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1. WO2011065416 - 複合酸化物、その製造法及び排ガス浄化用触媒

Document

明 細 書

発明の名称 複合酸化物、その製造法及び排ガス浄化用触媒

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033  

実施例

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 複合酸化物、その製造法及び排ガス浄化用触媒

技術分野

[0001]
 本発明は、触媒、機能性セラミックス、燃料電池用固体電解質、研磨剤等に利用可能であり、特に、自動車等の排ガス浄化用触媒における助触媒材料として好適に利用でき、優れた耐熱性及び酸化セリウムの還元率を有する複合酸化物、その製造法及び前記複合酸化物を利用した排ガス浄化用触媒に関する。

背景技術

[0002]
 自動車等の排ガス浄化用触媒は、例えば、アルミナ、コージェライト等の触媒担持体に、触媒金属である白金、パラジウム又はロジウムとこれらの触媒作用を高めるための助触媒とが担持されて構成される。該助触媒材料は、酸化雰囲気下で酸素を吸収し、還元雰囲気下でその酸素を放出するという特性を有し、排ガス浄化用触媒が、排ガス中の有害成分である炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物を効率良く浄化するために、燃料と空気量との比を最適に維持するよう作用する。
 排ガス浄化用触媒による排ガス浄化の効率は、一般に触媒金属の活性種と排ガスとの接触面積に比例する。また、上記燃料と空気量との比を最適に維持することも重要な問題であって、そのためには、助触媒の酸素吸収・放出能に係る還元率を高く維持する必要がある。更に、助触媒として用いられる、例えば、セリウム系酸化物は、排ガス浄化等の高温下における使用によりシンタリング等が生じ、比表面積が低下することで触媒金属の凝集を引き起こし、排ガスと触媒金属との接触面積が減少し、排ガス浄化の効率が低下する傾向にある。
[0003]
 そこで、特許文献1には、酸化セリウムの耐熱性を改善するために、ケイ素等を含むセリウム複合酸化物の製造法として、酸化セリウムを、ケイ素等を含む金属元素の酸化物と緊密に混合し、焼成する製造法、加熱により酸化物に分解しうるケイ素等の金属塩の水溶液を、酸化セリウムに含浸させた後、焼成する製造法、もしくはケイ素等の金属元素の酸化物の前駆体をセリウム(IV)化合物のコロイド水分散液に導入し、この分散液に塩基を添加することにより、沈澱を得、固液分離し、この沈澱を熱処理することを特徴とする製造法が記載されている。また、同文献には、ケイ素等の金属酸化物を酸化セリウムの重量に対して1~20質量%、好ましくは1~5質量%含有させられることが記載されている。
 しかし、特許文献1に記載されている実施例1、5及び6で具体的に製造された、SiO 2を2.5質量%含む酸化セリウムの900℃で6時間焼成後のBET法による比表面積は、高くても20m 2/gであり、更なる改良が必要である。
[0004]
 また、特許文献2には、上記特許文献1に記載されたケイ素等を含むセリウムの複合酸化物の耐熱性を更に改善するために、Ce(M)x(OH)y(NO 3)z(Mはアルカリ金属又は第四アンモニウム基、xは0.01~0.2、yはy=4-z+xで表され、zは0.4~0.7)に対応する水酸化セリウムを、アンモニア等の分解性塩基及びケイ素化合物を含有する水溶液中に懸濁し、該懸濁液を密封された容器内で、該混合物の臨界温度及び臨界圧以下の温度及び圧力まで加熱し、反応混合物を冷却し常圧まで戻し、このように処理した水酸化セリウムを分離し、仮焼して、ケイ素をSiO 2として酸化セリウムの重量の2質量%未満の量を含有する複合酸化物の製造法が記載されている。
 特許文献2の実施例においては、その表1に示されるように、1000℃で6時間焼成後のBET法による比表面積が52m 2/gを示す、SiO 2を酸化セリウムの重量比で0.94%含む耐熱性に優れた複合酸化物が記載されている。
 しかし、特許文献2には、得られた複合酸化物の還元率については記載がなく、後述するように、この文献に記載された製造法により得られた複合酸化物では十分な還元率が得られないという問題がある。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開昭62-56322号公報
特許文献2 : 特開平5-270824号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明の課題は、高温環境下で使用される場合でも高い比表面積を維持しうる、優れた耐熱性及び優れた還元率を有し、特に、排ガス浄化用触媒の助触媒に適したケイ素含有セリウム複合酸化物及びそれを利用した排ガス浄化用触媒を提供することにある。
 本発明の別の課題は、耐熱性及び還元率に優れた上記本発明の複合酸化物を容易に得ることができるケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明によれば、ケイ素をSiO 2換算で2~20質量%含み、
 1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が40m 2/g以上を示し、かつ1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定の結果から算出した還元率が30%以上を示す特性を有する、ケイ素含有セリウム複合酸化物(以下、本発明の複合酸化物と略すことがある)が提供される。
 また本発明によれば、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(a)と、工程(a)で準備したセリウム溶液を60℃以上に加熱保持する工程(b)と、加熱保持で得られたセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(c)と、酸化セリウムを得るために、沈澱物を仮焼する工程(d)と、仮焼して得た酸化セリウムに、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させる工程(e)と、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた酸化セリウムを焼成する工程(f)とを含むケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法(以下、第1の方法と略す場合がある)が提供される。
 更に本発明によれば、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(A)と、工程(A)で準備したセリウム溶液を、60℃以上に加熱保持する工程(B)と、加熱保持で得られたセリウム懸濁液に、酸化ケイ素の前駆体を加える工程(C)と、酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液を100℃以上に加熱保持する工程(D)と、加熱保持した酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(E)と、得られた沈澱物を焼成する工程(F)とを含むケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法(以下、第2の方法と略す場合がある)が提供される。
 更にまた本発明によれば、上記本発明の複合酸化物を備えた排ガス浄化用触媒が提供される。

