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1. (WO2011115247) リチウムイオン二次電池

明 細 書

発明の名称

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

実施例

0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : リチウムイオン二次電池

技術分野

[0001]
 本発明は、高容量でサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池は、従来のアルカリ蓄電池などの二次電池に比べて、体積が小さく、重量容量密度が大きい。しかも、リチウムイオン二次電池は高電圧を取り出すことが可能であるので、小型機器用の電源として広く採用され、携帯電話やノート型パソコンなどのモバイル機器用の電源として広く用いられている。また、近年では小型のモバイル機器用途以外にも、環境問題に対する配慮と省エネルギー化に対する意識の高まりから、電気自動車(EV)や電力貯蔵分野といった大容量で長寿命が要求される大型電池に対する需要が高まっている。
[0003]
 上記のような大型電池では、エネルギー密度が高いことや、充放電の繰り返しに対する放電容量の劣化が少ない、即ちサイクル特性が優れていることが求められている。
[0004]
 一般に、リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出し得る炭素材料を負極活物質とした負極と、リチウムイオンを吸蔵放出し得るリチウム複合酸化物を正極活物質とした正極と、負極と正極とを隔てるセパレータと、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた非水電解液と、を含んで構成される。
[0005]
 ここで、負極活物質として用いられる炭素材料としては非晶質炭素や結晶性の高い黒鉛などが挙げられる。特に高エネルギー密度が要求される用途では、一般に黒鉛が用いられる。
[0006]
 黒鉛材料は天然黒鉛と人造黒鉛とに大きく分類される。一般に、天然黒鉛は比表面積が大きく電解液との反応性も高く、加圧により変形して容易に配向するといった問題がある。そのため、天然黒鉛では電気自動車用電池に求められるような高いサイクル特性を得るのが困難であった。そこで、粒子表面に非晶質炭素を被覆することで比表面積を小さくさせ、電解液との反応性を低減させる試みがなされていた。また、天然黒鉛を球形化させることにより配向性を減少させる試みもなされていた。しかし、根本的な解決には至っていない。
[0007]
 一方、人造黒鉛は、天然黒鉛よりも電解液との反応性が低く粒子の配向性も少ないため、サイクル特性に優れていると言われている。しかしながら、人造黒鉛は、その製造方法によって、結晶性、粒子形状、粒子の固さなどの粒子性状が多様であり、その粒子性状に適した電極設計を行わないと人造黒鉛の性能を十分に引き出すことはできない。
[0008]
 例えば、特許文献1では、加圧による粒子の変形および配向が少なく、クーロン効率が高い電池電極用炭素材料が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2005-158718号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 しかしながら、特許文献1に記載の加圧により変形させて配向性が少ない材料では、電極内の粒子間の密着性が低いために粒子間の電気的接触がとりにくくなる結果、充放電サイクルに伴う膨張収縮よって電極の導電性が大きく低下し、サイクル特性が低下する場合があることがわかった。
[0011]
 本実施形態の課題は、加圧による変形および配向性が少ない黒鉛材料を用いた際に問題となる電極の導電性の低下を防止することによって、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することである。

課題を解決するための手段

[0012]
 上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、加圧による変形、配向性が少ない黒鉛を用いた負極において、導電助剤としてDBP(フタル酸ブチル)吸収量で規定されるストラクチャーが発達したカーボンブラックを用いることで、配向性が少なくリチウムイオンの受け入れ性が高く、電極の導電性を十分に保持した負極を得ることができ、それを用いた電池が優れたサイクル特性を示すことを見出した。
[0013]
 即ち、本実施形態の一は、リチウムイオンを吸蔵放出し得る負極と、リチウムイオンを吸蔵放出し得る正極と、前記負極と前記正極を隔てるセパレータと、リチウム塩を溶解した非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、
 前記負極は、黒鉛を主体とする負極活物質と、結着剤と、導電助剤と、からなる負極合剤を含み、
 前記黒鉛は、前記負極合剤を形成して98MPa(1000kgf/cm)の圧力でプレスした後に測定されるX線回折スペクトルにおける(110)面に対する(002)面のピーク強度比が30以上70以下の値を有するものであり、
 前記導電助剤はDBP吸収量(cm/100g)が250以上500以下のカーボンブラックであるリチウムイオン二次電池である。
[0014]
 本実施形態の一は、前記負極合剤を98MPa(1000kgf/cm)以上の圧力でプレスして前記集電体上に形成され、プレス後の前記負極合剤における電極密度が1.3g/cm以上1.6g/cm以下である前記リチウムイオン二次電池である。
[0015]
 本実施形態の一は、前記黒鉛は、レーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるR値が0.01~0.1の黒鉛である前記リチウムイオン二次電池である。
[0016]
 本実施形態の一は、前記黒鉛が実質的に非晶質炭素で表面が被覆されていない塊状人造黒鉛である前記リチウムイオン二次電池である。
[0017]
 本実施形態の一は、前記黒鉛は、粒子の表面から中心部分までグラファイト組織とアモルファス組織の領域が分散している前記リチウムイオン二次電池である。
[0018]
 本実施形態の一は、前記非水電解液の添加剤として、式(1)で表される環状ジスルホン酸エステルを含有する前記リチウムイオン二次電池である。

