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1. WO2010125801 - ZnO-Ga系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法

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明 細 書

発明の名称 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

実施例

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

符号の説明

0068  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : ZnO-Ga系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ノジュールやフレークの発生を抑制できるZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 液晶ディスプレイや太陽電池の電極層に用いられる透明導電膜として、ZnO-Ga 系(以下、GZOともいう。)膜の開発が進められている。GZO膜は、スパッタリング法で成膜される。したがって、安定したスパッタリングを行うために、相対密度が高く、抵抗率が低く均一なGZOスパッタリングターゲット(以下単に、GZOターゲットともいう。)が必要となる。
[0003]
 GZOターゲットは、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末の成形体を焼結することによって作製することができる。また、得られた焼結体を還元することによって、低抵抗のGZOターゲットを作製することができる。ところが、成形体を大気中で焼結したGZOターゲットは、焼結炉内の温度分布の影響により、焼結体を均一に還元できない。このため、得られた焼結体は、局所的に抵抗値のばらつきが大きくなる。したがって、これをスパッタリングターゲットとして用いると、ターゲットの表面にノジュールやフレークが多発し、安定したスパッタリングが行えないという問題がある。
[0004]
 一方、下記特許文献1には、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末を成形し、成形物を1300~1550℃の温度で酸素を導入しながら焼結し、焼結後、非酸化性ガス雰囲気で還元するGZO焼結体の製造方法が開示されている。この方法によれば、相対密度が高く、比較的低抵抗(体積抵抗率:2×10 -2Ω・cm以下)のGZOターゲットが得られるとしている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平10-297962号公報(段落[0015]、[0016])

