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1. WO2011129121 - 発電装置および集電システム

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明 細 書

発明の名称 発電装置および集電システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1A   1B   1C   2A   2B   3A   3B   4   5A   5B   6A   6B   6C  

明 細 書

発明の名称 : 発電装置および集電システム

技術分野

[0001]
 本発明は発電装置および集電システムに関し、特には動物を動力として発電する発電装置と、この発電装置で発電した電気を収集する集電システムに関する。

背景技術

[0002]
 近年、CO2削減の一手段として、自然エネルギーを利用した発電装置に対する関心が一層高まっている。自然エネルギーを利用した発電装置としては、太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置、潮力発電装置などが知られているが、比較的大規模な装置を必要とするものが多い。一方で、環境発電もしくはパワーハーベスティングと呼ばれる、人間の運動や車の移動による振動、排熱など、環境に存在するエネルギーを用いた発電方法を実現した発電装置が注目されている。例えば、特許文献1には、音の振動エネルギーで圧電素子を駆動して発電する発電装置が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2006-166694号公報
特許文献2 : 特開2008-232127号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 このような、環境に存在するエネルギーとして、動物、特に家畜の運動に伴うエネルギーを利用することが考えられる。しかし、従来は、家畜を動力として利用する発電装置としては、発電機の回転軸を回転させる機構を家畜に取り付け、家畜を強制的に歩かせるなどして回転軸を回転させるといった、動力源としてのみ家畜を利用するための装置が提案されているに過ぎなかった(特許文献2)。
[0005]
 特許文献2で提案されているような発電装置は、家畜の自然な運動を利用するのではなく、田畑を耕すために牛馬に鋤を引かせたり、荷車を引かせたりすることと同様、ある目的を達成するために、特定の個体に特定の動作を強いるものである。このような、特定の個体に対して特定の運動を行わせる方法では、例えば農場で放牧されている牛が自発的に(自然に)行う採食行動などの行為に伴う運動エネルギーを利用することができない。
[0006]
 本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、動物の自発的な行動に伴う運動エネルギーを用いて発電を行うことの可能な発電装置を提供する。また、本発明は、本発明に係る発電装置で発電した電気を収集する集電システムを提供する。

課題を解決するための手段

[0007]
 すなわち、本発明の一見地によれば、動物を動力として発電する発電装置であって、動物が自発的に動かす部位の変位を電気エネルギーに変換する機械電気変換機構と、機械電気変換機構が変換した電気エネルギーを蓄積する蓄積手段と、を有することを特徴とする発電装置が提供される。
[0008]
 また、本発明の別の見地によれば、蓄積手段が蓄積した電気エネルギーを外部に出力するための給電手段をさらに有する本発明の発電装置と、給電手段から電気エネルギーを受信する受電手段と、受電手段が受信した電気エネルギーを蓄積する集電手段と、を有することを特徴とする集電システムが提供される。

発明の効果

[0009]
 このような構成により、本発明によれば、動物の自然な行動に伴う運動エネルギーを用いた発電が可能な発電装置を実現することができる。
[0010]
 本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。

