国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2011125209) ロータ及びその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 ロータ及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

産業上の利用可能性

0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : ロータ及びその製造方法

技術分野

[0001]
 この発明は、モータの構成部品の一つであるロータに係り、ロータコアと、ロータコアに形成された複数のスロットのそれぞれに組み付けられる界磁用の永久磁石とを備えたロータ及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 一般に、界磁用の永久磁石を有するロータとして、ロータコアに形成された複数のスロットに永久磁石を収容し、接着剤により固定したものが知られている。この種のロータでは、永久磁石の固定作業において、ロータコア及び永久磁石の脱脂、洗浄や接着剤の塗布、硬化などの工程が必要となり、製造工程数が多くなっていた。また、スロット内において永久磁石の面方向における固定位置がばらつき、モータ特性が悪化するおそれがあった。さらに、モータ使用時にロータが高温になると、接着剤の接着力が弱まり、永久磁石の位置がずれるという品質上の問題もあった。また、永久磁石の固定に接着剤を用いると、ロータを廃棄する際に、ロータコアと永久磁石との分離や解体が困難となり、リサイクル性の面でも問題があった。ここで、ロータを炉に入れて接着剤の接着力を弱め、ロータコアと永久磁石とを分離して解体する方法が知られている。しかし、そのような解体作業には多くの工程が必要となり、ロータコアに接着剤が残ってしまうおそれもあった。
[0003]
 そこで、従来は、ロータの製造工程を削減し、永久磁石をロータコアのスロットに強固に固定すると共に、リサイクル性も考慮した技術が幾つか提案されている。その一例として、下記の特許文献1には、ボンド磁石からなる永久磁石を、その最外周部を切除しながらロータコアのスロットに圧入して固定することが記載されている。
[0004]
 一方、下記の特許文献2には、外周を樹脂で包んだ永久磁石をロータコアのスロットに嵌め入れたロータが記載されている。また、特許文献3には、永久磁石を樹脂からなる被覆材で被覆して被覆層を形成すると共に、その被覆層の外側に凸部を形成したものを、ロータコアのスロットの内壁面にて凸部を切削させつつ係合させながら永久磁石をスロット内に圧入することが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2003-070194号公報
特許文献2 : 実開昭58-172376号公報
特許文献3 : 特許第3677486号公報
特許文献4 : 特開2005-012859号公報
特許文献5 : 特開2008-130781号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 ところが、特許文献1に記載のロータでは、永久磁石が、磁力の弱いボンド磁石により構成されていた。そこで、永久磁石を、磁力の強い希土類焼結磁石により構成することが考えられる。しかし、希土類焼結磁石よりなる永久磁石をスロットに圧入しようとすると、圧入時の応力により永久磁石に割れが生じ、磁石性能を低下させるおそれがあった。また、割れにより永久磁石の一部が脱落すると、更に磁石性能を低下させるおそれがあった。そこで、割れ難いように永久磁石の圧入代を小さくすることも考えられる。しかし、この場合は、スロット形状や永久磁石の外形寸法の精度を上げなければならず、製造上の手間が増えてしまう。
[0007]
 一方、特許文献2及び3に記載のロータでは、スロットの内壁と永久磁石との間に樹脂の被覆層が介在するので、その分だけ永久磁石の磁力が弱くなってしまう。そこで、磁力を確保するために永久磁石を大きくすると、スロットも大きくなり、ロータコアの外径が大きくなってしまう。このことは、ロータ、延いてはモータの小型化要請に反してしまう。
[0008]
 この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ロータコアのスロットに対して磁石性能を確保しながら永久磁石を確実に固定することを可能としたロータ及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 (1)上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ロータコアと、ロータコアに形成される複数のスロットと、複数のスロットのそれぞれに組み付けられる永久磁石とを備えたロータにおいて、永久磁石は、外層磁石と、外層磁石の内側に設けられる内層磁石とを備え、外層磁石の強度が内層磁石の強度より小さく設定され、永久磁石は、外層磁石がその一部を削った状態でスロットの内壁に接触することによりスロットの中に固定されることを趣旨とする。
[0010]
 上記発明の構成によれば、永久磁石をスロットに組み付けるには、強度の小さい外層磁石をスロットの内壁に接触させて一部を削りながら永久磁石をスロットに圧入する。このとき、強度の小さい外層磁石が削れることで、永久磁石の圧入荷重が比較的小さくなる。また、強度のある内層磁石は、削れることなくスロットの中に収容される。永久磁石は、外層磁石がその一部を削った状態でスロットの内壁に接触することによりスロットの中に固定される。
[0011]
 (2)上記目的を達成するために、上記(1)の構成において、内層磁石の幅は、スロットの幅より小さく、外層磁石を含む永久磁石の全体の幅は、スロットの幅より大きいことが望ましい。
[0012]
 上記発明の構成によれば、上記(1)の構成の作用に加え、内層磁石の幅がスロットの幅より小さいことから、内層磁石がスロットの内壁に接することなくスロットに収容される。外層磁石を含む永久磁石の幅がスロットの幅より大きいことから、その幅の大きい分だけ外層磁石が削れることとなる。
[0013]
 (3)上記目的を達成するために、上記(1)又は(2)の構成において、外層磁石と接触するスロットの内壁は、スロットの軸方向に凹凸が延びる断面鋸歯状に形成されることが望ましい。
[0014]
 上記発明の構成によれば、上記(1)又は(2)の構成の作用に加え、外層磁石と接触するスロットの内壁が断面鋸歯状に形成されるので、永久磁石をスロットに圧入するときに、スロットの内壁に接触する外層磁石が削れ易くなり、永久磁石の圧入荷重が更に小さくなる。また、スロットに永久磁石を組み付けた状態で、スロットの内壁と外層磁石との接触面積が増える。
[0015]
 (4)上記目的を達成するために、本発明の別の態様は、ロータコアと、ロータコアに形成される複数のスロットと、複数のスロットのそれぞれに組み付けられる永久磁石とを備えたロータの製造方法であって、外層磁石と、外層磁石の内側に設けられる内層磁石とを備え、外層磁石の強度を内層磁石の強度より小さくした永久磁石を作製する永久磁石作製工程と、永久磁石を、各スロットの中に、外層磁石の一部をスロットの内壁に接触させて削りながら圧入する永久磁石組付工程とを備えたことを趣旨とする。
[0016]
 上記発明の構成によれば、永久磁石作製工程では、外層磁石と、外層磁石の内側に設けられる内層磁石とを備え、外層磁石の強度を内層磁石の強度より小さくした永久磁石が作製される。また、永久磁石組付工程では、永久磁石が、各スロットの中に、外層磁石の一部をスロットの内壁に接触させて削りながら圧入される。従って、永久磁石をスロットに圧入するときに強度の小さい外層磁石が削れるので、圧入荷重が比較的小さくなる。このとき、強度のある内層磁石は、削れることなくスロットの中に収容される。スロットに永久磁石が組み付けられた状態では、内層磁石とスロットの内壁との間に外層磁石が介在することとなり、永久磁石とスロットの内壁との間に隙間ができない。
[0017]
 (5)上記目的を達成するために、上記(4)の構成において、内層磁石の幅は、スロットの幅より小さく、外層磁石を含む永久磁石の全体の幅は、スロットの幅より大きいことが望ましい。
[0018]
 上記発明の構成によれば、上記(4)の構成の作用に加え、内層磁石の幅がスロットの幅より小さいことから、内層磁石がスロットの内壁に接することなくスロットに収容される。外層磁石を含む永久磁石の幅がスロットの幅より大きいことから、その幅の大きい分だけ外層磁石が削れることとなる。

