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1. WO2011067863 - 内燃機関の排気浄化装置

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明 細 書

発明の名称 内燃機関の排気浄化装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008  

符号の説明

0009  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 内燃機関の排気浄化装置

技術分野

[0001]
 本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。

背景技術

[0002]
 ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガスには、例えば、一酸化炭素(CO)、未燃燃料(HC)、窒素酸化物(NO )または粒子状物質(PM:Particulate Matter)などの成分が含まれている。内燃機関の排気浄化装置は、これらの成分を浄化するために排気処理装置を備える。
 排気ガスに含まれる成分のうち、窒素酸化物は、窒素酸化物を還元する排気処理装置により浄化される。粒子状物質は、粒子状物質を捕集する排気処理装置により除去される。一方で、一酸化炭素および未燃燃料は、これらの物質を酸化するための排気処理装置により浄化される。例えば、機関排気通路には、酸化触媒または三元触媒が配置される。
 国際公開第00/27508号パンフレットにおいては、酸素吸蔵材にロジウムおよびパラジウムの少なくとも一種を担持した酸化還元触媒に、HCの濃度を低減した排気ガスを接触させることにより、低温域から高温域までHCの排出を高度に抑制する排気ガス浄化方法が開示されている。
 また、特開平7−166852号公報においては、ゼオライトおよび主要コンバータを備え、ゼオライトは、5.6オングストロームより大きい最大孔開口部を有し、銅などのイオンから選択される非フレーム構造陽イオンを含む排気浄化システムが開示されている。この排気浄化システムにおいては、エンジンから排出される排気ガスに含まれる不燃焼の炭化水素、特に低分子量のアルケンを効果的に転化すると開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 国際公開第00/27508号パンフレット
特許文献2 : 特開平7−166852号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 上記の国際公開第00/27508号パンフレットには、通常運転時において、燃料が燃焼する時の空燃比が理論空燃比に制御される内燃機関が開示されている。排気浄化装置は、未燃燃料等の酸化すべき物質を酸化するために三元触媒を含んでいる。三元触媒は、酸化反応および還元反応を同時に行なう触媒である。三元触媒は、排気ガスの空燃比が理論空燃比の近傍において、未燃燃料、一酸化炭素および窒素酸化物を高い浄化率で浄化することができる。
 この公報に開示されている排気浄化装置は、酸素吸蔵放出材を有する三元触媒とHC吸着材とを含む。HC吸着材による未燃燃料の吸着作用および放出作用と、酸素吸蔵放出材による酸素の吸蔵作用および放出作用により、三元触媒の表面が常に理論空燃比の近傍に保たれる。このために、高い浄化率を維持できることが開示されている。
 内燃機関には、通常運転時において燃焼室における燃焼時の空燃比をリーンに制御する装置が含まれる。この内燃機関では、通常運転時において排気浄化装置に流入する排気ガスの空燃比がリーンになる。一酸化炭素は、酸化触媒において酸化されて二酸化炭素に変換される。ところが、排気ガス中には一酸化炭素および未燃燃料が共存し、未燃燃料が一酸化炭素の酸化を阻害する場合があった。
 近年においては二酸化炭素の放出量の要求が厳しくなりつつある。二酸化炭素の放出量を低減するために、燃料の燃焼量を少なくすることが検討される。ところが、燃料の燃焼量を少なくすると排気ガスの温度が低くなる。排気ガスの温度が低くなると触媒温度が低下し、一酸化炭素の浄化効率が低下するという問題があった。
 本発明は、低温域から高い一酸化炭素の浄化率を得ることができる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明の内燃機関の排気浄化装置は、機関本体がトルクを出力する通常運転時に燃焼時の空燃比がリーンになるように制御される内燃機関の排気浄化装置であって、未燃燃料の放出温度未満では、排気ガスに含まれる未燃燃料を吸着し、未燃燃料の放出温度以上になると未燃燃料を放出する吸着部と、排気ガスに含まれる一酸化炭素を酸化する金属の触媒粒子を有する酸化部とを備える。吸着部は、排気ガスに含まれる低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトを含む。吸着部および酸化部は、排気ガスが吸着部に接触した後に酸化部に接触するように配置されている。
 上記発明においては、吸着部および酸化部は、基材の表面に積層されており、酸化部は、吸着部よりも機関排気通路から遠い側に配置されることができる。
 上記発明においては、吸着部および酸化部は、排気ガスの流れ方向に沿って配置されており、酸化部は、排気ガスの流れ方向において吸着部よりも下流側に配置されることができる。
 上記発明においては、吸着部は、高級炭化水素を吸着する高級炭化水素吸着部および低級オレフィンを吸着する低級オレフィン吸着部を含み、高級炭化水素吸着部および低級オレフィン吸着部は、排気ガスが高級炭化水素吸着部に接触した後に低級オレフィン吸着部に接触するように配置されていることが好ましい。
 上記発明においては、高級炭化水素吸着部は、ベータゼオライトを含み、低級オレフィン吸着部は、金属をイオン交換したゼオライトを含むことが好ましい。
 上記発明においては、酸化部の金属粒子は、白金を主体にして構成されることができる。
 上記発明においては、酸化部の金属粒子は、ほぼ全てが白金から形成されることができる。
 上記発明においては、低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトは、鉄をイオン交換したZMS5、および銀をイオン交換したZMS5のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
 上記発明においては、酸化部の金属の触媒粒子は、酸素吸蔵能力を有する金属粒子以外の金属粒子から構成されることができる。

発明の効果

[0006]
 本発明によれば、低温域から高い一酸化炭素浄化率を得るための排気浄化装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 実施の形態における内燃機関の概略図である。
