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1. WO2010070890 - プリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板

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明 細 書

発明の名称 プリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

0008   0009   0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

産業上の利用可能性

0064  

符号の説明

0065  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : プリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板

技術分野

[0001]
 本発明は、発熱する電子部品を実装するプリント配線板、金属基板及び、その絶縁層として用いられるプリプレグ及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、機器の小型化・高性能化に伴い、高機能半導体、パワー半導体、トランス等の電子部品の発熱が課題となっている。その対策として、ヒートシンクや、ファン、ヒートパイプ等が用いられている。パワー系半導体等の発熱の大きい電子部品を実装するプリント配線板には、金属の放熱板と、銅箔と、これらを接着する接着剤層とで構成された金属基板がある。
[0003]
 金属基板においては、電子部品の熱を放熱板に伝えるために、絶縁層となる接着剤層の熱伝導率を向上させる取組がなされている。例えば、熱伝導率の高い無機フィラの充填量を増やしている。このように接着剤層として用いられる樹脂組成物には、無機フィラを高密度に添加する取組が多くなされている。
[0004]
 一方、高機能な半導体を実装するプリント配線板は、高密度実装に対応するために多層板構成になっている。このような配線板では、ガラスクロスとエポキシ樹脂を有するプリプレグと、配線パターンとなる銅箔とで構成された部材が複数枚積層され、硬化されている。
[0005]
 このような多層板は放熱板を含まず、プリプレグの熱伝導性が低い。すなわち、熱対策は考慮されていない。多層板は基板の強度や、熱膨張率、難燃性を考慮して、シリカや水酸化アルミニウムを少量(20vol%程度)含んでいる。ほとんどの多層のプリント配線板はドリル加工されるため、ドリル加工精度を改善することを目的としてモース硬度の低い無機フィラが充填されている(例えば、特許文献1)。
[0006]
 プリント配線板は、これまで熱対策としてあまり考慮されていない。しかしプリント配線板には実装された電子部品が直接接触しており、絶縁層の熱伝導率を向上させることで熱を効果的に伝搬できる。そのため、基板自体が放熱板の効果を果たす新たな熱対策として用いることができる可能性がある。一方、多層板構造を有する従来のプリント配線板の場合、熱伝導率だけではなくドリル加工性との両立が必須である。しかしながら金属基板はドリル加工されないため、ドリル加工性に関しては考慮されておらず、アルミナ等の熱伝導率が高いが硬い無機フィラを用いている。また、熱伝導率を向上させるため充填率も大きい。これらの樹脂組成物を多層基板に応用すると、ドリル加工時にドリル刃が著しく摩耗する。また、ドリル加工性が低下するとスルーホールのドリル穴形状が変形したり、穴径が不安定になったりするため、めっき接続の信頼性も低下する。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2000-117733号公報