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、上記特許文献1に記載のGZOターゲットの製造方法においては、深さ方向の体積抵抗率が2×10 -2Ω・cmであると記載されているのみで、抵抗率の分布については記載されていない。したがって、得られた焼結体をスパッタリングターゲットとして用いた場合に、ノジュールやフレークの発生を抑制できるかどうかは不明である。
[0007]
 以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、抵抗率が低く、ノジュールやフレークの発生を抑制できるZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法は、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末を成形する工程を含む。上記混合粉末の成形体は、焼結炉内に設置される容器の中に収容される。上記成形体は、上記容器の内部に酸素を導入しながら、1200℃以上1500℃以下の焼結温度に昇温させられる。上記焼結温度は、上記容器の内部に酸素が導入された状態で保持される。上記容器の内部への酸素の導入が停止された状態で炉内は降温させられる。
[0009]
 本発明の一形態に係るZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体は、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末の焼結体からなる。上記焼結体は、98%以上の相対密度と、50μm以下の平均粒子径と、2×10 -3Ω・cm以下の抵抗率とを有する。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の一実施形態におけるZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法を説明する工程フローである。
[図2] 上記焼結体を製造する焼結炉の概略構成図である。
[図3] 上記焼結炉に設置された容器の構成を示す斜視図である。
[図4] 本発明の実施例の実験結果を示す図である。
[図5] 本発明の実施例の他の実験結果を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明の一実施形態に係るZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法は、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末を成形する工程を含む。上記混合粉末の成形体は、焼結炉内に設置される容器の中に収容される。上記成形体は、上記容器の内部に酸素を導入しながら、1200℃以上1500℃以下の焼結温度に昇温させられる。上記焼結温度は、上記容器の内部に酸素が導入された状態で保持される。上記容器の内部への酸素の導入が停止された状態で炉内は降温させられる。
[0012]
 上記焼結体の製造方法において、成形体は、焼結炉内に設置される容器の中で焼結される。容器は、炉内で加熱され、成形体の熱分布を均一化する機能を有する。この方法によれば、炉内の温度分布による影響を排除でき、成形体の均熱性を高めることができる。これにより、抵抗値のばらつきの小さい焼結体を製造することができる。また、ノジュールやフレークの発生を抑制できるGZOスパッタリングターゲットを提供することができる。
[0013]
 焼結温度を1200℃以上1500℃以下とすることにより、50μm以下の平均粒子径と98%以上の相対密度とを有するGZOターゲット用焼結体を製造することができる。焼結温度が1200℃未満では、焼結が促進されず、所望の相対密度が得られにくい。また、焼結温度が1500℃を越えると、結晶粒が粗大化し、高密度化が困難となる。
[0014]
 昇温時、焼結助剤として機能する酸素を容器内へ導入することで、粉末粒子の粒成長を促し、酸素欠損によるZnの蒸発を防ぎ、焼結密度を高める。以上のように、成形体を容器内に収容し、当該容器内に酸素を導入しながら焼結することで、成形体の全表面に対して均等に酸素を供給し、均質な焼結体を製造することが可能となる。
[0015]
 降温時に容器内への酸素の導入を停止することによって、焼結体の還元を促進し、焼結体の均一な酸素欠損を引き起こす。焼結体の還元処理は、容器内で行われるため、焼結体を均一に還元することができる。これにより、2×10 -3Ω・cm以下の低抵抗率、及び当該抵抗率のばらつきが20%以下のGZOターゲットを得ることが可能となる。ここで、抵抗率とは、体積抵抗率を意味する。
[0016]
 上記容器は、アルミナ、ジルコニア等の耐熱性を有するセラミックス材料で構成することができる。容器の大きさは特に限定されず、成形体の大きさに応じて決めることができる。
[0017]
 上記容器の内部に導入される酸素の流量を20L/分以下とすることにより、上記特性を有するGZOターゲットを安定して製造することができる。酸素導入量が20L/分を越えると、酸素含有量が過剰となり、所望とする低抵抗特性が得られにくくなる。また、酸素導入量の下限は適宜設定可能であるが、焼結助剤としての機能を有効に得るために、酸素導入量は、例えば、1L/分以上とすることができる。
[0018]
 上記酸化ガリウム粉末の混合比は、2重量%以下とすることができる。これにより、抵抗率の低いGZOターゲットを安定して製造することができる。
[0019]
 上記容器は、上記焼結炉内に複数設置することができる。この場合、上記複数の容器の各々に収容された成形体を同時に焼結する。これにより、所望の特性を有するGZOターゲットを効率よく製造することができる。
[0020]
 本発明の一実施形態に係るZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体は、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末の焼結体からなる。上記焼結体は、98%以上の相対密度と、50μm以下の平均粒子径と、2×10 -3Ω・cm以下の抵抗率とを有する。