[図2] 実施の形態における第1の排気処理装置の概略断面図である。
[図3] 実施の形態における第1の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図4] 酸化触媒の温度と一酸化炭素の浄化率との関係を示すグラフである。
[図5] 実施例1の排気処理装置および比較例の排気処理装置の一酸化炭素50%を浄化する温度のグラフである。
[図6] 実施の形態における比較例1の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図7] 実施の形態における比較例2の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図8] 実施の形態における比較例3の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図9] 実施の形態における第2の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図10] 実施例1の排気処理装置および実施例2の排気処理装置と、比較例の排気処理装置との一酸化炭素排出量のグラフである。
[図11] 実施の形態における比較例4の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図12] 実施の形態におけるゼオライトの種類と、一酸化炭素排出量との関係を示すグラフである。
[図13] 実施例3の排気処理装置および比較例の排気処理装置の一酸化炭素50%を浄化する温度のグラフである。
[図14] 実施の形態における第4の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図15] 実施の形態における第5の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図16] 実施例4および実施例5の排気処理装置と、比較例の排気処理装置との一酸化炭素排出量のグラフである。
[図17] 実施の形態における比較例6の排気処理装置の拡大概略断面図である。
[図18] 実施の形態における第6の排気浄化装置の概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0008]
 図1から図18を参照して、実施の形態における内燃機関の排気浄化装置について説明する。本実施の形態における内燃機関は、車両に配置されている。本実施の形態においては、圧縮着火式のディーゼルエンジンを例に取り上げて説明する。
 図1に、本実施の形態における内燃機関の全体図を示す。内燃機関は、機関本体1を備える。また、内燃機関は、排気ガスを浄化する排気浄化装置を備える。機関本体1は、各気筒としての燃焼室2と、それぞれの燃焼室2に燃料を噴射するための電子制御式の燃料噴射弁3と、吸気マニホールド4と、排気マニホールド5とを含む。
 吸気マニホールド4は、吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結されている。コンプレッサ7aの入口は、吸入空気量検出器8を介してエアクリーナ9に連結されている。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁10が配置されている。更に、吸気ダクト6には、吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置されている。図1に示される実施例では、機関冷却水が冷却装置11に導かれている。機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
 排気マニホールド5は、排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結されている。本実施の形態における排気浄化装置は、未燃燃料および一酸化炭素等の酸化すべき物質を酸化するための排気処理装置13を備える。排気処理装置13は、排気タービン7bの出口に排気管12を介して連結されている。排気処理装置13の下流の機関排気通路内には排気ガス中の粒子状物質を捕集するためのパティキュレートフィルタ16が配置されている。排気ガスは、矢印100に示すように機関排気通路に沿って流れる。
 排気マニホールド5と吸気マニホールド4との間には、排気ガス再循環(EGR)を行うためにEGR通路18が配置されている。EGR通路18には電子制御式のEGR制御弁19が配置されている。また、EGR通路18にはEGR通路18内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置20が配置されている。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置20内に導かれている。機関冷却水によってEGRガスが冷却される。
 それぞれの燃料噴射弁3は、燃料供給管21を介してコモンレール22に連結されている。コモンレール22は、電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ23を介して燃料タンク24に連結されている。燃料タンク24に貯蔵される燃料は、燃料ポンプ23によってコモンレール22内に供給される。コモンレール22内に供給された燃料は、それぞれの燃料供給管21を介して燃料噴射弁3に供給される。
 電子制御ユニット30は、デジタルコンピュータを含む。本実施の形態における電子制御ユニット30は、排気浄化装置の制御装置として機能する。電子制御ユニット30は、双方性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を含む。
 ROM32は、読み込み専用の記憶装置である。ROM32には、制御を行なうための必要なマップ等の情報が予め記憶されている。CPU34は、任意の演算や判別を行なうことができる。RAM33は、読み書きが可能な記憶装置である。RAM33は、運転履歴などの情報を保存したり、演算結果を一時的に保存したりすることができる。
 排気処理装置13の下流には、排気処理装置13の温度を検出するための温度センサ27が配置されている。パティキュレートフィルタ16の下流には、パティキュレートフィルタ16の温度を検出するための温度センサ26が配置されている。パティキュレートフィルタ16には、パティキュレートフィルタ16の前後差圧を検出するための差圧センサ28が取付けられている。これらの温度センサ26,27、差圧センサ28および吸入空気量検出器8の出力信号は、それぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