図面の簡単な説明

[0011]
 添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
[図1A] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置の機構を口輪に適用した場合の構成例を模式的に示す図である。
[図1B] 図1Aに示す口輪100を牛に取り付けた状態を模式的に示す図である。
[図1C] 図1Aに示す口輪100を牛に取り付けた状態を模式的に示す図である。
[図2A] 図1Aの口輪100を上方から見た構成例を示す図である。
[図2B] 発電モジュール40の機能構成例を示すブロック図である。
[図3A] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置から集電する集電システムにおける電力授受に関する構成例を模式的に示す図である。
[図3B] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置から集電する集電システムにおける電力授受に関する構成例を模式的に示す図である。
[図4] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置の変形例を示す図である。
[図5A] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置の別の変形例を示す図である。
[図5B] 本発明の第1の実施形態に係る発電装置の別の変形例を示す図である。
[図6A] 本発明の第2の実施形態に係る発電装置の機構を口輪に適用した場合の構成例を模式的に示す図である。
[図6B] 図6Aの変形例を模式的に示す図である。
[図6C] 図6Bの構成において圧電素子が変形する様子を模式的に示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、添付図面を参照して、本発明の好適かつ例示的な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態においては、本発明に係る発電装置を好適に適用可能な動物の一例としての牛に関して説明するが、本発明に係る発電装置を適用可能な動物は牛に限定されない。原理的には、採食時の口の運動や首の上下運動、呼吸運動などを自然な行動において行う任意の動物に対して適用可能である。
[0013]
 (第1の実施形態)
 図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る発電装置の機構を口輪に適用した場合の構成例を模式的に示す図である。
 本発明に係る発電装置は、発電機として機械電気変換機構を用いるが、本実施形態では機械電気変換機構としてダイナモあるいはオルタネータを利用して発電する。また、動物が自発的に行う運動の一例としての採食時(反芻時を含む)の口の運動に伴う、口の変位を用いてダイナモあるいはオルタネータのロータを回転させて発電を行う。ただし、動物が自発的に行う運動としては、採食時の口の運動に限らず、採食時の首の運動、移動に伴う足の運動、呼吸時の腹部や胸部の運動など、自発的に行う任意の運動であってよい。
[0014]
 なお、本明細書において機械電気変換機構とは、動物の部位の移動、回転といった機械的な変位を電気エネルギーに変換することの可能な機構を意味する。本実施形態では、口の運動に伴う口(あご)の変位により、ダイナモあるいはオルタネータのロータを回転させ、回転量に応じた電気エネルギーを発生させる。
[0015]
 図1Aにおいて、口輪100は、弾性を有する短冊状の材料、例えば金属を輪状に成型した本体10を有する。本体10は端部10a及び10bが相対的に移動可能に、また一部重複するように構成されている。端部10a及び10bは重複部分が増減する方向に相対的に移動可能であり、ストッパ12およびガイド15(図2A参照)は、端部10a及び10bの相対的な移動方向と範囲を制限するために設けられている。また、端部10bの外周面にはラック11が形成されている。
[0016]
 ギア20は平歯車又はピニオンギアであり、ラック11とかみ合うように構成されている。ギア20の軸21は端部10bの移動によって回転するように任意の位置に取り付けられる。ギア20の軸21は図示しない発電モジュールに含まれる発電機の回転軸を回転させる動力を与える。軸21が発電機の回転軸そのものであってもよいし、軸21の回転を増速または減速するための他のギアを介して発電機の回転軸に動力を与えてもよい。
[0017]
