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1. (WO2011128933) 画像ベクトル化装置、画像ベクトル化方法及び画像ベクトル化プログラム
Document

明 細 書

発明の名称 画像ベクトル化装置、画像ベクトル化方法及び画像ベクトル化プログラム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

非特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

産業上の利用可能性

0043  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 画像ベクトル化装置、画像ベクトル化方法及び画像ベクトル化プログラム

技術分野

[0001]
 この発明は、例えば、ラスタ画像をベクトル画像フォーマットに変換する画像ベクトル化装置、画像ベクトル化方法及び画像ベクトル化プログラムに関する。

背景技術

[0002]
 以下、本発明の「ベクトル画像」とは、画像を点、線及び面で表現し、またその色情報をパラメトリックな方程式で表現した画像のことを指す物とする。ここで、「点」とは2次元座標値、3次元座標値又はより一般的に表現したN次元座標値のことを指す。「線」とは2つの点を結ぶ直線又は曲線のことを指す。また、「面」とは複数の線で囲まれた領域のことを指す。また、「ラスタ画像」とは色のついた点の集合で表現された画像を指すものとする。また、「画像ベクトル化」とは、ラスタ画像をベクトル画像に変換することを指すものとする。
[0003]
 従来、画像編集を容易にしたり、画像を拡大・縮小しても画像中の形がぼけたり崩れたりしないようにすることを目的として、画像ベクトル化の手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。図13に、非特許文献1の手法による画像ベクトル化の例を示す。図13(a),(b)の各グラフにおいて、横軸に画像座標を示し、縦軸に画素値(色情報)を示す。なお、説明簡略化のために2次元の画像座標を1次元の画像座標で表現している。図13(a)のように、ラスタ画像の画素値にノイズが無い場合は滑らかな双3次曲面Lで各画素値を近似することで、画像ベクトル化を実現する。図13(a)中に破線で囲った部分は、色が大きく変化する箇所であり、例えば物体のエッジ(輪郭)に相当する。

先行技術文献

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : Jian Sun et al.,“Image Vectorization using Optimized Gradient Meshes”,ACM Transactions on Graphics(TOG) archive, Vol.26,Issue 3,July 2007,Proceedings of ACM SIGGRAPH 2007