発明の効果

[0008]
 本発明の複合酸化物は、ケイ素を特定割合で含み、優れた耐熱性を維持し、かつ還元率にも優れるので、特に、排ガス浄化用触媒の助触媒として有用である。
 本発明のケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法は、工程(a)~(f)もしくは工程(A)~(F)を含むので、上記本発明の複合酸化物を含むケイ素含有セリウム複合酸化物を容易に得ることができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 実施例6及び比較例2で製造したケイ素含有セリウム複合酸化物の1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積を示すグラフである。
[図2] 実施例6及び比較例2で製造したケイ素含有セリウム複合酸化物の1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までのTPR測定から算出した還元率を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明を更に詳細に説明する。
 本発明の複合酸化物は、1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が40m 2/g以上、好ましくは45m 2/g以上、特に好ましくは50m 2/g以上を示す特性を有し、かつ1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定の結果から算出した還元率が30%以上、好ましくは35%以上、特に好ましくは40%以上を示す特性を有する。上記比表面積の上限値は特に限定されないが、60m 2/g程度であり、上記還元率の上限値も特に限定されないが、70%程度である。本発明の複合酸化物は、900℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が好ましくは60m 2/g以上である。1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が40m 2/g未満で、かつ1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定の結果から算出した還元率が30%未満の場合には、十分な耐熱性及び優れた還元率の両立ができず、特に、排ガス浄化用触媒とした際に、優れた触媒機能が発揮されない恐れがある。
[0011]
 ここで、比表面積とは、粉体の比表面積測定法として最も標準的な窒素ガス吸着によるBET法に基づいて測定された値を意味する。また、還元率は、50℃から900℃までの昇温還元測定(TPR)の結果から算出した酸化物中のセリウムが4価から3価に還元された比率を意味する。
 前記TPRは、(株)大倉理研製、自動昇温脱離分析装置(装置名、TP-5000)を使用し、測定条件は、キャリアガス:90%アルゴン-10%水素、ガス流量:30mL/分、測定中の試料昇温速度:10℃/分、試料重量0.5gにて測定したものである。
 また、算出は下記式に従って行った。
 還元率(%)=試料の実測水素消費量(μmol/g)/試料中の酸化セリウムの理論水素消費量(μmol/g)×100
[0012]
 本発明の複合酸化物は、上記物性を示し、更に、ケイ素をSiO 2換算した量とセリウムをCeO 2換算した量との合計量に対して、ケイ素をSiO 2換算で2~20質量%、好ましくは4~20質量%、特に好ましくは5~20質量%、更に好ましくは5~15質量%含む。ケイ素の含有割合が2質量%未満では、十分な還元率が得られず、20質量%を超える場合には比表面積の低下が生じる恐れがある。
[0013]
 本発明の製造法は、本発明の複合酸化物を含むケイ素含有セリウム複合酸化物を容易に、再現性良く得ることができる方法であって、まず、第1の方法では、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(a)を含む。
 工程(a)に用いる水溶性セリウム化合物としては、例えば、硝酸第二セリウム溶液、硝酸第二セリウムアンモニウムを挙げることができ、特に、硝酸第二セリウム溶液の使用が好ましい。
 工程(a)において、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液の初期濃度は、セリウムをCeO 2換算で通常5~100g/L、好ましくは5~80g/L、特に好ましくは10~70g/Lに調整することができる。セリウム溶液の濃度の調整には、通常水を用い、脱イオン水の使用が特に好ましい。該初期濃度は、高すぎると後述する沈澱物の結晶性が上がらず、後述する酸化ケイ素の前駆体溶液を含有させるのに十分な細孔を形成できず、最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率が低下する恐れがある。また、濃度が低すぎると生産性が低いため工業的に有利でない。
[0014]
 第1の方法では、次いで、工程(a)で準備したセリウム溶液を60℃以上に加熱保持する工程(b)を行ってセリウム溶液を反応させる。工程(b)に使用する反応器としては、密閉タイプの容器、開放タイプの容器のどちらでも良い。好ましくはオートクレーブ反応器を用いることができる。
 工程(b)において加熱保持温度は、60℃以上、好ましくは60~200℃、特に好ましくは80~180℃、更に好ましくは90~160℃である。加熱保持時間は、通常10分~48時間、好ましくは30分~36時間、より好ましくは1時間~24時間である。加熱保持が十分でないと、後述する沈澱物の結晶性が上がらず、後述する酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させるのに十分な容積を有する細孔を形成できず、最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率を十分改善できない恐れがある。また、加熱保持時間が長すぎても耐熱性及び還元率への影響は微々たるものであり、工業的に有利でない。