 復元機構30は本体10の外周面上であって、本体10の径が最小となった場合でも重複部分とならない、かつストッパ12を挟んでギア20と対向する位置に設けられている。復元機構30は、牛が口を開けることにより押し広げられた本体10の径を元に戻す(小さくする)ために、端部10bを復元機構30側(図中矢印B方向)に付勢する機構である。
[0018]
 本実施形態において復元機構30は、一端が本体の端部10bの先端13に接続されたワイヤ31の他端を、図示しない渦巻バネの力で矢印Bの方向に付勢する。復元機構30は所謂スプリング式オートリールのように、ワイヤ31の他端が巻き付けられた回転部材を備え、回転部材の回転軸が渦巻バネによって付勢される構成を有することができる。従って、本体10が牛の口によって押し広げられる力によって渦巻バネが巻締められ、牛の口が閉じて本体10を押し広げる力がなくなると、渦巻バネの復元力により回転部材がワイヤ31を巻き取るように回転し、端部10bを矢印Bの方向へ引き戻す。
[0019]
 口輪100を動物、ここでは牛に取り付ける場合、咀嚼時に口を開く力が口輪100の本体10を押し広げるように(本体10の径が増加するように)、牛の鼻先を中空部5から出して取り付ける。また、専ら端部10bの移動により口輪100の径が増加するよう、端部10aを他のハーネスに固定するなどして、端部10aを牛の口の周りの所定位置に固定することが好ましい。なお、口輪100が閉じた状態(径が最小の状態)において、牛の口周りを必要以上に締め付けないように本体10の径を調整することが好ましい。
[0020]
 図1B及び図1Cに、口輪100を牛に取り付けた状態を模式的に示す。図1Bは口が閉じた状態、図1Cは口が開いた状態をそれぞれ示している。
[0021]
 図2Aは、口輪100を上方から見た状態を模式的に示している。図2Aの状態は、口輪100の径が最大になった状態である。上述の通り、口輪100の端部10a及び10bの相対的な移動可能方向と範囲は、ストッパ12とガイド15によって制限されている。ガイド15は端部10bに設けられた溝であり、ストッパ12はガイド15を貫通して端部10aに固定されている。ストッパ12は水平断面がガイド15の幅(図面左右方向の長さ)に近い径を有する円筒形状を有し、ガイド15に沿って移動可能である。点線で示した位置が、口輪100の最小径の状態に相当する。
[0022]
 ガイド15の長さは、口輪100を取り付ける動物の採食時における口の動きに応じて決定することが好ましい。ガイド15の長さが短すぎると、動物の採食行動を妨げることになるので、少なくともガイド15の長さは、口輪を取り付ける動物の採食行動時の口の周囲長の最大変化量以上であることが好ましい。
[0023]
 牛の採食時の口周りの長さの変化を測定したところ、約3~5cmであったため、牛に取り付ける口輪100の場合、ガイド15の長さは少なくも5cmであることが好ましい。もちろんこれは一例であり、ガイド15の長さを限定する意図はない。
[0024]
 ギア20の軸21には、発電モジュール40が接続されている。発電モジュール40は、例えば図2Aに示すように、端部10aの外周面の一部を側方に拡張して配置してもよいし、他の場所に配置してもよい。例えば、ギア20の上方に配置してもよい。この場合、発電モジュール40のケースにギア20が取り付けられるようにし、ギア20の軸21の動力を他のギアを介して発電機に伝達するように構成すればよい。発電モジュール40の配置位置によらず、実際にはギア20、発電モジュール40およびラック11の部分は耐候性を有するカバーで覆うことが好ましい。
[0025]
 図2Bに示すように、発電モジュール40は、発電機42と、整流回路44と、蓄電回路46とを有している。上述のように、本実施形態では発電機42としてダイナモ(DC出力)あるいはオルタネータ(3相交流出力)を用いるが、発電効率の点からオルタネータを用いることが好ましい。なお、本実施形態においては、市販の所謂手回し発電機に用いられるような小型のオルタネータを好適に用いることができる。
[0026]
 整流回路44は、発電機42が出力する電圧を整流して同極性の直流電圧を出力する回路である。公知の全波整流回路を用いることができる。また、整流回路44は、レギュレータや平滑回路を有していてもよい。
[0027]
 蓄電回路46は、整流回路44の出力する直流電圧を電荷として蓄積する回路である。蓄電回路46としては、二次電池やキャパシタを用いることができるが、例えば電気二重層キャパシタのように容量の大きなキャパシタを好適に使用することができる。
[0028]
