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1. WO2009147995 - 架空線用テンションバランサ装置およびその潤滑油飛散防止装置

Document

明 細 書

発明の名称 架空線用テンションバランサ装置およびその潤滑油飛散防止装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

符号の説明

0016  

発明を実施するための最良の形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073  

産業上の利用可能性

0074  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 架空線用テンションバランサ装置およびその潤滑油飛散防止装置

技術分野

[0001]
 本発明は、架空線用テンションバランサ装置およびそれに適用可能な技術に関する。

背景技術

[0002]
 鉄道の架空線(架線)に適切なテンション(張力)を与える装置として、コイルばねを用いた架空線用テンションバランサが知られている(例えば特許文献1を参照)。架空線用テンションバランサは、同軸配置された複数の円筒を有し、外側の円筒に対して内側の円筒を引き出そうとした場合に、ばねの弾性により張力が働く構造とされている。このため、外側の円筒と内側の円筒とが相対的に可動する構造でなければならない。そのため、外側円筒と内側円筒との隙間からの雨水の侵入があり、その雨水を排出するための水抜き孔や隙間等の水抜き構造が設けられている。
[0003]
 一方、架空線用テンションバランサ内には、架空線にテンションを与えるためのコイルばねが収められているが、このコイルばねは、上述した円筒の可動において、円筒内面あるいはより内側の円筒外面と擦れる。このため、潤滑剤としてグリースがコイルばねと円筒との接触部分に塗布されている。
[0004]
特許文献1 : 特開平11-48834号

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上述した構造の架空線用テンションバランサにおいて、水抜き孔からグリースの油分が外部に飛散し、架空線用テンションバランサを支える支柱や線路面を汚すことがある。本発明者らは、この現象を解析した結果、以下の知見を得た。まず、グリース自体は粘性が高いが、時間が経過すると、油分が分離し、それが流動成分となる傾向がある。この傾向は、水抜き孔から侵入した雨水がグリースに触れた場合に顕著になる。また、架空線用テンションバランサは、設置状況に応じて、軸線方向に傾けて配置される場合があるが、この配置の傾きが上記雨水の浸入および所定の方向への飛散を助長する場合がある。
[0006]
 このような背景において、本発明は、水抜き構造を採用しつつ、内部の潤滑剤に起因する油分の外部への飛散を抑えることができる架空線用テンションバランサを提供することを目的とする。また、本発明は、水抜き構造を有する既存の架空線用テンションバランサにおいて、内部の潤滑剤に起因する油分の外部への飛散を抑えることができる技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 請求項1に記載の発明は、同軸状に配置された複数の筒部材と、前記複数の筒部材間における相対的な軸方向の伸長に対して弾性力を与えるコイルばねと、前記コイルばねに塗布された潤滑剤と、前記複数の筒部材間の隙間に溜まる雨水を外部に抜く水抜き手段と、前記水抜き手段から流出する流体を収集する流体収集手段とを備えることを特徴とする架空線用テンションバランサ装置である。
