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1. WO2011074262 - レーザモジュール

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明 細 書

発明の名称 レーザモジュール

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

符号の説明

0044  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : レーザモジュール

技術分野

[0001]
 この発明は、半導体レーザアレイ素子を用いたレーザモジュールに関する。

背景技術

[0002]
 近年、半導体レーザ(Laser Diode:LD)は加工、光源といった用途において高出力化の要求が強くなっている。LDの高出力化の技術として、同一チップ内に複数の発光スポット(エミッタ)をアレイ上に並列配置した半導体レーザアレイ素子(以下、LDアレイ)を用いる方法が知られている。
[0003]
 LDアレイは1つの発光スポットを有する素子を複数並列配置したことと実質的に違いがないことから、並列配置するエミッタ数に比例して素子サイズが大型化し、かつ総発熱量が増大する。素子サイズが大型化すると実装時および駆動時において接合相手部材との線膨張係数のミスマッチによる応力増大を招き、素子内に欠陥が発生・成長して活性層に達することで出力が減じる現象(DLD:Dark Line Defect)が生じたり、クラック等の進展により素子が破断する現象が生じたりする場合がある。また、素子温度が高いと、前記欠陥の進展が速くなり、その結果として素子寿命が低下する。以上のことからLDアレイを低応力かつ適切な温度で駆動することが可能なモジュール構造が求められている。
[0004]
 このような問題を解決する方法として、LDアレイと冷却構造部材との間にサブマウントとして、LDと線膨張係数が近く、比較的熱伝導率が高いCuWの板部材を介在させたもの(特許文献1、特許文献2)が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2008-172141号公報
特許文献2 : 特開2006-344743号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、CuWは他のCuなどの一般的な導体材料と比較して高価であり、CuWで構成される部品を使用する場合、製造コストの増大を招くという問題点があった。
[0007]
 そこで本発明では、CuWなどの高価な材料を使用することなく、LDアレイに働く応力を低減し、安価なレーザモジュールを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明に関わるレーザモジュールは、接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、前記サブマウント基板上に配置される給電層と、前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイとを備え、前記半導体レーザアレイの線膨張係数は、前記サブマウント基板の線膨張係数よりも大きく、前記給電層及び前記ヒートシンクの線膨張係数よりも小さく、前記ヒートシンクと接続された状態での前記サブマウント基板の線膨張係数が、前記半導体レーザアレイの線膨張係数を含む所定の範囲内となるように構成されてなるものである。
 また、本発明に関わるレーザモジュールは、接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、前記サブマウント基板上に配置される給電層と、前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイとを備え、前記半導体レーザアレイの線膨張係数は、前記サブマウント基板の線膨張係数よりも大きく、前記給電層及び前記ヒートシンクの線膨張係数よりも小さく、前記ヒートシンクと前記サブマウント基板との接合幅を、前記半導体レーザアレイの幅を下限とし、前記半導体レーザアレイに働く応力と前記接続幅との関係が線形近似できる範囲を上限となるよう構成されているものである。
 さらに、本発明に関わるレーザモジュールは、接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、前記サブマウント基板上に配置される給電層と、前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイとを備え、前記サブマウント基板の材料はAINまたはSiCであり、前記ヒートシンクの材料はCuであり、前記半導体レーザアレイの材料はGaAsであり、前記給電層の材料はCuであり、前記半導体レーザアレイの幅寸法をBとすると、前記サブマウント基板の前記ヒートシンクとの接合幅寸法AはB≦A≦B+4mmである。

