっき表面の平滑性向上の目的でAlCl -EMICにキシレン、ベンゼン、トルエン、1,10-フェナントロリンなどの添加剤を加えることが報告されている。本願発明者らは、特に三次元網目構造を備えた樹脂多孔体上にアルミニウムめっきを施す場合に、有機溶媒、中でもキシレンの添加によりアルミニウム多孔体の形成に特有の効果が得られることを見いだした。すなわち、多孔体を形成するアルミニウム骨格が折れにくいという第1の特徴と、多孔体の表面部と内部とのめっき厚さの差が小さい均一なめっきが可能であるという第2の特徴が得られるのである。第1の特徴は、有機溶媒の添加によって骨格表面のめっきが粒状(凹凸が大きく表面観察で粒のように見える)から平坦な形状に改善されることにより、厚さが薄く細い骨格でも強固になるものである。第2の特徴は、溶融塩浴に有機溶媒を添加することにより、溶融塩浴の粘度が下がり、細かい網目構造の内部へめっき浴が流通しやすくなることによるものである。すなわち、粘度が高いと多孔体表面には、新たなめっき浴が供給されやすく、逆に内部には、供給されにくいところ、粘度を下げることによって内部にもめっき浴が供給されやすくなることにより、均一な厚さのめっきを行うことが可能となるのである。
[0015]
 以上の、折れにくい、めっき厚が内外で均一という2つの特徴により、完成したアルミニウム多孔体をプレスする場合などに、骨格全体が折れにくく均等にプレスされた多孔体を得ることができる。アルミニウム多孔体を電池等の電極材料として用いる場合に、電極に電極活物質を充填してプレスにより密度を上げることが行われ、活物質の充填工程やプレス時に骨格が折れやすいため、このような用途では、極めて有効である。
[0016]
 上記の特徴を得るため、めっき浴への有機溶媒の添加量は、25~57mol%が好ましい(本願第6の発明)。25mol%以下では、表層と内部の厚み差を小さくする効果が得られ難い。また57mol%以上では、めっき浴が不安定となり部分的にめっき液とキシレンが分離してしまう。
[0017]
 ここでキシレンは、キシレン同位体のいずれでも良く、それらの混合物でもよい。キシレン同位体の中でm-キシレンを用いた場合には、その添加量を35%~57%とすることにより特に平滑な表面が得られる(本願第7の発明)。
[0018]
 さらに、前記の有機溶媒を添加した溶融塩浴によりめっきする工程に次いで、前記有機溶媒を洗浄液として用いる洗浄工程をさらに有することが好ましい(本願第8の発明)。
[0019]
 めっきされた樹脂の表面は、めっき浴を洗い流すために洗浄が必要となる。このようなめっき後の洗浄は、通常は水で行われる。しかし、イミダゾリウム塩浴は、水分を避けることが必須であるところ、洗浄を水で行うと水蒸気の形などでめっき液に水が持ち込まれることになる。よって、めっきへの悪影響を防ぐために水での洗浄は、避けたい。そこで、有機溶媒による洗浄が効果的である。さらに上記のようにめっき浴に有機溶媒を添加する場合、めっき浴に添加した有機溶媒で洗浄を行うことによりさらなる有利な効果が得られる。すなわち、洗浄されためっき液の回収、再利用を比較的容易に行うことができ、コスト低減が可能となる。たとえば、溶融塩AlCl -EMICにキシレンを添加した浴が付着しためっき体をキシレンで洗浄する場合を考える。洗浄された液体は、使用しためっき浴に比較してキシレンが多く含まれた液体となる。ここで溶融塩AlCl -EMICは、キシレン中に一定量以上は混ざり合わず、上側にキシレン、下側に約57mol%のキシレンを含む溶融塩AlCl -EMICと分離するため、分離した下側の液を汲み取ることで溶融液を回収することができる。さらにキシレンの沸点は、144℃と低いので、熱を加えることで回収溶融塩中のキシレン濃度をめっき液中濃度にまで調整し、再利用することが可能となるのである。なお、有機溶媒での洗浄の後に、めっき浴とは離れた別の場所において、水でさらに洗浄することも好ましく用いられる。
[0020]
 一方、樹脂が溶解等しない範囲で溶融塩として無機塩浴を用いることもできる(本願第7の発明)。無機塩浴とは、代表的にはAlCl -XCl(X:アルカリ金属)の2成分系あるいは多成分系の塩である。このような無機塩浴は、イミダゾリウム塩浴のような有機塩浴に比べて一般に溶融温度は高いが、水分や酸素など環境条件の制約が少なく、全体に低コストでの実用化が可能とできる。樹脂が発泡メラミン樹脂である場合は、発泡ウレタン樹脂に比べて高温での使用が可能であり、60℃~150℃での無機塩浴が用いられる。
[0021]
 以上の工程により、金属層を表面に備えた樹脂成形体を有するアルミニウム構造体がえられる。各種フィルタや触媒担体などの用途によっては、このまま樹脂と金属の複合体として使用しても良いし、また使用環境の制約などから、樹脂が無い金属構造体として用いる場合には、樹脂を除去しても良い(本願第10の発明)。
[0022]
 樹脂成形体表面の導電化の手法は、既知の方法を含めて選択可能である。無電解めっきや気相法によるニッケル等の金属層の形成や、導電性塗料による金属やカーボン層の形成が可能である。中でもめっきの対象とする樹脂成形体が、樹脂成形体表面にカーボン粒子が付着しており溶融塩浴中でのめっきが可能な導電状態とされていることが好ましい(本願第11の発明)。カーボンによる導電化は、めっき後のアルミニウム構造体にアルミニウム以外の金属を混入することなくできることから、金属として実質的にアルミニウムのみからなる構造体を製造することが可能となる。また安価に導電化できる利点もある。