発明の概要

[0005]
 しかしながら、非特許文献1に記載の画像ベクトル化方式では、入力されたラスタ画像を忠実に再現するように画像ベクトル化を実施していたため、ラスタ画像中に存在するノイズまでも忠実に再現してしまうという課題があった。このため、例えば図13(b)に示すように、ラスタ画像にノイズが付与されている場合には、ノイズの画素値Zまでも忠実に再現しようとしてしまうため、ノイズに影響を受けた画素値の近似曲面L’を再現してしまった。
[0006]
 また、非特許文献1に記載の画像ベクトル化方式では、物体のエッジが明確に撮像されていることが画像ベクトル化の前提となっていた。そのため、物体のエッジがぼやけているラスタ画像の場合でも、そのエッジを強調して画像ベクトル化するというような処理は無かった。
[0007]
 この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ノイズを含むラスタ画像に対しても、ノイズに影響されずに自動で画像ベクトル化を実施する画像ベクトル化装置、画像ベクトル化方法及び画像ベクトル化プログラムを得ることを目的とする。
[0008]
 この発明の画像ベクトル化装置は、所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習部と、サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを保持する画像ベクトル化パターンデータベースと、画像ベクトル化パターンデータベースが保持するサンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行部とを備えるものである。
[0009]
 また、この発明の画像ベクトル化方法は、所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習ステップと、サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行ステップとを備えるものである。
[0010]
 また、この発明の画像ベクトル化プログラムは、所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習手順と、サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行手順とをコンピュータに実行させるものである。
[0011]
 この発明によれば、サンプル用のラスタ画像を用いて画像ベクトル化の方策を予め学習しておくことにより、ノイズを含むラスタ画像に対しても、ノイズに影響されずに自動で画像ベクトル化を実施することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] この発明の実施の形態1に係る画像ベクトル化装置の構成を示すブロック図である。
[図2] 実施の形態1に係る画像ベクトル化装置の、画像ベクトル化学習部の動作を示すフローチャートである。
[図3] 画像ベクトル化学習部の変換処理を示し、図3(a)が変換前のラスタ画像、図3(b)が変換後のベクトル画像である。
[図4] 画像に定義した局所座標系の一例を示す図である。
[図5] 画像ベクトル化学習部による、ノイズが付加されたラスタ画像を画像ベクトル化する例を示す図である。
[図6] 画像ベクトル化パターンデータベースの構成を示すブロック図である。
[図7] 実施の形態1に係る画像ベクトル化装置の、画像ベクトル化実行部の動作を示すフローチャートである。
[図8] 画像ベクトル化実行部による画像特徴量の算出例を示す図である。
[図9] 画像ベクトル化実行部により選択された候補ベクトル画像とその候補確率を示す図である。
[図10] 画像ベクトル化実行部によるベクトル画像の選択方法を示す図である。
[図11] 画像ベクトル化実行部による注目部分領域と周辺部分領域の境界の整合性の算出方法の例を示す図である。
[図12] 画像ベクトル化実行部による候補ベクトル画像の変形処理の例を示す図である。
[図13] 非特許文献1による画像ベクトル化方式を説明する図であり、図12(a)はノイズのないラスタ画像の場合、図12(b)はノイズを含むラスタ画像の場合を示す。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
 図1に示す画像ベクトル化装置1は、画像ベクトル化の方策を学習するためのサンプルとなる複数のラスタ画像を保存するラスタ画像データベース2と、サンプルのラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習部3と、サンプルのラスタ画像とベクトル画像のペアを保存する画像ベクトル化パターンデータベース4と、画像ベクトル化パターンデータベース4を利用して入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行部5から構成される。
[0014]
 図1の例では、画像ベクトル化装置1の構成要素であるラスタ画像データベース2、画像ベクトル化学習部3、画像ベクトル化パターンデータベース4、画像ベクトル化実行部5のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、MPU(Micro Processing Unit)を実装している半導体集積回路基板)で構成されているものを想定する。ただし、画像ベクトル化装置1をコンピュータで構成してもよく、その場合、ラスタ画像データベース2、画像ベクトル化学習部3、画像ベクトル化パターンデータベース4、画像ベクトル化実行部5の処理内容を記述している画像ベクトル化プログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)が当該メモリに格納されている画像ベクトル化プログラムを実行する。