[0008]
 筒部材の数は、2以上であればよく、その数は限定されない。またコイルばねの数も限定されない。潤滑剤は、コイルばねと筒部材との摺動部分に塗布あるいは充填される潤滑性のある塗布剤であり、例えば潤滑用に市販されているグリースが利用される。
[0009]
 請求項1に記載の発明によれば、水抜き手段から潤滑剤の油分が外部に流出しても、それが流体収集手段により収集される。このため、油分の飛散を抑えることができる。また、水抜き手段の機能は維持されるので、架空線用テンションバランサの内部に侵入した雨水を架空線用テンションバランサから外部に排出する機能は損なわれない。
[0010]
 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、水抜き手段は、孔または隙間であり、流体収集手段は、前記孔または隙間に接続されたパイプであることを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、油分や雨水が、孔または隙間からパイプによって架空線用テンションバランサの外部に飛散しない状態で収集される。
[0011]
 請求項3に記載の発明は、水抜き用の孔または隙間を備えた架空線用テンションバランサに取り付ける潤滑油飛散防止装置であって、前記水抜き用の孔または隙間に接続される収集用接続部材と、前記収集用接続部材に接続されるパイプと、前記収集用接続部材と前記パイプとを前記架空線用テンションバランサに取り付ける取り付け部材とを備えることを特徴とする潤滑油飛散防止装置である。
[0012]
 請求項3に記載の発明によれば、水抜き手段を備えた既存の架空線用テンションバランサに取り付けることで、水抜き手段からの油分および雨水を飛散させずにパイプによって架空線用テンションバランサの外部で収集することができる。
[0013]
 以上説明した発明を利用した架空線用テンションバランサが用いられる架空線は、鉄道用に限定されず、架設され張力を与える必要のある各種電力線や電気信号線であってもよい。また、架空線は、電線等を支持するワイヤや荷物運搬用のワイヤ等であってもよい。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、水抜き構造を採用しつつ、内部の潤滑油に起因する油分の外部への飛散を抑えることができる架空線用テンションバランサが提供される。また本発明によれば、水抜き構造を有する既存の架空線用テンションバランサにおいて、内部の潤滑油に起因する油分の外部への飛散を抑えることができる技術が提供される。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 発明が適用される架空線用テンションバランサの概要を示す断面図である。
[図2] 発明を利用した架空線用テンションバランサの設置状態を示す側面図である。
[図3] 図1の一部を拡大した拡大側面図(A)と、それを90°異なる方向から見た背面図(B)である。
[図4] 発明が適用される架空線用テンションバランサの概要を示す断面図である。
[図5] 発明を利用した架空線用テンションバランサの設置状態を示す側面図である。
[図6] 図5の一部を拡大した拡大図である。
[図7] 発明が適用される架空線用テンションバランサの概要を示す断面図である。
[図8] 発明を利用した架空線用テンションバランサの設置状態を示す側面図である。
[図9] 図8の一部を拡大した拡大図である。
[図10] 図2に示す構成に防水カバーを取り付けた状態を示す側面図(A)と正面図(B)である。