発明の概要

[0008]
 本発明は熱伝導率だけではなくドリル刃の耐摩耗性を考慮したプリント配線板及び、そのプリプレグである。
[0009]
 本発明のプリプレグは無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させて作製される。このプリプレグにおいて、無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上、70vol%以下とする。また無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を無機フィラ中67vol%以上含んでいる。
[0010]
 無機フィラの充填率や成分をこのように規定することによりプリプレグ及び成形後のプリント配線板の熱伝導率を向上させることができる。また無機フィラのモース硬度を6以下とすることで、無機フィラの高い充填率においても高いドリル加工性を実現できる。加えて、無機フィラの熱伝導率が高いことで、ドリル加工時の熱を効果的に分散させることで、温度上昇に伴う樹脂の溶融を低減することができドリル刃の溝の埋まり等による加工性の低下を抑制できる。
[0011]
 本発明のプリプレグを用いて作製したプリント配線板を用いれば、電子部品の熱をプリント配線板に拡散し放熱性を向上することができる。そのため電子部品の温度低減が可能となり、電子部品の高密度実装化、高機能化、ハイパワー化、機器の小型、高機能化を達成することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 図1は本発明の実施の形態によるプリプレグの断面図である。
[図2] 図2は図1に示すプリプレグを用いたプリント配線板の断面図である。
[図3] 図3は本発明の実施の形態において、酸化アルミニウムを無機フィラとして配合した場合のHit数とドリル刃の残存率の関係を示す図である。
[図4] 図4は本発明の実施の形態において、酸化マグネシウムを無機フィラとして配合した場合のHit数とドリル刃の残存率の関係を示す図である。
[図5] 図5は本発明の実施の形態において、炭酸マグネシウムを無機フィラとして配合した場合のHit数とドリル刃の残存率の関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 図1は本発明の実施の形態によるプリプレグの断面図、図2は図1に示すプリプレグを用いたプリント配線板の断面図である。図1、図2に示すように、プリプレグ10は樹脂11に無機フィラ12を分散させた樹脂組成物を、繊維13で構成されたガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させて形成されている。図2に示すように、プリント配線板20はプリプレグ10を硬化した絶縁層21を有している。プリント配線板20は、絶縁層21と配線パターン22とスルーホール電極23を有する。配線パターン22は各絶縁層21の積層方向に直交する少なくとも一方の面(上面および/または下面)に形成されている。スルーホール電極23は絶縁層21の少なくとも1つを貫通するように形成されている。プリント配線板20の上下面には必要に応じてソルダーレジスト24を形成してもよい。またスルーホール電極23は、絶縁層21に孔を形成した後、孔に沿った壁面にスルーホールめっきを施して形成される。さらにその後、孔を導電ペーストや半田、樹脂等で埋めてもよい。
[0014]
 なおプリント配線板20の構造は、上記スルーホール基板に限定されるものではない。上記スルーホール基板等をコアとして、新たに絶縁層を積層し、レーザー加工等により形成した非貫通孔にメッキ配線等で層間接続を形成するビルドアップ基板等であってもよい。
[0015]
 プリプレグ10に用いられる樹脂11は、特に限定されるものではない。例えばエポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系及びこれら樹脂の変性系樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂の2種類以上を混合して用いたり、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤を使用したりしてもよい。例えば、エポキシ樹脂を用いた場合、耐熱性や強度、接着性等の特性がプリント配線板に適している。またポリイミド樹脂を用いた場合は耐熱性や屈曲性をプリント配線板に付加することができる。
[0016]
 エポキシ樹脂に硬化剤を使用する場合には、例えばジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、及び、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール等を用いることができる。硬化剤は、単独で使用しても、複数種を併用することも可能であり、その種類及び量は、限定されるものではなく、適宜決められる。硬化促進剤を使用する場合には、前述した硬化剤と同様に、種々使用することができる。具体的には、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、アミン及びアンモニウム塩等が用いられ、2種以上を併用してもよい。また、ゴムや熱可塑樹脂を添加してもよい。
[0017]
 繊維13で形成されたガラス織布/不織布はプリプレグにおける構造体として、プリプレグの強度を上げる効果を有する。これにより硬化後の熱膨張率の制御、寸法安定性、機械強度を高めることができる。ガラス織布/不織布の厚みは10μm以上、300μm以下が望ましい。ガラス織布/不織布の厚みが10μm未満の場合、プリプレグ10あるいはプリプレグ10を硬化して形成されたプリント配線板20の機械強度、例えば引張り強度に影響を与える可能性がある。ガラス織布/不織布の厚みが300μmを越えた場合、プリプレグ10の作製時における乾燥工程への影響が大きくなる。すなわち厚すぎると乾燥しにくくなり、時間がかかるなどの弊害が生じる。
