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1. (WO2011125238) モニタリング装置、モニタリング方法、放射線治療システム及びファントム
Document

明 細 書

発明の名称 モニタリング装置、モニタリング方法、放射線治療システム及びファントム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011  

課題を解決するための手段

0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078  

産業上の利用可能性

0079  

符号の説明

0080  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2A   2B   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : モニタリング装置、モニタリング方法、放射線治療システム及びファントム

技術分野

[0001]
 本発明は、患者に侵襲を与えずに放射線治療中の患者体内の線量をモニタリング可能なモニタリング装置、モニタリング方法、放射線治療システム及びファントムに関する。

背景技術

[0002]
 高エネルギーX線治療は、ピンポイントで放射線治療を行う定位放射線治療(SRT:Stereotactic Radiation Therapy)や、同一照射野内の線量強度を変えて3次元的にがんの輪郭に沿った凹凸自在の照射野を形成することが可能な強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiotherapy)など高度化している。
[0003]
 しかしながら、患者体内の放射線量は、治療計画コンピュータで計算し、模擬ファントムを用いて線量計、フィルムあるいは熱蛍光線量計(TLD:Thermoluminesence Dosimeter)素子などを使用して、検証しているのが実情である。また、実際の患者はそれぞれ輪郭、構造が異なり、動きもあるため、体内吸収放射線量を正確に検証するのは困難である。事実、過剰照射や過小照射の場合がある。
[0004]
 とくにIMRTにいたっては人間が3次元的に照射野を想像することは不可能であり、治療計画はコンピュータに依存しているのが現状である。現在、実際の治療患者において、患者体内の放射線量の照合は困難である。最も簡単な放射線治療においてさえも過剰照射や過小照射の場合もある。
[0005]
 体内の実際の線量を知るもっとも正確な方法は、線量計を体内に埋め込むことである。体内吸収放射線量を実測するためには、体内刺入型の体内吸収放射線線量計が必要である(例えば、特許文献1~3参照)。特許文献1および特許文献2においては、サイセル・テクノロジーズ社の体内埋め込み型線量計が開示されている。また、特許文献3には、「体内埋め込み型リアルタイム式マイクロ線量計装置ならびに測定方法」が開示されている。
[0006]
 しかしながら、特許文献1~3に開示された方法は、いずれも、手術あるいは体内刺入といった患者への侵襲的な方法で線量計という異物を体内に挿入する方法であり、体内への埋め込みや摘出が必要になる問題がある。
[0007]
 一方、3次元的に広がった患部に対して患者を動かすことなく、放射線の3次元照射ができる放射線治療装置も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
[0008]
 特許文献4の放射線治療装置には、放射線検出器を備えた対向板が配置されており、放射線検出器の出力により線量分布を演算・表示すると記されている。しかしながら、これは種々の方向からラジオサージェリーを行う際に、種々の方向からの照射野と方向を検出し、各々の照射野の交点を結んで3次元的に線量分布図を作成するというもので、3次元的な照射範囲は表示可能であるが、実際の体内吸収線量の表示はできない。すなわち、特許文献4の放射線治療装置において、放射線治療の発生装置の対向面に設けられている対向板に設置された検出器は、放射線治療の照射野を確認する単なる検出器であって線量を表示することはできない。従って体内の線量の確認を行うことはできない。
[0009]
 特許文献4の放射線治療装置においては、すべての方向からの出力線量、透過線量が均一であり、また照射野内の線量がどの点でも均一で、しかも周囲の組織密度が同一の場合には、実際の体内吸収線量と、検出結果が一致する可能性はある。しかしながら、実際には寝台や固定具があり、また骨や肺といった組織密度が異なる組織に囲まれているので、実際の体内吸収線量は、中心線量においてさえ実測線量とは全く異なり、特許文献4の放射線治療装置では、患者体内の吸収線量をモニタリングすることはできない。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 特表2002-525153号公報
特許文献2 : 米国特許第6,402,689号明細書
特許文献3 : 特開2006-10516号公報
特許文献4 : 特開平7-39592号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 本発明の目的は、患者に侵襲を与えずに放射線治療中の患者体内の吸収線量をモニタリング可能なモニタリング装置、モニタリング方法、放射線治療システム及びファントムを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0012]
 上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、放射線治療前に前記寝台上に患者が存在しない状態で治療計画と同一の条件で照射され、前記寝台を透過した放射線の線量である治療前線量データを記憶する記憶装置と、前記患者及び前記寝台を透過した放射線の線量と、前記治療前線量データの線量との差分である差分線量を演算する差分線量演算手段と、前記差分線量演算手段で演算された差分線量に、ファントムを利用して得られた患者の体内の各部における放射線の体内吸収線量減衰率を適用して前記患者の体内の各部における放射線の吸収線量を演算する吸収線量演算手段と、前記吸収線量演算手段で演算された前記患者の体内の各部における吸収線量と、治療計画で予定されていた吸収線量とを比較して、治療で照射されている放射線量の適否を判定し、判定結果を出力する判定手段とを備える。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、患者に侵襲を与えずに放射線治療中の患者体内の線量をモニタリングすることができる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムの模式的部分構成図。
[図2A] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムのブロック構成図。
[図2B] 本発明の実施の形態に係るモニタリング装置のブロック構成図。
[図3] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムに適用する線量計のパターン構成図((a)平面形状、(b)局面形状)の一例。
[図4] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムにおいて、放射線治療前に種々の附属器の透過X線量を測定する方法を説明する模式的構成図。
[図5] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムにおいて、放射線照射時に患者および種々の附属器の透過X線量を測定する方法を説明する模式的構成図。
[図6] X線のエネルギーEをパラメータとする吸収線量百分率と水の深さとの関係を示す模式図。
[図7] 本発明の実施の形態に係る放射線治療システムに適用するファントムの模式的鳥瞰構造図。
[図8] 本発明の実施の形態に係るモニタリング装置で利用する、放射線治療と同一体位で得られたCT画像例(図8(a))と、図8(a)のCT画像とファントムデータを利用して得られる体内吸収線量減衰率の一例(図8(b))。
[図9] 体内の吸収線量の計算方法の一例を説明する模式図。
[図10] 本発明の実施形態に係るモニタリング装置によって表示される分布の比較画面の一例。