[0015]
 第1の方法では、工程(b)の加熱保持で得られたセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(c)を含む。
 工程(c)に用いる沈澱剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アンモニアガス又はこれらの混合物の塩基が挙げられ、特に、アンモニア水の使用が好ましい。
 前記沈澱剤の添加は、例えば、沈澱剤を適度な濃度の水溶液とし、工程(b)で得られたセリウム懸濁液に撹拌しながら加える方法、また、アンモニアガスの場合は撹拌しながら反応器内に吹き込む方法により実施できる。沈澱剤の添加量は、懸濁液のpHの変化を追跡することにより容易に決定できる。通常、セリウム懸濁液のpHが7~9程度の沈澱が生じる量で十分であり、好ましくはpH7~8.5となる量である。
[0016]
 工程(c)は、工程(b)の加熱保持で得られたセリウム懸濁液を冷却した後に行っても良い。
 冷却は、通常、攪拌下に行うことができ、一般的に知られている方法を用いることができる。自然徐冷又は冷却管を用いる強制冷却でも良い。冷却温度は、通常40℃以下、好ましくは20~30℃の室温程度である。
[0017]
 工程(c)の沈澱反応により、結晶成長の進んだ酸化セリウム水和物の沈澱物を含むスラリーを得ることができる。該沈澱物は、例えば、ヌッチェ法、遠心分離法、フィルタープレス法で分離できる。また、必要程度に沈澱物の水洗を付加することもできる。更に、次の工程(d)の効率を高めるために、得られた沈澱物を適度に乾燥する工程を付加しても良い。
[0018]
 第1の方法では、酸化セリウムを得るために上記沈澱物を仮焼する工程(d)を含む。仮焼温度は通常250~500℃、好ましくは280~450℃である。
 工程(d)の仮焼により得られる酸化セリウムは、後述する酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させるのに十分な容積を有する細孔を保持する多孔質体となり、酸化ケイ素の前駆体溶液の含浸を容易にして、かつ最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率を改善することができる。
 仮焼時間は、通常30分~36時間、特に1時間~24時間、更には3~20時間が好ましい。
[0019]
 第1の方法では、上記仮焼して得られた酸化セリウムに、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させる工程(e)を含む。
 工程(e)に用いる酸化ケイ素の前駆体は、焼成等の酸化処理により酸化ケイ素となりうる化合物であって、溶媒を用いて仮焼した酸化セリウムの多孔質体に含浸させることが可能な化合物であれば良く、例えば、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩類、オルトケイ酸テトラエチル等のシラン化合物、イソシアン酸トリメチルシリル等のシリル化合物、ケイ酸テトラメチルアンモニウム等のケイ酸第四アンモニウム塩類が挙げられる。
 酸化ケイ素の前駆体を溶解する溶媒は、使用する前駆体の種類に応じて使い分けることができる。例えば、水、あるいはアルコール、キシレン、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒が挙げられる。
 酸化ケイ素の前駆体溶液の濃度は酸化セリウムへの含浸が可能であれば特に限定されないが、酸化ケイ素の前駆体をSiO 2換算した濃度で、通常1~300g/L、好ましくは10~200g/L程度が作業性及び効率性の点で好ましい。
[0020]
 工程(e)において、前記酸化ケイ素の前駆体の添加量は、添加する酸化ケイ素の前駆体をSiO 2換算した量とセリウムをCeO 2換算した量との合計量に対して、酸化ケイ素の前駆体をSiO 2換算して、通常0.5~20質量%、好ましくは1~20質量%であり、上述の本発明の複合酸化物を得るためには、通常2~20質量%、好ましくは4~20質量%、特に好ましくは5~20質量%、更に好ましくは5~15質量%である。ケイ素の添加量が少ない場合には、得られる複合酸化物の還元率が低下する傾向にあり、ケイ素の添加量が多い場合には、得られる複合酸化物の耐熱性が低下し、高温下における比表面積が低下する傾向にある。
[0021]
 工程(e)において、酸化ケイ素の前駆体溶液の酸化セリウムへの含浸は、例えば、ポアフィリング法、吸着法、蒸発乾固法により行うことができる。
 ポアフィリング法としては、あらかじめ酸化セリウムの細孔容積を測定し、これと同じ容積の酸化ケイ素の前駆体溶液を加え、酸化セリウム表面が均一に濡れた状態にする方法が挙げられる。
[0022]
 第1の方法では、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた酸化セリウムを焼成する工程(f)を含む。焼成温度は、通常300~700℃、好ましくは350~600℃である。
 工程(f)において焼成時間は、焼成温度との兼ね合いで適宜設定でき、通常1~10時間の範囲で決定することができる。
 第1の方法では、上記工程(e)の後、工程(f)を行うにあたって、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた酸化セリウムを、60~200℃程度で乾燥する工程を実施することもできる。このような乾燥工程を行うことにより、工程(f)の焼成を効率良く実施することができる。
[0023]
 本発明の第2の方法では、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(A)を含む。
