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1. WO2010071214 - 車両用パネル部品

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注: テキスト化された文書

明 細 書

発明の名称 車両用パネル部品

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の開示

0003  

図面の簡単な説明

0004  

発明を実施するための最良の形態

0005  

実施例

0006  

符号の説明

0007  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 車両用パネル部品

技術分野

[0001]
 本発明は軽量で剛性に優れた車両用パネル部品に関する。

背景技術

[0002]
 近年、車両の軽量化の観点から板金製のパネルの代替品として、樹脂製のパネル部品が数多く提案されている。しかし、樹脂製の車両用パネル部品では剛性が不足する。また剛性を上げる為の手段として、樹脂を肉厚にしたり補強材を大量に用いたりすることは本来の目的である軽量化を損なう。例えば、特許文献1や特許文献2では樹脂製のリヤゲート構造におけるリンホース構造について提案されているが、樹脂製パネルの軽量化を維持しながら剛性を高めることは検討されていない。
 また、軽量化と剛性を向上させるために、補強材として炭素繊維複合材料を用いる方法が一般に知られているが、従来の方法では大量に高価な炭素繊維を使用するため経済性に難点があった。
特許文献1 : 特開平8−258568号公報
特許文献2 : 特開2006−116997号公報

発明の開示

[0003]
 そこで本発明の目的は、従来の樹脂製パネルに比べ軽量化され、かつねじり剛性および曲げ剛性の改善された樹脂製の車両用パネル部品を提供することにある。また本発明の目的は、安価な樹脂製の車両用パネル部品を提供することにある。
 本発明者は、車両の垂直パネル部品に用いる補強構造体の使用量を出来るだけ少なくし軽量化を図ると同時に、剛性を向上させる方法について鋭意検討した。その結果、車両用パネル部品の投影図の図心に関する極二次モーメントが特定の範囲になるように補強構造体を配置すると、軽量でねじり剛性および曲げ剛性に優れた車両用パネル部品が得られることを見出し、本発明を完成した。
 即ち本発明は、樹脂成形体および比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体からなり、下記式(1)および(2)を同時に満たす車両用パネル部品である。
 0.60>S2/S1>0.04       (1)
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.95>J2/J1>0.15       (2)
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品全体の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)
 また本発明は、樹脂成形体および補強構造体からなる車両用パネル部品の製造方法であって、比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体を、下記式(1)および(2)を同時に満たすように樹脂成形体に配置することを特徴とする方法である。
 0.60>S2/S1>0.04       (1)
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの、該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.95>J2/J1>0.15       (2)
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)
 また本発明は、樹脂成形体および補強構造体からなる車両用パネル部品の剛性を向上させる方法であって、比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体を、下記式(1)および(2)を同時に満たすように樹脂成形体に配置することを特徴とする方法を包含する。
 0.60>S2/S1>0.04       (1)
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの、該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.95>J2/J1>0.15       (2)
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品全体の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)

図面の簡単な説明

[0004]
 図1は、実施例1で作成したバックドアの概略正面図である。
 図2は、実施例2で作成したバックドアの概略正面図である。
 図3は、バックドアにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図4は、バックドアにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図5は、バックドアにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図6は、バックドアにおける本発明の実施形態を示す概略斜視図である。
 図7は、車両用パネル部品としてルーフを例に挙げたパネル部品と投影面積の関係を示す図である。
 図8は、フロントフードにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図9は、ルーフにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図10は、サイドドアにおける本発明の実施形態を示す概略正面図である。
 図11は、ねじり剛性試験方法の概略図である。
 図12は、曲げ剛性試験方法の概略図である。