発明の効果

[0019]
 負極合剤において98MPa(1000kgf/cm)の圧力でプレスした後に測定されるX線回折スペクトルにおける(110)面に対する(002)面のピーク強度比が30以上70以下の値を有するような配向性が少なく硬い黒鉛を用いることにより、リチウムイオンの移動がスムーズに行われ、プレス時の粒子の破壊による劣化を抑制することができる。また、DBP吸収量が250cm/100g以上のカーボンブラックを導電助剤に用いることによって、電極内に堅牢な導電ネットワークを形成することが可能となり、上記黒鉛を用いた際に課題となっていた電極導電性の低下を大幅に改善させることができる。その結果、負極性能が向上してサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下に、本実施形態について説明する。
[0021]
 (電池構成)
 リチウムイオン二次電池は、負極集電体にリチウムイオンを吸蔵放出し得る負極活物質を含有する負極合剤層が形成された負極を有する。また、リチウムイオン二次電池は、正極集電体にリチウムイオンを吸蔵放出し得る正極活物質を含有する正極合剤層が形成された正極を有する。また、負極と正極とは、セパレータを介して対向して配置される。また、リチウム二次電池は、リチウム塩を溶解した非水電解液を有する。
[0022]
 (負極)
 負極は、黒鉛を主体とする負極活物質と、結着剤と、導電助剤と、からなる負極合剤を集電体に形成されてなる。また、負極は、負極集電体の少なくとも一方の面に負極合剤層が形成されてなる。負極合剤層は、主材である負極活物質と導電助剤とが結着剤によって結合された複合体を有している。
[0023]
 負極活物質は、黒鉛を主体としてなる。また、負極活物質としては、黒鉛の他に、非晶質炭素などの炭素材料、Si、Sn若しくはAlなどのLiと合金を形成する材料、Si酸化物、SiとSi以外の金属元素とを含むSi複合酸化物、Sn酸化物、SnとSn以外の金属元素とを含むSn複合酸化物、又はLiTi12などを混合して用いてもよい。
[0024]
 黒鉛は天然黒鉛と人造黒鉛に大きく分類されるが、一般に、天然黒鉛は、人造黒鉛に比べて加圧による配向性が大きい傾向がある。そのため、人造黒鉛の方が天然黒鉛よりも、リチウムイオンの受け入れ性や電解液含浸性の点で優れており、電解液に対する反応性も低い。したがって、長寿命が要求される用途では、黒鉛としては人造黒鉛を主体とすることが好ましい。
[0025]
 黒鉛の形状は、塊状、燐片状、球状など様々な形状があるが、塊状黒鉛や球状黒鉛の方が燐片状黒鉛よりも加圧時の配向性が小さい。また、塊状黒鉛の方が球状黒鉛よりも粒子間の接触がとり易い。したがって、黒鉛は塊状の形態を有することが好ましい。したがって、黒鉛としては、塊状の人造黒鉛を用いることがより好ましい。
[0026]
 黒鉛の粒子径および比表面積はスラリーの塗工性やサイクル特性に影響を及ぼす。したがって、黒鉛は、平均粒子径が5~40μm、比表面積が0.4~10m/gのものが好ましく、平均粒子径が10~25μm、比表面積が0.5~1.5m/gのものがより好ましい。また、負極活物質としては、平均粒子径が10~25μm、比表面積が0.5~1.5m/gの塊状人造黒鉛が特に好ましい。平均粒子径(d50)は粒度分布曲線において、粒子の累積重量(体積)が50%になるときの粒子径として定義できる。これはレーザー回折散乱法(マイクロトラック法)により測定できる。比表面積はNガスを用いてBET法測定することができる。
[0027]
 本実施形態においては、負極活物質は、加圧に対する粒子の配向が少ない黒鉛を用いる。具体的には、負極合剤を形成して98MPa(1000kgf/cm)でプレスして測定されるXRD回折強度比I(002)/I(110)が30以上70以下で規定される黒鉛材料が好ましい。I(002)/I(110)が70以下であれば、粒子の配向性が少なく、リチウムイオンの受け入れ性も良好である。電池性能としてI(002)/I(110)の下限値は、特に限定されないが、実際には粒子が完全にランダムに配向(無配向)した場合の値が下限値となり、具体的には30以上である。
[0028]
 XRD測定に用いられる負極合剤層は一般的な方法で形成することができる。すなわち、活物質となる黒鉛と導電助剤とバインダーなどをNMPなどの溶媒中で混合分散させたスラリーを作り、集電体(Cu)に塗布して乾燥させてNMPを蒸発させることによって得ることができる。通常、負極合剤中の活物質となる黒鉛の割合は90%以上であるが、このような組成範囲においてはXRDの強度比はあまり変化しない。
[0029]
