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1. WO2011129389 - 周波数オフセット推定方法および周波数オフセット推定装置

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明 細 書

発明の名称 周波数オフセット推定方法および周波数オフセット推定装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

非特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

産業上の利用可能性

0051  

符号の説明

0052  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 周波数オフセット推定方法および周波数オフセット推定装置

技術分野

[0001]
 本発明は、ディジタルコヒーレント光受信機、及び無線通信受信機に係り、特に、周波数オフセット推定方法および周波数オフセット推定装置に関する。
 本願は、2010年4月16日に日本へ出願された日本特願2010-094968号に対して優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 光通信の分野において、周波数利用効率を飛躍的に向上する同期検波方式とディジタル信号処理とを組み合わせたディジタルコヒーレント通信システムが注目されている。直接検波により構築されていたシステムと比較すると、ディジタルコヒーレント通信システムは、受信感度を向上することができるだけでなく、受信機が送信機からの信号をディジタル信号として受信することで、光ファイバ伝送によって受ける波長分散や、偏波モード分散による送信信号の波形歪みを補償することができることが知られている。このため、ディジタルコヒーレント通信システムは、次世代の光通信技術として導入が検討されている。
[0003]
 コヒーレント受信機において受信された信号光は、局部発振光と掛け合わされてベースバンド信号に変換される。信号光の搬送波や、局部発振光を生成するレーザ発振器は、無線通信用の発振器で一般に用いられている位相同期ループによる周波数安定化が困難であり、送信機のレーザ発振器の出力周波数と受信機のレーザ発振器の出力周波数との間に大きな周波数オフセットを生じる。実際の光通信システムにおいて、周波数オフセットは、±5GHzに達する。コヒーレント通信システムでは、搬送波の位相に情報を乗せているため、受信機において周波数オフセットを推定し、補償する必要がある。
[0004]
 また、無線通信においては、送信機と受信機に用いている基準発振器の発振周波数の誤差や、送信機と受信機の移動に伴うドップラーシフトにより周波数オフセットを生じる。この場合も、受信機において周波数オフセットを推定し、補償する必要がある。
 周波数オフセットを推定するには、非特許文献1に記載されているような1シンボル周期の期間におけるシンボルの位相変化情報を利用する位相増加アルゴリズムを用いる方法が知られている。しかし、この方法では、推定できる周波数オフセットの範囲が限定される。
 一方、特許文献1には、OFDM(直交周波数分割多重)信号について、周波数スペクトルの形状を利用して周波数オフセットを推定する方法が記載されている。この場合には、推定できる周波数オフセットの範囲を位相増加アルゴリズムに比べて広くすることができる。
[0005]
 図10は、従来の周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。図10において、周波数オフセット推定装置104は、直並列変換回路5、離散フーリエ変換回路(DFT)6、重心算出回路7により構成される。また、周波数オフセット推定装置104の周辺回路として、第1のA/D変換器1、第2のA/D変換器2、合成回路3が周波数オフセット推定装置104に接続されている。
[0006]
 受信信号の同相成分(I信号)は、第1のA/D変換器1によりアナログ-ディジタル変換され、受信信号の直交成分(Q信号)は、第2のA/D変換器2によりアナログ-ディジタル変換され、その後、アナログ-ディジタル変換された信号は合成回路3でI+jQの複素数の信号に変換される。合成回路3の出力信号は、周波数オフセット推定装置104に入力される。
[0007]
 図11、図12は、各々、従来の周波数オフセット推定装置104の動作を示す概念図である。図11、図12は、離散フーリエ変換回路6の出力信号であり、受信信号の周波数スペクトルを表している。図11は、周波数オフセットがないときの周波数スペクトルを表し、図12は、周波数オフセットがあるときの周波数スペクトルを表している。離散フーリエ変換の周波数番号を(1,2,…,N )、周波数番号iの周波数成分の信号電力をP 、基準周波数に相当する周波数番号をCとし、Cは、例えば、N /2に選ぶ。このとき、周波数オフセットに比例した信号δW/W を次式(1)で得る。
[0008]
[数1]


先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 日本特許第3649560号公報

非特許文献

[0010]
非特許文献1 : Andreas Leven et al., “Frequency estimation in intradyne reception,” IEEE Photonics Technology Letters, volume 19, pp. 366-368, March 2007.