発明を実施するための形態

[0015]
 次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
[0016]
 以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[0017]
[実施の形態]
(放射線治療システム)
 図1に示すように、本発明の実施の形態に係る放射線治療システム1では、放射線治療のため、照射部11の線源Sから寝台12上に配置した人体(患者)Pに放射線(X線)を照射する。このとき、放射線治療システム1では、線量計13によって人体Pと、寝台12および固定具15などの附属器を透過したX線の線量を測定し、放射線治療中の患者体内のX線の吸収線量をモニタリングすることができる。
[0018]
 具体的には、図2Aに示すように、放射線治療システム1は、照射部11、寝台12、線量計13の他、照射部11の線源Sと人体Pとの距離を測定する距離測定部14と、放射線治療の際の患者体内のX線の吸収線量のモニタリング処理を実行するモニタリング装置100とを備えている。また、治療計画に関する処理を実行する治療計画コンピュータ2と、X線照射のシミュレーションを実行するX線シミュレータ3と、X線CTのシミュレーションを実行するX線CTシミュレータ4と、放射線治療システム1での処理結果やモニタリング装置100での処理結果が表示されるディスプレイ5と、体内でのX線量の減衰率を求めるために利用するデータをモニタリング装置100に提供する吸収線量処理装置7と、モニタリング装置100での処理結果に応じて治療計画を補正させる治療計画補正用コンピュータ8とが接続されている。なお、ここでは、X線CTシミュレータ4として説明するが、このX線CTシミュレータ4には、X線コーンビームCTのシミュレーションを実行するX線コーンビームシミュレータも含まれる。
[0019]
 治療計画コンピュータ2は、例えば、患者に関する基本情報、患者の過去の治療に関するデータ、各種画像データ、放射線治療に関するすべての処方データなどを含む治療計画データを記憶している。放射線治療システム1では、この治療計画データの処方データを利用して、照射部11等の各部を制御して、放射線治療を実行する。なお、治療計画データは、治療計画コンピュータ2内部の記憶装置で記憶されている他、治療計画コンピュータ2によって書込みや読出しが可能な外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
[0020]
 放射線治療システム1では、図1に示すように、放射線治療装置部10の一端に照射部11および距離測定部14を配置し、他端に照射部11の線源Sと人体Pの治療箇所を結ぶ中心軸I―I上に照射部11と対向して線量計13を配置し、照射部11、距離測定部14及び線量計13を一体化している。この放射線治療装置部10は、寝台12上に配置した人体Pを中心に中心軸I-Iが、360度回転可能になされている。
[0021]
 照射部11は、リニアック(lineac:linear accelerator)と呼ばれる直線加速器(図示せず)とマルチリーフコリメータ111を備え、リニアックから放射されたX線の照射野をマルチリーフコリメータ111によって、ダイナミックに加工することができる。
[0022]
 線量計13は、照射部11から放射され、人体Pと、寝台12および固定具15等の附属器とを透過したX線量を測定する。例えば、線量計13は、図3に示すように、超微小線量計(ピクセルをCijで示す)を2次元マトリックス状に複数配置することによって構成される。図3(a)に示す例では、X-Y平面上に2次元マトリックス構造に線量計が配置されている。または、線量計13は、図3(a)に示すような平板の他、図3(b)に示すようにIMRT専用放射線治療装置であるトモセラピー(Tomotherapy)の対向面のようなX線の回転軸と同一円周の曲面であってもよい。
[0023]
 超微小線量計は、CdTe(Cadmium Telluride)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヨウ化第2水銀(HgI2)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、ガリウム砒素(GaAs)などの半導体結晶を用い、ショットキー接合、pn接合などの整流作用を有するダイオードにより形成される。
[0024]
 或いはまた、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いたMOSFET線量計を2次元マトリックス状に配置して、線量計13を構成しても良い。ここで、MOSFETのソース/ドレイン電極に上記のX線検出用ダイオードを接続した1トランジスタ-1キャパシタ構造としてピクセルを形成しても良い。或いは、MOSFETのゲート電極に上記のX線検出用ダイオードを接続した1トランジスタ構造として、ピクセル毎に増幅機能を有するピクセルを形成しても良い。また、MOSFETを相補型MOS(CMOS)FETで構成することで、低消費電力化を測ることも可能である。
[0025]
 距離測定部14は、例えば、赤外線等であって、線源(照射部11のS)と皮膚(人体P)の距離である線源皮膚間距離(SSD:source skin distance)の距離を測定する。
[0026]
(吸収線量処理装置)
 吸収線量処理装置7は、水の深さと水中でのX線量の減衰の割合(水吸収線量減衰率)の関係である水吸収線量減衰率データ71及び人体Pを構成する組織の深さと人体P中でのX線量の減衰の割合(体内吸収線量減衰率)の関係を求めるためにファントム6を利用して得られたファントムデータ72とを記憶する記憶装置70と、ファントム6で測定された値を利用してファントムデータ72を登録する登録手段73とを備えている。
[0027]
 水吸収線量減衰率データ71は、図6の模式図に示すように、水吸収線量減衰率(水によるX線量の減衰の割合)と水の深さとの関係を表わす曲線(水吸収線量減衰率曲線)である。例えば、吸収線量処理装置7は、図示を省略する入力装置や通信装置を介して水吸収線量減衰率データ71を入力し、記憶装置70に記憶する。図6に示す水吸収線量減衰率データ71では、E1<E2であり、X線のエネルギーEをパラメータとしている。図6において、水の深さとは、人体Pを水と等価な媒質と仮定した場合の人体Pの表面からの侵入深さに相当する。水吸収線量減衰率は、図6に示すように、主としてX線のエネルギーEに依存し、X線のエネルギーEが大きいほど侵入深さが長くなる傾向がある。
[0028]