[0018]
 無機フィラは、一般的には熱膨張や弾性率制御、難燃性付加のために樹脂に添加することが多く、無機フィラのプリプレグに対して20vol%以下の充填率の場合が多い。一方、本実施の形態では無機フィラ12はプリプレグ10に対して30vol%以上、70vol%以下の充填率で用いられている。しかも無機フィラ12は熱伝導率9W/mK以上でかつモース硬度6以下の成分を67vol%以上含んでいる。すなわち熱伝導率9W/mK以上でかつモース硬度6以下の成分はプリプレグ10に対して20vol%以上、47vol%以下の充填率で用いられている。
[0019]
 このような無機フィラ12の成分として例えば、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ムライト等を用いることができる。熱伝導率が9W/mK以上の材料を上記の充填率で用いることで、プリプレグ10を用いたプリント配線板20の熱伝導率を0.8W/mK以上にすることができる。
[0020]
 プリント配線板の基材として一般的なFR-4(ガラス織布+エポキシ樹脂、構造・耐熱性を示す規格)のガラスエポキシ基板を用いたプリント配線板の絶縁層の熱伝導率は0.4W/mK程度である。すなわち、一般的なプリント配線板の熱を拡散させる能力はかなり低い。熱伝導率が0.8W/mKなると、絶縁層21の熱抵抗が1/2になり、そのため発熱する電子部品の熱を効果的に分散し、電子部品の温度を低減することができる。
[0021]
 なお熱抵抗は温度の伝えにくさを表す値で、単位発熱量あたりの温度上昇量である。熱抵抗単位は K/W であり、次式により求められる。
[0022]
 熱抵抗=(温度差×厚み)/(熱伝導率×面積)
 絶縁層21の熱伝導率が0.8W/mKの場合、この値は銅箔の約400W/mKと比較すると、かなり低い値であるが、熱拡散の最も遅い部分の熱伝導率を改善できるであるため大きな効果が得られる。また絶縁層21の面積(体積)が大きいことも熱抵抗を低減する大きな要素である。
[0023]
 プリプレグ10が20.0W/mKを超える熱伝導率を有するためには、より高熱伝導率のフィラを使用する必要がある。そのためダイヤモンドを除くとSiCの様な半導体や金属系の材料を無機フィラ12として使用することになる。その場合、絶縁層21の絶縁性が低下する可能性がある。そのため、現実的にはプリプレグ10の硬化後の熱伝導率は20.0W/mK以下となる。
[0024]
 また、ドリル加工時に発生する熱も分散することができる。そのため樹脂11の温度上昇に伴うドリル刃溝の埋設等のドリル加工性の低下を抑制できる。さらにドリル先端部の局所的な発熱も抑制されるため、ドリルの摩耗性低減・形状の変形抑制にもつながる。これはドリル径の微細化にも適している。熱の抑制はドリル加工のスピードアップにもつながる。
[0025]
 無機フィラ12の充填率が30vol%未満になると、プリント配線板20の熱伝導率が低下する。ここでvol%により規定しているのは密度の異なる無機フィラに変更しても、熱伝導率・ドリル加工性への効果を一定にするためである。密度の異なる材料を複数定義した場合wt%で記載することは本質的に成立していない。また、基板に成形したときの熱伝導率は、ガラス織布/不織布も含めてプリプレグ10全体に対して熱伝導率の高い無機フィラ12の充填率を定義することで所望の値を得ることができる。無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率を30vol%以上とすることで、プリプレグ10の熱伝導率を0.8W/mK以上とすることができる。無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率を大きくするためには樹脂組成物において、樹脂組成物に占める無機フィラ12の割合を増やすことが有効である。また、プリプレグ10における樹脂組成物の比率を増やすことが有効である。これはガラス織布/不織布の熱伝導率が低いためである。樹脂組成物における無機フィラ12の充填率を40vol%以上とすることで、プリプレグ10における無機フィラ12の充填率を30vol%以上にすることができる。またプリプレグ10における樹脂組成物の充填率を50vol%以上とすることで、プリプレグ10における無機フィラ12の充填率を30vol%以上にすることができる。
[0026]
 なお、無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率が70vol%を超えると、プリプレグ10の溶融粘度が上昇する、あるいは配線パターン22となる銅箔とプリプレグ10との接着力が低下するなど、プリント配線板20の成形が難しくなる場合がある。またプリプレグ10における樹脂組成物の充填率が95vol%を超えると、構造体となっているガラス織布/不織布の割合の低下により強度が不足する場合がある。
[0027]
 また、樹脂組成物における無機フィラ12の充填率が90vol%を超えると、樹脂11と無機フィラ12と溶剤との混合体(ワニス)の粘度が上がり、プリプレグ10を作製する時の含浸が難しくなる。また樹脂11の絶対量が不足するためプリプレグ10の溶融粘度も上昇する。そのため、プリント配線板20を成形する際のフロー性が著しく低下し、プリント配線板20の信頼性が低下する場合がある。
[0028]
 ドリル加工に用いられるドリル刃の硬度は、クロムめっきのモース硬度が9であり、ダイヤモンドコーティングしたドリル刃のモース硬度は10である。コストや加工性を考えると、無機フィラ12のモース硬度は少なくともドリル刃以下である必要があり、望ましくは6以下である。モース硬度が4以下になるとさらにドリル加工性を向上させることができる。無機フィラ12のモース硬度は小さいほどドリル加工性が向上するため好ましいが、無機材料である無機フィラ12のモース硬度の下限値は1程度である。