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 しかしながら、数式(1)により周波数オフセットを算出する従来の周波数オフセット推定方法を、ハードウェアのデジタルシグナルプロセッサ(DSP)に実装する場合、除算演算の回路規模が大きくなるという問題がある。
 一般に、周波数オフセット推定方法をDSPに実装する際に、除算器に浮動小数点演算を用いた場合には、固定小数点演算に比べて著しく回路規模が増大し、計算速度も遅くなるため、固定小数点演算を行う必要がある。固定小数点演算は、割る数が2のべき乗であれば、ビットシフトのみの簡単な演算で処理できるが、割る数が2のべき乗以外の場合には、複雑な演算となる。
[0012]
 特に、割る数のダイナミックレンジが大きい場合、オーバーフローや、アンダーフローを生じさせないことと、演算精度を高く取ることとを両立させるような小数点の位置を決めることが困難であり、余裕を持った桁取りを行うと、回路規模が大きくなる。
 数式(1)の分母は、入力信号の周波数成分の電力の和であり、通信システムにより定まる入力信号電力のダイナミックレンジに対応して、様々な実数の値を取るため、回路規模が大きくなるという問題がある。
[0013]
 本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、周波数スペクトルの形状を利用して周波数オフセットを算出する際に、除算演算の割る数を2のべき乗、または限定された範囲の整数値にすることができるため、ハードウェア化した場合の回路規模を小さくすることができる周波数オフセット推定方法および周波数オフセット推定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0014]
 上述した課題を解決するために、本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、前記周波数スペクトルの平均電力を算出するステップと、前記平均電力、または前記平均電力を定数倍した電力に、所定の値を加算してしきい値を算出するステップと、前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップとを含む周波数オフセット推定方法である。
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、前記周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替えるステップと、前記並べ替えられた周波数成分のうちの特定の順位の電力値または特定の順位の電力値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算してしきい値を算出するステップと、前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップとを含む周波数オフセット推定方法である。
[0015]
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、前記周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替えるステップと、前記並べ替えられた複数個の周波数成分の電力の算術平均によりしきい値を算出するステップと、前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップとを含む周波数オフセット推定方法である。
[0016]
 本発明において、前記しきい値を算出するステップは、N =2 であり、また、k=0,1,2,…,m-1であるとき、N 個の周波数成分を電力の大きさで降順に並べ替えたときの先頭から2 番目の電力値と(2 +1)番目との電力値の平均値を前記しきい値とするようにしても良い。
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、予め設定されたしきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップとを含む周波数オフセット推定方法である。
[0017]
 また、上述した課題を解決するために、本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの平均電力を算出する平均電力算出部と、前記平均電力算出部により算出された前記平均電力、または前記平均電力を定数倍した電力に、所定の値を加算してしきい値を算出するしきい値電力算出部と、前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部とを備える周波数オフセット推定装置である。
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替える電力値整列部と、前記電力値整列部により並べ替えられた前記周波数成分のうちの特定の順位の電力値または特定の順位の電力値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算してしきい値を算出するしきい値電力算出部と、前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部とを備える周波数オフセット推定装置である。
[0018]
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替える電力値整列部と、前記電力値整列部により並べ替えられた複数個の周波数成分の電力の算術平均によりしきい値を算出するしきい値電力算出部と、前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部とを備える周波数オフセット推定装置である。
[0019]
 本発明において、前記しきい値電力算出部は、N =2 であり、また、k=0,1,2,…,m-1であるとき、N 個の周波数成分を電力の大きさで降順に並べ替えたときの先頭から2 番目の電力値と(2 +1)番目との電力値の平均値を前記しきい値とするようにしても良い。
 本発明は、受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、予め設定されたしきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部とを備える周波数オフセット推定装置である。