[0023]
 上記導電化を含む製造方法により得られるアルミニウム構造体は、金属層として1μm~100μmの厚さを有するアルミニウム層からなるアルミニウム構造体であって、該アルミニウム層の一方表面にカーボン粒子が残留することから、樹脂を除いた全体としてアルミニウムの純度98.0%以上、カーボン含有量1.0%以上2%以下残部不可避不純物からなるアルミニウム構造体である(本願第14の発明)。
[0024]
 また、樹脂成形体として三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体を用いることにより、アルミニウム層が筒状の骨格構造をなし、全体として連続した気孔を有する多孔体を形成してなるアルミニウム構造体が得られる(本願第16の発明)。
[0025]
 また、当該骨格構造が略三角断面形状をなし、該三角の辺の中央部分のアルミニウム層の厚さが当該三角の頂点の部分のアルミニウム層の厚さよりも厚い形状であるアルミニウム構造体を得ることができる(本願第17の発明)。
[0026]
 多孔質樹脂成形体として三次元網目構造を有する発泡ウレタンや発泡メラミンを用いた場合、網目構造の骨格部分は、全体として断面三角形状をなしている。ここで三角は、厳密な意味ではなく、およそ3つの頂部を有し、3つの曲線を辺とする形状を呼ぶ。したがって、めっきにより形成されたアルミニウム構造体の形状もその骨格が略三角形状をなす構造となる。ここで、導電化方法としてカーボン粒子を付着させる場合を考える。カーボン粒子の付着の程度を、三角形状の辺の部分に多く、頂点付近に少なくすることにより、めっき時の導電度が辺の部分よりも頂点付近で劣る構成とする。その結果として、辺の部分には、頂点付近よりもめっき層が形成されやすくなることから、上述の形状を実現することが可能となる。かかる形状は、滑らかな骨格断面を有するため、多孔体としてのアルミニウム構造体をフィルタに用いる場合に円滑なフィルタリングが行えるなどの利点がある。

発明の効果

[0027]
 本発明によれば、樹脂成形体表面、特に三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体に対して表面へのアルミニウムのめっきが可能となり、ほぼ均一な厚膜で純度の高い、また大面積のアルミニウム構造体を形成することが可能な方法、およびアルミニウム構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0028]
[図1] 図1は、本発明によるアルミニウム構造体の製造工程を示すフロー図である。
[図2] 図2は、本発明によるアルミニウム構造体の製造工程を説明する断面模式図である。
[図3] 多孔質樹脂成形体の一例としての発泡ウレタン樹脂の構造を示す表面拡大写真である。
[図4] 導電性塗料による樹脂成形体表面の連続導電化工程の一例を説明する図である。
[図5] 溶融塩めっきによるアルミニウム連続めっき工程の一例を説明する図である。
[図6] アルミニウム多孔体を溶融塩電池に適用した構造例を示す断面模式図である。
[図7] アルミニウム多孔体を電気二重層コンデンサに適用した構造例を示す断面模式図である。
[図8] アルミニウム多孔体の骨格断面を説明する模式図である。
[図9] 実施例にかかるアルミニウム多孔体のSEM写真である。
[図10] 別な実施例にかかるアルミニウム多孔体のSEM写真である。
[図11] 実施例にかかるアルミニウム多孔体の厚み方向の骨格断面を観察した写真である。
[図12] 別な実施例にかかるアルミニウム多孔体の厚み方向の骨格断面を観察した写真である。
[図13] 実施例にかかるアルミニウム多孔体として、m-キシレンを40%含むめっき浴により製造した多孔体の表面拡大写真である。

発明を実施するための形態

[0029]
 以下、本発明の実施の形態を、アルミニウム多孔体を製造するプロセスを代表例として、適宜図を参照して説明する。以下で参照する図面で同じ番号が付されている部分は、同一またはそれに相当する部分である。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。なお、本発明は、これに限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[0030]
(アルミニウム構造体の製造工程)
 図1は、本発明によるアルミニウム構造体の製造工程を示すフロー図である。また図2は、フロー図に対応して樹脂成形体を芯材としてアルミニウム構造体を形成する様子を模式的に示したものである。両図を参照して製造工程全体の流れを説明する。まず基体樹脂成形体の準備101を行う。図2の(a)部分は、基体樹脂成形体の例として、連通気孔を有する発泡樹脂成形体の表面を拡大視した拡大模式図である。発泡樹脂成形体1を骨格として気孔が形成されている。次に樹脂成形体表面の導電化102を行う。この工程により、図2の(b)部分に示すように樹脂成形体1の表面には、薄く導電体による導電層2が形成される。
続いて溶融塩中でのアルミニウムめっき103を行い、導電層が形成された樹脂成形体の表面にアルミニウムめっき層3を形成する(図2の(c)部分)。これで、基体樹脂成形体を基材として表面にアルミニウムめっき層3が形成されたアルミニウム構造体が得られる。さらに、基体樹脂成形体の除去104を行っても良い。発泡樹脂成形体1を分解等して消失させることにより金属層のみが残ったアルミニウム構造体(多孔体)を得ることができる(図2の(d)部分)。以下各工程について順を追って説明する。
