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1. WO2011074428 - 発光素子用材料の製造方法、発光素子用材料前駆体および発光素子の製造方法

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明 細 書

発明の名称 発光素子用材料の製造方法、発光素子用材料前駆体および発光素子の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

実施例

0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129  

符号の説明

0130  

産業上の利用可能性

0131   0132  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 発光素子用材料の製造方法、発光素子用材料前駆体および発光素子の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、発光素子用材料の前駆体、発光素子用材料の製造方法、および、発光素子の製造方法に関する。発光素子は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能である。

背景技術

[0002]
 有機EL素子は、陽極と陰極の間に有機発光層が挟まれた構造の発光素子であり、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が有機発光層内で再結合して生じたエネルギーにより発光する。有機EL素子は、薄型、軽量、低駆動電圧下での高輝度発光、および、発光材料の選択による多色発光が特徴であり、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。
[0003]
 有機EL素子の発光層に用いられる材料としては、電気化学的な安定性と共に良好な発光特性を有するものが好ましい。これらの条件を満たしうる多環芳香族炭化水素(アントラセン、ピレン、ナフタセン等)の誘導体が発光材料として用いられることが多い(特許文献1~3参照)。
[0004]
 多環芳香族炭化水素を発光材料として用いる場合、発光波長の調整や素子の耐久性向上のために置換基を導入した誘導体とすることが一般的である。特に耐久性の向上という点では置換基の立体障害による凝集の抑制が効果的であり、様々な置換基について検討されている。
[0005]
 なかでもアントラセン誘導体やナフタセン誘導体といったポリアセン系の材料ではポリアセン骨格が成す平面に対して互いにシスの位置にある置換基を有する材料と、同じ組成で互いにトランスの位置にある置換基を有する材料とでは耐久性に大きな違いがあり、トランス体を多く含む材料の方が耐久性に優れているとされる(特許文献4参照)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2007-63501号公報
特許文献2 : 特開2009-246354号公報
特許文献3 : 特開2002-8867号公報
特許文献4 : 国際公開WO2007/097178号パンフレット

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上述したトランス体を多く含むポリアセン誘導体は、目的の化合物を合成後、200℃以上の高温で1時間以上処理して異性化することで製造されるため、熱による材料の劣化が問題となる。特にナフタセン誘導体やペンタセン誘導体といった酸化されやすい化合物は、空気中あるいは微量の酸素が残存する不活性雰囲気下で高温処理すると容易に酸化され、生じた酸化生成物が素子の特性に悪影響を与える。
[0008]
 本発明はこれらの問題点を解消し、温和な条件で耐久性に優れた発光素子用材料を製造する方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0009]
 すなわち、本発明は、一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体を加熱および/または光照射により変換して発光素子用材料を製造する方法であって、得られた発光素子用材料がシス体よりもトランス体を多く含むものである、発光素子用材料の製造方法である。
[0010]
[化1]


[0011]
 ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。ただし、これらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である。R ~R 24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い。R またはR とR またはR は結合してビシクロ骨格を形成していても良く、R 13またはR 14とR 17またはR 18は結合してビシクロ骨格を形成していても良い。
[0012]
 また、本発明は、前記の発光素子用材料前駆体を含む。
[0013]
 また、本発明は、前記の発光素子用材料前駆体を含む層を基板上に形成する工程と、前記発光素子用材料前駆体を加熱および/または光照射により発光素子用材料に変換する工程を含む発光素子の製造方法を含む。

発明の効果

[0014]
 本発明の発光素子用材料の製造方法によると、従来法では熱による劣化が問題であったポリアセン誘導体を製造する場合においても、劣化を抑制できる温和な条件で、耐久性に優れたトランス体を多く含む有機発光材料を製造することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 有機EL素子の構造の一例を示す断面図

発明を実施するための形態

[0016]
 本発明の発光素子用材料前駆体は、一般式(1)または(2)で表される。
[0017]
[化2]