発明の効果

[0020]
 この発明によれば、周波数スペクトルの形状を利用して周波数オフセットを算出する回路をハードウェア化した場合の回路規模を小さくすることができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 本発明の第1実施形態による周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。
[図2] 本第1実施形態の動作を示し、周波数オフセットがないときの周波数スペクトルを示す概念図である。
[図3] 本第1実施形態の動作を示し、周波数オフセットがあるときの周波数スペクトルを示す概念図である。
[図4] 本第1実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。
[図5] 本第1実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。
[図6] 本第1実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。
[図7] 本発明の第2実施形態による周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。
[図8] 本第2実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。
[図9] 本第2実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。
[図10] 従来の周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。
[図11] 従来の周波数オフセット推定装置の動作を示す概念図である。
[図12] 従来の周波数オフセット推定装置の動作を示す概念図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一の(または対応する)構成には同一の符号を用いている。
 本発明の各実施形態では、周波数スペクトルの形状を利用して周波数オフセットを算出する際に、予め閾値電力を決めて、閾値電力と各周波数成分の信号電力を比較することで、各周波数成分の信号電力を1ビット量子化し、量子化された信号電力から重心周波数を求めることを特徴とする。これにより、重心周波数は、周波数オフセットに等しくなるので、周波数オフセットの推定が可能になるという効果を奏する。また、重心を演算(除算)する際の分母が1からN までの整数値になるので回路規模を小さくすることが可能になるという効果を奏する。また、閾値電力を求める際に、中央値(median)を用いることで、除算の分母を2のべき乗とすることができるので、大幅に回路規模を削減することが可能になる。以下、これらの特徴についてさらに詳細に説明する。
[0023]
A.第1実施形態
 図1は、本発明の第1実施形態による周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。図1において、周波数オフセット推定装置4は、直並列変換回路5、離散フーリエ変換回路(DFT)6、平均電力算出回路9、しきい値電力算出回路10、1ビット量子化器11、重心算出回路7により構成される。また、周波数オフセット推定装置4の周辺回路として、第1のA/D変換器1、第2のA/D変換器2、合成回路3が周波数オフセット推定装置4に接続されている。
[0024]
 周波数オフセット推定装置4に入力された信号は、1つの入力ポートとN 個の出力ポートとを持つ直並列変換回路5により直並列変換された後に、離散フーリエ変換回路6により所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号が離散フーリエ変換され、N 個の周波数成分を持つ周波数スペクトルが出力される。離散フーリエ変換のサイズN は、一般に、2のべき乗の整数である。離散フーリエ変換(DFT)を実行するためのアルゴリズムとしては、高速フーリエ変換(FFT)などを用いることができる。
[0025]
 離散フーリエ変換回路6の出力信号は、2分岐されて、一方は1ビット量子化器11に入力され、他方は平均電力算出回路9に入力される。この平均電力算出回路9では、離散フーリエ変換回路6により出力される周波数スペクトルの平均電力を算出する。しきい値電力算出回路10では、この平均電力を元にして、しきい値電力を算出する。1ビット量子化器11は、このしきい値電力を用いて離散フーリエ変換回路6の出力信号を1ビット量子化する。1ビット量子化器11はコンパレータとして動作する。重心算出回路7は、各周波数成分の周波数と1ビット量子化された各周波数成分の電力とに基づいて重心周波数(本第1実施形態では周波数オフセットに等しい)を算出する。
[0026]
 図2は、第1実施形態の動作を示し、周波数オフセットがないときの周波数スペクトルを示す概念図である。図3は、本第1実施形態の動作を示し、周波数オフセットがあるときの周波数スペクトルを示す概念図である。図2、図3は、共に離散フーリエ変換回路6の出力信号と1ビット量子化器11の出力信号であり、受信信号の周波数スペクトルと1ビット量子化した周波数スペクトルを表している。
[0027]
 離散フーリエ変換回路6の出力信号である周波数スペクトルのうち、周波数f(i)の周波数成分の信号電力をP(i)、平均電力算出回路9で算出される平均電力をP AVE、しきい値電力算出回路10で算出されるしきい値電力をP TH、1ビット量子化器11の出力信号のうち、周波数f(i)の周波数成分の信号電力をP (i)とすると、P AVE、P TH、及びP (i)は、次式(2)、(3)、(4)となる。
[0028]
[数2]