発明の効果

[0019]
 この発明によれば、ロータコアのスロットに対して磁石性能を確保しながら永久磁石を確実に固定することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 第1実施形態に係り、ロータを示す平面図。
[図2] 同実施形態に係り、ロータを示す図1の2-2線断面図。
[図3] 同実施形態に係り、ロータにつき、図1の鎖線楕円で囲んだ永久磁石の部分を拡大して示す平面図。
[図4] 同実施形態に係り、永久磁石を組み付ける前のロータコアを示す平面図。
[図5] 同実施形態に係り、ロータコアにつき、図4の鎖線楕円で囲んだスロットの部分を拡大して示す平面図。
[図6] 同実施形態に係り、ロータコアの一つのスロットの部分を示す図5の6-6線断面図。
[図7] 同実施形態に係り、永久磁石を示す平面図。
[図8] 同実施形態に係り、永久磁石を示す図7の8-8線断面図。
[図9] 同実施形態に係り、ロータの製造方法を示すフローチャート。
[図10] 同実施形態に係り、「永久磁石作製工程」の一過程を示す概略図。
[図11] 同実施形態に係り、「永久磁石作製工程」の一過程を示す概略図。
[図12] 同実施形態に係り、「永久磁石作製工程」の一過程を示す概略図。
[図13] 同実施形態に係り、「永久磁石組付工程」の一過程を示す概略図。
[図14] 同実施形態に係り、「永久磁石組付工程」の一過程を示す概略図。
[図15] 同実施形態に係り、「永久磁石組付工程」の一過程を示す概略図。
[図16] 第2実施形態に係り、ロータにつき、永久磁石の部分を拡大して示す図3に準ずる平面図。
[図17] 同実施形態に係り、ロータコアにつき、スロットの部分を拡大して示す図5に準ずる平面図。
[図18] 別の実施形態に係り、永久磁石を示す平面図。