[0015]
 次に、画像ベクトル化装置1の動作を説明する。先ず、図2のフローチャートを用いて画像ベクトル化装置1の前半処理を説明する。
 ステップST1において、画像ベクトル化学習部3は、ラスタ画像データベース2に保存された複数のラスタ画像を取得し、取得したラスタ画像をベクトル画像に変換する。
[0016]
 図3は、画像ベクトル化学習部3の変換処理を説明する図であり、変換前のラスタ画像Iを図3(a)に示し、変換後の画像ベクトルVを図3(b)に示す。画像ベクトル化学習部3は、ラスタ画像データベース2からN×Mピクセルの大きさをもつラスタ画像Iを取得して、既存の画像処理機能等を利用して操作者の指示によりベクトル画像Vに変換することにより、画像ベクトル化の方策を予め学習する。
 例えば図3のラスタ画像Iはぼやけているため、エッジ位置には曖昧さが存在する。そこで、例えば操作者の判断により、ラスタ画像Iを点P1,P2,P3,P4から成る面A1と、点P2,P5,P3,P6から成る面A2とで構成されるベクトル画像Vに変換する。この変換処理により、ラスタ画像Iのエッジ位置は点P2,P3から構成される曲線であるという情報が、ベクトル画像Vに保持されることになり、エッジ判定のレベルを予め学習できる。
[0017]
 ここで、図3に示す面A1の色情報及び輝度情報の表現方法の例を説明する。図4は、画像に定義した局所座標系の一例を示す図であり、点P1を原点P0(0,0)とした面A1の局所座標系(U,V)を示す。図において、uとvは0から1の間をとる実数パラメータとし、点P2の座標は(u=1,v=0)、点P3の座標は(u=1,v=1)、点P4の座標は(u=0,v=1)と定義する。このとき、面A1内の任意の点P(u,v)における色、輝度等の情報は、任意のパラメトリックな関数F(u,v)により表現することができる。
[0018]
 ここで、関数F(u,v)としては、例えば先立って説明した非特許文献1に記載の「Ferguson patch」を利用してもよいし、急峻なエッジを表現可能な下式(1)のシグモイド関数により表現してもよい。
  F(u,v)=1/{1+exp(a×u+b×v+c)}   (1)
 ここで、a,b,cは定数であり、ユーザが任意に指定してよい。
[0019]
 また、画像ベクトル化学習部3は、操作者の判断等により、入力されたラスタ画像のノイズを除去して、ベクトル画像を生成してもよい。これにより、ノイズレベルを予め学習できる。
 図5に、ノイズが付加されたラスタ画像を画像ベクトル化する例を示す。図5において、横軸に画像座標を示し、縦軸に画素値(輝度情報)を示す。なお、説明簡略化のために2次元の画像座標を1次元の画像座標で表現している。画像内にノイズが加算された輝度値Zがある場合に、操作者等がこの輝度値Zをノイズだと判断して無視するよう指示し、画像ベクトル化学習部3はノイズと判断された輝度値Z以外の各輝度値を滑らかにつなぐ近似曲面Lを算出する。
[0020]
 続くステップST2において、画像ベクトル化学習部3は、ラスタ画像データベース2から取得したサンプル用のラスタ画像から画像特徴量を算出する。
 画像特徴量としては、ラスタ画像に含まれる輝度値、色のヒストグラム、エッジのヒストグラム、色とエッジの相関関数等、任意とする。また、HOG(Histogram of Oriented Gradients)、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)等のラスタ画像の局所特徴量を算出するようにしてもよい。
[0021]
 続くステップST3において、画像ベクトル化学習部3は、サンプル用のラスタ画像から抽出した画像特徴量と、そのラスタ画像を画像ベクトル化したベクトル画像とをペアにして、画像ベクトル化パターンデータベース4に記録させる。
 図6は、画像ベクトル化パターンデータベース4の構成を示すブロック図である。画像ベクトル化学習部3は、例えばラスタ画像Ij(j=1,・・・,N)をラスタ画像データベース2から取得して、このラスタ画像Ijについて画像特徴量Fjを算出し、かつ、ベクトル画像Vjを生成し、これら画像特徴量Fj及びベクトル画像Vjのペアを画像ベクトル化パターンとして画像ベクトル化パターンデータベース4に保存させる。
[0022]
 以上のステップST1~ST3において、画像ベクトル化学習部3が、ラスタ画像データベース2のサンプルのラスタ画像を画像ベクトル化して画像ベクトル化パターンデータベース4に保存させることで、ノイズ及びエッジの判定を含む、画像ベクトル化の方策の情報を学習する。
[0023]
 次に、図7のフローチャートを用いて画像ベクトル化装置1の後半処理を説明する。
 先ず、ステップST11において、画像ベクトル化実行部5は、入力としてラスタ画像を取得する。ここで、取得するラスタ画像は任意のサイズでよい。
[0024]
 続くステップST12において、画像ベクトル化実行部5は、取得したラスタ画像を部分領域に分割する。図8(a)に画像ベクトル化実行部5が取得したラスタ画像Iの一例を示し、図8(b)に部分領域の分割例を示す。図8の例では、画像ベクトル化実行部5が、入力されたラスタ画像Iを細かい長方形の領域に等分割する。なお、部分領域の大きさ及び形状は任意とし、部分領域から画像特徴量を取得できる程度の大きさであればよい。