 吸収線量の減衰率は、照射されるX線のエネルギーの他、照射野の大きさ、照射野の形状および患者である人体Pの組織の密度によって異なる。ここで、人体Pは水と等価な物質のみにより構成されるものではない。すなわち、人体Pは、皮膚、脂肪、血管、骨、内臓等の様々な組織によって形成されている。これらの組織の密度を比較すると、肺以外の内臓、皮膚、脂肪や血液等の密度は水の密度とほぼ同一であるが、骨や肺の密度は水の密度と異なる。放射線治療で使用する場合には、X線のエネルギーが十分高いので、人体Pの肺以外の内臓や皮膚、脂肪、血管でのX線量の減衰率は、水とほぼ同一とみなしてよいが、骨と肺でのX線量の減衰率はそれぞれ水とは異なる。そのため、図6に示す水吸収線量減衰率データ71を、患者である人体PでのX線量の減衰率とすることはできない。
[0029]
 ここで、人体Pを構成する組織の大きさや位置関係は、患者毎に異なる。また、照射部11から照射されるX線のエネルギーは、装置毎(放射線治療システム1毎)に異なる。したがって、モニタリング装置100では、吸収線量の減衰率を照射部11によるX線エネルギー、照射野の大きさ、照射野の形状及び患者である人体Pの組織(肺や骨など)の吸収率に応じたX線量の減衰率を求めるために、ファントム6を用いて得られた値(ファントムデータ72)を利用する。
[0030]
 図7に示すように、ファントム6は、例えば、直方体が3つの領域に区分された構造を備える。具体的には、ファントム6は、水又は水密度と等価な物質を内蔵する領域である水密度物質内蔵部61と、骨密度と等価な物質を内蔵する領域である骨密度物質内蔵部62と、肺密度と等価な物質を内蔵する領域である肺密度物質内蔵部63とを備える。さらに、ファントム6では、図7に示すように、水密度物質内蔵部61、骨密度物質内蔵部62、肺密度物質内蔵部63の各部には、Dijで示される微小な線量計64が、複数個埋め込まれており、一度の照射で種々の組織密度の種々の深さでのX線量を取得することができる。これら線量計64で計測される線量を利用して水と密度が異なる組織(肺、骨等)と水と比較した場合の減衰率の差を係数として求めることができる。各線量計64から得られる信号Sijは、各々の線量計64から配線を介して又は無線信号として外部に取り出すことができる。
[0031]
 ここで、線量計64は、図3を用いて上述した線量計13の1ピクセルCijに相当する線量計であっても良く、或いは、所望の検出感度を得るために複数ピクセル分に相当する面積を有する線量計であっても良い。
[0032]
 或いは、線量計64は、本発明者らによって開発され、リアルタイムで放射の線量の測定が可能なリアルタイム式マイクロ線量計を適用しても良い。このリアルタイム式マイクロ線量計については、特許第3950977号公報(特開2006-10516号公報)に開示されている。
[0033]
 尚、ファントム6の構造は、上記の直方体構造に限定されるものではなく、例えば、人体の形状、或いは任意の形状を備えていても良い。また、区分される領域は、3つに限定されるものではなく、さらに数多くの領域に区分され、かつ複数の微小な線量計が埋め込まれていても良い。また、ペースメーカー等の埋め込み金属を有する患者のX線吸収線量を測定するため、線量計が埋め込まれる金属密度と等価な物質を内蔵するファントムを利用してもよい。
[0034]
 登録手段73は、ファントム6の各線量計64から取得した値を利用して人体Pを構成する骨、肺等の組織ごとの水等価物質と比較した深さによる線量減衰率の差の係数(傾き)を求め、ファントムデータ72として記憶装置70に記憶させる。この係数は、組織密度の違いによる減衰率の差を補正する値として利用される。ここで、登録手段73は、放射線治療システム1で使用する代表的なX線エネルギー、代表的な照射野の大きさ及び代表的な照射野形状のデータをファントムデータ72として登録することで、同一X線エネルギーの種々の放射線治療装置の体内放射線量のモニタリングに適用することができる。
[0035]
(モニタリング装置)
 モニタリング装置100は、図2Bに示すように、線量計13からX線の線量を取得して記憶装置120に記憶させる線量取得手段101と、距離測定部14から距離SSDを取得して記憶装置120に記憶させる距離取得手段102と、人体PでのX線量の減衰率である体内吸収線量減衰率を求めて記憶装置120に記憶させる体内吸収線量減衰率演算手段105と、線量計13の各ピクセルCijにおける人体P有りの場合のX線の吸収線量と人体P無しの場合のX線の吸収線量の差を求めて記憶装置120に記憶させる差分線量演算手段106と、放射線治療時の人体Pの各点でのX線の吸収線量を求めて記憶装置120に記憶させる吸収線量演算手段107と、放射線治療時の人体PでのX線の吸収線量の分布を求める吸収線量分布演算手段108と、差分線量演算手段106で求められた差分線量と、治療計画の処方差分線量とを比較判定する判定手段109と、放射線治療時の人体PでのX線量の吸収線量の分布と、治療計画の分布の比較結果をディスプレイ5に表示する表示処理手段110とを備えている。
[0036]
 また、モニタリング装置100は、図2Bに示すように、線量取得手段101によって治療前に取得された治療前線量データ121と、線量取得手段101によって人体Pへの放射線照射時に取得された治療時線量データ122と、距離取得手段102によって取得された距離データ123と、治療計画の処方で人体Pに吸収されることが予定されている差分線量である処方差分線量データ125と、体内吸収線量減衰率演算手段105によって求められた体内吸収線量減衰率データ126と、差分線量演算手段106によって求められた差分線量データ127と、吸収線量演算手段107によって求められた吸収線量データ128と、吸収線量分布演算手段108によって求められた吸収線量分布データ129とを記憶する記憶装置120を備えている。
[0037]
 モニタリング装置100では、線量計13でリアルタイムで測定されるX線量をリアルタイム又は定期的(例えば、数秒毎)に取得し、ファントム6から得られた値を利用して求められた各組織に関する係数を利用して患者である人体Pの各部の吸収線量をリアルタイム又は定期的にモニタリングすることができる。
[0038]
 線量取得手段101は、放射線治療前に、治療計画と同一条件(同一の照射野、照射角度及び線量強度等)で、患者を固定する固定具15及び寝台12等の附属器にX線が照射されると、線量計13から透過線量の測定結果を取得し、治療前線量データ121として記憶装置120に記憶させる。また、線量取得手段101は、人体Pに放射線を照射時に、人体P及び種々の附属器の透過線量を線量計13から取得し、治療時線量データ122として記憶装置120に記憶させる。
[0039]
 距離取得手段102は、人体Pに放射線を照射時に、照射部11の線源Sと患者である人体Pとの線源皮膚間距離SSDを距離測定部14から取得し、距離データ123として記憶装置120に記憶させる。
[0040]
(治療前)