[0029]
 ドリル加工性が低下するとスルーホールの穴形状や穴径が影響を受ける。その結果、スルーホールのめっき接続の信頼性が低下する。
[0030]
 また、無機フィラ12の熱膨張係数は樹脂11の熱膨張係数と比較して小さく、プリプレグ10に対する無機フィラ12の充填率を増やせば、プリプレグ10を硬化したあとの熱膨張係数、特に厚み方向の熱膨張係数を小さくすることができる。厚み方向の熱膨張係数を小さくすることでスルーホールの信頼性が向上する。
[0031]
 スルーホール電極23はドリル加工後にめっきすることで形成される。そのため、めっき部分は金属材料(一般的には銅)の熱膨張係数を有している。厚み方向の熱膨張係数を下げることで、スルーホール電極23を設けた部分とそれ以外の部分との熱膨張差が小さくなり、発生する応力が低下する。45ppm/℃以下の熱膨張係数にすると信頼性も高く、熱衝撃や熱サイクルに対しても耐久性が向上し望ましい。すなわち、プリプレグ10を硬化した絶縁層21の厚み方向の線膨張係数が、絶縁層21のガラス転移温度Tg以下の範囲で45ppm/℃以下であることが好ましい。更に35ppm/℃以下にすることで、より信頼性も向上する。
[0032]
 無機フィラ12は多面体形状を有することが望ましく、さらに立方体形状または直方体形状、またはそれらの混在が好ましい。熱伝導率を向上させるためには無機フィラ12の充填率を増加させる必要がある。そのため、球状に近づけた無機フィラが用いられていることが多いが無機フィラ12の増加はドリル加工性の低減につながる。同じ充填率であれば、無機フィラ12の平面同士の接触が熱の伝搬として望ましい。そのため多面体形状の無機フィラ12を用いることで熱伝導率を向上させることができる。多面体形状とは、平面部分を有する立体という意味であり、曲面部分を全く持たないという意味ではない。中でも、立方体や直方体形状は接触面積を高めることができる。ただし、アスペクト比が3以上の板状や針状の無機フィラは混練性が低く溶融粘度が上昇してしまう。アスペクト比は2.5以下の形状が、溶融粘度の上昇を防ぎつつ熱伝導率を向上できる点で望ましい。このように、多面体形状、特に立方体や直方体形状の材料を無機フィラ12として用いることで、熱の伝達性がよくなり、ドリル加工性の低下を抑制でき、比較的少ない充填量でも絶縁層21の熱伝導率を向上させることができる。
[0033]
 無機フィラ12の不純物が少なく、結晶化度が高い方が、熱伝導率も高くなりやすい。また、結晶化度が向上することにより、表面が平滑になりBET比表面積やJIS K-6221-1982で定義されたDBP(ジブチルフタレート)吸収量が減少する。また、形状も結晶系に応じた形になりやすい。したがって、混練性の向上や溶融粘度を低減することができる。また、表面の平滑性は熱の伝搬性向上にも貢献する。立方晶または、正方晶の結晶構造をもつ無機フィラは、略立方体や略直方体形状に成長しやすいため無機フィラ12として望ましい。結晶化度は例えば、X線回折でのピークの半値幅等で簡易的に計測することができる。Cu-Kα線を用いた粉末X線回折法において立方晶の無機フィラの場合(200)面のピークの半値幅が0.3度以下であることが望ましい。また、(111)面、(220)面のピークの半値幅も小さい方がよく、望ましくは0.3度以下である。
[0034]
 また、無機フィラ12に表面処理を施して用いてもよい。表面処理により耐湿性や接着強度、分散性を向上できる。表面処理としては、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤、リン酸エステル、スルホン酸エステル、カルボン酸エステルの他、アルミナやシリカコート、シリコーン系の材料で無機フィラ12を被覆してもよい。なお無機フィラ12の充填率を増加するために、異なる粒度分布を有する複数種の無機フィラを選び、これらを混合して使用してもよい。また、難燃性を付加する無機フィラや熱膨張率を低減する無機フィラ等との複数の無機フィラを混合してもよい。
[0035]
 また、プリプレグ10は無機フィラ12やガラス織布/不織布、樹脂11以外にも難燃剤や、着色剤等の材料を含んでいてもよい。
[0036]
 次にプリプレグ10の製造方法の一例について説明する。まず所定量の樹脂11と無機フィラ12と溶剤とを攪拌、混練し、ワニスを調製する。このワニスをガラス織布/不織布に含浸させた後に、加熱乾燥し、溶剤分を除去してワニスを半硬化状態にする。このようにしてプリプレグ10を作製する。また、無機フィラ12を前処理する工程があってもよい。
[0037]
 次にプリプレグ10を用いて、熱伝導性が高くドリル加工性のよいプリント配線板20を作製する方法について説明する。まずプリプレグ10の両主平面にそれぞれに銅箔を重ねて積層板を構成する。この積層板を加熱加圧し、プリプレグ10を硬化して絶縁層21を形成するとともに、絶縁層21と金属箔とを一体化する。このようにして銅張積層板を形成する。あるいは2枚以上のプリプレグ10を重ね、最外層となる両主平面に銅箔を重ねて積層板を構成し、この積層板を加熱加圧し、銅張積層板を形成してもよい。
[0038]
 次に銅張積層板の銅箔を所定形状にパターニングする。なおパターニングには一般的な方法、すなわちフォトレジスト形成、露光、現像、エッチング、フォトレジストの除去の一連の手順を用いることができる。その後、必要に応じてプリプレグ10と銅箔の積層と銅箔のパターニングを繰り返して多層板が構成できる。このようにプリント配線板20はプリプレグ10を硬化した絶縁層21と、絶縁層21の上下面に形成された配線パターン22とを有する。
[0039]
 なお、プリプレグ10の、積層方向に垂直な面の少なくとも一方に銅箔を重ねてもよい。すなわち、絶縁層21の一方の面にのみ配線パターン22を形成してもよい。また銅箔以外にニッケル箔など他の金属箔を用いてもよい。