発明を実施するための形態

[0021]
<第1実施形態>
 以下、本発明のロータ及びその製造方法を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
[0022]
 図1に、この実施形態のロータ11を平面図により示す。図2に、ロータ11を図1の2-2線断面図により示す。図1,2に示すように、このロータ11は、円柱形状をなすロータコア12と、ロータコア12の中心に形成された一つのシャフト締付孔13と、シャフト締付孔13に組み付けられたロータシャフト14とを備える。
[0023]
 この実施形態で、図2に示すように、ロータコア12は、複数の電磁鋼板22を積層することにより構成される。図1,2に示すように、ロータコア12の外周部には、等角度間隔に配置され、ロータコア12の軸方向に貫通する複数のスロット15が形成される。複数のスロット15は、ロータコア12の外周縁に沿って配列され、隣り合う2つのスロット15が「ハの字状」又は「逆ハの字状」をなすように配置される。各スロット15には、それぞれ界磁用の永久磁石16が組み付けられて固定される。ロータコア12には、シャフト締付孔13と複数のスロット15との間にて、シャフト締付孔13の周囲に、複数(この実施形態では「8個」)の肉抜き孔17が形成される。これらの肉抜き孔17は、平面視で略台形状をなし、ロータコア12を軸方向に貫通する。これらの肉抜き孔17は、「逆ハの字状」をなす二つ一組のスロット15の間に対応して一つずつ配置される。
[0024]
 図1,2に示すように、ロータシャフト14は、筒形をなし、その外周には、ロータコア12に係合するフランジ14aが形成される。この実施形態で、ロータシャフト14は、金属材料を鍛造することにより成形される。ロータシャフト14は、ロータコア12のシャフト締付孔13に中間ばめ又は圧入により組み付けられる。
[0025]
 図3に、ロータ11につき、図1の鎖線楕円S1で囲んだ永久磁石16の部分を拡大して平面図により示す。「逆ハの字状」をなす隣り合う二つのスロット15の間には、両スロット15を区画する肉部分としての第1のブリッジ部18が形成される。また、各スロット15からロータコア12の外周縁までの間には、肉部分としての第2のブリッジ部19が形成される。モータを構成するために、このロータ11がステータ(図示略)に組み付けられた状態で、各スロット15の中の永久磁石16を、ロータ11の周囲に位置するステータに近付けるためには、第2のブリッジ部19の幅を極力小さくする必要がある。
[0026]
 図3に示すように、この実施形態では、平面視で長方形状をなす永久磁石16がスロット15に組み付けられる。永久磁石16は、二つの長辺の全部と二つの短辺の一部がスロット15の内壁15a,15bに接触する。
[0027]
 図4に、永久磁石16を組み付ける前のロータコア12を平面図により示す。図5に、ロータコア12につき、図4の鎖線楕円S2で囲んだスロット15の部分を拡大して平面図により示す。図6に、一つのスロット5の部分を図5の6-6線断面図により示す。
[0028]
 図7に、永久磁石16を平面図により示す。図8に、永久磁石16を、図7の8-8線断面図により示す。永久磁石16は、一対の外層磁石16a,16bと、それら外層磁石16a,16bの内側に設けられる内層磁石16cとを備える。外層磁石16a,16bの強度は、内層磁石16cの強度より小さく設定される。この実施形態で、永久磁石16は、内層磁石16cが二つの外層磁石16a,16bの間に挟まれる。内層磁石16cは、従来からロータに使用されてきた一般的な永久磁石と同等の強度と磁力を有する。内層磁石16cと外層磁石16a,16bを構成する基本材料は同じである。ここで、外層磁石16a,16bの強度を小さくするために、外層磁石16a,16bの材料の粒径を大きくしたり、材料を粒界での溶融凝固が起こり難い配合成分にしたりすることができる。永久磁石16は、外層磁石16a,16bがその一部を削った状態でスロット15の内壁15a,15bに接触することによりスロット15の中に固定される。ここで、図7,8に示す内層磁石16cの幅W1は、図6に示すスロット15の幅W2より小さく設定される。また、図7,8に示す外層磁石16a,16bを含む永久磁石16の全体の幅W3は、図6に示すスロット15の幅W2よりも大きく設定される。
[0029]
 次に、この実施形態のロータ11の製造方法について図9~図15を参照して説明する。図9に、この製造方法をフローチャートにより示す。図10~図12に、「永久磁石作製工程」を構成する一連の過程を概略図により示す。図13~図15に、「永久磁石組付工程」を構成する一連の過程を断面図により示す。
[0030]