 アクセルペダル40には、アクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41の出力電圧は、対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35には、クランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続されている。クランク角センサ42の出力により、機関本体1の回転数を検出することができる。
 一方、出力ポート36は、対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10の駆動用ステップモータ、EGR制御弁19および燃料ポンプ23に接続されている。この様に、燃料噴射弁3およびスロットル弁10等は、電子制御ユニット30により制御されている。
 パティキュレートフィルタ16は、排気ガス中に含まれる炭素微粒子、サルフェート等のイオン系微粒子等の粒子状物質(パティキュレート)を除去するフィルタである。パティキュレートフィルタは、例えば、ハニカム構造を有し、ガスの流れ方向に伸びる複数の流路を有する。複数の流路において、下流端が封止された流路と上流端が封止された流路とが交互に形成されている。流路の隔壁は、コージライトのような多孔質材料で形成されている。この隔壁を排気ガスが通過するときにパティキュレートが捕捉される。パティキュレートフィルタ16に次第に堆積する粒子状物質は、空気過剰の雰囲気中で温度を例えば600℃程度まで上昇することにより酸化されて除去される。
 本実施の形態における内燃機関の排気浄化装置は、排気処理装置13に加えて、パティキュレートフィルタ13を備えるが、この形態に限られず、排気処理装置13に加えて他の排気処理装置が配置されていても構わない。たとえば、排気浄化装置は、排気ガスに含まれるNO を浄化するNO 吸蔵還元触媒(NSR)を備えていても構わない。NO 吸蔵還元触媒は、たとえば、排気処理装置13とパティキュレートフィルタ16との間に配置することができる。
 NO 吸蔵還元触媒は、機関本体から排出される排気ガスに含まれるNO を一時的に吸蔵して、吸蔵したNO を放出するときにN に変換する。NO 吸蔵還元触媒は、基体上に例えば酸化アルミニウムを含む触媒担体が担持されている。触媒担体の表面上には貴金属で形成された触媒粒子が分散して担持されている。また、触媒担体の表面上にはNO 吸収剤の層が形成されている。触媒粒子としては、例えば白金Ptが用いられる。NO 吸収剤を構成する成分としては、例えばバリウムBaのようなアルカリ土類が用いられている。
 本発明においては、機関吸気通路、燃焼室、または機関排気通路に供給された排気ガスの空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比(A/F)と称する。排気ガスの空燃比がリーンのとき(理論空燃比より大きなとき)には、排気ガス中に含まれるNOが酸化されてNO 吸収剤に吸蔵される。これに対して、排気ガスの空燃比がリッチのとき、または理論空燃比になると、NO 吸収剤に吸蔵されているNO が放出される。放出されたNO は、排気ガスに含まれる未燃燃料や一酸化炭素等によってN に還元される。
 図2に、本実施の形態における第1の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。本実施の形態における第1の排気処理装置13は、排気ガスの流れ方向に沿った複数の通路を有する。第1の排気処理装置13は、排気ガスの流れ方向の途中で分割されている。第1の排気処理装置13は、未燃燃料を吸着するための上流側部分13aと、未燃燃料および一酸化炭素を酸化するための下流側部分13bとを含む。
 図3に、本実施の形態における第1の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。図3は、上流側部分13aと下流側部分13bとの境界の部分の拡大概略断面図である。上流側部分13aおよび下流側部分13bのそれぞれは基材55を備える。本実施の形態における基材55は、複数の流路を有し、ハニカム構造に形成されている。基材55は、例えば、コージェライト、またはSiCなどのモノリス基材で形成されている。
 上流側部分13aの基材55の表面には、吸着部51が形成されている。吸着部51は、基材55の複数の流路に形成されている。吸着部51は、機関排気通路に沿って層状に形成されている。吸着部51は、未燃燃料を吸着する機能を有する。第1の排気処理装置における吸着部51は、担持体60およびベータ(β)ゼオライト粒子61を含む。担持体60は、例えば酸化アルミニウム(アルミナ:Al )などの多孔質酸化物粉末を含む。担持体60およびベータゼオライト粒子61は、たとえばバインダーにより基材55に支持されている。
 下流側部分13bの基材55の表面には、酸化部52が形成されている。酸化部52は、基材55の複数の流路に形成されている。酸化部52は、機関排気通路に沿って層状に形成されている。酸化部52は、未燃燃料および一酸化炭素等を酸化する機能を有する。第1の排気処理装置13の酸化部52は、担持体60および触媒粒子62を含む。担持体60は、バインダーにより基材55に固定されている。触媒粒子62は、担持体60に担持されている。触媒粒子62は、排気ガスに含まれる酸化すべき物質を酸化するための金属粒子である。本実施の形態における触媒粒子62は、貴金属から形成されている。触媒粒子62としては、白金系金属(PGM:Platinum group metals)を用いることができる。触媒粒子62は、たとえば、白金Pt、パラジウムPdおよびロジウムRhのうち少なくとも一つの貴金属を用いることができる。
 本実施の形態の第1の排気処理装置においては、上流側の基材55に吸着部51が配置され、下流側の基材55に酸化部52が配置されている。第1の排気処理装置13は、基材55が分割されて上流側部分と下流側部分とが形成されているが、この形態に限られず、基材は一体的に形成されていても構わない。すなわち、1つの基材の表面に、排気ガスの流れ方向に沿って上流側に吸着部が形成され、下流側に酸化部が形成されていても構わない。
 排気ガスに含まれる未燃燃料(HC)は、2重結合を有する鎖状炭化水素であるオレフィンと、不飽和結合を有しない鎖状炭化水素であるパラフィンと、ベンゼン核を有する芳香族炭化水素であるアロマとを含む。排気ガスは、炭素原子数の多い高級炭化水素を含む。高級炭化水素は、高級オレフィン、高級パラフィンおよびアロマ等を含む。オレフィンは、低級オレフィンおよび低級オレフィンよりも炭素原子数の多い高級オレフィンを含む。低級オレフィンは、たとえば炭素原子数が5以下の炭化水素である。好ましくは、低級オレフィンは、炭素原子数が2または3の炭化水素、すなわちエチレンとプロピレンとを含む。