[0018]
 ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である。R ~R 24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。R ~R 24は、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い。R またはR とR またはR は結合してビシクロ骨格を形成していても良く、R 13またはR 14とR 17またはR 18は結合してビシクロ骨格を形成していても良い。
[0019]
 アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。本発明においてアルキル基の好ましい炭素数としては1~20の範囲である。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。
[0020]
 シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基およびアダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示す。本発明においてシクロアルキル基の好ましい炭素数は3~20の範囲である。シクロアルキル基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0021]
 アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。本発明においてアルケニル基の好ましい炭素数は2~20の範囲である。アルケニル基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0022]
 シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示す。本発明においてシクロアルケニル基の好ましい炭素数は3~20の範囲である。し、これは置換基を有していても有していなくてもよい
 アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示す。本発明においてアルコキシ基の好ましい炭素数は1~20の範囲である。この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0023]
 アルキルチオエーテル基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。本発明においアルキルチオ基の好ましい炭素数は1~20の範囲である。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0024]
 アリール基とは、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、アントラセニル基およびピレニル基などの芳香族炭化水素基、もしくはこれらが複数連結した基を示す。本発明においてアリール基の好ましい炭素数は6~40の範囲である。アリール基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基が有していても良い置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールエーテル基、アルキルチオ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、シリル基およびボリル基などである。
[0025]
 アリールエーテル基とは例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示す。本発明においてアリールエーテル基の好ましい炭素数は6~40の範囲である。芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0026]
 アリールチオエーテル基とはアリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。本発明においてアリールチオエーテル基の好ましい炭素数は6~40の範囲である。アリールチオ基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0027]
 ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を環内に有する芳香族基を示す。本発明においてヘテロアリール基の好ましい炭素数は2~30の範囲である。芳香族基は置換基を有していても有していなくてもよい。
[0028]
 ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等である。
[0029]
 一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体は、トランス体を多く含む発光素子用材料を、温和な条件で製造するために有用な前駆体である。 ここで、一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体、およびこれを用いて得られる発光素子用材料であるポリアセン誘導体におけるシス、トランスの異性体について説明する。以下の説明は前駆体にもポリアセン誘導体にも共通して該当するため、一般式(1)を例に説明する。
[0030]
 一般式(1)においてAr およびAr を、連結しているベンゼン環との結合を軸としてそれぞれ回転させる場合を考える。このとき、Ar およびAr の構造が前記結合軸に対して2回対称軸を有する場合(例えば、Ar およびAr がp-トリル基である場合など)は、シス、トランスの異性体は存在しない。一方、2回対称軸が無い場合(例えば、Ar およびAr がo-トリル基である場合など)には、置換基に非対称部位が存在し、その非対称部位が母骨格の成す平面に対して同じ側に位置するシス体と反対側に位置するトランス体の構造異性体が定義される。もっとも、シス体とトランス体が別の化学種として検出できるのは、非対称部位が立体的にかさ高く、Ar およびAr の自由な回転運動が阻害される場合である。
[0031]
 シス体、トランス体が別の化学種として認識することができる場合には、種々の分析法でその存在比を決定することが可能である。特に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)が有力な手法として挙げられる。通常、熱力学的に安定なのはトランス体なので、このようなタイプの化合物は、加熱および/または光照射によって異性化の活性化エネルギーを与えることでトランス体に異性化する。従って加熱や光照射によって含有量が増加した方の異性体をトランス体に帰属することができる。
[0032]
 トランス体を多く含むポリアセン誘導体は、分子同士の凝集を抑制することができるため発光素子用材料として良好な特性を示す。このような材料を得るため、従来法では合成後の発光素子用材料を200℃以上の高温で処理し、異性化反応を行う必要があった。一般式(1)または(2)におけるAr ~Ar が、構造異性体が生じる置換基を有している場合に、置換基とポリアセン骨格との間に生じる立体障害が大きい(すなわち、置換基がかさ高い)と異性化反応の障壁が高く、容易には異性化反応が進行しないためである。例えば2,4-ジフェニルフェニル基を有するナフタセン誘導体は300℃以上の高温で処理しないと、目的とするトランス体を得ることができない。
[0033]
 一方でポリアセン誘導体は高温処理時に、酸化等の望まない反応により不純物を副生し、素子特性に悪影響を与えてしまう。それを防ぐために、高温処理の雰囲気を厳密な不活性雰囲気にする必要があるなど、トランス体を多く含むポリアセン誘導体の製造は困難であった。
[0034]
 一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体を用いれば、このような高温処理を必要とせず、温和な条件でトランス体を多く含む発光素子用材料を製造することが可能である。発光素子用材料前駆体は、下記のように加熱および/または光照射により、変換処理することで、発光素子用材料に変換することができる。
[0035]
[化3]


[0036]
 この際、一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体が異性体の混合物であった場合でも、変換処理を施して得られる発光素子用材料は、シス体よりもトランス体が多く含まれるようになっていることが見出された。
[0037]
 そのメカニズムの詳細は不明であるが、一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体の立体構造が原因の一つと考えられる。すなわち一般式(1)または(2)に示すAr ~Ar が結合する炭素のベータ位の炭素(例えば、一般式(1)においてR 、R 、R 、R が結合する炭素)はsp 混成軌道を有しており、ベータ位の炭素がsp 混成軌道を有している場合と比較して、Ar ~Ar で示される置換基と母骨格との立体障害が緩和されている。そのため一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体の異性化の活性化エネルギーが低く、温和な条件でトランス体が多く生成すると考えられる。
[0038]
 変換後の発光素子用材料においてトランス体が多くなる機構としては、少なくとも2つの機構が考えられる。1つは、前駆体の段階で温和な条件によりトランス体が多くなり、そのまま発光素子用材料に変換される機構である。もう1つは、前駆体から発光素子用材料へ変換される遷移状態において、熱力学的に安定なトランス体をとりやすく、変換後はトランス体が多くなっている機構である。両方の機構は明確に区別できるものではなく、並行して起こっていることも考えられる。
[0039]
 なお、発光素子用材料前駆体の時点でトランス体の構造をとったものは、その後の変換処理においてシス体に戻ることも起こりうるが、その割合は少ないと考えられる。そのため、発光素子用材料前駆体の段階でトランス体を多くしておくことが好ましい。
[0040]
 発光素子用材料前駆体の段階でトランス体を多くするための条件としては、200℃未満の温度での加熱が好ましい。より好ましい温度は100-190℃の間である。加熱時間は、特に制限されないが、1~50時間が好ましく、10~30時間がより好ましい。
[0041]
 発光素子用材料前駆体から発光素子用材料への変換処理が加熱である場合、発光素子用材料前駆体の構造にもよるが、変換処理の温度は200℃前後である。したがって、加熱による変換処理がトランス体への異性化処理を兼ねることもできる。
[0042]
 発光素子用材料前駆体から発光素子用材料への変換処理が光照射である場合は、材料にダメージを与えない観点から好ましい。照射する光は、ピーク波長が300-550nmの範囲にあるものが好ましい。材料の劣化を抑制することができ、効率的な変換が可能な青色光を用いるのが特に好ましい。具体的には、ピーク波長が430~470nmの範囲にあり、当該ピークの半値幅が50nm以下である光を用いることが好ましい。光照射のための光源には、高輝度光源ランプとバンドパスフィルタを組み合わせたものや、発光ダイオードなどを用いることができる。高輝度光源ランプとしては、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられるがこれらに限られない。これらの中でも発光ダイオードを用いると、目的とする波長の光のみを取り出して照射することができるため好ましい。
[0043]
 トランス体の含有量をより増やすために、発光素子用材料前駆体の合成後に改めて200℃未満の温度での熱処理工程を加えることが好ましい。
[0044]
 発光素子用材料前駆体から発光素子用材料への変換は、発光素子用材料前駆体を固体のまま変換処理しても良いし、発光素子用材料前駆体を溶液にして変換処理をし、その後溶媒を除去しても良い。いずれの場合も、変換時に生じる副生成物が減圧乾燥によって除けるタイプの発光素子用材料前駆体を用いると、精製を省くことができるため望ましい。このような発光素子用材料前駆体を使用すると、例えば蒸着用ボートに前駆体を充填してボート内で変換処理し、そのまま真空蒸着法により発光素子を製造することが可能である。
[0045]
 一般式(1)で表される発光素子用材料前駆体を変換させるとき、R およびR のいずれか一方、ならびに、R およびR のいずれか一方が解離することによって、ポリアセン骨格を有する発光素子用材料へと変換される。同様に一般式(2)で表される発光素子用材料前駆体を変換させるとき、R 13およびR 14のいずれか一方、ならびに、R 17およびR 18のいずれか一方が解離することによって、ポリアセン骨格を有する発光素子用材料へと変換される。
[0046]
 例えばR およびR がフェニル基で、R およびR が水酸基である化合物は、下式の通り塩酸-塩化第二錫で処理することでも、目的とする発光素子用材料に変換することができる。
[0047]
[化4]