 プレスは一軸プレスで行うことができ、プレス圧は実際に加えた加重を負極合剤の面積で割ることによって求められる。98MPa(1000kgf/cm)というプレス圧は黒鉛材料の配向性を評価するための基準点とした値であって、実際の電池に組み込まれる負極を製造する際のプレス圧を意味するものではない。実際の量産工程で使用されるロールプレスではプレス圧を直接算出するのが困難な場合があるが、例えば、ロールプレス後の電極を一軸プレスで再プレスした後にXRD強度を評価することができる。ピーク強度比は、バックグラウンド除去後の(002)面に相当する26.4°付近のピークの高さと(110)面に相当する77.2°付近のピークの高さの比から求められる。バックグラウンドの除去は線形近似によりベースラインを引き、そのピークでのベースラインの値を差し引いて行うことができる。XRDスペクトルには集電体(Cu)のスペクトルも観測されるが、ピーク強度比には影響は与えない。
[0030]
 本実施形態において、負極は、負極合剤を98MPa(1000kgf/cm)以上の圧力でプレスして集電体上に形成され、プレス後の負極合剤における電極密度が1.3g/cm以上1.6g/cm以下であるような固く変形しにくい黒鉛を用いることが好ましい。電極密度は負極合剤の単位面積当りの重量(g/cm2)を負極合剤の厚み(cm)で割ることによって求めることができる。このような負極では電極をプレスした際の粒子の圧壊が少なく、新生面の露出に起因した電解液との反応性の増大を防止することができる。負極密度が低いと体積エネルギー密度が減少してしまうため1.3g/cm以上あることが好ましい。1.6g/cm以下では電気自動車用電池のような長寿命と重量エネルギー密度が重視される用途には好適に用いることができる。
[0031]
 本実施形態によれば、レーザーラマンスペクトルにおけるR値(1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比)が0.01~0.1の黒鉛であって、実質的に表面を非晶質炭素で被覆していない塊状人造黒鉛を用いることが好ましい。ピーク強度比は各ピークの高さの比率で求められる。一般に、活物質表面を非晶質炭素で被覆すると低比表面積化および電解液との反応性の低減の効果によりサイクル特性の向上が期待される反面、非晶質炭素層の不可逆容量により充放電効率が低下して電池容量が低下してしまうという問題がある。表面の非晶質炭素層の有無はラマンスペクトルのR値によって判別でき、非晶質炭素層がある場合にはR値は少なくとも0.1より大きい値を示す。本実施形態に好適な塊状人造黒鉛では、R値が0.1以下であって実質的に表面に非晶質炭素層が存在しないものである方が、高い充放電効率とサイクル特性を得ることができる。これは、表面に非晶質炭素層があると不可逆容量が増えるとともに電解液との反応を抑制する働きをするSEI(Solid Electrolyte Interface)皮膜の品質が低下してしまうためと考えられる。
[0032]
 本実施形態によれば、負極活物質は粒子の表面から中心部分までグラファイト組織とアモルファス組織の領域が分散した黒鉛であってもよい。粒子内に微小なアモルファス領域が分散していることで粒子が固くなり加圧に対して変形しにくくなる。その結果、配向性を抑えることができる。また、粒子内でのアモルファス組織はグラファイト組織に比べて少なく両組織がほぼ均一に分散しているので、充放電効率を損ねることもない。
[0033]
 炭素質粒子の、グラファイト組織(黒鉛結晶性部分)とアモルファス組織(非晶質炭素部分)は透過型電子顕微鏡における明視野像の解析で判別することができる。
[0034]
 具体的には、明視野画像において制限視野電子回折(SAD)を行い、そのパターンから判別を行うことができる。詳細については、炭素材料学会編「最新の炭素材料実験技術(分析・解析編)」,(サイペック(株)),2001年11月30日18-26頁,44-50頁に記載されている。
[0035]
 ここで、黒鉛結晶質の領域とは、例えば易黒鉛化炭素の2800℃処理における回折パターンの特徴を示すものを指す(制限視野回折パターンにおいて、二つ以上のスポット状の回折パターンを示す)。また、非晶質の領域とは、例えば難黒鉛化炭素の1200~2800℃処理における回折パターンの特徴を示すものを指す(制限視野回折パターンにおいて、(002)面に由来する一つのスポットのみ現れる回折パターンを示す)。
[0036]
 一方、上述のような配向しにくく粒子が固く変形しにくい黒鉛を用いた負極はリチウムイオンの移動がスムーズに行われるとともにプレス時の粒子の破壊が少ないためというメリットがある反面、電極内の粒子間の接触面積が減少して点接触になってしまい、充放電サイクルに伴う膨張収縮によって粒子間の接触がとれなくなってしまいサイクル特性が低下する場合があった。したがって、このような黒鉛に対しては電極の導電性を十分に保持するような適切な導電助剤を用いる必要があった。