(a)具体的には、放射線治療システム1では、治療前に、図4に示すように、寝台12上に固定具15を配置した状態で、照射部11aからX線200aを実際の治療と同一条件(照射野、照射角度及び線量強度など)で照射し、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を、線量計13Aによって測定する。ここで、線量計13Aにおいては各ピクセルCijの線量が測定されるため、線量取得手段101は各ピクセルCijの線量を治療前線量データ121として記憶装置120に記憶させる。このときの照射部11の出力線量は、線量計13Aで透過線量を誤差なく測定できる必要最低限の値であれば良い。
[0041]
(b)次に、図4に示すように、放射線治療システム1は、照射部11aおよび線量計13Aを実際の治療と同じ角度回転させる。図4においては、回転された位置における照射部を11b、線量計を13Bで表示しているが、それぞれ、照射部11a、線量計13Aと同じものである。
[0042]
(c)続いて、放射線治療システム1は、図4に示すように、寝台12上に固定具15を配置した状態で、照射部11bからX線200bを実際の治療と同一条件(照射野、照射角度及び線量強度など)で照射し、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を、線量計13Bによって測定する。ここで、線量計13Bにおいては、ピクセルCij毎に線量を測定し、線量取得手段101は、照射部11bの回転角度と同時に各ピクセルCijの線量を治療前線量データ121として記憶装置120に記憶させる。
[0043]
(d)以下、放射線治療システム1では、照射部11aおよび線量計13Aを回転させる工程と、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を線量計13Bによってリアルタイムに測定する工程とが繰り返される。したがって、線量取得手段101は、全照射野についての照射野の形状、照射角度および線量強度などのデータとともに、寝台12および固定具15などの附属器を透過した各ピクセルCijの線量を治療前線量データ121として記憶装置120に記憶させる。
[0044]
 ここで、全照射野とは、放射線治療システム1の照射部11aおよび線量計13Aを回転させて透過したX線を線量計13Bによって測定された各方向からの照射野の集合を云う。例えば、図4においては、X線200aおよびX線200bの2つの方向からの照射野が示されている。放射線治療装置部10は、360度の範囲で回転可能であることから、X線の照射方向を複数選択することで、複数の照射野を選択することができる。回転照射の場合には、一定角度毎の照射野を選択でき、この選択された複数の角度の照射野の全てが全照射野である。
[0045]
(治療時)
(a)放射線治療システム1では、治療時に、図5に示すように、寝台12上に固定具15によって固定された患者Pを配置した状態で、照射部11aからX線200aを照射し、患者P、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を、線量計13Aによって測定する。ここで、線量計13Aにおいては、各ピクセルCijの線量が測定されるため、線量取得手段101は、各ピクセルCijの線量を治療時線量データ122として記憶装置120に記憶させる。
[0046]
(b)次に、図5に示すように、放射線治療システム1は、照射部11a、線量計13Aおよび距離測定部14aを回転させる。図5においては、図4と同様に、回転された位置における照射部を11b、線量計を13B、距離測定部を14bで表示しているが、それぞれ、照射部11a、線量計13Aおよび距離測定部14aと同じものである。
[0047]
(c)続いて、放射線治療システム1は、図5に示すように、寝台12上に固定具15によって固定された患者Pを配置した状態で、照射部11bからX線200bを照射し、患者P、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を、線量計13Bによって測定する。ここで、線量計13Bにおいては、ピクセルCij毎に線量を測定し、線量取得手段101は、各ピクセルCijの線量を照射部11bの回転角度と同時に治療時線量データ122として記憶装置120に記憶させる。
[0048]
(d)以下、放射線治療システム1では、照射部11a、線量計13A及び距離測定部14aを回転させる工程と、患者P、固定具15および寝台12等の附属器を透過したX線の線量を線量計13Bによって測定するとともに距離SSDを距離測定部14bによって測定する工程を繰り返す。これにより、線量取得手段101は、放射線治療を行う全照射野についての照射野の形状、照射角度および線量強度などのデータとともに、患者、寝台12および固定具15などの附属器を透過した各ピクセルCijの線量を治療時線量データ122として記憶装置120に記憶させる。
[0049]
 なお、ここでは治療時に治療時データ122を記憶するものとして説明したが、治療時の他、検証用のデータを取得するための人体Pへの放射線の照射時であってもよい。また、このような検証用のデータを取得する場合の照射部11の出力線量は、線量計13で透過線量を誤差なく測定できる必要最小限の値であればよい。
[0050]
 体内吸収線量減衰率演算手段105は、吸収線量処理装置7から水吸収線量減衰率データ71及びファントムデータ72を入力するとともに、放射線治療と同一条件(同一患者及び同一体位)で予め撮影されたCT画像データを入力する。体内吸収線量減衰率演算手段105は、入力した水吸収線量減衰率データ71、ファントムデータ72及びCT画像データを利用して線源Sと線量計13の各ピクセルCijを結んだ直線上の人体PにおけるX線量の減衰率を体内吸収線量減衰率データ126として求め、記憶装置120に記憶させる。
[0051]
 体内吸収線量減衰率演算手段105で利用するCT画像データは、図8(a)に示す一例のように表示されるデータである。上述したように、CT画像データは、予め撮影されて治療計画コンピュータ2に格納されており、体内吸収線量減衰率演算手段105は治療計画コンピュータ2からこのCT画像データを取得する。図8(a)のCT画像データにおいて、A点およびB点は、線源である照射部11のSと線量計13の1のピクセルCijを結ぶ直線上に存在する人体Pの表面である皮膚の位置を示す。CT画像データは、X線治療と同一条件で撮影されているため、このCT画像データを利用することで、人体Pを構成する各組織の種類や、配置、距離等(各Ci点の密度、A点とB点との距離、A点と各Qi点との距離等)を特定することができる。
[0052]