[0048]
 本発明において最終的に得られる発光素子用材料の特性を考慮すると、一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体は、変換されて得られるポリアセン誘導体が、特開2002-8867号公報や特開2009-224604号公報に記載された構造のうち、本発明の一般式(1)または(2)におけるAr ~Ar に該当する部分が上記説明の範囲に含まれるものであることが好ましい。中でも、Ar ~Ar がアリール基またはヘテロアリール基であることがさらに好ましく、これらの中でもオルト位もしくはα位にアリール基またはヘテロアリール基を有するアリール基またはヘテロアリール基であることが特に好ましい。Ar ~Ar の特に好ましい例を以下に示す。
[0049]
[化5]


[0050]
 R ~R 24として特に水素、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基から選ばれた基を有するものが特に好ましい。ここで、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、前記の説明のとおりである。
[0051]
 本発明の好ましい発光素子用材料前駆体は、一般式(3)または(4)で表される。
[0052]
[化6]


[0053]
 ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である。R 25~R 44はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い。Ar ~Ar の好ましい例は、前記のAr ~Ar の好ましい例と同じである。また、R 25~R 44の好ましい例は、前記のR ~R 24の好ましい例と同じである。
[0054]
 XはC=O、CH 、OおよびCHR から選ばれる原子または原子団である。R はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアシル基から選ばれる置換基であり、互いに結合を有して環を形成しても良い。
[0055]
 ここでアシル基とはカルボン酸R-C(=O)OHから水酸基を除いたR-C(=O)-で表される置換基であり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。
[0056]
 ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基は、前記の説明のとおりである。
[0057]
 また、XがCHR の場合について-X-X-の部分の具体例を下式に記す。
[0058]
[化7]