 本実施の形態における酸化すべき物質を酸化する排気処理装置13は、排気ガスが低温のときには吸着部51にて未燃燃料を吸着する。たとえば、排気処理装置13の温度が未燃燃料の放出温度未満の場合には、未燃燃料を吸着する。排気ガスの温度が上昇すると、吸着部51から未燃燃料を放出する。たとえば、排気処理装置13の温度が未燃燃料の放出温度以上になると未燃燃料を放出する。放出された未燃燃料は、酸化部52において酸化されることにより浄化される。排気処理装置に流入する一酸化炭素は、酸化部52において酸化される。このように、排気ガスに含まれる一酸化炭素または未燃炭化水素は酸化されることにより、水や二酸化炭素に変換される。
 図3を参照して、排気ガスは排気処理装置13に流入すると吸着部51に接触する。排気ガスが低温の場合には、排気ガスに含まれる未燃燃料が吸着部51に吸着される。排気ガスから未燃燃料の少なくとも一部を除去することができる。次に、排気ガスは、酸化部52に接触する。酸化部52においては、一酸化炭素を酸化することができる。
 ところで、酸化触媒においては、排気ガスに含まれる未燃燃料が一酸化炭素の酸化を阻害する場合があった。たとえば、未燃燃料が触媒粒子の表面に吸着することにより被毒される。この結果、一酸化炭素の酸化が阻害される場合があった。
 図4に、酸化触媒の温度と一酸化炭素の浄化率との関係のグラフを示す。図4に示す試験においては、セリア−ジルコニア固溶体と白金の触媒粒子とを含む酸化触媒を用いている。また、酸化触媒に流入する排気ガスの空燃比をリーンにしている。試験においては、排気ガスに未燃燃料HCが含まれている場合と、未燃燃料HCが含まれていない場合について行っている。横軸は、酸化触媒の温度を示し、縦軸は一酸化炭素の浄化率を示している。
 酸化触媒の温度が上昇するほど、一酸化炭素の浄化率が向上することが分かる。未燃燃料が含まれる場合と含まれない場合とを比較したときに、ほぼ全体の温度域において、未燃燃料が含まれる場合よりも未燃燃料が含まれない方が一酸化炭素の浄化率が高いことが分かる。または、一つの一酸化炭素の浄化率を得るために必要な酸化触媒の温度は、未燃燃料が含まれる場合よりも未燃燃料が含まれない場合の方が低くなることが分かる。この試験結果により、排気ガスが酸化部に接触する前に未燃燃料の少なくとも一部を除去することにより、一酸化炭素の浄化率が向上することが分かる。
 本実施の形態における第1の排気処理装置は、上流側に吸着部51が配置され、下流側に酸化部52が配置されている。吸着部51および酸化部52は、排気ガスが吸着部51に接触した後に、酸化部52に接触するように配置されている。吸着部51に流入した排気ガスは、未燃燃料の少なくとも一部が除去される。このため、酸化部52に流入する未燃燃料の濃度を小さくすることができる。酸化部52において、効果的に一酸化炭素を酸化させることができる。特に、排気処理装置13が低温の場合に、酸化部52に未燃燃料が蓄積されて被毒が生じることを抑制できる。
 燃焼室2から排出される排気ガスには、炭素原子数の多い高級パラフィンが残存している。オレフィンにおいては、炭素原子数の多い高級オレフィンと共に、炭素原子数の小さな低級オレフィンが多く含まれている。
 排気ガスに含まれる未燃燃料のうち低級オレフィンは、一酸化炭素の酸化を阻害する影響が強い特性を有する。本実施の形態における排気処理装置の吸着部は、低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトを含む。すなわち、吸着部は、酸化部で一酸化炭素の酸化が実質的に阻害されないように、所定の効率以上で低級オレフィンを吸着するゼオライトを含む。第1の排気処理装置の吸着部は、ベータゼオライトを含む。本実施の形態における排気浄化装置は、吸着部において排気ガスから低級オレフィンを効果的に除去することができる。この結果、酸化部において高い浄化率で一酸化炭素を浄化することができる。
 低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトとしては、ベータゼオライトの他に、イオン交換により金属が担持されたゼオライトを用いることができる。特に、鉄をイオン交換したZMS5、または銀をイオン交換したZMS5は、低級オレフィンの吸着効率に優れる。このため、吸着部は、鉄をイオン交換したZMS5、および銀をイオン交換したZMS5のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
 図5に、本実施の形態における実施例1と比較例との一酸化炭素の50%浄化温度のグラフを示す。縦軸は、排気ガスに含まれる一酸化炭素の浄化率が50%になる温度である。以下に記載の実施例および比較例においては、それぞれの対応する部分の体積または重量を同一にしている。排気処理装置は、基材の総体積が同一(1L)になるように形成され、基材の表面に配置されるコート層の重量が同一(150g)になるように形成され、触媒粒子の重量が同一(1.8g)になるように形成されている。
 実施例1は、本実施の形態における第1の排気処理装置に相当する。図3を参照して、実施例1においては、上流側部分13aの基材55および下流側部分13bの基材55として、コージェライト基材(0.5L)を用いている。吸着部51は、ベータゼオライト粒子61(60g)と、酸化アルミニウムの担持体60(15g)とを含むコート層を備える。酸化部52は、酸化アルミニウムの担持体60(75g)を含むコート層を備える。触媒粒子62は、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)を含む。実施例1の触媒粒子62は、白金の量がパラジウムの量よりも多くなるように形成されている。
 図6に、本実施の形態における比較例1の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。比較例1の排気処理装置においては、基材55の表面に担持体60が配置されている。担持体60には貴金属の触媒粒子62が担持されている。比較例1の基材55は、分割されておらずに一体的に形成されている。比較例1においては、基材55としてコージェライト基材(1L)を用いている。基材55の表面に、酸化アルミニウムの担持体60(150g)を含むコート層が形成されている。担持体60には、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)から形成された触媒粒子62が担持されている。
 図7に、本実施の形態における比較例2の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。比較例2の排気処理装置においては、基材55の表面に、酸化アルミニウムで形成された担持体60およびベータゼオライト粒子61を含むコート層が形成されている。担持体60およびベータゼオライト粒子61の層には、触媒粒子62が配置されている。比較例2においては、基材55としてコージェライト基材(1L)を用いている。酸化アルミニウムの担持体60(90g)とベータゼオライト粒子61(60g)とによりコート層が形成されている。触媒粒子62としては、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)が配置されている。