[0025]
 続くステップST13において、画像ベクトル化実行部5は、ラスタ画像の各部分領域から、各々の画像特徴量を算出する。画像ベクトル化実行部5は、例えば図8(c)に示すように、i番目の部分領域Riから画像特徴量Kiを算出する。ここで、画像特徴量Kiとしては、前述のステップST2で算出したサンプルの画像特徴量Fjと同様の情報を算出するものとする。
 画像ベクトル化実行部5はステップST13において、ラスタ画像Iの全ての部分領域に対して同様の処理を繰り返す。
[0026]
 続くステップST14において、画像ベクトル化実行部5は、各部分領域の画像特徴量を用いて画像ベクトル化パターンデータベース4を探索し、各部分領域に適合した複数のサンプルのベクトル画像を候補ベクトル画像として抽出し、さらに各候補ベクトル画像の候補確率を算出する。
[0027]
 ここで、図8及び図9を用いて、ステップST14の処理を説明する。
 画像ベクトル化実行部5は、図8に示すi番目の部分領域Riから算出した画像特徴量Kiを用いて、画像ベクトル化パターンデータベース4に保存されたN個の画像特徴量Fj(j=1,・・・,N)と画像特徴量Kiとの距離d(i,j)を計算し、距離d(i,j)が一定値よりも小さくなるような画像特徴量Fjとペアになったベクトル画像Vjを画像ベクトル化パターンデータベース4から取得して、部分領域Riの候補ベクトル画像にする。また、画像ベクトル化実行部5は、この距離d(i,j)から各々の候補ベクトル画像の候補確率p(i,j)を算出する。
[0028]
 画像特徴量Ki,Fj間の距離d(i,j)の算出方法としては、例えばKi,Fjが1次元の配列で与えられている場合、KiとFjのユークリッド距離、KiとFjのベクトル内積、KiとFjの正規化相互関数等を算出する方法がある。あるいは、画像特徴量Ki,Fjが色のヒストグラムの場合には、「Bhattacharya距離」により距離d(i,j)を算出してもよい。
[0029]
 また、候補確率p(i,j)の算出方法としては、例えば距離d(i,j)を用いて、下式(2)のように算出する方法がある。
  p(i,j)=a’×exp{-b’×d(i,j)×d(i,j)}  (2)
 ここで、a’は規格化のための定数、b’はユーザが決定する正の定数である。候補確率p(i,j)が大きいほど、部分領域Riに対して画像ベクトルVjが相応しいことを示す。画像ベクトル化実行部5は、図8(c)に示す部分領域Riに対して、図9に示す3つの候補ベクトル画像V1,V2,V3を得ると共に、各々の候補確率も得る。
[0030]
 続くステップST15において、画像ベクトル化実行部5は、複数の候補ベクトル画像と各候補確率を用いて、周辺部分領域との整合性を取りながら、ステップST14で求めた候補ベクトル画像を変形して、ステップST12で分割した各部分領域のベクトル画像を求める。
[0031]
 ここで、図10~図12を用いて、ステップST15の処理を説明する。
 先ず、画像ベクトル化実行部5は、各部分領域において、候補ベクトル画像の候補確率が最大となるような候補ベクトル画像を1つ選択して、各部分領域の画像ベクトルの初期値として割り当てておく。図10(a)の例では、注目する部分領域Riの周辺部分領域である部分領域Sk(k=1,2)におけるベクトル画像が既に得られていると仮定する。また、この図10の注目部分領域Riには、図9に示す3つの候補ベクトル画像Vj(j=1,2,3)が得られているものとする。
[0032]
 この場合、画像ベクトル化実行部5は、例えば次のように周辺部分領域Sk(k=1,2)との整合性を取りながら、注目部分領域Riに最も適したベクトル画像を候補ベクトル画像Vjの中から選択する。
[0033]
 先ず、図11を用いて、候補ベクトル画像Vjと周辺部分領域Skとの整合性の算出方法の例を説明する。
 図11に示すように、注目部分領域Riの候補ベクトル画像Vjの上側の境界領域をY1、左側の境界領域をY2、周辺部分領域S1の下側の境界領域をW1、周辺部分領域S2の右側の境界領域をW2とする。このとき、画像ベクトル化実行部5は、下式(3)のように候補ベクトル画像Vjと周辺部分領域Skとの境界誤差f(j)を計算する。
  f(j)=(W1の画素値-Y1の画素値)×(W1の画素値-Y1の画素値)
      +(W2の画素値-Y2の画素値)×(W2の画素値-Y2の画素値)
                                  (3)
 ここで、例えばW1の画素値とは、周辺部分領域S1の位置に相当するベクトル画像の境界領域W1において生成される画素値(即ち、ステップST2で算出する画像特徴量)のことを指す。W2,Y1,Y2についても同様である。
[0034]
 上式(3)において、境界誤差f(j)が小さな値になる場合、候補ベクトル画像Vjと、周辺部分領域Skに初期値として設定された候補ベクトル画像との画素値の差が小さいことを示している。従って、注目部分領域Riの候補ベクトル画像Vjと周辺部分領域Skの候補ベクトル画像との連続性が大きく、整合性が取れているといえる。他方、境界誤差f(j)が大きな値になる場合、注目部分領域Riの候補ベクトル画像Vjと周辺部分領域Skの候補ベクトル画像とが不連続になっている可能性が大きく、整合性が取れていないといえる。
[0035]