[0031]
(多孔質樹脂成形体の準備)
 三次元網目構造を有し連通気孔を有する多孔質樹脂成形体を準備する。多孔質樹脂成形体の素材は、任意の樹脂を選択できる。ポリウレタン、メラミン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の発泡樹脂成形体が素材として例示できる。発泡樹脂成形体と表記したが、連続した気孔(連通気孔)を有するものであれば任意の形状の樹脂成形体を選択できる。例えば繊維状の樹脂を絡めて不織布のような形状を有するものも発泡樹脂成形体に代えて使用可能である。発泡樹脂成形体の気孔率は、80%~98%、気孔径は、50μm~500μmとするのが好ましい。発泡ウレタン及び発泡メラミンは、気孔率が高く、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため発泡樹脂成形体として好ましく使用できる。
発泡ウレタンは、気孔の均一性や入手の容易さ等の点で好ましく、発泡ウレタンは、気孔径の小さなものが得られる点で好ましい。
[0032]
 多孔質樹脂成形体には、発泡体製造過程での製泡剤や未反応モノマーなどの残留物があることが多く、洗浄処理を行うことが後の工程のために好ましい。多孔質樹脂成形体の例として、発泡ウレタンを前処理として洗浄処理したものを図3に示す。樹脂成形体が骨格として三次元的に網目を構成することで、全体として連続した気孔を構成している。発泡ウレタンの骨格は、その延在方向に垂直な断面において略三角形状をなしている。ここで気孔率は、次式で定義される。
 気孔率=(1-(多孔質材の重量[g]/(多孔質材の体積[cm ]×素材密度)))×100[%]
 また、気孔径は、樹脂成形体表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数をセル数として計数して、平均孔径=25.4mm/セル数として平均的な値を求める。
[0033]
(樹脂成形体表面の導電化:カーボン塗布)
 導電性塗料としてのカーボン塗料を準備する。導電性塗料としての懸濁液は、好ましくは、カーボン粒子、粘結剤、分散剤および分散媒を含む。導電性粒子の塗布を均一に行うには、懸濁液が均一な懸濁状態を維持している必要がある。このため、懸濁液は、20℃~40℃に維持されていることが好ましい。その理由は、懸濁液の温度が20℃未満になった場合、均一な懸濁状態が崩れ、合成樹脂成形体の網状構造をなす骨格の表面に粘結剤のみが集中して層を形成するからである。この場合、塗布されたカーボン粒子の層は、剥離し易く、強固に密着した金属めっきを形成し難い。一方、懸濁液の温度が40℃を越えた場合は、分散剤の蒸発量が大きく、塗布処理時間の経過とともに懸濁液が濃縮されてカーボンの塗布量が変動しやすい。また、カーボン粒子の粒径は、0.01~5μmで、好ましくは0.01~0.5μmである。粒径が大きいと多孔質樹脂成形体の空孔を詰まらせたり、平滑なめっきを阻害する要因となり、小さすぎると十分な導電性を確保することが難しくなる。
[0034]
 多孔質樹脂成形体へのカーボン粒子の塗布は、上記懸濁液に対象となる樹脂成形体を浸漬し、絞りと乾燥を行うことで可能である。図4は、実用上の製造工程の一例として、骨格となる帯状の多孔質合成樹脂成形体を導電化する処理装置の構成例を模式的に示す図である。図示の如くこの装置は、帯状樹脂11を供給するサプライボビン12と、導電性塗料の懸濁液14を収容した槽15と、槽15の上方に配置された1対の絞りロール17と、走行する帯状樹脂11の側方に対向して設けられた複数の熱風ノズル16と、処理後の帯状樹脂11を巻き取る巻取りボビン18とを備えている。また、帯状樹脂11を案内するためのデフレクタロール13が適宜配置されている。以上のように構成された装置において、三次元網状構造を有する帯状樹脂1は、サプライボビン12から巻き戻され、デフレクタロール13により案内されて、槽15内の懸濁液内に浸漬される。槽15内で懸濁液14に浸漬された帯状樹脂11は、上方に向きを変え、懸濁液14の液面上方の絞りロール17の間を走行する。このとき、絞りロール17の間隔は、帯状樹脂11の厚さよりも小さくなっており、帯状樹脂11は、圧縮される。従って、帯状樹脂11に含浸された過剰な懸濁液は、絞り出されて槽15内に戻る。
[0035]
 続いて、帯状樹脂11は、再び走行方向を変える。ここで、複数のノズルから構成された熱風ノズル16が噴射する熱風により懸濁液の分散媒等が除去され、充分に乾燥された上で帯状樹脂11は、巻取りボビン18に巻き取られる。尚、熱風ノズル16の噴出する熱風の温度は、40℃から80℃の範囲であることが好ましい。以上のような装置を用いると、自動的かつ連続的に導電化処理を実施することができ、目詰まりのない網目構造を有し、且つ、均一な導電層を具備した骨格が形成されるので、次工程の金属めっきを円滑に行うことができる。
[0036]
(アルミニウム層の形成:溶融塩めっき)
 次に溶融塩中で電解めっきを行い、樹脂成形体表面にアルミニウムめっき層を形成する。表面が導電化された樹脂成形体を陰極、純度99.99%のアルミニウム板を陽極として溶融塩中で直流電流を印加する。溶融塩としては、有機系ハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である有機溶融塩、アルカリ金属のハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である無機溶融塩を使用することができる。比較的低温で溶融する有機溶融塩浴を使用すると、基材である樹脂成形体を分解することなくめっきができ好ましい。有機系ハロゲン化物としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が使用できる。なかでも1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましい。