 図8に、本実施の形態における比較例3の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。比較例3においては、基材55が分割されている。排気処理装置は、吸着部51と酸化部52とを含む。それぞれの吸着部51および酸化部52は、本実施の形態における第1の排気処理装置と同様である。比較例3においては、排気ガスの流れ方向において、酸化部52が上流側に配置され、吸着部51が下流側に配置されている。比較例3においては、実施例1と比較して、酸化部および吸着部の順序が逆になっている。
 比較例3においては、吸着部51の基材55および酸化部52の基材55としては、コージェライト基材(0.5L)を用いている。酸化部52においては、酸化アルミニウムの担持体60(75g)のコート層が形成されている。担持体60には、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)から形成された触媒粒子62が担持されている。吸着部51においては、酸化アルミニウムの担持体60(15g)およびベータゼオライト粒子61(60g)のコート層が形成されている。
 図5を参照して、これらの実施例1の排気処理装置および比較例1から比較例3の排気処理装置を備える内燃機関について試験を行なった。この試験においては、エンジンベンチ試験装置を用いている。図5に示す試験においては、出力トルクを一定にする定常運転にて試験を行っている。
 実施例1の排気処理装置は、比較例1から比較例3の排気処理装置と比較して、一酸化炭素の50%浄化温度が最も低いことが分かる。すなわち、排気ガスが低温のときに、優れた一酸化炭素の浄化能力を発揮できることが分かる。また、実施例1の排気処理装置は、比較例1から比較例3の排気処理装置よりも一酸化炭素の浄化能力が優れていることが分かる。
 図6に示す比較例1は、酸化アルミニウムで形成されたコート層に触媒粒子62が配置されている排気処理装置である。図7に示す比較例2は、さらに、ベータゼオライト粒子61がコート層に含まれている。比較例2と実施例1とを比較して、ベータゼオライト粒子61がコート層に配置される場合においても、触媒粒子62を含む層およびベータゼオライト粒子61を含む層とを分離することにより、一酸化炭素の浄化能力が向上することが分かる。特に、図8に示す比較例3と図3に示す実施例1とを比較して、酸化部52を吸着部51よりも下流側に配置することにより、一酸化炭素の浄化能力が向上することが分かる。
 このように、本実施の形態の第1の排気処理装置においては、吸着部51にベータゼオライトを配置し、酸化部52を吸着部51の下流側に配置することにより、優れた一酸化炭素の浄化能力を得ることができる。または、排気処理装置の低温域から優れた一酸化炭素の浄化能力を得ることができる。たとえば、内燃機関が起動した後の暖気運転の期間において一酸化炭素を効率よく浄化できる。または、酸化部が活性化温度未満でも一酸化炭素を効率よく浄化できる。または、排気処理装置に流入する排気ガスの温度が低い内燃機関においても、一酸化炭素を効率よく浄化できる。
 本実施の形態における排気浄化装置は、一酸化炭素を効率よく酸化できるために、酸化部の温度を速やかに上昇させることができる。たとえば、内燃機関の暖機運転の期間においても酸化部の温度を短時間で活性化温度まで上昇させることができる。この結果、未燃燃料を早期に高い効率で浄化することができる。また、酸化部の下流に早期に昇温すべき排気処理装置が配置されている場合には、短時間で昇温を行なうことができる。たとえば、酸化部の下流にNO 吸蔵還元触媒が配置されている場合には、短時間でNO 吸蔵還元触媒を活性化温度以上まで昇温することができる。
 図9に、本実施の形態における第2の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。第2の排気処理装置13は、コージェライト等で形成された基材55を備える。第2の排気処理装置の基材55は、排気ガスの流れ方向の途中で分割されておらず、一体的に形成されている。
 第2の排気処理装置13は、吸着部51および酸化部52を備える。吸着部51および酸化部52のそれぞれは層状に形成され、コート層が形成されている。吸着部51および酸化部52は、基材55の表面に積層されている。酸化部52は、吸着部51よりも機関排気通路から遠い側に配置されている。図9に示す例においては、基材55の表面に酸化部52が配置され、酸化部52の表面に吸着部51が配置されている。吸着部51は、担持体60およびベータゼオライト粒子61を含む。酸化部52は、担持体60および触媒粒子62を含む。
 吸着部51および酸化部52を層状に形成して、酸化部52よりも吸着部51が機関排気通路に近くなるように積層することにより、排気ガスを吸着部51に接触させた後に、酸化部52に接触させることができる。排気ガスに含まれる未燃燃料の少なくとも一部を吸着部51にて除去することができる。酸化部52には未燃燃料を低減した排気ガスが流入する。このため、酸化部52において、効率良く一酸化炭素を酸化することができる。また、吸着部が低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトを含むことにより、効率良く一酸化炭素を酸化することができる。
 図10に、本実施の形態における実施例2と比較例の一酸化炭素の排出量のグラフを示す。図10は、エンジンベンチ試験装置において、実際の運転状態を模擬した過渡試験を行なった結果を示している。すなわち、走行モードや出力トルク等を変更させながら試験を行なっている。図10は、排気処理装置に流入する一酸化炭素の量と、排気処理装置から排出される一酸化炭素の量とを示している。実施例2は、第2の排気処理装置に相当する。また、図10には、第1の排気処理装置に相当する実施例1の試験結果と、図7に示す比較例2の試験結果を記載している。
 図9を参照して、実施例2においては、基材55としてコージェライト基材(1L)を用いている。酸化部52は、酸化アルミニウムの担持体60(75g)を含む。担持体60に、触媒粒子62として白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)が担持されている。酸化部52の表面に酸化アルミニウムの担持体60(15g)およびベータゼオライト粒子61(60g)を配置して、吸着部51を形成している。