[0037]
 一般に、導電助剤としては、例えば、燐片状黒鉛や粒状炭素類、カーボンブラックなどの種々の炭素材料が用いられる。カーボンブラックは、粒子サイズ、比表面積、DBP吸収量などが異なる種々のものがある。DBP吸収量が高いほどストラクチャーが発達しており、カーボン粒子が鎖状につながった構造を有し、これが電極内の電子導電のネットワークとして機能する。また、このストラクチャー構造が電解液を保持する役割をしており電極内のイオン導電性の向上に寄与している。一般に導電助剤としてストラクチャーが発達したカーボンブラックを用いた方が電極の電子伝導性が向上してサイクル特性が改善することは予想されるものの、負極においては活物質である黒鉛自体が高い電子伝導性を有するため導電助剤によるサイクル特性の改善は限定的であると考えられ、これまで負極合剤中の導電助剤のDBP吸収量については着目されていなかった。なお、DBP吸着量はJIS K 6217-4に準じて測定することができる。
[0038]
 本実施形態によれば、導電助剤として、DBP吸収量が250cm/100g以上のカーボンブラックを用いることによって、配向が少なく変形が少ない黒鉛を用いた場合に課題となる粒子間の電気的接触を大幅に改善することができる。一方、DBP吸収量が500cm/100gを超えると、電極スラリーの分散媒の大部分がカーボンブラックに吸収されて粘度が著しく増大してハンドリング性が低下したり、電極の塗工性が低化してしまう場合がある。したがって、DBP吸収量(cm/100g)は250以上500以下とすることが好ましい。
[0039]
 導電助剤の含有量は、負極合剤に対して0.2質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。導電助剤の量が0.2質量%以上の場合、電極の導電性を十分に維持し易くなる。また、導電助剤の量が1.5質量%以下の場合、電極スラリーの粘度が高くなりすぎるのを防いで塗工性が良好となり易くなり、また、不可逆容量の増大を抑制して充放電効率が向上し易くなる。
[0040]
 結着剤としては、特に限定はされないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系ポリマーなどが挙げられる。有機系の結着剤では、スラリーの溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)が一般に用いられる。また、SBR系エマルジョンのような水系の結着剤では、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を用いることができる。SBR系やアクリル系ポリマーはPVDFよりも電解液に対する膨潤が小さいため、本実施形態の結着剤として好適に用いることができる。結着剤の含有量は、負極合剤に対して0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。結着剤の含有量が0.5質量%以上の場合、十分な密着性が得られ易くなる。また、結着剤の含有量が10質量%以下の場合、電池容量の低下を防ぎ易くなる。
[0041]
 (集電体)
 正極集電体としては、特に制限されるものではないが、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などを用いることができる。また、負極集電体としては、特に制限されるものではないが、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金を用いることができる。
[0042]
 (セパレータ)
 セパレータとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、フッ素樹脂などの多孔性フィルムが用いられる。
[0043]
 (正極)
 正極活物質としては、特に制限されるものではなく、リチウムイオンを吸蔵放出し得るものを用いることができる。正極活物質としては、例えば、リチウム含有複合酸化物が用いられる。リチウム含有複合酸化物としては、より具体的には、例えば、LiMO(MはMn、Fe、Co、Niより選ばれる1種のみ、または2種以上の混合物であり、一部をMg、Al、Tiなどその他カチオンで置換してもよい)、LiMn2-x(AはMn以外の少なくとも一種の元素。)などの材料を用いることができる。添加元素(A)としては、例えば、Mg、Al、Co、Ni、Fe、Bなどが挙げられる。また、LiFePOで表されるオリビン型材料を用いることもできる。これらは、例えばLi過剰組成など非化学量論組成であっても良い。これらの中で、特にLiMn2-xで表されるマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム(LiCoO)やニッケル酸リチウム(LiNiO)より容量は低いものの、NiやCoと比較してMnの産出量が多いため材料コストが低く、スピネル構造を有するため熱的安定性が高いといったメリットがある。そのため、LiMn2-xで表されるマンガン酸リチウムは、電気自動車や電力貯蔵用などの大型電池向けの正極材料として好適に用いられる。したがって、正極活物質は、マンガン酸リチウムを主体として含むことが好ましい。
