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1. WO2011064815 - セメント混和剤用籾殻灰

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明 細 書

発明の名称 セメント混和剤用籾殻灰

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011  

発明の効果

0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

産業上の利用可能性

0068  

符号の説明

0069  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : セメント混和剤用籾殻灰

技術分野

[0001]
 この発明は、モルタルやセメントコンクリートの強度を向上させるためのセメント混和剤用の籾殻灰に関する。

背景技術

[0002]
 この種のセメント混和剤としては、シリカフュームが一般的に知られている。このシリカフュームは、フェロシリコンやフェロシリコン合金を製造する際に発生する非晶質シリカを主成分とする平均粒径が0.1μmの球状超微粒子粉体であり、モルタルやセメントコンクリートに添加すると、その高いポゾラン活性によって、硬化体を緻密化し、強度を向上させる作用を有している。
[0003]
 しかしながら、シリカフュームは、上述したように、フェロシリコンやフェロシリコン合金を製造する際の副産物であるので、生産量が少なく、高価であると共に、たばこの煙粒子より細かい超微粒子粉体であるので、粉体材料としてのハンドリングが悪く、モルタルやコンクリート中における分散性もよくないといった問題がある。
[0004]
 こういった問題を解決するために、例えば、特許文献1には、塩酸溶液に浸漬した籾殻を焼成した後に、これを粉砕して微粉末にした籾殻灰をセメント混和剤として使用する技術が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平05-194007号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、籾殻をそのままの状態で焼成することによって籾殻灰を製造する場合、例えば、籾殻を、ボイラー等を用いて高温(800℃以上)で燃焼させると、結晶化が起こり、クリストバライトが生成されるので、ポゾラン活性が小さくなってしまうと共に、カーボン分とシリカ分の融着が起こり、生成された籾殻灰の溶解性も乏しいので、シリカ分として化学的に利用する際の反応性が乏しくなり、セメント混和剤としての十分な性能を確保することができない。
[0007]
 一方、籾殻を、例えば、700℃~600℃程度の低温で燃焼させると、結晶化が抑制され、結晶質シリカであるクリストバライトが生成されにくくなるので、ポゾラン活性は大きくなるが、長時間燃焼させなければ、籾殻の炭素分が除去できず、籾殻の多孔質の構造が残るため、水硬性セメント等の水系の材料と混合すると、水分を吸収して流動性を損なうので、流動性を得るためには大量の水を加える必要があり、強度低下等の性能低下を招くことになる。従って、籾殻を700℃~600℃程度の低温で燃焼させる場合は、長時間燃焼させる必要があり、生産性が大きく低下するといった新たな問題が発生する。また、籾殻を700℃~600℃程度の低温で燃焼させること自体、その温度制御が困難で熱効率が悪いといった問題もある。
[0008]
 そこで、この発明の課題は、ポゾラン活性が大きく、簡単に短時間で効率よく製造することができるセメント混和剤用籾殻灰及びその製造方法並びにそういったセメント混和剤用籾殻灰が混合されたセメント組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、粒径100μm以下に粉砕した籾殻を800~900℃で燃焼させることによって得られたセメント混和剤用籾殻灰を提供し、請求項2に係る発明は、このセメント混和剤用籾殻灰を水硬性セメントに混合してなるセメント組成物を提供するものである。
[0010]
 セメント組成物を構成する水硬性セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等、水と反応することで、水酸化カルシウムが生成するセメントが有効である。これは水酸化カルシウムが本混和剤である籾殻灰といわゆるポゾラン反応をして、安定な化合物を得るためである。籾殻灰の添加量は、セメント100重量部に対して、5~50重量部であることが望ましい。5重量部より少ないと、ほとんどポゾラン反応が起こらず、一方60重量部以上であると、籾殻灰が過剰となり、反応に寄与しない籾殻灰が残存し、水と混合した際の流動性付与のため、余分な水分の添加が必要となったり、硬化体に空隙が発生するためである。さらに望ましくは、10重量部以上、30重量部以下である。
[0011]
 また、請求項3に係る発明は、籾殻を粒径100μm以下に粉砕した後、これを800~900℃で燃焼させたことを特徴とするセメント混和剤用籾殻灰の製造方法を提供するものである。