発明の効果

[0009]
 本願発明によれば、LDアレイに加えられる応力を低減し、安価なレーザモジュールを得ることができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールの全体構成を示す斜視図である。
[図2] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールの構成を示す正面図である。
[図3] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールの構成を示す側面図である。
[図4] レーザモジュールの各素子を半田付けした後の冷却過程におけるヒートシンク、サブマウント基板、めっき層、LDアレイの変形挙動を表す模式図である。
[図5] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのサブマウント基板とヒートシンクとの接合幅AとLDアレイ幅方向に働く応力との関係を、LDアレイの幅ごとに示したグラフである。
[図6] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのサブマウント基板とヒートシンクとの接合幅AとLDアレイ幅方向に働く応力との関係を、サブマウント基板の厚さごとに示したグラフである。
[図7] 本発明の実施の形態1におけるLDアレイとめっき層の回路構成を示す図である。
[図8] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのLDアレイのエミッタ配置と印加電流との関係を示すグラフである。
[図9] 本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのめっき層の導体厚さ寸法とエミッタ間電流ばらつきとの関係およびめっき層の導体厚さ寸法とめっき表面粗さの関係を表したグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
実施の形態1.
 以下、図1~3を用いて本実施の形態に係るレーザモジュール100の構造について説明する。図1は本実施の形態に係るレーザモジュール100の斜視図、図2は本実施の形態に係わるレーザモジュール100の正面図、図3は本実施の形態に係わるレーザモジュール100の側面図である。なお、レーザモジュール100からレーザ光が出射される側を正面とする。
[0012]
 レーザモジュール100は、ステム1、リードピン2、ヒートシンク3、めっき層5A、5B、5Cを有するサブマウント基板4、LDアレイ6、ワイヤ配線7、リボン配線8から構成されている。
[0013]
 ステム1はFeなどの金属材料より構成される板状部材であり、リードピン2A~2Dが貫通する4つの開口が形成されている。
[0014]
 リードピン2A~2Dは導電性材料で構成されており、図示しない電源からLDアレイ6への電力を供給する給電線である。リードピン2A~2Dとステム1との間にはガラスなどの絶縁部材からなる封止部9A~9Dが形成されており、当該封止部9A~9Dによってリードピン2A~2Dとステム1とは電気的に絶縁されている。このように、リードピン2A~2Dはステム1に貫通した状態でガラス封止により絶縁固定されている。
[0015]
 ヒートシンク3はCuやFeなど高熱伝導の金属材料で構成され、接触する部材から熱を放出する放熱部材であり、ステム1に半田や銀ろうなどにより接合されている。もしくは、冷間鍛造等の方法によりステム1と一体の構造として形成されている。
[0016]
 サブマウント基板4は、ヒートシンク3とLDアレイ6との間に介在し、AlNやSiCなどの高熱伝導絶縁材料により構成された絶縁基板である。ヒートシンク3側の下面及びLDアレイ6側の上面には、Cuなどの高導電であり高熱伝導かつ剛性の小さい金属材料からなるめっき層5A、5B、及び5Cが形成されている。サブマウント基板4はヒートシンク3に対しめっき層5Cを介して半田付けなどにより実装固定されている。サブマウント基板4をヒートシンク3に対し半田付けにより実装固定する場合には、接合材料としてAuSn半田を用いることができる。
[0017]
