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1. WO2011064896 - 内燃機関の制御装置

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明 細 書

発明の名称 内燃機関の制御装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008  

符号の説明

0009  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 内燃機関の制御装置

技術分野

[0001]
 本発明は、内燃機関の制御装置に関する。

背景技術

[0002]
 内燃機関は、気筒内において燃料と空気との混合気を燃焼させる。内燃機関の制御では、気筒内に流入する空気量を推定し、気筒に流入する空気量と目標の空燃比とに基づいて気筒内に供給される燃料の量を定めることが知られている。気筒内に流入する空気量は、たとえば、機関吸気通路に配置された空気流量検出器の出力値に基づいて推定することができる。
 また、機関吸気通路に配置されている装置のモデルから導き出されるモデル計算式を用いた数値計算により、気筒内に流入する空気量を推定する方法が知られている。たとえば、スロットル弁や吸気管等のモデル計算式を予め作成しておき、内燃機関の各種パラメータの値とモデル計算式とを用いて気筒内に充填される空気量を推定する装置が知られている。
 特開2007−231840号公報においては、機関吸気通路に設けられたエアフローメータと、スロットル通過空気流量を推定するスロットルモデルと、スロットルモデルにより算出されたスロットル通過空気流量の推定値に基づいてエアフローメータモデル計算式を用いてエアフローメータの予想出力値を算出するエアフローメータモデルとを具備し、エアフローメータの実測値と予想出力値とを用いて内燃機関を制御する制御装置が開示されている。
 また、各種のセンサの出力値とマップとからスロットル弁を通過する空気流量を推定する装置が知られている。
 特開2006−9745号公報においては、排気ガスの再循環をカットしている時に、エンジン回転数とアクセル開度とに基づいた予測吸入空気量と、エアフローセンサで検出された吸入空気量との偏差を求め、この偏差が予め設定された閾値を越えている場合にエアフローセンサの出力を増加させる方向に補正するエアフローセンサ出力の補正方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2007−231840号公報
特許文献2 : 特開2006−9745号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 実際に気筒内に流入する空気量が目標の空気量から逸脱していると、出力トルクが目標値からずれたり、燃焼時の空燃比が目標値からずれたりする。このために、気筒内に充填される空気量を正確に推定することが好ましい。
 空気流量検出器の出力から気筒内に流入する空気量を推定する装置においては、燃料の噴射量が空気流量に基づいて定められるために、空気流量検出器が精度良く空気流量を検出できることが好ましい。ところが、使用を継続すると、エアクリーナをすり抜けた塵や埃、吸入空気の吹き戻しにより炭素成分のデポジット(堆積物)などの付着物が検出部に付着する場合がある。このため、空気流量検出器の出力特性が変化する場合がある。すなわち、空気流量検出器の出力値に含まれる誤差が変化する場合がある。
 モデル計算式を用いた数値計算により筒内に充填される空気量を推定する装置においては、機関吸気通路に配置された空気流量検出器の出力値を用いて、モデル計算式により算出される空気流量の補正を行なうことができる。この場合においても、空気流量検出器の出力値に誤差が含まれていると、補正された空気流量にも誤差が含まれてしまうことになる。
 上記の特開2006−9745号公報においては、エンジン回転数とアクセル開度から算出した予測吸入空気量を基準にして、エアフローメータの出力値を補正する装置が開示されている。しかし、スロットル弁の弁本体にも付着物が付着する場合がある。スロットル弁の弁本体に付着物が付着すると、スロットル弁の開度に対応した機関吸気通路の開口面積が変化する。アクセル開度に基づいて推定した空気流量に誤差が生じる。エアフローメータから出力される空気流量の誤差を算出する場合に、スロットル弁の開口面積の誤差を含むことになる。このため、エアフローメータの出力値の補正に改善の余地があった。
 このように、気筒内に充填される空気量の推定値には、スロットル弁に起因する誤差と、空気流量検出器に起因する誤差との両方が含まれている。従来の技術においては、空気流量検出器の誤差のみを正確に把握することが困難であるという問題があった。すなわち、スロットル弁に起因する誤差と空気流量検出器に起因する誤差とを切り分けることが困難であるという問題があった。
 更に、機関吸気通路に配置される空気流量検出器の出力値は、気筒内に流入する吸入空気量を推定する以外に、内燃機関の排気ガスの再循環率の制御などに使用される場合があり、精度良く機関吸気通路の空気流量を検出できることが好ましい。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明は、機関吸気通路に配置される空気流量検出器の出力値を精度良く補正できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
 本発明の内燃機関の制御装置は、機関吸気通路に配置されている空気流量検出器を備える。内燃機関の始動時から暖機運転が終了するまでの期間内において、空気流量検出器の出力値を取得するための初期の運転状態および終期の運転状態が定められており、初期の運転状態から終期の運転状態までの移行期間において、検出した空気流量検出器の出力値から上記移行期間における吸入空気の総量を算出し、算出した吸入空気の総量と上記移行期間に対応する基準吸入空気量とに基づいて、空気流量検出器の出力値を補正する。
 上記発明においては、機関冷却装置の冷媒の温度を検出する冷媒温度検出器を備え、上記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から機関冷却装置の冷媒の温度が温度判定値に到達するまでの期間を含むことができる。
 上記発明において、初期の運転状態は内燃機関の始動時であり、内燃機関の始動時における冷媒の温度を検出し、始動時の冷媒の温度が低いほど上記基準吸入空気量を大きくすることが好ましい。
 上記発明においては、機関排気通路に排気処理装置が配置されている内燃機関の制御装置であって、排気処理装置の温度を検出する温度検出器を備え、上記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から排気処理装置の温度が温度判定値に到達するまでの期間を含むことができる。
 上記発明において、初期の運転状態は内燃機関の始動時であり、内燃機関の始動時における排気処理装置の温度を検出し、始動時の排気処理装置の温度が低いほど上記基準吸入空気量を大きくすることが好ましい。
 上記発明においては、機関排気通路に排気処理装置が配置されている内燃機関の制御装置であって、排気処理装置の最大酸素吸蔵量を推定する吸蔵量推定装置を備え、上記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から排気処理装置の最大酸素吸蔵量が吸蔵量判定値に到達するまでの期間を含むことができる。
 上記発明において、初期の運転状態は内燃機関の始動時であり、内燃機関の始動時における最大酸素吸蔵量を推定し、始動時の最大酸素吸蔵量が小さいほど上記基準吸入空気量を大きくすることが好ましい。
 上記発明においては、上記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における点火時期の遅角量を検出し、点火時期の遅角量が大きいほど吸入空気の総量が大きくなるように補正することが好ましい。
 上記発明においては、上記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における燃焼時の空燃比を推定し、燃焼時の空燃比がリーンになる領域において、燃焼時の空燃比が大きくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することが好ましい。
 上記発明においては、上記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における燃焼時の空燃比を推定し、燃焼時の空燃比がリッチになる領域において、燃焼時の空燃比が小さくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することが好ましい。
 上記発明においては、機関排気通路から機関吸気通路に排気ガスを循環させる再循環通路を有する内燃機関の制御装置であって、上記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、排気ガスの再循環率が大きくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することが好ましい。