発明を実施するための最良の形態

[0005]
 本発明は、樹脂成形体および比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体からなる車両用パネル部品である。以下、本発明を詳細に説明する。
(樹脂成形体)
 本発明における樹脂成形体は単一の構造、または複数に分割された構造が複合されたものでも良いが、パネルとして一体状に連結されたものである。例えば、ドアではアウタパネルとインナパネルから構成され、それらが接合されて部品を構成する場合があるが、このとき樹脂成形体とはアウタパネルとインナパネルをあわせた部分をいう。
 樹脂成形体を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂であり、好ましくは熱可塑性樹脂およびそれらの組成物である。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリアミド樹脂、ASA樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の組成物、ポリカーボネートとABS樹脂との組成物、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂の組成物、ポリアミド樹脂とABS樹脂の組成物、ポリエステル樹脂とナイロン樹脂の組成物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
 樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂の成形体であることが好ましい。
 本発明において樹脂成形体はフィラー繊維を含有していても良い。フィラー繊維として、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、炭素繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ボロン繊維、アゾール繊維、アルミナ繊維が挙げられる。なかでもフィラー繊維がガラス繊維、ポリエステル樹脂であることが経済性や生産性の点から好ましい。
 樹脂成形体中のフィラー繊維の含有量は、樹脂100体積部に対し、好ましくは10~100体積部、より好ましくは10~50体積部である。樹脂成形体中のフィラー繊維の含有量が少ない場合でも、本発明方法で補強すれば軽量化され、かつ曲げ剛性およびねじり剛性の改善された樹脂製の車両用パネル部品を提供することができる。したがってフィラー繊維の含有量が少ない場合ほど、本発明の効果がより発現する。この観点から、フィラー繊維の含有量は好ましくは樹脂100体積部に対し、10~30体積部である。
 樹脂成形体中のフィラー繊維は、その形態は問わず、短繊維または長繊維の不連続繊維でも、連続繊維でも良い。短繊維とは繊維長が0.1~10mmのものである。長繊維とは繊維長が10mm~100mmのものである。連続繊維とは繊維長が100mm以上のものである。不連続繊維の場合は、チョップドストランド等を用いて抄紙されたペーパーであってもよい。連続繊維の場合は、織編物、ストランドの一方方向配列シート状物および多軸織物等のシート状、または不織布状でマトリックス樹脂中に含有されていることも好ましい。なお、多軸織物とは、一般に、一方向に引き揃えた繊維強化材の束をシート状にして角度を変えて積層したもの(多軸織物基材)を、ナイロン糸、ポリエステル糸、ガラス繊維糸等のステッチ糸で、この積層体を厚さ方向に貫通して、積層体の表面と裏面の間を表面方向に沿って往復しステッチした織物をいう。樹脂成形体は、強化繊維がランダムに分散したものあるいは特定の繊維配向をしたものでもよく、繊維が面配向したものあるいは一軸配向したもの、あるいはそれらの組み合わせ、あるいはそれらの積層体であることが好ましい。樹脂成形体中のフィラー形態は短繊維、もしくは長繊維である不連続繊維がランダムに分散している事が生産性の点から好ましい。すなわち本発明の好ましい形態は、樹脂成形体が、樹脂100体積部に対し、10~30体積部の不連続フィラー繊維を含有しているものである。
 樹脂成形体は射出成形、ブロー成形、ホットプレス・コールドプレスを含む圧縮成形、真空成形、圧空成形などで成形することができる。
 樹脂成形体は窓部を有することができる。
(補強構造体)
 補強構造体を構成する強化繊維の比弾性率は、5×10 cm以上、好ましくは10×10 cm以上である。比弾性率が5×10 cm未満の繊維を用いた場合には補強繊維重量あたりの補強効率が低く軽量化効果が小さい。
 強化繊維として、炭素繊維、パラ系アラミド繊維、ボロン繊維、アゾール繊維、アルミナ繊維が挙げられる。なかでもパラ系アラミド繊維、炭素繊維が比弾性率の高さから好ましい。
 補強構造体は、マトリックス樹脂を含むが、マトリックス樹脂としては、熱硬化樹脂および/または熱可塑性樹脂を用いることが出来る。