 まず、体内吸収線量減衰率演算手段105は、CT画像データから放射線が入射するA点と透過するB点を結ぶ直線上に、複数のQi点を設定する。ここで、Qi点の設定は、例えば、1の直線上に所定数のQiを等間隔で配置する方法や、A点から所定間隔毎にQi点を配置する方法が考えられる。また、体内吸収線量減衰率演算手段105は、定めた各Qi点について、A点からの距離によって特定されるCT深さTの場合の水吸収線量減衰率を水吸収線量減衰率データ71から抽出する。上述したように、ここで抽出される係数は、組織密度の違いによる減衰率の差を補正する値である。さらに、体内吸収線量減衰率演算手段105は、各Qi点の密度及び深さを特定し、ファントムデータ72から該当する密度及び深さに対応する係数を抽出する。その後、体内吸収線量減衰率演算手段105は、各Qi点について、水吸収線量減衰率データ71から抽出した水吸収線量減衰率と、ファントムデータ72から抽出した係数との積を求め、求めた各値を体内吸収線量減衰率として図8(b)に示す例(体内吸収線量減衰率曲線)のように患者である人体Pについての体内吸収線量減衰率データ126を求め、記憶装置120に記憶させる。
[0053]
 差分線量演算手段106は、治療前線量データ121と、治療時線量データ122との差分である差分線量を求めて差分線量データ127として記憶装置120に記憶させる。治療前線量データ121は寝台12や固定具15等の附属器の透過X線量であって、治療時線量データ122は寝台12や固定具15等の附属器及び人体Pの透過X線量である。すなわち、ここで求められる差分線量は、人体Pで吸収されるX線量に相当する。
[0054]
 治療前と治療時(人体Pへの放射線照射時)の出力線量が異なる場合には、差分線量演算手段106は、比例計算により治療前出力線量と治療時(人体PへのX線照射時)出力線量が同量となるよう治療前線量データ121を治療時データ122に合わせて変換する。また、差分線量演算手段106は、変換後に治療前線量データ121と治療時線量データ122の差を差分線量として求める。
[0055]
 具体的には、差分線量演算手段106は、放射線治療の際に、線量取得手段101が人体Pへの放射線照射時に線量を取得すると、各照射野について、治療時線量データ122の各ピクセルCij毎の線量と、治療前線量データ121の同一照射野の同一ピクセルCijの線量との差分を求める。この際、出力線量が同一となるように比例補正する。
[0056]
 差分線量演算手段106は、照射野毎に線量計13の各ピクセルCijの差分線量を求める工程を繰り返す。したがって、記憶装置120では、全照射野の全ピクセルCijについて求めた値を、差分線量データ127として記憶している。
[0057]
 また、差分線量演算手段106は、治療計画コンピュータ2から取得した治療計画が確定した時点の全照射野における全ピクセルの差分線量を、照射角度および照射野の形状とともに、処方差分線量データ125として記憶装置120に記憶させる。すなわち、ここで記憶させる処方差分線量は、治療計画の処方で患者の人体Pに吸収されることが予定されるX線量である。
[0058]
 吸収線量演算手段107は、体内吸収線量減衰率データ126と、差分線量データ127とから、実際の放射線治療における人体P各部のX線吸収線量を求め、吸収線量データ128として記憶装置120に記憶させる。差分線量は人体Pで吸収された線量であるので図8(a)のB点におけるX線量と同一であると推定することができる。したがって、吸収線量演算手段107で図8(b)に示す体内吸収線量減衰率曲線のB点に差分線量を代入することで、人体P内部の各Qi点の吸収線量を求めることができる。
[0059]
 吸収線量演算手段107は、照射野内で、照射部11の線源Sと線量計13の各ピクセルCijを結ぶ全ての直線について、直線上にQi点を設定してそのQi点における線量を求める。その後、吸収線量演算手段107は、全ての照射野について、同様の処理を繰り返し、吸収線量データ128として記憶装置120に記憶させる。このとき、治療時線量データ122が放射線治療時のデータではなく検証用のデータであって照射部11の出力線量が放射線治療時よりも少ない場合、吸収線量演算手段107は、比例計算により放射線治療時の線量に換算した値を吸収線量データ128として記憶装置120に記憶させる。
[0060]
 ここで、照射部11が患者である人体PにX線を照射中に呼吸性移動などで線源Sと人体Pの皮膚との距離である線源皮膚間距離SSDが変動することがある。モニタリング装置100では、この線源Sと各ピクセルCijを結ぶ全ての距離SSDの変動を距離測定部14の測定結果から取得して距離データ123として格納している。距離SSDの変動は図8(b)のCT深さTの変動であるため、この距離SSDの変動が大きい場合には、吸収線量演算手段107では、各ピクセルCijについて、線源皮膚間距離SSDの変動に合わせて補正した線量を使用する必要がある。例えば、変動が大きい場合、吸収線量演算手段107は、この変動による各組織の位置の移動をCT画像で確認して、距離SSDに応じて体内吸収線量減衰率を変更し、体内吸収線量減衰率演算手段105に新たな体内吸収線量減衰率を求めさせる。また、吸収線量演算手段107は、この新たな体内吸収線量減衰率を利用して距離SSDの変動に応じた吸収線量データ128を求める。
[0061]
 吸収線量分布演算手段108は、全照射野でのX線の照射が終了した時点で吸収線量データ128を利用して、放射線治療による線量の分布を表わす吸収線量分布データ129を計算し、記憶装置120に記憶する。具体的には、吸収線量分布演算手段108は、人体Pについて複数のPij点を設定し、定められた各Pij点について、全ての照射野の吸収線量を合計して、各Pij点の治療による合計吸収線量を求めることができる。ここで、複数の照射野で求められる線源Sと各ピクセルCijの交点を各Pij点として設定する。また、吸収線量分布演算手段108は、合計吸収線量が等しいPij点を三次元的に結ぶことで等吸収線の分布である吸収線量分布データ129を生成する。
[0062]
 図9を用いて、体内吸収線量の計算について説明する。人体Pのある点Pijkに投与される線量Dxyzは、各照射野でのこの点の吸収線量の合計で求めることができる。例えば、放射線治療における全照射野が線源S1の場合の第1照射野と線源S2の場合の第2照射野である場合、図9に示すように、線源S1と線量計13A上のピクセルCijを結ぶ直線と線源S2と線量計13B上のピクセルCijを結ぶ直線との交点を点Pijkとする。この点Pijkの第1照射野の場合の吸収線量と第2照射野の場合の吸収線量を合計した値を、放射線治療で投与される線量Dxyzとして求めることができる。なお、実際の放射線治療はこれより多数の線源角度から行われるが、さらに多くの線源角度がある場合にも線源角度から得られた各点Pijkの吸収線量を合計することで、放射線治療で投与される線量Dxyzを求めることができる。
[0063]
 判定手段109は、毎回の放射線治療時において、各照射野について、各ピクセルCijで得られた差分線量データ127と、記憶装置120に記憶されている治療計画確定時の処方差分線量データ125とを比較して照射野形状と照射線量強度が所定の範囲内であるか否かを判定し、判定結果に応じて警告の画面を表示又はX線の照射を制御する。判定手段109で利用する処方差分線量データ125は、治療計画の処方で患者の人体Pに吸収されることが予定される差分線量のデータとして記憶装置120に格納されている。