[0037]
 溶融塩中に水分や酸素が混入すると溶融塩が劣化するため、めっきは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、かつ密閉した環境下で行うことが好ましい。有機溶融塩浴としてEMIC浴を用いた場合、めっき浴の温度は、10℃から60℃、好ましくは25℃から45℃である。
[0038]
 溶融塩浴に有機溶媒を添加することが強固なアルミニウム構造体の形成のために好ましい。特にキシレンが好ましく用いられる。めっき浴への有機溶媒の添加量は、25~57mol%が好ましい。25mol%以下では、表層と内部の厚み差を小さくする効果が得られ難い。また57mol%以上では、めっき浴が不安定となり部分的にめっき液と有機溶媒が分離してしまう。
[0039]
 図5は、前述の帯状樹脂に対して金属メッキ処理を連続的に行うための装置の構成を模式的に示す図である。表面が導電化された帯状樹脂22が、図の左から右に送られる構成を示す。第1のめっき槽21aは、円筒状電極24と容器内壁に設けられた陽極25およびめっき浴23から構成される。帯状樹脂22は、円筒状電極24に沿ってめっき浴23の中を通過することにより、樹脂成形体全体に均一に電流が流れやすく、均一なめっきを得ることが出来る。めっき槽21bは、さらにめっきを厚く均一に付けるための槽であり複数の槽で繰り返しめっきされるように構成されている。表面が導電化された帯状樹脂22を送りローラと槽外給電陰極を兼ねた電極ローラ26により順次送りながら、めっき浴28に通過させることでめっきを行う。複数の槽内には、樹脂成形体の両面にめっき浴28を介して設けられた陽極27があり、樹脂成形体の両面により均一なめっきを付けることができる。
[0040]
 さらに、次工程としてめっき液の洗浄工程が入る。有機溶媒を添加した溶融塩浴によりめっきする場合は、当該有機溶媒を洗浄液として用いることが好ましい。
[0041]
 以上の工程により骨格の芯として樹脂成形体を有するアルミニウム構造体(アルミニウム多孔体)が得られる。各種フィルタや触媒担体などの用途によっては、このまま樹脂と金属の複合体として使用しても良い。また使用環境の制約などから、樹脂が無い金属構造体として用いる場合には、樹脂を除去しても良い。樹脂の除去は、有機溶媒、溶融塩、又は超臨界水による分解(溶解)、加熱分解等任意の方法で行うことができる。ここで、高温での加熱分解等の方法は、簡便であるが、アルミニウムの酸化を伴う。アルミニウムは、ニッケル等と異なり、一旦酸化すると還元処理が困難であるため、たとえば電池等の電極材料として使用する場合には、酸化により導電性が失われることから用いることが出来ない。
このため、アルミニウムの酸化が起こらないように、以下に説明する溶融塩中での熱分解により樹脂を除去する方法が好ましく用いられる。
[0042]
(樹脂の除去:溶融塩中熱分解)
 溶融塩中での熱分解は、以下の方法で行う。表面にアルミニウムめっき層を形成した樹脂成形体を溶融塩に浸漬し、アルミニウム層に負電位を印加しながら加熱して発泡樹脂成形体を分解する。溶融塩に浸漬した状態で負電位を印加すると、アルミニウムを酸化させることなく発泡樹脂成形体を分解することができる。加熱温度は、発泡樹脂成形体の種類に合わせて適宜選択できるが、アルミニウムを溶融させないためには、アルミニウムの融点(660℃)以下の温度で処理する必要がある。好ましい温度範囲は、500℃以上600℃以下である。また印加する負電位の量は、アルミニウムの還元電位よりマイナス側で、かつ溶融塩中のカチオンの還元電位よりプラス側とする。
[0043]
 樹脂の熱分解に使用する溶融塩としては、アルミニウムの電極電位が卑となるようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物の塩が使用できる。具体的には塩化リチウム(LiCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アルミニウム(AlCl )からなる群より選択される1種以上を含むと好ましい。このような方法によって連通気孔を有し、表面の酸化層が薄く酸素量の少ないアルミニウム多孔体を得ることができる。
[0044]
(リチウムイオン電池)
 次にアルミニウム多孔体を用いた電池用電極材料及び電池について説明する。例えばリチウムイオン電池の正極に使用する場合は、活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO )、マンガン酸リチウム(LiMn )、ニッケル酸リチウム(LiNiO )等を使用する。活物質は、導電助剤及びバインダーと組み合わせて使用する。従来のリチウムイオン電池用正極材料は、アルミニウム箔の表面に活物質を塗布している。単位面積当たりの電池容量を向上するために、活物質の塗布厚みを厚くしている。また活物質を有効に利用するためには、アルミニウム箔と活物質とが電気的に接触している必要があるので活物質は、導電助剤と混合して用いられている。これに対し、本発明のアルミニウム多孔体は、気孔率が高く単位面積当たりの表面積が大きい。よって多孔体の表面に薄く活物質を担持させても活物質を有効に利用でき、電池の容量を向上できるとともに、導電助剤の混合量を少なくすることができる。リチウムイオン電池は、上記の正極材料を正極とし、負極には黒鉛、電解質には有機電解液を使用する。このようなリチウムイオン電池は、小さい電極面積でも容量を向上できるため、従来のリチウムイオン電池よりも電池のエネルギー密度を高くすることができる。