 工程(A)に用いる水溶性セリウム化合物としては、例えば、硝酸第二セリウム溶液、硝酸第二セリウムアンモニウムを挙げることができ、特に、硝酸第二セリウム溶液の使用が好ましい。
 工程(A)において、セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液の初期濃度は、セリウムをCeO 2換算で通常5~100g/L、好ましくは5~80g/L、特に好ましくは10~70g/Lに調整することができる。セリウム溶液の濃度の調製には、通常水を用い、脱イオン水の使用が特に好ましい。該初期濃度は、高すぎると後述する沈澱物の結晶性が上がらず、十分な容積を有する細孔を形成できず、最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率が低下する恐れがある。また、濃度が低すぎると生産性が低いため工業的に有利でない。
[0024]
 第2の方法では、次いで、工程(A)で準備したセリウム溶液を、60℃以上に加熱保持する工程(B)を行う。
[0025]
 工程(B)に使用する反応器としては、密閉タイプの容器、開放タイプの容器のどちらでも良く、好ましくはオートクレーブ反応器を用いることができる。
 工程(B)において加熱保持温度は、60℃以上、好ましくは60~200℃、特に好ましくは80~180℃、更に好ましくは90~160℃である。加熱保持時間は、通常10分~48時間、好ましくは30分~36時間、より好ましくは1時間~24時間である。加熱保持が十分でないと、後述する沈殿物の結晶性が上がらず、十分な容積を有する細孔を形成できず、最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率を十分改善できない恐れがある。また、加熱保持時間が長すぎても耐熱性及び還元率への影響は微々たるものであり、工業的に有利でない。
[0026]
 第2の方法では、前記工程(B)で得られたセリウム懸濁液に、酸化ケイ素の前駆体を加える工程(C)を行う。
 工程(C)において、セリウム懸濁液に加える酸化ケイ素の前駆体としては、焼成等の酸化処理により酸化ケイ素となりうる化合物であれば良く、例えば、コロイダルシリカ、シリコネート、第4アンモニウムケイ酸塩のゾルが挙げられ、特に、生産コストと環境負荷の低減の観点からコロイダルシリカの使用が好ましい。
[0027]
 工程(C)において、前記酸化ケイ素の前駆体の添加量は、添加する酸化ケイ素の前駆体をSiO 2換算した量とセリウムをCeO 2換算した量との合計量に対して、酸化ケイ素の前駆体をSiO 2換算して、通常0.5~20質量%、好ましくは1~20質量%であり、上述の本発明の複合酸化物を得るためには、2~20質量%、好ましくは4~20質量%、特に好ましくは5~20質量%、更に好ましくは5~15質量%である。ケイ素の添加量が少ない場合には、得られる複合酸化物の還元率が低下する傾向にあり、ケイ素の添加量が多い場合には、得られる複合酸化物の耐熱性が低下し、高温下における比表面積が低下する傾向にある。
 工程(C)において、前記酸化ケイ素の前駆体を加える前にセリウム懸濁液から母液を除去したり、水を加えることにより、セリウム懸濁液の塩濃度を調整しても良い。母液の除去は、例えば、デカンテーション法、ヌッチェ法、遠心分離法、フィルタープレス法で行うことができ、この際、若干量のセリウムが母液と共に除去されるが、この除去されたセリウム量を考慮して、次の酸化ケイ素の前駆体及び水を加える量を調整することができる。
[0028]
 工程(C)は、工程(B)の加熱保持で得られたセリウム懸濁液を冷却した後に行っても良い。
 冷却は、通常、攪拌下に行うことができ、一般的に知られている方法を用いることができる。自然徐冷又は冷却管を用いる強制冷却でも良い。冷却温度は、通常40℃以下、好ましくは20~30℃の室温程度である。
[0029]
 第2の方法では、前記酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液を100℃以上、好ましくは100~200℃、特に好ましくは100~150℃に加熱保持する工程(D)を含む。
 工程(D)において、加熱保持時間は、通常10分~6時間、好ましくは20分~5時間、より好ましくは30分~4時間である。
 この工程(D)の加熱保持において、100℃未満では後述する沈澱物の結晶性が上がらず、最終的に得られる複合酸化物の耐熱性及び還元率を十分改善できない恐れがある。また、加熱保持時間が長すぎても耐熱性及び還元率への影響は微々たるものであり、工業的に有利でない。
[0030]
 第2の方法では、加熱保持した酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(E)を含む。
 工程(E)に用いる沈澱剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アンモニアガス又はこれらの混合物の塩基を用いて行うことができ、特に、アンモニア水の使用が好ましい。工程(E)における沈澱剤の添加量は、加熱保持した酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液のpHの変化を追跡することにより容易に決定できる。通常、セリウム懸濁液のpHが7~9程度の沈澱が生じる量で十分であり、好ましくはpH7~8.5となる量である。
 工程(E)は、工程(D)の加熱保持で得られたセリウム懸濁液を冷却した後に行っても良い。
 冷却は、通常、攪拌下に行うことができ、一般的に知られている方法を用いることができる。自然徐冷又は冷却管を用いる強制冷却でも良い。冷却温度は、通常40℃以下、好ましくは20~30℃の室温程度である。
 該沈澱物は、例えば、ヌッチェ法、遠心分離法、フィルタープレス法で分離できる。また、必要程度に沈澱物の水洗を付加することもできる。
[0031]
 第2の方法では、得られた沈澱物を焼成する工程(F)を含む。焼成温度は通常300~700℃、好ましくは350~600℃である。