 これにより、ノジュールやフレークの発生を抑制できるGZOスパッタリングターゲットを提供することができる。また、抵抗率が2×10 -3Ω・cm以下と非常に小さいため、低抵抗のGZO薄膜を成膜することが可能となる。
[0021]
 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[0022]
 図1は、本発明の実施形態に係るZnO-Ga 系スパッタリングターゲット(以下、GZOターゲットともいう。)用焼結体の製造方法を説明する工程フローである。本実施形態のGZOターゲットの製造方法は、原料粉末の混合工程ST1と、混合粉末の成形工程ST2と、成形体の焼結工程ST3と、焼結体の外形加工工程ST4とを有する。
[0023]
[混合工程]
 原料粉末としては、酸化亜鉛(ZnO)粉末と、酸化ガリウム(Ga )粉末とが用いられる。酸化亜鉛粉末の平均粒径は1μm以下であり、酸化ガリウム粉末の平均粒径は1.5μm以下であるが、粒径はこれらに限られない。混合工程ST1では、これら原料粉末の混合粉末が作製される。
[0024]
 混合工程では、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末とが所定の割合で混合される。混合比率は特に制限されないが、本実施形態では、酸化ガリウム粉末の混合比が2重量%以下となるように調整される。これにより、抵抗率の低いGZOターゲット用焼結体を作製することができる。原料粉末の混合には、種々の混合方法を採用することができる。また、原料粉末の混合に、バインダー、分散剤等を添加してもよい。
[0025]
[成形工程]
 次に、得られた混合粉末を所定形状に成形する工程が行われる(ST2)。混合粉末の成形は、冷間プレス、冷間静水圧プレス(CIP)などの冷間成形法を用いることができる。成形圧力は特に限定されず、例えば1トン/cm 以上である。形状も特に限定されず、板状、ブロック状など適宜の形状に成形される。
[0026]
[焼結工程]
 続いて、得られた成形体を焼結する工程が行われる(ST3)。焼結工程において、成形体は、焼結炉の中に設置された容器の中に収容され、当該容器の内部で焼結される。図2は、焼結炉の概略構成を示す断面図である。
[0027]
 図2に示すように、焼結炉10は、炉本体11と、加熱源としてのヒータ12とを備える。容器20は、炉本体11の内部に設置され、成形体S1は、容器20の内部に収容される。容器20には、開閉弁41を備えた配管31が接続されている。配管31は、炉本体11を貫通し、図示しない酸素供給源と接続されている。配管31は、成形体S1の焼結時に容器20内に酸素を導入するための酸素導入ラインを構成している。容器20に導入された酸素は、容器20に形成された孔25(図3)を介して排出される。炉本体11は、当該排出された酸素を炉外へ排気するための排気手段が接続されていてもよい。
[0028]
 図3は、容器20の構成を示す斜視図である。容器20は、気密性を有し、耐熱性を有する材料で形成されている。容器20は、セッター21と、4つの側壁23と、蓋22とを有する。これらはアルミナファイバー、ジルコニアファイバー、MgO煉瓦等で構成することができる。4つの側壁23のうち対向する2つの側壁には、第1の孔24及び第2の25がそれぞれ形成されている。第1の孔24は、配管31との接続孔である。第2の孔25は、容器20に導入された酸素を容器20から排出するためのものである。孔25は単数に限らず、複数形成されていてもよい。容器20は、焼結炉10内に常時設置されていてもよいし、焼結炉10に対して着脱自在としてもよい。また、容器20の形状、大きさは特に限定されず、成形体S1の大きさに応じて適宜設定される。
[0029]
 焼結工程は、昇温工程と、保持工程と、降温工程とを有する。昇温工程では、容器20に酸素を導入しながら容器20及び成形体S1を所定の昇温速度で加熱する。保持工程では、所定の焼結温度で昇温を停止させ、かつ、その温度に所定時間保持する。この保持工程においても、容器20内への酸素の導入が継続される。降温工程では、容器20への酸素の導入を停止し、容器20及び成形体S1を室温付近まで炉冷する。
[0030]
 以下、焼結工程の詳細について説明する。
[0031]
 成形体Sを容器20に収容した後、ヒータ12によって炉内を加熱する。このとき、配管31を介して容器20へ酸素を所定の流量で導入しつつ、孔25から排気する。すなわち、容器20内を酸素ガス雰囲気に維持しながら、容器20及び成形体S1が所定温度に加熱される。昇温時、焼結助剤として機能する酸素を容器20内へ導入することで、粉末粒子の粒成長を促し、酸素欠損によるZnの蒸発を防ぎ、焼結密度を高めることができる。
[0032]
 昇温速度は特に限定されず、成形体S1の焼結温度によって適宜設定することができる。昇温速度は温度範囲に応じて異ならせてもよい。例えば、室温から1000℃までを1℃/分、1000~1500℃を3℃/分とすることができる。高温域で昇温速度を高めることにより、成形体S1からの酸素の蒸発を抑制しつつ、相対密度の高い焼結体を得ることが可能となる。
[0033]
 容器20へ導入される酸素の流量は、例えば、1L/分以上20L/分以下とすることができる。導入量が1L/分未満の場合、焼結助剤としての効果が小さくなり、成形体S1の焼結促進が図れなくなる。また、導入量が20L/分を越えると、得られる焼結体の酸素含有量が過剰となり、所望とする低抵抗特性が得られにくくなる。容器20に導入された酸素は孔25を介して容器20の外部へ排出される。容器20内の圧力は、大気圧に維持される。
[0034]
 炉内温度が所定の焼結温度に達した時点で昇温を停止し、その焼結温度に保持される。この保持工程においても、容器20内への酸素の導入は継続される。これにより、成形体S1に対して酸素供給量のばらつきを抑えて均一に焼結処理を進行させることが可能となる。
[0035]