[0044]
 負極および正極は、例えば、以下のように作製することができる。まず、上記活物質と導電助剤とを、PVDFなどの結着剤とともにNMPなどの溶剤中に分散混練してスラリーを調製する。次に、このスラリーをホットプレート上にてドクターブレードなどを用いて上記集電体に塗布後、溶媒を乾燥させることにより電極を作製する。得られた電極は、ロールプレスなどの方法により圧縮して適当な密度に調整することができる。
[0045]
 (電解液)
 電解液は、電解質が溶解された非水溶媒を用いることができる。電解質は、リチウム二次電池の場合にはリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、特に制限されるものではないが、例えば、リチウムイミド塩、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbFなどが挙げられる。これらの中でもLiPF、LiBFが好ましい。リチウムイミド塩としては、例えば、LiN(C2k+1SO)(C2m+1SO)(k、mはそれぞれ独立して1または2である)が挙げられる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
[0046]
 また、非水溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ-ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびそれらのフッ化誘導体の有機溶媒から選ばれた少なくとも1種類の有機溶媒を用いることができる。環状カーボネート類としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの誘導体等をあげることができる。鎖状カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、およびこれらの誘導体等を挙げることができる。脂肪族カルボン酸エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの誘導体等をあげることができる。γ-ラクトン類としては、例えば、γ-ブチロラクトン、およびこれらの誘導体等を挙げることができる。環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。鎖状エーテル類としては、例えば、1、2-ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、およびこれらの誘導体等を挙げることができる。また、その他にも、例えば、ジメチルスルホキシド、1、3-ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1、3-プロパンスルトン、アニソール、N-メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を混合して使用することができる。
[0047]
 また、電解液には、負極表面に良質なSEI皮膜を形成させるために添加剤を加えても良い。SEI皮膜には、電解液との反応性を抑制したり、リチウムイオンの挿入脱離に伴う脱溶媒和反応を円滑にして活物質の構造劣化を防止したりする働きがある。このような添加剤としては、例えば、プロパンスルトン(PS)、ビニレンカーボネート(VC)、環状ジスルホン酸エステルなどが挙げられる。環状ジスルホン酸エステルは緻密で良質なSEI皮膜を形成することができるため、特に好ましい。ここで、環状ジスルホン酸エステルとは、下記式(1)で表される化合物のことである。添加剤の含有量は、例えば、電解液中0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が0.5質量%以上の場合、良質な皮膜を形成し易くなる。添加剤の含有量が10質量%以下の場合、抵抗の増大を抑制し、また、多量のガス発生を抑制することができる。
[0048]
[化1]