発明の効果

[0006]
 本発明によれば、機関吸気通路に配置される空気流量検出器の出力値を精度良く補正できる内燃機関の制御装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 実施の形態1における内燃機関の概略全体図である。
[図2] 実施の形態1における機関冷却装置の概略系統図である。
[図3] 空燃比センサの出力値を説明する概略図である。
[図4] 実施の形態1における第1の運転制御のタイムチャートである。
[図5] 実施の形態1における第1の運転制御のフローチャートである。
[図6] 実施の形態1における第1の運転制御の基準吸入空気量のグラフである。
[図7] 実施の形態1における第2の運転制御のタイムチャートである。
[図8] 実施の形態1における第2の運転制御の基準吸入空気量のグラフである。
[図9] 実施の形態1における第3の運転制御のタイムチャートである。
[図10] 実施の形態2における第1の運転制御の点火時期に対する積算空気量の補正係数のグラフである。
[図11] 実施の形態2における第2の運転制御の燃焼空燃比に対する積算空気量の補正係数のグラフである。
[図12] 実施の形態2における第3の運転制御の空燃比センサの出力の時間遅れを説明するタイムチャートである。

発明を実施するための形態

[0008]
 実施の形態1
 図1から図9を参照して、実施の形態1における内燃機関の制御装置について説明する。
 図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、各気筒の燃焼室5が形成されている。燃焼室5にはピストン3が配置されている。燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。機関吸気通路は、空気または空気と燃料の混合気が燃焼室5に流入する通路である。機関排気通路は、燃焼室5において燃焼したガスが排気される通路である。
 シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は吸気ポート7の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、排気ポート9の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には、点火装置としての点火プラグ10が固定されている。点火プラグ10は、燃焼室5にて燃料と空気との混合気を点火するように形成されている。
 本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に燃料を供給するための燃料噴射弁11を備える。本実施の形態における燃料噴射弁11は、吸気ポート7に燃料を噴射するように配置されている。燃料噴射弁11は、この形態に限られず、燃焼室5に燃料を供給できるように配置されていれば構わない。たとえば、燃料噴射弁11は、燃焼室に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。
 燃料噴射弁11は、電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29を介して燃料タンク28に接続されている。燃料タンク28内に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ29によって燃料噴射弁11に供給される。
 各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15を介してエアクリーナ23に連結されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。吸気ダクト15には、空気流量検出器としてのエアフローメータ16が配置されている。本実施の形態におけるエアフローメータ16は、ホットワイヤ式であるが、この形態に限られず、任意の空気流量検出器を配置することができる。本実施の形態におけるエアフローメータ16は、スロットル弁18とエアクリーナ23との間に配置されているが、この形態に限られず、機関吸気通路に配置されていれば構わない。
 本実施の形態におけるスロットル弁18は、バタフライ弁である。スロットル弁18は、板状の弁本体を含み、弁本体が回動することにより機関吸気通路が開閉される。スロットル弁18は、この形態に限られず、吸入空気の流量を調整可能な任意の弁を採用することができる。たとえば、スライド式の弁が配置されていても構わない。
 一方、各気筒の排気ポート9は、対応する排気枝管19に連結されている。排気枝管19は、排気ガスを浄化する排気処理装置としての触媒コンバータ21に連結されている。本実施の形態における触媒コンバータ21は、三元触媒20を含む。触媒コンバータ21は、排気管22に接続されている。
 機関吸気通路、燃焼室、または機関排気通路に供給された排気ガスの空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比(A/F)と称すると、三元触媒20の上流側の機関排気通路には、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ79が配置されている。三元触媒20の下流側の機関排気通路には、三元触媒20の温度を検出する温度検出器としての温度センサ78が配置されている。また、三元触媒20の下流側の機関排気通路には、三元触媒20から流出する排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ80が配置されている。
 本実施の形態における機関本体1は、排気ガス再循環(EGR)を行うための再循環通路を有する。本実施の形態においては、再循環通路としてEGRガス導管26が配置されている。EGRガス導管26は、排気枝管19とサージタンク14とを互いに連通している。EGRガス導管26には、EGR制御弁27が配置されている。EGR制御弁27は、再循環する排気ガスの流量が調整可能に形成されている。
 本実施の形態における内燃機関は、電子制御ユニット31を備える。本実施の形態における電子制御ユニット31は、デジタルコンピュータを含む。電子制御ユニット31は、双方向バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を含む。
 アクセルペダル40には、負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、クランク角センサ42は、クランクシャフトが、例えば30°回転する毎に出力パルスを発生する。この出力パルスは入力ポート36に入力される。クランク角センサ42の出力により、機関本体1の回転数を検出することができる。エアフローメータ16の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。更に、電子制御ユニット31には、温度センサ78および空燃比センサ79,80等のセンサの信号が入力されている。