発明の効果

[0012]
 以上のように、請求項3に係る発明の製造方法によって製造された請求項1に係る発明のセメント混和剤用籾殻灰は、粒径100μm以下に粉砕した籾殻を800~900℃で燃焼させているので、短い燃焼時間で籾殻の炭素分を確実に除去することができると共に、生成された籾殻灰は急冷されることになる。従って、燃焼温度が800~900℃とある程度高くても、結晶質シリカであるクリストバライトが生成されにくく、ポゾラン活性が大きくなる。
[0013]
 なお、燃焼温度を800~900℃に限定しているのは、燃焼温度が800℃を下回ると、籾殻の炭素分を十分に燃焼させるための燃焼時間が長くなって生産性が低下するからであり、燃焼温度が900℃を上回ると、発癌性があるクリストバライト等の結晶質シリカが生成されやすく、ポゾラン活性が低下するからである。
[0014]
 従って、このセメント混和剤用籾殻灰を水硬性セメントに混合してなる請求項2に係る発明のセメント組成物は、ポゾラン活性が大きいだけでなく、混合した水分をセメント混和剤用籾殻灰が吸着し難く、必要な流動性を確保するための混合水量を最小限に抑えることができるので、得られた硬化体に十分な強度を確保することができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] この発明に係るセメント混和剤用籾殻灰の製造システムの一実施形態を示す概略構成図である。
[図2] (a)~(c)は同上のセメント混和剤用籾殻灰のシリカ非晶質性の評価基準を示すX線回析チャートである。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明の実施例について、図面及び表を参照して説明するが、本発明のセメント混和剤用籾殻灰はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0017]
 (実施例1)
 表1及び図1に示すように、籾殻を、粉砕機(ハンマーミル)11によって平均粒径20μmに粉砕した籾殻粉を籾殻粉貯留タンク12に貯留した後、この籾殻粉を空気と共に浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込み、900℃で5秒間程度燃焼させた後、この浮遊燃焼式ボイラー13から排出される燃焼廃ガス及び飛灰を電気集塵機14に通すことによって、燃焼廃ガス及び飛灰からセメント混和剤用籾殻灰を分離し、貯灰サイロ15に貯蔵した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻粉が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、700~800℃に加熱しておいた。
[0018]
 (実施例2)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が70μmである点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0019]
 (実施例3)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が100μmである点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0020]
 (実施例4)
 表1に示すように、籾殻を平均粒径20μmに粉砕した籾殻粉を、ステンレス製の容器に厚さ10mmになるように積載し、電気炉に空気を吹き込みながら、900℃で600秒間燃焼させることによって、セメント混和剤用籾殻灰を生成した。このように、電気炉を使用したのは、浮遊燃焼式ボイラーでは籾殻を600秒間という比較的長い長時間燃焼させることができないからであり、電気炉内で籾殻が自然に燃焼するように、電気炉は、予め、700~800℃に加熱しておいた。
[0021]
 (実施例5)
 表1に示すように、燃焼温度が800℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、700~750℃に加熱しておいた。
[0022]
 (実施例6)
 表1に示すように、燃焼温度が850℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、750~800℃に加熱しておいた。
[0023]
 (比較例1)
 表1に示すように、セメント混和剤として、シリカヒューム(Elkem Materials社製 マイクロシリカ Grade 94)を採用した。
[0024]
 (比較例2)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が150μmである点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0025]
 (比較例3)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が200μmである点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0026]
 (比較例4)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が300μmである点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0027]
 (比較例5)
 表1に示すように、燃焼温度が700℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、630~680℃に加熱しておいた。
[0028]
 (比較例6)
 表1に示すように、籾殻を平均粒径20μmに粉砕した籾殻粉を、ステンレス製の容器に厚さ10mmになるように積載し、電気炉に空気を吹き込みながら、600℃で7200秒間燃焼させることによって、セメント混和剤用籾殻灰を生成した。このように、電気炉を使用したのは、浮遊燃焼式ボイラーでは籾殻を長時間燃焼させることができないからであり、電気炉内で籾殻が自然に燃焼するように、電気炉は、予め、550~600℃に加熱しておいた。
[0029]
 (比較例7)
 表1に示すように、燃焼温度が600℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、540~590℃に加熱しておいた。
[0030]
 (比較例8)
 表1に示すように、燃焼温度が1000℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、900~1000℃に加熱しておいた。
[0031]
 (比較例9)
 表1に示すように、燃焼温度が1200℃である点を除いて、実施例1と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。なお、浮遊燃焼式ボイラー13の燃焼炉に吹き込んだ籾殻が自然に燃焼するように、燃焼炉は、予め、1100~1200℃に加熱しておいた。
[0032]
 (比較例10)
 表1に示すように、燃焼温度が900℃、燃焼時間が1200秒間である点を除いて、比較例6と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0033]
 (比較例11)
 表1に示すように、燃焼温度が900℃である点を除いて、比較例6と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0034]
 (比較例12)
 表1に示すように、籾殻を粉砕した籾殻粉の平均粒径が300μm、燃焼温度が900℃である点を除いて、比較例6と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0035]
 (比較例13)
 表1に示すように、図1に示す浮遊燃焼式ボイラーの燃焼炉に籾殻そのものを空気とともに吹き込み、900℃で5秒間燃焼させた後、集塵機によって燃焼ガスから籾殻灰を分離し、この籾殻灰を平均粒径が20μmになるように粉砕し、これをセメント混和剤用籾殻灰とした。
[0036]
 (比較例14)
 表1に示すように、籾殻そのものをステンレス製の容器に厚さ10mmになるように積載し、電気炉に空気を吹き込みながら、900℃で7200秒間燃焼させることによって籾殻灰を生成した後、この籾殻灰を平均粒径が20μmになるように粉砕し、これをセメント混和剤用籾殻灰とした。
[0037]
 (比較例15)
 表1に示すように、燃焼温度が600℃である点を除いて、比較例14と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0038]
 (比較例16)
 表1に示すように、燃焼温度が600℃である点を除いて、比較例13と同様の方法でセメント混和剤用籾殻灰を生成した。
[0039]
[表1]