 LDアレイ6は、並列配置・配線された複数のエミッタ(発光部)から構成される半導体素子である。LDアレイ6は、サブマウント基板4側の下面及び上面に電極を有しており、当該2つの電極間に電流が印加されることにより、正面部6aからレーザ光を出射する。LDアレイ6の下面は、サブマウント基板4のめっき層5Aと半田付けなどにより接合されており、これにより、LDアレイ6の下面の電極とめっき層5Aとが電気的に接続されている。LDアレイ6とめっき層5Aとを半田付けにより接合する場合には、接合材料としてAuSn半田を用いることができる。LDアレイ6の上面の電極は、サブマウント基板4のめっき層5Bと複数本の金属細線からなるワイヤ配線7により電気的に接続されている。
[0018]
 電力をLDアレイ6へ供給する給電層であるめっき層5Aの上面両端部は、リボン配線8A及び8Dにより、リードピン2A及び2Dと電気的に接合されている。電力をLDアレイ6へ供給する給電層であるめっき層5Bの上面両端部は、リボン配線8B及び8Cにより、リードピン2B及び2Cと電気的に接合されている。
[0019]
 図1においては、LDアレイ6はアノード(陽極)が下面に位置するように配置する状態、すなわちジャンクションダウンで実装されている。そのため、リードピン2A~2Dが図示しない電源に接続されると、リードピン2A及び2D→リボン配線8A及び8D→めっき層5A→LDアレイ6→ワイヤ配線7→めっき層5B→リボン配線8B及び8C→リードピン2B及び2Cという給電経路により電流が流れる。LDアレイ6に電流を流すことで、LDアレイ6の内部に並列配置・配線された各エミッタに電流が流れるので、各エミッタが発振し、発光することにより正面部6aからレーザ光が出射する。
[0020]
 次に、LDアレイ6に働く応力について説明する。以下では、LDアレイ6とめっき層5Aとの接合、及びヒートシンク3とめっき層5Cとの接合は、あらかじめめっき層5A上ならびにめっき層5Cに蒸着により配置したAuSn半田を用いた半田付けにより行うものとする。
[0021]
 接合の順序としては、まず、ヒートシンク3上にサブマウント基板4をめっき層5Cがヒートシンク3と接するように配置し、さらに、LDアレイ6をめっき層5A上に配置する。その後、300~400℃まで加熱してAuSn半田を溶融させ、冷却してAuSn半田を固化させる。このようにして、ヒートシンク3とめっき層5CならびにLDアレイ6とめっき層5Aを接合し、ヒートシンク3とサブマウント基板4ならびにサブマウント基板4とLDアレイ6は接合される。
[0022]
 上記のような加熱及び冷却のプロセス中は接合対象の部品はほぼ同一温度となっている。しかし、例えばLDアレイ6をGaAsで構成し、サブマウント基板4をSiCまたはAlNで構成し、めっき層5C及びヒートシンク3をCuで構成したとすると、GaAsの線膨張係数αは6.6×10 -6[mm/(mm・K)]であり、サブマウント基板4の線膨張係数βはAlNの場合4.8×10 -6[mm/(mm・K)]SiCの場合3.7×10 -5[mm/(mm・K)]であり、Cuの線膨張係数ρは16.7×10 -6[mm/(mm・K)]であるため、AuSn半田を溶融させるための加熱過程において、LDアレイ6、サブマウント基板4、めっき層5C、及びヒートシンク3には、温度が上昇するにつれ各材料の線膨張係数に応じた熱膨張が生じる。また、AuSn半田を固化するための冷却過程においても、LDアレイ6、サブマウント基板4、めっき層5C、及びヒートシンク3には、温度が低下するにつれ各材料の線膨張係数に応じた熱収縮が生じる。
[0023]
 LDアレイ6とサブマウント基板4は、冷却過程においてAuSn半田(共晶)の場合には融点である280℃に達した時点で半田が固化して接合されるが、接合された状態で融点から室温まで冷却されると、LDアレイ6にはサブマウント基板3とLDアレイ6の熱収縮量の差異に応じた応力が働くことになる。サブマウント基板3とLDアレイ6の熱収縮量の違いが大きければ大きいほどLDアレイ6に加えられる応力は大きくなり、LDアレイ6に加えられる応力が大きくなると前述のDLDが発生したりクラック等が進展したりすることにより、LDアレイ6の駆動寿命が低下してしまう。
[0024]