 熱硬化樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂として、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
 補強構造体のマトリックス樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
 補強構造体中の強化繊維は、特定の繊維配向をしていることが好ましく、繊維が面配向したものあるいは一軸配向したものあるいはそれらの組み合わせ、あるいはそれらの積層体であることが好ましい。補強構造体は、連続した強化繊維が実質的に一軸配向していることが好ましい。ここで実質的に一軸配向とは構成する連続繊維の80%以上が同一方向に配置されていることである。
 補強構造体中の強化繊維の含有量は、マトリックス樹脂100体積部に対し、好ましくは40~300体積部、より好ましくは60~150体積部である。
 補強構造体は、射出成形、ブロー成形、ホットプレス・コールドプレスを含む圧縮成形、真空成形、圧空成形、プルトルージョン、スプレーアップ、テーププレースメント、フイラメントワインディング、ハンドレイアップ、レジントランスファーモールディング、レジンフイルムインフュージョン工法などで成形することができる。
 補強構造体は板状の構造、棒状の構造、I型ビーム、H型ビーム、C型ビームなどの中実構造、あるいはそれらを組み合わせた構造をとることができる。また任意断面形状のパイプのような中空構造、ハット断面構造、マルチウエブ構造、それらの中空部に樹脂または多孔質材を充填した構造、それらの組み合わせ、あるいはそれらと中実構造を組み合わせた構造をとることができる。
 補強構造体は単一の構造でもまたは複数に分割された構造であってもよく、樹脂成形体に対し、インサート工法、アウトサート工法、接着剤による接合、機械的な結合、嵌め合い、フック、ファスナーなどの方法を用いて複合することができる。ドアのようにアウタパネルとインナパネルから構成されそれらが接合されて部品を構成する場合、補強構造体はアウタパネルとインナパネルの間に設置してもよいし、アウタまたはインナーのいずれか一つに対してその内側あるいは外側に配置してもよい。図6にアウタパネルとインナパネルを有する本発明のバックドアの適用例を示す。
(弾性層)
 本発明の車両用パネル部品は、樹脂成形体と補強構造体との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の厚みは、好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上5mm以下である。弾性層は樹脂成形体と補強構造体の全面に配置しても良いし、一部に配置しても良い。図6に弾性層を有する本発明のバックドアの適用例を示す。弾性層の弾性率は0.0001GPa以上0.1GPa以下、好ましくは0.001GPa以上0.1GPa以下である。
(投射面積)
 本発明の車両用パネル部品は、該部品全体および補強構造体の投射面積について下記式(1)を満たすことを特徴とする。
 0.60>S2/S1>0.04       (1)
 S1は、該車両用パネル部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの、該車両用パネル部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。補強構造体が複数の分離した補強構造体の集合である場合、全ての補強構造体の投影面積を合算したものをS2とする。
 式(1)においてS2/S1が0.60以上の場合は補強繊維の使用量が多大となり経済性および軽量性が損なわれる。またS2/S1が0.04以下の場合は垂直パネル部品の剛性が不足する。S2/S1は、好ましくは0.2~0.6、より好ましくは0.3~0.5である。
 樹脂成形体がフィラー繊維を含有しない場合は
 0.60>S2/S1>0.05       (1)’
とすることが好ましい。
 樹脂成形体が樹脂100体積部に対し、10~30体積部の不連続フィラー繊維を含有している場合は
 0.55>S2/S1>0.04       (1)”
とすることが好ましい。
(極二次モーメント)
 本発明の車両用パネル部品は、樹脂成形体、および補強構造体の投影図の図心に関する極二次モーメントについて下記式(2)を満たすことを特徴とする。
 0.95>J2/J1>0.15       (2)
 J1は、該車両用パネル部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該車両用パネル部品全体の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。
 極二次モーメントは二次極モーメントとも言い次式(3)に示すように図心からの距離の二乗rを対象の全面積に渡って積分したものである。