[0040]
 上述した実施例1~6及び比較例1~16のそれぞれについて、シリカの非晶質性、炭素含有量、粉体流動性(取扱性)、分散性及びセメント流動性を評価して、その結果を表2に示した。
[0041]
 [シリカ非晶質性]
 X線回折で結晶、非晶質を判断した。図2(a)に示すチャートでは、主体はブロードを示しており、一部結晶のピークが残存するもののほぼ非晶質といえる。最も高い結晶質のピークのクリストバライトの強度が500cps以下では、実質上セメント混和剤として使用するときには非晶質として取り扱うことができるので○と判定した。一方、同図(c)に示すチャートでは、ブロードの部分が小さく、クリストバライトのピークがシャープに表れている。この強度1000cps以上では、結晶性シリカの存在を無視することはできず、×と判定した。また、同図(b)に示すチャートは、同図(a)、(c)に示すチャートの中間で、セメント混和剤としての性能は劣っており、結晶性シリカとしての存在も無視できないので、これを△と判定した。
[0042]
 [粉体流動性]
 JIS R9301-2-21に準拠して測定した安息角で評価した。具体的には、安息角が40度以上でハンドリングが悪く、取扱性に問題が出た。
[0043]
 [分散性]
 セメントと籾殻灰を水分を加えないまま、3分間混合後、目開き1mmのメッシュで篩い、塊の存在を目視判定した。
[0044]
 [セメント流動性]
 非晶質SiO 成分を添加した際に、セメントと同じ流動性とするために必要な水分量で比較した。具体的には、まず、セメント100重量部に水30重量部を添加して均一に混合したものを、平面が平滑な鉄板に載せた直径50mm、高さ50mmの円筒に投入した後、円筒を取り除くことでブランクを作り、これを20回タッピングしたところ、ブランクが直径150mmまで広がった。そこで、セメント100重量部と実施例1~6及び比較例1~16のセメント混和剤20重量部とを均一に混合したものに、水を添加していき、同様に、ブランクが150mmまで広がる水量を見出した。
[0045]
 また、表3に示すように、普通ポルトランドセメント100重量部、実施例1~6、比較例1~16のセメント混和剤20重量部、6号珪砂100重量部及び表2のセメント流動性の欄に示す量の水をモルタル用ハンドミキサーを用いて混合して、直径100mm、高さ200mmの試験用型に注入した後、24時間経過後に脱型し、室温で28日間放置することで得られた硬化体1~16と、セメント混和剤を添加していない点を除いて、硬化体1~16と同様の方法によって得られた硬化体17とについて、圧縮強度を測定し、その結果を同表に示した。
[0046]
[表2]


[0047]
[表3]