[0049]
 (式(1)において、Qは酸素原子、メチレン基または単結合を表す。Aは、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~5のアルキレン基、カルボニル基、スルフィニル基、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~5のパーフルオロアルキレン基、分岐していても良い炭素数2~6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を含み分岐していても良い炭素数2~6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基を示す。Bは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のフルオロアルキレン基、または酸素原子を示す)
[0050]
 式(1)で示される化合物の具体例を表1に例示する。これらの化合物は1種のみをもちいてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0051]
[化2]


[0052]
[化3]


[0053]
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外装体としては、特に制限されるものではないが、ラミネート外装体が好ましい。合成樹脂と金属箔との積層体からなる可撓性フィルムなどよりなるラミネート外装体が、軽量化が可能であり電池エネルギー密度の向上を図る上で好ましい。また、ラミネート型電池は放熱性にも優れるため、電気自動車などの車載用電池として好適に用いることができる。
実施例
[0054]
 以下に本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[0055]
 (実施例0-1)
 (負極の作製)
 負極活物質として、塊状人造黒鉛である人造黒鉛A(平均粒径D50;17μm、比表面積が1m/g)と、導電助剤としてDBP吸収量(cm/100g)が360のカーボンブラック(平均粒子径40nm、比表面積800m/g)と、結着剤としてSBRと、増粘剤としてCMCと、を質量比で97.5:0.5:1:1の割合でイオン交換水中に混練・分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚み15μmの銅箔上に塗布後、50℃にて10分間水分を蒸発させた。その後、さらに110℃で30分乾燥させることにより負極合剤層を形成した。その後、負極合剤層をプレスして、負極密度が1.40g/cmの片面塗布した負極を作製した。乾燥後の単位面積当たりの負極合剤量は0.008g/cmとした。
[0056]
 (正極の作製)
 正極活物質として平均粒径D50;10μmのLi1.1Mn1.9粉末と、結着剤としてPVDFと、導電助剤として炭素質粉末と、を質量比を92:4:4でNMP中に均一に分散させてスラリーを調製した。そのスラリーを正極集電体となる厚み20μmのアルミ箔上に塗布した。その後、125℃にて10分間NMPを蒸発させることにより正極合剤層を形成した。乾燥後の単位面積当たりの正極合剤量は0.025g/cmとした。
[0057]
 (電解液)
 電解液は、溶媒としてEC:DEC=30:70(体積%)に、電解質として1mol/LのLiPFを溶解したものを用いた。
[0058]
 (ラミネート型電池の作製)
 上記のように作製した正極と負極を各々5cm×6.0cmに切り出した。このうち、一辺5cm×1cmはタブを接続するための未塗布部であって、活物質層は5cm×5cmである。幅5mm、長さ3cm、厚み0.1mmのアルミ製の正極タブを正極未塗布部に長さ1cmで超音波溶接した。同様に、正極タブと同サイズのニッケル製の負極タブを負極未塗布部に超音波溶接した。6cm×6cmのポリエチレンおよびポリプロピレンからなるセパレータの両面に上記負極と正極を活物質層がセパレータを隔てて重なるように配置して電極積層体を得た。2枚の7cm×10cmのアルミラミネートフィルムの長辺の一方を除いて三辺を熱融着により幅5mmにて接着して袋状のラミネート外装体を作製した。ラミネート外装体の一方の短辺より1cmの距離となるように上記電極積層体を挿入した。上記非水電解液を上記電極積層体が有する空孔体積に対して1.5倍となる量を注液して真空含浸させた後、減圧下にて開口部を熱融着により幅5mmで封止することで、ラミネート型電池を作製した。
[0059]
 (サイクル試験)
 上記のように作製したラミネート型電池のサイクル試験を行った。具体的には、60mAの定電流で4.2Vまで充電した後合計で2.5時間の4.2V定電圧充電を行ってから、60mAで3.0Vまで定電流放電するという充放電サイクルを500回繰り返した。初回放電容量に対する500サイクル後の放電容量の比率を容量維持率(%)として求めた。試験温度は、高温環境下での劣化試験および加速試験を目的として、60℃とした。
[0060]
 (比較例0-1)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が175のカーボンブラック(平均粒子径35nm、比表面積68m/g)を用いた以外は、実施例0-1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0061]
 (比較例0-2)
 負極活物質として、燐片状人造黒鉛である人造黒鉛C(平均粒径D50;30μm、比表面積が1.2m/g)を用いた以外は、実施例0-1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0062]
 (実施例0-2)
 電解液に添加剤として、1、3-プロパンスルトンを1.5質量%さらに混合したものを用いた以外は、実施例0-1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0063]
 (実施例0-3)
 電解液に添加剤として、ビニレンカーボネートを1.5質量%さらに混合したものを用いた以外は、実施例0-1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0064]
 表1に、実施例0-1~0-3と比較例0-1~0-2について、98MPa(1000kgf/cm)でプレスした負極のXRD回折スペクトルを測定して求めたI(002)/I(110)と、60℃における500サイクル後容量維持率(以下、単に容量維持率と記す)を示した。XRDスペクトルは、CuKα線(波長0.15418nm)を用いて30kV-15mAのX線強度において、20~100°の範囲を0.01°間隔で2°/分のスキャン速度で測定して得た。I(002)/I(110)が70以下でDBP吸収量(cm/100g)が250以上のものは高い容量維持率が得られた。一方、I(002)/I(110)が70より大きいものは容量維持率が低かった。なお、DBP吸収量(cm/100g)が600のカーボンブラックでは、電極スラリーの粘性が著しく増大して塗工が困難であり、集電体からの活物質層の剥離が認められたため、電池評価は出来なかった。このことから、I(002)/I(110)が70以下でDBP吸収量(cm/100g)が250~500が好ましいことがわかった。
[0065]
[表1]