 図4は加熱および冷却過程におけるヒートシンク3、サブマウント基板4、めっき層5A、5C、及びLDアレイ6の温度変化による膨張と収縮を表す模式図である。図4において、加熱時におけるヒートシンク3a、サブマウント基板4a、めっき層5Aa、5Ca、及びLDアレイ6aの形状を破線で示し、冷却後におけるヒートシンク3b、サブマウント基板4b、めっき層5Ab、5Cb、及びLDアレイ6bの形状を実線で示す。以下では、サブマウント基板4とヒートシンク3との接合幅寸法をA、サブマウント基板4とLDアレイ6との接合幅寸法をBとする。
[0025]
 図4に示すように、温度の変化により各層は膨張または収縮するが、ヒートシンク3とめっき層5CはいずれもCuで構成されているため収縮量の差は生じない。そのため、サブマウント基板4とめっき層5Cとの間の応力に関しては、めっき層5Cの収縮はヒートシンク3の収縮と同視して考えることができる。また、めっき層5Aの収縮についても、例えば、サブマウント基板4の厚さを300μm程度とし、めっき層5Aの厚さを100μm以下程度とすれば、SiCのヤング率が440GPa(AlNは320GPa)であるのに対してCuのヤング率は1/3以下の130GPaと、SiCに対してCuの剛性が小さいことからLDアレイ6に働く応力に対するめっき層5Aの影響が小さくなるため、LDアレイ6とサブマウント基板4との間の応力に関しては、めっき層5Aは無視することができる。
[0026]
 冷却過程においてAuSn半田の温度が融点まで降下し、AuSn半田が固化した時点では、各部品に熱膨張は生じているものの、寸前まで半田が溶融状態にあったことから、隣接する部品からストレスを受けない。しかし、さらに冷却が進み温度が半田融点よりΔTだけ低下すると、ヒートシンク3とサブマウント基板4の接合部では、Cuで構成されるヒートシンク3はρAΔTの長さだけ収縮しようとするのに対し、AlNまたはSiCで構成されるサブマウント基板4はβAΔTだけ収縮しようとする。ヒートシンク3とサブマウント基板4はそれぞれ接合拘束されているが、ρ>βであり、かつ、ヒートシンク3の厚さはサブマウント基板4の厚さに対して十分大きいことから、サブマウント基板4は、ヒートシンク3との接合面においてヒートシンク3から幅を短くする向きの応力を受け、サブマウント基板4単体が単に収縮する場合と比較してより大きく収縮変形する。
[0027]
 一方、LDアレイ6の厚さは一般的に100μm程度であり、かつ主材料であるGaAsのヤング率は83GPa程度とサブマウント基板4のヤング率に対して小さいことから、LDアレイ6の接合面においてはサブマウント基板4はLDアレイ6から熱収縮の影響をさほど受けない。そのため、サブマウント基板4は、ヒートシンク3との接合面においてヒートシンク3の熱収縮の影響により最大の収縮変形を生じるが、LDアレイ6との接合面においては熱収縮の影響をさほど受けていないことから、ヒートシンク3の熱収縮の影響はLDアレイ6との接合面に近づくにつれて緩和されていき、LDアレイ6との接合面において収縮量が最小となる。
[0028]
 サブマウント基板4のLDアレイ6との接合面における収縮量をΔXとすると、収縮量ΔXはヒートシンク3単体の収縮量より小さく、サブマウント基板4単体の収縮量より大きくなるからβBΔT<ΔX<ρBΔTの関係を満たす。また、LDアレイ6単体の収縮量αBΔTもβ<α<ρであることからβBΔT<αBΔT<ρBΔTの関係を満たす。ここで、収縮量ΔXがLDアレイの収縮量αBΔTに近いほど、LDアレイ6とサブマウント基板4等の他の部品との熱膨張の差異によりLDアレイ6に加えられる応力は緩和されることになる。
[0029]
 図5、6は本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのサブマウント基板4の接合幅寸法Aと、LDアレイ6に負荷される応力の平均値(LD負荷応力)との関係についての計算結果を示したグラフである。図5はサブマウント基板4の厚さが300μmかつLDアレイ6の幅が2、4、6mmである場合について示している。図5において、LDアレイ6の幅が2mmである場合のデータを三角で示し、LDアレイ6の幅が4mmである場合のデータをひし形で示し、LDアレイ6の幅が6mmである場合のデータを四角で示している。また、図6はLDアレイ6の幅が4mmかつサブマウント基板4の厚さが200、300、400μmである場合について示している。図6において、サブマウント基板4の厚さが200μmである場合のデータを三角で示し、サブマウント基板4の厚さが300μmである場合のデータをひし形で示し、サブマウント基板4の厚さが400μmである場合のデータを四角で示している。なおLD負荷応力の値はLDアレイ6の幅が4mm、サブマウント基板4の厚さが300μm、サブマウント基板4の幅が4mmの場合を1として正規化している。