[0048]
[燃焼温度の影響]
 表2から分かるように、燃焼温度が1000℃、1200℃と、900℃を上回る高い温度で燃焼させた比較例8、9や、燃焼温度が900℃であっても、燃焼時間が1200秒、7200秒と、600秒を上回っている比較例10~12及び比較例14については、シリカの結晶化が進んでいるが、燃焼温度が800~900℃、燃焼時間が5~600秒の実施例1~6、比較例2~4、13や、燃焼温度が800℃を下回っている比較例7、16については、シリカの結晶化が進んでおらず、非晶質性が高い。つまり、シリカの結晶化を抑えるためには、燃焼温度が800~900℃で燃焼時間を600秒以下に抑えるか、燃焼温度が800℃を下回っていなければならないことが分かる。
[0049]
[籾殻粉の粒径の影響]
 燃焼温度が900℃と比較的高く、燃焼時間が5秒と極めて短い場合、籾殻粉の粒径が100μmを上回っている比較例2~4や、粉砕せずにそのままの状態で籾殻を燃焼させている比較例13については、炭素含有量が高くなっていることが表2から分かる。従って、燃焼温度が900℃と比較的高く、燃焼時間が5秒と極めて短い場合、炭素含有量を低く抑えるには、籾殻粉の粒径が100μm以下になるように、予め、籾殻を粉砕しておく必要がある。
[0050]
[燃焼時間の影響]
 籾殻粉の粒径が20μmと小さくても、燃焼温度が700~600℃と低く、燃焼時間が5秒と極めて短い比較例5、7、16については、炭素含有量が高くなっていることが表2から分かる。従って、短い燃焼時間で籾殻灰中の炭素含有量を低く抑えるには、燃焼温度を800℃以上にする必要がある。なお、燃焼時間が1200秒、7200秒と長い比較例6、10~12、14、15は、燃焼温度や籾殻分の粒径に拘わらず、炭素含有量が低くなっていることが表2から分かる。
[0051]
[炭素含有量の影響]
 表2から分かるように、炭素含有量が高い比較例2~5、7、13、16については、セメント流動性が悪く、セメント混和剤を添加しない場合と同等の流動性を確保するためには、多量の水を加える必要がある。籾殻灰の炭素含有量が高いということは、籾殻の炭素分が除去できず、籾殻の多孔質の構造が残っていると考えられ、炭素含有量が高い籾殻灰と水硬性セメント等の水系の材料と混合すると、籾殻灰の炭素分が水分を吸収して流動性を損なうと考えられる。従って、表3から分かるように、こういった炭素含有量の高い籾殻灰をセメント混和剤として添加して得られた硬化体は、セメント混和剤を添加しない硬化体17と同等またはそれ以下の圧縮強度しか得られず、多量の水を加える必要がある炭素含有量の高い籾殻灰は、硬化体の強度向上を目的としたセメント混和剤としての役割を果たしていないといえる。
[0052]
[粉体流動性の影響]
 表2から分かるように、シリカフュームである比較例1は安息角が45度と極めて大きく、粉体としてのハンドリングが悪いが、籾殻灰である実施例1~6及び比較例2~16は安息角が30度以下であり、粉体としてのハンドリングが良い。
[0053]
[分散性の影響]
 表2から分かるように、シリカフュームである比較例1は分散性が悪く、硬化体に膨れ等の強度上の欠陥が生じ易いが、籾殻灰である実施例1~6及び比較例2~16は分散性が良く、硬化体に強度上の欠陥が生じ難い。
[0054]
 以上のように、籾殻を予め平均粒径100μm以下に粉砕した籾殻粉の状態にしておくと、燃焼温度が800~900℃と比較的高くても、燃焼時間が5~600秒と比較的短ければ、シリカの結晶化を抑えることができ、非晶質のシリカを多量に含んだ、ポゾラン活性の高い籾殻灰を得ることができる。
[0055]
 また、平均粒径が100μm以下の籾殻粉を800~900℃で燃焼させると、燃焼時間が5~600秒と比較的短くても、籾殻の炭素分を確実に除去することができるので、得られた籾殻灰をセメント混和剤として使用した場合には、多量の水を加えなくても、良好なセメント流動性を確保することができ、圧縮強度の高い硬化体を得ることができる。
[0056]
 また、籾殻を700℃~600℃程度の低温で燃焼させること自体、その温度制御が困難で熱効率が悪いが、燃焼温度が800~900℃であれば、燃焼炉を、予め、700~800℃に加熱しておくだけでよく、温度制御を容易に行うことができると共に、短時間で効率よくセメント混和剤用籾殻灰を製造することができる。
[0057]
 さらに、籾殻灰は、シリカヒュームに比べてハンドリングがよく、取り扱いが容易であると共に、セメントへの分散性も良好で、強度上の欠陥が少ない硬化体を得ることができる。
[0058]
 また、表4に示すように、普通ポルトランドセメントに対する実施例1のセメント混和剤の添加量を変化させたときの硬化体21~25の圧縮強度を測定し、その結果を同表に示した。なお、硬化体の圧縮強度に影響を与える水の添加量を一定にするために、必要に応じて、高性能減水剤を添加した。
[0059]
[表4]