 該工程(F)により、耐熱性及び還元率に優れたケイ素含有セリウム複合酸化物を得ることができる。
 焼成時間は、通常1~48時間、特に1~24時間、更には3~20時間が好ましい。
[0032]
 本発明の製造法では、工程(f)又は工程(F)で得られた複合酸化物を粉砕して粉末として使用することができる。該粉砕は、一般に用いられる粉砕機、例えば、ハンマーミルを用いて実施でき、十分所望の粒度の粉末が得られる。
 本発明の製造法により得られる複合酸化物粉末の粒径は、上記粉砕により所望粒径とすることができるが、例えば、排ガス浄化用触媒の助触媒として用いる場合には、平均粒径1~50μmとすることが好ましい。
[0033]
 本発明の排ガス浄化用触媒は、本発明の複合酸化物を含む助触媒を備えたものであれば特に限定されず、その製造や他の材料等は、例えば、公知のものが使用できる。
実施例
[0034]
 以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
 実施例1
 この例は、酸化セリウム及び酸化ケイ素の質量割合が98:2の複合酸化物に関する。
 4価のセリウムイオンを90モル%以上含有する硝酸第二セリウム溶液を、CeO 2換算で20g分取した後、純水にて総量1Lに調整した。次に、得られた溶液をオートクレーブ反応器に導入して120℃まで昇温し、6時間保持した後、室温まで自然冷却した。
 次いで、アンモニア水を加えてpH8まで中和し、酸化セリウム水和物のスラリーを得た。該スラリーをヌッチェろ過にて固液分離し、ろ過ケーキを得た。該ろ過ケーキを、箱型電気炉にて空気雰囲気中、300℃で10時間焼成して酸化セリウムを得た。
[0035]
 次に、得られた酸化セリウム15.8gをビーカーに導入し、該酸化セリウム中にオルトケイ酸テトラエチル1.04g(SiO 2換算で0.31g含有)をエタノールに溶解し総量10mLとした溶液を添加して、ポアフィリング法によって酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた。
 次いで、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた酸化セリウムを120℃で10時間乾燥後、大気中、500℃で10時間焼成して酸化ケイ素を質量比で2%含む酸化セリウム主体の複合酸化物粉末を得た。
 得られた複合酸化物粉末を大気中、900℃で5時間、並びに1000℃で5時間焼成後の比表面積をBET法により測定した。また1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定(TPR)の結果から酸化セリウムの還元率を算出した。結果を表1に示す。
[0036]
 実施例2
 この例は、酸化セリウム及び酸化ケイ素の質量割合が95:5の複合酸化物に関する。
 オルトケイ酸テトラエチルの添加量を2.65g(SiO 2換算で0.79g含有)とした以外は実施例1と同様にして、酸化ケイ素を質量比で5%含む酸化セリウム主体の複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末の物性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[0037]
 実施例3
 この例は、酸化セリウム及び酸化ケイ素の質量割合が90:10の複合酸化物に関する。
 オルトケイ酸テトラエチルの添加量を5.60g(SiO 2換算で1.67g含有)とした以外は実施例1と同様にして、酸化ケイ素を質量比で10%含む酸化セリウム主体の複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末の物性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[0038]
 実施例4
 この例は、酸化セリウム及び酸化ケイ素の質量割合が80:20の複合酸化物に関する。
 オルトケイ酸テトラエチルの添加量を12.6g(SiO 2換算で3.75g含有)とした以外は実施例1と同様にして、酸化ケイ素を質量比で20%含む酸化セリウム主体の複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末の物性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[0039]
 実施例5
 この例は、酸化セリウム及び酸化ケイ素の質量割合が90:10の複合酸化物であって、実施例3とは別の方法で調製した複合酸化物に関する。
 4価のセリウムイオンを90モル%以上含有する硝酸第二セリウム溶液をCeO 2換算で20g分取した後、純水にて総量1Lに調整した。次に、得られた溶液を100℃まで昇温し、30分間保持した後、室温まで自然冷却し、セリウム懸濁液を得た。
 次いで、得られた懸濁液中にコロイダルシリカ8.8g(SiO 2換算で2.2g)を添加し120℃にて2時間保持した後、自然冷却し、アンモニア水を加えてpH8.5まで中和した。
 中和して得られたスラリーをヌッチェろ過にて固液分離し、ろ過ケーキを得た。該ケーキを大気中、500℃で10時間焼成して、酸化ケイ素を質量比で10%含む酸化セリウム主体の複合酸化物粉末を得た。
 得られた複合酸化物粉末の物性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[0040]
 比較例1
 この例は、酸化ケイ素を含まない酸化セリウムであって、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸する前の段階で得られた実施例1に記載の酸化セリウムに関する。
 得られた酸化物粉末の物性を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
[0041]
[表1]