[0030]
 サブマウント基板4の接合幅寸法をA、LDアレイ6の幅寸法をBとすると、LDアレイに負荷される応力は、LDアレイ6の幅ならびにサブマウント基板4の厚さによらず、およそA=Bであるときに最小となり、B≦A≦B+4mmの範囲において急激に上昇し、その後は緩やかに上昇する。
 ここで、LDアレイ6の収縮量およびサブマウント基板4の収縮量はともに幅方向中央部では0であり、幅方向端部で最大となる分布を持つ。LDアレイ6に負荷される応力は、サブマウント基板4の収縮量とLDアレイ6の収縮量との差に依存するため、LDアレイ6の幅方向中央部で0であり、LDアレイ6の幅方向端部で最大となる分布を持つ。そこで、LDアレイ6に負荷される応力が最大となるLDアレイ6の幅方向端部で、LDアレイ6の収縮量とサブマウント基板4の収縮量とを近い値にできれば、LDアレイ6に負荷される応力を低減することができ、LDアレイ6の信頼性を確保できる。LDアレイ6の幅方向端部において、LDアレイ6の収縮量とサブマウント基板4の収縮量とを近い値にするためには、LDアレイ6の幅寸法Bよりもサブマウント基板4の接合幅AのLDアレイ6からのはみ出し量であるA-Bの値が支配的になる。そのため、A-Bの値が所定値以下となるよう、LDアレイ6の幅寸法Bからサブマウント基板のAの寸法を決めればよい。
 また、LDアレイ6に負荷される応力によってLDアレイ6から出力されるレーザ光の波長が異なる。このため、LDアレイ6に負荷される応力がサブマウント基板4の接合幅Aによって線形に変化する範囲でサブマウント基板4の接合幅Aを決定すれば、LDアレイ6に負荷される応力を低減できるとともに、レーザ光の波長を所望の波長に調整できるという効果を得られる。
 従って、サブマウント基板4の接合幅Aは、B≦A≦B+4mmの範囲、すなわち、LDアレイの幅寸法を下限とし、LDアレイ6に負荷される応力がサブマウント基板4の接合幅Aによって線形近似できる範囲を上限として選定すればよい。
[0031]
 サブマウント基板4の線膨張係数βはLDアレイ6の線膨張係数αよりも小さい。そのため、冷却過程においてヒートシンク3を考慮しない場合には、サブマウント基板4の収縮量がLDアレイ6の収縮量よりも小さくなり、LDアレイ6はサブマウント基板4との接合面で幅長さを長くするような応力を受けることになる。しかし、本実施の形態においては、サブマウント基板4を当該サブマウント基板4よりも線膨張係数の大きいヒートシンク3上に配置しており、冷却過程においては、サブマウント基板4はヒートシンク3から圧縮を受ける。そのため、ヒートシンク3から圧縮する向きの応力を受けた上での、サブマウント基板4のLDアレイ6との境界面における収縮量と、LDアレイ6のサブマウント基板4との境界面における収縮量との差が所定範囲となるように、各部品の線膨張係数及びサブマウント基板4とヒートシンク3との接合幅を調整すればよい。従って、ヒートシンク3と接合された状態でのサブマウント基板4の線膨張係数である「サブマウント基板4のみなし線膨張係数」をLDアレイ6の線膨張係数とほぼ同程度とする、すなわち「サブマウント基板4のみなし線膨張係数」をLDアレイ6の線膨張係数を含む所定の範囲内となるようにすることにより、LDアレイ6に生じる応力を低減させることができる。ここで、ヒートシンク3と接続された状態でのサブマウント基板4の線膨張係数である「サブマウント基板4のみなし線膨張係数」は、ヒートシンク3と接合された状態でのサブマウント基板4にかかる変形量を構造解析によって求めることによって得ることができる。
[0032]