[0064]
 具体的には、図9に示す例の場合、判定手段109は、線源S1の照射角度における照射が終了した時点で、対向面線量計13Aの各ピクセルCijの線量を処方差分線量データ125の対応する値と比較することで照射野の形状および各ピクセルにおける線量強度を比較し、所定割合以上の不一致があれば表示処理手段110を介してディスプレイ5に警告を表示させる。また、判定手段109は、同様の工程を線源S2の照射角度で行う。すなわち、判定手段109は、実際のX線の照射の結果をすべての照射野において処方差分線量データ127と比較してX線照射の適否を判定する。
[0065]
 例えば、判定手段109は、毎回の放射線治療時において、差分線量データ127が処方差分線量データ125に対して第1の値(例えば、5%)以上の超過がある場合には、表示処理手段110を介してディスプレイ5にX線照射量が超過である旨を表示させ、第2の値(例えば、20%)以上の超過がある場合には、ディスプレイ5への表示とともに又はディスプレイ5への表示の代わりに照射部11へフィードバック信号FBXを伝達してX線の照射を停止させる。また、判定手段109は、差分線量データ127が処方差分線量データ125に対して所定割合(例えば、5%)以上の不足がある場合には、表示処理手段110を介してディスプレイ5にX線照射量に不足がある旨を表示させる。
[0066]
 表示処理手段110は、全照射野でのX線の照射が終了して吸収線量分布データ129が得られた時点で、吸収線量分布データ129及び処方データの分布とを比較して、図10に一例を示すような画像をディスプレイ5に表示し、処方データの適否を判定させる。図10において、線量百分率10%、50%、60%、90%、100%で表された曲線は、治療計画による処方データの分布である。また、図10において、吸収線量分布データ129は、患者の体内のCT深さTにおける等吸収線量分布図であって、吸収線量の単位をグレイ(Gy=J/kg)で表し、吸収線量2.0Gy、1.8Gy、0.2Gyでそれぞれ表された曲線である。このとき、表示処理手段110は、吸収線量分布データ129と処方データの分布とを三次元的に表示することもできる。また、吸収線量はグレイでなく百分率を用いて表示してもよい。
[0067]
 また、表示処理手段110は、吸収線量分布データ129と処方データとに、所定割合(例えば、5%)以上の不一致の領域があるとき、その領域を警告領域として表示してもよい。
[0068]
 表示処理手段110によって吸収線量分布データ129と処方データを比較して表示することで、ユーザに治療計画における処方データの適否を判させ、処方データが適切でない場合に変更を促がすことができる。あるいは治療期間中に人体Pに肥満や痩せといった変化があった場合にも治療計画の変更を促すことが出来る。表示処理手段110は、ユーザに変更が必要と判断されて変更の操作信号が入力されると、治療計画補正用コンピュータ8に吸収線量分布データ129と処方データの分布とを出力し、ファントムデータ72、体内吸収線量減衰率データ105を利用して各照射野における各ピクセルの処方X線量を変えることによって目的の治療領域を設定することができる。
[0069]
 上述したように、実施の形態に係る放射線治療システム1及びモニタリング装置100によれば、線量計13の測定結果を利用して各照射野で人体Pで吸収されるX線量を確認することができる。
[0070]
 このとき、ファントム6を利用して患者である人体Pにおける吸収線量を求めることができるため、放射線治療システム1及びモニタリング装置100によれば、患者に侵襲を与えずに、放射線治療中の患者体内の体内吸収放射線量を正確に検証して、患者の特定の部位に所望量の放射線を照射することが可能となる。
[0071]
 また、放射線治療システム1及びモニタリング装置100によれば、判定手段109によって差分線量データ127と処方差分線量データ125とを比較して人体Pに照射されるX線量が適当であるかを判定する。実際の線量と治療計画の線量に大きな不一致がある場合、判定手段109は、過剰なX線が人体Pで吸収されていること又はX線が不足していることを通知したり、照射部11から人体PへのX線照を停止して、X線の過剰照射や過少照射を防止することができる。
[0072]
 さらに、放射線治療システム1及びモニタリング装置100によれば、表示処理手段110によって吸収線量分布データ129と処方線量データとの比較結果を表示する。表示手段110が比較結果を表示することにより、実際の分布と治療計画の分布に大きな不一致がある場合や、照射野の形状にずれがある場合にはユーザは治療計画でのX線の照射方法の誤りを容易に判断することができ、X線の誤照射を防止することができる。すなわち、表示処理手段110によって比較結果を表示して処方データの変更をユーザに促がすことで、最適な放射線治療が可能になる。
[0073]
 本発明は、IMRTを含むすべての放射線治療において、実際の患者における3次元治療計画における処方線量分布と吸収線量との比較ができる。すなわち人体Pにおける照合が出来る。また、本発明は、ピンポイントで放射線治療を行うSRTから、同一照射野内の線量強度を変えて、3次元的にがんの輪郭に沿った凹凸自在の照射野を形成することが可能なIMRTをはじめすべての既存の放射線治療装置にも搭載可能である。
[0074]
 なお、図2Aでは、放射線治療システム1にディスプレイ5が接続される例を示しているが、ディスプレイ5は、放射線治療システム1やモニタリング装置100の内部で有していてもよい。
[0075]
 また、治療計画コンピュータ2において予め各照射野の各ピクセルにおける予想差分線量を求めている場合には、予想差分線量と差分線量演算手段106で求められる実際の差分線量とを比較し、この各差分値が所定範囲であるか否かに応じて、同様に判定することができる。
[0076]
 さらに、放射線治療は長期間に渡って行われることがあるが、治療中や治療期間中に肥満、痩せなどでCT画像(CT深さT)が変化したときなどには、治療計画の修正を促がすことで、患者の特定の部位に所望のX線を照射することができる。
[その他の実施の形態]
 上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示はその中の如何なる論述若しくは図面であってもこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例または運用技術が容易に連想されるであろう。
[0077]
 また、本発明は実施の形態においては、モニタリング対象を患者人体への照射線量としているが、必ずしも人体に限定されるものではなく、動物などの他の生命体であっても良い。
[0078]
 このように、本発明はここでは記載していない様々な実施例を含む。本発明の技術的範囲は上記の説明から特許請求の範囲に係る発明特定事項によって定められる。