[0060]
 表4から分かるように、籾殻灰である実施例1のセメント混和剤の添加量を多くすると、得られた硬化体の圧縮強度も向上しており、本発明のセメント混和剤用籾殻灰は、硬化体の強度向上を目的としたセメント混和剤としての適正を十分に備えているといえる。
[0061]
 また、実施例1(籾殻灰)、比較例1(シリカフューム)及び珪石粉をセメント混和剤としてそれぞれ使用した場合のオートクレーブ養生への影響を評価するために、室温養生、湿熱養生及びオートクレーブ養生時間が12時間と6時間の場合のそれぞれについて、得られた硬化体の圧縮強度を測定し、その結果を表5及び表6に示した。なお、(セメント+セメント混和剤)100重量部に対して、6号珪砂150重量部、水40重量部を混合し、硬化体の圧縮強度に影響を与える水の添加量を一定(40重量部)にするために、必要に応じて、高性能減水剤を添加した。
[0062]
 [室温養生]
 普通ポルトランドセメント、セメント混和剤、6号珪砂、水及び高性能減水剤を、表5に示す配合比率で均一になるまで手で混合し、直径100mm、高さ200mmの試験用型に注入する。24時間後に脱型し、室温で28日放置した後、硬化体の圧縮強度を測定した。
[0063]
 [湿熱養生]
 普通ポルトランドセメント、セメント混和剤、6号珪砂、水及び高性能減水剤を、表5に示す配合比率で均一になるまで手で混合し、直径100mm、高さ200mmの試験用型に注入する。室温で3時間放置した後、60℃の蒸気雰囲気中で6時間養生し、脱型後、硬化体の圧縮強度を測定した。
[0064]
 [オートクレーブ養生]
 普通ポルトランドセメント、セメント混和剤、6号珪砂、水及び高性能減水剤を、表6に示す配合比率で均一になるまで手で混合し、直径100mm、高さ200mmの試験用型に注入する。室温で3時間放置した後、60℃の蒸気雰囲気中で6時間養生し、脱型後、硬化体を2時間で180℃まで昇温させ、その温度環境で所定時間(12時間または6時間)維持した後、1時間で100℃まで降温させて硬化体を取り出し、室温まで自然冷却し、硬化体の圧縮強度を測定した。
[0065]
[表5]


[0066]
[表6]


[0067]
 表5及び表6から分かるように、セメント混和剤として実施例1の籾殻灰や比較例1のシリカヒュームまたは珪石粉を使用した場合は、いずれも、室温養生や湿熱養生に比べて、オートクレーブ養生のほうが硬化体の圧縮強度が高くなっている。また、セメント混和剤として珪石粉を使用した場合は、オートクレーブ養生を6時間行った硬化体56、57に比べて、オートクレーブ養生を12時間行った硬化体66、67のほうが圧縮強度が高くなっているが、セメント混和剤として実施例1の籾殻灰や比較例1のシリカヒュームを使用した場合は、オートクレーブ養生を6時間行った硬化体52~55と、オートクレーブ養生を12時間行った硬化体62~65との間で圧縮強度にほとんど変化がなく、養生時間が短くて良いことが分かる。

産業上の利用可能性

[0068]
 本発明は、モルタルやセメントコンクリートの強度を向上させるためのセメント混和剤として利用することができる。

符号の説明

[0069]
 11 粉砕機(ハンマーミル)
 12 籾殻粉貯留タンク
 13 浮遊燃焼式ボイラー
 14 電気集塵機
 15 貯灰サイロ

請求の範囲

[請求項1]
 粒径100μm以下に粉砕した籾殻を800~900℃で燃焼させることによって得られたセメント混和剤用籾殻灰。
[請求項2]
 請求項1に記載のセメント混和剤用籾殻灰を水硬性セメントに混合してなるセメント組成物。
[請求項3]
 籾殻を粒径100μm以下に粉砕した後、これを800~900℃で燃焼させたことを特徴とするセメント混和剤用籾殻灰の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]