 先ず、図9の(1)に示す「電磁鋼板成形工程」では、複数の電磁鋼板22を互いに同一形状に成形する。この電磁鋼板22は、「0.3mm」程度の薄板材をプレスすることにより成形される。
[0031]
 次に、図9の(2)に示す「ロータコア作製工程」では、上記工程で成形された複数の電磁鋼板22を積層することによりロータコア12を作製する。上下に積層される電磁鋼板22は、「かしめ」により互いに接合される。
[0032]
 また、図9の(3)に示す「永久磁石作製工程」では、複数の永久磁石16を作製する。この工程では、周知の方法により磁石材料を所定形状に成形し、その後、焼成することで永久磁石を作製する。この工程は、上記した各工程と並行して行うことができる。
[0033]
 ここで、「永久磁石作製工程」を詳しく説明する。先ず、図10に示すように、成形用の下型31の中に一方の外層磁石16aを構成する材料26aを充填し、上型32を型締めして圧縮することにより、材料26aを平板状に成形する。次に、図11に示すように、下型31の中の材料26aの上に、内層磁石16cを構成する材料26cを充填し、上型32を型締めして圧縮することにより、材料26cを材料26aと一体に平板状に成形する。次に、図12に示すように、下型31の中の材料26cの上に、他方の外層磁石16bを構成する材料26bを更に充填し、上型32を型締めして圧縮することにより、材料26bを材料26a,26cと一体として三層構造の平板状に成形する。その後、上記の三層構造に成形されたワークを焼成することにより、永久磁石16の作製を完了する。
[0034]
 次に、図9の(4)に示す「永久磁石組付工程」では、上記のように作製されたロータコア12の各スロット15の中に、上記のように作製された永久磁石16を組み付けて固定する。すなわち、図13に示すように、ロータコア12の各スロット15に各永久磁石16を整合させて圧入する。このとき、図14に示すように、内層磁石16cの両側に位置する外層磁石16a,16bの一部をスロット15の内壁15a,15bに接触させて削りながら永久磁石16を圧入する。そして、図15に示すように圧入が完了すると、永久磁石16は、外層磁石16a,16bがその一部を削った状態でスロット15の内壁15a,15bに接触することによりスロット15の中に固定される。換言すると、永久磁石16は、内層磁石16cとスロット15の内壁15a,15bとの間に外層磁石16a,16bが介在した状態でスロット15の中に固定される。
[0035]
 また、図9の(5)に示す「ロータシャフト作製工程」では、周知の鍛造方法によりロータシャフト14を作製する。この工程は、上記した各工程と並行して行うことができる。
[0036]
 そして、図9の(6)に示す「ロータシャフト組付工程」では、図4に示すシャフト締付孔13に、ロータシャフト14を中間ばめ又は圧入して組み付ける。このようにして、図1,2に示すロータ11の製造を完了することができる。
[0037]
 以上説明したこの実施形態のロータ11によれば、永久磁石16をスロット15に組み付けるには、強度の小さい外層磁石16a,16bをスロット15の内壁15a,15bに接触させて一部を削りながら永久磁石16をスロット15に圧入する。この実施形態では、外層磁石16a,16bを含む永久磁石16の幅W3がスロット15の幅W2より大きいことから、その幅W3の大きい分だけ外層磁石16a,16bが削れることとなる。このとき、強度の小さい外層磁石16a,16bが削れることで、永久磁石16の圧入荷重が比較的小さくなる。このため、永久磁石16をスロット15に圧入するための設備を小規模で安価なものにすることができる。
[0038]
 また、この実施形態では、内層磁石16cの幅W1がスロット15の幅W2より小さいことから、内層磁石16cがスロット15の内壁15a,15bに接することなくスロット15に収容される。つまり、強度のある内層磁石16cは、削れることなくスロット15の中に収容される。このため、一般的な永久磁石と同等の磁石性能を有する内層磁石16cに割れ等の破損が生じることがない。この意味で、スロット15における永久磁石16の磁石性能を確保することができる。
[0039]
 更に、この実施形態では、スロット15に永久磁石16を組み付けた状態では、内層磁石16cとスロット15の内壁15a,15bとの間に外層磁石16a,16bが介在することとなるので、永久磁石16とスロット15の内壁15a,15bとの間に隙間(エアギャップ)ができない。このため、永久磁石16をスロット15に確実に固定することができる。また、スロットの内壁と永久磁石との間にエアギャップがある場合と比べ、永久磁石16の磁気的な性能を向上させることができる。
[0040]