符号の説明

[0016]
 100…架空線用テンションバランサ、101…外側筒状構造体、102…中側筒状構造体、103…内側筒状構造体、104…コイルばね、105…コイルばね、106…架空線取り付け部材、108…U棒、110…切り欠き、200…支柱、201…取り付けバンド、202…取り付け部材、203…ボルト、204…吊り部材、205…支持部材、206…目盛板、207…収集パイプ、208…固定部材、209…収集パイプ接続部、210…取り付けバンド、211…回収タンク、210a…締め付け部、210b…締め付け部、212…アジャスタ、213…ボルト、214…支持板、215…アダプタ、216…ドレイン管。

発明を実施するための最良の形態

[0017]
(1)第1の実施形態
(架空線用テンションバランサの構造)
 まず、本発明が適用される架空線用テンションバランサの基本構造の一例について説明する。図1には、架空線用テンションバランサ100の断面構造が示されている。架空線用テンションバランサ100は、外側筒状構造体101と中側筒状構造体102と内側筒状構造体103とを備えている。
[0018]
 外側筒状構造体101と中側筒状構造体102との隙間には、圧縮された状態にあるコイルばね104が収められている。図1に示す状態において、コイルばね104の左端は、中側筒状構造体102の外側フランジ部102aに接触し、コイルばね104の右端は、外側筒状構造体101の内側フランジ部101aに接触している。
[0019]
 中側筒状構造体102と内側筒状構造体103との隙間には、圧縮された状態にあるコイルばね105が収納されている。図1に示す状態において、コイルばね105の左端は、内側筒状構造体103の外側フランジ部103aに接触し、コイルばね105の右端は、中側筒状構造体102の内側フランジ部102aに接触している。コイルばね104と105が、筒状構造体と接触する部分には、両者間の相対的な滑りを阻害しないように潤滑用のグリースが塗布あるいは充填されている。
[0020]
 図1における内側筒状構造体103の右端端面には、架空線取り付け部材106が固定されている。架空線106は、ボルト孔106aを備え、このボルト孔106aを利用して図示省略した架空線が架空線取り付け部材106に取り付けられる。
[0021]
 また、架空線用テンションバランサ100は、支持部材107によって図示省略した支柱に支持される。より詳細にいうと、支持部材107のフランジ部107aが固定部材であるU棒108によって押さえられ、支持部材107が外側筒状構造体101に対して相対的に図の左方向に動かないようにされている。なおU棒108は、外側筒状構造体101に形成された取り付け孔に図の上方から差し込まれることで、外側筒状構造体101に取り付けられている。支持部材107には、ボルト孔107bが設けられており、このボルト孔107bを利用して、架空線用テンションバランサ100が、図1では図示省略された支柱に取り付けられる。
[0022]
 支部部材107のフランジ部107aの下端部分には、半円形の切り欠き110が形成されている。この切り欠き110は、架空線用テンションバランサ100の内部に侵入した雨水を外部に排出する水抜き手段として機能する水抜き孔である。
[0023]
 図1に示す架空線用テンションバランサ100は、図の左下がりに傾いた状態で用いられる。この状態は、例えば、図の左下がりに傾斜した斜面において架空線を架設する場合や架空線を図の左下がりに傾斜させたい場合に相当する。傾斜の角度は、設置状況による。このような図の左下がりに傾斜した状態で架空線用テンションバランサ100を用いた場合、図の右側における外側筒状構造体101と中側筒状構造体102との間の隙間、さらに中側筒状構造体102と内側筒状構造体103との間の隙間から雨水が内部に侵入し易くなる。
[0024]
 架空線用テンションバランサ100は、その機能故に、外側筒状構造体101と中側筒状構造体102とは、相対的に軸方向に摺動可能とされ、さらに中側筒状構造体102と内側筒状構造体103とは、相対的に軸方向に摺動可能とされている。したがって、上述した隙間からの雨水の浸入は、特殊な防水構造を採用しない限り避け難い。この内部に侵入した雨水を外部に排出するために、切り欠き110が設けられている。
[0025]
 すなわち、上述した図の右側の隙間から架空線用テンションバランサ100の内部に侵入した雨水は、内部の下面に集まり、さらに左下がりの傾斜により、図の左方向に流れ、切り欠き110の部分に至る。なお、水抜きの構造は、切り欠き110のような孔構造に限定されるものではなく、意図的に形成された隙間であってもよい。