[0045]
(溶融塩電池)
 アルミニウム多孔体は、溶融塩電池用の電極材料として使用することもできる。アルミニウム多孔体を正極材料として使用する場合は、活物質として亜クロム酸ナトリウム(NaCrO )、二硫化チタン(TiS )等、電解質となる溶融塩のカチオンをインターカレーションすることができる金属化合物を使用する。活物質は、導電助剤及びバインダーと組み合わせて使用する。導電助剤としては、アセチレンブラック等が使用できる。またバインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を使用できる。活物質としてクロム酸ナトリウムを使用し、導電助剤としてアセチレンブラックを使用する場合には、PTFEは、この両者をより強固に固着することができ好ましい。
[0046]
 アルミニウム多孔体は、溶融塩電池用の負極材料として用いることもできる。アルミニウム多孔体を負極材料として使用する場合は、活物質としてナトリウム単体やナトリウムと他の金属との合金、カーボン等を使用できる。ナトリウムの融点は、約98℃であり、また温度が上がるにつれて金属が軟化するため、ナトリウムと他の金属(Si、Sn、In等)とを合金化すると好ましい。このなかでも特にナトリウムとSnとを合金化したものは、扱いやすいため好ましい。ナトリウム又はナトリウム合金は、アルミニウム多孔体の表面に電解メッキ、溶融メッキ等の方法で担持させることができる。また、アルミニウム多孔体にナトリウムと合金化させる金属(Si等)をメッキ等の方法で付着させた後、溶融塩電池中で充電することでナトリウム合金とすることもできる。
[0047]
 図6は、上記の電池用電極材料を用いた溶融塩電池の一例を示す断面模式図である。溶融塩電池は、アルミニウム多孔体のアルミ骨格部の表面に正極用活物質を担持した正極121と、アルミニウム多孔体のアルミ骨格部の表面に負極用活物質を担持した負極122と、電解質である溶融塩を含浸させたセパレータ123とをケース127内に収納したものである。ケース127の上面と負極との間には、押え板124と押え板を押圧するバネ125とからなる押圧部材126が配置されている。押圧部材を設けることで、正極121、負極122、セパレータ123の体積変化があった場合でも均等押圧してそれぞれの部材を接触させることができる。正極121の集電体(アルミニウム多孔体)、負極122の集電体(アルミニウム多孔体)は、それぞれ、正極端子128、負極端子129に、リード線130で接続されている。
[0048]
 電解質としての溶融塩としては、動作温度で溶融する各種の無機塩又は有機塩を使用することができる。溶融塩のカチオンとしては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)等のアルカリ金属、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)等のアルカリ土類金属から選択した1種以上を用いることができる。
[0049]
 溶融塩の融点を低下させるために、2種以上の塩を混合して使用することが好ましい。
例えばKFSAとNaFSAとを組み合わせて使用すると、電池の動作温度を90℃以下とすることができる。
[0050]
 溶融塩は、セパレータに含浸させて使用する。セパレータは、正極と負極とが接触するのを防ぐためのものであり、ガラス不織布や、多孔質樹脂成形体等を使用できる。上記の正極、負極、溶融塩を含浸させたセパレータを積層してケース内に収納し、電池として使用する。
[0051]
(電気二重層コンデンサ)
 アルミニウム多孔体は、電気二重層コンデンサ用の電極材料として使用することもできる。アルミニウム多孔体を電気二重層コンデンサ用の電極材料として使用する場合は、電極活物質として活性炭等を使用する。活性炭は、導電助剤やバインダーと組み合わせて使用する。導電助剤としては、黒鉛、カーボンナノチューブ等が使用できる。またバインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム等を使用できる。
[0052]
 図7は、上記の電気二重層コンデンサ用電極材料を用いた電気二重層コンデンサの一例を示す断面模式図である。セパレータ142で仕切られた有機電解液143中に、アルミニウム多孔体に電極活物質を担持した電極材料を分極性電極141として配置している。電極材料141は、リード線144に接続しており、これら全体がケース145中に収納されている。アルミニウム多孔体を集電体として使用することで、集電体の表面積が大きくなり、活物質としての活性炭を薄く塗布しても高出力、高容量化可能な電気二重層コンデンサを得ることができる。
[0053]
(実施例1)
(導電層の形成)