[0040]
 次に銅張積層板または多層板の所定位置にドリル加工やレーザー等で孔を形成する。さらにこの孔の部分に銅めっきを行うことでスルーホールめっきを施し、層間接続電極であるスルーホール電極23を形成する。その後、最外層の銅箔をパターニングして上下面の配線パターン22を形成する。必要に応じソルダーレジスト24等を形成しプリント配線板20を完成させる。
[0041]
 なお、製造方法は上記記載の方法に限定されるわけではない。例えば、スルーホールめっき以外のフィルドめっきやペースト接続等により層間接続電極を形成してもよい。すなわち、ビルドアップ基板のようなプリント配線板であってもよい。また、プリプレグ10は、プリント配線板20の構成材料としてだけではなく、金属基板の銅箔と放熱板との間の接着材料としても使用することができる。
[0042]
 以上のように、プリプレグ10及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板20を用いることによって、携帯電話、テレビ、あるいは電装品や産業用等の、放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
[0043]
 以下、本実施の形態によるプリプレグ及びプリント配線板の具体例を用いて本発明の効果を説明する。
[0044]
 (実験1)
 まず無機フィラ12のモース硬度について検討した。無機フィラ12として酸化アルミニウム(住友化学社製:モース硬度9、熱伝導率30W/mK)、酸化マグネシウム(神島化学工業社製:モース硬度6、熱伝導率60W/mK)、炭酸マグネシウム(神島化学社製:モース硬度3、熱伝導率4~10W/mK)を用いてドリル加工性を検討した。無機フィラ12の粒径は全て1~5μmの範囲である。
[0045]
 無機フィラ12を樹脂11であるエポキシ樹脂(ビスフェノールF系+硬化剤)と配合し、メチルエチルケトンを溶剤としてディスパーミルで拡散しワニスを作製した。このワニスをガラス織布(#1080:重量48g/m )に含浸しプリプレグ10を作製した。その際、樹脂組成物における無機フィラ12の割合を20vol%以上、90vol%以下の範囲で調整した。またプリプレグ10の厚みを調整した。これらの方法により無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率がそれぞれ10、30、50、70vol%になるように調整した。
[0046]
 次に6枚のプリプレグ10を積層し、上下の最外層に厚み18μmの銅箔を積層し、熱プレス機で加熱(180℃×1h)・加圧(2MPa)した。この積層体を硬化しサンプル基板を作製した。なお同じ厚みのパナソニック電工製両面銅張板R-1566をリファレンスとした。
[0047]
 これらのサンプル基板にドリル加工を行い、1000、2000、3000Hit後のドリル刃径の変化を測定した。試験前のドリルの直径は0.5mmである。ドリル加工時には、厚み0.12mmのアルミ製エントリーボードと、厚み1.5mmのベーク板製バックアップボードとの間にサンプル基板を挟んだ形で加工した。
[0048]
 ドリル刃の残存率を図3~図5に示す。図3、図4、図5はそれぞれ無機フィラ12として酸化アルミニウムを用いた場合、酸化マグネシウムを用いた場合、炭酸マグネシウムを用いた場合の結果を示している。
[0049]
 図3に示すように、酸化アルミニウムを用いた場合にはプリプレグ10における無機フィラ12の充填率が10vol%のサンプル基板でも3000Hitするとドリルの磨耗量が8.1%と大きい。充填率が30vol%となるとドリルの磨耗量が11.8%となり、10%を超えてしまう。このようにドリル加工性に課題がある。これは無機フィラ12のモース硬度が高いことによりドリルが摩耗するためである。
[0050]
 一方、図4に示すように、酸化マグネシウムを用いた場合には充填率が70vol%でも、ドリルの摩耗量は8.2%であり、図5に示すように、炭酸マグネシウムを用いた場合には充填率が30vol%の場合、ドリルの摩耗量は4.0%であった。なおリファレンスのR-1566の摩耗率は1.0%であった。このように、モース硬度6以下の材料を無機フィラ12として用いることによりドリルの磨耗を著しく低減することができる。
[0051]
 (実験2)
 次に、無機フィラ12として4種の酸化マグネシウム(神島化学工業社製、タテホ化学製)試料A~試料Dを用いて、無機フィラ12の結晶化度と熱伝導率との関係を検討した。無機フィラ12の粒径は全て1~5μmの範囲である。
[0052]
 プリプレグ10の作製手順は実験1と同様であり、無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率を30vol%とした。その際、樹脂組成物における無機フィラ12の割合を40vol%以上、90vol%以下の範囲で調整し、またプリプレグ10の厚みを調整した。
[0053]
 このようにして作製した4枚のプリプレグ10を積層し、上下の最外層に厚み18μmの銅箔を積層し、熱プレス機で加熱(180℃×1h)・加圧(2MPa)した。この成形後、銅箔を全てエッチングにより除去し、直径約12.7mmの円板形状に加工し熱伝導率評価サンプルを作製した。熱伝導率の測定はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製)を用い、3箇所で測定した。また、結晶化度を計測するために無機フィラ12を試料として粉末X線回折を実施した。得られた結果を解析ソフト(Jade)で解析し、(111)面、(200)面、(220)面ピークを検出し、それぞれのピークの半値幅の算出を行った。
[0054]
 無機フィラ12の(200)面の半値幅の値および評価サンプルの熱伝導率の関係を(表1)に示す。
[0055]
[表1]