[0026]
(架空線用テンションバランサの機能)
 図1に示す架空線用テンションバランサ100は、テンションが加わっていない状態である。図1に示す架空線用テンションバランサ100の支持部材107を図示省略した支柱に取り付け、さらに架空線取り付け部材106に架空線を取り付け、架空線を架設する。この際、架空線の重みおよび架空線を図の右方向に引く力により、架空線取り付け部材106が図の右方向に相対的に引かれる。
[0027]
 一方、コイルばね104および105は圧縮状態にあるので、内側筒状構造体103を中側筒状構造体102から引き出し、さらに中側筒状構造体102を外側筒状構造体101から引き出すには、コイルばね104および105の弾性力に打ち勝つ力が必要となる。この力の反力が、架空線取り付け部材106に取り付けられた架空線に作用する張力となる。こうして、図1の右方向に向かって張り渡される図示省略した架空線を図の左方向に引っ張る張力が働く。この架空線への張力の付与が、架空線用テンションバランサの機能である。
[0028]
(架空線用テンションバランサの使用状態)
 図2は、図1に示す基本構造を有する架空線用テンションバランサ100の使用状態を示す側面図である。図2には、架空線用テンションバランサ100が示されている。図2において、架空線用テンションバランサ100の一端(左端)は、支柱200に支持されている。すなわち、支柱200には、取り付けバンド201によって、取り付け部材202が固定されている。そして、取り付け部材202に支持部材107がボルト203によって固定されている。外側筒状構造体101の上部には、吊り部材204の一端が取り付けられ、吊り部材204の図示省略した他端は、支柱200の図示省略した上部に固定されている。図2では、省略されているが、架空線取り付け部材106には、図の右方向に延在して架設される架空線の一端が取り付けられる。
[0029]
 また、図2に示す例では、内側筒状構造体103の右端の端面に、支持部材205を介して、目盛板206が取り付けられている。目盛板206は、架空線用テンションバランサ100の設置状態において、外側筒状構造体101に対する内側筒状構造体103の変位量を確認するために利用される。なお、図2からは明かでないが、図示する状況は、左下がりの傾斜地であり、架空線用テンションバランサ100は、僅かに(水平から数度)左下がりに傾斜した状態で配置されている。
[0030]
 図2に示す架空線用テンションバランサ100の左端には、流体収集手段の一例である収集パイプ207が取り付けられている。収集パイプ207は樹脂製であり、固定部材208によって支柱200に固定されている。収集パイプ207の下端は、回収タンク211に接続されている。回収タンク211は、図示省略する支柱200の根本部分に配置されている。
[0031]
(収集パイプの接続構造)
 図2に示すように収集パイプ207は、収集パイプ接続部209において、架空線用テンションバランサ100に接続されている。以下、この接続構造の詳細を説明する。図3は、図2に示す架空線用テンションバランサ100の左端の部分を拡大した側面図(A)とそれを左方向から見た背面図(B)である。
[0032]
 外側筒状構造体101の外周には、取り付けバンド210が取り付けられている。取り付けバンド210は、締め付け部210aと210bにおいて、ボルトによって締め付けられ、外側筒状構造体101に固定されている。取り付けバンド210の下部には、アジャスタ212が配置され、このアジャスタ212にボルト213によって支持板214が固定されている。支持板214には、ナット21および22によって円筒形状のアダプタ215が固定されている。アダプタ215の下端には、収集パイプ207が接続され、アダプタ215の上端は、略L字型のパイプ構造を有するドレイン管216が接続されている。なお、符号217は、アダプタ215と収集パイプ207を接続するコネクタである。
[0033]
 ドレイン管216の右端は、排水用の孔である略半円形の切り欠き110(図1参照)に合う形状とされ、そこに突き当てられている。この構造によれば、切り欠き110から流出した雨水や油分は、ドレイン管216内を図の左方向に流れ、さらに下方向に流路が変更されて、アダプタ215を経て、収集パイプ207に至る。
[0034]
(油分の飛散防止作用)