 図11に、本実施の形態における比較例4の排気処理装置の概略断面図を示す。比較例4においては、基材55の表面に吸着部51を配置している。吸着部51の表面に酸化部52を配置している。すなわち、第2の排気処理装置と比較して、吸着部51と酸化部52との位置が逆になっている。排気ガスは、酸化部52に接触した後に吸着部51に接触する。
 比較例4においては、基材55としてコージェライト基材(1L)を用いている。基材55の表面に、酸化アルミニウムの担持体60(15g)とベータゼオライト粒子61(60g)とにより吸着部51を形成している。吸着部51の表面に酸化アルミニウムの担持体60(75g)を配置して酸化部52を形成している。担持体60には、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)により形成された触媒粒子62が担持されている。
 図10を参照して、第2の排気処理装置に相当する実施例2においても、担持体60とベータゼオライト粒子61とを混合したコート層に触媒粒子62を配置した比較例2(図7参照)の排気処理装置と比べて一酸化炭素の排出量が小さいことが分かる。
 また、実施例2の排気処理装置は、機関排気通路に近い側に酸化部52を配置した比較例4(図11参照)の排気処理装置と比べて、一酸化炭素を浄化する能力に優れていることが分かる。すなわち吸着部よりも機関排気通路から遠い側に酸化部が配置されている排気処理装置が優れていることがわかる。このように、第2の排気処理装置においても、排気ガスが吸着部に接触した後に酸化部に接触するように、酸化部および吸着部を配置することにより、効果的に一酸化炭素を浄化することができる。
 また、実施例2の排気処理装置は、実施例1の排気処理装置よりも優れていることが分かる。すなわち、基材の表面に酸化部および吸着部を、この順に積層することにより、より効率よく一酸化炭素を浄化することができる。
 ところで、排気処理装置に含まれる吸着部は、未燃燃料HCを吸着するために、ゼオライトを含むことが好ましい。次に、ゼオライトの種類を変えて一酸化炭素の浄化能力の試験を行った。排気処理装置としては、本実施の形態における第2の排気処理装置(図9参照)を用いて試験を行った。
 図12は、吸着部に含まれるゼオライトの種類と一酸化炭素の排出量との関係を示すグラフである。ゼオライトとしては、ベータゼオライトの他に、ZSM5およびモルゼナイト(MOR)を用いて試験を行なっている。ゼオライトのうちベータゼオライトを用いることにより、一酸化炭素の排出量が少なくなっていることがわかる。すなわち、吸着部に含まれるゼオライトとして、ベータゼオライトを用いることにより、効率よく未燃燃料を吸着できることができて、一酸化炭素の排出量をより少なくすることができる。
 次に、本実施の形態における第3の排気処理装置について説明する。上記の排気処理装置においては、酸化部に含まれる触媒粒子が白金およびパラジウムを含むが、この形態に限られず、触媒粒子は、酸化能力を有する任意の金属を含むことができる。
 本実施の形態における第3の排気処理装置は、触媒粒子のほぼ全体が白金から形成されている。図4に示したように、本実施の形態における排気処理装置は、触媒粒子のほぼ全体が白金から形成されていても効率よく一酸化炭素を浄化することができる。
 図13に、本実施の形態における実施例3と比較例との一酸化炭素の50%浄化温度のグラフを示す。実施例3は、第3の排気処理装置に相当する。実施例3の排気処理装置の構成は、本実施の形態における第2の排気処理装置と同様であり(図9参照)、実施例3の排気処理装置では、触媒粒子62のほぼ全てが白金により形成されている。
 実施例3においては、基材55としてのコージェライト基材(1L)の表面に、酸化アルミニウム(75g)の担持体60を配置することにより酸化部52を形成する。担持体60に、白金(1.8g)の触媒粒子62を担持させている。酸化部52の表面に、酸化アルミニウムの担持体60(15g)およびベータゼオライト(60g)を含む吸着部51を形成している。
 また、比較例5の排気処理装置としては、比較例1の排気処理装置と同様の構成を採用する(図6参照)。基材55としてのコージェライト基材(1L)の表面に、酸化アルミニウムの担持体60(150g)を配置する。担持体60に、白金(1.8g)の触媒粒子62が担持されている。
 図13を参照して、酸化部に配置するほぼ全体の触媒粒子を白金から形成した場合においても、比較例5の排気処理装置より実施例3の排気処理装置の方が、一酸化炭素の50%浄化温度は低くなっている。すなわち、比較例5の排気処理装置よりも実施例3の排気処理装置の方が、一酸化炭素の浄化能力に優れていることが分かる。特に、実施例3の排気処理装置は、低温域においても一酸化炭素の浄化能力に優れていることが分かる。
 このように、本実施の形態における排気処理装置は、ほぼ全体が白金から形成されている触媒粒子を採用することができる。または、触媒粒子として白金を主体とした貴金属を採用することができる。例えば、貴金属の触媒粒子として、白金、パラジウムおよびロジウム等を含む場合には、パラジウムおよびロジウム等の白金以外の総量よりも白金の量を多くすることができる。または、例えばパラジウムおよびロジウム等の白金以外の総量を、白金の量の2分の1以下にすることができる。
 さらに、本実施の形態の内燃機関は、通常運転時において燃焼時の空燃比をリーンに制御している。燃焼室から排出された排気ガスの空燃比はリーンである。排気ガスには過剰の酸素が含まれている。本実施の形態における酸化部は、酸素吸蔵物質を備えていない。酸化部の金属の触媒粒子は、酸素吸蔵能力を有する金属粒子以外の金属粒子から構成されている。
 排気処理装置は、酸素吸蔵物質を含まない形態に限られず、酸素吸蔵物質を含んでいても構わない。酸素吸蔵物質は、セリアCeO 等の酸素を吸蔵する能力を有する助触媒を例示できる。例えば、酸素吸蔵物質は、セリウムとジルコニウムとの酸化物の複合体を含む。酸素吸蔵物質は、他の触媒粒子の劣化を抑制できる場合がある。このような場合に、排気処理装置が酸素吸蔵物質を含んでいても構わない。
 図14に、本実施の形態における第4の排気処理装置を示す。第4の排気処理装置においては、基材55の表面に酸化部52および吸着部51が積層されている。酸化部52は、触媒粒子62が担持されている担持体60を含む。第4の排気処理装置における吸着部51は、担持体60およびベータゼオライト粒子61に加えて、金属をイオン交換したゼオライト粒子63を含む。金属をイオン交換したゼオライト粒子63としては、鉄または銀をイオン交換したゼオライト粒子を例示することができる。吸着部51には、担持体60、ベータゼオライト粒子61および金属をイオン交換したゼオライト粒子63がほぼ均一に配置されている。
 低級オレフィンは一酸化炭素の酸化反応を阻害する影響が強い。たとえば、プロピレンなどは、一酸化炭素の酸化反応を阻害する影響が強い。一方で、金属をイオン交換したゼオライトは、低級オレフィンの吸着効率が高い特性を有する。吸着部51に金属をイオン交換したゼオライト粒子63を配置することにより、低級オレフィンを更に効果的に吸着することができる。このため、酸化部52において一酸化炭素の浄化効率を向上させることができる。このように、低級オレフィンを吸着する能力の高いゼオライトを混合させて吸着部を形成することができる。