 以下、アルミニウム多孔体の製造例を具体的に説明する。発泡樹脂成形体として、厚み1mm、気孔率95%、1インチ当たりの気孔数(セル数)約50個のウレタン発泡体を準備し、100mm×30mm角に切断した。ウレタン発泡体をカーボン懸濁液に浸漬し乾燥することで、表面全体にカーボン粒子が付着した導電層を形成した。懸濁液の成分は、黒鉛+カーボンブラック25%を含み、樹脂バインダー、浸透剤、消泡剤を含む。カーボンブラックの粒径は、0.5μmとした。
[0054]
(溶融塩めっき)
めっき例1:
 表面に導電層を形成したウレタン発泡体をワークとして、給電機能を有する治具にセットした後、アルゴン雰囲気かつ低水分(露点-30℃以下)としたグローブボックス内に入れ、温度40℃の溶融塩アルミめっき浴(33mol%EMIC-67mol%AlCl )に浸漬した。ワークをセットした治具を整流器の陰極側に接続し、対極のアルミニウム板(純度99.99%)を陽極側に接続した。電流密度3.6A/dm の直流電流を90分間印加してめっきした。攪拌は、テフロン(登録商標)製の回転子を用いてスターラーにて行った。ここで、電流密度は、ウレタン発泡体の見かけの面積で計算した値である。この結果、150g/m の重量のアルミニウムめっき層を形成することができた。
[0055]
 得られたアルミニウム多孔体の骨格部分をサンプル抽出し、骨格の延在方向に直角な断面で切断して観察した。断面は、略三角形状をなしており、これは、芯材としたウレタン発泡体の構造を反映したものである。断面の様子を模式的に表した図を図8に示す。発泡樹脂成形体1の表面に導電層としてカーボン層が形成され、その表面にアルミニウムめっき層3が形成されている。アルミニウムめっき層の厚さを観察したところ、三角の辺の中央部分のアルミニウムめっき層の厚さt1は、平均約15μmであったが、三角の頂点の部分のアルミニウムめっき層の厚さt2は、それより薄くなっていた。これは、カーボン塗布による導電化において、カーボン懸濁液への浸漬、余分な液の絞り取り、乾燥を行うことにより、カーボン粒子が三角の辺付近に多く、頂点には少なく付着することに起因すると考えられる。カーボンが多い部分は、めっき時の電流が流れやすいため、めっきが厚く形成されやすいためである。すなわちこのような形状は、芯材となる多孔質樹脂成形体の骨格が略三角の断面をもち、導電化を導電粒子の懸濁液、特に金属よりも導電率の低いカーボン粒子によることで形成することができる。
[0056]
めっき例2:
 めっき浴として17mol%EMIC-34mol%AlCl -49mol%キシレンを用いた以外は上記めっき例1と同様である。所定時間のめっき後、ワークを取り付けた治具を取り出し、液切りのためにめっき槽上で2分放置した。この後、底にコックのついた容器に1Lのキシレンを投入し、この中に1分間浸漬することによりワークに付着しためっき液を洗い流した。さらに治具からワークを取り外した後、キシレンの入った洗浄瓶にて追加洗浄を行った。なおこの際に用いたキシレンも回収し、浸漬処理に用いたキシレンに加えた。全量は、1.5Lとなった。キシレンにより洗浄したワークをグローブボックスから取り出し、温風にて乾燥を行った。結果、150g/m の重量のアルミめっき皮膜を形成することができた。
[0057]
 ここで、洗浄に用いたキシレンは、2層に分離していた。底のコックを開放することにより、下層の液のみを分離回収した。この液を分析したところ、14mol%EMIC-28mol%AlCl -58mol%キシレンであった。そこで、蒸留装置を用いてキシレンのみを揮発させることで、17mol%EMIC-34mol%AlCl -49mol%キシレンとし、めっき液として再利用した。
[0058]
(発泡樹脂成形体の分解)
 アルミニウム層を形成したそれぞれの樹脂成形体を温度500℃のLiCl-KCl共晶溶融塩に浸漬し、-1Vの負電位を30分間印加した。溶融塩中にポリウレタンの分解反応による気泡が発生した。その後大気中で室温まで冷却した後、水洗して溶融塩を除去し、樹脂が除去されたアルミニウム多孔体を得た。得られたアルミニウム多孔体は、連通気孔を有し、気孔率が芯材としたウレタン発泡体と同様に高いものである。
[0059]
 得られたアルミニウム多孔体を王水に溶解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置で測定したところ、アルミニウム純度は、98.5質量%であった。またカーボン含有量をJIS-G1211の高周波誘導加熱炉燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、1.4質量%であった。さらに表面を15kVの加速電圧でEDX分析した結果、酸素のピークは、ほとんど観測されず、アルミニウム多孔体の酸素量は、EDXの検出限界(3.1質量%)以下であることが確認された。
[0060]
(実施例2)
(導電層の形成)
 導電層の形成手段として、実施例1に変えて次の通りニッケルの無電解めっきを行った。
 ・親水化処理;アルカリ+カチオン系界面活性剤+ノニオン系界面活性剤、50℃、2分
 ・水洗
 ・酸処理;8%塩酸、室温、30秒
 ・触媒付け;塩酸+キャタリストC(奥野製薬)、20℃、3分
 ・水洗
 ・活性化;硫酸+アクセラレータX(奥野製薬)45℃、2分
 ・水洗
 ・無電解めっき;めっき液(硫酸Ni:22g/L、次亜リン酸Na:20g/L、クエン酸Na:40g/L、ホウ酸アンモニウム:10g/L、安定剤:1ppm)をアンモニア水にてpH=9に調整、35℃、3分
 ・水洗
 ・乾燥
 こうして得られた無電解Niめっきの目付量は、10g/m で組成は、Ni-3wt%Pであった。
[0061]
(溶融塩めっき)