 以下、図2を主に参照して、本実施形態における油分の飛散防止作用を説明する。まず、前提として、図2に示す架空線用テンションバランサ100が、やや図の左下がりの傾斜状態でもって配置されているとする。そして、図示しない架空線が架空線取り付け部材106に取り付けられ、支柱200に対して、架空線用テンションバランサ100が、図の右方向に引っ張られ、架空線にテンションを与えつつ、筒状構造体間の変位が発生しているものとする。
[0035]
 この状態で、時間が経過すると、架空線用テンションバランサ100の右側に存在する円筒部材間の隙間から雨水が架空線用テンションバランサ100の内部に侵入する。この雨水は、架空線用テンションバランサ100の下部に集まり、また架空線用テンションバランサ100の傾きにより、収集パイプ接続部209に向かって移動する。
[0036]
 一方、時間経過に伴い、太陽熱や経時変化に起因して、グリースの油分の分離が見られるが、この分離した油分が、上述した雨水に洗い流されて、雨水と共に収集パイプ接続部209に移動する。そして、この雨水および油分が、収集パイプ接続部209から収集パイプ207に流れ、回収タンク211に収集される。
[0037]
 以上の作用によれば、架空線用テンションバランサ100から雨水およびグリースの油分が飛散せず、回収タンク211に収集される。このため、油分の飛散の問題を解決することができる。
[0038]
(既存の架空線用テンションバランサへの取り付け例)
 図2および3に示す油分の飛散を防止する構成は、既に設置されているテンションバランサに取り付けることもできる。以下、この場合の取り付け方法の一例を説明する。
[0039]
 まず、図2および3に示す収集パイプ接続部209および収集パイプ207が取り付けられていない架空線用テンションバランサ100が既に設置され、また支柱200には、収集パイプ207および回収タンク211が配置されていない状態を仮定する。
[0040]
 この状態において、まず図3に示すように、アジャスタ212を備えた取り付けバンド210を外側筒状構造体101に取り付ける。次ぎに、ドレイン管216にアダプタ215を取り付け、さらにアダプタ215に支持板214を取り付けたものを用意する。そして、ドレイン管216の入り口を切り欠き110に合わせ、その状態でナット21および22を回して、支持板214の高さをアジャスタ212の下面に合うように調整する。
[0041]
 そして支持板214の高さをアジャスタ212の下面に合わせた状態でボルト213を締め、支持板214をアジャスタ212に固定する。次ぎにアダプタ215にコネクタ217を取り付け、さらにアダプタ215の下端に収集パイプ207を接続する。また、図2に示すように、支柱200の下部に排水タンク211を設置し、収集パイプ207を支柱200に沿って引き下ろし、その先端を回収タンク211に接続する。こうして、図2および3に示す状態を得る。
[0042]
 この態様によれば、既存の雨水を単に外部に排出する構造を有した架空線用テンションバランサが使用されている状態において、既存の設備に上述した付加設備を追加することで、グリースの油分の飛散を防止する構造とできる。この付加構造は、少ない部品で構成され、またその取り付け工程も上述したように簡単である。このため、上記の態様は、低コストで実施することができる。
[0043]
(まとめ)
 以上述べたように、本実施形態では、同軸状に配置された複数の筒部材の一例である外側筒状構造体101、中側筒状構造体102および内側筒状構造体103が示されている。また本実施形態では、上記複数の筒部材間における相対的な軸方向の伸長に対して弾性力を与えるコイルばね104と105が示されている。また本実施形態では、コイルばね104と105に潤滑剤としてグリースが塗布されている。また本実施形態では、上記複数の筒部材間の隙間に溜まる雨水を外部に抜く水抜き手段の一例として水抜き孔として機能する切り欠き110が示されている。また本実施形態では、上記水抜き手段(切り欠き110)から流出する流体を収集する流体収集手段の一例として、収集パイプ207が示されている。
[0044]
 また本実施形態では、水抜き用の孔または隙間を備えた架空線用テンションバランサ100に取り付ける潤滑油飛散防止装置が示されている。この潤滑油飛散防止装置は、水抜き用の孔または隙間に接続される収集用接続部材の一例である収集パイプ接続部209と、この収集用接続部材に接続される収集パイプ207と、収集パイプ接続部209および収集パイプ207を架空線用テンションバランサ100に取り付ける取り付け部材214とを有している。
[0045]
(変形例)