 このように、この実施形態のロータ11では、ロータコア12のスロット15にて磁石性能を確保しながら永久磁石16を確実に固定することができる。
[0041]
 また、この実施形態では、永久磁石16の外層磁石16a,16bをスロット15の内壁15a,15bに接触させて削るようにしたので、削り代を適当に設定することができる。この意味で、スロット15や永久磁石16の形成精度を緩和することができ、それらの加工コストを低減させることができる。
[0042]
 上記したロータの製造方法によれば、「永久磁石作製工程」では、外層磁石16a,16bと、外層磁石16a,16bの内側に設けられる内層磁石16cとを備え、外層磁石16a,16bの強度を内層磁石16cの強度より小さくした永久磁石16が作製される。また、「永久磁石組付工程」では、永久磁石16が、各スロット15の中に、外層磁石16a,16bの一部をスロット15の内壁15a,15bに接触させて削りながら圧入される。従って、永久磁石16をスロット15に圧入するときに強度の小さい外層磁石16a,16bが削れるので、永久磁石16の圧入荷重が比較的小さくなる。このため、永久磁石16をスロット15に圧入するための設備を小規模で安価なものにすることができる。このとき、強度のある内層磁石16cは、削れることなくスロット15の中に収容される。このため、一般的な永久磁石と同等の磁石性能を有する内層磁石16cに割れ等の破損が生じることがない。この意味で、スロット15における永久磁石16の磁石性能を確保することができる。また、スロット15に永久磁石16が組み付けられた状態では、内層磁石16cとスロット15の内壁15a,15bとの間に外層磁石16a,16bが介在するので、永久磁石16とスロット15の内壁15a,15bとの間にエアギャップができない。このため、永久磁石16をスロット15に確実に固定することができる。また、スロットの内壁と永久磁石との間にエアギャップがある場合と比べ、永久磁石16の磁気的な性能を向上させることができる。
[0043]
 このように、この実施形態のロータの製造方法では、ロータコア12のスロット15にて磁石性能を確保しながら永久磁石16を確実に固定することができる。
[0044]
<第2実施形態>
 次に、本発明のロータを具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。この実施形態において、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
[0045]
 この実施形態では、各スロット15の形状の点で第1実施形態と構成が異なる。図16に、ロータ11につき、永久磁石16の部分を拡大して図3に準ずる平面図により示す。図17に、ロータコア12につき、スロット15の部分を拡大して図5に準ずる平面図により示す。
[0046]
 この実施形態では、図16,17に示すように、永久磁石16の外層磁石16a,16bと接触するスロット15の内壁15a,15bが、スロット15の軸方向に凹凸が延びる断面鋸歯状に形成される。
[0047]
 従って、この実施形態のロータ11によれば、外層磁石16a,16bと接触するスロット15の内壁15a,15bが断面鋸歯状に形成されるので、永久磁石16をスロット15に圧入するときに、外層磁石16a,16bの一部が削れ易くなり、圧入荷重が更に小さくなる。このため、「永久磁石組付工程」の作業効率を向上させることができる。また、永久磁石16の割れ等の破損の防止効果を高めることができる。
[0048]
 また、この実施形態では、図16に示すように、スロット15に永久磁石16が組み付けられた状態では、スロット15の内壁15a,15bと外層磁石16a,16bとの接触面積が増える。このため、スロット15に対する永久磁石16の固定性能を向上させることができる。
[0049]
 なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
[0050]
 (1)前記各実施形態では、永久磁石16につき、内層磁石16cにおける相対向する二面に外層磁石16a,16bを設けたが、永久磁石の磁気性能や加工上の都合に合わせて、上記二面以外の面にも外層磁石を設けてもよい。例えば、図18に示すように、内層磁石16eの外周四面に外層磁石16dを設けて永久磁石16を構成することもできる。
[0051]
 (2)前記各実施形態に対し、スロット15及び永久磁石16の数を適宜増減することもできる。
[0052]
 (3)前記各実施形態では、ロータコア12を、複数の電磁鋼板22を積層することにより構成したが、ロータコアの構成はこれに限られるものではなく、例えば、ロータコアを、鍛造により成形して構成することもできる。