産業上の利用可能性

[0079]
 本発明のモニタリング装置、モニタリング方法および放射線治療システムは、放射線治療の治療計画による3次元の処方線量分布と、実際の患者における吸収量線分布とを比較することができるため、SRT、IMRTを含む全ての放射線治療の分野に適用可能である。

符号の説明

[0080]
 1…放射線治療システム
 10…放射線治療装置部
 11,11a,11b…照射部
 111…マルチリーフコリメータ
 12…寝台
 121…固定具
 13,13A,13B…線量計
 14,14a,14b…距離測定部
 15…固定具
 100…モニタリング装置
 101…線量取得手段
 102…距離取得手段
 105…体内吸収線量減衰率演算手段
 106…差分線量演算手段
 107…吸収線量演算手段
 108…吸収線量分布演算手段
 109…判定手段
 110…表示処理手段
 120…記憶装置
 121…治療前線量データ
 122…治療時線量データ
 123…距離データ
 125…処方差分線量データ
 126…体内吸収線量減衰率データ
 127…差分線量データ
 128…吸収線量データ
 129…吸収線量分布データ
 2…治療計画コンピュータ
 3…X線シミュレータ
 4…X線CTシミュレータ
 5…ディスプレイ
 6…ファントム
 61…水密度物質内蔵部
 62…骨密度物質内蔵部
 63…肺密度物質内蔵部
 64…線量計
 7…吸収線量処理装置
 70…記憶装置
 71…水吸収線量減衰率データ
 72…ファントムデータ
 73…登録手段
 8…治療計画補正用コンピュータ