 図15に、本実施の形態における第5の排気処理装置の拡大概略断面図を示す。第5の排気処理装置は、基材55の表面に酸化部52が配置されている。酸化部52は、触媒粒子62が担持されている担持体60を含む。酸化部52の表面に吸着部51が形成されている。
 第5の排気処理装置における吸着部51は、複数の部分を有する。吸着部51は、高級炭化水素を吸着する高級炭化水素吸着部51aと、低級オレフィンを吸着する低級オレフィン吸着部51bとを含む。酸化部52の表面には、低級オレフィン吸着部51bが配置されている。低級オレフィン吸着部51bの表面には、高級炭化水素吸着部51aが配置されている。
 第5の排気処理装置は、排気ガスが高級炭化水素吸着部51aに接触した後に低級オレフィン吸着部51bに接触するように形成されている。高級炭化水素吸着部51aは、酸化アルミニウムの担持体60とベータゼオライト粒子61とを含む。低級オレフィン吸着部51bは、酸化アルミニウムの担持体60と金属をイオン交換したゼオライト粒子63とを含む。
 前述の通り、金属をイオン交換したゼオライトは低級オレフィンの吸着効率に優れる。しかしながら、金属をイオン交換したゼオライトに高級炭化水素が接触すると、高級炭化水素が吸着される。このときに、低級オレフィンを吸着するための吸着サイトが塞がれてしまう。たとえば、プロピレンまたはエチレン等を吸着するための酸点が塞がれてしまう。この結果、低級オレフィンの吸着効率が悪化する。
 第5の排気処理装置においては、高級炭化水素吸着部51aにおいて分子量の大きな高級炭化水素を予め除去することができる。その後に、低級オレフィン吸着部51bにおいて低級オレフィンを除去することができる。このため、低級オレフィン吸着部51bにて効率よく低級オレフィンを吸着することができる。酸化部52に到達する低級オレフィンの量を減少させることができる。この結果、一酸化炭素の浄化能力をより向上させることができる。
 高級炭化水素吸着部は、高級の炭化水素を効率よく吸着できるゼオライトを含むことが好ましい。たとえば、高級炭化水素吸着部は、ベータゼオライトを含むことが好ましい。低級オレフィン吸着部は、低級オレフィンを効率よく吸着できるゼオライトを含むことが好ましい。低級オレフィン吸着部は、イオン交換により金属が担持されたゼオライトを含むことが好ましい。たとえば、鉄をイオン交換したZSM5および銀をイオン交換したZSM5のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
 図16に、本実施の形態における実施例4および実施例5と比較例との一酸化炭素の排出量のグラフを示す。実施例4は、本実施の形態における第4の排気処理装置に相当する。実施例5は、本実施の形態における第5の排気処理装置に相当する。図16は、エンジンベンチ試験装置において、過渡試験を行なった結果を示している。
 図14を参照して、実施例4の排気処理装置においては、基材55としてのコージェライト基材(1L)を用いている。酸化部52は、酸化アルミニウムの担持体60(75g)を含む。担持体60には、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)を含む触媒粒子62が担持されている。吸着部51は、酸化アルミニウムの担持体60(15g)、金属をイオン交換したゼオライト粒子63としての鉄(4wt%)をイオン交換したZSM5(30g)の粒子、およびベータゼオライト粒子61(30g)を含む。
 図15を参照して、実施例5の排気処理装置においては、基材55としてコージェライトライト基材(1L)を用いている。酸化部52は、酸化アルミニウムの担持体60(75g)と、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)により形成された触媒粒子62とを含む。酸化部52の表面には、低級オレフィン吸着部51bおよび高級炭化水素吸着部51aが配置されている。低級オレフィン吸着部51bは、酸化アルミニウムの担持体60(7.5g)および金属をイオン交換したゼオライト粒子63としての鉄(4wt%)をイオン交換したZSM5(30g)の粒子を含む。高級炭化水素吸着部51aは、酸化アルミニウム(7.5g)の担持体60およびベータゼオライト粒子61(30g)を含む。
 図17に、本実施の形態における比較例6の排気処理装置の概略断面図を示す。比較例6においては、酸化部52の表面に吸着部51が配置されている。吸着部51は、高級炭化水素吸着部51aと低級オレフィン吸着部51bとを含む。高級炭化水素吸着部51aは、酸化アルミニウムの担持体60とベータゼオライト粒子61とを含む。低級オレフィン吸着部51bは、酸化アルミニウムの担持体60と、金属をイオン交換したゼオライト粒子63としての鉄をイオン交換したZSM5の粒子とを含む。
 比較例6の排気処理装置は、実施例5の排気処理装置と比較して、高級炭化水素吸着部51aと低級オレフィン吸着部51bとの積層の順序が逆になっている。比較例6では、機関排気通路に接する表面側に低級オレフィン吸着部51bが配置され、その下層に高級炭化水素吸着部51aが配置されている。
 比較例6においては、基材55としてコージェライトライト基材(1L)を用いている。酸化部52は、酸化アルミニウムの担持体60(75g)と、白金(1.2g)およびパラジウム(0.6g)により形成された触媒粒子62とを含む。酸化部52の表面には、高級炭化水素吸着部51aおよび低級オレフィン吸着部51bが配置されている。高級炭化水素吸着部51aは、酸化アルミニウム(7.5g)の担持体60およびベータゼオライト粒子61(30g)を含む。低級オレフィン吸着部51bは、酸化アルミニウムの担持体60(7.5g)および金属をイオン交換したゼオライト粒子63としての鉄(4wt%)をイオン交換したZSM5(30g)の粒子を含む。
 図16を参照して、実施例4の排気処理装置および実施例5の排気処理装置は、比較例2(図7参照)の担持体60およびベータゼオライト粒子61が均一に配置されている排気処理装置よりも一酸化炭素の排出量が少なくなっている。
 さらに、実施例4の排気処理装置よりも実施例5の排気処理装置の方が、一酸化炭素の排出量が少なくなっている。吸着部に高級炭化水素吸着部および低級オレフィン吸着部を形成することにより、一酸化炭素をより効率よく浄化することができる。