 回収タンク211を用いずに、収集パイプの先端(排出側)を側溝等に位置させ、油分や雨水をそこに導くようにしてもよい。なお、側溝等に集められた油分や雨水は、廃水処理設備等に集められるようにすることが望ましい。
[0046]
 ここでは、架空線用テンションバランサとして、円筒構造体が3層あり、2段階に引き出される構造の例を示したが、円筒構造体は3層に限定されず、2層あるいは4層以上であってもよい。円筒構造体の断面形状は、円形に限定されず、四角や六角等の多角形状であってもよい。
[0047]
 流体収集手段として、架空線用テンションバランサ内部の雨水や油分が、収集パイプを介さずに直接回収タンクに収集される構成としてもよい。この場合、架空線用テンションバランサに回収タンクが直接接続される構造となる。また収集パイプの材質は、樹脂に限定されず、金属であってもよい。
[0048]
(2)第2の実施形態
(架空線用テンションバランサの構成)
 次ぎに、図1~3に示す構造とは、異なる位置から水抜きを行う架空線用テンションバランサに関して説明する。図4は、架空線用テンションバランサの他の一例を示す断面図である。図4には、架空線用テンションバランサ300が示されている。架空線用テンションバランサ300は、図の右下がりに傾斜した状態で用いられる。
[0049]
 架空線用テンションバランサ300が図1に示す架空線用テンションバランサ100と異なるのは、水抜き手段の位置である。図4に示す架空線用テンションバランサ300では、水抜き手段として、水抜き孔301を備えている。この水抜き孔301は、架空線用テンションバランサ300の軸方向における架空線側の端面、より詳しく言うと外側筒状構造体101の内側フランジ部101aの中央下端部に設けられている。架空線用テンションバランサ300の水抜き手段以外の構成は、図1に示す架空線用テンションバランサ100と同じである。
[0050]
(雨水収集構造)
 図5は、図4に示す架空線用テンションバランサ300の使用状態を示す側面図である。図5において、図2と同じ符号の部分は、図2に関連して説明ものと同じである。また特に説明しない部分で図2と同じ部分も、図2に関連して説明ものと同じである。図5に示す例では、外側筒状構造体101の内側フランジ部101a(図4参照)に水抜き孔が設けられ、そこに収集パイプ接続部302が取り付けられている。収集パイプ接続部302には、収集パイプ303が接続され、収集パイプ303は、図の左方向に左下がりになるように外側筒状構造体101の下に支持され、さらに支柱200に沿って下方に引き回されている。収集パイプ303の下端は、回収タンク211に接続されている。
[0051]
 図6は、収集パイプ接続部302の詳細を示す側面図である。図6に示すように、収集パイプ接続部302は、図4にも示す水抜き孔301に差し込まれた収集ノズル304と、ドレイン管306とを備えている。収集ノズル304は、ドレイン管306にコネクタ305によって接続されている。ドレイン管306は、非対称な略U字型の形状を有し、収集ノズル304が接続された端部の反対側の端部に、収集パイプ303がコネクタ307によって接続されている。
[0052]
 ドレイン管306は、支持板308に固定され、支持板308は、アジャスタ309にボルト310によって固定されている。アジャスタ309は、外側筒状構造体101に巻かれて固定された取り付けバンド311に固定されている。
[0053]
 また図6に示す構成では、内側筒状構造体103の端面に延長支持部材312が取り付けられ、この延長支持部材312に目盛板206が取り付けられている。
[0054]
 図5に戻り、収集パイプ接続部302に接続された収集パイプ303は、架空線用テンションバランサ300の下方において、図の左方向に向かって架設されている。この例では、支持部材313と支持部材315によって、収集パイプ接続部302から左方向に延びる収集パイプ303が、架空線用テンションバランサ300に上方から支持されている。支持部材313と315は、それぞれ取り付けバンド312と314とによって外側筒状構造体101に固定されている。
[0055]
 支持部材313と315は、収集パイプ303が左下がりに傾斜するように、架空線用テンションバランサ300から支持部分までの離間距離が調整されている。他の構成は、図2に示す第1の実施形態の場合と同じであるので、説明は省略する。
[0056]
 この例では、外側筒状構造体101の内側に溜まった雨水およびグリースの油分は、収集パイプ接続部302から収集パイプ303に流れ、回収タンク211に収集される。
[0057]
(3)第3の実施形態
(架空線用テンションバランサの構成)