[0059]
 これらの材料のなかでも発光素子用材料へ変換したときに生じる副生成物が気体であるもの、すなわちXがC=O、CH またはOである発光素子用材料前駆体がさらに好ましい。特に好ましくは、変換処理により生じる副生成物が気体であり、かつ、変換条件が光照射である発光素子用材料前駆体である。具体的には、一般式(3)または(4)においてXがC=Oであるものである。
[0060]
 一般式(3)または(4)において、XがC=Oの場合、発光素子用材料前駆体は変換処理によって一酸化炭素を放出し、発光素子用材料へと変換される。同様に、変換処理によって、XがCH の場合はエチレンを、XがOの場合は酸素を放出して、前駆体から発光素子用材料へと変換される。
[0061]
 本発明の発光素子用材料前駆体は公知の方法で製造することが可能である。一般式(1)または(2)で表される化合物は、特開2002-8867号公報に記載の方法などで製造が可能である。一般式(3)または(4)で表される化合物は、対応する発光素子用材料とビニルスルホン、キノン、ベンザインなどを用いたDiels-Alder反応で製造することが可能である。ビニルスルホンを使用した時は、Diels-Alder反応の後に還元反応による脱スルホン反応を行う。XがOの場合は、対応する発光素子用材料と酸素の反応で製造することができる。XがC=Oの場合は、例えば、本発明で用いる発光素子用材料を原料として使い、Chemistry A Europian Journal,2005年,11巻,6212-6220に記載の方法により合成することができる。すなわち発光素子用材料と炭酸ビニレンをDiels-Alder反応で付加体とし、これを加水分解して架橋ジオール体に変換し、さらにジオール体を酸化することで目的とする発光素子用材料前駆体を合成することが可能である。
[0062]
 本発明の発光素子用材料前駆体はインクにして用いてもよい。ここで、インクは、前記発光素子用材料前駆体と溶媒とを含む。インクは、ドーパント等の添加剤をさらに含んでいても良い。
[0063]
 溶媒としては、室温、大気圧下で、発光素子用材料前駆体を2重量パーセント以上の濃度で溶解可能なものが好ましく、3重量パーセント以上の濃度で溶解可能なものがより好ましい。また、溶媒は、塗布プロセスに適した沸点、粘性率および表面張力を有することが好ましい。具体的には水、沸点が100℃以上250℃以下のアルコール(シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、オクタノール、トリメチルヘキサノール、エチレングリコール等)、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、安息香酸エステル、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、デカリン(デカヒドロナフタレン)、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アセトフェノン、シクロヘキサノン、フェノール、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられるがこれらに限定されない。複数の溶剤を混合して用いることも可能である。また溶剤に含まれる不純物は作製したデバイスの特性を低下する恐れがあるため、可能な限り高純度品を使用することが望ましい。
[0064]
 本発明の方法で得られる発光素子用材料は、発光素子を形成するいずれの層に使用してもよいものであるが、後述のように、特に発光層に使用される発光材料として好ましい材料である。特にホスト材料として用いられることが好ましい。
[0065]
 次に発光素子の構造について説明する。図1は、有機EL素子10(ディスプレイ)の典型的な構造の例を示す断面図である。支持体11上にTFT12や平坦化層13などで構成されるアクティブマトリクス回路が構成されている。発光素子部分は、その上に形成された第一電極15/正孔輸送層16/発光層17/電子輸送層18/第二電極19である。第一電極の端部には、電極端における短絡発生を防止し、かつ、発光領域を規定するための絶縁層14が形成されている。発光素子の構成は、この例に限定されるものではない。例えば、第一電極と第二電極との間に正孔輸送機能と電子輸送機能とを合わせもつ発光層が一層だけ形成されていてもよい。また、正孔輸送層は、正孔注入層と正孔輸送層との複数層の積層構造であってもよい。また、電子輸送層は電子輸送層と電子注入層との複数層の積層構造であってもよい。発光層が電子輸送機能をもつ場合には、電子輸送層が省略されてもよい。また、第一電極/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/第二電極の順に積層されていてもよい。また、これらの層はいずれも単層であっても複数層であってもよい。なお、図示されていないが、第二電極の形成後に、公知技術を利用して、保護層の形成やカラーフィルターの形成、封止などが行われてもよい。
[0066]
 発光層の各層の発光材料は、単一材料でも複数材料の混合物であってもよい。発光効率、色純度および耐久性の観点から、発光層はホスト材料とドーパント材料との混合物の単層構造であることが好ましい。発光層内でホスト材料が占める割合は90~99重量パーセントが好ましい。
[0067]
 発光材料(ホスト材料)としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq )などのキノリノール錯体やベンゾチアゾリルフェノール亜鉛錯体などの各種金属錯体、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ルブレン、キナクリドン誘導体、フェノキサゾン誘導体、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、クリセン誘導体、ピロメテン誘導体、リン光材料と呼ばれるイリジウム錯体系材料などの低分子材料や、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などの高分子材料を例示することができる。特に、本発明の発光素子用材料前駆体を変換して得られる発光素子用材料をホスト材料として用いることが好ましい。
[0068]
 ドーパント材料としては、特に限定されないが、ピロメテン誘導体やインデノペリレン誘導体、ピラン系顔料といった発光ピーク波長が570nm以上のものが好ましい。
[0069]
 正孔輸送層は単層でも複数層でもよく、各層は単一材料でも複数材料の混合物であってもよい。正孔注入層と呼ばれる層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送性(低駆動電圧)や耐久性の観点から、正孔輸送層には正孔輸送性を助長するアクセプタ材料が混合されていてもよい。
[0070]
 正孔輸送材料としては、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(NPD)やN,N’-ビフェニル-N,N’-ビフェニル-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-(N-フェニルカルバゾリル)-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミンなどに代表される芳香族アミン類、N-イソプロピルカルバゾール、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体に代表される複素環化合物などの低分子材料や、これら低分子化合物を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの高分子材料を例示できる。アクセプタ材料としては、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ヘキサアザトリフェニレン(HAT)やそのシアノ基誘導体(HAT-CN6)などの低分子材料を例示することができる。また、第一電極表面に薄く形成される酸化モリブデンや酸化ケイ素などの金属酸化物も正孔輸送材料やアクセプタ材料として例示できる。
[0071]
 電子輸送層は単層でも複数層でもよく、各層は単一材料でも複数材料の混合物であってもよい。正孔阻止層や電子注入層と呼ばれる層も電子輸送層に含まれる。電子輸送性(低駆動電圧)や耐久性の観点から、電子輸送層には電子輸送性を助長するドナー材料が混合されていてもよい。電子注入層と呼ばれる層は、このドナー材料として論じられることも多い。電子輸送層を成膜する転写材料は単一材料からなっても複数材料の混合物からなってもよい。
[0072]
 電子輸送材料としては、Alq や8-キノリノラートリチウム(Liq)などのキノリノール錯体、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物などの低分子材料や、これら低分子化合物を側鎖に有する高分子材料を例示できる。
[0073]
 ドナー材料としては、リチウムやセシウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、それらのキノリノール錯体などの各種金属錯体、フッ化リチウムや酸化セシウムなどのそれらの酸化物やフッ化物を例示することができる。
[0074]
 第一電極および第二電極は、発光層からの発光を取り出すために少なくとも一方が透明であることが好ましい。第一電極から光を取り出すボトムエミッションの場合には第一電極が、第二電極から光を取り出すトップエミッションの場合には第二電極が透明である。透明電極材料およびもう一方の電極には、例えば、特開平11-214154号公報記載の如く、従来公知の材料を用いることができる。
[0075]
 有機EL素子としては、第二電極が共通電極として形成されるアクティブマトリクス型素子や、第一電極と第二電極とが互いに交差するストライプ状電極からなる単純マトリクス型素子や、予め定められた情報を表示するように表示部がパターニングされるセグメント型素子などを用いることができる。これらの用途としては、テレビ、パソコン、モニター、時計、温度計、オーディオ機器、自動車用表示パネルなどを例示することができる。
[0076]
 次に発光素子の製造方法について説明する。本発明の発光素子の製造方法は、前記の発光素子用材料前駆体を含む層を基板上に形成する工程と、前記発光素子用材料前駆体を加熱および/または光照射により発光素子用材料に変換する工程を含む。
[0077]
 図1に示した有機EL素子の作製方法について例示する。支持体11上に、TFT12、平坦化層13および第一電極15をフォトリソ法を用いて形成する。次に、絶縁層14を感光性ポリイミド前駆体を利用して形成し、公知技術によりパターニングする。その後、正孔輸送層16を真空蒸着法を利用した公知技術によって全面形成する。この正孔輸送層16を下地層として、その上に赤色発光層17R、緑色発光層17Gおよび青色発光層17Bをパターニングする。その上に、電子輸送層18および第二電極19を真空蒸着法などの公知技術によって全面形成することにより、有機EL素子を完成することができる。発光層のパターニングは、ドライプロセスでも、ウェットプロセスでも、ドナー基板を利用した転写法でもよい。また、本発明で得られる発光素子用材料が発光層以外の層に用いられる場合は、その層を同様の方法で作製してもよい。
[0078]
 発光素子を製造するための具体的方法についてさらに詳細に説明する。なお、ここでの説明は、一例として、発光層を作製する場合についてのものである。
[0079]
 まず、真空蒸着法のようなドライプロセスを用いる場合には、任意の溶媒に溶解した発光素子用材料前駆体に変換処理を施し、不溶となって析出した発光素子用材料を回収する。固体状態の発光素子用材料前駆体に変換処理を施してもよい。得られた発光素子用材料を用いて、真空蒸着法などの公知の方法により、正孔輸送層までが成膜されたデバイス基板上に発光層を作製する。析出した発光素子用材料は発光素子用材料前駆体を含んでいることがあるが、十分な変換処理を施せばその重量は十分少なくできる。
[0080]
 ウェットプロセスを用いる場合には、発光素子用材料前駆体と溶媒を含有するインクを、正孔輸送層までが成膜されたデバイス基板に塗布し、乾燥させる。その後、発光素子用材料前駆体に対し変換処理を施すことにより、発光素子用材料へと変換し、発光層としての高い機能を有する有機層を形成することができる。この際、用いる溶媒としては、下地となる層が溶解したり反応したりしないものを選択する。
[0081]
 また、転写法を用いる場合には、発光素子用材料前駆体と溶媒を含有するインクを、デバイス基板とは別の基板上に塗布し、乾燥させる。その後、発光素子用材料前駆体に対し変換処理を施すことにより、発光素子用材料へと変換する。得られた膜を、正孔輸送層までが成膜されたデバイス基板に転写することで、発光層としての高い機能を有する有機層を形成することができる。前記別の基板を、以下「ドナー基板」という。
[0082]
 ドナー基板を用いることは、以下のような利点があるため好ましい。すなわち、ドナー基板上に作製した発光素子用材料前駆体の塗布膜に変換処理を施し、その後デバイス基板に転写して、発光層を作製することで、ドナー基板上で転写前の材料に塗布ムラが生じた場合においても、転写時にムラが解消され、デバイス基板上には均一な有機層を形成することができる。
[0083]
 転写工程は公知の方法を利用することができる。例えば、ドナー基板とデバイス基板を重ね合わせた状態で、ドナー基板側から加熱する、あるいは、ドナー基板側から光照射する方法などが挙げられる。転写を加熱によって行う場合は、得られる有機層に残存する発光素子用材料前駆体を低減することができる。
[0084]
 変換処理は転写工程の前に行うのが望ましいが、転写と同時または転写後に行っても良い。ここで、転写と同時とは、転写工程の最中に、発光素子用材料前駆体が発光素子用材料に変換されることをいう。さらに転写前、転写の最中および転写後のすべてに変換工程を実施しても良い。転写工程の後に、デバイス基板上に転写された発光素子用材料前駆体の変換処理をさらに行う場合には、ドナー基板上での変換処理後に残存している発光素子用材料前駆体をさらに低減することができ、より長寿命化を達成できる。
[0085]
 発光層を形成するための塗布液調製の可否はホスト材料の溶解性に依存する。本発明の発光素子用材料前駆体は溶解性が良好なので、該前駆体として、変換後にホスト材料となるものを用いることが好ましい。そのような前駆体とドーパント材料との混合溶液をドナー基板上に塗布して乾燥させ、その後の変換工程および転写工程を経て、ホスト材料とドーパント材料を含む発光層を形成することができる。
[0086]
 なお、前駆体とドーパント材料の溶液を別々に塗布してもよい。ドナー基板上で前駆体またはホスト材料とドーパント材料とが均一に混合されていなくても、有機EL素子上に転写された時点で両者が均一に混合されていればよい。また、転写時に前駆体またはホスト材料とドーパント材料との蒸発温度の違いを利用して、発光層中のドーパント材料の濃度を膜厚方向に変化させることもできる。
実施例
[0087]
 以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[0088]
 化合物の合成、分析用サンプルの調製はすべてイエロールーム内で実施した。 1H-NMRは、超伝導FT-NMR EX-270(日本電子(株)製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。異性体の分析はHPLCにて行った。典型的なHPLCの分析条件を以下に示す。
[0089]
  カラム:資生堂ODSカラム CAPCELL PAK C18 MGII
  カラム温度:45℃
  展開溶媒:アセトニトリル
 測定試料は分光分析用クロロメタンに溶解し、遮光条件で装置に導入した。
[0090]
 <合成例1 化合物2の合成>
 以下の反応式に示す方法で化合物2を合成した。
[0091]
[化8]