 電子制御ユニット31の出力ポート37は、それぞれの対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁11および点火プラグ10に接続されている。本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃料噴射制御や点火制御を行うように形成されている。燃料を噴射する時期および燃料の噴射量が電子制御ユニット31により制御される。更に、点火プラグ10の点火時期が電子制御ユニット31により制御されている。また、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、スロットル弁18を駆動するステップモータ17、燃料ポンプ29およびEGR制御弁27に接続されている。これらの機器は、電子制御ユニット31により制御されている。
 三元触媒20は、触媒金属として白金(Pt)、パラジウム(Pd)およびロジウム(Rh)などの貴金属を含む。三元触媒20は、たとえば、ハニカム状に成形したコージェライト等の基体の表面に、酸化アルミニウム等の触媒担体が形成されている。貴金属は、触媒担体に支持されている。三元触媒20は、流入する排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比にすることにより、HC、COおよびNO を高い効率で浄化することができる。
 図2に、本実施の形態における機関冷却装置の概略図を示す。本実施の形態における内燃機関は、機関本体1を冷却する機関冷却装置を備える。機関冷却装置は、配管で形成されている系統内を冷媒としての冷却水(以下、機関冷却水という)が流れるように形成されている。機関冷却装置は、ウォータポンプ52が駆動することにより、機関冷却水がオイルクーラ53、シリンダブロック54およびシリンダヘッド55を順に流れて、サーモケース56に流入するように形成されている。
 サーモケース56には、冷媒温度検出器として、機関冷却水の温度を計測する水温センサ58が配置されている。本実施の形態においては、サーモケース56には、サーモスタット57が配置されている。機関冷却水の水温が所定の管理値以上になったときに、サーモスタット57により開閉弁が開いて、ラジエータ51に機関冷却水が流入する。
 ラジエータ51は、機関冷却水を冷却する放熱器である。ラジエータ51の前側には、ラジエータ51に対して強制的に空気を送るためのファン59が配置されている。ファン59が回転することにより、機関冷却水が強制冷却される。ラジエータ51にて冷却された機関冷却水はウォータポンプ52に向かう。ウォータポンプ52が駆動することにより、機関冷却水が機関冷却装置の内部を循環する。
 図1および図2を参照して、水温センサ58の出力は、電子制御ユニット31に入力されている。電子制御ユニット31の出力ポート37は、対応する駆動回路39を介してウォータポンプ52およびファン59に接続されている。機関冷却装置は、電子制御ユニット31に制御されている。
 図3に、本実施の形態における空燃比センサの出力電流と空燃比との関係を説明するグラフを示す。本実施の形態における空燃比センサは、排気ガスの空燃比のそれぞれの点に対応した出力値を示す全領域型のセンサである。空燃比が小さくなるほど(空燃比がリッチになるほど)、空燃比センサの出力電流は小さくなる。また、空燃比がほぼ14.7の理論空燃比では、空燃比センサの出力電流は0Aになる。本実施の形態における空燃比センサは、空燃比と出力値が略比例の関係を有するリニア空燃比センサであり、排気ガスのそれぞれの状態における空燃比を検出することができる。
 本実施の形態においては、内燃機関の始動時から暖機運転が終了するまでの期間内にエアフローメータの出力値を取得する。取得した出力値に基づいてエアフローメータの出力値に対する補正値を算出する。暖機運転は、内燃機関を始動した後に内燃機関に含まれるそれぞれの装置の温度が所定の温度に達したときに終了する。たとえば、内燃機関の始動後に機関冷却水の温度が所定の温度に達するまでの期間が暖機運転の期間に相当する。
 図4に、本実施の形態における内燃機関の第1の運転制御のタイムチャートを示す。時刻t0において、内燃機関を始動している。本実施の形態においては、内燃機関を長い間、停止した後に始動している。機関本体が外気温とほぼ同じ温度になっているときに内燃機関を始動している。機関冷却水は、外気温度とほぼ同じ温度になっている。
 本実施の形態の第1の運転制御においては、機関冷却水の温度に基づいて、空気流量検出器の出力値を取得する初期の運転状態と終期の運転状態が定められている。初期の運転状態は、内燃機関の始動時である。終期の運転状態は、機関冷却水の温度が温度判定値に達した状態である。図4に示す例においては、機関冷却水の温度判定値が予め定められている。温度判定値は、内燃機関の暖機運転が終了したときの温度以下の温度を採用することができる。たとえば、温度判定値は、暖機運転が終了したときの温度の近傍の温度を採用することができる。
 機関冷却水の温度は、内燃機関の始動後に上昇する。時刻t1において、機関冷却水の温度が温度判定値に達している。時刻t2において、機関冷却水の温度が定常状態に達している。時刻t2において、暖機運転が終了している。
 本実施の形態においては、エアフローメータ16の出力値を取得する初期の運転状態から終期の運転状態までの移行期間において、所定の時間間隔Δtごとにエアフローメータ16の出力値のサンプリングを行なう。時刻t0から時刻t1までの期間において、エアフローメータ16の出力値を取得する。取得した出力値から吸入空気の総量を算出する。すなわち時刻t0から時刻t1までに、燃焼室5に流入した空気の総量を算出する。本実施の形態においては、積算空気量を算出する。時刻t0では、積算空気量が零であり、時刻t1において積算空気量MXになっている。
 このように、積算空気量MXは、エアフローメータの出力値から算出された空気量である。これに対して、移行期間に対応する基準吸入空気量MBが予め定められている。基準吸入空気量MBは、燃焼室に流入する空気量の基準値である。基準吸入空気量MBは、例えば、電子制御ユニット31のROM34に記憶されている(図1参照)。
 エアフローメータの出力値から算出された積算空気量MXは、基準吸入空気量MBからずれている。エアフローメータの出力値の補正値を算出する。エアフローメータのずれ率は、補正値(MX/MB)になる。エアフローメータ出力値から推定される空気流量に、補正値(MX/MB)を除算することにより、より正確な空気流量を推定することができる。
 図5に、本実施の形態における内燃機関の制御装置のエアフローメータの出力値の補正値を算出するフローチャートを示す。図5に示す制御は、移行期間の初期に開始することができる。たとえば、内燃機関の始動時である時刻t0において始めることができる。