[0066]
 (実施例1)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が250のカーボンブラック(平均粒子径60nm、比表面積80m/g)、電解液に添加剤として、上記で示した化合物102の添加剤を1.5質量%さらに混合したものを用いた以外は、実施例0-1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0067]
 (実施例2)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が360のカーボンブラック(平均粒子径40nm、比表面積800m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0068]
 (実施例3)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が500のカーボンブラック(平均粒子径34nm、比表面積1270m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0069]
 (実施例4)
 負極活物質として、塊状人造黒鉛である人造黒鉛B(平均粒径D50;30μm、比表面積が1.2m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0070]
 (実施例5)
 負極活物質として、塊状人造黒鉛である人造黒鉛B(平均粒径D50;30μm、比表面積が1.2m/g)を用いた以外は、実施例2と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0071]
 (比較例1)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が175のカーボンブラック(平均粒子径35nm、比表面積68m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0072]
 (比較例2)
 負極活物質として、燐片状人造黒鉛である人造黒鉛C(平均粒径D50;30μm、比表面積が1.2m/g)を用いた以外は、実施例2と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0073]
 (比較例3)
 導電助剤として、DBP吸収量(cm/100g)が175のカーボンブラック(平均粒子径35nm、比表面積68m/g)を用いた以外は、比較例2と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0074]
 (比較例4)
 負極活物質として、非晶質炭素で被覆された球状天然黒鉛である天然黒鉛A(平均粒径D50;20μm、比表面積が1.0m/g)を用いた以外を用いた以外は、比較例2と同様に電池を作製してサイクル試験を行った。
[0075]
 表2に、実施例1~5と比較例1~4について、98MPa(1000kgf/cm)でプレスした負極のXRD回折スペクトルを測定して求めたI(002)/I(110)と、60℃における500サイクル後容量維持率(以下、単に容量維持率と記す)を示した。XRDスペクトルは、CuKα線(波長0.15418nm)を用いて30kV-15mAのX線強度において、20~100°の範囲を0.01°間隔で2°/分のスキャン速度で測定して得た。I(002)/I(110)が70以下でDBP吸収量(cm/100g)が250以上のものは高い容量維持率が得られた。一方、I(002)/I(110)が70より大きいものは容量維持率が低かった。なお、DBP吸収量(cm/100g)が600のカーボンブラックでは、電極スラリーの粘性が著しく増大して塗工が困難であり、集電体からの活物質層の剥離が認められたため、電池評価は出来なかった。このことから、I(002)/I(110)が70以下でDBP吸収量(cm/100g)が250~500が好ましいことがわかった。
[0076]
 また、添加剤の量については、種々変化させて(0.1、1.0、2.0,3.0,4.0、5.0,6.0,7.0,8.0,9.0重量%)行ったが上記と同様の効果を得た。
[0077]
[表2]


[0078]
 (実施例6)
 負極を98MPa(1000kgf/cm)でプレスして、密度を1.33g/cm3としたものを用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製してサイクル試験を行った。
[0079]
 (実施例7)
 負極を196MPa(2000kgf/cm)でプレスして、密度を1.52g/cm3としたものを用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製してサイクル試験を行った。
[0080]
 (実施例8)
 負極を490MPa(5000kgf/cm)でプレスして、密度を1.57g/cm3としたものを用いた以外は、実施例2と同様にして電池を作製してサイクル試験を行った。
[0081]
 (実施例9)
 負極を98MPa(1000kgf/cm)でプレスして、密度を1.60g/cm3としたものを用いた以外は、実施例5と同様にして電池を作製してサイクル試験を行った。
[0082]
 (実施例10)
 負極を196MPa(2000kgf/cm)でプレスして、密度を1.75g/cm3としたものを用いた以外は、実施例5と同様にして電池を作製してサイクル試験を行った。
[0083]
 表3に実施例6~10の負極の密度と容量維持率を示した。98MPa(1000kgf/cm)以上でプレスした際の電極密度が1.3~1.6g/cmの人造黒鉛Aでは高い容量維持率が得られた。これは加圧に対して変形しにくい人造黒鉛Aは粒子の圧壊による劣化が少ないためと考えられる。
[0084]
[表3]