 めっき例3としてめっき例1と同様の条件でアルミニウムめっきを施し、120g/m の重量のアルミめっき皮膜をほぼ均一に形成することができた。まためっき例4としてめっき例2と同様の条件でアルミニウムめっきを施し、同じく目付量120g/m のアルミニウム多孔体を得た。
[0062]
 得られたアルミニウム多孔体のSEM写真を図9(めっき例3)および図10(めっき例4)に示す。キシレンを含まないめっき例3では、表面の凹凸が比較的大きく、特に骨格稜線付近では、粒状にめっきが成長しているように見えるのに対して、キシレンを含むめっき例4では、表面が非常に滑らかであることがわかる。
[0063]
 図9のアルミニウム多孔体を厚み方向に並行な面で切断した断面を図11に、図10のアルミニウム多孔体の同様の断面を図12に示す。それぞれ、図の上下方向が多孔体の厚み方向であり、点線で囲った上部が表面側、中央部が中心部、下部が裏面側にあたる。なお、実際のめっきにおいて表裏の区別は無く、一方表面を表面、他方表面を裏面と仮に呼ぶ。点線の領域もおよその区別を説明のために付ける意味であって特に境界があるわけではない。ウレタン骨格の断面は、略三角形をなしているため、その表面に形成されたアルミニウム層が略三角形の断面として見えている。図12のキシレン添加浴では、図11に比べて、アルミニウム層が全体に均一に形成されていることが判る。すなわち図12では一つの略三角形断面の各辺をとっても頂部が辺部よりも若干厚みが厚いものの図11に比較して非常に均一である。また多孔体全体の厚み方向の表面側、中心部、裏面側を比較してもめっき厚の差がほとんど無い。これは表面観察では非常に滑らかな骨格表面となっていることに対応している。一方の図11では、略三角断面の頂部付近のめっき厚が非常に厚く、表面観察では、これが粒状の固まりに見えている。また、表面側や裏面側に比べて中心部ではめっき厚が薄い。
[0064]
(実施例3):キシレン同位体の比較
 上記実施例1と同様の手順でアルミニウム多孔体を形成するに際し、キシレンの種類を変えて、めっき表面の観察を行った。EMIC:AlCl :キシレンの比率を変えた3種類のめっき浴を、キシレン同位体のそれぞれについて作成し、めっき後の表面を比較した。結果を表1に示す。ここで、混合キシレンは、実施例1および2で用いたものと同一であり、純度80%以上でo-18%、m-42%、p-25%、残部不純物の構成である。
[0065]
[表1]


[0066]
 表1の評価は、めっき後の表面を目視観察した結果である。良好は、いずれも平滑で均一なめっき表面が確認できたものであり、特にm-体での比率1:2:2~1:2:3(概ね35%~55%)の範囲のものは、他に比べて際だって光沢の良い良好な、すなわち緻密で平滑な表面であることが確認できた。例としてm-キシレン40%にてめっきしたアルミニウム多孔体の写真を図13に示す。一方、m-体の25%のものでは、他に比べてめっきが不均一であった。
[0067]
(アルミニウム多孔体の電池としての評価)
 アルミニウム多孔体の実用上の評価例として電池用電極に用いた場合を、アルミニウム箔を電極とした従来構造との比較で説明する。
[0068]
 正極活物質として平均粒径7μmのLiCoO 、導電助剤としてカーボンブラック、バインダー樹脂としてPVdFを10:1:1(質量比)で混合し、さらに溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンを混合してペーストを作製した。このペーストを、三次元網目構造を有する気孔率約95%のアルミニウム多孔体に充填した後150℃で真空乾燥し、さらに厚みが初期厚みの70%となるまでロールプレスを行って電池用電極材料(正極)を作製した。この電池用電極材料を10mmφに打ち抜き、SUS304製のコイン電池容器にスポット溶接して固定した。正極充填容量は2.4mAhであった。
[0069]
 比較のため、厚み20μmのアルミニウム箔上に上記のLiCoO 、カーボンブラック、PVdF混合ペーストを塗布し、上記と同様に乾燥及びロールプレスを行って電池用電極材料(正極)を作製した。この電池用電極材料を10mmφに打ち抜き、SUS304製のコイン電池容器にスポット溶接して固定した。正極充填容量は、0.24mAhであった。
[0070]
 厚さ25μmのポリプロピレン製の多孔膜をセパレータとして使用し、1M濃度のLiPF を溶解したEC/DEC(体積比1:1)溶液をセパレータに対して0.1ml/cm で滴下し、真空含浸した。負極として、厚さ20μm、11mmφのリチウムアルミニウム箔を用い、コイン電池容器上蓋に接合して固定した。上記の電池用電極材料(正極)、セパレータ、負極をこの順で積層し、バイトンOリングを上蓋と下蓋との間に挟んでかしめ電池を作製した。重放電時の上限電圧を4.2V、下限電圧を3.0Vとし、正極充填容量まで充電後、各放電レートで放電させた。アルミニウム多孔体を正極材料として用いたリチウム二次電池は、従来のアルミニウム箔を電極材料としたものと比較して、レート0.2Cにおいて約5倍の容量であった。
[0071]
 以上の説明は、以下の特徴を含む。
(付記1)
 少なくとも表面が導電化された樹脂成形体に、アルミニウムを第1の溶融塩浴中でめっきした後、アルミニウムめっき層が形成された樹脂成形体を第2の溶融塩に浸漬した状態で、該アルミニウムめっき層に負電位を印加しながらアルミニウムの融点以下の温度に加熱して前記樹脂成形体を分解する、アルミニウム構造体の製造方法。
(付記2)