 次に、図7及び図8を用いて、本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのLDアレイ6における電流のばらつきについて説明する。図7はLDアレイ6とめっき層5A、5Bの回路構成を示す図であり、図8は本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのLDアレイ6のエミッタ配置と印加電流との関係を示すグラフである。図8に示す最大と最小のエミッタ電流の差Eを、以下電流ばらつきと呼ぶ。
[0033]
 レーザ光源モジュール100に電流が流されると、リボン配線8を経由してLDアレイ6の両側面より各エミッタ21へ給電される。リボン配線8A及び8Dはめっき層5Aの両端部に接続されている一方で、LDアレイ6の各エミッタはリボン配線8A及び8Dの接続部間に一定間隔で並列配置されていることから、図7に示すようにエミッタ21間には導体抵抗22が存在する。この導体抵抗22の影響により、リボン配線8A及び8Dの接続部に近い位置(LDアレイ6の外側)に配置されたエミッタ21には電流が流れやすいが、リボン配線8A及び8Dの接続部から離れた位置(LDアレイ6の内側)に配置されたエミッタ21には電流は流れにくい。そのため、従来のレーザモジュールは、各エミッタ21に流れる電流、および電流に応じて出力される光の強度にばらつきが発生し、外側のエミッタ21に過剰な電流が流れることから長期信頼性が低下していた。
[0034]
 これに対し本実施の形態のレーザモジュールは、めっき層5A及び5Bの層厚を調整することにより対応している。図9は、本発明の実施の形態1におけるレーザモジュールのLDアレイが15個のエミッタを200μmピッチで配置した場合の、電流のばらつきとめっき層5A及び5Bの厚さとの相関とめっき層5Aの導体厚さ寸法とめっき層5Aの表面粗さの相関とを示すグラフである。図9の電流ばらつきの値はめっき層5A、5B厚さが100μmの場合を1として正規化している。図9から、めっき層5A、5Bの厚さが30μm以下となると急激に電流ばらつきが大きくなるため、めっき層5A、5Bの厚さを30μm以上とすることで電流ばらつきを低レベルに抑制できることがわかる。これは、めっき層5A、5Bの厚さが増加することが、エミッタ21間を電気的に接続する配線が太くなることに対応しており、めっき層5A、5Bの厚さの増加に伴ってエミッタ21間の導体抵抗22が減少することになるため、外側に配置されたエミッタ21に流れる電流と内側に配置されたエミッタ21に流れる電流との差異である電流ばらつきが小さくなるからである。一方、めっき層5A、5Bの厚さが100μm以上となると、LDアレイ6に及ぶ応力におけるめっき層5Aの影響が大きくなり、めっき層を無視した前述の検討が不適切となる。そのため、好ましくはサブマウント基板4上のめっき層5A、5Bの厚さCは30[μm]≦C≦100[μm]となるように設定すればよい。また、図9に示すように、めっき層5A、5Bの厚さを10μm以上とすることで電流ばらつきを実用できるレベルには抑制できることから、少なくともめっき層5A、5Bの厚さCを10[μm]≦C≦100[μm]となるように設定すればよい。このように、めっき層5A、5Bの層厚を電流ばらつきが発生しにくい厚さ以上に保つことで、各エミッタ間の導体抵抗22を低減することができ、ばらつきのない光出力を得ることができる。
[0035]
 また、めっきは基板面より厚さ方向に結晶を成長させるプロセスであることから、面内の成長度合いにばらつきが存在する。通常、添加剤等により面内のばらつきを抑制することが行われるが、その場合においてもめっき厚さが大きくなるにつれめっき表面の面粗さは大きくなる。図9から、めっき層5Aの表面粗さRy(最薄部と最厚部の差)は、めっき層5Aの厚さを20μmとした場合で1μm程度、めっき層5Aの厚さを75μmとした場合で3μm程度となる。実装時の加重によりめっき層5A表面の凸部においてLDアレイ6に対して応力が集中して負荷されると、欠陥の発生による信頼性の低下、および応力による光学特性の変動による偏光特性などのレーザ性能の劣化が生じることが知られている。一般的にLDアレイ6とサブマウント基板4との間のはんだ層の厚さはLD実装後で2~3μm程度であることから、めっき層5Aの表面粗さはおよそ2μm以下とすることが望ましい。図9より、LDアレイ6が実装されるめっき層5Aの厚さCを10μm以上50μm以下とすることで、めっき層5Aの表面粗さRyを2μm以下に抑えることができ、偏光特性、信頼性を損ねることなく、LDアレイ6の電流ばらつきを小さくしたレーザモジュールを構成することができる。なお、レーザモジュール100の製造コストの増加はあるものの、めっき後に研磨などの加工により面粗さを小さくする処理をした場合は上記の限りではない。