産業上の利用可能性

[0053]
 この発明は、電気自動車等に使用されるモータの製造に利用することができる。

符号の説明

[0054]
11 ロータ
12 ロータコア
15 スロット
15a 内壁
15b 内壁
16 永久磁石
16a 外層磁石
16b 外層磁石
16c 内層磁石
16d 外層磁石
16e 内層磁石
W1 内層磁石の幅
W2 スロットの幅
W3 永久磁石の幅

請求の範囲

[請求項1]
 ロータコアと、
 前記ロータコアに形成される複数のスロットと、
 前記複数のスロットのそれぞれに組み付けられる永久磁石と
を備えたロータにおいて、
 前記永久磁石は、外層磁石と、前記外層磁石の内側に設けられる内層磁石とを備え、前記外層磁石の強度が前記内層磁石の強度より小さく設定され、
 前記永久磁石は、前記外層磁石がその一部を削った状態で前記スロットの内壁に接触することにより前記スロットの中に固定される
ことを特徴とするロータ。
[請求項2]
 前記内層磁石の幅は、前記スロットの幅より小さく、前記外層磁石を含む前記永久磁石の全体の幅は、前記スロットの幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
[請求項3]
 前記外層磁石と接触する前記スロットの内壁は、前記スロットの軸方向に凹凸が延びる断面鋸歯状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータ。
[請求項4]
 ロータコアと、
 前記ロータコアに形成される複数のスロットと、
 前記複数のスロットのそれぞれに組み付けられる永久磁石と
を備えたロータの製造方法であって、
 外層磁石と、前記外層磁石の内側に設けられる内層磁石とを備え、前記外層磁石の強度を前記内層磁石の強度より小さくした永久磁石を作製する永久磁石作製工程と、
 前記永久磁石を、前記各スロットの中に、前記外層磁石の一部を前記スロットの内壁に接触させて削りながら圧入する永久磁石組付工程と
を備えたことを特徴とするロータの製造方法。
[請求項5]
 前記内層磁石の幅は、前記スロットの幅より小さく、前記外層磁石を含む前記永久磁石の全体の幅は、前記スロットの幅より大きいことを特徴とする請求項4に記載のロータの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]