[0085]
 (実施例11)
 実施例2で得られた二次電池について、充放電効率を求めた。
[0086]
 充放電効率は、初回充電容量に対する初回放電容量の比率(初回放電容量/初回充電容量×100)として求めた。
[0087]
 また、人造黒鉛Aの粉末に対してレーザーラマンスペクトルを測定し、R値(1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比)を求めた。ラマンスペクトルはArレーザー(波長514.5nm、ビーム強度10mW)を用いたマクロラマンモード(ビーム径100μm)で測定した。ラマン強度比は各ピークの高さの比として求めた。
[0088]
 (実施例12)
 実施例5で得られた二次電池について、実施例11と同様の方法で充放電効率を求めた。
[0089]
 また、人造黒鉛Bの粉末に対して実施例11と同様にしてR値を求めた。
[0090]
 (実施例13)
 人造黒鉛Aに対してCVD法を用いて5質量%の非晶質炭素を被覆したもの(人造黒鉛A’)を実施例11と同様にしてR値を求めた。
[0091]
 また、人造黒鉛Aの代わりに人造黒鉛A’を用いた以外は実施例2と同様にして電池を作製した。得られた電池について、サイクル試験を行い、また充放電効率を求めた。
[0092]
 表4に実施例11、12,13の初回充放電時の充放電効率(放電容量/充電容量×100%)と容量維持率を示した。ここで、実施例11と12はそれぞれ実施例2と実施例5と同じ電池であるため容量維持率も同じである。R値が0.1以下では充放電効率が高く、容量維持率も高かった。一方、非晶質炭素被覆を行ってR値が0.25と増大したものは充放電効率も容量維持率も低下した。これは、非晶質炭素層の不可逆容量が大きいことと表面のSEI皮膜の品質が低下したことが考えられる。
[0093]
 人造黒鉛Aを薄片に切断し断面の透過型電子顕微鏡における明視野像の制限視野回折パターンを観察した。二つ以上のスポット状の回折パターンを示すグラファイト組織と、(002)面に由来する一つのスポットのみ現れる回折パターンを示すアモルファス組織とが粒子内に分散して存在していることがわかった。グラファイト組織とアモルファス組織の比率はおよそ90:10と推定された。人造黒鉛Bでは同様な構造は認められなかった。
[0094]
[表4]


[0095]
 この出願は、2010年3月18日に出願された日本出願特願2010-063030を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
[0096]
 以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 リチウムイオンを吸蔵放出し得る負極と、リチウムイオンを吸蔵放出し得る正極と、前記負極と前記正極を隔てるセパレータと、リチウム塩を溶解した非水電解液と、を有するリチウムイオン二次電池において、
 前記負極は、黒鉛を主体とする負極活物質と、結着剤と、導電助剤と、からなる負極合剤を集電体に形成されてなり、
 前記黒鉛は、前記負極合剤を形成して98MPa(1000kgf/cm)の圧力でプレスした後に測定されるX線回折スペクトルにおける(110)面に対する(002)面のピーク強度比が30以上70以下の値を有するものであり、
 前記導電助剤はDBP吸収量(cm/100g)が250以上500以下のカーボンブラックであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[請求項2]
 前記負極は、前記負極合剤をプレスして前記集電体上に形成され、プレス後の前記負極合剤における電極密度が1.3g/cm以上1.6g/cm以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
[請求項3]
 前記黒鉛は、レーザーラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比であるR値が0.01以上0.1以下である黒鉛である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
[請求項4]
 前記黒鉛は、実質的に非晶質炭素で表面が被覆されていない塊状人造黒鉛である請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
[請求項5]
 前記黒鉛は、粒子の表面から中心部分までグラファイト組織とアモルファス組織の領域が分散している請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
[請求項6]
 前記非水電解液の添加剤として、下記式(1)で表される環状ジスルホン酸エステルを含有する請求項1乃至5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
[化1]



 (式(1)において、Qは酸素原子、メチレン基または単結合を表す。Aは、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~5のアルキレン基、カルボニル基、スルフィニル基、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~5のパーフルオロアルキレン基、分岐していても良い炭素数2~6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を含み分岐していても良い炭素数2~6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基を示す。Bは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のフルオロアルキレン基、または酸素原子を示す)