[0029]
[数3]


[0030]
[数4]


[0031]
 この場合の重心周波数f CGは、次式(5)で与えられる。
[0032]
[数5]


[0033]
 但し、
[0034]
[数6]


[0035]
 F は、サンプリング周波数である。iは、1からN までの整数値を取る変数であり、数式(6)により周波数f(i)は、(-1/2+1/N )F から1/2F までの値を取る。周波数スペクトルが中央の周波数に関して対称であれば、数式(5)は、ほぼ0となる。
[0036]
 今、周波数f(i)の周波数成分の信号電力は、P(i)であり、周波数オフセットΔfが加えられた場合の周波数スペクトルにおいては、(f(i)+Δf)の周波数成分の信号電力がP(i)となる。また、この関係は、1ビット量子化後も保持される。従って、周波数オフセットΔfがある場合の重心周波数f CGは次式(7)となる。
[0037]
[数7]


[0038]
 すなわち、重心周波数f CGは、周波数オフセットΔfに等しくなる。本第1実施形態では、平均電力を算出する数式(2)の分母N は、2のべき乗であるため、回路規模を小さくすることができる。しきい値電力を算出する数式(3)は、平均電力または平均電力を定数倍した電力に予め定められた値を加算する演算であり、除算が不要であるため、回路規模は、小さくできる。
[0039]
 また、重心周波数f CGを算出する数式(5)の分母は、周波数スペクトルの形状や、入力信号電力の大小にかかわらず、1からN までの範囲の整数値に限定されるため、回路規模を小さくすることができる。
 図4ないし図6は、本第1実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。図4は、シンボルレート31.5GHzのQPSK(四位相偏移変調)変調信号に5GHzの周波数オフセットを与えた時の周波数スペクトルである。図5は、平均電力をしきい値として1ビット量子化した時の周波数スペクトルであり、周波数オフセットに対応して周波数スペクトルが中心から右にシフトしていることが分かる。
[0040]
 図6では、周波数オフセットの設定値を横軸にとり、本第1実施形態による周波数オフセット推定結果を縦軸にとって、シミュレーション結果をプロットしている。1ビット量子化による演算量削減を行っても、周波数オフセットを精度良く推定できていることが分かる。
 なお、上述した第1実施形態において、第1のA/D変換器1、及び第2のA/D変換器2に入力される受信信号の変調方式は、OFDMであっても、シングルキャリア変調であってもよい。
[0041]
B.第2実施形態
 次に、本発明の第2実施形態について説明する。
 図7は、本発明の第2実施形態による周波数オフセット推定装置の構成例を示すブロック図である。図7において、参照符号12は電力値整列回路である。電力値整列回路12では、出力される周波数スペクトルの周波数成分毎の電力を大きさの昇順、または降順に並べ替える。しきい値電力算出回路10では、並べ替えられた電力値のうち、予め定めた順番の電力値を用いてしきい値を算出する。
[0042]
 例えば、周波数スペクトルの周波数成分の個数をN 、1以上N 以下の任意の整数をkとし、周波数成分を電力の大きさで昇順または降順に並べたときに、先頭からk番目の値またはk番目の値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算して得られる値をしきい値電力に設定することができる。すなわち、しきい値電力は、受信信号電力と相関を持った値に設定すれば良く、第1実施形態では平均電力、本第2実施形態では周波数スペクトルの周波数成分の値を元に算出している。
[0043]
 特に、N 個の周波数成分を電力の大きさで降順に並べ替えたときの先頭からN /2番目の電力値と(N /2+1)番目との電力値の平均値、すなわち中央値(median)を1ビット量子化器11が用いるしきい値電力P THとした場合、数式(4)の右辺の1と0は等しい個数となり、N /2個ずつとなる。従って、数式(5)の分母は、N /2となり、この値は2のべき乗であるため、回路規模を大幅に削減することができる。