 牛が、閉じた口を開け始めると、口輪100には、内側(中空部5)から上下方向に押し広げる力が加わる。これにより、可動部である端部10a及び10bが相対的に移動して口輪100の径を大きくする。端部10bが移動する際、ラック11が図1Aの矢印A方向に移動し、ギア20を矢印A’の方向に回転させる。これにより、発電モジュール40内の発電機42が発電し、蓄電回路46に蓄電される。端部10bの移動量が大きくほどギア20の回転量、すなわち発電量が増加するため、上述のように端部10aが移動しないように口輪100を取り付けることが好ましい。また、口輪100の径を拡大させる力は同時に、復元機構30に含まれる渦巻バネを巻締める。
[0029]
 口輪100の径の拡大は、牛が口を開けきるか、ストッパ12で制限された拡大量に達した時点で止まる。そして、牛が口を閉じ始めると、口輪100の径を増加させる力が加わらなくなり、復元機構30の渦巻バネがワイヤ31を巻き戻す力が、口輪100の径を元に戻し始める(減少させ始める)。端部10bがワイヤ31により矢印Bの方向に引き戻される際に、ラック11がギア20を矢印B’の方向(径の増大時とは逆方向)に回転させる。これにより、発電モジュール40内の発電機42が発電し、蓄電回路46に蓄電される。
[0030]
 このように、口輪100の径が増加する場合と減少する場合の両方において、ラック11によりギア20を回転させるので、効率よく発電することができる。例えば牛のような反芻動物の場合、咀嚼回数は一日あたり数万回に上るため、1回あたりの発電量が小さくても、十分な蓄電効果が期待できる。
[0031]
 また、牛の場合、反芻はおおむね1回/秒の頻度であるため、消費電力が1回の反芻の発電量未満の回路であれば継続して動作させることが可能である。例えば、2V程度の動作電圧で、平均2~3mA(4~6mW)の消費電力で動作するIEEE802.15.4(PAN)の無線モジュールなどは、十分に動作させることが可能である。そのため、本実施形態の発電装置を、牛の状態を遠隔的に監視するために牛に取り付ける発振器などの電力供給に用いることで、従来必要だった電池交換の作業が不要になるほか、電池切れにより情報取得が不能になるといった問題を解決することが可能になる。
[0032]
 また、蓄電回路46に蓄積された電荷を、特定の場所で収集するようにして、集電システムを構築してもよい。例えば放牧されている牛に発電装置を取り付けた場合、牛舎や水飲み場のように牛が集まる場所に電力収集装置を設け、牛舎に戻ってきた牛の発電装置の蓄電回路46から電荷を取り出してより大容量の蓄電回路に蓄電するようにしてもよい。この場合、蓄電回路46には電荷を外部から読み出すための端子などを設ける。
[0033]
 図3A及び図3Bは、このような集電システムにおいて、電力収集をえさ場や水飲み場で行う場合の電力授受に関する構成例を模式的に示す図である。図3Aに示すように、水桶や飼い葉桶などの縁に集電機構の受電電極505を配置し、牛の首輪の下部に設けた給電電極501が、牛が首を下げた際に受電電極505と導通する仕組みである。給電電極501には蓄電回路46が配線502を通じて接続されており、給電電極501と受電電極505とが導通すると、蓄電回路46に蓄積された電荷が給電電極501および受電電極505を通じて集電部503へ供給される。集電部503には例えば複数の受電電極505が接続されており、各受電電極505から供給された電荷を例えば大容量のキャパシタに蓄えたり、二次電池の充電に用いたり、他の機器の電源として用いたりすることができる。集電部503の構成は収集した電荷の用途に応じて適宜定めることができ、また任意かつ周知の構成を利用可能であるため、詳細な説明は省略する。
[0034]
 図3Bは、給電電極501及び受電電極505の構成例を模式的に示す図である。ここでは、給電電極501と受電電極505とが磁力で接着した際に、各電極に設けられた端子が接触して導通する構成を有する例を示す。矩形状の給電電極501は対向する2辺の端部に1組の磁石5011および5012を有する。また、給電電極501の略中央には1組の板状の給電端子5013および5014が設けられ、蓄電回路46と接続されている。
[0035]
 受電電極505も給電電極501と類似の構成を有し、1組の磁石5051および5052と1組の受電端子5053および5054を備える。受電端子5053および5054は集電部503と接続されている。受電端子5053および5054は、多少の位置ずれがあっても給電端子5013および5014と接触できるよう、幅の広い形状を有している。
[0036]
 牛が桶の中の水や飼い葉を口にするために首を下げると、首輪の下部に下向きに設けられた給電電極501が、桶の縁上に設けられた受電電極505に接近し、磁石5011と5051、5012と5052とが磁力で接着する。これにより、給電端子5013および5014が受電端子5053および5054と接触し、蓄電回路46から集電部503へ電荷が供給される。なお、牛が首を下げた際に、給電電極501と受電電極505とが正しく接着するよう、桶の縁に仕切を設け、牛が首を下げることのできる位置を限定するように桶を構成することもできる。