[0056]
 (表1)より、無機フィラ12の半値幅が小さいほど、評価サンプルの熱伝導率が高いことがわかる。また試料A~試料Cのように半値幅が0.3以下であれば、熱伝導率は0.8W/mK以上となる。また、ばらつきも小さい。これは結晶自体の熱伝導率が高いことと、熱的な伝搬性が向上していることが原因と考えられる。
[0057]
 なお、無機フィラ12は酸化マグネシウムに限定されるわけではなく、モース硬度6以下の他の材料を無機フィラ12として用いた場合も同様の結果が得られた。
[0058]
 以上のように、無機フィラ12のCu-Kα線を用いた粉末X線回折での(200)面のピークの半値幅が0.3度以下であればプリプレグ10の熱伝導率を0.8W/mK以上とすることができるため好ましい。
[0059]
 (実験3)
 次に、無機フィラ12が複数種の無機材料で構成されている場合のプリプレグ10の熱伝導率を検討した。対象の無機材料としてシリカ(電気化学工業社製:モース硬度6~7、熱伝導率1W/mK)、ムライト(弊社で合成:モース硬度3、熱伝導率9W/mK)、酸化アルミニウム(昭和電工社製:モース硬度9、熱伝導率30W/mK)を単独または混合して用いた。なおこれらの粒径は全て1~5μmの範囲である。
[0060]
 それぞれの材料の無機フィラ12としてのプリプレグ10における充填割合を変えた試料E~試料Nに対し、実験2と同様にしてプリプレグ10と評価サンプルとを作製した。そして熱伝導率を測定した。無機フィラ12全体のプリプレグ10における充填割合は、試料Gを除いて同じ(30vol%)にしている。各試料の組成と評価サンプルの熱伝導率の関係を(表2)に示す。なお熱伝導率の数値は3箇所の平均値である。
[0061]
[表2]