[0042]
 実施例6
 実施例1と同様な方法により、得られる複合酸化物の酸化ケイ素の含有量を質量比で表2に示すように変更し、各複合酸化物粉末を別に調製した。得られた複合酸化物粉末の1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積を、実施例1と同様に測定した。結果を図1に示す。また、得られた複合酸化物粉末の1000℃で5時間焼成後の還元率を実施例1と同様に算出した。結果を表2及び図2に示す。
[0043]
 比較例2
 特許文献2(特開平5-270824号公報)に記載の方法に準拠し、得られる複合酸化物の酸化ケイ素の含有量を質量比で表2に示すように変更して、各複合酸化物粉末を調製した。即ち、4価のセリウムイオン(1.24mol/L)を含有し遊離酸性度(0.332N)である硝酸第二セリウム溶液1Lをオートクレーブ反応器に導入して、アンモニア溶液(0.3726N)2.555Lを室温で添加した。
 アンモニア溶液の硝酸第二セリウム溶液への添加は、室温で1.664L/時間の速度で行った。中和速度r=0.5でCeO 2で表される濃度で60g/Lの4価のセリウム化合物のコロイド分散水溶液を得た。
 得られた分散液を反応器内で100℃で4時間の熱処理にかけた。沈殿物をヌッチェろ過後、黄色生成物287gを採取した。得られた生成物287gに、水を加え0.65Lの水性懸濁液を得た。アンモニア溶液0.1mL(11.4N)、仮焼後生成物中に所望される量のSiO 2を得る為に要求される表2に示す量のカリウムメチルシリコネート、水を加え、0.5Lの混合溶液を得た。
 次に、該水性懸濁液に混合溶液を導入して得られた懸濁液を2L容量のオートクレーブ内に導入し、200℃で1時間保った。この処理の最後に、沈澱物をヌッチェろ過した。次に回収した生成物を大気中、350℃で3時間焼成して複合酸化物粉末を得た。
 得られた複合酸化物を大気中、1000℃で5時間焼成し、実施例6と同様に、比表面積及び還元率を測定した。比表面積の結果を図1に、還元率の結果を表2及び図2に示す。
[0044]
[表2]