[0037]
 なお、図3A及び図3Bに示す構成は給電側、集電側とも一例であり、電力の送受信に用いられている一般的な構成を用いることが可能である。例えば、携帯電子機器や電気シェーバーなどで用いられている、電磁誘導や電磁共鳴を利用した非接触の給電/受電回路を用いてもよい。この場合、給電側回路は蓄電回路46の電力を用いて動作することが可能であるが、消費電力を低減するため、受電回路と電力搬送が可能な距離まで近接した状態で動作を開始するように構成することが好ましい。受電回路との近接を検出するための構成はやはり消費電力を抑える観点から機械式であることが好ましく、近接時に押下されてONとなる物理的なスイッチや、近接時に磁力によってONするスイッチなどを利用することができる。
[0038]
 また、ここでは牛が首を下げる状況で集電するために首輪に給電電極501を設けたが、特定の場所において牛の特定部位の位置が限定できる場合、その特定部位に給電電極を設け、対向する位置に受電電極を設けることができる。
[0039]
 なお、蓄電回路46の出力電圧がある程度に達するまでは電力供給が安定せず、またギア20を回転させるためのトルクも大きいため、蓄電回路46にある程度蓄電した状態から使用開始することが望ましい場合もある。
[0040]
(変形例1)
 図4は、本実施形態の変形例の1つに係る発電装置200を模式的に示す図である。本変形例は、採食時の口の動きに伴うエネルギーではなく、採食時の首の動きに伴うエネルギーを利用して発電を行うものである。
[0041]
 発電モジュール40の構成は共通で良い。発電モジュール40内の発電機42のロータを回転させるための機構が、ギア20とラック11の組み合わせではなく、略円筒状の回転部材25と、回転部材25の外周に巻き付けたワイヤ23であること、復元機構30が回転部材25の軸22を直接巻き戻すことが上述の構成と異なる。
[0042]
 本変形例では、発電装置200を例えば牛の背中などの固定位置にハーネス等により取り付け、ワイヤ23の端部を移動部位である首に首輪50等により取り付ける。牛が採食のために移動し、首を下げると、その力でワイヤ23が矢印方向に引っ張られ、ワイヤ23が巻き付けられた回転部材25が回転する。
[0043]
 回転部材25の軸22の一方は発電モジュール40内の発電機42のロータ(図示せず)を回転させ、軸22の他方は復元機構30内の図示しない渦巻バネを巻締める。首の上下運動は反芻動作のようには多くないが、首の上下運動によるワイヤ23の移動量は大きいので、1回の動作での発電量が大きくなる。また、首の上下運動による力は反芻の力よりも大きいので、発電機42として用いるダイナモあるいはオルタネータ(並びに蓄電回路46)を、より多くのトルクが必要なやや大型のものとしてもよい。それにより、発電量をさらに大きくすることが可能となる。ただし、復元機構30によりワイヤ23を巻き取る際に必要なトルクも大きくなるので、必要に応じて復元機構30が有する渦巻バネをより力の強いものに変更するなどの対策を考慮する。
[0044]
 牛が首を持ち上がるとワイヤ23を引き出す方向の力がかからなくなり、復元機構30が有する渦巻バネによって回転部材25の軸22が回転し、ワイヤ23を巻き取る。この際にも軸22の回転により発電機42のロータが回転し、発電が行われる。
[0045]
 なお、この変形例に係る構成は、ワイヤ23を引き出す方向の力を取り出せればよいため、背中と首の組み合わせに限らず、尻尾と背中など、任意の可動部位にワイヤ23の先端をとりつけ、任意の固定部位に発電装置200を取り付けることが可能である。
[0046]
(変形例2)
 図5A及び図5Bは、本実施形態の別の変形例を示す図であり、図5Aは正面図、図5Bは要部の上面図である。
 本変形例は図1Aの構成と図4の構成の一部を組み合わせたものである。すなわち、変形例1における発電装置200と類似の構成を有する発電モジュール200’を、図1Aと同様の輪状の本体10の、外周面上に配置する。そして、回転部材25に一端が巻き付けられたワイヤ23’が、動物の口の変位による本体10の径の変化(増大)により回転部材25から引き出されるように、ワイヤ23’の他端を本体10の外周面上に固定する。
[0047]
 具体的には、図5A及び図5Bの例では、本体10の、端部を挟んで発電モジュール200’と対向する端部10bの外周面上にワイヤガイド26を設け、ワイヤ23’をワイヤガイド26の外周に沿って折り返し、本体10の端部10aの外周面上の所定位置(ここでは発電モジュール200’内の所定位置)24に固定している。