 ステップ101において、機関冷却水の温度を水温センサ58により検出する。次に、ステップ102において、機関冷却水の温度が、温度判定値以下であるか否かを判別する。すなわち機関冷却水が温度判定値まで上昇しているか否かを判別する。機関冷却水の温度が温度判定値以下である場合には、ステップ103に移行する。ステップ103においては、エアフローメータ16の出力に基づいて空気流量Vgを検出する。
 ステップ104においては、時刻t0から現在の時刻までの積算空気量MXを算出する。エアフローメータ16から検出された空気流量Vgに対して、空気流量Vgを検出する時間間隔Δtを乗じて空気量を算出し、前回の計算において算出した積算空気量MXに加算する。ここで、本実施の形態では、時刻t0における積算空気量MXの初期値は零である。
 次に、ステップ102において、機関冷却水の温度が判定値以下であるか否かを再度判別する。このように、ステップ102からステップ104までを時間間隔Δtごとに繰り返している。
 ステップ102において、機関冷却水の温度が温度判定値よりも大きい場合には、ステップ105に移行する。内燃機関の始動時から機関冷却水の温度が温度判定値に達するまでの期間における吸入空気の総量を算出することができる。ステップ105においては、基準吸入空気量MBを検出する。基準吸入空気量MBは、例えば、予め定められた値を採用することができる。次に、ステップ106において、エアフローメータの出力値の補正値(MX/MB)を算出する。
 補正値(MX/MB)は、エアフローメータのずれ率を示すため、算出された補正値を用いて、次の式(1)の通りエアフローメータの出力値の補正を行なうことができる。
 Vg’=Vg/(MX/MB) …(1)
 ここで、変数Vgは、前回の補正後の吸入空気流量であり、前回の補正において算出された補正値を含む流量である。変数Vg’は、今回の補正後のエアフローメータの出力値に基づく吸入空気流量である。
 本実施の形態においては、補正値を算出する場合に、エアフローメータの生出力に対して補正値を考慮した空気流量に対して、更に今回の補正値を除算しているが、この形態に限られず、例えば前回のエアフローメータの出力値の補正値を1として生出力の値を検出することができる。この場合には、内燃機関の温度が上昇する移行期間の積算空気量MXを算出し、算出された補正値(MX/MB)をエアフローメータの生出力の値に除算することができる。
 本実施の形態の内燃機関の制御装置は、内燃機関が暖機運転を行なうときの発熱量を基準にして、エアフローメータのずれ率を算出している。このため、機関吸気通路に配置されている他の装置の影響を受けずにエアフローメータの出力値の補正、すなわちエアフローメータの校正を行なうことができる。例えば、スロットル弁の弁本体にデポジット等が堆積して、スロットル弁における機関吸気通路の開口面積が変化しても、その影響を受けずにエアフローメータのずれ率を算出することができる。このため、精度良くエアフローメータの校正を行なうことができる。この結果、機関吸気通路における空気流量を精度良く推定することができる。
 本実施の形態においては、スロットル弁の影響を受けずにエアフローメータの出力値の補正を行なうことができるために、エアフローメータから算出される吸入空気流量を利用して、スロットル弁における開口面積の補正を精度良く行なうことができる。
 内燃機関の制御では、たとえばアクセルペダルの踏み込み量から要求トルクが定められ、この要求トルクに応じてスロットル弁の開度が設定される。すなわち、要求トルクに応じてスロットル弁を通過する空気流量が定められる。スロットル弁を開いた後に、実際にスロットル弁を通過する空気流量をエアフローメータにより検出し、検出した空気流量と目標の燃焼空燃比とに基づいて燃料の噴射量が定められる。
 しかし、スロットル弁の弁本体に付着物が付着すると、スロットル弁の開度に対応した機関吸気通路の開口面積が小さくなる場合がある。このようなスロットル弁における誤差は、機関吸気通路に配置された空気流量検出器の出力値を基準にして補正することができる。すなわち、スロットル弁開度に対する空気流量を補正することができる。ところが、空気流量検出器の出力値から推定される空気流量に誤差が含まれていると、スロットル弁の補正にも誤差が含まれてしまうという問題がある。
 本実施の形態においては、スロットル弁の影響を受けずにエアフローメータの校正ができるために空気流量を精度良く推定することができる。このため、スロットル弁の開口面積の補正も精度よく行うことができる。このように、本実施の形態における内燃機関の制御装置は、空気流量検出器に起因する誤差とスロットル弁に起因する誤差とを切り分けて、それぞれを補正することができる。
 スロットル弁の開口面積の補正を精度良く行なえるために、燃焼室に流入する空気流量をより正確に制御することができる。要求トルクに対応した空気量に正確に制御することができる。この結果、要求トルクに対する出力トルクのずれを小さくすることができる。内燃機関の出力トルクの制御性が向上する。
 また、本実施の形態においては、燃焼室に流入する空気流量をより正確に制御することができるために、燃焼室における点火時期を最適な時期に設定することができる。たとえば、ノッキングが生じることを回避するために点火時期を遅らせる場合には、遅角量の余裕分を小さくすることができる。点火時期を出力トルクが最大になる点火時期(MBT)に近づけることができて燃費を向上させることができる。このように、エアフローメータの出力値を精度良く補正することにより、より細かい制御を行うことができる。
 ところで、内燃機関を始動する時の外気温度は、季節や場所等によって変化する。内燃機関が停止しているときの機関冷却水の温度も変化する。起動時における機関冷却水の温度の変動に対応するために、積算空気量の算出を開始するときの機関冷却水の温度を検出し、機関冷却水の温度が低いほど、基準吸入空気量MBを大きくする制御を行うことができる。
 図6に、始動時の機関冷却水の温度に対する基準吸入空気量MBのグラフを示す。内燃機関を始動する時の機関冷却水の温度を検出し、検出した温度に対応する基準吸入空気量MBを定めることができる。例えば、外気温度が低いときには始動時の機関冷却水の温度が低くなっている。機関冷却水の温度が温度判定値に達するまでに長い時間を有する。温度低下に伴って積算空気量MXが大きくなるために、基準吸入空気量MBも大きな値を採用する。
 図6に示す始動時の機関冷却水の温度と基準吸入空気量MBとの関係を、例えば、電子制御ユニット31のROM34に記憶させておくことができる。このように、始動時の機関冷却水の温度に応じて基準吸入空気量を変更することにより、より精度良くエアフローメータの出力値に対する補正値を算出することができる。