[0092]
 中間体1の合成
 上記反応式に示された化合物1(0.48g、シス:トランス=99:1)と炭酸ビニレン(0.1mL)をオルトジクロロベンゼン(10mL)中15時間加熱乾留した。室温まで反応液を冷却後、大過剰のヘキサンを加えて激しく撹拌した。生じた粉末固体をろ過して乾燥することで中間体1を白色粉末として得た。中間体1は異性体の混合物であった。収量0.53g(98%)。 H-NMR(δ:ppm) 7.93-6.75(m、34H)、4.88-4.23(m、4H)。
[0093]
 中間体2の合成
 中間体1(0.33g)を1,4-ジオキサン(20mL)に溶解し、窒素雰囲気で水酸化ナトリウム水溶液(4N,7.5mL)を加えた後、6時間加熱還流した。反応終了後、水(50mL)を加えて撹拌し、さらにジクロロメタン(50mL)を加えて撹拌した。有機層を分液して飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を濃縮乾固することで中間体2を白色固体として得た。中間体2は異性体の混合物であった。収量0.32g(99%)。 H-NMR(δ:ppm) 7.91-6.94(m、34H)、4.41-3.97(m、4H)。
[0094]
 化合物2の合成
 ジメチルスルホキシド(1.2mL)を脱水したジクロロメタン(10mL)に溶解し、-78℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(2.1mL)を滴下し、-78℃で15分間撹拌した。この混合物に中間体2(0.25g)の脱水ジクロロメタン溶液(10mL)をゆっくり滴下し、-78℃で90分間撹拌した。次いでトリエチルアミン(2.5mL)を滴下し、さらに-78℃で90分撹拌した後、反応液を室温まで昇温した。反応終了後、ジクロロメタンを加えて撹拌し、有機層を水で洗浄した。分液後に有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後ろ液を濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製することで化合物2を黄色粉末として得た。化合物2は異性体の混合物であった。収量0.08g(32%)。 H-NMR(δ:ppm) 7.87-6.95(m、34H)、4.98、4.94、4.93(sx3、2H)。
[0095]
 <合成例2 化合物4の合成>
 まず、化合物3を次の通り合成した。
[0096]
[化9]