[0045]
 図1、表2及び図2の結果から明らかなとおり、特許文献2に記載の製造法により得られた複合酸化物は、酸化ケイ素の添加量が1質量%を最大にしてそれ以上の添加量では比表面積も還元率も低下した。一方、本発明の製造法で得られた実施例では、酸化ケイ素の添加量が1質量%以上でも比表面積と還元率は共に上昇した。この差が現れた理由は、主成分である酸化セリウムの微細構造の違いであると推測できる。特許文献2及び本発明に記載の方法で、酸化ケイ素の前駆体を投入せずに同条件の焼成後に得られた酸化セリウムの比表面積は同等であるが、本発明の方法で得られたものは、特許文献2に記載の方法で得られたものに比して大きな細孔容積を有しているものと推測できる。これは、一次粒子の大きさは同等であるが本発明の方法で得られたものの方が一次粒子同士の凝集がより緩和されていると思われる。従って、特許文献2に記載の複合酸化物では、酸化ケイ素の添加量が少ない段階(1質量%)で酸化セリウムの細孔を満たしそれ以上添加すると逆に細孔を埋めて比表面積を低下させたと考えられる。また、A. Trovarelliらの研究報告(例えば、Journal of Catalysis 194, 461-478(2000))から推測すると、TPR測定時にセリウムケイ酸塩が形成し、それによるセリウム元素の価数変化(+4から+3)が直接還元率に反映されると考えられる。特許文献2に記載の複合酸化物では、酸化ケイ素の添加量が1質量%以上になると、添加された酸化ケイ素は酸化セリウムの近傍に位置することができなくなり、TPR測定時のセリウムケイ酸塩の生成量は酸化ケイ素の添加量が1質量%で限界に達し、還元率も最大になったと推測される。
 一方、本発明では酸化セリウムの細孔を満たすまでより多くの酸化ケイ素を添加することが可能であり、比表面積と還元率の上昇が続くため、特許文献2に記載のものでは実現し得ない高い比表面積と還元率が両立できたと思われる。