 図7に、本実施の形態における内燃機関の第2の運転制御のタイムチャートを示す。第2の運転制御においては、機関冷却水の温度の代わりに、機関排気通路に配置された排気処理装置の温度に基づいて空気流量検出器の出力値を取得する移行期間を定める。
 時刻t0において内燃機関が始動すると、燃焼室5から機関排気通路に高温の排気ガスが流出する。排気ガスは、排気処理装置としての触媒コンバータ21に流入する。本実施の形態においては、三元触媒20に流出する。三元触媒20の温度が時間とともに上昇する。三元触媒20の温度は、温度センサ78により検出することができる。時刻t2において三元触媒20の温度が定常状態になり、暖機運転が終了している。
 内燃機関の制御装置は、移行期間の終期の運転状態を定めるための触媒の温度判定値を有する。触媒の温度判定値は、内燃機関の暖機運転が終了して、定常状態になった時の触媒温度以下に設定することができる。たとえば、触媒の温度判定値として三元触媒20の活性化温度等を採用することができる。
 時刻t1において、三元触媒20の温度が温度判定値に達している。時刻t0から時刻t1までの移行期間において、エアフローメータの出力値から積算空気量MXを算出する。
 図8に、本実施の形態における第2の運転制御の基準吸入空気量のグラフを示す。第1の運転制御と同様に、起動時の三元触媒20の温度に基づいて基準吸入空気量MBを変更することができる。起動時の三元触媒20の温度が低くなるほど、基準吸入空気量MBを大きくすることができる。この制御により、より正確にエアフローメータの補正値を算出することができる。排気処理装置の温度判定値は、この形態に限られず、予め定められた値を採用しても構わない。
 次に、第1の運転制御と同様に、算出された積算空気量MXおよび基準吸入空気量MBにより、エアフローメータの出力値に対する補正値(MX/MB)を算出する。この補正値をエアフローメータの出力値から推定される空気流量値に除算することにより、精度良くエアフローメータの出力値の補正を行なうことができる。
 内燃機関の運転状態として、排気処理装置の温度を検出することにより、機関冷却水の温度を検出するよりも直接的に機関本体から排出される熱量を検出することができる。このために、より精度良くエアフローメータの出力値の補正値を算出することができる。
 次に、本実施の形態における第3の運転制御について説明する。第3の運転制御においては、機関排気通路に配置された排気処理装置の最大酸素吸蔵量に基づいて空気流量検出器の出力値を取得する移行期間を定める。内燃機関が始動して排気処理装置の温度が上昇することにより、排気処理装置の最大酸素吸蔵量が増加する。本実施の形態における三元触媒20は、酸素吸蔵能力を有する。本実施の形態における三元触媒20には、酸素を吸蔵する物質としてセリアCeO が含まれている。
 本実施の形態における内燃機関は、排気処理装置の最大酸素吸蔵量を検出する吸蔵量検出装置を備える。排気処理装置の最大酸素吸蔵量は、例えば、三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチの期間とリーンの期間とを繰り返し、このときの三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比および三元触媒20から流出する排気ガスの空燃比を検出することにより推定することができる。
 例えば、三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比をリッチに制御する。所定時間の間、排気ガスの空燃比をリッチに維持することにより、三元触媒20の酸素吸蔵量をほぼ零にすることができる。次に、三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比をリーンの状態に切り替える。このときに、三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比および三元触媒20から流出する排気ガスの空燃比を空燃比センサ79,80により検出する。
 三元触媒20の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量に達するまでは、三元触媒20に酸素が吸蔵される。三元触媒20の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量に達すると、酸素が三元触媒20を通過する。このため、所定の時間の経過後に三元触媒20の下流に配置されている空燃比センサ80の出力がリッチからリーンに切り替わる。
 三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比をリーンに切り替えた時から、三元触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリーンに変わった時までの期間において、三元触媒20に流入する空気に含まれる酸素量を推定する。この酸素量が最大酸素吸蔵量に相当する。三元触媒20の上流に配置されている空燃比センサ79の出力値により、三元触媒20に流入する酸素量を積算し、最大酸素吸蔵量を推定することができる。
 このように排気ガスの空燃比がリッチの期間とリーンの期間と繰り返すことにより、排気処理装置の最大酸素吸蔵量を推定することができる。排気処理装置の下流に配置されているセンサとしては、排気ガスの空燃比の値を連続的に検出できる空燃比センサに限られず、排気ガスの空燃比がリッチまたはリーンを判別する酸素センサを含んでいても構わない。吸蔵量推定装置としては、この形態に限られず、排気処理装置の最大酸素吸蔵量を推定できる任意の装置を採用することができる。
 図9に、本実施の形態における第3の運転制御のタイムチャートを示す。時刻t0において内燃機関が始動して、時刻t2において三元触媒20の最大酸素吸蔵量が定常状態に達している。時刻t2において、暖機運転が終了している。最大酸素吸蔵量は、排気処理装置の温度が上昇するとともに大きくなる。第3の運転制御においては、エアフローメータの出力値を取得する終期の運転状態として、吸蔵量判定値が定められている。時刻t1において、三元触媒20の最大酸素吸蔵量が、吸蔵量判定値に達している。時刻t0から時刻t1までが、空気流量検出器の出力値を取得する移行期間に相当する。第1および第2の運転制御と同様に、内燃機関の始動時から最大酸素吸蔵量が吸蔵量判定値に達した時までの積算空気量MXをエアフローメータの出力値から算出する。
 次に、第1の運転制御および第2の運転制御と同様に、最大酸素吸蔵量の吸蔵量判定値に対応する基準吸入空気量MBを検出する。始動時における最大酸素吸蔵量を推定し、基準吸入空気量MBを変更することができる。始動時の最大酸素吸蔵量が小さいほど、基準吸入空気量MBを大きくすることができる。または、基準吸入空気量MBは、予め定められた値を採用しても構わない。
 第3の運転制御においても、積算空気量MXおよび基準吸入空気量MBにより、エアフローメータの補正値(MX/MB)を精度良く算出することができる。