[0097]
 中間体3の合成
 フェニルアセチレン((株)東京化成工業社製)(10g)を脱水テトラヒドロフラン(200mL)に溶解し、0℃に冷却後、n-ブチルリチウム溶液(1.6Mヘキサン溶液、62mL)を滴下し、1.5時間撹拌した。ここにフェニルアセトアルデヒド(Alfa Aser社製)(6.0g)とテトラヒドロフラン(20mL)の混合溶液を滴下し、室温まで昇温し、6時間撹拌した。反応液に蒸留水(100mL)と酢酸エチル(150mL)を加えて撹拌した。有機層を分取して飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体3を8.5g得た。
[0098]
 中間体4の合成
 中間体3(8.5g)と炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製)(6.4g)、ヨウ素((株)東京化成工業社製)(29g)、をアセトニトリル(380mL)に加え、窒素気流下、室温にて4時間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(150mL)、酢酸エチル(150mL)を加えて撹拌した。有機層を分取して飽和チオ硫酸ナトリウムと蒸留水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し中間体4を8.7g得た。
[0099]
 中間体5の合成
 中間体4(5.3g)をトルエン(34mL)とジエチルエーテル(11mL)の混合溶液に溶解し、-80℃に冷却した。ここにn-ブチルリチウム溶液(1.6Mヘキサン溶液)10mLを滴下し、3時間撹拌した。-40℃に昇温し、5,12-ナフタセンキノン(1.5g)を加え、室温に昇温して15時間撹拌した。反応液にメタノール(60mL)を加え、析出した固体をろ過回収し、中間体5を2.4g得た。
[0100]
 化合物3の合成
 中間体5(2.4g)を乾燥テトラヒドロフラン(36mL)に加え、窒素気流下40℃に昇温した。ここに塩化すず(II)二水和物(8.14g)の35%塩酸溶液19mLを滴下した。滴下終了後、70℃に昇温し、4.5時間加熱撹拌還流した。反応溶液を蒸留水150mLに投入し、析出した固体をろ過回収した。さらに固体を蒸留水とメタノールで洗浄し、化合物3を2.3g得た。化合物3は100%シス体であった。
H-NMR(CDCl (d=ppm)):6.70-7.74(m,26H),8.04-9.09(t,4H),8.19(s,2H)。
[0101]
 さらに以下の反応式に示す方法で化合物4を合成した。
[0102]
[化10]


[0103]
 中間体6の合成
 化合物3(0.77g、100%シス体)と炭酸ビニレン(1.73mL)をオルトジクロロベンゼン(11mL)中13時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却後、ヘキサン(30mL)を加えて撹拌した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、中間体6を0.92g得た。
[0104]
 中間体7の合成
 中間体6(0.92g)を1,4-ジオキサン(28mL)に溶解し、窒素雰囲気で水酸化ナトリウム水溶液(4N,14mL)を加えた後、4.5時間加熱還流した。反応終了後、水(50mL)を加えて撹拌し、さらにジクロロメタン(50mL)を加えて撹拌した。有機層を分液して飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:酢酸エチル)で精製し、中間体7を0.77g得た。
[0105]
 化合物4の合成
 脱水ジクロロメタン(32mL)と脱水ジメチルスルホキシド(3.2mL)を-80℃に冷却し、トリフルオロ酢酸無水物(4.3mL)を滴下した。20分間撹拌した後、中間体7(0.75g)を溶解した脱水ジメチルスルホキシド(15mL)を滴下し、-80℃を保持したまま2時間撹拌した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(16mL)をゆっくり滴下し、さらに3時間撹拌を続けた。反応液を室温に戻し、10%塩酸水溶液(24mL)とジクロロメタン(30mL)を加えて30分撹拌した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:酢酸エチル/トルエン)で精製し、化合物4を400mg得た。 H-NMR(CDCl (d=ppm)):5.15(s,2H),6.93-7.68(m,26H)。
[0106]
 その他、以下の実施例で用いられた化合物の略号および構造を以下に示す。
[0107]
[化11]