 また、比較例6の排気処理装置と実施例5の排気処理装置とを比較した場合には、実施例5の排気処理装置の方が一酸化炭素の排出量が少なくなっている。吸着部が高級炭化水素吸着部および低級オレフィン吸着部を含む場合には、高級炭化水素吸着部が機関排気通路に近い側に配置されることが好ましい。このように、吸着部において、排気ガスが高級炭化水素吸着部に接触した後に、低級オレフィン吸着部に接触するように、高級炭化水素吸着部および低級オレフィン吸着部を配置することにより、より効率よく一酸化炭素の排出量を減らすことができる。
 上記の第3の排気処理装置から第5の排気処理装置においては、吸着部と酸化部とを基材の表面に積層した排気処理装置を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、第1の排気処理装置のように、排気ガスの流れ方向に沿って吸着部および酸化部を配置する排気処理装置に適用することができる。たとえば、第1の排気処理装置において、酸化部52の触媒粒子62を、白金を主体にした貴金属から形成することができる。また、第1の排気処理装置において、吸着部51に金属をイオン交換したゼオライトを混合させることができる。
 図18に、本実施の形態における第6の排気処理装置の概略断面図を示す。第6の排気処理装置13は、第5の排気処理装置の吸着部における高級炭化水素吸着部と低級オレフィン吸着部との構造を採用している。排気ガスの流れ方向に沿って吸着部および酸化部が配置さている。吸着部においては、上流側に高級炭化水素吸着部が配置され、下流側に低級オレフィン吸着部が配置されている。排気処理装置13は、吸着部を含む上流側部分13aと、酸化部を含む下流側部分13bとを備える。上流側部分13aは、高級炭化水素吸着部を有する第1部分14aと、低級オレフィン吸着部を有する第2部分14bとを含む。排気ガスは、高級炭化水素吸着部に接触した後に低級オレフィン吸着部に接触する。排気ガスは、この後に酸化部に流入する。この構成によっても一酸化炭素の浄化効率をより向上させることができる。
 本実施の形態の排気処理装置において、吸着部に含まれるゼオライトは酸点が多い方が好ましいために、SiO /Al のモル比は小さいことが好ましい。一方で、機関排気通路においては、排気ガスの温度が例えば700℃を超える高温に到達する場合がある。排気処理装置は、このような高温に対する耐熱性が必要である。また、排気ガスには燃焼により生じた水蒸気が含まれており使用環境に耐えられず破損してしまう虞がある。排気処理装置の耐久性を考慮して、SiO /Al のモル比は、例えば20以上であることが好ましい。
 本実施の形態においては、吸着部と酸化部とが隣接している排気処理装置を例示しているが、この形態に限られず、吸着部と酸化部とが互いに離れていても構わない。また、吸着部と酸化部との間に他の部材が配置されていても構わない。たとえば、機関排気通路において吸着部を含む排気処理装置の下流に、酸化部を含む排気処理装置が配置されていても構わない。
 本実施の形態においては、吸着部に酸化機能を有する触媒粒子が配置されていないが、この形態に限られず、吸着部に酸化機能を有する触媒粒子が配置されていても構わない。
 本実施の形態においては、ディーゼルエンジンを例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、機関本体がトルクを出力する通常運転時に燃焼時の空燃比がリーンになるように制御される内燃機関に本発明を適用することができる。例えば、ガソリンエンジンにおいて、大きな燃焼空燃比で制御するリーンバーンエンジン、および成層燃焼を行なうエンジンなどに本発明を適用することができる。または、酸素過剰雰囲気において一酸化炭素を酸化する内燃機関の排気浄化装置に本発明を適用することができる。
 上記のそれぞれの実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、請求の範囲に含まれる変更が意図されている。

符号の説明

[0009]
1 機関本体
2 燃焼室
12 排気管
13 排気処理装置
13a 上流側部分
13b 下流側部分
14a 第1部分
14b 第2部分
30 電子制御ユニット
51 吸着部
51a 高級炭化水素吸着部
51b 低級オレフィン吸着部
52 酸化部
55 基材
60 担持体
61 ベータゼオライト粒子
62 触媒粒子
63 ゼオライト粒子

請求の範囲

[請求項1]
 機関本体がトルクを出力する通常運転時に燃焼時の空燃比がリーンになるように制御される内燃機関の排気浄化装置であって、
 未燃燃料の放出温度未満では、排気ガスに含まれる未燃燃料を吸着し、未燃燃料の放出温度以上になると未燃燃料を放出する吸着部と、
 排気ガスに含まれる一酸化炭素を酸化する金属の触媒粒子を有する酸化部とを備え、
 吸着部は、排気ガスに含まれる低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトを含み、吸着部および酸化部は、排気ガスが吸着部に接触した後に酸化部に接触するように配置されていることを特徴とする、内燃機関の排気浄化装置。
[請求項2]
 吸着部および酸化部は、基材の表面に積層されており、
 酸化部は、吸着部よりも機関排気通路から遠い側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項3]
 吸着部および酸化部は、排気ガスの流れ方向に沿って配置されており、
 酸化部は、排気ガスの流れ方向において吸着部よりも下流側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項4]
 吸着部は、高級炭化水素を吸着する高級炭化水素吸着部および低級オレフィンを吸着する低級オレフィン吸着部を含み、
 高級炭化水素吸着部および低級オレフィン吸着部は、排気ガスが高級炭化水素吸着部に接触した後に低級オレフィン吸着部に接触するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項5]
 高級炭化水素吸着部は、ベータゼオライトを含み、
 低級オレフィン吸着部は、金属をイオン交換したゼオライトを含むことを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項6]
 酸化部の金属粒子は、白金を主体にして構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項7]
 酸化部の金属粒子は、ほぼ全てが白金から形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項8]
 低級オレフィンを実質的に吸着するゼオライトは、鉄をイオン交換したZMS5、および銀をイオン交換したZMS5のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
[請求項9]
 酸化部の金属の触媒粒子は、酸素吸蔵能力を有する金属粒子以外の金属粒子から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]