[0062]
 (表2)より、9W/mK以上の材料であるムライトと酸化アルミニウムが、無機フィラ12中で67vol%以上の試料H~試料Nで、熱伝導率が0.8W/mK以上になっている。なお、3種類以上の材料を含んでも同様の結果が得られた。以上のように無機フィラ12が、熱伝導率9W/mK以上の成分を体積比で2/3、すなわち67vol%以上含んでいればプリプレグ10の熱伝導率を0.8W/mK以上にすることができる。なお前述のように、酸化アルミニウムはモース硬度が大きいため、ドリル加工性に課題がある。そのため、無機フィラ12が、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を67vol%以上含んでいる必要がある。
[0063]
 また試料Gのように熱伝導率の大きい酸化アルミニウムを混合しても無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率が30vol%に満たないとプリプレグ10の熱伝導率は0.8W/mKに達しない。したがって無機フィラ12のプリプレグ10に対する充填率は30vol%以上である必要がある。

産業上の利用可能性

[0064]
 本発明によるプリプレグ及びその製造方法とこれを用いたプリント配線板を用いることによって、携帯電話、テレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化や高性能化、高信頼性化が可能となる。

符号の説明

[0065]
10  プリプレグ
11  樹脂
12  無機フィラ
13  繊維
20  プリント配線板
21  絶縁層
22  配線パターン
23  スルーホール電極
24  ソルダーレジスト