 続いて、画像ベクトル化実行部5は、注目部分領域Riの全ての候補ベクトル画像Vjに対して境界誤差f(j)を求めた後、下式(4)に定めるコスト関数E(j|i)を最大化するような変数j(候補ベクトル画像のインデックス)を求め、その変数jの候補ベクトル画像Vjを注目部分領域Riのベクトル画像として採用する。
  E(j|i)=p(i,j)×q(j)        (4)
  q(j)=a’’×exp{-b’’×f(j)}   (5)
 ここで、p(i,j)は上述のステップST14で画像ベクトル化実行部5が求めた各々の候補ベクトル画像の候補確率である。また、q(j)は境界の連続性を表現した確率であり、上式(5)のように定める。a’’は規格化定数、b’’はユーザが設定する正の定数である。また、コスト関数E(j|i)は、変数jの関数であり、この例ではjは図9に示す1,2,3のいずれかである。
[0036]
 コスト関数E(j|i)を最大化して、注目部分領域Riのベクトル画像を選択することには次のような利点がある。
 仮に単純に、注目部分領域Riに最も相応しい候補ベクトル画像を求めたい場合には、注目部分領域Riの候補ベクトル画像の候補確率p(i,j)が最大になるような候補画像ベクトルVjを求めればよい。しかし、この方法では、注目部分領域Riの周辺部分領域Skとの境界が不連続になり、周辺部分領域Skとの整合性を表現した確率q(j)が小さな値をとるため、結果としてコスト関数E(j|i)は小さな値をとる。
 即ち、コスト関数E(j|i)を最大化することで、注目部分領域Riにおける候補ベクトル画像Vjの適合度(候補確率p(i,j)で表す)を考慮し、かつ、周辺部分領域Skとの整合性(確率q(j)で表す)を考慮しながら、注目部分領域Riに対応するベクトル画像を求めることができる。よって、各部分領域の境界領域が連続するように、ラスタ画像を画像ベクトル化することができるという利点がある。
[0037]
 また、画像ベクトル化実行部5は、コスト関数E(j|i)を最大化するような候補ベクトル画像を選択した後、そのベクトル画像を補正し、周辺部分領域Skとの整合性をより正確にしてもよい。図12にベクトル画像の補正方法の例を示す。図12(a)に示すように、注目部分領域Riの線L1とその周辺部分領域Skの線L2とで、境界領域においてわずかな差異があった場合、画像ベクトル化実行部5は、図12(b)に示すように注目部分領域Riの線L1を変形して、周辺部分領域Skとの整合性をとってもよい。
[0038]
 画像ベクトル化実行部5はステップST15において、ラスタ画像Iの全ての部分領域Ri(j=1,・・・,N)に対して同様の処理を繰り返し、各部分領域Riに適切なベクトル画像を求める。
 全ての部分領域Riに関してコスト関数E(j|i)の最大化を順次実施するために、画像ベクトル化実行部5が例えば、ビリーフプロパゲーション等のイタレーションによる最適化手法で、全ての部分領域Riに対して満遍なくコスト関数E(j|i)を最大化するようにして、各部分領域Riのベクトル画像を求めてもよい。
[0039]
 続くステップST16において、画像ベクトル化実行部5は、上記ステップST11で取得したラスタ画像Iの各部分領域Riに対して選択した各ベクトル画像を結合して、ベクトル画像Vを出力する。
[0040]
 以上より、実施の形態1によれば、画像ベクトル化装置1は、サンプル用のラスタ画像を保持するラスタ画像データベース2と、所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換すると共にその画像特徴量を算出する画像ベクトル化学習部3と、その画像特徴量とベクトル画像のペアを保持する画像ベクトル化パターンデータベース4と、入力されたラスタ画像の画像特徴量に適合する画像特徴量を画像ベクトル化パターンデータベース4から探索し、探索した画像特徴量とペアになったベクトル画像を入力されたラスタ画像のベクトル画像として選択する画像ベクトル化実行部5とを備える構成にした。このため、事前に画像ベクトル化パターンデータベース4を作成することで、どの程度のノイズを除去しておくのかという情報、画像のどの部分をエッジとみなすのかという情報等、画像ベクトル化の方策をパターン化して保持することができるようになり、よって、ノイズに影響されずに、ラスタ画像を画像ベクトル化することが可能となる。
[0041]
 なお、画像ベクトル化装置1は、画像ベクトル化パターンデータベース4に保持させる情報を変更することで、目的になった画像ベクトル化を実施することができる。例えば、画像ベクトル化学習部3が意図的に画像の色数を少なくしたイラスト風の画像ベクトル化を行ってそのパターンを画像ベクトル化パターンデータベース4に保持させておくことにより、画像ベクトル化実行部5はイラスト風のベクトル画像を自動生成することができる。また、実際の写真のようなフォトリアリスティックな画像ベクトル化のパターンを画像ベクトル化パターンデータベース4に保持させておくことにより、実際の写真のようなベクトル画像を自動生成することもできる。
[0042]
 また、実施の形態1によれば、画像ベクトル化実行部5が、注目する部分領域とその周辺の部分領域の候補ベクトル画像間の境界の連続性を示す確率を算出し、この確率に注目する部分領域の候補ベクトル画像の候補確率を掛け合わせてコスト関数を算出して、このコスト関数を最大化する候補ベクトル画像を注目する部分領域に対する最適なベクトル画像として選択するように構成した。このため、注目する部分領域における候補ベクトル画像の適合度と、周辺の部分領域との整合性とを考慮することができるようになり、各部分領域の境界領域の連続性を高めることができる。