 前記樹脂成形体は、三次元網目構造を有し連続した気孔を有する発泡樹脂成形体である、付記1に記載のアルミニウム多孔体の製造方法。
(付記3)
 本発明により得られるアルミニウム多孔体のアルミニウム表面に活物質が担持された電極材料。
(付記4)
 付記3に記載の電極材料を、正極、負極の一方又は両方に用いた電池。
(付記5)
 付記3に記載の電極材料を電極として用いた電気二重層コンデンサ。
(付記6)
 本発明により得られるアルミニウム多孔体からなる濾過フィルタ。
(付記7)
 本発明により得られるアルミニウム多孔体の表面に触媒が担持された触媒担体。

産業上の利用可能性

[0072]
 以上の如く本発明によれば、樹脂成形体表面にアルミニウムをめっきした構造体、またそこから樹脂成形体を除去したアルミニウム構造体を得ることができるので、例えばアルミニウム多孔体として電池用電極等の電気材料や、各種濾過用のフィルタ、触媒担体などにおいて、アルミニウムの特性が活かされる場合に広く適用することができる。

符号の説明

[0073]
1 発泡樹脂成形体、 2 導電層、 3 アルミニウムめっき層
11 帯状樹脂、 12 サプライボビン、 13 デフレクタロール、 14 懸濁液15 槽、 16 熱風ノズル、 17 絞りロール、 18 巻取りボビン
21a,21b めっき槽、 22 帯状樹脂、 23,28 めっき浴
24 円筒状電極、 25,27 正電極、 26 電極ローラ
121 正極、 122 負極、 123 セパレータ、 124 押さえ板
125 バネ、 126 押圧部材、 127 ケース、 128 正極端子  
129 負極端子、 130 リード線、 141 分極性電極、 142 セパレータ143 有機電解液、 144 リード線、 145 ケース

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも表面が導電化された樹脂成形体に、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項2]
 前記樹脂成形体は、三次元網目構造を有する樹脂多孔体である、請求項1に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項3]
 前記溶融塩浴は、イミダゾリウム塩浴である、請求項1または2に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項4]
 前記溶融塩浴は、有機溶媒を添加したイミダゾリウム塩浴である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項5]
 前記有機溶媒の添加は、めっき浴全体の25~57mol%である、請求項4に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項6]
 前記有機溶媒がキシレンである、請求項4または5に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項7]
 前記キシレンがm-キシレンであり、該キシレンの添加量がめっき浴全体の35~57mol%である、請求項6に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項8]
 前記めっきする工程に次いで前記有機溶媒を洗浄液として用いる洗浄工程をさらに有する、請求項4に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項9]
 前記溶融塩浴は、無機塩浴である、請求項1または2に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項10]
 前記めっきする工程の後に、さらに前記樹脂成形体を除去する工程を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項11]
 前記導電化された樹脂成形体は、樹脂成形体表面にカーボン粒子が付着しており溶融塩浴中でのめっきが可能な導電状態とされている、請求項1~10のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項12]
 前記樹脂成形体は、ウレタンまたはメラミンである、請求項1~11のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
[請求項13]
 請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたアルミニウム構造体。
[請求項14]
 金属層として1μm~100μmの厚さのアルミニウム層からなるアルミニウム構造体であって、該金属層は、アルミニウムの純度98.0%以上、カーボン含有量1.0%以上2%以下、残部不可避不純物からなるアルミニウム構造体。
[請求項15]
 さらに前記金属層を表面に備えた樹脂成形体を有する、請求項14に記載のアルミニウム構造体。
[請求項16]
 前記アルミニウム層が筒状の骨格構造をなし、全体として連続した気孔を有する多孔体を形成してなる、請求項13または14に記載のアルミニウム構造体。
[請求項17]
 前記骨格構造が略三角断面形状をなし、該三角の辺の中央部分のアルミニウム層の厚さが該三角の頂点の部分のアルミニウム層の厚さよりも厚い形状である、請求項13~16のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]