 本実施形態においては、上述のように、焼結炉10内に設置した容器20に成形体S1を収容し、容器20の内部で成形体S1の焼結処理を行うようにしている。容器20は、焼結炉10内で加熱され、成形体S1から見て発熱体として機能する。容器20は炉内よりも容積が小さいため、容器20に収容されている成形体S1の熱分布の均一化を図ることができる。これにより、焼結炉10内の温度分布の影響を排除でき、成形体S1に対して温度分布を生じさせることなく、成形体S1の全体を均一に加熱することが可能となる。
[0036]
 焼結温度は、1200℃以上1500℃以下とされる。焼結温度が1200℃未満の場合、焼結が促進されず、所望の相対密度が得られにくい。焼結温度が1500℃を越えると、結晶粒が粗大化し、高密度化が困難になる。
[0037]
 保持時間は、焼結温度等に応じて適宜設定することができ、焼結温度が低ければ保持温度は長く設定され、焼結温度が高ければ保持温度は短く設定される。焼結温度が1200℃~1500℃の場合、保持時間は例えば2時間以上20時間以下とすることができる。
[0038]
 所定の保持時間を経過した後、容器20への酸素の導入が停止されるとともに、焼結炉10の内部が降温させられる。降温時に容器20内への酸素導入を停止することによって、焼結体S2の還元が促進され、焼結体S2の均一な酸素欠損が引き起こされる。焼結体S2の還元処理は、容器20内で行われるため、焼結体S2を均一に還元することができる。これにより、2×10 -3Ω・cm以下の低抵抗率、及び当該抵抗率のばらつきが20%以下のGZOターゲットを得ることが可能となる。
[0039]
 炉内の降温速度は特に限定されず、例えば、100℃/時以下とすることができる。降温速度が大きすぎると、焼結体S2にクラックが生じるおそれがある。また、降温速度が小さいほど生産性は低下するが、酸素の還元処理を長期にわたって継続することができるため、低抵抗率の焼結体を得ることが可能となる。
[0040]
[加工工程]
 焼結体S2の作製後、所望のターゲットサイズに機械加工される(ST4)。加工形状は、典型的には矩形状あるいは円形状であるが、勿論これに限られない。
[0041]
 以上のようにして、GZOターゲット用焼結体が作製される。本実施形態によれば、98%以上の相対密度と、50μm以下の平均粒子径と、2×10 -3Ω・cm以下の抵抗率とを有するGZOターゲットを得ることができる。これにより、ノジュールやフレークの発生を抑制できるGZOターゲットを構成することができる。
実施例
[0042]
(実施例1)
 酸化亜鉛(ZnO)粉末および酸化ガリウム(Ga )粉末を原料粉末とし、それぞれを重量比99.4:0.6の割合で混合した。酸化亜鉛粉末の平均粒径は0.1μm、酸化ガリウム粉末の平均粒径は1.3μmとした。これらの原料粉末を樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミル混合法を用いて混合粉末を作製した。ここで、ボールミルのボールにはジルコニアボールを、バインダーにはポリアクリルアミド系(2重量%)を用い、混合時間は24時間とした。混合後、スラリーを取り出し、乾燥、造粒した。
[0043]
 造粒した混合粉末を冷間静水圧プレス(CIP)によって、縦420mm、横390mm、厚み30mmの成形体を作製した。成形圧力は2トン/cm とした。その後、得られた成形体を600℃で3時間、脱脂した。
[0044]
 次に、図2及び図3に示したような気密性容器を準備した。容器の内寸は、縦700mm、横430mm、高さ100mmとした。得られた成形体を容器の内部に収容し、当該容器を焼結炉に設置して、成形体の焼結処理を行った。焼結炉の内寸は、縦1400mm、横850mm、高さ500mmであった。焼結温度は1400℃とした。まず、容器に酸素を導入しながら、炉内を昇温させた。昇温速度は、1000℃までを1℃/分、1000℃~1400℃を2℃/分とした。酸素導入量は、20L/分とした。焼結温度(1400℃)に到達後、その温度に8時間保持した。この保持工程の間、同流量の酸素を容器に導入し続けた。保持時間の経過後、容器への酸素の導入を停止して容器内を大気圧に維持しながら、炉内を降温させた。降温速度は、50℃/時とした。
[0045]
 得られた焼結体について、焼結密度(相対密度)、平均結晶粒径および抵抗率(体積抵抗率)を測定した。焼結密度は、焼結体を平面研削盤で加工後、寸法と重量で計算して焼結密度を出し、理論密度(ここでは5.66g/cm とした。)との相対比で算出した。平均結晶粒径は、焼結体を鏡面研磨後、研磨面を希硝酸にてエッチングし、結晶粒界を析出させた後、SEM(走査型顕微鏡)観察を行うことで測定した。抵抗率は、焼結体を切断し、その切断面を四探針法で測定した。その結果、抵抗率は1.4×10 -3Ω・cm、相対密度は99.5%、平均粒径は42μmであった。
[0046]
 得られた焼結体を研削加工し、スパッタリング用ターゲットとした。ターゲットは、銅製のバッキングプレートに180℃でボンディングした。ろう材にはインジウムを用いた。バッキングプレートに接合したターゲットをスパッタリング装置のカソードに組み込んでスパッタした。スパッタ条件は、成膜圧力を0.4Pa、電圧560V、電流20A、プロセスガス(Ar)75sccmとし、スパッタ時間は100kWhとした。
[0047]
 その後、チャンバーを開放し、ターゲットの表面状態を観察した。評価を◎、○、×の3段階とした。ここでは、ノジュール及びフレークが非常に多く観察されたものを「×」、ノジュール及びフレークが幾らか確認されたが使用に耐え得るものを「○」、ノジュール及びフレークがほとんど観察されなかったものを「◎」とした。評価結果を図4に示す。
[0048]
(実施例2)
 焼結保持時間を4時間としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.24×10 -3Ω・cm、相対密度は99.8%、平均粒径は33μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0049]
(実施例3)
 焼結保持時間を2時間としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.39×10 -3Ω・cm、相対密度は99.6%、平均粒径は34μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0050]