[0044]
 同様に、N 個の周波数成分を降順に並べ替えたときの先頭からN /4番目の電力値と(N /4+1)番目との電力値の平均値を1ビット量子化器11が用いるしきい値電力P THとした場合、数式(4)の右辺の1はN /4個、0は3N /4個となる。従って、数式(5)の分母は、N /4となり、この値も2のべき乗であるため、回路規模を大幅に削減することができる。
[0045]
 すなわち、N =2 であり、また、k=0,1,2,…,m-1であるとき、周波数成分を電力の大きさの降順に並べ替えたときの先頭から2 番目の電力値と(2 +1)番目との電力値の平均値をしきい値とすれば、数式(5)の分母は、2のべき乗となり、回路規模を大幅に削減することができる。kの値の選択は、変調方式や、伝送路の帯域制限素子によって定まる周波数スペクトルの形状に合わせて選択すればよい。
[0046]
 図8、図9は、本第2実施形態の動作をシミュレーションした結果を示す概念図である。図8には、シンボルレート31.5GHzのQPSK変調信号に5GHzの周波数オフセットを与え、中央値をしきい値として1ビット量子化したときの周波数スペクトルを示し、周波数オフセットに対応して周波数スペクトルが中心から右にシフトしていることが分かる。図9では、周波数オフセットの設定値を横軸にとり、本第2実施形態による周波数オフセット推定結果を縦軸にとって、シミュレーション結果をプロットしており、周波数オフセットを精度良く推定できていることが分かる。
[0047]
 また、第1、及び第2の実施形態の説明において、周波数オフセット推定には、離散フーリエ変換後の周波数スペクトルの周波数成分をすべて用いて重心を算出することとしていた。しかし、要求される推定精度と回路規模とのトレードオフにより、周波数成分を数個おきに間引いて重心を算出することも可能である。
[0048]
 また、周波数オフセット推定装置4,4aに入力される信号レベルが常に一定であるように、自動利得制御回路などの他の回路で制御されていれば、しきい値電力を予め設定しておき、運用中は変更せずに動作させることが可能である。この場合、数式(3)の定数aを0とし、瞬時的な受信信号電力とは無関係な定数bのみでしきい値電力を決めれば良い。定数bは、受信信号電力が変動する場合と同様に、周波数オフセット推定装置4,4aに入力される電力またはこの電力を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算して得られる値や、周波数スペクトルの周波数成分を電力の大きさで昇順または降順に並べたときに、先頭からk番目の値またはk番目の値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算して得られる値から決めることができる。
 なお、この場合、図1に示した平均電力算出回路9およびしきい値電力算出回路10、ならびに、図7に示した電力値整列回路12およびしきい値電力算出回路10は省略することができる。すなわち、1ビット量子化器11は、予め設定されたしきい値電力を用いて離散フーリエ変換回路6の出力信号を1ビット量子化する。
[0049]
 以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、周波数スペクトルの形状を利用する周波数オフセット推定方法において除算演算の割る数を2のべき乗、または限定された範囲の整数値にすることができるため、ハードウェア化した場合の回路規模を小さくできる。
[0050]
 以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等(構成の付加、省略、置換、およびその他の変更)も含まれる。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。

産業上の利用可能性

[0051]
 本発明は、例えば、ディジタルコヒーレント光受信機や無線通信受信機に利用することができる。本発明によれば、周波数スペクトルの形状を利用して周波数オフセットを算出する回路をハードウェア化した場合の回路規模を小さくすることができる。