 上記の実施の形態においては、初期の運転状態として機関の始動時を採用し、それぞれの装置が温度等の判定値に到達するまで吸入空気の総量を算出しているが、この形態に限られず、内燃機関の始動時から定常状態に達する暖機運転の終了時までの期間内において、任意の移行期間を定めて吸入空気の総量を算出することができる。
 例えば、内燃機関が始動した後の機関冷却水または排気処理装置等の温度が予め定められた温度に達した時を、移行期間の初期の運転状態としても構わない。内燃機関が始動した後の排気処理装置の最大酸素吸蔵量が予め定められた量に達した時を、移行期間の初期の運転状態としても構わない。または、内燃機関が始動した後の所定時間の経過後を移行期間の初期の運転状態としても構わない。または、それぞれの装置の暖機運転が終了したときを移行期間の終期の運転状態としても構わない。
 また、空気流量検出器の出力値を補正する補正値は、空気流量検出器の出力値から算出した吸入空気の総量と基準吸入空気量とに基づいて算出されていれば任意の補正値を採用することができる。たとえば、算出した吸入空気の総量と基準吸入空気量との差分に基づいて補正値を算出し、この補正値を空気流量検出器の出力値から減算しても構わない。
 上記の実施の形態においては、空気流量検出器の出力値を取得する初期の運転状態に応じて、基準吸入空気量を変更する形態を説明しているが、この形態に限られず、空気流量検出器の出力値を取得する終期の運転状態を変更しても構わない。たとえば、始動時の機関冷却水の温度に応じて機関冷却水の温度判定値を変更しても構わない。始動時の機関冷却水の温度が低くなるほど、機関冷却水の温度判定値を下げる制御を行うことができる。この制御によっても、より精度良くエアフローメータの補正値を算出することができる。
 ところで、内燃機関の始動時に機関本体の温度が定常状態の温度に近い場合がある。例えば、内燃機関を停止して内燃機関の温度が十分に下がらない間に再始動した場合には、機関本体の温度が高い。機関本体から排出される熱量として機関冷却水の温度を検出し、移行期間を定める場合には、機関冷却水の温度が既に定常状態に近い場合がある。このような場合にエアフローメータの補正値を算出すると、積算空気量が小さくなってしまって精度が低下してしまう場合がある。
 そこで、始動時の機関本体の温度が所定の温度以上である場合には、エアフローメータの補正値の算出を禁止する制御を行なうことができる。エアフローメータの補正値の算出を禁止する条件としては、たとえば、始動時における機関冷却水の温度が所定の温度判定値よりも高いこと、始動時における排気処理装置の温度が所定の温度判定値よりも高いこと、始動時における排気処理装置の最大酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量の判定値よりも大きいこと、または、前回の内燃機関の停止からの経過時間が所定値よりも小さいことなどを採用することができる。または、所定の装置の温度を比較する場合には、所定の装置の温度が外気温度に予め定められた温度を加算した温度よりも高い場合に、エアフローメータの補正値の算出を禁止する制御を行なうことができる。
 本実施の形態においては、内燃機関を始動して機関本体がアイドリング状態、すなわち無負荷の状態を維持している期間中にエアフローメータの校正を行なう例について説明したが、この形態に限られず、機関本体が負荷を有していても構わない。例えば、内燃機関が自動車に配置されている場合には、自動車を発進させても構わない。この場合においても、上記の制御によりエアフローメータの補正値を算出することができる。
 また、エアフローメータの出力値を取得する移行期間を定める運転状態としては、機関冷却水の温度、排気処理装置の温度および排気処理装置の最大酸素吸蔵量に限られず、内燃機関の発熱量に対応する任意のパラメータを採用することができる。例えば、機関本体の温度を直接的に検出したり、または、機関本体の潤滑油の温度を検出したりすることにより移行期間を定めることができる。
 本実施の形態においては、移行期間における吸入空気の総量として、空気流量Vgに時間間隔Δtを乗じた空気量を積算した積算空気量を算出しているが、この形態に限られず、空気流量検出器の出力値を用いた任意の制御により吸入空気の総量を算出することができる。たとえば、移行期間における空気流量の平均値を算出し、空気流量の平均値に移行期間の時間を乗じることにより吸入空気の総量を算出しても構わない。
 本実施の形態においては、ガソリンを燃料とするエンジンを例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、軽油を燃料とするディーゼルエンジン等の他の内燃機関にも本発明を適用することができる。
 実施の形態2
 図10から図12を参照して、実施の形態2における内燃機関の制御装置について説明する。本実施の形態における内燃機関の装置構成については、実施の形態1と同様である(図1参照)。本実施の形態においては、エアフローメータの出力値から吸入空気の総量を算出するときに、内燃機関の運転状態に応じてエアフローメータの出力値に更に補正を行なう。
 本実施の形態における内燃機関の第1の運転制御においては、燃焼室における混合気の点火時期の遅角量を検出する。エアフローメータの出力値から積算空気量を算出するときに、燃焼室における点火時期の遅角量が大きいほど、エアフローメータの出力値を大きくする補正を行なう。
 内燃機関は、燃焼室5における点火時期に依存して出力トルクが変化する。点火プラグ10により点火するときのピストン3の位置に依存して、出力トルクが変化する。内燃機関は、出力トルクが最大になる点火時期MBT(Minimum Advance for Best Torque)を有する。例えば、ピストン3が最も上方に位置している圧縮上死点(TDC)よりも少し前の時期に点火することにより出力トルクを大きくすることができる。
 図10に、本実施の形態における第1の運転制御の積算空気量を算出する時の補正係数のグラフを示す。横軸は、点火時期MBTからの遅角量を示している。一般的に、点火時期MBTよりも点火を遅らせることにより出力トルクは小さくなる一方で排気ガスの温度が高くなる。縦軸はエアフローメータの出力値から積算空気量を算出する時の補正係数αである。
 内燃機関の制御では、点火時期を遅角させて排気ガスの温度を上昇させる場合がある。例えば、三元触媒20などの排気処理装置は、排気ガスの浄化性能が所定の能力に達する活性化温度を有する。内燃機関の始動時などでは、排気処理装置は低温であり、活性化温度未満である。このため、内燃機関の始動時においては、排気処理装置の温度を早期に活性化温度に到達させるために、排気ガスの温度を上昇させる場合がある。このような場合には、点火時期を遅角させる。
 点火時期を遅角させると機関本体において発生する熱量が大きくなる。積算空気量MXを検出するときに機関本体において発生する熱量が大きくなり、短時間に移行期間が終了する。