請求の範囲

[請求項1]
 治療計画に合わせて寝台上の患者に放射線を照射して治療する放射線治療システムで利用するモニタリング装置であって、
 放射線治療前に前記寝台上に患者が存在しない状態で治療計画と同一の条件で照射され、前記寝台を透過した放射線の線量である治療前線量データを記憶する記憶装置と、
 前記患者及び前記寝台を透過した放射線の線量と、前記治療前線量データの線量との差分である差分線量を演算する差分線量演算手段と、
 前記差分線量演算手段で演算された差分線量と、治療計画の処方で予定されていた処方差分線量とを比較して、治療で照射される放射線量の適否を判定し、判定結果を出力する判定手段と、
 を備えることを特徴とするモニタリング装置。
[請求項2]
 前記判定手段は、演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、ディスプレイに警告を表示させることを特徴とする請求項1に記載のモニタリング装置。
[請求項3]
 前記判定手段は、演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、前記照射部に放射線の照射を停止させることを特徴とする請求項1に記載のモニタリング装置。
[請求項4]
 前記差分線量演算手段で演算された差分線量に、患者の体内の各部における放射線の減衰率である体内吸収線量減衰率を適用して前記患者の体内の各部における放射線の吸収線量を演算する吸収線量演算手段と、
 前記吸収線量演算手段で演算された前記患者の体内の各部における吸収線量の分布と、治療計画で予定されていた吸収線量の分布とをあわせてディスプレイに表示する表示処理手段と、
 をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモニタリング装置。
[請求項5]
 治療中の患者の皮膚と放射線源との距離を測定する距離測定装置から測定された距離を取得する距離取得手段をさらに備え、
 前記吸収線量演算手段は、前記距離測定装置によって測定された距離に応じて新たに求められる体内吸収線量減衰率を利用して吸収線量を求めることを特徴とする請求項4に記載のモニタリング装置。
[請求項6]
 水密度と等価な水密度物質と、骨密度と等価な骨密度物質と、肺密度と等価な肺密度物質とが内蔵され、前記水密度物質、前記骨密度物質、前記肺密度物質それぞれの表面から異なる深さの複数の位置に、照射された放射線の線量を測定する複数の線量計が配置されるファントムから線量計で測定された線量を入力すると、治療計画と同一条件で得られた前記患者のCT画像データ上に複数のQi点を設定し、水による各深さにおけるX線の減衰率に関する水吸収線量減衰率データと、前記ファントムの複数の線量計によって求められたX線量の減衰率の係数とから、設定した前記複数のQi点についての組織の密度及び表面からの深さに対する体内吸収線量減衰率を求める体内吸収線量減衰率演算手段をさらに備え、
 前記吸収線量演算手段は、前記体内吸収線量減衰率演算手段で求められた体内吸収線量減衰率を用いることを特徴とする請求項4に記載のモニタリング装置。
[請求項7]
 治療計画に合わせて寝台上の患者に放射線を照射して治療する放射線治療システムで利用するモニタリング装置で利用されるモニタリング方法あって、
 前記患者及び前記寝台を透過した放射線の線量と、放射線治療前に前記寝台上に患者が存在しない状態で治療計画と同一の条件で照射され、前記寝台を透過した放射線の線量との差分である差分線量を演算するステップと、
 演算された差分線量と、治療計画の処方で予定されていた処方差分線量とを比較して、治療で照射される放射線量の適否を判定するステップと、
 判定結果を出力するステップと、
 を備えることを特徴とするモニタリング方法。
[請求項8]
 演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、ディスプレイに警告を表示させるステップを供えることを特徴とする請求項7に記載のモニタリング方法。
[請求項9]
 演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、放射線の照射を停止させることを特徴とする請求項7に記載のモニタリング方法。
[請求項10]
 演算された差分線量に、患者の体内の各部における放射線の体内吸収線量減衰率を適用して前記患者の体内の各部における放射線の吸収線量を演算するステップと、
 演算された前記患者の体内の各部における吸収線量の総量の分布と、治療計画で予定されていた吸収線量の分布とをあわせてディスプレイに表示し、治療計画との照合を行うステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のモニタリング方法。
[請求項11]
 吸収線量を演算する演算ステップでは、治療中の患者の皮膚と放射線源との距離を測定する距離測定装置によって測定された距離に応じて新たに求められる体内吸収線量減衰率を利用して吸収線量を求めることを特徴とする請求項10に記載のモニタリング方法。
[請求項12]
 治療計画を記憶する治療計画コンピュータと、
 治療計画に合わせて寝台上の患者に放射線を照射する照射部と、
 前記寝台及び前記寝台上の患者を透過した放射線の線量を測定する線量計と、
 放射線治療前に前記寝台上に患者が存在しない状態で治療計画と同一の条件で照射され、前記寝台を透過した放射線の線量である治療前線量データを記憶する記憶装置と、
 前記患者及び前記寝台を透過した放射線の線量と、前記治療前線量データの線量との差分である差分線量を演算する差分線量演算手段と、
 前記差分線量演算手段で演算された差分線量と、治療計画の処方で予定されていた処方差分線量とを比較して、治療で照射される放射線量の適否を判定し、判定結果を出力する判定手段と、
 を備えることを特徴とする放射線治療装置。
[請求項13]
 前記判定手段は、演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、ディスプレイに警告を表示させることを特徴とする請求項12に記載の放射線治療装置。
[請求項14]
 前記判定手段は、演算された差分線量と治療計画で予定されていた処方差分線量との差が大きいとき、前記照射部に放射線の照射を停止させることを特徴とする請求項12に記載の放射線治療装置。
[請求項15]
 前記差分線量演算手段で演算された差分線量に、患者の体内の各部における放射線の減衰率である体内吸収線量減衰率を適用して前記患者の体内の各部における放射線の吸収線量を演算する吸収線量演算手段と、
 前記吸収線量演算手段で演算された前記患者の体内の各部における吸収線量の総量の分布と、治療計画で予定されていた吸収線量の分布とをあわせてディスプレイに表示し、治療計画との照合を行う表示処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の放射線治療装置。
[請求項16]
 水密度と等価な水密度物質を内蔵する水密度物質内蔵部と、
 骨密度と等価な骨密度物質を内蔵する骨密度物質内蔵部と、
 肺密度と等価な肺密度物質を内蔵する肺密度物質内蔵部と、
 前記水密度物質内蔵部、前記骨密度物質内蔵部及び前記肺密度物質内蔵部の内部の表面からの深さが異なる複数の位置に配置され、照射された放射線の線量を測定する複数の線量計と、
 を備えることを特徴とするファントム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]