[0048]
 ワイヤガイド26は、ワイヤ23’が外周面に沿って滑らかに移動可能なように、外周面の少なくともワイヤ23’が接する部分は曲面で形成されている。ワイヤガイド26は例えば円柱状のポストのような固定部材であっても良いし、滑車のように、回転可能な部材であってもよい。図5A及び図5Bの例では、ワイヤガイド26が回転可能な部材である場合の例を示している。
[0049]
 なお、ワイヤガイド26を用いてワイヤ23’の他端を折り返さず、図1Aに示したように本体10の端部10bの先端13に接続した構成であってもよい。ただし、ワイヤ23’を折り返すことにより、端部10aと10bの相対的な移動量の2倍に相当するワイヤ23’の移動量を得ることが出来るため、ロータの回転量を増加させることができ、発電効率を高めることができる。
[0050]
 以上説明したように、本実施形態によれば、家畜などの動物が自然に(自主的に)行う行動に伴う運動エネルギーを動力として発電機を動作させるので、動物に特定の行動を強いる必要が無く、また不特定多数の動物を利用して発電することが可能である。
[0051]
(第2の実施形態)
 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、機械電気変換機構として圧電素子を用いることを特徴とする。
 図6Aは、本実施形態に係る発電装置の構成例を示す正面図である。図1Aに示した第1の実施形態の構成と共通する要素には同じ参照数字を付し、重複する説明は省略する。
[0052]
 図1Aと図6Aとの比較からわかるように、本実施形態の発電装置は第1の実施形態と同様に口輪300の形態を有しており、動物の採食時の口の運動に伴うエネルギーを利用してギア20を回転させる点において共通している。
[0053]
 本実施形態では、ギア20の軸に小径のギア27が取り付けられるとともに、ギア27の歯の先端と端部がわずかに接触するように片持ち梁に形成された(カンチレバー構造を有する)圧電素子28を有し、発電機42を備えない点で第1の実施形態と異なる。
[0054]
 周知の通り、圧電素子は圧電体を用いた受動素子であり、圧電体に与えられた応力に応じた電圧を出力する。本実施形態では、片持ち梁に形成した圧電素子28の可動端を、ギア20の回転に伴って繰り返し上方あるいは下方に撓ませるための機構として、ギア20と同軸のギア27を設けている。圧電素子28の固定端は、例えばギア20、ギア27およびラック11の部分を覆い、本体10(例えば端部10a)に固定されるカバー(図示せず)に固定されてよい。このように、本実施形態では、口の変位によりギア20(ギア27)を介して間接的に圧電素子28を変形させる。
[0055]
 ギア27はその歯の先端で圧電素子28の可動端に上方または下方への応力を与え、圧電素子28の撓みが所定の大きさに達すると圧電素子28の可動端を解放し、撓みのない状態へ戻す。ギア20の回転に伴ってギア27の歯が圧電素子28の可動端への応力付与と解放とを間欠的に繰り返し行うことで、圧電素子28からギア20(27)の回転量に応じた電圧が取り出され、蓄電部60に蓄電される。圧電素子28の1回あたりの撓み量はギア27の歯が圧電素子28の可動端と(応力を与えずに)接した際の歯と圧電素子との重複領域の大きさによって決まる。撓み量が大きくなるようにギア27と圧電素子28との位置関係を決定すると、ギア27(ギア20)を回転させるために必要なトルクが大きくなること、圧電素子28の弾性限界を超える撓み量を与えると圧電素子28が破損することを勘案して適宜定めることができる。
[0056]
 また、圧電素子28は例えば弾性を有する基材(金属板や樹脂フィルム)の両面に圧電体が取り付けられた構造を有するものであってよい。また、圧電素子28の厚みや剛性などは、圧電素子28の自由端が解放されて振動した際に共振するように設定することで、圧電素子28の変形量を大きくすることができ、発電効率を向上させることができる。
[0057]
 蓄電部60は圧電素子28が発生する電圧を整流して蓄電する。整流回路44は例えば全波ブリッジ整流回路であってよく、蓄電回路46はキャパシタであってよい。
[0058]
 口輪300の取り付け方法や、取り付けた動物の口の動きに伴うギア20の回転動作に関しては第1の実施形態で説明した通りであるため、説明を省略する。本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図6Aにおいては便宜上、圧電素子28を1つ用いた構成について説明したが、ギア20の裏側にも同様のギア27を設けることで、2つの圧電素子28を並列に配置することも可能である。また、図6Aに圧電素子28’として示すように、固定端を別の位置に取り付けることで、より多くの圧電素子を設けることもできる。