請求の範囲

[請求項1]
 ケイ素をSiO 2換算で2~20質量%含み、
 1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が40m 2/g以上を示し、かつ1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定の結果から算出した還元率が30%以上を示す特性を有する、ケイ素含有セリウム複合酸化物。
[請求項2]
 1000℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が45m 2/g以上を示す特性を有する請求項1記載のケイ素含有セリウム複合酸化物。
[請求項3]
 900℃で5時間焼成後のBET法による比表面積が60m 2/g以上を示す特性を有する請求項1又は2記載のケイ素含有セリウム複合酸化物。
[請求項4]
 1000℃で5時間焼成後、50℃から900℃までの昇温還元測定の結果から算出した還元率が35%以上を示す特性を有する請求項1~3のいずれかに記載のケイ素含有セリウム複合酸化物。
[請求項5]
 ケイ素をSiO 2換算で5~20質量%含む請求項1~4のいずれかに記載のケイ素含有セリウム複合酸化物。
[請求項6]
 セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(a)と、
 工程(a)で準備したセリウム溶液を60℃以上に加熱保持する工程(b)と、
 加熱保持して得たセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(c)と、
 酸化セリウムを得るために、沈澱物を仮焼する工程(d)と、
 仮焼して得た酸化セリウムに、酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させる工程(e)と、
 酸化ケイ素の前駆体溶液を含浸させた酸化セリウムを焼成する工程(f)とを含むケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法。
[請求項7]
 セリウムイオンの90モル%以上が4価であるセリウム溶液を準備する工程(A)と、
 工程(A)で準備したセリウム溶液を60℃以上に加熱保持する工程(B)と、
 加熱保持したセリウム懸濁液に酸化ケイ素の前駆体を加える工程(C)と、
 酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液を100℃以上に加熱保持する工程(D)と、
 加熱保持して得た酸化ケイ素の前駆体を含むセリウム懸濁液に沈澱剤を添加し、沈澱物を得る工程(E)と、
 得られた沈澱物を焼成する工程(F)とを含むケイ素含有セリウム複合酸化物の製造法。
[請求項8]
 工程(a)又は工程(A)のセリウム溶液中のセリウム濃度が、CeO 2換算で5~100g/Lである請求項6又は7記載の製造法。
[請求項9]
 請求項1~5のいずれかに記載のケイ素含有セリウム複合酸化物を備えた排ガス浄化用触媒。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]