 Ip=∫(r ×dA)     (3)
(Ipは極二次モーメント、rは微小面積(dA)と図心との距離)
 実際の計算においては式(3)の値は差分化により求めてもよい。
 式(2)においてJ2/J1が0.95以上の場合は、式(1)のS2/S1が6未満であっても強化繊維が過剰に使用されており経済性において好ましくなく、J2/J1が0.15以下では、S2/S1が0.05より大きい場合であっても、車両用パネル部品の剛性が不足する。J2/J1は、好ましくは0.25~0.95、より好ましくは0.3~0.9である。
 樹脂成形体がフィラー繊維を含有しない場合は
 0.95>J2/J1>0.20       (2)’
とすることが好ましい。
 樹脂成形体が樹脂100体積部に対し、10~30体積部の不連続フィラー繊維を含有している場合は
 0.90>J2/J1>0.15       (2)”
とすることが好ましい。
 本発明の車両用パネル部品は樹脂成形体、および補強構造体からなるが、設計図や実際の成形体のパーツを採寸し、それぞれの投射面積および投影図の図心に関する極二次モーメントを算出する。
 本発明の車両用パネル部品は窓部などのガラス部分を有していても良く、パネルにおける窓部の占める割合および形状は問わない。本発明の車両用パネル部品の投影面積は窓部を含めたものとする。窓部が可動式の場合は窓を完全に閉めた状態、あるいはそれに準ずる状態における形態とする。
 また車両用パネル部品は樹脂成形体に固定された金属などの部品を有していても良い。この場合、金属部品が車両用パネル部品のアウトラインよりはみ出ていたら投射面積は金属部品のはみ出た部分も含める。
 補強構造体が接合された車両用パネル部品における各パラメーターの確認方法としては、該車両用パネル部品を格子状に縦横200分割で切断し、その断面構造から該車両用パネル部品および補強構造体を復元することでS1、S2、J1、J2の各パラメーターを算出する方法が挙げられる。
(車両用パネル部品)
 車両用パネル部品には、垂直パネル部品および水平パネル部品がある。車両用垂直パネル部品とは、車両の外装部の地面に対して45°以上の角度で配置されたパネル状部品であって、例えばバックドア、フエンダー、フロントドア、リアドア、サイドドアなどが挙げられる。車両用水平パネル部品とは、車両の外装部の地面に対して45°未満の角度で配置されたパネル状部品であって、例えばフロントフード、ルーフなどが挙げられる。本発明の車両用パネル部品としてはバックドア、サイドドア、フロントフードまたはルーフが好ましく挙げられる。
 本発明の好ましい態様を図で説明する。図中、1は樹脂成形体、2は窓部、3の縞模様で表したものが補強構造体である。補強構造体は縞状で示すような一軸配向構造物とすることが好ましい。
 図3は、バックドアパネルに補強構造体(3)を配置した自動車のバックドアの例である。S2/S1の値は0.2、J2/J1の値は0.4である。
 図4は、バックドアパネルに補強構造体(3)を配置した自動車のバックドアの例である。S2/S1の値は0.3、J2/J1の値は0.6である。
 図5は、バックドアパネルに、補強構造体(3)を配置した自動車のバックドアの例である。S2/S1の値は0.3、J2/J1の値は0.3である。
 図6は、自動車のバックドアのアウタパネル(6)、補強構造体(3)、弾性層(7)、インナパネル(8)の位置を示す図である。
 図7は、ルーフを例に挙げた車両用パネル部品とその投影面積の関係を示す図である。
 図8は、フロントフードパネルに、一軸配向した補強構造体(3)を配置した自動車のフロントフードの例である。S2/S1の値は、0.37、J2/J1の値は、0.44である。
 図9は、ルーフパネルに一軸配向した補強構造体(3)を配置した自動車のルーフの例である。S2/S1の値は0.29、J2/J1の値は0.29である。
 図10は、ルーフパネルに、一軸配向した補強構造体(3)を配置した自動車のルーフの例である。S2/S1の値は、0.26、J2/J1の値は、0.29である。
(製造方法)
 本発明の車両用パネル部品は、比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体を、上記式(1)および(2)を同時に満たすように樹脂成形体に配置することにより製造することができる。本発明の製造方法によれば、軽量でねじり剛性および曲げ剛性に優れた車両用パネル部品を効率よく安価に製造することができる。
(剛性を向上させる方法)
 本発明は、樹脂成形体および補強構造体からなる車両用パネル部品の剛性を向上させる方法であって、比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体を、上記式(1)および(2)を同時に満たすように樹脂成形体に配置することを特徴とする方法である。本発明の方法によれば、少量の補強構造体によって車両用パネル部品の剛性を向上させることができる。