[0059]
(変形例1)
 図6Bは、本発明の第2の実施形態に係る発電装置の変形例を示す図である。図6Bに示す発電装置も、圧電素子を用いて発電する点においては図6Aの構成と共通であるが、他の構成において異なる。
[0060]
 まず、本体10’は、切れ目のないリング形状を有している。また、ラック11を有する形態(第1の実施形態(図1A)及び第2の実施形態(図6A))では、口の運動による力が、効率よく端部10a及び10bを移動させるよう、本体10は金属など比較的剛性および弾性の高い素材で形成されていた。一方、本変形例では、口の運動による力で、本体10’に両端部を固定された圧電素子28を直接的に撓ませる構成であるため、ゴム状の材質のように撓んだり延びたりする材質で本体10を形成する。
[0061]
 また、圧電素子28は、片持ち梁に形成されるのではなく、両端をワイヤ状の取り付け部材29で本体10’に固定され、かつ本体10’の外周に複数配置される。なお、本体10’の撓みが圧電素子28に効率よく伝達されるよう、取り付け部材29には引っ張り剛性の高い素材を用いる。図6Bの例では、本体10’の外周全体にわたって圧電素子28が設けられた例を示している(点線は圧電素子28が同様に配置されていることを示す)が、例えば上あごの上面と下あごの下面に接する部分にのみ圧電素子28を配置するなど、必ずしも全周にわたって圧電素子28を取り付ける必要はない。
[0062]
 なお、蓄電部60は図2Aにおける発電モジュール40のように、本体10’の一部を拡張した領域に配置しても良いし、本体とは別にハーネスの所定位置に取り付けてもよい。
[0063]
 第1の実施形態と同様、中空部5から口が出るように口輪300を取り付ける。動物(例えば牛が口を開けると、図6Cに示すように、口の動きによって本体10’及び圧電素子28が変形し、圧電素子28から電圧が発生する。なお、圧電素子28の変形は撓みだけでなく延びであってもよいことは言うまでもない。本変形例によっても、第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0064]
(変形例2)
 本実施形態の構成においても、第1の実施形態の変形例1(図4)と同様の構成を適用することができる。
[0065]
(他の実施形態)
 上述の実施形態では、採食時の口の動きや首の動きを動力として発電する構成を説明したが、例えば呼吸に伴う腹や胸の運動を動力とする場合、例えば輪上の本体10や10’を動物の胴回りに取り付けることにより、同様の効果が期待できる。
 また、図4に示した構成において、ワイヤ23の他端を首以外の部位、例えば足や尻尾など他の部位に取り付けても同様の効果が期待できる。
[0066]
 なお、上述の実施形態においては、機械電気変換機構としてダイナモ、オルタネータ、圧電素子などを例示したが、他の周知の機械電気変換機構を用いることが可能であることは言うまでもない。例えば、エレクトレット発電機を機械電気変換機構として用い、動物の部位の移動、回転といった機械的な変位で、エレクトレット電極又は対向電極を移動させるように構成してもよい。
 例えば、第1の実施形態の構成において、エレクトレット発電機の一方の電極を端部10a側に取り付け、他方の電極を端部10b側に取り付けることにより、電極を相対的に双方向に移動させて発電することができる。
[0067]
 あるいは、第2の実施形態の構成において、圧電素子28の代わりに、エレクトレット発電機モジュール(振動発電機モジュール)を用いる構成としてもよい。例えば、図2Aにおいて、金属片のような弾性板上にエレクトレット半電気モジュールを配置した素子を圧電素子28と同様に片持ち梁状に支持し、可動端にギア27で上方または下方への応力を与えて弾くことで、振動発電機モジュールを振動させる。振動発電機モジュールの出力は圧電素子28の出力と同様、整流回路44に入力すればよい。振動発電機モジュールには適した振動数があるため、振動発電機モジュールの配置位置や弾性板の剛性、長さなどを調整し、振動発電機モジュールが適切な振動数で振動するように構成することが望ましい。
[0068]
 本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
[0069]
 本願は、2010年4月16日提出の日本国特許出願特願2010-095231を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。