産業上の利用可能性

[0043]
 以上のように、この発明に係る画像ベクトル化装置は、画像ベクトル化の方策を予め学習するようにしたので、ノイズを含む画像又はエッジがぼやけている画像を画像ベクトル化するための画像ベクトル化装置に用いるのに適している。

請求の範囲

[請求項1]
 所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習部と、
 前記サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを保持する画像ベクトル化パターンデータベースと、
 前記画像ベクトル化パターンデータベースが保持するサンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行部とを備える画像ベクトル化装置。
[請求項2]
 画像ベクトル化学習部は、サンプル用のラスタ画像から画像特徴量を算出し、
 画像ベクトル化パターンデータベースは、前記ラスタ画像の画像特徴量とそのベクトル画像のペアを保持することを特徴とする請求項1記載の画像ベクトル化装置。
[請求項3]
 画像ベクトル化実行部は、入力されたラスタ画像を部分領域に分割して画像特徴量を算出し、画像ベクトル化パターンデータベースが保持するサンプル用のラスタ画像の画像特徴量と比較して、適合する画像特徴量とペアになったベクトル画像を当該部分領域の候補ベクトル画像として選択すると共に、選択した前記候補ベクトル画像の適合度を示す候補確率を算出することを特徴とする請求項2記載の画像ベクトル化装置。
[請求項4]
 画像ベクトル化実行部は、入力されたラスタ画像の各部分領域に対する候補ベクトル画像とその候補確率を用いて、注目する部分領域とその周辺の部分領域とで候補ベクトル画像の整合性を取りながら、当該注目する部分領域に対する候補ベクトル画像の中から最適なベクトル画像を選択することを特徴とする請求項3記載の画像ベクトル化装置。
[請求項5]
 画像ベクトル化実行部は、注目する部分領域とその周辺の部分領域とで候補ベクトル画像の整合性を取るために、当該注目する部分領域とその周辺の部分領域の候補ベクトル画像間の境界の連続性を示す確率を算出し、前記確率に当該注目する部分領域の候補ベクトル画像の候補確率を掛け合わせてコスト関数を算出して、前記コスト関数を最大化する候補ベクトル画像を当該注目する部分領域に対する最適なベクトル画像として選択することを特徴とする請求項4記載の画像ベクトル化装置。
[請求項6]
 所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習ステップと、
 前記サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行ステップとを備える画像ベクトル化方法。
[請求項7]
 所定の方式に従って、サンプル用のラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化学習手順と、
 前記サンプル用のラスタ画像とそのベクトル画像のペアを用いて、入力されたラスタ画像をベクトル画像に変換する画像ベクトル化実行手順とをコンピュータに実行させるための画像ベクトル化プログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]