実施例

[0006]
 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。実施例中の物性は以下の方法で測定した。
(1)S2/S1、J2/J1
 S2/S1は、設計図から計算して求めた。J2/J1は設計図から採寸して積分して求めた。
(2)ねじり剛性の測定
 図11に概略を示すとおり、作製したパネルの上部2点(図中10)を固定し、下部両端(図中9)に支持点(図中11)を中心として、それぞれ上下方向に10kgの負荷を与え変異量(たわみ長さ、mm)を測定した。
(3)曲げ剛性の測定
 図12に概略を示すとおり、作製したパネルの上部2点(図中10)を固定し、下部両端(図中9)に支持点(図中11)を中心として、下方向に10kgの負荷を与え、変異量(たわみ長さ、mm)を測定した。
実施例1
 図1に示す窓部を有する自動車のバックドアを作製した。
 樹脂成形体(1)として、ポリプロピレン((株)プライムポリマー製プライムポリプロJ105G)で形成され、横1,200mm、縦1,400mmの実物大バックドアパネルを用いた。
 補強構造体(3)は、図1に示すように配置し、厚みは3mmとした。補強構造体は、連続繊維として炭素繊維(東邦テナックス(株)製、テナックスSTS40(登録商標)、比弾性率14×10 cm)の一方向材とし、炭素繊維100体積部に対してナイロン6(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、ノバミッド1010C2)、100体積部で、プルトリュージョン成形し、幅10mm、厚み1mmの板状にしたものを用いた。
 樹脂成形体(1)と補強構造体(3)の境界には弾性層としてウレタン系弾性接着剤(Sikaflex−255Extra、弾性率0.003GPa)を厚み2mmで全面に配置した。
 S2/S1の値は0.4、J2/J1の値は0.5であった。作製したバックドアは、同形状の鋼製のバックドア(下記比較例1)と窓部を除いた重量比較で、45%の軽量化を達成した。作製したバックドアのねじり剛性および曲げ剛性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
 実施例1と同形状の鋼製のバックドアのねじり剛性および曲げ剛性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
 補強構造体(3)を配置しない以外は実施例1と同じバックドアパネルのねじり剛性および曲げ剛性を測定した。結果を表1に示す。
[表1]


 表1から明らかなように本発明の車両用パネル部品は、同形状の鋼製パネルにはやや劣るが十分なねじり剛性および曲げ剛性を有する。
実施例2
 樹脂成形体の材質をポリプロピレンの代わりにポリプロピレン樹脂およびガラス繊維からなる繊維強化樹脂組成物(組成物中ガラス繊維は20体積%)とした以外は実施例1と同様にして、図2に示す横1,200mm、縦1,400mmの実物大バックドアを作製した。同様の剛性試験を行い、鋼製のパネルとほぼ同等のねじり剛性を確認した。また、同形状の鋼製のバックドア(比較例1)と窓部を除いた重量比較で、40%の軽量化を達成した。S2/S1の値は0.5、J2/J1の値は0.7であった。
発明の効果
 本発明の車両用パネル部品は、従来の樹脂製パネルの軽量化を維持しながら剛性に優れる。また本発明によれば、樹脂製の車両用パネル部品を経済的に提供することができる。

符号の説明

[0007]
1 樹脂成形体
2 窓部
3 補強構造体
4 車両用パネル部品
5 投影面積
6 アウタパネル
7 弾性層
8 インナパネル
9 荷重方向
10 固定点
11 支持点

請求の範囲

[請求項1]
 樹脂成形体および比弾性率5×10 cm以上の強化繊維を含む補強構造体からなり、下記式(1)および(2)を同時に満たす車両用パネル部品。
 0.60>S2/S1>0.04       (1)
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.95>J2/J1>0.15       (2)
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品全体の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)
[請求項2]
樹脂成形体がフィラー繊維を含有せず、下記式(1)’および(2)’を同時に満たす請求項1に記載の車両用パネル部品。
 0.60>S2/S1>0.05       (1)’
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.95>J2/J1>0.20       (2)’
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)
[請求項3]
樹脂成形体が、樹脂100体積部に対し、10~30体積部の不連続フィラー繊維を含有し、下記式(1)”および(2)”を同時に満たす請求項1に記載の車両用パネル部品。
 0.55>S2/S1>0.04       (1)”
(S1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したときの該部品全体の投射面積である。S2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投射面積である。)
 0.90>J2/J1>0.15       (2)”
(J1は、該部品の投影面積が最大となる投射角で投影したとき、該部品の投影図の図心(C)に関する極二次モーメントである。J2は、同じ投射角で投影したときの補強構造体のみの投影図の、前記図心(C)に関する極二次モーメントである。)
[請求項4]
 補強構造体は、連続した強化繊維が実質的に一軸配向している請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項5]
 補強構造体の強化繊維は、炭素繊維である請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項6]
 補強構造体は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂をマトリックスとして含む請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項7]
 樹脂成形体は窓部を有する請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項8]
 樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂の成形体である請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項9]
 樹脂成形体と補強構造体との間に弾性層を有する請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項10]
 S2/S1が、0.2~0.6の範囲である請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項11]
 J2/J1が0.3~0.9の範囲である請求項1記載の車両用パネル部品。
[請求項12]
 バックドア、サイドドア、フロントフードまたはルーフである請求項1記載の車両用パネル部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]