 本実施の形態の制御装置においては、次の式により、積算空気量MXを算出する。
 MX(k)=MX(k−1)+Vg(k)×α×Δt …(2)
 ここで、定数kは自然数であり、積算空気量を算出するときの計算の回数を示す。定数αは、エアフローメータの出力値に基づく空気流量Vg(k)に対する補正係数である。
 図10に示す点火時期と補正係数との関係は、例えば電子制御ユニット31のROM34に記憶させておく。積算空気量MXを算出する期間のそれぞれの時刻において、点火時期MBTからの遅角量を検出し、点火時期MBTに応じた補正係数αを定めることができる。点火時期の遅角量が大きいほど補正係数αを大きくしている。点火時期の遅角量が大きいほど時間間隔Δtにおける空気量(Vg(k)×α×Δt)は大きく算出される。
 このように、移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における燃料の点火時期の遅角量が大きいほど吸入空気の総量が大きくなるように補正することにより、より精度良くエアフローメータの補正値を算出することができる。
 次に、本実施の形態の第2の運転制御について説明する。第2の運転制御においては、燃焼室において燃料が燃焼する時の空燃比(燃焼空燃比)に基づいて空気量の補正を行なう。燃焼空燃比は、例えば、機関排気通路に取り付けられた空燃比センサ79により検出することができる(図1参照)。
 図11に、燃焼空燃比に対応する補正係数のグラフを示す。図11は、上記の式(2)の補正係数αを示す。燃焼空燃比がほぼ理論空燃比では補正係数αは1.0である。燃焼空燃比が理論空燃比よりも大きい状態、すなわち燃焼空燃比がリーンの領域では、燃焼空燃比が大きくなるほど補正係数αを小さくしている。燃焼空燃比が理論空燃比未満の状態、すなわち燃焼空燃比がリッチの領域では、燃焼空燃比が小さくなるほど補正係数αを小さくしている。
 燃焼空燃比がリーンの領域では、供給される燃料の量に対して空気過剰の状態になる。燃焼空燃比が大きくなるほど、機関排気通路に排出される熱量が小さくなる。このために、補正係数αは、燃焼空燃比がリーンになるほど算出される吸入空気の総量が小さくなるように定められている。
 一方で、燃焼空燃比がリッチの領域においては、供給される燃料に対して吸入空気に含まれる酸素が不足する。吸入空気量に対して供給される燃料の量が多くなるほど排気ガスの温度が下降する。燃焼空燃比が小さくなるほど、機関排気通路に排出される熱量が小さくなる。このため、補正係数αは、燃焼空燃比がリッチになるほど算出される吸入空気の総量が小さくなるように定められている。
 このような補正係数αを採用して吸入空気の総量を算出することにより、より精度良くエアフローメータの補正値を算出することができる。
 次に、本実施の形態の第3の運転制御について説明する。第3の運転制御においては、第2の運転制御に加えて燃焼空燃比の検出の時間遅れを考慮する。図1を参照して、エアフローメータ16は機関吸気通路に配置され、空燃比センサ79は機関排気通路に配置されている。空気は、機関吸気通路を通って燃焼室5において燃焼した後に、機関排気通路に排出される。このため、エアフローメータ16にて流量が検出された空気が、空燃比センサ79に到達するまでに所定の時間を要する。
 図12に、空燃比センサの出力の時間遅れを説明するタイムチャートを示す。時刻t1において、エアフローメータの出力値が増加している。すなわち吸入空気流量が増加している。この時の燃焼室における燃料噴射量は時刻t1から時刻t2にかけてほぼ一定である。流量が増加した空気は、燃焼室5において燃焼した後に機関排気通路に排出される。空燃比センサ79の出力値は、時刻t1よりも遅れた時刻t2において上昇している。このように空気の輸送に起因して、エアフローメータ16の出力よりも遅れ時間(t2−t1)の後に空燃比センサ79から出力される。
 第3の運転制御においては、上記の式(2)において、エアフローメータの出力値により検出される空気流量Vgの値として、所定の時間前の検出値を採用する。すなわち、第k回目の計算における積算空気量MX(k)は、次の式(3)になる。
 MX(k)=MX(k−1)+Vg(k−p)×α×Δt …(3)
 ここで、定数pは自然数であり、変数Vg(k−p)は、所定回前に検出された空気流量を示す。定数pは、空燃比センサの出力の遅れ時間(t2−t1)に対応している。定数pは、エアフローメータおよび空燃比センサの位置などに依存して定めることができる。なお、機関吸気通路の空気流量Vgを検出するときの回数(k−p)が零よりも小さい場合には、今回のエアフローメータの出力値に基づく空気流量Vg(k)を採用することができる。
 第3の運転制御においては、現在の空気流量として所定の時間の前に検出されたエアフローメータの空気流量Vgを採用している。積算空気量MXを算出するために繰り返し計算を行なっているときに、所定の時間前の空気流量の検出値を採用している。この制御を行うことにより、より精度良く積算空気量を算出することができる。より精度良くエアフローメータの出力値に対する補正値を算出することができる。
 更に、空燃比センサ自体が応答遅れを有する場合がある。すなわち、所定の排気ガスが空燃比センサに到達してから排気ガスの空燃比が検出されるまでに所定の時間を要する場合がある。このような場合においても所定の時間前に検出された空気流量Vg(k−p)を採用することにより、より精度良く積算空気量を算出することができる。
 次に、本実施の形態における第4の運転制御について説明する。内燃機関が排気ガス再循環通路を有する場合には、排気ガスの再循環率が大きいほど上記の式(2)における補正係数αを小さくする制御を行なうことができる。機関排気通路から機関吸気通路に再循環する排気ガスの流量が大きくなるほど、補正係数を小さくする制御を行うことができる。再循環率が高くなるほど、燃焼したときの排気ガスの温度が低くなる。すなわち燃焼室から機関排気通路に排出される熱量が小さくなる。このため、再循環率が大きいほど補正係数αを小さくすることにより、精度良く吸入空気の総量を算出することができる。より精度良くエアフローメータの出力値に対する補正値を算出することができる。
 特に、内燃機関がディーゼルエンジン等の場合には、排気ガスの再循環通路に再循環ガスの冷却装置が配置される場合がある。この場合には、排気ガスが燃焼室に到達するまでに冷却される。燃焼室における燃焼温度は低下する。このため、再循環通路に冷却装置が配置されている内燃機関では、より精度良く吸入空気の総量を算出することができる。
 その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
 上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、請求の範囲に含まれる変更が意図されている。