 図7は、架空線用テンションバランサの他の一例を示す断面図である。図7には、架空線用テンションバランサ400が示されている。架空線用テンションバランサ400は、図の右下がりに傾斜した状態で用いられる。
[0058]
 架空線用テンションバランサ400が図1に示す架空線用テンションバランサ100と異なるのは、水抜き手段の位置である。図7に示す架空線用テンションバランサ400では、水抜き手段として、水抜き孔401を備えている。この水抜き孔401は、架空線用テンションバランサ400の架空線が接続される側の下側、より詳しくいうと、外側筒状構造体101の外側筒状構造体101の端部近くの下側に設けられている。架空線用テンションバランサ400の水抜き手段以外の構成は、図1に示す架空線用テンションバランサ100と同じである。
[0059]
(雨水収集構造)
 図8は、図7に示す架空線用テンションバランサ400の使用状態を示す側面図である。図8において、図2と同じ符号の部分は、図2に関連して説明ものと同じである。また特に説明しない部分で、図2と同じ構成の部分も図2に関連して説明したのと同じである。図8に示す例では、外側筒状構造体101の下側に水抜き孔が設けられ、そこに収集パイプ接続部402が取り付けられている。収集パイプ接続部402には、収集パイプ403が接続され、収集パイプ403は、図の左方向に左下がりになるように外側筒状構造体101の下側に支持され、さらに支柱200に沿って下方に引き回されている。収集パイプ403の下端は、回収タンク211に接続されている。
[0060]
 図9は、収集パイプ接続部402の詳細を示す側面図である。図9に示す収集パイプ接続部402は、図7にも示す水抜き孔401に、下方からドレイン管406を差し込んだ構造を有している。ドレイン管406は、略L字型の形状を有し、一端が架空線用テンションバランサ400に接続され、他端に収集パイプ403がコネクタ404によって接続されている。ドレイン管406は、ケース409に収められ、ケース409は、外側筒状構造体101に巻かれて固定された取り付けバンド411に固定されている。つまり、ドレイン管406は、取り付けバンド411によって、外側筒状構造体101に固定されている。また図9に示す構成では、内側筒状構造体103の外周に固定された取り付け部材411によって、目盛板206が取り付けられている。
[0061]
 図8に戻り、収集パイプ接続部402に接続された収集パイプ403は、架空線用テンションバランサ400の下方において、図の左方向に向かって架設されている。この例では、支持部材413と支持部材415によって、収集パイプ接続部402から左方向に延びる収集パイプ403が、架空線用テンションバランサ400に上方から支持されている。支持部材413と415は、それぞれ取り付けバンド412と414とによって外側筒状構造体101に固定されている。
[0062]
 支持部材413と415は、収集パイプ403が左下がりに傾斜するように架空線用テンションバランサ400から支持部分までの離間距離が調整されている。他の構成は、第1の実施形態の場合と同じであるので、説明は省略する。
[0063]
 この例では、外側筒状構造体101の内側に溜まった雨水およびグリースの油分は、収集パイプ接続部402から収集パイプ403に流れ、回収タンク211に収集される。
[0064]
(4)第4の実施形態
 次ぎに第1の実施形態において、さらに防水カバーを取り付けた例を説明する。図2に示した例は、雨水が架空線用テンションバランサ内に侵入してもそれを飛散させずに収集して外部に排出する。この構成に加えて、雨水が架空線用テンションバランサ内に侵入し難くなるようにすることで、雨水の侵入に起因する不具合(例えば構成部材の腐食、グリースの変質、流れ出しによるグリースの有効成分の減少等)の発生を抑えることができる。
[0065]
(構成)
 図10は、図2に示す構成に防水カバーを取り付けた状態を示す側面図(A)と、(A)に示す構成を図の右方向から見た正面図(B)である。なお、図10では、架空線用テンションバランサ100が最大に伸長した状態が示され、また架空線は図示省略されている。
[0066]
 図10には、防水カバー500が示されている。防水カバー500は、カバー部材501と底板部材502を備えている。カバー部材501は、上部が半円形に湾曲した屋根構造を有し、架空線用テンションバランサ100の軸方向に延在した長手形状を有している。屋根構造の下側は、開放構造とされ、そこに底板部材502がビス503によって取り付けられている。また、底板部材502の下部に目盛板206が位置し、防水カバー500を取り付けた状態において、架空線取り付け部材106の外側筒状構造体101からの引き出し長を確認できるようにされている。