[0036]
 また、めっき層5Aの層厚を30μm以上と厚くすることで、CuWのヤング率は255GPaであるのに対してCuのヤング率は1/2程度の130GPaと剛性が小さいことから、熱膨張や接合時の荷重等によりLDアレイ6に負荷が生じた場合においてもめっき層5Aが干渉層として働き、応力を低減することができる。
[0037]
 以上のように、本願発明に係る実施の形態1のレーザモジュールは、ヒートシンク3とサブマウント基板4との接合幅寸法Aを調整して、ヒートシンク3、サブマウント基板4、めっき層5A、5Cからなる複合材料におけるLDアレイ6接合面の熱膨張量とLDアレイ6の熱膨張量との差が所定範囲内にあるようにする、すなわち、ヒートシンク3と接続された状態でのサブマウント基板4のみなし線膨張係数が、LDアレイ6の線膨張係数を含む所定の範囲内となるようにしているので、LDアレイ6のはんだ接合時ならびにLDアレイ6駆動時にLDアレイ6に負荷される応力を低減し、熱伝導性能の良い、安価なレーザモジュールを得ることができる。
[0038]
 また、サブマウント基板4上に厚さ30μm以上のめっき層5A,5Bを設け、給電導体として用いることで、大電流を供給する場合でも給電導体におけるLDアレイ6のエミッタ21間の電圧降下を小さくできる。結果、LDアレイ6の各エミッタ21に流れる電流量が均一となり、電流が一部のエミッタ21に集中して、過剰な発光ならびに温度上昇を生じることがなく長期寿命特性が向上する。
[0039]
 また、従来、サブマウント基板4の材料として用いられていたCuWの体積抵抗率は5.4[μΩ・cm]であるのに対し、給電層に体積低効率がCuWのおよそ1/3の1.7[μΩ・cm]であるCuを用いているので、同一構造において導体抵抗による各エミッタ21間の印加電流ばらつきをおよそ1/3に抑制することができる。これにより、従来の応力緩和構造かつ給電導体としてCuWをサブマウント基板4の材料として用いた場合と比較して、外側のエミッタ21への電流集中を抑制し寿命の向上を図ることができる。
[0040]
 また、LDアレイ6が発振・発光する際、発光に寄与しない電力は熱として消費されるが、LDアレイ6は温度が高いほど内部欠陥の進展が促進しやすく寿命が低下することになる。LDアレイ6で発生した熱は、ステム1を冷却器に熱的に結合することによりサブマウント基盤4→ヒートシンク3→ステム1という経路でレーザモジュール100の外部に輸送されるため、熱輸送経路の熱抵抗値がLDアレイ6の温度に大きく関わってくる。実施の形態1に係るレーザモジュールにおいては、熱伝導率が170[Wm・K]程度のCuWに代えて、熱伝導率がおよそ2.3倍の398[Wm・K]であるCuを用いていることから、CuWの場合と比較して導体部の熱抵抗は半分以下となり、LDアレイ6の温度を低く適切な温度範囲にすることができる。そのため、LDアレイ6の寿命を向上することができる。
[0041]
 また、実施の形態1に記載の構造では、サブマウント基板4上にめっきにより給電層を一体構成することから、サブマウント基板4上にCuW基板を実装する場合と比較して部品点数が少なくでき、部品組立コストを削減できる。給電層はめっきでなく板部材をAuSnはんだ等ではんだ付けする構成であっても良い。この場合、LDアレイ6実装面の板部材の面粗さは板部材の厚さによらないことから、板部材の厚さを大きくすることによるレーザ特性および信頼性の低下については考慮する必要がない。
[0042]
 なお、実施の形態1においては、サブマウント基板4の上面にめっき層5A、5Bが形成され、下面にめっき層5Cが形成されるものとしたが、下面のめっき層5Cは必ずしも形成する必要はない。
[0043]
 なお、上述ではLDアレイ6の実装方向がジャンクションダウンである場合について説明したが、実装方向がジャンクションアップである場合でも電流が流れる向きが逆になるだけで構成および効果には影響を与えない。