符号の説明

[0052]
 1 第1のA/D変換器
 2 第2のA/D変換器
 3 合成回路
 4 周波数オフセット推定装置
 5 直並列変換回路
 6 離散フーリエ変換回路(DFT)
 7 重心算出回路
 9 平均電力算出回路
 10 しきい値電力算出回路
 11 1ビット量子化器
 12 電力値整列回路

請求の範囲

[請求項1]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、
 前記周波数スペクトルの平均電力を算出するステップと、
 前記平均電力、または前記平均電力を定数倍した電力に、所定の値を加算してしきい値を算出するステップと、
 前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、
 前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップと
 を含む周波数オフセット推定方法。
[請求項2]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、
 前記周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替えるステップと、
 前記並べ替えられた周波数成分のうちの特定の順位の電力値または特定の順位の電力値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算してしきい値を算出するステップと、
 前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、
 前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップと
 を含む周波数オフセット推定方法。
[請求項3]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、
 前記周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替えるステップと、
 前記並べ替えられた複数個の周波数成分の電力の算術平均によりしきい値を算出するステップと、
 前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、
 前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップと
 を含む周波数オフセット推定方法。
[請求項4]
 前記しきい値を算出するステップは、
 N =2 であり、また、k=0,1,2,…,m-1であるとき、N 個の周波数成分を電力の大きさで降順に並べ替えたときの先頭から2 番目の電力値と(2 +1)番目との電力値の平均値を前記しきい値とする請求項3に記載の周波数オフセット推定方法。
[請求項5]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定方法であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力するステップと、
 予め設定されたしきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化するステップと、
 前記各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出するステップと
 を含む周波数オフセット推定方法。
[請求項6]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの平均電力を算出する平均電力算出部と、
 前記平均電力算出部により算出された前記平均電力、または前記平均電力を定数倍した電力に、所定の値を加算してしきい値を算出するしきい値電力算出部と、
 前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部と
 を備える周波数オフセット推定装置。
[請求項7]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替える電力値整列部と、
 前記電力値整列部により並べ替えられた前記周波数成分のうちの特定の順位の電力値または特定の順位の電力値を定数倍した電力にあらかじめ定められた値を加算してしきい値を算出するしきい値電力算出部と、
 前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部と
 を備える周波数オフセット推定装置。
[請求項8]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの複数個の周波数成分をその電力の大きさで順に並べ替える電力値整列部と、
 前記電力値整列部により並べ替えられた複数個の周波数成分の電力の算術平均によりしきい値を算出するしきい値電力算出部と、
 前記しきい値電力算出部により算出された前記しきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部と
 を備える周波数オフセット推定装置。
[請求項9]
 前記しきい値電力算出部は、
 N =2 であり、また、k=0,1,2,…,m-1であるとき、N 個の周波数成分を電力の大きさで降順に並べ替えたときの先頭から2 番目の電力値と(2 +1)番目との電力値の平均値を前記しきい値とする請求項8に記載の周波数オフセット推定装置。
[請求項10]
 受信信号の搬送波周波数と局部発振器の出力信号の周波数との差を推定する周波数オフセット推定装置であって、
 所定のサンプリング周波数で予めサンプリングされた受信信号を離散フーリエ変換し、複数個の周波数成分を持つ周波数スペクトルを出力する離散フーリエ変換部と、
 予め設定されたしきい値に基づいて、前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力を1ビット量子化する1ビット量子化部と、
 前記離散フーリエ変換部により変換された周波数スペクトルの各周波数成分の周波数と前記1ビット量子化部により1ビット量子化された各周波数成分の電力とを掛け合わせ、この掛け合わせた積の和を求め、この積の和を前記1ビット量子化された前記周波数スペクトルの各周波数成分の電力の和で除算して重心周波数を算出する重心算出部と
 を備える周波数オフセット推定装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]