[0067]
 カバー部材501の上部内側の支柱側(図の左端近く)には、緩衝部材505が取り付けられている。緩衝部材505は、ゴムあるいは樹脂製で、外側筒状構造体101の上面に摺動が可能な状態で接触する。緩衝部材505の外側筒状構造体101に接触する部分は、相対的な摺動をスムーズに行えるように凹凸の少ない表面とされている。
[0068]
 カバー部材501の軸方向の端部は、架空線側(図の右側)が、カバー部材501と一体となった端面板504によって塞がれ、支柱側(図の左側)が開放された構造とされている。端面板504には、上下に延在するスリット506が形成され、そこから架空線取り付け部材106が外(図の右方向)に突出可能な構造とされている。なお、図10(B)では、架空線取り付け部材106の記載は省略され、架空線取り付け部材106の架空線用テンションバランサ100側の軸106aの断面が記載されている。
[0069]
(取り付け方法)
 以下、図10に示す防水カバー500を架空線用テンションバランサ100に取り付ける作業手順の一例を説明する。ここでは、架空線用テンションバランサ100が実際に利用されている状態(架空線を支持している状態)において、防水カバー500を取り付ける場合を説明する。
[0070]
 まず、架空線用テンションバランサ100から、支持部材205を目盛板206と共に取り外す。次ぎに底板部材502を外したカバー部材501を、上方から架空線用テンションバランサ100の上から被せて載せ、緩衝部材505を外側筒状構造体101の上面に接触させる。この際、スリット506を架空線取り付け部材106の軸106aに合わせ、スリット506から軸106aが図の右方向に突出するように位置を調整する。
[0071]
 次ぎに端面板504と内側筒状構造体103との間に少し隙間を作り、そこに目盛板206と一体となった支持部材205を差し込み、位置を調整する。この際、端面板504の位置も同時に調整し、支持部材205と端面板504とを内側筒状構造体103の端面にボルト507によって共締めし、固定する。端面板504は、カバー部材501と一体構造とされているので、上記の固定により、カバー部材501が、架空線用テンションバランサ100に固定される。
[0072]
 次ぎに底板部材502を、目盛板206と外側筒状構造体101の下部との間の隙間に、図10の左方向から差し込み、位置を合わせる。そして、底板部材502をカバー部材501の内側にビス503によって固定する。こうして、図10に示す状態を得る。
[0073]
(優位性)
 図10に示す構成とすることで、防水カバー500によって、図の右側から架空線用テンションバランサ100の内部に雨水が浸入し難い構造とすることができる。また、図10に示す防水構造は、既存の架空線用テンションバランサ100が設置されている状態において取り付けることができる。このように既存の状態を利用することで、部品コストや作業コストを抑えることができる。

産業上の利用可能性

[0074]
 本発明は、鉄道等の架空線(架線)にテンションを与えつつそれを支持する架空線用テンションバランサに利用することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 同軸状に配置された複数の筒部材と、
 前記複数の筒部材間における相対的な軸方向の伸長に対して弾性力を与えるコイルばねと、
 前記コイルばねに塗布された潤滑剤と、
 前記複数の筒部材間の隙間に溜まる雨水を外部に抜く水抜き手段と、
 前記水抜き手段から流出する流体を収集する流体収集手段と
 を備えることを特徴とする架空線用テンションバランサ装置。
[請求項2]
 前記水抜き手段は、孔または隙間であり、
 前記流体収集手段は、前記孔または隙間に接続されたパイプであることを特徴とする請求項1に記載の架空線用テンションバランサ装置。
[請求項3]
 水抜き用の孔または隙間を備えた架空線用テンションバランサに取り付ける潤滑油飛散防止装置であって、
 前記水抜き用の孔または隙間に接続される収集用接続部材と、
 前記収集用接続部材に接続されるパイプと、
 前記収集用接続部材と前記パイプとを前記架空線用テンションバランサに取り付ける取り付け部材と
 を備えることを特徴とする潤滑油飛散防止装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]