請求の範囲

[請求項1]
無機フィラを含有する樹脂組成物をガラス織布又はガラス不織布の基材に含浸させたプリプレグにおいて、前記無機フィラのプリプレグに対する充填率を30vol%以上、70vol%以下とし、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中67vol%以上含んでいる、
プリプレグ。
[請求項2]
硬化後の熱伝導率が0.8W/mK以上である、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項3]
前記無機フィラが窒化ホウ素、酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムを少なくとも1種類以上含む、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項4]
前記無機フィラのCu-Kα線を用いた粉末X線回折での(200)面のピークの半値幅が0.3度以下である、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項5]
前記樹脂組成物の前記プリプレグに対する充填率が50vol%以上、95vol%以下である、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項6]
前記無機フィラの前記樹脂組成物に対する充填率が40vol%以上、90vol%以下である、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項7]
前記無機フィラは多面体形状を有する、
請求項1記載のプリプレグ。
[請求項8]
前記無機フィラが立方体形状、直方体形状の少なくともいずれかである、
請求項7記載のプリプレグ。
[請求項9]
前記無機フィラが立方晶、正方晶のいずれかである、
請求項8記載のプリプレグ。
[請求項10]
無機フィラを含有する樹脂組成物と、ガラス織布とガラス不織布のいずれかで構成された基材を有する絶縁層と、
前記絶縁層の両主平面に設けられた金属箔と、を備え、
前記無機フィラの前記絶縁層に対する充填率が30vol%以上、70vol%以下であり、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中67vol%以上含んでいる、金属箔張積層板。
[請求項11]
無機フィラを含有する樹脂組成物と、ガラス織布とガラス不織布のいずれかで構成された基材を有する少なくとも1層以上の絶縁層と、
前記絶縁層の主平面に設けられた配線パターンと、
前記配線パターンに接続された層間接続電極と、を備え、
前記無機フィラの前記絶縁層に対する充填率が30vol%以上、70vol%以下であり、前記無機フィラは、熱伝導率9W/mK以上かつモース硬度6以下の成分を前記無機フィラ中67vol%以上含んでいる、
プリント配線板。
[請求項12]
請求項1記載のプリプレグの両主平面にそれぞれ金属箔を積層して積層板を構成するステップと、
前記積層板を加熱加圧し、前記プリプレグを硬化して絶縁層を形成するとともに、前記絶縁層と前記金属箔とを一体化するステップと、を備えた、
金属箔張積層板の製造方法。
[請求項13]
請求項1記載の、2枚以上のプリプレグを積層して積層体を構成するステップと、
前記積層体の両主平面にそれぞれ金属箔を積層して積層板を構成するステップと、
前記積層板を加熱加圧し、前記プリプレグを硬化して絶縁層を形成するとともに、前記絶縁層と前記金属箔とを一体化するステップと、を備えた、
金属箔張積層板の製造方法。
[請求項14]
請求項1記載のプリプレグの両主平面にそれぞれ金属箔を積層して積層板を構成するステップと、
前記積層板を加熱加圧し、前記プリプレグを硬化して絶縁層を形成するとともに、前記絶縁層と前記金属箔とを一体化するステップと、
前記金属箔をエッチングし、配線パターンを形成するステップと、
前記両主平面上にそれぞれ形成された前記配線パターン間を接続する層間接続電極を形成するステップと、を備えた、
プリント配線板の製造方法。
[請求項15]
請求項1記載の、2枚以上のプリプレグを積層して積層体を構成するステップと、
前記積層体の両主平面にそれぞれ金属箔を積層して積層板を構成するステップと、
前記積層板を加熱加圧し、前記プリプレグを硬化して絶縁層を形成するとともに、前記絶縁層と前記金属箔とを一体化するステップと、
前記金属箔をエッチングし、配線パターンを形成するステップと、
前記両主平面上にそれぞれ形成された前記配線パターン間を接続する層間接続電極を形成するステップと、を備えた、
プリント配線板の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]