[0108]
 実施例1
 合成例1で得られた化合物2のトルエン溶液(1wt%)をガラス基板にスピンコート(800rpm、30秒)して薄膜を作製した。得られた薄膜を真空乾燥機で十分乾燥した後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内を減圧(10 -4Pa)雰囲気にした。真空チャンバーの覗き窓越しに青色発光ダイオードの光を12時間照射し、化合物1へと変換した。チャンバー内の温度は室温と同じであった。
[0109]
 照射後にチャンバーからガラス基板を取り出し、生成した化合物1のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=1:2であった。
[0110]
 実施例2
 合成例1で得られた化合物2のトルエン溶液(1wt%)を耐圧ガラスチューブに入れ密閉後、180℃で12時間加熱した。この溶液を室温で放置して冷却した後、ガラス基板にスピンコート(800rpm、30秒)して薄膜を作製した。得られた薄膜を真空乾燥機で十分乾燥した後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内を減圧(10 -4Pa)雰囲気にした。真空チャンバーの覗き窓越しに青色発光ダイオードの光を12時間照射し、化合物1へと変換した。チャンバー内の温度は室温と同じであった。
[0111]
 照射後にチャンバーからガラス基板を取り出し、生成した化合物1のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=1:5であった。
[0112]
 実施例3
 合成例2で得られた化合物4のトルエン溶液(1wt%)をガラス基板にスピンコート(800rpm、30秒)して薄膜を作製した。得られた薄膜を真空乾燥機で十分乾燥した後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内を減圧(10 -4Pa)雰囲気にした。真空チャンバーの覗き窓越しに青色発光ダイオードの光を12時間照射し、化合物3へと変換した。チャンバー内の温度は室温と同じであった。
[0113]
 照射後にチャンバーからガラス基板を取り出し、生成した化合物3のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところ100%シス体であった。
[0114]
 実施例4
 合成例2で得られた化合物4のトルエン溶液(1wt%)を耐圧ガラスチューブに入れ密閉後、180℃で12時間加熱した。この溶液を室温で放置して冷却した後、ガラス基板にスピンコート(800rpm、30秒)して薄膜を作製した。得られた薄膜を真空乾燥機で十分乾燥した後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内を減圧(10 -4Pa)雰囲気にした。真空チャンバーの覗き窓越しに青色発光ダイオードの光を12時間照射し、化合物3へと変換した。チャンバー内の温度は室温と同じであった。
[0115]
 照射後にチャンバーからガラス基板を取り出し、生成した化合物3のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=2:3であった。
[0116]
 実施例5
 合成例1で得られた化合物2のトルエン溶液(0.1wt%)にアルゴン雰囲気下、青色発光ダイオードの光を3時間照射し、生成した化合物1のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=1:2であった。この時析出した化合物1をろ過および乾燥して、後述する発光素子の作製(実施例7)に用いた。
[0117]
 実施例6(インクの調製)
 化合物2の含有量が1wt%となるように溶媒と合成例1で得られた化合物2をサンプル瓶に量り取り、ここに化合物2に対して0.5wt%となるようにRD1を量り取った。これらの混合物を超音波洗浄器で15分間超音波処理を行った。得られた溶液を室温まで放冷し、目視で均一な溶液であることを確認した。
[0118]
 比較例1
 シス:トランス=99:1の化合物1を減圧雰囲気(10 -4Pa)下、300℃に加熱して昇華を行い、昇華した化合物1のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=1:1であった。
[0119]
 比較例2
 100%シス体の化合物3を減圧雰囲気(10 -4Pa)下、270℃に加熱して昇華を行い、昇華した化合物3のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=10:1であった。
[0120]
 比較例3
 シス:トランス=99:1の化合物1を減圧雰囲気(10 -4Pa)下、190℃で2時間加熱処理した。化合物1のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところシス:トランス=99:1であり、加熱前と変化がなかった。
[0121]
 比較例4
 100%シス体の化合物3を減圧雰囲気(10 -4Pa)下、190℃で2時間加熱処理した。化合物3のシス体とトランス体の比をHPLCで分析したところ100%シス体であった。
[0122]
 実施例7(発光素子の作製)
 ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、ITO導電膜をフォトリソグラフィ法によりパターン加工して、発光部分および電極引き出し部分を作製した。得られた基板をアセトンおよび“セミコクリン(登録商標)56”(フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させた後、乾燥させた。発光素子を作製する直前にこの基板を1時間UV-オゾン処理し、さらに真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10 -4Pa以下になるまで排気した。この基板上に、抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HIL1を47nm、正孔輸送層として、4,4’-ビス(N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ)ビフェニルを10nmの厚さで蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料として実施例5で得られた化合物1およびドーパント材料としてRD1をドープ濃度が0.5%になるように30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として、E-1を30nmの厚さに積層した。以上で形成した有機層上に、フッ化リチウムを0.5nmの厚さに蒸着した後、アルミニウムを60nmの厚さで蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニターの表示値である。
[0123]
 比較例5
 シス:トランス=99:1の化合物1をホスト材料として用いた以外はすべて実施例7と同じようにして素子を作製した。
[0124]
 実施例8 (転写法による発光素子の作製)
 ドナー基板を以下のとおり作製した。支持体として無アルカリガラス基板を用いた。基板を、洗浄およびUVオゾン処理した後に、光熱変換層として厚さ0.4μmのタンタル膜をスパッタリング法により全面に形成した。次に、前記光熱変換層をUVオゾン処理した。その上にポジ型ポリイミド感光性コーティング剤(東レ株式会社製、DL-1000)を濃度調整してスピンコート塗布した。得られたポリイミド前駆体膜を、プリベーキング、および、UV光によるパターン露光した後に、現像液(東レ株式会社製、ELM-D)により露光部を溶解・除去した。このようにしてパターニングしたポリイミド前駆体膜をホットプレートで300℃、10分間ベーキングして、ポリイミドの区画パターンを形成した。この区画パターンの高さは7μmで、断面は順テーパー形状であった。区画パターン内部には幅80μm、長さ280μmの光熱変換層を露出する開口部が、幅方向100μm、長さ方向300μmのピッチで配置されていた。この基板上に、ホスト材料として合成例1で得られた化合物2を溶媒に対して1重量%、ドーパント材料としてRD1を化合物2に対して0.5重量%含むクロロホルム溶液をスピンコート塗布し、乾燥した。このドナー基板を真空乾燥機で十分乾燥した後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内を減圧(10 -4Pa)雰囲気にした。真空チャンバーの覗き窓越しに青色発光ダイオードの光を12時間照射し、化合物2を化合物1へと変換した。チャンバー内の温度は室温と同じであった。
[0125]
 デバイス基板を以下のとおり作製した。ITO透明導電膜を140nm堆積させた無アルカリガラス基板(ジオマテック株式会社製、スパッタリング成膜品)を38×46mmに切断し、フォトリソ法によりITOを所望の形状にエッチングした。次に、ドナー基板と同様にしてパターニングされたポリイミド前駆体膜を形成し、300℃、10分間ベーキングして、ポリイミドの絶縁層を形成した。この絶縁層の高さは1.8μmで、断面は順テーパー形状であった。絶縁層のパターン内部には幅70μm、長さ270μmのITOを露出する開口部が、幅方向100μm、長さ方向300μmのピッチで配置されていた。この基板をUVオゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3×10 -4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔注入層としてHIL1を50nm、正孔輸送層としてNPDを10nmの厚さで、発光領域全面に蒸着により積層した。
[0126]
 次に、前記ドナー基板の区画パターンと前記デバイス基板の絶縁層との位置を合わせて対向させ、3×10 -4Pa以下の真空中で保持した後に、大気中に取り出した。絶縁層と区画パターンとで区画される転写空間は真空に保持されていた。転写には、中心波長が940nmで、照射形状を横340μm、縦50μmの矩形に成形した光を用いた(光源:半導体レーザーダイオード)。区画パターンおよび絶縁層の長さ方向と光の縦方向を一致させるようにドナー基板のガラス基板側から光を照射し、転写材料と区画パターンが同時に加熱されるように縦方向にスキャンすることで、転写材料である共蒸着膜をデバイス基板の下地層である正孔輸送層上に転写した。光強度は140~180W/mm の範囲で調製し、スキャン速度は0.6m/sであった。スキャン領域が一部オーバーラップするように、光は横方向に約300μmピッチでずらせながら、発光領域全面に転写材料が転写されるように繰り返しスキャンを実施した。
[0127]
 転写後のデバイス基板を、再び真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3×10 -4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、電子輸送層としてE-1を25nmの厚さで、発光領域全面に蒸着した。次に、ドナー材料(電子注入層)としてフッ化リチウムを0.5nm、さらに、第二電極としてアルミニウムを65nmの厚さで蒸着して、5mm角の発光領域をもつ有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子は、明瞭な緑色発光を示すことが確認された。
[0128]
 実施例7および比較例5で作製した有機EL素子をそれぞれ封止した後に、2.5mA/cm の一定電流を流した。電流を流し始めた直後の輝度を初期輝度とし、さらに一定電流を流し続けて、輝度が初期輝度から半分に低下するまでの時間を輝度半減時間として測定した。実施例7の測定値を1.0とした場合の比較例5の測定値の相対比は初期輝度が0.4であり、輝度半減時間は0.2であった。同様に実施例7の測定値を1.0とした場合の実施例8の測定値の相対比は初期輝度が1.0であり、輝度半減時間は0.8であった。
[0129]
 以上の通り、本発明では化合物2または化合物4から化合物1または化合物3を製造する過程で200℃以上の高温条件にさらすことなく、トランス体を多く含む化合物1または化合物3を得ることができた。また実施例7と比較例5から明らかなようにトランス体を多く含む材料の素子特性はそうでない材料より高輝度かつ長寿命であった。