符号の説明

[0009]
1 機関本体
5 燃焼室
10 点火プラグ
11 燃料噴射弁
15 吸気ダクト
16 エアフローメータ
17 ステップモータ
18 スロットル弁
20 三元触媒
21 触媒コンバータ
26 EGRガス導管
27 EGR制御弁
31 電子制御ユニット
51 ラジエータ
58 水温センサ
78 温度センサ
79,80 空燃比センサ

請求の範囲

[請求項1]
 機関吸気通路に配置されている空気流量検出器を備え、
 内燃機関の始動時から暖機運転が終了するまでの期間内において、空気流量検出器の出力値を取得するための初期の運転状態および終期の運転状態が定められており、
 初期の運転状態から終期の運転状態までの移行期間において、検出した空気流量検出器の出力値から前記移行期間における吸入空気の総量を算出し、算出した吸入空気の総量と前記移行期間に対応する基準吸入空気量とに基づいて、空気流量検出器の出力値を補正することを特徴とする、内燃機関の制御装置。
[請求項2]
 機関冷却装置の冷媒の温度を検出する冷媒温度検出器を備え、
 前記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から機関冷却装置の冷媒の温度が温度判定値に到達するまでの期間を含むことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項3]
 初期の運転状態は、内燃機関の始動時であり、
 内燃機関の始動時における冷媒の温度を検出し、始動時の冷媒の温度が低いほど前記基準吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項4]
 機関排気通路に排気処理装置が配置されている内燃機関の制御装置であって、
 排気処理装置の温度を検出する温度検出器を備え、
 前記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から排気処理装置の温度が温度判定値に到達するまでの期間を含むことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項5]
 初期の運転状態は、内燃機関の始動時であり、
 内燃機関の始動時における排気処理装置の温度を検出し、始動時の排気処理装置の温度が低いほど前記基準吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項6]
 機関排気通路に排気処理装置が配置されている内燃機関の制御装置であって、
 排気処理装置の最大酸素吸蔵量を推定する吸蔵量推定装置を備え、
 前記移行期間は、予め定められた初期の運転状態から排気処理装置の最大酸素吸蔵量が吸蔵量判定値に到達するまでの期間を含むことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項7]
 初期の運転状態は、内燃機関の始動時であり、
 内燃機関の始動時における最大酸素吸蔵量を推定し、始動時の最大酸素吸蔵量が小さいほど前記基準吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項8]
 前記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における点火時期の遅角量を検出し、点火時期の遅角量が大きいほど吸入空気の総量が大きくなるように補正することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項9]
 前記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における燃焼時の空燃比を推定し、燃焼時の空燃比がリーンになる領域において、燃焼時の空燃比が大きくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項10]
 前記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、燃焼室における燃焼時の空燃比を推定し、燃焼時の空燃比がリッチになる領域において、燃焼時の空燃比が小さくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項11]
 機関排気通路から機関吸気通路に排気ガスを循環させる再循環通路を有する内燃機関の制御装置であって、
 前記移行期間における吸入空気の総量を算出する場合に、排気ガスの再循環率が大きくなるほど吸入空気の総量が小さくなるように補正することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]