(実施例4)
 焼結温度を1300℃としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.84×10 -3Ω・cm、相対密度は99.4%、平均粒径は13μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0051]
(実施例5)
 酸素導入量を10L/分としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.14×10 -3Ω・cm、相対密度は99.8%、平均粒径は35μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0052]
 また、焼結体を厚み方向で切断し、横330mm、厚み25mmの範囲で断面の抵抗率の分布を測定した。その結果を図5(A)に示す。ばらつき率が6.1%であり、ほぼ均一に抵抗率が分布していることが確認された。なお、ばらつき率は、各点の抵抗率の最大値と最小値との差を平均値で除することで算出した。
[0053]
(実施例6)
 酸素導入量を5L/分としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.07×10 -3Ω・cm、相対密度は99.9%、平均粒径は38μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0054]
(実施例7)
 酸素導入量を1L/分としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は0.96×10 -3Ω・cm、相対密度は99.7%、平均粒径は30μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0055]
(実施例8)
 焼結温度を1500℃、保持時間を2時間としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.32×10 -3Ω・cm、相対密度は98.4%、平均粒径は50μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0056]
(比較例1)
 焼結温度を1550℃、保持時間を2時間としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.28×10 -3Ω・cm、相対密度は97.8%、平均粒径は72μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0057]
(実施例9)
 焼結温度を1200℃、酸素導入量を10L/分、保持時間を16時間としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は1.9×10 -3Ω・cm、相対密度は99.5%、平均粒径は5μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0058]
(比較例2)
 図2及び図3に示した気密性の容器を使用せず、焼結温度を1400℃、酸素導入量を30L/分としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は2.03×10 -3Ω・cm、相対密度は99.2%、平均粒径は60μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0059]
 また、焼結体を厚み方向で切断し、横330mm、厚み25mmの範囲で断面の抵抗率の分布を測定した。その結果を図5(B)に示す。ばらつき率が92.1%と非常に大きいことが確認された。なお、ばらつき率は、各点の抵抗率の最大値と最小値との差を平均値で除することで算出した。
[0060]
(比較例3)
 ZnO:Ga2O3の重量比を95:5にし、焼結温度1500℃としたほかは、実施例1と同様の条件で焼結体を作製した。得られた焼結体の抵抗率は数MΩ・cm、相対密度は81.6%、平均粒径は2μmであった。当該焼結体でターゲットを作製し、実施例1と同様なスパッタ試験を行った。評価結果を図4に示す。
[0061]
 以上の結果から明らかなように、成形体を容器内に収容し、1200~1500℃の処理条件で作製された焼結体であって、焼結温度まで酸素を導入し、降温時に酸素導入を停止させて得られた焼結体(実施例1~9)については、2×10 -3Ω・cmの抵抗率、98%以上の相対密度及び50μm以下の平均粒径を有することが確認された。また、いずれの焼結体についてもノジュール等のターゲット表面欠陥は認められなかった。
[0062]
 比較例1に係る焼結体は、結晶粒が粗大化し、98%以上の高い相対密度が得られなかった。これは、焼結温度が1550℃と高かったためと推察される。ノジュール等の発生原因は、焼結密度が低いことによる異常放電の発生に起因すると推察される。
[0063]
 比較例2に係る焼結体は、成形体を容器内に収容せず、直接炉内に曝して焼結したため、炉内の温度分布の影響を受けたことで、非常に大きな抵抗率の分布が確認された。その結果、ノジュール等の表面欠陥は非常に多く認められた。
[0064]
 比較例3に係る焼結体は、酸化ガリウムの混合比が5重量%と多かったため、抵抗率が数MΩと非常に大きかった。このため、DCスパッタにおいては、チャージアップを起こし、連続スパッタが不可能であった。また、焼結体の高密度化が困難であることが確認された。
[0065]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
[0066]
 例えば、焼結炉内に複数の容器を設置し、これら複数の容器に成形体を収容して、同時に焼結処理を実施してもよい。これにより、生産性の向上を図ることができる。この場合、個々の容器に酸素導入ラインがそれぞれ設けられる。
[0067]
 また、以上の実施形態では、焼結時の降温工程において、容器内への酸素の導入を停止させるようにしたが、酸素の導入を停止するとともに、窒素、アルゴン等の非酸化性ガスを容器内に導入するようにしてもよい。