符号の説明

[0130]
 10 有機EL素子(デバイス基板)
 11 支持体
 12 TFT(取り出し電極含む)
 13 平坦化層
 14 絶縁層
 15 第一電極
 16 正孔輸送層
 17 発光層
 18 電子輸送層
 19 第二電極

産業上の利用可能性

[0131]
 本発明の発光素子用材料の製造方法によると、従来法では熱による劣化が問題であったポリアセン誘導体を製造する場合において材料に対しても、劣化を抑制できる温和な条件で、耐久性に優れたトランス体を多く含む有機発光劣化することなく耐久性に優れた材料を製造することができる。
[0132]
 本発明の発光素子用材料を用いて得られる発光素子は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能である。

請求の範囲

[請求項1]
一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体を加熱および/または光照射により変換して発光素子用材料を製造する方法であって、得られた発光素子用材料がシス体よりもトランス体を多く含むものである、発光素子用材料の製造方法;
[化1]


ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる;ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である;R ~R 24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い;R またはR とR またはR は結合してビシクロ骨格を形成していても良く、R 13またはR 14とR 17またはR 18は結合してビシクロ骨格を形成していても良い。
[請求項2]
前記発光素子用材料前駆体が一般式(3)または(4)で表される請求項1記載の発光素子用材料の製造方法;
[化2]


ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる;ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である;R 25~R 44はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い;XはC=O、CH 、OおよびCHR から選ばれる原子または原子団である;R はアルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基であり、互いに結合を有して環を形成しても良い。
[請求項3]
一般式(3)または(4)におけるXがC=Oである請求項2記載の発光素子用材料の製造方法。
[請求項4]
一般式(1)~(4)におけるAr ~Ar が下式に示す構造から選ばれたものである請求項1~3のいずれかに記載の発光素子用材料の製造方法。
[化3]


[請求項5]
前記変換方法が光照射である請求項1~4のいずれかに記載の発光素子用材料の製造方法。
[請求項6]
一般式(1)または(2)で表される発光素子用材料前駆体;
[化4]


ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる;ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である;R ~R 24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い;R またはR とR またはR は結合してビシクロ骨格を形成していても良く、R 13またはR 14とR 17またはR 18は結合してビシクロ骨格を形成していても良い。
[請求項7]
前記発光素子用材料前駆体が一般式(3)または(4)で表される請求項6記載の発光素子用材料前駆体;
[化5]


ここで、Ar ~Ar はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる;ただしこれらの置換基は結合しているベンゼン環の面に対してシス、トランスの異性体が存在しうる構造である;R 25~R 44はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれ、隣接する置換基同士で結合し、環を形成していても良い;XはC=O、CH 、OおよびCHR から選ばれる原子または原子団である;R はアルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基であり、互いに結合を有して環を形成しても良い。
[請求項8]
一般式(3)または(4)におけるXがC=Oである請求項7記載の発光素子用材料前駆体。
[請求項9]
一般式(1)~(4)におけるAr ~Ar が下式に示す構造から選ばれたものである請求項8記載の発光素子用材料前駆体。
[化6]


[請求項10]
請求項6~9のいずれかに記載の発光素子用材料前駆体を含むインク。
[請求項11]
請求項6~9のいずれかに記載の発光素子用材料前駆体を含む層を基板上に形成する工程と、前記発光素子用材料前駆体を加熱および/または光照射により発光素子用材料に変換する工程を含む発光素子の製造方法。
[請求項12]
請求項6~9のいずれかに記載の発光素子用材料前駆体を含む層を発光素子の基板上に形成する工程と、前記発光素子用材料前駆体を発光素子用材料に変換する工程を含む請求項11に記載の発光素子の製造方法。
[請求項13]
請求項6~9のいずれかに記載の発光素子用材料前駆体を含む層をドナー基板上に形成する工程、および、前記ドナー基板上の発光素子用材料前駆体を含む層を発光素子の基板上に転写する工程を含み、前記転写前、転写の最中および転写後のいずれかに、前記発光素子用材料前駆体を発光素子用材料へ変換する工程を含む請求項11に記載の発光素子の製造方法。
[請求項14]
得られた発光素子用材料がシス体よりもトランス体を多く含むものである請求項11~13のいずれかに記載の発光素子の製造方法。

図面

[ 図 1]