符号の説明

[0044]
100 レーザ光源モジュール、1 ステム、2 リードピン、3 ヒートシンク、4 サブマウント基板、5A、5B、5C めっき層、6 LDアレイ、7 ワイヤ配線、8 リボン配線、21 エミッタ、22 導体抵抗。

請求の範囲

[請求項1]
 接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、
 前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、
 前記サブマウント基板上に配置される給電層と、
 前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイと
を備え、
 前記半導体レーザアレイの線膨張係数は、前記サブマウント基板の線膨張係数よりも大きく、前記給電層及び前記ヒートシンクの線膨張係数よりも小さく、
 前記ヒートシンクと接続された状態での前記サブマウント基板の線膨張係数が、前記半導体レーザアレイの線膨張係数を含む所定の範囲内となるように構成されてなるレーザモジュール。
[請求項2]
 接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、
 前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、
 前記サブマウント基板上に配置される給電層と、
 前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイと
を備え、
 前記半導体レーザアレイの線膨張係数は、前記サブマウント基板の線膨張係数よりも大きく、前記給電層及び前記ヒートシンクの線膨張係数よりも小さく、
 前記ヒートシンクと前記サブマウント基板との接合幅を、前記半導体レーザアレイの幅を下限とし、前記半導体レーザアレイに働く応力と前記接続幅との関係が線形近似できる範囲を上限となるよう構成されているレーザモジュール。
[請求項3]
 接触する部材からの熱を放熱するヒートシンクと、
 前記ヒートシンク上に配置され、絶縁材料で構成されたサブマウント基板と、
 前記サブマウント基板上に配置される給電層と、
 前記給電層の上に並列配置される複数の発光部を有する半導体レーザアレイと
を備え、
 前記サブマウント基板の材料はAINまたはSiCであり、
 前記ヒートシンクの材料はCuであり、
 前記半導体レーザアレイの材料はGaAsであり、
 前記給電層の材料はCuであり、
 前記半導体レーザアレイの幅寸法をBとすると、
 前記サブマウント基板の前記ヒートシンクとの接合幅寸法AはB≦A≦B+4mmであることを特徴とするレーザモジュール。
[請求項4]
 前記サブマウント基板の材料はAINもしくはSiCであり、
 前記ヒートシンクの材料はCuであり、
 前記半導体レーザアレイの材料はGaAsであり、
 前記給電層の材料はCuであり、
 前記給電層の厚さは10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
[請求項5]
 前記サブマウント基板の材料はAINもしくはSiCであり、
 前記ヒートシンクの材料はCuであり、
 前記半導体レーザアレイの材料はGaAsであり、
 前記給電層の材料はCuであり、
 前記給電層の厚さは30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
[請求項6]
 前記サブマウント基板の材料はAINもしくはSiCであり、
 前記ヒートシンクの材料はCuであり、
 前記半導体レーザアレイの材料はGaAsであり、
 前記給電層はめっきにより形成されたCuであり、
 前記給電層の厚さは10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザモジュール。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]