請求の範囲

[請求項1]
 動物を動力として発電する発電装置であって、
 動物が自発的に動かす部位の変位を電気エネルギーに変換する機械電気変換機構と、
 前記機械電気変換機構が変換した電気エネルギーを蓄積する蓄積手段と、
を有することを特徴とする発電装置。
[請求項2]
 前記機械電気変換機構が、前記変位によりロータが回転するダイナモあるいはオルタネータを有することを特徴とする請求項1記載の発電装置。
[請求項3]
 前記機械電気変換機構が、
 前記変位により端部が移動して径が変化する輪状の本体であって、外周面にラックが形成された本体と、
 前記本体の径の変化による前記ラックの移動によって回転し、前記ダイナモあるいはオルタネータのロータを回転させるギアと、
を有することを特徴とする請求項2記載の発電装置。
[請求項4]
 前記機械電気変換機構が、
 前記変位により端部が移動して径が変化する輪状の本体と、
 一端が前記ダイナモあるいはオルタネータのロータを回転させる部材に巻き付けられたワイヤと、
 前記本体の径の増大によって前記ワイヤを引き出す引き出し手段と、
 前記引き出し手段により引き出された前記ワイヤを前記部材に巻き戻す復元手段とを有し、
 前記引き出し手段が、
 前記ワイヤの他端を、前記端部を挟んで前記部材と対向する前記本体の外周面上に固定する手段、もしくは
 前記端部を挟んで前記部材と対向する前記本体の外周面上に設けられたワイヤガイドと、前記ワイヤの他端を、前記ワイヤガイドの外周面に沿って折り返し、前記端部を挟んで前記ワイヤガイドと対向する前記本体の外周面上に固定する手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の発電装置。
[請求項5]
 前記輪状の本体が前記動物の口輪として形成され、前記動物の口の運動に伴う口の変位により前記端部が移動して前記径が変化することを特徴とする請求項3記載の発電装置。
[請求項6]
 前記機械電気変換機構が、
 前記動物の固定位置に取り付けられるダイナモあるいはオルタネータと、
 一端を前記部位に接続され、他端が前記ダイナモあるいはオルタネータのロータを回転させる部材に巻き付けられたワイヤと、
 前記部材から引き出された前記ワイヤを前記部材に巻き戻す復元手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の発電装置。
[請求項7]
 前記機械電気変換機構が、前記変位により直接的又は間接的に変形する圧電素子を有することを特徴とする請求項1記載の発電装置。
[請求項8]
 前記変位によって端部が移動して径が変化する輪状の本体であって、外周面にラックが形成された本体と、
 前記本体の径の変化による前記ラックの移動によって回転するギアとを有し、
 前記圧電素子が片持ち梁に形成され、前記ギアが前記回転に伴って前記圧電素子の可動端を間欠的に撓ませることを特徴とする請求項7記載の発電装置。
[請求項9]
 前記変位によって変形する輪状の本体と、
 前記圧電素子が、その両端部を前記本体の外周面に取り付けられ、前記本体の変形に応じて変形することを特徴とする請求項7記載の発電装置。
[請求項10]
 前記蓄積手段が蓄積した電気エネルギーを外部に出力するための給電手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の発電装置。
[請求項11]
 請求項10記載の発電装置と、
 前記給電手段から前記電気エネルギーを受信する受電手段と、
 前記受電手段が受信した電気エネルギーを蓄積する集電手段と、
を有することを特徴とする集電システム。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 1C]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]