符号の説明

[0068]
 10…焼結炉
 11…炉本体
 12…ヒータ
 20…容器
 31…配管
 S1…成形体
 S2…焼結体

請求の範囲

[請求項1]
 酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末を成形し、
 前記混合粉末の成形体を、焼結炉内に設置される容器の中に収容し、
 前記容器の内部に酸素を導入しながら前記成形体を1200℃以上1500℃以下の焼結温度に昇温させ、
 前記容器の内部に酸素が導入された状態で前記焼結温度を保持し、
 前記容器の内部への酸素の導入が停止された状態で炉内を降温させる
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法。
[請求項2]
 請求項1に記載のZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法であって、
 前記容器の内部に導入される酸素の流量は、20L/分以下である
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法。
[請求項3]
 請求項1に記載のZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法であって、
 前記酸化ガリウム粉末の混合比は、2重量%以下である
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法。
[請求項4]
 請求項1に記載のZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法であって、
 前記容器は前記焼結炉内に複数設置されており、前記複数の容器の各々に収容された前記成形体を同時に焼結する
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体の製造方法。
[請求項5]
 酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末との混合粉末の焼結体からなり、
 98%以上の相対密度と、
 50μm以下の平均粒子径と、
 2×10 -3Ω・cm以下の抵抗率とを有する
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体。
[請求項6]
 請求項5に記載のZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体であって、
 前記焼結体の面内方向及び深さ方向にける抵抗率の分布がそれぞれ20%以下である
 ZnO-Ga 系スパッタリングターゲット用焼結体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]